JP2008075665A - 自動変速機 - Google Patents

自動変速機 Download PDF

Info

Publication number
JP2008075665A
JP2008075665A JP2006252014A JP2006252014A JP2008075665A JP 2008075665 A JP2008075665 A JP 2008075665A JP 2006252014 A JP2006252014 A JP 2006252014A JP 2006252014 A JP2006252014 A JP 2006252014A JP 2008075665 A JP2008075665 A JP 2008075665A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
speed
gear
sun gear
sleeve
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006252014A
Other languages
English (en)
Inventor
Susumu Nakasako
享 中佐古
Rikiya Kunii
力也 國井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2006252014A priority Critical patent/JP2008075665A/ja
Publication of JP2008075665A publication Critical patent/JP2008075665A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Structure Of Transmissions (AREA)

Abstract

【課題】変速機の駆動力の伝達効率を向上させる。
【解決手段】自動変速機TM1が、遊星歯車列30,40を有して構成され、入力軸1の回転を変速して出力側に駆動力を伝達可能であって、ピニオン32および第2サンギヤ46を係脱自在に連結するクラッチK1およびピニオン32および第1サンギヤ41を係脱自在に連結しクラッチK1に隣接するクラッチK2を有し、クラッチK1およびクラッチK2が同時に係合される変速段が存在せず、クラッチK1およびクラッチK2が同時に切り離し状態となる変速段が存在し、変速時において、クラッチK1およびクラッチK2のうち一方が係合されつつ他方が切り離される状態がないように構成され、クラッチK1によるピニオン32および第2サンギヤ46の連結及びその解除もしくはクラッチK2によるピニオン32および第1サンギヤ41の連結及びその解除を行わせる同期噛合連結機構50を有して構成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、遊星歯車列を有して構成され、入力軸の回転を変速して出力部材に駆動力を伝達する自動変速機に関する。
車両に用いられる自動変速機は、燃費向上や加速性能の向上等への要求からその変速段の数が増加する傾向にある。このような自動変速機は、複数の遊星歯車列からなる回転要素を設けることで変速段の数を増加させている(例えば、特許文献1参照)。そして、遊星歯車列の各ギヤ要素間の係合、解放、固定保持をクラッチ機構またはブレーキ機構といった係合要素を用いて行うことにより、各変速段への変速を行っている。
特開平8−312734号公報
ところで、従来の自動変速機の場合、変速段の数が増加するとそれに合わせて係合要素も増加するのにもかかわらず、全ての係合要素が係合した状態で変速段が設定されることはないため、或る変速段において必ず非係合状態の係合要素が存在する。このような非係合状態の係合要素においては、従来の湿式クラッチ機構では係合要素を作動させる作動油の粘性が原因で(作動油が摩擦抵抗となって)、いわゆる引き摺りトルクが発生する。このような引き摺りトルクの発生は、フリクションロスとなって駆動力の伝達効率の低下に繋がる。特に、非係合状態の係合要素の数は自動変速機を多段化するにつれて増加し、引き摺りトルクが発生する係合要素が一層増加するため、なるべく非係合状態の係合要素の数を抑えたい、という課題があった。
このような課題に鑑み、本発明は、自動変速機の変速段数が増加しても、フリクションロスを抑えて駆動力の伝達効率を向上させることが可能な自動変速機を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係る自動変速機は、遊星歯車列を有して構成され、入力回転を受けて回転される入力軸の回転を変速して出力部材(例えば、実施形態における出力軸4)に駆動力を伝達する遊星歯車式の自動変速機であって、遊星歯車列を構成する複数の回転要素(例えば、実施形態におけるピニオン32、第2サンギヤ46等)を係脱自在に連結しもしくは回転要素(例えば、実施形態における第2サンギヤ46等)を固定保持可能な互いに隣接する複数の係合要素(例えば、実施形態におけるクラッチK1およびK2)を有し、隣接する係合要素が同時に係合される変速段が存在せず、且つ、隣接する係合要素が同時に切り離し状態となる変速段が存在し、且つ、変速時において、隣接する係合要素のうち一方が係合されつつ他方が切り離される状態がないように構成され、隣接する係合要素のいずれか一方による複数の回転要素の連結及びその解除もしくは隣接する係合要素のいずれか一方による回転要素の固定保持及びその解除を行わせる機械式連結機構(例えば、実施形態における同期噛合連結機構50)を有して構成される。
また、上記構成の自動変速機において、機械式連結機構が、複数の回転要素の回転を同期させて連結させる同期噛合連結機構で構成され、同期噛合連結機構が、中立位置から隣接する係合要素のうちいずれか一方の側に移動可能なシンクロスリーブを有し、シンクロスリーブが中立位置に設定されることにより、複数の回転要素の連結の解除もしくは回転要素の固定保持の解除が行われるのが好ましい。
本発明に関する自動変速機によれば、変速段数が増加しクラッチ機構やブレーキ機構といった係合要素の数が増加しても、互いに隣接する複数の係合要素のいずれか一方による複数の回転要素の連結及びその解除もしくは隣接する複数の係合要素のいずれか一方による回転要素の固定保持及びその解除を、作動油を用いない機械式連結機構により行わせるように構成されている。このため、係合要素を作動させる作動油の粘性原因で非係合状態の係合要素において従来発生していた、いわゆる引き摺りトルクによるフリクションロスを抑えることができる。これにより、自動変速機における駆動力の伝達効率を向上させることが可能である。
また、機械式連結機構として、手動変速機で一般に用いられる同期噛合連結機構(シンクロメッシュ式連結機構)を用いてクラッチやブレーキといった係合要素の断接作動を行わせることで、従来の湿式クラッチ機構とは異なり係合要素が非係合状態となる変速段であっても(同期噛合連結機構を構成するシンクロスリーブが中立位置に位置していても)作動油の粘性による引き摺りトルクが発生することはない。すなわち、機械式連結機構として同期噛合連結機構を用いれば、作動油の粘性による影響を受けないため非係合状態の係合要素の差回転がゼロになり、係合要素におけるフリクションロスをなくすことが可能である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1に、本発明に係る自動変速機TMを備えた動力伝達装置10を示している。この動力伝達装置10は、例えばFR型の車両に搭載される。動力伝達装置10は、車両前方に配設されたエンジン5と、エンジン5の出力軸5aにトルクコンバータ6を介して入力軸1が接続される自動変速機TMと、自動変速機TMの出力軸4が接続されるデフ機構7とから構成され、エンジン5の駆動力により所定方向に所定回転数Neで回転する入力軸1の回転駆動力が、自動変速機TMにより変速され、デフ機構7により左右のドライブシャフト8,8に分割されて左右の駆動輪(後輪)9,9に伝達される。FR型の車両においてはしばしば、図1に示すように、変速機TMの入力軸接続部と出力軸接続部とを車両の前後方向に延びる同軸上に位置させたレイアウトで動力伝達装置10が構成される。自動変速機TMは、複数のケース部材を組み付けて成形されるケーシング20の内部空間に収容されている。
自動変速機TMには、変速制御を行うように構成された図示しない変速制御装置が備えられている。変速制御装置は、車両状態に応じて自動変速機TM内に設けられた複数のクラッチ、ブレーキ、同期噛合連結機構からなる各係合要素の作動制御を行うように構成されており、これら係合要素の作動状態(係脱状態)に応じて自動変速機TMに複数の変速段が設定される。自動変速機TMは、変速制御装置により設定された変速段に応じて入力軸1の回転を変速して出力軸4を回転させる。
ここで、図2乃至図4を参照して第1構成例の自動変速機TM1について説明する。図2に示すように、第1構成例の自動変速機TM1は、遊星歯車列30、遊星歯車列40、同期噛合連結機構(シンクロメッシュ式連結機構ともいう。以下の同期噛合連結機構も同じ)50、同期噛合連結機構60、クラッチC1およびブレーキB1等といった係合要素とから構成されている。なお、以下に説明するクラッチK1〜K3およびブレーキB2は噛合式断接クラッチで、クラッチC1〜C3は湿式多板クラッチで、また、ブレーキB1は湿式多板ブレーキである。
入力軸1は、ケーシング20内部を延びて設けられており、図示しないベアリングにより回転自在に支持されている。
遊星歯車列40は、いわゆるラビニオ式遊星ギヤであり、入力軸1と同一軸上に並設された第1サンギヤ41および第2サンギヤ46からなる2つのサンギヤ、ショートピニオン42およびロングピニオン43からなるピニオンギヤ、リングギヤ45およびキャリア44を有して構成される。
第1サンギヤ41にショートピニオン42が噛合し、このショートピニオン42はその外周側に配設されているロングピニオン43に噛合している。ショートピニオン42は第1サンギヤ41の周りを自転しながら公転し、ロングピニオン43は第1サンギヤ41および第2サンギヤ46周りを自転しながら公転する。これらショートピニオン42およびロングピニオン43は、自転可能なキャリア44によって保持されている。このキャリア44は、入力軸1と同一軸上を回転可能なクラッチC2に係脱自在に設けられている。クラッチC2は、後述する同期噛合連結機構60によりブレーキB2およびクラッチK3と係脱自在に構成されている。第1サンギヤ41と同心円上にリングギヤ45が配置されており、このリングギヤ45は内歯を有してロングピニオン43に噛合している。また、第1サンギヤ41と同一軸線上に配置した第2サンギヤ46がロングピニオン46に噛合している。リングギヤ45は出力要素であり、出力用のカウンタドライブギヤ47と一体に構成されている。
クラッチK1およびクラッチK2は隣接して配設され、クラッチK1は第2サンギヤ46と一体に設けられて第2サンギヤ46と一体回転可能であり、クラッチK2は第1サンギヤ41と一体に設けられて第1サンギヤ41と一体回転可能である。
