JP2008214773A - デニム調織物及び繊維製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造時の環境負荷が小さい天然竹繊維を用いてなり、適度な張り・腰感と麻調の清涼感とを有し、広範囲の用途展開が可能なデニム調織物を提供することを技術的な課題とする。
【解決手段】 天然竹繊維を含む紡績糸を用いてなる織物であって、バット染料で染色されているデニム調織物、並びにこのデニム調織物を用いてなる繊維製品。本発明のデニム調織物は、天然竹繊維使いであるため適度な張り・腰感と、麻調の清涼感とを有し、吸湿性にも優れるものである。したがって、広範囲の用途展開が可能である。
【選択図】 なし
【解決手段】 天然竹繊維を含む紡績糸を用いてなる織物であって、バット染料で染色されているデニム調織物、並びにこのデニム調織物を用いてなる繊維製品。本発明のデニム調織物は、天然竹繊維使いであるため適度な張り・腰感と、麻調の清涼感とを有し、吸湿性にも優れるものである。したがって、広範囲の用途展開が可能である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、天然竹繊維使いのデニム調織物及びこれを用いてなる繊維製品に関するものである。
綿織物の一態様として、カジュアルウエアに多用されるデニム織物があげられることは周知である。
デニム織物とは、一般に経糸として先染糸を用い、緯糸として未染色の晒糸を用いた厚手の綾織物を指し、強度、吸水性、保温性などに優れることが知られている。
しかしながら、デニム織物は厚手であり、通常綿糸を主体とすることから、秋冬衣料に好適に使用できる反面、春夏衣料には蒸れ易いという理由から敬遠される傾向にあった。
これを改善するために、特許文献1において、竹を原料としてビスコース法により製造される所謂竹レーヨン繊維と称される繊維からなる織物が開示されている。
特許第3448526号公報
この織物は、清涼感に優れるため春夏衣料に好適に使用できるが、張り・腰感に欠けること、並びに竹レーヨン繊維を製造する際の環境負荷が大きいという理由から、竹レーヨン繊維に替わる繊維からなる織物が要望されている。
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するものであり、製造時の環境負荷が小さい天然竹繊維を用いてなり、適度な張り・腰感と麻調の清涼感とを有し、広範囲の用途展開が可能なデニム調織物を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、竹そのものを細かく分繊化して得た天然竹繊維を用いて、特定の染料で染色すればよいことを知見して本発明に到達した。
すなわち、第一の発明は、天然竹繊維を含む紡績糸を用いてなる織物であって、バット染料で染色されていることを特徴とするデニム調織物を要旨とするものである。
また、第二の発明は、上記のデニム調織物を用いてなる繊維製品を要旨とするものである。
本発明のデニム調織物は、天然竹繊維使いであるため適度な張り・腰感と、麻調の清涼感とを有し、吸湿性にも優れるものである。したがって、広範囲の用途展開が可能である。また、本発明に用いられる天然竹繊維は、製造時の環境負荷が小さいので、環境保護の観点から好ましい繊維といえる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明にいう「デニム調」とは、デニム織物と同一又は類似の特徴を備えているという意味である。つまり、経糸が先染糸でありかつ緯糸が染色されていない厚手の綾織物という純然たるデニム織物と同一設計の織物に限定されるのではなく、経糸が染色されており、かつ経糸の色彩と緯糸の色彩とが互いに異なる、厚手で畝を有する織物全般を対象とするものである。ここで「染色」とは、後述する先染め、後染めの何れをも含むものである。また、織物組織としては、畝を有していればよく、綾組織だけでなく、例えばピケ組織などのように経方向に畝のある組織でもよい。そして「厚手」とは、高目付けの織物を指し、具体的には、目付けとして、150〜400g/m2であることが好ましく、200〜350g/m2であることがより好ましい。さらに、色彩が異なるとは、具体的に、色の三属性(明度、色相、彩度)の内、何れかが異なるような態様をいう。なお、三属性による色の表示方法は、JIS Z8721に準ずる。
