JP2007291595A - オフセット印刷用中性新聞用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸水抵抗性に優れ、摩擦係数が最適な範囲にあるオフセット印刷用中性新聞用紙を提供すること。
【解決手段】填料として炭酸カルシウムを主体とする原紙上に、表面処理剤が塗工されたオフセット印刷用中性新聞用紙であって、前記表面処理剤がカチオン性表面サイズ剤、ノニオン性乳化剤又はカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョン、及び水溶性高分子物質を少なくとも含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、オフセット印刷用中性新聞用紙に関する。
近年、新聞用紙は、古紙由来の炭酸カルシウムの有効利用の点から、従来の酸性抄紙から中性抄紙に移行している。さらに填料として炭酸カルシウムを多く使用し、紙中灰分を増やすことで、該新聞用紙は、オフセット印刷した場合、高白色なためカラー印刷面が鮮やかである、不透明性に優れる、他填料と比較してブランケット紙粉のパイリングが少ないといった品質と作業性の面で優れた印刷適性を有している。しかしながらその用紙の物性の面をみてみると、紙中灰分が増加するに従い、紙の摩擦係数が上昇する傾向にあり、オフセット印刷時の剣先詰まりや皺の発生、印刷テンション増加による色ずれ等の発生要因となる。
さらに、中性新聞用紙では、従来の酸性新聞用の表面サイズ剤では十分な紙の吸水抵抗性(サイズ性)が得られないため、カチオン性表面サイズ剤(例えば、特許文献1、2参照)を塗布する方法があるが、一般的にこれらカチオン性表面サイズ剤は、紙表面に塗布することによって用紙の摩擦係数が上昇する。また、新聞用紙に表面処理剤として使用されるサイズ剤以外の澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子物質によっても、紙の摩擦係数が処理前に比べて上昇することがほとんどである。
新聞用紙は、印刷所毎に実に様々な印刷機機種、印刷条件で使用されているため、同じ摩擦係数でも一方の印刷所で問題ない場合でも、もう一方で摩擦係数に起因する印刷走行性の問題が発生する場合がある。このように新聞用紙は摩擦係数が高過ぎても、低過ぎても紙流れ等の問題が起きるため最適な範囲にある必要があり、かつ必要に応じて摩擦係数を細かく調整する技術が必要である。
一般的な紙の摩擦係数を低下させる方法として、内添と外添の方法がある。内添の方法としては、抄造時にアルキルケテンダイマー(AKD)やアルケニル琥珀酸無水物(ASA)等の樹脂成分を含有する内添サイズ剤によりすべり性を付与する方法や填料としてタルクを添加して紙に抄き込む方法がある。しかしながら、内添サイズ剤による方法は、目標とする吸水抵抗性を得るために必要とされるサイズ剤量が決まるため、その時、必ずしも最適な摩擦係数が得られるわけではない。逆に摩擦係数の調節を優先してAKDの添加量を決めると、最適な吸水抵抗性が得られない。さらにAKDを内添した場合にはAKDが紙巻取り内でマイグレーションすることにより、上巻きの摩擦係数が極端に低下するため、印刷時の紙流れを発生させる原因となる。タルク内添による方法は、相対的に炭酸カルシウムの添加量が減少するため、上述したような炭酸カルシウムの利点を損なうことや、炭酸カルシウムに比べて紙粉発生量が多くなる等の短所がある。
このため、表面処理剤を原紙表面に塗布する外添による方法が検討されている。内添サイズ剤であるAKDやASAを適当な分散剤で処理したエマルジョンを表面サイズ剤として用いる場合があるが、表面処理剤の液中で加水分解を起こし、吸水抵抗性を損なう。しかも摩擦係数は少量で急激に低下するため、摩擦係数のコントロールが極めて困難である。例えば、吸水抵抗性と摩擦係数を最適な範囲にするためにサイズ剤としてアルケニルケテンダイマーを塗工する方法が提案されている(特許文献3参照)。
また、ポリエチレンワックスを含有する表面処理剤を塗布する技術として、例えば、表面処理剤の主成分である共重合体ラテックスに離型剤としてポリエチレンワックスを含有する方法が提案されている(特許文献4参照)。この技術では、ポリエチレンワックスと、新聞用紙用として一般的に使用されている澱粉やポリビニルアルコールよりも摩擦係数の高いラテックスとを併用することで摩擦係数の低下を抑制している。また、顔料塗工用の滑剤として、ポリエチレンワックス系滑剤の方法が提案されている(特許文献5参照)。
国際公開WO2005/009288号 特開2006-016713号公報 特開2004-250844号公報 特開平11-158795号公報 特開平3-137295号公報
上記特許文献3は、サイズ剤としてアルケニルケテンダイマーを塗工するものであるが、摩擦係数のコントロールにサイズ剤の塗布量を変えて調節するため、点滴吸水度も大きく変化してしまい、製品品質の安定性に欠けるという問題がある。
特許文献4は、表面処理剤の主成分である共重合体ラテックスに離型剤としてポリエチレンワックスを含有するものであるが、ネッパリ性と表面強度の改善について記載されているものの、積極的に摩擦係数をコントロールすることに主眼を置いてはおらず、吸水抵抗性や表面サイズ剤との併用に関しての記述もない。
また、特許文献5には、顔料塗工用の滑剤としてポリエチレンワックス系滑剤が記載されているが、顔料塗工では塗料のpHは通常7以上、中性新聞用紙では通常使用される澱粉とカチオン性サイズ剤を含む塗料ではpHは4.5〜6.5となる。そのため中性新聞用紙の表面処理剤に顔料塗工用の滑剤を添加すると表面処理剤液の分散安定性が低下し、塗布時に大きなシェアがかかると凝集物が発生し、操業上大きな問題となる。
以上のように、いずれの特許文献の方法においても、中性新聞用紙に表面処理剤を塗工して効果的な吸水抵抗性を付与し、かつ吸水抵抗性を目標とする程度に維持しながら摩擦係数を最適な範囲に調節するには不十分であり、これを可能とする表面処理剤の開発が望まれていた。
そこで、本発明は、吸水抵抗性を目標とする程度に維持しながら、摩擦係数の上昇が抑えられて最適な範囲に調節されたオフセット印刷用中性新聞用紙を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、原紙上に、表面処理剤が塗工されたオフセット印刷用中性新聞用紙であって、前記表面処理剤が下記の(A)、(B)及び(C)を含有することを特徴とする。
(A)カチオン性表面サイズ剤、(B)ノニオン性乳化剤またはカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョン、(C)水溶性高分子物質。
