JP2008014859A - 放射線像変換パネルおよび放射線像変換パネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】放射線像変換パネル10の製造では、基板12に蛍光体層14を形成してなるパネル本体26と、保護層36および剥離可能な裏打ちフィルム32を貼着してなるシート材30とを、蛍光体層14と保護層36とを対面させて積層し、パネル本体26とシート材30とを圧着する第1の圧着を行う。その後、保護層36から裏打ちフィルム32を剥離して、保護層36とパネル本体26とを圧着する第2の圧着を行う。
【選択図】図1
Description
このシステムでは、人体などの被写体を介してX線等を照射することにより、変換パネル(蛍光体層)に被写体の放射線画像情報を記録する。記録後に、変換パネルをレーザ光等の励起光で2次元的に走査して輝尽発光を生ぜしめ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像信号に基づいて再生した画像を、CRTなどの表示装置や、写真感光材料などの記録材料等に、被写体の放射線画像として出力する。
これに対し、真空蒸着やスパッタリング等の真空成膜法(気相成膜法)によって、基板に蛍光体層を形成してなる変換パネルも知られている。真空成膜法による蛍光体層は、真空中で形成されるので不純物が少なく、また、輝尽性蛍光体以外のバインダなどの成分が殆ど含まれないので、性能のバラツキが少なく、しかも発光効率が非常に良好であるという、優れた特性を有している。
蛍光体層、特に、良好な特性を有するアルカリハライド系の蛍光体層は、柱状結晶構造を有するが、この柱状結晶の成長過程において、柱状結晶が局所的に異常成長したり、隣接する柱状結晶が互いに融合したりすることによって、図4(a)に示すように、蛍光体層114表面にヒロック150を生じる。
なお、図4(a)は、蛍光体層114表面にヒロック150が生じた際の変換パネルの一部を模式的に表した図である。
蛍光体層114、特に、良好な特性を有するアルカリハライド系の輝尽性蛍光体層は、吸湿性が高く、通常(常温/常湿)の環境下であっても、容易に吸湿する。その結果、輝尽発光特性すなわち感度の低下や、輝尽性蛍光体の結晶性の低下(例えば、柱状構造をもつアルカリハライド系の輝尽性蛍光体であれば、結晶の柱状性の崩壊)による再生画像の鮮鋭性の低下等を生じてしまう。
このような不都合をなくすために、変換パネルには、防湿性を有する透明シートを保護層136として用いて、この保護層136で蛍光体層114を覆って封止したものが知られている。
そのため、本発明は、裏打ちフィルムと保護層とを貼着したシート材を用いることで、ハンドリング性の向上や保護層のシワ防止を図り、第1の圧着で裏打ちフィルムの剥離作業性を充分に確保できると共に、第2の圧着を行うことにより、保護層をヒロックや蛍光体層表面と枠上面との段差に追随させることができ、これらに起因する保護層の浮きを最小限にできる。その結果、この浮きに起因する放射線画像の画質低下を最小限にして、高画質な放射線画像を得ることができ、さらに、放射線像変換パネルの歩留りも向上することができ、浮きに起因する保護層と蛍光体層との密着強度低下も防止できる。
保護層36の熱伝導率が0.01W/m・K以上であることにより、第1の圧着として熱圧着(熱ラミネート)を行った際に、効果的に接着層38に熱を伝導することができ、特に、熱可塑性樹脂で形成された接着層38を介して、シート材30と蛍光体層14表面および枠上面(変換パネル本体26)とを貼着する場合には、シート材30と蛍光体層14表面および枠上面との充分な密着強度を確保することができる。また、保護層36の熱伝導率が0.01W/m・K以上であることにより、第2の圧着として熱ラミネートをを行った際にも、効果的に接着層38に熱を伝導することができ、特に、接着層38が熱可塑性樹脂で形成される場合には、接着層38を軟化させ、粘着性を上昇させることができる。これにより、保護層36が蛍光体層14表面のヒロックや蛍光体層14表面および枠20上面との段差を追従した状態で、保護層36と蛍光体層14表面および枠20上面とを貼着することが可能になる。また、保護層36の熱伝導率が10.0W/m・K以下であることにより、第1および第2の圧着として、熱ラミネートを行った際に、熱が保護層36や蛍光体層14に過剰に伝導し、保護層36や蛍光体層14にダメージを与えることを防止することができる。
