JP2009202621A - 車両用スタビライザシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】実用性の高い車両用スタビライザシステムを提供する。
【解決手段】アクチュエータの作動によってロール抑制力を変更可能なスタビライザ装置が前後の車輪に対応して1対設けられたシステムにおいて、1対のスタビライザ装置の各々が発生させるべきロール抑制力の配分比を、ピッチモーメント指標量(前後加速度:Gzg)に基づいて変更するように構成する。車両の旋回時において、車両が加減速すると車両の前後方向に荷重移動が生じることで、前後輪のコーナリングパワーが変化して、車両のステアリング特性(スタビリティファクタ:k)が変化する(実線)。また、配分比とステアリング特性とは密接に関係しており、配分比を変更することで、車両のステアリング特性を変更することが可能である。したがって、上記のようなシステムによれば、車両の加減速時のステアリング特性を調整することが可能となる(点線,一点鎖線)。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載されるスタビライザシステム、詳しくは、自身が発生させるロール抑制力をアクチュエータの作動によって変更可能なスタビライザ装置を備えるスタビライザシステムに関する。
車両用スタビライザシステムは、スタビライザバーの捩り反力を利用して、車体のロールを抑制するシステムである。近年では、下記特許文献に記載されているように、アクチュエータを備え、そのアクチュエータによってロール抑制力を、例えば、アクティブに変更可能なシステムが検討され、既に実用化され始めている。
特開2006−321296号公報 特公平7−17135号公報
スタビライザバーの発生させるロール抑制力をアクチュエータの作動によって変更可能なスタビライザシステムにおいては、ロール抑制力を車両の旋回に起因して車体が受けるロールモーメントに応じた大きさに変化させて、車体のロールを抑制することが可能とされている。このようなシステムは、実用化が始まったばかりであり、制御手法の改善の余地を多分に残すものとなっている。したがって、種々の改善を施すことによって、スタビライザシステムの実用性を向上させることが可能である。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用スタビライザシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用スタビライザシステムは、アクチュエータの作動によってロール抑制力を変更可能なスタビライザ装置が前後の車輪に対応して1対設けられたシステムであって、1対のスタビライザ装置の各々が発生させるべきロール抑制力である前輪側ロール抑制力と後輪側ロール抑制力との比を、車両の加減速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標するピッチモーメント指標量に基づいて変更するように構成される。
車両の旋回時において車両が加減速する場合、車両の前後方向に荷重移動が生じることで、前後輪の各々に生じるコーナリングパワーが変化してアンダステア傾向が強くなったり弱くなったりする。つまり、車両の加減速に伴って、車両のステアリング特性が変化するのである。また、前後輪のロール剛性配分と車両のステアリング特性とは密接に関係しており、ロール剛性配分を変更することで、後に詳しく説明するように、車両のステアリング特性を変更することが可能である。本発明のスタビライザシステムは、ピッチモーメント指標量に基づいてロール剛性配分を変更することが可能であることから、ピッチモーメント指標量に基づいてステアリング特性を変更することが可能である。したがって、本発明のシステムによれば、例えば、車両の加減速時のステアリング特性を調整することが可能となり、システムの実用性を向上させることが可能となる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項ないし(8)項が、それぞれ、請求項1ないし請求項8に相当する。
(1)前後の車輪に対応して設けられ、それぞれが、スタビライザバーと、アクチュエータとを有し、前記スタビライザバーの捩り反力に依拠するロール抑制力を発生させるとともに、そのロール抑制力を前記アクチュエータによって変更可能な前輪側スタビライザ装置および後輪側スタビライザ装置と、
(a)それら前輪側スタビライザ装置および後輪側スタビライザ装置の各々によって発生させるべきロール抑制力の合計を、車両の旋回に起因して車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量に基づいて決定するロール抑制力決定部と、(b)そのロール抑制力決定部によって決定されたロール抑制力の合計を、ロール抑制力配分比に基づいて、前記前輪側スタビライザ装置が発生させるべきロール抑制力である前輪側ロール抑制力と前記後輪側スタビライザ装置が発生させるべきロール抑制力である後輪側ロール抑制力とに配分するロール抑制力配分部とを有し、そのロール抑制力配分部によって配分された前記前輪側ロール抑制力と前記後輪側ロール抑制力との各々に基づいて前記前輪側スタビライザ装置と前記後輪側スタビライザ装置との各々が有する前記アクチュエータの作動を制御する制御装置と
を備えた車両用スタビライザシステムであって、
前記ロール抑制力配分部が、前記ロール抑制力配分比を、車両の加減速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標するピッチモーメント指標量に基づいて変更するように構成された車両用スタビライザシステム。
車両の旋回時において、車両の加減速に起因して車体にピッチモーメントが生じると、車両の前後方向に荷重移動が生じることで、前後輪の各々に生じるコーナリングパワーが変化してアンダステア傾向が強くなったり弱くなったりする。具体的に言えば、車両の加速時には、後輪側の荷重が増加することで、後輪に生じるコーナリングパワーが増加してアンダステア傾向が強くなり、一方、車両の減速時には、前輪側の荷重が増加することで、前輪に生じるコーナリングパワーが増加してアンダステア傾向が弱くなる。つまり、車両の加減速時には、図1の実線に示すように、車両のステアリング特性が変化するのである。ここで、縦軸のスタビリティファクタkは、車両のステアリング特性を指標するものであり、さらにいえば、アンダステア傾向、若しくは、オーバステア傾向の程度を指標するものである。スタビリティファクタkは、それの値が大きいほどアンダステア傾向が強いことを示し、それの値が小さいほどアンダステア傾向が弱いことを示す。言い換えれば、それの値が大きいほどオーバステア傾向が弱いことを示し、それの値が小さいほどオーバステア傾向が強いことを示す。また、前後加速度Gzgの値が正のときは、車両は加速しており、前後加速度Gzgの値が負のときは、車両は減速していることを意味している。
また、車輪のコーナリングパワーと前後輪のロール剛性配分とは、後に詳しく説明するように、密接に関係しており、前輪のロール剛性を高くするほど前輪のコーナリングパワーは低下し、一方、後輪のロール剛性を高くするほど後輪のコーナリングパワーは低下する。つまり、前輪のロール剛性を高くするほどアンダステア傾向が強くなり、一方、後輪のロール剛性を高くするほどアンダステア傾向が弱くなる。本項に記載の態様の車両用スタビライザシステムにおいては、ロール抑制力配分比、つまり、ロール剛性配分をピッチモーメント指標量に基づいて変更することが可能であることから、車両のステアリング特性をピッチモーメント指標量に基づいて変更することが可能である。したがって、本項に記載の態様のシステムによれば、上記車両の加減速に伴うステアリング特性の変化の程度、言い換えれば、図1における直線の傾きを変更することが可能となり、例えば、車両の加減速時のステアリング特性を調整することが可能となる。例えば、図1の一点鎖線に示すように、車両の加減速の程度によっても車両のステアリング特性が変化しないようにすることが可能となる。具体的には、例えば、車両が加速するほど、アンダステア傾向を弱めるべく、後輪のロール剛性が高くなるようにロール抑制力配分比を変更し、一方、車両が減速するほど、アンダステア傾向を強めるべく、前輪のロール剛性が高くなるようにロール抑制力配分比を変更することで、車両の加減速の程度によらずステアリング特性を一定に保つことが可能となる。また、後に詳しく説明するように、図1の点線に示すように、車両の加減速に伴うステアリング特性の変化の程度を大きくすることも可能となる。具体的には、例えば、車両が加速するほど、アンダステア傾向を強めるべく、前輪のロール剛性が高くなるようにロール抑制力配分比を変更し、一方、車両が減速するほど、アンダステア傾向を弱めるべく、後輪のロール剛性が高くなるようにロール抑制力配分比を変更することで、車両の加減速に伴ってステアリング特性を大きく変化させることが可能となる。
