JP2007505142A - 血液脳関門を通過する薬剤のカリウムチャネル媒介性送達 - Google Patents

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Abstract

本発明は、脳腫瘍および異常脳組織を特徴とする疾患または障害を含む悪性腫瘍の処置または診断のための薬学的組成物、方法およびキットを含む。本発明の一実施形態において、治療剤、予防剤または診断剤を哺乳動物被験体の異常脳領域に供給するための方法が開示される。この方法は、上記異常脳領域の細胞に血液を送達する毛細血管または細動脈の、治療剤、予防剤または診断剤に対する透過性を高めるのに十分な条件下で、かつ十分な量で、ATP感受性カリウムチャネルの1種以上のアクチベータをカルシウム活性化カリウムチャネルの1種以上のアクチベータと組み合わせて投与する工程;および上記治療剤または診断剤が異常脳領域の細胞に選択的に送達されるように上記治療剤、予防剤または診断剤を上記被験体に投与する工程による方法である。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年2月27日に出願された米国仮特許出願第60/548,636号、2003年12月10日に出願された米国仮特許出願第60/528,440号および2003年9月10日に出願された米国仮特許出願第60/502,159号に対する優先権を主張する。これらの内容は全て、本明細書中に参考として援用される。
(発明の分野)
本発明は脳腫瘍および、異常脳組織によって特徴付けられる疾患または障害を含む悪性腫瘍の処置または診断のための薬学的組成物、方法およびキットを包含する。
(発明の背景)
血液脳関門(BBB)は、物質の脳内への侵入を厳しく制御する経血管透過性関門である。体の他の領域に役立つ毛細血管とは異なり、脳を潅流する毛細血管は、有窓性に欠ける特殊な内皮細胞で裏打ちされ、内皮接着結合によって封止されている。この固く結んだ内皮が、代謝関門と共にBBBの基礎を形成すると考えられる物理的関門を提供する。血液脳関門の維持は、内因性の一酸化窒素産生および環状GMP依存性機構に関係し得る(非特許文献1)。
BBBは、病原体(例えば、ウィルス)や、全身的血液供給の組成的変化(例えば、電解質レベル)を含む他の循環系の危険に対して脳を防御する。しかし、この関門は完全ではなく、この障壁を通って自由に拡散し得る低分子の脂肪可溶性(親油性)分子のような特定の物質を侵入させる。BBBはまた、脳機能に重要なグルコースおよびアミノ酸のような必須栄養素も浸入させる。これらの栄養素は、概ね水可溶性(親水性)であり、BBBを通過するためのより複雑なメカニズム(例えば、担体媒介性輸送、レセプター媒介性トランスサイトーシスおよび吸収媒介性トランスサイトーシス)を必要とする。
BBBは正常な環境下では防御的ではあるが、薬物および他の治療用分子の脳への送達を阻害する。BBBは中枢神経系(CNS)薬物の98%以上の送達をブロックすることが報告されている(非特許文献2)。特に高齢者層が増加し、脳卒中、アルツハイマー病、およびパーキンソン病などの神経変性疾患の発生が大きく増加している現在、BBBによって課される薬物送達の挑戦が強要されている。体の他の部位の腫瘍の処置には有効である抗癌剤からの恩恵に受けることができない悪性脳腫瘍患者にとってこの問題は特に深刻である。BBBを通過する薬物送達を解決すれば、脳ベースの障害の処置および予防のために利用可能な薬物の数が指数関数的に増加する。
異常な脳領域に治療的分子を送達するための理想的戦略は、上記異常領域に役立つBBBの部分だけを選択的に開くことを含む。脳腫瘍に役立つBBBの部分は血液脳腫瘍関門(blood−brain tumor barrier)(BTB)として公知である。異常脳組織への薬物送達を増強し得る1または数個の戦略が探求されている(非特許文献3)。これらの努力の幾つかは、関門を変えることよりもむしろ治療分子を変化させることに焦点を当てている。合理的な薬物設計または薬物送達の戦略は、親油性アナリグを開発するかまたは親水性薬物をリポソーム中にパッケージングすることのいずれかによって、さもなくば脂質に溶解しにくい化合物を「脂質化する(lipidize)」ことを試みている。このアプローチは、親油性アナログが血中で比較的不安定であり、これらのアナログがその高まった脂質可溶性の直接的結果として血液から速やかに除去されることによって制限されている。
他の戦略は、例えば薬物を脳に直接注射することによって、または移植可能の薬物送達デバイス(すなわち、Gliadel WafersTM、Guildford Pharmaceutical)の使用によって、上記関門を迂回することに焦点を当てている。これらの戦略は非常に侵襲的であるばかりでなく、それらは、異常脳領域への特異的送達を提供しない。さらに、脳内移植物は大きい腫瘍(すなわち、500μm以上)に対しては効果がない。なぜならば、これらのデバイスからの薬物拡散が限定されているからである。脳内移植物は、神経膠腫(例えば、多形性神経膠芽細胞腫(GBM))のような非常ににびまん性の腫瘍に対しては一般的に効果がない。
BBBの破壊は、薬物送達を増強するための別の戦略を提供する。種々の破壊技術が研究されているが、大部分は失望する結果または受容可能でない毒性をもたらしている(非特許文献4)。これらとしては、例えば以下のものが挙げられる:ジメチルスルホキシドまたはエタノールなどの溶媒の注入(非特許文献5;非特許文献6)、アルミニウムのような金属の注入(非特許文献7)、並びにX線照射(非特許文献8)、およびBBB破壊に関連する病的状態(すなわち高血圧、虚血)の誘導(非特許文献9)。他の実験的戦略は、けいれん薬および抗けいれん薬の同時投与、および抗新生物剤の全身投与(非特許文献10)が挙げられる。これら技術の多くについて原因となる機構はよく理解されていない。
浸透圧的破壊は幾つかの臨床的有望性を示しているが、その広範囲の使用を妨げる制限を受ける。浸透圧的破壊は、内皮細胞収縮を開始し、接着結合を開き、それによって透過性を高めるという様態で作用する。例えば、高張性マンニトールは、ラット(非特許文献11)およびヒト(非特許文献12)においてBBBを破壊することが示されている。浸透圧的破壊はウィルスベクターのような比較的大きい治療薬の取り込みを増強することが示されている(非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15)。
しかし浸透圧的破壊は、毒性/治療性の不都合な比によって特徴づけられるBBBを一般的な開口を生じる。この方法は、正常脳内皮の透過性を10倍高めるが、腫瘍微小血管の透過性は25%高めるに過ぎない(非特許文献16;非特許文献17)。他の好ましくない副作用としては、生理的ストレス、頭蓋内圧の一過性増加、および抗ガン剤の正常脳組織への不都合な送達などがある(非特許文献18)。
BBBの生化学的破壊もまた調査されている。生化学的破壊は、特定の血管活性分子の投与によって、正常脳毛細血管に比較して腫瘍毛細血管の透過性の方が高まるという観察に基づく。脳腫瘍において脳血管機能の内皮依存性調節は損なわれ(非特許文献19;非特許文献20)、それが血管調節に反応する腫瘍毛細血管透過性に影響し得る。こうして生化学的破壊は、浸透圧的破壊が提供し得ない選択性の見込みがある。
ロイコトリエン(LTC)、ブラジキニン(BK)およびヒスタミンのような特定の血管活性化合物は、BBBを選択的に混乱させる(disrupt)ことが示された(すなわち、BBBの混乱)(非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24;非特許文献25;非特許文献26)。
ロイコトリエン。LTCは不飽和脂肪酸、アラキドン酸(AA)から、5−リポキシゲナーゼ経路を介して形成される生物学的活性分子である。エポキシド中間体LTAを介するAAからロイコトリエン(LTC)への変換は、Ca2+依存性である。脳内のLTCのレベルは脳腫瘍において上昇する。LTCの頸動脈内注入は、脳腫瘍の毛細血管透過性を選択的に高めるが、正常脳では高めない(非特許文献27;非特許文献28;非特許文献29)。残念ながらロイコトリエンの効果は小さく、低分子に限られる(非特許文献30)。よって、LTCはより大きい水可溶性分子の脳腫瘍への送達を有意には高めない。
特定の血管活性化合物が脳腫瘍の毛細血管透過性に対して選択的効果を及ぼす原因となる機構が研究されている。ロイコトリエンのこの選択的効果は、現在のところ、正常脳毛細血管には存在するが対応する脳腫瘍には存在しない酵素的関門であると理解されている。正常脳の毛細血管は、BBB酵素γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−GTP)に富む。これは酵素関門として作用し、LTCを速やかに分解し、それが毛細血管の透過性に作用することを阻止する。異常脳の毛細血管および腫瘍毛細血管は、γ−GTPおよびその酵素的関門効果が欠如している(非特許文献31)。脳腫瘍毛細血管の透過性に対するヒスタミンの選択的効果はH2レセプターによって媒介されると考えられる(非特許文献32;非特許文献33)。これらの機構は、これら2種類の特定の化合物に特異的であり、ブラジキニンまたはブラジキニンアナログのような他の血管活性化合物の効果についての説明を提供しない。
ブラジキニン。BK、ノナペプチド(Arg−Pro−Pro−Gly−Phe−Ser−Pro−Phe−Arg)、はキノゲン(kinogen)から形成される(非特許文献34)。血管活性ノナペプチドブラジキニンおよびそれらのアゴニストまたはポリペプチドアナログ(例えば、RMP−7のようなレセプター媒介性透過処理剤[RMPs])を静脈内投与し、同時投与した神経薬または診断剤に対するBBB透過性を高めた(B.Malfroy−Camineに対する、「Method for increasing blood−brain barrier permeability by administering a bradykinin agonist of blood−brain barrier permeability」と表題と付けられた特許文献1;J.W.Kozarichらに対する、「Increasing blood−brain barrier permeability with permeabilizer peptides」と表題を付けられた特許文献2)。残念なことに、静脈注入は所望されない血圧低下作用を起こし、臨床的には実用できないことが証明された(非特許文献35)。
少用量のブラジキニン頸動脈内注入がBTBの選択的開通をもたらすことが判明した(非特許文献36)。ブラジキニンは、非常に多量を除き、正常BBBの透過性は高めない(非特許文献37)。ブラジキニンの頸動脈内注入は、脳腫瘍毛細血管において透過性を2〜12倍高め、100〜70,000までの分子量を有する分子のBTB通過が可能になる。神経薬剤(例えば、5−フルオロウラシル、シスプラチン、メトトレキサートまたはモノクローナル抗体)または診断剤(例えば、テクニシウム(technicium)−99グルコヘプトネート、ガリウム−EDTA、および鉄磁気造影剤またはヨウ素化造影剤)を異常脳組織に選択的に送達するための方法は、ブラジキニンまたはブラジキニンアナログ(RMPなど)の頸動脈内注入を使用し、その際ブラジキニンまたはブラジキニンアナログは上記薬剤とほぼ同時に投与された(KL.Blackに対する、「Method for selective opening of abnormal brain tissue capillaries」と表題を付けられた特許文献3および特許文献4)。ブラジキニンまたはRMPによる破壊は、ラット脳において悪性細胞へのウィルス粒子の経血管性送達を増強することが示されている(非特許文献38;非特許文献39;非特許文献40)。
ブラジキニンによるBBBの破壊が、好都合なことに選択的である一方、1または数個の重要な制限を受ける。BKおよびRMP−7の効果は一過性であり、20分間持続するに過ぎない。そして腫瘍毛細血管は投与後60分間までにBK効果に反応しなくなる(非特許文献41;非特許文献42)。さらに、多くの脳腫瘍患者においてブラジキニンは透過性を有効に高めるために有効でないかもしれない。ブラジキニンの上記のような差のある効果はBK2型(B2)レセプターによって媒介されることが示されている。これらのレセプターは腫瘍間で異なる発現を示す(非特許文献43;非特許文献44)。化学療法剤の送達を高めるためにブラジキニンアナログRMP−7を使用した種々の異なる臨床的結果は、脳腫瘍間で異なるB2発現に起因すると考えられている(非特許文献45)。ヒト神経膠腫において、ブラジキニンの頸動脈内注入は、2%〜58%の広範囲のKi変化をおこす(図17)。B2レセプター密度の差(図18)並びに腫瘍微小血管のcGMP分解能力の差および/または研究されていない他の因子が、説明を提供するかもしれない。
強力な血管拡張物質としてのブラジキニンの活性は、BBB透過性を増強するためにこの薬物およびそのアナログを使用することをさらに制限する。一部の患者においては、BKは血圧を不都合に低下させ得、脳血流を減少させ得るか、または脳浮腫の一因となり得る(非特許文献46)。さらに、ブラジキニンは平滑筋を収縮させ、疼痛レセプターを刺激する。
血液脳関門を通過して薬剤を選択的に送達するブラジキニンの能力は、一酸化窒素および最終的にはcGMPと関係することが示されている(非特許文献47;非特許文献48;非特許文献49)。
Blackらは、イムノブロットおよび免疫的局在決定研究によって、KCaチャネルがラット脳腫瘍毛細血管内皮および腫瘍細胞に過剰発現することを確認し、単離されたラット脳腫瘍毛細血管内皮および腫瘍細胞におけるKCaチャネルの機能的存在を証明した(非特許文献50)。このKCaチャネルは、一酸化窒素、可溶性グアニリルシクラーゼおよびcGMPを含むブラジキニンシグナル伝達経路の収束点であることが示されている。ブラジキニンはKCaチャネルを活性化することが示されているが、その他の公知のKCaアクチベータは血管拡張物質としては作用しない;例えば1,3−ジヒドロ[2−ヒドロキシ(トリフルオロメチル)フェニル](トリフルオロメチル)−2H−ベンズイミダゾロン(NS−1619)(非特許文献51)。
ATPチャネルは、低酸素および虚血状態で(非特許文献52;非特許文献53)、および脳腫瘍内および脳腫瘍周囲で(非特許文献54;非特許文献55)過剰発現することも示されている。
特許文献5は、被験体にカリウムチャネルアクチベータ(すなわちカルシウム活性化カリウムチャネルまたはATP依存性カリウムチャネル[KCaまたはKATP]のアクチベータ)を投与することによって、薬剤を異常脳領域に送達するための方法を開示する。カリウムチャネルアクチベータとしては、直接的アゴニスト(ブラジキニンまたはブラジキニンアナログ以外)、例えばNS−1619(KCaの直接的アゴニスト)またはミノキシジル(KATPの直接的アゴニスト)などが挙げられる。カリウムチャネルアクチベータはまた、カリウムチャネルを間接的に活性化する化合物、例えば間接的アクチベータ(例えば、一酸化窒素、一酸化窒素ドナーおよび可溶性グアニリルシクラーゼの他のアクチベータ)も包含すると言われる。
特許文献6は、悪性細胞のアポトーシスを誘起する方法を開示し、上記方法は、カルシウム活性化カリウムチャネル(KCa)アクチベータを用い、ヒト被験体における悪性腫瘍の処置に有効である。アクチベータとしては、例えばNS−1619、可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータ、YC−1およびグアニリルシクラーゼ活性化タンパク質を含むと言われている。
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当該分野の進歩にもかかわらず、透過性を高め、親水性治療薬または小サイズ〜大サイズ分子(造影促進剤、細胞傷害性化学療法剤、治療的タンパク質モノクローナル抗体、サイトカイン、エフェクター細胞、ならびにウィルス粒子およびウィルスベクターが挙げられる)をインビボで異常脳組織に選択的に送達することを促進し、正常脳への薬物送達はほとんどないか、または全くない、改善された生化学的アプローチが必要とされている。
よって、血液脳関門の透過性、そして特に血液腫瘍関門(blood tumor barrier)の透過性を選択的に高める改善された方法および組成物を提供することが本発明の目的である。
(発明の要旨)
本発明は、治療剤、予防剤および診断剤を投与するために、血液脳関門の透過性を選択的に高める組成物および方法を開示する。
一実施形態において、治療剤、予防剤または診断剤を哺乳動物被験体の異常脳領域に供給するための方法が開示される。この方法は、上記異常脳領域の細胞に血液を送達する毛細血管または細動脈の、治療剤、予防剤または診断剤に対する透過性を高めるのに十分な条件下で、かつ十分な量で、ATP感受性カリウムチャネルの1種以上のアクチベータをカルシウム活性化カリウムチャネルの1種以上のアクチベータと組み合わせて投与する工程;および上記治療剤または診断剤が異常脳領域の細胞に選択的に送達されるように上記治療剤、予防剤または診断剤を上記被験体に投与する工程による方法である。
上記方法の一実施形態において、ATP感受性カリウムチャネルのアクチベータは直接的アゴニストである。特定の実施形態において、上記ATP感受性カリウムチャネルの直接的アゴニストは、ミノキシジル、クロマカリム、レブクロマカリム、エマカリム、ビマカリム(emakalim)、ビマカリム(bimakalim)、セリカリム(celikalim)、リマカリム(rimakalim)、ピナシジル(pinacidil)、アプリカリム(aprikalim)、ピカルタミド(picartamide)、ジアゾキシド(diazoxide)またはニコランジルである。
上記方法の別の実施形態において、上記ATP感受性カリウムチャネルのアクチベータは間接的アクチベータである。一つの特定の実施形態において、上記間接的アクチベータは、アデニリルシクラーゼアクチベータである。別の実施形態において、間接的アクチベータはサイクリックAMP(cAMP)依存性プロテインキナーゼのアクチベータである。さらなる実施形態において、間接的アクチベータは、cAMPの形成を増加する因子またはcAMPの破壊を阻止する因子である。
本発明の一実施形態において、カルシウム活性化カリウムチャネルのアクチベータは直接的アゴニストである。特定の実施形態において、上記カルシウム活性化カリウムチャネルの直接的アゴニストは、NS1619、NS−1608、NS−04、NS−08またはEBIOである。
別の実施形態において、上記カルシウム活性化カリウムチャネルのアクチベータは間接的アクチベータである。上記間接的アクチベータは、可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータである。特定の実施形態において、可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータは、一酸化窒素(NO)非依存性である。一実施形態において、シクラーゼのNO非依存性アクチベータは、一酸化炭素、ポルフィリン、金属ポフィリン、YC−1、BAY−2272、BAY 41−2272、BAY 41−8543である。
別の実施形態において、ATP感受性カリウムチャネルの1種以上の直接的アゴニスト(例えば硫酸ミノキシジル)をカルシウム活性化カリウムチャネルの1種以上の直接的アゴニスト(例えば、NS1619)と組み合わせて、異常脳領域の細胞に血液を送達する毛細血管もしくは細動脈の、治療剤、予防剤または診断剤に対する透過性を高めるのに十分な条件下で、かつ十分な量で投与することによって、そして上記治療剤または診断薬が異常脳領域の細胞に選択的に送達されるように上記治療剤、予防剤または診断剤を被験体に投与することによって、哺乳動物被験体において異常脳領域に治療剤、予防剤、または診断剤を送達するための方法が開示される。
本発明の方法は、異常脳領域の処置に有用である。本発明の一実施形態において、上記異常脳領域は腫瘍組織の領域である。特定の実施形態において、上記腫瘍組織は悪性である。本発明の別の実施形態において、上記異常脳領域は、脳卒中、虚血、神経変性、傷害、外傷、または感染によって生理学的に侵された組織の領域である。
本発明によって脳の異常領域に送達され得る治療剤、予防剤および診断剤には、多種多様の薬剤が含まれる。本発明の一実施形態において、上記治療剤は化学療法剤のような抗増殖剤である。別の実施形態において、上記治療剤は、脳卒中または虚血の処置に用いられる薬剤である。さらなる実施形態において、上記治療剤は抗神経変性剤である。なおさらなる実施形態において、上記治療剤は、サイトカインまたは治療的タンパク質である。また別の実施形態において、上記治療剤は、DNA発現ベクター、ウィルスベクターまたは治療的オリゴヌクレオチドである。
本発明の別の局面により、ATP感受性カリウムチャネルの1種以上のアクチベータをカルシウム活性化カリウムチャネルの1種以上のアクチベータと組み合わせて、悪性腫瘍の細胞に血液を送達する毛細血管もしくは細動脈の治療剤、予防剤または診断剤に対する透過性を高めるのに十分な条件下、かつ十分な量で投与する工程;および上記治療剤、予防剤または診断剤が選択的に異常脳領域の細胞に送達するように被験体に上記治療剤または診断剤を投与する工程によって、哺乳動物被験体において悪性腫瘍に治療剤、予防剤、または診断剤を送達するための方法が開示される。
上記方法の一実施形態において、上記悪性腫瘍は脳に局在する。上記方法の別の実施形態において、上記悪性腫瘍は、哺乳動物被験体の***、骨、前立腺、肝臓、肺、咽頭、胆嚢、頭部、頸部、胃、腎臓、皮膚、子宮頸部、結合組織、副腎、膵臓、脊柱、胸郭、腹膜、腸、結腸、直腸またはリンパ系に局在する。
本発明のアクチベータならびに治療剤、予防剤および診断剤の送達に適した投与の様式としては、非経口的、静脈内、滑膜内、鞘内、動脈内、頸動脈内、脊髄内、胸骨内、腹膜内、経皮的、外科移植片、内部手術用ペイント(internal surgical paint)、注入ポンプ、または経カテーテルなどが挙げられる。一実施形態において、上記アクチベータは静脈内注入もしくは動脈内注入または静脈内注射もしくは動脈内注射によって送達される。別の実施形態において、上記アクチベータは頸動脈内注入または頸動脈内注射によって送達される。
本発明の一実施形態において、上記治療剤または診断剤は、上記アクチベータと同時にか、または実質的に同時に哺乳動物被験体に投与される。別の実施形態において、上記治療剤または診断剤は、上記アクチベータの前に哺乳動物被験体に投与される。さらなる実施形態において、上記治療剤または診断剤は、上記アクチベータの後に哺乳動物被験体に投与される。
(発明の詳細な説明)
本発明は、血液脳関門の透過性を選択的に高めて治療剤、予防剤および診断剤を投与する改善された方法に関する1または数個の実施形態を提供する。KCaおよびKATPは、これらの異常脳領域(例えば、脳腫瘍毛細血管)で役割を果たす毛細血管内でアップレギュレートされ、したがって血液脳関門の選択的透過性を調節するための有効な標的となる。
これらのカリウムチャネルを開くことのできる薬理学的因子によるKCaおよびKATPチャネルの活性化によって、腫瘍および脳卒中または虚血により侵された領域などの異常脳領域への増強された選択的な薬物送達を維持し得る。KCaおよびKATPチャネルを開通/活性化できる薬理学的因子としては、直接的アゴニスト(すなわち、KCaチャネルまたはKATPチャネルに直接結合し、それによってそれらを開ける因子)および間接的アクチベータ(すなわち、上流の調節エレメントと直接相互作用し、それからKCaチャネルまたはKATPチャネルを直接または間接的に開ける因子)の両方を含む。
一実施形態において、本発明は、血液脳関門の透過性の選択的増加であり、それはKCaチャネルの直接的アゴニスト(例えば、NS−1619)またはKATPチャネルの直接的アゴニスト(例えば、硫酸ミノキシジルまたはMS)の1種以上を投与することを包含する。特定の実施形態において、本発明は、KCaまたはKATPの直接的アゴニストの1種以上を投与することによる血液脳腫瘍関門の透過性の選択的増加である。
一実施形態において、本発明は、KCaチャネルの間接的アクチベータ(例えば、可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータ)またはKATPチャネルの間接的アクチベータ(例えば、アデニリルシクラーゼのアクチベータ)を1種以上投与することを含む。
特定の実施形態において、本発明は、YC−1以外の可溶性グアニリルシクラーゼのNO非依存性アクチベータ(例えば、BAY 41−8543)の1種以上を投与することを包含する、血液脳関門の透過性の選択的増加である。
特定の実施形態において、本発明は、アデニリルシクラーゼのアクチベータ(例えば、フォルスコリン)の1種以上を投与することを包含する、血液脳関門の透過性の選択的増加である。
さらに別の実施形態において、本発明は、KATPチャネルの直接的アゴニストまたは間接的アクチベータの1種以上を、KCaチャネルの直接的アゴニストまたは間接的アクチベータの1種以上と共に投与することを包含する、血液脳関門の透過性の選択的増加である。カリウムチャネルを活性化する最大効果は、上記アゴニストがカリウムチャネルの結合部位の全てを占める濃度において実現されることが観察されている。従って、カリウムチャネルが飽和する前にカリウムチャネルアゴニストを特定量だけを投与して、血管透過性を高めることができ、そしてチャネル数に基づいて透過性の選択的増加量には最高限度があると考えられた。しかし、現在、KCaチャネルおよびKATPチャネルは独立して血液脳関門に作用し、したがって、KATPチャネルのアゴニストをKCaチャネルのアゴニストと組み合わせて、または交互に投与する場合、最大透過度はこれまで透過性実現の上限と考えられていたものより大きいことが発見されている。
別の実施形態において、本発明は、KCaチャネルの直接的アゴニスト(例えば、NS−1619)の1種以上を、KCaチャネルの間接的アゴニスト(例えば、可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータ)の1種以上と組み合わせて投与することを包含する、血液脳関門の透過性の選択的増加である。
また別の実施形態において、本発明は、KATPチャネルの直接的アゴニスト(例えば、硫酸ミノキシジル)の1種以上をKATPチャネルの間接的アゴニスト(例えば、アデニリルシクラーゼのアクチベータ)の1種以上と組み合わせて投与することを包含する、血液脳関門の透過性の選択的増加である。
本発明の別の特定の実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患の診断、処置および/または予防のための薬学的組成物、方法ならびにキットが提供される。ここで、KATPカリウムチャネルの直接的アゴニストもしくは間接的アクチベータ(例えば、硫酸ミノキシジル)がKCaチャネルの直接的アゴニストもしくは間接的アクチベータ(例えば、NS−1619)と組み合わせて、または交互に、1種以上の診断剤、治療剤および/もしくは予防剤と組み合わせて、または交互に投与される。
本発明の代替的な実施形態において、異常脳組織(特に、異常に増殖する細胞)によって特徴付けられる疾患を診断、処置または予防するための薬学的組成物、方法、およびキットが提供される。この実施形態において、硫酸ミノキシジルのような1種以上のKATPチャネルアゴニストまたはアクチベータを、NS−1619のような1種以上のKCaチャネルの1種以上のアゴニストまたはアクチベータと共に、1種以上の診断剤、治療剤および/もしくは予防剤と組み合わせて/交互に使用し、そして必要に応じてさらに、ロイコトリエン(LTC)、ブラジキニン(BK)、BKアナログ、ブラジキニンレセプターのアゴニスト、δ−グルタミルトランスペプチダーゼの調節因子、一酸化窒素シンターゼの調節因子、グアニレートシクラーゼの調節因子、ホスホジエステラーゼの調節因子、またはcGMP依存性プロテインキナーゼの調節因子からなる群から選択される1種以上の化合物と組合わせ/交互に使用する。
本発明のさらなる実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患の診断、処置、および/または予防のための薬学的組成物、方法およびキットが提供される。ここで、KCaチャネルの直接的アゴニストがKCaチャネルの間接的アクチベータと共に、1種以上の診断剤、治療剤および/または予防剤と組み合わせて/交互に投与される。
本発明のさらなる実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患の診断、治療および/または予防のための薬学的組成物、方法およびキットが提供される。ここで、KCaチャネルの直接的アゴニストは、1種以上の診断剤、治療剤および/または予防剤と組み合わせて/交互に投与され、必要に応じてさらに、ロイコトリエン(LTC)、ブラジキニン(BK)、BKアナログ、ブラジキニンレセプターのアゴニスト、δ−グルタミルトランスペプチダーゼの調節因子、一酸化窒素シンターゼの調節因子、グアニレートシクラーゼの調節因子、ホスホジエステラーゼの調節因子、またはcGMP依存性プロテインキナーゼの調節因子からなる群より選択される1種以上の化合物と組み合わせて/交互に投与される。
本発明のさらなる実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患の診断、処置および/または予防のための薬学的組成物、方法およびキットが提供される。ここで、KATPチャネルの直接的アゴニストが、KATPチャネルの間接的アクチベータと共に、1種以上の診断剤、治療剤および/もしくは予防剤と組み合わせて/交互に投与される。
本発明のこの薬物送達系はB2レセプターとは無関係であり、したがってブラジキニンの欠点(BTB透過性応答の変動性および不応性が挙げられる)が回避できる。生化学的調節戦略は、ヒト化モノクローナル抗体および治療的ウィルスベクターなどを含む抗新形成剤の脳腫瘍への選択的な送達、および神経薬の罹患脳領域への選択的な送達を改善し得、その一方で正常脳は悪影響を受けず、したがって衰弱性神経疾患および腫瘍にかかった患者の生存率を著しく高める。
任意の特定の作用機序によって制限されるものではないが、本発明の硫酸ミノキシジルのようなATP感受性カリウムチャネルのアゴニストの、NS−1619のようなカルシウム活性化カリウムチャネルのアゴニストとの組み合わせ/または交互使用は、異常脳の毛細血管内皮および細胞における輸送小胞の生成促進をもたらすと考えられる。これらの結果は、異常脳毛細血管を通過する異常脳組織への薬物送達の増強について、小胞輸送が重要な役割を演じていることの証拠を提供する。
本発明の方法を用いて、治療化合物または診断薬を異常脳領域、特に異常に増殖する脳領域(すなわち、脳腫瘍)に選択的に送達し得る。例えば、化学療法剤、カルボプラチンの脳腫瘍への送達は、KATPチャネルアゴニスト(硫酸ミノキシジルまたはMS)の使用により高めることができ、頭蓋内腫瘍を有するラットの生存を延長する。さらに、MS誘起性のBTB透過性調節により、デキストリン、Her−2 MobおよびGFP−Advなどの高分子を腫瘍細胞などの異常脳組織に選択的に送達し得る。例えば、脳腫瘍への送達は、MSの使用によって高められ得、その結果頭蓋内鰓(gill)腫瘍を有するマウスの生存期間が延長する。さらに、MS誘起性のBTB透過性調節は、高分子、Her−2 MobおよびGFP−Advを選択的に脳腫瘍に送達し得る。KCaチャネル活性化と組み合わせたKATPチャネル活性化の後に、異常脳組織の微小血管を通過する低分子および高分子の選択的かつ増強された送達が開発され、透過性を高め、異常脳組織、例えば脳腫瘍への薬物送達を増強し得る。正常脳には影響を与えずに、抗新形成剤を脳腫瘍を標的として、および神経薬を罹患した脳領域を標的として送達する改善された方法が開示される。
本発明の一実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患は、異常細胞増殖、特に癌や腫瘍のような新形成疾患または悪性疾患である。抗増殖剤と組み合わせておよび/または交互に、本発明の組成物によって処置可能な新形成疾患または悪性疾患の非制限的な例としては、以下が挙げられる:神経膠腫、神経膠芽腫、多形性神経膠芽腫(GBM)、星状細胞腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、乏突起膠細胞腫;髄膜腫、下垂体腺腫、神経芽細胞腫、頭蓋咽頭腫。本発明の一実施形態において、上記疾患は転移性脳腫瘍である。転移性脳腫瘍の非制限的な例としては、転移性***脳腫瘍(breast brain tumor)および転移性肺脳腫瘍(lung brain tumor)である。
本発明の別の実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患は、片頭痛、けいれん、細菌感染症、ウィルス感染症(例えば、HIV感染);精神***病、パーキンソン病、アルツハイマー病、低酸素症、脳虚血、脳性小児麻痺、脳卒中(例えば、塞栓性脳卒中)のような脳血管疾患、呼吸困難または脳症である。本発明のさらに別の実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患は、例えば外傷のような、物理的損傷または生化学的損傷に起因する。
本明細書においてより完全に記載されるように、疾患を処置、診断または予防するために血管脳関門の選択性を高めるために、直接的アゴニストおよび間接的アクチベータの両方を含むさらなるKCaおよびKATPチャネルオープナー(opener)がまた、単独でまたは組み合わせて使用するために記載される。本発明の特定の実施形態において、KCaの間接的アクチベータはcGMPのインビボのレベルの上昇を起こす薬剤、例えばNO非依存性アクチベータ可溶性グアニリルシクラーゼである。別の実施形態において、KATPアクチベータの間接的アクチベータは、cAMPのインビボのレベルの上昇を起こす薬剤、例えばアデニルシクラーゼのアクチベータである。
さらに別の実施形態において、本明細書において記載されるとおりKCaチャネルおよびKATPチャネルのオープナーを単独または組み合わせて用い、脳以外の体領域における化学療法剤または診断剤の取り込みを選択的に高める。例としては、***、前立腺、肺、肝臓、腎臓、結腸、皮膚、頭部または頸部または口が挙げられるが、これらに限定されない体のあらゆる領域に見いだされる腫瘍または癌である。
(I.治療適応症)
本発明は異常脳組織によって特徴づけられる疾患または障害を処置するために有用である。異常脳領域としては、例えば、異常な細胞増殖を特徴とする脳組織領域(悪性脳腫瘍など)、並びに物理的損傷または生化学的損傷によって生理学的に侵された脳組織の領域(例えば、変性性脳疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病)、脳卒中、脳虚血、感染症または外傷)が挙げられ得る。
本発明の一実施形態において、上記異常脳領域は、異常な細胞増殖、特に癌または腫瘍などの新形成疾患もしくは悪性疾患によって特徴付けられる。
本発明の一実施形態において、異常脳領域は悪性脳腫瘍である。本発明の方法が有効である悪性脳腫瘍のなかには、任意の悪性神経膠腫瘍(すなわち、形質転換された神経膠細胞に由来する腫瘍)を含む神経膠腫瘍がある。全ての原発性脳腫瘍の約半数は神経膠腫である。神経膠細胞は、神経膠細胞(例えば、神経膠星状細胞または乏突起神経膠細胞)に特異的な形態学的、生理学的および/または免疫学的特徴を含めた神経膠細胞型に関連する1種以上の神経膠特異的特徴(例えば、星状神経膠マーカー線維性酸性タンパク質(GFAP)または乏突起神経膠マーカーO4の発現)を有する細胞である。本発明の組成物を抗増殖剤と組み合わせておよび/もしくは抗増殖剤と交互に使用して処置できる新形成疾患または悪性疾患の非制限的な例としては、以下が挙げられる:神経膠腫、神経膠芽細胞腫、多形性膠芽細胞腫(GBM;すなわちIV度星状細胞腫)、乏突起細胞腫、原始神経外胚葉腫瘍、低悪性度、中悪性度および高悪性度の星状細胞腫(すなわち、II度星状細胞腫、未分化III度星状細胞腫、乏突起神経膠成分を有する星状細胞腫)、上衣細胞腫(例えば、粘液乳頭型脳室上衣腫、上衣下腫、退性上衣腫)、乏突起細胞腫、髄芽細胞腫、髄膜腫(すなわち、異型的髄膜腫、悪性髄膜腫)、下垂体腫瘍(すなわち下垂体腺腫)、神経芽細胞腫および頭蓋咽頭腫。
本発明によって処置され得る他の脳腫瘍には、例えば、聴神経腫(例えば、神経鞘腫(Neurilemmoma)、神経鞘腫(Schwannoma)、神経鞘腫(Neurinoma))、脊索腫、脊索腫、CNSリンパ腫、嚢腫、類皮嚢腫、神経節細胞腫、神経節膠腫および血管芽細胞腫などがある。
本発明の特定の実施形態において、異常脳組織は、二次的または転移性の脳腫瘍(すなわち、体の別の部分から脳へ広がった腫瘍)である。本発明の組成物で処置できる転移性脳腫瘍の非制限的な例は、***、肺、腎臓、結腸、前立腺、および皮膚(悪性黒色腫)が起源の癌である。
本発明の別の実施形態において、異常脳組織の領域によって特徴づけられる疾患は、片頭痛、けいれん、感染症、精神病(例えば、精神***病、うつ病)、低酸素症、、脳虚血、脳性麻痺、変性性脳疾患、脳血管疾患、呼吸困難、または脳症である。本発明のさらに別の実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患は、外傷のような物理的損傷または生化学的損傷に起因する。
一実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患は片頭痛または頭痛である。片頭痛には、例えば、前兆のある片頭痛、前兆のない片頭痛、マシラー(masilar)動脈片頭痛、頚動脈圧痛、頭痛のない片頭痛、眼筋麻痺性片頭痛、および片頭痛状態などがある。
別の実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患は、けいれん性の疾患または障害である。用語けいれん(すなわち、発作(seizure))は、脳内の過剰電気活動による突然の挙動変化をいう。原因としては、例えば、てんかん、頭部損傷、感染症または脳卒中が挙げられる。てんかんの型は、例えば、全身性てんかん、全身性潜状てんかんまたは症候性てんかん、病因不明の全身性症候性てんかん、焦点てんかんまたは部分てんかん、側頭葉てんかんおよび前頭葉てんかんが挙げられる。
一実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患または障害は、脳血管疾患である。脳血管疾患は、神経症状および兆候が血管の障害または疾患(例えば、先天性異常およびアテローム性動脈硬化症)に起因している疾患を包含する。これらには、例えば、虚血性症候群および出血性症候群が含まれる。虚血性症候群は、不十分な脳循環によって起こる障害であり、一過性脳虚血発作(TIA)および虚血性脳卒中が挙げられる。出血性症候群は、脳組織(硬膜、硬膜下、またはくも膜下腔、またはこれら部位の組み合わせが挙げられる)への出血によって起こる。脳内出血は、脳内のほとんど全ての領域、例えば脳幹神経節付近、内包、視床、小脳または脳幹などに起こり得る。頭部外傷は、くも膜下出血の最も一般的な原因である。本発明の特定の実施形態において、上記異常脳領域は、脳卒中によって生理学的に侵された脳組織の領域である。
別の実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患または障害は神経変性疾患である。神経変性疾患は、脳の特定の構造または領域のニューロンが長期にわたって悪化するか死ぬという進行性神経系機能不全によって特徴づけられる障害である。代表的な非制限的な変性脳疾患としては、アルツハイマー病、小脳萎縮、トリプレットリピート病(例えば、ハンチングトン病)、パーキンソン病、ニーマン−ピックC型疾患(NP−C)、プリオン病(例えば、クロイツフェルト−ヤコブ病)、オリーブ橋小脳変性、運動ニューロン疾患、小脳変性、筋萎縮性側索硬化症(すなわち、ルー−ゲーリグ病)、痴呆(例えば、レーヴィ小体を有する痴呆)、並びに神経学的自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症)に関連する疾患である。神経変性疾患の概説については、Williams A.BMJ(2002)324:1465−1466を参照されたい。
別の実施形態において、異常脳組織によって特徴づけられる疾患または異常は脳感染である。脳の感染は、例えば、細菌、ウィルスまたはウィルス様因子によって引き起こされ得る。感染症には急性および慢性の状態の両方がある。細菌感染としては、例えば、Streptococcus pneumonia、Streptococcus pyogenes、Staphylococcus aureu、Staphylococcus epidermidis、腸内細菌、プロピオン酸菌属、Pseudomonoas aeruginosa、Neisseria meningitis、Haemophilus influenzaおよびListeria moncytogenesが挙げられる。ウィルス感染に関係する急性神経症候群としては、例えば、急性ウィルス性脳炎、弛緩性麻痺、無菌性(aspectic)髄膜炎、および感染症後脳脊髄炎が挙げられる。急性ウィルス性脳炎は、例えば単純ヘルペスウィルス、サイトメガロウィルス、水痘、狂犬病またはアルボウィルスによって引き起こされ得る。無菌性髄膜炎の一般的ウィルス性因子としては、例えば、エンテロウィルス、ムンプスウィルス、およびリンパ球脈絡髄膜炎ウィルスが挙げられる。感染症後脳脊髄炎は、例えば、麻疹、ムンプス、風疹および一次水痘−帯状疱疹ウィルスによる感染の合併症である。Gillain Barre症候群もまた、ウィルス感染に関連した急性神経性症候群である。
ウィルス感染症に起因する慢性神経疾患としては、亜急性硬化性汎脳炎(持続的麻疹感染によって起きる)、進行性多巣性白質脳症(パポバウィルス科のメンバーによっておきる)、海綿状脳症(プリオン病)(例えば、クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン−シュトロイスラー症候群)、および麻痺、消耗および運動失調を特徴とするレトロウィルス疾患(例えば、HIV−1およびHIV−2)が挙げられる。
本発明によって処置され得る神経疾患としては、代謝性疾患(例えば、無β−リポ蛋白血症、橋中央ミエリン溶解、ガラクトース血症、ゴーシェ病、ホモシスチン血症、核黄疸、リー症候群、レッシュ・ナイハン症候群、メンケズ症候群、ニーマン−ピックC型疾患、ライ症候群、コルサコフ病、テイ・サックス病が挙げられる)を包含する。
本発明によって処置され得る他の神経性障害としては、例えば、バッテン病、キャナヴァン病、シャルコ・マリー・ツース病(CMT)、ジストニー、神経繊線腫(NF)、結節性硬化症(TSC)、エカルディ症候群、無動無言症、弱視、バルデー−ビードル症候群、脳膿瘍、脳浮腫、皮質基底核変性症;家族性地中海熱、II型糖原病;ハレルホルデン−シュパッツ症候群;頭蓋内高血圧;頭蓋内低血圧;ジュベール症候群;クリューバー−ビューシー症候群;ローレンス−ムーン症候群;ロウ症候群;マシャド−ジョセフ病;ミラー−フィッシャー症候群;モヤモヤ病;オリーブ橋小脳萎縮;フェニルケトン尿症;脳裂;一過性全健忘;およびツェルヴェーガー症候群が挙げられる。
さらに別の実施形態において、本発明は治療剤または診断剤の脳以外の体領域への取り込みを高めるのに有効である。一実施形態において、本発明は、脳以外の体の領域に局在する悪性腫瘍に医薬を送達するのに有用である。代表的な非限定的な腫瘍または癌としては、以下が挙げられる:乳癌、皮膚癌、骨癌、前立腺癌、肝臓癌、肺癌、脳癌;咽喉、胆嚢、膵臓、直腸、副甲状腺、甲状腺、副腎、頭部および頸部、結腸、胃、気管支、腎臓の癌;潰瘍型および乳頭型両方の基底細胞癌、扁平上皮癌;転移性皮膚癌、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫(veticulum cell sarcoma)、骨髄腫、巨細胞腫、小細胞肺腫瘍、胆石、島細胞腫瘍、急性および慢性のリンパ腫および顆粒球腫瘍、ヘアリーセル腫瘍、腺腫、過形成、髄様癌、褐色細胞腫、粘膜神経腫、腸神経節神経腫(intestinal ganglloneuromas)、過形成角膜神経腫、マルファン体質腫瘍(marfanoid habitus tumor)、ウィルムス腫瘍、セミノーマ、卵巣腫瘍、平滑筋腫、子宮頚部形成異常およびインサイチュ癌腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、軟組織肉腫、悪性カルチノイド、局所的皮膚損傷、菌状息肉症、横紋筋肉腫、カポシ肉腫、骨原性および他の肉腫、悪性高カルシウム血症、腎細胞腫、真性赤血球増加症、腺癌、白血病、リンパ腫、悪性黒色腫、類上皮腫、ならびに他の癌および肉腫。
(II.診断剤、治療剤および/または予防剤)
哺乳動物被験体における異常脳領域および/または悪性腫瘍に薬剤を送達する方法は、任意の薬剤を異常脳領域および/または悪性腫瘍の微小血管を通過させて選択的に送達する際に効果的である。上記薬剤は、一実施形態において、薬物、すなわち化学療法剤である。化学療法剤の例としては、以下が挙げられる:治療的細胞傷害性剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、アンホテリシンなど)、裸DNA発現ベクター、治療的タンパク質、治療的オリゴヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログ、インターフェロン、サイトカイン、またはサイトカインのアゴニストもしくはアンタゴニスト、アドレナリン作動剤、抗けいれん薬、抗外傷剤、あるいは脳の損傷もしくは障害を処置または予防するために用いられるあらゆる神経薬剤。化学療法剤としてはまた、虚血保護薬(例えば、N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)レセプターアンタゴニスト);抗菌剤(例えば、抗生物質);免疫毒素、免疫抑制薬、ホウ素化合物、モノクローナル抗体および特異的抗原結合抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、またはF(v)フラグメント)、およびサイトカイン(例えば、インターフェロン、インターロイキン(例えば、インターロイキン[IL]−2))、腫瘍壊死因子(TNF)−α、またはトランスフォーミング増殖因子(例えば、TGF−β)が挙げられる。
上記薬剤はまた、抗癌性化学療法剤も含む。代表的には、抗癌性化学療法剤は例えば5−フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキセート、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチンなどの細胞傷害性物質か、または例えば非制限的にブスルファン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、またはエチルスルホン酸などの細胞傷害性アルキル化剤である。
薬剤はまた、遺伝物質をインビボで細胞標的に送達するための治療的ウィルス粒子、例えばアデノウィルス由来または単純ヘルペスウィルス(HSV)由来のウィルスベクターなども含む。薬剤はまた、画像化剤または造影剤のような診断剤、例えば放射標識物質(例えば、[99Tc]−グルコヘプトネート)、ガリウム標識画像化剤(例えば、ガリウム−EDTA)、磁気鉄、蛍光、ルミネッセンス、またはヨウ素造影剤も含む。適切な場合、薬剤を悪性腫瘍に選択的に送達する方法またはヒト被験体における悪性腫瘍を処置する方法を実施する際に、抗癌活性を有する上記のいかなる薬剤も使用することができる。
本発明の一実施形態において、上記薬剤は、約50ダルトンと約250kDとの間の分子量を有する分子物質であり得る。または上記薬剤は、直径約50ナノメートルと250ナノメートルを有するウィルス粒子のような粒子であり得る。
使用される薬剤量は、各薬剤の慣用的用量範囲内であるが、本発明の方法を実施することによって経血管透過性が高められる結果、単位用量あたりより大きい選択的治療効果を提供し得、または所望の場合、より少ない有効量を用いて、例えば特定の被験体における抗癌剤による全身毒性効果をより小さくし得る。
(抗増殖剤)
本明細書において使用される場合、抗増殖剤は、細胞の過剰増殖を低減する化合物である。増殖性障害は現在、アルキル化剤、代謝拮抗物質、天然産物、酵素、生物学的反応調節剤、種々の薬剤、ホルモンおよびアンタゴニストを含む種々の分類の化合物によって処置される。以下に列挙される任意の抗増殖剤、または抗増殖効果を示すことが公知であるか、もしくはその効果が発見された任意の他のこの種の薬剤が、本発明によるKCaチャネルもしくはKATPチャネルの1種以上の直接的アゴニストまたは間接的アクチベータ、あるいはその両方と共により効果的に送達され得る。
代表的な補助剤としては、レバミゾール、硝酸ガリウム、グラニセトロン、サルグラモスチムストロンチウム−89塩化物、フィルグラスチム、ピロカルピン、デキスラゾキサン、およびオンダンセトロンが挙げられる。Physicians’Desk Reference,第50版,1996。
代表的なアンドロゲンインヒビターとしては、フルタミドおよび酢酸ロイプロリドが挙げられる。Physicians’Desk Reference,第50版,1996。
代表的な抗生物質誘導体としては、ドキソルビシン、硫酸ブレオマイシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシンおよびイダルビシンが挙げられる。
代表的な抗エストロゲンには、クエン酸タモキシフェンおよびそのアナログがある。Physicians’Desk Reference,第50版,1996。さらなる抗エストロゲンには、非ステロイド性抗エストロゲン、例えばトレミフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)およびラロキシフェン(roloxifene)などがある。Magarianら,Current Medicinal Chemistry,1994,Vol.1,No.1。
代表的な代謝拮抗物質には、フルオロウラシル、リン酸フルダラビン、フロキシウリジン、インターフェロンα−2b組換え体、メトトレキセートナトリウム、プリカマイシン、メルカプトプリン、およびチオグアニンがある。Physicians’Desk Reference,第50版,1996。
代表的な細胞傷害性物質には、ドキソルビシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、シタラビン USP、シクロホスファミド、リン酸エストラムシンナトリウム、アルトレタミン、ヒドロキシウレア、イフォスファミド、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シクロホスファミド、ミトキサントロン、カルボプラチン、シスプラチン、インターフェロンα−2a組換え体、パクリタキセル、テニポシド、およびストレプトゾシ(streptozoci)がある。Physicians’Desk Reference,第50版,1996。
代表的なホルモンとしては、酢酸メドロキシプロゲステロン、エストラジオール、酢酸メゲストロール、酢酸オクトレオチド、ジエチルスチルベステロール二リン酸、テストラクトン、および酢酸ゴセレリンなどがある。Physicians’Desk Reference,第50版,1996。
代表的な免疫拡張剤としては、アルデスロイキンが挙げられる。Physicians’Desk Reference,第50版,1996。
代表的なナイトロジェンマスタード誘導体には、メルファラン、クロランブシル、メクロエタミン、およびチオテパなどがある。Physicians’Desk Reference,第50版,1996。
代表的なステロイドには、リン酸ベタメタゾンナトリウムおよび酢酸ベタメタゾンなどがある。Physicians’Desk Reference,第50版,1996。
より詳細には、上記化学療法剤は抗新形成剤であり得る。
より詳細には、上記抗新形成剤は細胞傷害性剤であり得る。
より詳細には、上記細胞傷害性物質はパクリタキセルまたはドキソルビシンであり得る。
さらなる適切な化学療法剤としては、アルキル化剤、抗有糸***剤、植物アルカロイド、生物学的物質、トポイソメラーゼIインヒビター、トポイソメラーゼIIインヒビター、および合成物質が挙げられる。AntiCancer Agents by Mechanism,http://www.dtp.nci.nih.gov/docs/cancer/searches/standard_mechanism_list.html(1999年4月12日);Approved Anti−Cancer Agents,http://www.ctep.info.nih.gov/handbook/HandbookText/fda_agen.htm,pages 1−7(1999年6月18日);MCMP 611 Chemotherapeutic Drugs to Know,http//www.vet.purdue.edu/depts/bms/courses/mcmp611/chrx/drg2no61.html(1999年6月24日);Chemotherapy,http://www.vetmed.lsu.edu/oncology/Chemotherapy.htm(1999年4月12日)。
代表的なアルキル化剤としては、アサリー(asaley)、AZQ、BCNU、ブスルファン、ビソルファン(busulfan)、カルボキシフタラートプラチナム、CBDCA、CCNU、CHIP、クロランブシル、クロロゾトシン(chlorozotocin)、cis−プラチナム、クロメゾン(clomesone)、シアノモルフォリノドキソルビシン、シクロディソン(cyclodisone)、シクロホスファミド、ジアンヒドロガラクチトール、フルオロドパン、ヘプスルファン、ヒカントン(hycanthone)、イフォスファミド(iphosphamide)、メルファラン、メチルCCNU、マイトマイシンC、ミトゾラミド、ナイトロジェンマスタード、PCNU、ピペラジン、ピペラジンジオン、ピポブロマン、ポルフィロマイシン、スピロヒダントインマスタード(spirohydantoin mustard)、ストレプトゾトシン、テロキシロン、テトラプラチン、チオテパ、トリエチレンメラミン、ウラシルナイトロジェンマスタード、およびYoshi−864が挙げられる。AntiCancer Agents by Mechanism,http://dtp.nci.nih.gov/docs/cancer/searches/standard_mechanism_list.html(1999年4月12日)。
代表的な抗有糸***剤には、アロコルヒチン(allocolchicine)、Halichondrin M、コルヒチン、コルヒチン誘導体、ドラスタチン(dolastatin)10、マイタンシン(maytansine)、リゾキシン(rhizoxin)、パクリタキセル誘導体、パクリタキセル、チオコルヒチン、トリチルシステイン、硫酸ビンブラスチンおよび硫酸ビンクリスチンなどがある。AntiCancer Agents by Mechanism,http://dtp.nci.nih.gov/docs/cancer/searches/standard_mechanism_list.html(1999年4月12日)。
代表的な植物アルカロイドには、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、L−アスパラギナーゼ、イダルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ミトラマイシン(mitramycin)、マイトマイシン、ダウノルビシン(daunorubicin)、VP−16−213、VM−26、ナベルビンおよびタキソテールなどがある。Approved Anti−Cancer Agents,http://ctep.info.nih.gov/handbook/HandBook Text/fda_agent.htm(1999年6月18日)。
代表的な生物学的物質としては、αインターフェロン、BCG、G−CSF、GM−CSFおよびインターロイキンー2が挙げられる。Approved Anti−Cancer Agents,http://ctep.info.nih.gov/handbook/HandBookText/fda_agent.htm(1999年6月18日)。
代表的なトポイソメラーゼIインヒビターとしては、カンプトセシン、カンプトセシン誘導体およびモルフォリノドキソルビシンが挙げられる。AntiCancer Agents by Mechanism,http://dtp.nci.nih.gov/docs/cancer/searches/standard_mechanism_list.html(1999年4月12日)。
代表的なトポイソメラーゼIIインヒビターとしては、ミトキサントロン、アモナフィド(amonafide)、m−AMSA、アントラピラゾール誘導体、ピラゾロアクリジン、ビサントレン(bisantrene)HCl、ダウノルビシン、デオキシドキソルビシン、メノガリル、N,N−ジベンジルダウノマイシン、オキサントラゾール、ルビダゾン(rubidazone)、VM−26およびVp−16が挙げられる。AntiCancer Agents by Mechanism,http://dtp.nci.nih.gov/docs/cancer/searches/standard_mechanism_list.html(1999年4月12日)。
代表的な合成物質としては、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、o,p’−DDD、ダカルバジン、CCNU、BCNU、cis−ジアミンジクロロ白金(diamminedichloroplatimun)、ミトキサントロン、CBDCA、レバミゾール、ヘキサメチルメラミン、all−transレチン酸、グリアデル(gliadel)およびポルファイマーナトリウムが挙げられる。Approved Anti−Cancer Agents,http://ctep.info.nih.gov/handbook/HandBookText/fda_agen.htm(1999年6月18日)。
代表的な抗体としては、増殖細胞に対するモノクローナル抗体、例えばB細胞腫瘍に対するRituximab(抗CD20)およびヘルセプチンなどが挙げられる。
(抗生物質)
以下に列挙される任意の抗生物質、または診断的効果および/もしくは治療的効果を示すことが公知であるか、またはその効果が発見された他の任意のこのような薬剤は、全て、本発明によるKCaチャネルおよび/またはKATPチャネルの1種以上の直接的アゴニストまたは間接的アクチベータと共により効果的に送達され得る。
βラクタム抗生物質のような細胞壁合成インヒビターは、一般に、細菌ペプチドグリカンの合成においてある工程を阻害する。ペニシリンは、一般に非耐性連鎖球菌、淋菌、およびブドウ球菌に対して有効である。アモキシシリンおよびアンピシリンは、グラム陰性菌に対して広域スペクトルを有する。セファロスポリンは、概してペニシリン代替物としてグラム陰性菌に対して使用され、そして外科的予防に用いられる。モノバクタムは、概してアレルギー性個体の処置のために有用である。
細胞膜インヒビターは、細菌膜の構造を破壊するか、または細胞膜の機能を阻害する。Bacillus polymyxisによって産生されるポリミキシンは、主としてグラム陰性菌に対して有効な細胞膜インヒビターであり、通常は局所使用に限られる細胞膜インヒビターである。
タンパク質合成インヒビターとしては、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、マクロライド(例えば、エリスロマイシン)およびアミノグリコシド(例えば、ストレプトマイシン)が挙げられる。アミノグリコシドは、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌によって生ずる広範囲の細菌感染に対して使用されている。ストレプトマイシンは、結核の処置における主要な薬物として広く用いられている。ゲンタマイシンは、Pseudomonas aeruginosaの数種の菌株を含むグラム陽性菌およびグラム陰性菌の多くの菌株に対して有効である。カナマイシンは、ペニシリン耐性ブドウ球菌を含む多くのグラム陽性菌に対して低濃度で有効である。
テトラサイクリンは、全てストレプトミセス属の天然の生成物である8種類の関連抗生物質からなるタンパク質合成インヒビターである。ただし現在はそのうちいくつかのものは半合成的に生成され得る。テトラサイクリン、クロロテトラサイクリンおよびドキシサイクリンは、最もよく知られている。テトラサイクリンは、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方に対して広範囲の活性を有する広域スペクトル抗生物質である。テトラサイクリンは、ライム病の処置など、いくつかの重要な用途を有する。
クロラムフェニコールは、広域活性スペクトルを有するが静菌効果を示すタンパク質合成インヒビターである。それはリケッチア属のような細胞内寄生生物に対して有効である。それは生命を脅かす状態(例えば、腸チフス)を除けばヒトの医療に使用することは稀である。エリスロマイシンのようなマクロライド抗生物質は、大部分のグラム陽性菌に対して有効なタンパク質合成インヒビターである。
いくつかの抗生物質は、DNAもしくはRNAの合成に影響を与えるか、またはDNAもしくはRNAに結合し得、そのためそれらのメッセージが読めなくなる。例えば、ナリジクス酸は、主としてグラム陰性菌に対して有効な合成キノロイド(quinoloid)抗生物質である。ナリジクス酸の主な用途は、下部***症(LUTI)の処置である。さらに、リファマイシンは結核を起こす細菌に対して、他の抗結核薬よりもより大きい殺菌性効果を有し、結核性髄膜炎、およびNeisseria meningitidisによって起きる髄膜炎の処置にもまた有用である。
最終的に、拮抗的インヒビターは概して、増殖因子アナログである合成抗生物質である。増殖因子アナログは、構造的に細菌増殖因子に似ているが、細胞内ではそれらの代謝機能を果たさない。例えば、スルホンアミドは、E.coliによって起きる併発症を伴わないUTIの治療および髄膜炎菌性髄膜炎の処置に非常に有効である。
適切な抗生物質剤は、例えばPhysician’s Desk 30 Reference(PDR)、Medical Economics Company(Montvale,NJ)(第53版),1999;Mayo Medical Center Formulary,Unabridged Version,Mayo Clinic(Rochester,MN)、January 1998;Merck Index An Encyclopedia of Chemicals,Drugs and Biologicals,(11th Ed.)Merck & Co.,Inc.(Rahway,NJ),1989;University of Wisconsin Antimicrobial Use Guide,http://www.medsch.wisc.edu/clinsci/5amcg/amcg.html;Introduction on the Use of the Antibiotics Guideline,of Specific Antibiotic Classes,Thomas Jefferson University,http://jeffiine.tju.edu/CWIS/OAC/antibiotics guide/intro.html;および本明細書において引用される参考文献に開示されている。
適切な抗生物質としては、例えば、アミノグリコシド、β−ラクタム抗生物質、セファロスポリン、マクロライド、種々の抗生物質、ペニシリン、テトラサイクリン、抗真菌剤、抗マラリア剤、抗結核薬、抗ウィルス薬、抗らい菌薬(leprostatic)、種々の抗感染症薬、キノロン、スルホンアミド、尿路抗感染症薬、鼻用抗生物質、眼科用抗生物質、眼科用抗ウィルス剤、眼科用キナロン、眼科用スルホンアミド剤、皮膚および粘膜の抗生物質、皮膚および粘膜の抗真菌剤、皮膚および粘膜の抗ウィルス剤、皮膚および粘膜の種々の抗感染症薬、皮膚および粘膜の殺疥癬虫薬および殺シラミ薬(pedulicide)、皮膚および粘膜の抗新形成薬、ニトロフランおよびオキサゾリジノンが挙げられる。Physician’s Desk Reference(PDR)、Medical Economics Company(Montvale,NJ)(第53版),1999;Mayo Medical Center Formulary,Unabridged Version,Mayo Clinic(Rochester,MN)(1998年1月)。
アミノグリコシドには、例えばアミカシン(硫酸アミカシン);クララマイシン(Craramyein)(硫酸ゲンタマイシン);ネブシン(硫酸トブラマイシン);ネトロマイシン(Netromycin)(硫酸ネチルミシン);硫酸ストレプトマイシン;およびTOBI(トブラマイシン)などがある。
β−ラクタム抗生物質には、例えば、アザクタム(アズトレオナム);セフォタン(Cefotan)(セフォテタン);ロラビド(Lorabid)(ロラカルベフ);メフォキシン(セフォキシチン);メレム(Merrem)(メロペネム);およびプリマキシン(注射用懸濁液のためのイミペネムおよびシラスタチン)などがある。
セファロスポリンには、例えばアンセフ(セファゾリン);セクロル(Ceclor)(セファクロル);セダックス(Cedax)(セフチブテン);セフィゾックス(Cefizox)(セフィゾキシムナトリウム);セフォビッド(セフォペラゾンナトリウム);セフチン(セフロキシムアキセチル);セフジル(Cefzil)(セフプロジル);セプタズ(Ceptaz)(セフタチジム);クラホラン(Claforan)(セホタキシム);ドゥリセフ(Duricef)(セファドロキシル一水和物);ホルタツ(Fortaz)(セフタジジム);ケフレックス(Keflex)(セファレキシン);ケフタブ(Keftab)(セファレキシンHCl);ケフロックス(Kefurox)(セフロキシム);ケフゾール(Kefzol)(セファゾリン);マンドール(Mandol)(セファマンドールナフェート);マキシピム(Maxipime)(セファピムHCl);モノシド(Monocid)(セフォニシドナトリウム);オムニセフ(Omnicef)(セフジニル);ロセフィン(Rocephin)(セフトリアキソン);スプラックス(Suprax)(セフィキシム);タジセフ(Tazicef)(セフタチジム);タチジム(Tazidime)(セフタチジム);バンチン(Vantin)(セフポドキシム プロキセチム);およびチナセフ(Zinacef)5(セフロキシム)などがある。
マクロライドは、例えばビアキシン(Biaxin)(クラリスロマイシン);ダイナバク(Dynabac)(ジリスロマイシン);E.E.S.200(エリスロマイシンエチルスクシネート);E.E.S.400(エリスロマイシンエチルスクシネート);EryPed 200(エリスロマイシンエチルスクシネート);EryPed 400(エリスロマイシンエチルスクシネート);EryTab(エリスロマイシン徐放錠);エリスロシンステアレート(エリスロマイシンステアレート);イロゾン(Ilosone)(エリスロマイシンエストレート);PCEディスパータブ(Dispertab)(錠剤中のエリスロマイシン粒子);ペディアゾール(Pediazole)(経口懸濁液のためのエリスロマイシンエチルスクシネートおよびスルフィゾキサゾールアセチル);タオ(Tao)(トロレアンドマイシン);ジスロマックス(Zithromax)(アジスロマイシン);およびエリスロマイシンなどである。
種々の抗生物質には、例えば、クレオシン(Cleocin)HCl(クリンダマイシン塩酸塩);クレオチン燐酸(Cleotin Phosphate)(リン酸エリンダマイシン);Coly−Mycin M(コリスチメテートナトリウム);およびバンコマイシン(Vancocin)HCl(バンコマイシン塩酸塩)などがある。
ペニシリンには、例えば、アモキシル(Amoxil)(アモキシシリン);オーグメンチン(Augmentin)(アモキシシリン/クラブラン酸カリウム);ビシリン(Bicillin)C−R 900/300(ペニシリンGベンザシンおよびペニシリンGプロカイン懸濁液);ビシリンC−R(ペニシリンGベンザシンおよびペニシリンGプロカイン懸濁液);ビシリンL−A(ペニシリンGベンザシン懸濁液);ゲオエイリン(Geoeillin)(カルベンシリンインダニルナトリウム);メズリン(Mezlin)(滅菌メズロシリンナトリウム);オムニペン(Omnipen)(アンピシリン);Pen−Vee K(ペニシリンVカリウム);フィゼルペン(Pfizerpen)(ペニシリンGカリウム);ピプラシル(Pipracil)(ピペラシリンナトリウム);スピートロビド(Speetrobid)(バカンピシリン−HCl);チカル(Ticar)(チエアルシリン二ナトリウム);チメンチン(Timentin)(チカルシリン二ナトリウムおよびクラブラン酸ナトリウム);ウナシン(Unasyn)(アンピシリンナトリウム/スルバクタムナトリウム);ゾシン(Zosyn)(ピペラシリンナトリウムおよびタゾバクタムナトリウム);およびジクロキサシリンナトリウム(Dicloxacillin Sodium)などがある。
テトラサイクリンには、例えば、アクロマイシンV(Achromycin V)(テトラサイクリンHCl);デクロマイシン(Declomycin)(デメクロ−サイクリンHCl);ダイナシン(Dynacin)(ミノサイクリンHCl);ミノシン(Minocin)(ミノサイクリン塩酸塩);モノドックス(Monodox)(ドキシサイクリン一水和物カプセル);テラマイシン(Terramycin)(オキシテトラサイクリン);ベクトリン(Vectrin)(ミノサイクリン塩酸塩);ビブラマイシンカルシウム(Vibramycin Calcium)(ドキシサイクリンナトリウム);ビブラマイシンヒクラート(Vibramycin Hyclate)(ドキシサイクリンヒクラート);ビブラマイシン一水和物(Vibramycin Monohydrate)(ドキシサイクリン一水和物);Vibra−Tabs(ドキシサイクリン水和物);デクロマイシン(Declomycin)(デメクロサイクリンHCl);ビブラマイシン(Vibramycin)(ドキシサイクリン);ダイナシン(Dynacin)(ミノサイクリンHCl);テラマイシン(Terramycin)(オキシテトラサイクリンHCl);アクロマイシンVカプセル5(Achromycin V capsule5)(テトラサイクリンHCl);リンコマイシン;およびクレオチンHCl(Cleotin HCl)(クリンダマイシンHCl)などがある。
