JP4229389B2 - 圧電セラミックス共振子及びレゾネータ - Google Patents

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Description

本発明は、レゾネータの共振子として好適に用いられる圧電セラミックス共振子に関し、特に圧電セラミックス共振子の強度向上に関するものである。
従来より、発振周波数を得る共振子として、圧電セラミックス共振子を用いた圧電共振部品(レゾネータ)が知られている。圧電セラミックス共振子2は、図1に示すように、分極された圧電セラミックス基板21の表・裏の主面に、1対の振動電極22、23を形成し、その一対の振動電極22、23付近に振動が閉じ込められるよう構成されている。この圧電セラミックス共振子2を用いたレゾネータ1は、図2に示すように、基板3とキャップ5とを備えている。基板3は補強機能をもち、例えばステアタイト(MgO・SiO2)、アルミナ(Al23)等のセラミックスで構成され、通常、0.05〜0.7mm程度の板厚を有している。基板3の表裏面には端子電極31、32が形成されている。また、基板3は積層セラミックスなどを用いて誘電体機能と補強機能を併せ持つように構成してもよい。
端子電極31、32の上には、導電性樹脂や半田のような導電性と接着性の機能を併せ持つ導電固定子4によって圧電セラミックス共振子2が接着固定される。圧電セラミックス共振子2と基板3との間は、導電固定子4の厚みによって一定の振動空間が確保される。
キャップ5は、圧電セラミックス共振子2を覆うように基板3上に例えば接着剤によって接着されている。キャップ5も、基板3と同様にステアタイト(MgO・SiO2)、アルミナ(Al23)等のセラミックスで構成することもできるが、合金のような金属で構成してもよい。また、キャップ5の板厚も、基板3と同程度とすればよい。
以上のようなレゾネータ1は、例えば、特開平8−237066号公報(特許文献1)に開示されている。
特開平8−237066号公報 特開2003−128462号公報
圧電セラミックス共振子2は、通常、室温付近において正方晶系又は菱面体晶系のPZT(PbZrO3−PbTiO3固溶体)系やPT(PbTiO3)系などのペロブスカイト構造を有する圧電磁器組成物から構成されている。圧電セラミックス共振子2をレゾネータ1として使用する場合、電気特性として帯域内のQmax(Qmax=tanθ:θは位相角)が大きいことが要求されているだけではなく、近年では表面実装型部品が広く普及しており、プリント基板に実装される際に、ハンダリフロー炉を通すために耐熱性が高いことも要求されている。なお、耐熱性が高いあるいは良好とは、熱的な衝撃を受けた後の特性の変動が小さいことをいう。
レゾネータ1を構成する圧電セラミックス共振子2には、以上の特性の他に機械的強度が高いことも要求される。そのため、例えば、1mの高さからレゾネータ1をコンクリートに自由落下させても圧電セラミックス共振子2に欠け、割れ等の異常が発生しないこと(自由落下耐性)を製品の仕様として要求している。
そのため、圧電セラミックス共振子2の機械的強度向上が検討されている。例えば、材質的な面から機械的強度向上を図るべく、種々の副成分を添加することが考えられる。しかし、副成分の添加は、圧電セラミックス共振子2の種々の特性に悪影響を与えることがある。例えば、機械的強度を上げるために、SiO2を添加することが特許文献2(特開2003−128462号公報)に報告されている。しかしながら、SiO2は機械的強度を向上させる一方で、最適な焼結温度、つまり緻密な焼結体を得るための加熱温度が高くなり、あるいは耐熱性を低下させることが良く知られている。
そこで本発明は、圧電セラミックスが本来有する特性を低下することなく機械的強度を向上することのできる圧電セラミックス共振子を提供することを目的とする。また本発明は、そのような圧電セラミックス共振子を用いることにより自由落下耐性の優れたレゾネータを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく圧電セラミックスの表面粗さに着目したところ、振動電極が形成される表裏面の表面粗さの差が小さい場合に機械的強度を向上することができることを確認して本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、互いに対向する主面S1及び主面S2を有するPb α [(Mn 1/3 Nb 2/3 Ti Zr ]O …(2)で示されるペロブスカイト化合物を主成分とする圧電セラミックス基材と、主面S1の一部に形成された電極E1及び主面S2の一部に形成された電極E2と、を備え、主面S1の表面粗さRaをRa1、主面S2の表面粗さRaをRa2とすると、電極E1と電極E2とが対向している主面S1及び主面S2上の領域のみが、|Ra1−Ra2|/(Ra1+Ra2)/2≦5%…(1)の条件を満足することを特徴とする圧電セラミックス共振子。
