JP2007176125A - 熱応答性マイクロカプセル、および、感熱記録材料 - Google Patents

熱応答性マイクロカプセル、および、感熱記録材料 Download PDF

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Abstract

【課題】感度が高く、且つ、経時による濃度変化を効果的に抑制することができる熱応答性マイクロカプセル並びにこれを用いた感熱記録材料を提供する。
【解決手段】電子供与性染料前駆体を内包する熱応答性マイクロカプセルであって、トリメチロール化合物と下記一般式(II)で表されるシクロヘキシルジアルキレンジイソシアネート化合物とを付加したイソシアネート付加物をモノマーとするポリマーを含むことを特徴とする熱応答性マイクロカプセル。
Figure 2007176125

[一般式(II)中、nは、1〜4の整数を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、電子供与性染料前駆体を内包した熱応答性マイクロカプセル、並びに、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との発色反応を利用した感熱記録材料に関し、より具体的には、感度が高く、且つ経時による濃度変化を効果的に抑制できる熱応答性マイクロカプセル、並びに、これを用い医療用記録材料等に好適な感熱記録材料に関する。
感熱記録方法は、(1)現像が不要である、(2)支持体が紙の場合、材質が一般紙に近い、(3)取扱いが容易である、(4)発色濃度が高い、(5)記録装置が簡便で信頼性が高く安価である、(6)記録時の騒音が少ない、(7)メンテナンスが不要である、等の利点を有し、近年、広汎な分野に用途が拡大しており、多色化への対応や、例えば、画像等をオーバーヘッド・プロジェクターにより投影したり、医療用記録材料など、ライトテーブル上で直接観察する等の用途にも好適な透明感熱記録材料も提供されている。
この様な感熱記録に用いられる感熱記録材料としては、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との反応を利用したものなどが好適なものとしてよく知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような感熱記録材料としては、前記電子供与性染料前駆体を熱応答性マイクロカプセルに内包させたものが知られており、これにより、感熱記録材料の生保存性などを向上させることができる。熱応答性マイクロカプセルとしては、例えば、加熱時の物質透過性を高め、生保存性や溶液中での保存安定性を高めたものが知られている(例えば、特許文献2および3参照。)
一方、感熱記録材料を医療用記録材料等として用いる場合は、画像診断に特に重要な低濃度部において、印画時の濃度ムラが生じないことが重要である。しかし、感熱記録材料の片面のみに画像を印画する場合、記録材料の片面のみに高いエネルギーが印加されることから、エネルギーを印加された側のみが収縮し、表裏の収縮率の差に由来してカールが発生してしまう場合がある。シャーカステン上に置かれて診断を行う医療用透過感熱記録フィルムは、印画後のカールが大きいと、診断し難い場合があり、印画時におけるカールの発生を抑制する技術の開発が求められている。
このような印画後のカールを抑える方法としては、バック面のゼラチン塗布量を多くする方法や、下塗り層にスチレン−ブタジエン共重合体や中空粒子を塗布する方法などが提案されている(例えば、特許文献4および特許文献5参照。)。
しかし、これらの方法では、印画の環境湿度に影響を受けてカール変化が大きくなったり、印画面状が荒れて画質の低下を引き起こすなどの問題があった。
また、感熱記録材料を医療用記録材料等として用いる場合においては、保存時に画像部の濃度ができるだけ変化しないことが求められている。
しかし、前記のような感熱記録材料においては、印画後閉環体のまま未発色で残っていた前記電子供与性染料前駆体の一部がマイクロカプセルから漏出して発色する場合があり、印画直後と保存後で、画像の濃度が変化するという問題があった。
特開2003−211845号公報 特開2001−213052号公報 特開2003−276345号公報 特開2003−266943号公報 特開2005−40989号公報 特開平10−278431号公報
上述のような印画時における感熱記録材料のカールを抑制するためには、印画時に印加されるエネルギーを低くすることが考えられる。このように、印画時のエネルギーを低くするためには、熱応答性マイクロカプセルを高感度化し、低いエネルギーにおいても発色するように構成することで達成することができる。また、高感度化に伴って、経時によって印画画像の濃度が変化しやすくなることから、経時による濃度変化を抑制する必要がある。
以上の問題点を解決すべく、本発明は、感度が高く且つ、経時による濃度変化を効果的に抑制することができる熱応答性マイクロカプセル並びにこれを用いた感熱記録材料を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明の手段は、以下の通りである。
<1> 電子供与性染料前駆体を内包する熱応答性マイクロカプセルであって、下記一般式(I)で表されるトリメチロール化合物と下記一般式(II)で表されるシクロヘキシルジアルキレンジイソシアネート化合物とを付加したイソシアネート付加物をモノマーとするポリマーを含むことを特徴とする熱応答性マイクロカプセルである。
Figure 2007176125
[一般式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
Figure 2007176125
[一般式(II)中、nは、1〜4の整数を表す。]
<2> 支持体上に、熱応答性マイクロカプセルおよび顕色剤を含む感熱記録層を有する感熱記録材料であって、前記熱応答性マイクロカプセルが、下記一般式(I)で表されるトリメチロール化合物と下記一般式(II)で表されるシクロヘキシルジアルキレンジイソシアネート化合物とを付加したイソシアネート付加物をモノマーとするポリマーを含むことを特徴とする感熱記録材料である。
Figure 2007176125

[一般式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
Figure 2007176125
[一般式(II)中、nは、1〜4の整数を表す。]
<3> 前記感熱記録層がポリビニルアルコールを含有し、更に、ゼラチンを含有する中間層、および、ポリビニルアルコールを含有する保護層を有することを特徴とする前記<2>の感熱記録材料である。
<4> 前記支持体が、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする前記<2>または<3>の感熱記録材料である。
本発明によれば、感度が高く、且つ、経時による濃度変化を効果的に抑制することができる熱応答性マイクロカプセル並びにこれを用いた感熱記録材料を提供することができる。
《熱応答性マイクロカプセル》
本発明の熱応答性マイクロカプセルは、電子供与性染料前駆体を内包する熱応答性マイクロカプセルであって、下記一般式(I)で表されるトリメチロール化合物と下記一般式(II)で表されるシクロヘキシルジアルキレンジイソシアネート化合物とを付加したイソシアネート付加物(以下、「本発明におけるイソシアネート付加物」という場合がある。)をモノマーとするポリマー(以下、「本発明におけるポリマー」という場合がある。)を含む。
本発明の熱応答性マイクロカプセルは、本発明におけるポリマーを用いてマイクロカプセルを形成(好ましくはマイクロカプセル壁を形成)することで、比較的低いエネルギー量で物質透過性を示し(高感度)、且つ、印画後に閉環体のまま未発色で残っていた場合であっても内包する電子供与性染料前駆体の一部が漏出するのを防止することができる。
このため、本発明の熱応答性マイクロカプセルを用いた感熱記録材料は、印画後にカールが発生しにくく、且つ、経時に伴う印画画像の濃度変化を抑制することができる。
Figure 2007176125
[一般式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
Figure 2007176125
[一般式(II)中、nは、1〜4の整数を表す。]
上述の通り本発明の熱応答性マイクロカプセルは、下記一般式(I)で表されるトリメチロール化合物と下記一般式(II)で表されるシクロヘキシルジアルキレンジイソシアネート化合物とを付加したイソシアネート付加物を含有する本発明におけるポリマーが含まれる。本発明におけるポリマーは本発明の熱応答性のマイクロカプセルのマイクロカプセル壁に含有されていることが好ましい。
(本発明におけるポリマー)
本発明におけるポリマーは、本発明におけるイソシアネート付加物をモノマーとして重合させた重合体であり、本発明の効果を損なわない範囲で他のモノマーを含んでいてもよい。前記他のモノマーとしては、本発明におけるイソシアネート化合物と重合可能な公知の化合物を用いることができ、例えば、2官能以上のイソシアネート化合物等を用いることができる。
−イソシアネート付加物−
本発明におけるイソシアネート化合物は、下記一般式(I)で表されるトリメチロール化合物と下記一般式(II)で表されるシクロヘキシルジアルキレンジイソシアネート化合物とを付加させた付加体である。
〜一般式(1)で表されるトリメチロール化合物〜
Figure 2007176125
[一般式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
前記一般式(I)において、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、炭素数1〜2のアルキル基がさらに好ましい。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
以下に、前記一般式(1)で表されるトリメチロール化合物の具体例を挙げる。但し、本発明はこれに限定されるものではない。前記一般式(1)で表されるトリメチロール化合物としては、下記トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタンが好ましく、この中で特にトリメチロールプロパンが好ましい。
