JP2008066048A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】タブレス方式の極板群を溶接手段を用いずに正、負極端子部に確実に接続できるようにして、電池品質の格段の向上とコストダウンが得られる構成を備えたリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】タブレス方式の極板群2と、負極板10の活物質が未塗布の帯状連結部10bと電池ケース1の底部との間に圧接状態に挟持されて帯状連結部10bを電池ケース1に電気的接続する弾力性を有する金属多孔体からなる負極側集電体14と、正極板9の活物質が未塗布の帯状連結部9bと封口体3との間に圧接状態に挟持されて帯状連結部9bを封口体3に電気的接続する弾力性を有する金属多孔体からなる正極側集電体11とを備える。電池ケース1の開口縁部を内方にかしめ加工するときに封口体3に加わる押圧力により正極側および負極側の各集電体12,14が正極板9および負極板10の各々の帯状連結部9b,10bに圧接されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、溶接手段を用いないで極板群の正極板および負極板をそれぞれ正極端子部および負極端子部に接続できるようにしたリチウムイオン二次電池に関するものである。
近年、AV機器あるいはパソコンや携帯型通信機器などの電子機器のポータブル化やコードレス化が急速に促進されており、これら電子機器やその他の電子機器の駆動用電源として、高エネルギ密度で負荷特性に優れた密閉型電池が要望されている。特に、リチウムイオン二次電池は、エネルギ密度および出力電圧が高く、貯蔵寿命が長いなどの特長を有していることから、脚光を浴びている。
例えば、円筒形のリチウムイオン二次電池では、図6に示すように、正極板と負極板とをこれらの間にセパレータを介在させて巻回することにより極板群50を構成し、この極板群50を有底円筒状の電池ケース51の内部に収容し、その電池ケース51内に所定量の電解液(図示せず)を注液した後、電池ケース51内に挿入した封口体52を、電池ケース51の外周面に形成された環状溝部51aによって内方に膨出した環状支持部51b上に載置して支持させた状態で、電池ケース51の開口縁部を内方にかしめ加工する工程を経て製造される。上記封口体52は、電池内部に発生するガスを排出するための弁口53aが設けられた封口板53と、この封口板53の上面に重ね合わせた状態で固着されたキャップ状正極端子54とにより構成されており、封口板53の周端縁部に絶縁ガスケット57を取り付けた状態で電池ケース51内部の環状支持部51b上に係止される。
図7(a)に示すように、上記極板群50の正極板58は、帯状のアルミニウム製の金属箔からなる金属基材の長手方向の中央部に形成された幅方向に延びる活物質未塗工部58aに、短冊状の正極リード片60が側方に突出した状態で溶接または超音波溶着により固着されている。一方、上記極板群50の負極板59は、帯状の銅製の金属箔からなる金属基材の長手方向の両端部にそれぞれ形成された幅方向に延びる活物質未塗工部59aに、短冊状の負極リード片61が側方に突出した状態で溶接または超音波溶着により固着されている。したがって、正極板58と負極板59とをこれらの間にセパレータを介在させて巻回されてなる極板群50は、図6に示すように、これの巻回方向に対し直交方向の一方(図における下方)から負極リード片61が突出し、且つ他方(図における上方)から正極リード片60が突出している。
上記極板群50は、内方側に向け屈曲された負極リード片61と群端面との間に底部絶縁板62を介在させた状態で電池ケース51内に挿入されたのち、極板群50の中央部の巻心空隙部を通じて溶接電極を挿入することにより、負極リード片61が電池ケース51の底面に溶接により接合される。正極リード片60の先端部は封口板53に溶接により接合され、この状態で正極リード片60を湾曲形状に屈撓させながら封口体52が電池ケース51内に挿入されたのち、電池ケース51の開口縁部が内方にかしめ加工されたときに、絶縁ガスケット57が圧縮されることにより、電池ケース51の開口部が密閉状態に閉塞される。
