JP2008008883A - 磁気センサ及びセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被検出対象物から発せられる磁界を検出すべく配設された検出用縦型ホール素子10と、この検出用縦型ホール素子10と同一の特性を有して同検出用縦型ホール素子10の近傍に配設される温度モニタ用縦型ホール素子20とを備えて磁気センサを構成した。そして、検出用縦型ホール素子10から出力されるホール電圧と、温度モニタ用縦型ホール素子20の端子Sと端子G1,G2との間からその端子間電圧として取り出される温度モニタ電圧とによりそれら電圧の温度特性を相殺する演算を減算回路30にて行い、この減算回路30の出力電圧Vcをセンサ出力とした。
【選択図】図1
Description
Vh=(Rh×I×B/d)×cosθ
なる関係式で示されるホール電圧Vhが発生することになる。ここで、角度θは、ホール素子100と磁界の向きとのなす角度である。また、Rhはホール係数であり、電荷をq、キャリア密度をnとしたとき、Rh=1/(q×n)なる関係式で示される値である。このように、ホール素子にて発生するホール電圧Vhは、磁束密度Bや角度θの関数となっている。このため、このホール電圧Vhの大きさに応じて、印加されている磁界の強さや磁界の向き(角度θ)を検出することができる。
前中一介、「集積化三次元磁気センサ」、電気学会論文誌 C、平成元年、第109巻、第7号、p.483−490 前中一介、「縦型ホール素子の特性と高感度化」、電気学会論文誌 E、平成9年、第117巻、第7号、p.364−370
これらの要因により、結局、図22(c)中に二点鎖線にて示すような電圧がホール素子から出力されることとなる。
(イ)上記ホール電圧に上記温度モニタ電圧を加算する加算演算、
あるいは、請求項3に記載の発明によるように、
(ロ)上記ホール電圧から上記温度モニタ電圧を減算する減算演算、
等々の演算があり、これらいずれの演算を行っても、温度変化に対して直線性に優れた特性を有するセンサ出力を得ることができる。
(a)上記検出用のホール素子を定電圧駆動し、上記温度モニタ用のホール素子を定電流駆動する、
あるいは、請求項5に記載の発明によるように、
(b)上記検出用のホール素子を定電流駆動し、上記温度モニタ用のホール素子を定電圧駆動する、
あるいは、請求項6に記載の発明によるように、
(c)上記検出用のホール素子および上記温度モニタ用のホール素子を、共に定電流駆動する、
あるいは、請求項7に記載の発明によるように、
(d)上記検出用のホール素子および上記温度モニタ用のホール素子を、共に定電圧駆動する、
等々、種々の駆動態様を採用することができる。このうち特に、ホール素子を定電流駆動する場合には、同ホール素子を定電圧駆動する場合に比較して、ホール素子自身の温度特性によるホール電圧の変動が小さいことから、温度変化に対してより直線性に優れた特性を有するセンサ出力を得ることができるようになる。
(e)上記検出用のホール素子および上記温度モニタ用のホール素子を、駆動源に対して直列接続する、
あるいは、請求項9に記載の発明によるように
(f)上記検出用のホール素子および上記温度モニタ用のホール素子を、駆動源に対して並列接続する、
等々、がある。
(ハ)上記ホール電圧に上記温度モニタ電圧を加算する加算演算、
あるいは、請求項13に記載の発明によるように、
(ニ)上記ホール電圧から上記温度モニタ電圧を減算する減算演算、
等々の演算があり、これらいずれの演算を行っても、温度変化に対して直線性に優れた特性を有するセンサ出力を得ることができる。
(g)上記ホール素子を定電流駆動する、
あるいは、請求項15に記載の発明によるように、
(h)上記ホール素子を定電圧駆動する、
等々、種々の駆動態様を採用することができる。このうち特に、ホール素子を定電流駆動する場合には、同ホール素子を定電圧駆動する場合に比較して、ホール素子自身の温度特性によるホール電圧の変動が小さいことから、温度変化に対してより直線性に優れた特性を有するセンサ出力を得ることができるようになる。
