JP2009091676A - ポリエステル繊維を含む布帛の染色前処理方法 - Google Patents

ポリエステル繊維を含む布帛の染色前処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
ポリエステル繊維を含む布帛を乾熱セットする際に起こり得る、ポリエステル繊維の黄変や強度低下などの脆化および風合いの粗硬化を有効に防止し、布帛として良好な品質を保持することが可能な、汎用性ある方法を提供する。
【解決手段】
ポリエステル繊維を含む布帛を染色するに先立ち、布帛に対して行う前処理方法であって、布帛にスルホン酸塩を含む処理液を付与し、布帛に対し0.05〜2.0重量%のスルホン酸塩を付着させた後、乾熱セットすることを特徴とする前処理方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステル繊維を含む布帛を染色するに先立ち、布帛に対して行う前処理方法に関する。詳しくは、ポリエステル繊維の熱による黄変や強度低下などの脆化および風合いの粗硬化を防止するための、染色前処理方法に関するものである。
ポリエステル繊維は、物理的および化学的特性に優れ、価格的にも安価に製造できることから、衣料用のみならず工業用にも、幅広く用いられている。従来、ポリエステル繊維布帛の染色加工においては、寸法安定性および形態安定性の向上や、染色時のシワ防止などを目的として、染色に先立ち、180℃程度の温度で乾熱処理することが行われている(このような目的のために行われる熱処理をヒートセット、熱セット、あるいは単にセットなどといい、一方、加熱により形状が固定(セット)される繊維の性質をヒートセット性、熱セット性、あるいは単にセット性などという。以下、前記目的のために行われる乾熱処理を「乾熱セット」と称する)。しかしながら、ポリエステル繊維は、180℃以上の高温になると、黄変や強度低下などの脆化や風合いの粗硬化が起こり始め、布帛として良好な品質を保持することが困難となる。この現象は、カチオン染料可染型ポリエステル繊維などの改質ポリエステル繊維において特に顕著である。
一方、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用布帛の場合は、より高い温度で乾熱セットが行われる。すなわち、180℃程度の温度での乾熱セットでは、セット効果が不十分で、布帛の端部に耳巻き(カーリング)などを生じるため、これを防止するにはより高い温度、具体的には190℃以上の高温での乾熱セットが必要となるのである。しかしながら、190℃以上の高温で乾熱セットされたポリエステル繊維は、黄変が著しく、この後で染色しても、鮮明な色を得ることができない。また、強度低下や風合いの粗硬化も著しく、布帛品質が大きく損なわれることになる。
このような問題に対し、ポリエステル繊維を改良する方法が多数報告されている。例えば、重縮合反応段階で使用する触媒の種類によって、反応速度および得られるポリエステル繊維の品質が大きく左右されることはよく知られており、この点についての試みが報告されている。例えば、特許文献1には、触媒として、アルミニウム化合物と、フェノール系化合物またはリン化合物を組み合わせて用いることにより、熱安定性、白度に優れたポリエステル繊維が得られること、また、こうして得られたポリエステル繊維と特定のポリウレタン弾性糸を組み合わせて製織編することにより、高温でセットしても発色性、色の鮮明性、引裂強度などの布帛特性に優れ、セット性の良好なポリエステルストレッチ織編物が得られることが記載されている。
また、カチオン染料可染型ポリエステル繊維においては、共重合するカチオン染料可染性モノマーの検討や、共重合量の最適化などにより、カチオン染料可染性を付与しながらも、ポリエステル繊維本来の強度を保持する方法が多数報告されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、これらの方法は、いずれもポリエステル繊維をその製造段階で改良するものであり、汎用性に欠けるという問題があった。また、その効果も、満足のいくものではなかった。
本出願人は、これまで、セルロース系繊維を含む布帛の熱による脆化を防止するための前処理方法として、また、ポリアミド系繊維を含む布帛の染色性を改善するための前処理方法として、布帛にスルホン酸塩を含む処理液を付与した後、乾熱セットすることを特徴とする前処理方法を提案している(特許文献3および4)。しかしながら、ポリエステル繊維、特に、レギュラーポリエステル繊維は、セルロース系繊維やポリアミド系繊維とは異なり官能基を持たない繊維であって、セルロース系繊維やポリアミド系繊維において効果が認められた方法を、そのまま転用できるとは限らないのである。
