JP2009232498A - モータ制御装置 - Google Patents
モータ制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009232498A JP2009232498A JP2008071444A JP2008071444A JP2009232498A JP 2009232498 A JP2009232498 A JP 2009232498A JP 2008071444 A JP2008071444 A JP 2008071444A JP 2008071444 A JP2008071444 A JP 2008071444A JP 2009232498 A JP2009232498 A JP 2009232498A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- motor
- command value
- rotation speed
- axis
- current command
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 230000005284 excitation Effects 0.000 claims abstract description 36
- 230000001360 synchronised effect Effects 0.000 claims abstract description 10
- 230000007423 decrease Effects 0.000 claims description 19
- 230000004907 flux Effects 0.000 abstract description 19
- 230000001133 acceleration Effects 0.000 abstract 1
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 18
- 238000000034 method Methods 0.000 description 18
- 238000004804 winding Methods 0.000 description 16
- 230000001965 increasing effect Effects 0.000 description 10
- 230000003247 decreasing effect Effects 0.000 description 6
- 238000007796 conventional method Methods 0.000 description 5
- 230000002265 prevention Effects 0.000 description 5
- 230000008569 process Effects 0.000 description 5
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 4
- 230000003313 weakening effect Effects 0.000 description 4
- 238000004891 communication Methods 0.000 description 3
- 238000004458 analytical method Methods 0.000 description 2
- 238000004364 calculation method Methods 0.000 description 2
- 238000001514 detection method Methods 0.000 description 2
- 239000013585 weight reducing agent Substances 0.000 description 2
- 230000008859 change Effects 0.000 description 1
- 238000006243 chemical reaction Methods 0.000 description 1
- 239000000470 constituent Substances 0.000 description 1
- 238000012937 correction Methods 0.000 description 1
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 1
- 230000005669 field effect Effects 0.000 description 1
- 230000001939 inductive effect Effects 0.000 description 1
- 239000004973 liquid crystal related substance Substances 0.000 description 1
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 description 1
- 238000012986 modification Methods 0.000 description 1
- 230000004048 modification Effects 0.000 description 1
- 230000007935 neutral effect Effects 0.000 description 1
- 230000009467 reduction Effects 0.000 description 1
- 239000003507 refrigerant Substances 0.000 description 1
- 230000004044 response Effects 0.000 description 1
- 230000009466 transformation Effects 0.000 description 1
- 230000000007 visual effect Effects 0.000 description 1
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H02—GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
- H02P—CONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
- H02P21/00—Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation
- H02P21/0085—Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation specially adapted for high speeds, e.g. above nominal speed
- H02P21/0089—Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation specially adapted for high speeds, e.g. above nominal speed using field weakening
-
- H—ELECTRICITY
- H02—GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
- H02P—CONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
- H02P21/00—Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation
- H02P21/14—Estimation or adaptation of machine parameters, e.g. flux, current or voltage
- H02P21/18—Estimation of position or speed
-
- H—ELECTRICITY
- H02—GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
- H02P—CONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
- H02P21/00—Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation
- H02P21/24—Vector control not involving the use of rotor position or rotor speed sensors
- H02P21/26—Rotor flux based control
-
- H—ELECTRICITY
- H02—GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
- H02P—CONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
- H02P29/00—Arrangements for regulating or controlling electric motors, appropriate for both AC and DC motors
- H02P29/02—Providing protection against overload without automatic interruption of supply
- H02P29/024—Detecting a fault condition, e.g. short circuit, locked rotor, open circuit or loss of load
- H02P29/026—Detecting a fault condition, e.g. short circuit, locked rotor, open circuit or loss of load the fault being a power fluctuation