抗真菌剤には、例えば、アベルセト(Abelcet)(アンホテリシンB脂質複合体);AmBisome(アンホテリシンB);アンフォテック(Amphotec)(アンホテリシンBコレステロール硫酸複合体);アンコボン(Ancoban)(フルシトシン);ジフルカン(Diflucan)(フルコナゾール);フルビシン(Fulvicin)P/γ(超微小サイズのグリセオフルビン);フルビシンP/G165および330(超微小サイズのグリセオフルビン);グリフルビンV(Grifulvin V))(グリフルビン);Gals−PEG(グリセオフルビン超微小サイズ);ラミシル(Lamisil)(テルビナフィン塩酸塩);ニゾラール(Nizoral)(ケトコナゾール);アンホテリシンB(Amphotericin B);ロトリミン(Lotrimin)(クロトリマゾール);ダプソン錠(Dapsone tablet)(ダプソン);ジフルカン(Diflucan)(フルコナゾール);Monistat−Dermクリーム(ミコナゾール);マイコスタチンクリーム(Mycostalin Crc.am)(ナイスタチン);およびスポラノックス(Sporanox)(イタコナゾール)などがある。
抗マラリア薬には、例えば、アラレン塩酸塩(クロロキンHCl);アラレンリン酸塩(クロロキンリン酸塩);ダタプリム(Dataprim)(ピリメタミン);ラダム(Ladam)(メフロキンHCl);およびプラケニル(Plaquenil)(ヒドロキシクロロキン硫酸)などがある。
抗結核薬には、例えば、硫酸カプスタット(Capastat sulfate)(カプレオマイシン硫酸塩);ミアンブトール(Myambutol)(エタンブトール塩酸塩);マイコブチン(Mycobutin)(リファブチンカプセル);ナイドラチッド(Nydrazid)(イソニアチド注射);ペイサー(Paser)(アミノサリチル酸);プリフィン(Prifiin)(リファペンチン);ピラチナミド錠(Pyrazinamide tablet)(ピラチナミド);リファジン(Rifadin)(リファンピンカプセル);リファジンIV(注射用リファンピン);リファメート(Rifamate)(リファンピンおよびイソニアチド);リファター(Rifater)(リファンピン、イソニアチドおよびピラチナミド);セロマイシン(Seromycin)(サイクロセリンカプセル);硫酸ストレプトマイシン(Streptomycin−Sulfayr);Tice BCG(BCGワクチン);サイクロセリン(Cycloserin)(セロマイシンカプセル);ウリセド(Urised)(メテナミン);およびTrecator−SC(エチオナミド錠)などがある。
抗ウィルス薬には、例えば、アルフェロンN(Alferon N)(インターフェロンα−n3);クリキシバン(Crixivan)(インジナビル硫酸塩);サイトヴェン(Cytovene)(ガンシクロビル);サイトヴェン−IV(ガンシクロビルナトリウム);エピビル(Epivir)(ラミブジン);ファムビル(Famvir)(ファムシクロビル);フルマジン(Flumadine)(リマンタジンHCl);フォスカビル(Foscavir)(フォスカメトナトリウム);ヒビド(Hivid)(ザルシタビン);イントロンA(Intron A)(インターフェロンα−2b);インビラーゼ(Invirase)(サキナビルメシレート);ノルビル(Norvir)(リトナビル);レベトロール(Rebetrol)(リバビリン)およびイントロンA(インターフェロンα−2b)を含むレベトロン(Rebetron)併用治療;レスクリプタ(Rescriptor)(デラビルジンメシレート);レトロビル(Retrovir)(チズブジン);レトロビルIV(チズブジン);シンメトレル(Symmetrel)(アマンタジンHCl);シナギス(Synagis)(パリビズマブ);バルトレックス(Valtrex)(バラシクロビルHCl);ビデックス(Videx)(ジダノシン);ビラセプト(Viracept)(ネルフィナビル メシレート);ビラムーン(Viramune)(ネビラピン);ビラゾール(Virazole)(リバビリン);ビスチッド(Vistide)(シドフォビル);ゼリト(Zerit)(スタブジン(d4T));シンメトレルシロップ(Symmetrel Syrup)(アマンタジンHCl);コンビビル錠(Combivir Tablet)(ラミドゥビン);およびゾビラックス(Zovirax)(アシクロビル)などがある。
抗らい菌剤としては、例えば、ダプソン錠(Dapsone Tablet)(ダプソン)が挙げられる。
種々の抗感染症薬としては、例えば、ダラプリム(Daraprim)(ピリメタミン);フラギル375(Flagyl 375)(メトロニダゾール);フラギルER錠(メトロニダゾール);フラギルI.V.(メトロニダゾール);フロキソン(Furoxone)(フラゾリドン);メプロン(Mepron)(アトバキオン);およびニュートレキシン(Neutrexin)(tフィメトレキセートグルクロネート)などがある。
キノロンとしては、例えば、シプロ(Cipro)(シプロフロキサシンHCl);フロキシン(Floxin)(オフロキサシン);レバキン(Levaquin)(レボフロキサシン);マザキン(Mazaquin)(ロメフィオキサシンHCl);ノロキシン(Noroxin)(ノルフロキサシン);ペネトレックス(Penetrex)(エノキサシン);ラキサル(Raxar)(グレパフロキサシンHCl);トロバン(Trovan)(トロバフィオキサシンメシレート);およびザガン(Zagam)(スパルフロキサシン)が挙げられる。
スルホンアミドとしては、例えば、バクトリム(Bactrim)(トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール);バクトリムDS(トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール二倍強度);ペディアゾール(Pediazole)(エリスロマイシンエチルスクシネートおよびスルフイソキサゾールアセチル);セプトラ(Septra)(トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール);セプトラDS(トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール);Co−Trimoxazole、スルファジアジン(Sulfadiazine)、バットリムI.V.(Battrim I.V.)注入(スルファメトキサゾール);スルファピリジン(Sulfapyridine)およびペディアゾール(Pediazole)(エリスロマイシンエチルスクシネートおよびスルフィソキサゾールアセチル)が挙げられる。
ニトロフランとしては、例えば、フラダンチン経口懸濁液(Furadantin Oral Suspension)(ニトロフラントイン)が挙げられる。
オキサゾリジノンとしては、例えば、ザイボックス(Zyvox)(リネゾリド)が挙げられる。
本発明に有用な抗生物質が、上記に開示された抗生物質処方物のいずれかに存在する生物学的に活性な化合物であることは、当業者には明らかである。例えば、アザクタム(アズトレオナム)は、一般的に注射用溶液として利用可能である。しかし上記抗生物質剤は、(z)−2−[[[(2−アミノ−4−チアゾリル)−[[(2S,−3S)−2−メチル−4−オキソ−1−スルフォ−3−アゼチジニル]カルバモイル]メチレン]アミノ]−オキシ]−2−メチル−プロピオン酸である。Physician’s Desk Reference(PDR)、Medical Economics Company(Montvale,NJ)(第53版),pp.820−823,1999。
アミカシンは、Elkins−Sinnから販売されており、D−ストレプタミン、O−3−アミノ−3−デオキシ−α−D−グルコピラノシル−(1→6)−O−6−デオキシ−α−z−D−グルコ−ピラノシル−(1→4)−N’−(4−アミノ−2−ヒドロキシ−1−オキソブチル)−2−デオキシ−,1(S)−,硫酸(1:2)(塩)である。
ガラマイシン(硫酸ゲンタマイシン)は、Scheringから販売されている。
ネブシン(硫酸トブラマイシン)は、Lilyから販売され、O−3−アミノ−3−デオキシ−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−O−[2,6−ジアミノ−2,3−6−トリデオキシ−α−D−リボ−ヘキソ−ピラノシル−(1→6)]−2−デオキシ−L−ストレプタミン,硫酸(2:5)(塩)である。
ネトロマイシン(硫酸ネチルマイシン)は、Scheringから販売され、O−3−デオキシ−4−C−メチル−3−(メチルアミノ)−β−L−アラ−ビノピラノシル−(1→4)−O−[2,6−ジアミノ−2,3,4,6−テトラデオキシ−α−D−グリセロ−ヘキサ−4−エノピラノシル−(1→6)−2−デオキシ−N−エチル−L−ストレプタミン硫酸(2:5)塩である。
硫酸ストレプトマイシンは、Pfizerから販売されており、D−ストレプタミン、(1→4)−N,N’−ビス(アミノイミノメチル)−O−2−デオキシ−2−(メチルアミノ)−α−L−グルコピラノシル−(1→2)−O−5−デオキシ−3−C−ホルミル−L−α−リキソ−フラノシル硫酸(2:3)塩である。
TOBI(トブラマイシン)は、Pathogenesis Corporationから販売されており、O−3−アミノ−3−デオキシ−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−O−[2,6−ジアミノ−2,3,6−トリデオキシ−a−D−リボ−ヘキソピラノシル−(1−6)]−2−デオキシ−L−ストレプタミンである。
アザクタム(アズトレオナム)は、Bristol−Myers Squibbから販売されており、(Z)−2−[[[(2−アミノ−4−チアゾリル)[[(2S,−3S)−2−メチル−4−オキソ−1−スルフォ−3−アゼチジニル]−カルバモイル]メチレン]アミノ]オキシ]−2−メチルプロピオン酸である。
セフォタン(セフォテタン)は、Zenecaから販売されており、[6R−(6a,7a)]−7−[[[4−(2−アミノ−1−カルボキシ−2−オキソエチリデン)−1,3−ジチエタン−2−イル]カルボニル]アミノ]−7−メトキシ−3−[[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)チオ]メチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ−[4.2.0]−オクト−2−エン−2−カルボン酸二ナトリウム塩である。
ロラビド(ロラカルベフ)は、Lillyから販売されており、(6R,7S)−7−[R−2−アミノ−2−フェニルアセタミド]−3−クロロ−8−オキソ−1−アザビシクロ−[4.2.0]−オクト−2−エン−2−カルボン酸一水和物である。
メフォキシン(セフォキシチン)は、Merckから販売されており、ナトリウム(6R,7S)−3−(ヒドロキシメチル)−7−メトキシ−8−オキソ−7−[2−(2−チエニル)アセタミド]−5−チア−1−アザビシクロ−[4.2.0]−オクト−2−エン−2−カルボキシレートカルバメート(エステル)である。
メレム(メロペネム)は、Zenecaから販売されており、(4R,5S,6S)−3−[(3S,5S)−5−(ジメチルカルバモイル)−3−ピロリジニル]チオール]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプト−2−エン−2−カルボン酸三水和物である。
プリマキシン(注射用懸濁液のためのイミペネムおよびシラスタチン)は、Merckから販売されており、(1)イミペネムは、N−ホルムイミドイルチエナマイシン一水和物で、化学名は[5R−[5α,6α(R)]]−6−(1−ヒドロキシエチル)−3−[[2−[(イミノメチル)アミノ]−エチル]−チオ]−7−オキソ−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプト−2−エン−2−カルボン酸一水和物であり、シラスタチンナトリウムは[R−[R,S,−(Z)]]−7−[(2−アミノ−2−カルボキシエチル)チオ]−2−[[(2,2−ジメチルシクロ−プロピル)カルボニル]アミノ]−2−ヘプテン酸一ナトリウム塩である。
アンセフ(セファゾリン)は、SmithKline Beechamから販売されており、3−{[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオメチル]}−8−オキソ−7−[2−(1H−30−テトラゾール−1−イル)−アセタミド]−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸である。
セクロール(セファクロール)は、Lillyから販売されており、3−クロロ−7−D−(2−フェニルグリシナミド)−3−セファム−4−カルボン酸一水和物である。
セダックス(セフチブテン)は、Scheringから販売されており、(+)−(6R,7R)−7−[(Z)−2−(2−(2−アミノ−4−チアゾリル)−4−カルボキシクロトンアミド]−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ−[4.2.0]−オクト−2−エン−2−カルボン酸一水和物である。
セフィゾックス(セフチゾキシムナトリウム)は、Fujisawaから販売されており、[6R−[6α 7β(Z)]]−7[[2,3,ジヒドロ−2−イミノ−4−チアゾリル(メチルアミノ)アセチル]アミノ]−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸のナトリウム塩である。
セフォビド(セフォペラゾンナトリウム)は、Pfizerから販売されており、ナトリウム(6R,7R)−7−[R−2−(4−エチル−2,3−ジオキソ−1−ピペラジン−カルボキサミド)−2−(p−ヒドロキシ−フェニル)−アセタミド)−3−[[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)チオ]メチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボキシレートである。
セフチン(セフロキシム アキセチル)は、Glaxo Wellcomeから販売されており、(R,S)−1−ヒドロキシエチル(6R,7R)−7−[2−(2−フリル)グリオキシルアミド]−3−(ヒドロキシエチル)−(8−オキソ−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボキシレート、7(Z)−O−メチル−オキシム)、1−アセテート3−カルバメートである。
セフジル(セフプロジル)は、Bristol−Myers Squibbから販売されており、(6R,7R)−7−[R−2−アミノ−2−(p−ヒドロキシフェニル)アセタミド]8−オキソ−3−プロペニル−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸一水和物である。
セプタズ(セフタチジム)は、Glaxo Wellcomeから販売されており、[6R−[6α713(Z)]]−1−[[7−[[(2−アミノ−4−チアゾリル)[(1−カルボキシ−1−メチルエトキシ)イミン]アセチル]−アミノ]−2−カルボキシ−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−3−イル]メチル]ヒドロキシド分子内塩である。
クラホラン(セホタキシム)は、Hoescht Marion Rousselから販売されており、7−[2−(2−アミノ−4−チアゾリル)グリオキシルアミド]−3−(ヒドロキシメチル)−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ−[4.2.0]−オクト−2−エン−2−カルボキシレート7(Z)−(O−メチルオキシム)、アセテート(エステル)である。
ドュリセフ(セファドロキシル一水和物)は、Bristol−Myers Squibbから販売されており、[6R−[6α,7β(R)]]−7−[[アミノ(4−ヒドロキシフェニル)アセチル]アミノ]−3−メチル−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸一水和物である。
ホルタツ(セフタチジム)は、Glaxo Wellcomeから販売されており、[6R−[6α,7β(Z)]]−1−[[7−[[(2−アミノ−4−チアゾリル)[1−カルボキシ−1−メチルエトキシ)イミノ]アセチル]アミノ]−2−カルボキシ−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−3−イル]メチル]ヒドロキシド分子内塩である。
ケフレックス(セファレキシン)は、Distaから販売されており、7−(D−α−アミノ−α−フェニルアセタミド)−3−メチル−3−セフェム−4−カルボン酸一水和物である。
ケフタブ(セファレキシンHCl)は、Duraから販売されており、7−(D−2−アミノ−2−フェニルアセタミド)−3−メチル−3−セフェム−4−カルボン酸塩酸一水和物である。
ケフロックス(セフロキシム)は、Lillyから販売されており、(6R,7R)3−カルバモイルオキシメチル−7−[Z−2−メトキシイミノ−2−(フル−2−イル)アセタミド]セフ−3−エム−4−カルボキシレートのナトリウム塩である。
ケフゾール(セファゾリン)は、Lillyから販売されており、3−{[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ]メチル}−8−オキソ−7−[2−(1H−テトラゾール−1−イル)アセタミド]−5−チア−1−アザ−ビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸のナトリウム塩である。
マンドール(セファマンドール ナレート)は、Lillyから販売されており、[6R−[6α−7β(R)]]−7−[[(フォルミルオキシ)フェニルアセチル]アミノ]−3−[[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)チオ]−メチル]−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸一ナトリウム塩である。
マキシピム(セフェピムHCl)は、Bristol−Myers Squibbから販売されており、1−[[(6R,7R)−7−[(2−アミノ−4−チアゾリル)−グリオキシルアミド]−2−カルボキシ−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ−[4.2.0]−オクト−2−エン−3−イル]メチル]−1−メチルピロリジニウム塩化物、7−(Z)−(O−メチル−オキシム)、一塩酸、一水和物である。
モノシド(セフォニシドナトリウム)は、SmithKline Beechamから販売されており、[6R−[6α,7β(R)]]−[(ヒドロキシフェニル−アセチル)−アミノ]−8−オキソ−3−[[1−(スルホ−メチル)−1H−テトラゾール−5−イル]30チオ−メチル]−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボン酸二ナトリウム塩である。
オムニセフ(セフジニル)は、Parke Davisから販売されており、[6R[6α,7β(Z)]]−7−[[(2−アミノ−4−チアゾリル)(ヒドロキシイミノ)アセチル]アミノ]−3−エテニル−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]−オクト−2−エン−2−カルボン酸である。
ロセフィン(セフトリアキソン)は、Roche Laboratoriesから販売されており、(6R,7R)−7−[2−(2−アミノ−4−チアゾリル)グリオキシルアミド]−8−オキソ−3−[[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジ−オキソ−as−トリアチン−3−イル)チオ]メチル]−5−チア−1−アザビシクロ−[4.2.0]−オクト−2−エン−2−カルボン酸,7−(Z)−O−メチルオキシム),二ナトリウム塩,一倍半水和物(sesquatehydrate)である。
スプラックス(セフチキシム)は、Lederle Laboratoriesから販売されており、(6R,7R)−7−[2−(2−アミノ−4−チアゾリル)グリオキシルアミド]−8−オキソ−3−ビニル−5−チア−1−アザビシクロ−[4.2.0]−オクト−2−エン−2−カルボン酸,7−(Z)−[O−(カルボキシメチル)オキシム]三水和物である。
タジセフ(セフタチジム)は、SmithKline Beechamから販売されており、ピリジニウム、[6R[6α,7β(Z)]]−1−[[7−[[2−アミノ−4−チアゾリル[(1−カルボキシ−1−メチルエトキシ)−イミノ]アセチル]アミノ]−2−カルボキシ−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ−(4.2.0)−オクト−2−エン−3−イル]メチル]−水酸化物分子内塩である。
タチジム(セフィアチジム)は、Lillyから販売されており、ピリジニウムの五水和物、1−[[7−[[2−アミノ−4−チアゾリル)[(1−カルボキシ−1−メチルエトキシ)イミノ]アセチル]−アミノ]−2−カルボキシ−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ(4.2.0)オクト−2−エン−3−イル]メチル]水酸化物、分子内塩、[6R,[6α,7β(Z)]]である。
バンチン(セフポドキシム プロキセチル)は、Pharmacia & Upjohnから販売され、(RS)−1−(イソプロプロキシカルボニルオキシ)エチル−(+)−(6R,7R)−7−[2−(2−アミノ−4−チアゾリル)−2−{(Z)−メトキシイミノ}アセタミド]−3−メトキシメチル−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボキシレートである。
チナセフ(セフロキシム)は、Glaxo Wellcomeから販売されており、(6R,7R)−3−カルバモイルオキシメチル−7−[Z−2−メトキシ−イミノ−2−フル−2−イル]−アセタミド]−セフ−3−エム−4−カルボキシレートナトリウム塩である。
ビアキシン(クラリスロマイシン)は、Abbottから販売されており、6−O−メチル−エリスロマイシンである。
ダイナバク(ジリスロマイシン)は、Sanofiから販売され、(9S)−9−デオキシ−11−デオキシ−9,11−[イミノ[(1R)−2−(2−メトキシエトキシ)−エチリデン]オキシ]エリスロマイシンである。
E.E.S.200(エリスロマイシンエチルスクシネート)は、Abbotから販売されており、エリスロマイシン2’−(エチルスクシネート)である。
E.E.S.400(エリスロマイシンエチルスクシネート)は、Abbottから販売されており、エリスロマイシン2’−(エチルスクシネート)である。
Ery−Ped 200(エリスロマイシンエチルスクシネート)はAbbotから販売されており、エリスロマイシン2’−(エチルスクシネート)である。
EryPed 400(エリスロマイシンエチルスクシネート)は、Abbottから販売されており、エリスロマイシン2’−(エチルスクシネート)である。
Ery−Tab(エリスロマイシン徐放錠)は、Abbottから販売されており、(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)−4−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−α−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−14−エチル−7,12,13−トリヒドロキシ−3,5,7,9,11,13−ヘキサメチル−6−[[3,4,6−トリデオキシ−3−(ジメチルアミノ)−13−β−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]オキサシクロテトラ−デカン−2,10−ジオンである。エリスロシンステアレート(エリスロマイシン ステアレート)は、Abbottから販売されており、(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)−4−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−α−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−14−エチル−7,12,13−トリヒドロキシ−3,5,7,9,11,13−ヘキサメチル−6−[[3,4,6−トリデオキシ−3−(ジメチルアミノ)−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]オキサ−シクロテトラデカン−2,10−ジオンのステアリン酸塩である。
アイロゾン(エリスロマイシンエストレート)は、Distaから販売されており、エリスロマイシン2’−プロピオネート、ドデシル硫酸塩である。
PCEディスパータブ(錠剤中のエリスロマイシン粒子)は、Abbottから販売され、(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)−4−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−ot−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−14−エチル−7,12,13−トリヒドロキシ−3,5,7,9,11,13−ヘキサ−メチル−6−[[3,4,6−トリデオキシ−3−(ジメチルアミノ)−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]オキサ−シクロテトラデカン−2,10−ジオンである。
ペディアゾール(エリスロマイシンエチルスクシネートおよびスルフィソキサゾールの経口懸濁液)は、Ross Productから販売され、エリスロマイシンの2’−エチルスクシニルエステル(エリスロマイシンエチルスクシネート)およびN−(3,4−ジメチル−5−イソキサゾリル)−N−スルファニリルアセタミド(スルフィソキサゾールアセチル)である。
タオ(トロレアンドマイシン)は、Pfizerから販売され、オレアンドマイシンの合成誘導されたアセチル化エステルである。
ジスロマックス(アジスロマイシン)は、Pfizerから販売されており、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)−13−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−a−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−2−エチル−3,4,10−トリヒドロキシ−3,5,6,8,10,12,14−ヘプタメチル−11−[[3,4,6−トリデオキシ−3−(ジメチルアミノ)−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]−1−オキサ−6−アザ−シクロペンタデカン−15−オンである。
エリスロマイシンは、(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)−4−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−α−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−14−エチル−7,12,13−トリヒドロキシ−3,5,7,9,11,13−ヘキサメチル−6−[[3,4,6−トリデオキシ−3−(ジメチルアミノ)−O−−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]オキサ−シクロテトラデカン−2,10−ジオンである。
クレオシンHCl(塩酸クリンダマイシン)は、Pharmacia & Upjohnから販売され、クリンダマイシンの水和塩酸塩であり、リンコマイシンの(7R)ヒドロキシル基の7(S)クロロ置換によって生成される半合成(asemisynthetic)抗生物質である。
クレオシンリン酸(リン酸クレオシン)は、Pharmacia & Upjohnから販売されており、L−スレオ−α−D−ガラクト−オクトピラノシド、(2S−トランス)−メチル−7−クロロ−6,7,8−トリデオキシ−6−[[(1−メチル−4−プロピル−2−ピロリジニル)カルボニル]アミノ]−1−チオ−2−(ジヒドロゲンホスフェート)である。
Coly−Mycin M(コリスチメタンナトリウム)は、Monarchから販売されている。
バンコシンHCl(塩酸バンコマイシン)は、Lillyから販売されている。
アモキシル(アモキシシリン)は、SmithKline Beechamから販売されており、(2S,5R,6R)−6−[R−(−)−2−アミノ−2−(p−ヒドロキシフェニル)アセタミド]−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボン酸の三水和物である。
オーグメンチン(アモキシシリン/クラブラン酸カリウム)は、SmithKline Beechamから販売されており、(2S,5R,6R)−6−[R−(−)−2−アミノ−2−(p−ヒドロキシフェニル)アセタミド]−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボン酸の三水和物(アモキシシリン)およびカリウム(Z)−(2R,5R)−3−(2−ヒドロキシエチリデン)−7−オキソ−4−オキサ−1−アザ−ビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボキシレート(クラブラン酸カリウム)である。
ビシリンC−R900/300(ペニシリンGベンザチンおよびペニシリンGプロカインの懸濁液)は、Wyeth−Ayerstから販売されており、(2S,5R,6R)−3,3−ジメチル−7−オキソ−6−(2−フェニル−アセタミド)−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボン酸とN,N’−ジベンジル−エチレンジアミンとの化合物(2:1)、四水和物(ペニシリンGベンザチン)および(2S,5R,6R)−3,3−ジメチル−7−オキソ−6−(2−フェニル−アセタミド)−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボン酸と2−(ジエチル−アミノ)エチルp−アミノベンゾエートとの化合物(1;1)一水和物(ペニシリンGプロカイン)である。
ビシリンC−R(ペニシリンGベンザチンおよびペニシリンGプロカインの懸濁液)は、Wyeth−Ayerstから販売されており、(2S,5R,6R)−3,3−ジメチル−7−オキソ−6−(2−フェニル−アセタミド)−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボン酸とN,N’−ジベンジル−エチレンジアミンとの化合物(2:1)、四水和物(ペニシリンGベンザチン)および(2S,5R,6R)−3,3−ジメチル−7−オキソ−6−(2−フェニルアセタミド)−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボン酸と2−(ジエチルアミノ)エチルp−アミノベンゾエートとの化合物(1:1)一水和物(ペニシリンGプロカイン)である。
ビシリンL−A(ペニシリンGベンザチン懸濁液)は、Wyeth−Ayerstから販売されており、(2S,5R,6R)−3,3−ジメチル−7−オキソ−6−(2−フェニルアセタミド)−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボン酸とN,N’−ジベンジルエチレン−ジアミンとの化合物(2:1)の四水和物である。
ゲオシリン(カルベンシリンインダニルナトリウム)は、Pfizerから販売されており、1−(5−インダニル)−N−(2−カルボキシ−3−3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプト−6−イル)−2−フェニル−マロナメート一ナトリウム塩である。
メズリン(滅菌メズロシリンナトリウム)は、Bayerから販売されており、6−{D−213[(メチル−スルホニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−カルボキシアミド]−2−フェニルアセタミド}ペニシラン酸の一水和物ナトリウム塩である。
オムニペン(アンピシリン)は、Wyeth−Ayerstから販売されており、(2S,5R,6R)−6−[R−2−アミノ−2−フェニルアセタミド]−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボン酸である。
Pen−Vee K(ペニシリンVカリウム)は、Wyeth−Ayerstから販売されており、ペニシリンGのフェノキシメチルアナログのカリウム塩である。
ファイザーペン(ペニシリンGカリウム)は、Pfizerから販売されており、3,3−ジメチル−7−オキソ−6−(2−フェニルアセタミド)−4−チア−1−アザビシクロ−(3.2.0)−ヘプタン−2−カルボキシレート一カリウム塩である。
ピプラシル(ピペラシリンナトリウム)は、Lederleから販売されており、[2S−[2α,5α,6β(S)]]−6−[[[[(4−エチル−2−3−ジオキソ−1−ピペラジニル)−カルボニル]−アミノ]フェニルアセチル]アミノ]−3,3−ジ−メチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボン酸一ナトリウム塩である。
スペクトロビド(バカンピシリンHCl)は、Pfizerから販売されており、1’−エトキシ−カルボニルオキシエチル−6−(D−αアミノフェニルアセタミド)ペニシレート塩酸塩である。
チカル(チカルシリン二ナトリウム)は、SmithKline Beechamから販売されており、N−(2−カルボキシ−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプト−6−イル)−3−チオフェネマロナミン酸の二ナトリウム塩である。
チメンチン(チカルシリン二ナトリウムおよびクラブラン酸カリウム)は、SmithKline Beechamから販売されており、N−(2−カルボキシ−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプト−6−イル)−3−チオフェネマロナミン酸二ナトリウム塩(チカルシリン二ナトリウム)およびカリウム(Z)−(2R,5R)−3−(2−ヒドロキシエチリデン)−7−オキソ−4−オキサ−1−アザ−ビシクロ−[3.2.0]−ヘプタノン−2−カルボキシレート(クラブラン酸カリウム)である。
ウナシン(アンピシリンナトリウム/スルバクタムナトリウム)は、Pfizerから販売されており、(2S,5R,6R)−6−[R−2−アミノ−2−フェニルアセタミド]−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザ−ビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボキン酸一ナトリウム(アンピシリンナトリウム)およびナトリウムペニシレートスルホン;ナトリウム(2S,5R)−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボキシレート−4,4−ジオキシド(スルバクタムナトリウム)である。
ゾシン(ピペラシリンナトリウムおよびタゾバクタムナトリウム)は、Lederleから販売されており、ナトリウム(25,5R,6R)−6[R−2−(4−エチル−2,3−ジオキソ−1−ピペラジン−カルボキサミド)−2−フェニル−アセタミド]−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボキシレート(ピペラシリン)およびナトリウム(2S,3S,5R)−3−メチル−7−オキソ−3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イルメチル)−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボキシレート−4,4−ジオキシド(タゾバクタム)である。
ジクロキサシリンナトリウムは(2S,5R,6R)−6−(3−(2,6−ジクロロフェニル)5−メチル−4−イソキサゾールカルボキサミド)−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタン−2−カルボキシレート一ナトリウム一水和物である。
アクロマイシンV(テトラサイクリンHCl)は、Lederleから販売されており、[4S−(4α,4aα,5aα,6β,12aα)]−4−(ジメチルアミノ)−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタ−ヒドロ−3,6,10,12,12a−ペンタヒドロキシ−6−メチル−1,11−ジオキソ−2−ナフタセンカルボキサミドの一塩酸塩である。
デクロマイシン(デメクロサイクリンHCl)は、Lederle Laboratoriesから販売されており、7−クロロ−4−ジメチルアミノ−1,4,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,6,10,12,12a−ペンタヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセンカルボキサミド一塩酸塩である。
ダイナシン(ミノサイクリンHCl)は、Medicisから販売されており、[4S−(4α,4aα,5aα,12aα)]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセンカルボキサミド一塩化物である。
ミノシン(ミノサイクリン塩酸)は、Lederle Laboratoriesから販売されており、[4S−(4a,4aα,5aα,12aα)]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセンカルボキサミド一塩化物である。
モノドックス(ドキシサイクリン一水和物カプセル)は、Oclassenから販売されており、α−6−デオキシ−5−オキシテトラサイクリンである。
テラマイシン(オキシテトラサイクリン)は、Pfizerから販売されている。
ベクトリン(ミノサイクリン塩酸)は、Warner,Chilcott Professional Productsから販売されており、[4S−(4α,4aα,5aα,12ax)]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセンカルボキサミド一塩化物である。
ビブラマイシンカルシウム(ドキシサイクリンナトリウム)は、Pfizerから販売されており、4−(ジメチルアミノ)−1,4,4a,5,Sa,6,11,12a−オクタヒドロ−3,5,10,12,12a−ペンタヒドロキシ−6−メチル−1,11−ジオキソ−2−ナフタセン−カルボキサミドの一水和物である。
ビブラマイシンヒクラート(ドキシサイクリンヒクラート)は、Pfizerから販売されており、α−6−デオキシ−5−オキシテトラサイクリンである。
ビブラマイシン一水和物(ドキシサイクリン一水和物)はPfizerから販売されており、4−(ジメチルアミノ)−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,5,10,12,12a−ペンタヒドロキシ−6−メチル−1,11−ジオキソ−2−ナフタセン−カルボキサミド一水和物である。
Vibra−Tab(ドキシサイクリン水和物)は、Pfizerから販売されており、a−6−デオキシ−5−オキシテトラサイクリンである。
ビブラマイシン(ドキシサイクリン)は、Pfizerから販売されており、4−(ジメチルアミノ)−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,5,10,12,12a−ペンタヒドロキシ−6−メチル−1,11−ジ−オキソ−2−ナフタセン−カルボキサミド一水和物である。
リンコマイシンは、(2S,5R,6R)−6−(3−(2,6−ジクロロフェニル)5−メチル−4−イソキサゾール−カルボキサミド]−3,3−ジメチル−7−オキソ−4−チア−1−アザビシクロ−[3.2.0]−ヘプタンー2−カルボキシレート一ナトリウム一水和物である。
クレオシンHCl(クリンダマイシンHCl)は、Pharmacia & Upjohnから販売されており、メチル7−クロロ−6,7,8−トリデオキシ−6−(1−メチル−trans−4−プロピル−L−2−ピロリジンカルボキサミド)−1−チオ−L−threo−α−D−ガラクト−オクトピラノシドの一塩酸塩である。
アベルセト(アンホテリシンB脂質複合体)は、Libosome Company,Inc.から販売されており、[1R−(1R,3S,5R,6R,9R,11R、15S,16R,17R,18S,19E、21E,23E,25E,27E,29E,31E,33R,35S,36R,37S)]−33−[(3−アミノ−3,6−ジデオキシ−β−D−マンノ−ピラノシル)オキシ]−1,3,5,6,9,11,17,37−オクタヒドロキシ−15,16,18−トリメチル−13−オキソ−14,39−ジオキサビシクロ−[33.3.1]−ノナトリアコンタ−19,21,23,25,27,29,31−ヘプタエン−36−カルボン酸である。
アンビソーム(アンホテリシンB)は、Fujisawa Healthcareから販売されており、[1R−(1R,3S,5R,6R,9R,11R、15S,16R,17R,18S,19E、21E,23E,25E,27E,29E,31E,33R,35S,36R,37S)]−33−[(3−アミノ−3,6−ジデオキシ−β−D−マンノ−ピラノシル)オキシ]−1,3,5,6,9,11,17,37−オクタヒドロキシ−15,16,18−トリメチル−13−オキソ−14,39−ジオキサビシクロ−[33.3.1]−ノナ−トリアコンタ−19,21,23,25,27,29,31−ヘプタエン−36−カルボン酸である。
アンフォティー(アンホテリシンBコレステロール硫酸複合体)は、Sequus Pharmaceuticals,Inc.から販売されており、[1R−(1R,3S,5R,6R,9R,11R、15S,16R,17R,18S,19E,21E,23E,25E,27E,29E,31E,33R,35S,36R,37S)]−33−[(3−アミノ−3,6−ジ−デオキシ−β−D−マンノ−ピラノシル)オキシ]−1,3,5,6,9,11,17,37−オクタヒドロキシ−15,16,18−トリメチル−13−オキソ−14,39−ジオキサビシクロ−[33.3.1]−ノナトリアコンタ−19,21,23,25,27,29,31−ヘプタエン−36−カルボン酸である。
アンコボン(フルシトシン)は、ICN Pharmaceuticalから販売されており、5−フルオロシトシンである。
ジフロカン(フルコナゾール)は、Pfizer Inc.から販売されており、2,4−ジフロロ−α−α’−ビス(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ベンジルアルコールである。
フルビシンP/G(超微小サイズのグリセオフルビン)は、Scheringから販売されている。
フルビシンP/G165および330(超微小サイズのグリセオフルビン)は、Scheringから販売されている。
グリフルビンV(グリセオフルビン)は、Ortho Dermatologicalから販売されている。
Gris−PEG(グリセオフルビン ウルトラミクロサイズ)は、Allerganから販売されている。
ラミシル(テルビナフィン塩酸)は、Novartisから販売されており、(E)−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチル−1−ナフタレンメタナミド塩酸である。
ニゾラール(ケトコナゾール)は、Janssenから販売されており、cis−1−アセチル−4−[4−[[2−(2,4−ジ−クロロフェニル)−2−(1H−イミダゾール−1−イルメチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]フェニル]ピペラジンである。
アンホテリシンBは、[1R−(1R,3S,5R,6R,9R,11R、15S,16R,17R,18S,19E,21E,23E,25E,27E,29E,31E,33R,35S,36R,37S)]−33−[(3−アミノ−3,6−ジデオキシ−β−D−マンノピラノシル)−オキシ]−1,3,5,6,9,11,17,37−オクタヒドロキシ−15,16,18−トリメチル−13−オキソ−14,39−ジオキサビシクロ−[33.3.1]−ノナトリアコンタ−19,21,23,25,27,29,31−ヘプタエン−36−カルボン酸である。
ロトリミン(クロトリマゾール)は、Scheringから販売されており、1−(O−クロロ−α,α−ジフェニルベンジル)イミダゾールである。
ダプソン錠(ダプソン)は、Jacobusから販売されており、4,4’−ジアミノジ−フェニルスルホン(DDS)である。
ジフルカン(フルコナゾール)は、Pfizerから販売されており、2,4−ジフロロ−α−α’ビス(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ベンジルアルコールである。
モニスタット−デルム クリーム(ミコナゾール)はオルト・デルマトロジカル社(Ortho Dermatological)から販売されており、1−[2,4−ジクロロ−β−{(2,4−ジクロロベンジル)オキシ}フェネチル]イミダゾール一硝酸塩である。
マイコスタチンクリーム(ナイスタチン)はウェストウッド−スクィブ社(Westwood−Squibb)から販売されている。
スポラノックス(イトラコナゾール)はヤンセン・ファーマシューティカル社(Janssen Pharmaceutical)から販売されており、(±)−1−[(R)−sec−ブチル]−4−[p−[[2R,4S)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル−メチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]フェニル]−1−ピペラジニル」フェニル]−△−1,2,4−トリアゾリン−5−オンと、(±)−1−[(R)−sec−ブチル]−4−[p−[[2R,4S)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]フェニル]−1−ピペラジニル]フェニル]−△−1,2,4−トリアゾリン−5−オン、または(±)−1−[(RS)−sec−ブチル]−4−[p−[4−[p−[[(2R,4S)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−1,2,3,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]フェニル]−1−ピペラジニル]フェニル]−△−1,2,4−トリアゾリン−5−オンとの混合物である。
アラレン塩酸(クロロキン)はサノフィ・ファーマシューティカルズ社(Sanofi Pharmaceuticals)から販売されており、7−(クロロ−4−[[4−ジエチルアミノ)−1−メチルブチル]−アミノ]キノリンの二塩酸塩である。
アラレン燐酸(クロロキン燐酸)はサノフィ・ファーマシューティカルズ社(Sanofi Pharmaceuticals)から販売されており、7−(クロロ−4−[[4−ジエチルアミノ)−1−メチルブチル]アミノ]キノリン燐酸(1:2)である。
ダラプリム(ピリメタミン)はグラクソウェルカム社(Glaxo Wellcome)から販売されており、5−(4−クロロフェニル)−6−エチル−2,4−ピリミジンジアミンである。
ラリアム(メフロキンHCl)はロッシュ・ラボラトリーズ社(Roche Laboratories)から販売されており、(R,S)−(±)−α−2−ピペリジニル−2,8−ビス(トリフルオロメチル)−4−キノリン メタノール塩酸である。
プラケニル(ヒドロキシクロロキン硫酸)はサノフィ・ファーマシューティカルズ社(Sanofi Pharmaceuticals)から販売されており、2−[[4−[7−クロロ−4−キノリル]アミノ]ペンチル]エチルアミノ]エタノール硫酸(1:1)である。
カパスタット硫酸(カプレオマイシン硫酸)はドュラ・ファーマシシューティカルズ社(Dura Pharmaceuticals)から販売されている。
ミアンブトール(エタンブトール塩酸)はレダリー・ラボラトリーズ社(Lederle Laboratories)から販売されている。
ミコブチン(リファブチン カプセル)はファルマシア&アップジョン社(Pharmacia & Upjohn)から販売されており、1’,4−ジデヒドロ−1−デオキシ−1,4−ジヒドロ−5’−(2−メチルプロピル)−1−オキソリファマイシンXIV、または(9S,12E,14S,15R,16S,17R,18R,19R,20S,21S,22E,24Z)−6,16,18,20−テトラヒドロキシ−1−1’−イソブチル−14−メトキシ−7,9,15,17,19,21,25−ヘプタメチル−スピロ[9,4−(エポキシペンタデカ−1,11,13−トリエンイミノ)−2H−フロ−2’,3’:7,8−ナフト−[1,2−d]イミダゾール−2,4’−ピペリジン]−5,10,26−(3H,9H)−トリオン−16−アセテートである。
ニドラチド(イソニアチド注射)はアポテコン社(Apothecon)から販売されている。
ペイサー(アミノサリチル酸)はヤコブス社(Jacobus)から販売されており、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸である。
プリフチン(リファペンチン)はヘキスト・マリオン・ルッセル社(Hoechst Marion Roussel)から販売され、リファマイシン 3−[[(4−シクロ−ペンチル−1−ピペラジニル)イミノ]メチル]、または3[N−(4−シクロペンチル−1−ピペラジニル)−ホルムイミドイル]−2,7−(エポキシペンタデカ[1,11,13]トリエンイミノ)ナフタ[2,1−b]−フラン−1,11(2H)−ジオン−21−アセテートである。
ピラチナミド錠(ピラチナミド)はレダリー・ラボラトリー社(Lederle Laboratories)から販売されており、ニコチナミドのピラジン類似体である。
リファジン(リファンピンカプセル)はヘキスト・マリオン・ルッセル社(Hoechst Marion Roussel)から販売されており、3−[[(4−メチル−1−ピペラジニル)イミノ]メチル]リファマイシン、または5,6,9,17,19,21−ヘキサヒドロキシ−23−メトキシ−2,4,12,16,20,22−ヘプタメチル−8−[N−メチル−1−ピペラジニル)−ホルムイミドイル]−2,7−(エポキシペンタデカ−[1,11,13]−トリエンイミノ)ナフト[2,1−b]フラン−1,11−(2H)−ジオン21−アセテートである。
リファジンIV(注射用リファンピン)はヘキスト・マリオン・ルッセル社(Hoechst Marion Roussel)から販売されており、3−[[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)ホルムイミドイル]−2,7−(エポキシペンタ−デカ[1,11,13]−トリエンイミノ)ナフト[2,1−b]フラン−1,11−(2H)−ジオン−21−アセテートである。
リファメート(リファンピンおよびイソニアチド)はヘキスト・マリオン・ルッセル社(Hoechst Marion Roussel)から販売されており、3−(4−メチルー1−ピペラジニルイミノメチル)リファマイシンSV(リファンピン)およびイソニコチン酸ヒドラジド(イソニアチド)である。
リファーテル(リファンピン、イソニアチドおよびピラチナミド)はヘキスト・マリオン・ルッセル社(Hoechst Marion Roussel)から販売されており、3−(4−メチル−1−ピペラジニルイミノメチル)リファマイシンSV(リファンピン)、イソニコチン酸ヒドラジド(イソニアチド)、およびニコチナミドのピラジン類似体(ピラチナミド)である。
セロマイシン(シクロセリンカプセル)はドュラ・ファーマシューティカルズ社(Dura Pharmaceuticals)から販売されており、R−4−アミノ−3−イソキサゾリジノンである。
ストレプトマイシン硫酸はファイザー社(Pfizer)から販売されており、O−2−デオキシ−2−(メチルアミノ)−α−L−グルコピラノシル−(1→2)−O−5−デオキシ−3−C−ホルミル−α−L−リキソフラノシル−(1→4)−N−N’−ビス(アミノイミノメチル)−,硫酸(2:3)塩である。
タイスBCG(BCGワクチン)はオルガノン社(Organon)から販売されており、CalmetteおよびGuerinの弱毒化生Mycobacterium bonis菌株である。
サイクロセリン(セロマイシンカプセル)はドュラ・ファーマシューティカルズ社(Dura Pharmaceuticals)から販売されており、R−4−アミノー3−イソキサゾリジノンである。
ニドラチド(イソニアチド)はアポテコン社(Apothecon)から販売されており、イソニコチン酸ヒドラジドである。
ウリセド(メテンアミン)はポリメディカ社(Poly Medica)から販売されている。
トレカトール−SC(エチオナミド錠)はワイス−アヤースト社(Wyeth−Ayerst)から販売されており、2−エチルチオイソニコチナミドである。
アルフェロンN(インターフェロン アルファ−n3)はインターフェロン・サイエンシーズ社(Interferon Sciences)から販売されており、インターフェロンアルファ−n3(ヒト白血球由来)である。
クリキシバン(インディナビル硫酸)はメルク社(Merck & Co.)から販売されており、[1(1S,2R),5(S)]−2,3,5−トリデオキシ−N−(2,3−ジヒドロ−2−ヒドロキシ−1H−インデン−1−イル)−5−[2−[[1,1−ジメチルエチル]アミノ]カルボニル]−4−(3−ピリジニル−メチル)−1−ピペラジニル]−2−(フェニルメチル)−D−エリスロペントナミド硫酸(1:1)である。
サイトベン(ガンシクロビル)はロッシュ社(Roche)から販売されており、9−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]グアニンである。
サイトベン−IV(ガンシクロビルナトリウム)はロッシュ社(Roche)から販売されており、9−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エトキシ]メチル]グアニンである。
エピビル(ラミブジン)はグラクソ・ウェルカム社(Glaxo Wellcome)から販売されており、(2R,cis)−4−アミノ−1−(2−ヒドロキシメチル−1,3−オキサチオラン−5−イル)−1H)−ピリミジン−2−オンである。
ファムビル(ファンシクロビル)はスミスクライン−ビーチャム社(SmithKline Beecham)から販売されており、2−[2−(2−アミノ−9H−プリン−9−イル)エチル]−1,3−プロパンジオール ジアセテートである。
フルマジン(リマンタジンHCl)はフォレスト社(Forest)から販売されており、アルファ−メチルトリシクロ−[3.3.1.1/3.7]デカン−1−メタナミン塩酸である。
フォスカビル(フォスカメトナトリウム)はアストラ社(Astra)から販売されており、ホスホノ蟻酸三ナトリウム塩である。
ヒビド(ザルシタビン)はロッシュ社(Roche)から販売されており、4−アミノ−1−β−D−2’,3’−ジデオキシリボフラノシル−2−(1H)−ピリミドンまたは2’,3’,ジデオキシリボフラノシル−2−(1H)−ピリミドンまたは2’,3’−ジデオキシシチジンである。
イントロンA(インターフェロン アルファ−2b)はシェリング社(Schering)から販売されている。
インビラーゼ(サキナビル メシレート)はロッシュ・ラボ社(Roche Labs)から販売されており、N−tert−ブチル−デカヒドロ−2−[2R−ヒドロキシ−4−フェニル−3(S)−[[N−(2−キノリルカルボニル)−L−アスパラギニル]アミノ]ブチル−(4aS,8aS)−イソキノリン−3(S)−カルボキサミド メタンスルホネートである。
ノルビル(ニトナビル)はアボット社(Abbott)から販売されており、[5S−(5R,8R,10R,11R)]−10−ヒドロキシ−2−メチル−5−(1−メチルエチル)−1−[2−(1−メチルエチル)−4−チアゾリル]−3,6−ジ−オキソ−8,11−ビス(フェニル−メチル)−2,4,7,12−テトラアザトリデカン−B−オイック酸,5−チアゾリルメチルエステルである。
レベトロール(1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミドであるリバビリン)とイントロンA(インターフェロン アルファ−2b)とを含むレベトロン複合療法剤がシェリング社(Schering)から販売されている。
レスクリプター(デラビルジン メシレート)はファルマシア&アップジョン社(Pharmacia & Upjohn)から販売されており、ピペラチン,1−[3−[(1−メチルエチル)アミノ]−2−ピリジニル]−4−[[5−(メチルースルホニル)−アミノ]−1H−インドール−2−イル]カルボニル,モノメタンスルホネートである。
レトロビル(チズブジン)はグラクソ−ウェルカム社(Glaxo Wellcome)から販売されており、3’−アジド−3’−デオキシチミジンである。
レトロビルIV(チズブジン)はグラクソ−ウェルカム社(Glaxo−Wellcome)から販売されており、3’−アジド−3’−デオキシチミジンである。
シンメトレル(アマンタジン塩酸)はメドインミューン社(MedImmune Inc.)から販売されており、ヒト化モノクローナル抗体(IgG1)である。
バルトレックス(バラシクロビルHCl)はグラクソ ウェルカム社(Glaxo Wellcome)から販売されており、L−バリン,2−[(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9H−プリン−9−イル)メトキシ]エチルエステル,一塩酸である。
ビデックス(ジダノシン)はブリストル−マイヤー スクイブ オンコロジー/イムノロジー社(Bristol−Myers Squibb Oncology/Immunology)から販売されており、2’,3’−ジ−デオキシイノシンである。
ビナセプト(ネルフィナビル メシレート)はアグロン社(Agouron)から販売されており、[3S−[2(2S,3S),3α,4aβ,8aβ]]−N−(1,1−ジメチルエチル)デカヒドロ−2−[2−ヒドロキシ−3−[3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンゾイル)アミノ]−4−(フェニルチオ)ブチル]−3−イソキノリンカルボキサミド一メタンスルホネート(塩)である。
ビラムーン(ネビラピン)はロキサン社(Roxane)から販売されており、11−シクロプロピル−5,11−ジヒドロ−4−メチル−6H−ジピリド[3,2−b:2’,3’−][1,4]ジアゼピン−6−オンである。
ビラゾール(リバビリン)はICN社から販売されており、1−ベータ−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミドである。
ビスチド(シドフォビル)はギレド サイエンシス社(Gilead Sciences)から販売されており、1−[(S)−3−ヒドロキシ−2−(ホスフォノメトキシ)プロピル]シトシン二水加物(HPMPC)である。
ゼリト(スタブジン(d4T))はブリストル−マイヤー スクイブ オンコロジー/イムノロジー社(Bristol−Myers Squibb Oncology/Immnology)から販売されており、2’,3’−ジデヒドロ−3’デオキシチミジンである。
シンメトレルシロップ(アマンタジンHCl)はエンド・ラボ社(Endo Labs)から販売されており、1−アダマンタンアミン塩酸である。
コンビビル錠(ラミドゥビン)はグラクソ・ウェルカム社(Glaxo Wellcome)から販売されており、2’,3’−ジデヒドロ−3’−デオキシチミジンである。
ゾビラックス(アシクロビル)はグラクソ・ウェルカム社(Glaxo Wellcome)から販売されており、2−アミノ−1,9−デヒドロ−9−[(2−ヒドロキシエチオキシ)メチル]−6H−プリン−6−オンである。
ダプソン錠(ダプソン)はヤコブス社から販売されており、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)である。
ダラプリム(ピリメタミン)はグラクソ・ウェルカム社(Glaxo Wellcome)から販売されており、5−(4−クロロフェニル)−6−エチル−2,4−ピリミジンジアミンである。
フラジル375(メトロニダゾール)はサール社(Searle)から販売されており、2−メチル−5−ニトロ−イミダゾール−1−エタノールである。
フラジルER錠(メトロニダゾール)はサール社から販売されており、2−メチル−5−ニトロ−イミダゾール−1−エタノールである。
フラジルI.V.(メトロニダゾール)はSCS社から販売されており、2−メチル−5−ニトロ−イミダゾール−1−エタノールである。
フロキソン(フラゾリドン)はロバーツ社(Roberts)から販売されており、3−(5−ニトロフルフリリデン−アミノ)−2−オキサゾリジノンである。
メプロン(アトバクオン)はグラクソ・ウェルカム社(Glaxo Wellcome)から販売されており、trans−2−[4−(4−クロロフェニル)シクロヘキシル]−3−ヒドロキシ−1,4−ナフタレンジオンである。
ニュートレキシン(トリメトレキセート グルクロネート)はU.S.バイオサイエンス社から販売されており、2,4−ジアミノ−5−メチル−6−[(3,4,5−トリメトキシアニリノ)メチル]キナゾリン モノ−D−グルクロネートである。
シプロ(シプロフロキサシンHCl)はバイエル社(Bayer)から販売されており、1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−1(1−ピペラジニル)−3−キノリンカルボン酸の一塩酸、一水加塩である。
フロキシン(オフロキサシン)はオルト−マックネイル・ファーマシューティカル社(Ortho−McNeil Pharmaceutical)から販売されており、(±)−9−フルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−7H−ピリド−[1,3,3−de]−1,4−ベンゾキサジン−6−カルボン酸である。
レバキン(レボフロキサシン)はオルト−マックネイル・ファーマシューティカル社(Ortho−McNeil Pharmaceutical)から販売されており、(−)−(S)−9−フルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)7−オキソ−7H−ピリド−[1,2,3−de]−1,4−ベンゾキサジン−6−カルボン酸、半水加物である。
マザキン(ロメフロキサシンHCl)はユニメド社(Unimed)から販売されており、(±)−1−エチル−6,8−ジフルオロ−1,4−ジヒドロー7−(3−メチル−1−ピペラジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸の一塩酸塩である。
ノロキシン(ノルフロキサシン)はメルク社(Merck)から販売されており、1−エチルー6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソー7−(1−ピペラジニル)−3−キノリンカルボン酸である。
ペネトレックス(エノキサシン)はローネープーラン ローラ社(Rhone−Poulenc Rorer)から販売されており、1−エチル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(1−ピペラジニル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸、一倍半水加物である。
ラキサル(グレパフロキサシンHCl)はグラクソ ウェルカム社(Glaxo Wellcome)から販売されており、(±)−1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロー5ーメチル−7−(3−メチル−1−ピペラジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸一塩化物一倍半水加物である。
トロバン(トロバフロキサシン メシレート)はファイザー社(Pfizer)から販売されており、(1α,5α、6a)−7−(6−アミノ−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキス−3−イル)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸、一メタンスルホン酸塩である。
ザガム(スパルフロキサシン)はローネープーラン ローラ社(Rhone−Poulenc Rorer)から販売されており、5−アミノ−1−シクロプロピル−7−cis−3,5−ジメチル−1−ピペラジニル)−6,8−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸である。
バクトリム(トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール)はロッシュ・ラボ社(Roche Labs)から販売されており、2,4−ジアミノ−5−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピリミジン(トリメトプリム)およびN−(5−メチル−3−イソキサゾリル)スルファニルアミド(スルファメトキサゾール)である。
バクトリムDS(トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール、二倍効果)はロッシュ ラボ(Roche Labs)社から販売されており、2,4−ジアミノ−5−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピリミジン(トリメトプリム)およびN−(5−メチル−3−イソキサゾリル)スルファニルアミド(スルファメトキサゾール)である。
ペジアゾール(エリスロマイシンエチルスクシネートおよびスルフイサキサゾールアセチル)はロス社(Ross)から販売されており、エリスロマイシン 2’−(エチルスクシネート)およびN’−アセチルスルフイサキサゾールである(スルフイソキシゾールはN−(3,4−ジメチル−5−イソキサゾリル)−N−スルファニリルアセタミドである)。
セプトラ(トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール)はモナーク(Monarch)社から販売されており、5−[(3,4,5−トリメトキシフェニル)メチル]−2,4−ピリミジンジアミン(トリメトプリム)および4−アミノーN−(5−メチル−3−イソキサゾリル)ベンゼンスルホンアミド(スルファ−メトキサゾール)である。
セプトラDS(トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール)はモナーク社(Monarch)から販売されており、5−[(3,4,5−トリメトキシフェニル)メチル]−2,4−ピリミジンジアミン(トリメトプリム)および4−アミノーN−(5−メチル−3−イソキサゾリル)ベンゼンスルホンアミド(スルファ−メトキサゾール)である。
コ−トリモキサゾールはトリメトプリム(T)とスルホンアミド スルファメトキサゾール(S)とからなる複合化学療法剤である;それらの比は1:5である。これは微生物中の葉酸合成を持続的に遮断するために殺菌性である。コ−トリモキサゾールの抗菌スペクトルは多くのグラム陽性およびグラム陰性好気菌、クラミジア、ノカルジア、プロトゾア(pneumocystis carinii)などを含む。pneumocystisに対するその有用性の他に、コ−トリモキサゾールは主としてグラム陽性好気性菌(***症)、pneumococciおよびhaemophilus influenza(呼吸気道感染症および耳炎)に対して実際的に重要である。http://www.infomed.org/100drugs/ctrifram.html。
バクトリムI.V.注入用(スルファメトキサゾール)はロッシュ・ラボ社から販売されている。
ペディアゾール(エリスロマイシン エチルスクシネートおよびスルフイサキサゾールアセチル)はロス社(Ross)から販売されており、エリスロマイシン 2’−(エチルスクシネート)およびN’アセチルスルフイソキサゾールである(スルフイソキサゾールはN−(3,4−ジメチル−5−イソキサゾリル)−N−スルファニリルアセタミドである)。
フラダンチン(ニトロフラントイン)はドュラ社(Dura)から販売されており、1−[[(5−ニトロ−2−フラニル)メチレン]アミノ]−2,4−イミダゾリジンジオンである。
マクロビド(ニトロフラントイン一水加物マクロ結晶)はプロクター&ギャンブル ファーマシューティカルズ(Procter&Gamble Pharmaceuticals)から販売されており、1−[[[5−ニトロ−2−フラニル]メチレン]アミノ]−2−4−イミダゾリジンジオン一水加物である。
マクロダンチン(ニトロフラントイン マクロ結晶)はプロクター&ガンブル ファーマシューティカルズ社から販売されており、1−[[[5−ニトロ−2−フラニル]メチレン]アミノ]−2−4−イミダゾリジン−ジオンである。