Figure 2007176125
〜一般式(II)で表されるシクロヘキシルイソシアネート化合物〜
Figure 2007176125
[一般式(II)中、nは、1〜4の整数を表す。]
前記一般式(II)において、nは1〜4の整数を表し、1または2が好ましい。
また、一般式(II)で表されるシクロヘキシルイソシアネート化合物のイソシアネート基の置換部位は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよいが、置換基がメタ位またはパラ位に配置されている化合物が好ましい。
以下に前記一般式(II)で表されるシクロヘキシルイソシアネート化合物の具体例を挙げる。但し、本発明はこれに限定されるものではない。尚、前記一般式(II)で表されるシクロヘキシルイソシアネート化合物としては、メチレンイソシアネート基がメタ位に配置されたシクロヘキシルジメチレンジイソシアネートが好ましい。
Figure 2007176125
本発明におけるイソシアネート付加物において、前記一般式(I)で表されるトリメチロール化合物(x)と、前記一般式(II)で表されるシクロヘキシルイソシアネート化合物(y)との付加比(x:y(モル比))は、感度と画像保存性との観点から、1:2〜1:4が好ましく、1:3が更に好ましい。
また、本発明におけるイソシアネート付加物は、例えば、一般式(I)で表されるトリメチロール化合物と(2)で表される化合物と前記一般式(II)で表されるシクロヘキシルイソシアネート化合物との付加物を有機溶剤中で攪拌しながら加熱(50〜100℃)することにより、或いはこれらにオクチル酸第1錫等の触媒を添加しながら比較的低温(室温〜70℃)で加熱することにより得ることができる。
本発明の熱応答性マイクロカプセルの製造方法には、界面重合法や内部重合法、外部重合法等があり、いずれの方法も採用することができる。中でも、カプセルの芯となる電子供与性染料前駆体を、疎水性の有機溶媒に溶解または分散させて調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相中に投入し、ホモジナイザー等の攪拌手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こさせ、高分子物質からなるマイクロカプセル(壁)を形成する界面重合法を採用することが好ましい。
前記界面重合法においては、一般に、イソシアネート付加物の他に、これと反応する活性水素を有する化合物を使用することが好ましい。前記活性水素を有する化合物としては、例えば、水、ポリオールおよびアミン化合物の少なくともいずれかを使用することができる。前記ポリオールとしては、プロピレングリコール、グリセリンおよびトリメチロールプロパン等が挙げられる。また、アミン化合物としては、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等が使用できる。これらの化合物については、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(1987))に記載されている。
これらのイソシアネート付加物と活性水素を有する化合物とは、電子供与性染料前駆体および疎水性溶媒からなる溶液に添加することができる。このようにして得られた混合液(油相)を、水溶性高分子からなる水溶液(水相)に添加し、ホモジナイザー等の高シェア攪拌装置により乳化分散させ、乳化後、イソシアネート化合物の重合反応触媒を添加するか、乳化物の温度を上昇させることで、マイクロカプセル形成反応を促進させることができる。
また、前記マイクロカプセル(壁)には、必要に応じて金属含有染料、ニグロシン等の荷電調節剤、或いは、その他任意の添加物質を加えることができる。これらの添加剤はカプセル壁の形成時、または任意の時点でカプセル壁に含有させることができる。また、必要に応じてカプセル壁表面の帯電性を調節するために、ビニルモノマー等のモノマーをグラフト重合させてもよい。
更に、マイクロカプセルをより低温の状況下でも物質透過性に優れ、発色感度に富む壁質とするため、壁材として用いる本発明におけるポリマーに適合した可塑剤を用いることができる。該可塑剤としては、その融点が50℃以上のものが好ましく、更に該融点が120℃以下のものがより好ましい。これらの内、常温下で固体状のものを好適に選択して用いることができる。
前記可塑剤としては、例えば、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好ましい。
画像の保存性をより向上するには、カプセル芯部にオイルが存在しない方が好ましいため、疎水性有機溶媒を用いないで低沸点溶媒のみを使用することが好適であるが、油相の調製に際して、電子供与性染料前駆体を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するために疎水性有機溶媒を用いることができる。前記疎水性有機溶媒としては、沸点300℃以下の有機溶媒が好ましい。
具体的には、エステル類の他、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ジメチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル、1−メチル−1−ジメチルフェニル−2−フェニルメタン、1−エチル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、1−プロピル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、トリアリルメタン(例えば、トリトルイルメタン、トルイルジフェニルメタン)、ターフェニル化合物(例えば、ターフェニル)、アルキル化合物、アルキル化ジフェニルエーテル(例えば、プロピルジフェニルエーテル)、水添ターフェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル)、ジフェニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エステル類を使用することが乳化分散物の乳化安定性の観点から特に好ましい。
前記エステル類としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ブチル、リン酸オクチル、リン酸クレジルフェニル等のリン酸エステル;フタル酸ジブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル;テトラヒドロフタル酸ジオクチル;安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ベンジル等の安息香酸エステル;アビエチン酸エチル、アビエチン酸ベンジル等のアビエチン酸エステル;アジピン酸ジオクチル;コハク酸イソデシル;アゼライン酸ジオクチル;シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル等のシュウ酸エステル;マロン酸ジエチル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;クエン酸トリブチル;ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチル等のソルビン酸エステル;セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル;ギ酸モノエステルおよびジエステル、酪酸モノエステルおよびジエステル、ラウリン酸モノエステルおよびジエステル、パルミチン酸モノエステルおよびジエステル、ステアリン酸モノエステルおよびジエステル、オレイン酸モノエステルおよびジエステル等のエチレングリコールエステル;トリアセチン;炭酸ジエチル;炭酸ジフェニル;炭酸エチレン;炭酸プロピレン;ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチル等のホウ酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、特にリン酸トリクレジルを単独または混合して用いた場合、乳化物の安定性が最も良好となり好ましい。前記の有機溶媒同士または他の有機溶媒との併用による使用も可能である。
また、前記疎水性有機溶媒に加えて、溶解性の高い低沸点溶媒を併用することもできる。この様な低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチレンクロライド等が好適に挙げられる。
低沸点溶媒の添加量は、油相の溶液全体に対して、20質量%〜80質量%であることが好ましく、30質量%〜75質量%であることがより好ましく、40質量%〜70質量%であることがさらに好ましい。
油相の溶液の粘度は、1mPa・s〜100mPa・sであることが好ましく、3mPa・s〜50mPa・sであることがより好ましく、5mPa・s〜30mPa・sであることが更に好ましい。このような粘度にすると、油相の液滴径を制御しやすい。
一方、前記界面重合法に用いられる水相には保護コロイドとして水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の攪拌手段により乳化分散を行う。
前記保護コロイドとして含有させることができる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜に選択することができ、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましい。その具体例としては、ポリビニルアルコールまたはその変成物、ポリアクリル酸アミドまたはその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体が特に好ましい。
前記ポリビニルアルコールとしては、例えば、完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、シリカ変性ポリビニルアルコール、末端疎水基変性ポリビニルアルコール等が好適である。
