JP2009091561A - 変位耐久性を有する硬化物を与えるシリコーンゲル組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)下記平均組成式(1):RaR1 bSiO(4−a−b)/2(1)(Rはアルケニル基)で表され、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン、(B)(B-1)下記平均組成式(2):(HR2 2SiO1/2)c(R3 2SiO)d(R4SiO3/2)e(2)で示され、1分子中に少なくとも3個の珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(B-2)下記平均組成式(3):R5 fHgSiO(4-f-g)/2(3)で表され、1分子中に珪素原子に結合した水素原子を1個又は2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(C)白金系触媒を含有してなるシリコーンゲル組成物、硬化物、及び該硬化物で封止された電子部品。
【選択図】なし
Description
即ち、本発明は、
(A)下記平均組成式(1):
RaR1 bSiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rはアルケニル基を表し、R1は脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を表し、aは0.0001〜0.2の数であり、bは1.7〜2.2の数であり、但しa+bは1.9〜2.4を満たす数である)
で表され、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン、
(B)
(B-1)下記平均組成式(2):
(HR2 2SiO1/2)c(R3 2SiO)d(R4SiO3/2)e (2)
(式中R2、R3及びR4は、それぞれ異なっても同一であってもよい脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、cは0.005〜0.3、dは0.5〜0.98、eは0.01〜0.12、c+d+e=1を満たす数である)
で示され、1分子中に少なくとも3個の珪素原子に結合した水素原子を有し、かつ1分子中に少なくとも2個以上の(R4SiO3/2)単位を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、
(B-2)下記平均組成式(3):
R5 fHgSiO(4-f-g)/2 (3)
(式中、R5は脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の1価炭化水素基であり、また、fは0.7〜2.2、gは0.001〜0.5で、かつf+gが0.8〜2.5を満足する正数である。)で表され、1分子中に珪素原子に結合した水素原子を1個又は2個含有し、且つ分子鎖末端の珪素原子に結合した水素原子を1個又は2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと
からなり、(B-1)成分由来の珪素原子に結合した水素原子の個数αと(B-2)成分由来の珪素原子に結合した水素原子の個数βに対し、下記式(4):
0≦β/(α+β)≦0.75 (4)
を満足し、かつ、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個に対して、(B)成分中の珪素原子に結合した水素原子の合計が、0.1〜5個である量、及び
(C)白金系触媒: 有効量
を含有してなるシリコーンゲル組成物を提供する。
本発明はまた、上記シリコーンゲル組成物を硬化して得られる、JIS K2207で規定される針入度が10〜200である硬化物を提供する。
以下、各成分について詳細に説明する。なお、本明細書中において、粘度は25℃における測定値である。
本発明の組成物の(A)成分は、組成物の主剤(ベースポリマー)となる成分である。(A)成分は、上記平均組成式(1)で表され、1分子中に珪素原子に結合したアルケニル基(以下、「珪素原子結合アルケニル基」という)を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンである。珪素原子結合アルケニル基は、1分子中に2〜50個含まれるのが好ましく、2〜20個含まれるのがより好ましい。珪素原子結合アルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖非末端(即ち、分子鎖両末端以外)の珪素原子に結合していても、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。
で表されるものが挙げられる。この式(1a)中、R6で表される置換または非置換の1価炭化水素基は、前記R(アルケニル基)およびR1(脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基)で定義したものと同じであり、その炭素原子数、具体例等も同じである。また、hは、好ましくは40〜1,200、より好ましくは50〜600の整数である。
本成分のオルガノポリシロキサンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の組成物の平均組成式(2)で表される(B-1)成分は、上記(A)成分と反応して、架橋剤として作用するものであり、本発明に必須の成分である。(B-1)成分は、上記平均組成式(2)で示される。ここで、cは0.005〜0.3、好ましくは0.01〜0.25、より好ましくは0.02〜0.2であり、dは0.5〜0.98、好ましくは0.6〜0.97、より好ましくは0.7〜0.95であり、eは0.01〜0.12、好ましくは0.015〜0.1、より好ましくは0.02〜0.08であり、c+d+e=1を充たす数である。(B-1)成分は分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiHで示されるヒドロシリル基)を少なくとも3個、好ましくは、ジオルガノハイドロジェンシロキシ基、即ち、(HR2 2SiO1/2)で示される珪素原子に結合した水素原子を有する末端基(言い換えれば、分子鎖末端の珪素原子に結合した水素原子)を少なくとも3個と、(R4SiO3/2)で示される分岐点(即ち、オルガノシルセスキオキサン単位)を少なくとも2個有すること以外に制限はない。cが0.005未満ではシリコーンゲル硬化物が得られず、また0.3を超える場合は、硬化物の変位耐久性が低下する。また、eが0.01未満の場合はシリコーンゲル硬化物が得られず、0.12を超えた場合、均一な硬化物表面に疎密が発生する。