モヌロール サチェット(ホスホマイシン トロメタミン)はフォレスト社(Forest)から販売されており、(1R,2S)−(1,2−エポキシプロプピル)ホスホン酸と2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールとの複合物(1:1)である。
ネググラムカプレット(ナリジックス酸)はサノフィ社(Sanofi)から販売されており、1−エチル−1,4−ジヒドロ−7−メチル−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸である。
セプトラ(トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール)はモナーク社(Monarch)から販売されており、5−[(3,4,5−トリメトキシフェニル)メチル]−2,4−ピリミジンジアミン(トリメトプリム)および4−アミノ−N−(5−メチル−3−イソキサゾリル)ベンゼンスルホンアミド(スルファ−メトキサゾール)である。
セプトラDS(トリメトプリムおよびスルファメトキサゾール)はモナーク社(Monarch)から販売されており、5−[(3,4,5−トリメトキシフェニル)メチル]−2,4−ピリミジンジアミン(トリメトプリム)および4−アミノ−N−(5−メチル−3−イソキサゾリル)ベンゼンスルホンアミド(スルファ−メトキサゾール)である。
ウリセド(防腐剤メテナミン、メチレンブルー、フェニルサリチレート、安息香酸および副交感神経遮断薬(硫酸アトロピン)ヒオスシアミンの複合物)はポリメディカ社(Poly Medica)から販売されている。
ウロビオティック−250カプセル(オキシテトラサイクリンHCl、スルファメチゾールおよびフェナゾピリジンHCl)はファイザーから販売されている。
ウロキド酸No.2錠(メテナミン マンデレート)はビーチ(Beach)社(Poly Medica)から販売されている。
バクトロバン(ムピロシン)はスミスクライン−ビーチャム(SmithKline Beecham)から販売されており、(αE,2S,3R,4R,5S)−5−[(2S,3S,4S,5S)−2,3−エポキシ−5−ヒドロキシ−4−メチルヘキシル]テトラヒドロ−3,4−ジヒドロキシ−β−メチル−2H−ピラン−2−クロトン酸、9−ヒドロキシノナン酸エステル、カルシウム塩(2:1)、二水加物である。
眼科用クロロマイセチン(クロラムフェニコール)はモナーク社(Monarch)から販売されており、(1)2,2−ジクロロ−N−[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−2−(4−ニトロフェニル)エチル]アセタミド、および(2)D−threo−(−)−2,2−ジクロロ−N−[β−ヒドロキシ−α−(ヒドロキシメチル)−p−ニトロフェネチル]アセタミドである。
コルチスポリン(ネオマイシンおよびポリミキシンβスルフェートおよびヒドロコルチゾンアセテート クリーム)はモナーク社から販売されており、21−(アセチルオキシ)−11β,17−ジヒドロキシプレグネ−4−エン−3,20−ジオンである。
アイロタイシン(エリスロマイシン眼軟膏)はディスタ社(Dista)から販売されており、(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)−4−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−α−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−14−エチル−7,12,13−トリヒドロキシ−3,5,7,9,11,13−ヘキサメチル−6−[[3,4,6−トリ−デオキシ−3−(ジメチルアミノ)−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]オキサシクロテトラデカン−2,10−ジオンである。
ネオデカドロン(硫酸ネオマイシン−燐酸デキサメサゾンナトリウム)はメルク社から販売されており、9−フルオロ−11β,17−ジヒドロキシ−16α−メチル−21−(ホスホノオキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン二ナトリウム塩である。
ポリトリム(トリメトプリムおよび硫酸ポリミキシンβ眼科用液)はアレルガン社(Allergan)から販売されており、2,4−ジアミノ−5−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピリミジン(トリメトプリム)、およびポリミキシンBおよびBの硫酸塩(ポリシキシンβスルフェート)である。
テラ−コートリル(オキシテトラサイクリンHClおよび酢酸ヒドロコルチゾン)はファイザー社から販売されている。
トブラデックス(トブラマイシンおよびデキサメサゾン眼科用懸濁液および軟膏)はアルコン社(Alcon)から販売されており、O−3−アミノ−3−デオキシ−a−D−グルコピラノシル−(1→4)−ao−[2,6−ジアミノ−2,3,6−トリデオキシ−a−D−リボ−ヘキソピラノシル−1(1→6)]−2−デオキシ−L−ストレプタミンである。デキサ−メサゾン:化学名:9−フルオロ−11b,17,21−トリヒドロキシ−16a−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン。
ビラ−A眼軟膏、3%(ビダラビン)はモナーク社(Monarch)から販売されており、9−β−D−アラビノフラノシル−9H−プリン−6−アミン一水加物である。
チブロキシン(ノルフロキサシン眼科用液)はメルク社(Merck)から販売されており、1−エチル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(1−ピペラジニル)−3−キノリン−カルボン酸である。
シロキサン眼科用液、(シプロフロキサシンHCl)はアルコン社(Alcon)から販売されており、1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(1−ピペラジニル)−3−キノリン−カルボン酸の一塩酸、一水加塩である。
オクフロックス眼科用液(オフロキサシン)はアレルガン社(Allergan)から販売されており、(±)−9−フルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−7−H−ピリド[1,2,3−de]−1,4−ベンゾキサジン−6−カルボン酸である。
ブレファミド眼軟膏(スルフアセタミドナトリウムおよび酢酸プレドニゾロン)はアレルガン社から販売されており、N−スルファニリル−アセタミド一ナトリウム塩、一水加物(スルフアセタミドナトリウム)および11β,17,21−トリヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン−21−アセテート(酢酸プレドニゾロン)である。
ブレファミド眼科用懸濁液(スルフアセタミドナトリウムおよび酢酸プレドニゾロン)はアレルガン社(Allergan)から販売されており、N−スルファニリル−アセタミド一ナトリウム塩、一水加物(スルフアセタミドナトリウム)および11β,17,21−トリヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン−21−アセテート(酢酸プレドニゾロン)である。
A/T/S(エリスロマイシン)はヘキスト・マリオン・ルッセル社(Hoescht Marion Roussel)から販売されており、(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)−4−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−α−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−14−エチル−7,12,13−トリヒドロキシ−3,5,7,9,11,13−ヘキサメチル−6−[[3,4,6−トリ−デオキシ−3−(ジメチルアミノ)−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]オキサシクロテトラデカン−2,10−ジオンである。
バクトロバン(ムピロシン)はSKB社から販売されており、(αE,2S,3R,4R,5S)−5−[(2S,3S,4S,5S)−2,3−エポキシ−5−ヒドロキシ−4−メチルヘキシル]テトラヒドロ−3,4−ジヒドロキシ−β−メチル−2H−ピラン−2−クロトン酸、9−ヒドロキシノナン酸とのエステル、カルシウム塩(2:1)、二水加物である。
ベンザマイシン(エリスロマイシン−過酸化ベンゾイル局所用ゲル)はデルミク社(Dermik)から販売されており、(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)−4−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−α−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−14−エチル−7,12,13−トリヒドロキシ−3,5,7,9,11,13−ヘキサメチル−6−[[3,4,6−トリデオキシ−3−(ジメチルアミノ)−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]オキサシクロテトラ−デカン−2,10−ジオン(エリスロマイシン)である。
ベタジン(ポビドン−ヨード)はパードュー・フレデリック社(Purdue Frederick)から販売されている。
クレオシンT(燐酸クリンダマイシン局所用液)はファルマシア&アップジョン社(Pharmacia & Upjohn)から販売されており、メチル−7−クロロ−6,7,8−トリデオキシ−6−[[(1−メチル−4−プロピル−2−ピロリジニル)−カルボニル]アミノ]−1−チオ−(2S−トランス)−L−threo−I−D−ガラクト−オクトピラノシド−2−(ジヒドロゲンホスフェート)である。
クリンデツ(燐酸クリンダマイシン ガーゼ)はスティーフェル社(Stiefel)から販売されており、メチル−7−クロロ−6,7,8−トリデオキシ−6−(1−メチル−trans−4−プロピル−L−2−ピロリジン−カルボキサミド)−1−チオ−L−threo−α−D−ガラクト−オクトピラノシド−2−ジヒドロゲンホスフェートである。
エムゲル(エリスロマイシン)はグラクソ・ウェルカム社(Glaxo Wellcome)から販売されており、(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)−4−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−α−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−14−エチル−7,12,13−トリヒドロキシ−3,5,7,9,11,13−ヘキサメチル−6−[[3,4,6−トリデオキシ−3−(ジメチルアミノ)−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]オキサシクロテトラ−デカン−2,10−ジオンである。
エリセット(エリスロマイシン局所用液)はオルト・デルマトロジカル社(Ortho Dermatological)から販売されており、(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)−4−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−α−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−14−エチル−7,12,13−トリヒドロキシ−3,5,7,9,11,13−ヘキサメチル−6−[[3,4,6−トリデオキシ−3−(ジメチルアミノ)−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]オキサシクロテトラ−デカン−2,10−ジオンである。
クラロン(スルフアセタミドナトリウム ローション)はデルミク社(Dermik)から販売されている。
マイコスタチン(ナイスタチン クリーム)はウェストウッド−スクィブ社(Westwood−Squibb)から販売されている。
テラマイシンZ(エリスロマイシン局所用液)はメディシス社(Medicis)から販売されており、(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)−4−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−α−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−14−エチル−7,12,13−トリヒドロキシ−3,5,7,9,11,13−ヘキサメチル−6−[[3,4,6−トリデオキシ−3−(ジメチル−アミノ)−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]−オキシ]オキサシクロテトラデカン−2,10−ジオンである。
T−Stat(エリスロマイシン)はウェストウッド−スクィブ社(Westwood−Squibb)から販売されており、(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)−4−[(2,6−ジデオキシ−3−C−メチル−3−O−メチル−α−L−リボ−ヘキソピラノシル)オキシ]−14−エチル−7,12,13−トリヒドロキシ−3,5,7,9,11,13−ヘキサメチル−6−[[3,4,6−トリデオキシ−3−(ジメチルアミノ)−β−D−キシロ−ヘキソピラノシル]オキシ]オキサシクロテトラデカン−2,10−ジオンである。
エキセルデルム(硝酸スルコナゾール)はウェストウッド−スクィブ社(Westwood−Squibb)から販売されており、(±)−1−[2,4−ジクロロ−β−[(p−クロロベンジル)−チオ]−フェネチル]イミダゾール一硝酸塩である。
フンギゾン(アンホテリシンB経口懸濁液)はブリストル−マイヤーズ・スクィブ社(Bristol−Myers Squibb)から販売されており、[1R−(1R,3S,5R,6R,9R,11R、15S,16R,17R,18S,19E、21E,23E,25E,27E,29E,31E,33R,35S,36R,37S)]−33−[(3−アミノ−3,6−ジデオキシ−β−D−マンノピラノシル)−オキシ]−1,3,5,6,9,11,17,37−オクタヒドロキシ−15,16,18−トリメチル−13−オキソ−14,39−ジオキサビシクロ−[33.3.1]−ノナトリアコンタ−19,21,23,25,27,29,31−ヘプタエン−36−カルボン酸である。
ラミシル(塩酸テルビナフィン クリーム)はノバルティス社(Novartis)から販売されており、(E)−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチル−1−ナフタレン−メタナミドの塩酸塩である。
ラプロックス(シクロピロキソールアミン)はヘキスト・マリオン・ルッセル社から販売されており、6−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−4−メチル−2(1H)−ピリドン、2−アミノ−エタノール塩である。
ロトリミン(クロトリマゾール)はシェリング社(Schering)から販売されており、1−(O−クロロ−α,α−ジフェニルベンジル)イミダゾールである。
ロトリゾン(クロトリマゾールおよびベタメサゾンジプロピオネート)はシェリング社(Schering)から販売されており、1−(O−クロロ−α,α−ジフェニルベンジル)イミダゾール(クロトリマゾール)および9−フルオロ−11β,17,21−トリヒドロキシ−16β−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン−17,21−ジプロピオネート(ベタメサゾンジプロピオネート)である。
メンタックス(ブテナフィンHCl)はペネデルム社(Penederm)から販売されており、N−4−tert−ブチルベンジル−N−メチル−1−ナフタレンメチルアミン塩酸である。
モニスタット−デルム(硝酸ミコナゾール)はオルト・デルマトロジカル社(Ortho Dermatological)から販売されており、1−[2,4−ジクロロ−β−{(2,4−ジクロロベンジル)オキシ}フェネチル]イミダゾール一硝酸塩である。
ミセレックス(クロトリマゾール)はアルザ社(Alza)から販売されており、[1−(O−クロロ−α,α−ジ−フェニルベンジル)イミダゾールである。
マイコスタチン(ナイスタチン)はウェストウッド−スクィブ社から販売されている。
ナフチン(ナフチフィンHCl)はアレルガン社(Allergan)から販売されており、(E)−N−シンナミル−N−メチル−1−ナフタレン−メチルアミン塩酸塩である。
ニゾラール(ケトコナゾール)はヤンセン社(Janssen)から販売されており、cis−1−アセチル−4[4−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−イミダゾール−1−イルメチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]フェニル]−ピペラジンである。
ニストップ(ナイスタチン)はパドック社(Paddock)から販売されている。
オキシスタット(硝酸オキシコナゾール)はグラクソ・ウェルカム社(Glaxo Wellcome)から販売されており、2’,4’−ジクロロ−2−イミダゾール−1−イルアセトフェノン−(Z)−[O−(2,4−ジクロロベンジル)オキシム一硝酸塩である。
セルサンRx(2.5%セレニウムスルフィド ローション)はロス社(Ross)から販売されている。
スペクタゾール(硝酸エコナゾール)はオルト・デルマトロジカル社(Ortho Dermatological)から販売され、1−[2−{(4−クロロフェニル)メトキシ}−2−(2,4−ジクロロフェニル)−エチル]−1H−イミダゾール一硝酸塩である。
デナビル(ペンシクロビル クリーム)はスミスクライン−ビーチャム社(SmithKline Beecham)から販売されており、9−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニンである。
ゾビラックス(アシクロビル)はグラクソ−ウェルカム社(Glaxo−Wellcome)から販売されており、2−アミノ−1,9−ジヒドロ−9−(2−ヒドロキシエトキシ)メチル−6H−プリン−6−オンである。
ベンザシェイブ(過酸化ベンゾイル)はメディイス社(Medicis)から販売されている。
ベタジン(ポビドン−ヨード)はパーデュー・フレドリック社(Purdue Frederick)から販売されている。
ベタセプト(クロルヘキシジン グルコナート)はパーデュー・フレドリック社(Purdue Frederick)から販売されている。
カタフィル(石鹸代替物)はガラデルマ社(Galaderma)から販売されている。
クロルパクチンWCS−90(オキシクロロセンナトリウム)はガーディアム・ラボラトリーズ社(Guardiam Laboratories)から販売されている。
ダプソン錠(ダプソン)はヤコブ社(Jacobus)から販売されており、4,4’−ジアミノ−ジフェニルスルホン(DDS)である。
デスカム−E(過酸化ベンゾイル)はウェストウッド−スクィブ社(Westwood−Squibb)から販売されている。
デスカム−X(過酸化ベンゾイル)はウェストウッド−スクィブ社(Westwood−Squibb)から販売されている。
ヒビクレンズ(クロルヘキシジン グルコナート)はゼネカ社(Zeneca)から販売されている。
ヒビスタット(クロルヘキシジン グルコナート)はゼネカ社(Zeneca)から販売されている。
インプレゴン(テトラクロロサリチルアニリド2%)はフレミング社(Fleming)から販売されている。
メトロクリーム(メトロニダゾール)はガラデルマ社(Galaderma)から販売されており、2−メチル−5−ニトロ−1H−イミダゾール−1−エタノールである。
メトロゲル(メトロニダゾール)はガラデルマ社(Galaderma)から販売されており、2−メチル−5−ニトロ−1H−イミダゾールー1−エタノールである。
ノリテート(メトロニダゾール)はデルミク社(Dermik)から販売されており、2−メチル−5−ニトロ−1H−イミダゾールー1−エタノールである。
フィゾヘックス(ヘキサクロロフェンデタージェント クレンザー)はサノフィ社(Sanofi)から販売されており、2,2’−メチレン−ビス[3,4,6−トリクロロフェノール]である。
スルファセット−R(スルファセタミドナトリウム10%および硫黄5%)はデルミク社(Dermik)から販売されている。
スルファミロン(酢酸マテニド)はベルテク社(Bertek)から販売されており、α−アミノ−p−トルエンスルホンアミド一酢酸である。
トリアズ(過酸化ベンゾイル)はメディシス社(Medicis)から販売されている。
バノキシド−HC(過酸化ベンゾイル ヒドロコーチゾン)はデルミク社(Dermik)から販売されており、11β,17,21−トリヒドロキシプレグン−4−エン−3,20−ジオン(ヒドロコーチゾン)である。
アクチシン(ペルメトリン)はペネデルム社(Penederm)から販売されており、(±)−3−フェノキシ−ベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである。
エリマイト(ペルメトリン)はアレルガン社(Allergan)から販売されており、(±)−3−フェノキシ−ベンジル−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである。
オイラックス(クロタミトン)はウェストウッド−スクィブ社(Westwood−Squibb)から販売されており、N−エチル−N−(o−メチルフェニル)−2−ブテナミドである。
リンダンローションUSP1%(リンダン)はアルファーマ社(Alpharma)から販売されている。
エフデックス(フルオロウラシル)はICN社から販売されており、5−フルオロ−2,4−(1H、3H)−ピリミジンジオンである。
フルオロプレックス(フルオロウラシル)はアレルガン社(Allergan)から販売されており、5−フルオロ−2,4−(1H、3H)−ピリミジンジオンである。
フラダンチン経口懸濁液(ニトロフラントイン)はドュラ社(Dura)から販売されており、1−[[5−ニトロ−2−フラニル)メチレン]アミノ]−2,4−イミダゾリジンジオンである。
ザイボックス(リネゾリド)はファルマシア&アップジョン社(Pharmacia & Upjohn)から販売されている。
(精神安定剤)
本発明の治療および/または予防薬は、精神異常、例えば統合失調症、臨床的うつ病または薬物性精神病などを処置および/または予防するために使用する薬物またはその他の作用物質類でもよい。以下に列挙する精神安定剤、または治療的または診断的効果をあらわすことが知られているか、または発見されたその他のこの種の作用物質は全て、KCaおよび/またはKATPチャンネルの直接的アゴニストまたは間接的アクチベータの1種類以上と共により効果的に送達される。
抗精神病薬は例えばクロルプロマジン(トラジン)、フルフェナジン(ペルミチル)、トリフルオペラジン、トリフルオマジン(ベスピリン)、チオリダジン(メラリル)、チオチキセン(ナバン)、ハロペリドール(ハルドール)、リスペリドン(リスペリダル)、クロザピン(クロザリル)、オランゼピン(ジプレキサ)、ラクロプリド、レモキシプリド、ペルフェナジン、フルペンチキソ−ル−シス、S−スルピリド、モリンドン(モバン)、プロクロールペラジン(コンパジン)、ロキサピン(ロキシタン)、およびメソリダジン(セレンチル)を含む。
抗うつ剤は例えば三環系抗うつ剤(TCA)、モノアミンオキシダーゼインヒビター(MAOI)、セロトニン再取込みインヒビター(SSRI)、および異形的抗うつ剤を含む。その他の非制限的例としてはマプロチリン(ルディオミル)、デシプラミン(ノルプラミン、ペルトフラン)、ノルトリピリン(パメロール)、プロトリプチリン(ビバクチル)、アモキサピン、ドキセピン(アダピン、シネカン)、ブプロピオン(ウェルブトリン)、ミルタザピン(レメロン)、ネファゾドン(セルゾン)、トラゾドン、トリミプラミン(スルモンチル)、セルトラリン(ゾロフト)、パロキセチン(パキシル)、フルオキセチン(プロザク)、ベンラファキシン(エフェキサー)、リチウム、アミトリプチリン(エラビル)、イミプラミン(トフラニル)、ノルトリプチリン、フェネルジン(ナルジル)、トラニルシプロミン(パルネート)、ネファゾドン、トラゾドン(デシレル)、およびアモキサピン(アセンジン)などがある。
抗不安薬は例えばベンゾジアゼピン、ロラゼパム(アチバン)、ブスピロン(ブスパル)、プラゼパム(セントラックス)、クロナゼパム(クロノピン)、クロルジアゼポキシド(リブリウム)、オキサゼパム(セラックス)、クロラゼペート(トランキセン)、ジアゼパム(バリウム)、アルプラゾラム(キサナックス)およびハラゼパムを含む。
(抗けいれん薬)
本発明の治療および/または予防薬はけいれんまたは脳卒中、例えばてんかんなどを特徴とする異常を処置および/または予防するために使用する薬物またはその他の作用物質でよい。以下に列挙する抗けいれん薬、または治療的または診断的効果をあらわすことが知られているか、または発見されたその他のこの種の作用物質は全て、KCaおよび/またはKATPチャンネルの直接的アゴニストまたは間接的アクチベータの1種類以上と共により効果的に送達できる。
抗けいれん薬には例えばバルプロン酸(デパケン、デパコート)、フェニトイン(ジランチン)、カルバマゼピン(テグレトール)、エトスキシミド(ザロンチン)、メトスクシミド(セロンチン)、アセタゾールアミド(ジアモックス)、フェルバメート(フェルバトール)、クロナゼパム(クロノピン)、ラモトリジン(ラミクタル)、フェノバリトール(ルミナルなど)、メフォバルビタール(メバラル)、メフェニトイン(メサントイン)、フェンスキシミド(ミロンチン)、プリミドン(マイソリン)、ガルバペンチン(ニューロンチン)、パラメタジオン(パラジオン)、エテトイン(ペガノン)、フェナセミド(フェヌロン)、トピラメート(トパマックス)、クロルアゼペート(トランキセン)、トリメタジオン(トリジオン)、ロラゼパム(アチバン)およびジアゼパム(バリウム)が含まれる。
(抗神経変性薬)
本発明の治療および/または予防薬は、パーキンソン病などの神経変性疾患を処置および/または予防するために使用する薬物またはその他の作用物質でよい。以下に列挙する抗神経変性薬または治療的または診断的効果をあらわすことが知られているかまたは発見されたその他のこの種の作用物質は全て、KCaおよび/またはKATPチャンネルの直接的アゴニストまたは間接的アクチベータの1種類以上と共により効果的に送達できる。
抗神経変性薬には例えば、抗コリン作動薬、ドーパミン前駆体(例えばL−ドーパ(シネメット、カルビドーパ))、COMTインヒビター、ドーパミン受容体アゴニスト、MAO−Bインヒビター、ブロモクリプチン(パーロデル)、ペルゴリド(ペルマックス)、ベンヅトロピン(コゲンチン)、アマンタジン(シンメトレル)、トリヘキシフェニジル(アルタン)およびデプレニル(エルデプリル、セレギリン)、フペルジンA、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)インヒビター、N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体アンタゴニスト(例えばナメンダ(メマンチン))、およびコリンエステラーゼインヒビター(例えばアリセプト(ドネペジル)、レミニル(ガランタミン)、エキセロン(リバスチグミン)、コグネックス(タクリン)がある。
(抗卒中薬)
本発明の治療および/または予防薬は、脳卒中を処置および/または予防するために使用される薬またはその他の作用物質でよい。以下に列挙する抗卒中薬、または治療的または診断的効果をあらわすことが知られているかまたは発見されたその他のこの種の作用物質は、KCaおよび/またはKATPチャンネルの直接的アゴニストまたは間接的アクチベータの1種類以上と共により効果的に送達できる。
抗卒中薬には例えば血栓溶解剤(組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA);プロウロキナーゼ(r−proUK)など)、抗血小板薬(アスピリン、アブシキシマブ(レオプロ)、オザグレルなど);抗凝固剤(ワルファリン、ヘパリン、ヘパリノイドなど);血小板凝集インヒビター(ジピリダモールなど);神経保護薬(例えばカルシウムチャンネルアンタゴニスト、カリウムチャンネルオープナー、グルタメートアンタゴニスト、N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)レセプターアンタゴニストおよびモジュレータ、アルファ−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸(AMPA)レセプターアンタゴニスト、膜安定剤、増殖因子、およびグリシンサイトアンタゴニストなど);チエノピリジン類(チクロピジン、クロピドグレル);アンジオテンシン変換酵素インヒビター類;HMG−coASE還元酵素インヒビター類;アルファ−アドレナリン作動性遮断薬;ベータ−アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト;抗線維素溶解剤(例えばトラネキサム酸;シクロカプロン);カルシウムチャンネルブロッカー類(ニモジピンなど);ステロイド類(酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコーチゾンなど);脂質過酸化インヒビター類(例えばチリラザドメシレート)、陰イオンチャンネルブロッカー類(ニゾフェノンなど);およびセレブリルがある。
(アドレナリン作動薬)
以下に列挙する抗卒中薬、または治療的または診断的効果をあらわすことが知られているかまたは発見されたその他のこの種の作用物質は全て、KCaおよび/またはKATPの直接的アゴニストまたは間接的アクチベータの1種類以上と共により効果的に送達できる。
本発明に使用できるアドレナリン作動薬は例えばカテコールアミン、アルファ−アドレナリン作動薬、ベータ−アドレナリン作動薬を含む。アドレナリン作動薬の典型的非制限的例にはイソエタリン、ミドドリンhcl、アンフェタミン/デキストロアンフェタミン、メトアンフェタミンおよびd−アンフェタミンスルフェートなどが含まれる。
アドレナリン作動薬を開示した米国特許の非制限的例は、米国特許第5,091,528号、第5,091,528号、第4,835,157号、第5,708,015号、第5,594,027号、第5,580,892号、第5,576,332号、第5,510,376号、第5,482,961号、第5,334,601号、第5,202,347号、第5,135,926号、第5,116,867号、第5,091,528号、第5,017,618号、第4,835,157号、第4,829,086号、第4,579,867号、第4,568,679号、第4,469,690号、第4,395,559号、第4,381,309号、第4,363,808号、第4,343,800号、第4,329,289号、第4,314,943号、第4,311,708号、第4,304,721号、第4,296,117号、第4,285,873号、第4,281,189号、第4,278,608号、第4,247,710号、第4,145,550号、第4,145,425号、第4,139,535号、第4,082,843号、第4,011,321号、第4,001,421号、第3,982,010号、第3,940,407号、第3,852,468号、および第3,832,470号である。
(サイトカイン類および治療用蛋白類)
本発明の治療および/または予防薬はサイトカインまたは治療用蛋白類である。以下に列挙するサイトカインまたは治療用蛋白、または治療的または診断的効果をあらわすことが知られているかまたは発見されたその他のこの種の作用物質は全て、KCaおよび/またはKATPチャンネルの直接的アゴニストまたは間接的アクチベータの1種類以上と共に、より効果的に送達できる。
サイトカイン類の代表的、非制限的例には、インターフェロン(INF)、インターロイキン、ペプチド増殖因子、コロニー形成刺激因子、増殖阻止および分化因子がある。インターフェロン類は例えばINF−α(イントロンA(インターフェロン アルファ−2b)、ロフェロン−A(インターフェロン アルファ−2a)、インフェルゲン(インターフェロン アルファコン−1)、PEG−イントロンA(ペグ化インターフェロン アルファ−2)、ペガシス(ペグ化インターフェロン アルファ−2a);INF−β(アボネックス(インターフェロン ベータ−1a)、ベタセロン/ベタフェロン(インターフェロン ベータ−1b)、レビフ(インターフェロン ベータ−1a)、レビフ(インターフェロン ベータ 1a)、アボネックス(ベータ インターフェロン);INF−γ(Cirelli Rら、Clin Immunother(1996)5(Suppl 1):p.22−30)がある。インターロイキン類には例えばプロロイキン(インターロイキン−2)、イムナス(インターロイキン−2)、インターロイキン2、インターロイキン−2融合蛋白類、ヌバンス(インターロイキンー4受容体)、インターロイキン−8およびインターロイキン−12が含まれる。コロニー刺激因子には例えばオイポゲン(フィルグラスチム)、ノイメガ(オプレルベキン)およびSD−01(顆粒球コロニー形成刺激因子)がある。
治療用蛋白の代表的非制限的例には、例えばエリスロポエチン類(例:プロクリット/EPO/エプレックス(エポエチン アルファ)、エポギン(エポエチン ベータ)、ネオレコルモン エスポ(エポエチン アルファ)、新赤血球生成刺激蛋白(NESP)、エポギン/エポック、ダイネポなど);インスリン類(例:ノボリン(インスリン)、フムリン(インスリン)、フマログ、ヒトインスリン、イレチン(インスリン)、ランタス(インスリン)、ノボラピド(インスリンアスパルト));プラスミノーゲンアクチベータ類(例:アクチバス(アルテプラーゼ)、アクチリス(アルテプラーゼ)、アボキナーゼ(ウロキナーゼ)、ラピリシン/レタバーゼ(レトプラーゼ)、ストレプターゼ(ストレプトキナーゼ)、ソリナーゼ(パミテプラーゼ)、ラノテプラーゼ、TNKase(テネテプラーゼ));増殖ホルモン類(例えば、ゲノトロピン/ヌートロピン(組換えソマトロピン)、フマトロープ(組換えソマトロピン)、ノルジトロピン(組換えソマトロピン)、セロスチム(rHGH)、サイゼン(組換えソマトロピン)、ゲレフ(セルモレリン アセテート))がある;
モノクローナル抗体類は例えばレオプロ(アブシキシマブ)、リツキサン/マブテラ(リツキスマブ)、ヘルセピン(トラスツズマブ)、レミケイド(インフリキシマブ)、オルトクローンOKT3(ムロモナブ−CD3)、ゼナパックス(ダクリズマブ)、シムレクト(バシリキシマブ)、ベキサール(ヨウ素131トシツモマブ結合体)、セガード(アフェリオモマブ)、レオプロ(アブシキシマブ)、レオプロ/フラグミン結合オリズマブ(rhuMAb−E25)、ゼバリン(イブリツモマブ チウエキセタン)、BEC2(ミツモマブ)などを含む。
(免疫毒素および免疫抑制剤)
本発明の治療的および/または予防的作用物質は免疫毒素または免疫抑制剤でもよい。以下の免疫毒素または免疫抑制剤、または治療的または診断的効果を示すことが知られている、または発見されたその他のこの種の作用物質の全ては、KCaおよび/またはKATPチャンネルの直接的アゴニストまたは間接的アクチベータの1種類以上と共により効果的に送達できる。
免疫毒素の代表的非制限的例には、SS1−PE38(ネオファーム);LMB−1,7,2,9;SGN−10(BR96sFv−PE40)(シアトルゲネティックス);hIL13−PE38QQR(リガンド標的化毒素)(ネオファーム);抗−Tac(Fv)−PE38;および免疫毒素BL22;悪性脳腫瘍の免疫毒素治療の総説として、Rustanzadeh E J Neurooncol.(2003)64(1−2):101−16を参照されたい。
免疫抑制剤の代表的非制限的例には、アザチオプリム(イムラン)、シクロホスファミド(シトキサン)、シクロスポリン(サンドインミューン)、ミコフェノレート(MFMまたはCellCept)およびメルカプトプリン(6−MP)などがある。
(遺伝子治療)
本発明のKCaまたはKATPの直接的アゴニストまたは間接的アクチベータと組み合わせて、および/または交互に供給する治療および/または予防薬は、遺伝子治療に有用な作用物質、すなわちDNA発現ベクター、オリゴヌクレオチド薬物類、ウィルス粒子、ベクターなどでもよい。
遺伝子治療薬を含むベクター類(感染性ウィルス粒子またはプラスミド)と共に導入することができる真核細胞は、非制限的に一次細胞、例えば一次有核血液細胞、例えば白血球、顆粒球、単球、マクロファージ、リンパ球(T−リンパ球およびB−リンパ球を含む)、全能幹細胞;腫瘍浸潤リンパ球(TIL細胞);骨髄細胞;内皮細胞;上皮細胞;角化細胞;幹細胞;肝細胞前駆細胞を含む肝細胞;肝細胞前駆細胞を含む肝細胞;線維芽細胞;間葉細胞;中皮細胞;実質細胞、またはその他の腫瘍誘導性細胞である。
任意に、上記ベクターは細胞の治療効果を高める遺伝子も含むことができる。上記細胞は所望遺伝子を含むベクターで形質導入する前または後に数を増やすことができる。例えばその操作は、患者に注射したトランスフォームド細胞が、患者の体、好ましくは疾患組織それ自体の部位に適切な実体を形成するような仕方で行われる。
形質導入された細胞によって運搬される本発明の遺伝子は特に、上記細胞類の治療効果を直接または間接的に高める任意の配列を含む。形質導入された細胞によって運搬される遺伝子は、その形質導入された細胞が、本来はもっていない治療効果をあらわすことができるような配列、例えば血友病の処置に有効な凝固因子をコードする遺伝子など、を含むこともできる。上記遺伝子は治療効果を有する1種類以上の生成物をコードすることができる。適切な遺伝子の例としては、次のようなサイトカイン類をコードする遺伝子が含まれる;TNF、GMCSF、インターロイキン(インターロイキン1−18)、インターフェロン(アルファ、ベータ、ガンマ−インターフェロン)、T−細胞受容体蛋白および免疫グロブリンのような抗体の抗原結合ドメインのためのFc受容体などがある。適切な遺伝子のその他の例は、細胞を、その細胞が本来は標的としない体内の部位を「標的にする」ように変化させ、それによってその部位における上記細胞の治療特性を利用できるようにする遺伝子を含む。例えば、TIL細胞のような血液細胞は例えばモノクローナル抗体のFab部分を上記細胞に導入することによって改変され、それによって選択された抗原をその細胞に認識させることができる。同様に、治療特性を有する血液細胞を用いて、例えばその血液細胞が通常は標的としない腫瘍を標的とすることができる。癌治療に有効なその他の遺伝子を使用して、特定部位に炎症反応を起こす走化性因子をコードし、それによって治療効果を得ることができる。適切な遺伝子のその他の例は、AIDSの治療に用いられる可溶性CD4をコードする遺伝子およびアルファ1−アンチトリプシンをコードする遺伝子がある。後者はアルファ−1−アンチトリプシン欠乏によって起きる気腫の処置に有用である。
一般に、遺伝子を細胞に直接挿入することはできない。それは「ベクター」として知られるキャリアーを用いて細胞に運び込まなければならない。遺伝子治療に使用されるベクター類の最も一般的な型はウィルスである。科学者がウィルスを使用するのは、それらが細胞のDNAに結合するまたは入る特異な能力を有するからである。遺伝子治療においてベクターとして使用されるウィルス類は遺伝的には無能である;それらは細胞のDNAと協調して複製することはできるが、それらだけで再生することはできない。多くの遺伝子治療の臨床試験は所望遺伝子を送達するためにマウスレトロウィルスに依存している。ベクターとして使用されるその他のウィルスはアデノウィルス、アデノ関連ウィルス、ポックスウィルス類およびヘルペスウィルスなどである。
例えば患者からの細胞を取り、研究室で増殖させる。それら細胞を所望遺伝子を担うウィルスに曝露する。ウィルスは細胞に入り、上記所望遺伝子がその細胞DNAの一部になる。上記細胞を研究室で増殖させその後患者に戻す。この種の遺伝子治療はex vivoと呼ばれる;これは「体外」を意味する。遺伝子は患者細胞に移され、その間細胞は患者の体の外部にある。その他の研究では、ベクター類(ウィルス、細菌)またはリポソーム類(脂肪粒子)を用いて所望遺伝子を患者体内の細胞に運搬する。この種の遺伝子治療はin vivoと呼ばれる。それは遺伝子が患者体内の細胞に移されるからである。
これらの遺伝子送達ベクターを用いて遺伝子を体内に運搬する際に、上記ベクターは意図する細胞以外の細胞を変えるかも知れない。もう一つの危険性は、新しい遺伝子がDNAの間違った位置に挿入され、癌またはその他の損傷を起こす可能性があることである。さらに、in vivo遺伝子送達系を使用する際には、上記DNAが増殖性細胞に導入され、遺伝的変化を起こす可能性がある。
その他の懸念は、移入遺伝子が「過剰発現」し、有害な程度の多くの蛋白を産生する可能性;病因的ベクターが炎症または免疫反応を起こす可能性;およびウィルスをベクターとして使用する場合にそれが患者からその他の個体または環境に伝搬する可能性などである。
当業者に公知の多くのベクターがある。本発明には公知の任意のベクターが使用できる。本発明の好ましい実施形態において、上記ベクターは特異的遺伝子送達のために特異的細胞型を標的とすることができる。
(i)アデノウィルスベクター
任意のアデノウィルスベクターを用いてEBV−TKを細胞および/または細胞系にトランスフェクトすることができる。アデノウィルスは線状二本鎖DNAゲノムを含む非エンベロープドウィルスである。アデノウィルスには40種類以上の血清型の菌株があり、その大部分はヒトに良性呼吸気道感染症をおこす。主としてサブグループC血清型2または5がベクターとして用いられている。ライフサイクルは通常はホストゲノムへの同化を含まず、むしろそれらはホスト細胞の核内のエピソーム要素として複製し、したがって挿入突然変異のリスクはない。野生型アデノウィルスゲノムは約35kbで、そのうちの30kbまでは異種DNAで置換することができる(Smith A.E.(1995)Viral vectors in gene therapy.Annual Review of Microbiology 49:807−838;Verma I.M.& Somia N.(1997)Gene therapy−promises,problems and prospects,Nature 389:239−242)。調節機能を有する4つの初期転写単位(E1、E2、E3およびE4)、および構造蛋白をコードする後期転写体がある。始原ベクターは不活性化されたE1またはE3遺伝子を有し、欠如遺伝子はヘルパーウィルス、プラスミドによってまたはヘルパー細胞ゲノムに同化することによってトランスに供給される(ヒト胎児腎細胞、293系列;Graham F.L.,Smiley J.,Russell W.L.,Nairn R.(1997)Characterization of a human cell line transformation by DNA from adenovirus 5.Gen Virol.36:59−72)。第二世代ベクターはその他にE2a温度感受性突然変異体を使用する(Engelhardt J.F.,Litsky L.,Wilson J.M.,(1994)Prolonged gene expression in cotton rat lung with recombinant adenoviruses defective in E2a.Human Gene Therapy 5:1217−1229)またはE4欠失(Armentano D.,Zabner J.,Sacks C.,Sookdeo C.C.,Smith M.P.,St.George J.A.,Wadsworth S.C.,Smith A.E.,Gregory R.J.(1997)Effect of the E4 region on the persistence of transgene expression from adenovirus vectors.J.Virol.71:2408−2416)。最も最近の「不活発な」ベクター類は導入遺伝子の周囲に逆位末端反復(ITR)およびパッケージング配列だけを含む。必要なウィルス遺伝子は全てヘルパーウィルスによってトランスに供給される(Chen H.,Mack L.M.,Kelly R.,Ontell M.,Kochanek S.,Clemens P.R.(1997)Persistence in muscle of an adenoviral vector that lacks all viral genes.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:1645−1650)。
アデノウィルスベクター類はin vitroでもin vivoでも標的細胞に非常に効率的に形質導入し、高効率で産生される(>1011/mL)。E1欠失ベクターを用いてラット脳で長期導入遺伝子発現を示したGeddesら(Geddes B.J.,Harding T.C.,Lightman S.L.,Uney J.B.(1997)Long term gene therapy in the CNS:Reversal of hypothalamic diabetes insipidus in the Brattleboro rat by using an adenovirus expressing arginine vasopressin.Nature Medicine 3:1402−1404)を除くと、始原ベクターからのin vivo導入遺伝子発現は一般的に一過性である(Verma I.M.&Somia N.(1997)Gene therapy − promises,problems and prospects.Nature 389:239−242)。静脈注射後、投与ベクターの90%が肝臓において非免疫性メカニズムによって破壊される(Worgall S.,Wolff G.,Falck−Pedersen E.,Crystal R.G.(1997)).Innate immune mechanisms dominate elimination of adenoviral vectors following in vivo administration.Human Gene Therapy 8:37−44)。その後MHCクラスI制限免疫反応が起き、CD8+CTLを用いてウィルス感染細胞を除去し、CD4+細胞を用いてINF−αを分泌させ、それが抗アデノウィルス抗体を生成させる(Yang Y.,Wilson J.M.,(1995)Clearance of adenovirus−infected hepatocytes by MHC class I restricted CD4+CTLs in vivo.J.Immunol.155:2564−2569)。アデノウィルスベクターの変化は若干のCTLエピトープを除去できるが、これらのエピトープはホストMHCハプロタイプとの差を認識した(Sparer T.E.,Wynn S.G.,Clark D.J.,Kaplan J.M.,Cardoza L.M.,Wadsworth S.C.,Smith A.E.,Gooding L.R.(1997)Generation of cytotoxic T lymphocytes against immunorecessive epitopes after multiple immunizations with adenovirus vectors is dependent on haplotype.J.Virol.71:2277−2284;Jooss K.,Ertl H.C.J.,Wilson J.M.(1998)Cytotoxic T−lymphocyte target proteins and their histocompatibility complex class I restriction in response to adenoviral vectors delivered to mouse liver.J.Virol.72:2945−2954)。破壊されていない細胞内に残っているベクター類は不活性化されたプロモータを有し(Armentano D.,Zabner J.,Sacks C.,Sookdeo C.C.,Smith M.P.,St.George J.A.,Wadsworth S.C.,Smith A.E.,Gregory R.J.(1997)Effect of the E4 region on the persistence of transgene expression from adenovirus vectors.J.Virol.71:2408−2416)、残存している抗体がその後のベクター投与を妨げる。
一過性免疫抑制療法を含む免疫反応を回避するアプローチは、導入遺伝子発現の延長、および二次的遺伝子トランスファーの実現に成功した(Jooss K.,Yang Y.,Wilson J.M.(1996)Cyclophosphamide diminishes inflammation and prolongs expression following delivery of adenoviral vectors to mouse liver and lung.Human Gene Therapy 7:1555−1566;Kay M.A.,Meuse L.,Gown A.M.,Linsley P.,Hollenbaugh D.,Aruffo A.,Ochs H.D.,Wilson C.B.(1997)Transient immunomodulation with anti−CD40 ligand and CTLA41g enhances persistence and secondary adenovirus−mediated gene transfer into mouse liver.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:4686−4691)。比較的干渉的でない方法は、ホストにUV不活性化ベクターを送り込むことによって経口耐性を誘起することである(Kagami H.,Atkinson J.C.,Michalek S.M.,Handelman B.,Yu S.,Baum B.J.,O’Connell B.(1998)Repetitive adenovirus administration to the parotid gland:role of immunological barriers and induction of oral tolerance.Human Gene Therapy 9:305−313)。しかし、ホストよりむしろベクターを操作することが望ましい。複製欠如ベクターだけを使用するとはいえ、ウィルス蛋白が非常に低レベルで発現し、それは免疫系に提示される。より少ない遺伝子を含むベクターの開発、最も好ましくはウィルスコーディング配列を含まない「不活発の」ベクターの開発は、肝組織における長期持続性のin vivo導入遺伝子発現をもたらした(Schiedner G.,Morral N.,Parks R.J.,Wu Y.,Koopmans S.C.,Langston C.,Graham F.L.,Beaudet A.L.,Kochanek S.(1998)Genomic DNA transfer with a high−capacity adenovirus vector results in improved in vivo gene expression and decreased toxicity.Nature Genetics 18:180−183)。アデノウィルス蛋白内にパッケージされた多量のDNA(そのうちの大部分は破壊され、免疫系に提示される)は臨床試験では依然として問題である。さらに、ヒト集団はMHCハプロタイプに関して不均質であり、その集団のある割合はすでにアデノウィルス菌にさらされている(Gahry−Sdard H.,Molinier−Frenkel V.,Le Boulaire C.,Saulnier P.,Opolon P.,Lengange R.,Gautier E.,Le Cesne A.,Zitvogel L.,Venet A.,Schatz C.,Courtney M.,Le Chevalier T.,Tursz T.,Guillet J.,Farace F.(1997)Phase I trial of recommbinant adenovirus gene transfer in lung cancer.J.Clin.Invest.100:2218−2226)。
最近まで、アデノウィルスがホスト細胞を標的とするメカニズムはあまり理解されていなかった。そのため組織特異的発現は、ミオシン軽鎖1プロモータのような細胞プロモータ/エンハンサーの使用(Shi Q.,Wang Y.,Worton R.(1997)Modulation of the specificity and activity of a cellular promoter in a adenoviral vector.Human Gene Therapy 8:403−410)または平滑筋細胞SM22aプロモータの使用によって(Kim S.,Lin H.,Barr E.,Chu L., Leiden J.M.,Parmacek M.S.(1997)Transcriptional targeting of replication−defective adenovirus transgene expression to smooth muscle cells in vivo.J.Clin.Invest.100:1006−1014)、または局所領域への直接送達によって(Rome J.J.,Shayani V.,Newman K.D.,Farrell S.,Lee S.W.,Virmani R.,Dicheck D.A.(1994)Adenoviral vector mediated gene transfer into sheep arteries using a double−balloon catheter.Human Gene Therapy 5:1249−1258)可能になるに過ぎなかった。アデノウィルス粒子の取り込みは、最初にアデノウィルスの線維コート蛋白が、MHCクラスI分子を含む細胞受容体または受容体類(Hong S.S.,Karayan L.,Tournier J.,Curiel D.T.,Boulanger P.A.(1997)Adenovirus type5 fiber knob binds to MHC class I a2 domain at the surface of human epithelial and B lymphoblastoid cells.EMBO J.16:2294−2306)およびコクサッキーウィルス−アデノウィルス受容体(Bergelson J.M.,Cunningham J.A.,Droguett G.,Kurt−Jones A.E.,Krithivas A.,Hong J.S.,Horwitz M.S.,Crowell R.L.,Finberg R.W.(1997)Isolation of a common receptor for Coxsackie virus B viruses and adenoviruses 2 and 5.Science 275:1320−1323)と相互作用することを含む二段階プロセスであることが示された。その後アデノウィルス粒子のペントンをベースとする蛋白が細胞表面ヘテロダイマーのインテグリン・ファミリーに結合し(Wickham T.J.,Mathias P.,Cheresh D.A.,Nemerow G.R.(1993)Integrins avb3 and avb5 promote adenovirus internalization but not virus attachment.Cell 73:309−319)、受容体介在性エンドサイトーシスによるインターナリゼーションを可能にする。大部分の細胞は上記アデノウィルス線維コート蛋白のための主要な受容体を発現するが、インターナリゼーションはより選択的である(Harris J.D.& Lemoine N.R.(1996)Strategies for targeted gene therapy.Trends in Genetics 12:400−404)。ウィルスの取り込みを増やす方法には、標的細胞を刺激して適切なインテグリンを発現させる(Davison E.,Diaz R.M.,Hart I.R.,Santis G.,Marshall J.F.(1997)Integrin a5b1−mediated adenovirus infection is enhanced by the integrin−activating antibody TS2/16.Journal of Virology 71:6204−6207)および標的細胞型に特異性を有する抗体をアデノウィルスに結合させる(Wickham T.J.,Lee G.M.,Titus J.A.,Titus J.A.,Sconocchia G.,Bakacs T.,Kovesdi I.,Segal D.M.(1997b).Targeted adenovirus−mediated gene delivery to T cell via CD3.J.Virol.71:7663−7669;Goldman C.K.,Rogers B.E.,Douglas J.T.,Sonsowski B.A.,Ying W.,Siegal G.P.,Baird A.,Campain J.A.,Curiel D.T.(1997)Targeted gene delivery to Kaposi’s sarcoma cells via the fibroblast growth factor receptor.Cancer Res.57:1447−1451)などがある。しかし抗体の使用はベクター生成の困難を高め、補体系を活性化するリスクを高める。受容体結合モチーフを線維コート蛋白に組み込むことによって(Wickham T.J.,Tzeng E.,Shears II,L.L.,Roelvink P.W.,Li Y.,Lee G.M.,Brough D.E.,Lizonova A.,Kovesdi I,(1997a)Increased in vitro and in vivo gene transfer by adenovirus vectors containing chimeric fiber proteins.J.Virol.71:8221−8229)そのウィルスを、損傷内皮または平滑筋細胞によって発現するインテグリンに、または多くの細胞型によって発現する硫酸ヘパリン受容体に結合するように向け直すことができる。
(ii)アデノ関連ウィルスベクター類
任意のアデノ関連ウィルスベクターを使用して細胞および/または細胞系にEBV−TKまたはKHSV−TKをトランスフェクトすることができる。アデノ関連ウィルス類(AAV)は、ヘルパーウィルス、通常はアデノウィルスに依存して増殖する非病原性ヒトパルボウィルスである。それらは分割細胞および非分割細胞の両方に感染することができ、ヘルパーウィルスがない場合には高頻度でヒトホストゲノムの特定点(19q13→qter)に組み込まれる(Kotin R.M.,Siniscalco M.,Samulski R.J.,Zhu X.D.,Hunter L.,Laughlin C.A.,McLaughlin S.,Muzyczka N.,Rocchi M.,Berns K.I.(1990)Site−specific integration by adeno−associated virus.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2211−2215)。野生型ゲノムは、2種類の遺伝子、すなわちウィルス複製、構造遺伝子発現およびホストゲノムへの組み込みを調節する蛋白をコードするrepと、カプシド構造蛋白をコードするcapとからなる一本鎖DNA分子である。上記野生型ゲノムの両末端とも、プロモータを含む145bp末端反復(TR)である。
ベクターとして使用する際、repおよびcap遺伝子は導入遺伝子およびその関連調節配列によって置き換えられる。挿入配列の全長は野生型ゲノムの長さである4.7kbを著しくは超えない(Smith A.E.(1995)Viral vectors in gene therapy.Ann.Rev.Microbiol.49:807−838)。組換えベクターの生成には、repおよびcapがヘルパーウィルス遺伝子生成物(アデノウィルスゲノムからのE1a、E1b,E2a,E4およびVA RNA)と共にトランスに供給されることが必要である。一般的方法は2つのプラスミドを、1つはベクターのために、他の1つはrepおよびcapのために、アデノウィルス感染293細胞に同時にトランスフェクトする(Samulski R.J.,Chang L.,Shenk T.(1989)Helper free stocks of recombinant adeno−associated viruses:normal integration does not require viral gene expression.J.Virol.63:3822−3828)。しかしこの方法は複雑で収率が低く(<10粒子/ml)、アデノウィルスや野生型AAVで汚染し易い。低収率の原因の一つは、アデノウィルス複製に対するrep遺伝子生成物の阻害効果である(Vincent K.A.,Piraino S.T.,Wadsworth S.C.,(1997)Analysis of recombinant adeno−associated virus packaging and requirements for rep and cap gene products.J.Virol.71:1897−1905)。より最近のプロトコルは全てのアデノウィルス構造遺伝子を除去し、rep耐性プラスミドを使用する(Xiao X.,Li J.,Samulski R.J.(1998)Production of high−titer recombinant adeno−associated virus vectors in the absence of helper adenovirus.J.Virol.72:2224−2232)またはrep発現プラスミドを、感染前の成熟ウィルスに結合させる(Fisher K.J.,Kelley W.M.,Burda J.F.,Wilson J.M.,(1996)A novel adenovirus−adeno−associated virus hybrid vector that displays efficient rescue and delivery of the AAV genome.Human Gene Therapy 7:2079−2087)。
repが存在しない場合、末端反復がわずかに分解すると、AAVベクターは単一プロウィルスとしてまたは頭部と尾部とが繋がったコンカタマーとして無秩序に統合する(Rutledge E.A.,& Russell D.W.(1997)Adeno−associated virus vector integration junctions.J.Virol.71:8429−8436)。AAVベクターに関心がもたれるのは、それらがホストゲノムと一体化し、長期の導入遺伝子発現を可能にするからである。遺伝子の血管上皮細胞へのトランスファー(Maeda Y.,Ikeda U.,Ogasawara Y.,Urabe M.,Takizawa T.,Saito T.,Colosi P.,Kurtzman G.,Shimada K.,Ozawa K.(1997)Gene transfer into vascular cells using adeno−associated virus(AAV)vectors.Cardiovascular Res.35:514−521)、横紋筋へのトランスファー(Fisher K.J.,Jooss K.,Alston J.,Yang Y.,Haecker S.E.,High K.,Pathak R.,Raper S.E.,Wilson J.M.(1997)Recombinant adeno−associated virus for muscle directed gene delivery.Nature Medicine 3:306−316;Herzog R.W.,Hagstrom J.N.,Kung S.,Tai S.J.,Wilson J.M.,Fisher K.J.,High K.A.(1997)Stable gene transfer and expression of human blood coagulation factor IX after intramuscular injection of recombinant adeno−associated virus.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:5804−5809)および肝細胞へのトランスファー(Snyder R.O.,Miao C.H.,Patijn G.A.,Spratt S.K.,Danos O.,Nagy D.,Gown A.M.,Winter B.,Meuse L.,Cohen L.K.,Thompson A.R.,Kay M.A.(1997)Persistent and therapeutic concentrations of human factor IX in mice after hepatic gene transfer of recombinant AAV vectors.Nature Genetics 16:270−275)が報告され、導入遺伝子が異なる種から誘導されない場合は長期持続的発現が得られた。AAVカプシドに対する中和抗体は検出できるが、上記ベクターの再投与を阻止せず、またはプロモータ活性を停止しない。免疫反応がこのように抑制されているのはウィルスカプシドの単純性によるものと考えられる。AAV抗体はヒト集団に存在するので、これはさらに研究する必要がある。局所的ベクター送達による以外、特定細胞型を標的とする試みはない。
特に、参考として本明細書に組み込まれる米国特許第5,693,531号に開示されているアデノ関連ウィルスを使用することができる;それはAAVp5neo;pSV−β−ガラクトシダーゼ;TRF169;LZ11;pSP72;pSP72nLacZ;pAdRSV4;pADRSVnLacZ;AAVmLac;SV40;pBluescriptSK;pSV40 ori AAV1;およびpKMT11などである。
(iii)レトロウィルスベクター類
任意のレトロウィルスベクターを使用して細胞または細胞系にEBV−TKをトランスフェクトすることができる。レトロウィルスは一本鎖RNA分子をゲノムとして含むエンベロープドウィルス群である。感染後、上記ウィルスゲノムは二本鎖DNAに逆転写され、それはホストゲノムに合体し、蛋白として発現する。ウィルスゲノムは約10kbで、少なくとも3種類の遺伝子、すなわちgag(コア蛋白をコードする)、pol(逆転写をコードする)およびenv(ウィルスエンベロープ蛋白をコードする)を含む。ゲノムの各端には長い末端反復(LTR)があり、それはプロモータ/エンハンサ領域および合体で含まれた諸配列を含む。それに加えてウィルスDNA(psi)およびRNAスプライス部位をenv遺伝子にパッケージングするために必要な配列がある。幾つかのレトロウィルスはプロト−オンコジーンを含む。これらは突然変異して癌を起こすことがある;しかしベクター産生の際にこれらは除去される。レトロウィルスは、細胞のプロト−オンコジーンの近くに合体し、LTRからの不適切な発現を促進することによって、または腫瘍サプレッサー遺伝子を破壊することによって、細胞を形質転換することもある。挿入突然変異誘発と呼ばれるこのような事象は、極めて稀であるとはいえ、レトロウィルスをベクターとして使用する際には依然として起こり得る。
レトロウィルスベクターはモロニー・ネズミ白血病ウィルス(Mo−MLV)をベースとすることが最も多い。このウィルスは両栄養性ウィルスであり、マウス細胞に感染してマウスモデルでベクターを生成させることも、ヒト細胞に感染してヒトを処置することもできる。上記ウィルス遺伝子(gag,polおよびenv)は対象とする導入遺伝子に置き換えられ、パッケージング細胞系のプラスミドから発現させる。非必須遺伝子にはパッケージング配列(psi)が欠けているので、それらはビリオン粒子には含まれない。複製拮抗レトロウィルスを生成する組換えを阻止するために、ベクターのバックボーンと相同である全ての領域は除去しなければならず、非必須遺伝子は少なくとも2つの転写単位に発現しなければならない(Markowitz D.,Goff S.,Bank A.(1988)A safe packaging line for gene transfer:separating viral genes on two different plasmids J.Virol.62:1120−1124)。たとえそうしても、複製拮抗レトロウィルスは低頻度で生成する。