ただし、式(2)において0.97≦α≦1.01、0.04≦x≦0.16、0.48≦y≦0.58、0.32≦z≦0.41である。
本発明において、|Ra1−Ra2|/(Ra1+Ra2)/2≦2%の条件を満足することが機械的強度向上にとって好ましい。
以上の圧電セラミックス共振子を用いた本発明のレゾネータは、互いに対向する主面S1及び主面S2を有するPb α [(Mn 1/3 Nb 2/3 Ti Zr ]O …(2)で示されるペロブスカイト化合物を主成分とする圧電セラミックス基材と、主面S1の一部に形成された電極E1及び主面S2の一部に形成された電極E2とを備える圧電セラミックス共振子と、圧電セラミックス共振子を支持する基板と、を備え、圧電セラミックス基材が、主面S1の表面粗さRaをRa1、主面S2の表面粗さRaをRa2とすると、電極E1と電極E2とが対向している主面S1及び主面S2上の領域のみが、|Ra1−Ra2|/(Ra1+Ra2)/2≦5%…(1)の条件を満足することを特徴とする。
本発明のレゾネータは、基板が端子電極を備え、圧電セラミックス共振子は、導電部材を介して、基板に両端支持されるとともに、振動電極と導通する形態に適用することが好ましい、
本発明によれば、表面粗さを所定の範囲に調整するという手段を採用するため、圧電セラミックスが本来有している特性を低下させることなく機械的強度を向上することができる。この圧電セラミックス共振子を用いることにより、自由落下耐性の優れたレゾネータを得ることができる。
以下、実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図2は、本実施の形態におけるレゾネータ1を説明するための断面図である。なお、図2に示すレゾネータ1の基本的な構成は従来の技術の欄で説明したので、ここでの繰り返しの説明は省略する。
本発明は、レゾネータ1の構成要素である圧電セラミックス共振子2の表面粗さが式(1)の条件を満足する。この式(1)は後述する3点曲げ試験に基づいているが、この式(1)について図1を参照しつつ説明する。
図1において、短冊状の圧電セラミックス基板21の電極が形成されている面(主面)の表面粗さを本発明は特定している。主面は圧電セラミックス基板21の表裏両面に対向して存在し、図1において、一対の主面の一方を主面S1、他方を主面S2とする。この主面S1及び主面S2の表面粗さRaを、各々Ra1(μm)、Ra2(μm)とすると、主面S1及び主面S2の表面粗さの差は|Ra1−Ra2|で表される。また、主面S1及び主面S2の表面粗さの平均値は(Ra1+Ra2)/2で表される。これらより、|Ra1−Ra2|/(Ra1+Ra2)/2≦5%…(1)が構成される。
以上では、便宜上、主面S1及び主面S2の全面の表面粗さについて説明したが、本発明は、主面S1及び主面S2において、振動電極22と振動電極23とが対向している領域のみ(以下、電極対向面ということがある)が式(1)の条件を満足する。図1の例では、点線でハッチング施されている部分が、電極対向面に該当する
次に、圧電セラミックスについて3点曲げ試験は以下のように実施した。
まず、試験片は以下のようにして作製した。出発原料として、酸化鉛(PbO)粉末、酸化チタン(TiO2)粉末、酸化ジルコニウム(ZrO2)粉末、炭酸マンガン(MnCO3)粉末、酸化ニオブ(Nb25)粉末、酸化珪素(SiO2)粉末を準備した。この原料粉末を、モル比でPb0.99[(Mn1/3Nb2/30.10Ti0.53Zr0.37]O3となるように秤量した後、各粉末の総重量に対して副成分としてのMnCO3粉末を0.2wt%、SiO2粉末を0.07wt%添加し、各々ボールミルを用いて湿式混合を10時間行った。