本発明に用いる天然竹繊維は、真竹、孟宗竹など天然に生育する竹を分繊して得られるもので、断面中央長手方向に中空部を有しており、織物に吸湿性や軽量感を付与することができる。天然竹繊維の単糸繊度としては、0.9〜20.0dtexであることが好ましく、2.0〜10.0dtexであることがより好ましい。単糸繊度が0.9dtex未満であると、繊維の強度が低下する傾向にあり、さらに織物の張り・腰感も低下する傾向にあるため好ましくない。一方、20.0dtexを超えると、紡績性が著しく低下し、さらに織物の風合いも硬くなる傾向にあるため好ましくない。また、天然竹繊維の平均繊維長としては、20〜200mmであることが好ましく、30〜150mmであることがより好ましい。平均繊維長がこの範囲であると、紡績性が向上する傾向にあるので好ましい。
本発明のデニム調織物は、上記の天然竹繊維を含む紡績糸を用いてなるものである。この紡績糸に含まれる天然竹繊維以外の繊維としては、綿、麻、羊毛、カシミヤ、絹などの天然繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、溶剤紡糸セルロース繊維などの再生繊維、ジアセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタンなどの合成繊維などがあげられ、特に、植物由来のポリ乳酸繊維などの生分解性合成繊維を採用すると、環境負荷を抑えることができる。また、これら天然竹繊維以外の繊維の形態としては、短繊維、長繊維の何れであってもよい。
上記の紡績糸における天然竹繊維の質量比率としては、任意でよいが、一般的に30質量%以上、好ましくは50質量%以上がよい。
また、紡績糸の撚数としては、200〜2000回/mが好ましく、500〜1200回/mがより好ましい。撚数がこの範囲であると、織物の張り・腰感が増す傾向にあるので好ましい。
本発明のデニム調織物は、基本的に上記の紡績糸を主体にして構成されるものであるが、必要に応じて他の糸条が併用されていてもよい。他の糸条としては、どのような糸条でもよく、上記した繊維からなる紡績糸、フィラメント糸、仮撚糸、エア混繊糸、カバリング糸などが採用できる。
また、本発明のデニム調織物は、バット染料で染色されてなるものである。この場合、少なくとも経糸が同染料で染色されるのが好ましい。本発明においては、基本的に経糸の色彩と緯糸の色彩とは異なるものであり、緯糸の色彩を淡くするほどデニム調を強調できる傾向にある。したがって、緯糸の色彩が白色であること、つまり、緯糸は染色されていないことが好ましいのである。
本発明におけるバット染料としては、インジゴ系、アントラキノン系の何れのバット染料も使用可能であるが、インジゴ系がデニム調をより強調できる観点から好ましく採用できる。
バット染料の分子は共役の位置にカルボニル基を有し、染料自身は水に不溶であるが、アルカリ性還元浴で還元されると、ロイコ化合物のアルカリ塩となって水に溶解する。ロイコ化合物は、天然竹繊維に対し親和性があるだけでなく、空気によって酸化され元の不溶性染料に戻るという特性を有する。
さらに、バット染料は、反応染料や直接染料などと比べ、繊維内部に対する染着力に乏しい。そのため、バット染料の染着機構は、繊維表面に染着する所謂リング染色と称される態様を呈す。このためリング染色された繊維においては、繊維から染料が少量脱落しただけで色落ちする。バット染料で染色された天然竹繊維の場合、天然竹繊維が比較的高い結晶化度を有することからリング染色の態様を比較的顕著に呈しており、さらにバット染料が摩擦や洗濯により脱落しやすい傾向にあることから、使用するにつれ色落ちしやすい傾向にある。したがって、本発明のデニム調織物も、同じく使用に伴って色落ちしやすい傾向にある。織物を含む繊維製品においては、本来色落ちしやすいことは好ましいことではないが、デニム調織物として使用する場合は、色落ちしやすいことがむしろ好ましい特性として作用する場合がある。すなわち、使用するにつれ独特の斑感、ファンシー感が生ずるのである。そのような理由から本発明のデニム調織物は、バット染料で染色されている必要がある。
