JP2007265751A - リチウムイオン二次電池用負極材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極、ならびにリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極、ならびにリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】放電容量が高く、優れたサイクル特性と初回充放電効率が得られるリチウムイオン二次電池用負極材料とその製法、負極、およびリチウムイオン二次電池の提供。
【解決手段】リチウムと合金化可能な金属、黒鉛質材料、および結合材料である、リチウムと合金を形成しない金属を含むリチウムイオン二次電池用負極材料であって、前記結合材料である金属の融点が前記リチウムと合金化可能な金属の融点よりも低い結合材料である金属が、融着により、リチウムと合金化可能な金属と黒鉛質材料を結合および/または被覆しているリチウムイオン二次電池用負極材料、メカノケミカル処理などによるその製法、該負極材料を含有する負極、および該負極を用いたリチウムイオン二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属と黒鉛質材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材料およびその製造方法、前記負極材料を用いたリチウムイオン二次電池用負極、ならびに前記負極を用いた放電容量、初回充放電効率およびサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、他の二次電池に比べて高い電圧、高いエネルギー密度を有するので、電子機器の電源として広く普及している。近年、電子機器の小型化あるいは高性能化が急に進み、リチウムイオン二次電池のエネルギーをさらに向上させる要望がますます高まっている。
現在、リチウムイオン二次電池は、正極にLiCoO、負極に黒鉛を用いたものが一般的である。しかし、黒鉛負極は、充放電の可逆性に優れるものの、その放電容量はすでに層間化合物(LiC)の理論値(372mAh/g)に近い値まで到達している。そこで、電池のエネルギー密度をさらに高めるためには、黒鉛より放電容量の大きい負極材料を開発する必要がある。
金属リチウムは負極材料として最大の放電容量を有する。しかし、充電時にリチウムがデンドライト状に析出して負極が劣化するため、電池の充放電サイクルが短くなるという問題がある。また、デンドライト状に析出したリチウムがセパレータを貫通して正極に達し、電池が短絡する恐れがある。
そのため、金属リチウムに代わる負極材料として、リチウムと合金を形成する金属または金属化合物(以下、金属等とも称す)が検討されてきた。これらの合金負極は、金属リチウムには及ばないものの黒鉛を遥かにしのぐ放電容量を持つ。しかし、合金化に伴う体積膨張により活物質の粉化・剥離が発生し、合金負極を用いたリチウムイオン二次電池のサイクル特性はまだ実用レベルには至っていない。
特許文献1には、金属等と黒鉛質物を結合して、粉化・剥離を防止するため、さらに特定の結晶構造を有する炭素質物で結合または被覆してなる電極材料が開示されている。しかし、このような炭素質物は黒鉛化されていないため結晶構造が完全に発達しておらず、ランダムに配向した結晶子の間に小さな空隙(ミクロポア)が多数存在した構造を持つ。ミクロポアにドープされたリチウムイオンはすべてが充放電に寄与するわけではなく、一部はドープされたままで脱離せず、これが充放電ロスになる。それゆえ、金属質物と黒鉛質物の結合や、被覆材料として炭素質材料を用いた場合、充放電ロスが大きくなり、初回充放電効率が低下するという問題がある。
特許第3369589号
本発明は、前記のような状況を鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池用負極材料として用いて、放電容量が高く、優れたサイクル特性と初回充放電効率が得られる負極材料、負極を提供することを目的とする。また、得られた負極を用いてなる、放電容量が高く、優れたサイクル特性と初回充放電効率を有するリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記目的は、以下のような特徴を有する本発明により達成することができる。すなわち、本発明は、リチウムと合金化可能な金属、黒鉛質材料、および結合材料である、リチウムと合金を形成しない金属を含むリチウムイオン二次電池用負極材料であって、前記結合材料である金属の融点が前記リチウムと合金化可能な金属の融点よりも低く、かつ、前記結合材料である金属が、融着により、前記リチウムと合金化可能な金属と前記黒鉛質材料を結合および/または被覆していることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料、である。
前記リチウムイオン二次電池用負極材料は、前記結合材料である金属が銅および/または金であることが好ましい。
前記リチウムイオン二次電池用負極材料は、前記リチウムと合金化可能な金属が珪素であることが好ましい。
前記リチウムイオン二次電池用負極材料は、前記リチウムと合金化可能な金属を3〜50質量%、前記黒鉛質材料を30〜90質量%、および前記結合材料である金属を5〜30質量%含むことが好ましい。
