JP2009233817A - 加工ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】加工ユニットの角度割出しと、加工ユニットの駆動を選択的に行うことができる加工ヘッドを提供する。
【解決手段】主軸ヘッド10に位置決めクランプされる加工ヘッド本体21と、加工ヘッド本体に主軸11の軸線と直交する軸線の回りに回動可能に支持された回動軸22と、回動軸に連結された回動ヘッド体23と、回動軸に回転可能に支持された伝達ギヤ35と、加工ヘッド本体に回転可能かつ主軸の軸線方向に移動可能に支持された伝達工具31と、主軸に内装され伝達工具を主軸の軸線方向に移動させる軸方向作動部材18と、回動ヘッド体に支持され、伝達ギヤによって駆動される加工ユニット45、50と、主軸の回転を回動軸もしくは伝達ギヤに選択的に伝達するクラッチ機能を有するギヤ機構44とを備えた。
【選択図】図1
【解決手段】主軸ヘッド10に位置決めクランプされる加工ヘッド本体21と、加工ヘッド本体に主軸11の軸線と直交する軸線の回りに回動可能に支持された回動軸22と、回動軸に連結された回動ヘッド体23と、回動軸に回転可能に支持された伝達ギヤ35と、加工ヘッド本体に回転可能かつ主軸の軸線方向に移動可能に支持された伝達工具31と、主軸に内装され伝達工具を主軸の軸線方向に移動させる軸方向作動部材18と、回動ヘッド体に支持され、伝達ギヤによって駆動される加工ユニット45、50と、主軸の回転を回動軸もしくは伝達ギヤに選択的に伝達するクラッチ機能を有するギヤ機構44とを備えた。
【選択図】図1
Description
本発明は、主軸の回転を利用して、加工ユニットの角度割出しと、加工ユニットの駆動を選択的に行うことができる加工ヘッドに関するものである。
大径ベアリングの外輪もしくは内輪は、ボール等が転動する軌道面を有し、この軌道面には、大径ベアリングの軸線に対して所定角度傾斜した円周上複数の潤滑穴が開口されている。このような大径ベアリングの軌道面の旋削およびその軌道面への潤滑穴の穴明けを行う場合には、一般に、主軸を支持した主軸ヘッドを傾倒可能に設け、主軸ヘッドに対して3次元方向に相対移動可能なスライドテーブル上に、工作物(大径ベアリング)を取付ける回転テーブルを回転可能に設けたマシニングセンタが用いられる。このようなマシニングセンタ(工作機械)として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
この種のマシニングセンタを用いて、大径ベアリングの軌道面および潤滑穴を加工する場合には、マシニングセンタの回転テーブル上に大径ベアリングを取付け、回転テーブルを回転させた状態で、主軸に装着したバイト等の工具をベアリングの軌道面に沿って移動させることにより、軌道面を旋削加工できる。しかる後、工具交換を行って主軸にドリル等の工具を装着するとともに、主軸ヘッドを所定角度傾斜させ、その状態で主軸ヘッドを2軸同時制御によって傾斜角度に沿って移動させることにより、軌道面に潤滑穴を加工できる。そして、回転テーブルを所定角度ずつ回転割出しすることにより、軌道面に円周上複数の潤滑穴を加工することができる。
特開2001−287102号公報
従来においては、軌道面の旋削加工と潤滑穴の穴明け加工が終了すると、大径ベアリングはマシニングセンタの回転テーブル上より取外されて、熱処理工程に送られ、軌道面に焼入れ処理が施される。その後、大径ベアリングは、といしを備えた別のマシニングセンタによって、軌道面の仕上げ加工(研磨)が行われるようになっている。
このため、従来においては、大径ベアリングの軌道面の旋削加工および軌道面への穴明け加工と、軌道面の研磨を別々のマシニングセンタで行う必要があり、設備コストの上昇を招くとともに、設備の占有面積が増大する問題があった。このために、ベアリングの軌道面の旋削加工と、軌道面への潤滑穴加工と、軌道面の研磨加工が可能な工程集約型のマシニングセンタの出現が望まれていた。
本発明は上記した要望に鑑みてなされたもので、加工ユニットの角度割出しと、加工ユニットの駆動を選択的に行うことができる加工ヘッドを提供することを目的とするものである。