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Power Engineering (AREA)
- Control Of Ac Motors In General (AREA)
- Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)
Abstract
【課題】モータの脱調を防止する。
【解決手段】モータ制御装置(3a)は、永久磁石同期式のモータ(1)に供給されるモータ電流のトルク電流成分(iδ)及び励磁電流成分(iγ)が夫々トルク電流成分指令値(iδ*)及び励磁電流指令値(iγ*)に追従するように前記モータをベクトル制御する。モータ制御装置は、モータの回転速度(ωe)に応じて励磁電流指令値(iγ*)を導出する磁束制御部(16)と、励磁電流指令値(iγ*)に基づいて、前記モータを駆動するための前記モータへの供給電圧が不足しているか否かを判定する電圧不足判定部(30)と、を備える。負の励磁電流指令値(iγ*)が負の判定閾値より小さいとき、供給電圧が不足していると判断し、回転速度の増加を禁止する或いは回転速度を減少させる。
【選択図】図4
【解決手段】モータ制御装置(3a)は、永久磁石同期式のモータ(1)に供給されるモータ電流のトルク電流成分(iδ)及び励磁電流成分(iγ)が夫々トルク電流成分指令値(iδ*)及び励磁電流指令値(iγ*)に追従するように前記モータをベクトル制御する。モータ制御装置は、モータの回転速度(ωe)に応じて励磁電流指令値(iγ*)を導出する磁束制御部(16)と、励磁電流指令値(iγ*)に基づいて、前記モータを駆動するための前記モータへの供給電圧が不足しているか否かを判定する電圧不足判定部(30)と、を備える。負の励磁電流指令値(iγ*)が負の判定閾値より小さいとき、供給電圧が不足していると判断し、回転速度の増加を禁止する或いは回転速度を減少させる。
【選択図】図4
Description
本発明は、モータを駆動制御するモータ制御装置に関する。本発明は、特に、脱調を引き起こすモータへの供給電圧不足を検出する技術又は脱調の発生を防止するための技術に関する。
図12に従来のモータ駆動システムのブロック図を示す。図12のモータ駆動システムは、三相永久磁石同期モータ901、PWMインバータ902及びモータ制御装置903を備える。図12のモータ駆動システムでは、電流センサによって検出されたU相電流iu及びV相電流ivをdq変換することによってd軸電流id及びq軸電流iqを求める。そして、d軸電流id及びq軸電流iqがd軸電流指令値id *及びq軸電流指令値iq *に追従するように電流フィードバック制御を行い、この制御によって得たd軸電圧指令値vd *及びq軸電圧指令値vq *から三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)を作成する。q軸電流指令値iq *は、モータ1の回転速度を指定する回転速度指令値ω*に基づいて設定される。PWMインバータ902は、直流電源904からの直流の出力電圧を三相電圧指令値に従って三相交流電圧に変換し、この三相交流電圧をモータ901に供給することによってモータ1をベクトル制御する。
実使用時において、直流電源904の出力電圧であるインバータ902への入力電圧は変動しうる。この入力電圧の低下は、モータ901を駆動するためにインバータ902からモータ901に供給すべき電圧(モータ901が必要とする電圧)を、不足させる方向に作用する。そして、この供給電圧の不足は、モータ901の脱調を招く。
通常、インバータ902への入力電圧自体は電圧検出器(不図示)によって監視されているが、この入力電圧の情報から、モータ901への供給電圧不足を判定することは難しい。モータ901を駆動するために必要となる電圧は、様々な要素を含む運転条件(モータ901の回転速度、トルクなど)に依存するからである。このため、入力電圧の情報からモータ901の脱調の可能性を判断することは困難である。
また、負荷トルクの増大も供給電圧不足を発生させる方向に作用する。負荷トルクが増大すれば、その負荷トルクに対応するトルクを発生させるべく、より大きなモータ駆動電圧が必要となるからである。
供給電圧不足に由来する脱調を防止するべく、負のd軸電流による弱め磁束制御が一般的に使用される。弱め磁束制御を実行すれば、モータ901内で発生する誘起電圧が減少して、供給電圧不足が解消又は抑制される。但し、インバータ902への入力電圧の低下や負荷トルクの増大が急峻であると、弱め磁束制御による供給電圧不足の解消又は抑制が制御の遅れにより間に合わず、結果、脱調が発生することがある。
近年、モータの小型化及び軽量化に伴い、モータを定格運転範囲内の限界付近にて駆動させることが多い。高速回転域では供給電圧が不足しやすくなるが、弱め磁束制御を実行することによって定格運転範囲を高速回転域まで広げている。小型化及び軽量化と高速回転を同時実現すべく、弱め磁束制御の実行時では特にモータが電圧制限付近で駆動されており、比較的小さな入力電圧低下又は負荷トルク増大にて供給電圧不足が発生して脱調が発生する。
この種の脱調の発生を検出するための方法が幾つか提案されている。例えば、或る従来方法では、d軸電流指令値をゼロとした状態で検出したd軸電流に基づいて脱調の検出を行っている(例えば、下記特許文献1参照)。また、他の従来方法では、脱調発生時に特徴的な値をとる特定の物理量(回転数指令に対する補正量など)に基づいて脱調の検出を行っている(例えば、下記特許文献2参照)。また、更に他の従来方法では、d軸電流指令値(d軸電流目標値)を周期的に変動させ、その時のq軸電流応答に基づいて脱調の検出を行っている(例えば、下記特許文献3参照)。
但し、これらの従来方法は、脱調の発生後に脱調の発生有無を検出するための方法であり、脱調を招く供給電圧不足を検出することはできない。即ち、これらの従来方法では、脱調の発生を防止することはできない。
そこで本発明は、供給電圧不足の検出又は脱調の発生防止に資するモータ制御装置、並びに、そのモータ制御装置を利用したモータ駆動システム及び圧縮機を提供することを目的とする。
本発明に係る第1のモータ制御装置は、永久磁石同期式のモータに供給されるモータ電流の励磁電流成分が励磁電流指令値に追従するように前記モータをベクトル制御するモータ制御装置において、前記モータの回転速度に応じて前記励磁電流指令値を導出する励磁電流指令値導出部と、前記励磁電流指令値に基づいて、前記モータを駆動するための前記モータへの供給電圧が不足しているか否かを判定する判定部と、を備えたことを特徴とする。
これにより、供給電圧不足を瞬時に検出することが可能となり、脱調の発生を有効に防止することが可能となる。
具体的には例えば、前記判定部は、前記モータへの供給電圧が不足しているか否かの判定結果に基づいて前記回転速度が追従すべき回転速度指令値を調整する速度指令値調整部を備える。
これにより、脱調の発生を有効に防止することが可能となる。
本発明に係る第2のモータ制御装置は、永久磁石同期式のモータに供給されるモータ電流の励磁電流成分が励磁電流指令値に追従するように前記モータをベクトル制御するモータ制御装置において、前記モータの回転速度に応じて前記励磁電流指令値を導出する励磁電流指令値導出部と、前記励磁電流指令値に基づいて前記回転速度が追従すべき回転速度指令値を調整する速度指令値調整部と、を備えたことを特徴とする。
これによっても、脱調の発生を有効に防止することが可能となる。
そして具体的には例えば、第1又は第2のモータ制御装置において、前記速度指令値調整部は、前記励磁電流指令値と所定の判定閾値との比較結果に基づいて前記回転速度指令値を調整する。
より具体的には例えば、第1又は第2のモータ制御装置において、前記励磁電流指令値と前記判定閾値との比較によって、前記励磁電流指令値は互いに重複しない複数の数値範囲の何れかに分類され、前記複数の数値範囲は、通常範囲及び保護範囲を含み、前記速度指令値調整部は、前記励磁電流指令値が前記保護範囲内に入っているとき、前記回転速度が増加しないように或いは前記回転速度が減少するように前記回転速度指令値を調整する。
更に具体的には例えば、第1又は第2のモータ制御装置において、前記保護範囲は、更に、互いに重複しない第1及び第2保護範囲に分類され、前記第2保護範囲に属すべき値の絶対値は前記第1保護範囲のそれよりも大きく、前記速度指令値調整部は、前記励磁電流指令値が前記第1保護範囲内に入っているとき、前記回転速度が増加しないように前記回転速度指令値を調整する一方、前記励磁電流指令値が前記第2保護範囲内に入っているとき、前記回転速度が減少するように前記回転速度指令値を調整する。
また例えば、第1又は第2のモータ制御装置は、前記励磁電流指令値と前記判定閾値との比較結果に応じた信号を当該モータ制御装置の外部に対して出力する出力部を更に備えている。
本発明に係るモータ駆動システムは、永久磁石同期式のモータと、前記モータを駆動するための電圧を供給して前記モータを駆動するインバータと、前記インバータを介して前記モータをベクトル制御する、上記の何れかのモータ制御装置と、を備えたことを特徴とする。
本発明に係る圧縮機は、前記モータ駆動システムに備えられたモータの回転力を駆動源とする。
本発明によれば、供給電圧不足の検出又は脱調の発生防止に資するモータ制御装置、及び、そのモータ制御装置を利用したモータ駆動システム及び圧縮機を提供することが可能となる。
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。後に第1〜第3実施例を説明するが、まず、各実施例に共通する事項又は各実施例にて参照される事項について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ駆動システムの概略ブロック図である。図1のモータ駆動システムは、モータ1と、PWM(Pulse Width Modulation)インバータ2と、モータ制御装置3と、を備える。
モータ1は、三相永久磁石同期モータであり、永久磁石を備えた回転子(図1において不図示)と3相分の電機子巻線を備えた固定子(図1において不図示)とを有している。モータ1は、埋込磁石同期モータに代表される突極機である。