また、本発明は、リチウムと合金化可能な金属、黒鉛質材料、および結合材料である、リチウムと合金を形成せず、前記リチウムと合金化可能な金属の融点よりも低い融点を有する金属を含む混合物をメカノケミカル処理した後、メカノケミカル処理生成物を前記結合材料が溶融する温度範囲で加熱して、前記結合材料である金属が、融着により、前記リチウムと合金化可能な金属と前記黒鉛質材料を結合および/または被覆することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法、である。
また、本発明は、リチウムと合金化可能な金属および黒鉛質材料に、結合材料である、リチウムと合金を形成せず、前記リチウムと合金化可能な金属の融点よりも低い融点を有する金属を気相法で付着した後、付着生成物を、前記結合材料である金属が溶融する温度範囲で加熱して、前記結合材料である金属が、融着により、前記リチウムと合金化可能な金属と前記黒鉛質材料を結合および/または被覆することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法、である。
また、本発明は、前記いずれかのリチウムイオン二次電池用負極材料を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極、である。
また、本発明は、前記のリチウムイオン二次電池用負極を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池、である。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料を用いると、黒鉛の理論容量を超える高い放電容量が得られ、同時に優れた初回充放電効率とサイクル特性を示すリチウムイオン二次電池を得ることができる。
そのため、本発明の負極材料を用いてなるリチウムイオン二次電池は、近年の電池の高エネルギー密度化に対する要望を満たし、搭載する機器の小型化および高性能化に有効である。
以下、本発明をより具体的に説明する。
(負極材料)
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、結合材料である、リチウムと合金を形成せず、リチウムと合金化可能な金属の融点よりも低い融点を有する金属(以下、結合剤である金属とも称す)が融着により、リチウムと合金化可能な金属と黒鉛質材料とを結合してなる複合化物、場合によっては、前記結合材料である金属が、さらに前記複合化物の表面の一部を被覆した複合化物であり、さらには、前記結合材料である金属が媒介することなく、リチウムと合金化可能な金属と黒鉛質材料とが結合した複合化物の表面の一部を、前記結合材料である金属が被覆した複合化物である。
本発明の負極材料は、該負極材料全体を100質量%としたとき、リチウムと合金化可能な金属を3〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%含有し、黒鉛質材料を30〜90質量%、好ましくは40〜85質量%、より好ましくは50〜82質量%含有し、結合材料である金属を5〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%含有する。なお、結合材料である金属の結合材としての比率と被覆材としての比率は特に限定されない。前記被覆はまだら模様に分布していても、連続していてもよい。
また、前記被覆材の厚さは特に限定されないが、好ましくは0.05〜2μm、より好ましくは0.1〜1μmである。本発明の負極材料の形状は、一般的に塊状であり、平均粒子径は1〜30μm程度、好ましくは5〜20μmである。該平均粒子径はレーザー回折式粒度計で測定される累積度数が体積百分率で50%となる粒子径を意味する。
(リチウムと合金化可能な金属)
本発明の負極材料を構成するリチウムと合金化可能な金属としては、珪素(Si、融点1414℃)、硼素(B、融点2300℃)、白金(Pt、融点1772℃)、パラジウム(Pd、融点1554℃)などを挙げることができる。好ましいのは珪素である。また、前記金属が2種以上の金属からなる合金であってもよい。該合金中には前記以外の元素を含有していてもよい。前記金属の炭化物、窒化物、酸化物などの化合物であってもよい。また、前記金属は結晶質でも、非晶質でもよいが、金属が非晶質であると、リチウムイオン二次電池の充電時の膨張が軽減されるので、むしろ非晶質金属を含むことが好ましい。特に、非晶質シリコン(Si)を含む金属が最も好ましい。
前記リチウムと合金化可能な金属の形状は特に限定されることはなく、粉状、板状、粒状、繊維状、塊状、球状など、あらゆる形状のものが使用可能であるが、球状、粒状の場合が好ましく、その平均粒子径は5μm以下であることが好ましく、0.01〜5μmであることがより好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。
また、前記リチウムと合金化可能な金属は、前記したように、本発明の負極材料中に、3〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%含有される。前記範囲を逸脱すると、放電容量やサイクル特性が低下する傾向が現れ、好ましくない。
(黒鉛質材料)
本発明の負極材料を構成する黒鉛質材料は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵・放出できるものであればよく、特に限定されない。
