JP2009286660A - 圧電磁器及びこれを用いたレゾネータ - Google Patents

圧電磁器及びこれを用いたレゾネータ Download PDF

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Abstract

【課題】 スプリアスの発生を抑制しながら、十分に高いQmaxの値を得ることが可能な圧電磁器を提供すること。
【解決手段】 本発明の圧電磁器は、下記組成式(1)で表される複合酸化物を主成分として含み、且つ、副成分として、AlをAl換算で1〜10質量%含有する。
(Pba−xLa)[(MnNbTiZr]O …(1)
[式中、a、b、c、d、e、f及びxは、0.98≦a≦1.01、0<x≦0.020、0.340≦b≦0.384、0.616≦c≦0.660、0.08≦d≦0.12、0.500≦e≦0.540、0.37≦f≦0.41、bd+cd+e+f=1を満たす。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、圧電磁器及びこれを用いたレゾネータに関する。
Pb(Zr・Ti)Oのモルフォロトロピック相境界近傍の組成のものは、優れた圧電性を示す圧電材料であることが知られている。このような圧電材料は、キュリー温度が高く、温度変化、経時変化や電気機械結合定数が良好であることから、様々な用途に使用されている。例えば、レゾネータ、フィルタ、共振子、アクチュエータ、着火素子あるいは超音波モータ等の圧電素子の材料として広く用いられている。
上述したような圧電材料により構成される圧電磁器としては、例えば、Pb(Mg1/3Nb2/3)O、Pb(Mn1/3Nb2/3)Oなどの第3成分による置換や添加物(副成分)の添加等により、所望の特性に調整できることが知られている。具体的には、例えば、副成分としてAlを含有させた組成(特許文献1、2)、Mnを含有させた組成(特許文献3)、主成分のAサイト元素のモル量がBサイト元素のモル量よりも少なく、しかも、副成分としてSiを含有させた組成(特許文献4)等が開示されている。
特開2007−1841号公報 特開2007−182353号公報 特開2000−103674号公報 特開2002−68834号公報
近年、圧電磁器の用途はますます拡大されつつあり、それに伴って、圧電磁器に対する要求特性も高く、また多岐にわたるようになっている。特に最近では、電子部品に対して小型化が望まれており、それに搭載される圧電素子に対しても、小型で且つ高特性を両立させるという厳しい要求がある。
ところが、従来の圧電磁器の場合、過度に小型化してしまうと、圧電磁器における電極形成面も小さくなってしまうため、目的とする振動(主要振動)付近にこれとは異なった不要な振動(スプリアス)が発生して、発振特性が安定しなくなる傾向にある。このスプリアスの発生は、結合係数を抑制することによって抑えることができるが、この場合、共振特性の鋭さを表すQmaxの値が小さくなり易い。圧電磁器は、通常、このQmaxの値が高いほど、優れた発振特性を発揮することができる。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、スプリアスの発生を抑制しながら、十分に高いQmaxの値を得ることが可能な圧電磁器及びこれを用いた圧電素子を備えるレゾネータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の圧電磁器は、下記組成式(1)で表される複合酸化物を主成分として含み、且つ、副成分として、AlをAl換算で1〜10質量%含有することを特徴とする。
(Pba−xLa)[(MnNbTiZr]O …(1)
[式中、a、b、c、d、e、f及びxは、下記の条件を満たす値である。
0.98≦a≦1.01
0<x≦0.020
0.340≦b≦0.384
0.616≦c≦0.660
0.08≦d≦0.12
0.500≦e≦0.540
0.37≦f≦0.41
bd+cd+e+f=1]
このような本発明の圧電磁器は、特に、上述した組成の複合酸化物からなる主成分、特に、この複合酸化物のAサイト元素の一部がLaによって置換された主成分に、副成分として特定量のAlを含有していることから、スプリアスが十分に抑制されるとともに、十分に高いQmaxを発揮し得るものとなる。したがって、このような圧電磁器を用いた圧電素子を備えたレゾネータによれば、優れた発振特性を安定して得ることが可能となる。
本発明によれば、スプリアスの発生を抑制しながら、十分に高いQmaxの値を得ることが可能な圧電磁器を提供することが可能となる。また、かかる圧電磁器を用いた圧電素子を備えており、優れた発振特性を安定して得ることが可能なレゾネータを提供することが可能となる。
