JP2008217003A - レンズシート及びそれを含む画像表示装置 - Google Patents

レンズシート及びそれを含む画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、耐熱性、耐光性、耐衝撃性を高いレベルでバランスし、更に、比重が小さく軽量なレンズシートを提供すること、またそのようなレンズシートを用いてなる画像表示装置を提供すること。
【解決手段】比重が0.85以上、1.0未満であり、ガラス転移温度が100℃以上であるβ−ピネン重合体からなる透明基材の少なくとも片面に1つ又は複数のレンズ群からなるレンズ部を形成することによって、目的とするレンズシートを構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、レンズシート及びそれを含む画像表示装置に係り、特に、耐熱性、耐光性が高く、且つ寸法安定性が良い、軽量なレンズシート、及びそのようなレンズシートを用いてなる画像表示装置に関するものである。
従来から、画像表示装置等に使用されるレンズシートは、その表面に、微細な多数のレンズ群が配置されていることにより、入射光をシート面に垂直な方向となる正面方向に向け、光の取出し効率を向上させたり、視野角を広げる等の機能を有していることが知られている。
そして、そのようなレンズシートは、一般的に、熱可塑性重合体の透明シートの片面に対して、プレス成形操作によってプリズム列を一体的に成形したり、また透明な重合体シートの片面に、紫外線硬化型樹脂組成物によってプリズム列を一体的に形成したりしたものであって、素材である熱可塑性の透明な重合体としては、PMMA(屈折率:n=1.49)やPC(n=1.59)等が、用いられている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、それら使用素材のうち、PMMAは、高い透明性と耐光性を有しているものの、吸水により寸法変化し易いことに加えて、耐衝撃性が低く、割れ易く、また比重が大きく、重い等といった欠点を内在している。また、PCは、高い耐衝撃性と耐熱性を有しているものの、透明性及び耐光性が低く、また比重が大きく、重い等という欠点を有していた。
このため、それらの問題を改善したレンズシートとして、脂環式重合体水添物を素材として用いたものが、提案されている(特許文献3、4参照)。而して、それらは、レンズシートとして用いた場合、透明性が高く、低吸水性、高耐熱性ではあるものの、PMMAに比べて、耐光性が低く、比重が大きく、重い等という欠点を有している。
なお、ここで、低比重な熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレンやポリエチレン等の、所謂ポリオレフィンが知られている(特許文献5参照)が、結晶性であるため透明性が低く、屈折率も小さく、そして耐熱性も充分とは言えない。加えて、4−メチルペンテン−1重合体(特許文献6参照)は、比重が小さく、融点は高いものの、屈折率が小さく、結晶性であり、複屈折等の光学性能を満足するものではなかった。
特に、この液晶表示装置に対しては、市場要求の大きな一つとして、大型化があり、このため、装置のより一層の軽量化が求められて来ている。そして、この大型化薄型化に伴い、レンズシートには、その自重による撓みが深刻化しているのである。このような理由から、より軽量なレンズシートの開発が、求められている。
特開平8−190806号公報 特開2001−343507号公報 特開2006−58531号公報 特開2006−58522号公報 特開平7−306319号公報 特開2004−101641号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、透明性、耐熱性、耐光性、耐衝撃性を高いレベルでバランスし、更に比重が小さく軽量なレンズシートを提供することにあり、また、そのようなレンズシートを用いてなる画像表示装置を提供することにある。
そして、本発明者等は、そのような課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、所定のβ−ピネン重合体を用いることによって、目的とするレンズシートやそれを用いた画像表示装置が有利に得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、比重が0.85以上、1.0未満であり、ガラス転移温度が100℃以上であるβ−ピネン重合体からなる透明基材の少なくとも片面に、1つ又は複数のレンズ群からなるレンズ部を形成したことを特徴とするレンズシートを、その要旨とする。
なお、このような本発明に従うところのレンズシートの望ましい態様の一つによれば、前記β−ピネン重合体は、水素添加せしめられたものであって、([水素添加されたオレフィン性二重結合の数]/[水素添加前の重合体中のオレフィン性二重結合の数])×100の値が、95%以上であるものである。
さらに、本発明は、上記せる如きレンズシートを含むことを特徴とする画像表示装置をも、その要旨としている。
このような本発明に従うレンズシートやそれを用いた画像表示装置用照明装置にあっては、レンズシートの形成材料として、所定のβ−ピネン重合体を用いているところから、かかるβ−ピネン重合体の有する優れた特性により、以下の如き効果を奏することが出来る。
(1)レンズシート材料として用いられるβ−ピネン重合体は、比重が小さい重合体であるところから、目的とするレンズシートの重量を、効果的に軽量化することが可能となる。
(2)かかるβ−ピネン重合体は、耐熱性が高く、吸水率が小さいので、レンズシートが光源の熱により寸法変化したり、水の吸脱着により寸法変化したりすることを有利に防ぐことが出来、映像の画質変化を抑制することが出来る。
(3)本発明に従うレンズシートは、弾性率と耐衝撃性が高度にバランスされているところから、有利に薄型化することが可能である。
(4)本発明に従うレンズシートは、水蒸気透過速度が小さいため、レンズシートの内側に水分を通し難く、内部での結露による問題の発生を抑制することが可能である。
(5)本発明に従うレンズシートは、廃棄された後、焼却しても、有害なガスを発生しない特徴を有している。
(6)本発明において用いられるβ−ピネン重合体は、分子量に対する溶融粘度が低いために、より微細なレンズ形状を付与することが可能である。
(7)本発明に従うレンズシートは、透明性が高いところから、鮮明な映像を得ることが可能である。
(8)本発明に従うレンズシートは、耐光性が高いために、長時間使用における性能の低下が少ない利点を有している。
(9)本発明に従うレンズシートは、アッベ数が大きいため、色の再現性が高いという特徴を有している。
(10)本発明において用いられるβ−ピネン重合体は、天然物由来の原料から得ることが可能なため、カーボンニュートラルな材料であり、環境にやさしい特徴を有している。