特開2002−249955号公報 特開2006−36953号公報 特開2007−39842号公報 特開2002−339268号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、ポリエステル繊維を含む布帛を乾熱セットする際に起こり得る、ポリエステル繊維の黄変や強度低下などの脆化および風合いの粗硬化を有効に防止し、布帛として良好な品質を保持することが可能な、汎用性ある方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、ポリエステル繊維を含む布帛に対し0.05〜2.0重量%のスルホン酸塩を付着させ、しかる後に乾熱セットすることにより、ポリエステル繊維の黄変や強度低下などの脆化および風合いの粗硬化を有効に防止し、布帛として良好な品質を保持することができることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、ポリエステル繊維を含む布帛を染色するに先立ち、布帛に対して行う前処理方法であって、布帛にスルホン酸塩を含む処理液を付与し、布帛に対し0.05〜2.0重量%のスルホン酸塩を付着させた後、乾熱セットすることを特徴とする前処理方法である。
上記前処理方法において、処理液は、スルホン酸塩の他にさらに、不揮発性酸を含むことが好ましい。
また、処理液は、スルホン酸塩の他にさらに、キレート剤を含むことが好ましい。
また、処理液は、スルホン酸塩の他にさらに、不揮発性酸とキレート剤を含むことが好ましい。
また、乾熱セットは、180〜200℃の温度で行うことが好ましい。
また、ポリエステル繊維は、高圧カチオン染料可染型ポリエステル繊維、常圧カチオン染料可染型ポリエステル繊維、および、常圧分散染料可染型ポリエステル繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、布帛は、ポリエステル繊維の他にさらに、ポリウレタン繊維を含むことが好ましい。
本発明によれば、ポリエステル繊維を含む布帛を乾熱セットする際に起こり得る、ポリエステル繊維の黄変や強度低下などの脆化および風合いの粗硬化を有効に防止し、布帛として良好な品質を保持することができる。特に、ポリエステル繊維として改質ポリエステル繊維を含む布帛や、ポリウレタン繊維を混用する布帛に対し、180〜200℃の高温で乾熱セットする場合に、顕著な効果が現れる。本発明の染色前処理が施された布帛は、良好な白度を保持することができるため、その染色物は、鮮明性に優れたものとなる。
本発明においてポリエステル繊維とは、主にジカルボン酸とジオールとが脱水縮合により重合したポリエステルからなる繊維をいい、代表的には、テレフタル酸とエチレングリコールの縮合物であるポリエチレンテレフタレート、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールの縮合物であるポリブチレンテレフタレート、テレフタル酸と1,3−プロパンジオールの縮合物であるポリトリメチレンテレフタレートを挙げることができるが、これに限定されるものでなく、第3成分のジカルボン酸やジオールを共重合して得られるポリエステルからなる繊維であってもよく、高圧カチオン染料可染型ポリエステル繊維や常圧カチオン染料可染型ポリエステル繊維、常圧分散染料可染型ポリエステル繊維などの改質ポリエステル繊維も包含するものとする。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、改質ポリエステル繊維であると、本発明の効果がより有効に発揮されるため好ましい。改質ポリエステル繊維として具体的には、東レ株式会社製の“ロックI”、“ロックII”などの高圧カチオン染料可染型ポリエステル繊維、三菱レイヨン株式会社製の“A.H.Y.”(登録商標)、KBセーレン株式会社製の“ルシーナ”(登録商標)、東洋紡績株式会社製の“カラファイン”(登録商標)、東レ株式会社製の“ルミレット”(登録商標)、旭化成せんい株式会社製の“テクノファイン”(登録商標)などの常圧カチオン染料可染型ポリエステル繊維、KBセーレン株式会社製の“ビサール”(登録商標)、旭化成せんい株式会社製の“TEC”(登録商標)などの常圧分散染料可染型ポリエステル繊維を挙げることができる。
上記ポリエステル繊維は、その目的や用途に応じて、長繊維、短繊維のいずれであってもよい。また、断面形状も特に限定されるものでなく、通常の丸型だけでなく、扁平型、三角形、中空型、Y型、T型、U型などの異型であってもよい。
