JP2008270653A - 副元素含有原料から製造された非多孔性炭素及び電気二重層キャパシタ - Google Patents

副元素含有原料から製造された非多孔性炭素及び電気二重層キャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】電気二重層キャパシタの静電容量を増大させること。
【解決手段】イオウ、窒素、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選択される少なくとも一種の副元素を1000ppm以上含有する易黒鉛化炭素を、不活性雰囲気下600〜1100℃で2〜8時間焼成する前焼成工程;焼成した粉末を、重量比で1〜5倍量の水酸化アルカリ粉末と混合し、粉末混合物を、不活性雰囲気下600〜1000℃で2〜8時間焼成するアルカリ賦活工程;及び賦活した粉末混合物を洗浄して水酸化アルカリを除去する工程;を包含する方法によって得られる、黒鉛類似の微結晶を有する非多孔性炭素。
【選択図】なし

Description

本発明は黒鉛類似の微結晶を有する非多孔性炭素及び有機電解液中に分極性電極が浸されてなる電気二重層キャパシタに関する。
キャパシタは大電流で充電放電を繰り返すことができ、充放電頻度の高い電力蓄積用として有望である。そのため、キャパシタには、エネルギー密度、急速充放電特性、耐久性等の向上が望まれている。
特許文献1には、電気二重層キャパシタに用いる分極性電極として、非多孔性炭素が記載されている。この炭素材料は黒鉛類似の微結晶を有し、比表面積は300m2/g以下であり比較的小さい。非多孔性炭素を含む電極は電圧を印加すると黒鉛類似の微結晶の層間に電解質イオンが溶媒を伴いながら挿入されることにより、電気二重層を形成すると考えられている。
特許文献2には、ニードルコークスや不融化処理したピッチを原料として分極性電極を製造することが記載されている。ニードルコークスとは針状結晶のよく発達した、黒鉛化性のよいか焼コークスをいう。ニードルコークスは高い電気伝導性と極めて低い熱膨張係数を有し、また黒鉛結晶構造に基づく高い異方性を有している。ニードルコークスは、一般に特殊処理したコールタールピッチ又は石油系重質油を原料とし、ディレードコーキング方式で製造される。
特許文献3には、有機電解液中に非多孔性炭素を含む電極を浸してなる電気二重層キャパシタが記載されている。有機電解液はイオン伝導性を示す必要があり、溶質はカチオンとアニオンとが結合した塩である。カチオンとしてはテトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、及びトリエチルメチルアンモニウムのような低級脂肪族4級アンモニウム、テトラエチルホスホニウムのような低級脂肪族4級ホスホニウム、及びイミダゾリウム誘導体等が記載されている。アニオンとしては4フッ化ホウ酸及び6フッ化リン酸等が記載されている。有機電解液の溶媒は極性非プロトン性有機溶媒である。具体的にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン及びスルホラン等が記載されている。
有機電解液中に非多孔性炭素を含む電極を浸してなる電気二重層キャパシタは、電極活物質として活性炭を用いた電気二重層キャパシタと比較すると、異質な充放電特性を示す。その充放電特性は、例えば、非特許文献1第77〜81頁に説明されている。図1はこの種の電気二重層キャパシタに対し、定電流充電及び放電を繰り返した場合に電圧が経時的に変化する挙動の例を示したグラフである(非特許文献1第80頁図3−15から引用)。
図1の充放電曲線では、0Vから出発している初回の定電流充電時、電圧が短時間のうちに立ち上がり、約2.2Vから急激に電圧上昇が緩慢になっている。換言すると、その傾き(dV/dt)は、約2.2Vより前は実質的に一定であり、約2.2Vで急激に減少し、そして約2.2Vより後は再び実質的に一定になっている。