本発明のデニム織物は、このようにバット染料で染色されていることにより、商品価値を容易に高めることができる。例えば、得られたデニム織物をウォッシュ・アウト加工することで洗いざらし感を、ストーン・ウォッシュ加工することで着古し感を、フェード・アウト加工やブリーチ・アウト加工することで色褪せ感を発現させることができる。
本発明のデニム調織物の用途としては、基本的にカジュアルウエアに使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明のデニム調織物を用いてなる繊維製品としては、ズボン、オーバーオール、ジャケット、ジャンパー、ブルゾン、スカートなどのカジュアルウエアは勿論のこと、スポーツウエア、学生服、作業服、事務用制服、ブラウス、Yシャツ、Tシャツ、下着、靴下、パジャマ、浴衣、手袋、帽子などの上記カジュアルウエア以外の衣料品、枕カバー、布団カバー、シーツ、側地などの寝装品、タオル、ハンカチ、ワイピングクロス、便座カバーなどの生活用品、カーテン、テーブルクロス、壁紙などのインテリア用品などがあげられる。
次に、本発明に係るデニム調織物を製造する方法について説明する
本発明における天然竹繊維は、既述のように竹を分繊して得られるものである。分繊方法としては、特に限定されないが、竹を所定の長さに切断した後、100〜140℃の加熱加圧状態から瞬時に非加圧状態に移行することで竹を爆砕する方法が採用できる。この方法において、竹は、酸又はアルカリを用いて浸漬処理されることが好ましく、この浸漬処理は、竹を爆砕する前又は爆砕の最中に行われることが好ましい。浸漬処理の時間としては、1〜48時間が好ましい。
本発明における天然竹繊維は、既述のように竹を分繊して得られるものである。分繊方法としては、特に限定されないが、竹を所定の長さに切断した後、100〜140℃の加熱加圧状態から瞬時に非加圧状態に移行することで竹を爆砕する方法が採用できる。この方法において、竹は、酸又はアルカリを用いて浸漬処理されることが好ましく、この浸漬処理は、竹を爆砕する前又は爆砕の最中に行われることが好ましい。浸漬処理の時間としては、1〜48時間が好ましい。
また、紡績糸を得るための方法としては、繊度、繊維長に応じて綿紡、梳毛紡、オープンエンド紡、結束紡などが採用できる。なお、天然竹繊維以外の繊維を用いる場合は、平均繊維長を天然竹繊維と同程度にすることが好ましい。
紡績糸を得た後は、所謂先染め織物を得る方法に準ずる、あるいは後染め織物を得る方法に準ずることにより、本発明のデニム調織物を得ることができる。
先染め織物を得る方法とは、紡績糸を染色し、しかる後に製織する方法である。この場合、まず、上記の手段で得られた、天然竹繊維を含む紡績糸をバット染料で染色する。
染色された紡績糸は、整経された後、必要に応じてサイジングされ、エアージェット織機、レピア織機などの織機を使用して製織することにより、本発明のデニム調織物を得ることができる。製織の際には、できうる限り経糸張力を低く設定し、回転数も落として稼動させることが好ましい。そうすることで、生産効率はやや低下するものの、結果的に開口不良を抑えることができ、ひいては欠点の少ない織物を得ることができる。また、織物組織としては、畝を有していれば特に限定されないが、綾組織が好ましい。特に好ましいのは、2/1綾組織、3/1綾組織である。織物構造としては、一重構造、多重構造の何れであってもよい。
一方、後染め織物を得る方法とは、製織し、しかる後に染色する方法である。
染色条件としては、上記両方法共に、バット染料の種類に応じて適宜染色条件を調整することが好ましい。具体的には、綿、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース繊維などのセルロース系繊維の染色条件に準ずればよい。つまり、染浴の調整方法としては、直接建浴法、濃厚建浴法などが採用でき、染浴には、バット染料の他、マイグレーション防止剤、消泡剤、浸透剤、キレート剤、分散剤などの助剤を含有させることが好ましい。そして、染浴は、通常、アルカリ性を強くする。そのため、竹繊維が損傷していると、膨潤しやすく、ひいては強度低下を引き起こす場合がある。したがって、染色は、繊維を損傷させずに行うことが好ましい。