ところで、上記正極板58および負極板59は、リード片60、61で導電や集電する構成となっていることから、出力を増加させることに限界がある。これに対し、ニッケル水素蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池では、高出力化を図ることを目的として、フェルト状またはスポンジ状の金属多孔体を基材とし、この基材の空隙に活物質を直接に塗布してなる極板が用いられている極板では、金属多孔体を基材として用いることから、アルミニウム製や銅製などの金属箔のように正極リード片60や負極リード片61を直接的に溶接して接続することが困難である。そのために、基材の幅方向の一方の側縁に沿って活物質を塗布しない帯状連結部を設けて、この帯状連結部をプレスにより圧縮、または帯状の金属板を接合して、正極端子部または負極端子部に集電体を接続するリード片がないタブレス方式(リードレス方式)が採用されている。
上記極板の帯状連結部を正極または負極端子部に接続するに際しては種々の工夫を凝らした構成が提案されている。例えば、従来のアルカリ蓄電池では、極板の帯状連結部に溶接される平板状の集電端子に、スリットと極板側に突出するリブ状突起とを設けて、集電端子の平面部におけるスリットを挟む箇所を渦巻状の極板群の帯状連結部に溶接することにより、リブ状突起を、帯状連結部に対しほぼ垂直に交差する相対配置で食い込ませた構成としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このアルカリ蓄電池では、溶接箇所以外に、リブ状突起とこれが食い込んだ帯状連結部との箇所においても電気的導通を確保できるので、高率放電特性と生産性の向上とを図ることができる利点がある。
また、従来のアルカリ蓄電池では、帯状連結部をプレスして高密度に圧縮した状態として、この帯状連結部に金属薄板を溶着して補強し、複数の貫通孔とこの貫通孔の周縁から極板群に向け突出した突起とを有する平板状の集電体を帯状連結部に押し付けて、突起を帯状連結部の複数部分に溶着する構成も知られている(例えば、特許文献2参照)。この構成では、帯状連結部が高密度に圧縮された状態で金属薄板にて補強されているので、帯状連結部と集電体との溶接を容易に行え、接合後の遮断や内部短絡などが発生するおそれのない耐衝撃性を備えたものとなる。
さらに、従来の他のアルカリ蓄電池では、極板の帯状連結部を形成すべき箇所に金属粉末を塗布してプレス工程により圧縮することにより帯状連結部を形成し、この帯状連結部に対し集電体を多数点で溶接して互いに接合した構成が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この構成では、帯状連結部の強度が向上するので、この帯状連結部と集電体との溶接不良が低減する利点がある。
さらにまた、従来の他のアルカリ蓄電池では、極板の帯状連結部の側端部分と活物質塗布部分との境界の帯状領域を圧縮して厚みを薄くし、この圧縮部分の見かけ密度を、側端部分よりも見かけ密度をより高くした構成も提案されている(例えば、特許文献4参照)。この構成では、帯状連結部と集電体との溶接に際して、帯状連結部での変形の発生が抑制されて、活物質の脱落を防止できる効果がある。
特開2002−15722号公報
特許第3649909号公報
特開2001−202944号公報
特開平2005−71964号公報
しかしながら、図6および図7に示した従来のリチウムイオン二次電池では、極板群50の製作に先立って、図7に示すように、正極リード片60を正極板58に対し複数(この例では3つ)の接続点P1で溶接して接合し、2つの負極リード片61を負極板59に対しそれぞれ複数(この例では3つ)の接続点P2で溶接して接合する必要があり、さらに、図6に示すように、正極リード片60の正極板58から突出した部分の先端部を封口板53の接続点P3に溶接して接続し、極板群50を電池ケース51に挿入したのちに、負極リード片61の負極板59からの突出部分を電池ケース51の底部の接続点P4に溶接して接続する必要があり、溶接による接続点P1〜P4が多い課題がある。