得られたスラリーを十分に乾燥してプレス成形した後に、大気中、800℃で2時間保持する仮焼を行った。仮焼体が平均粒径0.7μmになるまでボールミルにより微粉砕した後、微粉砕粉末を乾燥させた。乾燥させた微粉砕粉末に、バインダとしてPVA(ポリビニルアルコール)を適量加えて造粒した。造粒粉を縦20mm×横20mmのキャビティを有する金型に約3g投入し、1軸プレス成形機を用いて245MPaの圧力で成形した。得られた成形体に対して脱バインダ処理を行った後、大気中、1150〜1250℃で2時間保持する本焼成を行って焼結体を得た。この焼結体の両面をラップ盤で厚さ0.5mmに平面加工した。その後、15mm×7.0mmに切断加工し、その両端部(7.0mm方向)に分極用の仮電極を形成した。その後、温度150℃のシリコンオイル槽中で3kV/mmの電界を20分間印加する分極処理を行った。なお、分極方向は板体に平行な方向とし、振動モードを厚みすべりモードとした。その後、仮電極を除去した。なお、仮電極除去後の試料のサイズは15mm×7mm×0.5mmである。再度ラップ盤でおよそ厚さ0.3mmまで研磨を行い、切出しにより、縦×横×厚さ=7mm×2.5mm×0.3mmの試験片を切出した。なお、ラップの条件を変えることにより、種々の表面粗さの試験片を得た。
3点曲げ試験は、上記試験片を用い以下の条件を適用し、JIS R 1601に準じて行った。
クロスヘッド速度:0.2mm/min
クロスヘッド曲率半径/支点間距離:0.1(クロスヘッド曲率半径=0.5mm、支点間距離=2mm)
測定結果を表1に示すとともに、3点曲げ強さと表面粗さの差/表面粗さ平均値(|Ra1−Ra2|/(Ra1+Ra2)/2)(%)の関係を図6に示すが、(表面粗さの差/表面粗さ平均値)が5%以下の範囲で3点曲げ強度が高くなることがわかる。特に、(表面粗さの差/表面粗さ平均値)が2%以下になると、3点曲げ強度が130MPa以上と高くなる。
図7は、表面粗さ平均値((|Ra1−Ra2|/(Ra1+Ra2)/2))と3点曲げ強度の関係を示す。表面粗さ平均値と3点曲げ強度が比例関係にあるわけではなく、図6を参酌すると、表面粗さ平均値が大きい場合であっても、表面粗さの差/表面粗さ平均値を制御することにより3点曲げ強度を向上できることがわかる。
以上の結果より、本発明は、式(1)の条件を満足する圧電セラミックス共振子2を用いることとした。ただし、主面、特に電極対向面の表面粗さがあまり大きくなることは好ましくなく、本発明においては表面粗さRaを0.2μm以下とすることが特に好ましい。
なお、表面粗さの測定には、(株)小坂研究所のSE−30Dを用いた。
Figure 0004229389
試験片から圧電セラミックス共振子2は以下の手順で作製することができる。
試験片(圧電セラミックス基板21)に真空蒸着装置を用いて図2に示すように、振動電極22、23を形成する。振動電極22、23は厚さ0.01μmのCr下地層と厚さ2μmのAgとから構成される。振動電極22、23形成後に、以上の試験片から切出しにより3.5mm×0.6mm×0.3mmの圧電セラミックス共振子2を作製した。この圧電セラミックス共振子2は導電固定子4により基板3と接着されるが、樹脂厚によって嵩上げされて振動空間が確保される。この基板3はステアタイトから構成されており、上下面に端子電極31、32が形成されている。次に、圧電セラミックス共振子2を保護するようにステアタイトからなるキャップ5を基板3と接着する。最後に、バレル研磨によって端部を粗面化した後に基板3の上下面に形成されている端子電極31、32をつなぐように基板3の側面に電極を形成する。最終的なレゾネータ1の外寸は4.5mm×2.0mm×1.1mmである。
また、レゾネータ1における支持間距離Lは、4.06λとした。なお、λは圧電セラミックス共振子2の波長であり、基本波の場合t=1/2×λ(t:厚さ)の関係が成立する。3倍波を用いる場合はt=3/2×λ(t:厚さ)である。
ここで、厚みすべりモードの場合、支持間距離Lは3λ以上であることが好ましく、3.75λ以上であることがより好ましい。これは振動電極22、23付近に閉じ込められた振動を抑圧しないために必要である。また、支持間距離Lの上限はレゾネータ1の外形(図2のL1)−0.5mmとするのが好ましく、気密性を有したキャップ5の接着幅を確保するために必要な条件である。ここで、この支持間距離Lとは、分極方向に平行な方向の距離をいう。