以下、本発明にかかる磁気センサを具体化した第1の実施の形態について、図1〜図5を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態にかかる磁気センサでは、磁気を検出する素子として前述の縦型ホール素子を採用している。この縦型ホール素子の構造および磁界検出原理については既に説明した通りであり、ここでは、端子名に同一名称を付すこととしてその詳細な説明を割愛する。
Vhd=μh×(W/L)×V×B
なる関係式にて示される。こうした検出用縦型ホール素子10では、温度の上昇に伴い、同検出用縦型ホール素子10を構成する原子の原子核の熱振動の増大や不純物イオンによる散乱のため、平均自由行程が短くなって空乏層内部における電子の移動が妨げられるため、キャリアの移動度μhが低下することとなる。こうして、検出用縦型ホール素子10では、温度の上昇に伴って移動度μhが小さくなり、そのホール電圧Vhdが温度の上昇とともに指数関数的に減少する。またキャリア濃度が小さいほど、温度上昇に伴う空乏層幅の増加度合が大きくなる。このため、図3(a)に示されるように、増幅器12から出力されるホール電圧Vdは、同じく温度の上昇とともに指数関数的に減少することとなる。
Vhm=(Rh/d)×I×B
なる関係式にて示される。この関係式においてホール係数Rhは、電荷をq、キャリア密度をnとしたとき、Rh=1/(q×n)なる関係式にて示される値である。こうした温度モニタ用縦型ホール素子20では、温度が上昇すると、その不純物レベルから励起されるキャリア数が増加するため、キャリア密度nが増加する。このため、こうしたキャリア密度nの増加を通じてホール係数Rhが小さくなり、そのホール電圧Vhmが温度の上昇とともに指数関数的に減少する。また、温度の上昇に伴ってキャリアの移動度が低下するため、温度モニタ用縦型ホール素子20の電気抵抗値は、温度の上昇とともに増加する。これにより、温度モニタ用縦型ホール素子20の端子Sと端子G1,G2との間の端子間電圧は、温度の上昇とともに指数関数的に増加することとなり、増幅器22から出力される温度モニタ電圧Vmも、図3(b)に示されるように、温度の上昇とともに指数関数的に増加することとなる。
S(T)=S(0)(1+β1T+β2T2)
βt=Bto+Bt1logNs+Bt2logNs2+Bt3logNs3 (T=1,2)
なる関係式にて示される。つまり、キャリア濃度Nsに依存する係数βにて表すことができる。一方、温度モニタ用のホール素子20の抵抗の温度変化は、図4(b)のように変化する。この抵抗値Rの変化は、温度Tに対して、
R(T)=R(0)(1+α1T+α2T2)
αt=Ato+At1logNs+At2logNs2+At3logNs3 (T=1,2)
なる関係式にて示される。つまりキャリア濃度Nsに依存する係数αにて表すことができる。従って、上記係数α及び係数βが同じになるように係数A,Bを合わせることにより、温度変化に対するホール電圧の変動をキャンセルすることが可能となる。上記減算回路30において演算するときに、係数を掛け合わせる。
(1)検出用縦型ホール素子10と同一の特性を有する温度モニタ用縦型ホール素子20を同検出用縦型ホール素子10の近傍に配設するようにした。そして、検出用縦型ホール素子10のホール電圧Vhdに応じて増幅器12から出力されるホール電圧Vdから、温度モニタ用縦型ホール素子20の端子Sおよび端子G1,G2の間からその端子間電圧として取り出される電圧に応じて増幅器22から出力される温度モニタ電圧Vmを、減算回路30において減算するようにした。これにより、減算回路30から出力される出力電圧Vcは、温度変化に対して直線性に優れた特性を有するようになる。したがって、温度特性に起因するホール電圧Vhdの変動を高い精度のもとに補正することができるようになる。ちなみに検出用及び温度モニタ用の縦型ホール素子10,20をチップ中央に配置すれば、ホール素子が受けるチップ応力の影響が軽減されるため、磁気センサの精度を高めることができる。
次に、本発明にかかる磁気センサを具体化した第2の実施の形態について説明する。本実施の形態にかかる磁気センサも、先の第1の実施の形態にかかる磁気センサに準じた構成となっている。ここでは、先の第1の実施の形態にかかる磁気センサと同一、あるいはそれに準じた構成については同一符号を付すこととして、その詳細な説明を割愛する。