本項に記載された「ロール抑制力配分比」は、前後輪のロール剛性配分を意味するものであり、前輪側ロール抑制力と後輪側ロール抑制力との比であってもよく、また、前輪側ロール抑制力と後輪側ロール抑制力とを合計したロール抑制力に対する前輪側ロール抑制力、若しくは、後輪側ロール抑制力の比率であってもよい。
本項に記載された「ロールモーメント指標量」とは、車両の旋回に起因して車体が受けるロールモーメントの大きさを直接的あるいは間接的に表すパラメータであり、どのようなロールモーメントを車体が受けるかを表し得る各種の物理量である。具体的には、ロールモーメント自体を始めとして、例えば、車両の操舵角,車両走行速度,車体に発生している横加速度,車両のヨーレートといった種々のものが、ロールモーメント指標量に該当する。また、本項に記載された「ピッチモーメント指標量」とは、車両の加減速に起因して車体が受けるピッチモーメントの大きさを直接的あるいは間接的に表すパラメータであり、どのようなピッチモーメントを車体が受けるかを表し得る各種の物理量である。具体的には、ピッチモーメント自体を始めとして、例えば、アクセルスロットの開度,ブレーキ圧,車体に発生している前後加速度といった種々のものが、ピッチモーメント指標量に該当する。
本項に記載の「スタビライザ装置」の構成は、特に限定されるものではない。例えば、後に説明するように、スタビライザバーを、中央部で2つに分離して1対のスタビライザバー部材によって構成し、それら1対のスタビライザバー部材の間にアクチュエータを配設して、そのアクチュエータがそれら1対のスタビライザバー部材を相対回転させてスタビライザバーを捩るような構成であってもよい。また、例えば、スタビライザバーの一方の端部と車輪を保持する部材との間にアクチュエータを配設して、そのアクチュエータがその一方の端部と車輪を保持する部材との間隔を変化させてスタビライザバーを捩るような構成であってもよい。
(2)前記ロール抑制力配分部が、前記ピッチモーメント指標量が車両の加速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標する値となる場合に、そのような値とならない場合に比較して、前記前輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された(1)項に記載の車両用スタビライザシステム。
(3)前記ロール抑制力配分部が、前記ピッチモーメント指標量が車両の加速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標する値となる場合に、前記ピッチモーメント指標量が大きいほど前記前輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された(2)項に記載の車両用スタビライザシステム。
車両の加減速時には、上述したように、前後輪のコーナリングパワーが変化してステアリング特性が変化する。また、車輪のコーナリングパワーとロール剛性とは密接に関係しており、後に詳しく説明するように、ロール剛性を高くするほど車輪のコーナリングパワーは低下する。このため、スタビライザ装置によって車体のロールが抑制される場合、つまり、ロール抑制制御が実行されるには、実行されない場合と比較して、ロール剛性が高くなり、車輪のコーナリングパワーは低下する。したがって、例えば、車両の加速旋回時において、ロール抑制制御が実行される場合には、ロール抑制制御が実行されない場合と比較して車両の加速による後輪のコーナリングパワーの増加が抑制され、アンダステア傾向が弱くなる。一方、車両の減速旋回時において、ロール抑制制御が実行される場合には、ロール抑制制御が実行されない場合と比較して車両の減速による前輪のコーナリングパワーの増加が抑制され、アンダステア傾向が強くなる。つまり、車両の加減速に伴うステアリング特性の変化の程度が、ロール抑制制御が実行される場合に、ロール抑制制御が実行されない場合と比較して小さくなる。言い換えれば、図1における直線の傾きが、ロール抑制制御が実行される場合に、ロール抑制制御が実行されない場合と比較して小さくなる。
上記のように、車両の加速旋回時には、ロール抑制制御が実行される場合に、ロール抑制制御が実行されない場合と比較してアンダステア傾向が弱くなることから、例えば、車両の加速旋回に伴うスピンを抑制し難くなる虞がある。上記2つの項に記載の態様のシステムでは、車両の加速旋回時にアンダステア傾向を強めることが可能とされていることから、上記2つの項に記載のシステムによれば、例えば、車両の加速旋回時において、ロール抑制制御が実行される場合に、ロール抑制制御が実行されない場合と同様にアンダステア傾向を強めることが可能となる。
(4)前記ロール抑制力配分部が、前記ピッチモーメント指標量が車両の減速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標する値となる場合に、そのような値とならない場合に比較して、前記後輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用スタビライザシステム。
(5)前記ロール抑制力配分部が、前記ピッチモーメント指標量が車両の減速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標する値となる場合に、前記ピッチモーメント指標量が大きいほど前記後輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された(4)項に記載の車両用スタビライザシステム。
上記2つの項に記載の態様のシステムでは、車両の減速旋回時にアンダステア傾向を弱めることが可能とされている。車両の減速旋回時には、上述のように、ロール抑制制御が実行される場合に、ロール抑制制御が実行されない場合と比較してアンダステア傾向が強くなることから、例えば、車両の回頭性が低下する虞がある。したがって、上記2つの項に記載のシステムによれば、例えば、車両の減速旋回時において、ロール抑制制御が実行される場合に、ロール抑制制御が実行されない場合と同様にアンダステア傾向を弱めることが可能となり、車両の回頭性を向上させることが可能となる。
(6)車両のステアリング特性であるアンダステア傾向、若しくは、オーバステア傾向の程度を指標するものをステア特性指標量と定義した場合に、
前記ロール抑制力配分部が、前記ピッチモーメント指標量に基づいて前記ステア特性指標量を推定するとともに、その推定されたステア特性指標量に基づいて前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された(1)項に記載の車両用スタビライザシステム。