PWMインバータ(以下、単にインバータという)2は、モータ1の回転子位置に応じてモータ1にU相、V相及びW相から成る三相交流電圧を供給する。このモータ1に印加される全体の電圧をモータ電圧(電機子電圧)Vaと呼び、インバータ2からモータ1に供給される全体の電流をモータ電流(電機子電流)Iaと呼ぶ。
モータ制御装置3は、検出されたモータ電流Iaなどを参照しつつ、所望のベクトル制御を実現するべく、インバータ回路2を介してモータ1を制御する。
図2は、モータ1の解析モデル図である。以下の説明において、電機子巻線とはモータ1に設けられているものを指す。図2には、U相、V相、W相の電機子巻線固定軸が示されている。1aは、モータ1の回転子に設けられた永久磁石である。永久磁石1aが作る磁束の回転速度と同じ速度で回転する回転座標系において、永久磁石1aが作る磁束の方向をd軸にとり、d軸に対応する制御上の回転軸をγ軸とする。また、図示していないが、d軸から電気角で90度進んだ位相にq軸をとり、γ軸から電気角で90度進んだ位相にδ軸をとる。実軸に対応する回転座標系はd軸とq軸を座標軸に選んだ座標系であり、その座標軸及び座標系をdq軸及びdq座標系と呼ぶ。制御上の回転座標系はγ軸とδ軸を座標軸に選んだ座標系であり、その座標軸及び座標系をγδ軸及びγδ座標系と呼ぶ。
d軸及びq軸は回転しており、その回転速度をωで表す。γ軸及びδ軸も回転しており、その回転速度をωeで表す。また、dq座標系において、U相の電機子巻線固定軸から見たd軸の角度(位相)をθにより表す。同様に、γδ座標系において、U相の電機子巻線固定軸から見たγ軸の角度(位相)をθeにより表す。d軸とγ軸との軸誤差Δθは、Δθ=θ―θeで表される。θ及びθeにて表される角度は、電気角における角度であり、それらは一般的に回転子位置又は磁極位置とも呼ばれる。ω及びωeにて表される回転速度は、電気角における角速度である。
以下、θ又はθeによって表現される状態量を回転子位置と呼ぶこととし、ω又はωeによって表される状態量を回転速度と呼ぶこととする。尚、状態量を物理量と読み替えることもできる。回転子位置及び回転速度を推定によって導出する場合、γ軸及びδ軸を制御上の推定軸と呼ぶことができる。
図3は、モータ1とインバータ2と直流電源4との接続関係を示す回路図である。モータ1は、永久磁石が設けられた回転子6と、U相、V相及びW相の電機子巻線7u、7v及び7wが設けられた固定子7と、を備えている。電機子巻線7u、7v及び7wは、中性点を中心にY結線されている。
インバータ2は、U相用のハーフブリッジ回路、V相用のハーフブリッジ回路及びW相用のハーフブリッジ回路を備える。各ハーフブリッジ回路は、直列接続された一対のスイッチング素子を有し、各ハーフブリッジ回路に直流電源4からの直流の出力電圧が印加される。また、各スイッチング素子には、直流電源4の低電圧側から高電圧側に向かう方向を順方向とするフリーホイールダイオードが並列接続される。尚、図3では、各スイッチング素子として電界効果トランジスタが示されているが、それらをIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などに置き換えることもできる。
インバータ2は、モータ制御装置3から与えられた三相電圧指令値に基づいて各相に対するPWM信号(パルス幅変調信号)を生成し、該PWM信号をインバータ2内の各スイッチング素子の制御端子(ベース又はゲート)に与えることで、各スイッチング素子をスイッチング動作させる。モータ制御装置3からインバータ2に供給される三相電圧指令値は、U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *から構成される。
直流電源4の出力電圧であるインバータ2への入力電圧は、インバータ2内の各スイッチング素子のスイッチング動作によって、PWM変調(パルス幅変調)された三相交流電圧に変換される。該三相交流電圧がモータ1に印加されることによって、各電機子巻線(7u、7v及び7w)に、三相交流電圧に応じた電流が流れてモータ1が駆動される。
電圧検出器5は、直流電源4の出力電圧であるインバータ2への入力電圧の電圧値を検出し、その検出値をモータ制御装置3に伝達する。検出された電圧値をVBにて表す。
モータ制御装置3は、基本的に、θとθeとが一致するようにベクトル制御を行う(図2参照)。但し、θとθeとを、意図的にずらすこともある。θとθeとが一致しているとき、d軸及びq軸は夫々γ軸及びδ軸と一致する。
以下の記述において、モータ電圧Vaのγ軸成分及びδ軸成分を夫々γ軸電圧及びδ軸電圧と呼び、γ軸電圧又はγ軸電圧値を記号vγにて表すと共にδ軸電圧又はδ軸電圧値を記号vδにて表す。また、モータ電流Iaのγ軸成分及びδ軸成分を夫々γ軸電流及びδ軸電流と呼び、γ軸電流又はγ軸電流値を記号iγにて表すと共にδ軸電流又はδ軸電流値を記号iδにて表す。
γ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδの目標値を表す電圧指令値を、それぞれγ軸電圧指令値vγ*及びδ軸電圧指令値vδ*により表す。γ軸電流iγ及びδ軸電流iδの目標値を表す電流指令値を、それぞれγ軸電流指令値iγ*及びδ軸電流指令値iδ*により表す。vγ*はvγの目標となる目標γ軸電圧とも呼べ、vδ*はvδの目標となる目標δ軸電圧とも呼べる。iγ*はiγの目標となる目標γ軸電流とも呼べ、iδ*はiδの目標となる目標δ軸電流とも呼べる。
モータ制御装置3は、γ軸電圧値vγ及びδ軸電圧値vδが夫々γ軸電圧指令値vγ*及びδ軸電圧指令値vδ*に追従するように、且つ、γ軸電流値iγ及びδ軸電流値iδが夫々γ軸電流指令値iγ*及びδ軸電流指令値iδ*に追従するように、ベクトル制御を行う。
モータ電圧VaのU相成分、V相成分及びW相成分は、U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *から成る三相電圧指令値に従う。
また、以下の記述において、Raは、モータ抵抗(モータ1の電機子巻線の抵抗値)であり、Ld、Lqは、夫々d軸インダクタンス(モータ1の電機子巻線のインダクタンスのd軸成分)、q軸インダクタンス(モータ1の電機子巻線のインダクタンスのq軸成分)である。Φaは、永久磁石1aによる電機子鎖交磁束である。尚、Ra、Ld、Lq及びΦaは、モータ駆動システムの製造時に定まる値であり、それらの値はモータ制御装置3の演算にて使用される。
尚、本明細書では、記述の簡略化上、記号(iγなど)のみの表記によって、その記号に対応する状態量などを表現している場合もある。即ち、本明細書では、例えば、「iγ」と「γ軸電流iγ」又は「γ軸電流値iγ」は同じものを指す。
<<第1実施例>>
まず、本発明の第1実施例について説明する。図4は、第1実施例に係るモータ駆動システムの詳細ブロック図である。図4のモータ駆動システムは、図1に示されるモータ1及びインバータ2と、図1のモータ制御装置3として機能するモータ制御装置3aと、相電流センサ11と、を備えている。モータ制御装置3aは、符号12〜20及び30にて参照される各部位を含んで構成される。モータ制御装置3a内の各部位は、モータ制御装置3a内で生成された各値を自由に利用可能となっている。尚、相電流センサ11及び/又は速度指令作成部31は、モータ制御装置3aの内部に設けられているとも、モータ制御装置3aの外部に設けられているとも、考えることができる。
まず、本発明の第1実施例について説明する。図4は、第1実施例に係るモータ駆動システムの詳細ブロック図である。図4のモータ駆動システムは、図1に示されるモータ1及びインバータ2と、図1のモータ制御装置3として機能するモータ制御装置3aと、相電流センサ11と、を備えている。モータ制御装置3aは、符号12〜20及び30にて参照される各部位を含んで構成される。モータ制御装置3a内の各部位は、モータ制御装置3a内で生成された各値を自由に利用可能となっている。尚、相電流センサ11及び/又は速度指令作成部31は、モータ制御装置3aの内部に設けられているとも、モータ制御装置3aの外部に設けられているとも、考えることができる。
第1実施例及び後述の第2実施例のモータ駆動システムを形成する各部位は、所定の制御周期にて自身が算出(又は検出)して出力する指令値(ω*、iγ*、iδ*、vγ*、vδ*、vu *、vv *及びvw *を含む)又は状態量(iu、iv、iγ、iδ、θe及びωeを含む)を更新する。
第1実施例に係るモータ駆動システムは、dq軸を推定するものとする(即ち、γ軸及びδ軸が夫々d軸及びq軸と一致するようにベクトル制御がなされる)。
相電流センサ11は、インバータ2からモータ1に供給されるモータ電流Iaの固定軸成分であるU相電流及びV相電流の電流値を検出する。U相電流又はU相電流値をiuにて表し、V相電流又はV相電流値をivにて表し、W相電流又はW相電流値をiwにて表す。W相電流値iwは、関係式「iw=−iu−iv」から算出される。iu、iv及びiwは、モータ1の固定子における、U相の電機子巻線の電流値、V相の電機子巻線の電流値及びW相の電機子巻線の電流値である。
座標変換器12は、回転子位置θeに基づいてU相電流値iu及びV相電流値ivをγδ軸上に座標変換することにより、γ軸電流値iγ及びδ軸電流値iδを算出して出力する。位置・速度推定器20(以下、推定器20と略記する)によって回転速度ωe及び回転子位置θeが算出される。
速度指令作成部31は、モータ1の回転子を所望の回転速度にて回転させるための回転速度指令値ω*を作成する。第1実施例において、減算器19は、速度指令作成部31からの回転速度指令値ω*より推定器20からの回転速度ωeを減算することによって両者間の速度偏差(ω*−ωe)を算出する。
速度制御部17は、比例積分制御などを用いることによって、速度偏差(ω*−ωe)がゼロに収束するようにδ軸電流指令値iδ*を算出して出力する。
磁束制御部16は、γ軸電流指令値iγ*を算出して出力する。iγ*は、モータ駆動システムにて実行されるベクトル制御の種類や回転速度に応じて、様々な値をとりうる。本実施例では、dq軸を推定するため、d軸電流をゼロとするための制御を行う場合はiγ*=0とされる。また、最大トルク制御や弱め磁束制御を行う場合、iγ*は回転速度ωeに応じた負の値とされる。