上述の溶接に際しては、レーザ溶接、スポット溶接または超音波溶接などの各種の溶接方式が適宜選択して採用されるが、何れの溶接方式を採用する場合においても、正、負極板58,59における金属箔からなる基材に正、負極リード片60,61を溶接することから、溶接条件の安定領域が比較的狭いことに起因して、各溶接部位毎に溶接条件や電極設定を精密に管理する必要がある。このような精密な管理を行ったとしても、溶接電流が不足した場合には接合後にリード片60,61の外れが生じたり、溶接電流が過多となった場合には、リード片60,61などの溶接部位に穴があいたり、溶接時に融けた金属がスパッタリングの火花により金属ヒュームとなって飛散したりするのに伴い電池ケース51内に混入した異物が電池の内部短絡を引き起こすといった不具合が生じることがある。このように溶接条件を精密に行う必要があるのに加えて、溶接工程が多いので、製造コストの高騰を招いている。
また、従来のリチウムイオン二次電池では、リード片60,61を介して極板群50を封口板53および電池ケース51に接続する構成になっていることから、高出力用の極板としての抵抗値を下げることに限界があるので、大容量放電特性の向上を図るのが難しい課題もある。
一方、特許文献1〜4で説明したように、アルカリ蓄電池に採用されている金属多孔体を基材とするタブレス方式の極板群の正極板および負極板を用いることも考えられるが、特許文献1〜4の何れの構成においても、金属多孔体の基材がそのまま露出してなる帯状連結部を溶接に適した状態とする必要があるとともに、その帯状連結部を集電体に対し溶接により接続しているので、やはり溶接条件を精密に管理する必要があることから、金属箔を基材とする極板を用いる場合に比べて大きな利点がない。
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、タブレス方式の極板群を溶接手段を用いずに正、負極端子部に確実に接続できるようにして、電池品質の格段の向上とコストダウンが得られる構成を備えたリチウムイオン二次電池を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明のリチウムイオン二次電池は、帯状の金属箔からなる基材に活物質を塗布してなる正極板および負極板をこれらの間にセパレータを介在して渦巻状に巻回してなるタブレス方式の極板群と、弾力性を有する金属多孔体からなり、前記極板群における負極板の長手方向の側縁に沿って形成された活物質が未塗布の帯状連結部と前記電池ケースの底部との間に圧接状態に挟持されて前記帯状連結部を前記電池ケースに電気的接続する負極側集電体と、弾力性を有する金属多孔体からなり、前記極板群における正極板の長手方向の側縁に沿って形成された活物質が未塗布の帯状連結部と封口体との間に圧接状態に挟持されて前記帯状連結部を前記封口体に電気的接続する正極側集電体とを備え、前記電池ケースの開口縁部を内方にかしめ加工することにより前記電池ケースの開口部が密閉されているとともに、前記かしめ加工時に前記封口体に加わる押圧力により前記正極側および負極側の各集電体が前記正極板および負極板の各々の帯状連結部に圧接されていることを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1の発明のリチウムイオン二次電池における正極側および負極側の各集電体が弾力性を有する金属多孔体からなるスポンジ状の発泡ニッケルにより形成されている。
請求項3に係る発明は、請求項1または2の発明のリチウムイオン二次電池において、封口体と正極側集電体との間および電池ケースと負極側集電体との間にそれぞれ、前記各集電体に食い込む多数のバリ状の小突起が形成された正極側および負極側の各接続板が介在されている。
請求項1の発明によれば、タブレス方式の極板群を用いたことによってリード片を溶接により取り付ける必要がなくなり、また、極板群の正、負極板の各帯状連結部が、弾力性を有する金属多孔体からなる正極側集電体および負極側集電体にそれぞれ圧接状態で電気的接続されて、これら集電体を介して封口体および電池ケースにそれぞれ電気的接続されている。したがって、極板群は、圧接手段のみで正極側の封口体および負極側の電池ケースにそれぞれ接続された構成となっており、極板の比較的薄い金属箔からなる基材に対する溶接部位が全く存在しない。そのため、従来のリチウムイオン二次電池において困難を極めている溶接条件や電極設定の精密な管理が不要となり、困難な溶接を行うことに伴い発生していたリード片の外れ、リード片の溶接部位の穴あき、電池の内部短絡といった不具合の発生が皆無となって、電池品質が格段に向上するとともに、困難な溶接工程の削除に伴い製造コストを相当に低減することができる。
