JP2008037772A - 2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、高分子あるいは機能性材料等の原料として有用な2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の新規な製造法に関するものである。
2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物はポリイミド樹脂及びポリベンゾオキサゾール樹脂の原料として有用である。2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパンは、例えば電極用組成物等として使用されるポリイミドシリコン樹脂の添加剤として有用なことが知られている(特許文献1及び2参照)。
2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパンはケミカル・アブストラクトに番号が登録されているが、製造法に関する情報は従来文献中に開示されていない。
高分子あるいは機能性材料等の原料として有用な、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の、安価な工業生産に適した製造法の開発が望まれていた。
本発明者らが上記のような状況に鑑み、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造法に関し鋭意研究を重ねた結果、公知の方法により合成されるo−アルコキシアニリン化合物とアセトン化合物との縮合反応により2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物が簡便に合成でき、次いでこのものを脱アルコキシ反応させることにより所望の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物が簡便に得られることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
本発明方法により、従来文献で報告されていない2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物を簡便に製造する方法が提供される。また本発明によれば安価で入手が容易なo−アニシジンに代表されるo−アルコキシアニリン化合物とアセトン化合物との縮合反応により2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物を合成した後、脱アルコキシ反応することにより2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物を得ることができる。本発明の方法は特殊な反応装置を用いることなく、穏やかな条件下で目的とするビスアミノフェノール類を簡便な操作で製造でき工業的に優れた方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、下記〔1〕乃至〔37〕項に記載の発明を提供する事により前記課題を解決したものである。
〔1〕一般式(1)
(式中、R1はC1〜C8アルキル基又はC7〜C14アラルキル基を表す。)
で表されるo−アルコキシアニリン化合物と、一般式(2)
(式中、R2はメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。)
で表されるアセトン化合物を、酸の存在下で縮合反応させて、一般式(3)
(式中、R1及びR2は前記と同一の意味を表す。)
で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物とした後、この2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物を脱アルコキシ反応させることを特徴とする、一般式(4)
(式中、R1及びR2は前記と同一の意味を表す。)
で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔2〕一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表されるアセトン化合物との縮合反応を、o−アルコキシアニリン化合物と酸とで形成された塩の溶融下で行うものである、〔1〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔3〕一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表されるアセトン化合物との縮合反応を、常圧で行うものである、〔1〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔4〕一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表されるアセトン化合物との縮合反応を、o−アルコキシアニリン化合物と酸の塩の溶融下、かつ常圧で行うものである、〔1〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔5〕酸が一般式(5)
(式中、R3はC1〜C20アルキル基、C7〜C26アラルキル基、又は、ハロゲン或いはC1〜C20アルキル基で置換されても良いアリール基を表す。)