糸条についても、フィラメント糸(長繊維糸)、紡績糸(短繊維糸)のいずれであってもよく、さらには長繊維と短繊維を組み合わせた長短複合紡績糸であってもよい。フィラメント糸は、必要に応じて撚りをかけてもよいし、仮撚加工や液体撹乱処理などにより伸縮性や嵩高性を付与してもよい。
本発明において布帛とは、織物、編物、および不織布を意味する。布帛は、少なくともポリエステル繊維を含んでいればよく、他の繊維の混用は必ずしも要さないが、ポリエステル繊維以外の繊維を混紡、混繊、交撚、合撚、交織、交編などの手法により組み合わせたものであっても構わない。布帛におけるポリエステル繊維の含有量は、30重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上である。ポリエステル繊維の含有量が30重量%未満であると、ポリエステル繊維の優れた特性が十分に発揮されない虞がある。このように、本発明において対象となる布帛は、ポリエスエル繊維を主要構成繊維として含んでなることが好ましい。
ポリエステル繊維と組み合わせる他の繊維は特に限定されるものでなく、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタンなどの合成繊維、アセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、綿、麻などの天然繊維などを挙げることができ、さらにこれらが2種以上組み合わされていてもよい。なかでも、ポリウレタン繊維を組み合わせたものであると、本発明の効果がより有効に発揮されるため好ましい。
ポリウレタン繊維は、分子鎖にウレタン結合(−NHCOO−)を有する繊維をいう。屈曲性を有する低融点のソフトセグメントと、高融点のハードセグメントから構成され、優れた弾性を有することで知られている。このソフトセグメントの違いにより、ポリエーテル系ポリウレタン繊維とポリエステル系ポリウレタン繊維に大別することができる。本発明においてポリウレタン繊維は、そのいずれも使用可能であり、特に限定されない。ポリエーテル系ポリウレタン繊維として具体的には、オペロンテックス株式会社製の“ライクラ”(登録商標)、旭化成せんい株式会社製の“ロイカ”(登録商標)、東洋紡績株式会社製の“エスパ”(登録商標)、富士紡績株式会社製の“フジボウスパンデックス”(登録商標)などを、ポリエステル系ポリウレタン繊維として具体的には、日清紡績株式会社製の“モビロンK”(登録商標)、東洋紡績株式会社製の“アクト”(登録商標)などを挙げることができる。
ポリウレタン繊維の使用形態は特に限定されるものでなく、ポリウレタン繊維の裸糸(ベア糸)をそのまま用いて、布帛化の段階で、他の繊維と組み合わせてもよいし、糸条化の段階で他の繊維と組み合わせたものを用いて、布帛化してもよい。
裸糸のまま用いる場合は、製織編時に2〜4倍程度に伸長させながら、他の繊維と引き揃えて混用することができる。
他の繊維と組み合わせて糸条とする場合は、ポリウレタン繊維を芯糸とし他の繊維をコイル状に巻き付けたカバードヤーン、あるいは、ポリウレタン繊維を芯糸とし他の繊維を鞘状に巻き付けながら紡績したコアヤーンの2つが代表的であるが、合撚糸や交絡糸などの形態であることもできる。なお、布帛化の段階でさらに他の繊維と組み合わせることも可能である。
上記の場合において、ポリウレタン繊維と組み合わせる他の繊維は、ポリエステル繊維以外の繊維であっても構わないが、布帛となった段階で、最終的に、ポリエステル繊維が好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上を占めるように設計することが肝要である。
本発明は、以上に説明したポリエステル繊維を含む布帛の染色前処理方法であって、布帛にスルホン酸塩を含む処理液を付与し、布帛に対し0.05〜2.0重量%のスルホン酸塩を付着させた後、乾熱セットすることを特徴とするものである。なお、本発明に供する布帛は、常法により精練などの処理が施されたものであってもかまわない。
本発明において用いられるスルホン酸塩は、脂肪族系スルホン酸塩または芳香族系スルホン酸塩であることが好ましい。脂肪族系スルホン酸塩として具体的には、メタンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などを挙げることができる。芳香族系スルホン酸塩として具体的には、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナフタリン−α−スルホン酸塩、ナフタリン−β−スルホン酸塩などを挙げることができる。
また、塩の種類としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノール置換、ジエタノール置換などのアルカノール置換アンモニウム塩などを挙げることができる。