上記した課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、主軸を回転可能に軸承した主軸ヘッドに着脱可能に装着される加工ヘッドであって、該加工ヘッドは、前記主軸ヘッドに位置決めクランプされる加工ヘッド本体と、該加工ヘッド本体に前記主軸の軸線と直交する軸線の回りに回動可能に支持された回動軸と、該回動軸に連結された回動ヘッド体と、前記回動軸に回転可能に支持された伝達ギヤと、前記加工ヘッド本体に回転可能かつ前記主軸の軸線方向に移動可能に支持された伝達工具と、前記主軸に内装され前記伝達工具を前記主軸の軸線方向に移動させる軸方向作動部材と、前記回動ヘッド体に支持され、前記伝達ギヤによって駆動される加工ユニットと、前記主軸の回転を前記回動軸もしくは前記伝達ギヤに選択的に伝達するクラッチ機能を有するギヤ機構とを備え、前記伝達工具の前進時あるいは後退時には、前記主軸の回転を前記伝達工具を介して前記回動軸に伝達し、前記伝達工具の後退時あるいは前進時には、前記主軸の回転を前記伝達工具を介して前記伝達ギヤに伝達するように構成したことである。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記加工ユニットは、前記回動ヘッド体に前記回動軸の回動軸線と直交する軸線の回りに回転可能に支持された工具を備えた穴加工ユニットからなっていることである。
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記加工ユニットは、前記回動ヘッド体に前記回動軸の回動軸線と直交する方向にオシレーション可能なオシレーション体を備えた研磨ユニットからなっていることである。
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1ないし請求項3の何れか1項において、前記軸方向作動部材は、ノックアウトピンを備え、前記主軸ヘッドの前記把持爪の開きに伴う前記ノックアウトピンの前進動作により前記伝達工具を押し出し、前記把持爪の閉じに伴う前記ノックアウトピンの後退動作により前記伝達工具を引っ張るようになっていることである。
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1ないし請求項4の何れか1項において、前記クラッチ機能を有するギヤ機構は、前記伝達工具と一体的に設けられ、前記伝達工具の前進あるいは後退によって前記伝達ギヤに噛合され、あるいは前記伝達ギヤより離脱される入力ギヤと、前記伝達工具と一体的に設けられた第1クラッチギヤと、前記回動軸上に設けられたウォームホイールと、該ウォームホイールに噛合するウォームギヤと、該ウォームギヤと一体的に設けられ、前記伝達工具の前進あるいは後退により前記第1クラッチギヤに噛合および離脱される第2クラッチギヤとによって構成されたことである。
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項3において、前記研磨ユニットの前記オシレーション体に、前記伝達ギヤに形成されたカム溝に係合するフォロアローラが支持されていることである。
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、主軸の回転を利用して、加工ユニットの角度割出しと、加工ユニットの駆動を選択的に行うことができる。従って、例えば、ベアリングの軌道面を旋削する標準のマシニングセンタの主軸ヘッドに、穴加工用の加工ヘッドおよび研磨用の加工ヘッドを装着することにより、ベアリングの軌道面に潤滑穴を穴明け加工したり、ベアリングの軌道面を研磨することが可能となり、設備コストを低減することができる。
請求項2に係る発明によれば、加工ユニットが、回動ヘッド体に回動軸の回動軸線と直交する軸線の回りに回転可能に支持された工具を備えた穴加工ユニットからなっているので、穴加工ユニットによって、例えば、ベアリングの軌道面に傾斜した潤滑穴を容易に加工することができる。
請求項3に係る発明によれば、加工ユニットが、回動ヘッド体に回動軸の回動軸線と直交する方向にオシレーション可能なオシレーション体を備えた研磨ユニットからなっているので、研磨ユニットによって、例えば、ベアリングの軌道面を高精度に研磨することができる。
請求項4に係る発明によれば、軸方向作動部材は、ノックアウトピンを備え、把持爪の開きに伴うノックアウトピンの前進動作により伝達工具を押し出し、把持爪の閉じに伴うノックアウトピンの後退動作により伝達工具を引っ張るようになっているので、把持爪の開閉に伴うノックアウトピンの進退動作によって、ギヤ機構の係脱を行うことができる。
請求項5に係る発明によれば、クラッチ機能を有するギヤ機構は、伝達工具と一体的に設けられ入力ギヤと、伝達工具と一体的に設けられた第1クラッチギヤと、回動軸上に設けられたウォームホイールと、ウォームホイールに噛合するウォームギヤと、ウォームギヤと一体的に設けられ第2クラッチギヤとによって構成されているので、ウォーム・ウォームホイール機構の非可逆性によって、回動ヘッド体の傾斜角度を的確に保持することができる。