遊星歯車列30は、入力軸1と同軸上にケーシング20に対して固定配置されたサンギヤ31と、サンギヤ31と噛合してサンギヤ31の周りを自転しながら公転するピニオン32と、入力軸1と一体に設けられピニオン32と噛合する内歯を有してサンギヤ31の回転軸と同軸上に位置する回転軸を中心に回転可能なリングギヤ33とから構成されている。ピニオン32は、自転可能なキャリア24によって保持されている。
リングギヤ34は、リングギヤ34と一体に設けられて入力軸1と同軸上を回転可能なクラッチC1により第1サンギヤ41および第2サンギヤ46に対して係脱自在に構成されている。クラッチC1の断接作動は同期噛合連結機構50により行われる。同期噛合連結機構50は、手動変速機で一般に用いられる同期噛合連結機構と同様な構成からなり、クラッチK1およびクラッチK2に設けられたドグ歯に係脱自在なドグ歯クラッチを有しシフトフォークP1に一体に設けられたシンクロスリーブS1と、入力軸1と同軸上を回転可能なシンクロナイザーリングR1とを有して構成されている。
シフトフォークP1は、図示しない変速制御装置により作動されるサーボモータ90の駆動力を受けて図2において左右移動可能である。シンクロスリーブS1は、シフトフォークP1が左右に移動すると伝達力を受けて図2において左右移動可能であり、シンクロスリーブS1がその中立位置から図2において右方に移動すると、シンクロスリーブS1によってシンクロナイザーリングR1がクラッチC1およびクラッチK1に押し付けられ、クラッチC1およびクラッチK1の回転が同期する。すなわち、キャリア34および第2サンギヤ46の回転が同期して、キャリア34から第2サンギヤ46の側に回転駆動力が伝達される。
一方、シンクロスリーブS1がその中立位置から図2において左方に移動すると、シンクロスリーブS1によってシンクロナイザーリングR1がクラッチC1およびクラッチK2の側に押し付けられ、クラッチC1およびクラッチK2の回転が同期する。すなわち、キャリア34および第1サンギヤ41の回転が同期して、キャリア34から第1サンギヤ41の側に回転駆動力が伝達される。シンクロスリーブS1がその中立位置にある状態では、シンクロナイザーリングR1はクラッチK1およびクラッチK2のいずれの側にも押し付けられておらず、キャリア34から第1サンギヤ41および第2サンギヤ46のいずれの側に回転駆動力が伝達されることはない。
なお、第2サンギヤ46の回転軸とクラッチK1との間には、シフトフォークP1が貫通する貫通穴H1が形成され、当該貫通穴H1に対して摺動可能に設けられたシフトフォークP1は、第2サンギヤ46と一体回転可能に構成されている。
第1サンギヤ41は入力軸1およびリングギヤ33と一体回転可能なクラッチC3に係脱自在に構成され、クラッチC3が係合されると入力軸1およびリングギヤ33の回転駆動力が第1サンギヤ41の側に伝達される。また、第2サンギヤ46はブレーキB1により固定保持可能である。さらに、クラッチK3およびブレーキB2は隣接して配設されている。クラッチK3は入力軸1と一体に設けられて入力軸1と一体回転可能であり、ブレーキB2はケーシング20に固定されている。
入力軸1からキャリア44の側への駆動力の断接作動は、同期噛合連結機構60により行われる。同期噛合連結機構60は、上記の同期噛合連結機構50と同様に手動変速機で一般に用いられる同期噛合連結機構と同様な構成からなり、クラッチK3およびブレーキB2に設けられたドグ歯に係脱自在なドグ歯クラッチを有しシフトフォークP2に一体に設けられたシンクロスリーブS2と、クラッチC2と一体形成され入力軸1と同軸上を回転可能なシンクロナイザーリングR2を有して構成されている。
シフトフォークP2は、図示しない変速制御装置の制御により作動されるサーボモータ90の駆動力を受けて図2において左右移動可能である。シンクロスリーブS2は、シフトフォークP2が左右に移動すると伝達力を受けて図2において左右移動可能であり、シンクロスリーブS2がその中立位置から図2において右方に移動すると、シンクロスリーブS2によってシンクロナイザーリングR2がクラッチK3に押し付けられ、クラッチC2およびクラッチK3の回転が同期する。このときキャリア8がクラッチC2と係合していると、入力軸1からキャリア44の側に回転駆動力が伝達される。
シンクロスリーブS2がその中立位置から図2において左方に移動すると、シンクロスリーブS2によってシンクロナイザーリングR2がブレーキB2に押し付けられ、クラッチC2が固定保持される。このときキャリア44がクラッチC2と係合していると、キャリア44が固定保持される。
以上のように構成される自動変速機TM1は、変速制御装置が図3に示すように係合要素C1〜C3,B1を選択的に係合させ、シンクロスリーブS1,S2を選択的に移動させる制御を行うことにより、前進7速(1st〜7th)および後進1速(RVS)の変速段を設定できる。なお、図3の●印は、係合要素が係合状態にあることを示し、シンクロスリーブS1,S2の欄は、シンクロスリーブS1,S2が中立位置(N)からいずれの側に移動しているかを示す。前進段において隣り合う変速段間の変速は、2つの係合要素のうち1つを係合させたままとし、残りの1つを解放して別の1つの係合要素を係合させて行うように構成されている。このため、変速をスムーズに行うことができる。
図4に遊星歯車列30および遊星歯車列40の速度線図を示す。ここで、図4の上段側の速度線図は遊星歯車列30の速度線図で、図4の下段側の速度線図は遊星歯車列40の速度線図である。
遊星歯車列30の速度線図の3本の縦軸は、それぞれ左側から遊星歯車列30を構成する回転要素であるサンギヤ31、キャリア34、リングギヤ33の回転数Nを示すとともに、縦線の長さが回転要素の回転数Nに対応する。また、サンギヤ31およびキャリア34間の間隔と、キャリア34およびリングギヤ33間の間隔との比がρ:1(ρは、リングギヤ33の歯数をサンギヤ31の歯数で除して求められる所定ギヤ比)になっている。
上述のように、リングギヤ33は入力軸1と一体形成されて入力軸1と一体回転し(回転数Ne)、サンギヤ31はケーシング20に固定保持されているため、キャリア34は、リングギヤ33の回転数を示す縦線における入力軸1の回転数Neの点とサンギヤ31の回転数を示す縦線における回転数Nがゼロレベルの点とを結ぶラインL30と、キャリア34の回転数を示す縦軸との交点である回転数で正方向に回転する。すなわち、入力軸1の回転数Neは、遊星歯車列30により回転数NREDの分だけ減速されて、同期噛合連結機構50の側に駆動力として入力される。
遊星歯車列40の速度線図の4本の縦軸は、それぞれ左側から遊星歯車列40を構成する回転要素である第2サンギヤ46、キャリア44、リングギヤ45、第1サンギヤ41の回転数Nを示すとともに、縦線の長さが回転数Nに対応する。また、第2サンギヤ46およびキャリア44の間隔と、キャリア44およびリングギヤ45の間隔との比が1:ρとなっている。ここで、ρは、第2サンギヤ46の歯数をリングギヤ43の歯数で除して求められるギヤ比である。第2サンギヤ46およびキャリア44の間隔と、キャリア44および第1サンギヤ41の間隔との比が1:(1/ρ)となっている。ここで、ρは、第1サンギヤ41の歯数を第2サンギヤ46の歯数で除して求められるギヤ比である。図の縦軸上の●印は各変速段における各回転要素の回転数を表す。シンクロスリーブS1,S2は、係合要素に対してスイッチ作動するような表現がされている。また、回転数Nは入力軸1の回転方向を正としており、出力要素であるリングギヤ45が正方向に回転するとき、車両は前進する。以下、図4を参照して各変速段について説明する。
まず、ニュートラルNでは、クラッチC1、クラッチC2、クラッチC3およびブレーキB1はいずれも解放されている。このとき、シンクロスリーブS1は中立位置(N)に位置しているが、1速(Low)の側にシフトチェンジされるとクラッチK2の側に移動し、後進(RVS)のシフトチェンジされるとクラッチK1の側に移動する。シンクロスリーブS2はブレーキB2の側に移動している。
1速(Low)は、クラッチC1およびクラッチC2が各々係合され、また、シンクロスリーブS1がクラッチK2の側に位置し、シンクロスリーブS2がブレーキB2の側に位置する。このとき、シンクロスリーブS1のクラッチK2側への移動により第1サンギヤ41が入力軸1の回転数Neに対して回転数Nred分だけ減速された回転数で入力軸1と同じ方向(正方向)にキャリア34と一体回転する。キャリア44は、シンクロスリーブS2のブレーキB2の側への移動により固定保持されて回転しない。したがって、リングギヤ45は、直線L1とリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点である回転数で正方向に回転する。
2速(2nd)は、1速の状態からクラッチC2が解放され、ブレーキB1が係合される。シンクロスリーブS1はクラッチK2の側に移動したままの状態で、シンクロスリーブS2は、ブレーキB2と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、2速(2nd)から3速(3rd)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動し、2速(2nd)から1速(Low)にシフトチェンジされるとブレーキB2の側に向かって移動する。このとき、第1サンギヤS1は、1速と同じ回転数で正方向に回転する。第2サンギヤ46は、ブレーキB1の係合により固定保持されているため回転しない。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。
3速(3rd)は、2速の状態からクラッチC1が解放され、クラッチC3が係合されて設定される。シンクロスリーブS1は中立位置に位置しているが、3速(3rd)から4速(4th)の側にシフトチェンジが開始されるとクラッチK1の側に移動を始め、3速(3rd)から2速(2nd)の側にシフトチェンジが開始されるとクラッチK2の側に移動を始める。シンクロスリーブS2は中立位置にある。このとき、第1サンギヤ41はクラッチC3の係合により入力軸1と同じ回転数Neで正方向に回転する。第2サンギヤ46は、ブレーキB1の係合により固定保持されているため回転しない。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。
4速(4th)は、3速の状態からブレーキB1が解放され、クラッチC1が係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK1の側に位置し、シンクロスリーブS2は、クラッチK3と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、4速(4th)から5速(5th)にシフトチェンジされるとクラッチK3の側に向かって移動し、4速(4th)から3速(3rd)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動する。このとき、第1サンギヤ41はクラッチC3の係合により入力軸1と同じ回転数Neで正方向に回転する。第2サンギヤ46は、シンクロスリーブS1のクラッチK1側への移動により入力軸1の回転数Neに対して回転数Nred分だけ減速された回転数で入力軸1と同じ方向(正方向)にキャリア34と一体回転する。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。