車両のステアリング特性は、各車輪のコーナリングパワーに基づいて推定することが可能であり、各車輪のコーナリングパワーは各車輪にかかる荷重に応じた大きさとなる。したがって、本項に記載の「ステア特性指標量」として、具体的には、車両のステアリング特性を直接的に表す前述のスタビリティファクタを始めとして、例えば、各車輪のコーナリングパワー比,各車輪にかかる荷重比等を採用することが可能である。ステア特性指標量としてスタビリティファクタを採用する場合には、スタビリティファクタは、例えば、ピッチモーメント指標量に基づいて車両の加減速に伴う車輪間の荷重移動量を推定し、その推定される車輪間の荷重移動量を考慮した各車輪のコーナリングパワーに基づいて推定することが可能である。また、例えば、ピッチモーメント指標量とスタビリティファクタとの関係をあらかじめ測定しておき、各車輪のコーナリングパワーを敢えて推定することなく、ピッチモーメント指標量に基づいて直接的にスタビリティファクタを推定することも可能である。
本項に記載の「ロール抑制力配分比」は、例えば、ステア特性指標量が大きいほどアンダステア傾向が強く、小さいほどアンダステア傾向が弱いことを示す場合において、推定されたステア特性指標量があらかじめ設定された閾値より大きい場合に、その閾値以下となる場合に比較してアンダステア傾向が強くなるように変更され、推定されたステア特性指標量が設定閾値より小さい場合に、その閾値以上となる場合に比較してアンダステア傾向が弱くなるように変更されてもよい。逆に、例えば、推定されたステア特性指標量が設定閾値より大きい場合に、その閾値以下となる場合に比較してアンダステア傾向が弱くなるように変更され、推定されたステア特性指標量が設定閾値より小さい場合に、その閾値以上となる場合に比較してアンダステア傾向が強くなるように変更されてもよい。また、例えば、車両のステアリング特性を目標となるステアリング特性に変更するべく、推定されたステア特性指標量と目標となるステア特性指標量との差に応じて変更されてもよい。
(7)前記ロール抑制力配分部が、前記推定されたステア特性指標量が車体がピッチモーメントを受けていない場合の前記ステア特性指標量よりアンダステア傾向が強いことを指標する値となる場合に、そのような値とならない場合に比較して、前記前輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された(6)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様のシステムでは、推定されたステアリング特性が車体にピッチモーメントが生じていない場合のステアリング特性よりアンダステア傾向が強い場合に前輪のロール剛性が高くされる。つまり、図1の実線から解るように、本項に記載のシステムでは、車両の加速旋回時にアンダステア傾向を強めることが可能とされている。したがって、本項に記載のシステムによれば、例えば、車両の加速旋回時において、ロール抑制制御が実行される場合に、ロール抑制制御が実行されない場合と同様にアンダステア傾向を強めることが可能となる。
(8)前記ロール抑制力配分部が、前記推定されたステア特性指標量が車体がピッチモーメントを受けていない場合の前記ステア特性指標量よりアンダステア傾向が弱いことを指標する値となる場合に、そのような値とならない場合に比較して、前記後輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された(6)項または(7)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様のシステムでは、推定されたステアリング特性が車体にピッチモーメントが生じていない場合のステアリング特性よりアンダステア傾向が弱い場合に後輪のロール剛性が高くされる。つまり、図1の実線から解るように、本項に記載のシステムでは、車両の減速旋回時にアンダステア傾向を弱めることが可能とされている。したがって、本項に記載のシステムによれば、例えば、車両の減速旋回時において、ロール抑制制御が実行される場合に、ロール抑制制御が実行されない場合と同様にアンダステア傾向を弱めることが可能となり、車両の回頭性を向上させることが可能となる。
(9)前記スタビライザバーが、
左右の車輪に対応して設けられ、それぞれが、車幅方向に延びて配設されるトーションバー部と、そのトーションバー部に連続してそのトーションバー部と交差して延びるとともに先端部においてサスペンションアームに連結されるアーム部とを有する1対のスタビライザバー部材を含んで構成され、
前記アクチュエータが、前記1対のスタビライザバー部材のトーションバー部を相対回転させるものである(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様のシステムでは、スタビライザ装置の具体的構造、詳しく言えば、上記スタビライザバーとアクチュエータとの構成に関しての限定が加えられている。本項の態様のシステムによれば、スタビライザ装置が発生させるスタビライザ力を効率的に変更可能である。
(10)前記アクチュエータが、駆動源としての電磁モータと、その電磁モータの回転を減速する減速機と、前記電磁モータと前記減速機とを保持するハウジングとを有し、前記1対のスタビライザバー部材の一方のトーションバー部が前記ハウジングに相対回転不能に接続され、他方のトーションバー部が前記減速機の出力部に相対回転不能に接続される構造とされた(9)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様のシステムでは、アクチュエータの構造、および、アクチュエータとスタビライザバーとの連結,配置関係が具体的に限定されている。本項の態様においてアクチュエータが有する減速機は、それの機構が特に限定されるものではない。例えば、ハーモニックギヤ機構(「ハーモニックドライブ(登録商標)機構」,「ストレインウェーブギヤリング機構」等と呼ばれることもある)、ハイポサイクロイド減速機構等、種々の機構の減速機を採用することが可能である。電磁モータの小型化を考えれば、減速機の減速比は比較的大きい(電磁モータの動作量に対するアクチュエータの動作量が小さいことを意味する)ことが望ましく、その点を考慮すれば、ハーモニックギヤ機構を採用する減速機は、本項の態様のシステムにおいて好適である。
以下、請求可能発明の実施例および変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<車両用スタビライザシステムの構成>
i)車両用スタビライザシステムの全体構成
図2に、本実施例の車両用スタビライザシステム10を模式的に示す。本スタビライザシステム10は、車両の前輪側、後輪側の各々に配設された1対のスタビライザ装置14を含んで構成されている。スタビライザ装置14はそれぞれ、両端部において左右の車輪16を保持するサスペンションアーム(図3,4参照)に連結されたスタビライザバー20を備えている。そのスタビライザバー20は、それが分割された1対のスタビライザバー部材22を含む構成のものとされている。それら1対のスタビライザバー部材22は、アクチュエータ26によって相対回転可能に接続されている。なお、スタビライザ装置14,車輪16,スタビライザバー20,スタビライザバー部材22,アクチュエータ26等は総称であり、前後輪のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、前輪,後輪の各々に対応するものにF,Rを付す場合がある。
ii)サスペンション装置の構成
