JP2008184146A - 下肢部衝撃吸収パッド - Google Patents

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Abstract

【課題】衝突時に乗員の下肢部にかかる許容荷重の最大値を従来の基準値よりも低い値に設定した場合でも、その設定された基準値内において所要の衝撃エネルギを効果的に吸収できるようにした下肢部衝撃吸収パッドを得る。
【解決手段】天板11と、天板の裏面側に一体成形された車両の前後方向となる方向に延出する複数本の縦長状突条12とを備える発泡樹脂成形品である下肢部衝撃吸収パッド10Cにおいて、天板11の裏面側の一部に縦長状突条12が形成されていない領域14を形成する。好ましくは、縦長状突条が形成されていない領域14の一部に、縦長状突条12と同方向の第3の突条16を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両衝突時に生じる衝撃から乗員の下肢部を保護するための車両用衝撃吸収パッドに関する。
車両衝突時に乗員の下肢部を保護するための車両用衝撃吸収パッドとして、特許文献1には、車両に設置したときに室内側に位置する天板と、該天板の裏面側の全面に一体成形された当該車両の前後方向となる方向に延出する複数本の縦長状突条とを備える発泡樹脂成形品である下肢部衝撃吸収パッドが記載されている。
特許文献1に記載される形状の下肢部衝撃吸収パッドは、衝突時の初期の段階では、パッドが主に弾性変形することにより、短時間で多くのエネルギを吸収することができ、ある荷重値(下肢部に障害を与える障害限界荷重値よりも低い荷重値)からは、縦長状突条が塑性変形(破壊等)することにより、荷重を大きく上げることなく、衝撃エネルギを吸収することができる。このような荷重−歪み曲線が得られることから、全体の厚みを厚くすることなく、衝突時に発生する所要のエネルギ吸収を障害限界荷重値以下の範囲内で行うことが可能となり、乗員の下肢部にかかる衝撃力を効果的に緩和して下肢部に生じる障害を大きく低減することができる。
特開2004−306791号公報
近年、自動車等の車両に対する安全性の諸基準は一段とシビアになってきており、車両用の下肢部衝撃吸収パッドの分野においても、衝突時に乗員の下肢部にかかる許容荷重の最大値がより低い値に引き下げられる傾向にある。また、下肢部衝撃吸収パッドに対する落下衝撃試験等の内容もより現実に即したものとすることが望まれるようになり、その結果、従来の下肢部衝撃吸収パッドに対して新たな技術課題が提起されることも起こり得る。そのような要請に適切に対処するために、下肢部衝撃吸収パッドに対して更なる技術的改良が求められる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、衝突時に乗員の下肢部にかかる許容荷重の最大値を従来の基準値よりも低い値に設定した場合でも、弾性変形や破壊を伴う塑性変形を進行させながら、その設定された基準値内において所要の衝撃エネルギを効果的に吸収できるようにした、より改良された下肢部衝撃吸収パッドを提供することを課題とする。
上記の課題を解決すべく、本発明者らは下肢部衝撃吸収パッドに対する落下衝撃試験を行うときの負荷子として、実際の靴の底面に即した形状の負荷子、すなわち、図9に示すように、つま先部に相当する負荷子51と踵部に相当する負荷子52との2つの負荷子を繋ぐ繋ぎ部材53により1つに繋ぎ合わせた形状の負荷子50を作り、それを用いて、従来の下肢部衝撃吸収パッド55に対する落下衝撃試験を行い、荷重−歪み曲線を得ようとした。その結果、図10に曲線Y3に示すように、従来の試験法、すなわち、つま先部と踵部に相当する負荷子51と負荷子52とを、それぞれ単独で落下させて行う落下衝撃試験法で得られる値(図10で、曲線Y1は負荷子51が落下した領域における結果を、曲線Y2は負荷子52が落下した領域における結果を示す)よりも高い値にまで、負荷子50が受ける最大荷重が上昇するのを経験した。このような高い荷重が下肢部にかかると下肢部に障害を生じさせる恐れがある。