5速(5th)は、4速の状態からクラッチC1が解放され、クラッチC2が係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK1の側に移動したままの状態で、シンクロスリーブS2はクラッチK3の側に位置する。このとき、第1サンギヤ41はクラッチC3の係合により入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転し、キャリア44はクラッチC2の係合およびシンクロスリーブS2のクラッチK3の側への移動により、入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転する。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点である入力軸1と同じ回転数Neで正方向に回転する。
6速(6th)は、5速の状態からクラッチC3が解放され、クラッチC1が係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK1の側に移動したままの状態で、シンクロスリーブS2はクラッチK3の側に移動したままの状態である。このとき、第2サンギヤ46は、クラッチC1の係合およびシンクロスリーブS1のクラッチK1側への移動により、入力軸1の回転数Neに対して回転数Nred分だけ減速された回転数で入力軸1と同じ方向(正方向)にキャリア34と一体回転する。キャリア44は、クラッチC2の係合およびシンクロスリーブS2のクラッチK3側への移動により、入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転する。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点である回転数で正方向に回転する。
7速(7th)は、6速の状態からクラッチC1が解放され、ブレーキB1が係合されて設定される。シンクロスリーブS1は、クラッチK1の側もしくは中立位置に位置している。シンクロスリーブS2はクラッチK3の側に移動したままの状態である。このとき、第2サンギヤ46は、ブレーキB1の係合により固定保持されているため回転しない。キャリア44は、クラッチC2の係合およびシンクロスリーブS2のクラッチK3側への移動により、入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転する。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点である回転数で正方向に回転する。
後進(RVS)は、クラッチC1およびクラッチC2が各々係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK1の側に位置し、シンクロスリーブS2はブレーキB2の側に位置する。このとき、第2サンギヤ46は、クラッチC1の係合およびシンクロスリーブS1のクラッチK1側への移動により、入力軸1の回転数Neに対して回転数Nred分だけ減速された回転数で入力軸1と同じ方向(正方向)にキャリア34と一体回転する。キャリア44は、シンクロスリーブS2のブレーキB2の側への移動により固定保持されて回転しない。したがって、リングギヤ45は、直線LRVSとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点である回転数で入力軸1とは逆方向に回転する。
次に、図5乃至図7を参照して第2構成例の自動変速機TM2を説明する。ここでは、上記実施例1とは異なる構成を中心として説明する。図5に示すように、第2構成例の自動変速機TM2は、第1構成例の自動変速機TM1と同様に遊星歯車列30、遊星歯車列40、同期噛合連結機構50、同期噛合連結機構60、クラッチC1およびブレーキB1等からなる係合要素を有するほか、同期噛合連結機構70および同期噛合連結機構80を有している。なお、以下に説明するクラッチK1〜K6は噛合式断接クラッチで、クラッチC1〜C3は湿式多板クラッチで、また、ブレーキB1は湿式多板ブレーキである。
クラッチK5が入力軸1およびリングギヤ33と一体回転可能になっている。また、入力軸1と同軸上を回転可能なクラッチC3が第1サンギヤ41に係合可能に構成されており、クラッチC3が第1サンギヤ41と係合すると第1サンギヤ41と一体回転可能である。本実施例では、クラッチC3に一体に設けられたシンクロナイザーリングR3を有する同期噛合連結機構70により、入力軸1側から第1サンギヤ41側への駆動力の断接作動が行われる。
この同期噛合連結機構70は、手動変速機で一般に用いられる同期噛合連結機構と同様な構成からなり、クラッチK5に設けられたドグ歯に係脱自在なドグ歯クラッチを有しシフトフォークP3に一体に設けられたシンクロスリーブS3と、クラッチC3と一体形成されたシンクロナイザーリングR3を有して構成されている。シフトフォークP3は、図示しない変速制御装置により作動されるサーボモータ90の駆動力を受けて図5において左右移動可能である。シンクロスリーブS3は、シフトフォークP3が左右に移動すると伝達力を受けて図5において左右移動可能であり、シンクロスリーブS3がその中立位置から図5において左方に移動すると、シンクロスリーブS3によってシンクロナイザーリングR3がクラッチK5に押し付けられ、クラッチC3およびクラッチK5の回転が同期する。このとき第1サンギヤ41がクラッチC3と係合していると、入力軸1の側から第1サンギヤ41の側に回転駆動力が伝達される。シンクロスリーブS3がその中立位置にある状態では、シンクロナイザーリングR3はクラッチK5の側に押し付けられておらず、入力軸1の側から第1サンギヤ41の側に回転駆動力が伝達されることはない。
なお、キャリア34には、シフトフォークP3が貫通する貫通穴H2が形成され、当該貫通穴H2に対して摺動可能に設けられたシフトフォークP3は、キャリア34と一体回転可能に構成されている。
また、本実施例では、第2サンギヤ46を固定保持可能なブレーキB1と一体に設けられたシンクロナイザーリングR4を有する同期噛合連結機構80により、第2サンギヤ46の固定保持が行われる。クラッチK6およびブレーキB1は隣接して配設され、クラッチK6はケーシング20に固定保持されている。シンクロナイザーリングR4は、ブレーキB1が係合されると第2サンギヤ46とともに一体回転可能である。
この同期噛合連結機構80は、手動変速機で一般に用いられる同期噛合連結機構と同様な構成からなり、クラッチK6に設けられたドグ歯に係脱自在なドグ歯クラッチを有しシフトフォークP4に一体に設けられたシンクロスリーブS4と、ブレーキB1と一体形成されたシンクロナイザーリングR4とを有して構成されている。
シフトフォークP4は、図示しない変速制御装置の制御により作動されるサーボモータ90の駆動力を受けて図5において左右移動可能である。シンクロスリーブS4は、シフトフォークP4が左右に移動すると伝達力を受けて図5において左右移動可能であり、シンクロスリーブS4がその中立位置から図5において左方に移動すると、シンクロスリーブS4によってシンクロナイザーリングR4がクラッチK6に押し付けられ、ブレーキB1が固定保持される。このとき第2サンギヤ46がブレーキB1と係合していると、第2サンギヤ46が固定保持される。シンクロスリーブS4がその中立位置にある状態では、シンクロナイザーリングR4はクラッチK6の側に押し付けられておらず、第2サンギヤ46が固定保持されることはない。
以上のように構成される自動変速機TM2は、変速制御装置が図6に示すように係合要素C1〜C3,B1を選択的に係合させ、シンクロスリーブS1〜S4を選択的に移動させる制御を行うことにより、前進7速(1st〜7th)および後進1速(RVS)の変速段を設定できる。なお、図6の●印は、係合要素が係合状態にあることを示し、シンクロスリーブS1〜S4の欄は、シンクロスリーブS1〜S4が中立位置からいずれの側に移動しているかを示す。前進段において隣り合う変速段間の変速は、2つの係合要素のうち1つを係合させたままとし、残りの1つを解放して別の1つの係合要素を係合させて行うように構成されている。このため、変速をスムーズに行うことができる。
図7に遊星歯車列30および遊星歯車列40の速度線図を示す。この速度線図は、実施例1における速度線図(図4参照)と同様であるが、シンクロスリーブS3を有する同期噛合連結機構70に相当する部分およびシンクロスリーブS4を有する同期噛合連結機構80に相当する部分が追加されている。以下、図7を参照して各変速段について説明する。
ニュートラルNでは、クラッチC1、クラッチC2、クラッチC3およびブレーキB1はいずれも解放されている。このとき、シンクロスリーブS1は中立位置(N)に位置しているが、1速(Low)の側にシフトチェンジされるとクラッチK2の側に移動し、後進(RVS)のシフトチェンジされるとクラッチK1の側に移動する。シンクロスリーブS2はクラッチK4の側に位置している。シンクロスリーブS3およびシンクロスリーブS4は、いずれも中立位置に位置している。
1速(Low)は、クラッチC1およびクラッチC2が各々係合され、シンクロスリーブS1がクラッチK2の側に位置し、シンクロスリーブS2がクラッチK4の側に位置し、シンクロスリーブS3が中立位置に位置する。シンクロスリーブS4は、クラッチK6と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、1速(Low)から2速(2nd)にシフトチェンジされるとクラッチK6の側に向かって移動し、1速(Low)からニュートラル(N)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動する。このとき、シンクロスリーブS1のクラッチK2側への移動により第1サンギヤ41が入力軸1の回転数Neに対して回転数Nred分だけ減速された回転数で入力軸1と同じ方向(正方向)にキャリア34と一体回転する。キャリア44は、シンクロスリーブS2のクラッチK4の側への移動により固定保持されて回転しない。したがって、リングギヤ45は、直線L1とリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点である回転数で正方向に回転する。
