JP2008238915A - 車両用スタビライザシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】実用性の高い車両用スタビライザシステムを提供する。
【解決手段】スタビライザバーと、アクチュエータとを有し、スタビライザバーの捩り反力に依拠するロール抑制力を発生させるとともに、そのロール抑制力をアクチュエータによって変更することが可能なスタビライザ装置を、前後の車輪に対応して1対設けた車両用スタビライザシステムにおいて、1対のスタビライザ装置の各々のロール抑制力についての制御目標値を、その各々の応答性を指標する応答性指標KHF,KHRに基づいて調整する(S6,S8)ように構成される。このように構成されたシステムによれば、それぞれのスタビライザ装置の応答性が異なっていても、応答性の差に起因するその各々のロール抑制力の相対的なズレを減少させることができ、車体のロールを適切に抑制することが可能となる。
【選択図】図9

Description

本発明は、車両に搭載されるスタビライザシステム、詳しくは、自身が発生させるロール抑制力をアクチュエータの作動によって変更可能なスタビライザ装置を備えるスタビライザシステムに関する。
車両用スタビライザシステムは、スタビライザバーの捩り反力を利用して、車体のロールを抑制するシステムである。近年では、下記特許文献に記載されているように、アクチュエータを備え、そのアクチュエータによってロール抑制力を、例えば、アクティブに変更可能なシステムが検討され、既に実用化され始めている。
特開2004−314947号公報 特表2002−518245号公報
上記特許文献に記載の車両用スタビライザシステムは、前後の車輪に対応して設けられた1対のスタビライザ装置を備えており、1対のスタビライザ装置の各々が発生させるロール抑制力をそれぞれアクティブに変更して車体のロールをアクティブに抑制することが可能とされている。ところが、このようなシステムは、未だ開発途上であり、改良の余地を多分に残すものとなっている。そのため、種々の改良を施すことによって、そのシステムの実用性が向上すると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用スタビライザシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用スタビライザシステムは、アクチュエータの作動によってロール抑制力を変更可能なスタビライザ装置が前後の車輪に対応して1対設けられたシステムであって、1対のスタビライザ装置の各々のロール抑制力についての制御目標値を、その各々の応答性を指標する応答性指標に基づいて調整するように構成される。
前後の車輪に対応して設けられた1対のスタビライザ装置の各々が発生させるロール抑制力によって車体のロールを抑制する際に、その各々の応答性が異なると、例えば、応答性の差に起因するその各々のロール抑制力の相対的なズレ等が生じ、車体のロールを適切に抑制できない虞がある。したがって、本発明の車両用スタビライザシステムによれば、それぞれの応答性が異なっていても、例えば、車体のロールを適切に抑制することが可能となる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項ないし(8)項の各々が、請求項1ないし請求項8の各々に相当する。
(1)前後の車輪に対応して設けられ、それぞれが、スタビライザバーと、アクチュエータとを有し、前記スタビライザバーの捩り反力に依拠するロール抑制力を発生させるとともに、そのロール抑制力を前記アクチュエータによって変更可能な1対のスタビライザ装置と、
それら1対のスタビライザ装置の各々が発生させるロール抑制力を、その各々が備える前記アクチュエータを制御することによって制御する制御装置と
を備えた車両用スタビライザシステムであって、
前記制御装置が、前記1対のスタビライザ装置の各々のその各々が発生させるべきロール抑制力についての制御目標値を、その各々についてのその各々の応答性を指標する応答性指標に基づいて調整する応答性依拠制御目標値調整部を有する車両用スタビライザシステム。
自身の発生させるロール抑制力をアクチュエータの作動によって変更可能なスタビライザ装置が前後の車輪に対応して1対設けられたスタビライザシステムにおいて、車体のロールを抑制する場合には、1対のスタビライザ装置の各々が、ロール抑制時に必要とされるロール抑制力、つまり、ある制御則に従ったロール抑制力を発生させる必要がある。ところが、1対のスタビライザ装置の各々の応答性が、前輪側のスタビライザ装置と後輪側のスタビライザ装置とで異なると、その制御則に従っても、応答性の差によって車体のロールを適切に抑制できない虞がある。このため、本項の態様においては、1対のスタビライザ装置の各々において発生させられるべきロール抑制力についての制御目標値を、それぞれのスタビライザ装置の応答性を考慮して調整している。したがって、本項の態様によれば、例えば、1対のスタビライザ装置の各々の応答性が異なっていても、車体のロールを適切に抑制することが可能となる。
本項に記載の「応答性指標」は、例えば、スタビライザ装置が実際に発生させるロール抑制力が、発生させられるべきロール抑制力に到達する早さを指標するものであり、言い換えれば、例えば、スタビライザ装置が実際に発生させるロール抑制力が、発生させられるべきロール抑制力に変化する際のロール抑制力の変化速度を指標するものである。具体的に言えば、例えば、スタビライザ装置が実際に発生させるロール抑制力が、発生させられるべきロール抑制力に到達するまでの時間を含むものであり、ロール抑制力が特定時間発生させられる場合の最大のロール抑制力を含むものである。また、応答性指標は、あらかじめ設定されているものであってもよく、1対のスタビライザ装置の各々を作動させることによって取得されるものであってもよい。
本項に記載の「スタビライザ装置」の構成は、特に限定されるものではない。例えば、後に説明するように、スタビライザバーを、中央部で2つに分離して1対のスタビライザバー部材によって構成し、それら1対のスタビライザバー部材の間にアクチュエータを配設して、そのアクチュエータがそれら1対のスタビライザバー部材を相対回転させてスタビライザバーを捩るような構成であってもよい。また、スタビライザバーの一方の端部と車輪を保持する部材との間にアクチュエータを配設して、そのアクチュエータがその一方の端部と車輪を保持する部材との間隔を変化させてスタビライザバーを捩るような構成であってもよい。
(2)前記応答性指標が、
制御目標値が変更された場合において、前記1対のスタビライザ装置の各々が実際に発生させるロール抑制力の時間的変化の様子を推定可能なものである(1)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、応答性指標を限定した態様である。制御目標値の変更時におけるスタビライザ装置の発生させるロール抑制力の時間的変化の様子を推定することが可能となれば、例えば、スタビライザ装置の応答性を適切に推定することが可能となる。このことから、本項の態様によれば、応答性指標がスタビライザ装置の応答性を適切に指標するものとなり、例えば、上記応答性の差があっても車体のロールを適切に抑制することが可能となる。
(3)前記応答性指標が、
特定の制御目標値に基づく制御の下、前記1対のスタビライザ装置の各々が実際に発生させるロール抑制力がその特定の制御目標値に対応するロール抑制力に到達するまでの時間である特定目標到達時間を含む(1)項または(2)項に記載の車両用スタビライザシステム。
(4)前記応答性指標が、
特定の制御目標値に基づく制御を特定の時間実行した場合において、前記1対のスタビライザ装置の各々が発生可能な最大のロール抑制力を含む(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
上記2つの項に記載の態様は、応答性指標をさらに限定した態様である。上記2つの項の態様によれば、例えば、応答性指標によってスタビライザ装置の応答性を適切に推定することが可能である。具体的にいえば、前者の態様においては、スタビライザ装置の応答性は、特定目標到達時間が短い場合に、長い場合に比較して高く、後者の態様においては、スタビライザ装置の応答性は、最大のロール抑制力が大きい場合に、小さい場合に比較して高いことが推定できる。