ところで、かかる本発明においてレンズシート材料として用いられるβ−ピネン重合体は、比重が0.85以上、1.0未満であり、且つガラス転移温度が100℃以上であるβ−ピネン重合体である。ここで、本明細書及び特許請求の範囲におけるβ−ピネン重合体とは、重合体(ポリマー)中のβ−ピネンの含有量が50質量%以上のものをいう。本発明に係るレンズシートにおいては、β−ピネンの含有量が60質量%以上のβ−ピネン重合体が有利に用いられ、更に有利には、β−ピネンの含有量が70質量%以上のβ−ピネン重合体が用いられる。
かかるβ−ピネン重合体を製造する際の原料となるβ−ピネンとしては、従来より公知のものが何れも使用可能である。例えば、松や柑橘類等の植物から採取されたものを、精製した後、直接、用い得ることは勿論のこと、植物から採取されたα−ピネン等のテルペン類や石油由来の化合物を用いて、従来より公知の手法(例えば、米国特許第3278623号明細書に開示の手法)に従って製造されたβ−ピネン等も、用いることが可能である。このような植物由来のβ−ピネンを用いて得られたβ−ピネン重合体は、カーボンニュートラルな材料であり、この点において、本発明に係るレンズシートは、循環型社会の形成や地球温暖化防止に寄与し得るものとなっているのである。
また、本発明で使用されるβ−ピネン重合体は、上記したβ−ピネンの単独重合体であっても、また、β−ピネンと他の共重合可能な単量体の少なくとも1種以上との共重合体であっても、何等差支えない。β−ピネンと共重合可能な単量体としては、カチオン重合性単量体、ラジカル重合性単量体、配位重合性単量体及び植物由来のテルペン類等を挙げることが出来る。
なお、本発明において、β−ピネン重合体を製造する際に用いられる、カチオン重合性単量体、ラジカル重合性単量体及び配位重合性単量体としては、従来より一般的に用いられているものを使用することが可能である。また、植物由来のテルペン類も、カチオン重合法、ラジカル重合法又は配位重合法の何れかの重合法において、重合性単量体として用いることが可能である。具体的には、カチオン重合性単量体としては、イソブチレン、イソプレン、ブタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、インデン、アルキルビニルエーテル、ノルボルネン等を、また、ラジカル重合性単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニルモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、フマル酸エステル、マレイミド等を挙げることが出来る。また、配位重合性単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ヘキセン、シクロペンテン、ノルボルネン等を例示することが出来、更に、植物由来のテルペン類としては、ミルセン、アロオシメン、オメシン、α−ピネン、ジペンテン、リモネン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、2−カレン、3−カレン等を、例示することが出来る。これらの中から、β−ピネンの使用量等に応じて、一種又は二種以上のものが適宜に選択されて用いられることとなる。β−ピネン重合体はカチオン重合法によって有利に得られることから、上述の如き重合性単量体の中でも、特にカチオン重合性単量体が有利に用いられる。
また、上記共重合可能な単量体をβ−ピネンと共重合する場合において、その共重合量は、ポリマー中の0.001〜50質量%が好ましく、中でも0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が最も好ましい。なお、その共重合量が多過ぎると、吸水率が増加したり、耐熱性が低下してしまう等の問題を生じるため、好ましくない。
一方、前記した共重合性単量体と共に、或いは前記共重合性単量体に代えて、少量の2官能以上の架橋性の単量体(以下、架橋性単量体という)を共重合することが出来る。かかる架橋性単量体は、重合体を製造する際に、分岐剤若しくは架橋剤として一般的に用いられているが、その使用量を少量とすることにより、所謂、長鎖分岐構造を有し、有機溶媒への不溶部が生じない程度の分子量を有するβ−ピネン重合体が、有利に得られる。本発明において用いられ得る架橋性単量体としては、具体的に、m−ジイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等の2官能性ビニル化合物を挙げることが出来、それらの中でも、経済性や反応性の観点から、m−ジイソプロペニルベンゼンが、好ましく用いられる。
そのような架橋性単量体をβ−ピネン(及びβ−ピネンと共重合可能な単量体)と共重合する場合に、その共重合量は、ポリマー中の0.001〜7質量%が好ましく、中でも0.01〜5質量%がより好ましく、特に0.05〜4質量%が最も好ましい。その共重合量が多過ぎると、得られるβ−ピネン重合体がゲル状となり、熱可塑性を失ってしまい、好ましくない。
ところで、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の重合方法は、特に限定されるものではなく、用いられる各重合性単量体に適した公知の重合手法を適宜に選択することが出来る。例えば、アニオン重合法、カチオン重合法、ラジカル重合法及び配位重合法のうちの何れかを、選択して用いることが出来るが、一般に、カチオン重合法が採用されることとなる。
なお、かかるカチオン重合法に従って、本発明で使用されるβ−ピネン重合体を得る場合において、その重合触媒としては、公知のカチオン重合触媒が、適宜に用いられる。具体的には、BF3 、BF3 OEt2 、BBr3 、BBr3 OEt2 、AlCl3 、AlBr3 、AlI3 、TiCl4 、TiBr4 、TiI4 、FeCl3 、FeCl2 、SnCl2 、SnCl4 、WCl6 、MoCl5 、SbCl5 、TeCl2 等の、周期律表3族〜16族の金属のハロゲン化合物;HF、HCl、HBr等の水素酸;H2 SO4 、H3 BO3 、HClO4 、CH3 COOH、CH2 ClCOOH、CHCl2 COOH、CCl3 COOH、CF3 COOH、パラトルエンスルホン酸、CF3 SO3 H、H3 PO4 、P25 等のオキソ酸、及びこれらの基を有するイオン交換樹脂等の高分子化合物;燐モリブデン酸、燐タングステン酸等のヘテロポリ酸;SiO2 、Al23 、SiO2 −Al23 、MgO−SiO2 、B23 −Al23 、WO3 −Al23 、Zr23 −SiO2 、硫酸化ジルコニア、タングステン酸ジルコニア、H+ 又は希土類元素と交換したゼオライト、活性白土、酸性白土、γ−Al23 、P25 をケイソウ土に担持させた固体燐酸等の固体酸等を挙げることが出来る。