また、スルホン酸塩の分子量は1000以下であることが好ましい。分子量が1000を超えると、処理液の粘度が高く、加工斑が生じる虞がある。さらには、染色の際に染着性を阻害したり、染色後にも残留して布帛の風合いが粗硬となったりする虞がある。
これらスルホン酸塩は1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
布帛に対するスルホン酸塩の付着量は、0.05〜2.0重量%であることが求められ、好ましくは0.2〜1.0重量%である。スルホン酸塩の付着量が0.05重量%未満であると、乾熱セットによるポリエステル繊維の黄変や強度低下などの脆化を十分に防止することができず、布帛品質が損なわれる虞がある。スルホン酸塩の付着量が2.0重量%を超えても、効果の増大は認められず経済的でない。さらには、染色の際に染着性を阻害したり、染色後にも残留して布帛の風合いが粗硬となったりする虞がある。
布帛に対するスルホン酸塩の付着量が上記範囲内となるように、処理液におけるスルホン酸塩の濃度、および、布帛に対する処理液の付与量を調節する。処理液におけるスルホン酸塩の濃度、および、布帛に対する処理液の付与量の具体的数値は、これらの相関関係(一方が大となれば一方は小となる)、さらに、布帛に対する処理液の付与方法(後述する)によって大きく異なり一概に特定することはできない。例えば、パディング法による場合、処理液におけるスルホン酸塩の濃度は通常0.1〜10.0重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%であり、布帛に対する処理液の付与量は通常5〜300重量%、好ましくは10〜200重量%である。
ここで処理液とは、スルホン酸塩を含む水溶液であり、他の成分は必ずしも要さないが、本発明の効果を妨げない範囲内で、必要に応じて、pH調整剤、キレート剤、精練剤、帯電防止剤、柔軟剤などの任意成分を、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、後述する理由により、pH調整剤(具体的には不揮発性の酸)またはキレート剤を用いることが好ましく、その両方を用いることがより好ましい。
ポリエステル繊維や、ポリエステル繊維と好ましく組み合わせられるポリウレタン繊維は、中性〜アルカリ性条件下、高温で処理されることにより脆化が促進される。このため、ポリエステル繊維やポリウレタン繊維の脆化を防止する目的で、pH調整剤として不揮発性酸を処理液に付加することが好ましい。不揮発性酸は、処理液のpHを2.5〜6.0に調整できるものである限り特に限定されるものでなく、例えば、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などを挙げることができる。処理液のpHが6.0を超えると、ポリエステル繊維やポリウレタン繊維が脆化する虞がある。処理液のpHが2.5未満であってもまた、ポリエステル繊維(特に改質ポリエステル繊維)やポリウレタン繊維が脆化する虞がある。処理液のpHを2.5〜6.0に調整するのに必要な不揮発性酸の濃度は、通常0.01〜0.3重量%である。
また、キレート剤を処理液に付加することにより、熱酸化促進物質であるFe、Cuなどの金属イオンを除去することができ、より有効にポリエステル繊維やポリウレタン繊維の脆化を防止することができる。キレート剤としては、アミノポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸などを挙げることができる。処理液におけるキレート剤の濃度は0.01〜0.5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3重量%である。キレート剤の濃度が0.01重量%未満であると、金属イオンを十分に除去できない虞がある。キレート剤の濃度が0.3重量%を超えると、経済的でない。
布帛に処理液を付与する方法は、布帛に処理液を均一に付与することができる方法である限り特に限定されるものでなく、例えば、パディング法、グラビア法、ロータリースクリーン法、インクジェット法などを挙げることができる。
本発明の染色前処理方法は、ポリエステル繊維を含む布帛にスルホン酸塩を含む処理液を付与した後、乾熱セットを行う。このときの乾熱セット温度は、180〜200℃であることが好ましくは、より好ましくは190〜200℃である。乾熱セット温度が180℃未満であると、ポリエステル繊維のセット効果が不十分となる虞がある。特に、布帛がポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品である場合には、190℃以上とすることが好ましい。乾熱セット温度が200℃を超えると、ポリエステル繊維やポリウレタン繊維が脆化したり、風合いが粗硬となったりして、布帛品質が損なわれる虞がある。