その原因として、落下直後には、負荷子51と負荷子52は、下肢部衝撃吸収パッド内に浸入(変位)して行く過程で、許容荷重内でその領域の下肢部衝撃吸収パッドに変形を起こさせながら衝撃エネルギを吸収していくが、その後、すなわち負荷子50が所定量変位したときに、繋ぎ部53が下肢部衝撃吸収パッドに衝接し、その衝撃荷重がさらに加わることから、負荷子50全体の受ける荷重が許容範囲を超えて大きな値となったものと推測される。
下肢部衝撃吸収パッド全体を柔らかいもので作ることにより、そのような高い衝撃荷重が負荷子50に生じるのを阻止することはできる。しかし、所要の衝撃エネルギを吸収するまでの時間が長くなり安全性を阻害することに加え、下肢部衝撃吸収パッドとして厚みの厚いものを必要とすることから、現実的な解決策とはならない。
本発明による下肢部衝撃吸収パッドでは、乗員の下肢部位置との関係で衝突時に最初に衝撃荷重がかかる領域において、衝撃エネルギの吸収を主に行うようにし、その後に衝撃荷重がかかる領域においては衝撃エネルギの吸収を積極的に行わない形状とすることにより、上記の問題に対して現実的な解決策を与えるようにした。
すなわち、本発明による下肢部衝撃吸収パッドは、車両に設置したときに室内側に位置する天板と、該天板の裏面側に一体成形された当該車両の前後方向となる方向に延出する実質的に平行な複数本の縦長状突条とを備える発泡樹脂成形品である下肢部衝撃吸収パッドであって、前記下肢部衝撃吸収パッドにおける前記天板の裏面側の一部には前記縦長状突条が形成されていない領域が存在することを特徴とする。
上記の下肢部衝撃吸収パッドにおいて、複数本の縦長状突条を備える領域は、衝突時に最初に衝撃荷重がかかる領域を少なくとも含む。そして、その領域が主たる荷重支持機能を発揮し、主に複数本の縦長状突条が弾性変形しまた塑性変形して破壊することにより、衝撃エネルギの吸収が有効に進行する。前記天板の裏面側における前記縦長状突条が形成されていない一部の領域は、本質的に荷重支持機能を有しないので、衝突後に、その領域に起因して下肢部にかかる荷重が大きく上昇することはない。複数本の縦長状突条が床面に占める面積割合を適宜設定することにより、衝突時に下肢部が受ける最大荷重を所定値以下とすることができ、かつ、衝突後もその値を大きく超えて下肢部にかかる荷重が上昇するのを回避することができる。また、発泡樹脂成形品の発泡倍率等を適宜設定することにより、所定時間内で、かつ所定の変位内で、所定量の衝撃エネルギを吸収させることが可能となる。
本発明による下肢部衝撃吸収パッドの具体的な態様では、前記縦長状突条が形成されていない領域は、車両に設置したときに乗員の足のつま先側が位置する領域とされる。その場合、前記複数本の縦長状突条を備える領域には、乗員の踵が位置する領域が少なくとも含まれる。衝突時の衝撃力は、最初に足あるいは靴の踵部分にかかるので、下肢部が障害を受ける前記障害限界荷重値よりも低い荷重値で縦長状突条の塑性変形が生じるように縦長状突条を設計する。ある時間経過後に、靴の踵部分とつま先との間の上にへこんでいる領域が下肢部衝撃吸収パッドの天板に衝接するが、その領域の裏面側には縦長状突条が形成されてなく、障害限界荷重値を超えるような大きな衝撃荷重が下肢部にかかることはない。
本発明による下肢部衝撃吸収パッドのさらに他の具体的な態様では、前記縦長状突条が形成されていない領域に、前記縦長状突条と交差する方向の第2の突条が一部に形成されるか、または、前記縦長状突条と同方向の第3の突条が一部に形成される。本発明による下肢部衝撃吸収パッドでは、裏面に縦長状突条が形成されている領域と形成されていない領域が存在し、形成されていない領域は、天板と車両フレームとの間に空洞が生じる。下肢部衝撃吸収パッドを形成する樹脂材料の物性値等によっては、通常の運転時に、乗員がその領域を踏み込んだときに凹みが起こる恐れがある。このような凹みは車両の運転には何の支障もないが、室内の居住性を悪化させる恐れがある。前記第2の突条および第3の突条は凹みに対する支柱として機能し、この不都合を回避する。