これらのカチオン重合触媒は、組み合わせて用いても良く、また他の化合物等を重合系に添加しても良い。かかる他の化合物等は、例えばそれを添加することにより触媒の活性を向上させることが出来る化合物等である。そして、金属ハロゲン化合物の酸性化合物としての活性を向上させる化合物の例としては、MeLi、EtLi、BuLi、Et2 Mg、EtMgBr、Et3 Al、Et2 AlCl、EtAlCl2 、Et3 Al2 Cl3 、(i−Bu)3 Al、Et2 Al(OEt)、Me4 Sn、Et4 Sn、Bu4 Sn、Bu3 SnCl等の金属アルキル化合物;2−メトキシ−2−フェニルプロパン、t−ブタノール、1,4−ビス(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、2−フェニル−2−プロパノール等の、リビングカチオン重合における重合開始剤として用いられる化合物等が、例示される。
また、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の重合方法として、溶媒を用いた溶液重合法を用いてもよい。使用可能な溶媒としては、採用される重合法により異なるため、一義的に規定することは困難であるが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチル、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;エステル、エーテル等の含酸素系溶媒等を挙げることが出来る。なお、反応性を考慮すると、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒等の使用が、好ましい。これらの溶媒は、単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
かくの如き溶媒の使用量は特に限定されないが、β−ピネン等の単量体100質量部に対して、通常100〜10000質量部程度、好ましくは150〜5000質量部、より好ましくは200〜3000質量部である。この溶媒量が少ないと、重合触媒の均一な混合が困難になるため、反応が不均一となり、均一な重合体が得られなかったり、反応の制御が困難になる。一方、溶媒量が多いと、生産性が低下してしまう問題がある。
そして、重合反応を行う場合、反応温度は通常−80℃〜100℃が好ましく、中でも−40℃〜80℃がより好ましく、−20℃〜80℃が最も好ましい。この反応温度が低過ぎると、反応の進行が遅く、また高過ぎると、反応の制御が困難となり、再現性が得られ難い。
また、重合反応を行うための反応圧力は、特に限定されるものではないが、0.5〜50気圧が好ましく、0.7〜10気圧がより好ましい。通常、1気圧前後で、重合反応が行われることとなる。
さらに、重合反応を行う反応時間は、特に限定されず、反応温度、反応圧力等の条件に応じて、収率良く、β−ピネン重合体が得られるように、反応時間を適宜に決定すればよい。通常は0.01時間〜24時間程度、好ましくは0.2時間〜10時間である。
ところで、重合反応によって生成したβ−ピネン重合体は、例えば、再沈殿、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチーム・ストリッピング)等の、重合体を溶液から単離する際の通常の操作によって、反応混合物から分離、取得することが出来る。
本発明で使用されるβ−ピネン重合体は、耐光性、耐衝撃性、耐熱性等の観点から、そのオレフィン性二重結合が水素添加されていることが好ましい。そして、この水素添加率としては、一般に90%以上水素添加されていることが好ましく、中でも95%以上水素添加されていることがより好ましく、99%以上水素添加されていることが、最も好ましい。本発明にあっては、前記β−ピネン重合体は、水素添加せしめられたものであって、その水素添加率を示す([水素添加されたオレフィン性二重結合の数]/[水素添加前の重合体中のオレフィン性二重結合の数])×100の値が、95%以上であることが、望ましいのである。なお、水素添加された重合体における不飽和二重結合(炭素−炭素二重結合)の水素添加率は、ヨウ素価滴定法、赤外分光スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMRスペクトル) 測定等の分析手段を用いて、算出することが可能である。
ここにおいて、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の水素添加の方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることが出来る。例えば、ウィルキンソン錯体、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム等の均一系触媒、ケイソウ土、マグネシア、アルミナ、シリカ、アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア、シリカ−アルミナ、合成ゼオライト等の担持体に、ニッケル、パラジウム、白金等の触媒金属を担持させた不均一系触媒等による公知の方法を用いることが出来る。
また、かかる水素添加する場合に用いることの出来る溶媒としては、重合体が溶解され、且つ水素添加触媒に不活性な有機溶媒であれば、使用することが可能である。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチル、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;エステル、エーテル等の含酸素系溶媒等を用いることが出来る。なお、反応性を考慮すると、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒等が好ましい。これらの溶媒は、単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用しても、何等差支えない。
さらに、水素添加反応の反応温度は、使用する水素添加触媒や水素圧力に依存するが、一般に20℃〜250℃程度が好ましく、中でも25℃〜150℃がより好ましく、更には40℃〜100℃が最も好ましい。反応温度が低くなり過ぎると、反応が円滑に進行し難く、また反応温度が高過ぎると、副反応や分子量低下が起こり易い。なお、水素圧力としては、好ましくは常圧〜200kgf/cm2 程度、より好ましくは5〜100kgf/cm2 を用いることが出来る。この水素圧力が低過ぎると、反応が円滑に進行し難く、また水素圧力が高過ぎると、装置上の制約がかかってしまう。
なお、そのような水素添加反応系中におけるβ−ピネン重合体の濃度は、通常2質量%〜40質量%程度であり、好ましくは3質量%〜30質量%、より好ましくは5質量%〜20質量%である。β−ピネン重合体の濃度が低いと、生産性の低下が起こり易く、好ましくない。また、β−ピネン重合体の濃度が高過ぎると、水素化重合体が析出したり、反応混合物の粘度が高くなり、攪拌が円滑に行い難くなる場合が生じ、好ましくない。