保護層36のヤング率が0.01GPa以上であることにより、第1および第2の圧着によって、保護層36がダメージを受けることを防止することができる。また、保護層36のヤング率が10GPa以下であることにより、第2の圧着の際に、保護層36が蛍光体層14表面のヒロック50や蛍光体層14表面と枠20上面との段差を追従することが可能になる。
保護層36の厚みが1μm以上であることにより、裏打ちフィルム32に保護層36を貼着する際のハンドリングを容易に行うことができる。また、保護層36の厚みが20μm以下であることにより、第1の圧着の際には、シート材30と変換パネル本体26とを充分に貼着ることが可能になり、また、第2の圧着の際には、保護層36が蛍光体層14表面のヒロック50や蛍光体層14表面と枠20上面との段差を追従することが可能になる。
また、上述のフィルム上に積層する膜も単層構造に限定されず、無機層の二層構造としてもよく、それぞれの無機層は異なる材質からなるものであっても、同じ材質からなるものであってもよい。
熱可塑性樹脂を用いることについての利点は、後の変換パネルの製造方法において、詳述する。
一例として、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルム; 石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、耐熱ガラス(パイレックスTM等)などから形成されるガラス板; アルミニウムシート、鉄シート、銅シート、クロムシートなどの金属シートあるいは金属酸化物の被服層を有する金属シート; 等が例示される。
なお、本発明においては、基板12は、前記フィルムやシートそのものであってもよく、あるいは、基材の表面に輝尽発光光を反射するための反射膜、あるいはさらに、反射膜の上に反射膜を保護するためのバリア膜、基材の保護膜等を有するものであってもよい。
枠20の形状には、特に限定はなく、変換パネル10の撮像領域に応じて、適宜、限定すればよいが、図示例においては、一例として、上下面が開放する四角柱状のものである。
また、枠20の形成材料にも、特に限定は無いが、変換パネル10の温度が変化した場合の熱膨張率差による変形を低減するために、例えば、基板12と同一素材のものが好ましい。
好ましい一例として、特開昭61−72087号公報に開示される、一般式「MI X・aMIIX’2 ・bMIII X3’’ :cA」で示されるアルカリハライド系輝尽性蛍光体が例示される。
(上記式において、MIは、Li,Na,K,RbおよびCsからなる群より選択される少なくとも一種であり、MIIは、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,CuおよびNiからなる群より選択される少なくとも一種の二価の金属であり、MIIIは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,GaおよびInからなる群より選択される少なくとも一種の三価の金属であり、X、X’およびX''は、F,Cl,BrおよびIからなる群より選択される少なくとも一種であり、Aは、Eu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu,BiおよびMgからなる群より選択される少なくとも一種である。また、0≦a<0.5であり、0≦b<0.5であり、0<c≦0.2である。)
中でも、生産性等の点で真空蒸着により形成された蛍光体層14が好ましく、特に、蛍光体成分の材料と、付活剤(賦活剤:activator)成分の材料とを別々に加熱蒸発させる、多元の真空蒸着により形成された蛍光体層14が好ましい。
また、本件出願人の検討によれば、前述した各種の輝尽性蛍光体、特にアルカリハライド系輝尽性蛍光体、中でも特にCsBr:Euを真空蒸着で成膜する場合には、一旦、系内を高い真空度に排気した後、アルゴンガスや窒素ガス等を系内に導入して、0.01Pa〜3Pa、特に、0.5Pa〜1.5Pa程度の中真空度とし、この中真空下で抵抗加熱等による真空蒸着を行うことにより、蛍光体層14を形成するのが好ましい。前記CsBr:Eu等のアルカリハライド系の蛍光体層14は、柱状結晶構造を有するが、このような中真空下で成膜して得られる蛍光体層14は、特に良好な柱状の結晶構造を有し、輝尽発光特性画像の鮮鋭性等の点で好ましい。
また、基板12の加熱等によって、成膜中に、形成された蛍光体層14を300℃以下、好ましくは200℃以下で加熱してもよい。
さらに、厚さにも、限定はないが、50μm以上、特に、200μm以上の蛍光体層14が好ましい。
