JP2007131215A - 車両用スタビライザシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】アクチュエータによってスタビライザバーの剛性をアクティブに制御可能な車両用スタビライザシステムの実用性を向上させる。
【解決手段】スタビライザバーが実際に発生させている実ロール抑制力Rrを荷重センサの検出値に基づいて取得し(S32,S38)、車両の旋回状態に基づいてスタビライザバーが理論上発生させるべき理論ロール抑制力Rcを推定する(S33,S39)。そして、それらの差ΔRを求め(S40)、その差ΔRに基づいて、車両に偏荷重が生じているか否かを判断する(S41)。偏荷重が生じている場合には、偏荷重が生じていない場合と同様のロール量となるように、その偏荷重の程度に応じて、アクチュエータの駆動源である電動モータの目標モータ回転角θ*の補正量θ0を決定し(S42)、その補正量θ0による目標モータ回転角θ*の補正を行う。
【選択図】 図7

Description

本発明は、車両に設けられて車体のロールを抑制するためのスタビライザシステムに関し、詳しくは、スタビライザバーの剛性を車両の旋回状態に応じて変更することの可能なスタビライザシステムに関する。
スタビライザシステムは、スタビライザバーの弾性力に依拠したロール抑制力を車体に作用させて車体のロールを抑制するシステムであり、現在では、いわゆるアクティブスタビライザシステム、つまり、スタビライザバーの剛性を車両の旋回状態に応じて変更するスタビライザシステムの開発が盛んに行われている。そのようなアクティブスタビライザシステムにおいて、例えば、下記特許文献に記載されているように、スタビライザバーが発揮するロール抑制力を実際に検出してその検出結果を当該スタビライザシステムの制御に用いることも検討されている。具体的に言えば、下記特許文献1は、実際のロール抑制力の大きさによって当該システムの異常を検知するような技術であり、特許文献2は、実際のロール抑制力を基に、車体に生じているロールが車両の旋回等に起因するものかあるいは路面からの外部入力によるものかを推定する技術である。
特開2005−88736号公報 特開2003−226127号公報
上記特許文献に記載の技術は、それぞれの目的に応じて実際のロール抑制力を制御に用いているが、実際のロール抑制力の用途は、それらの技術に記載されているものに限定されるものではない。実際にスタビライザバーが発揮しているロール抑制力を、種々の目的で利用することにより、スタビライザシステムの実用性を向上させることが可能であると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用的な車両用スタビライザシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用スタビライザシステムは、いわゆるアクティブスタビライザシステムにおいて、スタビライザバーが理論上発揮すべきロール抑制力と、実際に発揮しているロール抑制力とに基づいて、その車両の偏荷重状態を推定する手段を設けたことを特徴とする。
例えば、車両が片荷状態であるような場合に、その車両が偏荷重状態となる。この場合、スタビライザバーが理論上発揮すべきロール抑制力と実際に発揮しているロール抑制力とが異なるものとなる。本発明のスタビライザシステムでは、そのようなロール抑制力の差異に基づいて車両の偏荷重状態を推定するように構成されており、偏荷重状態の推定を容易に行うことが可能となる。偏荷重状態の推定結果をスタビライザシステムの制御に利用することで、例えば、当該スタビライザシステムによるロール抑制制御の適正化等が図れることになる。このような利点から、本発明によれば、実用的なスタビライザシステムが実現する。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、下記(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(4)項が請求項3に、(6)項が請求項4に、それぞれ相当する。
(1)両端部の各々が左右の車輪の各々を保持する車輪保持部材の各々に連結部材を介して連結されるスタビライザバーと、
前記スタビライザバーの剛性を動作量に応じて変更するアクチュエータと、
(a)そのアクチュエータの動作量が車両の旋回状態に基づいて定められる目標動作量となるように、前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と、(b)車両の旋回状態に応じて前記スタビライザバーが発生させるべきロール抑制力である理論ロール抑制力と、実際に前記スタビライザバーが発生させているロール抑制力である実ロール抑制力との差に基づいて、車両の偏荷重状態を推定する偏荷重状態推定部とを有する制御装置と
を備えた車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、簡単にいえば、いわゆるアクティブスタビライザシステムにおいて、上記理論ロール抑制力と実ロール抑制力との差に基づいて車両の偏荷重状態を推定する手段を設けた態様である。ここでいう「車両の偏荷重状態」は、左右の車輪が分担する荷重、言い換えれば、左右のサスペンションスプリングが分担する荷重がいずれかに偏っている状態を意味する。例えば、それによってある程度持続性のある車体の傾斜が発生し得る状態となる。この偏荷重状態の原因は特に限定されるものではなく、路面からの外部入力,旋回等に起因する一時的な状態は除かれるものの、例えば、車両に積載している荷物,車両に搭乗している乗員等の偏り、車両に作用する横風、タイヤのパンク,空気圧異常、異径タイヤの装着等の種々の原因による比較的長時間にわたる偏荷重状態を広く対象とし得る。どのような原因による偏荷重状態を対象とするかは、目的に応じて任意に選択することが可能である。本項の態様によれば、このような偏荷重状態を、ロール抑制力に基づいて、容易に推定することが可能となる。また、推定結果を適切に利用すれば、例えば、当該スタビライザシステムによるロール抑制制御の適正化等が図れることになる。なお、偏荷重状態の推定は、偏荷重状態の有無を判断するものであってもよく、偏荷重の程度、つまり、どの程度の偏荷重が発生しているかを推認するものであってもよい。