2速(2nd)は、1速の状態からクラッチC2が解放され、ブレーキB1が係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK2の側に移動したままの状態である。シンクロスリーブS2は、クラッチK4と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、2速(2nd)から3速(3rd)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動し、2速(2nd)から1速(Low)にシフトチェンジされるとクラッチK4の側に向かって移動する。シンクロスリーブS3は、クラッチK5と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、2速(2nd)から3速(3rd)にシフトチェンジされるとクラッチK5の側に向かって移動し、2速(2nd)から1速(Low)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動する。シンクロスリーブS4は、クラッチK6の側に位置している。このとき、第1サンギヤS1は、1速と同じ回転数で正方向に回転する。第2サンギヤ46は、ブレーキB1の係合およびシンクロスリーブS4のクラッチK6側への移動により固定保持されているため回転しない。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。
3速(3rd)は、2速の状態からクラッチC1が解放され、クラッチC3が係合されて設定される。シンクロスリーブS1は中立位置に位置しているが、3速(3rd)から4速(4th)の側にシフトチェンジが開始されるとクラッチK1の側に移動を始め、3速(3rd)から2速(2nd)の側にシフトチェンジが開始されるとクラッチK2の側に移動を始める。シンクロスリーブS2は中立位置にある。シンクロスリーブS3はクラッチK5の側に位置し、シンクロスリーブS4はクラッチK6の側に移動したままの状態である。このとき、第1サンギヤ41はクラッチC3の係合およびシンクロスリーブS3のクラッチK5側への移動により入力軸1と同じ回転数Neで正方向に回転する。第2サンギヤ46は、ブレーキB1の係合およびシンクロスリーブS4のクラッチK6側への移動により固定保持されているため回転しない。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。
4速(4th)は、3速の状態からブレーキB1が解放され、クラッチC1が係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK1の側に位置する。シンクロスリーブS2は、クラッチK3と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、4速(4th)から5速(5th)にシフトチェンジされるとクラッチK3の側に向かって移動し、4速(4th)から3速(3rd)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動する。シンクロスリーブS3はクラッチK5の側に移動したままの状態である。シンクロスリーブS4はクラッチK6と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、4速(4th)から5速(5th)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動し、4速(4th)から3速(3rd)にシフトチェンジされるとクラッチK6の側に向かって移動する。このとき、第1サンギヤ41はクラッチC3の係合およびシンクロスリーブS3のクラッチK5側への移動により入力軸1と同じ回転数Neで正方向に回転する。第2サンギヤ46は、クラッチC1の係合およびシンクロスリーブS1のクラッチK1側への移動により、入力軸1の回転数Neに対して回転数Nred分だけ減速された回転数で入力軸1と同じ方向(正方向)にキャリア34と一体回転する。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。
5速(5th)は、4速の状態からクラッチC1が解放され、クラッチC2が係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK1の側に移動したままの状態で、シンクロスリーブS2はクラッチK3の側に位置する。シンクロスリーブS3はクラッチK5の側に移動したままの状態で、シンクロスリーブS4は中立位置に位置する。このとき、第1サンギヤ41はクラッチC3の係合およびシンクロスリーブS3のクラッチK5側への移動により入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転し、キャリア44はクラッチC2の係合およびシンクロスリーブS2のクラッチK3の側への移動により、入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転する。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点である入力軸1と同じ回転数Neで正方向に回転する。
6速(6th)は、5速の状態からクラッチC3が解放され、クラッチC1が係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK1の側に移動したままの状態で、シンクロスリーブS2はクラッチK3の側に移動したままの状態である。また、シンクロスリーブS3は、クラッチK5と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、6速(6th)から7速(7th)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動し、6速(6th)から5速(5th)にシフトチェンジされるとクラッチK5の側に向かって移動する。シンクロスリーブS4は、クラッチK6と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、6速(6th)から7速(7th)にシフトチェンジされるとクラッチK6の側に向かって移動し、6速(6th)から5速(5th)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動する。このとき、第2サンギヤ46は、クラッチC1の係合およびシンクロスリーブS1のクラッチK1側への移動により、入力軸1の回転数Neに対して回転数Nred分だけ減速された回転数で入力軸1と同じ方向(正方向)にキャリア34と一体回転する。キャリア44は、クラッチC2の係合およびシンクロスリーブS2のクラッチK3側への移動により、入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転する。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点である回転数で正方向に回転する。
7速(7th)は、6速の状態からクラッチC1が解放され、ブレーキB1が係合されて設定される。シンクロスリーブS1は、クラッチK1の側もしくは中立位置に位置している。シンクロスリーブS2はクラッチK3の側に移動したままの状態である。シンクロスリーブS3は中立位置に位置し、シンクロスリーブS4はクラッチK6の側に位置する。このとき、第2サンギヤ46は、ブレーキB1の係合およびシンクロスリーブS4のクラッチK6の側への移動により固定保持されているため回転しない。キャリア44は、クラッチC2の係合およびシンクロスリーブS2のクラッチK3側への移動により、入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転する。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点である回転数で正方向に回転する。
後進(RVS)は、クラッチC1およびクラッチC2が各々係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK1の側に位置し、シンクロスリーブS2はクラッチK4の側に位置する。シンクロスリーブS3およびシンクロスリーブS4は、いずれも中立位置に位置する。このとき、第2サンギヤ46は、クラッチC1の係合およびシンクロスリーブS1のクラッチK1側への移動により、入力軸1の回転数Neに対して回転数Nred分だけ減速された回転数で入力軸1と同じ方向(正方向)にキャリア34と一体回転する。キャリア44は、シンクロスリーブS2のクラッチK4の側への移動により固定保持されて回転しない。したがって、リングギヤ45は、直線LRVSとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点である回転数で入力軸1とは逆方向に回転する。
本実施例では、クラッチC1およびクラッチC2における切り換えだけでなく、クラッチC3およびブレーキB1における切り換えも同期噛合連結機構を用いて行い、クラッチ機構やブレーキ機構を非係合状態とするために作動油を用いずに各シンクロスリーブを中立位置に位置するように切り換えることで、係合要素におけるフリクションをなくすことが可能である。
次に、図8乃至図10を参照して第3構成例の自動変速機TM3を説明する。図8に示すように、第3構成例の自動変速機TM3は、遊星歯車列330、遊星歯車列340、同期噛合連結機構350、同期噛合連結機構360、同期噛合連結機構370、同期噛合連結機構380、クラッチC1〜C3およびブレーキB1といった係合要素を有している。なお、以下に説明するクラッチK1〜K4は噛合式断接クラッチで、クラッチC1〜C3は湿式多板クラッチで、また、ブレーキB1は湿式多板ブレーキである。
遊星歯車列330は、いわゆるダブルピニオンタイプの遊星歯車列で、入力軸1と一体に設けられ入力軸1と同一軸を一体回転するサンギヤ331と、サンギヤ331に噛合するピニオン332、このピニオン332の外側に配設されてピニオン332と噛合するピニオン333、ピニオン333と噛合する内歯を有してサンギヤ331の回転軸と同軸上に位置する回転軸を中心に回転可能なリングギヤ334と、ピニオン332およびピニオン333を固定保持するキャリア335とから構成されている。
遊星歯車列340は、入力軸1と同一軸上に並設された第1サンギヤ341および第2サンギヤ344からなる2つのサンギヤ、ピニオン342,345,346からなる3つのピニオンギヤ、リングギヤ343,347からなる2つのリングギヤおよびキャリア348から構成されている。
ピニオン342は第1サンギヤ341に噛合し第1サンギヤの周囲を自転しながら公転する。リングギヤ343は内歯を有してピニオン342に噛合し、入力軸1と同一軸上を回転可能である。ピニオン345は第2サンギヤ344と噛合して第2サンギヤ344の周囲を自転しながら公転可能である。ピニオン346はピニオン345の外側に設けられてピニオン345と噛合し第2サンギヤ344の周囲を自転しながら公転可能である。リングギヤ347は内歯を有してピニオン346に噛合し、入力軸1と同一軸上を回転可能である。リングギヤ343およびリングギヤ347は、一体回転可能に設けられて後述するクラッチC1に係脱可能に構成されている。ピニオン342、ピニオン345およびピニオン346は入力軸1と同一軸上を回転可能なキャリア348によって保持されている。キャリア348は出力要素であり、出力用のカウンタドライブギヤ349と一体に構成されている。また、クラッチK2は第2サンギヤ344と一体に設けられて第2サンギヤ344と一体回転可能である。クラッチK3は、第1サンギヤ341と一体に設けられて入力軸1上を回転可能なクラッチC3と係合可能である。