以下、必要に応じて図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
[圧電磁器]
好適な実施形態に係る圧電磁器は、まず、下記組成式(1)で表される複合酸化物を主成分として含有する。
(Pba−xLa)[(MnNbTiZr]O …(1)
[式中、a、b、c、d、e、f及びxは、下記の条件を満たす値である。
0.98≦a≦1.01
0<x≦0.020
0.340≦b≦0.384
0.616≦c≦0.660
0.08≦d≦0.12
0.500≦e≦0.540
0.37≦f≦0.41
bd+cd+e+f=1]
この主成分である複合酸化物は、いわゆるペロブスカイト構造を有している。上記組成式(1)で表される複合酸化物におけるPb及びLaは、ペロブスカイト構造のAサイトに位置している。一方、Mn、Nb、Ti、Zrは、ペロブスカイト構造のBサイトに位置している。圧電磁器において、主成分である上記の複合酸化物は、圧電磁器全体に対して95質量%以上含まれることが好ましく、98.0〜99.9質量%含まれることがより好ましい。このような割合で複合酸化物が含まれることで、十分な圧電特性が得られるようになる。
複合酸化物におけるAサイト元素の割合を表すaは、0.98≦a≦1.01の範囲である。aが0.98未満では、緻密な焼結体を得ることが困難である。一方、aが1.01を超えると十分な耐熱性を得ることができなくなる。aは、0.985≦a≦1.005とすることが好ましく、0.985≦a≦1.000とすることがより好ましい。
この複合酸化物において、Aサイト元素であるPbの一部は、Laによって置換されており、その置換量であるxは、0<x≦0.020の範囲である。Laによる置換がない場合(x=0)、スプリアスの発生を抑制しようとした場合に、Qmaxが過度に小さくなる。一方、xが0.020を超えると、圧電磁器の分極が困難となって、圧電特性自体が得られなくなってしまう。スプリアスを十分に抑制しつつ、優れた圧電特性(特にQmax)を得る観点からは、xは、0.001≦x≦0.015であると好ましく、0.005≦x≦0.015であるとより好ましい。
Bサイト元素であるMnの割合bは、0.340≦b≦0.384である。また、Nbの割合cは、0.616≦c≦0.660である。なお、Pb、Zr、Ti、Mn及びNbを主成分とするペロブスカイト型化合物におけるMn,Nbの化学量論組成(Stoichiometric Composition)は、Mn1/3、Nb2/3である。これに対し、本実施形態における複合酸化物は、この化学量論組成に比べ、MnがリッチでPbがプアな組成となっている。このような組成を有することで、圧電磁器の製造時における熱処理による靭性向上効果が高く得られ、また圧電磁器の優れた耐熱性が得られるようになる。
bが0.340未満である(すなわちcが0.660を超える)場合は、十分な靭性及び耐熱性を得ることができなくなる。また、bが0.384を超える(すなわちcが0.616未満である)場合は、抵抗値が低下し、分極ができなくなる。これらの観点から、好ましいb、cの範囲は、0.345≦b≦0.375且つ0.625≦c≦0.655であり、より好ましい範囲は、0.345≦b≦0.370且つ0.630≦c≦0.655である。
また、Mn及びNbの合計の割合を示すdは、0.08≦d≦0.12の範囲である。このdが0.08未満であると、電気特性Qmaxが小さくなる。一方、dが0.12を超えると、良好な耐熱性を得ることができなくなる。これらの特性をより良好に得る観点から、dは0.085≦d≦0.115であると好ましく、0.09≦d≦0.11であるとより好ましい。
Bサイト元素であるTiの割合eは、0.500≦e≦0.540の範囲である。このeが0.500未満であると、良好な耐熱性を得ることができない。一方、eが0.540を超えると、電気特性Qmaxが小さくなる。これらの特性を良好に得る観点からは、えは、好ましくは0.505≦e≦0.535であり、より好ましくは0.505≦e≦0.520である。
さらに、Bサイト元素であるZrの割合fは、0.37≦f≦0.41の範囲である。このfが0.37未満であると、電気特性Qmaxが小さくなる。一方、fが0.41を超えると、良好な耐熱性を得ることができなくなる。これらの特性を良好に得る観点からは、fは、0.380≦f≦0.405であると好ましく、0.385≦f≦0.400であるとより好ましい。
本実施形態の圧電磁器は、上述した主成分である複合酸化物に加え、副成分であるAlを、Alに換算して圧電磁器全体に対して1〜10質量%含有するものである。このような割合でAlを含有することによって、例えば圧電磁器をレゾネータに適用した場合に、スプリアスの発生を効果的に抑制することができる。