(B-1)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
上記平均組成式(3)中、R5は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換または置換の一価炭化水素基であり、その炭素原子数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部を、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子で置換した基、例えば3,3,3-トリフルオロプロピル基等、が挙げられる。中でも好ましくはアルキル基、アリール基、3,3,3-トリフルオロプロピル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基である。
(B-2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン一分子中のケイ素原子の数(即ち、重合度)は、通常10〜1,000個であるが、組成物の取扱作業性および得られる硬化物の特性(低弾性率、低応力)が良好となる点から、好ましくは10〜500個、より好ましくは15〜200個である。
(B-2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の組成物の(C)成分は、前記(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基と前記(B)成分中の珪素原子結合水素原子との付加反応を促進させるための成分である。(C)成分は、白金系触媒であり、具体的には白金および/または白金系化合物である。
本成分の白金系触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の組成物には、上記(A)〜(C)成分以外にも、本発明の作用・効果を妨げない範囲で任意成分を配合することができる。
任意成分としては、例えば、反応抑制剤(特に、窒素原子に結合した水素原子が非置換の若しくはアルキル基で置換されたアルキレンジアミン以外の反応抑制剤);無機質充填剤;耐熱性付与剤;難燃性付与剤;チクソ性付与剤;顔料;染料;珪素原子結合水素原子および珪素原子結合アルケニル基のいずれも含有しないオルガノポリシロキサン(即ち、(A)成分および(B)成分以外のオルガノポリシロキサン)等が挙げられる。
本発明の組成物は、上記各成分を常法に準じて混合することにより調製することができる。この際、本発明の組成物を1液型として用いても、2液型またはそれ以上のパートに分割して用いてもよい。2液型として用いる場合には、例えば、(A)成分の一部および(C)成分からなるパートと、(A)成分の残部および(B)成分からなるパートとに分割することが可能である。なお、任意成分はどちらのパートに配合してもよい。本発明の組成物は、常温(25℃)または用途に応じた温度条件下で硬化させることができる。
粘度が600mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100部、下記平均組成式(5):
(H(CH3)2SiO1/2)12((CH3)2SiO)120(CH3SiO3/2)6 (5)
で表される、粘度が35mm2/sのジメチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体12.8部(このとき、上記式(4)のβ/(α+β)で表される比は0であり、(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基1個に対する(B)成分中の珪素原子結合水素原子の個数の比(以下、H/Viという)は1.03であった。)、白金原子を1質量%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液0.05部、および1-エチニルシクロヘキサノール0.005部を均一に混合することにより、組成物1を調製した。この組成物1を120℃で30分加熱することにより硬化したところ、針入度が60のシリコーンゲル硬化物が得られた。
粘度が1000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100部、下記平均組成式(6):
(H(CH3)2SiO1/2)6((CH3)2SiO)120(CH3SiO3/2)4 (6)
で表され、粘度が91mm2/sのジメチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体18.3部(このとき、上記式(4)のβ/(α+β)で表される比は0であり、H/Viは0.96であった。)、白金原子を1質量%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液0.05部、および1-エチニルシクロヘキサノール0.01部を均一に混合することにより、組成物2を調製した。この組成物2を100℃で60分加熱することにより硬化したところ、針入度53のシリコーンゲル硬化物が得られた。
粘度が600mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100部、上記平均組成式(6)で表されるジメチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体11.6部、下記式(7):