リングギヤ334は、入力軸1と同軸上を回転可能なクラッチC2により第2サンギヤ344対して係脱自在に構成されている。クラッチC2の断接作動は同期噛合連結機構350により行われる。同期噛合連結機構350は、手動変速機で一般に用いられる同期噛合連結機構と同様な構成からなり、クラッチK2に設けられたドグ歯に係脱自在なドグ歯クラッチを有しシフトフォークP2に一体に設けられたシンクロスリーブS2と、クラッチK2に隣接するクラッチC2と一体に設けられたシンクロナイザーリングR2とを有して構成されている。
シフトフォークP2は、図示しない変速制御装置の制御により作動されるサーボモータ90の駆動力を受けて図8において左右移動可能である。シンクロスリーブS2は、シフトフォークP2が左右に移動すると伝達力を受けて図8において左右移動可能であり、シフトフォークP2の移動によりシンクロスリーブS2がその中立位置から図8において右方に移動すると、シンクロスリーブS2によってシンクロナイザーリングR2がクラッチK2に押し付けられ、クラッチC2および第2サンギヤ344の回転が同期する。このときリングギヤ334がクラッチC2と係合していると、リングギヤ334から第2サンギヤ344の側に回転駆動力が伝達される。シンクロスリーブS2がその中立位置にある状態では、シンクロナイザーリングR2はクラッチK2の側に押し付けられておらず、キャリア334から第2サンギヤ344側に回転駆動力が伝達されることはない。
ブレーキB1は第2サンギヤ344と係合可能であり、クラッチK4がケーシング20に固定されている。第2サンギヤ344は、ブレーキB1と一体に設けられたシンクロナイザーリングR4を有する同期噛合連結機構380により固定保持が行われる。
同期噛合連結機構380は、手動変速機で一般に用いられる同期噛合連結機構と同様な構成からなり、クラッチK4に設けられたドグ歯に係脱自在なドグ歯クラッチを有しシフトフォークP4に一体に設けられたシンクロスリーブS4と、クラッチK4に隣接するブレーキB1と一体形成されたシンクロナイザーリングR4とを有して構成される。シフトフォークP4は、図示しない変速制御装置の制御により作動されるサーボモータ90の駆動力を受けて図8において左右移動可能である。シンクロスリーブS4は、シフトフォークP4が左右に移動すると伝達力を受けて図8において左右移動可能であり、シンクロスリーブS4がその中立位置から図8において右方に移動すると、シンクロスリーブS4によってシンクロナイザーリングR4がクラッチK4に押し付けられ、ブレーキB1が固定保持される。このとき第2サンギヤ344がブレーキB1と係合していると、第2サンギヤ344が固定保持される。シンクロスリーブS4がその中立位置にある状態では、シンクロナイザーリングR4はクラッチK4の側に押し付けられておらず、第2サンギヤ344が固定保持されることはない。
入力軸1は、入力軸1と一体に設けられたシンクロナイザーリングR3を有する同期噛合連結機構370により、入力軸1側から第1サンギヤ341側への駆動力の断接作動が行われる。同期噛合連結機構370は、手動変速機で一般に用いられる同期噛合連結機構と同様な構成からなり、クラッチK3に設けられたドグ歯に係脱自在なドグ歯クラッチを有しシフトフォークP3に一体に設けられたシンクロスリーブS3と、入力軸1と一体形成されたシンクロナイザーリングR3とを有して構成されている。シフトフォークP3は、図示しない変速制御装置の制御により作動されるサーボモータ90の駆動力を受けて図8において左右移動可能である。シンクロスリーブS3は、シフトフォークP3が左右に移動すると伝達力を受けて図8において左右移動可能であり、シンクロスリーブS3がその中立位置から図8において左方に移動すると、シンクロスリーブS3によってシンクロナイザーリングR3がクラッチK3に押し付けられ、入力軸1およびクラッチK5の回転が同期する。このとき第1サンギヤ341がクラッチC3と係合していると、入力軸1の側から第1サンギヤ341の側に回転駆動力が伝達される。シンクロスリーブS3がその中立位置にある状態では、シンクロナイザーリングR3はクラッチK5の側に押し付けられておらず、入力軸1の側から第1サンギヤ341の側に回転駆動力が伝達されることはない。
ブレーキBはケーシング20に固定され、ブレーキBに隣接するクラッチK1が入力軸1と一体回転可能に設けられている。入力軸1からリングギヤ343の側への駆動力の断接作動は、同期噛合連結機構360により行われる。同期噛合連結機構360は、手動変速機で一般に用いられる同期噛合連結機構と同様な構成からなり、クラッチK1およびブレーキBに設けられたドグ歯に係脱自在なドグ歯クラッチを有しシフトフォークP1に一体に設けられたシンクロスリーブS1と、入力軸1上を回転可能に設けられてリングギヤ343およびリングギヤ347と係合可能なクラッチC1と一体形成されたシンクロナイザーリングR1とを有して構成されている。シフトフォークP1は、図示しない変速制御装置の制御により作動されるサーボモータ90の駆動力を受けて図8において左右移動可能である。シンクロスリーブS1は、シフトフォークP1が左右に移動すると伝達力を受けて図8において左右移動可能であり、シフトフォークP1の移動によりシンクロスリーブS1がその中立位置から図8において右方に移動すると、シンクロスリーブS1によってシンクロナイザーリングR1がクラッチK1に押し付けられ、クラッチC1およびクラッチK1の回転が同期する。このときリングギヤ343およびリングギヤ347がクラッチC1と係合していると、入力軸1からリングギヤ343およびリングギヤ347の側に回転駆動力が伝達される。
シンクロスリーブS1がその中立位置から図8において左方に移動すると、シンクロスリーブS1によってシンクロナイザーリングR1がブレーキBに押し付けられ、クラッチC1が固定保持される。このときリングギヤ343およびリングギヤ347がクラッチC1と係合していると、リングギヤ343およびリングギヤ347が固定保持される。また、シンクロスリーブS1がその中立位置に位置する場合には、入力軸1の側から同期噛合連結機構360を介したリングギヤ343およびリングギヤ347への駆動力の伝達は行われない。
リングギヤ343およびリングギヤ347は、ワンウェイブレーキFを介してケーシング20に接続されており、前進側駆動方向の回転に対してのみブレーキ作用を生じさせるようになっている。このため、キャリア348を入力軸1の回転とは逆方向に回転させようとするトルクが働くと、リングギヤ343およびリングギヤ347が第1サンギヤ341および第2サンギヤ344と同方向に回転しようとするが、この場合、ワンウェイブレーキFによるリングギヤ343およびリングギヤ347の回転の規制が行われずにリングギヤ343およびリングギヤ347回転が許容されてリングギヤ343およびリングギヤ347が自由回転するため、入力軸1側からカウンタドライブギヤ349側への動力伝達が行われない。
以上のように構成される自動変速機TM3は、変速制御装置が図9に示すように係合要素C1〜C3,B1を選択的に係合させる制御およびシンクロスリーブS1〜S4を選択的に移動させる制御を行うことにより、前進6速(1st〜6th)および後進1速(RVS)の変速段を設定できる。なお、図9の●印は、係合要素が係合状態にあることを示し、シンクロスリーブS1〜S4の欄は、シンクロスリーブS1,S2の移動状態を示す。前進段において隣り合う変速段間の変速は、2つの係合要素のうち1つを係合させたままとし、残りの1つを解放して別の1つの係合要素を係合させて行うように構成されている。このため、変速をスムーズに行うことができる。
図10に遊星歯車列330および遊星歯車列340の速度線図を示す。ここで、図10の上段側の速度線図は遊星歯車列330の速度線図で、図10の下段側の速度線図は遊星歯車列340の速度線図である。
遊星歯車列330の速度線図の3本の縦軸は、それぞれ左側から遊星歯車列330を構成する回転要素であるキャリア335、リングギヤ334、サンギヤ331の回転数Nを示すとともに、縦線の長さが回転数Nに対応する。また、キャリア335およびリングギヤ334間の間隔と、キャリア335およびサンギヤ331間の間隔との比が1:ρ(ρは、リングギヤ334の歯数をサンギヤ331の歯数で除して求められる所定ギヤ比)になっている。
上述のように、サンギヤ331は入力軸1と一体回転し(回転数Ne)、キャリア335はケーシング20に固定保持されているため、リングギヤ334は、サンギヤ331の回転数を示す縦線における入力軸1の回転数Neの点とキャリア335の回転数を示す縦線における回転数Nがゼロレベルの点とを結ぶラインL300と、リングギヤ334の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。すなわち、入力軸1の回転数Neは、遊星歯車列330により回転数NREDの分だけ減速されて、同期噛合連結機構350の側に駆動力として伝達される。
遊星歯車列40の速度線図の4本の縦軸は、それぞれ左側から遊星歯車列340を構成する回転要素である第2サンギヤ344、リングギヤ347、キャリア348、である第1サンギヤ341の回転数Nを示すとともに、縦線の長さが回転数Nに対応する。また、リングギヤ347およびキャリア348の間隔と、キャリア348および第1サンギヤ341の間隔との比が、1:ρとなっている。ここで、ρは、リングギヤ347の歯数を第1サンギヤ341の歯数で除して求められるギヤ比である。リングギヤ347およびキャリア348の間隔と、キャリア348および第2サンギヤ344の間隔との比が、1:ρとなっている。ここで、ρは、リングギヤ347の歯数を第2サンギヤ344の歯数で除して求められるギヤ比である。図の縦軸上の●印は各変速段における各回転要素の回転数を表す。シンクロスリーブS1〜S4は、係合要素に対してスイッチ作動するような表現がされている。また、回転数Nは入力軸1の回転方向を正としており、出力要素であるキャリア348が正方向に回転するとき、車両は前進する。以下、図10を参照して各変速段について説明する。
まず、ニュートラルNでは、クラッチC1、クラッチC2、クラッチC3およびブレーキB1はいずれも解放されている。このとき、シンクロスリーブS1は中立位置(N)とブレーキB1との間の位置に位置している。シンクロスリーブS2は中立位置とクラッチK2との間の位置に位置しているが、1速(Low)の側にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動し、後進(RVS)の側にシフトチェンジされるとクラッチK2の側に移動する。シンクロスリーブS3は中立位置とクラッチK3との間の位置に位置しているが、1速(Low)の側にシフトチェンジされるとクラッチK3の側に移動し、後進(RVS)の側にシフトチェンジされると中立位置に移動する。シンクロスリーブS4は中立位置に位置している。
