JP2007218096A - 排ガス浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 排気空燃比がリーンのときに酸素を吸着しリッチのときに酸素を放出する酸素貯蔵機能を有する三元触媒7と、三元触媒7よりも下流側に設けられ、酸素貯蔵機能をそなえ低温時に吸着した未燃炭化水素成分を高温時に放出してHCを浄化する未燃炭化水素吸着手段5と、三元触媒7の上流側に設けられた第1の酸素濃度検出手段9と、三元触媒7と未燃炭化水素吸着手段5との間に設けられた第2の酸素濃度検出手段11とをそなえ、第2の酸素濃度検出手段11が活性化してから未燃炭化水素吸着手段5が活性化するまでの間は、第2の酸素濃度検出手段11で検出される酸素濃度がリッチとならないように排気空燃比をフィードバック制御する。
【選択図】 図1
Description
図7はこのようなHCトラップ触媒と三元触媒とを用いた排ガス浄化装置の一例を示す図であって、排気通路3上には上流側から順に三元触媒7及びHCトラップ触媒5が設けられている。これらの三元触媒7及びHCトラップ触媒5にはいずれも酸素貯蔵機能(OSC機能:Oxygen Storage Capacity)がそなえられている。
また、HCトラップ触媒5の上流側に三元触媒7を設けた場合や、HCトラップ触媒5自体に三元触媒層を設けた場合には、排気空燃比をリーン化しても排ガス中の酸素は三元触媒の酸素貯蔵機能(OSC機能)により吸蔵されてしまうため、HCトラップ触媒5に酸素が供給されるまで長時間のリーン化運転を要することになり、ドライバビリティを損なうおそれがある。
さて、まず始動時(t=t0 )には、エンジンの始動性を確保する目的で空燃比がリッチ化される。なお、この始動時の空燃比制御はオープンループ制御により実行される。
その後、O2 センサ9が活性化すると(t=t1 )、上記オープンループ制御を離脱し、O2 センサ9からの情報に基づく理論空燃比でのフィードバック制御(図中、S−FBと記す)に移行する。これにより三元触媒7及びHCトラップ触媒5もストイキオ雰囲気となる。なお、この時点では、まだエンジンは低水温状態であり、排気中のHCはHCトラップ触媒5に吸着される。
つまり、まず三元触媒7のOSC剤が酸素で満たされてからHCトラップ触媒5に酸素が供給されるため、三元触媒7の雰囲気がリーンとなるまでの遅れ時間(三元触媒7に酸素が吸蔵されるまでの時間)Δt1、及び、その後HCトラップ触媒5がリーンとなるまでの遅れ時間(HCトラップ触媒5に酸素が吸蔵されるまでの時間)Δt2とが生じ、空燃比をリーン化しても、この期間Δt1+Δt2はHCトラップ触媒5はリッチ又はストイキオとなり、この間はHCが十分浄化されなくなるという課題が生じる。また、長期間リーン化が必要となるためドライバビリティが悪化するという課題がある。
また、該未燃炭化水素成分の放出終了後は該第1の酸素濃度検出手段からの情報に基づいて該排気空燃比をフィードバック制御するのが好ましい(請求項3)。
また、該三元触媒の酸素貯蔵機能が、エンジン始動時のリッチ化により消費される酸素よりも多くの酸素を蓄えることができるのが好ましい(請求項5)。
また、空燃比をリーン化する時間を短くすることができるので、エンジンの燃焼安定性が向上する(請求項2)。
また、未燃炭化水素吸着手段の活性化から所定時間経過すると、未燃炭化水素成分の放出が終了したと判定するので制御ロジックを簡素化できるという利点がある(請求項4)。
また、排気通路3上には、三元触媒7よりも上流側に排気空燃比(A/F)を検出可能なO2 センサ(第1の酸素濃度検出手段)9が介装されるとともに、上記三元触媒7よりも下流側であって且つHCトラップ触媒5よりも上流側においても排気空燃比(酸素濃度)を検出可能なO2 センサ(第2の酸素濃度検出手段)11が介装されている。なお、本実施形態ではこれらの酸素濃度検出手段としてO2 センサを用いたが、O2 センサに代えてリニアAFセンサを用いても良い。