粘度が400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100部、上記平均組成式(6)で表されるジメチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体12.5部、下記式(8):
実施例2において、上記式(6)で表されるジメチルハイドロジェン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体18.3部の代わりに、下記式(9):
粘度が880mPa・sである両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100部、
下記平均組成式(11):
(H(CH3)2SiO1/2)3((CH3)2SiO)30(CH3SiO3/2)1 (11)
で表され、粘度11mm2/sであるジメチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体6.6部(このとき、H/Viは0.54であった。)、塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液(白金元素含有量:2wt%)を0.015部、N,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミン0.001部を均一に混合し、組成物6を得た。この組成物を150℃で30分加熱硬化したところ、針入度230のシリコーンゲル硬化物を得た。
実施例4において、上記平均組成式(6)で表されるジメチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルシロキサン共重合体の量を2部に変更し、式(8)で表されるジメチルポリシロキサン14.8部の代わりに、下記式(10):
上記実施例および比較例で得られた7種類の硬化物を用いて、厚さ2mmのゲルシートを作成し、その伸びおよび引き裂き強度をJIS-K 6251およびJIS K-6252に準じて行った。その結果を表1及び表2に示す。
実施例1〜4は、本発明の要件を満たすものであって、良好なゴム特性を有するシリコーンゲル硬化物が得られている。
これに対し、比較例1〜3は、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが分岐点を有さないか又は分岐点の数が少ないため、本発明の要件を満たさないものである。比較例1で得られた硬化物は実施例1と同等の針入度と伸びを示しているが、ゴム強度(伸び及び引裂き強度)は実施例1〜4と比較して格段に小さいものものであった。また、比較例2で得られた硬化物は非常に大きな針入度となるため、ゲル強度(伸び及び引裂き強度)は測定不能であった。比較例3で得られた硬化物は、ゴム強度(伸び及び引裂き強度)が実施例1〜4と比較して格段に小さいものものであった。
以上により、本発明の要件を満たして初めて、得られる組成物は、変位耐久性のある硬化物を与えるシリコーンゲル組成物となることは明らかである。
Claims (5)
- (A)下記平均組成式(1):
RaR1 bSiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rはアルケニル基を表し、R1は脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を表し、aは0.0001〜0.2の数であり、bは1.7〜2.2の数であり、但しa+bは1.9〜2.4を満たす数である)
で表され、珪素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン、
(B)
(B-1)下記平均組成式(2):
(HR2 2SiO1/2)c(R3 2SiO)d(R4SiO3/2)e (2)
(式中R2、R3及びR4は、それぞれ異なっても同一であってもよい脂肪族不飽和結合を有さない置換または非置換の1価炭化水素基を示し、cは0.005〜0.3、dは0.5〜0.98、eは0.01〜0.12、c+d+e=1を満たす数である)
で示され、1分子中に少なくとも3個の珪素原子に結合した水素原子を有し、かつ1分子中に少なくとも2個以上の(R4SiO3/2)単位を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、
(B-2)下記平均組成式(3):
R5 fHgSiO(4-f-g)/2 (3)
(式中、R5は脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の1価炭化水素基であり、また、fは0.7〜2.2、gは0.001〜0.5で、かつf+gが0.8〜2.5を満足する正数である。)で表され、1分子中に珪素原子に結合した水素原子を1個又は2個含有し、且つ、分子鎖末端の珪素原子に結合した水素原子を1個又は2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと
からなり、(B-1)成分由来の珪素原子に結合した水素原子の個数αと(B-2)成分由来の珪素原子に結合した水素原子の個数βに対し、下記式(4):
0≦β/(α+β)≦0.75 (4)
を満足し、かつ、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基1個に対して、(B)成分中の珪素原子に結合した水素原子の合計が、0.1〜5個である量、及び
(C)白金系触媒: 有効量
を含有してなるシリコーンゲル組成物。 - (B)成分において、0<β/(α+β)≦0.75である、請求項1記載のシリコーンゲル組成物。
- (B-2)成分が、分子鎖両末端ジオルガノハイドロジェンシロキシ基封鎖ジオルガノポリシロキサンである請求項1又は2記載のシリコーンゲル組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーンゲル組成物を硬化して得られる、JIS K2207で規定される針入度が10〜200である硬化物。
- 請求項4記載の硬化物により封止された電子部品。
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