定電流充電曲線において、静電容量は曲線の傾きに対応する。高い傾きの値は低い静電容量を意味し、低い傾きの値は高い静電容量を意味する。そうすると、図1の初回の定電流充電曲線は、充電初期には静電容量が小さく、実質上約2.2Vから静電容量が発現することを示している。
他方、2回目以降の充電では電圧は単調に増加し、従来の活性炭電極同様充電初期から一定の静電容量が得られている。つまり、この種の電気二重層キャパシタは一度電圧を経験すると静電容量が増え、大容量が得られるのである。
しかしながら、電気自動車、電池、発電装置等の補助電源として実用に供するために、電気二重層キャパシタには静電容量を更に増大することが望まれている。
特開2005−286178 特開2002−25867 特開2000−77273 岡村廸夫「電気二重層キャパシタと蓄電システム」第3版、日刊工業新聞社、2005年
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、非多孔性炭素を含む分極性電極が有機電解液に浸漬されてなる電気二重層キャパシタの静電容量を増大することにある。
本発明は、イオウ、窒素、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選択される少なくとも一種の副元素を1000ppm以上含有する易黒鉛化炭素を、不活性雰囲気下600〜1100℃で2〜8時間焼成する前焼成工程;
焼成した粉末を、重量比で1〜5倍量の水酸化アルカリ粉末と混合し、粉末混合物を、不活性雰囲気下600〜1000℃で2〜8時間焼成するアルカリ賦活工程;及び
賦活した粉末混合物を洗浄して水酸化アルカリを除去する工程;
を包含する方法によって得られる、黒鉛類似の微結晶を有する非多孔性炭素を提供する。
また、本発明は上記非多孔性炭素を電極活物質として含有する電気二重層キャパシタ用分極性電極を提供する。
更に、本発明は有機電解液中に上記分極性電極が浸されてなる電気二重層キャパシタを提供する。
本発明によれば電気二重層キャパシタの静電容量が増大される。
本発明において、非多孔性炭素を含む電極という文言は、非多孔性炭素を電極活物質(有効成分)として用いて成形された分極性電極を意味する。好ましい非多孔性炭素は、炭素原料を不活性雰囲気下熱処理し、水酸化アルカリ粉末および/またはアルカリ金属の存在下で更に熱処理して得られる炭素粉末である。炭素原料としては、一般にソフトカーボンと呼ばれている易黒鉛化炭素を用いることができる。易黒鉛化炭素は、加熱して黒鉛化する炭素であればよい。例えば、コークスグリーンパウダー、メソフェーズカーボン、及び不融化した塩化ビニル等は易黒鉛化炭素に該当する。本発明で用いる易黒鉛化炭素はイオウ、窒素、リン、ケイ素、又はホウ素を少量含有することが好ましい。
本明細書では、炭素原料中に少量含まれる炭素以外の元素を副元素と呼ぶ。元素の周期率表上で炭素の周辺に位置する軽い元素が存在すると、炭素に対するアルカリ賦活の効率が向上することが見出された。炭素原料に含まれる副元素は単一種類でも複数種類でもよい。炭素原料は副元素を適量含有する種類のものを選択することが好ましい。炭素原料に対し副元素を人為的に添加しても効果は得られていない。
炭素原料中イオウなど副元素の含有量は1000ppm以上、好ましくは1000〜10万ppm、1500〜5万ppm、1700〜4万ppm、2000〜35000ppmである。副元素の含有量が1000ppm未満であるとアルカリ賦活の効率が不十分となり、得られる電気二重層キャパシタの静電容量が十分向上しない。副元素の含有量が10万ppmを越えると炭素以外の不純物の量が多くなり、炭素網面構造形成において弊害となるため静電容量が十分向上しない。
アルカリ賦活の効率が向上する直接的な効果は、上述のように、電気二重層キャパシタの静電容量が向上することに現れる。しかし、副次的な効果として、非多孔性炭素の製造条件が従来よりも広がることも明らかになった。副元素を含有しない易黒鉛化炭素ではナノゲート現象が生じないような焼成温度、アルカリ量であっても、副元素を適量含有する易黒鉛化炭素には良好なナノゲート現象が生じるのである。