本項の態様における「スタビライザバー」は、車体が受けるロールモーメントに対抗する力であるロール抑制力、より詳しく言えば、自身の捩れによって発生する弾性力等に依拠するロール抑制力を発揮する主体となる構成要素である。また、「アクチュエータ」は、スタビライザバーに作用することによって、そのスタビライザバーの特性である剛性を変更する機能を有する構成要素である。ここでいう「スタビライザバーの剛性」とは、スタビライザバーの物性値としての剛性ではなく、見かけ上の剛性を意味する。具体的には、例えば、サスペンションアーム等の車輪保持部材に連結されるスタビライザバーの両端部の上下方向における相対変位量に対して、どの程度の弾性力、つまり、ロール抑制力を発生させるかといった意味である。言い換えれば、車体が受けるロールモーメントに釣り合うロール抑制モーメントを発揮するためのロール抑制力を発生させた場合に、車体のロール量をどの程度に維持できるかを意味し、アクチュエータはそのロール量を変更するものと考えることができる。なお、以下、スタビライザバーとアクチュエータとによって構成される装置を、「スタビライザ装置」と呼ぶこととする。
スタビライザ装置の構成は、特に限定されるものではない。例えば、後に説明するように、スタビライザバーを、中央部で2つに分離して1対のスタビライザバー部材によって構成し、それら1対のスタビライザバー部材の間にアクチュエータを配設して、そのアクチュエータがそれら1対のスタビライザバー部材を相対回転させるような構成であってもよい。この場合には、アクチュエータの「動作量」は、1対のスタビライザバー部材の相対回転角に関連するものとなる。また、スタビライザバーの一方の端部と車輪保持部材との間にアクチュエータを配設して、そのアクチュエータがその一方の端部と車輪保持部材との間隔を変更するような構成であってもよい。この場合には、アクチュエータの動作量は、その間隔に関連するものとなる。また、アクチュエータは、どのような力に基づいて動作するものであってもよい。例えば、油圧等によって作動する流体式のアクチュエータであってもよく、また、電動モータ等を駆動源として備えた電磁式のアクチュエータであってもよい。
本項の態様において、「制御装置」は、例えば、コンピュータを主体として構成することが可能である。制御装置が有する1つの機能部である「アクチュエータ制御部」は、いわゆるアクティブな制御を司る機能部である。アクチュエータ制御部がアクチュエータの制御において依拠する「車両の旋回状態」は、例えば、いわゆる車両の旋回の激しさの程度を意味するものであり、具体的には、例えば、車両の旋回時の走行速度,操舵角,車体の受けるロールモーメント,車体に発生している横加速度,車両のヨーレイト,スリップ角,コーナリングフォース等のパラメータによって表すことができるものである。実際の制御において、アクチュエータ制御部は、それらのパラメータの1以上のものに基づいて、適切なスタビライザバーの剛性が得られるようにアクチュエータの目標動作量を決定するような構成とすることが可能である。
また、本項における「理論ロール抑制力」は、設計上のロール抑制力と考えることができるものであり、車両に偏荷重が発生していない場合において発生することが想定されているロール抑制力である。また、「実ロール抑制力」は、実際に発揮されているロール抑制力であり、例えば、後に説明するように、スタビライザバーの弾性変形によって生じるところの、荷重を実測することによって検出可能である。また、アクチュエータの駆動力あるいはそれを指標する何らかのパラメータ、例えば、電磁式のアクチュエータである場合における電動モータへの供給電力量、流体式のアクチュエータである場合における流体圧等によっても検出することが可能であり、それらを実ロール抑制力を指標する指標値として、それらに基づいて偏荷重状態を推定する態様も本項の態様に含まれる。
制御装置が有する別の1つの機能部である「偏荷重状態推定部」は、理論ロール抑制力と実ロール抑制力との差に基づいて車両の偏荷重状態を推定する機能部であるが、その推定に関する具体的な手法が特に限定されるものではない。例えば、車両が旋回していない場合においては、通常、理論ロール抑制力は0、つまり、ロール抑制力は発生しないとされるが、その場合において、何某かの実ロール抑制力が発生しているときには、車両に偏荷重が生じていると推定することが可能であり、その実ロール抑制力の大きさによって、偏荷重の程度を推認することが可能である。また、車両が定常的な旋回、具体的には、一定走行速度かつ一定の操舵角の下で車両が旋回しているような場合においても、その場合の旋回状態からアクチュエータの目標動作量は定まり、アクチュエータの動作量がその目標動作量に維持される時の理論ロール抑制力も定まる。その場合において、理論ロール抑制力より実質的に大きなあるいは小さな実ロール抑制力が発生している場合において、偏荷重が生じていることを推定することが可能であり、同様に、それらの差異の程度によって、偏荷重の程度を推認することが可能である。
なお、本項の態様において、スタビライザバーの端部と車輪保持部材との間に介在する「連結部材」は、例えば、それらを直接的に連結するための締結具のようなものであってもよく、後に説明するように、リンクロッド等のようにスタビライザバーの端部と車輪保持部材とを間接的に連結するための部材であってもよい。ちなみに、先に説明したように、アクチュエータがスタビライザバーの端部と車輪保持部材との間に配設されたスタビライザ装置においては、アクチュエータ自体が、連結部材となり得る。
(2)前記偏荷重状態推定部が、偏荷重の程度を推定するものであり、前記制御装置が、前記偏荷重状態推定部によって推定された偏荷重の程度に基づいて前記目標動作量を補正する目標動作量補正部を有する(1)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、推定された車両の偏荷重状態を考慮してスタビライザ装置を制御する一態様である。具体的には、例えば、偏荷重によって生じる車体の傾斜を抑制するようにアクチュエータの目標動作量を補正する態様が含まれる。偏荷重に起因する車体の傾斜を抑制すれば、車両の乗り心地が向上し、また、車両の操縦安定性が向上することとなる。なお、アクチュエータの目標動作量が中立位置(車両が平坦路を直進している状態におけるアクチュエータの動作位置を意味する)を基準として定められている場合、その基準となる中立位置をシフトさせることも、本項における補正の一態様となる。
(3)前記目標動作量補正部が、車体のロール量が車両が偏荷重となっていない状態において車両の旋回状態に基づいて設定された設定ロール量となるように前記目標動作量を補正するものである(2)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様によれば、偏荷重が生じている場合であっても、スタビライザ装置によって、偏荷重が生じていない状態における車体の傾斜状態(傾斜していない状態をも含む概念である)を実現することが可能であり、偏荷重が生じている場合の車両の乗り心地,操縦安定性等を良好な状態に維持することが可能である。なお、具体的には、例えば、車両が旋回していない状態において車体の傾斜がなくなるように補正する態様も、本項の態様に含まれる。