で表されるスルホン酸である、〔1〕乃至〔4〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔6〕酸が、一般式(5)中のR3がC1〜C20アルキル基で置換されても良いアリール基であるスルホン酸である、〔1〕乃至〔5〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔7〕酸が、一般式(5)中のR3がp−メチルフェニル基であるスルホン酸である、〔1〕乃至〔5〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔8〕R2がメチル基である、〔1〕乃至〔7〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔9〕R2がメチル基であり、R1がC1〜C8アルキル基である、〔1〕乃至〔7〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔10〕R1がメチル基であり、R2がメチル基である、〔1〕乃至〔7〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔11〕R2がトリフルオロメチル基である、〔1〕乃至〔7〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔12〕R2がトリフルオロメチル基であり、R1がC1〜C8アルキル基である、〔1〕乃至〔7〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔13〕R2がトリフルオロメチル基であり、R1がメチル基である〔1〕乃至〔7〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔14〕一般式(1)
(式中、R1はC1〜C8アルキル基又はC7〜C14アラルキル基を表す。)
で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)
(式中、R2はメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。)
で表されるアセトン化合物を、酸の存在下で縮合反応させることを特徴とする、一般式(3)
(式中R1及びR2は前記と同一の意味を表す。)
で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔15〕一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表されるアセトン化合物の縮合反応を、o−アルコキシアニリン化合物と酸とで形成された塩の溶融下で行うものである、〔14〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔15〕一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表されるアセトン化合物の縮合反応を、o−アルコキシアニリン化合物と酸とで形成された塩の溶融下で行うものである、〔14〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔16〕一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表されるアセトン化合物の縮合反応を常圧で行うものである、〔14〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔17〕一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表されるアセトン化合物の縮合反応をo−アルコキシアニリン化合物と酸とで形成された塩の溶融下、かつ常圧で行うものである、〔14〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔18〕酸が一般式(5)
(式中、R3はC1〜C20アルキル基、C7〜C26アラリキル基、又は、ハロゲン或いはC1〜C20アルキル基で置換されても良いアリール基を表す。)
で表されるスルホン酸類である〔14〕乃至〔17〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔19〕酸が、一般式(5)中のR3がC1〜C20アルキル基で置換されても良いアリール基であるスルホン酸である、〔18〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔20〕酸が、一般式(5)中のR3がp−メチルフェニル基であるスルホン酸である、〔14〕乃至〔18〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔21〕R2がメチル基である、〔14〕乃至〔20〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔22〕R2がメチル基であり、R1がC1〜C8アルキル基である、〔14〕乃至〔20〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔23〕R2がメチル基であり、R1がメチル基である〔14〕乃至〔20〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔24〕R2がトリフルオロメチル基である、〔14〕乃至〔20〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔25〕R2がトリフルオロメチル基であり、R1がC1〜C8アルキル基である、〔14〕乃至〔20〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔26〕R2がトリフルオロメチル基であり、R1がメチル基である〔14〕乃至〔20〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔27〕一般式(3)
(式中、R1はC1〜C8アルキル基又はC7〜C14アラルキル基を表し、R2はメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。)
で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物。
〔28〕R2がメチル基である、〔27〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物。