本発明においては、例えば、石炭の軟ピッチからキノリン不溶分を除去し、精製された原料を用いて炭素化したグラファイト前駆体を易黒鉛化炭素として使用してよい。石炭ピッチに含まれているイオウなどの副元素は、精製過程で除去される。特にイオウは存在が嫌われるため通常は充分に除去され、市場に流通している易黒鉛化炭素から検出されることは稀である。製品として精製された易黒鉛化炭素のイオウ含有量は一般に0ppmに近いレベルである。
本発明の非多孔性炭素の製造にあたって、例えば、まず、副元素を適量含有している易黒鉛化炭素を準備する。易黒鉛化炭素の中心粒子径は10〜5000μm、好ましくは10〜100μmである。また、分極性電極中の灰分は表面官能基の生成に影響し、その低減化が重要である。本発明で用いる易黒鉛化炭素は固定炭素が70〜98%、灰分が0.05〜2%。好ましくは、固定炭素が80〜95%、灰分が1%以下という特性を有しているものである。
粉末状の易黒鉛化炭素を、まず、不活性雰囲気下、例えば窒素やアルゴンの雰囲気下で2〜8時間焼成する。この焼成工程を前焼成工程とよぶ。前焼成の温度は、炉内温度が600〜1100℃になるように調節する。このときに易黒鉛化炭素に印加される温度及び熱により、本発明特有の炭素組織の結晶構造が形成されると考えられる。前焼成温度が600℃未満であるとアルカリ賦活が過度に進行し、1100℃を越えるとアルカリ賦活の進行が不十分になる。好ましい前焼成温度は750℃〜850℃である。
前焼成は、800〜1100℃、850〜1050℃、900〜1000℃という通常より高い温度で行ってもよい。適量の副元素を含む易黒鉛化炭素はアルカリ賦活の効率がよいため高温による悪影響を受けにくいからである。前焼成を高温で行うと(比表面積の小さい、)比重の高い炭素が生成するという利益がある。
焼成時間は本質的には反応には関係が無いが、おおむね2時間未満であると反応系全体に熱が伝わらず、均一な非多孔性炭素が形成されない。また8時間を越えても意味を持たない。
前焼成した炭素粉末は、重量比で、1〜5倍、好ましくは1.5〜4倍程度の水酸化アルカリと混合する。そして粉末混合物を不活性雰囲気下600〜900℃で2〜8時間焼成する。この工程はアルカリ賦活と呼ばれ、アルカリ金属原子の蒸気が炭素組織に浸透して炭素の結晶構造を緩める効果があると考えられている。好ましいアルカリ賦活温度は、700〜800℃、より好ましくは720℃から780℃である。
水酸化アルカリの量が1倍未満であったり、焼成温度が600℃未満であると、十分に賦活が進まず、初回充電時に容量が発現しない。水酸化アルカリの量が5倍を越えたり、焼成温度が900℃を越えると、賦活が進行しすぎて、表面積が増大する傾向になり、通常の活性炭と同様の表面状態となるために、炭素比重が小さくなりエネルギー密度が低下する。水酸化アルカリはKOH、CsOH、RbOH等を用いてよいが、賦活効果に優れ、安価であることから、KOHが好ましい。
アルカリ賦活は、800〜1000℃、850〜950℃、840〜900℃という通常より高い温度で行ってもよい。高温で前焼成を行った場合にもアルカリ賦活の効率を向上させるためである。アルカリ賦活を高温で行うと容量を発現する構造をたくさん生成するという利益もある。
また、アルカリ賦活は、炭素粉末の重量に対して1〜1.5倍量、1〜1.3倍量という通常より少ない水酸化アルカリ量で行ってもよい。適量の副元素を含む易黒鉛化炭素はアルカリ賦活の効率がよいからである。水酸化アルカリ量が少ないと炭素に不純物として残るアルカリ量を減らせるという利益がある。
十分に材料が加温されれば、焼成時間は本質的に関係ないが、焼成時間が2時間未満であると、材料に熱が十分にまわらず、部分的に賦活されない部位が出現する。8時間を越えて焼成しても意味がない。