ここで、この三元触媒層5cにはセリウム(Ce)が担持されている。セリウムは、流入する排気の空燃比がリーンのとき(すなわち酸化雰囲気下で)排気中の酸素と化合してセリア(CeO)を形成し、流入する排気の空燃比がリッチになると(すなわち還元雰囲気になると)化合した酸素を脱離して金属セリウムに戻る性質を有する。
また、上記HCトラップ触媒5は、流入する排気温度の低温時、すなわち吸着剤温度が低いときには排気中の未燃炭化水素(HC)成分を多孔質の細孔内に吸着し、吸着剤温度が上昇して所定の活性化温度以上となると、吸着したHC成分を放出(脱離)するHCの吸放出作用を行う。
一方、三元触媒7は、ハニカム状に成形したコージェライト等のモノリス担体を用いて、この担体表面にアルミナの薄いコーティングを形成し、このアルミナ層に白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属触媒成分を担持させたものである。
また、三元触媒7にもセリウムが担持されており、これにより三元触媒7についても酸素貯蔵機能(OSC機能)がそなえられている。したがって、三元触媒7に流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中の酸素を吸着又は貯蔵し、流入する排気の空燃比がリッチになったときに貯蔵した酸素を放出することとなる。
次に、本実施形態の制御内容について説明すると、本実施形態では、エンジンECUは燃料噴射量をO2 センサ9,11の出力に基づいて制御する空燃比制御を行なっており、この制御のためエンジンECUの入出力ポートにはO2 センサ9,11からの空燃比情報が入力されるようになっている。また、エンジンECUの入出力ポートは、図示しない燃料噴射回路を介してエンジンの各インジェクタに接続されており、エンジンの燃料噴射量を制御している。
さて、ここで図3において、(a)は第1のO2 センサ9の出力、(b)は第2のO2 センサ11の出力、(c)は三元触媒7内における雰囲気、(d)はHCトラップ触媒5内における雰囲気、(d)は本実施形態に係る排ガス浄化装置を搭載した車両の車速を示している。
しかし、このような冷態時には三元触媒7は活性化していないためHCは後段のHCトラップ触媒5に流入する。そして、このような低温時には、HCトラップ触媒5に流入したHC成分はHCトラップ層5bに吸着、保持されて、HCトラップ触媒5よりも下流側にはほとんど流出しない。
本実施形態においては冷態始動時であることを想定しているので、エンジン始動完了後は、理論空燃比に設定され、図3(a)に示すように、第1のO2 センサ9出力に基づいて排気空燃比がストイキオとなるようにフィードバック制御(S−FB)が実行される。なお、ここまでは従来と同様の制御である。
このため、本装置ではHCトラップ触媒5の活性化以前に、車両の加速要求等により空燃比のリッチ化が必要なときには、図3(d)に示すように、第2のO2 センサ11からの出力がリッチにならない範囲で空燃比をリッチ化しているのである。ここで第2のO2 センサ11は三元触媒7の上流側であって、且つHCトラップ触媒5の上流側に位置しているので、第2のO2 センサ11の出力がリッチにならなければ、HCトラップ触媒5もリッチ雰囲気となることはない。このため、HCトラップ触媒5は、前回のエンジン停止時に吸蔵した酸素を保持することになり、酸素の消費が回避される。
そこで、本実施形態ではHCトラップ触媒5の活性化判定時から所定時間だけ経過すると、HCトラップ触媒5からのHCの放出が終了したと判定して、それまでの第2のO2 センサ9からの出力に基づくフィードバック制御から、第1のO2 センサ9からの出力が理論空燃比となるように空燃比を設定するストイキオフィードバック制御に切り替えるようになっている。
本発明の一実施形態に係る排ガス浄化装置は上述したように構成されているので、その作用について図5に示すフローチャートを用いて説明すると以下のようになる。まず、エンジンが始動すると本制御がスタートし、ステップS1にて三元触媒7の上流側に設けられた第1のO2 センサ9が活性化したか否かを判定する。なお、ここでは第1のO2 センサ9からの電流値に基づいて第1のO2 センサ9が活性化したか否かを判定する。