前記黒鉛質材料は、高い放電容量を得る観点から、結晶性の高いものが好ましい。結晶性の指標として、X線広角回折における(002)面の平均格子面間隔d002が0.34nm以下、特に0.337nm以下であることが好ましい。
ここで、X線広角回折における(002)面の平均格子面間隔d002は、X線としてCuKα線を用い、高純度シリコンを標準物質に使用して黒鉛質材料の(002)面の回折ピークを測定し、そのピークの位置から算出する。算出方法は、学振法(日本学術振興会第117委員会が定めた測定法)に従うものであり、具体的には、「炭素繊維」[大谷杉郎、733−742頁(1986年3月)、近代編集社]に記載された方法によって測定された値である。
前記黒鉛質材料としては、その一部または全部が黒鉛質で形成されているもの、例えば、タール、ピッチ類を最終的に1500℃以上の温度で熱処理して得た人造黒鉛や天然黒鉛が挙げられる。具体的には、易黒鉛化性炭素材料と言われる石油系または石炭系のタール、ピッチ類を原料として重縮合させたメソフェーズ焼成体、メソフェーズ小球体、メソフェーズ炭素繊維またはコークス類を、好ましくは1500℃以上、より好ましくは2800〜3300℃で黒鉛化処理して得たものを用いることができる。
また、前記黒鉛質材料は、液相、気相、または固相における各種化学的処理、熱処理、酸化処理、物理的処理などを施したものであってもよい。
黒鉛質材料の形状は特に限定されないが、鱗片状または鱗片状に近い形状であることが好ましい。それは、複合粒子間または該粒子内の接点を確保しやすく、導電性がさらに向上するからである。また、前記した各種人造黒鉛や天然黒鉛の混合物、造粒物、被覆物、積層物であってもよい。黒鉛質材料の平均粒子径は好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜30μmである。前記範囲を逸脱すると、充放電効率が低下したり、サイクル特性が低下する傾向が現れ、好ましくない。
前記黒鉛質材料は、前記したように、本発明の負極材料中に、30〜90質量%、好ましくは40〜85質量%、より好ましくは50〜82質量%含有される。前記範囲を逸脱すると、放電容量やサイクル特性が低下する傾向が現れ、好ましくない。
(結合材料である金属)
本発明の結合材料である金属は、リチウムと合金を形成せず、前記リチウムと合金化可能な金属の融点よりも低い融点を有する金属である。具体的には、銅(融点1085℃)、金(融点1064℃)、チタン(融点1675℃)、ニッケル(融点1455℃)などである。好ましいのは銅および/または金である。前記金属は2種以上併用することができる。もちろん、前記金属を含む合金の使用も可能である。
また、前記結合材料である金属は、前記したように、本発明の負極材料中に、5〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは5〜15質量%含有される。前記範囲を逸脱すると、サイクル特性が低下する傾向が現れるので、好ましくない。
本発明の負極材料においては、結合材料に炭素質材料を用いていないため、炭素質材料に由来する充放電ロスの増大、つまり充放電効率の低下という従来の問題を解決することができる。
(負極材料の製造方法)
本発明の負極材料は、リチウムと合金化可能な金属、黒鉛質材料および結合材料である金属を複合化する種々の方法と、必要ならば、その後の複合化物の熱処理によって製造することができる。前記複合化は機械的方法、物理的方法などのうちのいずれの方法によってもよいが、機械的方法によることが好ましい。
機械的方法による前記複合化は、リチウムと合金化可能な金属と、黒鉛質材料とを先に複合化して得た一次複合化物に、結合材料である金属を加えて加熱溶融し、結合材料である金属の溶着により、前記一次粒子を結合および/または被覆して前記3成分を含有する二次複合化物を得る方法、または、前記3成分を混合し、結合材料である金属を加熱溶融し、結合材料である金属の溶着により、リチウムと合金化可能な金属と黒鉛質材料とを結合し、さらに被覆を行う方法である。
機械的方法の具体的手段としては、例えば、圧縮、剪断、衝突、摩擦などの機械的エネルギーを付与するメカノケミカル処理が挙げられる。前記処理が可能な装置としては、「GRANUREX」[フロイント産業(株)製]、「ニューグラマシン」[(株)セイシン企業製]、「アグロマスター」[ホソカワミクロン(株)製]などの造粒機、ロールミル、「ハイブリダイゼーションシステム」[(株)奈良機械製作所製]、「メカノマイクロシステム」[(株)奈良機械製作所製]、「メカノフュージョンシステム」[ホソカワミクロン(株)製]などの圧縮剪断式加工装置などが挙げられる。
これらの装置には、粒子を転動する作用もあり、これにより一次複合化物は擬似球状になる。特に、黒鉛質材料の一つとして鱗片状黒鉛を使用する場合は、前記鱗片状黒鉛が同心円状に配置され、リチウムと合金化可能な金属の充電時の膨張を吸収する空隙を複合粒子内部に形成することができる。
物理的方法としては、気相、液相または固相で結合材料である金属を複合化できる方法であれば特に制限されないが、気相法が好ましい。気相法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法などのPVD(Physical Vapor Deposition)法や、常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法、減圧CVD法、プラズマCVD法、MO(Magneto-Optic)CVD法、光CVD法などのCVD法が挙げられるが、スパッタリング法が特に好ましい。スパッタリング法としては、直流スパックリング法、マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、反応性スパックリング法、バイアススパッタリング法、イオンビームスパッタリング法などを用いることができる。