次いで、得られた粉末混合物を洗浄して水酸化アルカリを除去する。洗浄は、例えば上記アルカリ処理後の炭素から粒子を回収し、ステンレス製のカラムに充填し、120℃〜150℃、10〜100kgf、好ましくは10〜50kgfの加圧水蒸気をカラムに導入し、排水のpHが約7となるまで加圧水蒸気を導入し続けることにより行うことができる(通常6〜10時間)。アルカリ除去工程の終了後、アルゴンや窒素のような不活性ガスをカラムに流し、乾燥して炭素粉末を得る。
得られた炭素粉末を不活性雰囲気下で2〜8時間焼成する。この焼成工程を後焼成工程とよぶ。後焼成の温度は、炉内温度が200〜800℃になるように調節する。後焼成を行うと炭素表面の官能基が除去されて電気二重層キャパシタの耐電圧が向上する。好ましい後焼成温度は、250〜600℃、より好ましくは300〜500℃である。
焼成時間は本質的には反応には関係が無いが、おおむね2時間未満であると反応系全体に熱が伝わらず、均一な非多孔性炭素が形成されない。また8時間を越えても意味を持たない。
以上の工程を経て得られた炭素粉末は、比表面積が300m/g以下のものであり、各種電解質イオン、溶媒、COガスなどを取り込める程度の細孔が少ない、いわゆる「非多孔性炭素」に分類される。なお、比表面積は、吸着剤としてCOを用いたBET法により決定することができる。
分極性電極は従来と同様の方法により作製することができる。例えば、シート状の電極を作製するには、上記の方法で得られた非多孔性炭素を5〜100μm程度に粉砕し粒度を整える。その後、炭素粉末に導電性を付与するための導電性補助剤として例えばカーボン・ブラックと、結着剤として例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを添加して混練りし、圧延伸によりシート状に成形する。
導電性補助剤としては、カーボン・ブラックの他、粉末グラファイトなどを用いることができ、また、結着剤としては、PTFEの他、PVDF、PE、PPなどを使用することができる。この際、非多孔性炭素と導電性補助剤(カーボン・ブラック)と結着剤(PTFE)との配合比は、一般に、10〜1:0.5〜10:0.5〜0.25程度である。
作製した電気二重層キャパシタ用分極性電極は、従来から知られている構造の電気二重層キャパシタに使用することができる。電気二重層キャパシタの構造は、例えば、特許文献1の図1、特許文献2の図6、特許文献3の図1〜図4等に示されている。一般に、このような電気二重層キャパシタは、シート状の炭素電極を、セパレータを介して重ね合わせることにより正極と負極とを形成した後、電解液を含浸させて組み立てることができる。
電解液は、電解質を溶質として用いて有機溶媒に溶解して得られる、いわゆる有機電解液を使用することができる。電解質としては、特許文献3に記載されているような、低級脂肪族4級アンモニウム、低級脂肪族4級ホスホニウム又はイミダゾリニウム誘導体と4フッ化ホウ酸又は6フッ化リン酸との塩等、当業者に通常使用されるものが使用できる。
中でも好ましい電解質はピロリジニウム化合物塩である。好ましいピロリジニウム化合物塩は、式
Figure 2008270653
[式中、Rはそれぞれ独立してアルキル基、又は一緒に連結したアルキレン基であり、X-は対アニオンである。]
で示す構造を有する。ピロリジニウム化合物塩は公知であり、当業者に知られた方法で合成されたものであればよい。
ピロリジニウム化合物塩のアンモニウム成分につき好ましいものは、上記式中、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基、又は一緒に連結した炭素数3〜8のアルキレン基であるものである。より好ましいものは、Rが一緒に連結した炭素数4〜5のアルキレン基であるものである。さらに好ましいものは、Rが一緒に連結したブチレン基であるものである。このようなアンモニウム成分はスピロビピロリジニウム(SBP)と呼ばれる。
ピロリジニウム化合物、特にスピロビピロリジニウムは分子構造が一見して複雑であり、イオン径は大きいように思われる。しかしながら、この化合物を有機電解液の電解質イオンとして使用すると、負極側の非多孔性炭素を含む電極の膨張を抑制する効果が特に大きく、電気二重層キャパシタのエネルギー密度が大きく向上する。理論的に限定することを意図するものではないが、スピロ環構造によって電子雲の広がりが抑制されるため、ピロリジニウム化合物やスピロビピロリジニウムは実効イオン径が小さいと考えられる。