本発明による下肢部衝撃吸収パッドのさらに他の具体的な態様では、前記第2の突条または第3の突条が形成される領域は、車両に設置したときに乗員の足の指の付け根部分が位置することとなる領域およびその近傍であることを特徴とする。通常の場合、靴底は、踵部分と足の指の付け根部分が位置することとなる部分とが接地しており、他の部分は浮いた状態にある。従って、自然の状態において、乗員の靴裏は、前記した踵部分と足の指の付け根部分とが下肢部衝撃吸収パッドに接した状態にあり、衝突時には、最初に踵部分に衝撃がかかる。しかし、足の置き方や力の入れ具合によっては、足の指の付け根部分が位置することとなる領域近傍にも最初の衝撃荷重がかかることが考えられる。このような場合に、前記した位置に第2の突条または第3の突条を形成しておくことにより、第2の突条または第3の突条は衝撃吸収材としての機能を果たすことができる。この場合、第2の突条または第3の突条の接地面積が大きくなると、下肢部衝撃吸収パッド全体としての耐荷重性が大きくなって衝撃吸収力が低下し、障害限界荷重値を超えた荷重が下肢部にかかり、下肢部に損傷を与えることが起こり得る。それを回避するために、第2の突条または第3を設ける場合には、その面積に応じて、踵部が位置することとなる領域の縦長状突条の接地面積を減少させることが推奨される。
本発明の下肢部衝撃吸収パッドを形成する樹脂材料には多くのものを用いることができる。好ましくは熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、スチレン改質ポリエチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂である。なかでも、ポリエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させて得られるスチレン改質ポリエチレン系樹脂によるビーズ発泡樹脂成形品は、ポリエチレン系樹脂ビーズの発泡樹脂成形品やポリプロピレン系樹脂ビーズの発泡樹脂成形品に比べて、寸法安定性と形状保持性に優れていること、ポリスチレン系樹脂ビーズの発泡樹脂成形品に比べて、こすれによる粉が出にくいことの理由から、特に好ましい。スチレン改質ポリエチレン系樹脂におけるスチレン成分の割合は40〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは55〜75重量%である。
成形に当たっては、スチレン改質ポリエチレン系樹脂に、乾式あるいは湿式で発泡剤を含浸させて発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂とし、該発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂を加熱水蒸気等で予備発泡させる。次いで、前記発泡性スチレン改質ポリエチレン系樹脂の予備発泡粒子を成形型内に充填し、定法により発泡成形(ビーズ型内発泡成形)を行えばよい。
本発明による下肢部衝撃吸収パッドの発泡倍率は10〜50倍、好ましくは15〜30倍である。発泡倍率が10倍未満のものは硬すぎて衝突による衝撃を効果的に吸収することができないことが起こり得る。50倍を超えるものは柔らかすぎるために、必要なエネルギ量を吸収する前に、底づき状態となってしまう恐れがあるので好ましくない。
本発明によれば、衝突時に乗員の下肢部にかかる許容荷重の最大値を従来の基準値よりも低い値に設定した場合でも、弾性変形や破壊を伴う塑性変形を進行させながら、その設定された基準値内において所要の衝撃エネルギを効果的に吸収できる、より改良された下肢部衝撃吸収パッドが得られる。
以下、本発明を実施の形態により説明する。図1は本発明による下肢部衝撃吸収パッドの第1の形態を裏側から見た図であり、図2は本発明による下肢部衝撃吸収パッドの第2の形態を裏側から見た図であり、図3は本発明による下肢部衝撃吸収パッドの第3の形態を裏側から見た図である。図4は第3の形態の下肢部衝撃吸収パッドに乗員の足が乗っている状態を模式的に示している。