すなわち、レゾネータは、小型化されると主要振動を十分に閉じ込めることができないため、このように小型化されたレゾネータでは、主要振動付近での不要振動(スプリアス)が発生し易い傾向にある。ここで、「主要振動を閉じ込める」とは、圧電磁器からなる圧電体の両面に形成されている振動電極部分に、単一振動を発生させた場合に、振動電極が無い部分(無電極部分)において振動を減衰して不要振動を抑制することを表している。つまり、圧電素子が大きい場合には、この無電極部分を大きくすることができるため、振動の減衰が十分に行われる。しかし、小型のレゾネータでは、この無電極部分が小さくなるため、十分に振動を減衰することができず、不要振動が発生し易くなる。
この不要振動が多くなると、主要振動の周波数と不要振動の周波数が重なるか又は近似してしまい、主要振動だけを閉じ込めることが難しくなる。この場合、電気機械結合係数(K15)を低減することができれば、主要振動と不要振動の周波数を離間することができ、主要振動だけを閉じ込めることが可能となる結果、主要振動付近での不要振動(スプリアス)を抑制できるようになる。しかしながら、電気機械結合係数を小さくした場合、圧電磁器のQmaxは小さくなり、そのため、十分な圧電特性が得られなくなる傾向にある。
これに対し、本実施形態の圧電磁器は、まず、副成分としてAlを含むことから、電気機械結合係数K15を低減することが可能であり、その結果、スプリアスの発生を少なくできる。また、これに加えて、上述したように、Aサイト元素であるPbの一部がLaによって置換された複合酸化物を主成分として含有しているため、このように電気機械結合係数K15を小さくできるにもかかわらず、高いQmaxを維持することが可能である。
圧電磁器におけるAlの含有量が、Alに換算して1質量%未満であると、十分にスプリアスを抑制することができない。一方、10質量%を超えると、Qmaxを十分に維持することが困難となる。これらの特性を良好に得る観点からは、Alの含有量は、Alに換算して2〜6質量%であると好ましく、2〜4質量%であると更に好ましい。
[圧電磁器の製造方法]
次に、上述した実施形態の圧電磁器の好適な製造方法について説明する。
まず、主成分の原料として、主成分である複合酸化物を構成する元素の酸化物、又は加熱により酸化物となる化合物の粉末を準備する。具体的には、PbO粉末、La(OH)粉末、TiO粉末、ZrO粉末、MnCO粉末、Nb粉末等が挙げられる。これらの原料粉末を、上述した組成式に示した組成が得られるようにそれぞれ秤量する。次いで、副成分の原料粉末であるAl粉末を、主成分の原料粉末の総重量に対して1〜10質量%添加する。なお、これらの原料粉末の平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲で適宜選択することが好ましい。また、これらの原料粉末に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を原料粉末として用いてもよい。
このようにして調製した原料粉末を湿式混合した後、700〜950℃の範囲内で所定時間保持する仮焼を行う。仮焼の雰囲気はN又は大気とすることができる。また、仮焼の保持時間は0.5〜5時間の範囲で適宜選択することが好ましい。得られた仮焼体は、仮焼後、粉砕することが好ましい。
なお、ここでは、主成分の原料粉末と副成分の原料粉末を混合した後に、両者をともに仮焼する場合について示したが、副成分の原料粉末を添加するタイミングは上述したものに限定されない。例えば、主成分の原料粉末のみを秤量、混合した後、仮焼及び粉砕する。そして、粉砕により得られた仮焼後の主成分の粉末に、副成分の原料粉末を所定量添加し、混合するようにしてもよい。
仮焼後に得られた粉砕粉末は、後の成形工程を円滑に実行するために顆粒に造粒することが好ましい。この場合、粉砕粉末に、適当なバインダ、例えばポリビニルアルコール(PVA)を少量添加し、これらを十分に混合し、その後、例えばメッシュを通過させて整粒することにより造粒粉末を得ることができる。次いで、造粒粉末を200〜300MPaの圧力で加圧成形して、所望の形状の成形体を得る。
次に、成形体から成形時に添加したバインダを除去した後、1170〜1250℃の温度範囲で所定時間成形体を加熱保持して、焼結体を得る。これにより、上述した実施形態の組成を有する分極前の圧電磁器が得られる。このときの雰囲気はN又は大気とすればよい。また、加熱保持時間は0.5〜4時間の範囲で適宜選択することが好ましい。
その後、得られた焼結体に、分極処理用の仮電極を形成した後、この仮電極間に電界を印加して分極処理を行う。分極処理は、50〜300℃の温度で、1.0〜2.0Ec(Ecは抗電界)の電界を焼結体に対して0.5〜30分間印加することで行うことができる。この分極処理は、例えば、上述した温度に加熱された絶縁オイル、具体的にはシリコンオイル浴中で行うことができる。