減算器14は、磁束制御部16から出力されるγ軸電流指令値iγ*より座標変換器12から出力されるγ軸電流値iγを減算し、電流誤差(iγ*−iγ)を算出する。減算器13は、速度制御部17から出力されるδ軸電流指令値iδ*より座標変換器12から出力されるδ軸電流値iδを減算し、電流誤差(iδ*−iδ)を算出する。
電流制御部15は、電流誤差(iγ*−iγ)及び(iδ*−iδ)が共にゼロに収束するように、比例積分制御などを用いた電流フィードバック制御を行う。この際、γ軸とδ軸との間の干渉を排除するための非干渉制御を利用し、(iγ*−iγ)及び(iδ*−iδ)が共にゼロに収束するようにγ軸電圧指令値vγ*及びδ軸電圧指令値vδ*を算出する。尚、vγ*及びvδ*を算出するに当たり、ωeやiγ及びiδも参照されうる。
座標変換器18は、推定器20から出力される回転子位置θeに基づいて電流制御部15から与えられたvγ*及びvδ*を三相の固定座標軸上に座標変換することにより、三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)を算出して出力する。
インバータ2は、三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)に従ってPWM信号を作成し、このPWM信号に応じたモータ電流Iaをモータ1に供給してモータ1を駆動する。
推定器20は、座標変換器12からのiγ及びiδ並びに電流制御部15からのvγ*及びvδ*の内の全部又は一部を用いて、比例積分制御などを行うことにより、d軸とγ軸との間の軸誤差Δθ(図2参照)がゼロに収束するように回転子位置θe及び回転速度ωeを推定する。回転子位置θe及び回転速度ωeの推定手法として様々な手法が提案されている。公知の推定方法を用いて推定器20を形成することが可能である。
図5に推定器20の内部ブロック図の一例を示す。図5の推定器20は、符号21〜23にて参照される各部位を備える。軸誤差推定部21は、iγ、iδ、vγ*及びvδ*に基づいて軸誤差Δθを算出する。例えば、特許第3411878号公報にも示されている下記式(1)を用いて、軸誤差Δθを算出する。比例積分演算器22は、PLL(Phase Locked Loop)制御を実現すべく、比例積分制御を行って軸誤差推定部21が算出した軸誤差Δθがゼロに収束するように回転速度ωeを算出する。積分器23は、回転速度ωeを積分して回転子位置θeを算出する。算出されたθe及びωeは、その値を必要とするモータ制御装置3a内の各部位に与えられる。
インバータ2への入力電圧VBの低下に起因して、或いは、モータ1の高速回転による誘起電圧の上昇に起因して、インバータ2からモータ1に対して必要な電流を供給しきれなくなった場合、磁束制御部16は、負のd軸電流による弱め磁束制御を行う(d軸電流は、モータ電流Iaのd軸成分を表す)。負のd軸電流の供給は、モータ1の電機子巻線を鎖交する磁束のd軸成分を減少させるように作用する。本実施例では、dq軸の推定がなされるためd軸電流とγ軸電流は通常一致し、また、γ軸電流値iγはγ軸電流指令値iγ*に追従するのであるから、負のγ軸電流指令値iγ*は上記磁束のd軸成分を減少させるように作用し、その減少度合いは、負のγ軸電流指令値iγ*の絶対値の増大に従って増大する。
弱め磁束制御の実行時において、磁束制御部16は、例えば、特開2006−204054号公報に記載の方法を用いてγ軸電流指令値iγ*を算出する。具体的には例えば、下記式(2a)に従ってiγ*を算出する。尚、下記式(2b)に従ってiγ*を算出することも可能であるし、一般的な弱め磁束制御用の電流指令値の算出式である下記式(2c)に従ってiγ*を算出することも可能である。式(2b)又は式(2c)に従ってiγ*を算出する場合、座標変換器12の出力値が適宜参照される。
Vomは誘起電圧VOに対する制限電圧を表す。誘起電圧VOは、モータ1の回転とモータ1のインダクタンス及び電機子鎖交磁束とによって発生する。制限電圧Vomの値は、インバータ2への入力電圧の検出値VB(図3参照)に基づき、例えば特開2006−204054号公報に記載の方法を用いて設定される。インバータ2への入力電圧が減少すれば制限電圧Vomも減少し、インバータ2への入力電圧が増加すれば制限電圧Vomも増加する。
電圧不足判定部30は、iγ*及びiδ*に従ってモータ1を駆動するためにインバータ2からモータ1に供給すべき電圧が不足しているか否かを、γ軸電流指令値iγ*に基づいて判定する。ここで判定されるべき、電圧の不足を、以下、供給電圧不足と呼ぶ。モータ1に対する負荷トルクが増加した場合やインバータ2への入力電圧が減少した場合、供給電圧不足が発生する可能性が高まり、供給電圧不足生は、不足の程度及び負荷トルクの増加速度又は入力電圧の減少速度にも拠るが、モータ1の脱調を招く。
供給電圧不足の判定方法及び原理を、詳細に説明する。一般に、モータの定格運転範囲は図6に示されるような特性を有する。モータの定格運転範囲とは、モータを安全に駆動できる範囲を指し、モータ1も、図6の定格運転範囲に従う。図6の斜線領域がモータ1の定格運転範囲に対応する。図6において、横軸は回転速度を表し、縦軸はモータ1に作用させることが可能な負荷トルクを表す。回転速度が高くなると、モータ1内で発生する誘起電圧が上昇する。この上昇を無制限に許容すると供給電圧不足が発生するが、弱め磁束制御を実行することで誘起電圧の上昇に制限を加え、これによってモータ1の定格運転範囲を高速回転域まで拡大している。尚、図6及び後述の図7〜図9に示される各グラフにおいて、横軸の右側が回転速度の高速側に対応する。
図7のグラフは、所定の条件下において、モータ1の回転速度を変化させていった時のモータ電流Iaの電流値をプロットしたものである。図7において、折れ線210は、基本条件にてモータ1を駆動させた場合におけるモータ電流Iaの回転速度依存性を表す。基本条件におけるモータ1の駆動は、定格運転範囲内におけるモータ1の駆動である。基本条件には、インバータ2への入力電圧に対する条件及び負荷トルクに対する条件が含まれる。一方、折れ線211及び212は、定格運転範囲を逸脱する状態でモータ1を駆動させた場合におけるモータ電流Iaの回転速度依存性を表す。定格運転範囲を逸脱する状態では、供給電圧不足が発生している。折れ線211は、基本条件を基準として、モータ1が脱調する寸前までインバータ2への入力電圧を低下させた場合におけるそれを表し、折れ線212は、基本条件を基準として、モータ1が脱調する寸前まで負荷トルクを増大させた場合におけるそれを表す。
仮に、モータ電流Iaの電流値と対比すべき閾値を設定して両者間の大小関係に基づいて供給電圧不足の有無を検出しようとする場合、低速回転域では、折れ線210に対応する状態と折れ線211及び212に対応する状態とを区別できても、高速回転域では、その区別が困難又は不可能となる。図7にも見られるように、回転速度がω1の時、全ての状態においてモータ電流Iaの電流値が閾値を下回るからである。このように、モータ電流Iaの電流値を参照するだけで、供給電圧不足を検出することは難しい。
図8のグラフは、所定の条件下において、モータ1の回転速度を変化させていった時のγ軸電流指令値iγ*をプロットしたものである。図8において、折れ線220は、基本条件にてモータ1を駆動させた場合におけるγ軸電流指令値iγ*の回転速度依存性を表す。基本条件におけるモータ1の駆動は、定格運転範囲内におけるモータ1の駆動である。基本条件には、インバータ2への入力電圧に対する条件及び負荷トルクに対する条件が含まれる。一方、折れ線221及び222は、定格運転範囲を逸脱する状態でモータ1を駆動させた場合におけるγ軸電流指令値iγ*の回転速度依存性を表す。定格運転範囲を逸脱する状態では、供給電圧不足が発生している。折れ線221は、基本条件を基準として、モータ1が脱調する寸前までインバータ2への入力電圧を低下させた場合におけるそれを表し、折れ線222は、基本条件を基準として、モータ1が脱調する寸前まで負荷トルクを増大させた場合におけるそれを表す。
図8からも分かるように、iγ*を参照すれば、折れ線220に対応する状態と折れ線221及び222に対応する状態とを一定の閾値によって容易に区別可能である。この原理に基づき、電圧不足判定部30は、供給電圧不足が発生しているか否かをγ軸電流指令値iγ*に基づいて判定する。
図8に示すようなグラフが得られる理由を補足説明する。インバータ2への入力電圧が低下すると、それに伴って供給電圧不足が発生しそうになる。この時、弱め磁束を発生させて供給電圧不足の発生を回避すべく、負のγ軸電流指令値iγ*が設定される。入力電圧の低下度合いを増加すると、設定される負のγ軸電流指令値iγ*の絶対値も増加し(式(2a)、(2b)又は(2c)の右辺第2項の値が減少し)、その低下度合いが大きすぎると供給電圧不足の発生を防ぎきれなくなる。この状態が折れ線221に対応する。
また、負荷トルクが増加すると、その負荷トルクに対応するトルクをモータに発生させるべく、より大きなδ軸電流iδが流れることとなり、これに伴ってより大きなモータ電圧Vaが必要となる。言うまでもないが、必要なモータ電圧Vaの増大は供給電圧不足の発生を招く方向に作用する。また、弱め磁束制御実行時におけるδ軸電流iδの増大は、vγ*の増大を介して、負のγ軸電流指令値iγ*の絶対値を増加させる方向に作用する(式(2a)、(2b)又は(2c)の右辺第2項の値を減少させる方向に作用する)。負荷トルクが大きくなりすぎると供給電圧不足の発生を防ぎきれなくなる。この状態が折れ線222に対応する。
具体的には、電圧不足判定部30は、弱め磁束制御の実行時におけるγ軸電流指令値iγ*と予め定められた負の判定閾値とを比較し、前者が後者より大きい場合には供給電圧不足が発生していないと判断する一方、前者が後者より小さい場合には供給電圧不足が発生していると判断する。判定閾値の個数を1以上とすることができる。今、判定閾値が第1判定閾値TH1及び第2判定閾値TH2を含んでいるとする。第1判定閾値TH1及び第2判定閾値TH2は、一定値である。電圧不足判定部30は、γ軸電流指令値iγ*と第1判定閾値TH1及び第2判定閾値TH2の夫々とを比較することによって、iγ*が3つの数値範囲の何れに属するかを判断する。(ここで、0>iγ*且つ0>TH1>TH2)。本例において、3つの数値範囲は、互いに重複しない通常範囲、第1保護範囲及び第2保護範囲から成る。