請求項2に記載の発明は、(A)カチオン性サイズ剤が、少なくとも成分a;3級アミノ基含有モノマー20〜40重量%と成分b;(メタ)アクリル酸のC4〜C18アルキルエステル10〜80重量%とをアゾ系重合開始剤を用い連鎖移動剤の存在下で重合して得られる共重合体を4級化したものであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記アゾ系重合開始剤が、アゾビスメチルブチロニトリル、ジメチルアゾビスイソブチレート、またはアゾビスジメチルバレロニトリルの少なくとも1種であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、(A)カチオン性サイズ剤が、成分aと成分bとに加えてさらに成分c;スチレン類70重量%以下を重合して得られる共重合体であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、(B)ノニオン性乳化剤またはカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョンが、動的光散乱式粒度分布測定装置による平均粒子径が20〜300nmの範囲であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、(B)ノニオン性乳化剤またはカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョンの塗布量が、両面あたり0.005〜0.025g/mであることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、(A)カチオン性表面サイズ剤と(B)ノニオン性乳化剤またはカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョンとの固形分重量比が、(A)/(B)=100/5〜100/30であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、原紙の紙中灰分が固形分比で10〜20重量%であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、前記塗工層を設けたオフセット印刷用中性新聞用紙の静摩擦係数が0.50〜0.75かつ動摩擦係数が0.40〜0.60であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、前記共重合体の重量平均分子量が3万〜6万であることを特徴とする。
本発明によれば、オフセット印刷用中性新聞用紙において、カチオン性サイズ剤の高いサイズ性を維持したまま、摩擦係数を最適な範囲に調整できる。従って、摩擦係数に起因するオフセット印刷時の剣先詰まりや皺の発生、印刷テンション増加による色ずれ等の問題を改善することができる。
さらに、填料である炭酸カルシウムを紙中灰分として多く含有させても、紙の摩擦係数を過度に大きくすることがなく、白色度、不透明性の高いオフセット印刷用中性新聞用紙を得ることができる。
本発明のオフセット印刷用中性新聞用紙は、填料として炭酸カルシウムを主体とする原紙上に、下記の(A)、(B)及び(C)を少なくとも含有する表面処理剤を塗工、乾燥してなる塗工層を設けることにより得ることができる。
(A)カチオン性表面サイズ剤
(B)ノニオン性乳化剤またはカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョン
(C)水溶性高分子物質
<カチオン性表面サイズ剤>
本発明において、表面処理剤に含有される(A)カチオン性表面サイズ剤としては、特に制限されるものではないが、少なくとも成分a;3級アミノ基含有モノマー20〜40重量%と成分b;(メタ)アクリル酸のC4〜C18アルキルエステル10〜80重量%とを、アゾ系重合開始剤を用いて連鎖移動剤の存在下で重合して得られる、重量平均分子量3万〜6万の共重合体を4級化したものが好ましく用いられる。このようなカチオン性表面サイズ剤は、(B)のポリエチレンワックスエマルジョンと混合したとき、増粘したり凝集することがなく好ましい。また、従来、表面サイズ剤を用いると、オフセット印刷時に表面サイズ剤が湿し水を介してPS版上に転移し、PS版上の非画線部を感脂化して地汚れなどと呼ばれる版汚れを引き起こす弊害があるが、本発明で用いられるカチオン性表面サイズ剤は耐版汚れ性にも優れており好ましい。
(ア.共重合成分)
本発明で使用するカチオン性表面サイズ剤の組成について、以下に詳細に説明する。
成分a;3級アミノ基含有モノマーとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが適当である。
上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどが代表であり、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが代表であり、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
成分b;(メタ)アクリル酸のC4〜C18アルキルエステルとしては、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの環状又は非環状の炭化水素エステルが挙げられる。このように、成分bの(メタ)アクリル酸エステルは、C4〜C18アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを初め、エステル部分に芳香族や脂環式の炭化水素基を含んだものでも良い。
また、成分bはメチルメタクリレート(MMAと略す)などの(メタ)アクリル酸のC1〜C3エステル(即ち、短鎖エステル)は含まれないが、下述のように、この共重合体を得る際に、成分aからc以外のその他のモノマーとして、これらの(メタ)アクリル酸の短鎖エステルを使用しても良いことは言うまでもない。
成分bの好ましい例としては、エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレートが挙げられる。
さらに、本発明では、成分a、bにさらに成分c;スチレン類を加えて共重合体としてもよい。成分cとしては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルトルエン、クロルメチルスチレンなどが挙げられる。
カチオン性表面サイズ剤を構成する共重合体の重合に際しては、上記成分a〜c以外に、必要に応じて、その他の共重合性ビニルモノマーを使用することができる。
上記その他のモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートなどのC1〜C3の短鎖アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。
従って、例えば、成分a、あるいはさらに成分cを含み、(メタ)アクリル酸エステルとして、C4〜C18の長鎖アルキルエステルとC3以下の短鎖アルキルエステルを併用した共重合体は、このカチオン性表面サイズ剤の共重合体に含まれるが、(メタ)アクリル酸エステルとしてC3以下の短鎖アルキル(メタ)アクリレートのみを使用し、C4〜C18の長鎖アルキルエステルを使用しない場合は、この共重合体からは外れる。尚、(メタ)アクリル酸エステルにおいては、エステルの炭素数が増すほどサイズ剤の基本物性である撥水性への寄与が高まる。
本発明で使用するカチオン性表面サイズ剤の主成分である共重合体を構成する各モノマーの比率を述べると、まず、成分a;3級アミノ基含有モノマーは20〜40重量%であり、好ましくは22〜35重量%である。20重量%よりも少ないと、水溶化するときの溶解度が退化し、40重量%を超えると、疎水性が低下してサイズ効果が減少してしまう。
成分b;(メタ)アクリル酸のC4〜C18アルキルエステルの含有量は10〜80重量%であり、好ましくは15〜70重量%である。10重量%より少ないと、疎水性が低下するとともに、溶液重合に際して溶解性が低下して共重合性が悪くなり、また、インキとの親和性が低下する。80重量%を超えると、3級アミノ基含有モノマーの比率が低くなり過ぎる。即ち、インキとの親和性を良好に具備させるには、疎水性モノマーとして適正量の成分bが必要である。