対アニオンX-は従来から有機電解液の電解質イオンとして使用されているものであればよい。例えば、4フッ化ホウ酸アニオン、フッ化ホウ酸アニオン、フッ化リン酸アニオン、6フッ化リン酸アニオン、過塩素酸アニオン、ボロジサリチル酸アニオン、ボロジシュウ酸アニオン、が挙げられる。好ましい対アニオンは4フッ化ホウ酸アニオン及び6フッ化リン酸アニオンである。これらは低分子量で構造が単純であり、正極側の非多孔性炭素を含む電極の膨張が抑制されるからである。
上述のピロリジニウム化合物塩を溶質として用いて有機溶媒に溶解することにより、電気二重層キャパシタ用有機電解液が得られる。有機電解液中のピロリジニウム化合物塩の濃度は0.8から3.5モル%、好ましくは1.0から2.5モル%に調節される。ピロリジニウム化合物塩の濃度が0.8モル%未満であると、含有されるイオンの数が不足し、十分な容量が出ない。また、2.5モル%を越えても、容量に寄与しないので意味が無い。
ピロリジニウム化合物塩は単独で用いてよく、複数種類を混合してもよい。従来から有機電解液に使用されている電解質を併用してもよい。但し、溶質中のピロリジニウム化合物塩の割合は全溶質重量の50重量%以上、好ましくは75重量%以上とする。ピロリジニウム化合物塩と併用するのに好ましい電解質には、トリエチルメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等が挙げられる。
有機溶媒は従来から有機系の電気二重層キャパシタに使用されてきたものを使用してよい。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)及びスルホラン(SL)等はピロリジニウム化合物塩の溶解能に優れ、安全性も高いため好ましい。また、これらを主溶媒とし、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)の少なくとも1種を副溶媒としたものも有用である。電気二重層キャパシタの低温特性が改善されるためである。また、有機溶媒としてアセトニトリル(AC)を使用すると電解液の導電率が高まるため特性上好ましいが、用途が限定される場合がある。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、実施例中「部」又は「%」で表される量は特にことわりなき限り重量基準である。
実施例1
グラファイト前駆体の調製
石炭の軟ピッチからキノリン不溶分を除去し、精製された原料を用いて炭素化したグラファイト前駆体の粉末を準備した。日本電子社製蛍光X線分析機「JSX−3202M」を用いてこの粉末の副元素を分析したところ、イオウが検出された。グラファイト前駆体に含まれているイオウの濃度は2286ppmであった。
非多孔性炭素の製造
グラファイト前駆体の粉末をアルミナ製の坩堝に入れ、これをマッフル炉にて窒素を循環させながら、800℃で10時間焼成し、自然冷却した。次に、該焼成品を重量比あたり1.5倍の水酸化カリウム粉末と混合した。これをそれぞれアルミナ製の坩堝に入れ同じくアルミナ製の蓋をかぶせて外気を遮断した。
この混合物をマッフル炉にて窒素を循環させながら、炉内温度を750℃に調節して保持時間4時間賦活した。本焼成品を取り出し、純水にて軽く洗浄した後、超音波をかけて洗浄した。時間は1分である。次にブフナー漏斗を用いて水分を分離した。同様の洗浄操作を繰り返し、洗浄処理水のペーハーが7付近になるまで行った。そして、洗浄物を真空乾燥機にて乾燥させた。
乾燥した炭素粉末をるつぼに入れ、300℃にて10時間後焼成し、その後取り出して、室温になるまで放冷した。得られた炭素粉末の比表面積をBET法によって測定したところ、80m/gであった。また、炭素粉末のイオウ濃度を上述の方法によって測定したところ、618ppmであった。
