JP2009538022A - ロッキング傾向を減少させたスピーカ - Google Patents
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Abstract
スピーカ(13, 16) が、エレクトロダイナミック変換器(1) 及びこの変換器を収納したバスレフ型エンクロージャ(14, 17)を有する。変換器のダイヤフラム(2) は、駆動時にロッキング振動数のロッキングモードで振動し、バスレフ型エンクロージャ(14,17) は、ロッキング振動数に同調される。
Description
〔発明の分野〕
本発明は、ダイヤフラムが駆動時にロッキング振動数のロッキングモードで振動するエレクトロダイナミック変換器と、エレクトロダイナミック変換器が収納されているバスレフ型(Bass Reflex)エンクロージャとを有するスピーカに関する。
本発明は、ダイヤフラムが駆動時にロッキング振動数のロッキングモードで振動するエレクトロダイナミック変換器と、エレクトロダイナミック変換器が収納されているバスレフ型(Bass Reflex)エンクロージャとを有するスピーカに関する。
本発明は、更に、本発明のスピーカを有するモバイル型装置、特に、携帯電話、P D A、モバイルコンピュータ又は玩具に関する。
〔発明の背景]
本発明に係るスピーカは、エンクロージャ内に収納されたエレクトロダイナミック変換器を有する。エレクトロダイナミック変換器は、電気信号を音に変換する。キャビネットとも呼ばれるエンクロージャの目的は、変換器の後部で生じた位相のずれた音波と変換器の前部で生じた正位相音波が組み合わさり、その結果としてスピーカの効率を損なわせる干渉縞及び打ち消し合いが生じるようになるのを阻止することにある。
本発明に係るスピーカは、エンクロージャ内に収納されたエレクトロダイナミック変換器を有する。エレクトロダイナミック変換器は、電気信号を音に変換する。キャビネットとも呼ばれるエンクロージャの目的は、変換器の後部で生じた位相のずれた音波と変換器の前部で生じた正位相音波が組み合わさり、その結果としてスピーカの効率を損なわせる干渉縞及び打ち消し合いが生じるようになるのを阻止することにある。
図1及び図2は、エレクトロダイナミック変換器1の一例を示している。図1は、変換器1を平面図で示し、図2は、変換器1を断面図で示している。変換器1は、ダイヤフラム2と、ダイヤフラム2に取り付けられたコイル3と、コイル3と相互作用する磁石4と、フレーム5とを有している。フレーム5は、磁石4を保持すると共に周囲部6を介してダイヤフラム2を保持している。電気信号をコイル3に印加した場合、コイル3は、ダイヤフラム2を速度ベクトル7により指示されているようにピストン運動の状態で振動させる。理想的には、ダイヤフラム2の全ての箇所は、図3に指示されているように速度ベクトル7に対して一様に動く。しかしながら、或る状況では、ダイヤフラム2は、矢印8で指示されているように動くことがあり、その結果、軸線9回りの振動回転運動が生じる。
この種の非ピストン運動は、図4に示されており、「ロッキングモード」とも呼ばれ、かかるロッキングモードは、図示の変換器1についてそうであるように変換器がスパイダを備えていない場合に特に生じることがある。
ロッキングモードの振動は、それにより結果として、音響効率が低下する場合があり、またはそれにより変換器1 により生じる音響信号が歪む場合があるので望ましくない。
欧州特許出願公開第1555849(A2)号明細書は、ロッキングモードを減少させた音響パッシブラジエータを開示している。パッシブラジエータは、「ドローン」と呼ばれることがあり、かかるパッシブラジエータは、音響エネルギーを放射するダイヤフラム及びサスペンションを有している。ダイヤフラムは、周辺部分及び周辺部分よりも薄い中央部分を有している。サスペンションは、ダイヤフラムを納めた表皮要素を有している。
表皮要素は、パッシブラジエータをエンクロージャに物理的に結合し、ダイヤフラム及びエンクロージャを空気圧の作用で密閉する周囲部を有している。周囲部を備えておらず且つスパイダを備えていないサスペンション要素は、周囲部と協働して運動を制御すると共にダイヤフラムの重量を支える。
〔発明の目的及び概要〕
本発明の目的は、エンクロージャが少なくともスピーカの変換器を支持し、変換器のロッキングモードを減少させたスピーカを提供することにある。
本発明の目的は、エンクロージャが少なくともスピーカの変換器を支持し、変換器のロッキングモードを減少させたスピーカを提供することにある。