上記2つの項に記載の「特定の制御目標値に基づく制御」は、あらかじめ設定された制御目標値に対応する特定のロール抑制力を発生させる制御であり、スタビライザ装置が実際に発生させるロール抑制力がその特定のロール抑制力に漸近していくような制御であってもよく、スタビライザ装置がその特定のロール抑制力を急激に発生させるような制御であってもよい。
スタビライザ装置は、ロール抑制力によって、車体と車輪とを接近離間させて車体と車輪との離間距離(以下、「車体車輪間距離」という場合がある)を変化させることが可能であり、車体に作用する力が一定である場合には、ロール抑制力と車体車輪間距離とは対応関係にある。このことから、上記2つの項に記載の「ロール抑制力」は、ロール抑制力に応じた車体車輪間距離であってもよい。具体的に言えば、前者に記載の「特定目標到達時間」は、実際の車体車輪間距離が、特定の制御目標値に対応するロール抑制力に応じた車体車輪間距離に到達するまでの時間であってもよい。また、後者に記載の「最大のロール抑制力」は、その最大のロール抑制力に応じた車体車輪間距離であってもよい。
(5)前記応答性依拠制御目標値調整部が、応答性の差に起因する前記1対のスタビライザ装置の各々が実際に発生させるロール抑制力の相対的なズレを減少させるように、前記1対のスタビライザ装置の各々の制御目標値を調整するものである(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
1対のスタビライザ装置の各々の応答性が異なると、応答性の差に起因するその各々のロール抑制力の相対的なズレが生じ、車体のロールを適切に抑制できない虞がある。したがって、本項の態様によれば、上記のズレを減少させ、例えば、車体のロールを適切に抑制することが可能となる。
本項に記載の「相対的なズレ」は、応答性の差に起因するものであり、ロール剛性配分に起因するものではない。すなわち、本項に記載の「相対的なズレ」は、例えば、前輪側のロール剛性配分と後輪側のロール剛性配分とが同じであるような場合には、前後輪側のスタビライザ装置の各々が実際に発生させるロール抑制力のそれぞれの大きさの差のことである。
(6)前記制御装置が、前記1対のスタビライザ装置の各々の制御目標値をその各々が発生させるロール抑制力が車体が受けるロールモーメントに応じた大きさとなるように決定する機能と、そのロールモーメントの変化に対するロール抑制力の変化の追従性である対ロールモーメント変化追従性を調整する機能とを有し、
前記応答性依拠制御目標値調整部が、前記1対のスタビライザ装置のうちの一方の制御目標値を、その一方についての応答性指標が他方についての応答性指標と比較して応答性の高いことを指標する値である場合にその一方の対ロールモーメント変化追従性が低くなるように、応答性が低いことを指標する値である場合に高くなるように調整するように構成された(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
(7)前記制御装置が、前記1対のスタビライザ装置の各々の制御目標値をその各々が発生させるロール抑制力が車体が受けるロールモーメントに応じた大きさとなるように決定する機能と、そのロールモーメントの変化に対するロール抑制力の変化の追従性である対ロールモーメント変化追従性を調整する機能とを有し、
前記応答性依拠制御目標値調整部が、前記1対のスタビライザ装置の各々の応答性指標
を比較して、前記1対のスタビライザ装置のうちの応答性の高いスタビライザ装置の制御目標値を、対ロールモーメント変化追従性が低くなるように調整することと、前記1対のスタビライザ装置のうちの応答性の低いスタビライザ装置の制御目標値を、対ロールモーメント変化追従性が高くなるように調整することとの少なくとも一方を実現するように構成された(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
上記2つの項に記載の態様は、対ロールモーメント変化追従性(以下、「変化追従性」と略す場合がある)を変化させるようにスタビライザ装置の制御目標値を調整する態様である。上記2つの項の態様によれば、応答性の低いスタビライザ装置の変化追従性を高めたり、応答性の高いスタビライザ装置の変化追従性を低めたりすることが可能となり、1対のスタビライザ装置の各々の応答性が異なっていても、例えば、車体のロールを適切に抑制することが可能となる。
上記2つの項に記載の「対ロールモーメント変化追従性」は、ロールモーメントの変化に対する制御目標値の変化の追従性、言い換えれば、例えば、制御目標値が、車体が受けるロールモーメントに応じたロール抑制力についての制御目標値に変化する際の制御目標値の変化速度を意味している。したがって、例えば、ロール抑制時にスタビライザ装置が発生させるべきロール抑制力についての制御目標値を、上記ロールモーメントの値に近い値に応じて決定すれば、変化追従性を高くするように調整することが可能となり、また、ロールモーメントが変化する直前のロールモーメントに近い値に応じて決定すれば、変化追従性を低くするように調整することが可能となる。
(8)前記制御装置が、
前記1対のスタビライザ装置の各々に特定の作動を実行させ、その作動の結果に基づいて、その各々についての応答性指標を取得する応答性指標取得処理部を有する(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、スタビライザ装置を作動させることによって応答性指標を取得する態様である。スタビライザ装置の応答性は、時間経過等によるスタビライザ装置の劣化等によって変化する虞がある。本項の態様によれば、例えば、スタビライザ装置の応答性が変化しても、変化後の応答性を指標する応答性指標に基づいて、制御目標値を調整することが可能となる。
本項に記載の「特定の作動」は、例えば、あらかじめ設定された制御目標値に基づく制御によって実行されるものである。具体的に言えば、スタビライザ装置が実際に発生させるロール抑制力を、その設定された制御目標値に応じたロール抑制力に変化させるものであり、また、車体車輪間距離をその設定された制御目標値に応じた車体車輪間距離に変化させるものである。本項に記載の「応答性指標取得処理部」は、スタビライザ装置の上記特定の作動によって発生させられるロール抑制力に基づいて応答性指標を取得するものであってもよく、また、スタビライザ装置の上記特定の作動によって変化する車体車輪間距離に基づいて応答性指標を取得するものであってもよい。
(9)前記スタビライザバーが、
左右の車輪に対応して設けられ、それぞれが、車幅方向に延びて配設されるトーションバー部と、そのトーションバー部に連続してそのトーションバー部と交差して延びるとともに先端部においてサスペンションアームに連結されるアーム部とを有する1対のスタビライザバー部材を含んで構成され、
前記アクチュエータが、前記1対のスタビライザバー部材のトーションバー部を相対回転させるものである(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、スタビライザ装置の具体的構造、詳しく言えば、上記スタビライザバーとアクチュエータとの構成に関する限定を加えた態様である。本項の態様によれば、スタビライザ装置が発生させるロール抑制力を効率的に変更可能である。
(10)前記アクチュエータが、駆動源としての電磁モータと、その電磁モータの回転を減速する減速機と、前記電磁モータと前記減速機とを保持するハウジングとを有し、前記1対のスタビライザバー部材の一方のトーションバー部が前記ハウジングに相対回転不能に接続され、他方のトーションバー部が前記減速機の出力部に相対回転不能に接続される(9)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、アクチュエータの構造、および、アクチュエータとスタビライザバーとの連結,配置関係を具体的に限定した態様である。本項の態様においてアクチュエータが有する減速機は、それの機構が特に限定されるものではない。例えば、ハーモニックギヤ機構(「ハーモニックドライブ(登録商標)機構」,「ストレインウェーブギヤリング機構」等と呼ばれることもある)、プラネタリギヤ機構等、種々の機構の減速機を採用することが可能である。電磁モータの小型化を考えれば、減速機の減速比は比較的大きい(電磁モータの動作量に対するアクチュエータの動作量が小さいことを意味する)ことが望ましく、その点を考慮すれば、ハーモニックギヤ機構を採用する減速機は、本項の態様のシステムにおいて好適である。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