請求項6に係る発明によれば、研磨ユニットのオシレーション体に、伝達ギヤに形成されたカム溝に係合するフォロアローラが支持されているので、主軸の回転を利用して、オシレーション体にオシレーション運動を容易に付与することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図7において、10はマシニングセンタの主軸ヘッドを示し、主軸ヘッド10には、主軸11が鉛直軸線の回りに回転可能に軸承され、この主軸11に工具が着脱可能に装着されるようになっている。12は主軸ヘッド10に対して3次元方向に相対移動可能なスライドテーブルを示し、スライドテーブル12上には、回転テーブル13が主軸11の軸線と平行な軸線の回りに連続回転可能、かつ回転割出し可能に支持されている。回転テーブル13上には、工作物としての大径のベアリング(内輪もしくは外輪)Wが着脱可能に取付けられる。ベアリングWは、その中心を回転テーブル13と回転軸線を一致するように取付けられ、主軸11に位置決めおよび固定されたバイト等の工具Tによって軌道面W1を旋削加工されるとともに、後述する加工ヘッドによって、軌道面W1に潤滑穴W2が穴加工されるとともに、軌道面W1が研磨されるようになっている。
主軸ヘッド10の主軸11には、図1に示すように、BTシャンクからなる標準工具のテーパシャンクに嵌合するテーパ穴15が形成されている。なお、図1は、主軸11の軸線を横にして表示している。主軸11内には、標準工具のプルスタッドを把持する把持爪16およびノックアウトピン61が設けられ、把持爪16は図略のドローバーの先端に保持されている。ドローバーは周知のように、皿ばねからなるクランプ用ばねによって後方に付勢され、このクランプ用ばねの付勢力によって、把持爪16にプルスタッドを把持された工具のテーパシャンクを、主軸11のテーパ穴15にクランプするようになっている。この際、ノックアウトピン61はスプリング62のたわみにより、所定量沈み込んでいる。また、ドローバーは、油圧シリンダ等のアクチュエータによりクランプ用ばねの付勢力に抗して所定量前進し、プルスタッド31cをアンクランプする。同時にノックアウトピン61はスプリング62により、主軸11に装着される工具および後述する伝達工具を所定量前進させるように動作する。主軸11の先端には、標準工具のキー溝に係合するドライブキー17が取付けられている。上記した把持爪16およびノックアウトピン61等によって、工具(伝達工具)を軸方向に進退作動する軸方向作動部材18を構成している。
主軸ヘッド10の先端には、潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aおよび研磨用の加工ヘッド20B(図4参照)がそれぞれ着脱可能に装着されるようになっている。潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aは、主軸ヘッド10の先端に固定される加工ヘッド本体21と、この加工ヘッド本体21に回動軸22を介して主軸11の軸線と直交する軸線の回りに回動可能に支持された回動ヘッド体23を有している。回動軸22は、両端部を軸受24によって加工ヘッド本体21に回動可能に支持され、回動軸22の両端部に回動ヘッド体23の脚部23aが一体的に連結されている。
主軸ヘッド10の先端面には円錐面10aが形成され、この円錐面10aに回り止めキー25が取付けられている。一方、主軸ヘッド10の先端面に固定される加工ヘッド本体21の底面には、主軸ヘッド10の円錐面10aに合致する円錐面21aが形成され、この円錐面21aに主軸ヘッド10の回り止めキー25に係合するキー溝21bが形成されている。
また、加工ヘッド本体21には、加工ヘッドクランパ27によって主軸ヘッド10の先端面に押圧される押圧部21cが設けられている。加工ヘッドクランパ27は、主軸ヘッド10に主軸11の軸線方向に移動可能かつ回転可能な軸部27aと、この軸部27aの先端に設けられたクランプ爪27bからなり、図3に示すように、主軸11の円周上に3個所配設されている。クランプ爪27bは、主軸ヘッド10内に設けられた図略の駆動手段により、加工ヘッド本体21の押圧部21cから離隔したアンクランプ位置(図3の2点鎖線)と、押圧部21cを押圧するクランプ位置(図3の実線)との間で回動され、クランプ爪27bがクランプ位置に位置する状態で、軸部27aを主軸軸線方向に移動させることにより、加工ヘッド本体21が主軸ヘッド10に位置決めクランプされるようになっている。
この際、加工ヘッド本体21のキー溝21bが主軸ヘッド10の回り止めキー25に係合されるとともに、加工ヘッド本体21の円錐面21aが主軸ヘッド10の円錐面10aに合致係合されることにより、加工ヘッド本体21は、主軸ヘッド10に対し主軸11の軸線上に芯出しされるとともに、回り止めされる。