前記スパッタリング法は、カソード側に結合材料である金属のターゲットを設置し、一般に1〜10−2Pa程度の不活性ガス雰囲気中で電極間にグロー放電を起こし、不活性ガスをイオン化させ、前記ターゲットの金属を叩き出して、アノード側に設置した一次複合化物に前記ターゲット金属を堆積させる方法である。前記ターゲットの金属は複数を同時に用いてもよい。すなわち、複数の前記金属をターゲットとして同時にスパッタリングして合金を合成してもよいし、複数の前記金属を順に積層してもよい。なお、前記金属を堆積させる方法としては、前記気相法以外にも、例えば、溶射法、めっき法なども利用できる。
また、機械的方法と物理的方法を併用することもできる。すなわち、まず、前記した機械的方法でリチウムと合金化可能な金属と黒鉛質材料を複合化して2成分を含有する一次複合化物を得、これに、前記結合材料である金属を前記した気相法により堆積させ、前記堆積した金属が溶融する温度以上で加熱して、前記結合材料である金属を溶融させ、溶着によってリチウムと合金化可能な金属と黒鉛質材料を結合および/または被覆した二次複合化物、すなわち、本発明の負極材料を製造することができる。
前記溶融温度は特に限定されないが、リチウムと合金化可能な金属として珪素を用いる場合は、1200℃未満であることが好ましい。1200℃以上であると放電容量の増大に寄与しない炭化珪素(SiC)が生成すからである。
(負極)
本発明は、前記負極材料を含有するリチウムイオン二次電池用負極であり、また、前記負極を用いるリチウムイオン二次電池である。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の作製は、通常の黒鉛負極の作製方法に準じて作製されるが、化学的、電気化学的に安定な負極を得ることができる方法であれば何ら制限されない。負極の作製時には、本発明の負極材料に負極合剤用結合剤を加えて、予め調製した負極合剤を用いることが好ましい。
前記結合剤としては、電解質に対して、化学的および電気化学的に安定性を示すものが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂粉末、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末、カルボキシメチルセルロースなどが用いられる。これらを併用することもできる。結合剤は、通常、負極合剤の全量中の1〜20質量%程度の割合で用いられる。
本発明の負極は、前記負極材料および結合剤のほかに、天然黒鉛などの黒鉛質材料や非晶質ハードカーボンなどの炭素質材料などの導電剤、フェノール樹脂などの有機物、シリコンなどの金属、酸化錫などの金属化合物などを、本発明の負極として期待する本来の作用効果に影響を及ぼさない範囲の量で、配合してもよい。
より具体的には、まず、本発明の負極材料を分級などにより所望の粒度に調整し、結合剤と混合して得た混合物を溶剤に分散させ、ペースト状にして負極合剤を調製する。すなわち、本発明の負極材料と、結合剤を水、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの溶剤と混合して得たスラリーを、公知の攪拌機、混合機、混練機、ニーダーなどを用いて攪拌混合して、ペーストを調製する。前記ペーストを、集電体の片面または両面に塗布し、乾燥すれば、負極合剤層が均一かつ強固に接着した負極が得られる。負極合剤層の膜厚は10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
また、本発明の負極は、本発明の負極材料と、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末を乾式混合し、金型内でホットプレス成形して作製することもできる。ただし、乾式混合では、十分な負極の強度を得るために多くの結合剤を必要とし、結合剤が過多の場合は、リチウムイオン二次電池の放電容量や急速充放電効率が低下することがある。なお、本発明の負極は、負極密度が1.7g/cm3を超えるように高くすることができる。
負極合剤層を形成した後、プレス加圧などの圧着を行うと、負極合剤層と集電体との接着強度をより高めることができる。
負極の作製に用いる集電体の形状としては、特に限定されないが、箔状、メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状などである。集電体の材質としては、銅、ステンレス、ニッケルなどが好ましい。集電体の厚みは、箔状の場合は好ましくは5〜20μm程度であることが好ましい。
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解質を主たる電池構成要素とし、正極および負極はそれぞれリチウムイオンの担持体からなり、充電時には、リチウムイオンが負極中に吸蔵され、放電時には負極から離脱する電池機構によっている。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極材料として本発明の負極材料を用いること以外は特に限定されることはなく、正極、電解質、セパレータなどの他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準じる。