また、タブレス方式の極板群を採用しているのに伴って大容量放電特性の向上を図ることができるとともに、正極板および負極板の各々の帯状連結部の全体が、弾力性を有する金属多孔体からなる正極側集電体および負極側集電体に、これを圧縮することによる復元力により圧接されて確実な電気的接続状態とされるので、この全面接触により電流分布が均一化されて高率放電が可能となる。さらに、製造に際しては、電池ケースの開口縁部を内方にかしめ加工するときに封口体に作用する押圧力を利用して、正極側および負極側の各集電体を圧縮に伴う復元力で正極板および負極板の各々の帯状連結部に圧接させることができるので、製造工程の簡略化に伴い一層のコストダウンを達成できる。
請求項2の発明によれば、発泡ニッケルは、スポンジ状を呈して優れた弾力性を有することから、最も好ましい集電体を形成することができ、正極板および負極板の各々の帯状連結部に対し食い込ませた状態で密着して確実な電気的導通を得ることができる。ここで言うスポンジ状とは、電解液に安定なPEやカーボン不織布にニッケルメッキして得られるスポンジ状である。
請求項3の発明によれば、各集電体が接続板に対しこれの多数のバリ状の小突起を食い込ませて電気的接続されているから、多数の小突起による集電部が均一に設けられることによって電流経路が短くなる分だけ電池内部抵抗を低減できるので、この点からも一層の高率放電が可能となるとともに、集電体に接続板の多数の小突起を食い込ませて互いに一体化しているので、安定した電気的導通が得られるのに加えて、振動などに対する耐衝撃性が向上する利点がある。
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施の形態に係るリチウムイオン二次電池を示す縦断面図である。このリチウムイオン二次電池は、有底円筒状の電池ケース1の内部に、後述の正極板と負極板とがこれらの間にセパレータを介在させて渦巻状に巻回されてなる極板群2が収容され、且つ所定量の電解液(図示せず)が注液され、封口板4の上面にキャップ状の正極端子7が重ね合わせた配置で固着された封口体3が、封口板4の周縁部に絶縁ガスケット8を取り付けた状態で、電池ケース1の外周面に形成された環状溝部1aによって内方に膨出した環状支持部1b上に載置され、この状態で電池ケース1の開口縁部が内方にかしめ加工されることにより、圧縮された絶縁ガスケット8によって電池ケース1の開口部が密閉状態に閉塞された構成になっている。
上記封口体3の封口板4は、電池内部に発生するガスを排出するための弁口4aが設けられ、キャップ状の正極端子7は、周知の構成であることから図示を省略しているが、当該正極端子7の内部空間と封口板4との間に挟持固定されて弁口4aを閉塞する安全弁体を備えて構成されている。
図4(a),(b)は、上記タブレス方式の極板群2の正極板9および負極板10を示す展開平面図である。正極板9は、アルミニウム箔からなる基材に活物質が塗布されてなる活物質塗布部9aと、基材の一側縁に沿って形成された活物質が塗布されていない帯状連結部9bとを有しており、負極板10は、銅箔からなる基材に活物質が塗布されてなる活物質塗布部10aと、基材の一側縁に沿って形成された活物質が塗布されていない帯状連結部10bとを有している。各帯状連結部9b,10bはそれぞれ正極端子部および負極端子部に対する接続箇所である。したがって、極板群2は、正極板9および負極板10を図の上方および下方にそれぞれずらせた相対配置として、これらの間にセパレータを介在させて渦巻状に巻回して構成されている。これにより、図1に明示するように、正極側および負極側の各帯状連結部9b、10bは極板群2の群本体部分から上方および下方にそれぞれ突出されている。