必須領域は5’−および3’−LTRを含み、パッケージング配列は5’−LTRの下流に位置する。導入遺伝子の発現は、5’−LTRのプロモータ/エンハンサ領域によって、またはこれに代わるウィルス性(例えばサイトメガロウィルス、ラウス肉腫ウィルスなど)または細胞性(例えばベータ−アクチン、チロシン)プロモータによって促進することができる。突然変異分析により、全gagコーディング配列およびすぐ上流の領域までは、ウィルスパッケージングまたは導入遺伝子発現に影響を与えることなく除去できることが証明された。(Kim S.H.,Yu S.S.,Park J.S.,Robbins P.D.,An C.S.,Kim S.(1988)Construction of retroviral vectors with improved safety,gene expression,and versatility.J.Virol.72:994−1004)。しかし、導入遺伝子開始コドンの正確な位置および5’−LTRのわずかな変化が導入遺伝子発現に影響する(Rivire I.,Brose K.,Mulligan R.C.(1995)Effects of retroviral vector design on expression of human adenosine deaminase in murine bone marrow transplant recipients engrafted with genetically modified cells.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6733−6737)。トランスフォームド細胞選択マーカーの同定に役立つように、ネオマイシンおよびベータ−ガラクトシダーゼなどを含むことができるし、内部リボソーム結合部位の付加によって導入遺伝子発現を改善することができる(Saleh M.(1997)A retroviral vector that allows co−expression of two genes and the versatility of alternate selection markers.Human Gene Therapy 8:979−983)。レトロウィルスベクターの利用できる担持容量は約7.5kbであり(Verma I.M.& Somia N.(1997)Gene therapy−promises,problems and prospects.Nature 389:239−242)、これはcDNAを用いるとはいえ、ある遺伝子にとっては小さ過ぎる。
レトロウィルスエンベロープは特異的細胞蛋白と相互作用して標的細胞領域を決定する。そのenv遺伝子またはその生成物を変えることは、その細胞領域の操作を成功させる手段であることが判明した。エンベロープ蛋白と細胞受容体との結合部位を直接変化させるなどのアプローチがあるが、これらのアプローチはその他のウィルス粒子のインターナリゼーションを阻害する傾向がある(Harris J.D.& Lemoine N.R.(1996)Strategies for targeted gene therapy.Trends in Genetics 12:400−404)。env遺伝子の一部をエリスロポエチン蛋白(EPO)からの150コドンで置換することにより、Kasahara ら(Kasahara N.,Dozy A.M.,Kan Y.W.(1994)Tissue−specific targeting of retroviral ligand−receptor interactions.Science 266:1374−1376)は、EPO受容体担持細胞を高親和性で標的とすることができた。抗体を親和性を有するウィルス粒子に結合させて、ストレプトアビジン架橋による第二の細胞特異的抗体を作ると、ウィルスの取り込みは改善するが、インターナリゼーションはウィルス分解を起こす傾向がある(Roux P.,Jeanteur P.,Piechaczyk M.(1989)A versatile and potentially general approach to the targeting of specific cell types by means of major histocompatibility complex class I and class II antigens by mouse ectropic murine leukemia virus−derived viruses.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:9079−9083)。Nedaら(Neda H.,Wu C.H.,Wu G.Y.(1991)Chemical modification of an ectopic murine leukemia virus results in redirection of its target cell specificity.J.Biol.Chem.266:14143−14146)はウィルス粒子をラクトースで処置した。その結果、細胞、特にアシアログリコプロテイン受容体を発現する肝細胞による取り込みが起きた。それに続いて、多分エンドソームの酸性化により、効率的な導入遺伝子発現があり、ウィルスエンベロープとエンドソーム膜とが融合できた。
ウィルス類はそれらの屈性に関して異なる;したがってenv geneをその他のウィルスのそれで置換することによって、シュードタイピングとして知られている方法によってホスト領域を広げることができる。水疱性口内炎ウィルスG蛋白はMo−MLV誘導性ベクターに含まれ(Burns J.C.,Matsubara T.,Lozinski G.,Yee J.,Freidmann T.,Washabaugh C.H.,Tsonis P.A.,(1994)Pantropic retroviral vector−mediated gene transfer,integration and expression in cultured newt limb cells.Dev.Biol.165:285−289)、超遠心分離によって精製するとそれらはより安定になる。最近、Qingら(Qing K.,Bachelot T.,Mukherjee P.,Wang X.,Peng L.,Yoder M.C.,Leboulch P.,Srivastava A.,(1997)Adeno−associated virus type 2−mediated transfer of ecotropic retrovirus receptor cDNA allows ecotropic retroviral transduction of established and primary human cells.J.Viol.71:5663−5667)は、最初にレシピエント細胞をアデノ関連ベクターで処理し、レトロウィルスエンベロープ蛋白のための細胞受容体を発現することによって(以下に述べる)、多数の細胞系への形質導入を改善した。
レトロウィルスの組込みおよびウィルス遺伝子の発現のために必要なことは、標的細胞が分割していなければならないということである。このため遺伝子治療は、増殖中のin vivoまたはex vivo細胞に限定される。細胞は体から取り出され、複製を刺激するように処理され、その後レトロウィルスベクターで形質導入され、その後患者に戻される。in vivoで癌を処置する場合、腫瘍細胞が優先的に標的化される(Roth J.A.,Nguyen D.,Lawrence D.D.,Kemp B.L.,Carrasco C.H.,Ferson D.Z.,Hong W.K.,Komaki R.,Lee J.J.,Nesbitt J.C.,Pisters K.M.W.,Putnam J.B.,Schea R.,Shin D.M.,Walsh G.L.,Dolormente M.M.,Han C.I.,Martin F.D.,Yen N.,Xu K.,Stephens L.C.,McDonnell T.J.,Mukhopadhyay T.,Cai D.(1996)Retrovirus mediated wild−type p53 gene transfer to tumors of patients with lungcancer.Nature Medicine 2:985−991;Tait D.L.,Obermiller P.S.,Redlin−Frazier S.,Jensen R.A.,Welcsh P.,Dann J.,King M,Johnson D.H.,Holt J.T.(1997).A phase I trial of retroviral BRCA1sv gene therapy in ovarian cancer.Clin.Cancer Res.3:1959−1968)。しかしex vivo細胞はより高いウィルス力価および増殖因子にさらされるため、より効率的に形質導入される(Glimm H.,Kiem H.P.,Darovsky B.,Storb R.,Wolf J.,Diehl V.,Mertelsmann R.,Kalle C.V.(1997)Efficient gene transfer in primitive CD34+/CD38lo human bone marrow cells reselected after long term exposure to GALV−pseudotyped retroviral vector.Human Gene Therapy 8:2079−2086)。さらにex vivo処理−腫瘍細胞は腫瘍量と関連し、殺腫瘍効果を方向づけることができる(Oldfield E.H.& Ram Z.(1995)Intrathecal gene therapy for the treatment of leptomeningeal carcinomatosis.Human Gene Therapy6:55−85;Abdel−Wahab Z.,Weltz C.,Hester D.,Pickett N.,Vervaert C.,Barber J.R.,Jolly D.,Seigler H.F.(1997)A Phase I cliical trial of immunotherapy with interferon−gamma gene−modified autologous melanoma cells.Cancer 80:401−412)。
導入遺伝子発現はin vitroでは通常は十分であり、in vivoでは最初は十分であるとはいえ、長期にわたる発現に達することはむずかしい。レトロウィルスはc1補体蛋白および抗−アルファ ガラクトシル エピトープ抗体(両方ともヒト血清に存在する)によって不活性化される(Rother P.R.,William L.F.,Springhorn J.P.,Birks W.C.,Sandrin M.S.,Squinto S.P.Rollins S.A.(1995)A novel mechanism of retrovirus inactivation in human serum mediated by anti−a−galactosyl natural antibody.J.Exp.Med.182:1345−1355;Rollins S.A.,Birks C.W.,Setter E.,Squinto S.P.,Rother R.P.,(1996)Retroviral vector producer cell killing in human serum is mediated by natural antibody and complement:strategies for evading the humoral immune response.Human Gene Therapy 7:619−626)。導入遺伝子発現は炎症性インターフェロン、特にウィルスLTRに作用するIFN−アルファおよびIFN−ガンマによっても減少する(Ghazizadeh S.,Carroll J.M.,Taichman L.B.(1997)Repression of retrovirus−mediated transgene expression by interferons:implications for gene therapy.J.Virol.71:9163−9169)。レトロウィルスゲノムがホストゲノムに一体化すると、十中、八、九、上記ウィルスのLTRプロモータは不活性化される;したがって一つのアプローチはホスト細胞遺伝子のためのプロモータ、例えばチロシンなどを使用することである(Diaz R.M.,Eisen T.,Hart I.R.,Vile R.G.(1998)Exchange of viral promotor/enhancer elements with regulatory sequences generated targeted hybrid long terminal repeat vectors for gene therapy of melanoma.J.Virol.72:789−795)。これは継続的研究が必要な分野であることは明らかである。
レンチウィルスは増殖細胞にも非増殖細胞にも感染できるレトロウィルスのサブクラスである。それらは単純レトロウィルスよりかなり複雑であり、付加的に6種類の蛋白、tat、rev、vpr、vpu、nefおよびvifを含む。現在のパッケージング細胞系はシュードタイプ env 遺伝子、導入遺伝子構成物、および構造遺伝子および調節遺伝子をトランスに供給するパッケージング構成物のための個々のプラスミドを有する(Naldini L.,Bimer U.,Gallay P.,Ory D.,Mulligan R.,Gage F.H.,Verma I.M.,Trono D.(1996)In vivo gene delivery and stable transduction of non−dividing cells by a lentiviral vector. Science 272:263−267)。マーカー遺伝子を用いる初期の結果は有望であり、筋肉、肝臓および神経組織における長期in vivo発現を示す。(Blmer U.,Naldini L.,Kafri T.,Trono D.,Verma I.M.,Gage F.H.(1997)Highly efficient and sustained gene transfer in adult neurons with a lentivirus vector.J.Virol.71:6641−6649;Miyoshi H., Takahashi M.,Gage F.H.,Verma I.M.(1997)Stable and efficient gene transfer into the retina using an HIV−based lentiviral vector.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:10319−10323;Kafri T.,Blmer U.,Peterson D.A.,Gage F.H.,Verma I.M.(1997)Sustained expression of genes delivered into liver and muscle by lentiviral vectors.Nature Genetics 17:314−317)。興味深いことに、導入遺伝子は内部で遺伝子操作されたサイトメガロウィルスプロモータによって操縦される。それはMoMLVベクターの状況とは異なり、不活性化されない。これはベクター注射に対する炎症性反応が限られている(食塩液対照と等しい大きさである)ためである(Blmer U.,Naldini L.,Kafri T.,Trono D.,Verma I.M.,Gage F.H.(1997)Highly efficient and sustained gene transfer in adult neurons with a lentivirus vector.J.Virol.71:6641−6649)。
使用するレンチウィルスベクターはヒト免疫不全ウィルス(HIV)から誘導されるものであり、非必須調節遺伝子を若干除去するという観点から安全性の評価が行われている。vprおよびvifの突然変異体は低効率でニューロンに感染するが、筋肉または肝細胞には感染しない(Blmer U.,Naldin, L.,Kafri T.,Trono D.,Verma I.M.,Gage F.H.(1997)Highly efficient and sustained gene transfer in adult neurons with a lentivirus vector.J.Virol.71:6641−6649;Kafri T.,Blmer U.,Peterson D.A.Gage F.H.,Verma I.M.(1997)Sustained expression of genes delivered into liver and muscle by lentiviral vectors.Nature Genetics 17:314−317)。
特定の実施形態において、レトロウィルスベクターpLXIN、pSIR、pLXSH、pLCX、pLAPSN、pFBおよびpFB−Neoが使用される。
(iv)単純ヘルペスウィルスベクター
任意の単純ヘルペスウィルスベクターを使用して細胞および/または細胞系にEBV−TKをトランスフェクトすることができる。単純ヘルペスウィルス1型(HSV−1)はヒト神経向性ウィルスである;したがって神経系に対する遺伝子トランスファーのためのベクターとしてHSV−1を使用することに関心が集まっている。野生型HSV−1ウィルスはニューロンに感染することができ、溶菌サイクルに進むか、または潜伏状態で核内エピソームとして存在し続ける。潜伏的に感染したニューロンは正常に機能し、免疫系によって拒絶されない。潜伏ウィルスは転写ではほとんど静止しているが、潜伏中に機能することができるニューロン特異的プロモータを所有している。HSV−1に対する抗体はヒト集団では一般的である;だがヘルペス感染による合併症、例えば脳炎などは非常に稀である。
ウィルスゲノムは152kbの線状、二本鎖DNA分子である。長い領域と短い領域(ULおよびUSと呼ばれる)との2つの特異な領域があり、それらは内部反復配列(TRLおよびTRS)によってどちらかの方向に結合している。上記特異な領域の未結合のリンカー端には末端反復がある(TRLおよびTRS)。81までの遺伝子があり(Marconi P.,Krisky D.,Oligino T.,Poliani P.L.,Ramakrishnan R.,Goins W.F.,Fink D.A.,Glorioso J.C.(1996)Replication−defective herpes simplex virus vectors for gene transfer in vivo.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:11319−11320)、そのうち約半数は細胞培養における増殖のためには必須ではない。これらの非必須遺伝子が欠失すると、異種DNAの40−50kbがそのウィルス内に適応できる(Glorioso J.C.,DeLuca N.A.,Fink D.J.(1995)Development and application of herpes simplex virus vectors for human gene therapy.Annual Review of Microbiology 49:675−710)。HSV−1遺伝子の主要3クラスが同定された:即時早期(IEまたはアルファ)遺伝子、初期(Eまたはベータ)遺伝子および後期(Lまたはガンマ)遺伝子。
感受性細胞における感染後、溶菌性複製は一時的に調整された遺伝子転写配列によって調節される。Vmw65(被包構造蛋白)は、初期遺伝子の生成を可能にする活性化因子である即時早期遺伝子(IP0、ICP4、ICP22、ICP27およびICP477)を活性化する。初期遺伝子はヌクレオチド代謝およびDNA複製のための蛋白をコードする。後期遺伝子は初期遺伝子によって活性化され、構造蛋白をコードする。全サイクルは10時間未満であり、必ず細胞死に至る。
潜伏の確立に導く分子的事象は完全には解明されていない。潜伏中の遺伝子発現はゲノムのIRL領域に位置する潜伏関連転写体(LATs)によって促進される。2つのLATs(2.0および1.5kb)がIE遺伝子ICP0に対置方向に転写される。LATsは潜伏からのHSV−1再活性化(Steiner I.,Spivack J.G.,Lirette R.P.,Brown S.M.,MacLean A.R.,Subak−Sharpe J.H.,Fraser N.W.(1989)Herpes simplex virus type I latency associated transcripts are evidently not essential for latent infection.EMBO Journal 8:505−511)および潜伏の確立(Sawtell N.M.& Thompson R.L.(1992)Herpes simplex virus type 1 latency−associated transcription unit promotes anatomical site−dependant establishment and reactivation from latency.J.Virol.66:2157−2169)に役割を演ずる。LATsの発現を促進する2種類の潜伏活性プロモータが同定され(Marconi P.,Krisky D.,Oligino T.,Poliani P.L.,Ramakrishnan R.,Goins W.F.,Fink D.A.,Glorioso J.C.(1996)Replication−defective herpes simplex virus vectors for gene transfer in vivo.Natl.Acad.Sci.USA93:11319−11320)、べクター導入遺伝子発現のために有用であることが判明した。
HSV−1べクターの生成のために、基礎的な二つのアプローチ、すなわちアンプリコンおよび組換えHSV−1ウィルス類が使われる。アンプリコンはcolE1 ori(Escherichia coli 複製開始点)、OriS(HSV−1複製開始点)、HSV−1パッケージング配列、即時早期プロモータのコントロール下にある導入遺伝子および選択マーカーを含む、細菌によって作られるプラスミドである(Federoff H.J.,Geschwind M.D.,Geller A.I.,Kessler J.A.(1992)Expression of nerve factor in vivo from a defective herpes simplex virus 1 vector prevents effects of axotomy on sympathetic ganglia.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1636−1640)。上記アンプリコンはヘルパーウィルス(温度感受性突然変異体)を含む細胞系にトランスフェクトされ、欠けている構造および調節遺伝子の全てをトランスに与える。ヘルパーおよびアンプリコンを両方含むウィルス粒子がレシピエントに運搬される。より最近のアンプリコンは、プラスミドエピソーム維持のためのエプスタイン−バール ウィルス誘導性配列を含む(Wang S.& Vos J.(1996)A hybrid herpes virus infectious vector based on Epstein−Barr virus and herpes simplex virus type 1 for gene transfer into human cells in vitro and in vivo.J.Virol.70:8422−8430)。
組換えウィルス類は、即時早期遺伝子(ICP4など)の1つ(これはトランスに供給される)が欠失することによってレプリコン不足に作られる。それらは病原性が比較的低く、脳組織内で導入遺伝子を発現させることができるとはいえ、培養中のニューロンには毒性を有する(Marconi P.,Krisky D.,Oligino T.,Poliani P.L.,Ramakrishnan R.,Goins W.F.,Fink D.A.,Glorioso J.C.(1996)Replication−defective herpes simplex virus vectors for gene transfer in vivo.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:11319−11320)。多数の即時早期遺伝子の欠失は細胞傷害性を実質的に低減し、野生型潜伏ウィルスにおいてはサイレントであるプロモータからの発現も可能にする。これらのプロモータは長期間の遺伝子発現のために有用であるかも知れない。
複製−コンディションド突然変異体はある細胞系において複製できるに過ぎない。複製可能の細胞系は全て増殖しており、ウィルス不足のために細胞酵素を補体に供給する。突然変異体はチミジンキナーゼ(During M.J.,Naegele J.R.,O’Malley K.L.,Geller A.I.(1994)Long−term behavioral recovery in Parkinsonian rats by an HSV vector expressing tyrosine hidoroxylase.Science 266:1399−1403)、リボヌクレアーゼ還元酵素(Kramm C.M.,Chase M.,Herrlinger U.,Jacobs A.Pechan P.A.,Rainov N.G.,Sena Esteves M.,Aghi M.,Barnett F.H.,Chiocca E.A.,Breakefield X.O.(1997)Therapeutic efficiency and safety of a second−generation replication−conditional HSV 1 vector for brain tumor gene therapy.Human Gene Therapy 8:2057−2068)、UTPase、または神経毒性因子 g34.5(Kesari S.,Randazzo B.P.,Valyi−Nagy T.,Huang Q.S.,Brown S.M.,MacLean A.R.,Lee V.M.,Trojanowski J.Q.,Fraser N.W.(1995)Therapy of experimental human brain tumors using a neuroattenuated herpes simplex virus mutant.Lab.Invest.73:636−648)を含む。これらの突然変異体は癌の処置に、そして他の細胞型より速く増殖する新生成物細胞を死滅させるために、特に有用である。(Andreansky S.S.,He B.,Gillespie G.Y.,Soroceanu L.,Market J.,Chou J.,Roizman B.,Whitley R.J.(1996)The application of genetically engineered herpes simplex viruses to the treatment of experimental brain tumors.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:11313−11318;Andreansky S.S.,Sorcoceanu L.,Flotte E.R.,Chou J.,Market J.M.,Gillespie G.Y.,Roizman B.,Whitley R.J.(1997)Evaluation of genetically engineered herpes simplex virus as oncolytic agents for human malignant brain tumors.Cancer Res.57:1502−1509)。
多数の神経疾患がHSV−1ベクターによる遺伝子治療に反応する(Kennedy P.G.E.(1997)Potential uses of herpes simplex virus(HSV)vectors for gene therapy of neurological disorders.Brain 120:1245−1259)。大部分の注目は癌に集中しているとはいえ、パーキンソン病において線条体細胞にチロシンヒドロキシラーゼを発現させ(Geller A.I.,During M.J.,OhJ.Y.,Freese F.,O’Malley K.(1995)An HSV−1 vector expressing tyrosine hydroxylase causes production and release of L−DOPA from cultured rat striatal cells.J.Neurochem.64:487−496;During M.J.,Naegele J.R.,O’Malley K.L.,Geller A.I.,(1994)Long−term behavioral recovery in Parkinsonian rats by an HSV vector expressing tyrosine hydroxylase.Science 266:1399−1403)、L−ドーパの供給を元に戻すことによってある程度の成功をおさめた。Federoffら(Federoff H.J.,Geschwind M.D.,Geller A.I.,Kessler J.A.(1992)Expression of nerve factor in vivo from a defective herpes simplex virus 1 vector prevents effects of axotomy on sympathetic ganglia.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1636−1640)は、神経増殖因子を発現するベクターの注射によって、上頸神経節の軸索切断術後に神経修復をもたらした。その結果チロシンヒドロキシラーゼのレベルは回復した。
しかし、Woodら(Wood M.J.A.,Byrnes A.P.,Pfaff D.W.,Rabkin S.D.,Charlton H.M.(1994)Inflammatory effects of gene−transfer into the CNS with defective HSV−1 vectors.Gene Therapy 1:283−291)は、HSV−1アンプリコンベクターに対する強い炎症反応を、最初の注射部位にもその注射領域から発する神経線維が供給されている二次的部位にも観察した。その上実験動物の20%までがHSV−1ベクターの注射後まもなく死亡する可能性があるが(Kucharczuk J.C.,Randazzo B.,Chang M.Y.,Amin K.M.,Elshami A.A.,Sterman D.H.,Rizk N.P.,Molnar−Kimber K.L.,Brown S.M.,MacLean A.R.,Litzky L.A.,Fraser N.W.,Albelda S.M.,Kaiser L.R.(1997)Use of a replication−resticted herpes virus to treat experimental human malignant mesothelioma.Cancer Research 57:466−471)、ただしその理由は不明である。ウィルス蛋白、ICP47、が同定された。それはウィルス抗原提示を低減し、HSV−1ベクターの細胞傷害性を低減するために将来使用できる(York I.A.,Roop C.,Andrews D.W.,Riddell R.,Graham F.L.,Johnson D.C.(1994)A cytosolic herpes simplex virus protein inhibits antigen presentation to CD8+T lymphocytes.Cell 77:525−535)。
ニューロン組織に対する向性のために、細胞標的化の問題は大きく見逃がされてきた。しかし野生型HSV−1はその他の非ニューロン細胞型、例えば皮膚細胞などに感染し、溶解させる(Al−Saadi S.A.,Clements G.B.,Subak−Sharpe J.H.(1983)Viral genes modify herpes simplex virus latency both in mouse footpad and sensory ganglia.J.Gen.Virol.64:1175−1179)。ニューロンの特殊のサブセットを標的とすることが有益であると考えられる。HSV−1をベクターとして用いる場合、HSV−1は神経の長さに沿って移動するので、効率的細胞標的化はその安全性プロフィールを改善すると考えられる。実際、複製が制限されたHSV−1ベクターを使用してヒト悪性中皮腫が処置される(Kucharczuk J.C.,Randazzo B.,Chang M.Y.,Amin K.M.,Elshami A.A.,Sterman D.H.,Rizk N.P.,Molnar−Kimber K.L.,Brown S.M.,MacLean A.R.,Litzky L.A.,Fraser N.W.,Albelda S.M.,Kaiser L.R.(1997)Use of a replication−restricted herpes virus to treat experimental human malignant mesothelioma.Cancer Res.57:466−471)。
(v)ポックスウィルス ベクター類
ポックスウィルスベクターも使用できる(例えばヤバ様疾患ウィルス:癌遺伝子治療のためのまた別の複製ポックスウィルスベクター。Hu Y.,Lee J.,McCart JA,Xu H,Moss B.,Alexander HR,Bartlett DL J Virol 2001 75:10300−8)。
(vi)非ウィルス性ベクター類
ウィルスベクターは全てある程度の免疫学的反応を誘起し、挿入突然変異誘発のようなその他の安全性リスクおよび毒性を有するかも知れない。さらに、大規模生産は実現困難かも知れない。そこで本発明のある実施形態において、遺伝子トランスファーの非ウィルス性方法が用いられる。その方法は必要とする蛋白の数が少なく、ほとんど無限の能力を有し、感染性または突然変異誘発性を示さず、薬理学的技術によって大規模生産が可能である。少なくとも3種類の非ウィルス性DNAトランスファー、例えば裸DNA、リポソームおよび分子結合体などの方法がある。
裸DNA(プラスミドの形をとる)は筋肉細胞に直接注射することができる(Wolff J.A.,Malone R.W.,Williams P.,Chong W.,Acsadi G.,Jani A.,Felgner P.L.,(1990)Direct gene transfer into mouse muscle in vivo.Science 247:1465−1468)または金粒子に付着させ、それを組織に打ち込む(Cheng L.,Ziegelhoffer P.R.,Yang N.S.(1993)In vivo promotor activity and transgene expression in mammalian somatic tissues evaluated by using particle bombardment.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:4455−4459)。非常に効率的ではないが、この方法は持続的に低レベルのin vivo発現をもたらす。この方法の簡便さおよび持続的発現により、DNAワクチンが開発された。従来の弱毒性ワクチンおよび蛋白ベースのワクチンに比較して、これらは母親の抗体など、既存の免疫による影響を受けず、比較的安価で、数種の病原抗原を単一プラスミドで送達することができる(Manickan E.,Karem K.L.,Rouse B.T.(1997)DNA vaccines−a modern gimmick or a boon to vaccinology.Critical Reviews in Immunology 17:139−154)。ワクチンが存在しない病原体(例えばHIV)のために(Lekutis C.,Shiver J.W.,Liu M.A.,Letvin L.N.(1997)HIV1 env DNA vaccine administered to rhesus monkeys elicits MHC class II−restricted CD4+ T helper cells that secrete INF−gamma and TNF−alpha. J.Immunol.158:4471−4477)、または現在のワクチンが十分有効でない病原体(例えばインフルエンザ)のために(Macklin M.D.,McCabe D.,McGregor M.W.,Neumann V.,Meyer T.,Callan R.,Hinshaw V.S.,Swain W.S.(1998)Immunization of pigs with a particle mediated vaccine to influenza A virus protects against challenge with homologous virus.J.Virol.72:1491−1496)DNAワクチンが開発されつつある。高度に保存された遺伝子を用いてUlmerらは(Ulmer J.B.,Donnelly J.J.,Parker S.E.,Rhodes G.H.,Felgner P.L.,Dwarki J.J.,Gromkowski S.H.,Deck R.,DeWitt C.M.,Friedman A.,Hawe L.A.,Laender K.R.,Martinz D.,Perry H.C.,Shiver J.,Montgomery D.L.,Liu M.A.(1993)Heterologous protection against influenza by injection of DNA encoding a viral protein.Science 254:1745−1749)マウスを血清学的に異なる2種類のインフルエンザウィルス菌株に対して免疫することができた。しかし多くの場合、DNAワクチンが既存のワクチンより優れているという証明はされていない(Macklin M.D.,McCabe D.,McGregor M.W.,Neumann V.,Meyer T.,Callan R.,Hinshaw V.S.,Swain W.S.(1998)Immunization of pigs with a particle−mediated vaccine to influenza A virus protects against challenge with homologous virus.J.Viol.72:1491−1496)。免疫応答の実際の型は適切なサイトカインをコードする遺伝子の同時形質転換によってコントロールされ(Xiang Z.& Ertl H.C.(1995)Manipulation of the immune response to a plasmid−encoded viral antigen by co−inoculation with plasmids expressing cytokines.Immunity 2:129−135)、そしてこの方法は不適切な免疫反応を修正するのに有用であることが示された(Manickan E.,Karem K.L.,Rouse B.T.(1997)DNA vaccines−a modern gimmick or a boon to vaccinology.Critical Reviews in Immunology 17:139−154)。裸DNAのその他の利用としては、癌免疫増強(以下に述べる;また、Corr M.,Tighe H.,Lee D.,Dudler J.,Trieu M.,Brinson D.C.,Carson D.A.(1997)Costimulation provided by DNA immunization enhances antitumor immunity.J.Lab.Invest.159:4999−5004)、膵臓インスリン機能の修復(Goldfine I.D.,German M.S.,Tseng H.,Wang J.,Bolaffi J.L.,Chen J.,Olson D.C.,Rothman S.S.(1997).The endocrine secretion of human insulin and growth hormone by exocrine glands of the gastrointestinal tract.Nature Biotech.15:1378−1382)、および側副血管発達の刺激(Takeshita S.,Tsurumi Y.,Couffinahl T.,Asahara T.,Bauters C.,Symes J.,Ferrara N.,Isner J.M.(1996)Gene transfer of naked DNA encoding for three isoforms of vascular endothelial growth factor endothelial growth factor stimulates collateral development in vivo.Lab.Invest.75:487−501)がある。筋肉組織の遺伝子生成物の発現はコラゲナーゼおよびパパベリンの同時投与および虚血状態によって改善することができる(Budker V.,Zhang G.,Danko I.,Williams P.,Wolff J.(1998)The efficient expression of intravascularly delivered DNA in rat muscle.Gene Therapy 5:272−276)。筋特異的プロモータの使用(Skarli M.,Kiri A.,Vrbova G.,Lee C.A.,Goldspink G.(1998)Myosin regulatory elements as vectors for gene transfer by intramuscular injection。Gene Therapy 5:514−520)およびその他の導入遺伝子調節配列、例えばポリAおよび転写停止コドンなどの使用も(Hartikka J.,Sawdey M.,Conefert−Jensen F.,Margalith M.,Barnhardt K.,Nolasco M.,Vahlsing H.L.,Meek J.,Marquet M.,Hobart P.,Norman J.,Manthorpe M.(1996)An improved plasmid DNA expression vector for direct injection into skeletal muscle.Human Gene Therapy7:1205−1217)導入遺伝子発現を改善する。
リポソームは水性液の一フラクションを捕捉する脂質二重層である。DNAはその電荷によってカチオン性リポソームの外面に自発的に結合し、これらのリポソームは細胞膜と相互作用する(Felgner J.H.,Kumar R.,Sridhar C.N.,Wheeler C.J.,Tasi Y.J.,Border R.,Ramsey P.,Martin M.,Felgner P.L.(1994)Enhanced gene delivery system and mechanism studies with a novel series of cationic lipid formulations.J.Biol.Chem.269:2550−2561)。幾つかのの細胞系の90%まではin vitroでトランスフェクトされる。もともとはカチオン性であるリポソームに少量のアニオン性脂質を含めることによって、DNAはリポソームの内面に組み込まれ、その酵素分解を阻止することができる(Alio S.F.,(1997)Long term expression of the human alpha−1−antitrypsin gene in mice employing anionic and cationic liposome vector.Biochem.Pharmacol.54:9−13)。エンドソームとしての細胞内への取り込みを容易にするために、次のような標的蛋白がリポソームに含まれる;例えば抗−MHC抗体(Wang C.& Huang L.(1987)pH−sensitive immunoliposomes mediate target−cell−spesific delivery and controlled expression of a foreign gene in mouse.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851−7855)、トランスフェリン(Stavridis J.C.,Deliconstantinos G.,Psallidopoulos M.C.,Armenakas N.S.,Hadjiminas D.J.,Hadjiminas J.,(1986)Construction of transferrin−coated liposomes for in vivo transport of exogenous DNA to bone marrow erythroblasts in rabbits.Experimental cell Research 164:568−572)、およびセンダイウィルスまたはそのF蛋白(Dzau J.V.,Mann M.J.,Morishita R.,Kaneda Y.(1996)Fusigenic viral liposome for gene therapy in cardiovascular disease.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:11421−11425)などである。センダイウィルスはその他にもプラスミドDNAをエンドソームから細胞質に逃れさせ、それによって分解を避けることができる。DNA結合蛋白(28kDa 高移動性グループ1蛋白)の包含により、プラスミドは核内に持ち込まれ、それによって転写は高まる(Dzau J.V.Mann M.J.,Morishita R.,Kaneda Y.(1996)Fusigenic viral liposome for gene therapy in cardiovascular disease.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:11421−11425)。その他に提起された改善としては、エプスタイン−バ−ルウィルスOri pおよびEBNA1遺伝子をプラスミドに組み込み(HSV−1アンプリコンについて上に記載したように)プラスミドをエピソーム要素として保持すること(Alio S.F.(1997)Long term expression of the human alpha−1−antitrypsin gene in mice employing anionic and cationic liposome vector.Biochem.Pharmacol.54:9−13)などがある。
分子結合体は蛋白または合成リガンドからなり、この合成リガンドにはDNA結合物質が結合している。細胞への送達はリポソームの場合と同様な方法を使用することによって改善できる。標的蛋白には、アシアロ糖蛋白(Wagner E.,Cotten M.,Foisner R.,Birnstiel M.L.(1991)Transferrin−polycation−DNA complexes:the effect of polycations on the structure of the complex and DNA delivery to cells.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4255−4259)、トランスフェリン(Wu C.H.,Wilson J.M.,Wu G.Y.(1989)Targeting genes:delivery and persistent expression of a foreign gene driven by mammalian regulatory elements in vivo.J.Biol.Chem.264:16985−16987)、重合体IgA(Ferkol T.,Kaetzel C.S.,Davis P.B.(1993)Gene transfer into respiratory epithelial cells by targeting the polymeric immunoglobulin receptor.J.Clin.Invest.92:2394−2400)およびアデノウィルス(Madon J.& Blum H.E.(1996)Receptor mediated delivery of hepatitis B virus DNA and antisense oligodeoxynucleotides to avian liver cells.Hepatology 24:474−481)などがある。導入遺伝子発現は一過性である傾向を有し、エンドソーム/ライソソーム分解によって制限される。
(検出可能の放射性核種)
下に列挙される放射性核種の全て、または診断および/または治療効果をあらわすことが知られており、または発見されたその他のこの種の作用物質はいずれも本発明による1種類以上のアゴニストと共により効果的に送達できる。ここに使用される「検出可能の放射性核種」とはin vivoまたはin vitroで診断的操作において検出できる任意の適切な放射性核種(すなわち放射性同位体)である。適切な検出可能の放射性核種は金属性放射性核種(すなわち金属性放射性同位体)および非金属性放射性核種(すなわち非金属性放射性同位体)などを含む。
適切な金属性放射性核種(すなわち金属性放射性同位体または金属性常磁性イオン)にはアンチモン−124、アンチモン−125、ヒ素−74、バリウム−103、バリウム−140、ベリリウム−7、ビスマス−206、ビスマス−207、カドミウム−109、カドミウム−115m、カルシウム−45、セリウム−139、セリウム−141、セリウム−144、セシウム−137、クロミウム−51、コバルト−55、コバルト−56、コバルト−57、コバルト−58、コバルト−60、コバルト−64、銅−67、エルビウム−169、ユーロピウム−152、ガリウム−64、ガリウム−68、ガドリニウム−153、ガドリニウム−157、金−195、金−199、ハフニウム−175、ハフニウム−175−181、ホルミウム−166、インジウム−110、インジウム−111、イリジウム−192、鉄−55、鉄−59、クリプトン−85、鉛−210、マンガン−54、水銀−197、水銀−203、モリブデン−99、ネオジム−147、ネプツニウム−237、ニッケル−63、ニオビウム−95、オスミウム−185+191、パラジウム−103、プラチナ−195m、プラセオジミウム−143、プロメチウム−147、プロトアクチニウム−233、ラジウム−226、レニウム−186、レニウム−188、ルビジウム−86、ルテニウム−103、ルテニウム−106、スカンジウム−44、スカンジウム−46、セレニウム−75、銀−110m、銀−111、ナトリウム−22、ストロンチウム−85、ストロンチウム−89、ストロンチウム−90、硫黄−35、タンタル−182、テクネチウム−99m、テルリウム−125、テルリウム−132、タリウム−204、トリウム−228、トリウム−232、タリウム−170、錫−113、錫−114、錫−117m、チタン−44、タングステン−185、バナジウム−48、バナジウム−49、イッテルビウム−169、イットリウム−86、イットリウム−88、イットリウム−90、イットリウム−91、亜鉛−65およびジルコニウム−95などである。
本発明の化合物は、本発明のアゴニスト(類)と組合わせておよび/または交互に投与できる1種類以上(例えば1、2、3または4種類)の非金属性放射性核種も含むことができる。特に、非金属性放射性核種は非金属性常磁性原子(例えばフッ素−19);または非金属性ポジトロン放射−放射性核種(例えば炭素−11、フッ素−18、ヨウ素−123、または臭素−76など)である。フッ素−18は本発明の化合物として使用するための適切な非金属性放射性核種である。その理由の一つは、哺乳動物(ヒトなど)の体にはフッ素の診断的使用に関連するバックグラウンドノイズがほとんどまたは全くないのが普通だからである。検出可能の放射性核種は非金属性放射性核種、例えば炭素−11、フッ素−18、臭素−76、ヨウ素−123、ヨウ素−124などであるのが好ましい。
(キレート化基)
キレート化基は本発明の放射性核種を安定化するために用いられる。任意の適切なキレート化基を使用できる。適切なキレート化基は米国特許第5,739,313号に開示されているものを含む。一実施形態において、キレート化基はNTA、HEDTA、DCTA、RP414、MDP、DOTATOC、CDTA、HYNIC、EDTA、DTPA、TETA、DOTA、DOTMP、DCTA、15N4、9N3、12N3、またはMAG3(またはまた別の適切なポリアミノ酸キレータ)(これらは以下に説明される)またはプロピオネートキレータ(EDMT)である。好ましい実施形態において、キレート化基はDTPAである。
DTPAはジエチレントリアミン五酢酸である;TETAは1,4,8,11−テトラアザシクロ−テトラデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸である;DOTAは1,4,7,10−テトラアザ−シクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸である;15N4は、1,4,8,12−テトラアザシクロ−ペンタデカン−N,N’N’’,N’’’−四酢酸である;9N3は1,4,7−トリアザシクロノナン−N,N’,N’’−三酢酸である;12N3は1,5,9−トリアザシクロ−ドデカン−N,N’,N’’−三酢酸である;MAG3は(N−(N−(N−((ベンゾイルチオ)アセチル)グリシル)グリシル)グリシン)である。DCTAは次の式であらわされるシクロヘキサン−ベースの金属キレータである
Figure 2007505142
上記化合物において、Rは(C−C)アルキルまたはCHCO−であり、上記化合物は位置4または5によって、または基Rによって結合することができ、1ないし4個の検出可能金属または非金属カチオン(M)、一価カチオン、またはアルカリ土類金属を含む。こうして酸化状態+1の金属を有する場合、各個々のシクロヘキサン−ベースの分子は4個までの金属カチオン(ここではR基は両方共CHCOOMである)を担う。より高い酸化状態では金属数はシクロヘキサン骨格1つにつき2または1にまで減少すると考えられる。この式は上記分子を特定の立体化学に限定するものではない。
NTA、HEDTA、およびDCTAは、Poster Sessions,Proceedings of the 46th Annual Meeting,J.Nuc.Med.,p316,No.1386に開示されている。RP414はScientific Papers,Proceedings of the 46th Annual Meeting,J.Nuc.Med.,p123,No.499に開示されている。MDPはScientific Papers,Proceedings of the 46th Annual Meeting,J.Nuc.Med.,p102,No.413に開示されている。DOTATOCはScientific Papers,Proceedings of the 46th Annual Meeting,J.Nuc.Med.,p102,No.414およびScientific Papers,Proceedings of the 46th Annual Meeting,J.Nuc.Med.,p103,No.415に開示されている。CDTAはPoster Sessions,Proceedings of the 46th Annual meeting,J.Nuc.Med.,p318,No.1396に開示されている。HYNICはPoster Sessions,Proceedings of the 46th Annual meeting,J.Nuc.Med.,p319,No.1398に開示されている。
リガンドの炭素主鎖に結合した活性化アームを介して、共役結合が行われている大環状リガンドをベースにした二官能価キレータ(すなわちキレート化基)をキレート化基として用いることもできる;これはMoiらによって記載されている(M.Moi et al.,J.Amer.Chem.Soc.,49,2639(1989)(2−p−nitrobenzyl −1,4,7,10−tetraazacyclododecane−N,N’,N’’,N’’’−tetraacetic acid);S.V.Deshpandeら,J.Nucl.Med.31,473(1990);G.Kuserら,Bioconj.Chem.,1,345(1990);C.J.Broanら,J.C.S.Chem.Comm.,23,1739(1990);およびC.J.Andersonら,J.Nucl.Med.36,850(1995)(6−bromoacetamido−benzyl−1,4,8,11−tetraazacyclotetadecane−N,N’,N’’,N’’’−tetaacetic acid(BAT))。
その他に、診断用キレータまたは診断用キレート化基はScientific Papers,Proceedings of the 46th Annual Meeting,J.Nuc.Med.,Wednesday,June9,1999,p.124、No.500に開示されている任意のキレート化基でもよい。
より詳細に述べれば、キレート化基はWaibel et al.,Nature Biotechnology,897−901,Vol.17,September 1999;またはSattelberger et al.,Nature Biotechnology,849−850,Vol.17,September 1999 に開示されている任意のカルボニル錯体でよい。
詳細に述べれば、検出可能のキレート化基は、Waibelらが開示しているように、さらに金属性放射性核種を含む任意のカルボニル錯体でよい(Waibel et al.,Nature Biotechnology,897−901,Vol.17,September 1999;またはSattelberger et al.,Nature Biotechnology,849−850,Vol.17,September 1999)。より詳細に述べれば、検出可能キレート化基は、さらにテクネチウム−99mを含む、Waibel et al.,Nature Biotechnology,897−901,Vol.17,September 1999;またはSattelberger et al.,Nature Biotechnology,849−850,Vol.17,September 1999に開示されている任意のカルボニル錯体でよい。
詳細に述べれば、検出可能キレート化基は、さらに金属性放射性核種を含む、Waibel et al.,Nature Biotechnology,897−901,Vol.17,September 1999;またはSattelberger et al.,Nature Biotechnology,849−850,Vol.17,September 1999、に開示された任意のカルボニル錯体でよい。より詳細に述べれば、検出可能キレート化基はさらにレニウム−186またはレニウム−188を含む、Waibel et al.,Nature Biotechnology,897−901,Vol.17,September 1999;またはSattelberger et al.,Nature Biotechnology,849−850,Vol.17,September 1999、に開示された任意のカルボニル錯体でよい。
(III.カリウムチャンネル)
カリウムチャンネルを含むイオンチャンネルは全ての哺乳動物細胞に見いだされ、種々の生理的プロセスおよび正常な細胞のイオン・ホメオステーシスの調節に関係する。カリウムチャンネルは最も一般的であり、興奮性細胞および非興奮性細胞の両方に見いだされる。それらは細胞シグナリング、および広範囲の生理的事象を調節するプロセス、例えば神経伝達物質の放出、平滑筋収縮、心拍数、インスリン分泌、ニューロン興奮性、上皮電解質輸送、および細胞容量調節などに関係する。種々のKチャンネルをコードする50より多い遺伝子がクローン化されている(Shieh C,Coghlan M,Sullivan J.and Murali Gopalakrishnan,M.Pharmacologic.Reviews 2000 52(4),557−594)。
カリウムチャンネルは一般的にそれらの生物理学的および薬理学的特徴によって分類される。カリウムチャンネルの四主要タイプは:逆方向整流カリウムチャンネル(Kir);電圧により開くカリウムチャンネル(Kv);カルシウム活性化カリウムチャンネル(Ca2+−活性化Kチャンネル;KCa);およびATP感受性カリウムチャンネル(KATP)(Nelson MT and Quayle,JM.「Physiological roles and properties of potassium channels in arterial smooth muscle」Am.J.Physiol.1995,268(4 Pt 1),C799−822)。これらチャンネルのサブクラスはアミノ酸配列および機能特性によってさらに分類される。
カルシウム活性化カリウムチャンネル。KCaチャンネルは組織(脳毛細血管を含む)に普遍的に分布し、種々様々の生理的プロセスに重要な役割を果たす。KCaチャンネルは大コンダクタンス(BK)、中コンダクタンス(IK)および小コンダクタンス(SK)の3群に分類され、各々が異なる薬理を有する。SKチャンネルは神経系に豊富である。神経系においてSKチャンネルは、興奮を調節する緩徐なアフター高分極を媒介する。IKチャンネルは赤血球および白血球、結腸、肺、膵、およびその他の組織に見いだされる。BKチャンネルはほとんど普遍的に存在する。
大コンダクタンスのカルシウム活性化カリウムチャンネル(BK、maxi−KまたはBKCa)は多くの興奮性細胞、例えばニューロン、心臓細胞、および平滑筋型などに存在する。BKCaは種々様々の生理的特性を有し、組織特異的分布を示す。ニューロンではBKCaチャンネルは機能的にカルシウムチャンネルと同時局在し、活動電位波形を形成し、神経伝達物質の放出を調節する。BKCaチャンネルは動脈の収縮、子宮収縮、および腎臓の濾過率を調節する。BKチャンネルは脱分極および細胞内カルシウム濃度の上昇(マイクロモル)により非常に相乗的な仕方で活性化され、細胞の電気的状態によってカルシウムシグナリング経路と細胞の代謝状態とを連結させる(Piskorowski R,Aldrich R.「Calcium activation of BK(Ca)potassium channels lacking the calcium bowl and RCK domains」Nature 2002 420(6915):499−502;Brayden,JE.「Potassium channels in vascular smooth muscle」Clin Exp Pharmacol Physiol.1996 23(12)1069−76)。活性化されると、細胞からのKの流出は膜電位を高分極化し、電圧依存性Ca2+およびNaチャンネルは閉まる。平滑筋細胞では、この高分極化は血管拡張の弛緩をもたらす。
BKCaチャンネルの構造は組織間で異なる。ある組織では、このチャンネルは単に、中心コアを取り巻く4つの同一αサブユニットから構成されるようにみえる(Rothberg,B.S.,and Magleby,K.L.1999「Gating kinetics of single large−conductance Ca2+−activated K channels in high Ca2+ suggest a two−tiered allosteric gating mechanism」J.Gen.Physiol.114:93−124)。平滑筋などを含む他の組織では、BKCaチャンネルは孔形成性αサブユニットおよびより小さいβサブユニットから構成される。過去数年以上にわたり、補助βサブユニットの組織特異的発現がBKCa活性を調節する重要なメカニズムを与えることが明らかになってきた。例えばベータ1サブユニットは平滑筋では目立って多く見いだされ、その他の組織においてはカルシウム対BKCa調節に対するチャンネル親和性を劇的に高める。Tanaka,Y.,Meera,P.,Song,M.,Knaus,H.G.,and Toro,L.「Molecular constituents of maxi KCa channels in human coronary smooth muscle:predominant alpha + beta subunit complexes」J.Physiol.1997 502:545−557。脳に発現するBKCaは感受性の極めて高いα−サブユニットによって特徴づけられる。
(KCaチャンネルの調節)
Caチャンネルは燐酸化/脱燐酸化事象、および蛋白−蛋白相互作用など幾つかのの明らかなメカニズムによって調節される。
平滑筋では血管張力の調節が、NO−sGC−cGMPシグナリング経路によるKCaチャンネルの調節に関係することは公知である(Bang,L.et al.「Nitroglycerin−mediated vasorelaxation is modulated by endothelial calcium−activated potassium channels」Cardiovasc.Res.1999 43(3):772−778:Berg T,Koteng O,「Signaling pathways in bradykinin−and nitric oxid−induced hypotension in the normotensive rat;role of K−channels」Br.J.Pharmacol.1997 121:(6),1113−1120;Bolotina,VM.et al.「Nitric oxide directly activates calcium−dependent potassium channels in vascular smooth muscle」Nature 1994 368:(6474),850−853;Robertson BE et al.,「cGMP−dependent protein kinase activates Ca−activated K channels in cerebral artery smooth muscle cells」Am.J.Physiol.1993 265(1 Pt 1):C299−303;Sobey CG et al.「Mechanisms of bradykinin−induced cerebral vasodilatation in rats.Evidence that reactive oxygen species activate K channels」Stroke 1997 28(11):P2290−2294,discussion 2295;Sobey CG and Faraci FM.「Effect of nitric oxide and potassium channel agonists and inhibitors on basilar artery diameter」Am.J.Physiol.1997 272(1 Pt 2):H256−262;Hardy P.et al.「A major role for prostacyclin in nitric oxid−induced ocular vasorelaxation in the piglet」Circ.Res.1998 83(7):721−29;Bychkov R.et al.「Calcium−activated potassium channels and nitrate−induced vasodilatation in human coronary arteries」J.Pharmacol.Exp.Ther.1998 285(1):293−298:Armstead WM.「Contribution of KCa channel activation to hypoxic cerebrovasodilatation does not involve NO」Brain Res.1998 799(1):44−48;Joo F.et al.「Regulation of the macromolecular transport in the brain microvessels:the role of cyclic GMP」Brain Res.1983 278(1−2)、165−174;Faraci FM.et al.「Role of soluble guanylate cyclase in dilator responses of the cerebral microcirculation」Brain Res.1999 821(2):368−373)。神経膠腫瘍および虚血性組織は正常脳に比較して、nNOSおよびeNOSに対して、より免疫陽性である(Cai,Z.et al.「Prenatal hypoxia−ischemia alters expression and activity of nitric oxid synthase in young rat brain and causes learning deficits」Brain Res.Bull.1999 49(5):359−365)。