図8のグラフに、第1判定閾値TH1及び第2判定閾値TH2に対応する直線を重畳したグラフを図9に示す。第1不等式「iγ*≧TH1」が成立する場合、iγ*は通常範囲に属し、第2不等式「TH1>iγ*≧TH2」が成立する場合、iγ*は第1保護範囲に属し、第3不等式「TH2>iγ*」が成立する場合、iγ*は第2保護範囲に属すると判断する。
iγ*が何れの数値範囲に属しているかを表す信号が運転状態信号として電圧不足判定部30から出力される。iγ*が通常範囲に属している場合、電圧不足判定部30は、供給電圧不足は発生していないと判断し、その旨を表す通常運転信号を運転状態信号として出力する。一方、iγ*が第1保護範囲に属している場合、電圧不足判定部30は、供給電圧不足が発生していると判断し、その旨を表す第1保護信号を運転状態信号として出力する。iγ*が第2保護範囲に属している場合も、電圧不足判定部30は、供給電圧不足が発生していると判断し、その旨を表す第2保護信号を運転状態信号として出力する。
電圧不足判定部30からの運転状態信号は、図4の速度指令作成部31に供給される。速度指令作成部31は、運転状態信号が第1又は第2保護信号である時、自身が作成及び出力する回転速度指令値ω*に制限を加える。具体的には、運転状態信号が第1保護信号である時、モータ1の回転速度(ωe)が現時点の回転速度から増加しないように、回転速度指令値ω*を作成する(即ち、回転速度指令値ω*の増加が禁止される)。運転状態信号が第2保護信号である時、モータ1の回転速度(ωe)が現時点の回転速度から減少するように、回転速度指令値ω*を作成する(即ち、次回の回転速度指令値ω*を現時点の回転速度指令値ω*から減少させる)。供給電圧不足の発生時における回転速度の増加は脱調発生の危険性を増大させるため、回転速度の増加を禁止することによって又は回転速度を減少させることによって、脱調防止のための保護がなされる。尚、運転状態信号が通常運転信号である場合には、このような制限は加えられず、速度指令作成部31は定格運転範囲内で任意の回転速度指令値ω*を出力する。
また、iγ*は所定の制御周期にて変動するため、運転状態信号に基づく回転速度指令値ω*への制御が、モータ制御を不安定にする可能性がある。これを考慮し、磁束制御部16から出力されるiγ*をローパスフィルタ(不図示)に入力することによってiγ*の高周波成分を除去し、その除去後のiγ*と判定閾値(TH1及びTH2)との比較結果に基づいて、供給電圧不足の発生有無判定、運転状態信号の出力及びω*の調整を行うようにしても良い。或いは、判定閾値(TH1及びTH2)にヒステリシスを設けて、運転状態信号が短時間で変化しないようにしてもよい。つまり例えば、上記の第3不等式が成立していない状態から第3不等式が成立する状態に移行した時、第2保護信号を出力する一方で次回以降に用いる第2判定閾値TH2を暫定的に正の方向に増大させる。この後、暫定的に値が増加したTH2を用いた第3不等式が不成立となれば、TH2は本来の値に戻される。第1判定閾値TH1に対しても同様である。
電圧不足判定部30からの運転状態信号又は該運転状態信号に基づいて回転速度指令値ω*に制限が加えられていることを表す信号は、モータ駆動システムの外部機器(不図示)に対して出力される。例えば、車載通信で一般的に利用されるCAN(Control Area Network)を介した通信又はシリアル通信などを用いて、その信号を外部機器に対して出力することにより、供給電圧不足の発生、脱調の可能性、脱調防止用の保護動作中である事などを外部機器に伝達する。また、モータ駆動システムのユーザに対し、運転状態信号に基づいて回転速度指令値ω*に制限が加えられていることを報知するようにしてもよい。この報知の媒体は任意である。例えば、液晶ディスプレイパネルでの表示、ランプの発光を用いた視覚上の報知、及び/又は、スピーカ、ブザーからの音を利用した聴覚上の報知を用いることができる。
尚、判定閾値の個数を1つとする場合は、iγ*と1つの判定閾値(TH1、TH2又はそれらの中間値)とを比較すれば足る。この場合において、前者が後者以上であるとき、電圧不足判定部30は、iγ*が通常範囲に属していて供給電圧不足は発生していないと判断し、その旨を表す通常運転信号を運転状態信号として出力する。一方、前者が後者未満である場合は、iγ*が保護範囲に属していて供給電圧不足が発生していると判断し、その旨を表す保護信号を運転状態信号として出力する。この保護信号が出力されているとき、速度指令作成部31は、モータ1の回転速度が現時点の回転速度から増加しないように、或いは、モータ1の回転速度が現時点の回転速度から減少するように、回転速度指令値ω*を作成する。
上記の如くモータ駆動システムを構成することにより、供給電圧不足の発生有無を判定して脱調の発生を有効に防止することができる。
ここで、d軸電流に対応するγ軸電流iγはγ軸電流指令値iγ*に追従するのであるから、γ軸電流iγに基づいて供給電圧不足判定を行うことも考えられる。但し、γ軸電流iγは、比例積分制御などを用いたフィードバック制御の特性に応じた制御遅れを有してγ軸電流指令値iγ*に追従するため、γ軸電流iγに基づいて供給電圧不足判定及び脱調防止処理を行ったのでは、その処理が間に合わず、脱調が発生する危険性が高まる。この危険性は、入力電圧の低下又は負荷トルクの増大が急峻であれば、より高くなる。これに対し、本実施例によるモータ駆動システムでは、そのような制御遅れを有さないγ軸電流指令値iγ*を利用するため、供給電圧不足の判定及び脱調防止処理を瞬時に実行することが可能となる。
また、供給電圧不足の判定はiγ*と単純な閾値との比較によって実行されるため、判定処理負荷が軽微である。更に、1つの判定方法にて、入力電圧変動と負荷トルク変動の双方に対応することができる。
尚、供給電圧不足の発生時において、特開2005−151635号公報に記載の方法の如くd軸電流指令値(d軸電流目標値)を周期的に変動させると、q軸電流が変動するため、かえって脱調を誘発する恐れがある。また、脱調が発生していない状態においては、モータへの電流供給能力に余力があるため、d軸電流指令値(d軸電流目標値)を周期的に変動させても供給電圧不足の発生状態と非発生状態との間でq軸電流に差異は生じないと考えられる。故に、特開2005−151635号公報の方法を利用しても、供給電圧不足を検出することはできない。
<<第2実施例>>
次に、本発明の第2実施例について説明する。図10は、第2実施例に係るモータ駆動システムの詳細ブロック図である。図10のモータ駆動システムは、図1に示されるモータ1及びインバータ2と、図1のモータ制御装置3として機能するモータ制御装置3bと、相電流センサ11と、を備えている。モータ制御装置3bは、符号12〜20及び32にて参照される各部位を含んで構成される。モータ制御装置3b内の各部位は、モータ制御装置3b内で生成された各値を自由に利用可能となっている。尚、相電流センサ11及び/又は速度指令作成部31aは、モータ制御装置3bの内部に設けられているとも、モータ制御装置3bの外部に設けられているとも、考えることができる。
次に、本発明の第2実施例について説明する。図10は、第2実施例に係るモータ駆動システムの詳細ブロック図である。図10のモータ駆動システムは、図1に示されるモータ1及びインバータ2と、図1のモータ制御装置3として機能するモータ制御装置3bと、相電流センサ11と、を備えている。モータ制御装置3bは、符号12〜20及び32にて参照される各部位を含んで構成される。モータ制御装置3b内の各部位は、モータ制御装置3b内で生成された各値を自由に利用可能となっている。尚、相電流センサ11及び/又は速度指令作成部31aは、モータ制御装置3bの内部に設けられているとも、モータ制御装置3bの外部に設けられているとも、考えることができる。
第2実施例のモータ駆動システムは、第1実施例のモータ駆動システム(図4参照)から電圧不足判定部30及び速度指定作成部31を削除する一方で、それらの代わりに、速度指令調整部32及び速度指定作成部31aを設けたものである。この相違点を除き、両モータ駆動システムの構成及び動作は同様である。従って、両モータ駆動システム間の相違点にのみ着目して第2実施例の説明を行う。特に記述しない内容に関しては、第1実施例の記述が第2実施例に対しても適用される。図4と図10のブロック図は相違しているが、iγ*に基づいてω*が調整される点に関して、第1実施例と第2実施例は同じである。
速度指令作成部31aがモータ1の回転子を所望の回転速度にて回転させるための回転速度指令値を作成するが、この回転速度指令値は、速度指令調整部32によって調整されうる。速度指令作成部31aから出力される回転速度指令値をωO *にて表す。
速度指令調整部32は、図4の電圧不足判定部30と同じ機能を有する。即ち、弱め磁束制御実行時におけるγ軸電流指令値iγ*と予め定められた負の判定閾値とを比較し、その比較結果に基づいて、減算器19に与えるべき回転速度指令値を調整する機能を有する。第1実施例では、供給電圧不足の発生有無の判定を介して回転速度指令値が調整されるが、第2実施例では、iγ*と判定閾値との比較結果に基づいて回転速度指令値が直接調整される。但し、速度指令調整部32にて、供給電圧不足の発生有無の判定を実行しても構わない。
具体的には、速度指令調整部32は、弱め磁束制御実行時におけるγ軸電流指令値iγ*と予め定められた負の判定閾値とを比較し、前者が後者より大きい場合には速度指令作成部31aからのωO *をそのままω*として減算器19に出力する一方、前者が後者より小さい場合には速度指令作成部31aからのωO *に制限を加え、この制限後の回転速度指令値をω*として減算器19に出力する。第2実施例において、減算器19は、速度指令調整部32からのω*より推定器20からのωeを減算することによって両者間の速度偏差(ω*−ωe)を算出及び出力する。
第1実施例と同様、判定閾値の個数を1以上とすることができる。第1実施例と同様、判定閾値が第1判定閾値TH1及び第2判定閾値TH2を含む場合を考える。この場合、速度指令調整部32は、iγ*とTH1及びTH2の夫々との比較結果に基づいて運転状態信号を出力すると共にω*を調整する。尚、第1実施例で述べたように、iγ*の高周波成分を除去してからこの比較を行ってもよいし、判定閾値にヒステリシスを設けてもよい。