加工ヘッド本体21には、支持部材30が取付けられ、この支持部材30に伝達工具31の先端軸部31aが、軸受32によって主軸11の回転軸線上に回転可能に、かつ回転軸線方向に移動可能に支持されている。伝達工具31は、軸方向の中央部と後部に、標準工具と同形状のフランジ部31bとプルスタッド31cを備え、加工ヘッド20Aが主軸ヘッド10に装着されることにより、フランジ部31bに形成したキー溝が主軸11のドライブキー17に係合されるとともに、プルスタッド31cが把持爪16に把持可能となる。把持爪16はプルスタッド31cを把持した状態で、主軸11の軸線方向に所定量前進後退されるようになっており、これにより、把持爪16の開閉動作が行われる。そして、把持爪16の開き動作に伴うノックアウトピン61の前進動作により伝達工具31を押し出し、把持爪16の閉じ動作に伴うノックアウトピン61の後退動作により伝達工具31を引っ張るようになっている。この結果、伝達工具31が支持部材30に対して主軸軸線方向に所定量前進後退される。
伝達工具31の先端軸部31a上には、ベベル状の入力ギヤ33と、第1クラッチギヤ34がそれぞれ一体的に取付けられている。入力ギヤ33に離脱可能に噛合するベベル状の伝達ギヤ35が、上記した回動軸22上に軸受36によって回転可能に支持されている。また、回動軸22上には、ウォームホイール37が一体的に設けられている。ウォームホイール37には、図2に示すように、ウォームギヤ38が噛合され、ウォームギヤ38は、加工ヘッド本体21にウォームホイール37の回転軸線と直角な軸線の回りに回転可能に支持されている。ウォームギヤ38には、第1クラッチギヤ34に離脱可能に噛合う第2クラッチギヤ39が、同一軸線上に一体的に設けられている。
これにより、伝達工具31の主軸軸線方向の前進動作(押し出し動作)によって、入力ギヤ33が伝達ギヤ35より離脱されて噛合いが解除されるとともに、第1クラッチギヤ34が第2クラッチギヤ39に噛合される。逆に、伝達工具31の主軸軸線方向の後退動作(引っ張り動作)によって、入力ギヤ33が伝達ギヤ35に噛合されるとともに、第1クラッチギヤ34が第2クラッチギヤ39より離脱されて噛合いが解除される。なお、主軸11のオリエンテーション機能によって、入力ギヤ33と伝達ギヤ35との噛合い、および第1クラッチギヤ34と第2クラッチギヤ39との噛合いはスムーズに行われる。
加工ヘッド20Aの回動ヘッド体23側には、ドリル等の工具40を取付けた工具軸41が軸受42によって、回動軸22の軸線と直交する軸線の回りに回転可能に支持されている。工具軸41上には、伝達ギヤ35に常時噛合するベベル状の出力ギヤ43が一体的に設けられている。
これにより、第1クラッチギヤ34と第2クラッチギヤ39との噛合いが解除された状態で、主軸11が回転されると、主軸11の回転は、伝達工具31、入力ギヤ33、伝達ギヤ35および出力ギヤ43を介して工具軸41に伝達され、工具40による加工が可能となる。また、入力ギヤ33と伝達ギヤ35との噛合いが解除され、かつ第1クラッチギヤ34と第2クラッチギヤ39が噛合された状態で、主軸11が回転されると、主軸11の回転は、伝達工具31、第1クラッチギヤ34、第2クラッチギヤ39、ウォームギヤ38およびウォームホイール37を介して回動軸22に伝達され、回動軸22と一体的に回動ヘッド体23が回動される。この際、回動ヘッド体23の回動角は、主軸11の回転角を制御することによって任意に設定できる。
上記した伝達ギヤ35に離脱可能に噛合する入力ギヤ33と、伝達工具31と一体的に設けられた第1クラッチギヤ34と、回動軸22上に設けられたウォームホイール37と、ウォームホイール37に噛合するウォームギヤ38と、ウォームギヤ38と一体的に設けられた第2クラッチギヤ39とによって、主軸11の回転を、回動軸22もしくは伝達ギヤ35に選択的に伝達するクラッチ機能を有するギヤ機構44を構成している。
また、上記した回動ヘッド体23に回転可能に支持された工具軸41およびこれに取付けられた工具40によって、ベアリングWの軌道面W1に潤滑穴W2を穴明け加工する穴加工ユニット45を構成している。