また、水素添加反応の反応時間は、使用する水素添加触媒や水素圧力、反応温度に依存するが、通常、0.1時間〜50時間程度、好ましくは0.2時間〜20時間、より好ましくは0.5時間〜10時間が採用されることとなる。
さらに、水素添加反応後のβ−ピネン重合体は、例えば、再沈殿、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチーム・ストリッピング)等の、重合体を溶液から単離する際の通常の操作によって、反応混合物から分離、取得されることとなる。
ところで、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の分子量は、重合溶液の粘度や溶融粘度、成形性、レンズシートの強度、耐熱性の観点から、重量平均分子量で3万〜100万程度であることが好ましく、4万〜50万がより好ましく、特に6万〜25万が好ましく、中でも9万〜20万が最も好ましい。なお、重合体の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で求めるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)や、静的光散乱測定(SLS)等の公知の分析手法を用いて、算出することが出来る。
また、本発明で使用されるβ−ピネン重合体のガラス転移温度(Tg)は、レンズシートの使用環境から高い方が好ましく、光源の熱による悪影響を避ける上において、100℃以上である必要があり、中でも、より好ましくは110℃以上である。このガラス転移温度の上限は特に定めないが、200℃程度であることが望ましい。本発明に用いられるβ−ピネン重合体のような非晶性重合体においては、ガラス転移温度が高過ぎると、高分子の絡み合いが少なくなり、成形品が脆くなる場合があるからである。
さらに、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の全光線透過率は、高い方が好ましく、一般に、厚さ:3.2mmの平板状試験片において80%以上が好ましく、中でも85%以上がより好ましく、そして90%以上が最も好ましい。
更にまた、本発明で使用されるβ−ピネン重合体は、寸法安定性の観点から、吸水率が低い方が好ましい。かかるβ−ピネン重合体の吸水率は、60℃、90%RH(相対湿度)雰囲気下に置いたときの飽和吸水率として0.2%以下が好ましく、中でも0.1%以下がより好ましく、特に0.05%以下が最も好ましい。このような吸水率を与えるβ−ピネン重合体が、有利に選定されることとなる。
このような本発明で使用されるβ−ピネン重合体は、比重が小さいことが特徴である。比重が小さいことで、より軽いレンズシートを得ることが出来るのである。従って、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の比重は、0.85以上、1.0未満である必要があり、特に、0.85〜0.98がより好ましい。0.85よりも小さな比重の重合体を得ることは困難であり、また比重が1.0以上となると、軽量化の目的を充分に達成し得なくなるからである。
加えて、本発明で用いられるβ−ピネン重合体は、25℃におけるアッベ数が、一般に55以上であるものが好ましく、中でも58以上であるものがより好ましく、特に60以上であるものが最も好ましい。これは、色の再現性の観点から、アッベ数は大きい方が好ましいからである。
また、本発明で使用されるβ−ピネン重合体は、曲げ弾性率が大きく、撓みによる変形を起こし難いため、そのようなβ−ピネン重合体からなるレンズシートをより薄くすることが出来る特徴を有している。かかるβ−ピネン重合体の曲げ弾性率は、一般に2500MPa以上が好ましく、特に2700MPa以上がより好ましい。
また、このような本発明で使用されるβ−ピネン重合体は、その光弾性係数が小さいことが特徴となっている。特に、Tg以上の温度における光弾性係数が小さい特徴を有しているのである。なお、Tg以上の温度における光弾性係数が大きいと、一般に得られる成形品の光学歪みが大きくなる問題がある。また、この光学歪みの小さい成形品を得ようとする場合、成形条件の選択出来る範囲が狭く、また生産性が低くなってしまう。好ましいTg以上の温度(例えば、Tg+20℃)における光弾性係数は、用途により一概に規定出来ないが、−3.0×10-10 〜3.0×10-10 cm2 /dynであることが好ましく、−1.0×10-10 〜1.0×10-10 cm2 /dynがより好ましい。この範囲の光弾性係数を有することで、光学歪みの小さい成形体を、生産性良く得ることが出来る。
なお、本発明に係るレンズシートを成形する為のβ−ピネン重合体には、本発明の目的を損わない範囲において、更に必要に応じて、公知の各種の配合剤が、単独で或いは2種以上を組み合わせて、混合せしめられ得る。
そして、そのような各種配合剤の具体例としては、樹脂工業において通常用いられているものであれば、格別な制限はなく、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料等の着色剤、滑剤、可塑剤(柔軟化剤)、帯電防止剤、蛍光増白剤、充填材等の配合剤を挙げることが出来る。
その中で、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられるが、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
ここで用いられるフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、従来から公知のものが使用出来、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等の特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されている如きアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[即ちペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)等のアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物等が挙げられる。
また、リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用されるものであれば、格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が特に好ましい。
更にまた、イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等を挙げることが出来る。