(4)当該車両用スタビライザシステムが、前記スタビライザバーと前記連結部材との少なくとも一方に設けられてその少なくとも一方に実際に作用する荷重を検出するセンサを有し、
前記偏荷重推定部が、前記理論ロール抑制力と前記センサの検出値に基づく前記実ロール抑制力との差に基づいて、車両の偏荷重状態を推定するものである(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、スタビライザバーが発揮している実ロール抑制力を、荷重センサを用いて実測し、その実測値に基づいて車両の偏荷重状態を推定する態様である。本項の態様によれば、確実に実ロール抑制力を取得することが可能である。センサの配設位置については、特に限定されるものではなく、後に説明する連結部材としてのリンクロッドに設けられる場合の他、スタビライザバー自体に設けられるものであってもよい。スタビライザバー自体に設けられる場合は、例えば、スタビライザバーが有するトーション部(捩れ変形する部分)の捩れ量、あるいは、アーム部(トーション部と交差して延び、端部が車輪保持部材に連結される部分)の撓み量を、歪みセンサ等を用いて検出することによって、実ロール抑制力を検出することが可能である。
(5)前記センサが、前記連結部材としてのリンクロッドに設けられてそれに作用する圧縮・引張両方向の荷重を検出するものである(4)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、連結部材としてのリンクロッドに上記センサを設けた態様である。本項の態様においては、例えば、リンクロッドの伸縮量を歪みセンサによって検出することで、リンクロッドに作用する圧縮荷重,引張荷重を検出するような構成を採用することができる。また、リンクロッドの両端部、つまり、スタビライザバーの端部と係合する部分および車輪保持部材と係合する部分との各々にロードセル等を配設し、それによって、上記圧縮荷重,引張荷重を検出するような構成を採用することが可能である。
(6)前記偏荷重推定部が、車両が旋回していないときに車両の偏荷重状態を推定する非旋回時推定部を有する(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
車両の非旋回時、つまり、車両が直進しているあるいは車両が走行していない場合、原則的には、アクチュエータの目標動作量は0とされる。アクチュエータの目標動作量を0に維持する場合、偏荷重が生じていない状態においては、理論ロール抑制力は0と考えることができる。本項の態様は、その場合において、実ロール抑制力が発生していることを根拠として、車両の偏荷重状態を推定する態様である。非旋回時においては、車両旋回時に比較して、より簡便に、正確な実ロール抑制力を検出することが可能となる。
(7)前記スタビライザバーが、
それぞれが、車幅方向に延びる1つの軸線上に配設されるトーション部と、そのトーション部に連続してそのトーション部と交差して延びるとともに先端部において前記車輪保持部材に連結されるアーム部とを有する1対のスタビライザバー部材を含んで構成され、
前記アクチュエータが、前記1対のスタビライザバー部材のトーション部を前記軸線のまわりに相対回転させるものである(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、スタビライザ装置の具体的構造に関する限定を加えた態様であり、先に述べた態様である。本項の態様によれば、スタビライザバーの剛性を効率的に変更可能なアクティブスタビライザシステムが実現可能である。
(8)前記アクチュエータが、ハウジングと、それぞれがそのハウジングに支持されて配設された電動モータおよびその電動モータの回転を減速させる減速機とを含んで構成され、前記1対のスタビライザバー部材の一方のトーション部が前記ハウジングに相対回転不能に接続され、他方のトーション部が前記減速機の出力部に相対回転不能に接続された(7)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、上記構造のスタビライザ装置において、アクチュエータを電動のものとした態様、つまり、電動のアクティブスタビライザシステムにおいて具体的な構造を限定した態様である。本項の態様によれば、電動モータの良好な制御性を利用することで、スタビライザ装置のアクティブな制御をより効率的に実現することが可能である。
以下、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
≪スタビライザシステムの構成≫
図1に、請求可能発明の一実施例である車両用スタビライザシステム10を概念的に示す。本スタビライザシステム10は、車両の前輪側、後輪側の各々に配設された2つのスタビライザ装置14を含んで構成されている。スタビライザ装置14はそれぞれ、両端部において左右の車輪16を保持する車輪保持部材の各々に連結部材としてのリンクロッド18を介して連結されたスタビライザバー20を備えている(図2参照)。そのスタビライザバー20は、中央部で分割されており、一対のスタビライザバー部材、すなわち右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを含む構成のものとされている。それら一対のスタビライザバー部材22,24がアクチュエータ30を介して相対回転可能に接続されており、大まかに言えば、スタビライザ装置14は、アクチュエータ30が、左右のスタビライザバー部材22,24を相対回転させることによって(図の矢印,点線矢印を参照のこと)、スタビライザバー20全体の見かけ上の剛性を変化させて車体のロール抑制を行う。
図2には、一方のスタビライザ装置14の車幅方向の中央から一方側の車輪16にかけての部分が概略的に示されている。本スタビライザシステム10が装備される車両は、それぞれが4つの車輪16の各々に対して設けられた4つの独立懸架式のサスペンション装置38を含んで構成されている。このサスペンション装置38は、一般によく知られたダブルウィシュボーン式のものであり、一端部が車体に回動可能に連結されるとともに他端部が車輪16に連結された車輪保持部材としてのアッパアーム42およびロアアーム44を備えている。それらアッパアーム42およびロアアーム44は、車輪16と車体との接近離間(相対的な上下動の意味)に伴い、上記一端部(車体側)を中心に回動させられ、上記他端部(車輪側)が車体に対して上下させられる。また、サスペンション装置38は、ショックアブソーバ46と、サスペンションスプリング48(本装置では「エアばね」である)とを備えている。それらショックアブソーバ46およびスプリング48は、それぞれ、それらの一端部が車体側のマウント部に、他端部がロアアーム44に連結されている。このような構造から、サスペンション装置38は、車輪16と車体とを弾性的に相互支持するとともに、それらの接近離間に伴う振動に対する減衰力を発生させる機能を果たすものとなっている。