また、成分c;スチレン類の含有量は70重量%以下であり、好ましくは60重量%以下である。70重量%を超えると、インキとの親和性が低下し、また、溶液重合に際して共重合性が悪くなる。共重合性が低下すると、溶液重合後に水溶化し、4級化する際に、表面サイズ剤の有効成分が凝集したミクロ粒子状となって紙表面に点在し、不均一な表面塗布しかできないため、サイズ効果が低減する恐れがある。従って、成分cは含有しないことが最も好ましい。但し、成分c;スチレン類は、(メタ)アクリル酸エステルより疎水性に優れるため、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で共重合体の適正量含有することは差し支えない。
更に、その他のモノマーは必要に応じて使用されるが、その含有量は30重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
(イ.溶媒)
基本的に、この共重合体は成分a〜cを構成モノマーとして、有機溶媒中で溶液重合により製造される。上記有機溶媒としては、アルコール、ケトン等の酸素含有炭化水素類や、トルエン等の芳香族炭化水素類などが挙げられる。
溶媒としては、イソプロピルアルコール(IPAと略す)、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、3-メチル-2-ブタノール、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBKと略す)、ジイソプロピルケトン、エチルベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
また、150℃以上の沸点で水への適度な溶解度(適度の親水性)を有する有機溶媒を使用すると、表面サイズ剤を塗布する際の臭気を抑制するのに有効である。具体的には、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、ベンジルアルコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどである。
有機溶媒の全モノマーに対する使用量は30重量%以下が適量であり、好ましくは20重量%以下である。
(ウ.連鎖移動剤)
共重合体の溶液重合に際して粘度上昇を防止して重合反応を円滑に行う見地から、アゾ系重合開始剤を用いて連鎖移動剤の存在下で重合することが必要である。
上記連鎖移動剤は油溶性、水溶性の連鎖移動剤を任意に使用できるが、親油性の有機溶媒中で重合する場合には油溶性連鎖移動剤が、また、逆に親水性の有機溶媒を使用する場合には水溶性連鎖移動剤が相対的に好ましい。
上記油溶性連鎖移動剤としては、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸ドデシルエステルなどのメルカプタン類の他、クメン、四塩化炭素、α-メチルスチレンダイマー、ターピノーレンなどが挙げられる。
上記水溶性連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリコール酸及びその塩などが挙げられる。
モノマーに対する連鎖移動剤の使用量は1〜5重量%程度が好ましいが、この範囲に制限されるものではない。
(エ.重合開始剤)
使用する重合開始剤はアゾ系重合開始剤であるが、水素引き抜きに起因した架橋化による分子量の増大や、枝分かれに伴う複雑な分子構造による溶解性の低下が著しく起こさない程度で有れば、過硫酸ベンゾイル、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、クメンヒドロペルオキシドなどの過酸化物系重合開始剤を併用して使用しても良い。
上記アゾ系重合開始剤としては、アゾビスメチルブチロニトリル、ジメチルアゾビスイソブチレート、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル(AIMNと略す)などが挙げられる。なかでも、溶液重合に際して、溶剤並びに共重合体の構成モノマーへの溶解性を増す見地から、アゾ系重合開始剤のエタノールに対する溶解度(25℃)は15g/100g以上が好ましい。当該エタノール溶解度を満たすアゾ系重合開始剤には、オゾビスメチルブチロニトリル、ジメチルアゾビスイソブチレート、オゾビスジメチルバレロニトリルなどがある。
上記過酸化物系重合開始剤は、過硫酸ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
このように、有機溶媒中にて連鎖移動剤並びにアゾ系開始剤の存在下で溶液重合を行うのであるが、当該溶液重合は公知の方式により行えば良く、特に制限されるものではない。
(オ.4級化)
構成モノマーとしては上記成分a〜c以外、あるいは必要に応じて他の成分を溶液重合して得られた共重合体は、3級のまま使用しても同様な効果が得られるが、好ましくは4級化剤によりカチオン処理される。
上記4級化剤はジメチル硫酸、メチルクロライド、アリルクロライド、ベンジルクロライド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エチレンクロルヒドリン、3-クロロー2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどを単用又は併用できる。4級化剤の中では、エピクロルヒドリン、ベンジルクロライド、3-クロロー2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
4級化に際しては、共重合体が有する3級アミノ基の50〜100モル%を4級化して、完全又は部分4級化することが好ましい。
共重合体を4級化することにより、中性、アルカリ側を含めた広いpH領域で溶解性が増し、良好なサイズ効果を発揮することができる。
この4級化処理は、一般には、カチオン性共重合体を水溶化した後、溶剤を除去し、共重合体を4級化することにより行われるが、4級化した後に溶剤を除去しても差し支えない。
また、4級化処理は、溶液重合の円滑化の見地から、成分a;3級アミノ基含有モノマーを含む構成モノマーを共重合した後に、4級化剤でカチオン処理することが基本であるが、3級アミノ基含有モノマーを予め4級化し、得られた4級アンモニウム塩基含有モノマーを共重合することもできる。
この場合、4級モノマーの重合条件は、3級モノマーを重合する場合の処理条件と同様である。
(カ.分子量)
このような方法で合成した、カチオン性表面サイズ剤は一般的には分子量が大きい方がサイズ性が高いが、分子量が大きいと溶液の粘度が高く、製造作業性面、水溶性高分子との相溶性とサイズ性能のバランス面、オフセット印刷時の版汚れを避けるためにも3万〜6万の重量平均分子量が適当である。
<ポリエチレンワックスエマルジョン>
本発明では、表面処理剤に含有される(B)として、ノニオン性乳化剤またはカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョンが用いられる。ポリエチレンワックスエマルジョンが配合されることにより、カチオン性表面サイズ剤を含む表面処理剤にすべり性が付与されて、カチオン性表面サイズ剤の高いサイズ性を維持したまま、摩擦係数の上昇を抑えて最適な範囲に調整することができる。
本発明で使用するノニオン性乳化剤又はカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョンにおいて、原料ポリエチレンは公知の方法で製造されるものであり、例えばエチレンをラジカル触媒による高温高圧下で重合するか、あるいは、チーグラー触媒により低圧で重合して得られる。得られたポリエチレンワックス原体は、乳化剤を用いて乳化分散した水性エマルジョンの形態とする。該エマルジョンの製造方法は、水、ポリエチレンワックスおよび乳化剤を反応容器に入れ、ポリエチレンワックスの融点以上に加熱し撹拌により乳化分散後冷却する。あるいは、予め微粒子に粉砕したポリエチレンワックスを乳化剤を用いてそのまま水に分散させることによって得られる。