(1)検出用縦型ホール素子10と温度モニタ用縦型ホール素子20とを定電流駆動源21に対して直列接続し、これら検出用縦型ホール素子10および温度モニタ用縦型ホール素子20を共に定電流駆動するようにした。これにより、検出用縦型ホール素子10に流れた電流と同じ電流が、温度モニタ用縦型ホール素子20にも流れるようになる。このため、温度に対するホール電圧Vhdの依存性、すなわち温度係数が小さい出力電圧Vcが磁気センサから出力されるようになり、温度特性に起因するホール電圧Vhdの変動をより高精度に補正することができようになる。
次に、本発明にかかる磁気センサを具体化した第3の実施の形態について説明する。本実施の形態にかかる磁気センサでは、先の検出用縦型ホール素子および先の温度モニタ用縦型ホール素子のそれぞれが担っている機能を単一のホール素子によって実現している。こうした磁気センサについて、図8を参照しつつ説明する。図8は、本実施の形態にかかる磁気センサの回路構成を模式的に示したものである。
以上説明したように、本実施の形態にかかる磁気センサによれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
・上記第1の実施の形態では、検出用縦型ホール素子10の端子Sに定電圧駆動源11を接続するとともに端子G1,G2を接地することにより、同検出用縦型ホール素子10を定電圧駆動するようにしていた。この検出用縦型ホール素子10の駆動方法としては、こうした定電圧駆動に限定されるものではなく、例えば、図9に示すように、上記端子Sを定電流駆動源21に接続して、同検出用縦型ホール素子10および温度モニタ用縦型ホール素子20を共に定電流駆動するようにしてもよい。このように、検出用縦型ホール素子10と温度モニタ用縦型ホール素子20とを定電流駆動源21に対して並列接続するようにすれば、これら検出用縦型ホール素子10および温度モニタ用縦型ホール素子20から構成される並列回路の合成抵抗を低下させることができるため、定電流駆動源21にて供給する電流の量を増加させることができる。このため、定電流駆動源21の供給電流量を増加させて検出用縦型ホール素子10および温度モニタ用縦型ホール素子20から出力されるホール電圧Vhd,Vhmを増加させれば、増幅器12,22の増幅率を低下させることができるようになり、被検出対象物から発せられる磁界を高精度に検出することができるようになる。
ガラス等よりなる台座71上に接着固定されたシリコン基板72を備えて構成されている。半導体基板であるシリコン基板72には、センシング部としての薄肉化したダイヤフラム73が形成されている。図15(a)に示すように、ダイヤフラム73が形成された領域には、拡散抵抗(歪みゲージ)RA,RB,RC,RDが形成されており、これらの歪みゲージRA〜RDはブリッジ回路を構成している。尚、図15(a)では、拡散抵抗RA〜RDはダイヤフラム73の周辺に沿って形成しているが、その配置は適宜変更されてもよい。例えば、ダイヤフラム73の端部に2つの歪みゲージ形成し、ダイヤフラム73の表面中央部に2つの歪みゲージを形成してもよい。
Claims (25)
- 被検出対象物から発せられる磁界を検出すべく配設された検出用のホール素子と、この検出用のホール素子と同一の特性を有して同検出用のホール素子の近傍に配設される温度モニタ用のホール素子とを備え、前記検出用のホール素子から出力されるホール電圧と前記温度モニタ用のホール素子の駆動信号供給端子間からその端子間電圧として取り出される温度モニタ電圧とによりそれら電圧の温度特性を相殺する演算を行ってセンサ出力を得る磁気センサ。
- 前記温度特性を相殺する演算が前記ホール電圧に前記温度モニタ電圧を加算する加算演算である
請求項1に記載の磁気センサ。 - 前記温度特性を相殺する演算が前記ホール電圧から前記温度モニタ電圧を減算する減算演算である
請求項1に記載の磁気センサ。 - 前記検出用のホール素子は定電圧駆動され、前記温度モニタ用のホール素子は定電流駆動される
請求項2または3に記載の磁気センサ。 - 前記検出用のホール素子は定電流駆動され、前記温度モニタ用のホール素子は定電圧駆動される
請求項2または3に記載の磁気センサ。 - 前記検出用のホール素子および前記温度モニタ用のホール素子は、共に定電流駆動される