平滑筋のKCaシグナリング経路では、環状GMP(cGMPまたはグアノシン3’,5’−環状一燐酸)は、KCaチャンネルを燐酸化する数種のエフェクタ蛋白(cGMP依存性蛋白キナーゼを含む)の活性化を起こす(Robertson BE.et al.,「cGMP−dependent protein kinase activates Ca−activated K channels in cerebral artery smooth muscle cells」Am.J.Physiol.1993 265(Cell Physiol.34):C299−C303;Fukao M.,et al.「Cyclic GMP−dependent protein kinase activates cloned BKCa,channels expressed in mammalian cells by direct phosphorylation at serine 1072」J.Biol.Chem.)1999 274(16):10927−10935;Becker,EM et al.「The vasodilator−stimulated phosphoprotein(VASP):target of YC−1 and nitric oxide effects in human and rat platelets」J.Cardiovasc.Pharmacol.2000 35(3):390−397;Lohse MJ.et al.「Pharmacology of NO:cGMP signal transduction」Naunyn−Schmiedebergs Arch.Pharmacol.1998 358(1):111−112;Smolenski A.et al.「Functional analysis of cGMP−dependent protein kinases I and H as mediators of NO/cGMP effects」Naunyn−Schmiedebergs Arch.Pharmacol.1998 358:134−139;He P.et al.「cGMP modulates basal and activated microvessel permeability independently of [Ca2+]i」Am.J.Physiol.1998 274(6 Pt 2):H1865−1874;Holschermann H.et al.「Dual role of cGMP in modulation of macromolecule permeability of aortic endothelial cells」Am.J.Physiol.1997 272(1 Pt 2):H91−98)。cGMP依存性蛋白キナーゼ(PKGまたはcGK)は酵素的ATP依存性燐酸化によってKCaチャンネルを直接または間接的に活性化することが知られている。(Robertson,BE.et al.「cGMP−dependent protein kinase activates Ca−activated K channels in cerebral artery smooth muscle cells」Am.J.Physiol.1993 265(Cell Physiol.34):C299−C303;Fukao M.,et al.「Cyclic GMP−dependent protein kinase activates cloned BKCa,channels expressed in mammalian cells by direct phosphorylation at serine 1072」J.Biol.Chem.1999 274(16):10927−10935;Becker,EM.et al.「The vasodilator−stimulated phosphoprotein(VASP):target of YC−1 and nitric oxide effects in human and rat platelets」J.Cardiovasc.Pharmacol.2000 35(3):390−397)。
gTPからのcGMPの生成はそれ自体が可溶性グアニリルシクラーゼ(sGC)によって触媒される。可溶性グアニリルシクラーゼはαおよびβサブユニットからなるヘテロ二量体蛋白であり、その組成は異なる組織に特徴的なイソタイプのなかでは異なっている。(Lucas K.et al.「Guanylyl cyclases and signaling by cyclic GMP」Pharmacological Reviews 2000 52(3):375−414)。各サブユニットはそれ自体3つの機能的ドメインに分けられる:ホーム結合、ジミジエーションおよび触媒。ホーム結合ドメインは各サブユニットのN−末端にある。ホーム部分の変化はsCGの生理学的活性化の主要メカニズムと考えられる。
可溶性グアニリルシクラーゼはそれ自体種々様々のリガンドによって調節される(Friebe A and Koesling D.「Regulation of nitric oxide−sensitive guanylyl cyclase」Circ.Res.2003 93(2):96−105)。一酸化窒素(NO)はそのような調節剤の一つであり、可溶性グアニリルシクラーゼのヘメドメインに直接結合し、sCGのvMaxを100−200倍に高める(Bellamy TC,Wood J,Garthwaite J.「On the activation of soluble guanylyl cyclase by nitric oxide」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2002 99(1):507−10;Humbert P,Niroomand F.Fischer G,Mayer B,Koesling D,Hinsch KD,Gausepohl H,Frank R,Schultz G & Bohme E.「Purification of soluble guanylyl cyclase from bovine lung by a new immunoaffinity chromatographic method」Eur.J.Biochem.1990 190:273−278;Stone JR and Marletta MA.「Spectral and kinetic studies on the activation of soluble guanylyl cyclase、by nitric oxide」Biochemistry 1996 35:1093−10;Patel,A.I.and Diamond,J.「Activation of guanosine 3’,5’−cyclic monophosphate(cGMP)−dependent protein kinase in rabbit aorta by nitroglycerin and sodium nitroprusside」J.Pharmacol.Exp.Ther.1997,283(2),885−893)。一酸化炭素(CO)も血管平滑筋のsGCを活性化するが、NOよりは低い程度である(Utz J.,Ullrich V.「Carbon monoxide relaxes ileal smooth muscle through activation of guanylate cyclase」Biochem Pharmacol.1991 41(8):1195−201);Stone JR and Marletta MA.「Soluble guanylate cyclase from bovine lung:activation with nitric oxide and carbon monoxide and spectral characterization of the ferrous and ferric states」Biochemistry.1994 33(18):5636−40)。しかしCOの効果が強化され、NOと同様なsCG活性化レベルになることがある(Friebe A,Koesling D.「Mechanism of YC−1−induced activation of soluble guanylyl cyclase」Mol Pharmacol.1998 53(1)123−7;Friebe A,Schultz G and Koesling D「Sensitizing soluble guanylyl cyclase to become a highly CO−sensitive enzyme」EMBO J 1996 15:6863−6868)。
一酸化窒素はKCaを活性化して、cGMP−依存性およびcGMP非依存性メカニズムの両方によって血管弛緩をもたらすという証拠もある(Chen,CH.et al.「Nitric oxide activates Ca2+−activated K channels in cultured bovin adrenal chromaffin cells」Neurosci.Lett.1998 248(2):127−129;Vaali K,et al.「Relaxing effects of NO donors on guinea pig trachea in vitro are mediated by calcium−sensitive potassium channels」J.Pharmacol.Exp.Ther.1998 286(1):110−114;Sobey CG and Faraci FM.「Inhibitory effect of 4−aminopyridine on responses of the basilar artery to nitric oxide」Br.J.Pharmacol.1999 126(6):1437−1443;Kurtz A.et al.「Mode of nitric oxide action on the renal vasculature」Acta.Physiol.Scand.2000 168(1):41−45)。
ATPチャンネル。KATPチャンネルは心室筋細胞において初めて記載された(Noma A.「ATP−regulated K+ channels in cardiac muscle」Nature 1983 305:147−148)。かつては「KATP調節(KATPによって調節される)」チャンネルと言われたが、現在はそれらは「KATP感受性」チャンネルと呼ばれ、種々の組織および細胞型に広く分布することが知られている(Yokoshiki H,Sunagawa M,Seki T,and Sperelakis N「ATP−sensitive K channels in pancreatic,cardiac,and vascular smooth muscle cells」Am.J.Physiol Cell Physiol 274:25−37)。KATPチャンネルは脳血管に(Kitazono,T.,Fraci F.,Taguchi,H.and Heistad,D.「Role of potassium channels in cerebral blood vessels」Stroke 1995,26:1713−1723)および脳微小血管の内皮細胞に(Janigro,D.,West,G.A.,Gordon,E.L.,and Winn,H.R.「KATP−sensitive K+ channels in rat aorta and brain microvascular endothelial cells」Am J Physiol.1993、812−821)確認された。
形質膜KATPチャンネルの構造はよく知られている(Mannhold R.「KATP channel openers:structure activity relationships and therapeutic potential」Medicinal Research Reviews 2004 24(2):213−266;Grover GJ and Garlid KD.「ATP−sensitive potassium channels:a review of their cardioprotective pharmacology」J.Mol.Cell Cardiol.2000 32:677−695)。KATPチャンネルは構造的に特異である、なぜならばそれらは機能的チャンネル類を生成するために2つの無関係のサブユニット、(1)Kir内方向整流カリウムチャンネルファミリの一メンバーおよび(2)ATP結合カセット運搬体ファミリの一メンバーであるスルホニル尿素受容体(SUR)を必要とするからである。(Seino S.「ATP−sensitive potassium channels:a model of heteromultimeric potassium channel/receptor assemblies」Annu Rev Physiol.1999 61:337−62)。KATPチャンネルはミトコンドリアにも見いだされているが、それらの形質膜相当物であるmitoKATPの詳細な構造は十分には解明されていない(Szewczyk A,Marban E.「Mitochondria:a new target for K+ channel openers?」Trends Pharmacol Sci 1999 20:157−161)。
多少の論争後、KirサブユニットはATP結合部位の場所であると現在は考えられている(Mannhold R,「KATP channel openers:structure−activity relationships and therapeutic potential」Medical Research Reviews 2004 24(2)213−266,see Table I.page 117)。SURはKATPの調節性サブユニットと考えられ、MgADPおよびKチャンネルオープナーまたはアゴニストの刺激効果に対する感受性およびスルホニル尿素の阻害効果に対する感受性をチャンネルに与える(Trapp,S.and Ashcroft,F.M.「A metabolic senser in action:News from ATP−sensitive K−channel」News in Physiological Sciences 1997 12:255−263;Tucker,S.J.,Gribble,F.M.,Proks,P.,Trapp,S,Ryder,T.J.,Haug,T.,Reimann,F.and Ashcroft,F.M.「Molecular determinants of KATP channel inhibition by ATP.」EMBO Journal 1998 17:3290−3296;Inagaki N,Gonoi T,Clement JP,Wang CZ,Aguilar−Bryan L,Bryan J,Seino S.「A family of sulfonylurea receptors determines the pharmacological properties of ATP−sensitive K+ channel」Neuron.1996 16(5):1011−7)。SURのヌクレオチド結合ひだ(NBFs)はADPおよび薬理学的アゴニストによる調節に重要な役割を演じると考えられ、その一方でKirチャンネルサブユニットはATP−感受性メカニズムを有する(Yokoshiki H.,Sunagawa M,Seki T,Sperelakis N.「ATP−sensitive K+ channels in pancreatic,cardiac,and vascular smooth muscle cells」Am J Physiol.1998 274(1 Pt 1):C25−37;Schwanstecher M,Sieverding C,Dorschner H,Gross I,Aguilar−Bryan L,Schwanstecher C,Bryan J.「Potassium channel openers require ATP to bind to and act through sulfonylurea receptors」EMBO J.1998 17(19):5529−35)。
KirのイソフォームとSURサブユニットとは結合して異なる特性(すなわち、薬理学的特性およびヌクレオチド感受性)を有するKATPチャンネルを形成できる。(Mannhold R.「KATP channel openers:structure−activity relationships and therapeutic potential」Medical Research Reviews 2004 24(2)213−266,see Table I.page 117)。膵臓、心臓、および血管平滑筋のKATPチャンネルは異なるSURサブタイプを有する。(Matsuo M,Tanabe K,Kioka N,Amachi T,Ueda K「Different binding properties and affinities for ATP and ADP among sulfonylurea receptor subtypes,SUR1,SUR2A,and SUR2B」J.Biol.Chem.2000 275(37):28757−63)。SUR1/KIR6.2の組合わせはニューロン/膵ベータ−細胞チャンネルを作り上げ、その一方、SUR2A/KIR6.2およびSUR2B/KIR6.1(またはKIR6.2)の組合わせはそれぞれ心臓型および血管平滑筋型KATPチャンネルを作り上げる(Schwanstecher M,Sieverding C,Dorschner H,Gross I,Aguilar−Bryan L,Schwanstecher C,Bryan J.「Potassium channel openers require ATP to bind to and act through sulfonylurea receptors」EMBO J.1998 17(19):5529−35)。平滑筋KATPチャンネルは一般的にはSUR2BおよびKir6.2の組合わせを含む(Isomoto S,Kondo C,Yamada S,Matsumoto S,Higachiguchi O,Horio Y,Matsuzawa Y,Kurachi Y.「A novel sulfonylurea receptor forms with BIR(Kir6.2)a smooth muscle type ATP−sensitive K+ channel」J.Biol.Chem.1996 271:24321−24324;Chutkow WA,Simon MC,Le Beau MM,Burant CF.「Cloning,tissue expression,and chromosomal localization of SUR2,the putative drug−binding subunit of cardiac,skeletal muscle,and vascular KATP channels」Diabetes 1996 45:1439−1445)。脳血管に発現するKATPチャンネルはスルホニル尿素受容体(SUR)と、孔形成性内方向整流カリウムチャンネルサブユニット(Kir6.x)とのヘテロ二量体で、(SUR−Kir6.x)4であらわされる(Chan KW,Zhang H,Logothetis DE「N−terminal transmembrane domain of the SUR controls trafficking and gating of Kir6 channel subunits」EMBO J.2003 22(15):3833−43)。
ATPチャンネルはホルモン分泌(すなわち膵ベータ細胞からのインスリン、成長ホルモン、および腺下垂体からのプロラクチン)、心臓作動電位持続、および神経伝達物質放出などを含む種々様々の細胞機能に関係している。KATPチャンネルは血管の緊張および弛緩の調節、例えば正常および疾患状態における脳血管張力などの調節に重要な役割を演ずると考えられる。(Brayden,J.E.「Functional roles of KATP channels in vascular smooth muscle」Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.2002,29:312−316)。その結果、ATP感受性カリウムチャンネルは、アンギナ、高血圧、および糖尿病など幾つかの疾患における治療的標的である(Yokoshiki H,Sunagawa M,Seki T,Sperelakis N.「ATP−sensitive K+ channels in pancreatic,cardiac,and vascular smooth muscle cells」Am J Physiol.1998 274(1 Pt 1):C25−37)。
(KATPチャンネルの調節)
内因性モジュレータのなかで、天然KATPチャンネルはATPによって阻害され、ADPのようなヌクレオチド二燐酸によって刺激されることはよく知られている(Yokoshiki H,Sunagawa M,Seki T,Sperelakis N.「ATP−sensitive K+ channels in pancreatic,cardiac,and vascular smooth muscle cells」Am J Physiol.1998 274(1 Pt 1):C25−37)。ATP/ADPの比はチャンネルの活性を調整すると考えられる。さらにその他の内因性モジュレータはアデノシン、プロスタサイクリン、B−アデノレセプタアゴニストおよびカルシトニン遺伝子関連ペプチドを含むと言われている(Grover,GJ and Garlid KD.ATP−sensitive potassium channels:a review of their cardioprotective pharmacology.J Mol Cell Cardiol 2000 32:677−695)。
種々の内因性血管拡張剤(すなわちアデノシン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP),プロスタグランジンI2)による血管平滑筋のKATPの活性化は、アデニリルシクラーゼ−cAMP−蛋白キナーゼA経路に関係することが示された。(Brayden JE.「Functional roles of KATP channels in vascular smooth muscle」Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.2002 29(4):312−6;Mutafova−Yambolieva N,Keef,K「Adenosine−induced hyperpolarization in guinea pig coronary artery involves A2b receptors and KATP channels」Am J Physiol Heart Circ Physiol 1997 273:H2687−2695;Kleppisch T,Nelson MT.「Adenosine activates ATP−sensitive potassium channels in arterial myocytes via A2 receptors and cAMP−dependent protein kinase」Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1995 92(26):12441−5 ;Quayle JM,Bonev AD,Brayden JE.Nelson MT.「Calcitonin gene−related peptide activated ATP−sensitive K+currents in rabbit arterial smooth muscle via protein kinase」A.J.Physiol.1994 475(1):9−13;Wellman GC,Quayle JM,Standen NB,「ATP−sensitive K+ channel activation by calcitonin gene−related peptide and protein kinase A in pig coronary arterial smooth muscle」J Physiol.1998 507(1):117−29;Standen NB,Quayle JM,K+ channel modulation in arterial smooth muscle.Acta Physiol Scand.1998 164(4):549−57)。蛋白キナーゼ−触媒−燐酸化は、KATPチャンネルの活性をコントロールできる重要なメカニズムである。(Light PE,Bladen C,Winkfein RJ,Walsh MP,French RJ「Molecular basis of protein kinase C−induced activation of ATP−sensitive potassium channels」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2000 97(16):9058−63;Light, P.E.「Regulation of ATP−sensitive potassium channels by phosphorylation」Biochem.Biophys.Acta.1996 1286、65−73)。
アデニルシクラーゼ−cAMPシグナリング経路はかなり多くの研究の対象であった(Reithmann C,Gierschik P,Jakobs KH,「Stimulation and inhibition of adenylyl cyclase」Symp Soc Exp Biol.1990 44:207−24;Jakobs KH,Minuth M,Bauer S,Grandt R,Greiner C,Zubin P.,「Dual regulation of adenylate cyclase.A signal transduction mechanism of membrane receptor」Basic Res Cardiol.1986 81(1):1−9)。アデニレートシクラーゼはATPからのcAMPの形成を触媒する。環状AMPは二次メッセンジャーとして機能し、cAMP依存性蛋白キナーゼAを活性化する;これはその後種々の普遍的および細胞特異的蛋白を燐酸化する。
アデニリルシクラーゼは、ヘキサヘリカル経膜領域とそれに続く約40−kDaのサイトゾルドメインとからなる二重モジュールを含む固有の形質膜蛋白である。上記サイトゾルドメインは上記酵素の活性部位に役立つ高度に保存された相同配列を含む(Sunahara,RK,Dessauer CW and Gilman,AG.「Complexity and diversity of mammalian adenylyl cyclases」Annu.Rev.Pharm.Toxicol.1996 36:461−480;Tang W.−J.,and Gilman A.G.「Construction of a soluble adenylyl cyclase activated by Gs alpha and forskolin」Science 1995 268:1769−1772;Chen J.Iyengar R.「Inhibition of cloned adenylyl cyclases by mutant Gi−α and specific suppression of type 2 adenylyl cyclase inhibition by phorbol ester treatment」J Biol Chem 1993 268:12253−12256)。
アデニリルシクラーゼは構造的に可溶性グアニリルシクラーゼに非常に関連している(Sunahara RK,Beuve A,Tesmer JJ,Sprang SR,Garbers DL,Gilman AG.「Exchange of substrate and inhibitor specificities between adenylyl and guanylyl cyclases」J Biol Chem.1998 273(26):16332−8;Friebe A,Russwurm M,Mergia E,Koesling D.「A point−mutated guanylyl cyclase with features of the YC−1−stimulated enzyme:implications for the YC−1 binding site?」Biochemistry.1999 38(46):15253−7;Beuve A.「Conversion of a guanylyl cyclase to an adenylyl cyclase」Methods.1999 19(4):545−50)。脳にはアデニリルシクラーゼの複数のイソフォームが存在する。(Mons N,Yoshimura H,Ikeda H,Hoffman PL,Tabakoff B.「Immnological assesment of the distribution of type VII adenylyl cyclase in brain」Brain Res.1998 788(1−2):251−6;Guillou JL,Rose GM,Cooper DM.「Differential Activation of Adenylyl Cyclases by Spatial and Procedural Learning」J.Neuroscience 1999 19(14):6183−6190)。
アデニリルシクラーゼ活性はG蛋白および蛋白キナーゼ(PKA、PKCおよびカルモジュリンキナーゼ)を含む複数のエフェクタによって調節される。既知のイソフォームのうち少なくとも5種類はカルシウムによって、cAMPとカルシウム細胞シグナリングとの間が協調するように調節される(Cooper DN,Mons N,Karpen JW,「Adenylyl cyclase and the interaction between calcium and cAMP signaling」Nature 1995 374(6521):421−4)。フォルスコリンは直接的アデニリルシクラーゼアクチベータである(Seamon KB,Daly JW,「Forskolin:a unique diterpene activator of cyclicAMP−generating systems」J Cyclic Nucleotide Res.1981 7(4):201−24)。平滑筋弛緩中のKATPチャンネルの調整におけるアデニリルシクラーゼ−cAMP経路の役割は今後の研究の対象である。
ATPの活性化は低酸素および虚血を含む種々の病的状態と関係する(Kitazono T.,Faraci,F.M.,Tuguchi,H.,and Heistad,D.D.,「Role of potassium channels in cerebral blood vessels」Stroke 1995、26、1713−1723)。

IV.カリウムチャンネルアゴニストおよびアクチベータ
カリウムチャンネルモジュレータは、任意のコンダクタンスレベル、すなわち大、中、小コンダクタンスのカルシウム活性化カリウムチャンネル(KCa)のアゴニストかまたはアクチベータ、および/またはATP感受性カリウムチャンネル(KATP)のアゴニストまたはアクチベータである。Cook et al.,Potassium Channels:Structure,Classification,Function and Therapeutic Potential ed.N.S.Cook,Ellis Horwood,Chichester 1990 pp.181−255。これらの薬理学的作用物質はカリウムチャンネルを直接または間接的に開き、それによって細胞膜を高分極にする。
カリウムチャンネルアゴニスト(カリウムチャンネルオープナーとしても知られている)は、K+チャンネルに直接結合することによってそのK+チャンネルを開く共通の能力を有する構造的には異なる群の化合物である(Lawson,K.「Potassium channel openers as therapeutic weapons in ion channel disease:Kidney Int.2000 57(3):838−45;Edwards,G,Weston,AH「Pharmacology of the potassium channel openers」Cardiovasc Drugs Ther.1995 2:185−93;Edwards,G,and Weston AH「Structure−activity relationships of K+ channel openers」Trends Pharmacolog Sci 1990 11:417−422)。これらのアゴニストはカリウムチャンネルの特定の型に特異的である(すなわちKCaまたはKATP)。
カリウムチャンネルアゴニストは当該分野で公知であり、合成され、高血圧および冠動脈疾患など多数の疾患の処置に治療的に使用される(Lawson K.「Potassium channel activation:a potential therapeutic approach?」Pharmacol.Ther.1996,70:39−63;Robertson,DW and Steinberg MI.「Potassium channel modulators:scientific applications and therapeutic promise」Journal of Medicinal Chemistry 1990、33:1529−1541)。近年、数種の公知の臨床的化合物がカリウムチャンネルアゴニストとして作用することが見いだされた;そのなかにはミノキシジル(高血圧および脱毛の処置に使用されることが周知である)およびジアゾキシドも含まれる(Andersson KE.「Clinical pharmacology of potassium channel openers」Pharmacol Toxicol.1992 Apr;70(4):244−54;Quast U.「Potassium channel openers:pharmacological and clinical aspects」Fundam Clin Pharmacol.1992 6(7):279−93)。カリウムオープナーまたはアゴニストとして知られる化合物の数は増え続けている。経験的に発見されたカリウムチャンネルアゴニストは新しい薬を設計するためのテンプレートとして役立つ(Lawson K.「potassium channel openers as a potential therapeutic weapon in ion channel diseases」Kidney Int.2000 57(3):838−45;Mannhold R.「KATP channel openers:structure activity relationships and therapeutic potential」Medicinal Research Reviews 2004 24(2):213−266;Grover GJ and Garlid KD.「KATP−sensitive potassium channels:a review of their cardioprotective pharmacology」J.Mol Cell Cardiol 2000 32:677−695)。チャンネル蛋白の構造および機能の研究は新規のカリウムチャンネルアゴニストの合理的設計および開発の促進を約束する(Kaczorowski GJ,Garcia ML,「Pharmacology of voltage−gated and calcium−activated potassium channels」Curr Opin Chem Biol.1999,3(4):448−58)。
科学的および商業的関心の一領域は組織選択的カリウムチャンネルアゴニストの開発である(Mannhold R.「KATP channel openers:structure activity relationships and therapeutic potential」Medicinal Research Review 24(2):213−266;Grover GJ and Garlid KD.「ATP−sensitive potassium channels;a review of their cardioprotective pharmacology」J Mol Cell Cardiol 2000 32:677−695)。多くの公知のカリウムチャンネルアゴニストは血管拡張剤であり、ある状態において有用な治療特性を保持しながら、全身送達に関連して起きる副作用(高血圧など)を避けるのに有用である。報告によれば、血管拡張作用はないが所望の心臓保護効果を保持するカリウムチャンネルアゴニストが開発された(Atwal K,Grover G,Ahmed S,Ferrara F,Harper T,Kim K,Sleph P,Dzwonezyk S,Ruusell A,Moreland S.「Cardioselective anti−ischemic ATP−sensitive potassium channel openers」J Med Chem 1993 36:3971−3974)。構造活性相関(SAR)の研究は組織選択性の今後の向上を約束する(Mannhold R.「KATP channel openers:structure activity relationships and therapeutic potential」Medicinal Research Reviews 2004 24(2):213−266)。
本発明のカリウムチャンネルアゴニストは血管拡張薬ブラジキニン(Arg−Pro−Pro−Gly−Phe−Ser−Pro−Phe−Arg)、または受容体介在性透過剤[(RMP)−7]またはA7などのポリペプチドブラジキニン類似体(Kozarichら,米国特許第5,268,164およびPCT出願第WO92/18529号)ではない。ブラジキニンのその他の類似体には、ブラジキニンと同じ特性を示すが、修飾アミノ酸またはペプチドのいずれかの末端にペプチド伸長を有する関連ペプチド構造が含まれる。ブラジキニン類似体の例は、[Phe(CHNH)Arg]−ブラジキニン、N−アセチル[Phe(CHNH)Arg]ブラジキニンおよびdesArg9−ブラジキニンである。
(KCaアゴニストおよびアクチベータ)
内因性モジュレータに加えて、種々の合成小分子および天然由来の生成物などを含む多数の薬理学的作用物質がKCaチャンネルを開くことが知られている(Lawson,K.「potassium channel openers as potential therapeutic weapons in ion channel disease」Kidney Int.2000 57(3):838−45)。これらの化合物の多くは直接アゴニストである。これはそれらがKCaチャンネルに直接結合し、それによってチャンネルを開かせることを意味する。その一方で、他の化合物は間接的にアクチベータであり、上流の調節要素にそれらの活性が作用する間接的結果として、上記チャンネルにこの影響があらわれる。
多くの化合物は特異的KCaチャンネルオープナーであることが報告された(Lawson,K.「potassium channel openers as therapeutic weapons in ion channel disease」Kidney Int,2000 57(3):838−45);Coghlan MJ,Carroll WA and Gopalakrishnan M.「Recent developments in the biology and medical chemistry of potassium channel modulators:update from a decade of progress」J Med Chem 2001 44:1627−1653;Starrett JE,Dworetzky SI and Gibkoff VK「Modulators of large−conductance calcium−activated potassium(BK)channel as potential therapeutic targets」Current Pharmaceut Design 1996 2:413−428;Imaizumi Y,Sakamoto K,Yamada A,Hotta A,Ohya S,Muraki K,Uchiyama M,Ohwada T.「Molecular Basis of Pimarane Compounds as Novel Activators of Large−Conductance Ca2+−Activated K channel α−Subunit」Molecular Pharmacology 2002 62(4):836−846;Koh DS et al.Neurosciences Letters 1994 165:167−170):Singh SB,Goetz MA,Zink DL,Dombrowski AW,Polishook JD,Garcia ML,Schmalhofer W,McManus OB and Kaczorowski GJ.「Maxikdiol:a novel dihidroxyisoprimane as an agonist of maxi−K channels」J Chem Soc Perkin Trans 1994 1:3349−3352;Lee SH,Hensens OD,Helms GL,Liesch JM,Zink DJ,Giacobbe RA,Bills GF,Stevens−Miles S,Garcia ML,Schmalhofer WA,et al.「L−735,334,a novel sesquiterpenoid potassium channel−agonist from Trichoderma virens」J Nat Prod 1995 58:1922−1828)。
多くの知られているKCaチャンネルオープナーはベンズイミダゾロン誘導体であり、NS−4およびNS−1619、ビアリール尿素(NS−1608)、アリールピロール(NS−8)、およびインドール−3−カルボン酸エステル類(CGS−7181およびCGS−7184)を含む。その他には置換オキシノドール類がある(例えばHewasamへの米国特許第5,563,383号)。既知KCaチャンネルオープナーの非制限的リストが本明細書に提供される。NS004およびNS1619は数種の新規の異種合成KCaオープナーの設計の基礎として役立った。(Lawson,K.「Potassium channel openers as potential therapeutic weapons in ion channel disease」Kidney Int.2000 57(3):838−45)。BKCaチャンネルのアルファおよびベータサブユニットは、選択的オープナーで特異的組織を標的化する可能性を与える。
Caチャンネルの間接的アクチベータには、in vivo NOまたはcGMPまたはcGMP依存性蛋白キナーゼ(PKAなど)の量を高め、それによってNO−sGC−cGMPシグナリング経路を介して間接的にKCaチャンネルを活性化する内因性および薬理学的作用物質などがある。一酸化窒素(NO)シンターゼのアクチベータは可溶性グアニリルシクラーゼアクチベータがするような例を提供するる。一酸化窒素(NO)は可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータであることは知られており、間接的KCaチャンネルアクチベータである(Bellamy TC,Wood J,Garthwaite J 「On the activation of soluble guanylyl cyclase by nitric oxide」Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2002 99(1):507−10)。
可溶性グアニリルシクラーゼの一酸化窒素−非依存性アクチベータは、内因性並びに薬理学的いずれのものも多数知られている(Behrends S.「Drugs that activate specific nitric oxide sensitive guanylyl cyclase isoforms independent of nitric oxide release」Current Medicinal Chemistry 2003 10:291−301)。例えば一酸化炭素(CO)は可溶性グアニリルシクラーゼの内因性NO−非依存性アクチベータである(Schultz G and Koesling D 「Sensitizing soluble guanylyl cyclase to become a highly CO−sensitive enzyme」EMBO J 1996 15:6863−6868)。ポルフィリンおよび金属ポフィリン、例えばプロトポルフィリンIX、はsCGの既知のNO−非依存性アクチベータである(Ignarro LJ,Wood KS and Wolin MS.「Activation of purified soluble guanylate cyclase by protoporphyrin IX」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1982 79:2870−2873;Ignarro LJ,Wood KS and Wolin MS.「Regulation of purified soluble guanylate cyclase by porphyrins and metalloporphyrins:a unifying concept」Adv Cyclic Nucleotide Protein Phosphorylation Res 1984 17:267−274)。YC−1[3−(5’−ヒドロキシメチル−2’フリル)−1−ベンジル インダゾール]は可溶性グアニリルシクラーゼに直接結合することによってこの酵素を活性化することが知られている合成ベンジルインダゾール化合物である(Denninger JW,Schelvis JP,Brandish PE,Zhao Y,Babcok GT,Marletta MA.「Interaction of soluble guanylate cyclase with YC−1:kinetic and resonance Raman studies」Biochemistry 2000 39;4191−4198;Friebe A,Koesling D.「Mechanism of YC−1−induced activation of soluble guanylyl cyclase」Mol Pharmacol.1998 53(1);123−7)。YC−1の存在下では、COは可溶性グアニリルシクラーゼ活性を100倍以上、すなわちNOによるsCGの活性化に匹敵するレベルにまで高める(Friebe A,Schultz G and Koesling D.「Sensitizing soluble guanylyl cyclase to become a highly CO−sensitive enzyme」EMBO J 1996 15:6863−6868)。YC−1の存在下ではプロトポルフィリンIXの効果も増強することが報告されている(Friebe A,Koesling D.「Mechanism of YC−1−induced activation of soluble guanylyl cyclase」Mol Pharmacol.1998 53(1):123−7)。YC−1は解離速度を減らすことによってこれらのアクチベータのヘムリガンドに対する親和性を高めると考えられる(Russwurm M,Mergia E,Mullershausen F,Koesling D.「Inhibition of deactivation of NO−sensitive guanylyl cyclase accounts for the sensitizing effect of YC−1」J Biol Chem 2002 277(28):24883−8)。
最近、一酸化窒素には関係なく可溶性グアニリルシクラーゼを活性化する新しい群のNO−非依存性化合物が発見された。これらにはYC−関連性化合物BAY41−2272およびBAY41−8543および化学的に無関係のBAY58−2667が含まれる(Behrends S.「Drugs that activate specific nitric oxide sensitive guanylyl cyclase isoforms independent of nitric oxide release」Current Medicinal Chemistry 2003 10:291−301;Stasch JP,Becker EM,Alonso−Alija C,Apeler H,Dembojwsky K,Feurer A,Gerzer R,Minuth T,Perzborn E,Pleiss U,Schroder H,Schroeder W,Stahl E,Steinke W,Straub A,Schramm M.「NO−independent regulatory site on soluble guanylyl cyclase」Nature,2001 8:410(6825):212−5)。これらのグアニリレートシクラーゼ・スティミュレータは新規の調節部位を介して作用する(「NO−independent regulatory site of direct sGC stimulators like YC−1 and BAY 41−2272」BMC Pharmacol.2001 1(1):13;Stasch JP,Schmidt P,Alonso−Alija C,Apeler H,Dembowsky K,Haerter M,Heil M,Minuth T,Perzborn E,Pleiss U,Schramm M,Schroeder W,Schroder H,Stahl E,Steinke W,Wunder F.「NO−and haem−independent activation of soluble guanylyl cyclase:molecular basis and cardiovascular implications of a new pharmacological principle」Br J Pharmacol.2002 136(5):773−83;Straub A,Stasch JP,Alonso−Alija C,Benet−Buchholz J,Ducke B,Feuer A,Furstner C.「NO−independent stimulators of soluble guanylate cyclase」Bioorg Med Chem Lett.2001 11(6):781−4)。高血圧、アンギナおよび***異常を処置するためにsCGのNO−非依存性アクチベータが提案されている。これらの薬物は、この種の治療をより効率的にするためにNO−放出薬物と組み合わせて使用することも提案されている。
本発明の一実施形態において、KCaアクチベータはKCAチャンネルの直接的アゴニストである。適切なKCaアゴニストとしては、非制限的に、ベンズイミダゾロン誘導体、置換オキシノドール、および4−アリール ヒドロキシウイノリン−2−オン誘導体などがある。
本発明に適切に使用できるKCAアゴニストの代表的非制限的例には次のものがある:
・NS−1619(1,3−ジヒドロ−1−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−2−H−ベンズイミダゾール−2−オンとしても知られる;RBI、Natick,Mass.から入手できる)(Olesen SP,Munch E,Moldt,Drejer J.「Selective activation of Ca(2+)−dependent K+ channels by novel benzimidazolone」Eur J Pharmacol.1994 251(1):53−9;Yamamura H,Ohi Y,Muraki K,Watanabe M,Imaizumi Y.「BK channel activation by NS−1619 is partially mediated by intracellular Ca2+ release in smooth muscle cells of porcine coronary artery」Br J Pharmacol.2001 132(4):828−34)。NS−1619は大コンダクタンスCa(2+)−依存性K+チャンネル(BKチャンネル)の選択的オープナーであることが知られている。
・NS−1608、ビアリール尿素(N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−N’−(2−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)ウレアとしても知られる)(StrobaekD,Christophersen P,Holm NR,Moldt P,Ahring PK,Johansen TE,Olesen SP.「Modulation of the Ca(2+)−dependent K+ channel,hslo,by the substituted diphenylurea NS 1608,Paxilline and internal Ca2+」Neuropharmacology.1996 35(7):903−14)
・NS004(5−トリフルオロメチル−1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オンとしても知られる)(McKay MC,Dworetzky SI,Meanwell NA,Olesen SP,Reinhart PH,Levitan IB,Adelman JP,Gribkoff VK.「Opening of large−conductance calcium−activated potassium channels by the substituted benzimidazolon NS004」J Neurophysiol.1994 71(5):1873−82;Olesen SP,Munch E,Watjen F,Drejar J.「NS004−an activator of Ca(2+)−dependent K+ channel in cerebellar granule cells」Neuroreport 1994 5(8):1001−4.Gribkoff VK,Lum−Ragan JT,Boissard CG,Post−Munson DJ,Meanwell NA,Starrett JE Jr,Kozlowski ES,Romine JL,Trojnacki JT,Mckay MC,Zhong J,Dworetzky SI.「Effects of channel modulators on cloned large−conductance calcium−activated potassium channels」Mol Pharmacol.1996 Jul;50(1)206−17)
・NS−008(アリールピロール、2−アミノ−5−(2−フルオロフェニル)−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボニトリルとして知られる;そしてCGS−7181およびCGS−7148は両方共インドール−3−カルボン酸エステルである)(Sanchez M,McManus OB.「Paxilline inhibition of the alpha−subunit of the high−conductance calcium−activated potassium channel」Neuropharmacology.1996 35(7):963−8)。
・EBIO、1−エチル−2−ベンズイミダゾリノンとしても知られる;avena sativa−common oatsから抽出されるアベナ・ピロンである[1993年5月13日に公開された国際特許出願第WO93/08800号](Walker SD,Dora KA,Ings NT,Crane GJ,Garland CJ.「Activation of endothelial cell IK(Ca)with 1−ethyl−2−benzimidazolinone evokes smooth muscle hyperpolarization in rat isolated mesenteric artery」Br J Pharmacol.2001 134(7):1548−54)。
本発明に適切に使用されるその他のKCaチャンネルアクチベータには次のものがある:
・DHS−1(またはデヒドロサポニン 1)McManus OB,Helms LM,Pallanck L,Ganetzky B,Swanson R,Leonard RJ.「Functional role of the beta subunit of high conductance calcium−activated potassium channels」Neuron.1995 14(3):645−50。
・マキシクジオール(Lawson,K.「Potassium channel openers as potential therapeutic weapons in ion channel disease」Kidney Int.2000 57:838−45;McManus OB,Harris GH,Giangiacomo KM,Feigenbaum P,Reuben JP,Addy ME,Burka JF,Kaczorowski GJ,Garcia ML.「An activator of calcium−dependent potassium channels isolated from a medicinal herb」Biochemistry.1993 32(24):6128−33)。
・フラボノイド フロレチン(Koh,DS et al.,「Activating effect of the flavonoid phloretin on Ca(2+)−activated K+ channels in myelinated nerve fibers of Xenopus laevis[corrected]」Neuroscience Lett.1994 165:167−170)。
・L−735,334(Lee SH,Hensens OD,Helms GL,Liesch JM,Zink DL,Giacobbe RA,Bills GF,Stevens−Miles S,Garcia ML.Schmalhofer WA,et al.「L−735,334、a novel sesquiterpenoid potassium channel−agonist from Trichoderma virens」J Nat Prod.1995 58(12):1822−8;Imaizumi Y,Sakamoto K,Yamada A,Hotta A,Ohya S,Muraki K,Uchiyama M,and Ohwada T.「Molecular basis of pimarane compounds as novel activators of large−conductance Ca2+−activated K channel alpha−subunit」Molecular Pharmacology 2002 62(4)、836−846)。
・ピマル酸(PiMA)および関連化合物(Imaizumi Y,Sakamoto K,Yamada A,Hotta A,Ohya S.Muraki K.Uchiyama M.and Ohwada T.「Molecular basis of pimarane compounds as novel activators of large−conductance Ca2+−activated K channel alpha−subunit」Molecular Pharmacology 2002 62(4)、836−846)。
・ニフルム酸(Wallner M,Meera P,Ottolia M,Kacaorowski GJ,Latoree R,Garcia ML.Stefani E,Toro L.「Characterization and modulation by a beta−subunit of a human maxi KCa channel cloned from myometrium」Receptors Channels 1995 3(3):185−99)。
・フルフェナム酸(Gribkoff VK,Lum−Ragan JT,Boissard CG,Post−Munson DJ,Meanwell NA,Starrett JE,Kozlowski ES,Romin JL,Trojnacki JT,Mckay MC,Zhong J,and Dworetzky SI.「Effects of channel modulators on cloned large−conductance calcium−activated potassium channels」Molecular Pharmacology 1996 50(1);206−217)。
・ニトレンジピン
・6−ブロモ−8−(メチルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−カルボニトリル(SCA−40)(Laurent F et al.,Br.J.Pharmacol.1993 108,622−626)。
・BMS−2−4352;(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オンとしても知られる;脳卒中に使用するために標的化されるフルオロオキシインドール。Jensen BS.CNS Drug Rev 2002;MacKay Current Opinion Investig Drugs 2001
・レチガビン(N−(2−アミノ−4−(4−フルオロベンジルアミノ)−フェニル)カルバミン酸エチルエステルとしても知られる)癲癇のために開発されたカリウムチャンネルオープナー;Cooper EC.Epilepsia 2001;EP 554543(2001年12月??の別のPCT)。
・LP805(8−tert−ブチル−6,7−ジヒドロピロロ[3,2−e]−5−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボニトリルとしても知られる)(Inazu M,Zhang H,Daniel EE.「Properties of the LP−805−induced potassium currents in cultured bovine pulmonary artery endothelial cells」J Pharmacol Exp Ther.1994 268(1):403−8;A target K+ channel for the LP−805−induced hyperpolarization in smooth muscle cells of the rabbit portal vein」Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol.1993 347(3):329−35。
・タモキシフェン(Dick,GM,Hunter CA,and Sanders KM.「Ethylbromide Tamoxifen,a Membrane−Impermeant Antiestrogen,Activates Smooth Muscle Calcium−Activated Large−Conductance Potassium Channels from the Extracellular Side」Molecular Pharmacology 2002 61(5):1105−1113)
・17−3−エストラジオール(Behrens R,Nolting A,Reimann F,Schwarz M,Waldschutz R,Pongs O.「hKCNMB3 and hKCNMB4,cloning and characterization of two members of the large conductance calcium−activated potassium channel β subunit family」FEBS Letters 2000 474:99−106;Valverde,MA,Rojas P,Amigo J,Cosmelli D,Orio P,Bahamonde MI,Mann GE,Vergara C,Latorre R.「Acute activation of Maxi−K channels(hSlo)by estradiol binding to the beta subunit」 Science 1999 285(5435):1929−31)。17−エストラジオールはBKCaチャンネルを活性化すると考えられる。
・エポキシエイコサトリエン酸(Fukao M,Mason HS,Kenyon JL,Horowitz B.and Keef KD.「Regulation of BKCa channels expressed in human embryonic kidney 293 cells by epoxyeicosatorienoic acid」Mol Pharmacol 2001 59:16−23)
・ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)(Yamamura H,Nagano N,Hirano M,Murakin K,Watanabe M,Imaizumi Y.「Activation of Ca2+−Dependent K Current by Nordihydroguaiaretic Acid in Porcine Coronary Arterial Smooth Muscle Cells」Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 1999 291(1):140−146)
・5−ニトロ−2−(−3−フェニルプロピルアミノ)安息香酸(NPPB)(Gribkoff VK,Lum−Ragan JT,Boissard CG,Post−Munson DJ,Meanwell NA,Starrett JE,Kozlowski ES,Romin JL,Trojnacki JT,Mckay MC,Zhong J,and Dworetzky SI.「Effects of channel modulators on cloned large−conductance calcium−activated potassium channels」Molecular Pharmacology 1996 50(1);206−217)。
一実施形態において、KCaアクチベータは、OlesenらのUS5,200,422に開示されているものである(ニューロリサーチ社(NeuroSearch))。これは本明細書中に参考として援用される。上記のベンズアミダゾールKCaアゴニストは下記の式であり:
Figure 2007505142
あるいはこの式の無毒性の、薬学的に受容可能な塩、溶媒和物または水和物である:
式中、
は水素、NHまたはC1−6−アルキル(枝分かれしていてもよい)であり、
XはO、S、NCNであり;
YはO、Sであり;
、R、RおよびRは互いに独立的に水素、ハロゲン、CF、NO、NH、OH、C1−6−アルコキシ、C(=O)−フェニル、またはSONRIIであり、ここでRおよびRIIは独立的に水素またはC1−6−アルキルである;
11は水素、ハロゲン、NO、またはSONR’R」であり、ここでR’およびR」は独立的に水素またはC1−6−アルキルである;
13は水素、ハロゲン、フェニル、CF、NOである;
12は水素であるか、またはR13と一緒になってC4−7−炭素環(芳香族環でもよいし、部分的飽和環でもよい)を形成する;
14は水素であるか、またはR13と一緒になってC4−7−炭素環(芳香族環でもよいし、部分的飽和環でもよい)を形成する;
下位の実施形態において、KCaアゴニストは5−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−1H−2−オキソ−ベンズイミダゾール、5−トリフルオロメチル−2,3−ジヒドロ−1−(5−フェニル−2−ヒドロキシフェニル)−1H−2−オキソ−ベンズイミダゾール、または5−トリフルオロメチル−6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1−(3−ニトロ−5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−1H−2−オキソ−ベンズイミダゾールである。
本明細書に参考として援用されるHewawasam らのUS 5,565,483(Bristol−Myers Squibb)は、本発明に使用できるカルシウム活性化カリウムチャネルを開く、種々の3−置換オキシインドール誘導体を開示している。3−フェニルオキシインドールKCaアゴニストは下記の式であらわされ:
Figure 2007505142
あるいはこの式の無毒性の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物または水和物である:
式中
Rは水素、ヒドロキシまたはフルオロである;
、R、RおよびRは各々独立的に水素、C1−4アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、フェニル、p−メチルフェニル、またはp−トリフルオロメチルフェニルであるか;または
とR、RとR、またはRとRは、一緒になってベンゾ融合環を形成する;
は水素またはC1−4アルキルである;
は塩素またはトリフルオロメチルである。
また別の実施形態において、KCaアクチベータは、本明細書に参考として援用されるGarciaらのUS5,399,587(Merck)に開示されているものである。セスキテルペンKCaアゴニストは下記の式であらわされ:
Figure 2007505142
またはその無毒性の薬学的に受容可能な塩、その溶媒和物またはその水和物である:
式中、
Rは水素またはメチルである;
、R、R、およびRは各々独立的に水素、臭素、塩素またはトリフルオロメチルであり、R、R、およびRが水素である場合、Rはニトロである;
は水素またはメチルである;そして
は臭素または塩素である。
一実施形態において、KCaアクチベータは、本明細書中に参考として援用されるGarciaらのUS5,399,587(Merck)に開示されているものである。セスキテルペンKCaアゴニストは下記の式であらわされ:
Figure 2007505142
あるいはその無毒性の薬学的に受容可能な塩、その溶媒和物またはその水和物である。
本発明の一実施形態において、KCaアクチベータはKCaチャネルを間接的に活性化する化合物である。KCaの間接的アクチベータとしては、非制限的に、インビトロで一酸化窒素(NO)、cGMPまたはcGMP依存性プロテインキナーゼの量を高め、それによってNO−sCG−CGMPシグナル伝達経路を介してKCaチャネルを間接的に活性化する因子が挙げられる。
一酸化窒素シンターゼ(NOS)のアクチベータはこのような間接的アクチベータ群である。NOSは、L−アルギニンの5電子酸化を触媒してNOおよびL−シトルリンを生成する複合酵素ファミリーである。Wang Y.Adv Pharmacol.(1995)34:71−90を参照されたい。それらは、分子酸素、NADPH、フラビンおよびテトラヒドロビオプテリンに依存するチトクロームP−450様−ヘムタンパク質である。3種類のアイソフォームはecNOS、nNOS、およびiNOSを含む。特定の実施形態において、KCaの間接的アクチベータは、一酸化窒素シンターゼのアクチベータである。Nathan C.Regulation of the Biosynthesis of Nitric Oxide J Biol Chem.(1994)13:269(19:13725−8)を参照されたい。