本システム10を搭載する車両には、各車輪16に対応した4つのサスペンション装置が設けられている。転舵輪である前輪16Fのサスペンション装置と非転舵輪である後輪16Rのサスペンション装置とは、車輪を転舵可能とする機構を除き略同様の構成とみなせるため、説明の簡略化に配慮して、後輪のサスペンション装置を代表して説明する。図3,4に示すように、サスペンション装置30は、独立懸架式のものであり、マルチリンク式サスペンション装置とされている。サスペンション装置30は、それぞれがサスペンションアームである第1アッパアーム32,第2アッパアーム34,第1ロアアーム36,第2ロアアーム38,トーコントロールアーム40を備えている。5本のアーム32,34,36,38,40のそれぞれの一端部は、車体に回動可能に連結され、他端部は、車輪16を回転可能に保持するアクスルキャリア42に回動可能に連結されている。それら5本のアーム32,34,36,38,40により、アクスルキャリア42は、車体に対して略一定の軌跡を描くような上下動が可能とされている。また、サスペンション装置30は、コイルスプリング44と液圧式のショックアブソーバ46とを備えており、それらは、それぞれ、ばね上部の一構成部分であるタイヤハウジングに設けられたマウント部48と、ばね下部の一構成部分である第2ロアアーム38との間に、互いに並列的に配設されている。つまり、サスペンション装置30は、車輪16と車体とを弾性的に相互支持するとともに、それらの接近離間に伴う振動に対する減衰力を発生させているのである。
iii)スタビライザ装置の構成
スタビライザ装置14の各スタビライザバー部材22はそれぞれ、図3,4に示すように、概して車幅方向に延びるトーションバー部50と、トーションバー部50と一体をなしてそれと交差して概ね車両の前方に延びるアーム部52とに区分することができる。各スタビライザバー部材22のトーションバー部50は、アーム部52に近い箇所において、車体に固定的に設けられた保持具54によって回転可能に保持され、互いに同軸的に配置されている。各トーションバー部50の端部(アーム部52側とは反対側の端部)は、それぞれ、後に詳しく説明するようにアクチュエータ26に接続されている。一方、各アーム部52の端部(トーションバー部50側とは反対側の端部)は、リンクロッド56を介して第2ロアアーム38に連結されている。第2ロアアーム38には、リンクロッド連結部58が設けられ、リンクロッド56の一端部は、そのリンクロッド連結部58に、他端部はスタビライザバー部材22のアーム部52の端部に、それぞれ遥動可能に連結されている。
スタビライザ装置14の備えるアクチュエータ26は、図5に示すように、駆動源としての電磁モータ60と、その電磁モータ60の回転を減速して伝達する減速機62とを含んで構成されている。これら電磁モータ60と減速機62とは、アクチュエータ26の外殻部材であるハウジング64内に設けられている。そのハウジング64の一端部には、1対のスタビライザバー部材22の一方のトーションバー部50の端部が固定的に接続されており、一方、1対のスタビライザバー部材22の他方は、ハウジング64の他端部からそれの内部に延び入る状態で配設されるとともに、後に詳しく説明するように、減速機62と接続されている。さらに、1対のスタビライザバー部材22の他方は、それの軸方向の中間部において、ブシュ型軸受70を介してハウジング64に回転可能に保持されている。
電磁モータ60は、ハウジング64の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のコイル72と、ハウジング64に回転可能に保持された中空状のモータ軸74と、コイル72と向きあうようにしてモータ軸74の外周に固定して配設された永久磁石76とを含んで構成されている。電磁モータ60は、コイル72がステータとして機能し、永久磁石76がロータとして機能するモータであり、3相のDCブラシレスモータとされている。なお、ハウジング64内に、モータ軸74の回転角度、すなわち、電磁モータ60の回転角度を検出するためのモータ回転角センサ78が設けられている。モータ回転角センサ78は、エンコーダを主体とするものであり、アクチュエータ26の制御、つまり、スタビライザ装置14の制御に利用される。
減速機62は、波動発生器(ウェーブジェネレータ)80,フレキシブルギヤ(フレクスプライン)82およびリングギヤ(サーキュラスプライン)84を備え、ハーモニックギヤ機構(「ハーモニックドライブ(登録商標)機構」,「ストレインウェーブギヤリング機構」等と呼ばれることもある)として構成されている。波動発生器80は、楕円状カムと、それの外周に嵌められたボールベアリングとを含んで構成されるものであり、モータ軸74の一端部に固定されている。フレキシブルギヤ82は、周壁部が弾性変形可能なカップ形状をなすものとされており、周壁部の開口側の外周に複数の歯(本減速機62では、400歯)が形成されている。このフレキシブルギヤ82は、先に説明した1対のスタビライザバー部材22の他方のトーションバー部50の端部に接続され、それによって支持されている。詳しく言えば、そのスタビライザバー部材22のトーションバー部50は、モータ軸74を貫通しており、それから延び出す部分の外周面において、当該減速機62の出力部としてのフレキシブルギヤ82の底部を貫通する状態でその底部とスプライン嵌合によって相対回転不能に接続されているのである。リングギヤ84は、概してリング状をなして内周に複数の歯(本減速機62においては、402歯)が形成されたものであり、ハウジング64に固定されている。フレキシブルギヤ82は、その周壁部が波動発生器80に外嵌して楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸方向に位置する2箇所においてリングギヤ84と噛合し、他の箇所では噛合しない状態とされている。このような構造により、波動発生器80が1回転(360度)すると、つまり、電磁モータ60のモータ軸74が1回転すると、フレキシブルギヤ82とリングギヤ84とが、2歯分だけ相対回転させられる。つまり、減速機62の減速比は、1/200とされている。
以上の構成から、車両の旋回等によって、車体に左右の車輪16の一方と車体との距離と、左右の車輪16の他方と車体との距離とを相対変化させる力、すなわちロールモーメントが作用する場合、左右のスタビライザバー部材22を相対回転させる力、つまり、アクチュエータ26に対する外力が作用する。その場合、電磁モータ60が発生させる力であるモータ力(電磁モータ60が回転モータであることから、回転トルクと考えることができるため、回転トルクと呼ぶ場合がある)によって、アクチュエータ26がその外力に対抗する力を発生させているときには、それら2つのスタビライザバー部材22によって構成された1つのスタビライザバー20が捩じられることになる。この捩りにより生じる捩り反力は、ロールモーメントに対抗する力となる。つまり、スタビライザ装置14が、モータ力に依拠してスタビライザバー20の捩り反力をロール抑制力として発生させているのである。さらに、モータ力によってアクチュエータ26の回転位置(動作位置のことである)を変化させることで、左右のスタビライザバー部材22の相対回転位置を変化させれば、上記ロール抑制力が変化し、車体のロールをアクティブに抑制することが可能となる。なお、本システム10の制御においては、アクチュエータ26の動作位置は、所定の中立位置を基準とする動作量として扱われる。この中立位置は、例えば、車両が平坦路に停止している状態におけるアクチュエータ66の動作位置として設定される。
iv)制御装置の構成
本スタビライザシステム10では、図2に示すように、2つのスタビライザ装置14に対応する電子制御ユニット(ECU)90が設けられている。ECU90は、各スタビライザ装置14、詳しくは、各アクチュエータ26の作動を制御する制御装置であり、各アクチュエータ26が有する電磁モータ60に対応する駆動回路としての2つのインバータ92と、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ96とを備えている(図10参照)。インバータ92の各々は、コンバータ98を介してバッテリ100に接続されており、対応するスタビライザ装置14の電磁モータ60に接続されている。電磁モータ60は定電圧駆動され、電磁モータ60への供給電力量は、供給電流量を変更することによって変更される。供給電流量の変更は、インバータ92がPWM(Pulse Width Modulation)によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって行われる。