〔29〕R2がメチル基であり、R1がC1〜C8アルキル基である、〔27〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物。
〔30〕R2がメチル基であり、R1がメチル基である、〔27〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物。
〔31〕R2がトリフルオロメチル基である、〔27〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物。
〔32〕R2がトリフルオロメチル基であり、R1がC1〜C8アルキル基である、〔27〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物。
〔33〕R2がトリフルオロメチル基であり、R1がメチル基である、〔27〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物。
〔34〕一般式(3)
(式中、R1はC1〜C8アルキル基又はC7〜C14アラルキル基を表し、R2はメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。)
で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物を脱アルコキシ反応させることを特徴とする一般式(4)
(式中、R2はメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。)
で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔35〕脱アルコキシ反応を、無機酸を用いて行うものである、〔34〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔36〕脱アルコキシ反応を、ハロゲン化水素酸を用いて行うものである、〔34〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
〔37〕脱アルコキシ反応を、臭化水素酸を用いて行うものである、〔34〕記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本明細書中で用いる用語について説明する。
「C1〜C20アルキル基」とは、炭素数1乃至20(以下、炭素数については例えば炭素数1乃至20の場合には、これを「C1〜C20」のように表記する。)の直鎖又は分岐アルキル基であって、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基を包含する、を例示できる。
「C7〜C26アラリキル基」とは、アルキル部分が、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基を包含するC1〜C20アルキル基であり、アリール部分が例えばフェニル基、ナフチル基のアリール基であるアラルキル基(即ちアリールアルキル基)であって、具体的にはたとえばベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基、1−オクチルフェニル等のC7〜C26の直鎖又は分岐アラリキル基を例示できる。
「C1〜C20アルキル基或いはハロゲンで置換されても良いアリール基」とは、上記意味を有するC1〜C20アルキル基或いは、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素を包含するハロゲンで置換されていても良いフェニル基、ナフチル基等のアリール基を意味し、具体的には例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、o−メチルフェニル基、p−エチルフェニル基、ドデシルフェニル基、p−クロロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を例示できる。
本発明〔1〕乃至〔13〕に当たる、一般式(4)で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)化合物の製造方法について説明する。
本発明の、一般式(4)で表される,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法は、一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表されるアセトン化合物を、酸の存在下で縮合反応させ、一般式(3)で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物とした後(この工程は本発明〔14〕乃至〔26〕に当たる。)、この2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物を脱アルコキシ反応させる(この工程は本発明〔34〕乃至〔37〕に当たる。)ことを特徴とする、一般式(4)で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法である。
まず、一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表される アセトン化合物の酸の存在下の縮合反応について説明する。
本発明方法の原料として用いる、一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物について説明する。