このときの乳化剤は、ノニオン性又はカチオン性である必要がある。これは、アニオン性乳化剤でエマルジョン化したポリエチレンワックスの場合、表面処理剤中のカチオン性表面サイズ剤との相溶性が悪く、凝集等を引き起こすことから、ノニオン性又はカチオン性乳化剤を用いる必要があるのである。
適するノニオン性乳化剤としては、公知のものを使用でき、具体的には、例えば、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル類、ポリキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体等が挙げられる。これらのノニオン性乳化剤は一種又は二種以上を組み合わせて用いても良い。
また、カチオン性乳化剤としては、公知のものを使用でき、具体的には、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、メチルエチルアミノスチレン等が挙げられる。これらのカチオン性乳化剤は一種又は二種以上を組み合わせて用いても良い。
ノニオン性乳化剤又はカチオン性乳化剤の使用割合は、ポリエチレンワックス原体100重量部に対して、0.3〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、更に好ましくは0.5〜10重量部である。0.3重量部未満であるとポリエチレンワックスの乳化が充分ではなくなり、得られるエマルジョンの平均粒子径が粗大となり、また平均粒子径分布もブロードとなるため、紙の摩擦係数を低下させる効果が小さくなるという問題がある。一方、50重量部を超えるとポリエチレンワックスの乳化自体は良好であるが、得られるエマルジョン粒子の平均粒子径が小さくなり過ぎることがあり、この場合、紙の摩擦係数を低減する効果が小さくなり、更に表面処理剤が泡立ちやすく、抄紙上の問題となることがある。
ポリエチレンワックスエマルジョンは、動的光散乱式粒度分布測定装置による平均粒子径で20〜300nmが好ましく、100〜300nmであることが更に好ましい。20nm未満では新聞用紙の摩擦係数を低下させる効果が小さい。パルプ繊維が積層し絡み合って紙層が形成されているため、紙表面は多くの凹凸部が存在し、その紙表面にポリエチレンワックスエマルジョンを塗布した場合、ポリエチレンワックスの平均粒子径が小さ過ぎると紙表面の凹部にエマルジョン粒子が埋没するため、摩擦係数を低減させる効果が小さくなるものと考えている。一方、300nmを超えると紙表面の凹部にエマルジョン粒子が埋没することはないが、ポリエチレンワックスエマルジョンの塗布量が一定の場合、平均粒子径が大きいほど粒子数が少なく、紙表面にエマルジョン粒子がまばらにしか存在せず、これが原因で摩擦係数を低下させる効果が小さくなるものと考えている。
<水溶性高分子物質>
本発明では、表面処理剤に(C)水溶性高分子物質が含有される。水溶性高分子物質としては、例えば、澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(例えば、ヒドロキシエチル化澱粉等)、カチオン化澱粉等の澱粉類、ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド等のポリアクリルアミド類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。新聞用紙の表面強度を向上させ、オフセット印刷時の紙粉パイリング(ブランケトパイリング)、結束パルプ繊維に起因するヒッキー、ベッセルに起因する白ポチなどの発生を抑制する上で、これらの水溶性高分子物質の使用は重要である。中でも、表面強度の向上効果とネッパリ防止とのバランスから澱粉類が好ましく使用でき、その中でも、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉が最も好ましい。
<表面処理剤の調整>
本発明においては、上述の方法で製造した(A)のカチオン性表面サイズ剤に、(B)のポリエチレンワックスエマルジョンを添加混合した後、(C)の水溶性高分子物質を更に混合して表面処理剤を調製しても良い。この場合、カチオン性表面サイズ剤とポリエチレンワックスエマルジョンとの混合は、カチオン性表面サイズ剤の製造直後でも良いし、表面処理剤を調製する時点でカチオン性表面サイズ剤へポリエチレンワックスエマルジョンを添加混合する方法でも良い。また、表面処理剤の調製時に、カチオン性表面サイズ剤、ポリエチレンワックスエマルジョン、及び水溶性高分子物質をそれぞれ別々に添加して混合しても良い。
<塗布量>
原紙へのカチオン性表面サイズ剤の塗布量は、要求される吸水抵抗性(言い換えれば、サイズ性)により適宜調整するが、一般的には両面当たりの塗布量(固形分重量)で0.01〜0.5g/mであり、0.01g/m未満では充分な吸水抵抗性が得られず、0.5g/mを超えると吸水抵抗性は高く問題はないが、オフセット印刷時に用いる湿し水へ表面サイズ剤が溶出、蓄積し、印刷版を感脂化し、印刷面に地汚れが発生する場合がある。
原紙へのポリエチレンワックスエマルジョンの塗布量は、本発明で規定する摩擦係数の範囲内に入るように適宜調整するが、両面当たりの塗布量(固形分重量)で0.005〜0.025g/mが好ましい。0.005g/m未満では摩擦係数低下の効果がほとんどなく、0.025g/mを超えると静摩擦係数及び/又は動摩擦係数が過度に低下し、本発明で規定する摩擦係数の範囲外になるため紙流れ等の問題が発生する。
ポリエチレンワックスエマルジョンの添加方法は前述のように、(1)表面処理剤の調製時に、カチオン性表面サイズ剤、ポリエチレンワックスエマルジョン、及び水溶性高分子物質をそれぞれ別々に添加する方法、(2)カチオン性表面サイズ剤にポリエチレンワックスエマルジョンを添加混合する方法、がある。(1)の添加方法の場合には両面当たりの塗布量(固形分重量)が0.005〜0.025g/mとなるように、表面処理剤液中にポリエチレンワックスエマルジョンを添加する。(2)の添加方法の場合、カチオン性表面サイズ剤の添加量は要求される吸水抵抗性により変わるので、この添加量の変動を考慮に入れ、しかもポリエチレンワックスエマルジョンの両面当たりの塗布量(固形分重量)が0.005〜0.025g/mとなるように、カチオン性表面サイズ剤液中へポリエチレンワックスエマルジョンを添加する必要がある。カチオン性表面サイズ剤固形分に対しては、5〜30固形分重量%添加することが好ましい。
原紙への水溶性高分子物質の塗布量は、原料パルプの種類と配合、紙中灰分量、必要とされる表面強度等により適宜調整するが、一般的には両面当たりの塗布量(固形分重量)で、0.05〜1.5g/mである。各水溶性高分子物質の塗布量が、この範囲未満では充分な表面強度が得られず、この範囲を超えるとネッパリ強度が高くなるという問題がある。
<塗工装置>
表面処理剤を新聞用紙の原紙に塗布する塗工装置としては、特に限定されるものではなく、例えば、ゲートロールコーター、サイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター等、一般に公知公用の塗工装置が適宜使用される。
<原紙>
本発明のオフセット印刷用中性新聞用紙に用いられる原紙は、填料として炭酸カルシウムを主体として含有するものが好ましく、紙面pH6〜9程度である。通常の中性抄紙では抄紙工程で紙料に硫酸バンドを添加しても炭酸カルシウムが相対的に多く存在することにより完全に中和され、特にpH調整を行わない限り、紙料や白水のpHは安定的に中性領域となる。このようにして抄造された中性新聞用紙の紙面pHは上記の範囲内となる。