このようにして得られた焼結体(圧電磁器)は、所望の厚さまで研磨してもよい。その後、必要に応じて、圧電磁器に熱処理を施してもよい。熱処理により、圧電磁器の耐熱性や靭性を高めることが可能となる。熱処理温度は、例えば、200〜300℃とすることができ、250〜300℃とすることが好ましく、260〜300℃とすることがより好ましく、270〜290℃とすることが更に好ましい。また、熱処理時間は、10〜60分とすることができる。熱処理の雰囲気は、N又は大気雰囲気とすることが好ましい。なお、この熱処理の際には、分極処理用の仮電極を残しておいてもよいし、除去してもよい。
その後、得られた圧電磁器に、振動電極を形成することで、種々の電子機器に用いることが可能な圧電素子が得られる。圧電素子は、ダイシングソー等で所望の形状に切断されてもよい。このようにして得られ、上述した組成を有する圧電磁器は、特にレゾネータに好適に用いることができるが、その他の圧電素子としても適用可能である。
[レゾネータ]
次に、上述した実施形態の圧電磁器からなる圧電素子を用いたレゾネータの好適な実施形態について説明する。
図1は、好適な実施形態のレゾネータを示す分解斜視図である。図1に示すレゾネータ10は、端子電極111及び端子電極112を備える基板11、接着樹脂層12、空洞樹脂層13、圧電素子14、空洞樹脂層15、接着樹脂層16及びカバー17がこの順に積層された構造を有している。このレゾネータ10において、圧電素子15は、圧電磁器からなる圧電層140と、この圧電層140の両面に設けられた一対の振動電極141とから構成されている。圧電層140を構成する圧電磁器は、上述した実施形態の圧電磁器である。
レゾネータ10においては、端子電極111及び112間に電圧を印加することで、圧電層140の振動電極141間に挟まれた部分で振動が生じ、所定の振動数の信号を発振することができる。このレゾネータ10では、空洞樹脂層13,15が、その中央部付近に表裏面に貫通する空孔を有することによって、振動電極141付近に閉じ込められた振動を抑圧しないように、振動空間が確保されている。基板11又はカバー17は、この振動空間を維持するとともに、振動空間の機密性を確保するように、接着樹脂層12又は16を介して空洞樹脂層13又は15にそれぞれ接着されている。
このような構成を有するレゾネータ10は、圧電層140が上述した実施形態の圧電磁器によって構成されていることから、小型化により圧電層140の振動電極141が形成されていない部分(無電極部分)が小さくなっても、十分にスプリアスを抑制しながら、高い圧電特性(特にQmax)が得られるようになる。すなわち、かかるレゾネータ10は、小型化しても高い特性を維持することができ、小型の電子機器に搭載される素子として極めて好適である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[圧電磁器及びこれを用いた試料の作製]
(実施例1〜8及び比較例1〜4)
まず、出発原料として、酸化鉛(PbO)粉末、水酸化ランタン(La(OH))粉末、酸化チタン(TiO)粉末、酸化ジルコニウム(ZrO)粉末、炭酸マンガン(MnCO)粉末、酸化ニオブ(Nb)粉末及び酸化アルミニウム(Al)粉末を準備した。次いで、これらの原料粉末を、(Pba−xLa)[(Mn0.37Nb0.630.10Ti0.52Zr0.38]Oで表される複合酸化物からなる主成分を有し、それ以外の副成分がAlである組成を有する圧電磁器が得られるように秤量した後、純水中で0.5時間のZrボールによるボールミルを行い、原料粉末を湿式混合した原料組成物のスラリーを得た。なお、各実施例及び比較例において、Pbの割合(a−x)及びLaの割合(x)はそれぞれ表1に示す通りとし、また、Alの含有量は、Al換算で3重量%となるようにした。
ボールミル混合により得られた各種のスラリーを十分に乾燥させ、プレス成形した後、得られた成形体を、800〜950℃で仮焼成した。次いで、得られた仮焼体を、平均粒径が約1μm程度となるようにボールミルにより微粉砕した後、乾燥させた。それから、乾燥後の粉末に、バインダとしてポリビニルアルコール(PVA)を加えて造粒した。
造粒により得られた粉末を、縦20mm×横20mmの金型キャビティに約3g投入し、1軸プレス成形機を用いて245MPaの圧力で成形した。得られた成形体に対して加熱を行い、PVAを除去する脱バインダ処理を行った後、大気中、1170〜1250℃で2時間焼成して、各種の原料組成物から形成された焼結体(圧電磁器)を得た。