一般式(1)中のR1はC1〜C8アルキル基又はC7〜C14アラルキル基を表す。置換基R1については、可能であるならば、それらの置換基が更に、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の、直鎖又は分岐C1〜C6アルキル基;例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の環状C1〜C8アルキル基;ヒドロキシ基;例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等の、直鎖又は分岐C1〜C6フッ素置換アルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基等の置換基で置換されていても良い。
当反応に使用できる、一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物としては、具体的には例えば、o−アニシジン、o−エトキシアニリン、o−n−プロポキシアニリン、o−イソプロポキシアニリン、o−n−オクチルオキシアニリン、o−ベンジルオキシアニリン、o−(2−フェニルエチル)オキシアニリン、o−(1−フェニルエチル)オキシアニリン、o−(8−フェニル−n−オクチル)オキシアニリンを例示することができる。
これらの化合物は公知の方法により製造可能な公知な化合物であり、例えばo−アニシジンは市販され、工業的にも安価に入手容易である。
一般式(1)中のR1としては、炭素数1乃至8の直鎖又は分岐アルキル基又はC7〜C14の直鎖又は分岐アラルキル基が好ましく、これらの中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、およびベンジル基が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、およびベンジル基が例示できる。
さらに、これら一般式(1)で表される中のo−アルコキシアニリン化合物は単独であるいは酸の塩としてもいずれの形態でも使用可能である。o−アルコキシアニリン化合物と酸はそれぞれ単独で順次反応系内に仕込んだ後、系内で塩を形成させてもよく、あるいはo−アルコキシアニリン化合物と酸の塩として反応系内に投入しても良い。
当反応に使用できる、一般式(2)で表される アセトン化合物としては、具体的にはアセトン及びヘキサフルオロアセトンである。
本製造法における、一般式(2)で表される アセトン化合物の使用モル比は、一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物に対し0.001〜10モル、好ましくは0.01〜1モルの範囲を、より好ましくは0.1〜1モルの範囲を例示できる。つまり、一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物は、一般式(2)で表されるアセトン化合物に対して過剰量を使用でき、反応性や副反応の大小その他の反応の特性に応じ選択することができる。
o−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表される アセトン化合物の酸の存在下の縮合反応で使用する酸としては、一般式(5)で表されるスルホン酸類、カルボン酸あるいは無機酸が挙げられ、反応性や副反応の大小その他の反応の特性に応じ選択することができる。本発明の製造法に使用できる酸としては、具体的には例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸又はリン酸等を挙げることができ、好ましくはp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、又はトリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類が例示でき、さらに好ましくはp−トルエンスルホン酸を例示できる。
これらの酸は単独で使用できるが、幾つかの酸を組み合わせて使用しても良い。
さらにこれらの酸は単独であるいは一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物の塩としてもいずれの形態でも反応に使用可能である。o−アルコキシアニリン化合物と酸はそれぞれ単独で順次反応系内に仕込んだ後、系内で塩を形成させてもよく、あるいはo−アルコキシアニリン化合物と酸の塩として反応系内に投入しても良い。
また、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の水和物を形成する酸は水和物としても無水物としても使用することができる。例えばp−トルエンスルホン酸はp−トルエンスルホン酸一水和物としても無水p−トルエンスルホン酸としても使用可能である。
本縮合反応は無溶媒でも溶媒を使用下でも実施可能であり、反応性や副反応の大小その他の反応の特性に応じ選択することができる。本反応に使用可能な溶媒としては、反応を阻害せず安定なものであれば良く、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール類;トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;デカリンその他の脂環式炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類;ニトロベンゼン、p−ニトロトルエン等の芳香族系ニトロ化合物;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族系ハロゲン化合物;あるいは水が例示できるが、これらのうち水溶媒または無溶媒が好ましく、さらに好ましくは無溶媒で実施される。
溶媒を使用する際には溶媒は単独で、又は任意の割合の混合溶媒として用いることができる。
使用する溶媒量としては、反応系の攪拌が充分にできる量であれば良いが、一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物原料化合物1モルに対して、通常、0〜100l、好ましくは0〜10lの範囲である。
上記縮合反応の反応温度は50℃〜300℃の範囲を例示できるが、好ましくは100℃〜220℃であり、さらに好ましくは140〜160℃である。