図4は、研磨用の加工ヘッド20Bを示すもので、潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aと異なるところは、回動ヘッド体23に、穴加工ユニット45を設ける代わりに、ベアリングWの軌道面W1を研磨加工する研磨ユニット50を設けたもので、それ以外は、上記した潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aと基本的に同じ構成である。従って、以下、潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aと異なる点を説明し、同一部品については同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図4、図5および図6において、研磨用の加工ヘッド20Bの回動ヘッド体23には、主軸11の軸線と平行な方向に沿ってガイドレール51が設置され、このガイドレール51にオシレーション体52が主軸軸線と平行な方向に摺動可能に案内支持されている。オシレーション体52には、フォロアローラ53が回動軸22と平行な軸線の回りに回転可能に支持され、フォロアローラ53は伝達ギヤ35の側面に形成されたカム溝35aに係合されている。カム溝35aは波形形状をなし(図5参照)、伝達ギヤ35の側面に全周に亘って形成されている。これにより、伝達ギヤ35が回転されると、カム溝35aに係合するフォロアローラ53によって、オシレーション体52はガイドレール51に沿って周期的に往復動(オシレーション)される。
オシレーション体52には、回動軸22と平行な方向に所定量離間して駆動ロール55と従動ロール56が、回動軸22の軸線と直交する軸線の回りに回転可能に支持されている。駆動ロール55と従動ロール56の間には、研磨ロール57が駆動ロール55と平行な軸線の回りに回転可能に支持され、研磨ロール57の外周一部は、回動ヘッド体23の先端部に形成された開口58(図6参照)より外部に突出されている。
駆動ロール55と従動ロール56と研磨ロール57との間には、軌道面W1を研磨加工するスーパーフィニッシュフィルムからなる研磨フィルム59が掛け渡されている。駆動ロール55は、オシレーション体52に設置された駆動モータ60に連結され、駆動モータ60の駆動によって駆動ロール55が回転されると、従動ロール56より研磨フィルム59が送り出され、研磨ロール57が回転される。研磨ロール57の回転によって研磨フィルム59が軌道面W1に押付けられながら、軌道面W1に沿って移動されることにより、軌道面W1が研磨加工される。
上記した駆動ロール55、従動ロール56、研磨ロール57、研磨フィルム59および駆動モータ60によって、オシレーション体52に支持された研磨ユニット50を構成している。
なお、潤滑穴加工用および研磨用の加工ヘッド20A、20Bは、主軸ヘッド10に対して相対移動可能な、例えばスライドテーブル12あるいは固定部に円錐面21aを上向きにして保持され、主軸ヘッド10とスライドテーブル12あるいは固定部との相対移動を利用して、加工ヘッド20A、20Bが主軸ヘッド10に装着されるようになっている。
次に、上記した本実施の形態における動作について説明する。回転テーブル13上には、大径ベアリングWが、軌道面W1を上向きにして、回転テーブル13と同心的に取付けられる。一方、主軸11のテーパ穴15には、バイト等を取付けた工具Tが装着され、回転テーブル13の回転と、主軸ヘッド10とスライドテーブル12との3次元方向の相対移動によって、工具Tが図7の矢印方向に移動され、大径ベアリングWの軌道面W1が旋削加工される。
バイト等の工具Tによる軌道面W1の旋削加工が終了すると、図略の自動工具交換装置によって、主軸11のテーパ穴15より工具が取り除かれ、潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aが主軸ヘッド10の先端面に装着される。潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aは、例えば、スライドテーブル12上に定められた姿勢で保管され、主軸ヘッド10とスライドテーブル12との3次元方向の相対移動によって、加工ヘッド20A(加工ヘッド本体21)の円錐面21aが、主軸ヘッド10の円錐面10aに対向され、かつ加工ヘッド本体21のキー溝21bが主軸ヘッド10の回り止めキー25に係合する位置に位置決めされる。その状態で、加工ヘッドクランパ27がクランプ作動されることにより、加工ヘッドクランパ27のクランプ爪27bによって加工ヘッド本体21の押圧部21cが主軸ヘッド10に向けて押圧され、加工ヘッド20Aが主軸ヘッド10に位置決めクランプされる。
同時に、潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aの主軸ヘッド10への装着により、加工ヘッド20Aに保持された伝達工具31のフランジ部31bが主軸11のドライブキー17に係合されるとともに、伝達工具31のプルスタッド31cが主軸11内の把持爪16に把持される。