(A)第1実施例
<車両用スタビライザシステムの構成>
i)スタビライザシステムの全体構成
図1に、本実施例の車両用スタビライザシステム10を模式的に示す。本スタビライザシステム10は、車両の前輪側、後輪側の各々に配設された1対のスタビライザ装置14を含んで構成されている。スタビライザ装置14はそれぞれ、両端部において左右の車輪16を保持するサスペンションアーム(図2参照)に連結されたスタビライザバー20を備えている。そのスタビライザバー20は、それが分割された1対のスタビライザバー部材22を含む構成のものとされている。それら1対のスタビライザバー部材22は、アクチュエータ26によって相対回転可能に接続されている。なお、スタビライザ装置14,車輪16,スタビライザバー20,スタビライザバー部材22,アクチュエータ26等は総称であり、前後輪のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、前輪,後輪の各々に対応するものにF,Rを付す場合がある。
ii)サスペンション装置の構成
本システム10を搭載する車両には、各車輪16に対応した4つのサスペンション装置が設けられている。転舵輪である前輪のサスペンション装置と非転舵輪である後輪のサスペンション装置とは、車輪を転舵可能とする機構を除き略同様の構成とみなせるため、説明の簡略化に配慮して、後輪のサスペンション装置を代表して説明する。図2に示すように、サスペンション装置30は、独立懸架式のものであり、マルチリンク式サスペンション装置とされている。サスペンション装置30は、それぞれがサスペンションアームである第1アッパアーム32,第2アッパアーム34,第1ロアアーム36,第2ロアアーム38,トーコントロールアーム40を備えている。5本のアーム32,34,36,38,40のそれぞれの一端部は、車体に回動可能に連結され、他端部は、車輪16を回転可能に保持するアクスルキャリア42に回動可能に連結されている。それら5本のアーム32,34,36,38,40により、アクスルキャリア42は、車体に対して略一定の軌跡を描くような上下動が可能とされている。また、サスペンション装置30は、コイルスプリング44と液圧式のショックアブソーバ46とを備えており、それらは、それぞれ、タイヤハウジングに設けられたマウント部と、第2ロアアーム38との間に、互いに並列的に配設されている。つまり、サスペンション装置30は、車輪16と車体とを弾性的に相互支持するとともに、それらの接近離間に伴う振動に対する減衰力を発生させているのである。
iii)スタビライザ装置の構成
スタビライザ装置14の各スタビライザバー部材22はそれぞれ、図2に示すように、概して車幅方向に延びるトーションバー部50と、トーションバー部50と一体をなしてそれと交差して概ね車両の前方に延びるアーム部52とに区分することができる。各スタビライザバー部材22のトーションバー部50は、アーム部52に近い箇所において、車体に固定的に設けられた保持具54によって回転可能に保持され、互いに同軸的に配置されている。各トーションバー部50の端部(アーム部52側とは反対側の端部)は、それぞれ、後に詳しく説明するようにアクチュエータ26に接続されている。一方、各アーム部52の端部(トーションバー部50側とは反対側の端部)は、リンクロッド56を介して第2ロアアーム38に連結されている。第2ロアアーム38には、リンクロッド連結部58が設けられ、リンクロッド56の一端部は、そのリンクロッド連結部58に、他端部はスタビライザバー部材22のアーム部52の端部に、それぞれ遥動可能に連結されている。
スタビライザ装置14の備えるアクチュエータ26は、図3に示すように、駆動源としての電磁モータ60と、その電磁モータ60の回転を減速して伝達する減速機62とを含んで構成されている。これら電磁モータ60と減速機62とは、アクチュエータ26の外殻部材であるハウジング64内に設けられている。そのハウジング64の両端部の各々には、2つの出力軸66,68の各々が延び出すように配設されている。それら出力軸66,68のハウジング64から延び出した側の端部が、それぞれ、各スタビライザバー部材22の端部と、セレーション嵌合によって相対回転不能に接続されている。一方の出力軸66は、ハウジング64の端部に固定して接続されおり、また、他方の出力軸68は、ハウジング64内に延び入る状態で配設されるとともに、後に詳しく説明するように、減速機62と接続され、減速機72の出力部として機能している。さらに、出力軸68は、それの軸方向の中間部において、ブシュ型軸受70を介してハウジング64に回転可能に保持されている。
電磁モータ60は、ハウジング64の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のコイル72と、ハウジング64に回転可能に保持された中空状のモータ軸74と、コイル72と向きあうようにしてモータ軸74の外周に固定して配設された永久磁石76とを含んで構成されている。電磁モータ60は、コイル72がステータとして機能し、永久磁石76がロータとして機能するモータであり、3相のDCブラシレスモータとされている。なお、ハウジング64内に、モータ軸74の回転角度、すなわち、電磁モータ6の回転角度を検出するためのモータ回転角センサ78が設けられている。モータ回転角センサ78は、エンコーダを主体とするものであり、アクチュエータ26の制御、つまり、スタビライザ装置14の制御に利用される。
減速機62は、波動発生器(ウェーブジェネレータ)80,フレキシブルギヤ(フレクスプライン)82およびリングギヤ(サーキュラスプライン)84を備え、ハーモニックギヤ機構(「ハーモニックドライブ(登録商標)機構」,「ストレインウェーブギヤリング機構」等と呼ばれることもある)として構成されている。波動発生器80は、楕円状カムと、それの外周に嵌められたボールベアリングとを含んで構成されるものであり、モータ軸74の一端部に固定されている。フレキシブルギヤ82は、周壁部が弾性変形可能なカップ形状をなすものとされており、周壁部の開口側の外周に複数の歯(本減速機62では、400歯)が形成されている。このフレキシブルギヤ82は、先に説明した出力軸68に接続され、それによって支持されている。詳しく言えば、出力軸68は、モータ軸74を貫通しており、それから延び出す部分の外周面において、フレキシブルギヤ82の底部を貫通する状態でその底部とスプライン嵌合によって相対回転不能に接続されているのである。リングギヤ84は、概してリング状をなして内周に複数の歯(本減速機62においては、402歯)が形成されたものであり、ハウジング64に固定されている。フレキシブルギヤ82は、その周壁部が波動発生器80に外嵌して楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸方向に位置する2箇所においてリングギヤ84と噛合し、他の箇所では噛合しない状態とされている。このような構造により、波動発生器80が1回転(360度)すると、つまり、電磁モータ60のモータ軸74が1回転すると、フレキシブルギヤ82とリングギヤ84とが、2歯分だけ相対回転させられる。つまり、減速機62の減速比は、1/200とされている。