(正極)
正極は、例えば、正極材料(正極活物質)と結合剤および導電剤よりなる正極合剤を集電体の表面に塗布することにより形成される。正極材料は、充分量のリチウムを吸蔵/離脱し得るものを選択することが好ましく、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物およびそのリチウム化合物などのリチウム含有化合物、一般式MMo8−Y (式中、Mは少なくとも一種の遷移金属元素であり、Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数である)で表されるシェブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属との複合酸化物であり、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。リチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、リチウム、遷移金属の酸化物、水酸化物、塩類等を出発原料とし、これら出発原料を混合し、酸素雰囲気下、600〜1000℃の温度で焼成することにより得ることができる。
リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM1 1-X2 2 (式中、M1およびM2は少なくとも一種の遷移金属元素であり、Xは0≦X≦1の範囲の数である)、またはLiM1 1-Y2 4 (式中、M1およびM2 は少なくとも一種の遷移金属元素であり、Yは0≦Y≦1の範囲の数である)で示される。M1 およびM2 で示される遷移金属元素は、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどであり、好ましいのは、Co、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Alなどである。好ましい具体例は、LiCoO2、LiNiO2 、LiMnO2 、LiNi0.9 Co0.12、LiNi0.5 Co0.52 などである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、リチウム、遷移金属の酸化物、水酸化物、塩などの出発原料を、所望の金属酸化物の組成に応じて混合し、酸素雰囲気下、600〜1000℃の温度で焼成することにより得ることができる。
リチウム含有遷移金属酸化物は単独で使用しても、2種類以上を組合わせて使用してもよい。
正極材料は、前記化合物を単独で使用しても2種類以上併用してもよい。例えば、正極中に炭酸リチウムなどの炭素塩を添加することができる。また、正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤などの各種添加剤を適宜に使用することができる。
正極の作製に使用される結合剤としては、負極の作製に使用される結合剤と同じものが使用可能である。導電剤としては、黒鉛化物、カーボンブラックなど公知のものが使用される。
集電体の形状は特に限定されないが、箔状またはメッシュ、エキスパンドメタル等の網状等のものが用いられる。集電体の材質は、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等である。その厚さは10〜40μmのものが好適である。
正極も負極と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させペースト状にし、このペースト状の正極合剤を集電体に塗布、乾燥して正極合剤層を形成してもよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧等の圧着を行ってもよい。これにより正極合剤層が均一且つ強固に集電体に接着される。
(非水電解質)
非水電解質としては、通常の非水電解液の調製に使用される電解質塩が使用できる。例えば、LiPF6 、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C654、LiCl、LiBr、LiCF3 SO3 、LiCH3 SO3 、LiN(CF3SO22 、LiC(CF3 SO23 、LiN(CF3CH2 OSO22 、LiN(CF3 CF2OSO22 、LiN(HCF2 CF2 CH2OSO22 、LiN[(CF32 CHOSO22 、LiB[C63 (CF324、LiAlCl4 、LiSiF6 などのリチウム塩を用いることができる。特にLiPF6 、LiBF4が酸化安定性の点から好ましい。
電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol /lが好ましく、0.5〜3.0mol/l がより好ましい。
非水電解質は液状であってもよく、固体電解質またはゲル電解質などの高分子電解質としてもよい。前者の場合、非水電解質電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池として構成され、後者の場合は、非水電解質電池は高分子固体電解質、高分子ゲル電解質電池などの高分子電解質電池として構成される。