上述の構成自体は従来のアルカリ蓄電池に用いられているタブレス方式の極板群と比較して、極板9,10の基材が異なるだけでほぼ同様であるが、アルカリ蓄電池では、特許文献1〜4で説明したように、帯状連結部に金属薄板を溶着して補強した上で、この帯状連結部にリード板を溶接したり、帯状連結部に溶接し易いように突起などを設けた集電体を帯状連結部に押し付けて、上記突起を帯状連結部に溶接により接続している。これに対し、この一実施の形態のリチウムイオン二次電池は、正極板9および負極板10の各帯状連結部9b,10bを、正極端子部分および負極端子部分に対し溶接手段を用いることなく接続できるようにしたことに特長があり、この点について、以下に説明する。
極板群2の正極板9は図2に示す構成により正極端子部分である封口体3に接続される。すなわち、同図において、封口板4における極板群2への対向面には、平板に多数のバリ状の小突起11aが極板群2へ向けた方向に形成された正極側接続板11が、複数の接続点P5で溶接することにより接合されている。この封口板4と正極側接続板11との溶接工程は、金属薄板などに対する溶接とは異なり、封口板4と正極側接続板11とが共に金属平板であることから、溶接条件を精密に管理することなしに安定に行うことができる。なお、小突起11aは、平板に多数の針が突設された加工具を正極側接続板11に加圧して針を貫通させる手段で形成される。したがって、小突起11aの内部には極めて小さな径の貫通穴が形成されるが、この貫通穴は、図示都合上、図示していない。また、正極側接続板11を設けずに、封口板4における極板群2への対向面に小突起を設けるようにしてもよいが、実施の形態のように正極側接続板11を別途設ける場合には、既存の封口板4およびキャップ状正極端子7からなる封口体3をそのまま利用できる利点がある。
上記正極側接続板11は、発泡ニッケルからなる正極側集電体12に矢印で示すように押し付けて、各小突起11aを正極側集電体12に食い込ませることにより、正極側集電体12に電気的接続される。正極側集電体12は、図1に示すように、極板群2の群本体部分から突出した正極板9の帯状連結部9bを食い込ませることにより、正極板9に電気的接続される。なお、正極側集電体12は、弾力性を有する金属多孔体、例えばニッケル繊維多孔体などを用いて形成してもよいが、上記実施の形態の発泡ニッケルは、電解液に安定なPEまたはカーボン不織布にニッケルめっきを施したスポンジ状のものであって、優れた弾力性を有していることから、最も好ましい。
一方、極板群2の負極板10は図3に示す構成により電池ケース1の底面に接続される。すなわち、同図において、電池ケース1の底部には、平板に多数のバリ状の小突起13aが極板群2へ向けた方向に形成された負極側接続板13の中央部が電池ケース1の底面に溶接により接合される。この負極側接続板13の電池ケース1への溶接工程は、極板群2を電池ケース1に挿入前または挿入後の何れの時点で行ってもよいが、極板群2の電池ケース1への挿入前にアウトラインにおいて予め溶接する場合にはスパッタなどの異物の電池ケース1内への混入を防止でき、挿入後に溶接する場合には、極板群2の中央部の巻心空隙部に溶接電極を挿通させて行われる。何れの場合においても、この溶接は、電池ケース1の底面と負極側接続板13とが共に金属平板であることから、溶接条件を精密に管理することなしに安定に行うことができる。また、小突起13aは、平板に多数の針が突設された加工具を負極側接続板13に加圧して針を貫通させる手段で形成されるが、その小突起13aの内部に形成される極めて小さな径の貫通穴は、図示都合上、図示していない。
上記負極側接続板13は、発泡ニッケルからなる負極側集電体14に矢印で示すように押し付けて、各小突起13aを負極側集電体14に食い込ませることにより、負極側集電体14に電気的接続される。負極側集電体14は、図1に示すように、極板群2の群本体部分から突出した負極板10の帯状連結部10bを食い込ませることにより、負極板10に電気的接続される。なお、負極側集電体14は、弾力性を有する金属多孔体、例えばニッケル繊維多孔体などを用いて形成してもよいが、正極集電体12で説明したように、上記実施の形態の発泡ニッケルは、優れた弾力性を有していることから、最も好ましい。