以上の構成から、車両の旋回等によって、車体に左右の車輪16の一方と車体との距離と、左右の車輪16の他方と車体との距離とを相対変化させる力、すなわちロールモーメントが作用する場合、左右のスタビライザバー部材22を相対回転させる力、つまり、アクチュエータ26に対する外力が作用する。その場合、電磁モータ60が発生させる力であるモータ力(電磁モータ60が回転モータであることから、回転トルクと考えることができるため、回転トルクと呼ぶ場合がある)によって、アクチュエータ26がその外力に対抗する力を発生させているときには、それら2つのスタビライザバー部材22によって構成された1つのスタビライザバー20が捩じられることになる。この捩りにより生じる捩り反力は、ロールモーメントに対抗する力となる。つまり、スタビライザ装置14が、スタビライザバー20の捩り反力に依拠してロール抑制力を発生させているのである。そして、モータ力によってアクチュエータ26の回転位置(動作位置のことである)を変化させることで、左右のスタビライザバー部材22の相対回転位置を変化させれば、上記ロール抑制力が変化し、車体のロールをアクティブに抑制することが可能となる。
また、電磁モータ60が駆動させられて左右のスタビライザバー部材22が相対回転させられると、各トーションバー部50の捩りを伴いつつ、各アーム部52が相対的に回動し、左右の車輪16の一方と車体との上下方向における離間距離(以下、「車体車輪間距離」という場合がある)Xが増加させられ、左右の車輪の他方の車体車輪間距離Xが減少させられる。つまり、スタビライザ装置14によって、左右の車輪16の車体車輪間距離Xを相反する方向に相対的に変更し、左右の車輪16の車体車輪間距離Xの差である左右輪車体車輪間距離差(以下、「左右輪距離差」と略す場合がある)ΔXを変更することが可能とされているのである。
iv)制御装置の構成
本スタビライザシステム10では、図1に示すように、2つのスタビライザ装置14に対応する電子制御ユニット(ECU)90が設けられている。ECU90は、各スタビライザ装置14、詳しくは、各アクチュエータ26の作動を制御する制御装置であり、各アクチュエータ26が有する電磁モータ60に対応する駆動回路としての2つのインバータ92と、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ96とを備えている(図12参照)。インバータ92の各々は、コンバータ98を介してバッテリ100に接続されており、対応するスタビライザ装置14の電磁モータ60に接続されている。電磁モータ60は定電圧駆動され、電磁モータ60への供給電力量は、供給電流量を変更することによって変更される。供給電流量の変更は、インバータ92がPWM(Pulse Width Modulation)によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって行われる。
コントローラ96には、上記モータ回転角センサ78とともに、操舵量としてのステアリング操作部材の操作量であるステアリングホイールの操作角を検出するためのステアリングセンサ102,車体に実際に発生している横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ104,各車輪についての車体車輪間距離を検出する4つのストロークセンサ106,後述するところの応答性依拠ゲインを再設定するためのゲイン再設定スイッチ107が接続されている。コントローラ96には、さらに、ブレーキシステムの制御装置であるブレーキ電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という場合がある)108が接続されている。ブレーキECU108には、4つの車輪のそれぞれに対して設けられてそれぞれの回転速度を検出するための車輪速センサ110が接続され、ブレーキECU108は、それら車輪速センサ110の検出値に基づいて、車両の走行速度(以下、「車速」という場合がある)を推定する機能を有している。コントローラ96は、必要に応じ、ブレーキECU108から車速を取得するようにされている。さらに、コントローラ96は、各インバータ92にも接続され、それらを制御することで、各スタビライザ装置14の電磁モータ60を制御する。なお、コントローラ96のコンピュータが備えるROMには、後に説明する各スタビライザ装置14の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
<車両用スタビライザシステムの制御>
本スタビライザシステム10では、車体のロールを抑制するべく、アクチュエータ26の実際の回転位置である実回転位置が目標となる回転位置である目標回転位置となるようなロール抑制制御が実行される。詳しく言えば、車体が受けるロールモーメントに応じたロール抑制力を発生させるべく、車体が受けるロールモーメントに応じて、アクチュエータ26の目標回転位置が決定され、アクチュエータ26の回転位置がその目標回転位置となるように制御される。なお、アクチュエータ26の回転位置は、電磁モータ60の動作角であるモータ回転角と対応関係にあるため、実際の制御では、モータ回転角をアクチュエータ26の回転位置として扱い、モータ回転角センサ78によって取得されるモータ回転角に基づいて制御が行われる。
本スタビライザシステム10においては、前後輪の各々にスタビライザ装置14が設けられており、上記制御において、それら2つのスタビライザ装置14の各々が、車体が受けるロールモーメントに応じたロール抑制力を発生させることで、車体のロールが抑制されている。ただし、それら2つのスタビライザ装置14の各々の応答性が異なると、応答性の差に起因してそれら2つのスタビライザ装置14の各々が発生させるロール抑制力の相対的なズレが生じ、車体のロールを適切に抑制できない虞がある。このため、応答性がほとんど同じ2つのスタビライザ装置がそれぞれ、前後輪に対応して設けられることが望ましい。ここで、スタビライザ装置14の応答性とは、スタビライザ装置が実際に発生させるロール抑制力が、ロール抑制時に発生させられるべきロール抑制力に到達する早さのことであり、応答性は、スタビライザ装置14が備える電磁モータ60の性能,減速機62の効率,スタビライザバーの径等によって決まるものである。このため、応答性がほとんど同じ2つのスタビライザ装置をそれぞれ、前後輪に対応して設けることは困難である。そこで、本システム10においては、2つのスタビライザ装置14の各々の応答性を考慮して、応答性の差に起因する前後輪側のロール抑制力の相対的なズレを減少させるように、2つのスタビライザ装置14の各々が発生させるべきロール抑制力、つまり、その各々のロール抑制力についての制御目標値であるモータ回転角が調整される。
本システム10において、目標となるモータ回転角である目標モータ回転角θ*を調整すべく、車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量を調整している。ロールモーメント指標量は、ロールモーメントの変化に対するロール抑制力の変化の追従性である対ロールモーメント変化追従性(以下、「変化追従性」と略す場合がある)を変化させるように、スタビライザ装置14の応答性を指標する応答性指標に基づいて調整される。具体的に言えば、上記変化追従性を調整するべく、ロールモーメント指標量である横加速度、詳しくは、ステアリングホイールの操舵角と車両走行速度に基づいて推定される推定横加速度を調整する。具体的には、上記変化追従性を調整した後の推定横加速度である調整後推定横加速度Gysは、次式に従って決定される。
Gys=KH・KV・Gyc+(1−KH・KV)・Gysp
Gyspは、車体が受けるロールモーメントが変化する前の調整後推定横加速度Gysであり、Gycは、 車体が受けるロールモーメントが変化した後の推定横加速度である。上記変化追従性は、ロールモーメントの変化に対する目標モータ回転角θ*の変化の追従性を意味するものである。したがって、変化追従性を高くしたい場合には、目標モータ回転角θ*がロールモーメントの変化に応じて敏感に変化すればよいことから、調整後推定横加速度Gysを推定横加速度Gycに近い値とすればよいのである。一方、変化追従性を低くしたい場合には、目標モータ回転角θ*がロールモーメントの変化に応じて敏感に変化しないようにすればよいことから、調整後推定横加速度Gysをロールモーメント変化前の調整後推定横加速度Gyspに近い値とすればよいのである。つまり、変化追従性を高くしたい場合にはKH・KVの値を大きく、変化追従性を低くしたい場合にはKH・KVの値を小さくすればよいのである。