スタビライザ装置14は、先に説明した一対のスタビライザバーである右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを備える(図2には、右スタビライザバー部材22および左スタビライザバー部材24の一方が示されている)。各スタビライザバー部材22,24は、それぞれ、略車幅方向に延びるトーションバー部60と、トーションバー部60と一体化されてそれと交差して概ね車両前方あるいは後方に延びるアーム部62とに区分することができる。各スタビライザバー部材22,24のトーションバー部60は、アーム部62に近い箇所において、車体の一部であるスタビライザ装置配設部64に固定的に設けられた支持部材66によって回転可能に支持され、互いに同軸に配置されている。それらトーションバー部60の端部(車幅方向における中央側の端部)の間には、上述のアクチュエータ30が配設されており、後に詳しく説明するが、各トーションバー部60の端部は、それぞれ、そのアクチュエータ30に接続されている。一方、アーム部62の端部(トーションバー部60側とは反対側の端部)は、リンクロッド18を介して上述のロアアーム44に設けられたスタビライザバー連結部68に連結されている。
具体的には、図3に示すように、リンクロッド18は、棒状をなすロッド部70と、ロッド部70の両端部の各々に付設されたボールジョイント72,74を含んで構成されている。ボールジョイント72,74は、それぞれ、ロッド部70の端部に固着されたケーシング76に、連結ピン78が延び出すジョイントボール80が保持された構造をなしており、連結ピン78の各々が、アーム部62の端部およびロアアーム44のスタビライザバー連結部68に固定されることで、左右のスタビライザバー部材22,24とロアアーム44とが、リンクロッド18を介してある程度のフレキシビリティを有する状態で連結されているのである。ボールジョイント72,74の各々のケーシング76の内部には、ケーシング76の内面とジョイントボール80の外面との間に介装される状態で、ピエゾ素子(圧電素子である)が配設されている。それら2つピエゾ素子82は、それぞれ、リンクロッド18の圧縮方向,引張方向の荷重に応じた電圧を発生させるものとされており、リンクロッド18には、それら2つのピエゾ素子82を主体として構成された荷重センサ84が設けられているのである。この荷重センサ84によって検出されたリンクロッド18の圧縮・引張両方向の荷重は、スタビライザバー20が発揮するロール抑制力を指標するパラメータであり、後に説明するように、偏荷重状態を推定する根拠となる。
アクチュエータ30は、図4に模式的に示すように、電動モータ100と、電動モータ100の回転を減速する減速機102とを含んで構成されている。これら電動モータ100および減速機102は、アクチュエータ30の外殻部材であるハウジング104内に設けられている。ハウジング104は、ハウジング保持部材106によって、回転可能かつ軸方向(略車幅方向)に移動不能に、車体に設けられたスタビライザ装置配設部64に保持されている。図2から解るように、ハウジング104の両端部の各々には、2つの出力軸110,112の各々が延び出すように配設されている。それら出力軸110,112のハウジング104から延び出した側の端部が、それぞれ、各スタビライザバー部材22,24の端部と、セレーション嵌合によって相対回転不能に接続されている。また、図4から解るように、一方の出力軸110は、ハウジング104の端部に固定して接続されており、また、他方の出力軸112は、ハウジング104内に延び入る状態で配設されるとともに、ハウジング104に対して回転可能かつ軸方向に移動不能に支持されている。その出力軸112のハウジング104内に存在する一方の端部が、後に詳しく説明するように、減速機102に接続され、その出力軸112は、減速機102の出力軸を兼ねるものとなっている。
電動モータ100は、ハウジング104の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のステータコイル114と、ハウジング104に回転可能に保持された中空状のモータ軸116と、モータ軸116の外周においてステータコイル114と向きあうようにして一円周上に固定して配設された永久磁石118とを含んで構成されている。電動モータ100は、ステータコイル114がステータとして機能し、永久磁石118がロータとして機能するモータであり、3相のDCブラシレスモータとされている。
減速機102は、波動発生器(ウェーブジェネレータ)120,フレキシブルギヤ(フレクスプライン)122およびリングギヤ(サーキュラスプライン)124を備え、ハーモニックギヤ機構(ハーモニックドライブ機構(登録商標),ストレイン・ウェーブ・ギヤリング機構等とも呼ばれる)として構成されている。波動発生器120は、楕円状カムと、それの外周に嵌められたボール・ベアリングとを含んで構成されるものであり、モータ軸116の一端部に固定されている。フレキシブルギヤ122は、周壁部が弾性変形可能なカップ形状をなすものとされており、周壁部の開口側の外周に複数の歯が形成されている。このフレキシブルギヤ122は、先に説明した出力軸112に接続され、それによって支持されている。詳しく言えば、出力軸112は、モータ軸116を貫通しており、それから延び出す端部にフレキシブルギヤ122の底部が固着されることで、フレキシブルギヤ122と出力軸112とが接続されているのである。リングギヤ124は、概してリング状をなして内周に複数(フレキシブルギヤの歯数よりやや多い数、例えば2つ多い数)の歯が形成されたものであり、ハウジング104に固定されている。フレキシブルギヤ122は、その周壁部が波動発生器120に外嵌して楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸方向に位置する2箇所においてリングギヤ124と噛合し、他の箇所では噛合しない状態とされている。波動発生器120が1回転(360度)すると、つまり、電動モータ100のモータ軸116が1回転すると、フレキシブルギヤ122とリングギヤ124とが、それらの歯数の差分だけ相対回転させられる。ハーモニックギヤ機構はその構成が公知のものであることから、本減速機102の詳細な図示は省略し、説明はこの程度の簡単なものに留める。