1速(Low)は、クラッチC1およびクラッチC3が各々係合され、また、シンクロスリーブS1はブレーキBの側に位置し、シンクロスリーブS2は中立位置に位置する。シンクロスリーブS3はクラッチK3の側に位置する。シンクロスリーブS4は中立位置とクラッチK4との間に位置しているが、2速(2nd)の側にシフトチェンジされるとクラッチK4の側に向かって移動し、ニュートラル(N)の側にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動する。このとき、第1サンギヤ341はクラッチC3の係合およびシンクロスリーブS3のクラッチK3側への移動により入力軸1と同じ回転数Neで正方向に回転する。リングギヤ347は、クラッチC1の係合およびブレーキBの係合により固定保持されているため回転しない。したがって、キャリア348は、直線Lとキャリア348の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。
2速(2nd)は、1速の状態からクラッチC1が解放され、ブレーキB1が係合されて設定される。シンクロスリーブS1はブレーキBと中立位置との間の位置に位置している状態であるが、2速(2nd)から3速(3rd)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動し、2速(2nd)から1速(Low)にシフトチェンジされるとブレーキBの側に向かって移動する。シンクロスリーブS2はクラッチK2と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、2速(2nd)から3速(3rd)にシフトチェンジされるとクラッチK2の側に移動し、2速(2nd)から1速(Low)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動する。シンクロスリーブS3はクラッチK3の側に移動したままの状態で、シンクロスリーブS4はクラッチK4の側に位置する。第1サンギヤ341はクラッチC3の係合およびシンクロスリーブS3のクラッチK3側への移動により入力軸1と同じ回転数Neで正方向に回転する。第2サンギヤ344は、クラッチK4の係合およびブレーキB1の係合により固定保持されているため回転しない。したがって、キャリア348は、直線Lとキャリア348の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。
3速(3rd)は、2速の状態からブレーキB1が解放され、クラッチC2が係合されて設定される。シンクロスリーブS1は中立位置とクラッチK1との間に位置しているが、3速(3th)から4速(4th)にシフトチェンジされるとクラッチK1の側に向かって移動し、3速(3th)から2速(2nd)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動する。シンクロスリーブS2はクラッチK2の側に位置し、シンクロスリーブS3はクラッチK3の側に位置している。シンクロスリーブS4は中立位置とクラッチK4との間に位置しているが、3速(3th)から4速(4th)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動し、3速(3th)から2速(2nd)にシフトチェンジされるとクラッチK4の側に向かって移動する。このとき、第1サンギヤ341はクラッチC3の係合およびシンクロスリーブS3のクラッチK3側への移動により入力軸1と同じ回転数Neで正方向に回転する。第2サンギヤ344は、シンクロスリーブS2のクラッチK2側への移動およびクラッチC2の係合により入力軸1の回転数Neに対して回転数Nred分だけ減速された回転数で入力軸1と同じ方向(正方向)にリングギヤ333と一体回転する。したがって、キャリア348は、直線Lとキャリア348の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。
4速(4th)は、3速の状態からクラッチC2が解放され、クラッチC1が係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK1の側に位置する。シンクロスリーブS2は、クラッチK2と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、4速(4th)から5速(5th)にシフトチェンジされると、もしくは4速(4th)から3速(3rd)にシフトチェンジされるとクラッチK2の側に向かって移動する。シンクロスリーブS3は、クラッチK3の側に移動した状態のままである。シンクロスリーブS3は、中立位置に位置する。このとき、第1サンギヤ341はクラッチC3の係合およびシンクロスリーブS3のクラッチK3の側への移動により入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転し、リングギヤ347はクラッチC1の係合およびシンクロスリーブS1のクラッチK1の側への移動により、入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転する。したがって、リングギヤ45は、直線Lとリングギヤ45の回転数を示す縦軸との交点である入力軸1と同じ回転数Neで正方向に回転する。
5速(5th)は、4速の状態からクラッチC3が解放され、クラッチC2が係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK1の側に移動したままの状態で、シンクロスリーブS2はクラッチK2の側に位置する。シンクロスリーブS3は、クラッチK3と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、5速(5th)から6速(6th)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動し、5速(5th)から4速(4th)にシフトチェンジされるとクラッチK3の側に向かって移動する。シンクロスリーブS4は、クラッチK4と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、5速(5th)から6速(6th)にシフトチェンジされるとクラッチK4の側に向かって移動し、5速(5th)から4速(4th)にシフトチェンジされると中立位置に向かって移動する。このとき、第2サンギヤ344はクラッチC2の係合およびシンクロスリーブS2のクラッチK2の側への移動により入力軸1の回転数Neに対して回転数Nred分だけ減速された回転数で入力軸1と同じ方向(正方向)にリングギヤ334と一体回転する。リングギヤ347はクラッチC1の係合およびシンクロスリーブS1のクラッチK1の側への移動により、入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転する。したがって、キャリア348は、直線Lとキャリア348の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。
6速(6th)は、5速の状態からクラッチC2が解放され、ブレーキB1が係合されて設定される。シンクロスリーブS1はクラッチK1の側に移動したままの状態である。シンクロスリーブS2はクラッチK2と中立位置との間の位置に位置している状態であるが、6速(6th)から5速(5th)にシフトチェンジされるとクラッチK2の側に向かって移動する。シンクロスリーブS3は中立位置に位置し、シンクロスリーブS4はクラッチK4の側に位置している。このとき、第2サンギヤ344は、ブレーキB1の係合およびシンクロスリーブS4のクラッチK4側への移動により固定保持される。リングギヤ347はクラッチC1の係合およびシンクロスリーブS1のクラッチK1の側への移動により、入力軸1の回転数Neと同じ回転数で正方向に回転する。したがって、キャリア348は、直線Lとキャリア348の回転数を示す縦軸との交点に対応する回転数で正方向に回転する。
後進(RVS)は、クラッチC1およびクラッチC2が各々係合されて設定される。シンクロスリーブS1はブレーキBの側に位置し、シンクロスリーブS2はクラッチK2の側に位置し、シンクロスリーブS3,S4はいずれも中立位置に位置する。このとき、第2サンギヤ344は、クラッチC2の係合およびシンクロスリーブS2のクラッチK2側への移動により、入力軸1の回転数Neに対して回転数Nred分だけ減速された回転数で入力軸1と同じ方向(正方向)にキャリア334と一体回転する。リングギヤ347はクラッチC1の係合およびシンクロスリーブS1のブレーキB側への移動により固定保持されて回転しない。したがって、キャリア348は、直線LRVSとキャリア348の回転数を示す縦軸との交点である回転数で入力軸1とは逆方向に回転する。
以上、本発明に係る自動変速機について実施例1乃至3を用いて説明したが、本発明に係る自動変速機によれば、同期噛合連結機構を用いてクラッチやブレーキといった係合要素のの断接作動を行わせることで、係合要素が非係合状態となる変速段であっても作動油の粘性による引き摺りトルクが発生することがなく、係合要素におけるフリクションロスをなくすことが可能である。これにより、自動変速機における駆動力の伝達効率を向上させることが可能である。
本発明に係る自動変速機を備えた車両を示す概略図である。 第1構成例の自動変速機を示すスケルトン図である。 第1構成例の自動変速機における各係合要素と変速段との関係を示す図である。 第1構成例の自動変速機における遊星歯車列を構成する各要素の速度の関係を示す速度線図である。 第2構成例の自動変速機を示すスケルトン図である。 第2構成例の自動変速機における各係合要素と変速段との関係を示す図である。 第2構成例の自動変速機における遊星歯車列を構成する各要素の速度の関係を示す速度線図である。 第3構成例の自動変速機を示すスケルトン図である。 第3構成例の自動変速機における各係合要素と変速段との関係を示す図である。 第3構成例の自動変速機における遊星歯車列を構成する各要素の速度の関係を示す速度線図である。
符号の説明
TM(TM1〜TM3) 自動変速機
B1,B ブレーキ(係合要素)
C1〜C3 クラッチ
F ワンウェイブレーキ
H1,H2 貫通穴
K1〜K6 クラッチ(係合要素)
P1〜P4 シフトフォーク
S1〜S4 シンクロスリーブ
1 入力軸
4 出力軸(出力部材)
10 動力伝達装置
20 ケーシング
30,40,330,340 遊星歯車列
31,331 サンギヤ(回転要素)
32,332,333 ピニオン(回転要素)
33,334 リングギヤ(回転要素)
34,335 キャリア
342,345,346 ピニオン(回転要素)
41,341 第1サンギヤ(回転要素)
42 ショートピニオン(回転要素)
43 ロングピニオン(回転要素)
44,348 キャリア
45,343,347 リングギヤ(回転要素)
46,344 第2サンギヤ(回転要素)
47,349 カウンタドライブギヤ
50,60,70,80 同期噛合連結機構(機械式連結機構)
350,360,370,380 同期噛合連結機構(機械式連結機構)
90 サーボモータ