Hは、応答性指標に依拠する応答性依拠ゲインであり、応答性依拠ゲインKHには、前輪側のスタビライザ装置14Fに対応する前輪側応答性依拠ゲインKHFと後輪側のスタビライザ装置14Rに対応する後輪側応答性依拠ゲインKHRとが設定されている。それぞれの応答性依拠ゲインKHは、それぞれのスタビライザ装置14の変化追従性を調整するように、応答性指標に依拠して設定されている。本システム10においては、1対のスタビライザ装置14のうちで応答性の低いものに対応する応答性依拠ゲインKHは1に設定されており、応答性の低いスタビライザ装置14の変化追従性を高くするようにされている。一方、1対のスタビライザ装置14のうちで応答性の高いものに対応する応答性依拠ゲインKHは、後に詳しく説明するように、1対のスタビライザ装置14の各々の応答性指標の差に応じて0から1の間に設定されており、応答性の高いスタビライザ装置14の変化追従性を低くするようにされている。このように、1対のスタビライザ装置14のうちで応答性の低いものの変化追従性を高くし、応答性の高いものの変化追従性を低くすることで、上記応答性の差に起因するロール抑制力の相対的なズレを減少させることが可能となるのである。なお、設定されている各応答性依拠ゲインKHに関するデータはコントローラ96内に格納されており、上記調整後推定横加速度Gysが上記式に従って決定される際にそのデータが参照される。
また、KVは、車速に依拠する車速依拠ゲインであり、車速依拠ゲインKVには、前輪側のスタビライザ装置14Fに対応する前輪側車速依拠ゲインKVFと、後輪側のスタビライザ装置14Rに対応する後輪側車速依拠ゲインKVRとが設定されている。前輪側車速依拠ゲインKVFは、車速vが高いほど変化追従性を高くすべく、図4(a)に示すように、車速vが高くなるにつれて大きな値となるように設定されている。一方、後輪側車速依拠ゲインKVRは、車速vが高いほど変化追従性を低くすべく、図4(b)に示すように、車速vが高くなるにつれて小さな値となるように設定されている。つまり、本システム10においては、車速が高くなるにつれて、前輪側のスタビライザ装置14Fの変化追従性が高く、後輪側のスタビライザ装置14Rの変化追従性が低くなるようにされており、車両の旋回特性がアンダステア傾向となるようにされているのである。
上述のように1対のスタビライザ装置14の各々に対応して調整された調整後推定横加速度Gysの各々と実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って、1対のスタビライザ装置14の各々に対応して決定される。
Gy*=KA・Gys+KB・Gyr (KA,KBはゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*の各々に基づいて、目標モータ回転角θ*が1対のスタビライザ装置14の各々に対応して決定される。ECU90内には、制御横加速度Gy*をパラメータとする目標モータ回転角θ*のマップデータがスタビライザ装置14毎に格納されており、マップデータを参照して、スタビライザ装置14毎に目標モータ回転角θ*が決定される。
そして、実モータ回転角θが上記目標モータ回転角回転角θ*になるように、電磁モータ60が制御される。電磁モータ60の制御において、電磁モータ60に供給される電力は、実モータ回転角θの目標モータ回転角θ*に対する偏差であるモータ回転角偏差Δθ(=θ*−θ)に基づいて決定される。詳しく言えば、モータ回転角偏差Δθに基づくフィードバック制御の手法に従って決定される。具体的には、まず、電磁モータ60が備えるモータ回転角センサ78の検出値に基づいて、上記モータ回転角偏差Δθが認定され、次いで、それをパラメータとして、次式に従って、目標供給電流i*が決定される。
*=KP・Δθ+KI・Int(Δθ)
この式は、PI制御則に従う式であり、第1項,第2項は、それぞれ、比例項、積分項を、KP,KIは、それぞれ、比例ゲイン,積分ゲインを意味する。また、Int(Δθ)は、モータ回転角偏差Δθの積分値に相当する。
ちなみに、上記目標供給電流i*は、それの符号により電磁モータ60のモータ力の発生方向を表すものとなっており、電磁モータ60の駆動制御にあたっては、目標供給電流i*に基づいて、電磁モータ60を駆動するためのデューティ比およびモータ力発生方向が決定される。そして、それらデューティ比およびモータ力発生方向についての指令がインバータ92に発令され、インバータ92によって、その指令に基づいた電磁モータ60の駆動制御がなされる。
なお、本実施例においては、PI制御則に従い目標供給電流i*が決定されたが、PDI制御則に従い目標供給電流i*を決定することも可能である。この場合、例えば、次式
*=KP・Δθ+KI・Int(Δθ)+KD・Δθ’
によって、目標供給電流i*を決定すればよい。ここで、KDは微分ゲインであり、第3項は、微分項成分を意味する。
<応答性依拠ゲインの設定>
本システム10において、応答性依拠ゲインKHはあらかじめ設定されており、さらに、その設定されている応答性依拠ゲインKHは設定しなおすことが可能とされている。詳しく言えば、スタビライザ装置14が発生させるロール抑制力の時間的変化の様子が、工場において測定されており、その測定結果に基づいて応答性依拠ゲインKHがあらかじめ設定されている。そのあらかじめ設定されている応答性依拠ゲインKHは、運転者の意志に基づいて再設定することが可能とされている。スタビライザ装置14に特定の作動を実行させ、その作動の結果に基づいて応答性指標を取得し、その取得された応答性指標に依拠して応答性依拠ゲインKHを再設定するのである。以下に、あらかじめ設定されている応答性依拠ゲインKHおよび応答性依拠ゲインKHの再設定に関して説明する。
i)あらかじめ設定されている応答性依拠ゲイン
応答性依拠ゲインKHを設定するための応答性指標を取得するべく、工場において、1対のスタビライザ装置14の各々にトルクセンサを取り付け、それぞれのスタビライザ装置が発生させるロール抑制力を測定できるようにし、1対のスタビライザ装置14の各々の備える電磁モータ60に、図5(a)に示すように、電流を供給する。その結果、図5(b)に示すように、1対のスタビライザ装置14の各々が発生させるロール抑制力が、時間の経過に伴って変化する。この測定結果に基づいて、スタビライザ装置14が発生可能な最大のロール抑制力である最大ロール抑制力FMAXを取得する。最大ロール抑制力FMAXは大きいほどスタビライザ装置14の応答性は高く、小さいほどスタビライザ装置14の応答性は低いと推定することが可能であることから、最大ロール抑制力FMAXをスタビライザ装置14の応答性指標として採用している。なお、図中の実線は、1対のスタビライザ装置14のうちで応答性の高いほうが発生させるロール抑制力の時間的変化の様子を示し、図中の点線は、応答性の低いほうが発生させるロール抑制力の時間的変化の様子を示すものである。
本システムにおいてあらかじめ設定されている応答性依拠ゲインKHは、それぞれのスタビライザ装置14に対応する最大ロール抑制力FMAXの差である最大ロール抑制力差ΔFMAXの絶対値に依拠して設定されている。詳しく言えば、応答性依拠ゲインKHは、最大ロール抑制力差ΔFMAXの絶対値が大きいほど変化追従性を低くすべく、図6に示すように、最大ロール抑制力差ΔFMAXの絶対値が大きくなるにつれて小さな値となるように設定されている。つまり、1対のスタビライザ装置14のうちで応答性の低いものに対応する応答性依拠ゲインKHは1に設定され、一方、応答性の高いものに対応する応答性依拠ゲインKHは、最大ロール抑制力差ΔFMAXの絶対値に応じてKHΔFに設定されているのである。
ii)応答性依拠ゲインの再設定
本システム10においては、スタビライザ装置14に特定の作動を実行させ、その作動の結果に基づいて応答性指標を取得し、その取得された応答性指標に依拠して応答性依拠ゲインKHを再設定する。応答性依拠ゲインKHを再設定する際の応答性指標として、上記最大ロール抑制力FMAXと、スタビライザ装置14が実際に発生させるロール抑制力が、特定のモータ回転角に対応するロール抑制力に到達するまでの時間である特定目標到達時間(以下、「到達時間」と略す場合がある)tとを採用することが考えられる。到達時間tが短いほどスタビライザ装置14の応答性は高く、到達時間tが長いほどスタビライザ装置14の応答性は低いと推定することが可能であることから、到達時間tをスタビライザ装置14の応答性指標として採用することが可能なのである。