可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータにはまた別のものもある。例えばcGMPの量を増やし、それによってKCaチャネルを間接的に活性化するような因子である(例えばKoesling,D,Mojulators of soluble guanylyl cyclase,Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol.1998 358:123−126;Hobbs AJk.「Soluble guanylyl cyclase:an old therapeutic target re−visited」Br J Pharmacol.2002 136(5):637−40;Schmidt HH.「NO,COand OH.Endogenous soluble guanylyl cyclase−activating factors」FEBS Lett.1992 307(1):102−7を参照されたい)。
一酸化窒素が可溶性グアニリルシクラーゼを活性化することは公知である。好ましいカリウムチャネルアクチベータは一酸化窒素ガスであり、それは生物膜を完全に透過する。吸入可能の一酸化窒素ガスは、当業者に公知のように、制御されたガス混合物としてマスクによって被験体に投与することができる。(Kieler−jensen,N.ら,Inhales nitric oxids in a the evaluation of heart transplant candedates with elevated pulmonary vascular resistance,J Heart Lung Transplant.1994 13(3):366−75;Rajek A.ら,「inhalated nitric oxide reduces pulmonary vascular resistance more than prostaglandine E(1)during heart transplantation」Anesth Analg.2000 90(3):523−30;Solina,A.ら,「A comparison of inhalated nitric oxide and milrinone for the treatment of pulmonary hypertension in adult cardiac surgery patients」J Cardiothorac Vasc.Anesth.2000 14(1):12−17;Fullerton,D.A.ら,「Effective control of pulmonary vascular resistance with inhalated nitric oxide after cardiac operation」J Thorac Cardiovasc Surg 1996 111(4):753−62,discussion 762−3)。ガス混合物中の一酸化窒素(NO)濃度は好ましくは約1〜100ppmのNO、より好ましくは約4〜80ppmのNO、最も好ましくは約20〜40ppmのNOである。ガス混合物は適切な濃度の酸素および窒素および/またはその他の不活性ガス、例えば二酸化炭素、ヘリウムまたはアルゴンなども含む。必要に応じて、一酸化二窒素[(N2O)]、キセノンなどのガス麻酔薬、およびハロタン、セボフルラン、およびイソフルランなどのハロゲン化揮発性麻酔薬もまた、上記ガス混合物に含めることができる。
カリウムチャネルアクチベータ(および/または薬剤または化学療法剤)の投与が頸動脈内注入によっておこなわれる場合、静脈またはその他の送達経路を使用する全身麻酔は一般的には必要ない。HVAsが可溶性グアニリルシクラーゼ活性を阻害し得ることは当業者には公知である。(Masaki,E.,Halogenated Volatile anesthetics inhibit carbon monoxide−stimulated soluble guanylyl cyclase activity in rat brain,Acta Anaesthesiol.Scand.2000 44(3):321−25;Masaki E.and Kondo I.「Methylene blue,a soluble guanylyl cyclase inhibitor,reduces the sevoflurane minimum alveolar anesthetic concentration and decreases the brain cyclic guanosine monophosphate content in rats」Anesth.Analg.1999 89(2):484−88)。したがって、HVAは本発明の方法によってグアリリルシクラーゼと共に使用する吸入可能麻酔薬としては好ましい選択ではない。
一酸化窒素ドナーは、生物系に投与した際にNO−関連性生理学的活性をもたらす化合物類である。そのため、NO−ドナーは、内因性NO欠乏の際に内因性関連反応または代替物によく似た作用をすることができる。NOを放出する能力を有する化合物類は治療薬として広く用いられている(Ignarro,L.J.,Napoli,C.,Loscalzo,J.「Nitric oxide donors and cardiovascular agents modulating the bioactivity of nitric oxide:an overview」Circ Res.2002,90(1):21−8)。ニトロ血管拡張剤、有機硝酸エステルおよび亜硝酸エステル、例えばニトログリセリン、亜硝酸アミル、イソソルビドジニトレート、イソソルビド5−モノニトレート、およびニコランジルなどは数十年にわたって心臓血管病の治療に臨床使用されている。それらの血管調整効果は、グアニリルシクラーゼ活性化によって、および血管平滑筋細胞(VSMC)の非特異的カチオンチャネルの直接的阻害によって媒介される。これらの薬は、NO−置換療法を提供する。一般的に使用されるNOドナーに勝る長所、例えば薬物耐性の制限(Loskove JA,Frishman WH.「Nitric oxide donors in the treatment of cardiovascular and pulmonary diseases」Am Heart J.1995 129(3):604−13)、溶液中におけるNOの自発的放出(S−ニトロソペナシラミンなど)、予測できる速度で長時間にわたる持続的放出(NCX−4016など)、および組織選択性などを有する、種々の新しいNOドナー薬が開発されている。(Muscar ,M.N.およびWallace,J.L.「Nitric oxide:therapeutic potential of nitric oxide donors and inhibitors」Am J Physiol Gsstrointest Liver Physiol 1999,276:G1313−G1316、1999;Megson,I.L.「Nitric oxide donor drugs」Drugs of the Future 2000、25:701−715)。
当業者には公知のように、種々のNOドナーによって放出されるNOの酸化還元状態は少なくとも3種類あり[(NO、NO、またはNO)]、本発明の説明のために、それら全ては「一酸化窒素」または「NO」という用語でまとめられる。NOの酸化還元状態は、その他の生物分子に対するNOドナーの反応性、副産物のプロフィール、および生物応答に実質的差をもたらす(Fleelisch,MM.,The use of nitric oxide donors in pharmacological studies,Naunyn−Schmiedeberges Arch.Pharmacol.358:113−22[1998])。個々の化合物の化学的反応性およびNO放出動態が異なるのと同様に、NOの酵素的形成および/または非酵素的形成に至る経路は、個々の化合物群で著しく異なる。NOを放出するために、あるNOドナー群は酵素触媒を必要とし、ある群はNOを非酵素的に生産し;あるNOドナーは還元(チオールなどによる)を必要とし、あるNOドナーは酸化を必要とする。
一酸化窒素ドナーの好ましい例としては、一価アルコールおよび多価アルコール類の硝酸エステルである、有機硝酸化合物などがある。一般的には、これらは低い水溶性を有し、ストック溶液はエーテルまたはジメチルスルホキシド(DMSO)で調製される。例として、グリセリルトリニトレート(GTN)またはニトログリセリン(NTG)、ペンタエリスリチルテトラニトレート(PETN)、イソソルビドジニトレート(ISDN)、およびイソソルビド5−モノニトレート(IS−5−N)が挙げられる。有機ニトレート類の投与は、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、経皮的投与であり得、PETN、ISDN、NTGおよびIS−5−Nの場合は経口投与でよい。
その他の好ましい例は、S−ニトロソチオール化合物、例えばS−ニトロソ−N−アセチル−D,L−ペニシラミン(SNAP)、S−ニトロソグルタチオン(SNOG)、S−ニトロソアルブミン、S−ニトロソシステインである。S−ニトロソチオール化合物は特に光感受性であるが、氷上および暗所に保存されるストック溶液は数時間安定であり、EDTAのようなキレータを加えるとストック溶液の安定性は高まる。投与は静脈内または動脈内送達経路が好ましい。ニトロプルシドナトリウム(SNP)および8−ブロモ−cGMPのようなNO放出剤は本発明によるKCaの間接的アクチベータと考えられる。
一酸化窒素ドナーのその他の好ましい例としては、シドノンイミン化合物類、例えばモルシドミン(N−エトキシカルボニル−3−モルホリノ−シドノンイミン)、リンシドミン(SIN−1;3−モルホリノ−シドノンイミンまたは3−モルホニリルシドノンイミンまたは5−アミノ−3−モルホリニル−1,2,3−オキサジアゾリウム、例えば塩化物塩)、およびピルシドミン(CAS936)などが挙げられる。
ストック溶液は、一般的には、DMSOまたはDMFで調製され、遮光されていれば[4℃]から室温まで安定である。リンシドミンは非常に水溶性で、脱酸素化蒸留水中で約pH5に調整された酸性溶液中で丸一日安定である。生理的pHではSIN−1は速やかに非酵素的加水分解を受けて開環し、SIN−1Aを形成する。これも暗所、PH7.4において安定な、好ましい一酸化窒素ドナーである。
ニトロプルシドナトリウム(SNP;ペンタシアノニトロシルフェレート(II))のような鉄ニトロシル化合物もまた、一酸化窒素ドナーとして有用である。水性ストック溶液は使用前に脱酸素化水で新たにつくり、暗所に保存するのが好ましい;ストック溶液の安定性はpH3〜5で高まる。送達緩衝液にグルタチオンのような生理的相溶性チオールを含めることもまた、NO放出を高める。SNPは静脈内注射によって投与される。当業者は公知のように、NOが放出されるとSNP 1molあたり5等量の毒性CNが放出されるので、長期使用は避けなければならない。
大部分の好ましい一酸化窒素ドナーはいわゆるNONOate化合物類のなかから選択される。NONOateは、NOと求核性残基(X)例えばアミン基または亜硫酸基などとの付加物であり、NOダイマーが窒素原子を介して求核性残基に結合し、構造X[−N(O)NO]を有する官能基を形成する。NONOateは一般的に、生物学的反応体の影響をほとんど受けずに予測速度でNOを放出する。そしてNO放出は、XおよびNOの再生を伴う酸触媒解離によると考えられる。この特性は、選択的にある薬剤を送達する本発明の方法によると特に有用である;なぜならば異常な脳領域および悪性腫瘍は一般に、相対的に低酸素であり、相対的に低い周囲pH(例えばpH6.5〜7.0)を有し、その結果、異常脳領域または悪性腫瘍の微小血管に選択的にNO放出が集中するからである。
NONOateとしては、最も好ましくは、ジエチルアミン−NONOate(DEA/NO;N−エチルエタナミン;1,1−ジエチル−2−ヒドロキシ−2−ニトロソヒドラジン(1:1)、または[1−[N,N−ジエチルアミノ]ジアゼン−1−イウム−1,2−ジオラート)が挙げられる。その他の好ましいNONOateとしては、ジエチレントリアミン−NONOate(DETA/NO;2,2’−ヒドロキシニトロソヒドラジノ]ビス−エタナミン)、スペルミン−NONOate(SPER/NO;N−(4−[1−(3−アミノプロピル)−2−ヒドロキシ−2−ニトロソ−ヒドラジノ]−ブチル)−1,3−プロパンジアミン)、プロピルアミノ−プロピルアミン−NONOate(PAPA/NO);3−(2−ヒドロキシ−2−ニトロソ−1−プロピルヒドラジノ)−1−プロパナミンまたは(Z)−1−[N−(3−アミノプロピル)−N−(n−プロピル)アミノ]ジアゼン−1−イウム−1,2−ジオラート)、MAHMA−NONOate(MAHMA/NO;6−(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−ニトロソヒドラジノ)−N−メチル−1−ヘキサンアミン)、ジプロピレントリアミン−NONOate(DPTA/NO;3,3’−(ヒドロキシニトロソヒドラジノ)ビス−1−プロパナミン)、PIPERAZI/NO、proli−NONOate(PROLI/NO;1−([2−カルボキシラート]−ピロリジン−1−イル)ジアゼン−1−イウム−1,2−ジオラート−メタノール、例えば二ナトリウム塩)、SULFO−NONOate(SULFO/NO;ヒドロキシジアゼンスルホン酸1−オキシド、例えば二アンモニウム塩)、スルフィットNONOate(SULFI/NO)、およびアンゲリス塩(OXI/NO)が挙げられる。
ほとんど全てのNONOate化合物が水に非常に溶け易く、水性ストック溶液は使用直前に冷脱酸素化1〜10mM NaOH(約pH12が好ましい)で調製される。アルカリ性ストック溶液は冷暗所に保持される場合、数時間安定である。NONOateの特徴的UV吸光度を利用して、水溶液中のNONOateを分光光度法により定量できる。NONOateは、静脈内投与または動脈内投与される。
一酸化窒素ドナー類は異なる有効性を有する。(Ferraro,R.ら,Comparative effects of several nitric oxide donors on intrasellular cyclic GMP levels in bovone chromaffin cells:correlation with nitric oxide production,Br.J.Pharmacol.127(3):779−87[1999])。例えば、DEA/NOは、なかでも最も強力な一酸化窒素ドナーであり、約2〜4分の半減期を有する;PAPA/NO(t1/2は約15分)、SPER/NO(t1/2は約34〜40分)は有効性がより小さい;有効性がさらに小さいのは、DETA/NO(t1/2約20時間)およびSNAP(t1/2は約33〜41時間、ただしグルタチオンのような生理学的還元剤の存在下ではこれは短縮される)である。SNPも強力なNOドナーである。(Ferreroら[1999];Salmon,J.B.ら,Relaxant effects of sodium nitroprusside and NONOate in rabbit basilary artery,Pharmacol.57(2):79−87[1998];Salmon,J.B.ら,Comparative relaxant effects of the NO donors sodium nitroprusside,DEA/NO and SPER/NO in rabbit carotid arteries,Gen Pharmacol.32(1:75−79[1999]);Salmon,J.B.,Relaxant effects of sodium nitroprusside and NONOate in goat middle cerebral artery.delayed impairment by global ischemia−reperfusion,Nitric Oxide 3(1):85−93[1999];Kimura,M.ら,Responses of human basilar and other isolated arteries to novel nitric oxide donors,J.Cardiovas.Pharmacol.32(5):695−701[1998])。したがって、NONOateまたはその他のNOドナーの有効濃度または量は、本明細書に記載されるカリウムチャネルアクチベータのための好ましい用量範囲に関連して変動する。
NOドナーのストック溶液は、好ましくは使用前に新たに作られ(各特定のNOドナーで適切なpHにおいて)、氷上で冷やされ、遮光される(例えばアルミニウムホイルで包んだ暗いガラスびんを使用)。ただし有機ニトレート類は、びんが密閉されていれば数カ月〜数年は保存できる。好ましくは、被験体に投与する直前に薬学的に受容可能な緩衝液で最終的希釈液を調製し、生理的適性についてNOドナー含有緩衝液の最終的pHをチェックする。強い酸性(例えば塩酸塩)ストック溶液またはアルカリ性(例えばNONOate)ストック溶液を使用する場合には、特にこれが重要である。
NO曝露時間とNO濃度との積は、外部から供給されるNOに対する生物学的反応の質および大きさを大きく決定する。DEA/NOのような短命なNOドナーは一度に投与するよりも連続注入によって投与し、NOが短期間だけ多量に送達されることを避けるのが最も好ましい。
可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータは、グアニリルシクラーゼ活性化タンパク質(CCAP)も含む。グアニリンは腸においてグアニリルシクラーゼを活性化できるペプチドの一例である(Currie,ら,「Guanylin:an endogenous activator of intestinal guanylate」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,947−951(1992))。心房性ナトリウム利尿ペプチドフラグメント5−27(すなわち、アトリオペプチンII、アトリオペプチン−23、rat、rANF(103−125))は別の例であり、腸および血管平滑筋両方のアクチベータとして知られている(Currie,M.G.,ら,Science 1984 223:67)。
イソリキリチゲニンはグアニリルシクラーゼ活性化タンパク質の一例である(Yu SM,Kno SC.「Vasorelaxant effect of isoliquiritigenin,a novel soluble guanylate cyclase activator ,in rat aorta」Br J Pharmacol.1995 114(8):1587−94;Yamamotoら,「The potent anti−tumor−promoting agent isoliquiritigenin」Carcinogenesis 1991 2:317−323);
可溶性グアニリルシクラーゼは、NO−非依存性様態でも活性化される(Behrends S.「Drugs that activate specific nitric oxide sensitive guanylyl cyclase isoforms independent of nitric oxide release」Current Medicinal Chemistry 2003 10:291−301;A NO−independent regulatory site has been identified on soluble guanylyl cyclase(Becker EM,Alonso−Alija C,Apeler H,Gerzer R,Minuth T,Pleiss U,Schmidt P,Schramm M,Schroder H,Schroder W,Steinke W,Straub A,Stasch JP.「NO−independent regulatory site of direct sGC stimulators like YC−1 and BAY 41−2272」BMC Pharmacol.2001(1)):13)。
NOに無関係に可溶性グアニリルシクラーゼを活性化する種々の化合物が報告されている(Behrens S.「Drugs that activate specific nitric oxide sensitive guanylyl cyclase isoforms independent of nitric oxide release」Current Medicinal Chemistry 2003 10:291−301;Hobbs AJ.「Soluble guanylyl cyclase:an old therapeutic target revisited」Br J Pharmacol.2002 136(5):637−40;Stasch JP,Becker EM,Alonso−Alija C,Apeler H,Dembowsky K,Feurer A,Gerzer R,Minuth T,Perzborn E,Pleiss U,Schroder H,Schroder W,Stahl E,Steinke W,Straub A,Schramm M.「NO−independent regulatory site on soluble guanylate cyclase」Nature.2001 8:410(6825):212−5);NO−independent regulatory site on soluble guanylate cyclase」Natue 2001 8:410(6825):212−5;「NO−independent regulatory site of direct sGC stimulators like YC−1 and BAY 41−2272」BMC Pharmacol.2001 1(1):13;Stasch JP,Schmidt P,Alonso−Alija C,Apeler H,Dembowsky K,Haerter M,Heil M,Minuth T,Perzborn E,Pleiss U,Schramm M,Schroder W,Schroder H,Stahl E,Steinke W,Wunder F.「NO− and haem−independent activation of soluble guanylyl cyclase:molecular basis and cardiovascular implications of a new pharmacological principle」Br J Pharmacol.2002 136(5):773−83;Straub A,Stasch JP,Alonso−Alija C,Benet−Buchholz J,Ducke B,Feurer A,Fuestner C,「NO−independent stimulators of soluble guanylate cyclase」Bioorg Med Chem Lett.2001 11(6):781−4)。
可溶性グアニリルシクラーゼのNO−非依存性アクチベータの非制限的例としては、一酸化炭素(CO)、ポルフィリン類および金属ポルフィリン類(例えば、プロトポルフィリンIX)、YC−1およびBAYファミリーの化合物類(例えばBAY41−2272、BAY41−8543、BAU58−2667)が挙げられる。
例えば一酸化炭素(CO)は、可溶性グアニリルシクラーゼのNO−非依存性アクチベータである(Schultz GおよびKoesling D.「Sensitizing soluble guanylyl cyclase to become a highly CO−sensitive enzyme」EMBO J 1996 15:6863−6868)。COが可溶性グアニリルシクラーゼを活性化する能力の比率は、NOより有意に小さいが、YC−1のような化合物による増強によってNO−レベルまで高めることができる。本発明の一実施形態において、COは単独でも、YC−1のような増強剤と組み合わせても、間接的にKCaチャネルを活性化する。多量では毒性があるが、少量のCO(すなわち250ppmのCOに1時間曝露)は血管および炎症疾患における治療的使用が提起されている(Otterbein LE,Zuckerbraun BS,Haga M,Liu F,Song R,Usheva A,Stachulak C,Bodyak N,Smith RN,Csizmadia E,Tyagi S,Akamatsu Y,Flavell RJ,Billiar TR,Tzeng E,Bach FH,Choi AM,Soares MP.「Carbon monoxide suppresses arteriosclerotic lesions associated with chronic graft rejection and with balloon injury」Nat.Med.2003 9(2):183−90;Otterbein LE,Bach FH,Alam J,Soares M,Tao Lu H,Wysk M,Davis RJ,Flavell RA,Choi AM.「Carbon monoxide has anti−inflammatory effects involving the mitogen−activated protein kinase pathway」Nat.Med.2000 6(4):422−8)。
ポルフィリンおよび金属ポルフィリン、例えばプロトポルフィリンIX、はsCGのNO−非依存性アクチベータであることが公知である(Ignarro LJ.「Regulation of cytosolic guanylyl cyclase by porphyrins and metalloporphyrins」Adv Pharmacol.1994 26:35−65;Ignarro LJ,Wood KSおよびWolin MS.「Activation of purified soluble guanylate cyclase by protoporphyrin IX」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1982 79:2870−2873;Ignarro LJ,Wood KSおよびWolin MS.「Regulation of purified soluble guanylyl cyclase by porphyrins and metalloporphyrins:a unifying concept」Adv Cyclic Nucleotide Protein Phosphorylation Res 1984 17:267−274)。
プロトポルフィリンIX(すなわちKammererポルフィリン、オオポルフィリン(Ooporphyrin))は可溶性グアニリルシクラーゼ(Wolin MS.ら,J.Biol.Chem.1982 257:13312)のNO−非依存性アクチベータおよび、より低い程度ではあるが、ヘマトポルフィリンIXのNO−非依存性アクチベータである。
Figure 2007505142
YC−1[[3−(5’−ヒドロキシメチル−2’フリル)−1−ベンジルインダゾール]は、sCGに直接結合することが示された合成ベンジルインダゾール化合物である(Denninger JW,Schelvis JP,Brandish PE,Zhao Y,Babcok GT,Marletta MA.「Interaction of soluble guanylate cyclase with YC−1:kinetic and resonance Raman studies」Biochemistry 2000 39:4191−4198)。
Figure 2007505142
YC−1はsCGに直接結合することが公知であるが、正確な結合部位は、種々の報告において課題となっている(Denninger JW,Schelvis JP,Brandish PE,Zhao Y,Babcok GT,Marletta MA.「Interaction of soluble guanylate cyclase with YC−1:Kinetic and resonance Raman studies」Biochemistry 2000 39:4191−4198;Friebe A,Koesling D.「Mechanism of YC−1−induced activation of soluble guanylyl cyclase」Mol Pharmacol.1998 53(1):123−7)。YC−1の存在下では、COは可溶性グアニリルシクラーゼの活性を100倍より大きく、NOによるsCGの活性化に匹敵する程、増加させる(Friebe A,Schltz G,koesling D.「Sensitizing soluble guanylylcyclase to become a highly CO−sensitive enzyme」EMBOJ 1996 15:6863−6868)。YC−1の存在下におけるプロトプロフィリンIXの効果増強も明らかにされている(Friebe A,Koesling D.「Mechanism of YC−1−induced activation of soluble guanylyl cyclase」Mol Pharmacol.1998 53(1):123−7)。YC−1は解離速度の減少によって、これらアクチベータのヘムリガンドに対する親和性を高めると考えられている(Russwurm M,Mergia E,Mullershausen F,Koesling D.「Inhibition of deactivation of NO−sensitive guanylyl cyclase accounts for the sensitizng effect of YC−1」J Biol Chem.2002 277(28):24883−8)。
最近、一酸化窒素に依存せずに可溶性グアニリルシクラーゼを活性化する新しいNO−非依存性化合物群が発見された;それはYC−関連性化合物BAY41−2272およびBAY41−8543、および化学的に関連のないBAY58−266などである(Behrends S.「Drugs that activate specific nitric oxide sensitive guanylyl cyclase isoforms independent of nitric oxide release」Current Medicinal Chemistry 2003 10:291−301;Stasch JP,Schmidt P,Alonso−Alija C,Apeler H,Dembowsky K,Haerter M,Heil M,Minuth T,Perzborn E,Pleiss U,Schramm M,Schroder W,Schroder H,Stahl E,Steinke W,Wunder F.「NO− and haem−independent activation of soluble guanylyl cyclase:molecular basis and cardiovascular implications of a new pharmacological principle」Br J Pharmacol.2002 136(5):773−83;Nakane M.「Soluble guanylyl cyclase:physiological role as an NO receptor and the potential molecular target for therapeutic application」Clin Chem Lab Med.2003(7):865−70)。
BAY41−2272 [3−(4−アミノ−5−シクロプロフィルピリミジン−2−イル)−1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン](ピラゾロピリジン)は、可溶性グアニレートシクラーゼ(sGC)の新規の直接的なアクチベータであり、構造的にYC−1に類似しているがより特異的でより有効である。(Stasch JP,Becker EM,Alonso−Alija C,Apeler H,Dembowsky K,Feurer A,Gerzer R,Minuth T,Perzborn E,Pleiss U,Schroder H,Schroder W,Stahl E,Steinke W,Straub A,Schramm M.「NO−independent regulatory site on soluble guanylate cyclase」Nature.2001 410(6825):212−5)。
Figure 2007505142
YC−1とは異なり、BAY41−2272は高度に生体適合性であり、経口投与できる。YC−1とは異なり、BAY41−2272にはホスホジエステラーゼに対する影響がない(Kogin M,Stasch JP,Behrends S.「BAY41−2272 activates two isoforms of nitric oxide−sensitive guanylyl cyclase」Biochem Biophys Res Commun.2002 292(4):1057−62)。BAY41−2272は抗高血圧薬として有望であると考えられる。BAY41−2272は***不全の処置に有効であることが示唆されている(Kalsi JS,Rees RW,Hobbs AJ,Royle M,Kell PD、Ralph DJ,Moncada S,Cellek S「BAY41−2272,a novel nitric oxide independent soluble guanylate cyclase activitor,relaxes human and rabbit corpus cavernosum in vitro」J Urol.2003 169(2):761−6;Cellek S.「The Rho−kinaze inhibitor Y−27632 and the soluble guanylyl cyclase activator BAY41−2272 relax rabbit vaginal wall and clitoral corpus cavernosum」Br J Pharmacol.2003 138(2):287−90)。
本発明の一実施形態において、BAY41−2272はKCaチャネルを間接的に活性化する。本発明のさらに別の実施形態では、BAY41−2272は他のKCaチャネルオープナー(例えば直接的アゴニストまたは間接的アクチベータを含む)と組み合わせて用い、KCaチャネルを活性化する。
BAY41−8543(2−[1−[2−フルオロフェニル)メチル]−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]−5(4−モルホリノ)−4,6−ピリミジンジアミンとしても知られている)はBAY41−2272のアナログであり、NO−非依存性様態で可溶性グアニリルシクラーゼを直接刺激する(Stasch JP,Dembowsky K,Perzborn E,Stahl E,Schramm M.「Cardiovascular actions of a novel NO−independent guanylyl cyclase stimulator,BAY41−8543:in vivo studies」Br J Pharmacol.2002 135(2):344−55)。BAY41−2272と同様に、そしてYC−1とは異なり、BAY41−8543は高い生体適合性を有し、ホスホジエステラーゼに対する阻害作用をもたない。BAY41−2272と同様に,BAY41−8543は心臓血管病の処置に有効であると考えられる。
Figure 2007505142
BAY58−2667(4−[((4−カルボキシルブチル)[2−[(4−フェネチルベンゾール)オキシ]フェネチル]アミノ)メチル安息香酸としても公知)もまた、可溶性グアニリルシクラーゼの直接的なアクチベータであるが、構造的にはYC−1とは関係ない(Stasch JP,Schmidt P,Alomso−Alija C,Apeler H,Dembowsky K,Haerter M,Heil M,Minuth T,Perzborn E,Pleiss U,Schramm M,Schroder W,Schroder H,Stahl E,Steinke W,Wunder F.「NO− and haem−independent activation of soluble guanylyl cyclase:molecular basis and cardiovascular implications of a new pharmacological principle」Br J Pharmacol.2002 136(5):773−83)。その他の公知の可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータ(NO、YC−1およびBAY41−2272)とは対照的に、BAY58−3667の作用メカニズムは、可溶性グアニリルシクラーゼ内の補欠ヘム分子族の存在に依存しない(Schmidt P,Schramm M.Schroder H,Stasch JP.「Mechanisms of nitric oxide independent activation of soluble guanylyl cyclase」Eur J Pharmacol.2003 468(3):167−74)。それはアンギナおよび高血圧の処置に有用であると考えられる。
Figure 2007505142
本発明の一実施形態において、KCaの間接的アクチベータは可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータである。本発明の特定の実施形態において、KCaの間接的アクチベータは一酸化窒素である。また別の実施形態において、KCaの間接的アクチベータはグアニリルシクラーゼ活性化タンパク質である。
本発明のその他の実施形態において、KCaの間接的アクチベータは、YC−1以外の、NO−非依存性、可溶性グアニリルシクラーゼアクチベータである。本発明の特定の実施形態において、可溶性グアニリルシクラーゼのNO−非依存性アクチベータは、COである。本発明のまた別の実施形態において、可溶性グアニリルシクラーゼのNO−非依存性アクチベータは、BAY41−8543である。本発明のまた別の実施形態において、可溶性グアニリルシクラーゼのNO−非依存性アクチベータは、BAY41−2272である。
本発明によると、NO−非依存性アクチベータは、単独で使用することができるか、または組み合わせて使用することができる(例えばYC−1を用いてCOの効果を増強することができる)。本発明のその他の実施形態によると、NO−非依存性アクチベータを一酸化窒素および一酸化窒素ドナーと組み合わせて使用し、可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータとしてNO効果を増強し、それによってKCaチャネルを活性化することができる。
Caチャネルを直接(例えば直接的リン酸化によって)または間接的に(例えばそれ自体KCa活性を調整するまた別の調節タンパク質のリン酸化によって)活性化する、環状GMPまたは環状GMP依存性プロテインキナーゼの全ての内因性種のアクチベータもまた、含まれる(Robertson,BEら,「cGMP dependent protein kinase activates Ca−activated K Channels in cerebral artery smooth muscle cells」Am J Physiol 1993 256(Cell physio.34)C299−2303);Fukao M.ら,「Cyclic cGMP−dependent protein kinase activates cloned BKCa channels expressed in mammalian cells by direct phosphorylation at serine 2072」J Biol Chem.1999 274(16)10927−10935)。PKGアクチベータの有用な例としては、非制限的に、オクトブロム環状GMP(8Br−cGMP)およびジブチリル環状GMPが挙げられる。cGKI、cGKIIまたは、cGMP依存性プロテインキナーゼのその他のアイソフォームのアクチベータが含まれる(例えば、Smolenski,A.ら[1998])。
本発明の一実施形態において、KCaの間接的アクチベータはcGMPのアクチベータである。また別の実施形態において、KCaの間接的アクチベータはcGMP依存性プロテインキナーゼのアクチベータである。ある特定の実施形態において、KCaの間接的アクチベータはPKGのアクチベータである。また別の実施形態において、KCaの間接的アクチベータはcGKのアクチベータである。
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、cGMPをGMPに転化する酵素類である。ホスホジエステラーゼインヒビターは、cGMPの使用可能の量を増やし、それによってKCaチャネルを間接的に活性化することができる。PDE5、PDE6およびPDE9は、cGMPに特異的であることが知られている。シルデナフィル(Viagra)は特異的PDE5インヒビターである(Turko IV,Ballard SA,Francis SH,Corbin JD.「Inhibition of cyclic GMP−binding cyclic GMP−specific phosphodiesterase(Type5)by sildenafil and related compounds」Mol Pharmacol.1999 56(1):124−30)。PDE5特異的インヒビターのその他の多くの例が知られている(Corbin JD and Francis SH.「Pharmacology of phosphodiesterase−5 inhibitors」Int.J.Clin.Pract.2002 56:453;Rotella DP.「Phosphodiesterase5 inhibitors:current status and potential applications」Nat.Rev.Frug Discov.2002 1:674;Gibson,A.「Phosphodiesterase 5 inhibitors and nitrergic transmission−from zaprinast to sildenafil」Eur.J.Pharmacol.2001 411:1)。非制限的例としては、タダラフィル(tadalafil)(すなわち、CialisTM、バルデナフィル(vardenafil)(すなわち、LevitraTM、MY5445、ザプリナスト(zaprinast)、クアジノン(quazinone)、バルデナフィル(vardenafil)およびその他の多くのもの)が挙げられる。
Figure 2007505142
本発明の特殊の実施形態において、KCaチャネルの間接的活性剤は、ホスホジエステラーゼインヒビターである。
血管拡張剤ブラジキニン(Arg−Pro−Pro−Phe−Ser−Pro−Phe−Arg)、またはポリペプチドブラジキニンアナログ、例えば受容体介在性透過剤(RMP)−7またはA7(例:Kozarichら,米国特許第5,268,164号およびPCT出願番号第WO92/18529号)も有用なKCaアクチベータのなかに含まれる。ブラジキニンのその他の有用なアナログには、ブラジキニンと同じ特性を示すが、ペプチドのいずれかの末端のアミノ酸またはペプチド伸長が変化している関連ペプチド構造が含まれる。例えばこのようなブラジキニンアナログには[Phe(CHNH)Arg]−ブラジキニン、N−アセチル[Phe(CHNH)Arg]ブラジキニンおよびdesArg9−ブラジキニンなどがある。
有用なKCaチャネルアクチベータのなかには、KCaチャネルアクチベータとしての活性を有する薬学的に受容可能な分子複合体または塩の型などがある。薬学的に受容可能な塩の例としては、硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩などを含むアニオン類がある。薬学的に受容可能な塩のその他の実施形態は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのようなカチオンを含む。有用なカリウムチャネルアゴニストのその他の実施形態は塩酸塩である。
本発明の一実施形態において、KCaの直接的アゴニストを、KCaの間接的アゴニストと組み合わせて用いるか、またはKCaの間接的アゴニストと交互に用いて、治療または診断薬を血液脳関門を通過して選択的に送達する。
(KATPアゴニストおよびアクチベータ)
ATPチャネルの薬理学的モジュレータは周知であり、治療的に大きな関心を集めている(Edwards G and Weston AH「The pharmacology of ATP−sensitive potassium channels」Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.1993 33:597−637;)。スルホニル尿素(すなわち、グリベンクラミドおよびトルブタミド)およびイミダゾリンなどのKATPチャネル遮断薬は、インスリン分泌を刺激して非インスリン依存性糖尿病を効果的に治療する。KATPチャネル遮断薬は血管平滑筋の収縮を起こすためにも使用できる。KATPチャネルオープナー、特に硫酸ミノキシジルのような直接的アゴニストが、アンギナおよび高血圧を治療するために使われている(Longman SD,Hamilton TC.「Potassium channel activator drugs:mechanism of action,pharmacological properties,and therapeutic potential」Med Res Rev.1992 12(2):73−148)。KATPチャネルの活性化は、虚血性プレコディショニングに関係があると考えられ、KATPアゴニストの心臓保護薬としての(すなわち高リスク患者における急性心筋梗塞直後の介入処置の一部としての)役割を示唆する(Markham A,Plosker GL,Goa KL,「Nicorandil.An updated review of its use in iscemic heart disease with emphasis on its cardioprotective effects」Drugs.2000 60(4):955−74)。KATPオープナーの心臓保護効果は、血管拡張効果および心臓活動抑制効果に依存しない(Grover GJ「Pharmacology of ATP−sensitive potassium channel(KATP)openers in models of myocardial iscemia and reperfusion」Can J Physiol Pharmacol.1997 Apr;75(4):309−15)。KATPオープナーについてはその他の潜在的治療的用途が多数確認されている。
ATPチャネルアゴニストは、化学的に異質な群の化合物であり、これらとしては、ベンゾピラン類(例:クロマカリム)、シアノグアニジン類(例:ピナシジル)、チオホルムアミド類(例:アプリカリム)、チアジアジン類(例:ジアゾキシド)、ピリジルニトレート類(ニコランジル)、およびピリミジンスルフェート類(例:硫酸ミノキシジル)が挙げられる(Mannhold,R.「KATP channels opners:Structure−activity relationships and therapeutic potential.」Med Res Rev.2004 Mar;24(2):213−66;Brayden,J.E.「Functional roles of KATP channels in vascular smooth muscle」Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.2002 29,312−316;米国特許第6,624,186号,Teuberら,表題「Ion channel modulating agents comprising novel benzimidazolone derivatives;米国特許第6,649,609号,Teuberら,表題「Benzimidazole derivatives and pharmaceutical compositions comprising these compounds」;米国特許第6,525,043号,Jensenら,表題「Use of ion channel modulating agents」)。
第二世代KATPアゴニストは、広範囲の化学群において、例えばシクロブタンジオン(例:WAY−1516)、ジヒドロピリジン(DHP)関連構造(例:ZM−244085)、および第3級カルビノール(例:ZD−6169)のような全く新しい化学型であると確認されている。特定の化合物に組織選択性を与える多くの第二世代アゴニストが開発されている。
ATPアゴニストの包括的研究および既知の構造−機能関係(SAR)の分析は、Mannhold,R.「KATP channels opners:structure activity relationships and therapeutic potential」Medicinal Research Reviews 2004 24(2):213−266に見いだされる。これは本明細書中に参考として援用される。その他のKATPチャネルアクチベータは、Bristolら,「Annual Report in Medicinal Chemistry」Vol29,Chap.8,pp73−82,Academic Press(1991)に記載されている。
ATPアゴニストはKATPチャネルに直接結合することによってATP−感受性Kチャネル(KATPチャネル)を活性化する(Ashcroft FM,Gribble FM.「New windows on the mechanism of action of K(ATP)channels opners」Trends Pharmacol Sci.2000 21(11):439−45)。より詳細に述べれば、スルホニル尿素受容体(SURs)(調節チャネルサブユニット)は、結合部位であることが示された(Schwanstecher M,Sieverding C,Dorschner H,Gross I,Aguilar−Bryan L,Schwanstecher C,Bryan J「Potassium channel opners require ATP to bind to and act through sulfonylurea receptors」EMBO J.1998 17(19):5525−35;M.Dabrowski,F.M.Ashcroft,R.Ashfield,P.Lebrum,B.Pirotte,J.Egebjerg,J.Bondo Hansen,and P.Wahl「The novel diazoxide analog 3−isopropylamino−7−methoxy−4H−1,2,4−benzothiadiazin 1,1−dioxide Is a Selective Kir6.2/SUR1 Channel Opener」Diabetes 2002 51(6):1896−1906)。KATPアゴニストのための結合部位は、SURのCOOH−末端経膜ドメイン複合部位に局所化された。Hambrock,A,Preisig−M ller,R,Russ,U,Piehl,A,Hanley,P,Ray,J,Daut,J,Quast U,Derst U,Derst C.Am J Physiol Cell Physiol 2002 283:C587−598;Uhde I,Toman A,Gross I,Schwanstecher C,Schwanstecher M,「Identification of the potassium channel opner site on sulfonylurea receptors」J Biol Chem.1999 274(40):28079−82;Bray,K.およびQuast U.「A specific binding site for K+ channel opners in rat aorta」Journal of Biological Chemistry 1992,267:11689−11692)。結合阻止研究は、KATPチャネルが硫酸ミノキシジルのための1結合部位ではなく2結合部位を有することを示唆している。
ATPアゴニストの異なるサブクラスのなかには組織特異的作用が存在する。(Yokoshiki H,Sunagawa M,Seki TおよびSperelakis N「ATP−sensitive K channels in pancreatic,cardiac,and vascular smooth muscle cells)Am J Physiol Cell Physiol 274:25−37)。この組織特異性は、SUR調節チャネルサブユニットの組織特異的形態の結果であると考えられる。(Babenko A,Gonzalez G,Rryan J,「Pharmaco−topology of Sulfonylurea Receptors」J Biol Chem.2000 275(2)717−720)。
本発明に適切に使用できる作用物質は、KATPの直接的アゴニストおよび間接的アクチベータの両方を含む。KATPの直接的アゴニストの非制限的例としては、ミノキシジル、硫酸ミノキシジル、ピナシジル、クロマカリムおよびジアゾキシドが挙げられる。KATPチャネルの間接的アクチベータの非制限的例としては、フォルスコリンのようなアデニレートシクラーゼのアクチベータ類が挙げられる。
ATPチャネルの直接的アゴニストは、KATPチャネルのスルホニル尿素受容体(SUR)サブユニットに結合し、それを介して作用する(Hambrock A,Loffler−Walz C,Kloor D,Delabar U,Horio Y,Kurachi Y,Quast U.「ATP−sensitive K+ channel modulator binding to sulfonylurea receptors SUR2A and SUR2B:opposite effect of MgADP」Mol Pharmacol.1999 55(5):832−40.Schwanstecher,M,Sieberding,C.,Dorschner,H.,Gross,I.,Aguilar−Bryan,L.,Schwanstecher,C,およびBryan,J.,「Potassium channel openers require ATP to bind to and act through the sulfonylurea receptors」The EMBO Journal 1998、17:5529−5535)。SURはATP−結合カセットスーパーファミリーのメンバーであり、KATPアゴニストによる調節に重要な役割を演ずると考えられる2つのヌクレオチド結合折りたたみ(nucleotide binding fold(NBF))によって特徴づけられる。(Yokosiki H,Sunagawa M,Seki T,Sperelakis N.「ATP−sensitive K+channels in pancreatic,cardiac,and vascular smooth muscle cells」Am J Physiol.1998 274(1 pt 1):C25−37)。特に、SURのC−末端はKATPアゴニストによる結合親和性に影響を与えると考えられる(Schwanstecher,M,,Sieverding,C.,Dorschner,H.,Gross,I.,Aguilar−Bryan,L.,Schwanstecher C.,and Bryan,J.「Potassium channel openers require ATP to bind to and act through the sulfonylurea receptors」The EMBO Journal 1998、17:5529−5535)。NBF領域の突然変異はKATPアゴニスト活性化を排除することが示された。拮抗結合実験は、硫酸ミノキシジルがKATPチャネルの2つの潜在的結合部位を有するという点でKATPアゴニスト類のなかで特異であることを示唆している(Schwanstecher,M,,Sieberding,C.,Dorschner,H.,Gross,I.,Aguilar−Bryan,L.,Schwanster C,and Bryan,J.,「Potassium channel openers require ATP to bind to and act through the sulfonylurea receptors」The EMBO Journal 1998、17:5529−5535)。多くのKATPアゴニストの有効性は、心臓SURであるSUR2AよりもSUR2B(血管平滑筋細胞SUR)の方が高いことが示された(Hambrock A,Loffler−Walz C,Kloor D,Delabar U,Horio Y,Kurachi Y,Quast U.「ATP−sensitive K+channel modulator binding to sulfonylurea receptors SUR2A and SUR2B:opposite effect of MgADP」Mol Pharmacol.1999 55(5):832−40)。
(ベンゾピラン誘導体類)
ベンゾピラン誘導体は本発明に適切に使用できるATP−感受性K+チャネルオープナーの主要群の一つである。クロマカリム[(3S−trans)−3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−(2−オキソ−1−ピロリジニル)−2H−1−ベンゾピラン−6カルボニトリル]はこの群の周知のメンバーである。本発明の好ましい実施形態において、KATPアゴニストはクロマカリム(±)−クロマカリム、(+)クロマカリム、(−)クロマカリムである。ベンゾピランの誘導体は一般に、4’ベンゾピラン環置換基、3’置換基、2’置換基、芳香族置換基およびベンゾピラン環変形に分類される。各構造変化は、これに伴う有効性および特異性を含む諸特性の変化をもたらす。これらの関係は当業者にはよく理解されており、Mannhold,R.「KATP channel opners:structure activity relationships and therapeutic potential」Medicinal Research Reviews 2004 24(2):213−266に詳細に記載されている。
一般に、ベンゾピラン誘導体である大部分のKATPアゴニストは4’ベンゾピラン環置換基である。それらには非架橋環状置換基(例えばレブクロマカリム、セリカリム、ビムカリム、エマカリム、U96501およびRO31−6930)、架橋環状置換基(例えばSDZ PCO400)および非環状置換基(例えばKC−399、KC515)などがある。その他の公知のアゴニスト類は、3’位置(例えばBRL49381)、2’位置(例えばJTV506)の修飾によって、並びに芳香族置換基(例えばNIP−121、リルマカリム)によって生成する。本発明のKATPアゴニストは必要に応じて、ピラン部分(例えばYM934,UR−8225、KOCN7)または芳香族環(例えばRMJ29009)に置換基を有するベンゾピランである。クロマカリムアナログである化合物15もこのカテゴリーに含まれる(Maruyama Mた,FASEB J 1989;3:A897)。
本発明のKATPアゴニストとして適切なベンゾピラン誘導体の一般式:
Figure 2007505142
ATPアゴニストの非制限的例と考えられるベンゾピラン誘導体には次のものがある:
Figure 2007505142
Figure 2007505142
第二世代ベンゾピラン誘導体が開発され、より組織特異的なKATPアゴニストが得られた。気道選択的KATPアゴニストと考えられるベンゾピランまたは密接に関連するジアルキルナフタレオン類には、KC−128、BRL 55834、SDZ−217−740およびKCO912があり、以下にこの群のその他の代表的気道選択的化合物と共に示す。
Figure 2007505142
その他の組織特異的ベンゾピラン誘導体には、失禁を処置するための以下の構造の膀胱選択的KATPアゴニストが含まれる:
Figure 2007505142
心臓選択性を高めるために、BMS0180448のような、ベンゾピランとシアノグアニジンとのハイブリッド分子が開発された。全身投与された心臓選択的KATPアゴニストは、高い心臓保護、抗虚血特性を有し、血液動態効果は小さかった。種々の4−(N−アリール)−置換ベンゾピランが開発され、そのなかでBMS191095が最も高い抗虚血効果および選択性を示した。
Figure 2007505142
(シアノグアニジン類)
ピナシジル [(±)N−シアノ−N’−4−ピリジニル−N’’(1,2,2−トリメチロプロピル)グアニジン一水和物]は本発明に適切に使用できると考えられるKATPアゴニストのシアノグアニジン群の代表である。R−(−)エナンチオマー、P1075(N−シアノ−N’−[1,1−ジメチル−[2,2,3,3−H]プロピル]−N’’−(3−ピリジニル)グアニジン)のカリウムチャネルアゴニスト活性残基は、KATPアゴニストとして機能するピナシジル誘導体である(Bray KMおよびQuast U「A specific binding site for K+channel openers in rat aorta」J Biol Chem.1992 267(17):11689−11692)。その他の誘導体にはP1060およびAL0670がある。シアノグアニジンKATPアゴニストの非制限的例は次のものを含む。
Figure 2007505142
(チオホルムアミド類)
チオホルムアミド類およびそれらのアナログは本発明に有用なもう一つのKATPアゴニスト群を提供する。アプリクリム(Apriklim)のKATP開通特性は、その抗高血圧作用が確認された後に発見されたが、アプリクリムは基本型チオホルムアミドKATPアゴニストである。MCC−134[(1−[4−(H−イミダゾール−1−イル)ベンゾイル]−N−メチルシクロブタン−カルボチオアミド]は最近開発されたチオホルムアミド誘導体KATPアゴニストである(Sasaki N,Murata M,Guo Y,Jo S,Ohler A,Akao M,O’Rourke B,Xiao R,Bolli R,Marban E.「MCC−134,a Single Pharmacophore,Opens Surface ATP−Sensitive Potassium Channels,Blocks Mitochondrial ATP−Sensitive Potassium Channels,and Suppresses Preconditioning」Circulation.2003 107:1183)。その他の一般的誘導体は、ジアミド官能基、飽和複素環および(ヘテロ)環状芳香属基の修飾を含む。一般に、チオホルムアミドKATPアゴニストの構造−活性関係は次のように示される:
Figure 2007505142
チオホルムアミド誘導体KATPアゴニストの非制限的例は次のものを含む:
Figure 2007505142
(ベンゾ−ピリドチアジアジン類)
本発明に有用なKATPアゴニストはベンゾ−ピリドチアジアジン群からのものもある。例えば、ジアゾキシド[7−クロロ−3−メチル−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン1,1−オキシド]はベンゾチアジアジンである。本発明の一実施形態において、KATPアゴニストはジアゾキシドである。ジアゾキシドは、平滑筋SUR(SUR2B)および膵臓SUR(SUR1)に同様な親和性で結合する唯一のKATPアゴニストであって、それによって、両方ともに、血管平滑筋を弛緩させ、ほぼ同じ強さでインスリン分泌を阻止する、KATPアゴニストと考えられる(Antoine MH,Berkenboom G,Fang ZY,Fontaine J,Herschelz A,Lebrun P,「Mechanical and ionic responses of rat aorta to diazoxide」Eur J Pharmacol.1992 216:299−306)。ジアゾキシドのSUR結合部位も、ベンゾピランおよびシアノグアニジンの結合部位とは明らかに別である(Ashcroft FM,Gribble FM,「New windows on the mechanism of action of KATP channel openers:Trends Pharmacol Sci 2000 21:439−445)。有効性および選択性を改善するその他の誘導体が開発されている。SUR1に対して選択性を有する一ジアゾキシドアナログKATPアゴニストは、3−イソプロピルアミノ−7−メトキシ−4H−1,2,4−ベンゾチアジアジン1,1−ジオキシド(NNC 55−9216)である(Dabrowski M,Ashcroft FM.Ashfield R,Lebrun P,Pirotte B,Egebjerg J,Bondo Hansen J,Wahl P.「The novel diazoxide analog 3−isopropylamino−7−methoxy−4H−1,2,4−benzothiadiazine 1,1−dioxide is a selective Kir6.2/SUR1 channel opener」Diabetes 2002 51(6):1896−906)。別の新規のベンゾチアジアジンは、6,7−ジクロロ−3−イソプロピルアミノ−4H−1,2,4−ベンゾチアジアジン1,1−ジオキシド(BPDZ154)である(Cosfrove KE,Antoine MH,Lee AT,Barnes PD,de Tullio P,Clayton P,McCloy R,De Lonlay P,Nihoul−Fekete C,Robert JJ,Saudubray JM,Rahier J,Lindley KJ,Hussain K,Aynsley−Green A、Pirotte B,Lebrun P,Dunne MJ.「BPDZ 154 activates adenosine 5’−triphosphate−sensitive potassium channels:in vitro studies using rodent insulin−secreting cells and islets isolated from patients with hyperinsulinism」J Clin Endocrinol Metab.2002 87(11):4860−8)。ジアゾキシドおよびピナシジル型カリウムチャネルアゴニスト類のハイブリッドである新しいKATPアゴニストが開発されている。これらには、例えばBPDZ−44、BPDZ−79およびBPDZ−83などがある。KATPアゴニスト特性を有するベンゾ−およびピリドチアジアジン類の非制限的例には次のものがある:
Figure 2007505142
(ピリジルニトレート類)
ニコランジルのようなピリジルニトレート類も本発明のKATPアゴニストとして適切に使用できる。ニコランジルはここに記載されるKATPアゴニストのなかでも特異である。なぜならば、それはグアニリルシクラーゼの刺激に関与する、二重の作用メカニズムを有するからである(Holzman S.「Cyclic GMP as a possible mediator of coronary relaxation by nicorandil(SG−75)」Cardiovasc Pharmacol.1983 5:364−370)。しかし、ピリジルニトレートアナログKRN2391(N−シアノ−N’−(2−ニトロキシエチル)−3−ピリジンカルボキシミダミドモノメタンスルホネート)は、グアニリルシクラーゼ活性化特性がなく、純粋KATPアゴニスト化合物を与えるという点で、ニコランジルとは異なる。KATPアゴニストとして機能するもう一つのニコランジル誘導体は、KRN4884[5−アミノ−N−[2−(2−クロロフェニル)エチル]−N’−シアノ−3−ピリジンカルボキシアミジン]である(Shinbo A,Ono K,Iijima T.「Activation of cardiac ATP−sensitive K+channels by KRN4884,a novel K+channel opener」J.Pharmacol.Exp.Ther.1997 283(2):770−7)。
ATPアゴニストとしてのピリジルニトレートアナログの非制限的例には次のものがある:
Figure 2007505142
(ピリミジンスルフェート類)
ピリミジンスルフェート類およびそれらのアナログはKATPアゴニストとして本発明に適切に使用できると考えられる。本発明の好ましい実施形態において、KATPアゴニストはピリミジンスルフェートミノキシジル[2,4−ジアミノ−6−ピペリジノピラミジン−3−オキシド]またはミノキシジルスルフェートである。
(その他のKATPアゴニスト)
本発明に適切に使用できるその他のKATPアゴニストとしては、シアノグアニジンカリウムチャネルアゴニストから誘導されるジアミノシクロブテンジオン類が挙げられる。ジアミノシクロブテンジオンKATPアゴニストの非制限的例としては次のものが含まれる:
Figure 2007505142
ジヒドロピリジン類(DHP)は周知の抗高血圧剤の1群である。DHP関連構造はKATPアゴニストとして開発された。これらの作用物質は本発明に適切に使用できると考えられ、例えば次のものを含む:
Figure 2007505142
本発明に適切に使用できるKATPアゴニストのその他の非制限的例としては次のものが挙げられる:
・ER001533およびE4080(Terzic A,Tung R,Shen W,Yamada MおよびKurachi Y.「ER001533 See Cardiovascular Profile of E4080 and Its Analogue ER001533,Novel Potassium Channel Openers with Bradycardic Properties」Cardiovascular Drugs Reviews:2002 11(2):223−233)を参照されたい);