コントローラ96には、上記モータ回転角センサ78とともに、操舵量としてのステアリング操作部材の操作量であるステアリングホイールの操作角を検出するためのステアリングセンサ102,車体に実際に発生している横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ104,車体に発生している前後加速度を検出する前後加速度センサ106が接続されている。コントローラ96には、さらに、ブレーキシステムの制御装置であるブレーキ電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という場合がある)108が接続されている。ブレーキECU108には、4つの車輪のそれぞれに対して設けられてそれぞれの回転速度を検出するための車輪速センサ110が接続され、ブレーキECU108は、それら車輪速センサ110の検出値に基づいて、車両の走行速度(以下、「車速」という場合がある)を推定する機能を有している。コントローラ96は、必要に応じ、ブレーキECU108から車速を取得するようにされている。さらに、コントローラ96は、各インバータ92にも接続され、それらを制御することで、各スタビライザ装置14の電磁モータ60を制御する。なお、コントローラ96のコンピュータが備えるROMには、後に説明する各スタビライザ装置14の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
<車両用スタビライザシステムの制御>
本システム10では、車体のロールを抑制するべく、アクチュエータ26の実際の回転位置である実回転位置が目標となる回転位置である目標回転位置となるようなロール抑制制御が実行される。詳しく言えば、車両の旋回に起因して車体が受けるロールモーメントに応じたロール抑制力を発生させるべく、車体が受けるロールモーメントに応じて、アクチュエータ26の目標回転位置が決定され、アクチュエータ26の回転位置がその目標回転位置となるように制御される。なお、アクチュエータ26の回転位置は、電磁モータ60の動作角であるモータ回転角と対応関係にあるため、実際の制御では、モータ回転角をアクチュエータ26の回転位置として扱い、モータ回転角センサ78によって取得されるモータ回転角に基づいて制御が行われる。つまり、本システム10では、電磁モータ60の動作量に応じてロール抑制力を変更することが可能とされている。
また、車両の旋回時においては、左右の車輪間に荷重移動が生じることで、コーナリングパワーに変化が生じる。コーナリングパワーCPと車輪にかかる荷重Wとの関係を示した図6を用いて詳しく説明する。左右の車輪間に荷重移動が生じていない場合において、左右の車輪の各々には荷重W0がかかり、左右の車輪の各々に対するコーナリングパワーはCP0となり、左右輪の平均のコーナリングパワーはCP0となる。一方、車両の旋回時において、旋回内輪から旋回外輪に荷重移動が生じ、旋回内輪と旋回外輪との荷重差がΔWとなると、旋回外輪の荷重はW0+1/2ΔW、旋回内輪の荷重はW0−1/2ΔWとなり、旋回外輪のコーナリングパワーはCP1、旋回内輪のコーナリングパワーはCP2となる。旋回内外輪の平均のコーナリングパワーは(CP1+CP2)/2となり、図から解るように、旋回時の平均コーナリングパワー(CP1+CP2)/2は、左右の車輪間に荷重移動が生じていない場合の平均コーナリングパワーCP0より小さくなる。したがって、前後輪のロール剛性配分を変化させることで、車両のステアリング特性を変化させることが可能である。具体的に言えば、前輪側のロール剛性を高くすれば、前輪側の左右輪間の荷重移動が大きくなり前輪側のコーナリングパワーが低下することで、アンダステア傾向が強くなる。一方、後輪側のロール剛性を高くすれば、後輪側の左右輪間の荷重移動が大きくなり後輪側のコーナリングパワーが低下することで、アンダステア傾向が弱くなる。
本システム10におけるロール剛性配分は、前輪側のスタビライザ装置14Fが発生させるべきロール抑制力(以下、「前輪側ロール抑制力」という場合がある)FFと後輪側のスタビライザ装置14Rが発生させるべきロール抑制力(以下、「後輪側ロール抑制力」という場合がある)FRとを合計したロール抑制力(以下、「合計ロール抑制力」という場合がある)FT、つまり、車体が受けるロールモーメントに応じた大きさのロール抑制力に対する前輪側ロール抑制力の比であるロール抑制力配分比(以下、「配分比」という場合がある)Xを採用しており、配分比Xは、通常、基準配分比X0に設定されている。ちなみに、この基準配分比X0において、車両のステアリング特性を指標するステア特性指標量としてのスタビリティファクタkは、通常、基準スタビリティファクタk0となっている。ここで、スタビリティファクタkは、アンダステア傾向、若しくは、オーバステア傾向の程度を指標するものであり、それの値が大きいほどアンダステア傾向が強いことを示し、それの値が小さいほどアンダステア傾向が弱いことを示す。言い換えれば、それの値が大きいほどオーバステア傾向が弱いことを示し、それの値が小さいほどオーバステア傾向が強いことを示す。
また、車両の旋回時において、車両の加減速によって前後の車輪間に荷重移動が生じることでも、コーナリングパワーに変化が生じる。具体的に言えば、車両の加速時には、後輪側の荷重が増加する。車輪にかかる荷重が増加すれば、図6に示すように、その車輪のコーナリングパワーは増加することから、後輪側の荷重の増加に伴って、後輪のコーナリングパワーが増加する。つまり、車両の加速旋回時には、アンダステア傾向が強くなるのである。一方、車両の減速時には、前輪側の荷重が増加して、前輪のコーナリングパワーが増加する。つまり、車両の減速旋回時には、アンダステア傾向が弱くなるのである。また、ロール剛性を高くすれば、上述したように、左右輪間の荷重移動が大きくなりコーナリングパワーは低下することから、車両の加減速時のコーナリングパワーは、スタビライザ装置14によるロール抑制制御を実行する場合と実行しない場合とでも変化する。具体的に言えば、例えば、車両の加速旋回時において、ロール抑制制御が実行される場合には、上記車両の加速による後輪のコーナリングパワーの増加が抑制され、ロール抑制制御が実行されない場合と比較してアンダステア傾向が弱くなる。一方、車両の減速旋回時において、ロール抑制制御が実行される場合には、車両の減速による前輪のコーナリングパワーの増加が抑制され、ロール抑制制御が実行されない場合と比較してアンダステア傾向が強くなる。つまり、車両の加減速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標するピッチモーメント指標量としての前後加速度Gzgとステアリング特性を指標するスタビリティファクタkとの関係は、ロール抑制制御実行時には図7の実線に示すようなり、ロール抑制制御が実行されない時には図7の点線に示すようなる。なお、前後加速度Gzgの値が正のときは、車両は加速しており、前後加速度Gzgの値が負のときは、車両は減速していることを意味している。
図から解るように、ロール抑制制御実行時には、ロール抑制制御が実行されないときと比較して、車両の加減速によるステアリング特性の変化の程度が抑制される。このため、例えば、車両の減速旋回時において、ロール抑制制御が実行されると、実行されない場合と比較して、アンダステア傾向は強くなり、車両の回頭性が低下する虞がある。一方、車両の加速旋回時において、ロール抑制制御が実行されると、実行されない場合と比較して、アンダステア傾向は弱くなり、車両の加速旋回に伴うスピンを抑制し難くなる虞がある。そこで、本システム10においては、ロール抑制制御が実行される場合であっても、ロール抑制制御が実行されない場合と同様に、車両の加減速によって車両のステアリング特性を変化させるべく、前後加速度Gzgに基づいてロール剛性配分が変更される。