乾熱セットが行われた布帛は、その後、ポリエステル繊維を染色可能な染料を用いて、常法により染色される。ポリエステル繊維を染色可能な染料としては、分散染料を挙げることができる。また、カチオン染料可染型ポリエステル繊維の場合は、カチオン染料により染色可能であるが、均染性の向上や濃染化のために、分散染料により染色する場合がある。
また、布帛がポリエステル繊維以外の繊維との混用品である場合には、ポリエステル繊維以外の繊維を染色可能な染料と組み合わせて染色する。このとき、組み合わせる染料に応じて一浴染め(同浴染め)、二浴染め(別浴染め)のいずれかを適宜選択すればよい。ポリエステル繊維と好ましく組み合わせられるポリウレタン繊維を染色可能な染料としては、分散染料や酸性染料を挙げることができるが、堅牢度が十分でないことから、通常、ポリウレタン繊維を積極的に染色することはない。ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用品を分散染料で染色する場合は、染色温度を高くするなど、ポリウレタン繊維への染着(汚染)を抑え、ポリエステル繊維への染着を高める工夫が必要となる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
また、本発明の染色前処理方法の評価は、以下の方法に従った。
[白度]
JIS Z 8715に準じて、布帛の表面色濃度を分光光度計(CE―3000、グレタグマクベス社製)を使用して測定し、白色度指数(W)を求めた。白色度指数の値が大きいほど、白さの度合いが大きいことを意味する。
[風合い]
ハンドリングによる官能評価を行い、以下の基準に従って判定した。
○:柔軟性がある
△:やや柔軟性に欠ける
×:硬く、柔軟性がない
[破断強度および破断伸度]
20℃、65%RHの雰囲気下、引張試験機(オートグラフ、株式会社島津製作所製)を使用して、試料長200mmの糸条を、チャック間距離100mm、速度300mm/分にて引っ張り、破断時の強度と伸度を求めた。
[実施例1]
常圧カチオン染料可染型ポリエステル繊維のマルチフィラメント糸(三菱レイヨン株式会社製の“A.H.Y.”(登録商標)、84dtex/48f)とポリウレタン繊維の裸糸(旭化成せんい株式会社製の“ロイカ(登録商標)C804”、40dtex)をそれぞれ85重量%、15重量%の割合で含むトリコット編物を準備した。
この布帛を、分子量200のベンゼンスルホン酸ソーダを2.0重量%含む常温水溶液(pH7.0)に5秒間浸漬後、マングルにて絞り(絞り率40重量%)、布帛に対して0.8重量%のベンゼンスルホン酸ソーダを付着させた後、195℃で3分間乾熱セットを行った。この状態の布帛について、白度を測定した。
次いで、分散染料としてDianix Blue HF−2G(ダイスタージャパン株式会社製、C.I.ディスパーズブルー 165−1)を布帛に対して2.0重量%、pH調整剤として酢酸を0.5cc/l、均染剤としてニッカサンソルト8000(日華化学株式会社製)を0.5g/l含む染色液(pH4.0)にて、120℃で60分間染色した。次いで、常法により還元洗浄後、150℃で30秒間乾燥した。得られた染布について、風合いを評価した。また、常圧カチオン染料可染型ポリエステル繊維のマルチフィラメント糸を抜き取り、破断強度および破断伸度を測定した。
[実施例2]
染色前処理液として、分子量200のベンゼンスルホン酸ソーダを2.0重量%、酒石酸を0.05重量%含む常温水溶液(pH3.0)を用いた以外は、実施例1と同様にして染色前処理布および染布を得た。
[実施例3]
染色前処理液として、分子量200のベンゼンスルホン酸ソーダを2.0重量%、EDTAを0.05重量%含む常温水溶液(pH6.5)を用いた以外は、実施例1と同様にして染色前処理布および染布を得た。
[実施例4]
染色前処理液として、分子量200のベンゼンスルホン酸ソーダを2.0重量%、酒石酸を0.05重量%、EDTAを0.05重量%含む常温水溶液(pH3.1)を用いた以外は、実施例1と同様にして染色前処理布および染布を得た。
[実施例5]
染色前処理液として、分子量200のベンゼンスルホン酸ソーダを0.2重量%、酒石酸を0.05重量%、EDTAを0.05重量%含む常温水溶液(pH3.0)を用い、布帛に対して0.08重量%のベンゼンスルホン酸ソーダを付着させた以外は、実施例1と同様にして染色前処理布および染布を得た。
[実施例6]