以上のように、紡績糸を得た後は、所謂先染め織物を得る方法、又は後染め織物を得る方法の何れかを選択することにより、本発明のデニム調織物を得ることができるが、前述の如く緯糸は染色されていないことが好ましいため、先染め織物を得る方法を選択することが好ましい。
また、デニム調織物に所望の特性を付与したい場合は、公知の手段で付帯加工すればよい。例えば、吸水性を望む場合には、公知の手段で吸水加工すればよいし、柔軟性を望む場合には、公知の手段で柔軟加工すればよい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
中国産の竹から分繊して得た天然竹繊維(繊度4.2dtex、平均繊維長88mm)を用い、通常の綿紡績の手段に準じて、英式綿番手10番手、撚数470回/mの天然竹繊維からなる紡績糸を得た。
中国産の竹から分繊して得た天然竹繊維(繊度4.2dtex、平均繊維長88mm)を用い、通常の綿紡績の手段に準じて、英式綿番手10番手、撚数470回/mの天然竹繊維からなる紡績糸を得た。
次いでこの竹繊維からなる紡績糸をロープ状にして精練、漂白、湯洗した。湯洗後、バット染料(ダイスター社製、「Mitsui Tsuya Indigo RN(商品名)」)を含有する還元染浴に浸漬し、圧搾、空気酸化するサイクルを3回繰り返すことで、上記紡績糸を染色した。
そして、染色された紡績糸を荒巻整経後、サイジングして織機ビームに巻取り、レピア織機を使用して回転数180rpmにて、経糸密度70本/2.54cm、緯糸密度40本/2.54cmで2/1綾組織の本発明のデニム調織物を製織した。なお、緯糸には英式綿番手10番手の未染色の綿晒糸を用いた。
(実施例2)
実施例1で用いた天然竹繊維を用い通常の綿紡績の手段に準じて、英式綿番手20番手、撚数660回/mの天然竹繊維からなる紡績糸を得た。
実施例1で用いた天然竹繊維を用い通常の綿紡績の手段に準じて、英式綿番手20番手、撚数660回/mの天然竹繊維からなる紡績糸を得た。
次いでこの竹繊維からなる紡績糸を荒巻整経後、サイジングして織機ビームに巻取り、エアージェット織機を使用して回転数350rpmにて、経糸密度100本/2.54cm、緯糸密度60本/2.54cmで2/1綾組織の生機を製織した。なお、緯糸には、芯部に44dtexのポリウレタン長繊維糸を、鞘部にポリエステル短繊維糸を配した、英式綿番手36番手のカバリング糸を用いた。
次に、この生機を精練、シルケット加工した後、バット染料(ダイスター社製、「Mikethren Super fine Navy Blue FRA(商品名)」)を用い、パッドスチーム法にて染色し、公知の仕上加工を行い、本発明のデニム調織物を得た。
以上のようにして実施例1、2で得られたデニム調織物は、適度な張り・腰感と、麻調の清涼感とを有し、吸湿性にも優れるものであった。
Claims (2)
- 天然竹繊維を含む紡績糸を用いてなる織物であって、バット染料で染色されていることを特徴とするデニム調織物。
- 請求項1記載のデニム調織物を用いてなる繊維製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007049552A JP2008214773A (ja) | 2007-02-28 | 2007-02-28 | デニム調織物及び繊維製品 |
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JP2007049552A JP2008214773A (ja) | 2007-02-28 | 2007-02-28 | デニム調織物及び繊維製品 |
Publications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2007
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