・A−312110[(9R)−9−(4−フルオロ−3−ヨードフェニル)−2,3,5,9−テトラヒドロ−4H−ピラノ[3,4−b]チエノ[2,3−e]ピリジン−8(7H)−オン−1,1−ジオキシド](Davis−Taber R,Molinari EJ,Altenbach RJ,Whiteaker KL,Shieh CC,Rotert G,Buckner SA,Malysz J,Milicic I,McDermott JS,Gintant GA,Coghlan MJ,Carroll WA,Scott VE,Gopalakrishnan M.「125I]A−312110,a novel high−affinity 1,4−dihydropyridine ATP−sensitive K+Channel opener:characterization and pharmacology of binding」Mol Pharmacol.2003 64(1):143−53);
・レボシメンダン(levosimendan)(Pataricza J,Krassoi I,Hohn J,Kun A,Papp JG.「Functional role of potassium channels in the vasodilating mechanism of levosimendan in porcine isolated coronary artery」Cardiovasc Drugs Ther.2003 17(2):115−21;Kopustinskiene DM,Pollesello P,Saris NE.「Levosimendan is a mitochondrial K(ATP)channel opener」Eur J Pharmacol 2001 428:311−4);
・RP49356(Raeburn DおよびBrown TJ.「RP49356 and cromakalim relax airway smooth muscle in vitro by opening a sulphonylurea−sensitive K+channel:a comparison with nifedipine」Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 1991 256(2)480−485);
・R 44866(Findlay,I.「Effects of pH upon the inhibition by sulphonylurea drugs of ATP−sensitive K+channels in cardiac muscle」Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 1992 262(1)71−79);
・LP−805 [8−tert−ブチル−6,7−ジヒドロピロール−[3,2−e]−5−メチルピラゾロ−[1,5a]−ピリミジン−3−カルボニトリル]はKATPアゴニストであるが(Kishii K,Morimoto T,Nakajima N,Yamazaki K,Tsujitani M,Takayanagi I.「Effects of LP−805,a novel vasorelaxant agent,a potassium channel opener,on rat thoracic aorta.」Gen Pharmacol.1992 23(3):347−53)、内皮由来弛緩因子に対する強力な放出作用を含む、二重作用メカニズムを有すると考えられる(Nakashima M,Akata T,Kuriyama H.「Effects on the rabbit coronary artery of LP−805,a new type of releaser of endothelium−derived relaxing factor and a K+channel opener」Circ Res.1992 71(4):859);
・SO121
・HOE−234または[(3S,4R)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−(2−オキソ−1−ピロリジニル)−6−フェニルスルホニルクロマン 1/2水和物](Terzic A,Jahangir A,Kurachi Y.「HOE−234,a second generation K+channel opener,antagonizes the ATP−dependent gating of cardiac ATP−sensitive K+channels」Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 1994 268(2):818−825)。
幾つかの典型的KATPアゴニストの構造を以下に示す:
Figure 2007505142
Figure 2007505142
さらに、幾つかの特許公報はKATPチャネルのその他のアゴニストをスクリーニングするための分析試験法を開示している。例えばWO98/33905を参照されたい。KATPチャネルのクローン化サブタイプに対して高速大量処理スクリーニングを使用するという方法論的進歩、および、構造をベースとする設計を利用するという方法論的進歩により新規のKATPアゴニストの連続的開発が可能になるはずである。(Mannhold R.「KATP channel openers:structure−activity relationships and therapeutic potential」Medicinal Research Reviews 2004 24(2):213−266)。
(KATPチャネルの間接的アクチベータ)
本発明の一実施形態において、カリウムチャネルアクチベータはKATPチャネルを間接的に活性化する化合物類である。例えば間接的アクチベータまたはアゴニストは、アデニリルシクラーゼ−cAMPシグナル伝達経路のような、KATPの活性化に関係する調節要素のアクチベータを含む。KATPチャネルの間接的アクチベータには、インビボでcAMPまたはcAMP依存性プロテインキナーゼの量を増やし、それによってアデニリルシクラーゼcAMPシグナル伝達経路を介してKATPチャネルを間接的に活性化する作用物質が含まれる。
アデニリルシクラーゼアクチベータは、インビボでcAMPの量を増やす作用物質の非制限的一例である。アデニリルシクラーゼはATPからのcAMPの形成を触媒する。アデニリルシクラーゼアクチベータおよびcAMP依存性プロテインキナーゼインヒビターは、本明細書に参考として援用される米国特許出願第0020198136号に見いだすことができる。好ましいアデニリルシクラーゼアクチベータは、フォルスコリン(7β−アセトキシ−8,13−エポキシ−1α,6β,9α−トリヒドロキシル化−14−エン−11−オン)(インド植物Coleus forskohliiから得られるジテルペン)である。
Figure 2007505142
コルホルシンダロペート(colforsin daropate)塩酸塩を含むフォルスコリン誘導体類も本発明に適切に使用できる(Laurenza A,Khandelwal Y,De Souza NJ,Rupp RH,Metzger H,Seamon KB.「Stimulation of adenylate cyclase by water−soluble analogues of forskolin」Mol Pharmacol.1987 32(1):133−9;Seamon KB,Daly JW,Metzger H,de Souza NJ,Reden J.「Structure−activity relationships for activation of adenylate cyclase by the diterpene forskolin and its derivative」J Med Chem.1983 26(3):436−9)。フォルスコリン誘導体は心臓疾患および呼吸器疾患の処置に使用されており、有用性が示唆されている(Kikura M,Morita K,Sato S.「Pharmacokinetics and a simulation model of colforsin daropate,new forskolin derivative inotropic vasodilator,in patients undergoing coronary artery bypass grafting」Pharmacol Res.2004 49(3):275−81;Bristow MR,Ginsburg R,Strosberg A,Montgomery W,Minobe W.「Pharmacology and inotropic potential of forskolin in the human heart」J Clin Invest.1984 74(1):212−23;Wajima Z,Yoshikawa T,Ogura A,Imanaga K,Shiga T,Inoue T,Ogawa R.「Intravenous colforsin daropate,a water−soluble forskolin derivative,prevents thiamylal−fentanyl−induced bronchoconstriction in humans」Crit Care Med.2002 30(4);820−6)。本発明によるアデニリルシクラーゼアクチベータのその他の非制限的例には、A02011−1(ピラゾール誘導体)(Yu SM,Cheng ZJ,Kuo SC.「Antiproliferative effects of A02011−1、an adenylyl cyclase activator,in cultured vascular smooth muscle cells of rat」Br J Pharmacol.1995 114(6):1227−35)、デキサメタゾンおよびPGE1がある。
ペプチドおよびタンパク質もアデニリルシクラーゼを適切に活性化する。これらのACApには例えばリトリン(litorin)(すなわち下垂体アデニレートシクラーゼ活性化フラグメント21−38;Pyr−Gln−Trp−Ala−Val−Gly−His−Phe−Met)などが含まれる。アデニリレートシクラーゼのその他の公知のアクチベータは、下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ポリペプチド−38(すなわちPACAP−38;His−Ser−Asp−Gly−Ile−Phe−Thr−Asp−Ser−Tyr−Ser−Arg−Tyr−Arg−Lys−Gln−Met−Ala−Val−Lys−Lys−Tyr−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−Lys−Arg−Tyr−Lys−Gln−Arg−Val−Lys−Asn−Lys−NH)である(Kinhult,J.ら,「Pituitary adenylate cyclase−activating peptide 38 a potent endogenously produced dilator of human airways」Eur.Respir.J.2000 15:243−247;Yada Tら,「Pituitary adenylate cyclase−activating polypeptide is an extraordinarily potent intra−pancreatic regulator of insulin secretion from isletbcells」J.Biol.Chem.1994 26:1290−1293(1994))。PACAP−27もアデニレートシクラーゼを刺激することが知られている。
本発明の一実施形態において、KATPの間接的アクチベータはアデニリルシクラーゼのアクチベータである。特定の一実施形態において、アデニリルシクラーゼのアクチベータはフォルスコリンまたはフォルスコリンアナログである。また別の実施形態において、アデニリルシクラーゼのアクチベータはアデニリルシクラーゼ活性化ペプチドまたはアデニリルシクラーゼ活性化タンパク質である。
その他の適切な間接的KATPアクチベータには、cAMPレベルを高めることができる作用物質が含まれる。プロスタサイクリン、プロスタグランジンE1、およびイソプロテレノールは全てcAMP形成を増加することが知られている。環状AMPの破壊をホスホジエステラーゼが阻害することにより、それは増加する(Levy JH.「The ideal agent for perioperative,hypertension」Acta Anaesth Scand 1993;37:20)。cAMPに特異的なホスホジエステラーゼとしてはPDE4、PDE7およびPDE8がある(Barnette MS.「Phosphodiesterase 4(PDE4)inhibitors in asthma and chronic obstructive pulmonary disease(COPD)」Progress in Drug Research,1999 Vol.53(E.Jucker,Ed.)。PDE4インヒビターは、慢性肺疾患(COPD)、気腫および気管支炎などの気道疾患の処置のために、対象にされた。ロリプラムはPDE4インヒビターの一例であり、その他多数が知られている(Huang Z,Ducharme Y,MacDonald D,Robichaud A,Curr.Opin.Chem.Biol.2001 5:432−38;Raboisson P,Lugnier C,Muller C,Reimund JM,Schultz D,Pinna G,Le Bec A,Basaran H,Desaubry L,Gaudiot F,Seloum M,Bourguignon JJ.「Design,synthesis and structure−activity relationships of a series of 9−substituted adenine derivatives as selective phosphodiesterase type−4 inhibitors」Eur J Med Chem 2003 38(2):199−214)。公知の選択的PDE4インヒビターの非制限的例には次のものがある:
Figure 2007505142
本発明の一実施形態において、KATPの間接的アクチベータはcAMPを増加する作用物質である。特定の実施形態において、cAMPを増加する作用物質は、プロスタサイクリン、プロスタグランジンEI、イソプロテレノールまたはホスホジエステラーゼインヒビターである。
ATPチャネルは、タンパク質cAMP依存性プロテインキナーゼ(すなわちプロテインキナーゼA)を活性化する作用物質によっても間接的に活性化される。cAMP依存性プロテインキナーゼアクチベータまたは増加剤の非制限的例は、本明細書中に参考として援用される米国特許出願第0020198136号に見いだされる。米国特許第5,432,172号(Specterら,表題「Biological applications of alkaloids derived from the tunicate Eudistoma sp.」)は、Eudistomaアルカロイド類および2種類の合成ピリドアクリジンが、cAMPアナログまたはcAMPを高める作用物質による慢性的処置によって得られる結果と同様の効果を有することを教示している。これらの化合物にはセゴリンA、セゴリンB、イソセゴリンA、ノロセゴリン、デブロモスヘルミラミン、エイラチン、4−メチルピリド[2,3,4−kl]アクリジン、ピリド[2,3,4−kl]アクリジン、1−アセチル−2,6−ジメチルピリド[2,3,4−kl]アクリジン、および誘導体類がある。
本発明の一実施形態において、KATPの間接的アクチベータは、タンパク質cAMP依存性プロテインキナーゼを活性化する作用物質である。特定の実施形態において、KATPの間接的アクチベータはプロテインキナーゼAを活性化する作用物質である。
(V.薬学的に受容可能な塩)
化合物が安定な無毒性酸性塩または無毒性塩基性塩を形成するのに十分塩基性または酸性である場合、その化合物を薬学的に受容可能な塩として投与することは適性である。薬学的に受容可能な塩の例は、生理学的に受容可能なアニオンを形成する酸で形成される有機酸付加塩、例えばマレイン酸塩、サリチル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、タンニン酸塩、パモ酸塩(palmoate)、アルギン酸塩、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、ガラクツロン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、グルタミン酸塩、ポリグルタミン酸塩、α−ケトグルタミン酸塩、およびα−グリセロリン酸塩である。適切な無機塩も形成され、クロリド、ブロミド、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、および炭酸塩などである。
薬学的に受容可能な塩は当業者には公知の標準的方法によって、例えばアミンのような十分塩基性の化合物を、生理学的に受容可能なアニオンを与える適切な塩と反応させることによって得られる。カルボン酸のアルカリ金属(例:ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例:カルシウム)塩もつくることができる。その他の塩基性付加塩は亜鉛、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムのようなカチオン、またはN,N−ジベンジルエチレンジアミン、アンモニウム、またはエチレンジアミンから成る有機カチオンで形成できる。
薬学的に受容可能な塩は酸付加塩および塩基付加塩の組合わせ、例えばタンニン酸亜鉛などでもよい。
薬学的に受容可能な塩の非制限的例の一つは、硫酸ミノキシジルであるが、その他の薬学的に受容可能な塩は硫酸塩以外のアニオン、例えばクロリド、炭酸塩、硝酸塩などを含む。
(VI.医薬組成物および投与法)
アゴニスト(単数または複数)および診断/治療/予防薬(単数または複数)の好ましい投与法は、非経口、静脈内、滑液包内、鞘内、動脈内、脊椎内、胸骨内、腹膜内、経皮、外科インプラント、内部外科ペイント、注入ポンプ、またはカテーテル経由である。一実施形態において、上記薬剤および担体はインプラントのような除放性組成物、ボーラス、微粒子、ミクロスフェア、ナノ粒子またはナノスフェアの形で投与される。医薬組成物の標準的情報については、Anselら,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Sixth Edition,Williams& Wilkins(1995)を参照されたい。
アゴニスト(単数または複数)および診断/治療/予防薬(単数または複数)は、例えば注入または注射によって静脈内または腹腔内に投与できる。上記物質の溶液を水、必要に応じて無毒性界面活性剤と混合した水で調製することができる。懸濁液もグリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびこれらの混合物および油で調製できる。通常の保存および使用条件下では、微生物の増殖を防ぐためにこれらの製剤は保存料を含む。
注射または注入に適した医薬投与型は、滅菌注射可能または注入可能溶液または分散液の即時調製のために適する、必要に応じてリポソームに封入された物質を含む滅菌水溶液または分散液または滅菌粉末などである。あらゆる場合に、最後の投与形態は、製造および保存条件下で無菌、液状そして安定でなければならない。液体担体または媒体は、例えば水、正常生理食塩水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、無毒性グリセリルエステル、およびこれらの適切な混合物を含んでなる溶媒または液体分散媒体であり得る。リポソームの形成によって、分散液の場合は必要な粒度の維持によって、または界面活性剤の使用によって適正な流動性が維持される。微生物作用の阻止は種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサルなどによって実現される。多くの場合に、砂糖、緩衝剤または塩化ナトリウムのような等張性物質を含むのが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどを上記組成物に使用することによってもたらされる。
滅菌注射溶液は、必要量の物質を上に列挙したその他の種々の成分類と共に適切な溶媒中に入れ、その後濾過滅菌するという方法で調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい製法は真空乾燥および凍結乾燥法である。これは、活性成分と、それまでに滅菌濾過した溶液中に存在する任意の付加的所望成分との粉末を与える。
注射用溶液は治療組成物の局所投与のために特に有益である。特に、筋肉注射を用いて、治療組成物を異常組織、すなわち癌増殖部位に直接送達することができる。
アゴニスト(単数または複数)および診断/治療/予防薬(単数または複数)の有効な投与量を確認するには、それらのインビトロ活性およびインビボ活性を動物モデルで比較する。マウスおよびその他の動物における有効投与量をヒトに外挿する方法は当業者にはよく知られている;例えば米国特許第4,938,949号を参照されたい。処置に使用するために必要な物質量は、選択した特定の塩によって変わるだけでなく、投与経路、処置すべき病気の性質および患者の年齢および状態によっても変わり、最終的に付き添いの医師または臨床医の判断にまかせられる。
しかし一般には、適量は約0.5〜約100mg/kg体重の範囲、例えば1日約10〜約75mg/kg体重、より好ましくは6〜90mg/kg/日の範囲、最も好ましくは15〜60mg/kg/日の範囲である。上記物質は単位投与型で投与するのが便利である;例えば単位投与型1つあたり活性成分5〜1000mg、より便利には10〜750mg、最も便利には5〜500mgである。
理想的には、上記物質は約0.5〜約75μM、より好ましくは約1〜50μM、最も好ましくは約2〜約30μMのピーク血漿濃度に達するように投与すべきである。これは例えば、任意に食塩液中の0.05〜5%物質溶液を静脈注射することによって、または約1〜100mgの物質を含むボーラスを経口投与することによって実現する。所望の血中レベルは、約0.01〜5.0mg/kg/hrを与える持続的注入にによって、または約0.4〜15mg/kgの上記物質を含む間欠的注入によって維持される。
上記物質は単回投与、または適当な間隔で分割投与、例えば1日2、3、4またはそれ以上に分割して投与するのが便利である。
本発明を下記の非制限的実施例によって説明する。
ミノキシジル硫酸、グリベンクラミド(Sigma Chemicals、St.Louis,MO);1,3−ジヒドロー1−[2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンズイミダゾール−2−オン(NS−1619);イベリオトキシン(IBTX)(RBI chemical、Natik、MA);膜電位アッセイキット(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)、および放射性トレーサ(NEN Co.,Boston,MA)、例えば[14C]a−アミノイソブチリック酸([14C]−AIB、57.6mCi/mmol,MW 103ダルトン)、[14C]カルボプラチン(25mCi/mmol,MW 371ダルトン)、[14C]デキストラン(2mCi/mmol、MW 70,000ダルトン)、[H]−グリベンクラミド(50mCi/mmol、MW、494ダルトン)、フォンウイルブランド(von Willebrand)因子(vWF、DAKO、CA)、Neuポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotech、CA)、神経膠原線維酸性タンパク質(GFAP、Chemicon、CA)、Her−2モノクローナル抗体(Zymed Labs、CA)、およびChemicon、Molecular Probes(OR)から入手した蛍光標識二次抗体を本研究に使用した。
(実施例1)
(インビトロでのBBB/BTB透過性)
全ての動物実験はInstitutional Animal Care and Usage CommitteeおよびNIHのガイドラインによって設定された方針にしたがって行われた。雌ウィスターラットを用いてラット同系腫瘍モデルを作成し、体重180〜200gの無胸腺ヌードラットでヒト腫瘍異種移植片モデルを作成し、BBB/BTB透過性研究に用いた。脳腫瘍血管の発達はヒトよりラットの方が速いが、この相違は研究結果または結論に影響しないはずである。なぜならばこの研究は、血管の発達の速さとは無関係に、血管モジュレータに対する血管の反応を分析するものだからである。インビトロでの腫瘍増殖のための腫瘍細胞の最適数およびインキュベーション時間を別個の実験で測定した。1.2%メチルセルロースを含むメジウム5μl中のラット神経膠腫(RG2)細胞(1×10)をウィスターラットの脳幹神経節に注射した。その一方でヌードラットには神経膠芽細胞腫(GBM)一次細胞(5×10)を注射した。位置はブレグマの側方5mm、脳幹神経節までの深さ4.5mmであった。腫瘍移植後7日目(RG2腫瘍のため)および3〜4週目(GBMのため)にラットを次に記載された透過性研究のために準備した(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.,およびBlack,K.L.Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels.J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851、2002;Ningarsj,N.S.,Rao,M.,およびBlack K.L.Calcium−dependent potassium channels as a target protein ir.the modulation of blood−brain humor barrier.Drug News and Perspectives,16:1−8,2003)。局所的透過性研究において、頸動脈内(i.c.)注入開始の5分後に、1mlリン酸緩衝食塩液(PBS)中100μCi/kgの[14C]AIB、[14C]デキストランまたは[14C]カルボプラチンを静脈内(i.v.)ボーラスとして15秒間以内に注射した。血管モジュレータの注入が腫瘍領域の脳血流(CBF)に影響するかどうかを確認するために、DP3光学(1mm直径)プローブを備えたレーザー−ドップラー(DRT4、Moore Instruments Ltd.、英国)を使用する脳レーザー−ドップラー−フローメトリーを、数匹のラット(n=3/群)で、血管モジュレータの15分間i.c.注入中に、以下の報告に記載のように行った:Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002;ならびにNingarsj,N.S.,Rao,M.,およびBlack K.L.Calcium−dependent potassium channels as a target protein ir. the modulation of blood−brain humor barrier.Drug News and Perspectives,16:1−8,2003。異常なCBF、血液ガスまたは血圧を示すラットはこの研究からは除外した。
(実施例2)
(Ki測定)
放射性トレーサーの血液−脳移動の初期速度である一側性移動定数、Ki(μl/g/分)、をOhnoらが記載したように計算した(Ohno,K.,Pettigrew,K.O.,およびRapsport,S.T.Lower limits of cerebrovascular permeability to nanoelectrolytes in the conscious rat.Am.J.Physiol.253:H299−H307,1978)。Kiを、腫瘍コア、腫瘍隣接脳組織、および反対側脳組織において放射性トレーサ、[14C]−AIB、[14C]−カルボプラチン、および[14C]デキストランで、以前に報告された定量的オートラジオグラフィー法(QAR)によって測定した(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002;Ningarsj,N.S.,Rao,M.,およびBlack K.L.Calcium−dependent potassium channels as a target protein ir.the modulation of blood−brain humor barrier.Drug News and Perspectives,16:1−8,2003)。以前の研究で(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002;Ningarsj,N.S.,Rao,M.,およびBlack K.L.Calcium−dependent potassium channels as a target protein ir.the modulation of blood−brain humor barrier.Drug News and Perspectives,16:1−8,2003;Black,K.L.,Cloughesy,T.,Huang,S.C.,Gobin,Y.P.,Zbou,Y.,Grous,J.,Nelson,G.,Faraberi,K.,Hob,C.K.,およびPhelps,M.Intracarotid infusion of RMP−7,a bradykionin analog and transport of gallium−68 alkylenediamine tetraacetic acid into human gliomas.J.Neurosorg.,86:603−609、1997;Hashizume,K.,およびBlack,K.L.Increased endothelial vesicular transport correlates with increased blood−tumor barrier permeability induced by bradykinin and leukotriene CA.J.Neuropathol.Exp.Neurol.61−725−735,2002;Sugita,M.,およびBlack,K.L.Cyclic GMP−specific phosphodiesterase inhibition and intracarotid bradykinin infusion enhances permeability into brain tumors.Cancer Res.58:914−923、1998)確立されたBKの最適用量(10μg/kg/分)およびMSの最適用量(30μg/kg/分、15分間、i.c.)をラット(n=6/群)におけるKi測定のために用いた。別のQAR研究においては種々の量のグリベングラミド(0〜10μg/kg/分)を用いて最適用量を確立した。それはRG2腫瘍担持ラットにおいてMS誘起性BTB透過性増加を最大に弱めた。KATPチャネルのグリベンクラミドによる阻止が、MS誘起性透過性増加を弱めるかどうかを研究するために、RG2腫瘍担持ラットにおいてMSとグリベンクラミド(5μg/kg/分)との同時注入による追加的実験を行った。さらに、GBMを担持するヌードラットにおいてMSのBTB透過性に与える効果(頭蓋内RG2腫瘍を有するラット(n=4/用量)で確立された最適用量および最適時間を用いた)を研究した。
(実施例3)
(用量−反応研究)
全身血圧を明らかに変化させることなくBTB透過性の選択的増加をおこす最適で安全な用量範囲を確立するために、種々の量(0〜60μg/kg/分)のMSを投与した。別の研究において、RG2腫瘍をもつラット(n=4/群)にエバンスブルー染料を静脈注射し、BTB透過性増加を半定量的に測定することができた。
(実施例4)
(時間的経過)
RG2腫瘍担持ラット(n=4/時間)において血管モジュレータ誘起性BTB透過性増加が一過性であるかまたは長時間持続するかを確認するために、別のQAR研究を行った。BK(10μg/kg/分)、30μg/kg/分のMSまたは(KCa)チャネルアクチベータNS−1619、を別々に15、30および60分間注入し、上記のようにKiを測定した。
(実施例5)
(KCaおよびKATPチャネルアゴニストの、BTB透過性に対する相乗効果)
RG2腫瘍担持ラット(n=4/群)においてMS誘起性BTB透過性増加が(KCa)チャネルインヒビター、イベリオトキシン(IBTX)とは無関係であるかどうかを調べる。さらに同時に投与されたKCaチャネルアゴニストおよびKATPチャネルアゴニストがBTB透過性に対して相乗効果をあらわすかどうかを調べるために、NS−1619およびMS(各30μg/kg/分)を15分間同時注入し、QARによってKiを測定した。
(実施例6)
(脳内皮細胞の単離)
ラット脳内皮細胞(RBEC)におけるKATPチャネルの発現および活性を研究するために、内皮細胞を生まれたばかりのラットの脳から既述の方法を用いて単離した(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002)。内皮細胞の均質性(>90〜95%)は内皮細胞マーカー、因子VIII/フォンウイルブランド因子(vWF)、で免疫染色することによって証明された。電位差計によるアッセイでは、RBEC細胞を単独で、およびRG2腫瘍細胞と同時培養で、ゼラチンを塗布した96ウェルプレートに播種し、単層を得た。
(実施例7)
(同時培養実験)
脳腫瘍細胞がRBECおよびヒト脳微小血管内皮細胞(HBMVEC)においてKATPチャネルの過剰発現を引き起こすかどうかを調べるために、RBECをRG2細胞と同時培養し、HBMVECをGMB細胞と同時培養した。6ウェル組織培養プレートのガラスカバースリップ上に同時培養物を増殖させるために適した条件を、標準化した。最初にRBECおよびHBMVECの約1×10細胞を、それぞれ、RG2およびGMBの1×10細胞と共に塗布し、70%のコンフルエンシーに達せしめた。RBECおよびHBMVEC単独の場合と、腫瘍細胞と同時培養した場合とで、RT−PCRおよびウェスタンブロット分析を行い、腫瘍細胞が内皮細胞のmRNAおよびタンパク質レベルでKATPチャネルの過剰発現を誘起するかどうかを研究した。それに加えて、同時培養物の免疫細胞化学分析をvWFチャネル抗体およびKATPチャネル抗体で行い、RT−PCRおよびウェスタンブロットデータを補足した。
(実施例8)
(ウェスタンブロット分析)
ウェスタンブロット法によるKATPチャネルの差のある発現を研究するために、正常脳組織および腫瘍組織、腫瘍細胞単独または同時培養物中の腫瘍細胞のタンパク質ホモジネートを、10容量の溶解緩衝液(1%SDS、1.0mMバナジン酸ナトリウム、10mMトリスpH7.4)中で急速均質化によって調製した。腫瘍細胞移植後3〜4週間、脳内神経膠腫を宿していたヌードラットから得た正常脳組織および腫瘍組織の抽出物を用いた。イムノブロット分析をRG2細胞およびGBM細胞で行った。対象のタンパク質/受容体のための対照タンパク質溶解物を種々の会社から購入した。サンプルを6〜12%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で分画化し、ポリビニリデン二フッ化物膜(Imobilon−P,Millipore、Bedford、MA)に移し、それぞれのアフィニティ精製抗体(最適希釈を確認した)で1時間検査した。一次抗体とインキュベートした後、膜を、ペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウス/ウサギ免疫グロブリン(IgG)と共に1時間インキュベートした。シグナルは質の高いケミルミネセンスキット(Amersham Pharmacia Biotech、NJ)で検出した。ウサギポリクローナル一次抗Kir6.2抗体を、ペプチド配列(EDP AEP RYR ARQ RRA RFV SKK)に対して生成した。抗β−アクチンモノクローナル抗体は、Santa Cruz Biotech(Santa Cruz、CA)から入手した。
(実施例9)
(免疫細胞化学(ICC))
ラットおよびヒトの脳、および腫瘍切片において、KATPチャネルは、脳にSUR2A/Bと共に存在することが示されているKir6.2サブユニットに対して生成する抗−KATPチャネル抗体と共局在していた(Kitazono,T.,Faraci,F.M.,Taguchi,H.,およびHeistad,D.D.Role of potassium channels in cerebral blood vessels.Stroke 26:1713−1723,1995;Melarned−Frank,M.,Terzic,A.,Carrasco,A.J.,Nevo.E.,Avivi,A.,およびLevy,A.P.Reciprocal regulation of expression of pre−forming KATP channel genes by hypoxia.Mol.Cell Biochemm,225:145−150,2001)。ICCおよび共焦LSM分析を使用して、正常および脳腫瘍の微小血管に、およびヒトおよびラット腫瘍組織に、KATPチャネルとKir6.2抗体との共局在および示差発現が見いだされた。KATPチャネルのICC研究では、HBMVEC細胞およびCOS細胞がそれぞれ陽性対照および陰性対照であった。全てのICC実験は、それぞれのブロッキングペプチドと共にあらかじめインキュベートした対照サンプル(入手できる限り)、または一次抗体を含まない対照サンプルのいずれかを含んでいた。脳内GBMを有する、無胸腺ヌードラットのKATPチャネルのICC分析を、最近の報告のように行った(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002;Ningarsj,N.S.,Rao,M.,およびBlack K.L.Calcium−dependent potassium channels as a target protein ir.the modulation of blood−brain humor barrier.Drug News and Perspectives,16:1−8,2003)。KATPチャネルが毛細血管内皮および腫瘍細胞に存在するかどうかを確認するために、脳腫瘍切片をポリクローナルKir6.2およびモノクローナル抗vWF一次抗体と共にインキュベートした。KATPチャネルとvWF抗体との共局在は、蛍光(FITC)と結合した抗ウサギIgGおよびローダミン(TRITC)と結合した抗マウスIgGで達成していた。内皮RG2およびGBM腫瘍細胞におけるKATPチャネルの発現を証明するために、RG2およびGBM細胞の単層を4%パラホルムアルデヒドで固定し、同様に処理し、抗Kir6.2一次抗体およびFITCと結合した抗ウサギIgGで免疫染色した。インビトロでの腫瘍細胞およびインビボでの腫瘍細胞が神経膠細胞由来のものであることを証明するために、RG2およびGBM細胞を抗ウサギポリクローナルGFAPおよびFITCと結合した抗ウサギIgGで免疫染色した。RG2担持ラットにおけるNeu(ヒトHer−2に匹敵)のi.c.投与後、ラット脳切片の免疫染色を抗ウサギNeuおよびTRITCと結合した二次的抗ウサギIgGで行った。対照的に、GBM腫瘍担持ラットにおけるHer−2 MAbのi.c.投与後、ラット脳切片の免疫染色をZeno免疫染色キット(Molecular Probes)を用いて検出した。
(実施例10)
(RT−PCR分析)
製造者の指示にしたがって、RNAを内皮(HBMVEC、RBEC)、および腫瘍(RG2、GBM)細胞および組織サンプルから分離し、TRIzol(ライフ・テクノロジーズ、CA)を用いて精製した。ランダムヘキサマーを使用するcDNAの第一鎖合成は、SperscriptIIを使用して、DNase 1−処理全RNAの2μgアリコートで行われた。その後4μl cDNAを、各プライマー0.12μmol/lを含む標準50μl PCR反応(適切な条件下)で増幅させた。RT−PCR生成物のアリコート(20μl)を1%アガロースゲル上で分析し、臭化エチジウムを用いて可視化した。示されるプライマーの位置はKATPチャネル(ヒトD50582)、およびHer−2(ヒト、X03363)のGene Bank Kir6.2サブユニットから得られるサブユニット配列情報に基づく。KATPチャネルのKir6.2サブユニットを増幅させるために次のプライマーを使用した:−(5’−GTCACCGGAGCCATGCTGTCCCGC−3’および5’−GGGGGCCCGAGAGACCATGGCTCA−3’)、およびβ−アクチン−(5’−AATCTGGCACCACACCTTCTAC−3’および5’−CTTCTCCTTAATGTCACGCACG−3’)。
(実施例11)
(共焦顕微鏡検査)
ATPチャネル、Her−2およびvWFの免疫反応性の可視化を既述のように行った(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002;Ningarsj,N.S.,Rao,M.,and Black K.L.Calcium−dependent potassium channels as a target protein ir.the modulation of blood−brain humor barrier.Drug News and Perspectives,16:1−8,2003)。つまり、アルゴン(Ar:488nm)およびクリプトン(Kr:568nm)レーザーを備えたLeica(Heidelberg、ドイツ)TCS SPレーザー走査共焦顕微鏡(倒立)を用いて共焦画像を捕らえた。培養ラットおよびヒト内皮細胞、脳腫瘍細胞および脳腫瘍担持ラットの脳切片に発現するKATPおよびNeu/Her−2の蛍光シグナルを488nmアルゴンレーザー光線を用いて可視化し、vWF上の蛍光シグナルは568nm−Krレーザー光線を用いて可視化した。flour−488またはflour−568の蛍光シグナルは、個々に緑および赤の偽色投影としてあらわれるかまたはオーバーレイ−投影として溶け込み、特異的亜細胞性構造内の2つの異なる抗原の共局在を可視化した。
(実施例12)
([H]−グリベンクラミド結合研究)
ラット脳内皮細胞および腫瘍細胞、およびヒト正常脳および腫瘍組織のKATPチャネルの密度を[H]−グリベンクラミド結合研究によって測定した。KATPチャネルのインビトロでの定量のために、単独のまたはRG2細胞と同時培養したRBEC、ラット脳、RG2腫瘍組織、単独のまたはGBMと同時培養したHBMVEC、および正常ヒト脳およびGBM組織を、グリベンクラミド(5μM)および[H]−グリベンクラミド(5nM)と共に、リン酸ナトリウム(Na−PB)緩衝液(10mM、pH7.4)中で1時間インキュベートした。アッセイはRogersらのアッセイを改良して使用した(Challinor−Rogers,J.L.,Kong,D.C.,Iskander,M.N.,およびMcPherson,G.A.Structure−activity relationship of [H]−glibeoclamide binding to membranes from rat cerebral cortex.J.Pharmacol.Exp.Ther.273:778−786、1995)。サンプルをNa−PBで3回洗い、細胞組織を氷冷Na−PBで溶解し、液体シンチレーション液と混合し、液体シンチレーションカウンターで計数した。[H]−グリベンクラミドの実際の結合は、ダプリケートで行われた3つの別々の実験における非特異的結合と特異的結合との間の差を測定することによって算出した
(実施例13)
(膜電位アッセイ)
HBMVECおよびGBM細胞の推定的KATPチャネルの機能的活性を、以前の報告のように、細胞膜を横切る電圧の変化を検出することによって測定した(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002)。膜電位アッセイキット(Molecular Devices、Sunnyvale,CA)は迅速、簡単、そして一定のミックス(混合)およびリード(読み)(mix−and−read)手順を与える。つまり、細胞の2〜5継代培養から得られるHBMVECおよびGBM細胞を増殖培地5mlに懸濁させた。別々の2実験において細胞密度を1×10細胞/ウェルに調節し、あらかじめポリL−リシンを塗布した96ウェルプレート(Corning,Inc.、Acton,MA)の滅菌した透明な底部に塗布し、24時間以内に単層を形成させた。単層細胞を膜電位アッセイキット試薬と共に30分間インキュベートし、直接FLEXstationによって読んだ。細胞と細胞外溶液との間を膜電位依存性様態で横切るアニオン性ケミオメトリック(chemiometric)染料が、細胞膜を通過する血管モジュレータ誘起性電圧変化のインジケータとして役立つ。HBMVECおよびGBM細胞膜を通過する検出可能の電圧変化を誘起する最適用量を決定するために、0〜50μMのKATPチャネルアゴニスト、MS、およびKATPチャネルアンタゴニスト、グリベンクラミド(100nM)を用いて、次のようなパラメーターに設定されたスペクトロフルオロメーターを使用して用量反応研究が行われた:励起(530nm)、発光(565nm)、および発光カット−オフ(550nm)波長。その他に、MSの最適用量(10μM)およびグリベンクラミドの最適用量(100nM)がHBMVECおよびGBM細胞のKATPチャネル活性に与える影響を測定した。
(実施例14)
(GFP−アデノウィルス(GFP−Adv)およびcrbB−2抗体の送達)
GFP−Adv構成物を、Smithらによる方法(Smith,G.M.,Berry,R.L.,Yang,J.,およびTanelian,D.Electrophysiological analysis of dorsal root ganglion neurons pre−and post−coexpression of green fluorescent protein and functional 5−HHT3 recepter.J.Neurophysiol.77:3115−3121、1997)に若干変更を加えることによって作製した。GFP遺伝子を最初にシャトルベクター、pAdTrack−CMV、にクローン化し、生成したプラスミドを、制限エンドヌクレアーゼPipe Iで消化することによって線状にし、その後アデノウィルス主鎖プラスミド、pAdEasy−1と共にE.Coli細胞に共形質転換した。組換えプラスミド類を293細胞にトランスフェクトした。組換えアデノウィルスの存在はRT−PCRによって証明された。GFP−Adv(1×10pfu/ml)を、移植GBMを有するラットにMSと共に、またはMSなしで、頸動脈内(i.c.)に注入した。NeuウサギポリクローナルおよびHer−2 MAb(これらはそれぞれラットおよびヒトerbB−2受容体に特異的である)を使用した。両方の抗体を100KDカット−オフ透析チューブ系(0.5ml容量、10μm孔サイズ、Spectrum Labs)を用いて透析し、ウシ血清アルブミン(BSA)およびその他の添加物を除去した。MS(30μg/kg/分)を15分間注入し(i.c.)、その後NeuまたはHer−2 MAb(1mg/kg)またはGFP−Adv(1×10pfu/ml)を45分間i.c.注入した。2時間後、ラット(n=2)を経心臓的に4%パラホルムアルデヒドで潅流固定し、脳を取り出した。ラット脳凍結切片を製造者(Molecular Probes、OR)の方法によってAlexa Flour−647結合二次抗体(Zecon標識キット)(これはHer−2 MAbのIgG1フラグメントに特異的に結合する)と共にインキュベートすることにより、Her−2受容体に結合したHer−2MAb(インビボ)が検出された。RG2脳腫瘍切片のerbB−2受容体に結合しているNeu抗体は、TRITCと結合した抗ウサギIgGを使用して検出された。腫瘍細胞においてAdv−GFP送達およびGFPの発現があったかどうかを調べるために、別のラット群(n=2)を96時間後に経心臓的にに4%パラホルムアルデヒドで潅流固定し、脳を取り出し、共焦点顕微鏡検査によって凍結切片中のGFPの存在を画像化した。さらに、神経膠腫瘍細胞にGFPが発現することを証明するために、GFPとGFAPとの共局在を決定した。
(実施例15)
(透過型電子顕微鏡検査(TEM))
RG2腫瘍細胞移植の7日後に、ラット(n=3/群)に、PBS、BK(10μg/kg/分、0.5%DMSO中)、NS−1619(30μg/kg/分、0.5%エタノール中)またはMS(30μg/kg/分、0.5%DMSO中)を15分間i.c.注入した。ラットに10ml冷PBSを注入し、心臓を介してPBS(pH7.4)中1%グルタールアルデヒド250mlによって潅流−固定した。腫瘍のある脳を取り出し、腫瘍塊を包含する組織片、腫瘍を取り巻く脳および正常脳切片、およびサンプル、1mm、を既述のように処理し、既報のように(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack, K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002)TEM分析にかけた(JEOL電子顕微鏡、80kVで作動する)。
(実施例16)
(定量分析)
横位で切り出し、かつ低倍率(X=7,200)で撮影した各群からの毛細血管の少なくとも10プロフィールについて、それらの全体的特徴を既述のように評価した(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack K.L.Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002)。つまり、顕微鏡写真をデジタルスクリーン上に置き、コンピューターによる画像分析装置Scan Pro 4TM(Jandel Scientific,Corte Madera,CA)を用いて構造的特徴を測定した。管腔の外周および内周、核と空胞とを除いた内皮細胞形質の面積、および内皮細胞形質の平均厚さを測定し、対照群のそれらと比較した。内皮の平均厚さは外周半径から内周半径を引くことによって計算した。上記半径は、それぞれ管腔円周および管腔外周によって取り巻かれた面積から得た。小胞輸送を特徴づける別のパラメーターを引き出すために、細胞形質に対する総小胞面積の比率をパーセンテージとしてあらわした。
(実施例17)
(生存の研究)
移植頭蓋内腫瘍をもつウィスターラットを用いて、増加したカルボプラチン送達および生存に与えるMSの影響を研究した。RG2細胞(1×10)を頭蓋内に移植し、ラットに1週間以内に腫瘍(大きさ2mm)をつくった。1週間後、ラットに生理食塩水、カルボプラチン(5mg/kg)を、または、体外カテーテルによるMS(30μg/kg/分)注入15分後にカルボプラチンを、1日1回、連続3日間与えた。ラットの脳腫瘍による死亡および臨床的徴候を90日間または死亡するまで(どちらか早い方)注意深く観察した。死亡した、死にかけている、または90日以上生きたラットの脳を取り出し、凍結し、凍結切片にし、組織学的評価を行い、処置群と未処置群とで腫瘍の大きさを比較した。カプラン−マイヤー分析を行い、結果の統計的有意性を調べた。
(実施例18)
(統計)
結果は平均値±SDであらわされる(可能な場合)。全てのインビボ透過性研究では別途記載がない限り、n≧4ラット/群を用いた。独立両側スチュデントt’検定を使用して対照群と処置群とを比較した。薬剤治療した、または薬剤治療しない種々の群の間でKi、小胞密度、小胞面積、クレフト指数およびクレフト面積指数の比較の統計的分析を行うために、ANOVAを用い、その後スチュデントt検定のインペア(impaired)パラメトリック分析かまたはマン−ホイトニーU検定のノンパラメトリック分析を行った。P<0.05を統計的に有意と考えた。小胞密度および累積的小胞面積の割合の統計的分析はMSのi.c.注入の効果とPBS注入のそれとを比較した。
(実施例19)
(BBB毛細血管はBTB毛細血管とは異なる)
ATPチャネルアゴニストに対する形態学的および生化学的反応に関するBBBとBTBとの差を図1に示す。BTB毛細血管および周囲腫瘍細胞はKATPチャネルを過剰発現し、したがってKATPチャネルアゴニストによる活性化に容易に反応し得る。対照的に、正常脳微小血管内皮細胞にはKATPはほとんど検出されず、したがってKATPチャネルアゴニストには反応し得ない。
(実施例20)
(KATPチャネルはMS誘起性BTB透過性増加を媒介する)
i.c.MS注入の5分後に、[14C]標識トレーサを注入したRG2またはGBM腫瘍担持ラット脳から得た凍結切片のQARによって、BTB透過性、Ki(μl/g/分)、を測定した。KATPチャネルがMS誘起性BTB透過性の増加を媒介するかどうかを確認するために、移植脳内にRG2腫瘍を有するラットにi.c.MS注入を単独またはグリベンクラミドと同時に行った。Kiを、腫瘍コア、腫瘍隣接脳組織、および反対側脳組織の放射性トレーサ[14C]−AIBで測定した。ラット脳切片の擬色増強オートラジオグラフィーの比較は、MS注入で[14C]−AIBの送達が高まることを示した(図2A)。グリベンクラミドの同時注入はMS誘起性[14C]−AIB取り込みを阻止した(図2A)。MS(30μg/kg/分)の15分間のi.c.注入後、Kiは腫瘍中心において、PBS対照(10.5±1.5μl/g/分)と比較して有意に増加した(32±5μl/g/分;P<0.001)。MSが誘起したBTB透過性の増加は、グリベンクラミド5μg/kg/分の15分間の同時注入によって有意に阻止された(12.2±3.0μl/g/分、P<0.01)(図2B)。MSが誘起したKi増加は、IBTX(特異的KCaチャネルインヒビター)によって阻止されなかった。これはMS作用がKCaチャネルとは無関係であることを示唆する(図2B)。固定量のMS(30μg/kg/分)で得られるBTB透過性の増加は、グリベンクラミドの同時注入(0〜25μg/kg/分)によって用量依存的に阻止されることを示した。その上、GBM異種移植ヌードラットモデルにおいて、MS(30μg/kg/分)はBTB透過性の有意な増加を示し(52±8μl/g/分;P<0.001)、それはグリベンクラミド(5μg/kg/分)をMSと同時注入した際には減少した(24±6μl/g/分;P<0.01)(図2C)。腫瘍中心とは異なり、腫瘍周囲の正常脳(BST)、腫瘍縁の外側2mmの領域では、MSはグリベンクラミドを伴った場合も伴わない場合もBBB透過性に有意な影響を与えなかった(図2C)。同様に、単独で、あるいはMSの注入前に注入した場合、グリベンクラミドは BBBまたはBTB透過性に影響を与えなかった(データは示していない)。
(実施例21)
(時間的経過)
移植RG2腫瘍を有するラットにおけるこのQAR研究は、MS(30μg/kg/分)のi.c.注入が、腫瘍への[14C]−AIBの持続的送達(15、30および60分の注入中)を有意に(P<0.001)高めることを示した(図3A)。MSがBTB透過性増加を60分まで維持できるということは、同様なモデルにおけるNS−1619に関するデータと一致する(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack,K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」 J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002)。これに対して、BKの30分または60分注入は、Kiの、15分後に到達した初期増加(P<0.001)を維持することができなかった(図3A)。比較の目的で、BKおよびNS−1619の同じモル濃度を注入した。
(実施例22)
(KATPチャネルの活性化は種々の大きさの分子の送達増加を引き起こす)
MS(30μg/kg/分)の頸動脈内注入は、通常はBTBを通過できない種々の大きさの放射性トレーサ、例えば[14C]−標識−AIB、デキストランおよび通常はBTBを通過できない化学療法剤、カルボプラチン(CPN)のような親水性化合物を含む通常はBTBを通過できない種々の大きさの放射性トレーサに対する移植脳内RG2腫瘍のBTB透過性を高めた。MSとの同時注入は、[14C]標識AIB、デキストランおよびカルボプラチンの送達を有意に高めた(図3B)。これに対して、ビヒクル投与ラットでは[14C]−カルボプラチン送達はごくわずかであった。これらの研究はさらに、BTB透過性のKATPチャネル介在性増加が種々の分子サイズの薬剤類(AIB(MW 103))、CPN(MW 361)、およびデキストラン(70KD))の送達を可能にすることを示唆する(図3B)。
(実施例23)
(KCaおよびKATPチャネルアゴニストのBTB透過性に与える共力効果)
ATPおよびKCaチャネルアゴニスト類がBTB透過性増加に対して相乗効果をあらわすかどうかを研究するために、MSおよびNS−1619を15分間i.c.同時注入した。この組み合わせ薬剤注入は、これらの薬剤を単独で注入した場合に比べて、BTB透過性を有意に高めた(図3C)。この結果は、KATPチャネル介在性BTB透過性の増加が、KCaチャネル介在性効果とは別の経路によって起きることを示唆する。
(実施例24)
(ErbB−2抗体およびGFP−AdvのBTB経由送達)
ErbB−2発現を、RG2およびGBMにおいてインビトロおよびインビボで証明した(図4)。Her−2発現の低いMCF−7(ヒト乳癌細胞)を陰性対照として用いた。さらにRG2およびGBMが神経膠細胞由来であることをインビトロおよびインビボGFAP発現によって証明した(図4)。MSがBTB透過性を高めて種々の大きさの分子の送達を可能にする能力を有することを研究した後、Neu、Her−2 MAbおよびGFP−Advのラット脳腫瘍(インビトロ)への送達を増強するため、MSを注入した。RG2(Neu陽性)腫瘍担持ウィスタラットおよびGBM(Her−2陽性)腫瘍担持無胸腺ヌードラットを使用した。MS注入は、Her−2 MAbのGBM腫瘍組織への選択的送達を高め、NeuのRG2腫瘍組織への送達を高めた(図5A)。反対側脳組織への送達は全く見られなかった(図5A)。これに対してビヒクル投与ラットでは非常にわずかなHer−2 MAbおよびNeuが腫瘍組織に送達された(図5A−a,d)。MSはadv−GFPの脳組織への送達も高めた。MSとadv−GFPとを同時注入したラットでは豊富なGFP発現が脳腫瘍細胞に見られたが(図5B−g)、腫瘍周辺(TP)には見られなかった。さらに、GFP発現が腫瘍細胞に豊富に認められたのは、GFAPがGFAPと共局在するからである(図5B−i)。これに対して単独で注入されたadv−GFPはBTBを通過することができず、腫瘍細胞に移ることができなかった;したがって腫瘍細胞にはごくわずかのGFP発現が検出された。さらに、GFP発現は脳血管に認められたが、腫瘍細胞には認められなかった。これはGFPがGFAPと共局在しなかったからである(図5B−l)。
(実施例25)
(KATPチャネル介在性BTB透過性の調節およびCBR)
少量のKCaチャネルアクチベータ、例えばBKおよびNS−1619のi.c.注入は、腫瘍および正常脳のCBFを変えなかった(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack,K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」 J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002)。レーザー作動ドップラーを使用し、30μg/kg/分のMSのi.c.注入がCBFに有意な影響を与えないことが示された(表1);ただし腫瘍領域のBTB透過性は増加した。平均動脈血圧(MAP)は薬剤処置群とビヒクル処置群との間に有意差はなかった(表1)。
(表1:BTB透過性測定中の生理学的測定値)
Figure 2007505142
血管モジュレータの注入前または注入中に生理的パラメータ類を測定した。脳血流測定(CBF)を除いて、それらの数値はn≧4ラットの平均値±SDである。脳血流測定では1群あたり3匹の代表的ラットを使用した。pHは動脈pHである;PaOは動脈酸素である;PaCOは動脈二酸化炭素である;そしてMAPは平均動脈血圧である。ラットのMAPを明らかには変えなかったMSおよびNS−1619量(30μg/kg/分)を、QARによるBTB透過性研究のために選択した。
(実施例26)
(腫瘍細胞は内皮細胞におけるKATPチャネル発現を増加させる)
腫瘍細胞および組織の膜における[H]−グリベンクラミドの特異的結合は、正常内皮細胞および脳組織から調製した膜におけるよりも有意に高い(図6A)。腫瘍細胞と同時培養した内皮細胞は、内皮細胞単独および腫瘍細胞単独培養と比較して[H]−グリベンクラミド結合の増加を示した(図6A)。これは、同時培養した細胞では、多分腫瘍細胞から発生するシグナルによる影響によって、KATPチャネル密度が高まることを示唆している。正常脳組織と比較して、GBMでも、増加した[H]−グリベンクラミド結合が認められた(図6A)。RT−PCR分析も、RG2およびGBM一次細胞を同時培養した内皮細胞において腫瘍細胞がKATPチャネルおよびRNA発現に影響を与えることを示した(図6B)。ウエスタンブロット分析(図6C)および電位差計によるKATPチャネル活性アッセイ(図6C、図6D)はこのRT−PCRの結果を確認し、腫瘍細胞が内皮細胞にKATPチャネルの過剰発現を誘発することも示した。
(実施例27)
(KATPチャネル活性)
HBMVECおよびGBM細胞の単層における推定的KATPチャネルの機能的活性を、種々濃度のMSに応答したそれらの膜電位を測定することによって決定した。MSの脱分極作用は、HBMVECと比較してGBMでは非常に明白である(図6D)。HBMVECおよびGBM細胞において膜電位はMS添加に反応して低下する。グリベンクラミドの添加による静止膜電位への復帰を、カリウムイオン−蛍光染料を使用して分光蛍光法で測定した。これらの結果は、MSに反応したHBMVECおよびGBM細胞におけるKATPチャネル活性を明らかにする。さらに腫瘍細胞と同時培養した内皮細胞は、内皮細胞単独または腫瘍細胞単独に比べてより高い活性を示した(図6E)。この研究結果は、内皮細胞単独よりも、脳腫瘍細胞と共に増殖した内皮細胞にはより高いKATPチャネル密度分布があることを示唆する。この考察は、RT−PCR、ウエスタンブロットおよび[H]−グリベンクラミド結合実験によって得られた同様の結果を確認するものであった(図6A)。それに加えてMSは、RBEC、HBMVEC、RG2およびGBM細胞においてK色素特異的蛍光強度の用量依存的減少を起こした。これはグリベンクラミドの投与によって元に戻った。
(実施例28)
(KATPチャネルの免疫学的局在決定)
ATPチャネルモジュレータはBBB透過性に影響を与えることなく、なぜ、そしてどこでBTB透過性を選択的に誘発するのだろうか。このような選択的効果は、正常脳と比較して、腫瘍毛細血管および腫瘍細胞ではKATPチャネルの発現が増加するためであると考えられる。この問題に取り組むために、KATPチャネルの免疫学的局在決定のための抗−Kir6.2サブユニット(孔形成)抗体を、パラホルムアルデヒドで潅流固定したGBMおよびRG2腫瘍担持ラット脳切片に用いた。このようにラット脳またはヒト脳腫瘍切片のKATPチャネルおよび内皮細胞マーカー、vWF、の発現を二色免疫細胞化学よって分析すると、vWF陽性腫瘍血管(赤)はKATPチャネル(緑)に関しても陽性であることが判明した。内皮、RG2およびGBM細胞の形質膜におけるKATPチャネルの発現が証明された。正常内皮細胞(図7A−a)と比較して、腫瘍細胞(図7A−b)におけるKATPチャネルの免疫染色はより強かった。両抗原が陽性である微小血管は黄色にみえる(図1および図7B、7C)。KATPチャネルが腫瘍細胞では正常脳とは異なって発現し、腫瘍細胞で正常脳より豊富に発現するのかどうかを確認した;これはMS誘起性選択的BTB透過性の増加を説明し得る。正常脳切片の免疫学的局在決定研究はノンキャピラリー細胞におけるKATPチャネルの若干陽性の発現を示したが、正常ヒト脳内皮細胞ではKATPチャネルの陽性発現は認められなかった(図1)。しかしGBM細胞(図7A−b)、腫瘍毛細血管内皮(図7B−b,c)、およびラット脳腫瘍毛細血管内皮細胞(図7C−b,c)には、正常脳毛細血管における低いKATPチャネル着色と比較して、KATPチャネルの強い発現が認められた(図1)。これらの結果は、MSの選択的BTB透過性効果および、グリベンクラミドによるMS誘起性BTB透過性増加の減退は、脳腫瘍毛細血管内皮および腫瘍細胞のKATPチャネルの密度分布が正常脳毛細血管内皮および正常脳細胞のそれと比較して高められているためであることを強く示唆する。
(実施例29)
(小胞輸送)
小胞輸送が薬剤および高分子のBTB経由送達の増加に大きく貢献しているかどうかをさらに研究した。透過型電子顕微鏡検査(TEM)を使用してi.c.MS注入後の反対側脳組織の正常毛細血管内皮に変化は起きないことを証明した(データは示されず)。同様に、腫瘍担持ラットにおけるPBSの注入は腫瘍毛細血管内皮に変化を引き起こさなかった(図8A2)、ただしi.c.MS注入は腫瘍毛細血管内皮の内腔膜の陥入によるピノサイトーシス小胞の形成を促進し(図8A4)、毛細血管内皮の管腔−外腔軸に沿った小胞列の整列および移動を促進した。これらの小胞は基底膜とドッキングして融合し、それからそれらの内容物を内皮膜の外腔側に放出するようにみえる(図8A4)。MSは腫瘍毛細血管の内皮接着結合指標を変えないとはいえ(図8C)、小胞密度を有意に増加した(図8B)。これらの結果は先ず第一に、KATPチャネル活動の後に高分子をBTBを横切って送達する主な細胞性メカニズムは、小胞輸送の増加によるものであって、内皮接着結合を通る細胞外経路によるものではないことを証明する。
(実施例30)
(生存の研究)
ウィスターラットに宿る頭蓋内RG2腫瘍において、MSは正常脳に影響を与えることなく[14C]−カルボプラチンの腫瘍への送達を高めた(図3B)。それに加えて、カプラン−マイヤー分析は、RG2腫瘍をもつラットがカルボプラチンとMSとの組み合わせを投与した際に、カルボプラチンだけを投与した群およびビヒクルだけを投与した群と比べて有意に長く生存することを示した(図9A)。カルボプラチン単独群(55.46±5.71日)および未投与群(29.56±2.44日)と比較して、MS+カルボプラチン投与群の平均生存は90.57±6.56日であった(カルボプラチン単独投与群に対してP<0.01;未投与群に対してP<0.001)。組み合わせ投与(MS+カルボプラチン)は腫瘍サイズの有意な減少をもたらした(図9B)。組み合わせ投与群の平均腫瘍サイズ(1.30±1.2mm)は全ての群のなかで最も小さく、それに次いでカルボプラチン単独投与群(5.30±1.2mm)およびビヒクル投与群(9.37±2.2mm)であった(図9A)。
(実施例31)
(脳腫瘍の治療)
GBMを有する患者の予後は極めて厳しく、平均生存は9カ月である(Smith,G.M.,Berry,R.L.,Yang,J.,およびTanelian,D.Electrophysiological analysis of dorsal root ganglion neurons pre− and post−coexpression of green fluorescent protein and functional 5−HHT3 receptor.J.Neurophysiol.77:3115−3121、1997;Fellner,S.,Baner,B.,Miller,D.S.,Schaffrik,M.,Fankbanel,M.Spruss,T.,Bernhardt,G.,Grueff,C.,Ferber,L.,Gechaidmeier,H.,Buscheuer,A.,およびFricker,G.Transport of paclitaxel(Taxol)across the blood brain barrier in vitro and in vivo.J.Clin.Invest.110:1309−1318、2002)。これは主として有効治療の選択枝の不足によるものである。幾つかの薬が脳外部の腫瘍に対して有効であることが示されているとはいえ、BTBを通過する薬剤送達が不完全なために、原発脳腫瘍および転移脳腫瘍への薬剤送達は限られる(Fellner,S.,Baner,B.,Miller,D.S.,Schaffrik,M.,Fankbanel,M.Spruss,T.,Bernhardt,G.,Grueff,C.,Ferber,L.,Gechaidmeier,H.,Buscheuer,A.,およびFricker,G.Transport of paclitaxel(Taxol)across the blood brain barrier in vitro and in vivo.J.Clin.Invest.,110:1309−1318、2002)。通常、原発脳腫瘍は、本質的に薬剤に抵抗し、BTBを通過する不十分な薬剤送達の問題を加えるだけである。それに対して、脳に広がった転移性脳腫瘍は抗癌剤に対する感受性を有する。だがBTBが治療効果を得るのに十分な量の抗癌剤の送達を阻害する。したがって転移性脳腫瘍への抗癌剤の送達の改善は、脳転移を罹患した人々の予後を著しく改善することができる。乳癌および肺癌は非常に頻発する脳転移性腫瘍であり、まとめると脳腫瘍転移の70%を占める。非小細胞性肺癌(NSCLC)において、カルボプラチン/エトポシドを使用する化学療法に対するNSCLC患者の反応率は70%である。その一方で、脳転移を有するNSCLC患者ではこの反応率は10〜30%に低下する。同様に、Her2−陽性転移性乳癌に関しては、乳癌患者の88%に骨転移が起こり、33%に脳転移が起きる。これに対して、トラスブザマブ(trasbuzamab)を投与されている乳癌患者のうちたった4%に骨転移が発生したが、脳転移は依然として28%に発生した。
(実施例32)
(BBB毛細血管はBTB毛細血管とは異なる)