このようにして、潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aが主軸ヘッド10に装着されると、プルスタッド31cを把持した把持爪16が主軸軸線方向に所定量前進され、アンクランプ動作されることにより、ノックアウトピン61が前進され、これにより、伝達工具31が把持爪16と一体的に前進される。かかる伝達工具31の前進により、図1および図2に示すように、入力ギヤ33が伝達ギヤ35より離脱されて噛合いが解除されるとともに、第1クラッチギヤ34が第2クラッチギヤ39に噛合される。その状態で、主軸11が回転され、主軸11の回転は、伝達工具31、第1クラッチギヤ34、第2クラッチギヤ39、ウォームギヤ38およびウォームホイール37を介して回動軸22に伝達され、回動軸22と一体的に回動ヘッド体23が所定角度回動される(図2の2点鎖線参照)。これによって、回動ヘッド体23に保持された工具軸41が、主軸11の軸線に対して所定角度傾斜した角度位置に位置決めされる。
すなわち、工具軸41は、主軸11の回転角を制御することによって、大径ベアリングWの軌道面W1に穿設すべき潤滑穴W2の傾斜角に一致する角度に位置決めされる。この際、回動ヘッド体23は、ウォームギヤ38とウォームホイール37との非可逆性により、工具軸41に多少の外力(切削抵抗)が作用されても、角度位置を的確に保持できる。
しかる後、プルスタッド31cを把持した把持爪16が主軸軸線方向に所定量後退され、伝達工具31が把持爪16と一体的に後退される。かかる伝達工具31の後退により、入力ギヤ33が伝達ギヤ35に噛合されるとともに、第1クラッチギヤ34が第2クラッチギヤ39より離脱されて噛合いが解除される。その状態で、主軸11が所定回転数で回転され、主軸11の回転は、伝達工具31、入力ギヤ33、伝達ギヤ35および出力ギヤ43を介して、主軸軸線に対して所定角度傾斜された工具軸41に伝達され、工具軸41とともにドリル等の工具40が連続回転される。
しかる状態で、主軸ヘッド10とスライドテーブル12との2軸同時制御によって、工具軸41が傾斜された軸線に沿って、大径ベアリングWの軌道面W1に向かって前進され、工具40によって軌道面W1に潤滑穴W2を穴明け加工する。1つ目の潤滑穴W2が加工されると、回転テーブル13が所定角度インデックスされ、同様にして工具40によって軌道面W1に潤滑穴W2を加工する。このようにして、軌道面W1に円周上複数の潤滑穴W2が加工される。
潤滑穴加工が終了すると、主軸11がオリエンテーション機構によって一定の角度位置に停止される。その後、プルスタッド31cを把持した把持爪16が主軸軸線方向に所定量前進され、再び第1クラッチギヤ34が第2クラッチギヤ39に噛合され、その状態で、主軸11が前記と逆方向に所定の回転角だけ回転されることにより、ウォームギヤ38およびウォームホイール37を介して回動ヘッド体23が原位置に復帰される。その後、潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aが主軸ヘッド10より取外され、元の位置に戻される。
一方、潤滑穴W2の加工が終えたベアリングWは、一旦回転テーブル13より取外され、熱処理工程に移送される。そして、熱処理工程を経たベアリングWの軌道面W1を研磨加工する場合には、大径ベアリングWを、再び回転テーブル13上に旋削加工時と同様な姿勢で取付ける一方、主軸ヘッド10に、研磨用の加工ヘッド20Bを、上記した潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aと同様にして装着する。
研磨用の加工ヘッド20Bが主軸ヘッド10に装着されると、プルスタッド31cを把持した把持爪16が主軸軸線方向に所定量前進され、伝達工具31が把持爪16と一体的に前進される。かかる伝達工具31の前進により、入力ギヤ33が伝達ギヤ35より離脱されて噛合いが解除されるとともに、第1クラッチギヤ34が第2クラッチギヤ39に噛合される。その状態で、主軸11が回転され、主軸11の回転は、伝達工具31、第1クラッチギヤ34、第2クラッチギヤ39、ウォームギヤ38およびウォームホイール37を介して回動軸22に伝達され、回動軸22と一体的に回動ヘッド体23が回動される。
これによって、回動ヘッド体23に保持されたオシレーション体52が主軸11の軸線に対して傾斜され、研磨フィルム59を巻いた研磨ロール57が研磨すべき軌道面W1に向けられる。しかる後、プルスタッド31cを把持した把持爪16が主軸軸線方向に所定量後退され、伝達工具31が把持爪16と一体的に後退される。かかる伝達工具31の後退により、入力ギヤ33が伝達ギヤ35に噛合されるとともに、第1クラッチギヤ34が第2クラッチギヤ39より離脱されて噛合いが解除される。その状態で、主軸11が回転されると、伝達工具31および入力ギヤ33を介して伝達ギヤ35が回転され、伝達ギヤ35のカム溝54に係合するフォロアローラ53によって、オシレーション体52がガイドレール51に沿ってオシレーションされる。