非水電解質液を調製するための非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどのカーボネート、1,1−または1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテルなどのエーテル、スルホラン、メチルスルホランなどのチオエーテル、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル−2−オキサゾリドン、エチレングリコール、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
非水電解質を高分子固体電解質または高分子ゲル電解質などの高分子電解質とする場合には、マトリックスとして可塑剤(非水電解液)でゲル化された高分子化合物を用いることが好ましい。前記マトリックスを構成する高分子化合物としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリレート系高分子化合物、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物などを単独または混合して用いることが好ましい。特に、酸化還元安定性の観点などから、フッ素系高分子化合物を用いることが好ましい。
前記のゲル化に必要な可塑剤としては、前記の電解質塩や非水溶媒が使用できる。高分子ゲル電解質の場合、可塑剤である非水電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/lが好ましく、0.5〜2.0mol/lがより好ましい。
高分子固体電解質の作製方法は特に限定されないが、例えば、マトリックスを構成する高分子化合物、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を混合し、加熱して高分子化合物を溶融する方法、混合用有機溶剤に高分子化合物、リチウム塩および非水溶媒を溶解させた後、混合用有機溶媒を蒸発させる方法、重合性モノマー、リチウム塩および非水溶媒を混合し、混合物に紫外線、電子線または分子線などを照射して、重合性モノマーを重合させ、ポリマーを得る方法などを挙げることができる。
ここで、前記高分子固体電解質中の非水溶媒の割合は10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。10質量%未満であると導電率が低く、90質量%超であると機械的強度が小さくなり、成膜しにくくなる。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、セパレータを使用することもできる。
セパレータの材質は特に限定されるものではないが、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などを用いることができる。合成樹脂製微多孔膜が好適であるが、なかでもポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗の面で好適である。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜等である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、前記した構成の、少なくともリチウムと合金化可能な金属と、黒鉛質材料を含む負極材料において、前記金属と黒鉛質材料が、炭素質材料以外の導電性材料で結合および/または被覆された負極、正極および非水電解質を、例えば、負極、非水電解質、正極の順で積層し、電池の外装材内に収容することで構成される。さらに、負極と正極の外側に、非水電解質を配するようにしてもよい。
また、本発明のリチウムイオン二次電池の構造は特に限定されず、その形状、形態についても特に限定されるものではなく、用途、搭載機器、要求される充放電容量などに応じて、円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの中から任意に選択することができる。より安全性の高い密閉型非水電解液電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものを用いることが好ましい。
リチウムイオン二次電池が高分子固体電解質電池や高分子ゲル電解質電池の場合には、ラミネートフィルムに封入した構造とすることもできる。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また以下の実施例および比較例では、図1に示すように、少なくとも集電体(負極)7bの表面の一部に、リチウムと合金化可能な金属、黒鉛質材料、および結合材料である金属を含む複合化物が付着した集電体(負極)7bと、リチウム箔よりなる対極(正極)4から構成される単極評価用のボタン型二次電池を作製して充放電特性を評価した。実電池は、本発明の概念に基づき、公知の方法に準じて作製することができる。
(実施例1)
(負極材料の調製)