上記縮合反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、好ましくは1時間〜100時間が良く、さらには1時間〜50時間がよい。
上記縮合環反応を行う圧力は特に制限されず、加圧下、減圧下又は常圧のいずれでも可能であり、円滑な反応の促進の観点からは加圧下が好ましい場合もあるものの、操作の簡便性及び経済性からは常圧が好まれるが、これに制限されるものではない。
次に本発明の一般式(3)で表される,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物(本発明〔27〕乃至〔33〕に当たる)の具体例を表1及び表2に例示するが、本発明化合物はこれらの例示化合物に限定されるものではなく、一般式(3)で表される全ての化合物を包含するものである。
ここで、本明細書中の表において用いられる略号の示す意味を説明する。表中の略号は、それぞれ下記の意味を示す。
Me:メチル基 Et:エチル基
Pr:n−プロピル基 iso−Pr:イソプロピル基
Bu:n−ブチル基 Bn:ベンジル基
Me:メチル基 Et:エチル基
Pr:n−プロピル基 iso−Pr:イソプロピル基
Bu:n−ブチル基 Bn:ベンジル基
続いて、本製造法における一般式(3)で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物から一般式(4)で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物を得る脱アルコキシ反応(本発明〔34〕〜〔37〕に当たる。)について説明する。
当脱アルコシキ反応は酸による反応、ルイス酸による反応、あるいは水素添加反応により実施することが可能であり、反応性や副反応の大小その他の反応の特性に応じ選択することができる。
当脱アルコシキ反応を酸による反応で行うときについて説明する。
酸による脱アルコシキ反応で使用する酸としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素を包含するハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸あるいはリン酸等の無機酸が挙げられ、反応性や副反応の大小その他の反応の特性に応じ選択することができる。したがって本製造法に使用できる酸としては、具体的には例えば、47%臭化水素酸、40%臭化水素酸、25%臭化水素・酢酸溶液あるいは58%ヨウ化水素酸等を挙げることができる。これらの酸は公知化合物である。
酸の濃度は任意の濃度で使用可能であり、反応性や副反応の大小その他の反応の特性に応じ選択することができ、1%から80%、好ましくは30%〜50%範囲を例示できる。
酸の使用モル比は、一般式(3)で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物1モルに対して、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜30モルの範囲を、より好ましくは1〜15モルの範囲を例示できる。
酸による脱アルコシキ反応では溶媒を使用可能であり、反応性や副反応の大小その他の反応の特性に応じ選択することができる。本反応に使用可能な溶媒としては、反応を阻害せず安定なものであれば良く、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール類;酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類;あるいは水等をあげる事ができるが、好ましくは水又は酢酸、さらに好ましくは水が例示できる。これらの溶媒は単独で、又は任意の割合の混合溶媒として用いることができる。
使用する溶媒量としては、反応系の攪拌が充分にできる量であれば良いが、一般式(3)で表される原料化合物1モルに対して通常0.1〜100l、好ましくは0.5〜10lの範囲である。
上記酸による脱アルコシキ反応の反応温度は0℃〜300℃の範囲を例示できるが、好ましくは50℃〜150℃であり、さらに好ましくは80〜130℃である。
上記酸による脱アルコシキ反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、好ましくは1時間〜100時間が良く、さらには1時間〜50時間がよい。
上記酸による脱アルコシキ反応を行う圧力は特に制限されず、加圧下、減圧下又は常圧のいずれでも可能であり、円滑な反応の促進の観点からは加圧下が好ましい場合もあるものの、操作の簡便性及び経済性からは常圧が好まれるが、これに制限されるものではない。
当脱アルコシキ反応をルイス酸による反応で行うときについて説明する。
ルイス酸による脱アルコシキ反応で使用するルイス酸としては具体的には例えば、
三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素(三フッ化ホウ素・ジメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体あるいは三フッ化ホウ素・酢酸錯体等を例示できる)、塩化アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)、塩化鉄(III)、あるいは塩化亜鉛(II)等が挙げられ、反応性や副反応の大小その他の反応の特性に応じ選択することができ、好ましくは三臭化ホウ素、塩化アルミニウム(III)、より好ましくは三臭化ホウ素を例示できる。これらのルイス酸は公知化合物である。
三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素(三フッ化ホウ素・ジメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体あるいは三フッ化ホウ素・酢酸錯体等を例示できる)、塩化アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)、塩化鉄(III)、あるいは塩化亜鉛(II)等が挙げられ、反応性や副反応の大小その他の反応の特性に応じ選択することができ、好ましくは三臭化ホウ素、塩化アルミニウム(III)、より好ましくは三臭化ホウ素を例示できる。これらのルイス酸は公知化合物である。