その後、得られた各焼結体の両面をラップ盤により厚さ0.350mmに平面加工した後に、ダイシングソーにより縦15mm×横15mmに切断加工し、その表裏両面に分極用の仮電極(縦14mm×横14mm)を形成した。続いて、仮電極が形成された焼結体に対し、温度150℃のシリコンオイル槽中で3kV/mmの電界を15分間印加する厚みすべり方向の分極処理を行った。その後、仮電極を除去した。仮電極を除去した後の焼結体の大きさは、縦15mm×横15mm×厚さ0.3mmであった。分極後の焼結体を再度ラップ盤でおよそ厚さ0.320mmとなるまで研磨した後に、ダイシングソーにより縦3.17mm×横0.55mmに切断加工した。それから、分極後の各焼結体に対し、大気中、280℃で30分の熱処理をそれぞれ施した。
そして、これらの焼結体に対し、その表裏面に真空蒸着によりそれぞれ振動電極を形成して、電気機械結合定数Ktの測定用の試料を得た。図2は、測定用の試料の構造を示す図であり、(a)は測定用の試料の斜視図、(b)はその端面図である。図示のように、試料は、上記の焼結体(圧電磁器)からなる圧電層1の両面に、一部が圧電層1を介して重なり合う位置となるようにそれぞれ振動電極2が設けられた構成を有している。この振動電極2同士の重なりLは、1.5mmとした。なお、振動電極2は、図示しないが、厚さ0.01μmのCr層と、厚さ2μmのAg層から構成され、Cr層が圧電層1と対向するように設けられている。
[特性評価]
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた各種の試料について、その電気機械結合定数K15及びQmaxを測定するとともに、スプリアスの発生の有無について確認した。なお、比較例3及び4で得られた試料は分極させることができなかったため、以下の評価については行わなかった。
(電気機械結合定数K15
インピーダンスアナライザ(アジレントテクノロジー社製4294A)を用いて、各試料の約4MHz付近の共振周波数Fr及び***振周波数Faを測定した。そして、これらの値から、下記の式(A)に基づいて電気機械結合係数k15を求めた。得られた結果を表1に示す。この電気機械結合係数K15は、圧電素子の電極間に加えた電気エネルギーを機械的エネルギーに変換する効率を表す定数であり、レゾネータとしては、小さいほど好ましい。
Figure 2009286660
(Qmax
上記で得られた共振周波数Frと***振周波数Faとの間でのQ(=tanθ,θ:位相角(deg))の最大値を求め、これをQmaxとした。得られた結果を表1に示す。レゾネータにおいては、この値が大きいほどより低電圧での駆動が可能となる。
(スプリアス)
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた各種の試料を圧電素子として用い、図1に示す構成を有するレゾネータ10を作製した。そして、これらの各レゾネータについて、上述のインピーダンスアナライザによりインピーダンス及び位相曲線を測定し、その結果に基づいて不要振動(スプリアス)の有無を特定した。得られた結果を表1に示す。
また、一例として、スプリアスが発生しなかった実施例4の試料のインピーダンス及び位相曲線の波形を図3に、スプリアスが発生した比較例1の試料のインピーダンス及び位相曲線の波形を図4に、それぞれ示した。
Figure 2009286660
表1、図3及び図4に示すように、本発明の組成を有する圧電磁器を用いて得られた実施例のレゾネータは、電気機械結合定数K15が小さく、スプリアスの発生も無く、しかも十分なQmaxを有していた。これに対し、圧電磁器がAlを含まない比較例1では、スプリアスの発生を抑制することができず、圧電磁器がAlを含むものの主成分にLaを含まない比較例2では、スプリアスの発生はなかったものの、Qmaxが低くなった。
好適な実施形態のレゾネータを示す分解斜視図である。 測定用の試料の構造を示す図である。 実施例4の試料のインピーダンス及び位相曲線の波形を示す図である。 比較例1の試料のインピーダンス及び位相曲線の波形を示す図である。
符号の説明
10…レゾネータ、11…基板、12,16…接着樹脂層、13,15…空洞樹脂層、17…カバー、111,112…端子電極、140…圧電層、141…振動電極。

Claims (2)

  1. 下記組成式(1)で表される複合酸化物を主成分として含み、且つ、副成分として、AlをAl換算で1〜10質量%含有する、ことを特徴とする圧電磁器。
    (Pba−xLa)[(MnNbTiZr]O …(1)
    [式中、a、b、c、d、e、f及びxは、下記の条件を満たす値である。
    0.98≦a≦1.01
    0<x≦0.020
    0.340≦b≦0.384
    0.616≦c≦0.660
    0.08≦d≦0.12
    0.500≦e≦0.540
    0.37≦f≦0.41
    bd+cd+e+f=1]
  2. 請求項1記載の圧電磁器からなる圧電素子を備えるレゾネータ。
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