また、分極方向が主面に対して垂直な厚み縦モードの場合、やはり支持間距離Lを3λ以上とすることが好ましく、3.75λ以上であることがより好ましい。この場合、支持間距離Lは圧電セラミックス共振子2の長手方向の距離である。
以上の実施の形態では、図2に示す構造のレゾネータ1について説明したが、本発明の適用は図2に示すレゾネータ1に限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、図3に示す構造のレゾネータ30に適用することもできる。このレゾネータ30は、基板3と圧電セラミックス共振子2との間に容量素子6を配設してある。なお、図3において、図1と同様の部材には図1と同じ符号を付してその説明を省略する。
また、圧電セラミックス共振子2は、図1に示す形態に限定されるものでなく、図4(a)に示すようにテーパが形成された形態、図4(b)に示すように溝入れ加工が施された形態等、種々の形態の圧電セラミックス共振子2に適用することができる。なお、図4(a)、図4(b)において、主面上の太線で示されているところが電極対向面であり、この部分が|Ra1−Ra2|/(Ra1+Ra2)/2≦5%…(1)の条件を満足していればよい。
さらに、図2及び図3は圧電セラミックス共振子2を両端支持する形態のレゾネータ1、30を示しているが、本発明の適用はこの両端支持する形態に限定されない。例えば、図5に示す構造のレゾネータ50に適用することもできる。このレゾネータ50は、端子電極511及び512を備えた基板51、接着樹脂層52、空洞樹脂層53、振動電極541を備えた圧電セラミックス共振子54、空洞樹脂層55、接着樹脂層56及びカバー57を順次積層した構造を有している。レゾネータ50における支持間距離を矢印で示している。空洞樹脂層53、55は振動電極541付近に閉じ込められた振動を抑圧しないように振動空間を確保するように設けられる。この空間を維持し、気密性を確保するように接着樹脂層56を用いてカバー57と接着される。
以上説明したように、本発明は式(1)の条件を具備する圧電セラミックス共振子に特徴があるが、以下では好ましい圧電セラミックス及びその製造方法について説明する。
<圧電セラミックス>
本発明に用いる圧電セラミックスは、ペロブスカイト型構造を有するPZTを主成分として、この主成分は好ましくはMn、Nbを含有する。さらに具体的な主成分は、以下の組成式で示される。なお、ここでいう化学組成は焼結後における組成をいう。
Pbα[(Mn1/3Nb2/3xTiyZrz]O3
組成式中、0.97≦α≦1.01、
0.04≦x≦0.16、
0.48≦y≦0.58、
0.32≦z≦0.41である。
なお、組成式中、α、x、y及びzはそれぞれモル比を表す。
組成式中におけるα、x、y及びzの限定理由は以下の通りである。
Pb量を示すαは、0.97≦α≦1.01の範囲とすることが好ましい。αが0.97未満では、緻密な焼結体を得ることが困難である。一方、αが1.01を超えると良好な耐熱性を得ることができない。よって、αは、0.97≦α≦1.01の範囲とすることが好ましく、さらに0.98≦α<1.00とすることが好ましく、0.99≦α<1.00とすることがより好ましい。
Mn量及びNb量を示すxは、0.04≦x≦0.16の範囲とすることが好ましい。xが0.04未満では、Qmaxが小さくなる。一方、xが0.16を超えると、良好な耐熱性を得ることができなくなる。よって、xは、0.04≦x≦0.16の範囲とすることが好ましく、さらに0.06≦x≦0.14とすることが好ましく、0.07≦x≦0.11とすることがより好ましい。
Ti量を示すyは、0.48≦y≦0.58の範囲とする。yが0.48未満では、良好な耐熱性を得ることができない。一方、yが0.58を超えると良好な温度特性を得ることが困難になる。よって、yは、0.48≦y≦0.58の範囲とすることが好ましく、さらに0.49≦y≦0.57とすることが好ましく、0.50≦y≦0.55とすることがより好ましい。
Zr量を示すzは、0.32≦z≦0.41の範囲とする。zが0.32未満又は0.41を超えると良好な温度特性が得られなくなる。よって、zは、0.32≦z≦0.41の範囲とすることが好ましく、さらに0.33≦z≦0.40とすることが好ましく、0.34≦z≦0.39とすることがより好ましい。なお、温度特性が良好であるとは、使用環境下の温度変化に伴う圧電セラミックスの特性の変化が小さいことをいう。