本発明における原紙は、グランドパルプ(GP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミカルサーモメカニカルパルプ(CTMP)、等のメカニカルパルプ(MP)、クラフトパルプ(KP)に代表されるケミカルパルプ(CP)、これらのパルプを含む古紙を脱墨して得られる脱墨パルプ(DIP)、及び抄紙工程からの損紙を離解して得られる回収パルプ等を、単独あるいは任意の比率で混合し、一般に公知公用の抄紙機によって抄紙されたものである。全パルプ中のDIPの配合率は、最近のDIPの高配合化の流れからすると50〜100重量%の範囲が好ましい。
本発明における原紙は、絶乾重量に対する灰分が3重量%以上であることが好ましく、10〜20重量%の範囲であることがより好ましい。灰分が10重量%以上であると、紙の不透明性が高く、オフセット印刷した場合のインキ裏抜けが目立たない。また灰分が高すぎると紙の強度や吸水抵抗性が低下し、断紙や紙粉パイリング等の問題が生じやすいため、20重量%以下程度が好適である。さらに灰重量に対する炭酸カルシウムの割合が60重量%以上であることが好ましい。通常DIPの灰成分の中では炭酸カルシウムの割合が多くを占める場合が多いが、DIPには炭酸カルシウム以外の灰成分も多く含まれ、その割合は新聞古紙、雑誌古紙等の古紙種類や回収状況等により異なるため、品質変動の要因になる。また灰成分はトナーや異物を含有し、紙面ダートや紙面欠陥の原因となる場合もある。そのためDIPの灰分を填料として利用することも行うが、DIP中の灰成分を洗浄工程である程度洗い出し、新たにフレッシュな填料として炭酸カルシウムを添加する。
填料として炭酸カルシウムを添加し、紙中の炭酸カルシウムを増やすほど紙の摩擦係数が上昇する。このため、オフセット印刷用中性新聞用紙の中でも、紙中の炭酸カルシウムが多いほど、本発明で使用するポリエチレンを構成成分として含有するカチオン性表面サイズ剤を塗布することによる紙の摩擦係数の低減効果が大きくなる。このようにして、得られるオフセット印刷用中性新聞用紙の摩擦係数を過度に上昇させることなく、填料として炭酸カルシウムを高配合できるため、紙の白色度、不透明度を向上させることができる。
本発明における原紙の抄造時、必要に応じて、一般に公知公用の製紙用填料、抄紙用薬品を適宜使用することができる。填料としては、炭酸カルシウム以外に、ホワイトカーボン、クレー、シリカ、タルク、酸化チタン、合成樹脂填料(塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、スチレン/ブタジエン系共重合体樹脂等)等を使用しても良い。また、抄紙用内添薬品としては、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂等の紙力増強剤、アクリルアミド−アミノメチルアクリルアミド共重合体の塩、カチオン化澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体等の濾水性及び/又は歩留まり向上剤、ロジンサイズ剤、エマルジョンサイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル琥珀酸無水物(ASA)等の内添サイズ剤、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、紫外線防止剤、退色防止剤、消泡剤等の助剤等を含有してもよい。また、原紙の坪量としては特に限定されるものではないが、34〜50g/mの範囲である。この新聞原紙の物性に関しては、オフセット印刷で印刷可能である必要があり、通常の新聞用紙程度の引張り強度、引裂き強度、伸び等の物性を有するものであればよい。
<摩擦係数>
本発明におけるオフセット印刷用中性新聞用紙の適切な摩擦係数の範囲とは、静摩擦係数0.50〜0.75、動摩擦係数0.40〜0.60の範囲であり、この範囲にあることにより、摩擦係数が高いことに起因するオフセット印刷時の剣先詰まりや皺の発生、印刷テンション増加による色ずれ等の問題を改善することができる。好ましくは静摩擦係数0.55〜0.70、動摩擦係数0.45〜0.55の範囲である。
(実施例)
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例の中の%、部は特に断らない限り、それぞれ重量%、重量部を示す。
[カチオン性表面サイズ剤の製造方法]
(合成例1)
スチレン50部、2-エチルヘキシルメタクリレート20部と、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド30部と、連鎖移動剤のn-ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール42.7部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱して、開始剤として2,2-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(25℃のエタノールへの溶解度75g/100g)2.5部を加え、90℃で3時間重合した。このとき、サンプリングしてshodexGPCシステム-21H(カラムGF-7M、GF-310、溶媒DMFでポリスチレン換算値)で分子量を測定したところ、重量平均分子量は43,000であった。次いで、水340部と90%酢酸12.8部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してイソプロピルアルコールを留去した。その後、85℃でエピクロルヒドリン17.7部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄微濁液の表面サイズ剤を得た。(4級化率100%)
(合成例2)
スチレン60部と、n-ブチルメタクリレート15部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート25部と、連鎖移動剤のt-ドデシルメルカプタン2部と、トルエン42.7部とを4つ口フラスコに入れ、105℃まで加熱して、開始剤としてジメチル-2,2-アゾビスイソブチレート(25℃のエタノールへの溶解度130g以上/100gエタノール)2部を加え、110℃で3時間重合した。このときの共重合物の重量平均分子量は35,000であった。次いで、水350部と90%%酢酸10.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してトルエンを留去し、水で希釈して、固形分20%、淡黄微濁液の表面サイズ剤を得た。(4級化率60%)
(合成例3)
n-ブチルメタクリレート50部と、ラウリルメタクリレート20部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート30部と、連鎖移動剤のt-ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール32.5部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱し、開始剤として2,2-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル(25℃のエタノールへの溶解度20g/100gエタノール)2部を加え、90℃で3時間重合した。このときの共重合物の重量平均分子量は48,000であった。次いで、水335部と、酢酸12.7部を加えて水溶化した後、溶媒蒸留せずに85℃でエピクロルヒドリン17.7部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄微濁液の表面サイズ剤を得た。(4級化率100%)