尚、前記水溶性高分子は、分散を均一に且つ容易にすると共に、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるために、油相或いは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。該界面活性剤としては、周知の乳化用界面活性剤を使用することができる。該界面活性剤の添加量は、油相の質量に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
水相に含有させる前記界面活性剤としては、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤の中から、前記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを適宜に選択して使用することができる。
好ましい界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、アセチレングリコール等が挙げられる。
油相と水相との乳化分散は、前述の成分を含有した油相と、保護コロイドおよび必要により界面活性剤を含有する水相とを、高速攪拌機、超音波分散装置等の通常の微粒子乳化に用いられる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等、公知の乳化分散装置を用いて行うことができる。
油滴径および油滴の粒径分布を制御するには、攪拌方法として、乳化分散時の攪拌回転数の調整、攪拌時間の調整、攪拌羽根の形状変更等の方法を用いることが好ましく、特に、乳化分散時の攪拌回転数の調整や攪拌時間の調整等の方法が好適である。
乳化分散後は、カプセル壁の形成反応を促進させるために、該乳化物を30〜70℃に加温することが好ましく、より好ましくは、40〜65℃に加熱する場合である。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げる等、十分な攪拌を行うことが好ましい。
また、カプセル形成の反応中に改めて凝集防止用の分散剤を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよそのカプセル形成反応の終点と見なすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的とするマイクロカプセルを得ることができる。
油相の水相に対する混合比(油相質量/水相質量)は、0.1〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。該混合比が0.1〜2.0の範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性に優れ、塗布液の経時安定性に優れる。
また、本発明における「電子供与性染料前駆体を内包する」とは、電子供与性染料前駆体をマイクロカプセルに内包させるのみではなく、本発明におけるポリマー中に電子供与性染料前駆体を含ませる形態も好ましい態様として挙げられる。電子供与性染料前駆体を本発明におけるポリマー中に含ませる方法としては、有機溶剤を用いずに、重合成分の本発明におけるイソシアネート付加物を溶媒とし、その中に電子供与性染料前駆体を溶解させたり、前記マイクロカプセルの製造方法と同様の方法によって、電子供与性染料前駆体を含む高分子となる複合微粒子を作製(複合微粒子化)することで達成することができる。
複合微粒子については、例えば特開平9−263057号公報等に記載された詳細を参照できる。尚、この複合微粒子の態様は、溶質の溶解度が制限され、必要以上に複合微粒子の塗布量が多くなったり、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物(顕色剤)との隔離を完全に行うことが難しく、地肌着色や画像保存性の悪化を伴いやすいことから、マイクロカプセルに内包させる態様がより好適である。
(電子供与性染料前駆体)
本発明の熱応答性マイクロカプセルは、電子供与性染料前駆体を内包する。電子供与性染料前駆体は、電子を供与して、或いは、酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであり、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、電子受容性化合物と接触した時に、これらの部分骨格が開環若しくは開裂する化合物であることが好ましい。
前記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物等が挙げられる。
前記フタリド類の具体例としては、米国再発行特許明細書第23024号、米国特許明細書第3491111号、同第3491112号、同第3491116号、同第3509174号等に記載された化合物が挙げられる。
前記スピロピラン類の具体例としては、米国特許明細書第3971808号等に記載された化合物が挙げられる。
前記ピリジン系およびピラジン系化合物類としては、米国特許明細書第3775424号、同第3853869号、同第4246318号等に記載された化合物が挙げられる。
前記フルオラン系化合物の具体例としては、米国特許明細書第3624107号、同第3627787号、同第3641011号、同第3462828号、同第3681390号、同第3920510号、同第3959571号、特願昭61−240989号公報等に記載された化合物が挙げられる。
具体的には、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−Nシクロヘキシル−N−メチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジオクチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3―メチル−6−N−エチル−N−ドデシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−エチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−p−ブチルアニリノフルオラン、2−アニリノ−3−ペンタデシル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−エチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−トルイジノ−3−メチル−6−ジイソプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−イソブチル−N−エチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフリフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2―アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6―N−エチル−N−γ−プロポキシプロピルアミノフルオラン、3’,6’−ビス(ヘキシルオキシ)−2−(2−チエニル)−スピロ[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4,9’−[9H]キサントレン]、3’,6’−ビス(ヘキシルオキシ)−2−(2−フェニル)−スピロ[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4,9’−[9H]キサントレン]、等が挙げられる。
本発明の熱応答性マイクロカプセルを感熱記録材料に用いた場合、前記電子供与性染料前駆体の含有量としては、全ての電子供与性染料前駆体の合計含有量が、0.1〜5.0g/m2であることが好ましく、1.0〜4.0g/m2がより好ましい。含有量が前記の範囲内にあると十分な発色濃度が得られ、また特に5.0g/m2以内であることにより、感熱記録層の透明性を保持することができる。
以上のように本発明の熱応答性マイクロカプセルは感熱記録材料に好適に用いることができる。
《感熱記録材料》
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、電子供与性染料前駆体を内包する本発明の熱応答性マイクロカプセルおよび電子受容性化合物を含む感熱記録層を有することを特徴とする。本発明の感熱記録材料は、本発明の熱応答性マイクロカプセルを用いることで、感熱記録層の感度が高く、且つ、印画画像の経時による濃度変化を効果的に抑制することができる。
〈感熱記録層〉
本発明における感熱記録層は、少なくとも本発明の熱応答性マイクロカプセルと電子受容性化合物とを含み、その他必要に応じてバインダー等を含有する。本発明の感熱記録材料は、少なくとも1層の感熱記録層を有するが、2層以上の感熱記録層を有することが好ましい。また、本発明の感熱記録材料は、少なくとも1層の本発明の熱応答性マイクロカプセルを含んだ感熱記録層を有していればよい。
(電子受容性化合物)
前記電子供与性染料前駆体と反応する電子受容性化合物としては、有機酸誘導体およびその金属塩、フェノール誘導体、オキシ安息香酸エステル等の酸性物質が挙げられる。これら電子受容性化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用しても構わないが、特に、ヘイズ値低下、感熱記録層の透明性向上という観点から、少なくともサリチル酸誘導体の金属塩およびフェノール誘導体を用いることが好ましい。
前記電子受容性化合物としては、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されている化合物が挙げられ、より具体的には、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、3−α−α−ジメチルベンジルサリチル酸、4−(β−p−メトキシフェノキシエトキシ)サリチル酸等のサリチル酸誘導体;およびその多価金属塩(特に、亜鉛、アルミニウムが好ましい);p−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、クミルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルフォン、4−ヒドロキシ−4’−フェノキシジフェニルスルフォン等のフェノール誘導体;