図1に示す第1の形態の下肢部衝撃吸収パッド10Aは、スチレン改質ポリエチレン系樹脂の予備発泡粒子(ビーズ)を成形型に充填して型内発泡成形して得た発泡倍率30倍の発泡樹脂成形品であって、全体として矩形状をなしている。下肢部衝撃吸収パッド10Aは、車両に設置したときに室内側に位置する天板11と、該天板11の裏面側に一体成形された実質的に互いに平行な複数本(図示のものでは、5本)の縦長状突条12と、側壁13とを有し、前記縦長状突条12は、この下肢部衝撃吸収パッド10Aを車両内に設置したときに当該車両の前後方向となる方向に、ほぼ等間隔に平行に形成される。なお、側壁13は、下肢部衝撃吸収パッド10Aを車両内に安定した姿勢で設置できるように設けられるものであり、車体側形状によっては全部または一部を省略することもできる。形成される場合には、側壁13は、縦長状突条12と同様に、衝撃エネルギを吸収する機能も果たす。
前記下肢部衝撃吸収パッド10Aにおいて、前記縦長状突条12は、天板11の一方端から全長の1/4から1/2程度の距離まで延出するように形成されており、それから先には形成されていない。すなわち、図示のものでは、縦長状突条12の先端と天板11の他方端との間は、縦長状突条12が形成されていない、空洞状の領域14となっている。下肢部衝撃吸収パッド10Aを車両内に設置したときに、縦長状突条12を形成した領域が乗員の踵が乗る領域となり、縦長状突条12が形成されていない空洞状の領域14はつま先側が乗る領域となる。
下肢部衝撃吸収パッド10Aの全体形状と諸寸法は、それが使用される車両側の条件や求められる衝撃吸収能力等に応じて、適宜設定される。一例として、全体の高さa:50mm、天板11の厚さb:8mm、縦長状突条12の長さc:70mm、縦長状突条12の厚さd:7mm、縦長状突条12のピッチe:25mm、程度である。
図2に示す第2の形態の下肢部衝撃吸収パッド10Bは、前記第1の形態の下肢部衝撃吸収パッド10Aにおける縦長状突条12が形成されていない空洞状の領域14内に、前記縦長状突条12と直交する方向の第2の突条15が形成されている点で、下肢部衝撃吸収パッド10Aと構成を異にする。他の構成は、下肢部衝撃吸収パッド10Aと同じであり、同じ符号を付し説明は省略する。前記第2の突条15の幅(厚さ)は、限定されないがこの例では7mm程度である。この第2の突条15は、下肢部衝撃吸収パッド10Bを車両内に設置したときに、乗員の足のつま先側が位置することとなる領域に形成される。
図3に示す第3の形態の下肢部衝撃吸収パッド10Cは、前記第1の形態の下肢部衝撃吸収パッド10Aにおける縦長状突条12が形成されていない空洞状の領域14内に、前記縦長状突条12と同方向の第3の突条16が形成されている点で、下肢部衝撃吸収パッド10Aと構成を異にする。他の構成は、下肢部衝撃吸収パッド10Aと同じであり、ここでも同じ符号を付し説明は省略する。第3の突条16の形成位置は限定されないが、好ましくは、下肢部衝撃吸収パッド10Cを車両内に設置したときに、乗員の足のつま先側が位置することとなる領域を含むようにして形成される。第3の突条16の本数や寸法に特に制限はないが、図示の例では、各縦長状突条12の延長線上に幅(厚さ)7mm、長さ60mmである5本の第3の突条16が形成されている。
上記した下肢部衝撃吸収パッド10は、車両内において、運転席あるいは助手席に座する乗員の足が置かれる箇所に設置される。図4は、一例として図3に示した下肢部衝撃吸収パッド10Cが車両内に設置された状態を示しており、車体20の適所に下肢部衝撃吸収パッド10Cがその天板11を室内側として設置され、該下肢部衝撃吸収パッド10Cの後方には嵩上げ用の適宜のフロアスペーサ21が配置されている。図示しないが、その上に適宜のフロアカーペットが積層される。車体の形状によってはフロアスペーサ21は必ずしも必要とされないが、フロアスペーサ21を必要とする場合には、下肢部衝撃吸収パッド10Cとともに一体成形することも可能である。
図4に示すように、下肢部衝撃吸収パッド10Cが車両に設置された状態で、下肢部衝撃吸収パッド10Cの縦長状突条12が形成されている領域には乗員が履いている靴25の踵部26が載り、第3の突条16が形成される領域には、つま先部27であって靴裏の足の指の付け根部分近傍が主に乗るようになる。