この比較結果に基づいて実行される処理は、第1実施例と同じである。即ち、
第1不等式「iγ*≧TH1」が成立する場合は、iγ*が通常範囲に属していると判断して、その旨を表す通常運転信号を運転状態信号として出力すると共にωO *をそのままω*として出力する。
第2不等式「TH1>iγ*≧TH2」が成立する場合は、iγ*が第1保護範囲に属していると判断して、その旨を表す第1保護信号を運転状態信号として出力すると共にモータ1の回転速度(ωe)が現時点の回転速度から増加しないように、回転速度指令値ω*を作成する。従って、第2不等式が成立している状態において、今回のωO *が前回のωO *から減少した時はその減少に伴ってω*も減少するが(即ち、今回においてω*=ωO *とされるが)、今回のωO *が前回のωO *から増加したとしてもω*は増加しない(即ち、今回のω*の値は前回のωO *の値とされる)。
第3不等式「TH2>iγ*」が成立する場合は、iγ*が第2保護範囲に属していると判断して、その旨を表す第2保護信号を運転状態信号として出力すると共にモータ1の回転速度(ωe)が現時点の回転速度から減少するように、回転速度指令値ω*を作成する。従って、第3不等式が成立している状態では、ωO *に拘らず、ω*が強制的に減少させられる。
第1不等式「iγ*≧TH1」が成立する場合は、iγ*が通常範囲に属していると判断して、その旨を表す通常運転信号を運転状態信号として出力すると共にωO *をそのままω*として出力する。
第2不等式「TH1>iγ*≧TH2」が成立する場合は、iγ*が第1保護範囲に属していると判断して、その旨を表す第1保護信号を運転状態信号として出力すると共にモータ1の回転速度(ωe)が現時点の回転速度から増加しないように、回転速度指令値ω*を作成する。従って、第2不等式が成立している状態において、今回のωO *が前回のωO *から減少した時はその減少に伴ってω*も減少するが(即ち、今回においてω*=ωO *とされるが)、今回のωO *が前回のωO *から増加したとしてもω*は増加しない(即ち、今回のω*の値は前回のωO *の値とされる)。
第3不等式「TH2>iγ*」が成立する場合は、iγ*が第2保護範囲に属していると判断して、その旨を表す第2保護信号を運転状態信号として出力すると共にモータ1の回転速度(ωe)が現時点の回転速度から減少するように、回転速度指令値ω*を作成する。従って、第3不等式が成立している状態では、ωO *に拘らず、ω*が強制的に減少させられる。
速度指令調整部32からの運転状態信号又は回転速度指令値ω*に制限が加えられていることを表す信号は、第1実施例と同様、モータ駆動システムの外部機器(不図示)に対して出力される。
尚、判定閾値の個数を1つとする場合は、iγ*と1つの判定閾値(TH1、TH2又はそれらの中間値)とを比較すれば足る。この場合において、前者が後者以上であるとき、速度指令調整部32は、iγ*が通常範囲に属していると判断して、その旨を表す通常運転信号を運転状態信号として出力すると共にωO *をそのままω*として出力する。一方、前者が後者未満であるときには、iγ*が保護範囲に属していると判断して、その旨を表す保護信号を運転状態信号として出力すると共に、モータ1の回転速度が現時点の回転速度から増加しないように或いはモータ1の回転速度が現時点の回転速度から減少するように、回転速度指令値ω*を作成する。
上記の如くモータ駆動システムを構成することにより、脱調の発生を有効に防止することができる。この際、第1実施例でも述べたように、脱調防止処理を瞬時に実行することが可能となる。また、脱調を防止するための処理は、iγ*と単純な閾値との比較によって実行されるため、処理負荷が軽微である。更に、1つの処理にて、入力電圧変動と負荷トルク変動の双方に対応することができる。
<<第3実施例>>
第1及び第2実施例で示した各モータ駆動システムが適用される機器として、圧縮機300を図11に示す。図11は、圧縮機300の外観図である。第1又は第2実施例に係るモータ駆動システムが、圧縮機300に設けられる。圧縮機300は、モータ1の回転力(厳密には回転子6の回転力)を駆動源として冷媒ガス(不図示)の圧縮を行う。圧縮機300の種類は任意である。例えば、圧縮機300は、スクロール圧縮機、レシプロ圧縮機またはロータリ圧縮機である。
第1及び第2実施例で示した各モータ駆動システムが適用される機器として、圧縮機300を図11に示す。図11は、圧縮機300の外観図である。第1又は第2実施例に係るモータ駆動システムが、圧縮機300に設けられる。圧縮機300は、モータ1の回転力(厳密には回転子6の回転力)を駆動源として冷媒ガス(不図示)の圧縮を行う。圧縮機300の種類は任意である。例えば、圧縮機300は、スクロール圧縮機、レシプロ圧縮機またはロータリ圧縮機である。
<<変形等>>
上述の実施形態の変形例または注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈6を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
上述の実施形態の変形例または注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈6を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
上述の実施形態では、回転速度ωe及び回転子位置θeを推定によって導出しているが、回転子位置に応じた信号を出力する回転子位置センサ(ホール素子、レゾルバ等)の出力信号に基づいて、それらを導出するようにしてもよい。
上述の実施形態では、回転速度ωe及び回転子位置θeを推定によって導出しているが、回転子位置に応じた信号を出力する回転子位置センサ(ホール素子、レゾルバ等)の出力信号に基づいて、それらを導出するようにしてもよい。
[注釈2]
上述の実施形態では、相電流センサ11を用いてU相電流iu及びV相電流ivを直接検出するようにしているが、インバータ2の電源側の直流電流(即ち、図3の直流電源4とインバータ2との間に流れる電流)に基づいて、それらを検出するようにしてもよい。
上述の実施形態では、相電流センサ11を用いてU相電流iu及びV相電流ivを直接検出するようにしているが、インバータ2の電源側の直流電流(即ち、図3の直流電源4とインバータ2との間に流れる電流)に基づいて、それらを検出するようにしてもよい。
[注釈3]
上述の各種の指令値(iγ*、iδ*、vγ*及びvδ*など)や状態量(iγ、iδなど)を含む、導出されるべき全ての値の導出手法は任意である。即ち、例えば、それらを、モータ制御装置(3a又は3b)内での演算によって導出するようにしてもよいし、予め設定しておいたテーブルデータから導出するようにしてもよい。
上述の各種の指令値(iγ*、iδ*、vγ*及びvδ*など)や状態量(iγ、iδなど)を含む、導出されるべき全ての値の導出手法は任意である。即ち、例えば、それらを、モータ制御装置(3a又は3b)内での演算によって導出するようにしてもよいし、予め設定しておいたテーブルデータから導出するようにしてもよい。
[注釈4]
モータ制御装置(3a又は3b)の機能の一部または全部は、例えば汎用マイクロコンピュータ等に組み込まれたソフトウェア(プログラム)を用いて実現される。ソフトウェアを用いてモータ制御装置を実現する場合、モータ制御装置の各部の構成を示すブロック図は機能ブロック図を表すこととなる。勿論、ソフトウェア(プログラム)ではなく、ハードウェアのみによって、或いは、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、モータ制御装置を形成することも可能である。
モータ制御装置(3a又は3b)の機能の一部または全部は、例えば汎用マイクロコンピュータ等に組み込まれたソフトウェア(プログラム)を用いて実現される。ソフトウェアを用いてモータ制御装置を実現する場合、モータ制御装置の各部の構成を示すブロック図は機能ブロック図を表すこととなる。勿論、ソフトウェア(プログラム)ではなく、ハードウェアのみによって、或いは、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、モータ制御装置を形成することも可能である。
[注釈5]
例えば、以下のように考えることができる。図4における電圧不足判定部30は、供給電圧不足の発生有無を判定する機能と共に、運転状態信号の出力を介して速度指令作成部31を制御することにより回転速度指令値ω*を調整する速度指令値調整部としての機能を備える。更に、電圧不足判定部30は、iγ*と判定閾値との比較結果に応じた信号を外部機器に出力する出力部としての機能も備える。図10に対応する第2実施例において、前記出力部の機能は速度指令調整部32によって実現される。
例えば、以下のように考えることができる。図4における電圧不足判定部30は、供給電圧不足の発生有無を判定する機能と共に、運転状態信号の出力を介して速度指令作成部31を制御することにより回転速度指令値ω*を調整する速度指令値調整部としての機能を備える。更に、電圧不足判定部30は、iγ*と判定閾値との比較結果に応じた信号を外部機器に出力する出力部としての機能も備える。図10に対応する第2実施例において、前記出力部の機能は速度指令調整部32によって実現される。
δ軸電流iδ*は、モータ1のトルクに関与する電流成分であるため、それを、モータ電流Iaのトルク電流成分と呼ぶことができる。γ軸電流iγ*は、モータ1の固定子における電機子巻線の鎖交磁束を変化させるための電流成分(励磁電流成分)であるため、それを、モータ電流Iaの励磁電流成分と呼ぶことができる。これに対応して、δ軸電流指令値iδ*及びγ軸電流指令値iγ*を夫々トルク電流指令値及び励磁電流指令値と呼ぶことができる。
[注釈6]
本明細書等において下記の点に留意すべきである。上記の数j(jは1以上の整数)と表記した墨付きかっこ内の式(式(1)等)の記述又は図面において、所謂下付き文字として表記されているギリシャ文字(γ及びδ等)は、それらの墨付きかっこ外において、下付き文字でない標準文字として表記されうる。このギリシャ文字の下付き文字と標準文字との相違は無視されるべきである。