本システム10において、応答性指標を取得するための上記の特定の作動は、あらかじめ設定された許容条件(以下、「特定作動許容条件」という場合がある)を充足する場合に実行が許容される。具体的には、車両が停止していることと、4輪の車体車輪間距離がある許容範囲内に揃っていることとが充足されると、上記の特定の作動が許容される。したがって、この特定の作動時には、車体を傾斜させる力が作用しておらず、スタビライザ装置14が発生させる力と、その力によって変更される左右輪距離差ΔXとは対応関係にあると考えられる。このため、応答性依拠ゲインKHを再設定する際の応答性指標として、最大ロール抑制力FMAXに代えて、最大ロール抑制力FMAXによって変化させられる左右輪距離差ΔXである最大左右輪距離差ΔXMAXが採用される。また、到達時間tは、実際の左右輪距離差ΔXが、特定のモータ回転角に対応するロール抑制力によって変化させられる左右輪距離差ΔXに到達するまでの時間とされる。以下に、最大左右輪距離差ΔXMAXに依拠した応答性依拠ゲインKHの再設定と、到達時間tに依拠した応答性依拠ゲインKHの再設定とを説明する。ちなみに、応答性依拠ゲインKHの再設定は、運転者のゲイン再設定スイッチ107の操作によって実行される。このゲイン再設定スイッチ107は、最大左右輪距離差ΔXに依拠して応答性依拠ゲインKHを再設定する指令、あるいは、到達時間tに依拠して応答性依拠ゲインKHを再設定する指令が発令される構造とされている。
a)最大左右輪距離差に依拠した応答性依拠ゲインKHの再設定
応答性依拠ゲインKHを再設定するための最大左右輪距離差ΔXMAXを取得するべく、電磁モータ60にあらかじめ設定された電流量を特定時間供給し、その特定時間内に変化する左右輪距離差ΔXのうちで最大の左右輪距離差ΔXを測定する。具体的には、1対のスタビライザ装置14の各々が備える電磁モータ60に、あらかじめ設定された供給電流i1を特定時間T1供給し、前輪側に対応する最大左右輪距離差ΔXMAXである前輪側最大左右輪距離差ΔXFMAXと後輪側に対応する最大左右輪距離差ΔXMAXである後輪側最大左右輪距離差ΔXRMAXとを測定する。
最大左右輪距離差ΔXMAXに依拠して再設定される応答性依拠ゲインKHは、前輪側最大左右輪距離差ΔXFMAXと後輪側最大左右輪距離差ΔXRMAXとの差である前後輪最大距離差ΔXFRMAXの絶対値に依拠して設定されている。詳しく言えば、応答性依拠ゲインKHは、前後輪最大距離差ΔXFRMAXの絶対値が大きいほど変化追従性を低くすべく、図7に示すように、前後輪最大距離差ΔXFRMAXの絶対値が大きくなるにつれて小さな値となるように設定されている。つまり、1対のスタビライザ装置14のうちで応答性の低いものに対応する応答性依拠ゲインKHは1に再設定され、一方、応答性の高いものに対応する応答性依拠ゲインKHは、前後輪最大距離差ΔXFRMAXの絶対値に応じてKHΔXに再設定されるのである。
b)到達時間に依拠した応答性依拠ゲインKHの再設定
応答性依拠ゲインKHを再設定するための到達時間tを取得するべく、電磁モータ60の実モータ回転角θが、到達時間tを取得するためにあらかじめ設定された設定モータ回転角θ0となるように電磁モータ60が作動させられる。具体的には、1対のスタビライザ装置14の各々が備える電磁モータ60に、モータ回転角が設定モータ回転角θ0となるようにあらかじめ設定された供給電流i2を供給し、前輪側に対応する前輪側左右輪距離差ΔXFが、設定モータ回転角θ0に対応する前輪側の左右輪距離差ΔXである前輪側設定距離差ΔXF0に到達するまでの時間である前輪側到達時間tFを測定し、同様に、後輪側左右輪距離差ΔXRが、後輪側設定距離差ΔXR0に到達するまでの後側到達時間tRを測定する。
到達時間tに依拠して再設定される応答性依拠ゲインKHは、前輪側到達時間tFと後側到達時間tRとの差である到達時間差Δtの絶対値に依拠して設定されている。詳しく言えば、応答性依拠ゲインKHは、到達時間差Δtの絶対値が大きいほど変化追従性を低くすべく、図8に示すように、到達時間差Δtの絶対値が大きくなるにつれて小さな値となるように設定されている。つまり、1対のスタビライザ装置14のうちで応答性の低いものに対応する応答性依拠ゲインKHは1に再設定され、一方、応答性の高いものに対応する応答性依拠ゲインKHは、到達時間差Δtの絶対値に応じてKHΔtに再設定されるのである。
<制御プログラム>
本システム10において、スタビライザ装置14の応答性を考慮したロール抑制制御は、図9にフローチャートを示すロール抑制制御プログラムが、イグニッションスイッチがON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec)をおいてコントローラ96により繰り返し実行されることによって行われる。また、応答性依拠ゲインKHの再設定は、図10にフローチャートを示す最大左右輪距離差依拠ゲイン再設定プログラムと、図11にフローチャートを示す到達時間依拠ゲイン再設定プログラムとのいずれかのプログラムが、運転者によって上記のゲイン再設定スイッチ107が操作された場合にのみ、設定された時間間隔ΔT0をおいてコントローラ96により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、それぞれの制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。
i)ロール抑制制御プログラム
ロール抑制制御プログラムは、前後の車輪に対して設けられた1対のスタビライザ装置14それぞれに対して実行される。以降の説明においては、説明の簡略化に配慮して、1つのスタビライザ装置14に対しての本プログラムによる処理について説明するが、いずれのスタビライザ装置14に対する処理であるかを明確にする必要のある場合には、車輪位置を示す添え字を付して説明する場合がある。本プログラムに従う処理では、まず、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)において、、車速vがブレーキECU108の演算値に基づいて取得され、S2において、ステアリングホイールの操作角δが、ステアリングセンサ102の検出値に基づいて取得される。次に、S3において、取得された車速vおよび操作角δに基づいて推定横加速度Gycが推定される。ECU90のコントローラ96には、車速vと操作角δとをパラメータとする推定横加速度Gycに関するマップデータが格納されており、推定横加速度Gycは、そのマップデータを参照することによって推定される。
S4において、本プログラムによる処理が前後輪のうちのいずれの車輪に対応するスタビライザ装置14に対して実行されているかが判断される。本プログラムによる処理が前輪に対応するスタビライザ装置14Fに対して実行されていると判断された場合には、S5において、車速vに基づいて、図4(a)に示すように設定されているマップデータを参照し、前輪側車速依拠ゲインKVFが決定され、S6において、調整後推定横加速度Gysが、次式に従って決定される。
Gys=KHF・KVF・Gyc+(1−KHF・KVF)・Gysp
Gyspは、車体が受けるロールモーメントが変化する前の調整後推定横加速度Gysであり、本プログラムの前のプログラムにおける調整後推定横加速度Gysである。前輪側応答性依拠ゲインKHFに関するデータは、ECU90のコントローラ96に格納されており、調整後推定横加速度Gysの決定に際してそのデータが参照される。また、本プログラムによる処理が後輪に対応するスタビライザ装置14Rに対して実行されていると判断された場合には、S7において、車速vに基づいて、図4(b)に示すように設定されているマップデータを参照し、後輪側車速依拠ゲインKVRが決定され、S8において、調整後推定横加速度Gysが、次式に従って決定される。
Gys=KHR・KVR・Gyc+(1−KHR・KVR)・Gysp
後輪側応答性依拠ゲインKHRに関するデータも、ECU90のコントローラ96に格納されている。