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,4−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、1,3−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル等のビスフェノール類;p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル、β−レゾルシン酸−(2−フェノキシエチル)エステル等のオキシ安息香酸エステル類等が挙げられる。
本発明において前記電子受容性化合物の含有量は、全ての電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1.0〜10質量部がより好ましい。
−乳化分散物−
本発明において電子受容性化合物は、例えば、水溶性高分子および有機塩基、その他の発色助剤等と共に、サンドミル等の混合手段により固体分散して用いることもできるが、予め水に難溶性または不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤および/または水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化分散した乳化物として用いることがより好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。中でもエステル類を使用することが、乳化分散液の乳化安定性の観点から好ましく、その中でも、リン酸トリクレジル、ジエチルマロネートが特に好ましい。前記オイルの複数の併用、または他のオイルとの併用も可能である。
前記保護コロイドとして含有させることができる水溶性高分子としては、上述のマイクロカプセルの水相に用いられるものを挙げることができる。
また、油相の水相に対する混合比(油相質量/水相質量)は、0.1〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。該混合比が0.1〜2.0の範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性に優れ、塗布液の経時安定性に優れる。
(その他の成分)
次に、上述した成分の他に、感熱記録層に用いることのできるその他の成分について述べる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的或いは必要に応じて適宜に選択することができるが、例えば、公知の熱可融性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
尚、前記その他の成分の塗布量としては、0.05〜1.0g/m2程度が好ましく、0.1〜0.4g/m2がより好ましい。また、前記その他の成分は、本発明の熱応答性マイクロカプセル内に添加してもよいし、マイクロカプセル外に添加してもよい。
前記熱可融性物質は、熱応答性の向上を図る目的で感熱記録層に含有させることができる。この様な熱可融性物質については、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、脂肪族アミド、ウレイド等が挙げられる。これらの例は、特開昭58−57989号、同58−87094号、同61−58789号、同62−109681号、同62−132674号、同63−151478号、同63−235961号、特開平2−184489号、同2−215585号の各公報等に記載されている。
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号の各公報、米国特許第2719086号、同第3707375号、同第3754919号、同第4220711号の各明細書等に記載されている。
前記酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アニリン系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭59−155090号、同60−107383号、同60−107384号、同61−137770号、同61−139481号、同61−160287号の各公報等に記載されている。
本発明における感熱記録層は、塗布および乾燥後の固形分塗布量が1〜25g/m2になるように塗布されること、および該記録層の厚みが1〜25μmになるように塗布されることが好ましい。また、感熱記録層は2層以上を積層して用いることも可能である。この場合、全感熱記録層の塗布および乾燥後の固形塗布量が1〜25g/m2が好ましい。
(感熱記録層の形成)
本発明における感熱記録層の形成に用いる塗布液(感熱記録層用塗布液)は、例えば、前述の様に調製したマイクロカプセル液と乳化分散物とを混合することにより、調製することができる。ここで、前記マイクロカプセル液の調製の際に保護コロイドとして用いることができる水溶性高分子、並びに前記乳化分散物の調製の際に保護コロイドとして用いることができる水溶性高分子は、感熱記録層においてはバインダーとして機能する。また、これら保護コロイドとは別にバインダーを添加し混合して、感熱記録層用塗布液を調製してもよい。
前記添加されるバインダーとしては、水溶性のものが一般的であり、ポリビニルアルコ−ル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が挙げられ、ポリビニルアルコールが好ましい。
また、これらのバインダーに耐水性を付与する目的で耐水性の改良剤を加えたり、疎水性ポリマーのエマルジョン、具体的には、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等を添加することもできる。
感熱記録層用塗布液を支持体上に塗布するには、水系または有機溶剤系の塗布液に用いる公知の塗布手段が用いられるが、この場合、感熱記録層用塗布液を安全且つ均一に塗布すると共に、塗膜の強度を確保するために、本発明における感熱記録層用塗布液においては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリスチレンまたはその共重合体、ポリエステルまたはその共重合体、ポリエチレンまたはその共重合体、エポキシ樹脂、アクリレート系樹脂またはその共重合体、メタアクリレート系樹脂またはその共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を使用することができる。
ここで、前記公知の塗布手段としては、例えば、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、押し出しダイによるスライドコーティング等を用いた方法が挙げられる。
尚、本発明における感熱記録層を、(拡散透過率/全光透過率)×100(%)から算出されるヘイズ値を低減する様に構成することにより、透明性に優れた画像が得られる感熱記録材料とすることができる。前記ヘイズ値は材料の透明性を表す指数であり、一般にはヘイズメーターを使用して全透過光量、拡散透過光量、平行透過光量から算出される。
前記ヘイズ値を下げる方法としては、例えば、(1)感熱記録層に含まれる電子供与性染料前駆体および電子受容性化合物の両成分の50%体積平均粒径を1.0μm以下、好ましくは、0.6μm以下とし、且つバインダーを感熱記録層の全固形分の30〜60質量%の範囲で含有させる方法、或いは(2)マイクロカプセルに内包された電子供与性染料前駆体に対し、電子受容性化合物を塗布乾燥後に実質的に連続層を構成する様なもの(例えば、乳化分散物)として使用する方法等が挙げられる。また、感熱記録層に使用する成分の屈折率を出来るだけ一定の値に近付ける方法も有効である。
ここで、本発明において、前記50%体積平均粒径とは、例えば、堀場製作所(株)製のレーザー回折粒度分布測定装置「LA700」により測定される、50%体積に相当する平均粒径(以下、単に「平均粒径」ということがある。)を意味する。
〈中間層〉
本発明の感熱記録材料においては、各層の混合防止や画像保存性に対して有害なガス(酸素、オゾン等)の遮断のために、支持体の感熱記録層および保護層を有する発色面側に、中間層を設けることが好ましい。また、特に本発明においては各層の混合防止の観点から、層構成として、支持体上にポリビニルアルコールを含有する感熱記録層と、水溶性のバインダーを添加した中間層と、ポリビニルアルコールを含有する保護層と、をこの順に有することが好ましい。
尚、該中間層には、目的および必要に応じて、架橋剤、滑剤、界面活性剤、その他の添加剤等を含有することができる。
前記中間層のバインダーとしては、系に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体等を好ましく用いることができ、その中でも特にゼラチンを用いることが好ましい。
ゼラチンは高温では水溶液が流動性を有している一方で、低温(例えば35℃以下)にすると流動性を失いゲル化する性質(セット性)に優れるため、支持体上に複数の層を形成する場合、例えば、複数の層を順次塗布乾燥する方法や、押し出しダイ方式等で一度に重層塗布し乾燥する方法においても、隣接する2つの層が相互に混合することが有効に防止される。よって、得られる感熱記録材料の面状が良好になり、高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を得ることができるため、細部まで明瞭な画像を形成する必要のある医療用記録材料に好適である。更に高い風速で乾燥しても面状が悪化しないので、製造効率が向上する。
前記ゼラチンとしては、無修飾(未処理)ゼラチン或いは修飾(処理)ゼラチンがいずれも支障なく用いられる。修飾ゼラチンとしては石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、フタル化処理ゼラチン、脱イオン処理ゼラチン、酵素処理低分子量ゼラチン等が挙げられる。中でも特に、等電点の低いアルカリ処理ゼラチン(例えば、石灰処理ゼラチン等)、アミノ基を反応させた誘導体ゼラチン(例えば、フタル化ゼラチン等)等が好ましい。