キャパシタセルの作製
得られたカーボンを、ボールミル(藤原製作所製AV−1)を用い、10mmΦのアルミナボールにて1時間粉砕した。これをコールターカウンターにて粒度を測定したところ、いずれも中心粒子径10ミクロン程度の粉状となった。
粉状のカーボン(CB)をアセチレンブラック(AB)およびポリテトラフルオロエチレン粉(PTFE)の混合比 10:1:1となるように混合し、乳鉢にて練った。10分程度で、PTFEが延伸され、フレーク状となった。これをプレスマシンにてプレスし、300ミクロン厚のカーボンシートを得た。
このカーボシートを20mmΦのディスクに打ち抜き、図2に示すような、3電極セルに組み立てた。このディスクは83.3%の非多孔性炭素を含有するものである。参照電極は#1711活性炭を上記と同様の方法にてシート化したものを用いた。これらセルを真空中220℃で24時間乾燥し冷却した。スピロビピロリジニウムテトラフルオロボレート(SBPBF)を2.0モル%となるようにプロピレンカーボネートに溶解させて電解液を調製した。そして、得られた電解液をセルに注入して電気二重層キャパシタのセルを作製した。
静電容量の測定
得られたキャパシタセルにパワーシステム製充放電試験装置「CDT−RD20」を接続し、5mAにて7200秒間の定電流充電を行い、設定電圧に到達した後、5mAにての定電流放電を行った。設定電圧は4.0Vおよび3.5Vにて行い、3サイクルずつ実施した。
3サイクル目の静電容量をエネルギー換算法という放電積算電力からもとめる方法で求め、両極の分極性電極の容積の和で割った値を容積密度(F/cc)として採用した。結果は24.0F/ccであった。
実施例2〜6及び比較例
グラファイト前駆体の種類、前焼成温度及び水酸化カリウム量を表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様にして非多孔性炭素を調製し、電気二重層キャパシタセルを作製し、容量密度を測定した。結果を表1に示す。
[表1]
Figure 2008270653
有機電解液中に非多孔性炭素を含む電極を浸してなる電気二重層キャパシタに対し、定電流充電及び放電を繰り返した場合に電圧が経時的に変化する挙動の例を示したグラフである。 実施例の電気二重層キャパシタの構造を示す組み立て図である。
符号の説明
1、11…絶縁ワッシャ、
2…トップカバー、
3…スプリング、
4、8…集電極、
5、7…炭素質電極、
6…セパレータ、
9…ガイド、
10、13…Oリング、
12…本体、
14…押え板、
15…参照電極、
16…ボトムカバー。

Claims (6)

  1. イオウ、窒素、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選択される少なくとも一種の副元素を1000ppm以上含有する易黒鉛化炭素を、不活性雰囲気下600〜1100℃で2〜8時間焼成する前焼成工程;
    焼成した粉末を、重量比で1〜5倍量の水酸化アルカリ粉末と混合し、粉末混合物を、不活性雰囲気下600〜1000℃で2〜8時間焼成するアルカリ賦活工程;及び
    賦活した粉末混合物を洗浄して水酸化アルカリを除去する工程;
    を包含する方法によって得られる、黒鉛類似の微結晶を有する非多孔性炭素。
  2. 前記副元素がイオウである請求項1記載の非多孔性炭素。
  3. 前記前焼成工程の焼成温度が800〜1100℃である請求項1又は2記載の非多孔性炭素。
  4. 前記易黒鉛化炭素が石炭の軟ピッチからキノリン不溶分を除去し、精製された原料を用いて炭素化したグラファイト前駆体である請求項1又は2記載の非多孔性炭素。
  5. 請求項1〜3のいずれか記載の非多孔性炭素を電極活物質として含有する電気二重層キャパシタ用分極性電極。
  6. 有機電解液中に請求項5記載の分極性電極が浸されてなる電気二重層キャパシタ。
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