本発明に適用する圧電セラミックスにおいて、副成分として、主成分に対してAl23、SiO2、MnCO3及びCr23の1種又は2種以上を含有させることができる。
Al23及びSiO2は、圧電セラミックスの機械的強度向上にとって有効である。Al23は、主成分、特にPbα[(Mn1/3Nb2/3xTiyZrz]O3に対して0.15wt%以上添加することが好ましく、0.6wt%以上添加することがより好ましい。Al23の添加量を増やしていっても、圧電セラミックスの特性を害することがないため、その上限は特に限定されないが、得られる効果が飽和すると解されることから、主成分に対する添加量を3.0wt%以下、好ましくは2.0wt%以下、さらに好ましくは1.5wt%以下とする。
また、SiO2の添加量は、主成分、特にPbα[(Mn1/3Nb2/3xTiyZrz]O3に対して0.005〜0.15wt%、より好ましいSiO2の添加量は0.01〜0.12wt%、さらに好ましいSiO2の添加量は0.01〜0.07wt%とする。
MnCO3は焼結性を向上させる上で有効である。副成分としてMnCO3を含有する場合において、好ましいMnCO3の添加量は、主組成、特にPbα[(Mn1/3Nb2/3xTiyZrz]O3に対して0.65wt%以下、より好ましいMnの添加量は0.50wt%以下である。さらに好ましいMnCO3の添加量は0.01〜0.40wt%、より一層好ましいMnの添加量は0.05〜0.3wt%である。
Cr23は良好な耐熱性を得る上で有効である。好ましいCr23の添加量は主組成、特にPbα[(Mn1/3Nb2/3xTiyZrz]O3に対して0.65wt%以下、より好ましいCr23の添加量は0.50wt%以下である。さらに好ましいCr23の添加量は0.01〜0.30wt%、より一層好ましいCr23の添加量は0.01〜0.10wt%である。
なお、以上の副成分はあくまで好ましい一例であって、他の副成分を用いることを排除するものではない。
<製造方法>
次に、本発明に用いる圧電セラミックスの好ましい製造方法について、その工程順に説明する。(原料粉末、秤量)
主成分の原料として、酸化物又は加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的にはPbO粉末、TiO2粉末、ZrO2粉末、MnCO3粉末、Nb25粉末等を用いることができる。原料粉末は最終的に得たい組成に該当するように、それぞれ秤量する。なお、上述した原料粉末に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を原料粉末としてもよい。
次に、秤量された各粉末の総重量に対して、副成分を所定量添加する。各原料粉末の平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲で適宜選択すればよい。
(仮焼)
原料粉末を湿式混合した後、700〜950℃の範囲内で所定時間保持する仮焼を行う。このときの雰囲気はN2又は大気とすればよい。仮焼の保持時間は0.5〜5時間の範囲で適宜選択すればよい。
なお、主成分の原料粉末と副成分の原料粉末を混合した後に、両者をともに仮焼に供する場合について示したが、副成分の原料粉末を添加するタイミングは上述したものに限定されるものではない。例えば、まず主成分の粉末のみを秤量、混合、仮焼及び粉砕する。そして、仮焼粉砕後に得られた主成分の粉末に、副成分の原料粉末を所定量添加し混合するようにしてもよい。
(造粒・成形)
粉砕粉末は、後の成形工程を円滑に実行するために顆粒に造粒される。この際、粉砕粉末に適当なバインダ、例えばポリビニルアルコール(PVA)を少量添加し、かつこれらを十分に混合し、その後に例えばメッシュを通過させて整粒することにより造粒粉末を得る。次いで、造粒粉末を200〜300MPaの圧力で加圧成形し、所望の形状の成形体を得る。
(焼成)
成形時に添加したバインダを除去した後、1100〜1250℃の範囲内で所定時間成形体を加熱保持し焼結体を得る。このときの雰囲気はN2又は大気とすればよい。加熱保持時間は0.5〜4時間の範囲で適宜選択すればよい。
(分極処理)
焼結体に分極処理用の電極を形成した後、分極処理を行う。分極処理は、50〜300℃の温度で、1.0〜2.0Ec(Ecは抗電界)の電界を焼結体に対して0.5〜30分間印加する。