運転中に衝突が起こったとする。衝突により生じる運動エネルギは下肢部衝撃吸収パッド10Cにより効果的に吸収され、乗員の下肢部に障害を与えるのを相当な確率で回避することができる。すなわち、衝突時の衝撃力は、最初に、主に縦長状突条12が形成されている領域と、一部が第3の突条16が形成される領域において、それらが弾性変形あるいは塑性変形することにより吸収され、乗員の下肢部に障害を与えるのを回避する。その後、下肢部衝撃吸収パッド10Cが変形することにより、靴25の踵部26とつま先部分27との間の上にへこんでいる領域28が下肢部衝撃吸収パッド10Cの天板11に衝接するが、その領域の裏面側には縦長状突条12および第3の突条16のいずれもが形成されていないので、へこんでいる領域28が天板11に衝接したときに、障害限界荷重値を超えるような大きな衝撃荷重が乗員の下肢部にかかるのを回避することができる。
なお、特に図示しないが、上記のこと(すなわち、へこんでいる領域28が天板11に衝接したときに、障害限界荷重値を超えるような大きな衝撃荷重が乗員の下肢部にかからないこと)は、図1に示した下肢部衝撃吸収パッド10Aおよび図2に示した下肢部衝撃吸収パッド10Bにおいても、同様に生じることは説明を要しない。
次に、実施例と比較例により本発明による下肢部衝撃吸収パッドの有効性を説明する。
[実施例]
テストにはスチレン改質ポリスチレン系樹脂の予備発泡粒子(ビーズ)を型内発泡成形して得た、図3に示す形状の下肢部衝撃吸収パッド10Cを用いた。下肢部衝撃吸収パッド10Cの発泡倍率は30倍であり、寸法は、図6に示すように、全体高さa:50mm、天板11の厚さb:8mm、縦長状突条12の長さc:70mm、縦長状突条12と第3の突条16の幅(厚さ)d:7mm、縦長状突条12と第3の突条16のピッチe:25mm、縦長状突条12と第3の突条16との間の距離f:100mm、第3の突条16の長さg:60mm、全体の長さh:250mm、側壁13の幅(厚さ)i:7mm、とした。
図5に示すように、上記下肢部衝撃吸収パッド10Cを固定治具54上に固定し、700cmの高さの落下試験機から図9に基づき先に説明した負荷子50を落下させて、JISZ0235の「包装用緩衝材料の動的圧縮試験方法」に準拠した落下衝撃試験を行い、荷重−歪み曲線を求めた。なお、負荷子50の全重量は15kgであり、うち、つま先部に相当する負荷子51の重量は6kg、踵部に相当する負荷子52の重量は6kg、繋ぎ部材53の重量は3kgとした。また、負荷子51の底面積は100cm、負荷子52の底面積は100cm、繋ぎ部材53の長さは10cmとした。
負荷子50には加速度計を取り付けておき、下肢部衝撃吸収パッド10Cには負荷子50の落下による変位量を測定する変位計を取り付けておき、負荷子d落下後の時間経過に伴う下肢部衝撃吸収パッド10C荷重(kN)と下肢部衝撃吸収パッド10Cの変位(mm)を求め、歪(変位)を算定した。得られた荷重−歪み曲線を、図8のグラフに曲線Aとして示した。なお、図8のグラフにおいて、荷重−歪み曲線Rは、現在、下肢部衝撃吸収パッドに求められている荷重−歪み曲線であり、衝突初期のエネルギ吸収量は大きく、すなわち曲線の立ち上がりが急峻であり、それ以降は、従来よりも低い値である2kNを超えない加重において、多くの衝撃エネルギの底づきが生じるまで吸収できることが求められている。
本発明品である下肢部衝撃吸収パッド10Cの荷重−歪み曲線Aでの初期立ち上がりの傾きは、求められている荷重−歪み曲線Rに近似した急峻な傾斜であり、かつ底づきが生じるまでに、最大荷重が2kNを下回った状態で、多くの衝撃エネルギを吸収できることがわかる。
[比較例1]
テストピースとして、図7に示す形状の下肢部衝撃吸収パッド10Dを用いた。この下肢部衝撃吸収パッド10Dは、天板11の裏面側に縦長状突条12が長手方向の全部にわたって形成されている点でのみ、実施例で用いた下肢部衝撃吸収パッド10Cと相違している。すなわち、縦長状突条12の長さが250mmである点を除き、他の寸法は、図6に示す下肢部衝撃吸収パッド10Cと同じである。この下肢部衝撃吸収パッド10Dに対して下肢部衝撃吸収パッド10Cと同じ条件で落下衝撃試験を行い、荷重−歪み曲線を得た。得られた荷重−歪み曲線を、図8のグラフに曲線Bとして示した。
比較例1である下肢部衝撃吸収パッド10Dの荷重−歪み曲線Bでの初期立ち上がりの傾きは、求められている荷重−歪み曲線Rと近似した急峻な傾斜であり、初期の衝撃エネルギ吸収量については満足できるが、最大荷重が4kN近くまで上昇してしまい、下肢部衝撃吸収パッドに求められている荷重−歪み曲線Rの条件を満たさない。この理由は、天板11の裏面側に縦長状突条12が長手方向の全部にわたって形成されているためであると解される。