具体的な制御について言えば、前輪側スタビライザ装置14Fと後輪側スタビライザ装置14Rとの両方によって車体のロールを抑制するべく、前輪側ロール抑制力FFと後輪側ロール抑制力FRとを合計した合計ロール抑制力FTが、まず、車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量としての横加速度に基づいて決定される。詳しく言えば、ステアリングホイールの操作角δと車両走行速度vに基づいて推定された推定横加速度Gycと、実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定され、
Gy*=KA・Gyc+KB・Gyr(KA,KBはゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、合計ロール抑制力FTが次式に従って決定される。
T=KC・Gy*
ここで、KCは、制御横加速度Gy*に応じた大きさのロール抑制力を決定するための制御ゲインである。
上述のように決定された合計ロール抑制力FTが、上記ロール抑制力配分比Xに基づいて、前輪側ロール抑制力FFと後輪側ロール抑制力FRとに、下記の式に従って、配分される。
F=X・FT
R=(1−X)・FT
ロール抑制力配分比Xは、上述したように、ロール抑制制御が実行される場合であっても、ロール抑制制御が実行されない場合と同様に、車両の加減速によって車両のステアリング特性を変化させるべく、前後加速度Gzgに基づいて変更される。詳しく言えば、前後加速度Gzgに基づいてスタビリティファクタkを推定することで車両のステアリング特性を推定し、ステアリング特性が目標とするステアリング特性に変化するように配分比Xが変更されるのである。つまり、推定された推定スタビリティファクタkcに基づいて配分比Xが変更されるのである。
推定スタビリティファクタkcは、車両の旋回,加減速に伴って変化する各車輪のコーナリングパワーCPに基づいて推定される。各車輪のコーナリングパワーCPは、各車輪にかかる荷重Wに基づいて演算されることから、まず、車両の旋回,加減速に伴って変化する各車輪にかかる荷重Wを演算する。具体的には、車両の旋回に伴う前輪側の左右輪間の移動荷重ΔWrF、および、後輪側の左右輪間の移動荷重ΔWrRが、下記の式に従って演算され、
ΔWrF=Gy*・m・hr・X0/BF
ΔWrR=Gy*・m・hr・(1−X0)/BR
m:ばね上質量
hr:ロールアーム
F:前輪のトレッド幅
R:後輪のトレッド幅
車両の加減速に伴う前輪の変化荷重ΔWpFおよび、後輪の変化荷重ΔWpRが、下記の式に従って演算される。
ΔWpF=Gzg・m・hp/2L
ΔWpR=−Gzg・m・hp/2L
hp:ピッチアーム
L:ホイールベース
そして、車両の旋回,加減速に伴って変化する各車輪にかかる荷重W、具体的には、右前輪にかかる荷重WFR,左前輪にかかる荷重WFL,右後輪にかかる荷重WRR,左後輪にかかる荷重WRLが、下記の式に従って演算され、
FR=WF/2+ΔWrF/2+ΔWpF/2
FL=WF/2−ΔWrF/2+ΔWpF/2
RR=WR/2+ΔWrR/2+ΔWpR/2
RL=WR/2−ΔWrR/2+ΔWpR/2
F:車両の前輪側の分担荷重
R:車両の後輪側の分担荷重
そのように演算された各車輪にかかる荷重Wに基づいて、各車輪に対応するコーナリングパワーCPが決定される。コントローラ96内には、図6に示すように設定されているマップデータ、つまり、荷重WをパラメータとするコーナリングパワーCPのマップデータが格納されており、そのマップデータを参照して、各車輪のコーナリングパワーCPが決定される。
上述のように、各車輪のコーナリングパワーCPが決定されると、右前輪のコーナリングパワーCPFRと左前輪のコーナリングパワーCPFLとが合計されて前輪の合計コーナリングパワーCPFが決定され、右後輪のコーナリングパワーCPRRと左後輪のコーナリングパワーCPRLとが合計されて後輪の合計コーナリングパワーCPRが決定される。そのように決定された各合計コーナリングパワーCPF,CPRに基づいて、推定ステイスタビリティファクタkcが次式に従って決定される。
kc=m・(LR・CPR−LF・CPF)/(2L2・CPF・CPR
F:フロント車軸重心間距離
R:リア車軸重心間距離
次に、目標となるステアリング特性を示す目標スタビリティファクタk*が決定される。目標となる車両の加減速時のステアリング特性は、上述のように、ロール抑制制御が実行されていない場合の車両の加減速時のステアリング特性であることから、目標スタビリティファクタk*は、図7の点線に示すように設定されているマップデータに基づいて決定される。詳しく言えば、コントローラ96内には、図7の点線に示すように設定されているマップデータ、つまり、前後加速度Gzgをパラメータとする目標スタビリティファクタk*のマップデータが格納されており、そのマップデータを参照して、目標スタビリティファクタk*が決定される。
車両のステアリング特性を目標スタビリティファクタk*が指標するステアリング特性に変化させるべく、推定ステイスタビリティファクタkcの目標スタビリティファクタk*に対する偏差であるスタビリティファクタ偏差Δk(=k*−kc)をパラメータとして、その値に基づいて制御ゲインを変更して配分比Xを変更する。詳しく言えば、車両のステアリング特性と配分比Xとは、上述したように、密接に関係しており、配分比Xを大きくするほど、つまり、前輪側ロール抑制力の比率を大きくするほどアンダステア傾向が強くなり、配分比Xを小さくするほど、つまり、後輪側ロール抑制力の比率を大きくするほどアンダステア傾向が弱くなる。このことから、スタビリティファクタ偏差Δkが正の値において大きくなるほど、つまり、目標スタビリティファクタk*が推定ステイスタビリティファクタkcより大きいほど、アンダステア傾向を強めるべく、配分比Xが基準配分比X0より大きくされる。一方、目標スタビリティファクタk*が推定ステイスタビリティファクタkcより小さいほど、アンダステア傾向を弱めるべく、配分比Xが基準配分比X0より小さくされる。具体的には、スタビリティファクタ偏差Δkに基づいて変化する制御ゲインKSを利用して、配分比Xが次式に従って決定される。
X=KS・X0
制御ゲインKSは、図8に示すように、スタビリティファクタ偏差Δkに依拠したものであり、スタビリティファクタ偏差Δkが大きくなるにつれて大きな値となるように設定されており、スタビリティファクタ偏差Δkが0となる場合、つまり、目標スタビリティファクタk*と推定ステイスタビリティファクタkcとが同じ値となる場合に1となるように設定されている。
そのように決定された配分比Xに基づいて、合計ロール抑制力FTが前輪側ロール抑制力FFと後輪側ロール抑制力FRとに、上記式に従って、配分されると、前輪側ロール抑制力FFに基づいて前輪側スタビライザ装置14Fの電磁モータ60の目標モータ回転角θ*が決定され、後輪側ロール抑制力FRに基づいて後輪側スタビライザ装置14Rの電磁モータ60の目標モータ回転角θ*が決定される。コントローラ96内には、ロール抑制力をパラメータとする目標モータ回転角θ*のマップデータがスタビライザ装置14毎に格納されており、各マップデータを参照して、各スタビライザ装置14F,Rの電磁モータ60の目標モータ回転角θ*が決定される。
そして、実モータ回転角θが目標モータ回転角θ*になるように、電磁モータ60が制御される。電磁モータ60の制御において、電磁モータ60に供給される電力は、実モータ回転角θの目標モータ回転角θ*に対する偏差であるモータ回転角偏差Δθ(=θ*−θ)に基づいて決定される。詳しく言えば、モータ回転角偏差Δθに基づくフィードバック制御の手法に従って決定される。具体的には、まず、電磁モータ60が備えるモータ回転角センサ78の検出値に基づいて、上記モータ回転角偏差Δθが認定され、次いで、それをパラメータとして、次式に従って、目標供給電流i*が決定される。
*=KP・Δθ+KI・Int(Δθ)
この式は、PI制御則に従う式であり、第1項,第2項は、それぞれ、比例項、積分項を、KP,KIは、それぞれ、比例ゲイン,積分ゲインを意味する。また、Int(Δθ)は、モータ回転角偏差Δθの積分値に相当する。