Claims (2)

  1. 遊星歯車列を有して構成され、入力回転を受けて回転される入力軸の回転を変速して出力部材に駆動力を伝達する遊星歯車式の自動変速機であって、
    前記遊星歯車列を構成する複数の回転要素を係脱自在に連結しもしくは前記回転要素を固定保持可能な互いに隣接する複数の係合要素を有し、
    前記隣接する係合要素が同時に係合される変速段が存在せず、且つ、前記隣接する係合要素が同時に切り離し状態となる変速段が存在し、且つ、変速時において、前記隣接する係合要素のうち一方が係合されつつ他方が切り離される状態がないように構成され、
    前記隣接する係合要素のいずれか一方による前記複数の回転要素の連結及びその解除もしくは前記隣接する係合要素のいずれか一方による前記回転要素の固定保持及びその解除を行わせる機械式連結機構を有して構成されたことを特徴とする自動変速機。
  2. 前記機械式連結機構が、前記複数の回転要素の回転を同期させて連結させる同期噛合連結機構で構成され、
    前記同期噛合連結機構が、中立位置から前記隣接する係合要素のうちいずれか一方の側に移動可能なシンクロスリーブを有し、
    前記シンクロスリーブが中立位置に設定されることにより、前記複数の回転要素の連結の解除もしくは前記回転要素の固定保持の解除が行われることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機。
JP2006252014A 2006-09-19 2006-09-19 自動変速機 Pending JP2008075665A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006252014A JP2008075665A (ja) 2006-09-19 2006-09-19 自動変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006252014A JP2008075665A (ja) 2006-09-19 2006-09-19 自動変速機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008075665A true JP2008075665A (ja) 2008-04-03