以上の構成から、車両の旋回等によって、車体に左右の車輪16の一方と車体との距離と左右の車輪16の他方と車体との距離とを相対変化させる力、すなわちロールモーメントが作用する場合、右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを相対回転させる力、つまり、アクチュエータ30に対する外部入力が作用する。その場合、電動モータ100が発生する力であるモータ力(電動モータ100が回転モータであることから、回転トルクと考えることができるため、回転トルクと呼ぶ場合がある)によって、アクチュエータ30がその外部入力に釣り合う力をアクチュエータ出力として発揮しているときには、それら2つのスタビライザバー部材22,24によって構成された1つのスタビライザバー20が捩じられることになる。この捩りにより生じる弾性力は、ロールモーメントに対抗する力、すなわち、ロール抑制力となる。そして、モータ力によってアクチュエータ30の出力軸110,112の相対回転位置、つまり、アクチュエータ30の回転位置(動作位置のことである)を変化させることで、右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24との相対回転位置を変化させれば、車体が同じロールモーメントを受けている場合、言い換えれば、同じロール抑制力を発生させている場合であっても、車体のロール量を変化させることが可能となる。本スタビライザ装置14は、そのようにして、スタビライザバーの見かけ上の剛性、すなわち、スタビライザ剛性を変化させることが可能な装置とされているのである。
なお、アクチュエータ30には、ハウジング104内に、モータ軸116の回転角度、すなわち、電動モータ100の回転角度を検出するためのモータ回転角センサ130が設けられている。モータ回転角センサ130は、本アクチュエータ30ではエンコーダを主体とするものであり、左右のスタビライザバー部材22,24の相対回転角度(相対回転位置)、言い換えれば、アクチュエータ30の動作位置すなわち回転位置を指標するものとして、アクチュエータ30の制御、つまり、スタビライザ装置14の制御に利用される。
アクチュエータ30が備える電動モータ100には、図1に示すように、電源としてのバッテリ132から電力が供給される。本スタビライザシステム10では、そのバッテリ132と、2つのスタビライザ装置14の各々との間に、それぞれ、インバータ134が設けられている。それらインバータ134は駆動回路として機能するものであり、2つのスタビライザ装置14の各々が有する電動モータ100には、2つのインバータ134の各々を介して電力が供給される。なお、電動モータ100は定電圧駆動されることから、供給電力量は、供給電流量を変更することによって変更され、電動モータ100は、その供給電流量に応じた力を発揮することとなる。ちなみに、供給電流量は、インバータ134がPWM(Pulse Width Modulation)によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって行われる。
本スタビライザシステム10は、図1に示すように、スタビライザ装置14、詳しくは、アクチュエータ30の作動を制御する制御装置であるスタビライザ電子制御ユニット(ECU)140(以下、単に「ECU140」という場合がある)を備えている。そのECU140は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されており、ECU140には、上記モータ回転角センサ130とともに、操舵量としてのステアリング操作部材の操作量であるステアリングホイールの操作角を検出するための操作角センサ150,車両走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)を検出するための車速センサ152,車体に実際に発生する横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ154が接続されている。(図1では、それぞれ「θ」,「δ」,「v」,「Gy」と表されている)。さらにECU140には、リンクロッドに作用する荷重を検出する荷重センサ84が接続されている(図1では、「P」と表されている)。また、ECU140は、インバータ134にも接続され、ECU140は、インバータ134を制御することで、アクチュエータ30の回転位置を制御するものとされている。ECU140のコンピュータが備えるROMには、後に説明するスタビライザ制御プログラム、スタビライザ装置14の制御に関する各種のデータ等が記憶されている。
なお、本スタビライザシステム10は、前輪側,後輪側の2つのスタビライザ装置14を備えており、それら2つのスタビライザ装置14は、設定されたロール剛性配分に従ってそれぞれが個別に制御され、その個々の制御下において、それぞれが所定のロール抑制力を発生させることになるが、ここからの説明では、特に断わりのない限り、説明の単純化に配慮して、2つのスタビライザ装置14を同一構成のものとして扱い、また、それらを一元化して扱うこととする。
≪スタビライザシステムにおいて実行される制御等≫
本スタビライザシステム10では、車両の旋回状態に基づいてアクチュエータ30の目標動作量を決定し、アクチュエータ30の実際の動作量がその目標動作量となるようにアクチュエータ30を制御することにより、スタビライザ剛性を変化させる。つまり、車体が受けるロールモーメント等に応じて車体のロール抑制効果すなわち車体のロール量をアクティブに制御することが可能とされている(以下、この制御を「アクチュエータ制御」と呼ぶ場合がある)。さらに、本スタビライザシステム10では、車両の旋回状態に応じてスタビライザバー20が発生させるべき理論ロール抑制力と、スタビライザバー20が実際に発生させている実ロール抑制力との差に基づいて、車両の偏荷重状態を推定する(以下、この処理を「偏荷重状態推定処理」と呼ぶ場合がある)。さらに、その偏荷重の程度に応じて、上記アクチュエータ制御において決定されたアクチュエータ30の目標動作量を補正する処理を行うようにされている(以下、この制御を「目標動作量補正処理」と呼ぶ場合がある)。以下、それらの制御,処理について、詳細に説明する。
(A)アクチュエータ制御