また、前記ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体等、ゼラチン以外のバインダーの具体例としては、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物、ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性高分子、およびスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等の水不溶性ポリマー等が挙げられる。
また、耐水性を更に向上させる目的で、架橋剤およびその反応を促進させる触媒を併用することが有効であり、該架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ブロックドイソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、硼酸、カルボン酸無水物、シラン化合物、キレート化合物、ハロゲン化物等が挙げられ、中間層の形成に用いる塗布液(中間層用塗布液)のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。また、前記触媒としては、公知の酸、金属塩等が挙げられ、前記同様に塗布液のpHを6.0〜7.5に調整できるものが好ましい。
また前記滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が好適に挙げられる。
また、前記界面活性剤としては、感熱記録層上に均一に中間層を形成可能なように、スルホコハク酸系の塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、およびアンモニウム塩等が挙げられる。
中間層形成用の塗布液は、前記各成分を混合して得られる。更に、必要に応じて離型剤、ワックス、撥水剤等を加えてもよい。
本発明の感熱記録材料は、例えば、支持体上に形成した感熱記録層上に中間層用塗布液を公知の塗布方法により塗布して形成することができる。前記公知の塗布方法としては、前記(感熱記録層の形成)の項において挙げたものと同様のもの等が挙げられる。
前記中間層の乾燥塗布量は、0.2〜4.0g/m2が好ましく、0.5〜3.0g/m2がより好ましい。
〈保護層〉
本発明においては、発色面側に、感熱記録層および中間層の上層として保護層を形成することができる。該保護層は通常、保護層用塗布液として調製され塗布して形成されるが、該保護層用塗布液は広い記録エネルギー領域に亙り、良好なヘッドマッチング性を保有するために、水溶性バインダーとして少なくともポリビニルアルコールを含有し、更に顔料、および液体ないし固体状の潤滑剤を含有する形態が好ましい。また、前述の通り、特に各層の混合防止の観点から、支持体上にポリビニルアルコールを含有する前記感熱記録層と、ゼラチン等の水溶性バインダーを含有する中間層と、ポリビニルアルコールを含有する保護層と、をこの順に有した層構成とすることが好ましい。
(顔料)
本発明の感熱記録材料の保護層に用いられる顔料は、通常、サーマルヘッドによる熱記録を好適なものとするため、即ち、スティッキングや異音等の発生を抑える目的で用いられるものであり、有機顔料および無機顔料のいずれも使用できる。
本発明における保護層に用いられる前記顔料としては、その平均粒径、詳しくは、前述のレーザー回折法で測定した50%体積平均粒径が、0.10〜5.0μmであるものが好ましく、特にサーマルヘッドにより熱記録する際、サーマルヘッドと感熱記録材料の間におけるスティッキングや異音等の発生をより効果的に抑止する観点から、前記50%体積平均粒径は0.20〜0.50μmの範囲にあることがより好ましい。該50%体積平均粒径が0.10〜5.0μmの範囲内にあると、サーマルヘッドに対する摩擦の低減効果が大きく、その結果、印画時にサーマルヘッドと感熱記録材料の保護層とが接着してしまう、所謂、スティッキング現象を防止することができる。
本発明における保護層に用いることのできる顔料の種類としては、特に限定されるものではなく、公知の有機および無機の顔料から適宜に選択して使用することができるが、中でも、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ、酸化亜鉛等の無機顔料、および尿素ホルマリン樹脂、エポキシ樹脂等の有機顔料が好ましい。中でも特に、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカが好ましい。これらの顔料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また前記顔料の中でも、高級脂肪酸や高級脂肪酸の金属塩、高級アルコールからなる群より選択される少なくとも1種により表面被覆された顔料を好適に使用することができる。前記表面処理に用いる高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
前記顔料は、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、部分鹸化または完全鹸化のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、各種界面活性剤等の分散助剤、好ましくは部分鹸化または完全鹸化のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体アンモニウム塩の共存下で、ディゾルバーやサンドミル、ボールミル等の既知の分散機で前記平均粒径にまで分散して使用されることが好ましい。即ち、顔料の50%体積平均粒径が0.1〜5.0μmの範囲の粒径になるまで微分散してから使用されることが好ましい。
(潤滑剤)
本発明における保護層に用いられる潤滑剤は、通常、印画トルクを低減させサーマルヘッドによる熱記録を好適なものとするため、常温で液体ないし融点が40℃未満の潤滑剤と、融点が40℃以上の潤滑剤とを含有する形態が好ましい。
前記の常温で液体の潤滑剤としては、シリコンオイル、流動パラフィン、ラノリン等が挙げられ、特にシリコンオイルが好ましい。前記シリコンオイルはカルボキシル基、ポリオキシエチレン基等の置換基を有していてもよく、該シリコンオイルの粘度としては、100〜100000mPa・sのものが好ましい。
前記の融点が40℃未満の潤滑剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩等が挙げられ、中でも特に、下記構造式[001]で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩が好ましい。
Figure 2007176125
上式[001]中、Rはアルキル基を表し、該アルキル基は置換基を有していてもよい。nは2〜30の整数を表す。
前記の常温で液体の潤滑剤および融点が40℃以下の潤滑剤は、単独で使用ないし2種以上を併用してもよい。
前記の融点が40℃以上の潤滑剤としては、融点が160℃以下、好ましくは融点が140℃以下のものが望ましく、ステアリン酸アミド(融点100℃)、メチロールステアリン酸アミド(融点101℃)、ポリエチレンワックス(融点110℃以下)、融点50〜90℃のパラフィンワックス、グリセリントリ−12−ヒドロキシステアラート(融点88℃)、オレイン酸アミド(融点73℃)、オレイン酸亜鉛(融点75℃)、ラウリン酸アミド(融点84℃)、ステアリン酸アルミニウム(融点102℃)、ステアリン酸マンガン(融点112℃)、ステアリン酸亜鉛(融点125℃)、ステアリン酸カルシウム(融点160℃)、エチレンビスステアロアミド(融点140℃)、ステアリン酸マグネシウム(融点132℃)、パルミチン酸マグネシウム(融点122℃)、ミリスチン酸マグネシウム(融点131℃)等を挙げることができる。これらの融点が40℃以上の潤滑剤も、単独で使用ないし2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる前記潤滑剤が水に不溶の場合には、分散または乳化物の形で保護層に添加することが好ましい。また固体の場合には、(1)ポリビニルアルコール等の水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下に、ホモジナイザーやディゾルバー、サンドミル等の既知の分散機で分散した水分散物の形で用いるか、(2)溶剤に溶かした後、水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下に、ホモジナイザーやディゾルバー、コロイドミル等の既知の乳化装置で乳化分散した乳化物の形で用いられる。また液体の場合には、前記の様な乳化物の形で用いられる。分散物ないし乳化物の好ましい平均粒径は0.1〜5.0μmであり、更に0.1〜2.0μmがより好ましい。ここで該平均粒径とは、前述のレーザー回折法で測定した50%体積平均粒径を指す。
(バインダー等)
本発明における保護層には透明性を良好なものとする観点から、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いることが好ましく、カルボキシ変性ポリビニルアルコールやシリカ変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを用いることもできる。
また、本発明における保護層には公知の硬膜剤等が含有されていてもよい。該硬膜剤としては、硼酸、硼砂、コロイダルシリカ等の無機化合物、および下記構造式[002]で表わされるジアルデヒド誘導体を挙げることができる。
Figure 2007176125