つぎに、上記リチウムイオン二次電池の製造工程について説明する。製造過程の縦断面図である図5に示すように、先ず、電池ケース1には、小突起13aを食い込ませることにより負極側集電体14に対し電気的導通状態に一体化された負極側接続板13が底部に挿入されたのち、正極板9および負極板10を渦巻状に巻回してなるタブレス式の極板群2が挿入される。この時点では、極板群2における負極板10の帯状連結部10bが負極側集電体14上に単に載置されているだけである。この状態で、極板群2の中央部の空隙部に溶接電極を挿入して、負極側接続板13が電池ケース1の底面に溶接される。なお、負極側接続板13をアウトラインで電池ケース1の底面に予め接続しておき、その負極側接続板13上に負極側集電体14を圧接状態に載置し、極板群2を電池ケース1内に挿入する工程を採用することもできる。
つぎに、封口板3に溶着された正極側接続板11の小突起11aを正極側集電体12に食い込ませることにより互いに電気的導通状態に一体化された封口体3、正極側接続板11および正極側集電体12の組立体が、封口板4の周縁部に絶縁ガスケット8を取り付けた状態で電池ケース1内に挿入されて、封口体3が絶縁ガスケット8を介在して電池ケース1の環状支持部1b上に載置される。この時点では、正極側集電体12が極板群2における正極板9の帯状連結部9b上に単に載置されているだけである。
つぎに、電池ケース1の開口部が内方にかしめ加工されることにより、図1に示すように、かしめ加工によって圧縮された絶縁ガスケット8によって電池ケース1の開口部が封口体3により密閉される。このかしめ加工時に封口体3に作用する押圧力により、正極側集電体12に正極板9の基材である帯状連結部9bが食い込む状態に圧接して、正極板9が正極側集電体12に対し確実な電気的導通状態となるとともに、負極側集電体14に負極板10の基材である帯状連結部10bが食い込む状態に圧接して、負極板10が負極側集電体14に対し確実な電気的導通状態となる。
このリチウムイオン二次電池は、タブレス方式の極板群2を用いたことによってリード片を溶接により取り付ける必要がなくなり、また、極板群2の正極板9および負極板10の各帯状連結部9b,10bをそれぞれ正極側集電体12および負極側集電体14に圧接して電気的接続し、さらに、正極側集電体12を正極側接続板11を介して封口体3に電気的接続するとともに、負極側集電体14を負極側接続板13を介して電池ケース1の底面に電気的接続する構成になっている。すなわち、極板群2は、接触手段のみで正極側の封口体3および負極側の電池ケース1にそれぞれ接続されているので、正極板9および負極板10における比較的薄い金属箔からなる基材に対する溶接部位が全く存在しないため、従来のリチウムイオン二次電池において困難を極めている溶接条件や電極設定の精密な管理が不要となり、困難な溶接を行うことに伴い発生していたリード片の外れ、リード片の溶接部位の穴あき、電池の内部短絡といった不具合の発生が皆無となって、電池品質が格段に向上するとともに、困難な溶接工程の削除に伴い製造コストを相当に低減することができる。
また、上記リチウムイオン二次電池では、正極板9および負極板10として、金属箔からなる帯状の金属基材に活物質を塗布した極板を用いて構成したタブレス方式の極板群2を採用しているのに伴って大容量放電特性の向上を図ることができるとともに、正極板9および負極板10の各々の帯状連結部9b,10bの全体が、弾力性を有する金属多孔体である発泡ニッケルからなる正極側集電体12および負極側集電体14に対し食い込む状態に圧接して確実な電気的導通状態となるので、この全面接触により電流分布が均一化されて高率放電が可能となる。
さらに、上記リチウムイオン二次電池では、各集電体12,14が接続板11,13に対し多数のバリ状の小突起11a,13aを食い込ませて電気的接続されているから、多数の小突起11a,13aによる集電部が均一に設けられることによって電流経路が短くなる分だけ電池内部抵抗を低減できるので、この点からも一層の高率放電が可能となる。また、各集電体12,14に接続板11,13の多数の小突起11a,13aが食い込ませて互いに一体化しているので、安定した電気的導通が得られるのに加えて、振動などに対する耐衝撃性が向上する利点がある。また、製造に際しては、電池ケース1の開口縁部を内方にかしめ加工するときに封口体3に作用する押圧力を利用して、正極側および負極側の各集電体12,14を、圧縮による復元力で正極板9および負極板10の各々の帯状連結部9b、10bに圧接させることができるので、製造工程の簡略化に伴い一層のコストダウンを達成できる。