請求項2または3に記載の磁気センサ。 - 前記検出用のホール素子および前記温度モニタ用のホール素子は、共に定電圧駆動される
請求項2または3に記載の磁気センサ。 - 前記検出用のホール素子および前記温度モニタ用のホール素子は、駆動源に対して直列接続されてなる
請求項6または7に記載の磁気センサ。 - 前記検出用のホール素子および前記温度モニタ用のホール素子は、駆動源に対して並列接続されてなる
請求項6または7に記載の磁気センサ。 - 前記検出用のホール素子および前記温度モニタ用のホール素子は、共に基板の表面に水平な磁界成分を検出する縦型ホール素子である
請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁気センサ。 - 被検出対象物から発せられる磁界を検出すべく配設されたホール素子と、このホール素子から出力されるホール電圧および同ホール素子の駆動信号供給端子間からその端子間電圧として取り出される温度モニタ電圧とを切替出力する切替手段とを備え、これら切替出力されるホール電圧と温度モニタ電圧とによりそれら電圧の温度特性を相殺する演算を行ってセンサ出力を得る磁気センサ。
- 前記温度特性を相殺する演算が前記ホール電圧に前記温度モニタ電圧を加算する加算演算である
請求項11に記載の磁気センサ。 - 前記温度特性を相殺する演算が前記ホール電圧から前記温度モニタ電圧を減算する減算演算である
請求項11に記載の磁気センサ。 - 前記ホール素子は定電流駆動される
請求項12または13に記載の磁気センサ。 - 前記ホール素子は定電圧駆動される
請求項12または13に記載の磁気センサ。 - 前記ホール素子は基板の表面に水平な磁界成分を検出する縦型ホール素子である
請求項11〜15のいずれか一項に記載の磁気センサ。 - 被検出対象物から発せられる磁界を検出すべく配設された検出用のホール素子と、この検出用のホール素子と同一の特性を有して同検出用のホール素子の近傍に配設される温度モニタ用のホール素子とを備え、前記検出用のホール素子から出力されるオフセット電圧と前記温度モニタ用のホール素子の駆動信号供給端子間からその端子間電圧として取り出される温度モニタ電圧とによりそれら電圧の温度特性を相殺する演算を行ってセンサ出力を得る磁気センサ。
- 前記温度モニタ用のホール素子は前記検出用のホール素子である
請求項17に記載の磁気センサ。 - 前記温度モニタ用のホール素子は、前記検出用のホール素子とは形状が異なる素子である
請求項17に記載の磁気センサ。 - 前記温度モニタ用のホール素子に替えて温度モニタ用の抵抗を備えた
請求項17又は19に記載の磁気センサ。 - 被検出対象物に応じた物理量を検出するために設けられ等価的にブリッジ回路として示される1つの素子又はブリッジ回路を構成する複数の素子からなる第1の検出部と、この検出部を構成する素子の近傍に配設され等価的にブリッジ回路として示される1つの素子又はブリッジ回路を構成する複数の素子からなる温度モニタ用の第2の検出部とを備え、前記第1の検出部から前記物理量に応じて出力される検出電圧と前記第2の検出部の駆動信号供給端子間からその端子間電圧として取り出される温度モニタ電圧とによりそれら電圧の温度特性を相殺する演算を行ってセンサ出力を得るセンサ。
- 被検出対象物に応じた物理量を検出するために設けられ等価的にブリッジ回路として示される1つの素子又はブリッジ回路を構成する複数の素子からなる第1の検出部と、この検出部から前記物理量に応じて出力される検出電圧、及び前記第1の検出部の駆動信号供給端子間からその端子間電圧として取り出される温度モニタ電圧とによりそれら電圧の温度特性を相殺する演算を行ってセンサ出力を得るセンサ。
- 前記第1の検出部は、物理量として磁界を検出するホール素子である
請求項21又は22に記載のセンサ。 - 前記第1の検出部は、物理量として圧力に応じた歪みを検出する歪みゲージである
請求項21又は22に記載のセンサ。 - 前記第1の検出部と前記第2の検出部は、互いに電気的特性が異なるように形成された
請求項21又は22に記載のセンサ。
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