そして、これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて、用いることが出来る。このような酸化防止剤の配合量は、本発明の目的が損われない範囲内で適宜に決定されることとなるが、β−ピネン重合体の100質量部に対して、通常、0.001〜5質量部程度、好ましくは0.01〜1質量部の範囲である。
また、紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;4−t−ブチルフェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾエート系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸3水和物、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のアクリレート系紫外線吸収剤;[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミンニッケル等の金属錯体系紫外線吸収剤等を用いることが出来る。
さらに、光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系光安定剤を挙げることが出来る。
加えて、近赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン系近赤外線吸収剤;ピリリウム系近赤外線吸収剤;スクワリリウム系近赤外線吸収剤;クロコニウム系近赤外線吸収剤;アズレニウム系近赤外線吸収剤;フタロシアニン系近赤外線吸収剤;ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤;ナフトキノン系近赤外線吸収剤;アントラキノン系近赤外線吸収剤;インドフェノール系近赤外線吸収剤;アジ系近赤外線吸収剤等が挙げられる。また、市販品の近赤外線吸収剤として、SIR−103、SIR−114、SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−152、SIR−159、SIR−162(以上、三井東圧染料株式会社製)、Kayasorb IR−750、Kayasorb IRG−002、Kayasorb IRG−003、Kayasorb IR−820B、Kayasorb IRG−022、Kayasorb IRG−023、Kayasorb CY−2、Kayasorb CY−4、Kayasorb CY−9(以上、日本化薬株式会社製)等を挙げること出来る。
また、染料としては、用いられるβ−ピネン重合体に均一に分散・溶解するものであれば、特に限定されるものではないが、本発明で用いられるβ−ピネン重合体との相溶性が優るところから、油溶性染料(各種C.I.ソルベント染料)が広く用いられる。この油溶性染料の具体例としては、The Society of Dyers and Colourists 社刊の「Color Index」、Vol.3に記載されている各種のC.I.ソルベント染料が、挙げられる。
さらに、顔料のうち、有機系顔料としては、例えば、ピグメントレッド38等のジアリリド系顔料;ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド53、ピグメントレッド57:1等のアゾレーキ系顔料;ピグメントレッド144、ピグメントレッド166、ピグメントレッド220、ピグメントレッド221、ピグメントレッド248等の縮合アゾ系顔料;ピグメントレッド171、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド185、ピグメントレッド208等のベンズイミダゾロン系顔料;ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料;ピグメントレッド149、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179等のペリレン系顔料;ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料が挙げられる。また、無機系顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、べんがら、クロムレッド、モリブデンレッド、リサージ、酸化鉄等が挙げられる。
なお、本発明のレンズシートに着色が必要とされるときは、上記した染料と顔料の何れでも、本発明の目的の範囲内で使用することが出来、特に限定されるものではないが、ミクロな光学特性が問題となるようなレンズシートの場合には、染料による着色が好ましい。また、紫外線吸収剤が目視では黄色〜赤色の色を示すこともあり、近赤外線吸収剤が目視では黒色の色を示すこともあるため、これらと染料を厳密に区別して使用する必要は無く、また、組み合わせて使用しても、何等差支えない。
また、滑剤としては、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールのエステル或いは部分エステル等の有機化合物や無機微粒子等を用いることが出来る。ここで、有機化合物としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等が挙げられる。
さらに、他の滑剤としては、一般に無機微粒子を用いることが出来る。ここで、無機微粒子としては、周期律表の1族、2族、4族、6〜14族元素の酸化物、硫化物、水酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、硼酸塩及びそれらの含水化物、それらを中心とする複合化合物、天然化合物等の微粒子が挙げられる。
また、可塑剤としては、例えば、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリエチルフェニルフォスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート、モノフェニルジクレジルフォスフェート、ジフェニルモノキシレニルフォスフェート、モノフェニルジキシレニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート等の燐酸トリエステル系可塑剤;フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル系可塑剤;オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル等の脂肪酸一塩基酸エステル系可塑剤;二価アルコールエステル系可塑剤;オキシ酸エステル系可塑剤等が使用出来るが、これらの中でも、燐酸トリエステル系可塑剤が好ましく、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェートが特に好ましい。