アクチュエータ制御では、車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量に基づいて、スタビライザバー20の捩れ剛性を適正なものとすべく、アクチュエータ30の目標動作量である目標回転位置が決定され、アクチュエータ30の回転位置がその目標回転位置となるように制御される。つまり、ロールモーメント指標量に基づき、車体のロール量が適切な量となるようなロール抑制力を発生させるために、1対のスタビライザバー部材22,24を適正な角度だけ相対回転させるようにアクチュエータ30が制御される。なお、ここでいうアクチュエータ30の回転位置とは、車体にロールモーメントが全く作用しない状態である基準状態でのアクチュエータ30の回転位置を中立位置とした場合において、その中立位置からの回転量を意味する。つまり、アクチュエータ30の動作位置の中立位置に対する変位量である対中立位置変位量を意味する。また、アクチュエータ30の回転位置と電動モータ100の回転角であるモータ回転角とは対応関係にあるため、実際の制御では、アクチュエータ30の回転位置に代えてモータ回転角が使用される。
アクチュエータ制御をより具体的に説明すれば、本実施例においては、上記ロールモーメント指標量としての横加速度に基づいて、アクチュエータ30の目標回転位置(目標動作量の一種である)としての目標モータ回転角θ*が決定される。詳しく言えば、ステアリングホイールの操舵角と車両走行速度に基づいて推定された推定横加速度Gycと、実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr
ここで、K1,K2はゲインであり、そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、目標モータ回転角θ*が決定される。そして、その目標モータ回転角θ*と実際のモータ回転角である実モータ回転角θとの偏差に基づくフィードバック制御手法に従って、電動モータ100への目標供給電流i*が決定され、つまり、アクチュエータ30の回転位置を目標回転位置に近づけるべく、あるいは、目標回転位置に維持すべく、適切な電力がアクチュエータ30の電動モータ100に供給されるのである。なお、本スタビライザシステム10においては、インバータ134において目標供給電流i*を決定するための回路が設けられており、ECU140において決定された目標モータ回転角θ*に関する制御信号が、ECU140からインバータ134に出力される。
(B)偏荷重状態推定処理
偏荷重状態推定処理では、スタビライザバー20が発生させているべきロール抑制力である理論ロール抑制力Rcと、実際にスタビライザバー20が発生させているロール抑制力である実ロール抑制力Rrとの差に基づいて、車両の偏荷重状態が推定される。先に説明したように、アクチュエータ制御では、アクチュエータ30の回転位置を車体が受けるロールモーメントに応じた目標回転位置とする制御が行われて、スタビライザバー20の剛性が決定される。そのため、スタビライザバー20が分担するロール抑制力は、ロールモーメント応じたものとなる。アクチュエータ制御では、車両に偏荷重が生じていない状態において、車体が適切なロール量となるようなロール抑制力を発揮させるべく、アクチュエータ30の目標回転位置を決定する制御が行われることから、その場合のロール抑制力、つまり、理論ロール抑制力Rcは、ロールモーメントに応じて定まることとなる。詳しく言えば、理論ロール抑制力Rcは、前述の制御横加速度Gy*に基づいて一義的に定まるものとなる。したがって、本スタビライザシステム10においては、ロールモーメント指標量である制御横加速度Gy*をパラメータとする理論ロール抑制力RcのマップデータがECU140内に格納されており、そのマップデータを参照することによって理論ロール抑制力Rcが取得される。
ところが、車両に偏荷重が生じている場合には、その偏荷重の影響により、たとえアクチュエータ30の回転位置が上記目標回転位置とされた場合であっても、実際にスタビライザバー20が発揮しているロール抑制力である実ロール抑制力Rrは、理論ロール抑制力Rcと一致しない状態となる。そこで、本スタビライザシステム10では、前述の荷重センサ84を利用して実ロール抑制力Rrを取得し、その取得した実ロール抑制力Rrと、そのときに車両が受けている上記制御横加速度Gy*に基づいて定まる理論ロール抑制力Rcとの差に基づき、車両に偏荷重が発生している状態であるかが推定される。
なお、車両の偏荷重状態の推定処理は、車両が旋回している状態と、車両が旋回していない状態との両方において行われる。理論ロール抑制力Rcは、車両の旋回状態が安定しない間は推定することが困難であるため、いずれの状態の処理も、そのことを考慮して行われる。具体的には、車両が旋回していない状態での処理(非旋回時推定処理)は、ある程度の時間直進しているか、または、停止していることを条件として実行され、車両が旋回している状態での処理(旋回時推定処理)は、上述の制御横加速度Gy*が一定期間、一定の範囲内に収まっていることを条件とし、その条件を満たす場合に一定の走行速度かつ一定の操作角の下で旋回しているとみなしてそのときに実行される。また、路面の起伏等の影響により実ロール抑制力Rrが変動するため、その影響を排除すべく、いずれの処理においても、実ロール抑制力Rrの変動のない状態において偏荷重状態の推定がなされる。
(C)目標動作量補正処理
先に説明した偏荷重状態推定処理において、車両に偏荷重が生じていると推定された場合には、アクチュエータ30の目標動作量としての目標モータ回転角θ*の補正を行う目標動作量補正処理が実行される。実ロール抑制力Rrと理論ロール抑制力Rcとの差は、スタビライザバー20の剛性の過不足に起因するものとみなして、その剛性を過不足を調整すべく、目標モータ回転角θ*が、実ロール抑制力Rrと理論ロール抑制力Rcとの差分に応じた補正量θ0だけ補正される。この補正量θ0は、実ロール抑制力Rrと理論ロール抑制力Rcとの差分をパラメータとするマップデータとしてECU140内に記憶されており、そのマップデータを参照することによって取得される。上記アクチュエータ制御は、この補正処理によって補正された目標モータ回転角θ*に基づいてが実行されるようになっており、その補正処理の結果、車両に偏荷重が生じている状態でも、車体のロール量は、偏荷重が生じていない場合と同様のロール量となるようにスタビライザ装置14が制御されるのである。