続いて、S9において、車体に実際に発生する横加速度である実横加速度Gyrが、横加速度センサ104の検出値に基づいて取得される。そして、S10において、制御横加速度Gy*が、上述のように調整後推定横加速度Gysと実横加速度Gyrとから決定され、S11において、その制御横加速度Gy*に基づき、目標モータ回転角θ*が決定される。次に、S12において、モータ回転角センサ78に基づいて実モータ回転角θが取得され、S13において、実モータ回転角θの目標モータ回転角θ*に対する偏差であるモータ回転角偏差Δθが決定される。そして、S14において、目標モータ回転角θ*に基づき、前述のPI制御則に従う式に従って、目標供給電流i*が決定され、S15において、決定された目標供給電流i*に基づく制御信号がインバータ92に送信された後、本プログラムの1回の実行が終了する。
ii)最大左右輪距離差依拠ゲイン再設定プログラム
本プログラムに従う処理は、ゲイン再設定スイッチ107によって、最大左右輪距離差ΔXに依拠して応答性依拠ゲインKHを再設定する指令が発令された場合にのみ実行される。本プログラムに従う処理では、まず、S21において、上述した許容条件を充足しているか否かが判定され、充足していると判定された場合には、S22において、あらかじめ設定された供給電流i1に基づく制御信号が1対のスタビライザ装置14の各々が備えるインバータ92の各々に送信される。
S23において、各車輪に対応する実際の車体車輪間距離が検出され、S24において、左右前輪の各々に対応する車体車輪間距離の差である前輪側左右輪距離差ΔXFが演算される。次に、S25において、その演算された前輪側左右輪距離差ΔXFと前輪側最大左右輪距離差ΔXFMAXとがそれぞれ比較判定される。前輪側左右輪距離差ΔXFが前輪側最大左右輪距離差ΔXFMAXより大きいと判定された場合には、S26において、前輪側最大左右輪距離差ΔXFMAXが前輪側左右輪距離差ΔXFとされる。続いて、S27において、左右後輪の各々に対応する車体車輪間距離の差である後輪側左右輪距離差ΔXRが演算され、S28において、その演算された後輪側左右輪距離差ΔXRと後輪側最大左右輪距離差ΔXRMAXとがそれぞれ比較判定される。後輪側左右輪距離差ΔXRが後輪側最大左右輪距離差ΔXRMAXより大きいと判定された場合には、S29において、後輪側最大左右輪距離差ΔXRMAXが後輪側左右輪距離差ΔXRとされる。
次に、S30において、電磁モータ60に電力が供給されている時間を計測するための計測時間Tに設定時間ΔT0が加算され、S31において、その計測時間Tが特定時間T1以上か否かが判定される。計測時間Tが特定時間T1以上であると判定されると、S32において、上記前後輪最大距離差ΔXFRMAXが演算され、S33において、前輪側最大左右輪距離差ΔXFMAXと後輪側最大左右輪距離差ΔXRMAXとがそれぞれ比較判定される。それぞれの最大左右輪距離差のうちで前輪側最大左右輪距離差ΔXFMAXのほうが大きいと判定された場合、つまり、1対のスタビライザ装置14のうちで前輪側のスタビライザ装置14Fのほうが応答性が高いと判定された場合は、S34において、前輪側応答性依拠ゲインKHFは、図7に示すように設定されているマップデータを参照し、前後輪最大距離差ΔXFRMAXの絶対値に応じた値であるKHΔXに、後輪側応答性依拠ゲインKHRは1に再設定される。また、それぞれの最大左右輪距離差のうちで後輪側最大左右輪距離差ΔXRMAXのほうが大きいと判定された場合、つまり、1対のスタビライザ装置14のうちで後輪側のスタビライザ装置14Rのほうが応答性が高いと判定された場合は、S35において、前輪側応答性依拠ゲインKHFは1に、後輪側応答性依拠ゲインKHRは、図7に示すように設定されているマップデータを参照し、前後輪最大距離差ΔXFRMAXの絶対値に応じた値であるKHΔXに再設定される。つまり、ECU90のコントローラ96に格納されている前輪側応答性依拠ゲインKHFと後輪側応答性依拠ゲインKHRとに関するデータがそれぞれ再設定される。
それぞれの応答性依拠ゲインKHが再設定された後、若しくは、S21において、上記許容条件を充足していないと判定された場合に、S36において、計測時間T,前輪側最大左右輪距離差ΔXFMAX,後輪側最大左右輪距離差ΔXRMAXがそれぞれリセットされる。そして、S37において、供給電流を0とする制御信号がインバータ92に送信された後、若しくは、S31において、計測時間Tが特定時間T1未満と判定された場合に、本プログラムの1回の実行が終了する。
iii)到達時間依拠ゲイン再設定プログラム
本プログラムに従う処理は、ゲイン再設定スイッチ107によって、到達時間tに依拠して応答性依拠ゲインKHを再設定する指令が発令された場合にのみ実行される。本プログラムに従う処理では、まず、S51において、上述した許容条件を充足しているか否かが判定され、充足していると判定された場合には、S52において、モータ回転角が上記特定モータ回転角θ0になるようにあらかじめ設定された供給電流i2に基づく制御信号が1対のスタビライザ装置14の各々が備えるインバータ92の各々に送信される。そして、S53において、各車輪に対応する実際の車体車輪間距離が検出され、S54において、前輪側左右輪距離差ΔXFが演算される。次に、S55において、その演算された前輪側左右輪距離差ΔXFと前輪側設定距離差ΔXF0とがそれぞれ比較判定される。前輪側左右輪距離差ΔXFが前輪側設定距離差ΔXF0より小さいと判定された場合には、S56において、前輪側到達時間tFに設定時間ΔT0が加算される。次に、S57において、後輪側左右輪距離差ΔXRが演算され、S58において、その演算された後輪側左右輪距離差ΔXRと後輪側設定距離差ΔXR0とがそれぞれ比較判定される。後輪側左右輪距離差ΔXRが後輪側設定距離差ΔXR0より小さいと判定された場合には、S59において、後輪側到達時間tRに設定時間ΔT0が加算される。
続いて、S60において、前輪側左右輪距離差ΔXFが前輪側設定距離差ΔXF0以上、かつ、後輪側左右輪距離差ΔXRが後輪側設定距離差ΔXR0以上という条件を充足しているか否かが判定される。その条件を充足していると判定された場合には、S61において、到達時間差Δtが演算され、S62において、前輪側到達時間tFと後輪側到達時間tRとがそれぞれ比較判定される。それぞれの到達時間のうちで前輪側到達時間tFのほうが長いと判定された場合、つまり、1対のスタビライザ装置14のうちで前輪側のスタビライザ装置14Fのほうが応答性が低いと判定された場合は、S63において、前輪側応答性依拠ゲインKHFは1に、後輪側応答性依拠ゲインKHRは、到達時間差Δtの絶対値に基づいて、図8に示すように設定されているマップデータを参照し、KHΔtに再設定される。また、それぞれの到達時間のうちで後輪側到達時間tRのほうが長いと判定された場合、つまり、1対のスタビライザ装置14のうちで後輪側のスタビライザ装置14Rのほうが応答性が低いと判定された場合は、S64において、前輪側応答性依拠ゲインKHFは、到達時間差Δtの絶対値に基づいて、図8に示すように設定されているマップデータを参照し、KHΔtに、後輪側応答性依拠ゲインKHRは1に再設定される。
それぞれの応答性依拠ゲインKHが再設定された後、若しくは、S51において、上記許容条件を充足していないと判定された場合に、S65において、前輪側到達時間tFと後輪側到達時間tRとがそれぞれリセットされる。そして、S66において、供給電流を0とする制御信号がインバータ92に送信された後、若しくは、S60において、そのステップの条件を充足していないと判定された場合に、本プログラムの1回の実行が終了する。
<コントローラの機能構成>
上記3つのプログラムを実行するコントローラ96は、それの実行処理に鑑みれば、図8に示すような機能構成を有するものと考えることができる。図から解るように、コントローラ96は、上記ロール抑制制御プログラムを実行する機能部、つまり、ロール抑制制御を実行する機能部として、ロール抑制制御実行部120を、上記最大左右輪距離差依拠ゲイン再設定プログラムおよび上記到達時間依拠ゲイン再設定プログラムの処理を実行する機能部、つまり、応答性依拠ゲインKHを再設定する機能部として、応答性依拠ゲイン再設定部122を、それぞれ有している。