さらに、他の可塑剤の具体例として、スクアラン(C3062、Mw=422.8)、流動パラフィン(ホワイトオイル、JIS−K−2231に規定されるISO VG10、ISO VG15、ISO VG32、ISO VG68、ISO VG100、ISO VG8及びISO VG21等)、ポリイソブテン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等が挙げられる。これらの中でも、スクアラン、流動パラフィン及びポリイソブテンが、好ましく用いられる。
更にまた、帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖アルキルアルコール、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート等の多価アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられるが、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが、特に好ましい。
これらの配合剤は、単独で、又は2種以上を混合して用いることが出来、その混合割合は、本発明の目的を損わない範囲で適宜に選択される。また、上記した個々の配合剤の配合量も、本発明の目的を損わない範囲で適宜に選択されるが、各配合剤につき、β−ピネン重合体の100質量部に対して、通常0.001〜5質量部程度、好ましくは0.01〜1質量部の範囲である。
そして、かくの如き本発明に係るレンズシートを成形する為のβ−ピネン重合体には、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲において、その他のポリマー成分を配合することも出来る。このその他のポリマーとしては、例えば、ゴム質重合体があり、具体的には、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴム等のジエン系ゴム;スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・イソプレン三元共重合体ゴム;ジエン系ゴムの水素添加物;エチレン・プロピレン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・その他のα−オレフィンの共重合体等の飽和ポリオレフィンゴム;エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、α−オレフィン・ジエン共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体、イソブチレン・ジエン共重合体等のα−オレフィン・ジエン系重合体ゴム;ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエーテル系ゴム、アクリルゴム、プロピレンオキサイドゴム、エチレン・アクリルゴム等の特殊ゴム;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム等の熱可塑性エラストマー;水素添加熱可塑性エラストマー;ウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマーを挙げることが出来る。また、その配合量は、本発明の目的を損わない範囲で、適宜に選択されるが、β−ピネン重合体の100質量部に対して、通常、3〜30質量部程度、好ましくは5〜20質量部の範囲である。
そして、かくの如きβ−ピネン重合体を用いて、本発明に従うレンズシートを形成するには、鋳込成形法、射出成形法、熱プレス成形法、押出成形法、切削加工法等の公知の手法に従って、β−ピネン重合体からなる透明基材の成形と同時に、所望のレンズ部を、かかる基材に一体的に形成したり、或いは活性エネルギー線硬化型樹脂を用いて、β−ピネン重合体からなる透明基材上に、所望のレンズ部を一体的に形成する方法等の、通常使用されている方法が適宜に採用され、それによって、目的とするレンズシートを容易に製造することが出来る。なお、活性エネルギー線硬化型樹脂を用いる方法を採用する場合に、比重が0.85以上、1.0未満であり、ガラス転移温度が100℃以上であるβ−ピネン重合体からなる、予め成形された基板の上に、公知の活性エネルギー線硬化型樹脂によって、目的とするレンズ部が一体的に形成されることとなる。
ここにおいて、本発明で言うレンズシートとは、シート主面の少なくとも一方に形成された1つ又は複数のレンズ形状によって構成されるレンズ群からなるレンズ部にて、シートに照射された光線の方向を変化させ、集光、屈折、反射、分散等の機能を有するものを指している。そして、そのようなレンズシートとしては、一般に、プリズムシート、フレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート、マイクロレンズアレイシート等と称すものが、含まれることとなる。
また、そこにおいて、レンズ形状とは、少なくとも一つのシート主面に垂直な断面形状がシート主面と非平行な直線、曲線及びこれらの組合せを含む形状を指し、そしてその断面形状の例としては、多角形の一部、円弧状、楕円弧状、漸近線状、正弦曲線状、頂部が滑らかな多角形の一部、等が挙げられる。
さらに、かかるレンズ形状には、ストライプ状、ドット状等の形状が挙げられる。その中で、ストライプ状の場合、ストライプの長手方向と垂直な一方向の光線方向を効率良く変化する機能を付与することが容易となる。このストライプの頂部を為す稜線は、通常、シート主面と略平行な直線又は曲線である。そして、ストライプ状レンズ形状をシート主面の法線方向から観察した場合の形状は、四辺形状であって、通常、矩形状であり、その長手方向の辺は、通常、シートの略全面を覆う。また、ドット状の場合においては、多方向又は全方向の光線方向を効率良く変化する機能を付与することが容易となる。このドット状レンズ形状をシート主面の法線方向から観察した場合の形状は、直線、曲線及びこれらの組合せを含む形状を為すものとなる。
そして、これらレンズ形状は、同一又は異なる形状のものが、複数で規則的に配列することで、シート面内の光線方向を変化させる機能を均一なものとすることが出来る。また、このレンズ形状は、シート主面の両面に形成されていてもよく、そして両面のレンズ形状、配列規則等は、同じであっても、異なっていても良い。更に、レンズ形状の配列周期は、シート主面のサイズにもよるが、通常、10μm〜1000μm程度が望ましい。シート主面が小さい場合に、配列周期も小さくすることが、多くの用途で好ましく採用される。
なお、本発明にあっては、本発明に従うレンズシートが、先の特許文献等にも示される如く、光の透過経路上に配されてなる照明装置を用い、その照明する側に、更に所定の透過型表示素子を配することで、画像表示装置が構成されることとなる。ここで、画像表示装置とは、照明装置と表示素子とを組み合わせた表示モジュール、更にはこの表示モジュールを用いたテレビ、パソコンモニター等の少なくとも画像表示機能を有する機器のことを意図している。また、そこにおいて用いられる透過型表示素子の代表例としては、良く知られている液晶パネルを挙げることが出来る。