本発明の変換パネル10の製造方法は、まず、図1(a)〜(b)に示すように、変換パネル26の蛍光体層14に、シート材30の表面に熱可塑性樹脂で形成された接着層38を対面させて積層する。次いで、基板12の温度が100℃〜130℃になるように、基板12を加熱する。なお、このときの基板12の加熱温度は、接着層38に応じて適宜決定すればよい。また、ここでの基板12の加熱は、後に述べる第1の圧着として熱ラミネートをより効果的に実施することを可能とするが、必ずしも必要では無い。
基板12の加熱終了後、図1(b)に示すように、本実施形態においては、ローラ60でシート材30の表面を押圧しながら移動させて、第1の圧着として熱ラミネートを行うことにより、接着層38を介して、シート材30と蛍光体層14表面および枠20上面とを圧着する。なお、好ましくは、ローラ60を加熱しつつ、および/または、基板12を加熱しつつ圧着する熱ラミネートを行う。なお、このときのローラ60および/または基板12の加熱温度は、接着層38に応じて、適宜決定すればよい。
その後、図1(d)に示すように、上述と同様のローラ60で保護層36の表面を押圧しながら移動させて、第2の圧着として熱ラミネートを行うことにより、保護層36と蛍光体層14表面および枠20上面とを圧着する。なお、ここでも、好ましくは、ローラ60を加熱しつつ、および/または、基板12を加熱しつつ圧着する熱ラミネートを行う。
なお、このときのローラ60および/または基板12の加熱温度も、接着層38に応じて、適宜決定すればよい。
また、特に、本実施形態においては、接着層38を熱可塑性樹脂で形成した場合に、第2の圧着として熱ラミネートを行うことにより、接着層38が軟化し、粘着性が上昇するため、保護層36が図2(a)に示すようにヒロック50を追随した状態で、または、保護層36が図2(b)に示すように、蛍光体層14表面および枠16上面との段差を追随した状態で、蛍光体層14表面および枠20上面に貼着される。
同様に、本実施形態においては、第2の圧着を熱ラミネート(熱圧着)としたが、本発明においては、これに限定されず、保護層36が蛍光体層14表面にあるヒロック50や蛍光体層14表面と枠20上面との段差を追随することができる圧着方法であればどのような圧着方法でもよい。
12,112 基板
14,114 輝尽性蛍光体層
20,120 枠
22 溝
26 放射線像変換パネル本体
30 シート材
32 裏打ちフィルム
36,136 保護層
38 接着層
50,150 ヒロック
Claims (7)
- 気相堆積法によって形成された蛍光体層を有し、この蛍光体層を保護層で覆ってなる放射線像変換パネルを製造するに際し、
基板に前記蛍光体層を形成してなるパネル本体と、前記保護層および剥離可能な裏打ちフィルムを貼着してなるシート材とを、前記保護層の裏打ちフィルムの無い面あるいは前記蛍光体層表面の一方または双方に接着剤を塗布した後、前記蛍光体層と前記保護層とを対面させて積層して、前記パネル本体とシート材とを圧着する第1の圧着を行い、
その後、前記保護層から前記裏打ちフィルムを剥離して、前記保護層と前記パネル本体とを圧着する第2の圧着を行うことを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。 - 前記蛍光体層と前記保護層とを接着する接着剤が熱可塑性樹脂であり、かつ、前記第1の圧着および第2の圧着が熱圧着である請求項1に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
- 前記保護層の熱伝導率が0.01W/m・K〜10.0W/m・Kである請求項1または2に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
- 前記保護層のヤング率が0.01GPa〜100GPaである請求項1〜3のいずれかに記載の放射線像変換パネルの製造方法。
- 前記保護層の厚みが1μm〜20μmである請求項1〜4のいずれかに記載の放射線像変換パネルの製造方法。
- 前記保護層は、熱伝導率が0.1W/m・K〜0.3W/m・Kで、ヤング率が1GPa〜10GPaで、さらに、厚みが1μm〜10μmである請求項1〜5のいずれかに記載の放射線像変換パネルの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の放射線像変換パネルの製造方法で製造されてなる放射線像変換パネル。
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