これらのルイス酸の使用モル比は、一般式(3)で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物に対し通常これらの原料化合物1モルに対して1〜100モル、好ましくは1〜10モルの範囲を、より好ましくは1〜5モルの範囲を例示できる。
ルイス酸による脱アルコシキ反応では反応を円滑に進行するために溶媒を用いるのが好ましい。使用する溶媒は反応性や副反応の大小その他の反応の特性に応じ選択することができる。本反応に使用可能な溶媒としては、反応を阻害せず安定なものであれば良く、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化合物;トリクロロエタン等の不飽和脂肪族ハロゲン化合物;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族系ハロゲン化合物;トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、p−ニトロトルエン等の脂肪族系または芳香族系ニトロ化合物;デカリンその他脂環式炭化水素類;酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類;あるいは二硫化炭素等が挙げられ、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化合物;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の芳香族系ハロゲン化合物;酢酸等のカルボン酸類を挙げることができ、より好ましくは脂肪族ハロゲン化合物及び芳香族系ハロゲン化合物を挙げることができ、中でもジクロロメタン、o−ジクロロベンゼンを特に好ましいものとして例示できる。溶媒は単独で、又は任意の割合の混合溶媒として用いることができる。
使用する溶媒量としては、反応系の攪拌が充分にできる量であれば良いが、一般式(3)で表される原料化合物1モルに対して通常0.1〜100l、好ましくは0.5〜10lの範囲である。
上記のルイス酸による脱アルコシキ反応の反応温度は0℃〜使用する溶媒の還流温度の範囲を例示できるが、好ましくは10℃〜180℃であり、さらに好ましくは20〜80℃である。
上記ルイス酸による脱アルコシキ反応の反応時間は特に制限されないが、副生物抑制の観点等から、好ましくは1時間〜100時間が良く、さらには1時間〜50時間がよい。
上記ルイス酸による脱アルコシキ反応を行う圧力は特に制限されず、加圧下、減圧下又は常圧のいずれでも可能でありが、操作の簡便性及び経済性からは常圧が好まれる。
当脱アルコシキ反応を水素添加反応による反応で行うときについて説明する。
一般式(3)で表される、2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物中の置換基R1が水素添加反応に活性であるとき、具体的には例えばR1がベンジル基のときは触媒を用いた水素添加反応により脱アルコシキ反応を行うことができる。
水素添加反応による脱アルコシキ反応で使用する触媒としては具体的には例えば、10%パラジウム/炭素、5%パラジウム/炭素、10%パラジウム/硫酸バリウム、5%パラジウム/炭酸カルシウム、10%ルテニウム/炭素、5%ルテニウム/炭素、5%ロジウム/炭素等を例示できるが、これらに制限されるもにではない。これらの触媒は公知化合物であり、工業的に入手可能である。
これらの触媒の使用モル比は、一般式(3)で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物1モルに対し、触媒金属単体に換算して、通常、0.00001〜1モルの範囲を、より好ましくは0.0001〜0.1モルの範囲を、より好ましくは0.0001〜0.01モルの範囲を例示できる。
水素添加反応による脱アルコシキ反応で使用する水素は常圧〜加圧条件(1atm〜300atm、好ましくは1atm〜10atmが例示できる)で使用でき、反応を阻害しない気体(例えば窒素、アルゴンが例示できる)と混合しても使用できる。
水素添加反応による脱アルコシキ反応では反応を円滑に進行するために溶媒を用いるのが好ましい。本反応に用いうる溶媒としては、反応を阻害せず安定なものであれば良く、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール類;ジフェニルエーテル、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;デカリンその他脂環式炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒類が挙げられる。アルコール類が好ましく、特にメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールを好ましいものとして例示できる。
これらの溶媒は単独で、又は任意の割合の混合溶媒として用いることができる。
使用する溶媒量としては、反応系の攪拌が充分にできる量であれば良いが、一般式(1)で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物1モルに対して、通常、0.1〜100l、好ましくは0.5〜10lの範囲である。
使用する溶媒量としては、反応系の攪拌が充分にできる量であれば良いが、一般式(1)で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物1モルに対して、通常、0.1〜100l、好ましくは0.5〜10lの範囲である。