なお、ロール抑制制御実行部120は、S6,S8の処理を実行する機能部、つまり、応答性依拠ゲインKHに基づいて制御目標値を調整する機能部として、応答性依拠制御目標値調整部126を、S11の処理を実行する機能部、つまり、車体が受けるロールモーメントに基づいて制御目標値である目標モータ回転角θ*を決定する機能部として、制御目標値決定部128を、それぞれ備えている。また、応答性依拠ゲイン再設定部122は、上記最大左右輪距離差依拠ゲイン再設定プログラムの処理を実行する機能部、つまり、最大左右輪距離差ΔXMAXに依拠して応答性依拠ゲインKHを再設定する機能部として、最大左右輪距離差依拠ゲイン再設定部130を、上記到達時間依拠ゲイン再設定プログラムの処理を実行する機能部、つまり、到達時間tに依拠して応答性依拠ゲインKHを再設定する機能部として、到達時間依拠ゲイン再設定部132を、それぞれ備えている。さらに、最大左右輪距離差依拠ゲイン再設定部130は、S22〜S31の処理を実行する機能部、つまり、最大左右輪距離差ΔXMAXの取得を処理する機能部として、最大左右輪距離差取得処理部136を備え、到達時間依拠ゲイン再設定部132は、S52〜S60の処理を実行する機能部、つまり、到達時間tの取得を処理する機能部として、到達時間取得処理部138を備えている。なお、最大左右輪距離差取得処理部136および到達時間取得処理部138は、いずれも、応答性指標の取得を処理する機能を有するため、それら2つの機能部136,138は、応答性指標取得処理部を構成するものと考えることができる。
<応答性依拠ゲインの変形例>
本システム10において、1対のスタビライザ装置14の各々の応答性依拠ゲインKH を再設定する際に、1対のスタビライザ装置14のうちで応答性の低いものの応答性依拠ゲインKHを一定にし、応答性の高いものの応答性依拠ゲインKHを低くするように再設定している。このような再設定に代えて、1対のスタビライザ装置14のうちで応答性の高いものの応答性依拠ゲインKHを一定にし、応答性の低いものの応答性依拠ゲインKHを高くするように再設定してもよい。また、1対のスタビライザ装置14のうちで応答性の高いものの応答性依拠ゲインKHを低くし、応答性の低いものの応答性依拠ゲインKHを高くするように再設定してもよい。
請求可能発明の実施例の車両用スタビライザシステムの全体構成を示す模式図である。 図1の車両用スタビライザシステムの備えるスタビライザ装置を車両上方からの視点において示す模式図である。 スタビライザ装置の備えるアクチュエータを示す概略断面図である。 車速とそれに依拠するゲインとの関係を示すグラフである。 電磁モータに供給される供給電流と、1対のスタビライザ装置の各々が発生させるロール抑制力の変化の様子を、時間の経過を横軸にとったチャートである。 最大ロール抑制力差の絶対値とそれに依拠するゲインとの関係を示すグラフである。 前後輪最大距離差の絶対値とそれに依拠するゲインとの関係を示すグラフである。 到達時間差の絶対値とそれに依拠するゲインとの関係を示すグラフである。 ロール抑制制御プログラムを示すフローチャートである。 最大左右輪距離差依拠ゲイン再設定プログラムを示すフローチャートである。 到達時間依拠ゲイン再設定プログラムを示すフローチャートである。 車両用スタビライザシステムの制御を司る制御装置の機能を示すブロック図である。
符号の説明
10:車両用スタビライザシステム 14:スタビライザ装置 20:スタビライザバー 22:スタビライザバー部材 26:アクチュエータ 50:トーションバー部 52:アーム部 60:電磁モータ 62:減速機 64:ハウジング 68:出力軸(出力部) 90:電子制御ユニット(ECU)(制御装置) 126:応答性依拠制御目標値調整部 136:最大左右輪距離差取得処理部(応答性指標取得処理部) 138:到達時間取得処理部(応答性指標取得処理部)

Claims (8)

  1. 前後の車輪に対応して設けられ、それぞれが、スタビライザバーと、アクチュエータとを有し、前記スタビライザバーの捩り反力に依拠するロール抑制力を発生させるとともに、そのロール抑制力を前記アクチュエータによって変更可能な1対のスタビライザ装置と、
    それら1対のスタビライザ装置の各々が発生させるロール抑制力を、その各々が備える前記アクチュエータを制御することによって制御する制御装置と
    を備えた車両用スタビライザシステムであって、
    前記制御装置が、前記1対のスタビライザ装置の各々のその各々が発生させるべきロール抑制力についての制御目標値を、その各々についてのその各々の応答性を指標する応答性指標に基づいて調整する応答性依拠制御目標値調整部を有する車両用スタビライザシステム。
  2. 前記応答性指標が、
    制御目標値が変更された場合において、前記1対のスタビライザ装置の各々が実際に発生させるロール抑制力の時間的変化の様子を推定可能なものである請求項1に記載の車両用スタビライザシステム。
  3. 前記応答性指標が、
    特定の制御目標値に基づく制御の下、前記1対のスタビライザ装置の各々が実際に発生させるロール抑制力がその特定の制御目標値に対応するロール抑制力に到達するまでの時間である特定目標到達時間を含む請求項1または請求項2に記載の車両用スタビライザシステム。
  4. 前記応答性指標が、
    特定の制御目標値に基づく制御を特定の時間実行した場合において、前記1対のスタビライザ装置の各々が発生可能な最大のロール抑制力を含む請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
  5. 前記応答性依拠制御目標値調整部が、応答性の差に起因する前記1対のスタビライザ装置の各々が実際に発生させるロール抑制力の相対的なズレを減少させるように、前記1対のスタビライザ装置の各々の制御目標値を調整するものである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
  6. 前記制御装置が、前記1対のスタビライザ装置の各々の制御目標値をその各々が発生させるロール抑制力が車体が受けるロールモーメントに応じた大きさとなるように決定する機能と、そのロールモーメントの変化に対するロール抑制力の変化の追従性である対ロールモーメント変化追従性を調整する機能とを有し、
    前記応答性依拠制御目標値調整部が、前記1対のスタビライザ装置のうちの一方の制御目標値を、その一方についての応答性指標が他方についての応答性指標と比較して応答性の高いことを指標する値である場合にその一方の対ロールモーメント変化追従性が低くなるように、応答性が低いことを指標する値である場合に高くなるように調整するように構成された請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
  7. 前記制御装置が、前記1対のスタビライザ装置の各々の制御目標値をその各々が発生させるロール抑制力が車体が受けるロールモーメントに応じた大きさとなるように決定する機能と、そのロールモーメントの変化に対するロール抑制力の変化の追従性である対ロールモーメント変化追従性を調整する機能とを有し、
    前記応答性依拠制御目標値調整部が、前記1対のスタビライザ装置の各々の応答性指標
    を比較して、前記1対のスタビライザ装置のうちの応答性の高いスタビライザ装置の制御目標値を、対ロールモーメント変化追従性が低くなるように調整することと、前記1対のスタビライザ装置のうちの応答性の低いスタビライザ装置の制御目標値を、対ロールモーメント変化追従性が高くなるように調整することとの少なくとも一方を実現するように構成された請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
  8. 前記制御装置が、
    前記1対のスタビライザ装置の各々に特定の作動を実行させ、その作動の結果に基づいて、その各々についての応答性指標を取得する応答性指標取得処理部を有する請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
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