染色前処理液として、分子量200のベンゼンスルホン酸ソーダを4.0重量%、酒石酸を0.05重量%、EDTAを0.05重量%含む常温水溶液(pH3.4)を用い、布帛に対して1.6重量%のベンゼンスルホン酸ソーダを付着させた以外は、実施例1と同様にして染色前処理布および染布を得た。
[比較例1]
染色前処理液として、常温水(pH7.0)を用いた以外は、実施例1と同様にして染色前処理布および染布を得た。
[比較例2]
染色前処理液として、酒石酸を0.05重量%含む常温水溶液(pH3.0)を用いた以外は、実施例1と同様にして染色前処理布および染布を得た。
[比較例3]
染色前処理液として、EDTAを0.05重量%含む常温水溶液(pH6.5)を用いた以外は、実施例1と同様にして染色前処理布および染布を得た。
[比較例4]
染色前処理液として、分子量200のベンゼンスルホン酸ソーダを0.1重量%、酒石酸を0.05重量%、EDTAを0.05重量%含む常温水溶液(pH3.0)を用い、布帛に対して0.04重量%のベンゼンスルホン酸ソーダを付着させた以外は、実施例1と同様にして染色前処理布および染布を得た。
[比較例5]
染色前処理液として、分子量200のベンゼンスルホン酸ソーダを8.0重量%、酒石酸を0.05重量%、EDTAを0.05重量%含む常温水溶液(pH3.6)を用い、布帛に対して3.2重量%のベンゼンスルホン酸ソーダを付着させた以外は、実施例1と同様にして染色前処理布および染布を得た。
[実施例7]
レギュラーポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)繊維のマルチフィラメント糸(帝人株式会社製の“テトロン”、56dtex/36f)とポリウレタン繊維の裸糸(旭化成せんい株式会社製の“ロイカ(登録商標)C804”、40dtex)をそれぞれ85重量%、15重量%の割合で含むトリコット編物を準備した。
この布帛を、分子量200のベンゼンスルホン酸ソーダを2.0重量%、酒石酸を0.05重量%、EDTAを0.05重量%含む常温水溶液(pH3.1)に5秒間浸漬後、マングルにて絞り(絞り率40重量%)、布帛に対して0.8重量%のベンゼンスルホン酸ソーダを付着させた後、195℃で3分間乾熱セットを行った。この状態の布帛について、白度を測定した。
次いで、分散染料としてDianix Blue HF−2G(ダイスタージャパン株式会社製、C.I.ディスパーズブルー 165−1)を布帛に対して2.0重量%、pH調整剤として酢酸を0.5cc/l、均染剤としてニッカサンソルト8000(日華化学株式会社製)を0.5g/l含む染色液(pH4.0)にて、135℃で30分間染色した。次いで、常法により還元洗浄後、150℃で30秒間乾燥した。得られた染布について、風合いを評価した。また、レギュラーポリエステル繊維のマルチフィラメント糸を抜き取り、破断強度および破断伸度を測定した。
[比較例6]
染色前処理液として、常温水(pH7.0)を用いた以外は、実施例7と同様にして染色前処理布および染布を得た。
上記実施例および比較例で得られた染色前処理布および染布について評価した結果を表1に示す。
Figure 2009091676

Claims (7)

  1. ポリエステル繊維を含む布帛を染色するに先立ち、布帛に対して行う前処理方法であって、布帛にスルホン酸塩を含む処理液を付与し、布帛に対し0.05〜2.0重量%のスルホン酸塩を付着させた後、乾熱セットすることを特徴とする前処理方法。
  2. 処理液が、スルホン酸塩の他にさらに、不揮発性酸を含むことを特徴とする、請求項1に記載の前処理方法。
  3. 処理液が、スルホン酸塩の他にさらに、キレート剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の前処理方法。
  4. 処理液が、スルホン酸塩の他にさらに、不揮発性酸とキレート剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の前処理方法。
  5. 乾熱セットを180〜200℃の温度で行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の前処理方法。
  6. ポリエステル繊維が、高圧カチオン染料可染型ポリエステル繊維、常圧カチオン染料可染型ポリエステル繊維、および、常圧分散染料可染型ポリエステル繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の前処理方法。
  7. 布帛が、ポリエステル繊維の他にさらに、ポリウレタン繊維を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の前処理方法。
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