本明細書等において下記の点に留意すべきである。上記の数j(jは1以上の整数)と表記した墨付きかっこ内の式(式(1)等)の記述又は図面において、所謂下付き文字として表記されているギリシャ文字(γ及びδ等)は、それらの墨付きかっこ外において、下付き文字でない標準文字として表記されうる。このギリシャ文字の下付き文字と標準文字との相違は無視されるべきである。
1 モータ
1a 永久磁石
2 インバータ
3 モータ制御装置
4 直流電源
5 電圧検出器
6 回転子
7 固定子
16 磁束制御部
30 電圧不足判定部
32 速度指令調整部
1a 永久磁石
2 インバータ
3 モータ制御装置
4 直流電源
5 電圧検出器
6 回転子
7 固定子
16 磁束制御部
30 電圧不足判定部
32 速度指令調整部
Claims (9)
- 永久磁石同期式のモータに供給されるモータ電流の励磁電流成分が励磁電流指令値に追従するように前記モータをベクトル制御するモータ制御装置において、
前記モータの回転速度に応じて前記励磁電流指令値を導出する励磁電流指令値導出部と、
前記励磁電流指令値に基づいて、前記モータを駆動するための前記モータへの供給電圧が不足しているか否かを判定する判定部と、を備えた
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 前記判定部は、前記モータへの供給電圧が不足しているか否かの判定結果に基づいて前記回転速度が追従すべき回転速度指令値を調整する速度指令値調整部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。 - 永久磁石同期式のモータに供給されるモータ電流の励磁電流成分が励磁電流指令値に追従するように前記モータをベクトル制御するモータ制御装置において、
前記モータの回転速度に応じて前記励磁電流指令値を導出する励磁電流指令値導出部と、
前記励磁電流指令値に基づいて前記回転速度が追従すべき回転速度指令値を調整する速度指令値調整部と、を備えた
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 前記速度指令値調整部は、前記励磁電流指令値と所定の判定閾値との比較結果に基づいて前記回転速度指令値を調整する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のモータ制御装置。 - 前記励磁電流指令値と前記判定閾値との比較によって、前記励磁電流指令値は互いに重複しない複数の数値範囲の何れかに分類され、
前記複数の数値範囲は、通常範囲及び保護範囲を含み、
前記速度指令値調整部は、前記励磁電流指令値が前記保護範囲内に入っているとき、前記回転速度が増加しないように或いは前記回転速度が減少するように前記回転速度指令値を調整する
ことを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。 - 前記保護範囲は、更に、互いに重複しない第1及び第2保護範囲に分類され、
前記第2保護範囲に属すべき値の絶対値は前記第1保護範囲のそれよりも大きく、
前記速度指令値調整部は、前記励磁電流指令値が前記第1保護範囲内に入っているとき、前記回転速度が増加しないように前記回転速度指令値を調整する一方、前記励磁電流指令値が前記第2保護範囲内に入っているとき、前記回転速度が減少するように前記回転速度指令値を調整する
ことを特徴とする請求項5に記載のモータ制御装置。 - 前記励磁電流指令値と前記判定閾値との比較結果に応じた信号を当該モータ制御装置の外部に対して出力する出力部を更に備えた
ことを特徴とする請求項4〜請求項6の何れかに記載のモータ制御装置。 - 永久磁石同期式のモータと、
前記モータを駆動するための電圧を供給して前記モータを駆動するインバータと、
前記インバータを介して前記モータをベクトル制御する、請求項1〜請求項7の何れかに記載のモータ制御装置と、を備えた
ことを特徴とするモータ駆動システム。 - 請求項8に記載のモータ駆動システムに備えられたモータの回転力を駆動源とする圧縮機。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008071444A JP2009232498A (ja) | 2008-03-19 | 2008-03-19 | モータ制御装置 |
US12/407,289 US8269436B2 (en) | 2008-03-19 | 2009-03-19 | Motor control device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008071444A JP2009232498A (ja) | 2008-03-19 | 2008-03-19 | モータ制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009232498A true JP2009232498A (ja) | 2009-10-08 |
Family
ID=41088193
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008071444A Pending JP2009232498A (ja) | 2008-03-19 | 2008-03-19 | モータ制御装置 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US8269436B2 (ja) |
JP (1) | JP2009232498A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011131725A (ja) * | 2009-12-24 | 2011-07-07 | Toyota Motor Corp | 電動パワーステアリング装置 |
JP2016092991A (ja) * | 2014-11-06 | 2016-05-23 | ダイキン工業株式会社 | 電動機駆動装置の制御装置 |
JP2016096691A (ja) * | 2014-11-17 | 2016-05-26 | シャープ株式会社 | 同期モータの制御装置 |
CN105680754A (zh) * | 2016-02-25 | 2016-06-15 | 清华大学 | 一种永磁同步电机的直交轴电流矢量复合控制器 |
CN112423938A (zh) * | 2018-07-18 | 2021-02-26 | 松下知识产权经营株式会社 | 电动工具、控制方法和程序 |
Families Citing this family (20)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5193259B2 (ja) * | 2010-09-14 | 2013-05-08 | 株式会社日立カーエンジニアリング | 電動オイルポンプ用モータ制御装置及び制御方法 |
JP5221612B2 (ja) | 2010-09-14 | 2013-06-26 | 株式会社日立カーエンジニアリング | 電動オイルポンプ用モータ制御装置及び制御方法 |
JP5838032B2 (ja) * | 2011-02-15 | 2015-12-24 | サンデンホールディングス株式会社 | モータ制御装置 |
JP5652610B2 (ja) * | 2011-02-15 | 2015-01-14 | サンデン株式会社 | モータ制御装置 |
JP5898407B2 (ja) * | 2011-02-15 | 2016-04-06 | サンデンホールディングス株式会社 | モータ制御装置 |
US8456115B2 (en) * | 2011-02-23 | 2013-06-04 | Deere & Company | Method and system for controlling an electric motor with variable switching frequency at variable operating speeds |
EP2684269A2 (en) * | 2011-03-11 | 2014-01-15 | Siemens Aktiengesellschaft | Power generation unit driver, power generation unit and energy output equipment in power grid |
JP5413400B2 (ja) * | 2011-04-20 | 2014-02-12 | 株式会社安川電機 | 交流電動機の制御装置 |
US20130043815A1 (en) * | 2011-08-15 | 2013-02-21 | Hsia-Yuan Hsu | Protection circuit for a d.c. brushless motor pump |
US20130320894A1 (en) * | 2011-08-15 | 2013-12-05 | Hsia-Yuan Hsu | Protection circuit for a d.c. brushless motor pump |
KR101961106B1 (ko) * | 2012-03-20 | 2019-03-25 | 삼성전자 주식회사 | 센서리스 제어 방법 및 장치 |
WO2014010020A1 (ja) * | 2012-07-09 | 2014-01-16 | 株式会社安川電機 | モータ制御装置及びモータシステム |
DE102012217116A1 (de) * | 2012-09-24 | 2014-03-27 | Robert Bosch Gmbh | Verfahren zur Ermittlung der Phasenströme einer elektrischen Maschine mit einem Stromrichter |
WO2014128887A1 (ja) | 2013-02-21 | 2014-08-28 | 三菱電機株式会社 | モータ制御装置 |
JP5761243B2 (ja) * | 2013-03-29 | 2015-08-12 | 株式会社安川電機 | モータ制御装置および磁極位置推定方法 |