なお、本スタビライザシステム10では、補正処理が実行された後にも、その補正処理がなされた状態において、上記偏荷重状態推定処理が実行されるようになっている。補正処理がなされた場合には、理論ロール抑制力Rcと制御横加速度Gy*との関係が変化する。そのため、本スタビライザシステム10では、偏荷重状態推定処理で用いられる理論ロール抑制力Rcをも補正するようにされている。具体的に言えば、上述した理論ロール抑制力Rcを求めるためのマップデータは、補正量θ0ごとに格納されており、補正処理に用いられている補正量θ0に対応するマップデータが選択され、その選択されたデータを参照して、理論ロール抑制力Rcが決定されるようにされているのである。また、補正処理が実行された後に、偏荷重の程度が変化した場合には、上記偏荷重状態推定処理によってその変化の後の偏荷重状態が推定され、その推定結果に基づいて、上記目標動作量補正処理によって、さらなる目標モータ回転角θ*の補正処理が実行される。
≪スタビライザ制御プログラム≫
本スタビライザシステム10の制御は、図5にフローチャートを示すスタビライザ制御プログラムが、イグニッションスイッチがON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数m〜数十msec)をおいてECU140により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、スタビライザ制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、詳しく説明する。
スタビライザ制御プログラムでは、まず、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)において、目標モータ回転角θ*を補正するための補正量θ0が特定される。補正量θ0は、初期値が0とされており、後に補正量θ0が決定された場合には、その決定された値とされる。次に、S2において、補正量θ0に基づいて、理論ロール抑制力Rcを決定するための理論ロール抑制力マップMapRcが選択される。
次に、S3,S4において、車両の旋回状態が判断される。S3では、車速vが設定された閾値である設定閾車速v1より大きいか否かが判定され、S4では、操作角δが設定された閾値である設定閾操作角δ1より大きいか否かが判定される。車速vおよび操作角δのいずれもが、設定閾値v1,δ1より大きい場合には、車両が旋回している状態であると判断されてS5に進む。
S5においては、図6にフローチャートで示す旋回時目標モータ回転角決定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、まず、S21において、車速vおよび操作角δが取得され、次に、S22において、それら車速vおよび操作角δに基づいて推定横加速度Gycが推定される。ECU140には、車速vと操作角δとをパラメータとする推定横加速度Gycに関するマップデータが格納されており、推定横加速度Gycは、そのマップデータを参照することによって推定される。続いて、S23において、車体に実際に発生する横加速度である実横加速度Gyrが、横加速度センサ154の検出値に基づいて取得される。続くS24において、制御横加速度Gy*が、上述のように推定横加速度Gycと実横加速度Gyrとから決定され、S25において、その制御横加速度Gy*に基づき、電動モータ100の目標モータ回転角θ*が決定される。ECU140内には、制御横加速度Gy*をパラメータとする目標モータ回転角θ*のマップデータが格納されており、S25では、そのマップデータを参照して、目標モータ回転角θ*が決定される。目標モータ回転角θ*が決定されて、本サブルーチンの実行が終了する。
旋回時目標モータ回転角決定サブルーチンが終了後、次に、S6に進んで、図7にフローチャートで示す旋回時補正量決定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、まず、S31において、S24において決定された制御横加速度Gy*の値が、所定の記憶領域に記憶される。次いで、S32において、荷重センサ84の検出値に基づいて、実ロール抑制力Rrが取得され、その値が、所定の記憶領域に記憶される。続くS33において、S2で選択された理論ロール抑制力決定マップMapRcを参照し、制御横加速度Gy*に基づいて、理論ロール抑制力Rcが決定され、その値が、所定の記憶領域に記憶される。制御横加速度Gy*,実ロール抑制力Rr,理論ロール抑制力Rcのそれぞれの記憶領域は、先入れ先出しメモリ的な領域とされており、現時点から設定時間(例えば3秒程度)遡った時点までのそれらの値が記憶されるされるようになっている。
次いで、S34において、記憶領域に記憶されている制御横加速度Gy*の値のうちの最大値Gy*MAXと最小値Gy*MINとの差である制御横加速度差ΔGy*が求められ、S35において、記憶領域に記憶されている実ロール抑制力Rrの値のうちの最大値RrMAXと最小値RrMINとの差である実ロール抑制力差ΔRrが求められる。次に、S36において、制御横加速度差ΔGy*の絶対値が設定閾値ΔGy*0以下であるか否かが、S37において実ロール抑制力差ΔRrの絶対値が設定閾値ΔRr0以下あるか否かが、それぞれ判定される。それらの判定の両者がYESとなる場合は、上記設定時間内において、車両の旋回状態が安定しており、また、路面の凹凸等による実ロール抑制力Rrの揺らぎが小さいものとみなして、S38以下の偏荷重状態の推定等の処理が実行される。それらの判定のいずれかがNOである場合には、S38以下の処理は実行されずに、本サブルーチンによる処理が終了する。
S38以下の処理が実行される場合、まず、S38において、記憶領域に記憶されている実ロール抑制力Rrの値の平均値である平均実ロール抑制力RrAVEが求められ、S39において、記憶領域に記憶されている理論ロール抑制力Rcの値の平均値である平均理論ロール抑制力RcAVEが求められる。次いで、S40において、平均実ロール抑制力RrAVEと平均理論ロール抑制力RcAVEとの差であるロール抑制力差ΔRが求められ、S41において、ロール抑制力差ΔRの絶対値が設定閾値ΔR0以上であるか否かが判定される。設定閾値ΔR0以上である場合には、偏荷重が生じているあるいは偏荷重状態が変化したものと認定されて、続くS42において、目標モータ回転角θ*についての補正量θ0が前述したマップデータを参照することによって決定され、本サブルーチンによる処理が終了する。S41の判定において設定閾値ΔR0を超えていない場合には、偏荷重が生じていないあるいは偏荷重状態が変化していないと認定され、補正値θ0は現状の値が維持された状態で、本サブルーチンによる処理が終了する。