一方、上記ステップS3でHCトラップ触媒5の活性が判定されると、ステップS6においてタイマをスタートさせて、第2のO2 センサ11が活性化してからの経過時間がカウントされる。なお、本制御フローはエンジン始動とともに開始されるが、ステップS6は本制御フローが開始後に最初にステップS6に通ったときにのみ機能し、それ以外は無視される。
そこで、ステップS7においてHCトラップ触媒5が活性化してから(タイマのスタートから)所定時間経過しているか否かを判定し、所定時間が経過するまではステップS5に戻り、第2のO2 センサ11からの出力に基づくフィードバック制御を続行する。ただし、HCトラップ触媒5の活性化時には、上述したようにHCの酸化に十分な酸素が必要であるので、ステップS7からステップS5に進んだ場合には、第2のO2 センサ11からの出力が所定のリーンな空燃比となるようにフィードバック制御される(すなわち目標空燃比がリーン側に変更される)。
したがって、本実施形態に係る排気浄化装置によれば、エンジン始動後のオープンループ制御によるHCトラップ触媒5の酸素放出を抑制でき、HC脱離時に速やかにHCを浄化することができるという特有の利点がある。具体的には、従来はHCの脱離開始から、三元触媒7に酸素が満たされるまでの時間ΔT1+HCトラップ触媒に酸素が満たされるまでの時間ΔT2(図8参照)を経過しないとHCを酸化させることができず、制御の応答遅れが大きいという課題があったが、本装置によれば、三元触媒7に酸素が満たされるまでの時間ΔT1だけでHCの浄化を開始することができ、制御の応答遅れを大幅に低減することができる。
また、三元触媒7の酸素貯蔵機能が、エンジン始動時のリッチ化により消費される酸素よりも多くの酸素を蓄えることができるように設定されているので、エンジンの冷態始動時に三元触媒7内の酸素が全て消費されてHCトラップ触媒の酸素を消費するような事態を確実に回避することができる。
5 HCトラップ触媒(未燃炭化水素吸着手段)
7 三元触媒
9 第1の酸素濃度検出手段(第1のO2 センサ)
11 第2の酸素濃度検出手段(第2のO2 センサ)
Claims (5)
- エンジンの排気通路中に設けられ、排気空燃比がリーンのときに排気中の酸素を吸着し該排気空燃比がリッチのときに吸着した酸素を放出する酸素貯蔵機能を有する三元触媒と、
該排気通路中に該三元触媒よりも下流側に設けられ、該酸素貯蔵機能をそなえるとともに、低温時に吸着した未燃炭化水素成分を高温時に放出し、該未燃炭化水素成分を浄化する未燃炭化水素吸着手段と、
該三元触媒の上流側に設けられ、該排気中の酸素濃度を検出する第1の酸素濃度検出手段と、
該三元触媒と該未燃炭化水素吸着手段との間に設けられ、該排気中の酸素濃度を検出する第2の酸素濃度検出手段とをそなえ、
エンジン始動後、該第2の酸素濃度検出手段が活性化してから該未燃炭化水素吸着手段が活性化するまでの間は、該第2の酸素濃度検出手段で検出される酸素濃度がリッチとならないように該排気空燃比をフィードバック制御する
ことを特徴とする、排ガス浄化装置。 - 該未燃炭化水素吸着手段が活性化してから該未燃炭化水素成分の放出が終了するまでの間は、該未燃炭化水素吸着手段の空燃比がリーンとなるように該排気空燃比を制御する
ことを特徴とする、請求項1記載の排ガス浄化装置。 - 該未燃炭化水素成分の放出終了後は該第1の酸素濃度検出手段からの情報に基づいて該排気空燃比をフィードバック制御する
ことを特徴とする、請求項2記載の排ガス浄化装置。 - 該未燃炭化水素吸着手段の活性化から所定時間経過すると、該未燃炭化水素成分の放出が終了したと判定する
ことを特徴とする、請求項2又は3記載の排ガス浄化装置。 - 該三元触媒の酸素貯蔵機能が、エンジン始動時のリッチ化により消費される酸素よりも多くの酸素を蓄えることができる
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の排ガス浄化装置。
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