しかる状態で、駆動モータ60が駆動されて、研磨フィルム59が駆動ロール55に巻取られるとともに、主軸ヘッド10とスライドテーブル12との2軸同時制御によって、研磨フィルム59を巻いた研磨ロール57が軌道面W1に沿って移動され、研磨フィルム59によって軌道面W1を研磨加工する。
上記した実施の形態によれば、主軸11の回転を利用して、穴加工ユニット45あるいは研磨ユニット50を支持した回動ヘッド体23の角度割出しと、穴加工用工具40を取付けた工具軸41の回転駆動あるいは研磨フィルム59を支持したオシレーション体52のオシレーション駆動を選択的に行うことができる。従って、ベアリングWの軌道面W1の旋削加工は勿論のこと、主軸ヘッド10に潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aおよび研磨用の加工ヘッド20Bを順次装着することにより、主軸軸線に対して傾斜した潤滑穴W2を軌道面W1に穴明け加工したり、軌道面W1の研磨加工を容易に行うことができる。これによって、工程集約型のマシニングセンタを具現化することができ、大径ベアリング加工機としての設備コストを低減できるとともに、大径ベアリング加工の設置スペースを削減することが可能となる。
上記した実施の形態においては、同一のマシニングセンタの主軸ヘッド10に、潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aと研磨用の加工ヘッド20Bを順次装着して、軌道面W1に潤滑穴W2を加工するとともに、熱処理後の軌道面W1を研磨加工する例について述べたが、潤滑穴W2の加工と、軌道面W1の研磨加工を、別々のマシニングセンタで行うこともできるため、本発明は、必ずしも潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aと研磨用の加工ヘッド20Bを1台のマシニングセンタに装着するものに限定されるものではない。
上記した実施の形態においては、ロール55、56,57に掛け渡された研磨フィルム59からなる研磨ユニット50によって、軌道面W1を研磨加工する例について述べたが、研磨ユニット50の構成は実施の形態のものに限定されるものではなく、例えば、潤滑穴加工用の加工ヘッド20Aに設けられたドリル等の工具40に代えて、工具軸41に軌道面W1を仕上げ加工する研削砥石を取付け、研磨ユニット50とすることもできる。
また、上記した実施の形態においては、大径ベアリングWの軌道面W1および潤滑穴W2を加工する例について述べたが、回動ヘッド体23に支持された穴加工ユニット45あるいは研磨ユニット50の角度割出しと、これら穴加工ユニット45あるいは研磨ユニット50に支持された工具を回転駆動あるいはオシレーション駆動する必要がある他の工作物の加工にも適用できるものである。
なお、上記した実施の形態においては、伝達工具31の軸線方向前進動作によって、第1クラッチギヤ34を第2クラッチギヤ39に噛合させ、主軸11の回転を回動軸22に伝達できるようにし、伝達工具31の軸線方向後退動作によって、入力ギヤ33を伝達ギヤ35に噛合させ、主軸11の回転を伝達ギヤ35に伝達できるようにしたが、伝達工具31の軸線方向前進動作によって、入力ギヤ33を伝達ギヤ35に噛合させ、伝達工具31の軸線方向後退動作によって、第1クラッチギヤ34を第2クラッチギヤ39に噛合させるようにしてもよい。
斯様に、上記した実施の形態で述べた具体的構成は、本発明の一例を示したものにすぎず、本発明はそのような具体的構成に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の態様を採り得るものである。
10…主軸ヘッド、11…主軸、13…回転テーブル、15…テーパ穴、18…軸方向作動部材、20A、20B…加工ヘッド、21…加工ヘッド本体、22…回動軸、23…回動ヘッド体、31…伝達工具、33…入力ギヤ、34…第1クラッチギヤ、35…伝達ギヤ、37…ウォームホイール、38…ウォームギヤ、39…第2クラッチギヤ、43…出力ギヤ、44…ギヤ機構、45…穴加工ユニット、50…研磨ユニット、52…オシレーション体、53…フォロアローラ、54…カム溝、61…ノックアウトピン、W…工作物、W1…軌道面、W2…潤滑穴。
Claims (6)
- 主軸を回転可能に軸承した主軸ヘッドに着脱可能に装着される加工ヘッドであって、
該加工ヘッドは、