本発明は、本発明は、高分子あるいは機能性材料等の原料として有用なビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の新規な製造法に関する。
次に、実施例を挙げて本発明化合物の製造方法を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
還流冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた1000mlの四つ口フラスコにp−トルエンスルホン酸一水和物190.2g(1.0mol)を仕込み100℃に昇温溶解した。続いて撹拌下o−アニシジン123.2g(1.0mol)を添加し150℃まで昇温し脱水して溶融したo−アニシジンのp−トルエンスルホン酸塩を得た。その後140〜150℃を保ちながらアセトン29.04g(0.5mol)を24時間かけて滴下し、さらに同温度で7時間加熱環流した。100℃に冷却後、撹拌下、水250mlとトルエン125mlを加えさらに48%水酸化ナトリウム91.7gを滴下してpH=12以上とした。分液し有機層を取り出し水250mlと35%塩酸30.5gを添加しpH=2.0とした後分液した。水層を取り出しトルエン125mlを加えpH=12以上になるまで48%水酸化ナトリウム62.5gを滴下した。分液しトルエン層を取り出し水125mlで洗浄した。沸点100℃/1.33KPa(10mmHg)までトルエンを減圧回収し、さらに沸点115℃/0.400KPa(3mmHg)までo−アニシジンを減圧蒸留で回収除去して目的の2,2−ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)プロパン53.0gを褐色の粘稠性液体として得た。このものを室温で一週間放置し固化させ褐色の結晶を得た。
還流冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた1000mlの四つ口フラスコにp−トルエンスルホン酸一水和物190.2g(1.0mol)を仕込み100℃に昇温溶解した。続いて撹拌下o−アニシジン123.2g(1.0mol)を添加し150℃まで昇温し脱水して溶融したo−アニシジンのp−トルエンスルホン酸塩を得た。その後140〜150℃を保ちながらアセトン29.04g(0.5mol)を24時間かけて滴下し、さらに同温度で7時間加熱環流した。100℃に冷却後、撹拌下、水250mlとトルエン125mlを加えさらに48%水酸化ナトリウム91.7gを滴下してpH=12以上とした。分液し有機層を取り出し水250mlと35%塩酸30.5gを添加しpH=2.0とした後分液した。水層を取り出しトルエン125mlを加えpH=12以上になるまで48%水酸化ナトリウム62.5gを滴下した。分液しトルエン層を取り出し水125mlで洗浄した。沸点100℃/1.33KPa(10mmHg)までトルエンを減圧回収し、さらに沸点115℃/0.400KPa(3mmHg)までo−アニシジンを減圧蒸留で回収除去して目的の2,2−ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)プロパン53.0gを褐色の粘稠性液体として得た。このものを室温で一週間放置し固化させ褐色の結晶を得た。
融点: 100〜104℃
1H−NMR:(300MHz,CDCl3):δ=1.61(s,6H),δ=3.75(s,6H),6.62(d,2H,J=8.1Hz),6.63(d,2H,J=2.1Hz),6.70(dd,2H,J=,8.1,2.1Hz)
1H−NMR:(300MHz,CDCl3):δ=1.61(s,6H),δ=3.75(s,6H),6.62(d,2H,J=8.1Hz),6.63(d,2H,J=2.1Hz),6.70(dd,2H,J=,8.1,2.1Hz)
実施例2
還流冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた500mlの四つ口フラスコに実施例1で合成した2,2−ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)プロパン53.0gと47%臭化水素酸155.1gを仕込み撹拌下110〜120℃で加熱環流した。3時間後に47%臭化水素酸38.8gを追加、さらに32時間後に47%臭化水素酸96.9gを追加しながら同温度で41時間熟成した。反応液を30℃まで冷却後水113mlとトルエン113mlを添加した後、冷却しながら30〜35℃で48%水酸化ナトリウムを滴下してpH=6とし析出した固体を濾過した。この固体を47%臭化水素酸50.0gへ溶解し水113mlとトルエン113mlを加えた。続いて48%水酸化ナトリウムを滴下してpH=4.5とし析出した結晶を濾過、水113mlとトルエン113mlで洗浄、乾燥して褐色結晶37.5gを得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーによる内部標準法で分析したところ純度31.4%で目的の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパンを含有した。
還流冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた500mlの四つ口フラスコに実施例1で合成した2,2−ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)プロパン53.0gと47%臭化水素酸155.1gを仕込み撹拌下110〜120℃で加熱環流した。3時間後に47%臭化水素酸38.8gを追加、さらに32時間後に47%臭化水素酸96.9gを追加しながら同温度で41時間熟成した。反応液を30℃まで冷却後水113mlとトルエン113mlを添加した後、冷却しながら30〜35℃で48%水酸化ナトリウムを滴下してpH=6とし析出した固体を濾過した。この固体を47%臭化水素酸50.0gへ溶解し水113mlとトルエン113mlを加えた。続いて48%水酸化ナトリウムを滴下してpH=4.5とし析出した結晶を濾過、水113mlとトルエン113mlで洗浄、乾燥して褐色結晶37.5gを得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーによる内部標準法で分析したところ純度31.4%で目的の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパンを含有した。