本発明においては、感熱記録層または中間層上に均一に保護層を形成させるために、保護層用塗布液に界面活性剤を添加することが好ましい。該界面活性剤としては、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好ましく、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩;アセチレングリコール誘導体;パーフルオロアルキル硫酸ナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩;パーフルオロアルキルベタイン化合物等が挙げられる。
更に前記保護層中には、感熱記録材料の帯電防止の目的で、金属酸化物微粒子、無機電解質、高分子電解質等を添加してもよい。また、前記保護層は単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。
前記保護層の乾燥塗布量は0.2〜7g/m2が好ましく、1〜4g/m2がより好ましい。
〈バック層〉
本発明の感熱記録材料においては、カールバランスを良好とする為に、前記支持体の感熱記録層や中間層および保護層を有する発色面の反対側(バック面)に、バック層を設けることができる。前記バック層は水溶性バインダー、特にゼラチンを含有することが好ましく、ゼラチン塗布量は、カールバランスを更に向上させる観点より、0.5〜5g/m2であることが好ましく、特に0.8〜2g/m2であるのが最も好ましい。
本発明における前記バック層は、1層で構成されたものであってもよいし、2層以上で構成されたものであってもよい。特に、他に支障を来すことなく、ゼラチンを含む水溶性バインダーの塗布量を高めながら良好に塗膜を形成できる観点より、2層或いはそれ以上の複数層で構成されることが好ましい。また、必要若しくは目的に応じて硬膜剤、マット剤、紫外線吸収剤、染料、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤等の他の成分を含有していてもよい。
本発明におけるバック層に用いる前記水溶性バインダーとしては、例えば、アルカリ処理ゼラチン、フタル化ゼラチン等のゼラチン類、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、アセチル変性ポリビニルアルコール、フッ化アセチル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性高分子等が挙げられる。また、該水溶性バインダーと併用して、下記のような水不溶性バインダーを用いることもでき、その具体例としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等の水不溶性ポリマー等が挙げられる。
〈支持体〉
本発明の感熱記録材料に用いられる支持体としては、カール等の変形を効果的に防止するために、縦方向および横方向における熱収縮率が1%未満、好ましくは0.5%以下であることが好ましい。熱収縮率の小さい支持体を選択することで、例えば医療用記録に用いられる場合など、高熱エネルギーが印加される用途に用いられる場合でも、支持体自体の熱収縮が抑えられ、記録後におけるカール状に変形する等の不具合を防止することができる。
本発明における支持体としては、前記の様に熱収縮率の小さい支持体であれば特に制限なく使用することができ、公知の支持体の中から適宜に選択することができる。中でも、透明な支持体が好ましく、前記透明な支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等の合成高分子フィルム等が挙げられ、特にポリエチレンテレフタレート(PET)の支持体が好ましい。これらは単独で、或いは複数を貼り合わせて使用することができる。前記合成高分子フィルムの厚みは、印画後のフィルムのカール減少、フィルムの取り扱いやすさ向上という観点から、100μm以上であることが好ましく、更に120〜200μmがより好ましく、150〜190μmが特に好ましい。
また、前記合成高分子フィルムは任意の色相に着色されていてもよい。該合成高分子フィルムを着色する方法としては、樹脂フィルムを成形する前に樹脂に染料を混練してフィルムを成形する方法、染料を適当な溶剤に溶かした塗布液を調製し、これを無色透明な樹脂フィルム上に公知の塗布方法、例えば、グラビアコート法、ローラーコート法、ワイヤーコート法等により塗布する方法が挙げられる。中でも、青色染料を混練したポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂をフィルムに成形し、これに耐熱処理や延伸処理、帯電防止処理等を施したものが好ましい。
また、特にシャーカステン上で透過観察する場合に、透明な非画像部分を透過するシャーカステン光により幻惑が生じ見辛い画像になることがある。この様な場合に、前記幻惑を回避する為に、JIS−Z8701(1999)に記載の方法により規定された色度座標上の、A(x=0.2805,y=0.3005)、B(x=0.2820,y=0.2970)、C(x=0.2885,y=0.3015)、D(x=0.2870,y=0.3040)の4点で形成される四角形の領域内に青く着色された合成高分子フィルムを用いることが特に好ましい。
〈その他の層〉
本発明においては、支持体上の任意の位置に、画像の褪色防止の目的で、紫外線フィルター層を設けてもよい。該紫外線フィルター層には、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤が含有される。
また、光反射防止層を更に有していてもよい。該光反射防止層は、前記バック層に使用可能なマット剤に好適な微粒子を含んで構成できる。
また、支持体から感熱記録層が剥がれることを防止する目的で、感熱記録層や保護層等を塗布する前に支持体上に予め下塗り層を形成しておいてもよい。該下塗り層は、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、SBR、水性ポリエステル等を用いてなり、該層の厚みとしては、0.05〜0.5μmが好ましい。
前記下塗り層上に感熱記録層を塗布する際、感熱記録層用塗布液に含まれる水分により下塗り層が膨潤して、感熱記録層に記録された画像が悪化することがあるので、下塗り層はグルタルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類またはホウ酸等の硬膜剤を用いて硬膜させることが好ましい。該硬膜剤の添加量は、下塗り層の乾燥質量に対して0.2〜3.0質量%の範囲が好ましく、所望の硬化度に合わせて適宜添加することができる。
本発明の感熱記録材料は、支持体の一方の側に、感熱記録層用塗布液を塗布して感熱記録層を形成し、また必要に応じて、該感熱記録層上に中間層用塗布液および保護層用塗布液を塗布して形成し、且つ該側とは逆側に、既述の様に、単一若しくは複数層からなるバック層をバック層用塗布液を塗布して形成し、更に、前記一方および他方において他の層を形成することによって得られる。尚、本発明の感熱記録材料はいかなる方法で塗布されてもよい。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、浸漬コーティング、フローコーティングまたは米国特許第2681294号に記載の種類のホッパーを用いる押し出しコーティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F.Kistler、Petert M.Schwaizer著「LIQUID FILM COATING」(CHAPMAN & HALL社刊1997)399〜536頁に記載のエクストルージョンコーティング、またはスライドコーティングが好ましく用いられ、特にはスライドコーティングが好ましく用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状としては、同書427頁のFegure11b.1にある。また所望により、同書399〜536頁に記載の方法、米国特許第2761791号および英国特許第837095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。乾燥としては乾球温度20〜65℃、好ましくは25〜55℃、湿球温度10〜30℃、好ましくは15〜25℃の乾燥風で乾燥される。
ここで、前記感熱記録層および中間層と保護層とを同時に形成してもよく、その場合、前記感熱記録層用塗布液と中間層および保護層用塗布液とを支持体上に同時に重層塗布することにより形成することができる。
本発明の感熱記録材料は、サーマルヘッド等の発熱素子により好適に画像を記録することができる。前記サーマルヘッドとしては、感熱記録材料に接触する最上層の炭素比率が90%以上となるように、既知の製膜装置を用いてグレーズ層上に発熱抵抗体と電極を具備する加熱素子に保護層を設けたものが好適に用いられる。ヘッド保護層は2層以上でもよいが、少なくとも最上層は炭素比率が90%以上であることが好ましい。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。尚、以下において、「%」は「質量%」を意味する。
[実施例1]
<BC層(バック層)用塗布液の調製>
石灰処理ゼラチンを1kg、平均粒子径5.7μmの球形PMMAマット剤12質量%を含むゼラチン分散物を757g、構造式[501]〜[505]で表わされる化合物を以下の含有率で含む紫外線吸収剤の乳化物を3,761g(乳化物1kg当たりの紫外線吸収剤含有量は、
構造式[501]で表される化合物 9.8g
構造式[502]で表される化合物 8.4g
構造式[503]で表される化合物 9.8g
構造式[504]で表される化合物 13.9g
構造式[505]で表される化合物 29.3g
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 1.75g
ポリ(p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
(分子量約40万) 64.2g
構造式[506]で表わされる化合物 11.3g
N,N−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)
75.0g
1,3−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)
プロパン 25.0g
以上に水を加えて全量を62.77リットルとなるように調製した。