分極処理温度が50℃未満になると、Ecが高くなるため分極電圧が高くなり、分極が困難になる。一方、分極処理温度が300℃を超えると、絶縁オイルの絶縁性が著しく低下するため分極が困難となる。よって、分極処理温度は50〜300℃とする。好ましい分極処理温度は60〜250℃、より好ましい分極処理温度は80〜200℃である。
また、印加する電界が1.0Ecを下回ると分極が進行しない。一方、印加する電界が2.0Ecを超えると実電圧が高くなって焼結体がブレークしやすくなり、圧電セラミックスの作製が困難となる。よって、分極処理の際に印加する電界は1.0〜2.0Ecとする。好ましい印加電界は1.1〜1.8Ec、より好ましい印加電界は1.2〜1.6Ecである。
分極処理時間が0.5分未満となると、分極が不十分となって十分な特性を得ることができない。一方、分極処理時間が30分を超えると分極処理に要する時間が長くなり生産効率が劣る。よって、分極処理時間は0.5〜30分とする。好ましい分極処理時間は0.7〜20分、より好ましい分極処理時間は0.9〜15分である。
分極処理は、上述した温度に加熱された絶縁オイル、例えばシリコンオイル浴中で行う。なお、分極方向は所望の振動モードに応じて決定する。つまり、厚みすべりモードの場合には、主面に平行な方向に分極を行い、厚み縦モードの場合には主面に垂直な方向に分極を行えばよい。
圧電セラミックスは、所望の厚さまで研磨された後、振動電極が形成される。次いで、ダイシングソー等で所望の形状に切断された後、圧電セラミックス共振子として機能することとなる。
圧電セラミックス共振子の構成を示す斜視図である。 レゾネータの構成を示す断面図である。 レゾネータの他の構成を示す断面図である。 圧電セラミックス共振子の他の構成を示す側面図である。 レゾネータの他の構成を示す断面図である。 3点曲げ強さと表面粗さの差/表面粗さ平均値の関係を示すグラフである。 3点曲げ強さと表面粗さ平均値の関係を示すグラフである。
符号の説明
1,30…レゾネータ、2…圧電セラミックス共振子、21…圧電セラミックス基板、22,23…振動電極、3…基板、31,32…端子電極、33…接続電極、4…導電固定子、5…キャップ、6…容量素子

Claims (4)

  1. 互いに対向する主面S1及び主面S2を有するPb α [(Mn 1/3 Nb 2/3 Ti Zr ]O …(2)で示されるペロブスカイト化合物を主成分とする圧電セラミックス基材と、
    前記主面S1の一部に形成された電極E1及び前記主面S2の一部に形成された電極E2と、を備え、
    前記主面S1の表面粗さRaをRa1、
    前記主面S2の表面粗さRaをRa2とすると、
    前記電極E1と前記電極E2とが対向している前記主面S1及び前記主面S2上の領域のみが、|Ra1−Ra2|/(Ra1+Ra2)/2≦5%…(1)の条件を満足することを特徴とする圧電セラミックス共振子。
    ただし、式(2)において0.97≦α≦1.01、0.04≦x≦0.16、0.48≦y≦0.58、0.32≦z≦0.41
  2. |Ra1−Ra2|/(Ra1+Ra2)/2≦2%であることを特徴とする請求項1に記載の圧電セラミックス共振子。
  3. 互いに対向する主面S1及び主面S2を有するPb α [(Mn 1/3 Nb 2/3 Ti Zr ]O …(2)で示されるペロブスカイト化合物を主成分とする圧電セラミックス基材と、
    前記主面S1の一部に形成された電極E1及び前記主面S2の一部に形成された電極E2とを備える圧電セラミックス共振子と、
    前記圧電セラミックス共振子を支持する基板と、を備え、
    前記主面S1の表面粗さRaをRa1、
    前記主面S2の表面粗さRaをRa2とすると、
    前記電極E1と前記電極E2とが対向している前記主面S1及び前記主面S2上の領域のみが、|Ra1−Ra2|/(Ra1+Ra2)/2≦5%…(1)の条件を満足することを特徴とするレゾネータ。
    ただし、式(2)において0.97≦α≦1.01、0.04≦x≦0.16、0.48≦y≦0.58、0.32≦z≦0.41
  4. 前記基板は端子電極を備え、
    前記圧電セラミックス共振子は、導電部材を介して、前記基板に両端支持されるとともに、振動電極と導通することを特徴とする請求項に記載のレゾネータ。
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