脳腫瘍毛細血管はKCaチャネルを過剰発現する(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack,K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」 J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002;Ningarsj,N.S.,Rao,M.,およびBlack K.L.Calcium−dependent potassium channels as a target protein ir.the modulation of blood−brain humor barrier.Drug News and Perspectives,16:1−8,2003)。これらの研究結果は腫瘍毛細血管中の血管性タンパク質、例えば血管内皮増殖因子(VEGF)、フィブロネクチン、およびαvβインテグリンなど、の過剰発現を示したその他の研究(Fuchs,I.B.,Loebbecke,M.,Buhler,H.,Stoltenburg−Didinger,G.,Heine,B.,Lichtenegger,W.,およびSchaller,G.HER2 in brain metastatses:issues of concordance,survival and treatment.J.Clin.Oncol.20:4130−4133、2002;29.Folkman,J.Angiogenesis in cancer,vascular,rheumatoid and other disease.Nat.Med.,1:27−31、1995;Pardridge,W.M.,Blood−brain barrier genomics.In:W.M.Pardridge(編),Brain Drug Targeting−The Future of Brain Drug Development,pp275−3000,United Kingdom:Cambridge University Press,2001)と一致する。BTBはBBBとは構造的および機能的に異なる(Ruoslanti,E.Specialization of tumor vasculature.Nature Review/Cancer,2:83−90,2002;Hashizume,K.,and Black,K.L.Increased endothelial vesicular transport correlates with increased blood−tumor barrier permeability induced by bradykinin and leukotriene CA.J.Neuropathol.Exp.Neurol.,61−725−735、2002;Asotra,K.,およびBlack,K.L.blood−brain barrier as portal for drug delivery.Advances Clin.Neurosci.,10:323−339,2000;Uchida,M.,Ninganaj,N.,Chen Z.,Black,L.,およびAsotra,K.Cyclic GMP−induced blood−brain−tumor barrier permeability is not mediated by Cyclic GMP−dependent protein kinase.Am.Assoc.Neurolog.Surg.,1160,2001)。しかし最近の研究は(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」 J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002;Ningarsj,N.S.,Rao,M.,およびBlack K.L.Calcium−dependent potassium channels as a target protein ir.the modulation of blood−brain humor barrier.Drug News and Perspectives,16:1−8,2003;Uchida,M.,Ninganaj,N.,Chen Z.,Black,L.,およびAsotra,K.Cyclic GMP−induced Blood−brain−tumor barrier permeability is not mediated by Cyclic.GMP−dependent protein kinase.Am.Assoc.Neurolog.Surg.,1160,2001)、幾つかのタンパク質が腫瘍毛細血管に特異的に発現または過剰発現することを示した。腫瘍細胞はブラジキニン型2受容体を過剰発現する(Liu,Y.,Hashizume,K.,Samoto,K.,Sugita,M.,Ninganaj,N.,Asotra,K.およびBlack,K.L.Correlation between bradikin−induced blood−tumor barrier permeability and B2 receptor expression in experimental brain tumors.Neurological Res.,23:379−387,2001)、その一方で、腫瘍および腫瘍毛細血管内皮細胞は両方共、KCaチャネル(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.and Black K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels.J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002;Ningarsj,N.S.,Rao,M.,and Black K.L.Calcium−dependent potassium channels as a target protein ir the modulation of blood−brain humor barrier.Drug News and Perspectives,16:1−8,2003)およびプロテインキナーゼ−G(Uchida,M.,Ninganaj,N.,Chen Z.,Black,L.,and Asotra,K.Cyclic GMP−induced Blood−brain−tumor barrier permeability is not mediated by Cyclic GMP−dependent protein kinase.Am.Assoc.Neurolog.Surg.,1160,2001)を過剰発現し、KATPチャネルはそれらをBTB透過性の生化学的モジュレーションの潜在的標的とする。正常毛細血管と腫瘍毛細血管との、タンパク質発現の差の大きさは定性的であるとはいえ、補足的な研究を行うことによって、腫瘍毛細血管の方がKATPチャネルの密度、活性および/またはMSに対する反応性が高いことが定量的に示された。
(実施例33)
(BTB透過性の生化学的媒介)
BK、一酸化窒素ドナー、可溶性シクラーゼアクチベータ、およびNS−1619などの血管モジュレータはKCaチャネルを介してBTB透過性を高める(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels.J.Pharmacol.Exp.Ther.,301:838−851,2002)。MSはKATPチャネルを生化学的に調整し、BTB透過性の顕著な増加を起こし、親水性トレーサ、GFP−アデノウィルスベクターおよびHer−2抗体類の脳腫瘍組織への送達を可能にする。グリベンクラミドとMSとの同時注入はMS誘起性BTB透過性を弱めた。グリベンクラミドの流出が関係している可能性がある;なぜならばグリベンクラミドは脳腫瘍微小血管に存在する多剤耐性関連タンパク質の基質だからである。しかしその研究設計において、グリベンクラミド流出はMS誘起性BTB透過性の阻止には顕著な影響を与えないかも知れない。なぜならばグリベンクラミドがMSと同時注入されたのは15分間に過ぎないからである。さらに、KCaおよびKATPチャネルアゴニストの間には共力効果があり、それらが独立的に作用することが示唆される。KCa(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.およびBlack K.L.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels,J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851,2002)ならびにKATP(Esaki,T.,Itolc,Y.,Shimoji,K.,Cook,M.,Jehle,J.,およびSokoloff,L.Blockade of K(ATP)channels with glibeaclamide does not alter functional activation of cerebral blood flow in the unamethelized rat.Brain Res 945:56−63,2002)チャネルアゴニストによってCBFに有意な機能的変化がみられないということは本明細書のデータ(表1)と一致する。透過性の顕著な変化を達成するのに必要とされるこれら血管活性作用物質の少量で、これら作用物質の多量よって起こり得る血圧低下を起こすことなく、薬剤送達を高めることができる。静脈注射で投与する際には、MSもまた、ラット脳腫瘍モデルにおいてBBB透過性を高めることなくBTBの透過性を高めた。これらの考察に基づいて、MSがヒト患者の脳腫瘍への抗癌剤送達を高めるかどうかを試験するために、MSの静脈注射用組成物が開発された。
(実施例34)
(脳血管系におけるKATPチャネル)
正常脳血管内皮におけるKATPチャネルの存在および役割が報告された(Nelson,M.T.およびQuayle,J.M.Physiological roes and properties of potassium channels in arterial smooth muscle.Am.J.Physiol.,268:C799−C822,1995;Yokoshiki,H.,Sunagawa,M.,Seki,T.,およびSperelakis,N.ATP−sensitive K−Channels in pancreatic,cardiac,and vascular smooth muscle cells.Am.J.Physio.274:C25−37,1998)。しかしBBB/BTB透過性におけるそれらの役割は解明されていない。図6A、図6B、図7は、正常な星状細胞および内皮細胞と比較して腫瘍細胞におけるKATPチャネルの豊富な発現を示す(インビトロおよびインビボ)。共焦点画像は、KATPチャネルが正常脳と比較して腫瘍および内皮細胞に過剰発現することを明らかに示した。より重要なことは、腫瘍毛細血管(図7B、図7C)が、腫瘍毛細血管内皮細胞においてvWFと共局在するKATPチャネルと同様なKATPチャネルの過剰発現を示したことである。内皮細胞におけるKATPの存在の増加(図6A、B、C)およびそれらの活性増加(図6D、E)(腫瘍細胞誘起性シグナリングによると考えられる)が内皮細胞と腫瘍細胞とを同時培養した際に認められた。その他の研究者も低酸素症などの病的状態においてKATPチャネルが増加することを報告した(Schoch,H.J.,Fisher,S.,およびWarti,H.H.Hypoxia−induced vascular endothelial growth factor expresion causes vascular leakage in the brain.Brain 125:2549−2557)。これは腫瘍についても言えるかもしれない。なぜならば低酸素環境において腫瘍が増殖するからである。しかし、腫瘍毛細血管に過剰発現したKATPチャネルが検出される場合でも、正常脳毛細血管にはKATPチャネルはほとんど検出されない(図1)。腫瘍毛細血管のこの特異な特徴から、正常脳に同時に作用することなく腫瘍毛細血管透過性を選択的に変化させるメカニズムの解明が可能になる。
(実施例35)
(脳腫瘍細胞はKATPチャネルの過剰発現を誘発する)
ラットおよびヒト脳細胞において、正常および腫瘍細胞単独のKATPチャネルの機能的活性および同時培養した際のそれら活性を明らかにした。MSは正常細胞よりも腫瘍細胞においてより高い膜電位変化を引き起こし、正常細胞に比べて腫瘍細胞にKATPチャネルのより大きい密度分布または感受性があることを示唆した。さらに、インビトロ[H]−グリベンクラミド結合研究は、KATPチャネル密度が正常細胞組織に比べて腫瘍細胞組織に有意により高いことを示した(図6A)。そのため、KATPチャネルは腫瘍細胞および腫瘍毛細血管内皮細胞の両方に、正常脳のそれらに比べて過剰発現する。これは、MSがBBBには影響を与えずに、BTB透過性を選択的に高める理由を説明し得る。その上、BTB透過性に対するKCaおよびKATPチャネルアゴニストの共力効果が観察されているので、KATPチャネルは、脳腫瘍への薬剤送達を高めるようにBTB透過性を調整するための、KCaチャネル以外のさらなる標的である(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.,およびBlack,K.L.Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels.J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851、2002;Ningarsj,N.S.,Rao,M.,およびBlack K.L.Calcium−dependent potassium channels as a target protein ir.the modulation of blood−brain humor barrier.Drug News and Perspectives,16:1−8,2003)。
(実施例36)
(輸送増加のメカニズム:飲小胞、または接着結合経由)
結果は、MS誘起性KATPチャネル活性化によって、MSが脳腫瘍毛細血管内皮および腫瘍細胞の両方において輸送小胞形成を促進することを示している(図8A)。したがって、皮接着結合の開通によるよりもむしろ小胞輸送の方が、BTBを通過する薬剤送達の増加に大きく貢献している。この知見は、KCaチャネルアゴニスト、NS−1619、が、ラット脳腫瘍微小血管内皮小胞の密度を増加することを報告した初期の研究と一致する(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.,およびBlack,K.L.Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels.J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851、2002)。飲作用小胞の数および正しい機能的裂指数のわずかな増加によって、基礎BTB透過性のわずかな増加がおきる(Stewart,P.A.Endothelial Vesicles in the blood−brain barrier:are they related to permeability?Cell Mol.Neurobiol.,20:149−163,2002;Liebner,S.,Fischman A.,Rascher,G.,Duffner F.,Grote,E.H.,Kalbacher,H.,およびWolburg,H.Claudin−1 and claudin−5 expression and tight junction morphology are altered in blood vessels of human glioblastoma multiforme.Acta Neuropathol.,100;323−331、2000)。脳腫瘍毛細血管内皮小胞の数の増加と、BTB透過性の増加との間に直接的関連性が見いだされた。最も重要なことは、MS(図8C)またはNS1619などの血管モジュレータに反応して、内皮接着結合が変化することなく、ラット脳腫瘍毛細血管内皮細胞が正常脳毛細血管内皮細胞より遥かに多い小胞(図8B)を形成することである(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,Hashizume,K.,Asotra,K.,およびBlack,K.L.Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels.J.Pharmacol.Exp.Ther.301:838−851、2002)。
(実施例37)
(生存の延長)
初期研究において、頭蓋内神経膠腫を有するラットにNS−169(Ningarsj,N.S.,Rao,M.,およびBlack K.L.Calcium−dependent potassium channels as a target protein ir the modulation of blood−brain humor barrier.Drug News and Perspectives,16:1−8,2003)またはBK(Matsukado,K.,Sugita,M.およびBlack,K.L.Intracarotid low dose bradykinin B2 receptors in malignant gliomas.BrainRes.,792:10−15、1998)を同時投与した際、カルボプラチンは生存期間を高めることが示された。本研究において、i.c.MS同時注入も、正常脳への送達を高めることなく、選択的に腫瘍組織への[14C]−カルボプラチン送達を高めることが示された(図3B)。ラットにおけるMSのカルボプラチンとの同時注入は腫瘍の退縮を起こし、生存を有意に延長することも示された(図8A、B)。主な脳腫瘍、特にGBM、は、変化した遺伝子をもち、腫瘍細胞増殖、並びに予後不良および低い患者生存に至ることが多い(Newcomb,E.W.,Cohen,H.,Lee,S.R.,Bhalla,S.K.,Bioom,J.,Hayes,R.L.,およびMiller,D.C.Survival of patients with glioblastoma multiforme is not influenced by altered expression of p16,p53,EGF4r,MDM2 or Bcl−2 genes.Brain Pathol.,8:655−667、1998;Ljubimova,A.V.,and Black,K.L.Overexpression of Alpha 4 chain−containing laminins in human glial tumors identified by gene microarray analysis.Cancer.Res.61:5601−5610、2001;Schlegel,J., Stamm,G.,Brandle,K.,Merdes,A.,Mechtersheimer,G.,Hynes,N.E.,およびKiessling,M.J.Amplification and differential expression of members of the erbB−gene family in human glioblastoma.Neurooncol.,22:201−207、1994)。特に、GBMsの17〜20%に過剰発現するHer−2は(Forseen,S.E.,Pott,A.,Koka,V.,Koch,M.,Fraiman,G.,およびLevitt,R.Identification and relationship of HER−2 neuroverexpression to short−term mortality to primary malignant brain tumors.Anticancer Res.22:1599−602、2002)、腫瘍細胞増殖を容易にする(Schlegel,J.,Stamm,G.,Brandle,K.,Merdes,A.,Mechtersheimer,G.,Hynes,N.E.,and Kiessling,M.J.Amplification and differential expression of members of the erbB−gene family in human glioblastoma.Neurooncol.,22:201−207、1994)。Genentech Inc.によって開発されたトレスツズマブ(trestuzumab)および2CAは、神経膠腫の考えられるHer−2受容体をベースにした治療である。しかしこれらのMAbの分子サイズは、BTBを経由するそれらの腫瘍への効率的送達を妨害する。GBM−異種移植モデルにおいて、MSによって誘起されたKATPチャネルの生化学的調節は、Her−2 MAbを含む高分子の腫瘍への選択的送達を高め、正常脳へのMAb送達は増加させなかった(図5A)。この知見は、治療的抗体が効率的、選択的にインビトロで神経膠腫細胞に向かうことを示唆する。MAb治療に加えて、GBMの遺伝子治療が可能性のある治療法として新たにあらわれた。しかしアデノウィルスベクターをBTBを経て腫瘍に効率的および選択的に送達することは、ウィルス産物を静脈内経路によって投与する場合は難しい。なぜならばそのようなベクターがBTBを通過することは難しいからである。MSを同時注入すると(図5B)、BTBを通過するGFP−Advの選択的送達が高まることが示された。この方法は、治療的抗体を化学療法剤または遺伝子産物と共に脳腫瘍に選択的に送達し、その一方で健康な脳は完全にそのままに残すために臨床的に有用であり得る。
血液−脳腫瘍関門(BTB)は特に激烈な癌である多発性神経膠芽細胞腫(GBM)など、脳腫瘍への薬剤送達を妨害する。ヒト腫瘍異種移植ラットモデルにおいて、ミノキシジル硫酸(MS)、KATPチャネルの特異的アゴニスト、は、正常組織を侵すことなく、BTBを介する腫瘍への薬剤送達を選択的に高める。Her−2受容体(Her−2r)を過剰発現する高度に増殖するGBMは神経膠腫治療のための理想的標的である。しかしBTBはモノクローナルHer−2抗体の送達を制限する。脳内にGBMを移植されたヌードラットにおいて、MSを伴う場合または伴わない場合において、標識化Her−2モノクローナル抗体に対するBTB透過性の増加によるMSの生存延長効果を研究した。
(実施例38)
(ヌードラットおよびマウス腫瘍モデル)
患者脳腫瘍組織から単離した原発性GBM細胞を頭蓋内に移植することによって、GBM−異種移植ラットモデルおよびマウスモデルを作成した。インビトロGBM細胞におけるHerceptinのIC50をFACS分析によって確立した。頸動脈内(i.c.)および静脈内(i.v.)経路によるMS投与によって種々のトレーサーに対するBTB透過性が高まるかどうか、そして脳腫瘍への送達が高まるかどうかを調べるために、透過性の研究を行った。GBM異種移植ラットモデルにおけるBTB透過性に対するi.c.およびi.v.MS投与の効果を以下に示す。
次のデータはヒト脳腫瘍−異種移植ラットモデルおよびヒト脳組織を使用して得られた。データは、脳腫瘍ではKATPチャネルは正常脳細胞および正常毛細血管と比較して腫瘍細胞および腫瘍毛細血管に過剰に発現することを示す。免疫組織化学データでは、KATPチャネルが正常脳微小血管に発現するようにはみえない。しかし、正常脳には予測通りKATPチャネルの発現がある。GBM腫瘍組織にもKATPチャネルの発現がある。腫瘍微小血管にはKATPチャネルと因子VIIIとの共局在があった。概してこれらのデータは免疫組織化学によるGBMにおけるKATPチャネルの高い発現を示す。因子VIIIおよびKATPチャネルのダブル標識化ではKATPチャネルも腫瘍微小血管に過剰発現するようにみえる。
ヒト脳腫瘍切片においてKATPチャネルおよび因子VIIIの免疫学的局在決定が示される。脳微小血管においてKATPチャネルが内皮特異的マーカー(因子VIII/フォンウィルブラント因子(vWF))と共局在することを決定するために、KATPチャネルおよび抗−フォンウィルブラント抗体を使用した。腫瘍微小血管にはKATPチャネルと因子VIIIとが同時発現するようにみえる。このことは、KATPチャネルの発現が腫瘍微小血管において起きることを示唆する。腫瘍細胞もKATPチャネルを過剰発現するようにみえる。
アルゴン(Ar,488nm)およびクリプトン(Kr,568nm)レーザーを備えたLeica(Heidelberg、ドイツ)TCS SPレーザー走査共焦点顕微鏡(倒立)を使用して画像をとらえた。正常および転移脳腫瘍切片上にあらわれたKATPチャネルのFITCシグナルを、4880nmArレーザー系を用いて可視化した。因子VIIIのTRITCシグナルは568nm−Krレーザー系を用いて可視化された。FITCおよびTRITCのための蛍光シグナルは個々に緑および赤擬色投影として示されるかまたはオーバーレイ投影として出現し、特異的亜細胞構造内の2種類の抗原の潜在的共局在が可視化された。
(実施例39)
(高分子化合物の脳腫瘍への送達)
GFP−Adv構成物を作成し、GFP−Adv(1×10pfu/ml)を移植GBMを有するラットに、MSと共にまたはMSを伴わずにi.c.注入した。Her−2MAb(Zymed Labs)を透析し、ウシ血清アルブミン(BSA)およびその他の添加物を除去した。MS(30μg/kg/分)を15分間(i.c.)注入し、その後Her−2MAb(1mg/ml/kg)またはGFP−Adv(1×10pfu/ml)を45分間(i.c.)注入した。Her−2 MAb研究では、2時間後にラットを4%パラホルムアルデヒドで経心臓的に潅流固定し、脳を除去した。脳凍結切片を製造者(Molecular Probe、OR)の処理法により、Her−2 MAbのIgG1断片に特異的に結合するAlexa Flour−647−結合二次抗体(Zenon標識キット)と共にインキュベートした。それらの切片を共焦点顕微鏡下で試験した。腫瘍細胞にGFP−Adv送達およびGFP発現があったかどうかを調べるために、他の群のラットを48時間後に4%パラホルムアルデヒドで経心臓的に潅流固定し、脳を切除し、凍結切片についてGFPの存在を共焦点顕微鏡検査によって画像化した。
透過性の研究:GBM異種移植ラットモデルにおけるBTB透過性に対するMS i.c.注入の効果が明らかにされた(図12)。
GBM異種移植ラットモデルにおけるBTB透過性に対するMS i.v.注入の効果が明らかにされた(図13)。
GBM異種移植ラットモデルにおけるHer−MAbのような高分子に対するBTB透過性を高めるMSの能力が明らかにされた(図14)。
(実施例40)
(生存の研究)
ヌードマウスに頭蓋内に細胞を移植した。処置を開始する前の7日間、腫瘍を増殖させた。マウスを次の群に分けた:(1)対照、(2)MS(0.9mM)、(3)Temodor(27mM)、(4)Herceptin(4mg/kg)、(5)MS+Temodor、(6)硫酸ミノキシジル+Herceptin、(7)Herceptin+Temodor、および(8)MS+Herceptin+Temodor。未処置マウスは腫瘍関連合併症により30日以内に死ぬか、または安楽死させた。腫瘍移植後75日直後に、生き残っている全てのマウスを安楽死させた。
生存の研究:カプラン−マイヤー分析は、頭蓋内にヒト神経膠腫瘍をもっているヌードマウスは、MS、TemodorおよびHerceptinの組み合わせをi.v.投与した(3種類の連続的量で3日間)際、ビヒクルのみの投与群より、長く生き延びた(図15)。MS、TemodorおよびHerceptin群の平均生存は67.2±11.8日であった;P<0.001(ビヒクル(20.93±8.9日)、MS(27.09±8.7日)、Herceptin(24.91±8.3日)およびTemodor(25.5±6.3日)単独処置群に対して)。
(実施例40)
(転移脳腫瘍におけるKATPチャネルの過剰発現)
肺、***および腎臓に由来する転移脳癌細胞は全て高レベルのKATPチャネルを有する(左パネル、緑色)。その上、転移腫瘍には腫瘍に隣接する脳微小血管内皮にも高レベルのKATPチャネルの発現がある(右パネル、黄色細胞)。図22を参照のこと。
(実施例41)
(カリウムチャネルアゴニストは転移乳脳腫瘍への化合物の選択的取り込みを高める)
14C]AIBと硫酸ミノキシジルとを同時静脈内注射した際、脳腫瘍から採取した組織における14Cレベルはそれらを生理食塩水および[14C]AIBと共に注射したときの約3倍以上高かった。腫瘍周囲脳および反対側脳の[14C]AIBのレベルは、ビヒクル処置ラットと硫酸ミノキシジル処置ラットとの間では有意差はなかった。図23を参照のこと。
(実施例42)
(カリウムチャネルアゴニストは転移肺脳腫瘍への化合物の選択的取り込みを高める)
硫酸ミノキシジルの静脈内同時注射は、腫瘍周囲の脳または反対側脳に対して、腫瘍への[14C]AIBの特異的取り込みを約3倍高めた。図24を参照のこと。
図1は、KATPチャネルアゴニストに対する形態および生化学的反応に関するBBBとBTBとの間の差の模式的な表示である。BTB毛細血管および周囲の腫瘍細胞は、KATPチャネルを過剰発現し、それによってKATPチャネルアゴニストによる活性化に容易に反応し得、腫瘍毛細血管内皮細胞および腫瘍細胞内の輸送ビヒクルの形成を増加させる。KATPチャネル(緑色)およびvWF(赤色)のヒト正常脳ならびに腫瘍毛細血管内皮細胞および腫瘍細胞の共焦点顕微鏡による免疫学的局在決定が、Kir6.2およびvWFの抗体を用いておこなわれた。黄色は毛細血管内皮細胞におけるKATPチャネルの共局在を示す。脳腫瘍毛細血管はKATPチャネルを過剰発現し、内皮細胞上でvWFと共局在した。対照的に、KATPチャネルは正常脳の微小血管内皮細胞においてはほとんど検出されず、KATPチャネルアゴニストに反応しないらしい。正常脳組織には薬物送達がほとんどまたは全くおこなわれずに、腫瘍へ選択的かつ増強された薬物送達が行われるための戦略は、KATPチャネルの生化学的調節に関連する。EC:内皮細胞、TJ:接着結合。図1および図2−9は、Ningaraj NS,Rao MK,Black KL,「Adenosine 5’−triphosphate−sensitive potassium channel−mediated blood brain tumor barrier permeability increase in a rat brain tumor model」Cancer Research 2003 63(24):8899−8911に公開されている。 図2は、BTB透過性の定量的増加を示すグラフである。(A)頭蓋内にRG2腫瘍をもつラットの頭頂部脳切片のオートラジオグラフィーであって、ビヒクル(PBS+0.5%DMSO)のi.c.注入後は[14C]−AIBの送達はほとんど示されないが、MS処置ラットでは有意に送達が増強された。[14C]−AIB送達におけるMS誘起性増加は、Gibを同時注入した場合に有意に減少した。比較のために、左のスケールは、40−450nCi/gの特異的活性の[14C]スタンダードで校正された組織の擬似カラー強度を示す。(B)[14C]−AIBの平均Kiは、MSのi.c.注入(30μg/kg/分、15分間)後、ビヒクル処理群に比較して有意に増加した。このKi増加はGibの同時投与によって有意に減少した(N=4)。KCaチャネルインヒビター、IBTXとMSとの同時注入は、MS誘起性Ki増加を阻止できなかった。(C)加えて、MS(30μg/kg/分、15分間)は、PBS処理群に比較してGBM異種移植片モデルにおけるBTB透過性を増強し、Gibの同時投与によって有意に低下した。データは平均値±S.D.と表される(N=4)。***ビヒクル群に対してP<0.001。**MS処置群に対してP<0.01。 図3は時間的経過研究の結果を示す。(A)MSおよびNS−1619は、それぞれ30分および60分までの間の平均Ki値の持続的増加を起こした。対照的に、BK誘起性Ki増加は、一過性で、15〜20分間であった。長時間BKを注入しても(60分まで)Kiの増加を持続できなかった。A、B、およびCのデータは、平均値±S.D.として表される。***ビヒクル群に対してP<0.001(N=4)。(B)AIB、カルボプラチン(CPN)およびデキストラン(Dex)を含む異なるサイズの放射性トレーサに対するBTB透過性を、MS注入した場合と注入しない場合とで比較したRG2腫瘍内のKi値。MS処置群のKi値は、ビヒクル処置群におけるよりも有意に(***P<0.001)高かった。(C)RG2腫瘍保持ラットにおけるMSのNS−1619(i.c.)との共力作用を観察した。組み合わせ処置後の[14C]−AIBの送達についてのKi値は、MSまたはNS−1619単独で処理された群に比較して有意に(**P<0.01)高かった。Veh−1(PBS+0.5%DMSO)、Veh−2(PBS+0.5%エタノール)、Veh−3(PBS−0.5%DMSOおよびエタノール)。 図4は、ErbB−2およびGFAPの発現を示す。(A)erbB−2レセプターの過剰発現は、Her−2およびNeo抗体を使用し、インビトロでヒト(a)およびラット細胞(b)で、そしてインビボでGBM(d)およびRG2腫瘍(e)でそれぞれ実証された。erbB−2発現の低いMCF−7細胞を陰性コントロール(c)として用いた。(B)GMBおよびRG2が神経膠(グリア)由来であることが、インビボでのGFAP免疫染色によって実証された。 図5は、高分子の送達の増加を示す。(A)erbB−2抗体だけを注入した場合に比較して、MSは、組み合わせて注入(i.c.)された場合、Her−2 MAbおよびNeoポリクローナル抗体の頭蓋内のGMB異種移植片モデルおよびRG2腫瘍モデルへの送達を増強する。豊富なHer−2 MAb結合が、腫瘍中心(TC)および腫瘍周囲(TP)に認められ、浸潤した腫瘍細胞がHer−2レセプターを過剰発現することを示唆する。さらに、MSと同時注入した場合(e、f)、TCにおいてNeuの送達増加が認められ、その一方で単独注入の場合にはNeuの送達は少量であった(d)。(B)BTBを通過するAdv−GFPの送達を高めるMSの能力は、頭蓋内GBM−異種移植片を有するヌードラットで研究された。豊富なGFP発現が主としてTCに見られ、TPには低い程度で見られた(g、h、i)。GBM細胞は、GFAPを発現し(h)、GFPはGFAPと共局在し、GFPが主として腫瘍細胞(i)に発現することが示唆された。他方、ビヒクルおよびAdv−GFPを注入されたラットにおいて、GFP発現は腫瘍細胞にはほとんど検出されず、血管に捕捉されているのが認められた(j)。これはおそらくAdv−GFPがBTBを通過できないことに起因する。さらに、GFPは、腫瘍細胞上でGFAPと共局在しなかった。これはAdv−GFPが腫瘍細胞に感染できないことを示唆する(l)。 図6は、KATPチャネル。(A)ラット脳組織(1)、RG2組織(2)、RBBC(3)、RG2細胞(4)、RG2とRBBCとの共培養(5)、ヒト脳組織(6)、GBM組織(7)、HBMVEC(8)、GBM細胞(9)、およびHBMVECとGMB細胞との共培養(10)から調製された膜におけるKATPチャネルの分布。これらの膜を[H]−グリベンクラミド結合と共にインキュベートした。この[H]−グリベンクラミド結合(cpon/mgタンパク質)は共培養において正常細胞および腫瘍細胞に比較して有意に高かった(***P<0.001)。腫瘍細胞および腫瘍組織もまた、内皮細胞および正常脳組織にそれぞれ比較して有意に高い[H]−グリベンクラミド結合を示す(**P<0.01)。(B)Kir6.2サブユニットのRT−PCR分析:レーン1:HBMVEC;レーン2:初代GBM細胞;レーン3:HBMVECと共培養されたGBM細胞;レーン4:新生児ラット脳から単離されたRBECと共培養されたRG2細胞、レーン5:RBEC、レーン6:ラット神経膠腫(RG2)細胞。同じRT−PCRにおいてβ−アクチンバンドの強度も示され、mRNAロード(loading)変動が確認される。(C)SDS−PAGEサンプル(20μgタンパク質/レーン)のイムノブロット分析は、Kir6.2サブユニットに特異的な抗ペプチド抗体と免疫反応するKATPチャネルタンパク質の示差的発現を明らかにする、レーンa:GBM細胞;レーンb:HBMVBC;レーンc;HBMVECと共培養されたGBM細胞;レーンd:RBEC;レーンe:RG2細胞;およびレーンf;RBECと共培養されたRG2細胞。同じイムノブロットにおいて43kDa β−アクチンバンドの強度も示され、タンパク質ロード変動が確認される。(D)HBMVEC(3)およびGBM(4)細胞にMBおよびGibをそれぞれ20および40秒に添加した場合、これに反応した相対的蛍光強度(RFL)の60秒間の変化。対照的に、1μM MSおよび2μM Gibを添加しない場合はHBMVECおよびGBM細胞にRFUの変化は認められなかった(1、2)。(E)GBM細胞と共培養されたHBMVEVC(4)における、MSに反応したKATPチャネル活性は、GBM単独の活性(3)と比較してより大きかった。コントロール実験は、RBMVECのみ(1)およびGBM+HBMVEC(2)で、MSおよびGibを添加せずに行われた。膜電位に対応する蛍光強度の減少をRFUとしてY軸上にプロットする。Gibの添加は膜電位を静止値に戻した。MS誘起性KATPチャネル活性は、内皮細胞または腫瘍細胞単独よりも、共培養においてより大きいことに注目されたい。 図7は、免疫細胞学−(A)ヒト脳の微小血管内皮細胞(HBMVEC)およびGBM細胞(a、b)におけるKATPチャネル(緑色)およびvWF(赤色)の共焦点性顕微鏡検査による免疫局在決定。(B)GBM組織切片におけるKATPチャネルの共局在。GBM組織切片の代表的画像(20×)は、vWFで免疫染色された毛細血管の数(B−a)、腫瘍微小血管並びに腫瘍細胞におけるKATPチャネル(緑色)の豊富な発現(B−b)を示し、これらのKATPチャネルは毛細血管内皮細胞上のvWFと共局在している(黄色)(B−c)。(C)同様に、RG2腫瘍毛細血管内皮細胞におけるKATPチャネルの共局在も認められた。コントロール実験は二次抗体で行われたが、一次抗体を加えた。 輸送増加のメカニズム。(A)RG2腫瘍毛細血管内皮細胞および腫瘍細胞におけるインビボの小胞輸送の誘導。(1)ビヒクル注入ラット群において、脳腫瘍の微小血管内皮細胞はほとんど小胞を示さない(矢印)。(2)MS注入は、管腔膜陥入による小胞(矢印)の形成増加をおこす。平均直径80〜90mmのこれら小胞は基底膜と合体し、融合する。(3)ビヒクル注入ラットの腫瘍細胞には小胞はほとんど見られない。(4)しかしMSは、腫瘍細胞の飲作用性小胞(pinocytotic vesicle)(矢印)の数を有意に増加させた。値は、平均値±SD(N=ラット、N=5 毛細管/ラット)BM:基底膜;EC:内皮細胞;MS:硫酸ミノキシジル;L:管腔;飲作用性小胞(矢印)。(B)MSは、内皮の接着結合に影響を与えることなく腫瘍毛細血管内皮において経内皮の飲作用性小胞の形成促進を誘起した(C)。BG:基底神経節、PBS:リン酸緩衝食塩液、MS:硫酸ミノキシジル。腫瘍毛細血管においてRG2腫瘍中の小胞数はビヒクル処置群とは有意に異なった(**P<0.01)。RG2腫瘍毛細血管における裂(cleft)指数(%)は、ビヒクルまたはMS処置の正常脳毛細血管のいずれとも有意に異なっていた(**P<0.01)。 生存研究。(A)カプラン−マイエル生存曲線は、カルボプラチン(CPN)およびMSで処置したRG2腫瘍保持ラットが、ビヒクル処置ラットより有意に長く(4**P<0.001、N=30)生存したことを示す。カルボプラチンのみで処置したラットも未処置群より有意に(**P<0.01、N=26)長く生存した。無作為化試験において、3群のラットを、腫瘍移植後7日目に外置カテーテルによって処理した(i.c.)(1日1回、連続3日間)。(B)各群のラットから得られた代表的な頭頂の切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。未処置群において25日目に死んだラットの脳切片には、カルボプラチン単独(5/30±1.9mm)またはMSとカルボプラチン(1.30±1.2mm)とのいずれかを受けたラットに比較して大きい腫瘍(9.37±2mm)を有した。MSおよびカルボプラチン注入後の代表的なラット脳切片の壊死腫瘍領域に注目されたい。これはカルボプラチン送達の増加およびそれによる薬物の細胞傷害性の増加を示唆する。 ATPチャネルおよび第VIII因子抗体を使用した、ヒト正常小脳および微小血管におけるKATPチャンルの免疫蛍光共局在決定。共焦点顕微鏡分析は、微小血管におけるKATPチャネルと第VIII因子との同時発現を示さない。KATPチャネルおよび第VIII因子をそれぞれFITC結合二次抗体およびTRITC結合二次抗体で標識する。画像は20×で走査した。矢印は、正常脳の微小血管を示す。非毛細血管性内皮細胞はKATPチャネル発現の染色を示す。 腫瘍微小血管並びに腫瘍細胞におけるKATPチャネルの発現(緑色)を示すGBM切片の代表的画像(20×)。これらのチャネルは、内皮細胞では第VIII因子(黄色)と共局在しているように見える。矢印はKATPチャネルと第VIII因子との共局在を示す脳腫瘍微小血管を示す。微小血管の周囲の腫瘍細胞はまた、KATPチャネル発現について強い染色を示す。 BTB透過性の定量的増加が示される:[14C]−AIBについての平均Kiは、MSのi.c.注入(30μg/kg/分、15分間、N=4)後、PBSコントロール(N=4)と比較して有意に増加し、KATPチャネルアンタアゴニスト、グリベンクラミドの同時投与によって有意に減少した(N=4)。データは平均値±S.D.として示す。PBS群に対して、***P<0.001、アゴニスト処置群に対して、**P<0.01。 BTB透過性の定量的増加が示される:[14C]−AIBの平均Kiは、MSのi.v.注入(60μg/kg/分、15分間、N=4)後、PBSコントロール群(N=4)に比較して有意に増加し、KATPチャネルアンタアゴニスト、グリベンクラミドの同時投与によって(N=4)有意に減少した。データは平均値±S.D.として示される。PBS群に対して***P<0.001、アゴニスト処置群に対して**P<0.01。 高分子の送達の増加。(A)MSは、組合わせ注入(i.c.)された場合、MAb単独注入の場合に比べて、頭蓋内GBM異種移植片モデルへのHer−2 MAbの送達を増強した。腫瘍中心(TC)および腫瘍周囲(TP)において、豊富なHer−2 MAb結合が観察された。これは、浸潤した腫瘍細胞がHer−2レセプターを過剰発現することを示唆する。(B)頭蓋内GBM異種移植片を有するヌードラットにおいて、MSがAdv−GFPのBTB通過する送達を高める能力が研究された。豊富なGFP発現は、主としてTCに見られ、TPにはわずかな程度認められた(g)。GBM細胞は、GFAPを発現し(h)、GFPはGFAPと共局在することが示され、GFPが主として腫瘍細胞上で発現されることが示唆された(i)。しかし、ビヒクルおよびAd−GFPを注入したラットにおいて、GFP発現は腫瘍細胞上でほとんど検出されず、血管に捕捉されているのが認められた(j)。これはおそらくAdv−GFPがBTBを通過できないことに起因する。さらに、GFPは腫瘍細胞上でGFAPと共局在しなかった。これはAdv−GFPが腫瘍細胞に感染しなかったことを示す。 生存研究。カプラン−マイエル分析は、頭蓋内ヒトグリア腫瘍を有しているヌードマウスが、MD、トレメドル(tremedor)およびハーセプチンと組合わせてi.v.処置(3日間3連続投与)された場合、ビヒクルだけの群より長く生存することを示した(図6)。MS、トレメドルおよびハーセプチンの群における平均生存は、67.2±11.8日である;ビヒクル(20.93±8.9日)、MS(27.09±8.7日)、ハーセプチン(24.91±8.3日)およびトレメドル(25.5±6.3日)単独処置群に対して、P<0.001。 ブラジキニンは、BTB透過性を高め、[14C]−デキストロース(70KD)の脳腫瘍への送達を増強する。頭頂の脳切片のカラー増強オートラジオグラフィーは、PBS処置ラットでは[14C]−デキストロースのRG2腫瘍への取り込みをほとんど示さなかったが、BK処置ラットでは顕著な[14C]−デキストロース取り込みを示した。左のスケールは、比較のために、0〜300nCi/g特異的活性の[14C]スタンダードで校正された組織の擬似カラー強度を示す。 悪性神経膠腫に関する特許から得られた画像。上列:ベースライン軸PET画像。中央列:RMP−7注入後に得られた軸PET画像。下列:ベースラインMRおよびRMP−7PET画像の同時記録を示す軸T1−重みづけ(weighted)MR画像。Blackら、1997、J Neurosurg。 B2レセプター(FITC−緑色)および内皮細胞マーカー、第VIII因子(TRITC−赤色)の免疫学的共局在。正常ラット脳およびラット脳腫瘍の毛細血管内皮はB2レセプター発現を欠くが、腫瘍(RG2、C6および9L)細胞はB2レセプターを正常脳細胞と比較して過剰発現する。BTB透過度に関係するB2レセプターの異なる発現は、BK注入に反応する。Liuら、2001、Neurological Res。 CaおよびKATPチャンルアゴニストに対する形態学および生化学的反応に関してBBBとBTBとの間の差の模式的表示である。BTB毛細血管および周囲の腫瘍細胞は、KCaおよびKATPチャネルを過剰発現する。そのため、それらはKCaおよびKATPチャネルアゴニストによる活性化に容易に反応し得、その結果、BTBを通過する分子類を腫瘍細胞に輸送すると考えられている輸送小胞の形成を促進し得る。対照的に、KCaおよびKATPチャネルは、正常脳の微小血管内皮細胞にはほとんど検出されず、KCaおよびKATPチャネルアゴニストに容易には反応し得ない。 脳腫瘍への薬物送達を増強するためにBTB透過性を調節するための生化学的経路および細胞経路。主な図は、KCaの直接的(NS−1619)および間接的(BK、NO)活性化によるBTB透過性の調節を示す。Ningaraj NS,Rao M,Hashizume K,Asotra K,Black KL.「Regulation of blood−brain tumor barrier permeability by calcium−activated potassium channels」Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 2002 301:838−851を参照されたい。挿入図は、直接的KATPアクチベータ、硫酸ミノキシジルによるBTB透過性の調節を示す。使用したインヒビターとしては、NOSインヒビターであるL−NAME、グアニレートシクラーゼインヒビターODQ、ホスホジエステラーゼインヒビターであるザプリナスト(zaprinast)、KCaチャネルインヒビターであるIBTXおよびKATPチャネルアンタゴニストであるグリベンクラミドが挙げられる。 インビボでの腫瘍毛細血管内皮および腫瘍細胞における小胞輸送の誘導。上列:PBS注入ラットにおいて、脳腫瘍の微小血管内皮細胞は非常に少ない小胞(矢印)を示す。BK注入は、管腔膜陥入による小胞形成(矢印)の増加を引き起こした。平均直径75〜80nmを有するこれら小胞は、基底膜と合体し、融合する。NS−1619は、腫瘍の毛細血管内皮細胞質において飲作用性小胞(矢印)の形成を速やかに誘導する。下列:ビヒクル処置ラットの腫瘍細胞にはHRPを担持する小胞は見られない。RG2腫瘍を有するラットにおいて、BKまたはNS−1619の頸動脈内注入、およびHRP静脈注射後に、電子密度の高いHRP担持小胞(矢印)が腫瘍細胞において多数みられる。略語:Ab、アルブミン;BM、基底膜;E、内皮細胞質;L、管腔;PV、飲作用性小胞(矢印)。 転移性脳腫瘍におけるKATPチャネルの過剰発現。肺、***、および腎臓を起源とする転移した脳癌細胞は全て、高レベルのKATPチャネル発現を有する(左パネル、緑色染色)。その上、腫瘍に隣接する脳の微小血管内皮もまた、高レベルのKATPチャネル発現を有する(右パネル、黄色細胞)。 カリウムチャネルアゴニストは、化合物の転移性乳脳腫瘍(breast brain tumor)への取り込みを選択的に増強する。転移性乳脳腫瘍モデルを用いてデータを得た。ラットが[14C]AIBおよび硫酸ミノキシジルを同時に静脈注射された場合、脳腫瘍から採取された組織中の[14C]AIBのレベルは、食塩水と[14C]AIBとを注射された場合の約3倍である。腫瘍周囲のおよび反対側脳内の[14C]AIBのレベルは、ビヒクル処置ラットおよび硫酸ミノキシジル処置ラット間で有意差はない。 カリウムチャネルアゴニストは、化合物の転移性肺脳腫瘍(lung brain tumor)への選択的取り込みを増強する。転移性肺脳腫瘍モデルを使用してデータを得た。硫酸ミノキシジルの静脈内同時注射は、特にその腫瘍への[14C]AIBの取り込みを、腫瘍の周囲の脳または反対側脳に対して約3倍高めた。

Claims (121)

  1. 哺乳動物被験体において異常脳領域に治療剤、予防剤または診断剤を送達するための方法であって、該方法は、該治療剤、予防剤、または診断剤が該異常脳領域の細胞に選択的に送達されるように、ATP感受性カリウムチャネルの1種以上のアクチベータをカルシウム活性化カリウムチャネルの1種以上のアクチベータと組み合わせて、該異常脳領域の細胞に血液を送達する毛細血管もしくは細動脈の該治療剤、予防剤または診断剤に対する透過性を高めるのに十分な条件下で、かつ十分な量を投与する工程;および該治療剤または診断剤を該被験体に投与する工程もまた包含する、方法。
  2. 前記ATP感受性カリウムチャネルの前記アクチベータが、直接的アゴニストである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記直接的アゴニストが、ミノキシジルまたは硫酸ミノキシジルである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記直接的アゴニストが、クロマカリム、レブクロマカリム、エマカリム、ビマカリム、セリカリム、リマカリム、ピナシジル、アプリカリム、ピカルタミド、ジアゾキシドまたはニコランジルである、請求項2に記載の方法。
  5. 前記ATP感受性カリウムチャネルのアクチベータが、間接的アクチベータである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記間接的アクチベータが、アデニリルシクラーゼのアクチベータである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記アデニリルシクラーゼのアクチベータが、ホルスコリンである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルのアクチベータが、直接的アゴニストである、請求項1に記載の方法。
  9. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルの直接的アゴニストが、NS1619、NS−1608、NS−04、NS−08またはEBIOである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルのアクチベータが、間接的アクチベータである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記間接的アクチベータが、可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータが、一酸化窒素である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータが、可溶性グアニリルシクラーゼのNO非依存性アクチベータである、請求項10に記載の方法。
  14. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのNO非依存性アクチベータが、一酸化炭素、ポルフィリン、金属ポフィリン、YC−1、BAY−2272、BAY 41−2272、BAY 41−8543である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記異常脳領域が腫瘍組織の領域である、請求項1に記載の方法。
  16. 前記腫瘍組織が悪性である、請求項1に記載の方法。
  17. 前記異常脳領域が、脳卒中によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項1に記載の方法。
  18. 前記異常脳領域が、細菌、ウィルスまたはプリオンの感染によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項1に記載の方法。
  19. 前記異常脳領域が、神経変性によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項1に記載の方法。
  20. 前記異常脳領域が、損傷または外傷によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項1に記載の方法。
  21. 前記治療剤が抗増殖剤である、請求項1に記載の方法。
  22. 前記抗増殖剤が、カルボプラチンまたはシスプラチンである、請求項21に記載の方法。
  23. 前記治療剤が抗脳卒中剤である、請求項1に記載の方法。
  24. 前記治療剤が、精神安定剤、抗けいれん薬、抗神経変性剤、アドレナリン作動剤、サイトカイン、治療的タンパク質、免疫毒素、免疫抑制薬、DNA発現ベクター、ウィルス粒子または治療的オリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
  25. 前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
  26. 前記治療剤または診断剤が、前記アクチベータと実質的に同時に前記哺乳動物被験体に投与される、請求項1に記載の方法。
  27. 前記アクチベータが、静脈内注入もしくは動脈内注入または静脈内注射もしくは動脈内注射によって投与される、請求項1に記載の方法。
  28. 前記アクチベータが、頸動脈内注入または頸動脈内注射によって投与される、請求項1に記載の方法。
  29. 哺乳動物被験体における異常脳領域に治療剤、予防剤または診断剤を送達するための方法であって、該方法は、該治療剤、予防剤、または診断剤が該異常脳領域の細胞に選択的に送達されるように、ATP感受性カリウムチャネルの直接的アゴニストをカルシウム活性化カリウムチャネルの直接的アゴニストと組み合わせてか、またはカルシウム活性化カリウムチャネルの直接的アゴニストと交互に、該異常脳領域の細胞に血液を送達する毛細血管もしくは細動脈の該治療剤、予防剤または診断剤に対する透過性を高めるのに十分な条件下で、かつ十分な量を投与する工程;および該治療剤または診断剤を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
  30. 前記ATP感受性カリウムチャネルの直接的アゴニストが、ミノキシジルまたは硫酸ミノキシジルである、請求項29に記載の方法。
  31. 前記ATP感受性カリウムチャネルの直接的アゴニストが、クロマカリム、レブクロマカリム、エマカリム、ビマカリム、セリカリム、リマカリム、ピナシジル、アプリカリム、ピカルタミド、ジアゾキシドまたはニコランジルである、請求項29に記載の方法。
  32. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルの直接的アゴニストが、NS1619、NS−1608、NS−04、NS−08またはEBIOである、請求項29に記載の方法。
  33. 前記異常脳領域が良性または悪性の腫瘍組織である、請求項29に記載の方法。
  34. 前記異常脳領域が、脳卒中によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項29に記載の方法。
  35. 前記異常脳領域が、細菌、ウィルスまたはプリオンの感染によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項29に記載の方法。
  36. 前記異常脳領域が、神経変性によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項29に記載の方法。
  37. 前記異常脳領域が、損傷または外傷によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項29に記載の方法。
  38. 前記薬剤が抗増殖剤である、請求項29に記載の方法。
  39. 前記抗増殖剤が、カルボプラチンまたはシスプラチンである、請求項38に記載の方法。
  40. 前記哺乳動物がヒトである、請求項29に記載の方法。
  41. 前記治療剤または診断剤が、前記直接的アゴニストと実質的に同時に前記哺乳動物被験体に投与される、請求項29に記載の方法。
  42. 前記直接的アゴニストが、静脈内注入もしくは動脈内注入または静脈内注射もしくは動脈内注射によって前記哺乳動物被験体に投与される、請求項29に記載の方法。
  43. 前記直接的アゴニストが、静脈内注入もしくは動脈内注入または静脈内注射もしくは動脈内注射によって前記哺乳動物被験体に投与される、請求項29に記載の方法。
  44. 哺乳動物被験体における悪性腫瘍に治療剤、予防剤または診断剤を送達するための方法であって、該方法は、該治療剤、予防剤、または診断剤が異常脳領域の細胞に選択的に送達されるように、ATP感受性カリウムチャネルの1種以上のアクチベータをカルシウム活性化カリウムチャネルの1種以上のアクチベータと組み合わせて、該悪性腫瘍の細胞に血液を送達する毛細血管もしくは細動脈の該治療剤、予防剤または診断剤に対する透過性を高めるのに十分な条件下で、かつ十分な量を投与する工程;および該治療剤または診断剤を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
  45. 前記悪性腫瘍が脳に局在する、請求項44に記載の方法。
  46. 前記悪性腫瘍が、前記哺乳動物被験体の***、骨、前立腺、肝臓、肺、喉頭、胆嚢、頭部、頚部、胃、腎臓、皮膚、子宮頚部、結合組織、副腎、膵臓、脊柱、胸郭、腹膜、腸、結腸、直腸、またはリンパ系に局在する請求項44に記載の方法。
  47. 前記哺乳動物がヒトである、請求項44に記載の方法。
  48. 前記ATP感受性カリウムチャネルのアクチベータが、直接的アゴニストである、請求項44に記載の方法。
  49. 前記直接的アゴニストが、ミノキシジルまたは硫酸ミノキシジルである、請求項48に記載の方法。
  50. 前記直接的アゴニストが、クロマカリム、レブクロマカリム、エマカリム、ビマカリム、セリカリム、リマカリム、ピナシジル、アプリカリム、ピカルタミド、ジアゾキシドまたはニコランジルである、請求項48に記載の方法。
  51. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルのアクチベータが、直接的アゴニストである、請求項44に記載の方法。
  52. 前記直接的アゴニストがNS1619、NS−1608、NS−04、NS−08またはEBIOである、請求項51に記載の方法。
  53. 前記ATP感受性カリウムチャネルのアクチベータが、間接的アクチベータである、請求項44に記載の方法。
  54. 前記間接的アクチベータが、アデニリルシクラーゼのアクチベータである、請求項53に記載の方法。
  55. 前記アデニリルシクラーゼのアクチベータがホルスコリンである、請求項54に記載の方法。
  56. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルのアクチベータが、間接的アクチベータである、請求項44に記載の方法。
  57. 前記間接的アクチベータが、可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータである、請求項56に記載の方法。
  58. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータが、一酸化窒素である、請求項57に記載の方法。
  59. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータがNO非依存性可溶性グアニリルシクラーゼアクチベータである、請求項57に記載の方法。
  60. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのNO非依存性アクチベータが、一酸化炭素、ポルフィリン、金属ポフィリン、YC−1、BAY−2272、BAY 41−2272、BAY 41−8543である、請求項59に記載の方法。
  61. 前記薬剤が抗増殖剤である、請求項44に記載の方法。
  62. 前記抗増殖剤が、カルボプラチンまたはシスプラチンである、請求項61に記載の方法。
  63. 前記治療剤または診断剤が、前記アクチベータと実質的に同時に前記哺乳動物被験体に投与される、請求項44に記載の方法。
  64. 前記アクチベータが、静脈内注入もしくは動脈内注入または静脈内注射もしくは動脈内注射によって前記哺乳動物被験体に投与される、請求項44に記載の方法。
  65. 前記アクチベータが、静脈内注入もしくは動脈内注入または静脈内注射もしくは動脈内注射によって前記哺乳動物被験体に投与される、請求項44に記載の方法。
  66. 哺乳動物における異常脳領域に治療剤、予防剤または診断剤を送達するために、該異常脳領域の細胞に血液を送達する毛細血管もしくは細動脈の該治療剤、予防剤、または診断剤に対する透過性を高めるのに十分な条件下で、かつ十分な量での、ATP感受性カリウムチャネルの1種以上のアクチベータのカルシウム活性化カリウムチャネルの1種以上のアクチベータと組み合わせた使用であって、該治療剤、予防剤または診断剤が該異常脳領域の細胞に選択的に送達される、使用。
  67. 前記ATP感受性カリウムチャネルのアクチベータが、直接的アゴニストである、請求項66に記載の使用。
  68. 前記直接的アゴニストが、ミノキシジルまたは硫酸ミノキシジルである、請求項66に記載の使用。
  69. 前記直接的アゴニストが、クロマカリム、レブクロマカリム、エマカリム、ビマカリム、セリカリム、リマカリム、ピナシジル、アプリカリム、ピカルタミド、ジアゾキシドまたはニコランジルである、請求項66に記載の使用。
  70. 前記ATP感受性カリウムチャネルのアクチベータが、間接的アクチベータである、請求項66に記載の使用。
  71. 前記間接的アクチベータが、アデニリルシクラーゼのアクチベータである、請求項70に記載の使用。
  72. 前記アデニリルシクラーゼのアクチベータが、ホルスコリンである、請求項70に記載の使用。
  73. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルのアクチベータが、直接的アゴニストである、請求項66に記載の使用。
  74. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルの直接的アゴニストが、NS1619、NS−1608、NS−04、NS−08またはEBIOである、請求項66に記載の使用。
  75. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルのアクチベータが、間接的アクチベータである、請求項66に記載の使用。
  76. 前記間接的アクチベータが、可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータである、請求項75に記載の使用。
  77. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータが、一酸化窒素である、請求項76に記載の使用。
  78. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータが可溶性グアニリルシクラーゼのNO非依存性アクチベータである、請求項77に記載の使用。
  79. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのNO非依存性アクチベータが、一酸化炭素、ポルフィリン、金属ポフィリン、YC−1、BAY−2272、BAY 41−2272、BAY 41−8543である、請求項78に記載の使用。
  80. 前記異常脳領域が腫瘍組織の領域である、請求項66に記載の使用。
  81. 前記腫瘍組織が悪性である、請求項66に記載の使用。
  82. 前記異常脳領域が、脳卒中によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項66に記載の使用。
  83. 前記異常脳領域が、細菌、ウィルスまたはプリオンの感染によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項66に記載の使用。
  84. 前記異常脳領域が、神経変性によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項66に記載の使用。
  85. 前記異常脳領域が、損傷または外傷によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項66に記載の使用。
  86. 前記治療剤が抗増殖剤である、請求項66に記載の使用。
  87. 前記抗増殖剤が、カルボプラチンまたはシスプラチンである、請求項66に記載の使用。
  88. 前記治療剤が抗脳卒中剤である、請求項66に記載の使用。
  89. 前記治療剤が、精神安定剤、抗けいれん薬、抗神経変性剤、アドレナリン作動剤、サイトカイン、治療的タンパク質、免疫毒素、免疫抑制薬、DNA発現ベクター、ウィルス粒子または治療的オリゴヌクレオチドである、請求項66に記載の使用。
  90. 前記哺乳動物がヒトである、請求項66に記載の使用。
  91. 前記治療剤または診断剤が、前記アクチベータと実質的に同時に前記哺乳動物被験体に投与される、請求項66に記載の使用。
  92. 前記アクチベータが、静脈内注入もしくは動脈内注入または静脈内注射もしくは動脈内注射によって投与される、請求項66に記載の使用。
  93. 前記アクチベータが、頸動脈内注入または頸動脈内注射によって投与される、請求項66に記載の使用。
  94. 哺乳動物における異常脳領域に治療剤、予防剤または診断剤を送達するために、該異常脳領域の細胞に血液を送達する毛細血管もしくは細動脈の該治療剤、予防剤、または診断剤に対する透過性を高める薬剤の製造において十分な条件下で、かつ十分な量での、ATP感受性カリウムチャネルの1種以上のアクチベータのカルシウム活性化カリウムチャネルの1種以上のアクチベータと組み合わせた使用であって、該治療剤、予防剤または診断剤が該異常脳領域の細胞に選択的に送達される、使用。
  95. 前記ATP感受性カリウムチャネルのアクチベータが、直接的アゴニストである、請求項93に記載の使用。
  96. 前記直接的アゴニストが、ミノキシジルまたは硫酸ミノキシジルである、請求項94に記載の使用。
  97. 前記直接的アゴニストが、クロマカリム、レブクロマカリム、エマカリム、ビマカリム、セリカリム、リマカリム、ピナシジル、アプリカリム、ピカルタミド、ジアゾキシドまたはニコランジルである、請求項94に記載の使用。
  98. 前記ATP感受性カリウムチャネルのアクチベータが、間接的アクチベータである、請求項94に記載の使用。
  99. 前記間接的アクチベータが、アデニリルシクラーゼのアクチベータである、請求項97に記載の使用。
  100. 前記アデニリルシクラーゼのアクチベータが、ホルスコリンである、請求項98に記載の使用。
  101. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルのアクチベータが、直接的アゴニストである、請求項94に記載の使用。
  102. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルの直接的アゴニストが、NS1619、NS−1608、NS−04、NS−08またはEBIOである、請求項94に記載の使用。
  103. 前記カルシウム活性化カリウムチャネルのアクチベータが、間接的アクチベータである、請求項94に記載の使用。
  104. 前記間接的アクチベータが、可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータである、請求項102に記載の使用。
  105. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータが、一酸化窒素である、請求項103に記載の使用。
  106. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのアクチベータが、可溶性グアニリルシクラーゼのNO非依存性アクチベータである、請求項104に記載の使用。
  107. 前記可溶性グアニリルシクラーゼのNO非依存性アクチベータが、一酸化炭素、ポルフィリン、金属ポフィリン、YC−1、BAY−2272、BAY 41−2272、BAY 41−8543である、請求項105に記載の使用。
  108. 前記異常脳領域が腫瘍組織の領域である、請求項94に記載の使用。
  109. 前記腫瘍組織が悪性である、請求項94に記載の使用。
  110. 前記異常脳領域が、脳卒中によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項94に記載の使用。
  111. 前記異常脳領域が、細菌、ウィルスまたはプリオンの感染によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項94に記載の使用。
  112. 前記異常脳領域が、神経変性によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項94に記載の使用。
  113. 前記異常脳領域が、損傷または外傷によって生理学的に侵された脳組織の領域である、請求項94に記載の使用。
  114. 前記治療剤が抗増殖剤である、請求項94に記載の使用。
  115. 前記抗増殖剤が、カルボプラチンまたはシスプラチンである、請求項94に記載の使用。
  116. 前記治療剤が抗脳卒中剤である、請求項94に記載の使用。
  117. 前記治療剤が、精神安定剤、抗けいれん薬、抗神経変性剤、アドレナリン作動剤、サイトカイン、治療的タンパク質、免疫毒素、免疫抑制薬、DNA発現ベクター、ウィルス粒子または治療的オリゴヌクレオチドである、請求項94に記載の使用。
  118. 前記哺乳動物がヒトである、請求項94に記載の使用。
  119. 前記治療剤または診断剤が、前記アクチベータと実質的に同時に前記哺乳動物被験体に投与される、請求項94に記載の使用。
  120. 前記アクチベータが、静脈内注入もしくは動脈内注入または静脈内注射もしくは動脈内注射によって投与される、請求項94に記載の使用。
  121. 前記アクチベータが、頸動脈内注入または頸動脈内注射によって投与される、請求項94に記載の使用。
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