本発明の目的は、ダイヤフラムが駆動時にロッキング振動数のロッキングモードで振動するエレクトロダイナミック変換器と、エレクトロダイナミック変換器が収納されているバスレフ型エンクロージャとを有するスピーカによって達成される。バスレフ型エンクロージャは、ロッキング周波数に同調される。ポート付き又はベント付きエンクロージャとも呼ばれるバスレフ型エンクロージャは、変換器のダイヤフラムの後側からの音を利用するスピーカ用エンクロージャの一形式である。実質的に気密である密閉形(密閉箱形)スピーカとは対照的に、バスレフ型エンクロージャは、通常、ポート又はベントと呼ばれる開口部を有し、この開口部は、通常は断面が長方形又は円形のパイプ又はダクトを有する場合がある。開口部は、エンクロージャの内部の空気と共振する。バスレフ型エンクロージャが共振する振動数は、ヘルムホルツ共振と呼ばれることがあり、かかる振動数は、エンクロージャのサイズ及びポートの寸法形状で決まる。従来型スピーカの場合、バスレフ型エンクロージャは、スピーカの周波数応答を変換器が密閉エンクロージャ内で再現できる範囲よりも下まで拡張するために用いられる。かくして、従来型バスレフ型エンクロージャは、或る特定の低音振動数に同調される。
しかしながら、本発明のスピーカのバスレフ型エンクロージャは、エレクトロダイナミック変換器のロッキング振動数に同調される。この本発明の同調方式により、ロッキング振動数における変換器のダイヤフラムの行程は、完全には抑制されないとしても少なくとも減少する。したがって、バスレフ型エンクロージャが変換器のロッキング振動数に同調される場合、変換器は、この振動数での励振傾向が低くなり、その結果、ダイヤフラムのロッキングが減少する。
エレクトロダイナミック変換器は、ダイヤフラムの安定性を向上させるスパイダシステムを有するのが良い。かかるスパイダシステムは、変換器のロッキングを減少させることができる。特に低コスト用途に関し、かかるスパイダシステムを備えていない変換器、例えば本明細書の導入部に記載された変換器1 が用いられる。バスレフ型エンクロージャの本発明による同調方式は、スパイダを備えていない変換器が用いられる場合に特に有用である。
本発明のスピーカのエンクロージャは、バスレフ型エンクロージャなので、かかるエンクロージャは、ポート又はベントと通称されている開口部を有する。ポートは、任意形状の断面( 断面積)SR及び長さLRを有する。具体的に言えば、断面SRは、円形又は長方形であるのが良く、エンクロージャは、容積VBを有する。すると、バスレフ型エンクロージャを変換器のロッキング振動数frockに同調させるために、次の方程式、即ち、
に従ってポートの長さLRを求めることができ、上式において、c は、空気中の音速である。
本発明のスピーカは、特に、モバイル型装置、例えば携帯電話、P D A 、モバイルコンピュータ又は玩具に用いられるのが良い。
また、本発明の目的は、本発明によれば、ダイヤフラムが駆動時に自由空気中の共振振動数で振動するエレクトロダイナミック変換器と、エレクトロダイナミック変換器が収納されているバスレフ型エンクロージャとを有するスピーカによって達成される。バスレフ型エンクロージャは、自由空気中の共振振動数の1. 5倍に等しい振動数に同調される。スバイダ心出しシステムを備えていないエレクトロダイナミック変換器、例えば、本明細書の導入部に記載された変換器1は、変換器の自由空気共振振動数fresの約1. 5倍のロッキング振動数を有する場合が多い。これは、特に、ダイヤフラムが内部ダンピングが比較的低い材料で作られている変換器について当てはまる。かかる変換器は、特に、低コスト用途又はモバイル型装置、例えば携帯電話、モバイルコンピュータ、P D A 又は玩具に用いられる。それ故に、バスレフ型エンクロージャが自由空気中の共振振動数fresの約1. 5倍の振動数に同調される場合、対応のバスレフ型スピーカは、用いられているエレクトロダイナミック変換器のロッキング周波数に同調されるものと思われる。
以下において、図面に示された実施形態を参照して本発明を非限定的な例により詳細に説明する。
〔実施形態の発明〕
図1〜図4の内容は、本明細書の導入部において説明されている。
図1〜図4の内容は、本明細書の導入部において説明されている。
図5は、スパイダ心出しシステムを備えておらず、自由空気中における、即ち、変換器がエンクロージャに取り付けられていない場合における代表的なエレクトロダイナミック変換器のダイヤフラム行程と振動数の関係を示すプロット10を示している。例示の実施形態に関し、この変換器は、図1〜図4の変換器1である。プロット10は、750H zのところに第1のピーク11を示すと共に約1k H z のところに第2のピーク12を示している。第1のピーク11は、約750H z における自由空気中の変換器1の共振振動数fresに対応し、第2のピーク12は、変換器1のロッキング振動数frockに対応している。ロッキング振動数frockは、例示の実施形態の場合、約1000k H z である。
かくして、この変換器1のロッキング振動数frockは、自由空気中における変換器1の共振振動数の約1. 5倍である。これは、内部ダンピングが比較的低いダイヤフラムを備えたエレクトロダイナミック変換器について比較的よくあることである。かかる変換器は、例えば、モバイル型装置、例えば携帯電話、P D A 、ラップトップ又は玩具に用いられる。
図6は、エンクロージャ14及び例示の実施形態に関して図1〜図4の変換器1を有する本発明のスピーカ13の第1の例示の実施形態を示している。エンクロージャ14は、容積V B,1を有し、かかるエンクロージャは、開ロ部15を備えたバスレフ型エンクロージャである。開口部15は、断面積SR,1及びエンクロージャ14の壁の厚さdに対応した長さを有している。