(合成例4)
スチレン30部と、イソブチルメタクリレート48部と、ジエチルアミノエチルアクリレート22部と、連鎖移動剤のn-ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール47.5部とを4つ口フラスコに入れ、90℃まで加熱し、開始剤として2,2-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(25℃のエタノールへの溶解度75g/100gエタノール)2部を加え、90℃で3時間重合した。このときの共重合物の重量平均分子量は37,000であった。次いで、水330部と90%酢酸9.3部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してイソプロピルアルコールを留去した。その後、85℃で塩化ベンジル15.9部を加えて4時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄微濁液の表面サイズ剤を得た。(4級化率90%)
(合成例5)
スチレン50部と、2-エチルヘキシルメタクリレート15部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート35部と、連鎖移動剤のt-ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール47.5部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱し、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(25℃のエタノールへの溶解度2.7g/100gエタノール)2部を加え、90℃で3時間重合した。このときの共重合物の重量平均分子量は60,000であった。次いで、水350部と90%酢酸14.8部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してイソプロピルアルコールを留去した、その後、85℃でエピクロルヒドリン20.7部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、微白濁液の表面サイズ剤を得た。(4級化率100%)
(合成例6)
スチレン55部と、n-ブチルメタクリレート15部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート30部と、連鎖移動剤のt-ドデシルメルカプタン1.8部と、イソプロピルアルコール45部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱して、開始剤としてジメチル-2,2-アゾビスイソブチレート(25℃のエタノールへの溶解度130g以上/100gエタノール)1.5部とt-ブチルパ-オキシ-2-エチルヘキサノエート0.5部を加え、90℃で3時間重合した。このときの共重合物の重量平均分子量は41,000であった。次いで、水350部と酢酸12.7部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してイソプロピルアルコールを留去した。その後、80℃で3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド25.1部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄微濁液の表面サイズ剤を得た。(4級化率70%)
[ポリエチレンワックスエマルジョン]
使用したポリエチレンワックスエマルジョンの調製時に添加した乳化剤の商品名、成分、イオン性、及び該エマルジョンの動的光散乱式粒度分布測定装置による平均粒子径を表1に示した。
Figure 2007291595
[実施例1]
TMP20部、DIP75部、NBKP5部から成る混合パルプスラリーを調製し、この混合パルプ100部(固形分重量)に対して硫酸バンドを1.3部、炭酸カルシウム20部(商品名:オプチカルHF、イメリス社製、平均粒子径1.5μm)を添加し、ツインワイヤー型抄紙機にて、坪量43g/m、厚さ70μm、灰分18%の中性新聞用紙の原紙を得た。
次にヒドロキシエチル化澱粉(商品名:ETHYLEX-2025、STAYLEY社製)を蒸煮したものを濃度7%に調製し、澱粉固形分重量に対し、上記の合成例1のカチオン性表面サイズ剤を15固形分重量%添加し、更にポリエチレンワックスエマルジョンA(商品名:WAX-E1、ハリマ化成株式会社製、平均粒子径110nm、ノニオン性乳化剤)を3固形分重量%添加(カチオン性表面サイズ剤固形分重量に対し20固形分重量%になる)して、表面処理剤を調製した。
次にゲートロールコーターにて塗工速度1200m/分で上記の原紙に表面処理剤を澱粉塗布量が両面で0.5g/mになるように塗工し乾燥後、80℃のホットソフトニップカレンダーで1ニップ処理し、オフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例2]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの澱粉固形分重量に対する添加量を1.5固形分重量%(カチオン性表面サイズ剤固形分重量に対し10固形分重量%になる)に変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例3]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスエマルジョンB(商品名:WAX-E3、ハリマ化成株式会社製、粒径40nm、カチオン性乳化剤)を使用した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例4]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスエマルジョンC(商品名:MYE-3510、丸芳化成品株式会社製、粒径90nm、ノニオン性乳化剤)を使用した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例5]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスエマルジョンD(商品名:ポリエチレンエマルジョン、ユサ・テクニカ・ジャパン株式会社製、粒径50nm、ノニオン性乳化剤)を使用した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例6]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスエマルジョンE(商品名:メイカテックスHP-70、明成化学工業株式会社製、粒径70nm、ノニオン性乳化剤)を使用した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例7]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスF(商品名:パーマリン PN、三洋化成株式会社製、粒径190nm、ノニオン性乳化剤)を使用した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例8]
合成例1のカチオン性表面サイズ剤を、合成例2のカチオン性表面サイズ剤へ変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例9]