Family

ID=39347968

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006252014A Pending JP2008075665A (ja) 2006-09-19 2006-09-19 自動変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008075665A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010203462A (ja) * 2009-02-27 2010-09-16 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2010286092A (ja) * 2009-06-15 2010-12-24 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2011017424A (ja) * 2009-07-10 2011-01-27 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2012092941A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2012092879A (ja) * 2010-10-26 2012-05-17 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2012092938A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2012092942A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
US8752686B2 (en) 2011-03-29 2014-06-17 Jatco Ltd Multi-disc frictional engagement mechanism
JP2014190386A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Jatco Ltd 車両用自動変速機
JP2014190384A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Jatco Ltd 車両用自動変速機
JP2014190385A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Jatco Ltd 車両用自動変速機
DE102017122022A1 (de) * 2017-09-22 2019-03-28 Man Truck & Bus Ag Lastschaltgetriebe zur Anbindung an einen Elektromotor

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06323377A (ja) * 1993-05-13 1994-11-25 Fine Metsuku:Kk 車両用変速機の遊星歯車列
JPH06337048A (ja) * 1993-05-27 1994-12-06 Fine Metsuku:Kk 車両用遊星歯車変速装置
JP2001082555A (ja) * 1999-09-09 2001-03-27 Aisin Aw Co Ltd 車両用自動変速機
JP2003130149A (ja) * 2001-10-23 2003-05-08 Aisin Aw Co Ltd 車両用自動変速機

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06323377A (ja) * 1993-05-13 1994-11-25 Fine Metsuku:Kk 車両用変速機の遊星歯車列
JPH06337048A (ja) * 1993-05-27 1994-12-06 Fine Metsuku:Kk 車両用遊星歯車変速装置
JP2001082555A (ja) * 1999-09-09 2001-03-27 Aisin Aw Co Ltd 車両用自動変速機
JP2003130149A (ja) * 2001-10-23 2003-05-08 Aisin Aw Co Ltd 車両用自動変速機

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010203462A (ja) * 2009-02-27 2010-09-16 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2010286092A (ja) * 2009-06-15 2010-12-24 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2011017424A (ja) * 2009-07-10 2011-01-27 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2012092879A (ja) * 2010-10-26 2012-05-17 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2012092941A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2012092938A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
JP2012092942A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Honda Motor Co Ltd 自動変速機
US8752686B2 (en) 2011-03-29 2014-06-17 Jatco Ltd Multi-disc frictional engagement mechanism
JP2014190386A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Jatco Ltd 車両用自動変速機
JP2014190384A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Jatco Ltd 車両用自動変速機
JP2014190385A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Jatco Ltd 車両用自動変速機
DE102017122022A1 (de) * 2017-09-22 2019-03-28 Man Truck & Bus Ag Lastschaltgetriebe zur Anbindung an einen Elektromotor

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008075665A (ja) 自動変速機
JP4822891B2 (ja) 歯車変速装置
JP5155910B2 (ja) 大型車両用ツインクラッチ式変速機
JP4968048B2 (ja) 複数クラッチ式変速機
JP5184456B2 (ja) 自動変速機
JP2008202640A (ja) 歯車変速装置
JP2007332991A (ja) 歯車変速装置
CN102734397B (zh) 八挡双离合器变速器
JP2007331654A (ja) パーキングロック機能を備えた歯車変速装置
JP5277069B2 (ja) トランスミッション
JP2007321820A (ja) ダブルクラッチ変速機
JP2006052832A (ja) ダブルクラッチ変速機
JP5659553B2 (ja) ハイブリッド駆動装置
JP2007530881A (ja) 特にダブルクラッチを備えた自動車ギヤボックス
JP5924476B2 (ja) ハイブリッド車用変速装置
JP2007271047A (ja) 自動変速機のパーキングロック機構
CN102734399A (zh) 九速双离合变速器
JP2010144775A (ja) 多段変速機
JP5142953B2 (ja) トランスミッション
JP5276272B2 (ja) 産業車両用変速機
JP2010216605A (ja) トランスミッション
JP5332735B2 (ja) ダブルクラッチ自動変速機
JP2014211219A (ja) 変速装置
JP2008291892A (ja) ツインクラッチ式変速機
WO2013099840A1 (ja) 変速機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101105

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20101224

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110415

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111014