ちなみに、上記目標供給電流i*は、それの符号により電磁モータ60のモータ力の発生方向を表すものとなっており、電磁モータ60の駆動制御にあたっては、目標供給電流i*に基づいて、電磁モータ60を駆動するためのデューティ比およびモータ力発生方向が決定される。そして、それらデューティ比およびモータ力発生方向についての指令がインバータ92に発令され、インバータ92によって、その指令に基づいた電磁モータ60の駆動制御がなされる。
なお、本システム10では、上述のように、前後加速度Gzg,制御横加速度Gy*等に基づいて各車輪にかかる荷重Wを演算し、その演算された荷重Wに基づいて推定スタビリティファクタkcを推定しているが、前後加速度Gzgに基づいて直接的に推定スタビリティファクタkcを推定することも可能である。詳しく言えば、前後加速度Gzgに応じて変化する各車輪にかかる荷重Wを工場において測定しておき、その測定結果に基づいて前後加速度Gzgに応じて変化する推定スタビリティファクタkcをあらかじめ設定しておく。具体的には、図7の実線に示すようなマップデータ、つまり、前後加速度Gzgをパラメータとする推定スタビリティファクタkcのマップデータをコントローラ96内に格納しておく。そして、そのマップデータを参照して、前後加速度Gzgに基づいて推定スタビリティファクタkcを推定することが可能である。
<制御プログラム>
本システム10において、スタビライザ装置14の制御は、図9にフローチャートを示すスタビライザ制御プログラムが、イグニッションスイッチがON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec)をおいてコントローラ96により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。なお、このプログラムは、前輪側スタビライザ装置14Fと後輪側スタビライザ装置14Rとの両方に対して実行される。
本プログラムに従う処理では、まず、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)において、、横加速度センサ104によって検出される実横加速度Gyrと上記推定横加速度Gycとに基づいて、制御横加速度Gy*が決定され、S2において、その決定された制御横加速度Gy*に基づき、合計ロール抑制力FTが決定される。次に、S3において、前後輪における左右輪間の移動荷重ΔWrF,ΔWrRが制御横加速度Gy*に基づいて決定される。続いて、S4において、前後加速度センサ106によって前後加速度Gzgが検出され、S5において、その検出された前後加速度Gzgに基づいて、前後輪の変化荷重ΔWpF,ΔWpFRが決定される。そして、S6において、各車輪にかかる荷重WFR,WFL,WRR,WRLが決定され、S7において、それら各車輪にかかる荷重WFR,WFL,WRR,WRLに基づいて各車輪のコーナリングパワーCPFR,CPFL,CPRR,CPRLが演算され、前後輪の合計コーナリングパワーCPF,CPRが決定される。
S8において、決定された前後輪の合計コーナリングパワーCPF,CPRに基づいて、推定スタビリティファクタkcが、上記式に従って決定され、S9において、図7の点線に示すように設定されているマップデータを参照して、前後加速度Gzgに基づいて目標スタビリティファクタk*が決定される。次に、S10において、それら推定スタビリティファクタkcと目標スタビリティファクタk*とに基づいて、スタビリティファクタ偏差Δkが決定され、S11において、その決定されたスタビリティファクタ偏差Δkに基づいてロール抑制力配分比Xが決定される。そして、S12において、その決定されたロール抑制力配分比Xに基づいて、上記合計ロール抑制力FTが前輪側ロール抑制力FFと後輪側ロール抑制力FRとに配分され、S13において、前輪側スタビライザ装置14Fと後輪側スタビライザ装置14Rとの各々の電磁モータ60の目標モータ回転角θ*が決定される。続いて、S14において、各電磁モータ60のモータ回転角センサ78に基づいて、各電磁モータ60の実モータ回転角θが取得され、S15において、各電磁モータ60のモータ回転角偏差Δθが決定される。そして、S16において、各モータ回転角偏差Δθに基づき、前述のPI制御則に従う式に従って、各電磁モータ60の目標供給電流i*が決定され、S17において、各電磁モータ60の目標供給電流i*に基づく制御信号が、各電磁モータ60に対応するインバータ92に送信された後、本プログラムの1回の実行が終了する。
<コントローラの機能構成>
上記プログラムを実行するコントローラ96は、それの実行処理に鑑みれば、図10に示すような機能構成を有するものと考えることができる。図から解るように、コントローラ96は、S1,S2の処理を実行する機能部、つまり、車体が受けるロールモーメントに応じた大きさの合計ロール抑制力FTを決定する機能部として、ロール抑制力決定部120を、S3〜S12の処理を実行する機能部、つまり、合計ロール抑制力FTを前輪側ロール抑制力FFと後輪側ロール抑制力FRとに配分する機能部として、ロール抑制力配分部122を、S13〜S17の処理を実行する機能部、つまり、前輪側ロール抑制力FFと後輪側ロール抑制力FRとに基づいて各アクチュエータ26の作動を制御する機能部として、アクチュエータ作動制御部124を、それぞれ備えている。なお、ロール抑制力配分部122は、S3〜S8の処理を実行する機能部、つまり、車両のステアリング特性を指標するスタビリティファクタkを推定する機能部として、ステア特性指標量推定部126を、S9〜S11の処理を実行する機能部、つまり、推定されたスタビリティファクタkに基づいてロール抑制力配分比Xを決定する機能部として、ロール抑制力配分比決定部128を、それぞれ有している。
<変形例1>
上記システム10においては、ロール抑制制御が実行される場合であっても、ロール抑制制御が実行されない場合と同様に、車両の加減速によって車両のステアリング特性を変化させるべく、推定されたステアリング特性に基づいて、車両のステアリング特性が目標となるステアリング特性になるようにロール剛性配分が変更される。図を用いて説明すれば、図7の実線に示すように前後加速度Gzgに応じて変化する車両のステアリング特性が、図7の点線に示すように前後加速度Gzgに応じて変化するようにロール剛性配分が変更される。つまり、ロール抑制制御実行時のステアリング特性を指標する推定スタビリティファクタkc(図7実線)が、車両が受けるピッチモーメントが生じていない場合(Gzg=0)のスタビリティファクタ、つまり、基準スタビリティファクタk0より大きい場合には、アンダステア傾向を強めるべく、前輪側ロール抑制力の比率が大きくなるようにロール剛性配分が変更され、一方、推定スタビリティファクタkc(図7実線)が、基準スタビリティファクタk0より小さい場合には、アンダステア傾向を弱めるべく、後輪側ロール抑制力の比率が大きくなるようにロール剛性配分が変更される。
上述のように、車両のステアリング特性を指標するスタビリティファクタkを用いてロール剛性配分を変更してもよいが、スタビリティファクタkを用いることなく前後加速度Gzgに基づいてロール剛性配分を変更することも可能である。つまり、図7から解るように、車両の加速時(Gzg>0)には、車両が加速するほどアンダステア傾向を強め、車両の減速時(Gzg<0)には、車両が減速するほどアンダステア傾向を弱めるようにロール剛性配分を変更すればよいのである。具体的には、前後加速度Gzgに基づいて変化する制御ゲインKGを利用して、配分比Xを次式に従って決定すればよい。
X=KG・X0
制御ゲインKGは、図11に示すように、前後加速度Gzgが0となる場合に1となるように設定されており、車両が加速するにつれて1より大きな値となり、車両が減速するにつれて1より小さな値となるように設定されている。このように配分比Xを変更することでも、ロール抑制制御が実行される場合であっても、ロール抑制制御が実行されない場合と同様に、車両の加減速によって車両のステアリング特性を変化させることが可能となる。