黒鉛粉末(中越黒鉛工業所製、平均粒子径15μm)80質量%に、10質量%に相当する珪素粉末(高純度化学研究所製、平均粒子径2μm)と、10質量%に相当する銅粉末[和光純薬工業(株)製、平均粒子径75μm以下]の粉砕生成物とを加え、得られた混合物を乾式粉体複合化装置[「メカノフュージョンシステム」、ホソカワミクロン(株)製]を用いて、回転ドラムの周速20m/s、時間60min、回転ドラムと内部部材との距離5mmの条件で、圧縮力と剪断力を繰返し付与し、メカノケミカル処理して、前記黒鉛粉末表面に珪素粉末と銅粉末が分散して付着した複合化物を製造した。得られた複合化物を1100℃で熱処理して銅粉末を溶融し、銅が溶着により黒鉛粉末の一部と珪素粉末の一部を被覆した負極材料を作製した。
(負極合剤の調製)
前記負極材料90質量%と、ポリフッ化ビニリデン10質量%を、N−メチルピロリドンに入れ、ホモミキサーを用いて2000rpmで30min間攪拌混合し、有機溶剤系のペースト状負極合剤を調製した。
[作用電極(負極)の作製]
前記負極合剤ペーストを、銅箔(厚み16μm)上に均一な厚さで塗布し、真空中で90℃で溶剤を揮発させて乾燥し、負極合剤層を形成し、その後、ハンドプレスによって加圧した。銅箔と負極合剤層を直径15.5mmの円柱状に打抜いて、集電体(銅箔)と前記集電体に密着した負極合剤層(厚み60μm、密度1.72g/cm)からなる作用電極(負極)2を作製した。
[対極(正極)の作製]
リチウム金属箔(厚み0.5mm)を、ニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円形状に打抜いて、ニッケルネットからなる集電体と、前記集電体に密着したリチウム金属箔からなる対極(正極)を作製した。
(電解質・セパレータ)
エチレンカーボネート33vol%−メチルエチルカーボネート67vol%の混合溶媒に、LiPF6を1mol/l となる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解質をポリプロピレン多孔質体(厚み20μm)に含浸させ、電解質が含浸されたセパレータを作製した。
(評価電池の作製)
評価電池として図1に示すボタン型二次電池を作製した。
前記評価電池は、電解液を含浸させたセパレータ5を、集電体7bに密着した作用電極2と、集電体7aに密着した対極4との間に挟んで、積層した。その後、作用電極2の集電体7b側が外装カップ1内に、対極4の集電体7a側が外装缶3内に収容して、外装カップ1と外装缶3とを合わせた。その際、外装カップ1と外装缶3との周縁部に絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉して作製した。
前記のように作製された評価電池について、25℃の温度下で下記のような充放電試験を行い、初回充放電効率とサイクル特性を計算した。充放電特性(放電容量、初回充放電効率、サイクル特性)の評価結果を表1に示した。
(放電容量、初回充放電効率)
回路電圧が0mVに達するまで0.9mAの定電流充電を行った後、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに、電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から充電容量を求めた。その後、120min間休止した。次に0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量を求めた。これを第1サイクルとした。次式(1)から初回充放電効率を計算した。
初回充放電効率(%)=(第1サイクルの放電容量/第1サイクルの充電容量)
×100 (1)
なおこの試験では、リチウムイオンを負極材料に吸蔵する過程を充電、リチウムイオンが負極材料から離脱する過程を放電とした。
(サイクル特性)
引続き、回路電圧が0mVに達するまで4.0mAの定電流充電を行った後、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた後、120min間休止した。次に4.0mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電を100回繰返し、得られた放電容量から、次式(2)を用いてサイクル特性を計算した。
サイクル特性(%)=(第100サイクルにおける放電容量/第1サイクルにおけ
る放電容量)×100 (2)
(実施例2〜3)
実施例1において、複合化物の構成成分の組成を表1に示すように代える以外は、実施例1と同様に負極材料の作製、負極合剤の作製、負極の作製、評価電池の作製および電池の充放電特性の評価を行った。前記負極材料の特性と電池の評価結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例1において、銅粉末を金粉末[Aldrich(株)製、平均粒子径1.5μm]に代える以外は、実施例1と同様に負極材料の作製、負極合剤の作製、負極の作製、評価電池の作製および電池の充放電特性の評価を行った。前記負極材料の特性と電池の評価結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1において、銅粉末を石油コークの粉砕生成物(平均粒子径5μm)に代える以外は、実施例1と同様に負極材料の作製、負極合剤の作製、負極の作製、評価電池の作製および電池の充放電特性の評価を行った。前記負極材料の特性と電池の評価結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1のメカノケミカル処理して黒鉛粉末表面に珪素粉末と銅粉末が分散して付着した複合化物(加熱していない複合化物)、したがって、銅粉末が黒鉛粉末と珪素粉末との結合に与らず、かつ複合化物を被覆していない複合化物を用いて、実施例1と同様に負極材料の作製、負極合剤の作製、負極の作製、評価電池の作製および電池の充放電特性の評価を行った。前記負極材料の特性と電池の評価結果を表1に示した。