この発明に係るリチウムイオン二次電池によれば、極板群を接触手段のみで正極側の封口体および負極側の電池ケースに接続する構成としたので、従来のリチウムイオン二次電池において困難を極めている溶接条件や電極設定の精密な管理が不要となり、困難な溶接を行うことに起因する種々の不具合の発生が皆無となって、電池品質が格段に向上するとともに、困難な溶接工程の削除に伴い製造コストを相当に低減することができ、また、タブレス方式の極板群を採用しているのに伴って大容量放電特性の向上を図ることができるとともに、正極板および負極板の各々の帯状連結部の全体が、弾力性を有する金属多孔体からなる正極側集電体および負極側集電体に、これの圧縮による復元力により圧接して確実な電気的導通状態とできるので、この全面接触により電流分布が均一化されて高率放電が可能となる。
1 電池ケース
2 極板群
3 封口体
9 正極板
9b 帯状連結部
10 負極板
10b 帯状連結部
11 正極側接続板
11a 小突起
12 正極側集電体
13 負極側接続板 13a 小突起
14 負極側集電体
2 極板群
3 封口体
9 正極板
9b 帯状連結部
10 負極板
10b 帯状連結部
11 正極側接続板
11a 小突起
12 正極側集電体
13 負極側接続板 13a 小突起
14 負極側集電体
Claims (3)
- 帯状の金属箔からなる基材に活物質を塗布してなる正極板および負極板をこれらの間にセパレータを介在して渦巻状に巻回してなるタブレス方式の極板群と、
弾力性を有する金属多孔体からなり、前記極板群における負極板の長手方向の側縁に沿って形成された活物質が未塗布の帯状連結部と前記電池ケースの底部との間に圧接状態に挟持されて前記帯状連結部を前記電池ケースに電気的接続する負極側集電体と、
弾力性を有する金属多孔体からなり、前記極板群における正極板の長手方向の側縁に沿って形成された活物質が未塗布の帯状連結部と封口体との間に圧接状態に挟持されて前記帯状連結部を前記封口体に電気的接続する正極側集電体とを備え、
前記電池ケースの開口縁部を内方にかしめ加工することにより前記電池ケースの開口部が密閉されているとともに、前記かしめ加工時に前記封口体に加わる押圧力により前記正極側および負極側の各集電体が前記正極板および負極板の各々の帯状連結部に圧接されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 正極側および負極側の各集電体が弾力性を有する金属多孔体からなるスポンジ状の発泡ニッケルにより形成されている請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 封口体と正極側集電体との間および電池ケースと負極側集電体との間にそれぞれ、前記各集電体に食い込む多数のバリ状の小突起が形成された正極側および負極側の各接続板が介在されている請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
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JP2013037996A (ja) * | 2011-08-10 | 2013-02-21 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 電池 |
CN113675372A (zh) * | 2021-07-13 | 2021-11-19 | 宁德新能源科技有限公司 | 电化学装置及电子装置 |
CN113921899A (zh) * | 2021-10-15 | 2022-01-11 | 珠海冠宇电池股份有限公司 | 一种电池 |
WO2022059796A1 (ja) * | 2020-09-21 | 2022-03-24 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 蓄電装置およびその製造方法 |
-
2006
- 2006-09-06 JP JP2006241020A patent/JP2008066048A/ja active Pending
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