変換器1は、図5に示されているように約1 k H z のロッキング振動数frockを有する。スピーカ13のエンクロージャ14は、このロッキング振動数frockに同調され、即ち、エンクロージャ14の容積VB,1、エンクロージャ14の断面積SR,2及びエンクロージャ14の壁の厚さは、変換器1及びエンクロージャ14で構成されたシステムがロッキング振動数frockで共振するように選択されている。例示の実施形態に関し、開□部15の断面SR,1、長方形であり、この断面は、次の方程式、即ち、
を満足するよう選択されており、上式において、c は、空気中の音速である。
変形例として、エンクロージャ14は、自由空気中における変換器1の共振振動数の1.5倍に等しい振動数に同調される。この場合、開口部15の断面SR,1は、例示の実施形態に関し、次の方程式、即ち、
を満足するよう選択されている。
図7は、変換器1及びバスレフ型エンクロージャ17を有する本発明のスピーカ16の第2の例示の実施形態を示している。エンクロージャ17は、容積VB,2を有し、このエンクロージャは、反射ポート18を有している。ポート18は、長さL及び断面積SR,2を有している。断面SR,2は、例示の実施形態に関しては円形である。
ポート18の長さLは、変換器1及びエンクロージャ16で構成されたシステムがロッキング振動数frockで共振するよう寸法決めされている。例示の実施形態に関し、ポート18の長さLは、次の方程式、即ち、
が満足されるよう寸法決めされている。
変形例として、エンクロージャ17は、自由空気中における変換器1 の共振振動数fresの1.5倍に等しい振動数に同調される。この場合、ポート18の長さLは、例示の実施形態に関し、次の方程式、即ち、
を満足するよう選択されている。
図8は、変換器1のダイヤフラム2の音圧レベルLpiと正規化振動数ωnの関係を表すプロット19及びポート18のところにおける音圧レベルと正規化振動数ωnの関係を表すプロット20を示している。振動数軸線は、振動数ωn = 1が変換器1のロッキング振動数frockに一致するよう正規化されている。プロット1 9 から明らかなこととして、変換器1のダイヤフラム2は、音を全く又は少なくとも殆ど発生させていない。このことは、ダイヤフラム2がロッキング振動数frockまで全く動かず、或いは少なくともほんの僅かしか動いていないということを意味している。
スピーカ13, 16は、特に、モバイル型装置、例えば携帯電話、P D A 、モバイルコンピュータ又は玩具に用いられる。図9は、モバイル型装置の例示の実施形態として、スピーカ13又はスピーカ16を有する携帯電話21を示している。
最後に、上述の実施形態は、本発明を説明するものであって本発明を限定するためのものではないこと及び当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく多くの変形実施形態を想到できることは注目されるべきである。原文の特許請求の範囲において、括弧に入れた参照符号は、特許請求の範囲に記載された本発明を限定するものと解釈されてはならない。原文明細書における“comprising" 及び“comprises" という用語( 翻訳文では、「〜を有する」又は「〜を含む」と訳出している場合が多い) は、請求項又は明細書全体に記載された要素又は段階以外の要素又は段階の存在を排除するものではない。要素が単数冠詞で示されていることをもってして要素が複数存在することが排除されているということにはならず、またこの逆の関係が成り立つ。幾つかの手段を列挙するいわゆる装置クレームでは、これら手段のうちの幾つかを同一のハードウェアで具体化できる。或る特定の手段が互いに異なる従属形式の請求項に列記されているということだけをもってしてこれら手段の組合せを有利には使用できないということが示されているほけではない。
Claims (8)
- スピーカであって、
ダイヤフラムが駆動時にロッキング振動数frockのロッキングモードで振動するエレクトロダイナミック変換器と、
前記エレクトロダイナミック変換器が収納されているバスレフ型エンクロージャとを有し、前記バスレフ型エンクロージャは、前記ロッキング周波数frockに同調される、スピーカ。 - 前記エレクトロダイナミック変換器は、スパイダレス形変換器である、請求項1に記載のスピーカ。
- スピーカであって、
ダイヤフラムが駆動時に自由空気中の共振振動数fresで振動するエレクトロダイナミック変換器と、
前記エレクトロダイナミック変換器が収納されているバスレフ型エンクロージャとを有し、前記バスレフ型エンクロージャは、自由空気中の前記共振振動数fresの1. 5倍に等しい振動数に同調される、スピーカ。 - 前記エレクトロダイナミック変換器は、スパイダレス形変換器である、請求項4に記載のスピーカ。
- 請求項1〜6のうちいずれか一に記載のスピーカを有するモバイル型装置。
- 前記モバイル型装置は、携帯電話、P D A 、モバイルコンピュータ又は玩具のうちの1つである、請求項7に記載のモバイル型装置。
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