(実施例5)
実施例1において、まず、黒鉛粉末と珪素粉末を、銅粉末を混合することなく、実施例1と同様にメカノケミカル処理して、一次複合化物を得た。ついで、DC二極スパッタリング装置のアノード側ステージに、前記一次複合化物を配置し、カソード側に99.999%純度の銅ターゲットを配置して、圧力0.5Pa、電圧600V、電流0.5Aの条件でスパッタリングを2hr行った。その後、前記一次複合化物を攪拌した。再び、前記と同じ条件で、スパッタリングを2hr行い、攪拌を行った。その後、同様なスパッタリングを2hr行った。発光分光分析によるスパッタリング後の一次複合化物の銅付着量は10質量%であった。
前記銅を付着させた一次複合化物を1100℃で加熱して銅を溶融し、銅が黒鉛粉末の一部と珪素粉末の一部を被覆した負極材料を作製した。
前記負極材料を用いる以外、実施例1と同様に負極合剤の作製、負極の作製、評価電池の作製および電池の充放電特性の評価を行った。前記負極材料の特性と電池の評価結果を表1に示した。
(実施例6)
実施例5において、銅ターゲットを金ターゲットに代える以外は、実施例5と同様に負極材料の作製、負極合剤の作製、負極の作製、評価電池の作製および電池の充放電特性の評価を行った。前記負極材料の特性と電池の評価結果を表1に示した。
(比較例3)
実施例5のスパッタリング後の一次複合化物(加熱していない複合化物)、したがって、銅粉末が黒鉛粉末と珪素粉末との結合に与らず、かつ複合化物を被覆していない複合化物を用いて、実施例1と同様に負極材料の作製、負極合剤の作製、負極の作製、評価電池の作製および電池の充放電特性の評価を行った。前記負極材料の特性と電池の評価結果を表1に示した。
実施例1〜6と比較例1〜3との対比から、結合剤である金属が複合化物を結合および/または被覆している複合化物(負極材料)を用いる本発明は、結合材料として炭素質材料を用いた場合や、結合剤である金属を溶融して、複合化物を結合および/または被覆しなかった場合に比べて、初回充放電効率とサイクル特性が優れることがわかる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、その特性を活かして、小型から大型までの高性能リチウイムイオン二次電池に使用することができる。
Figure 2007265751









本発明の負極材料の充放電特性を評価するためのボタン型評価電池の模式断面図である。
符号の説明
1 外装カップ
2 作用電極
3 外装缶
4 対極
5 電解質溶液含浸セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a、7b 集電体

Claims (8)

  1. リチウムと合金化可能な金属、黒鉛質材料、および結合材料である、リチウムと合金を形成しない金属を含むリチウムイオン二次電池用負極材料であって、前記結合材料である金属の融点が、前記リチウムと合金化可能な金属の融点よりも低く、かつ、前記結合材料である金属が、融着により、前記リチウムと合金化可能な金属と前記黒鉛質材料を結合および/または被覆していることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
  2. 前記結合材料である金属が銅および/または金であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  3. 前記リチウムと合金化可能な金属が珪素であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  4. 前記リチウムイオン二次電池用負極材料が、前記リチウムと合金化可能な金属を3〜50質量%、前記黒鉛質材料を30〜90質量%、および前記結合材料である金属を5〜30質量%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  5. リチウムと合金化可能な金属、黒鉛質材料、および結合材料である、リチウムと合金を形成せず、前記リチウムと合金化可能な金属の融点よりも低い融点を有する金属を含む混合物をメカノケミカル処理した後、メカノケミカル処理生成物を前記結合材料が溶融する温度範囲で加熱して、前記結合材料である金属が、融着により、前記リチウムと合金化可能な金属と前記黒鉛質材料を結合および/または被覆することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
  6. リチウムと合金化可能な金属および黒鉛質材料に、結合材料である、リチウムと合金を形成せず、前記リチウムと合金化可能な金属の融点よりも低い融点を有する金属を気相法で付着した後、付着生成物を、前記結合材料である金属が溶融する温度範囲で加熱して、前記結合材料である金属が、融着により、前記リチウムと合金化可能な金属と前記黒鉛質材料を結合および/または被覆することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
  8. 請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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