1H−NMR(300MHz,DMSO−d6)δ=1.43(s,6H),4.50(brs,4H),6.43〜6.45(m,6H),8.70(brs,2H)
LC/MS M/Z=258(M+),243(M+−CH3)
LC/MS M/Z=258(M+),243(M+−CH3)
参考例1
撹拌装置を取り付けた反応容器へo−アニシジン24.6g(0.2mol)を仕込み、撹拌しながら冷却下35%塩酸20.0g(0.19mol)を滴下した後、室温で撹拌した。トルエン100mlを加え共沸脱水した後、トルエンを使用して結晶を濾過、洗浄後乾燥してo−アニシジン塩酸塩30.3gを得た。
撹拌装置を取り付けた反応容器へo−アニシジン24.6g(0.2mol)を仕込み、撹拌しながら冷却下35%塩酸20.0g(0.19mol)を滴下した後、室温で撹拌した。トルエン100mlを加え共沸脱水した後、トルエンを使用して結晶を濾過、洗浄後乾燥してo−アニシジン塩酸塩30.3gを得た。
融点:229℃
比較例1
還流冷却管、磁気攪拌子を装着した10mlの反応容器に参考例1で合成したo−アニシジン塩酸塩1.60g(0.01mol)とアセトン0.29g(0.005mol)を仕込み、170℃(バス温)で5時間30分間熟成した。良好な溶融状態と撹拌状態は得られず、目的とする2,2−ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)プロパンの生成は確認できなかった。o−アニシジン塩酸塩の融点が229℃であることより、実施例1のo−アニシジンのp−トルエンスルホン酸塩に替えてo−アニシジン塩酸塩を使用することはできないと推察される。つまり、実施例1と同様な反応温度140〜150℃では、o−アニシジン塩酸塩の溶融した状態は得られず撹拌は困難であり目的とする反応の進行を阻害すると推測される。
還流冷却管、磁気攪拌子を装着した10mlの反応容器に参考例1で合成したo−アニシジン塩酸塩1.60g(0.01mol)とアセトン0.29g(0.005mol)を仕込み、170℃(バス温)で5時間30分間熟成した。良好な溶融状態と撹拌状態は得られず、目的とする2,2−ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)プロパンの生成は確認できなかった。o−アニシジン塩酸塩の融点が229℃であることより、実施例1のo−アニシジンのp−トルエンスルホン酸塩に替えてo−アニシジン塩酸塩を使用することはできないと推察される。つまり、実施例1と同様な反応温度140〜150℃では、o−アニシジン塩酸塩の溶融した状態は得られず撹拌は困難であり目的とする反応の進行を阻害すると推測される。
Claims (8)
- 一般式(1)
で表されるo−アルコキシアニリン化合物と、一般式(2)
で表されるアセトン化合物を、酸の存在下で縮合反応させて、一般式(3)
で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物とした後、この2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物を脱アルコキシ反応させることを特徴とする、一般式(4)
で表される2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。 - 一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表されるアセトン化合物との縮合反応を、o−アルコキシアニリン化合物と酸とで形成された塩の溶融下で行うものである、請求項1記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
- 一般式(1)で表されるo−アルコキシアニリン化合物と一般式(2)で表されるアセトン化合物の縮合反応をo−アルコキシアニリン化合物と酸との塩の溶融下で行うものである、請求項4記載の2,2−ビス(4−アミノ−3−アルコキシフェニル)プロパン化合物の製造方法。
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JP2006211481A JP2008037772A (ja) | 2006-08-02 | 2006-08-02 | 2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン化合物の製造方法 |
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CN109608343A (zh) * | 2019-01-15 | 2019-04-12 | 浙江工业大学 | 一种2,5-二氨基对苯二酚盐酸盐的合成方法 |
-
2006
- 2006-08-02 JP JP2006211481A patent/JP2008037772A/ja active Pending
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CN109608343A (zh) * | 2019-01-15 | 2019-04-12 | 浙江工业大学 | 一种2,5-二氨基对苯二酚盐酸盐的合成方法 |
CN109608343B (zh) * | 2019-01-15 | 2021-07-27 | 浙江工业大学 | 一种2,5-二氨基对苯二酚盐酸盐的合成方法 |
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