前記主軸ヘッドに位置決めクランプされる加工ヘッド本体と、該加工ヘッド本体に前記主軸の軸線と直交する軸線の回りに回動可能に支持された回動軸と、該回動軸に連結された回動ヘッド体と、前記回動軸に回転可能に支持された伝達ギヤと、前記加工ヘッド本体に回転可能かつ前記主軸の軸線方向に移動可能に支持された伝達工具と、前記主軸に内装され前記伝達工具を前記主軸の軸線方向に移動させる軸方向作動部材と、前記回動ヘッド体に支持され、前記伝達ギヤによって駆動される加工ユニットと、前記主軸の回転を前記回動軸もしくは前記伝達ギヤに選択的に伝達するクラッチ機能を有するギヤ機構とを備え、
前記伝達工具の前進時あるいは後退時には、前記主軸の回転を前記伝達工具を介して前記回動軸に伝達し、前記伝達工具の後退時あるいは前進時には、前記主軸の回転を前記伝達工具を介して前記伝達ギヤに伝達するように構成したことを特徴とする加工ヘッド。 - 請求項1において、前記加工ユニットは、前記回動ヘッド体に前記回動軸の回動軸線と直交する軸線の回りに回転可能に支持された工具を備えた穴加工ユニットからなっていることを特徴とする加工ヘッド。
- 請求項1において、前記加工ユニットは、前記回動ヘッド体に前記回動軸の回動軸線と直交する方向にオシレーション可能なオシレーション体を備えた研磨ユニットからなっていることを特徴とする加工ヘッド。
- 請求項1ないし請求項3の何れか1項において、前記軸方向作動部材は、ノックアウトピンを備え、前記主軸ヘッドの前記把持爪の開きに伴う前記ノックアウトピンの前進動作により前記伝達工具を押し出し、前記把持爪の閉じに伴う前記ノックアウトピンの後退動作により前記伝達工具を引っ張るようになっていることを特徴とする加工ヘッド。
- 請求項1ないし請求項4の何れか1項において、前記クラッチ機能を有するギヤ機構は、前記伝達工具と一体的に設けられ、前記伝達工具の前進あるいは後退によって前記伝達ギヤに噛合され、あるいは前記伝達ギヤより離脱される入力ギヤと、前記伝達工具と一体的に設けられた第1クラッチギヤと、前記回動軸上に設けられたウォームホイールと、該ウォームホイールに噛合するウォームギヤと、該ウォームギヤと一体的に設けられ、前記伝達工具の前進あるいは後退により前記第1クラッチギヤに噛合および離脱される第2クラッチギヤとによって構成されたことを特徴とする加工ヘッド。
- 請求項3において、前記研磨ユニットの前記オシレーション体に、前記伝達ギヤに形成されたカム溝に係合するフォロアローラが支持されていることを特徴とする加工ヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008085106A JP2009233817A (ja) | 2008-03-28 | 2008-03-28 | 加工ヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008085106A JP2009233817A (ja) | 2008-03-28 | 2008-03-28 | 加工ヘッド |
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JP2009233817A true JP2009233817A (ja) | 2009-10-15 |
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Family Applications (1)
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JP2008085106A Withdrawn JP2009233817A (ja) | 2008-03-28 | 2008-03-28 | 加工ヘッド |
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JP (1) | JP2009233817A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011218482A (ja) * | 2010-04-08 | 2011-11-04 | Ts Precision Co Ltd | 超仕上げユニット |
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2008
- 2008-03-28 JP JP2008085106A patent/JP2009233817A/ja not_active Withdrawn
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JP2011218482A (ja) * | 2010-04-08 | 2011-11-04 | Ts Precision Co Ltd | 超仕上げユニット |
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