合成例1のカチオン性表面サイズ剤を、合成例3のカチオン性表面サイズ剤へ変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例10]
合成例1のカチオン性表面サイズ剤を、合成例4のカチオン性表面サイズ剤へ変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例11]
合成例1のカチオン性表面サイズ剤を、合成例5のカチオン性表面サイズ剤へ変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例12]
合成例1のカチオン性表面サイズ剤を、合成例6のカチオン性表面サイズ剤へ変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例13]
原紙の製造に際して、炭酸カルシウムを12部添加し、紙中灰分を15%にした以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例14]
ヒドロキシエチル化澱粉の変わりに酸化澱粉(商品名:SK-20、日本コーンスターチ株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[比較例1]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスエマルジョンG(商品名:ノプコマル MS-40、サンノプコ株式会社製、粒径630nm、アニオン性乳化剤)を使用した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[比較例2]
ポリエチレンワックスエマルジョンAを添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[比較例3]
ポリエチレンワックスエマルジョンAを添加しないこと以外は、実施例13と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[比較例4]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスエマルジョンH(商品名:PEM-17、サンノプコ株式会社製、アニオン性乳化剤)を使用し、澱粉固形分重量に対する添加量を4.5固形分重量%(カチオン性表面サイズ剤固形分重量に対し30固形分重量%になる)に変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[比較例5]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにAKDエマルジョン(商品名:SE2362、ノニオン性乳化剤)を使用し、澱粉固形分重量に対する添加量を4.5固形分重量%(カチオン性表面サイズ剤固形分重量に対し30固形分重量%になる)に変更した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[比較例6]
カチオン性サイズ剤の代わりにAKDエマルジョン(商品名:SE2362、ノニオン性乳化剤)を使用し、ポリエチレンワックスエマルジョンAを添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例15]
TMP20部、DIP75部、NBKP5部から成る混合パルプスラリーを調製し、この混合パルプ100部(固形分重量)に対して硫酸バンドを1.3部、炭酸カルシウム9部(商品名:オプチカルHF、イメリス社製、平均粒子径1.5μm)を部添加し、ツインワイヤー型抄紙機にて、坪量43g/m、厚さ70μm、灰分12%の中性新聞用紙の原紙を得た。
次にヒドロキシエチル化澱粉(商品名:ETHYLEX-2025、STAYLEY社製)を蒸煮したものを濃度7%に調製した。予め、合成例1のカチオン性表面サイズ剤にポリエチレンワックスエマルジョンAをサイズ剤固形分重量に対し20固形分重量%添加して、カチオン性表面サイズ剤とポリエチレンワックスエマルジョンとの混合液を調製した。この混合液を、カチオン性表面サイズ剤の添加量が澱粉固形分重量に対し15固形分重量%となるように、濃度7%に調製した澱粉糊液へ添加して表面処理剤を調製した。
次にゲートロールコーターにて塗工速度1200m/分で上記の原紙に表面処理剤を澱粉塗布量が両面あたり0.5g/mになるように塗工し乾燥後、80℃のホットソフトニップカレンダーで1ニップ処理し、オフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例16]
ポリエチレンワックスエマルジョンAのサイズ剤固形分に対する配合率を10重量%添加に変更した以外は、実施例15と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例17]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスエマルジョンBを使用した以外は、実施例15と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例18]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスエマルジョンCを使用した以外は、実施例15と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例19]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスエマルジョンDを使用した以外は、実施例15と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例20]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスエマルジョンEを使用した以外は、実施例15と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例21]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの代わりにポリエチレンワックスエマルジョンFを使用した以外は、実施例15と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例22]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの澱粉固形分重量に対する添加量を0.7固形分重量%(カチオン性表面サイズ剤固形分重量に対し4.7固形分重量%になる)に変更した以外は、実施例13と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
[実施例23]
ポリエチレンワックスエマルジョンAの澱粉固形分重量に対する添加量を5.2固形分重量%(カチオン性表面サイズ剤固形分重量に対し34.7固形分重量%になる)に変更した以外は、実施例13と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
実施例、比較例で得られたオフセット印刷用中性新聞用紙について、摩擦係数と点滴吸水度を測定し、以下のように評価を行い、結果を表2に示した。
<摩擦係数の範囲>
ISO 15359に準拠し測定した。測定装置はAmontons II(Mu Mesurements Inc.社製)を用いた。この方法では、静摩擦係数と動摩擦係数を同じサンプルを使用して3回測定する。ISOでは静摩擦係数は1回目と3回目、動摩擦係数は3回目の数値と規定しているが、本発明では静摩擦係数と動摩擦係数はいずれも1回目の数値を採用し、次のように評価した。
○:静摩擦係数0.55〜0.75、動摩擦係数0.45〜0.60