[比較例2]
テストピースとして、図7に示す形状の下肢部衝撃吸収パッド10Dと同じ形状であるが、縦長状突条12のピッチeを50mmとして、縦長状突条12のトータルの接地面積を少なくしたものを成形し、それに対して、下肢部衝撃吸収パッド10Cと同じ条件で落下衝撃試験を行い、荷重−歪み曲線を得た。得られた荷重−歪み曲線を、図8のグラフに曲線Cとして示した。
比較例2である下肢部衝撃吸収パッドの荷重−歪み曲線Cが示すように、縦長状突条12の本数を少なくすることにより、衝撃エネルギ吸収過程での最大荷重は2kN以下とすることができるが、初期立ち上がりの傾きが、求められている荷重−歪み曲線Rの傾きよりも小さくなっており、下肢部衝撃吸収パッドに求められている荷重−歪み曲線Rの条件を満たさない。
[考察]
実施例と比較例1,2の落下衝撃試験の結果から、現在下肢部衝撃吸収パッドに対して求められている衝撃吸収性能(衝撃エネルギ吸収初期での急峻な立ち上がりと低い最大荷重)を満足するためには、天板11の裏面側の全長にわたって縦長状突条を形成した形態のものにおいて、縦長状突条の本数を少なくする(すなわち、縦長状突条の接地面積を小さくする)だけでは充分でなく、下肢部衝撃吸収パッドにおける天板の裏面側の一部に縦長状突条12が形成されていない領域を形成することが必要であることがわかる。
本発明による下肢部衝撃吸収パッドの第1の形態を裏側から見た図。 本発明による下肢部衝撃吸収パッドの第2の形態を裏側から見た図。 本発明による下肢部衝撃吸収パッドの第3の形態を裏側から見た図。 第3の形態の下肢部衝撃吸収パッドに乗員の足が乗っている状態を模式的に示す図。 実施例での落下衝撃試験の概要を説明する図。 実施例で使用した下肢部衝撃吸収パッドの形状と寸法を説明するための図。 比較例1での落下衝撃試験で用いた下肢部衝撃吸収パッドを説明するための図。 実施例および比較例での荷重−歪み曲線を示すグラフ。 落下衝撃試験の一態様を説明するための図。 落下衝撃試験の試験内容により異なった荷重−歪み曲線が得られることを説明するためのグラフ。
符号の説明
10A〜10C…本発明による下肢部衝撃吸収パッド、11…天板、12…縦長状突条、14…縦長状突条が形成されていない領域、25…靴、26…踵部、27…つま先部、28…靴の踵部とつま先部分との間の上にへこんでいる領域、50…負荷子、51…つま先部に相当する負荷子、52…踵部に相当する負荷子、53…2つの負荷子を繋ぐ繋ぎ部材

Claims (5)

  1. 車両に設置したときに室内側に位置する天板と、該天板の裏面側に一体成形された当該車両の前後方向となる方向に延出する実質的に平行な複数本の縦長状突条とを備える発泡樹脂成形品である下肢部衝撃吸収パッドであって、
    前記下肢部衝撃吸収パッドにおける前記天板の裏面側の一部には前記縦長状突条が形成されていない領域が存在することを特徴とする下肢部衝撃吸収パッド。
  2. 前記縦長状突条が形成されていない領域は、車両に設置したときに乗員の足のつま先側が位置する領域であることを特徴とする請求項1に記載の下肢部衝撃吸収パッド。
  3. 前記縦長状突条が形成されていない領域には、前記縦長状突条と交差する方向の第2の突条が一部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の下肢部衝撃吸収パッド。
  4. 前記縦長状突条が形成されていない領域には、前記縦長状突条と同方向の第3の突条が一部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の下肢部衝撃吸収パッド。
  5. 前記第2の突条または第3の突条が形成される領域は、車両に設置したときに乗員の足の指の付け根部分が位置することとなる領域およびその近傍であることを特徴とする請求項3または4に記載の下肢部衝撃吸収パッド。
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