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
(1)β−ピネン重合体水素添加物の合成
十分に乾燥させたガラス製コック付フラスコについて、その内部を充分に窒素置換した後、これに、脱水したN−ヘキサン:184質量部と、脱水した塩化メチレン:210質量部と、脱水したジエチルエーテル:0.5質量部とを加え、−78℃に冷却した。それらの混合物を−78℃にて撹拌しながら、二塩化エチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度:1.0mol/L):7.2質量部を更に加えた。次いで、フラスコ内を−78℃に保持した状態にて、p−ジクミルクロライドのヘキサン溶液(濃度:0.1mol/L):3.0質量部を添加したところ、赤燈色に変化した。その後、直ちに蒸留精製したβ−ピネン:60質量部を、1時間かけてフラスコ内に添加したところ、次第に濃燈色になり、溶液の粘度が上昇した。β−ピネンの添加終了後、メタノール:30質量部を添加して、反応を終了させた。フラスコ内に、蒸留水:100質量部にクエン酸:5質量部を添加してなる水溶液を添加し、5分撹拌した後、水層を抜き取り、蒸留水を加えて水層が中性になるまで洗浄し、アルミ化合物を除去した。得られた有機層をメタノール/アセトン(50/50vol%)の混合溶媒:5000質量部に再沈せしめた後、十分に乾燥して、β−ピネン重合体(A1):60質量部を得た。得られたβ−ピネン重合体(A1)の重量平均分子量は116,000、数平均分子量は51,000、ガラス転移温度は95℃であった。
窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器に、シクロヘキサン:70質量部と、上述の如くして得られたβ−ピネン重合体(A1):30質量部を加え撹拌することにより、β−ピネン重合体(A1)を完全に溶解した。次いで、水素添加触媒として5%パラジウム担持アルミナ(N.E.ChemCat製):30質量部を加え、撹拌して十分に分散させた後、耐圧容器内を十分に水素で置換し、室温下、1000rpmで撹拌しながら、100℃、水素圧40kgf/cm2 で、6時間反応させた後、常圧に戻した。反応後の溶液をシクロヘキサン200質量部加えて希釈した後、0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターによりろ過して触媒を分離除去した後、メタノール/アセトン(50/50vol%)の混合溶媒:5000質量部に再沈せしめた後、十分に乾燥して、β−ピネン重合体水素添加物(H1):29質量部を得た。得られたβ−ピネン重合体水素添加物(H1)の水素添加率を 1H−NMRから求めたところ、99.9%であり、重量平均分子量は112,000、数平均分子量は50,800、ガラス転移温度は130℃、比重は0.930であった。
その後、かくして得られた高分子量のβ−ピネン重合体水素添加物(H1)の100質量部に対して、紫外線吸収剤である2−(5−メチル−2ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールの0.1質量部と、フェノール系酸化防止剤であるイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)の0.1質量部とを、ヘンシェルミキサーで混合した後、押出機を用いて溶融混練して、ペレット状のβ−ピネン重合体水素添加物組成物(M1)を得た。
(2)実施例1使用フィルムの作製
上記で得られたβ−ピネン重合体水素添加物組成物(M1)(ガラス転移温度:130℃)のペレットに対して、熱風乾燥機を用いて、90℃、4時間の乾燥を施した。このペレットを、スクリュウ径:20mmの二軸押出機とクロムメッキを施した500mm幅のコートハンガーダイスを用いて、260℃で溶融押出した後、その押し出されたシート状のβ−ピネン重合体水素添加物組成物(M1)を3本の冷却ロール(直径:100mm、ロール温度:120℃)に通して冷却して、幅:約400mm、厚み:100μmの押出成形フィルムを得た。次いで、この得られたフィルムに対して、照度:5.9mW/cm2 (172nm)、照射量:354mJ/m2 (照射窓からの距離:2.3mm、時間:60秒)の条件下で、エキシマ処理を施し、表面処理フィルム(F1)を得た。
(3)比較例1使用フィルムの作製
アクリル樹脂(株式会社クラレ製パラペットEH1000、ガラス転移温度:100℃)のペレットに対して、熱風乾燥機を用いて、80℃、4時間の乾燥を施した。このペレットを、上記(2)と同様な装置を用いて、260℃で溶融押出した後、その押し出されたシート状のアクリル樹脂を3本の冷却ロール(直径:100mm、ロール温度:90℃)に通して冷却し、幅:約400mm、厚み:100μmの押出成形フィルムを得た。次いで、この得られたフィルムに対して、照度:5.9mW/cm2 (172nm)、照射量:354mJ/m2 (照射窓からの距離:2.3mm、時間:60秒)の条件でエキシマ処理を実施し、表面処理フィルム(F2)を得た。
(4)比較例2使用フィルムの作製
脂環式ポリオレフィン系樹脂(日本ゼオン株式会社製ゼオノア1060R、ガラス転移温度:100℃)のペレットに対して、熱風乾燥機を用いて、80℃、4時間の乾燥を施した。このペレットを、上記(2)と同様な装置を用いて、260℃で溶融押出した後、その押し出されたシート状の脂環式ポリオレフィン系樹脂を3本の冷却ロール(直径:100mm、ロール温度:90℃)に通して冷却し、幅:約400mm、厚み:100μmの押出成形フィルムを得た。次いで、この得られたフィルムに対して、照度:5.9mW/cm2 (172nm)、照射量:354mJ/m2 (照射窓からの距離:2.3mm、時間:60秒)の条件でエキシマ処理を実施し、表面処理フィルム(F3)を得た。
なお、上記した各工程で得られる材料について、また下記の工程で製造される材料について、その物性測定は、以下の如くして行った。
−分子量−
数平均分子量及び重量平均分子量は、何れも、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づき、ポリスチレン換算値で求められたものである。ここでは、GPC装置として、東ソー株式会社製のHLC−8020(品番)を用い、カラムとして、東ソー株式会社製のTSKgel・GMH−Mの2本とG2000Hの1本とを直列に繋いだものを用いた。
−水素添加率−
1H−NMRスペクトルから、原料樹脂のオレフィン性二重結合プロトン(4〜6ppm)の減少率(%)により、水素添加率{([水素添加されたオレフィン性二重結合の数]/[水素添加前の重合体中のオレフィン性二重結合の数])×100(%)}を求めた。
−ガラス転移温度(Tg)−