Figure 2007176125
<BPC層(バック保護層)用塗布液の調製>
石灰処理ゼラチンを1kg、平均粒子径0.70μmの球形PMMAマット剤15質量%を含むゼラチン分散物を2,000g、メタノールを1,268ml、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンを1.75g、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量約10万)を64.4g、ポリ(p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム)(分子量約40万)を54.0g、p−t−オクチルフェノキシポリオキシエチレン−エチルスルホン酸ナトリウムを25.2g、N−プロピル−N−ポリオキシエチレン−パーフルオロオクタンスルホン酸アミドブチルスルホン酸ナトリウムを5.3g、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウムを7.1g、苛性ソーダでpH=7.0に調製した後水を加えて全量を66.79リットルとなるよう調製した。
<バック層付支持体の作製>
前記のBC層用塗布液およびBPC層用塗布液をJIS−Z8701記載の方法により規定された色度座標でx=0.2850、y=0.2995に青色染色した透明PET支持体(厚さ180μm)上に、支持体に近い側からBC層用塗布液、BPC層用塗布液の順でそれぞれ塗布量が44.0ml/m2、18.5ml/m2となるように、スライドビード方式により同時重層塗布、乾燥した。塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布スピードは160m/min.とし、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて徐電した。
引き続くチリングゾーンにおいて、乾球温度10〜20℃の風で塗布液を冷却した後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
<保護層用塗布液の調製>
(1)顔料分散液の調製
水900gに、顔料としてステアリン酸で表面処理を施した水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製の商品名「ハイジライトH42S」)280gを加え、3時間攪拌した後、これに分散助剤(花王(株)製の商品名「ポイズ532A」)8.5g、10%ポリビニルアルコール水溶液((株)クラレ製の商品名「PVA105」)300g、2%に調整した下記構造式[100]で表される化合物の水溶液75gを加え、サンドミルで平均粒径0.33μmに分散し、これに水を加えて濃度18%に調整して保護層用顔料分散液を得た。
ここで、前記の平均粒径は、用いる顔料を分散剤共存下で分散し、その分散直後の顔料分散物に水を加えて0.5%になる様に希釈した被検液を、40℃の温水中に投入し、光透過率が72±1%になる様に調整した後、30秒間かけて超音波処理を行い、堀場製作所(株)製のレーザー回折粒度分布測定装置(商品名「LA700」)により測定した、全顔料の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径を指し、以下に記載の平均粒径は全て同様の方法により測定した平均粒径を表す。
Figure 2007176125
(2)潤滑剤分散液の調製
水280gに、潤滑剤としてグリセリントリ−12−ヒドロキシステアラート(川研ファインケミカル(株)製の商品名「K3ワックス500」)110gを加え3時間攪拌した後、これに分散助剤(花王(株)製の商品名「ポイズ532A」)3g、10%ポリビニルアルコール水溶液((株)クラレ製の商品名「MP103」)340g、2%に調整した前記構造式[100]で表される化合物の水溶液34gを加え、サンドミルで平均粒径0.26μmに分散し、これに水を加えて18%に調整して保護層用潤滑剤分散液を得た。ここで、潤滑剤であるグリセリントリ−12−ヒドロキシステアラートの濃度は13.6%である。
(3)保護層用塗布液の調製
5%ポリビニルアルコール((株)クラレ製の商品名「PVA124C」)水溶液430g、72%ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液5g、アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学(株)製の商品名「サーフィノール104」)の50%液5.5g、「サーフロンS131S」(旭ガラス(株)製)10g、融点35℃のポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩(第一工業製薬(株)製の「プライサーフA217E」)2g、前記で得られた18%顔料分散液245g、前記で得られた18%潤滑剤分散液10g、20.5%ステアリン酸亜鉛分散物(中京油脂(株)製の商品名「F115」)21g、18%ステアリン酸分散物(中京油脂(株)製の商品名「セロゾール920」)31g、35%シリコンオイル水分散液(東レ・ダウコーニング(株)製の商品名「BY22−840」)41.5g、5%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液(荒川化学(株)製の商品名「ポリマロン385」)110g、20%コロイダルシリカ(日産化学(株)製の商品名「スノーテックス」)53g、4%硼酸水溶液70g、2%酢酸水溶液30g、前記構造式[002]で示される化合物の50%水溶液22gを混合した。これに水を加えて濃度12%に調整して、目的とする保護層用塗布液を得た。
<感熱記録層用塗布液の調製>
以下の手順に従って、電子供与性染料前駆体を芯物質とするマイクロカプセル液、電子受容性化合物乳化分散液をそれぞれ調製した。
(1)マイクロカプセルA液の調製
電子供与性染料前駆体として、下記構造式[201]で表される化合物1.331kg、[202]で表される化合物254g、[203]で表される化合物63g、[204]で表される化合物127g、およびUV吸収剤として下記構造式[205]で表される化合物42gを酢酸エチル2.155kgに添加して、70℃に溶解した後、45℃まで冷却した。これにカプセル壁材(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD120N」:本発明におけるイソシアネート付加物)1.411kgを加え混合した。
この溶液を5.9%のポリビニルアルコール水溶液((株)クラレの商品名「MP−103」)5.60kgの水相中に加えた後、大型のホモジナイザーを用い回転数8500rpmで16.5分間乳化分散を行った。得られた乳化液に水4.47kgおよびテトラエチレンペンタミン58gを添加した後、温度60℃で4時間かけてカプセル化反応を行い、最後に水で濃度を25.00%に調整して、体積平均粒径(D50v)0.285μm(堀場製作所(株)製のレーザー回折粒度分布測定装置「LA700」を用いて測定)のマイクロカプセルA液を得た。
尚、前記「タケネートD120N」は、トリメチロールプロパンとシクロヘキシルジメチレンジイソシアネートとが1:3(モル比)で付加したイソシアネート付加物の75質量%酢酸溶液である。
(2)マイクロカプセルB液の調製
電子供与性染料前駆体として、下記構造式[201]で表される化合物1.331kg、[202]で表される化合物254g、[203]で表される化合物63g、[204]で表される化合物127g、およびUV吸収剤として下記構造式[205]で表される化合物42gを酢酸エチル2.155kgに添加して、70℃に溶解した後、45℃まで冷却した。これにカプセル壁材(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD120N」:本発明におけるイソシアネート付加物)1.411kgを加え混合した。
この溶液を5.9%のポリビニルアルコール水溶液((株)クラレの商品名「MP−103」)5.60kgの水相中に加えた後、大型のホモジナイザーを用い回転数8700rpmで16.5分間乳化分散を行った。得られた乳化液に水4.47kgおよびテトラエチレンペンタミン58gを添加した後、温度60℃で4時間かけてカプセル化反応を行い、最後に水で濃度を25.00%に調整して、体積平均粒径(D50v)0.261μm(堀場製作所(株)製のレーザー回折粒度分布測定装置「LA700」を用いて測定)のマイクロカプセルB液を得た。
(3)マイクロカプセルC液の調製
電子供与性染料前駆体として、下記構造式[201]で表される化合物1.331kg、[202]で表される化合物254g、[203]で表される化合物63g、[204]で表される化合物127g、およびUV吸収剤として下記構造式[205]で表される化合物42gを酢酸エチル2.155kgに添加して、70℃に溶解した後、45℃まで冷却した。これにカプセル壁材(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD120N」:本発明におけるイソシアネート付加物)1.411kgを加え混合した。
この溶液を5.9%のポリビニルアルコール水溶液((株)クラレの商品名「MP−103」)5.60kgの水相中に加えた後、大型のホモジナイザーを用い回転数8500rpmで16.5分間乳化分散を行った。得られた乳化液に水4.47kgおよびテトラエチレンペンタミン116gを添加した後、温度60℃で4時間かけてカプセル化反応を行い、最後に水で濃度を25.00%に調整して、体積平均粒径(D50v)0.298μm(堀場製作所(株)製のレーザー回折粒度分布測定装置「LA700」を用いて測定)のマイクロカプセルC液を得た。
(4)マイクロカプセルD液の調製
電子供与性染料前駆体として、下記構造式[201]で表される化合物1.331kg、[202]で表される化合物254g、[203]で表される化合物63g、[204]で表される化合物127g、およびUV吸収剤として下記構造式[205]で表される化合物42gを酢酸エチル2.155kgに添加して、70℃に溶解した後、45℃まで冷却した。これにカプセル壁材(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD140N)1.411kgを加え混合した。