先に説明したS3およびS4において、車速vまたは操作角δのいずれかが設定閾値v1,δ1以下である場合、すなわち、車両が停止しているか、または、車両が走行していてもほぼ直進状態であるとみなせる場合には、S7の非旋回時目標モータ回転角決定ステップにおいて、目標モータ回転角θ*が中立位置である0に決定される。ここで、中立位置は車両に偏荷重が発生していない状態でロール抑制力が発生しないモータ回転位置である。このS7の処理の後、S8に進んで、図8にフローチャートで示す非旋回時補正量決定サブルーチンが実行される。このサブルーチンは、旋回時補正量決定サブルーチンと略同じ処理を実行するサブルーチンとされている。車両が旋回していない状態においては、横加速度Gyが生じていないと見なされるため、旋回時補正量決定サブルーチンにおいて実行されていた一部の処理が、本サブルーチンにおいては実行されていない。具体的に言えば、S31の制御横加速度Gy*を記憶領域に記憶する処理、S34の制御横加速度差ΔGy*を求める処理、および、S36の制御横加速度差ΔGy*に基づく判定処理である。それらの処理を除く他の処理は、旋回時補正量決定サブルーチンにおける処理と同様であるために、本サブルーチンの詳しい説明は省略するが、本サブルーチンによる処理では、非旋回時において設定時間以上実ロール抑制力Rrが安定した状態が継続する場合に、平均実ロール抑制力RrAVEと平均理論ロール抑制力RcAVEとの差であるロール抑制力差ΔRが求められ、そのロール抑制力差ΔRに基づいて車両の偏荷重状態が推定され、場合によっては目標モータ回転角θ*についての補正量θ0が決定される。
なお、フローチャートには示していないが、旋回時補正量決定サブルーチンによる処理から非旋回時補正量決定サブルーチンによる処理への切り換わる場合、あるいは、その逆の場合に、それらの切り換わり時から設定時間が経過する前にロール抑制力差ΔRに基づく偏荷重状態の推定が行われないように、切り換わり時において、記憶領域の各種の値に実際にはあり得ない値であるダミー値を記憶させる処理が実行されるようになっている。
旋回時補正量決定サブルーチンによる処理あるいは非旋回時補正量決定サブルーチンによる処理が実行された後、S9において、S5あるいはS7にて決定された目標モータ回転角θ*に対して、現時点で決定されている補正量θ0を加算することによる補正処理が実行される。そして、S10に進んで、その目標モータ回転角θ*についての制御信号が、インバータ134に出力される。以上で、本プログラムの1回の実行が終了する。
≪制御装置の機能構成≫
以上のようなスタビライザ制御プログラムが実行されて機能する本スタビライザシステム10の制御装置であるECU140は、図9に示すように、S1〜S5およびS10の処理を実行する機能部としてアクチュエータ制御部170を、S6の旋回時補正量決定サブルーチンによる処理を実行する機能部として旋回時推定部172を、S8の非旋回時補正量決定サブルーチンによる処理を実行する機能部として非旋回時推定部174を、それぞれ有している。それら旋回時推定部172と非旋回時推定部174とを含んで偏荷重状態推定部176が構成されるとともに、ECU140は、上記2つのサブルーチンにおいて目標モータ回転角θ*についての補正量θ0を決定する処理、および、S9による補正処理を実行する機能部として、目標動作量補正部178を備えているのである。
実施例のスタビライザシステムの全体構成を示す模式図である。 図1のスタビライザシステムが備えるスタビライザ装置を示す概略図である。 図1のスタビライザシステムが備えるリンクロッドを拡大して示す概略断面図 である。 図1のスタビライザ装置を構成するアクチュエータを示す概略断面図である。 図1のスタビライザシステムにおいて実行されるスタビライザ制御プログラムを示すフローチャートである。 スタビライザ制御プログラムにおいて実行される旋回時目標モータ回転角決定 サブルーチンを示すフローチャートである。 スタビライザ制御プログラムにおいて実行される旋回時補正量決定サブルーチ ンを示すフローチャートである。 スタビライザ制御プログラムにおいて実行される非旋回時補正量決定サブルー チンを示すフローチャートである。 制御装置としてのスタビライザ電子制御ユニットの機能を示すブロック図である。
符号の説明
10:車両用スタビライザシステム 14:スタビライザ装置 18:リンクロッド 20:スタビライザバー 22:右スタビライザバー部材 24:左スタビライザバー部材 30:アクチュエータ 60:トーションバー部 62:アーム部 100:電動モータ 102:減速機 74:ハウジング 84:荷重センサ 134:インバータ(駆動回路) 140:スタビライザ電子制御ユニット(ECU)(制御装置) 150:操作角センサ 152:車速センサ 154:横加速度センサ 170:アクチュエータ制御部 172:旋回時推定部 174:非旋回時推定部 176:偏荷重状態推定部 178:目標動作量補正部

Claims (4)

  1. 両端部の各々が左右の車輪の各々を保持する車輪保持部材の各々に連結部材を介して連結されるスタビライザバーと、
    前記スタビライザバーの剛性を動作量に応じて変更するアクチュエータと、
    (a)そのアクチュエータの動作量が車両の旋回状態に基づいて定められる目標動作量となるように、前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と、(b)車両の旋回状態に応じて前記スタビライザバーが発生させるべきロール抑制力である理論ロール抑制力と、実際に前記スタビライザバーが発生させているロール抑制力である実ロール抑制力との差に基づいて、車両の偏荷重状態を推定する偏荷重状態推定部とを有する制御装置と
    を備えた車両用スタビライザシステム。
  2. 前記偏荷重状態推定部が、偏荷重の程度を推定するものであり、前記制御装置が、前記偏荷重状態推定部によって推定された偏荷重の程度に基づいて前記目標動作量を補正する目標動作量補正部を有する請求項1に記載の車両用スタビライザシステム。
  3. 当該車両用スタビライザシステムが、前記スタビライザバーと前記連結部材との少なくとも一方に設けられてその少なくとも一方に実際に作用する荷重を検出するセンサを有し、
    前記偏荷重状態推定部が、前記理論ロール抑制力と前記センサの検出値に基づく前記実ロール抑制力との差に基づいて、車両の偏荷重状態を推定するものである請求項1または請求項2に記載の車両用スタビライザシステム。
  4. 前記偏荷重推定部が、車両が旋回していないときに車両の偏荷重状態を推定する非旋回時推定部を有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
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