充分に乾燥して、溶媒を除去したサンプルを用いて、示差走査熱量測定法(DSC)により、測定した。先ず、サンプルを、窒素100ml/分の気流下、25℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで加熱して、DSCカーブを得る。次に、この得られたDSCカーブを用い、図1に示される如く、その中央接線Bと転移前のベースラインCの交点を通り温度軸に対して平行な平行線Eと、中央接線Bと転移後のベースラインDの交点を通り温度軸に対して平行な平行線Fを引く。本明細書では、この2本の平行線E、Fを2等分する平行線GとDSCカーブの交点における温度Aを、ガラス転移温度(Tg)とした。また、ここでは、測定装置としては、メトラー・トレド株式会社製のDSC30(品番)を用いた。
−吸水率−
プレス成形した、長さ:140mm、幅:60mm、厚さ:0.8mmの板を用い、それを60℃、90%RH雰囲気下に10日間置き、初期重量からの増加した重量の割合を、吸水率とした。演算式は、以下の通りである。
吸水率(%) = 重量増加分×100/初期重量
−屈折率(nD)−
株式会社アタゴ製のRX−2000(品番)を用いて、JIS−K−7142に準拠して、25℃で測定した。
−アッベ数−
株式会社アタゴ製のアッベ屈折計DR−M2(品番)により、25℃で測定した。そして、以下の判定基準に従って、評価した。
○:アッベ数≧57
△:57>アッベ数≧55
×:55>アッベ数
−曲げ弾性率−
オートグラフ(株式会社島津製作所製)を用いて、JIS−K−7171に準じて、23℃における曲げ弾性率を測定し、以下の判定基準に従って評価した。
○:曲げ弾性率が2500MPa以上
×:曲げ弾性率が2500MPa未満
−比重−
JIS−K−7112:1999のA法に準じて、測定した。判定基準は、以下の通りである。
○:比重<1.0
△:1.0≦比重<1.1
×:1.1≦比重
−光弾性係数−
厚さ:200μmのフィルムを、Tgよりも20℃低い温度で、一晩アニールした後、Tgよりも20℃高い温度で、長軸方向に引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションを、エリプソメーターM220(日本分光株式会社製)で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から、光弾性係数を算出した。
−耐光性−
プレス成形した、厚さ:1.0mmの板について、ASTM−G53に準じて、100時間の促進暴露試験を行い、YI(イエロー・インデックス)の試験前と試験後における黄変度(ΔYI)を測定した。ここでは、紫外線曝露試験機(株式会社東洋精機製作所製ATLAS−UVCON)を用いた。YIの測定は、JIS−K−7103に準じて行った。そして、以下の判定基準に従って、評価した。
ΔYI=(紫外線暴露100時間後のYI)−(紫外線暴露前のYI)
○:ΔYI ≦ 1 長期の耐光性が非常に良好
×:1 < ΔYI 長期の耐光性が不良
−実施例1−
レンズピッチ:50μm、頂角:90°のプリズムパターンを有するレンズ型に、市販の紫外線硬化型樹脂液(東亜合成株式会社製UVX4332、屈折率:1.52)を、注入した。更に、上記で得られた12インチサイズの表面処理フィルム(F1)を、かかるレンズ型に重ね合わせた後、上方に配置した紫外線ランプを用いて、該表面処理フィルム側から紫外線を照射することにより、紫外線硬化型樹脂液を重合硬化させた後、レンズ型から剥離することによって、片面に多数のプリズム状突起が一体的に形成されてなるレンズシート(L1)を得た。かくして得られたレンズシート(L1)について、その評価結果を、下記表1に示す。
また、直下型拡散板の出射面に、拡散シート(恵和株式会社製オパルス#125KBS21、ヘイズ:89.5%)を載置した上に、上記で得られたレンズシートを載置して、バックライトを構成した。そして、このバックライトについて、バックライトユニットの直上500mmのところから、色彩輝度計(株式会社トプコン製BM−7)を用いて、バックライトを5度ずつ傾けながら輝度を測定し、視野角特性の評価を行った。その結果を、図2に実線で示した。このときの正面輝度増加率は、1.45倍と、良好な正面輝度であった。なお、図に点線で示した輝度の視野角特性は、レンズシートを使用しないバックライトについて測定したものである。
−比較例1−
表面処理フィルム(F1)の替わりに、表面処理フィルム(F2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、レンズシート(L2)を得た。その得られたレンズシート(L2)の評価結果を、下記表1に示す。
−比較例2−
表面処理フィルム(F1)の替わりに、表面処理フィルム(F3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、レンズシート(L3)を得た。その得られたレンズシート(L3)の評価結果を、下記表1に示す。
Figure 2008217003
かかる表1の結果からして、本発明に従う実施例1のレンズシートは、他の樹脂を使用したレンズシートよりも、耐熱性に優れ、軽量であることが分かる。また、本発明のレンズシートは、アクリル樹脂からなるレンズシートと比較して、吸水性が低いために、吸水による変形が小さいことも認められる。
また、表1の結果から、本発明に従う実施例1のレンズシートは、脂環式ポリオレフィン系樹脂からなるレンズシートと比較し、3級炭素の割合が少なく、試験前後のYI値の変化が小さいことが認められる。なお、脂環式ポリオレフィン系樹脂は、曲げ弾性率が低く、撓み易いが、β−ピネン重合体水素添加物のレンズシートは、曲げ弾性率が高く、撓み難いことが分かる。
さらに、本発明に従うレンズシートは、光弾性係数が小さいために、光学歪みが小さく、更にアッベ数が大きいため、色収差の小さいレンズシートとして得ることが出来るのである。
実施例におけるガラス転移温度を、DSCカーブから求める方法を示す説明図である。 実施例1において求められた視野角特性の評価結果を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 比重が0.85以上、1.0未満であり、ガラス転移温度が100℃以上であるβ−ピネン重合体からなる透明基材の少なくとも片面に、1つ又は複数のレンズ群からなるレンズ部を形成したことを特徴とするレンズシート。
  2. 前記β−ピネン重合体が、水素添加せしめられたものであって、([水素添加されたオレフィン性二重結合の数]/[水素添加前の重合体中のオレフィン性二重結合の数])×100の値が、95%以上であることを特徴とする請求項1に記載のレンズシート。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のレンズシートを含むことを特徴とする画像表示装置。
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