この溶液を5.9%のポリビニルアルコール水溶液((株)クラレの商品名「MP−103」)5.60kgの水相中に加えた後、大型のホモジナイザーを用い回転数4200rpmで5分間乳化分散を行った。得られた乳化液に水4.47kgおよびテトラエチレンペンタミン116gを添加した後、温度60℃で4時間かけてカプセル化反応を行い、最後に水で濃度を25.00%に調整して、体積平均粒径(D50v)0.760μm(堀場製作所(株)製のレーザー回折粒度分布測定装置「LA700」を用いて測定)のマイクロカプセルD液を得た。
尚、前記「タケネートD140N」は、トリメチロールプロパンとイソホロンとの1:3(モル比)混合物である。
(5)マイクロカプセルE液の調製
電子供与性染料前駆体として、下記構造式[201]で表される化合物1.331kg、[202]で表される化合物254g、[203]で表される化合物63g、[204]で表される化合物127g、およびUV吸収剤として下記構造式[205]で表される化合物42gを酢酸エチル2.155kgに添加して、70℃に溶解した後、45℃まで冷却した。これにカプセル壁材(三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD140N)1.411kgを加え混合した。
この溶液を5.9%のポリビニルアルコール水溶液((株)クラレの商品名「MP−103」)5.60kgの水相中に加えた後、大型のホモジナイザーを用い回転数8500rpmで16.5分間乳化分散を行った。得られた乳化液に水4.47kgおよびテトラエチレンペンタミン116gを添加した後、温度60℃で4時間かけてカプセル化反応を行い、最後に水で濃度を25.00%に調整して、体積平均粒径(D50v)0.312μm(堀場製作所(株)製のレーザー回折粒度分布測定装置「LA700」を用いて測定)のマイクロカプセルE液を得た。
Figure 2007176125
Figure 2007176125
(6)電子受容性化合物乳化分散液の調製
電子受容性化合物として、下記構造式[301]で表される化合物1.85kg、[302]で表される化合物673g、[303]で表される化合物217g、[304]で表される化合物217g、[305]で表される化合物40g、[306]で表される化合物345gに酢酸エチル924gに添加して70℃に加熱して溶解した。この溶液を水3.70kg、ポリビニルアルコール水溶液((株)クラレの商品名「PVA205C」1.30kg、クラレの商品名「PVA217C」3.66kg、[401]で表される化合物の2%水溶液920gおよび[402]で表される化合物の2%水溶液920gを混合した水相中に加えた後、大型ホモジナイザーを用い回転数5000rpmで7分間乳化分散を行った。固形分濃度を26.05%、平均粒径0.67μm(堀場製作所(株)製のレーザー回折粒度分布測定装置「LA910」で測定)の電子受容性化合物乳化分散液を得た。
Figure 2007176125
Figure 2007176125
(7)感熱記録層用塗布液(A)の調製
前記マイクロカプセルA液(固形分濃度25.0%)4.50kg、前記電子受容性化合物乳化分散液(固形分濃度20.50%)17.93kg、前記構造式[002]で表される化合物の50%水溶液123g、およびコロイダルシリカ(日産化学(株)製の商品名「スノーテックスO」)447gを混合し、水で濃度を20.00%になるように調整して、目的とする感熱記録用塗布液(A)を調整した。
(中間層用塗布液の調製)
石灰処理ゼラチン1000gに水14500gを加えて溶解した後、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸Na塩(日本油脂(株)製の「ニッサンラピゾールB90」)の5%溶解液(水/メタノール=1/1体積混合溶媒)137g、3.5%の1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン水溶液25g、3.0%のポリ(p−ビニルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)(分子量:約40万)1080gを加え、目的とする中間層用塗布液を調製した。
(感熱記録材料の作製)
前記バック層付支持体のバック層と反対の面に、支持体に近い側から、前記感熱記録層用塗布液(A)、前記中間層用塗布液、前記保護層用塗布液の順にそれぞれ塗布量が42.2mL/m、24.7mL/m、25.3mL/mになる様にスライドビード法により同時重層塗布し乾燥して、支持体上に感熱記録層(A)、中間層および保護層を有する本発明の透明な感熱記録材料を得た。
前記の塗布および乾燥条件は以下の通りである。各層の塗布液は33℃〜37℃の温度範囲に調整した。塗布スピードは160m/分とし、コーティングダイ先端と支持体との間隔を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対し200〜1000Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。引き続く初期乾燥ゾーンにおいて、温度45℃〜55℃、露点0〜5℃の風にて乾燥後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度30〜45℃、湿球温度17〜23℃の乾燥風で乾燥させ、乾燥後25℃で湿度40〜60%にて調湿した。
ここで、感熱記録層側(発色面)の中間層のゼラチン塗布量は1.50g/m2である。
[実施例2]
(感熱記録層用塗布液(B)の調製)
実施例1で用いた、前記マイクロカプセルA液(固形分濃度25.0%)4.50kg、の代わりにマイクロカプセルB液(固形分濃度25.0%)4.50kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録材料を作製した。
[実施例3]
(感熱記録層用塗布液(C)の調製)
実施例1で用いた、前記マイクロカプセルA液(固形分濃度25.0%)4.50kg、の代わりにマイクロカプセルC液(固形分濃度25.0%)4.50kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録材料を作製した。
[比較例1]
前記マイクロカプセルA液(固形分濃度25.0%)4.50kg、の代わりにマイクロカプセルD液(固形分濃度25.0%)4.50kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録材料を作製した。
[比較例2]
前記マイクロカプセルA液(固形分濃度25.0%)4.50kg、の代わりにマイクロカプセルE液(固形分濃度25.0%)4.50kgを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱記録材料を作製した。
《評価》
(階調特性評価)
以上より得られた各感熱記録材料を、23℃、45%RHの下で16時間調湿後、23℃、45%RHの印画環境で、サーマルヘッド(商品名:KGT、260−MPH8、京セラ(株)製、ヘッド幅25.7cm)を用い、ヘッド圧10kg/cm2で、10〜140mJ/mmを等間隔にステップ印画した。得られた画像の光学濃度ODは、透過濃度計(マクベスTD−904:マクベス社製)を用いて、ビジュアルフィルターモードにて測定を行ない、OD=1.75印画時の印画エネルギーを求め、下記の基準に従って、その適否を判断した。
〔基準〕
○:85mJ/mm以下
△:85mJ/mm超90mJ/mm未満
×:90mJ/mm以上
(画像保存性試験)
また、調製したサンプルを45℃、60%RHのオーブン中で7日間保存し、保存前後における該サンプルの各印画濃度における濃度変化を求め、下記の基準に従ってその適否を判断した。
尚、保存前後で、各濃度での濃度変化の最大値をΔODmaxとした。
〔基準〕
○:0.10以下
△:0.10超0.15以下
×:0.15超
Figure 2007176125
以上のように、本発明によると、感度と画像保存性が両立する感熱記録材料を提供することができる。

Claims (4)

  1. 電子供与性染料前駆体を内包する熱応答性マイクロカプセルであって、下記一般式(I)で表されるトリメチロール化合物と下記一般式(II)で表されるシクロヘキシルジアルキレンジイソシアネート化合物とを付加したイソシアネート付加物をモノマーとするポリマーを含むことを特徴とする熱応答性マイクロカプセル。
    Figure 2007176125
    [一般式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
    Figure 2007176125
    [一般式(II)中、nは、1〜4の整数を表す。]
  2. 支持体上に、電子供与性染料前駆体を内包する熱応答性マイクロカプセルおよび電子受容性化合物を含む感熱記録層を有する感熱記録材料であって、前記熱応答性マイクロカプセルが、下記一般式(I)で表されるトリメチロール化合物と下記一般式(II)で表されるシクロヘキシルジアルキレンジイソシアネート化合物とを付加したイソシアネート付加物をモノマーとするポリマーを含むことを特徴とする感熱記録材料。
    Figure 2007176125
    [一般式(I)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
    Figure 2007176125
    [一般式(II)中、nは、1〜4の整数を表す。]
  3. 前記感熱記録層がポリビニルアルコールを含有し、更に、ゼラチンを含有する中間層、および、ポリビニルアルコールを含有する保護層を有することを特徴とする請求項2に記載の感熱記録材料。
  4. 前記支持体が、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項2または3に記載の感熱記録材料。
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