KR102173371B1 (ko) * | 2014-01-06 | 2020-11-03 | 엘지전자 주식회사 | 냉장고, 및 홈 어플라이언스 |
KR102220911B1 (ko) * | 2014-01-06 | 2021-02-25 | 엘지전자 주식회사 | 냉장고, 및 홈 어플라이언스 |
JP6310552B2 (ja) * | 2014-05-13 | 2018-04-11 | 東芝三菱電機産業システム株式会社 | 電動機駆動システム |
DE102014217005A1 (de) * | 2014-08-26 | 2016-03-03 | BSH Hausgeräte GmbH | Verfahren zum Bremsen eines Verdichters und Verdichter eines Kältegerätes, Klimageräts oder einer Wärmepumpe sowie Kältegerätes, Klimageräts oder Wärmepumpe damit |
JP6450016B2 (ja) * | 2015-09-04 | 2019-01-09 | 三菱電機株式会社 | 電力変換装置およびヒートポンプ装置 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001025282A (ja) * | 1999-07-05 | 2001-01-26 | Toshiba Corp | センサレスブラシレスモータの脱調検出装置 |
JP2003079183A (ja) * | 2001-09-03 | 2003-03-14 | Mitsubishi Electric Corp | 同期電動機の脱調検出装置及び同期電動機の脱調検出方法及び密閉形圧縮機の駆動装置及びファンモータの駆動装置 |
JP2006197789A (ja) * | 2004-12-17 | 2006-07-27 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 永久磁石型同期モータの制御装置及びその方法 |
JP2007282496A (ja) * | 2007-05-16 | 2007-10-25 | Hitachi Ltd | 同期モータ制御装置及びそれを用いた機器 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100354775B1 (ko) * | 2000-03-25 | 2002-11-04 | 엘지전자 주식회사 | 동기 릴럭턴스 모터의 속도 제어장치 |
JP4665360B2 (ja) * | 2001-08-06 | 2011-04-06 | 株式会社安川電機 | 電動機制御装置 |
KR20040090685A (ko) * | 2002-03-22 | 2004-10-26 | 마츠시타 덴끼 산교 가부시키가이샤 | 동기 릴럭턴스 모터의 제어장치 |
JP4059039B2 (ja) * | 2002-08-30 | 2008-03-12 | 株式会社安川電機 | 同期電動機の制御装置 |
JP4198162B2 (ja) * | 2006-04-07 | 2008-12-17 | 三洋電機株式会社 | モータ制御装置 |
JP4789720B2 (ja) * | 2006-07-07 | 2011-10-12 | 三洋電機株式会社 | モータ制御装置 |
-
2008
- 2008-03-19 JP JP2008071444A patent/JP2009232498A/ja active Pending
-
2009
- 2009-03-19 US US12/407,289 patent/US8269436B2/en active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001025282A (ja) * | 1999-07-05 | 2001-01-26 | Toshiba Corp | センサレスブラシレスモータの脱調検出装置 |
JP2003079183A (ja) * | 2001-09-03 | 2003-03-14 | Mitsubishi Electric Corp | 同期電動機の脱調検出装置及び同期電動機の脱調検出方法及び密閉形圧縮機の駆動装置及びファンモータの駆動装置 |
JP2006197789A (ja) * | 2004-12-17 | 2006-07-27 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 永久磁石型同期モータの制御装置及びその方法 |
JP2007282496A (ja) * | 2007-05-16 | 2007-10-25 | Hitachi Ltd | 同期モータ制御装置及びそれを用いた機器 |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011131725A (ja) * | 2009-12-24 | 2011-07-07 | Toyota Motor Corp | 電動パワーステアリング装置 |
JP2016092991A (ja) * | 2014-11-06 | 2016-05-23 | ダイキン工業株式会社 | 電動機駆動装置の制御装置 |
JP2016096691A (ja) * | 2014-11-17 | 2016-05-26 | シャープ株式会社 | 同期モータの制御装置 |
CN105680754A (zh) * | 2016-02-25 | 2016-06-15 | 清华大学 | 一种永磁同步电机的直交轴电流矢量复合控制器 |
CN112423938A (zh) * | 2018-07-18 | 2021-02-26 | 松下知识产权经营株式会社 | 电动工具、控制方法和程序 |
JPWO2020017202A1 (ja) * | 2018-07-18 | 2021-08-02 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電動工具、制御方法、プログラム |
JP7357204B2 (ja) | 2018-07-18 | 2023-10-06 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電動工具、制御方法、プログラム |
US11855520B2 (en) | 2018-07-18 | 2023-12-26 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Electric tool, control method, and program |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US8269436B2 (en) | 2012-09-18 |
US20090237015A1 (en) | 2009-09-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2009232498A (ja) | モータ制御装置 | |
JP5781235B2 (ja) | 同期機制御装置 | |
JP5397023B2 (ja) | 交流モータの制御装置 | |
JP5958477B2 (ja) | インバータ装置 | |
JP6275214B2 (ja) | 車両用回転電機の制御装置、及び制御方法 | |
JP2011004506A (ja) | モータ制御装置 | |
JP2003079183A (ja) | 同期電動機の脱調検出装置及び同期電動機の脱調検出方法及び密閉形圧縮機の駆動装置及びファンモータの駆動装置 | |
JP2008167566A (ja) | 永久磁石モータの高応答制御装置 | |
US9935568B2 (en) | Control apparatus of rotary electric machine | |
JP2017046456A (ja) | ドライブシステムおよびインバータ装置 | |
JP2008220096A (ja) | 同期電動機のセンサレス制御装置 | |
KR101514391B1 (ko) | 벡터 제어 장치, 및 그것을 사용한 모터 제어 장치, 공조기 | |
JP4771998B2 (ja) | 電動機の駆動装置 | |
JP2007274779A (ja) | 電動駆動制御装置及び電動駆動制御方法 | |
JP4522273B2 (ja) | モータ制御装置及びこれを有するモータ駆動システム | |
US20140232308A1 (en) | Inverter apparatus | |
JP5908205B2 (ja) | 回転センサレス制御装置 | |
JP6157773B1 (ja) | モータ制御装置およびこれを用いたエレベータ | |
JP2006254618A (ja) | モータ制御装置 | |
JP2010130844A (ja) | 圧縮機モータの駆動装置及びインバータの制御方法 | |
JP7024289B2 (ja) | モータ制御装置 | |
JP6358834B2 (ja) | ベクトル制御装置、それを組み込んだインバータ及びそれを組み込んだインバータとモータとのセット装置 | |
JP2010268599A (ja) | 永久磁石モータの制御装置 | |
CN111801886A (zh) | 电力转换装置 | |
US20230142956A1 (en) | Motor controller, motor system and method for controlling motor |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110225 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120919 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120925 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130205 |