×:静摩擦係数0.55未満または0.75超、動摩擦係数0.45未満または0.60超
<摩擦係数の低下>
摩擦係数低減の効果をポリエチレンワックスエマルジョンを入れない場合と比較し、その低下値により以下のように評価した。灰分が12%のものについては、比較例2を基準とし、15%のものについては比較例3を基準として比較した。なお、動摩擦係数の方が印刷機トラブルなどの原因と相関が高いため、動摩擦係数に重点を置いた。
◎:静摩擦係数0.05以上低下かつ動摩擦係数0.03以上低下
○:静摩擦係数0.05未満低下かつ動摩擦係数0.03以上低下
×:静摩擦係数0.05未満低下かつ動摩擦係数0.03未満低下
<点滴吸水度の範囲>
Japan TAPPI No.33に準拠して、紙面に水1μlを滴下し、水滴が紙に吸収され、紙面に見えなくなるまでの時間を測定した。評価は次のように行った。
○:点滴吸水度が15秒以上
×:点滴吸水度が15秒未満
<点滴吸水度への影響>
ポリエチレンワックスエマルジョンを入れない場合と比較し、以下のように評価した。灰分が12%のものについては比較例2を基準とし、15%のものについては比較例3を基準として比較した。
◎:点滴吸水度が大きくなる、あるいは低下値が10秒未満の場合
○:点滴吸水度の低下値が10秒以上15秒未満の場合
×:点滴吸水度の低下値が15秒以上の場合
<紙中灰分(重量%)>
JIS P 8251(対応ISO1762)に準拠して測定し、灰化は525℃、2時間で行った。
<相溶性と塗料安定性>
各実施例および比較例の表面処理剤を調製する場合において、カチオン性サイズ剤とポリエチレンワックスエマルジョンを混合するときの相溶性と、ゲートロール塗工後の表面処理剤の安定性を次のように評価し、表3に示した。
○:混合時に増粘や凝集物が発生しない、かつ塗工時の表面処理剤に凝集物が発生しない
×:混合時に増粘あるいは凝集する、または塗工時の表面処理剤に凝集物が発生する
Figure 2007291595
Figure 2007291595
表3の結果から、次のことがいえる。
カチオン性表面サイズ剤、ノニオン性乳化剤又はカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョン、及び水溶性高分子物質とからなる表面処理剤は、その調製混合時に相溶性が良く、かつ塗工時の安定性も良好であることがわかる。
これに対し、アニオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョンを使用した比較例1、4や、AKDエマルジョンを使用した比較例5では、相溶性や表面処理剤の安定性が悪く、十分な摩擦係数の低下の効果が得られず、塗工操業性にも懸念がある。
表2の結果から、次のことがいえる。
(1)カチオン性表面サイズ剤、ノニオン性乳化剤又はカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョン、及び水溶性高分子物質をそれぞれ表面処理剤調製時に添加混合して、これを塗布した実施例1〜14のオフセット印刷用新聞用紙は、摩擦係数の低下の効果が大きく、かつ摩擦係数は適切な範囲となり、さらにポリエチレンワックスによる点滴吸水度の低下がないことがわかる。
(2)さらに、実施例1と15、実施例2と16、実施例3と17、実施例4と18、実施例5と19、実施例6と20、実施例7と21の各比較から、ポリエチレンワックスエマルジョンは表面処理剤の調製時に添加しても、予めカチオン性表面サイズ剤へ添加して混合液を作製し表面処理剤を調整しても、同程度の効果が得られることがわかる。
(3)一方、表面サイズ剤としてAKDエマルジョンを用いた比較例6では、摩擦係数の低下が大き過ぎ、かつ十分な吸水度が得られなかった。AKDエマルジョンの添加量を摩擦係数を最適な範囲とするために減量したとしても、点滴吸水度が低下し、十分なサイズ性は得られない。
(4)また、実施例1と22、23との比較から、ポリエチレンワックスエマルジョンの塗布量が少な目な場合(実施例22)は、十分な摩擦係数の低下の効果が得られにくく、逆に多目な場合(比較例5)は摩擦係数が下がりすぎるため、実施例1の方が摩擦係数のコントロールに優れていることがわかる。

Claims (10)

  1. 原紙上に、表面処理剤が塗工されたオフセット印刷用中性新聞用紙であって、前記表面処理剤が下記の(A)、(B)及び(C)を少なくとも含有することを特徴とするオフセット印刷用中性新聞用紙。
    (A)カチオン性表面サイズ剤
    (B)ノニオン性乳化剤またはカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョン
    (C)水溶性高分子物質
  2. (A)カチオン性サイズ剤が、少なくとも成分a;3級アミノ基含有モノマー20〜40重量%と成分b;(メタ)アクリル酸のC4〜C18アルキルエステル10〜80重量%とをアゾ系重合開始剤を用い連鎖移動剤の存在下で重合して得られる共重合体を4級化したものであることを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷用中性新聞用紙。
  3. 前記アゾ系重合開始剤が、アゾビスメチルブチロニトリル、ジメチルアゾビスイソブチレート、またはアゾビスジメチルバレロニトリルの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載のオフセット印刷用中性新聞用紙。
  4. (A)カチオン性サイズ剤が、成分aと成分bに加えてさらに成分c;スチレン類70重量%以下を重合したことを特徴とする請求項2または3記載のオフセット印刷用中性新聞用紙。
  5. (B)ノニオン性乳化剤またはカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョンが、動的光散乱式粒度分布測定装置による平均粒子径が20〜300nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオフセット印刷用中性新聞用紙。
  6. (B)ノニオン性乳化剤またはカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョンの塗布量が、両面あたり0.005〜0.025g/mであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオフセット印刷用中性新聞用紙。
  7. (A)カチオン性表面サイズ剤と(B)ノニオン性乳化剤またはカチオン性乳化剤で乳化したポリエチレンワックスエマルジョンとの固形分重量比が、(A)/(B)=100/5〜100/30であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のオフセット印刷用中性新聞用紙。
  8. 原紙の紙中灰分が固形分比で10〜20重量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のオフセット印刷用中性新聞用紙。
  9. 前記オフセット印刷用中性新聞用紙の静摩擦係数が0.50〜0.75かつ動摩擦係数が0.40〜0.60であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のオフセット印刷用中性新聞用紙。
  10. 前記共重合体の重量平均分子量が3万〜6万であることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載のオフセット印刷用新聞用紙。
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