<変形例2>
上述のシステムにおいては、ロール抑制制御が実行される場合であっても、ロール抑制制御が実行されない場合と同様に、車両の加減速によって車両のステアリング特性を変化させるようにロール剛性配分を変更しているが、車両の加減速によっても車両のステアリング特性を変化させないようにロール剛性配分を変更することも可能である。詳しく言えば、図1の実線に示すように前後加速度Gzgに応じて変化する車両のステアリング特性が、図1の一点鎖線に示すように前後加速度Gzgが変化しても一定となるようにロール剛性配分を変更するのである。つまり、車両のステアリング特性が、前後加速度Gzgが変化しても、前後加速度Gzgが0の場合の車両のステアリング特性、つまり、基準スタビリティファクタk0が指標するステアリング特性となるようにロール剛性配分を変更するのである。
具体的な制御について言えば、推定スタビリティファクタkcに基づいてロール抑制力配分比Xを変更する場合には、目標スタビリティファクタk*を基準スタビリティファクタk0としてスタビリティファクタ偏差Δkを演算し、そのスタビリティファクタ偏差Δkに基づいて、上述のように、ロール抑制力配分比Xを決定すればよい。つまり、上記システム10のスタビライザ制御プログラム(図9)のS9において、目標スタビリティファクタk*を基準スタビリティファクタk0に決定することで、車両の加減速によっても車両のステアリング特性を変化させないようにロール抑制力配分比Xを変更することが可能となる。
車両の加減速による車両のステアリング特性の変化の様子を模式的に示したグラフである。 請求可能発明である車両用スタビライザシステムの全体構成を示す模式図である。 図1の車両用スタビライザシステムの備えるスタビライザ装置を車両上方からの視点において示す模式図である。 図1の車両用スタビライザシステムの備えるスタビライザ装置を車両前方からの視点において示す模式図である。 スタビライザ装置の備えるアクチュエータを示す概略断面図である。 コーナリングパワーと車輪にかかる荷重との関係を模式的に示したグラフである。 ロール抑制制御が実行される場合と実行されない場合との車両の加減速による車両のステアリング特性の変化の様子を模式的に示したグラフである。 スタビリティファクタ偏差とそれに依拠するゲインとの関係を示すグラフである。 スタビライザ制御プログラムを示すフローチャートである。 スタビライザシステムの制御を司る制御装置の機能を示すブロック図である。 前後加速度とそれに依拠するゲインとの関係を示すグラフである。
符号の説明
10:車両用スタビライザシステム 14:スタビライザ装置(前輪側スタビライザ装置)(後輪側スタビライザ装置) 20:スタビライザバー 22:スタビライザバー部材 26:アクチュエータ 50:トーションバー部 52:アーム部 60:電磁モータ 62:減速機 64:ハウジング 82:フレキシブルギヤ(出力部) 90:電子制御ユニット(ECU)(制御装置) 120:ロール抑制力決定部 122:ロール抑制力配分部

Claims (8)

  1. 前後の車輪に対応して設けられ、それぞれが、スタビライザバーと、アクチュエータとを有し、前記スタビライザバーの捩り反力に依拠するロール抑制力を発生させるとともに、そのロール抑制力を前記アクチュエータによって変更可能な前輪側スタビライザ装置および後輪側スタビライザ装置と、
    (a)それら前輪側スタビライザ装置および後輪側スタビライザ装置の各々によって発生させるべきロール抑制力の合計を、車両の旋回に起因して車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量に基づいて決定するロール抑制力決定部と、(b)そのロール抑制力決定部によって決定されたロール抑制力の合計を、ロール抑制力配分比に基づいて、前記前輪側スタビライザ装置が発生させるべきロール抑制力である前輪側ロール抑制力と前記後輪側スタビライザ装置が発生させるべきロール抑制力である後輪側ロール抑制力とに配分するロール抑制力配分部とを有し、そのロール抑制力配分部によって配分された前記前輪側ロール抑制力と前記後輪側ロール抑制力との各々に基づいて前記前輪側スタビライザ装置と前記後輪側スタビライザ装置との各々が有する前記アクチュエータの作動を制御する制御装置と
    を備えた車両用スタビライザシステムであって、
    前記ロール抑制力配分部が、前記ロール抑制力配分比を、車両の加減速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標するピッチモーメント指標量に基づいて変更するように構成された車両用スタビライザシステム。
  2. 前記ロール抑制力配分部が、前記ピッチモーメント指標量が車両の加速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標する値となる場合に、そのような値とならない場合に比較して、前記前輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された請求項1に記載の車両用スタビライザシステム。
  3. 前記ロール抑制力配分部が、前記ピッチモーメント指標量が車両の加速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標する値となる場合に、前記ピッチモーメント指標量が大きいほど前記前輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された請求項2に記載の車両用スタビライザシステム。
  4. 前記ロール抑制力配分部が、前記ピッチモーメント指標量が車両の減速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標する値となる場合に、そのような値とならない場合に比較して、前記後輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用スタビライザシステム。
  5. 前記ロール抑制力配分部が、前記ピッチモーメント指標量が車両の減速に起因して車体が受けるピッチモーメントを指標する値となる場合に、前記ピッチモーメント指標量が大きいほど前記後輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された請求項4に記載の車両用スタビライザシステム。
  6. 車両のステアリング特性であるアンダステア傾向、若しくは、オーバステア傾向の程度を指標するものをステア特性指標量と定義した場合に、
    前記ロール抑制力配分部が、前記ピッチモーメント指標量に基づいて前記ステア特性指標量を推定するとともに、その推定されたステア特性指標量に基づいて前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された請求項1に記載の車両用スタビライザシステム。
  7. 前記ロール抑制力配分部が、前記推定されたステア特性指標量が車体がピッチモーメントを受けていない場合の前記ステア特性指標量よりアンダステア傾向が強いことを指標する値となる場合に、そのような値とならない場合に比較して、前記前輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された請求項6に記載の車両用スタビライザシステム。
  8. 前記ロール抑制力配分部が、前記推定されたステア特性指標量が車体がピッチモーメントを受けていない場合の前記ステア特性指標量よりアンダステア傾向が弱いことを指標する値となる場合に、そのような値とならない場合に比較して、前記後輪側ロール抑制力の比率が大きくなるように前記ロール抑制力配分比を変更するように構成された請求項6または請求項7に記載の車両用スタビライザシステム。
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