JP3776810B2 - 感熱記録材料及び感熱記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録材料及び感熱記録方法に関し、詳しくは、医療用記録媒体等に適した高画質の感熱記録材料および感熱記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方法は、(1)現像が不要である、(2)支持体が紙の場合、材質が一般紙に近い、(3)取扱いが容易である、(4)発色濃度が高い、(5)記録装置が簡便で信頼性が高く、安価である、(6)記録時の騒音が無い、(7)メンテナンスが不要である、等の利点があることから近年様々な分野で発達しており、例えば、ファクシミリやプリンター等の分野、POS等のラベル分野等に用途が拡大している。
【0003】
前記感熱記録に用いる感熱記録材料としては、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との反応を利用したもの、ジアゾ化合物とカプラーとの反応を利用したもの、等が従来から広く知られている。
【0004】
このような背景の下、近年では多色化に対応するため、或いは画像等をオーバーヘッドプロジェクターにより投影したり、画像等をライトテーブル上で直接観察したりする等のために、サーマルヘッドで直接記録することのできる透明な感熱記録材料の開発が望まれている。
【0005】
そこで、実質的に無色の発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の発色成分Bと、を結着剤中に微粒子状に分散して、或いは、A、Bどちらか一方をマイクロカプセル化し、その他方を乳化物の形として形成される感熱記録層を合成高分子フィルム等の透明な支持体上に設ける等により作製される感熱記録材料の提案が行われている。
【0006】
このような透明な感熱記録材料は、それ自体の透明性は良好であるが、感熱プリンター等の感熱記録装置で印画等した場合にスティッキングや騒音が発生しやすいという問題があった。特に透明な感熱記録材料を医療用として用いた場合、高い透過濃度が要求されるため、サーマルヘッドで印加する熱エネルギーが大きくなり、スティキング、記録時の騒音、サーマルヘッド摩耗等の問題が重大化する。スティキング、騒音を改善する目的で、感熱記録層上に顔料とバインダーを主成分とする保護層を設け、更に保護層に種々の滑剤を添加する試みがなされている。
【0007】
また、医療用途の画像では、黒比率の高い高エネルギー記録を行なうため、サーマルヘッドが摩耗し、ヘッド発熱体からの熱伝導性が変化し、濃度ムラを引き起こす。サーマルヘッドの摩耗に対しては、硬度が高く、化学的に安定なカーボンを主成分とする層をヘッド表面に設ける提案がなされている。ところが、カーボン層は、従来のサーマルヘッド表面層(例えば、SiN、SiC)に比し、表面エネルギーが低い特性があり、記録材料保護層との摩擦係数が高くなり、スティッキングや騒音が悪化するという問題があった。そのため、保護層中の潤滑剤の量を増やして改良が試みられているが、潤滑剤を増やすと、記録後に溶融した潤滑剤が保護層表面で結晶化して表面が白化し、指紋等の跡が目立つという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、第1にヘッドマッチング性に優れた感熱記録材料を提供することを目的とする。第2に表面に炭素を主成分とする層を有し、摩耗に対する耐性に優れたサーマルヘッドに対し、十分なヘッドマッチング性を有する感熱記録材料を提供することを目的とする。第3に、記録後の表面白化がなく、高品位の画像が得られる感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
<1>熱可融性物質として、12−ヒドロキシステアリン酸と多価アルコールとのエステル化物を含有する層が最上層として設けられていることを特徴とする感熱記録材料である。
<2>支持体上に感熱記録層及び顔料と、熱可融性物質として12−ヒドロキシステアリン酸と多価アルコールとのエステル化物と、を含む保護層を有し、前記感熱記録層上に最上層として前記保護層が形成されていることを特徴とする感熱記録材料である。
>前記12−ヒドロキシステアリン酸と、多価アルコールと、のエステル化物がグリセリン12−ヒドロキシステアラートであることを特徴とする前記<1>又は前記<2>に記載の感熱記録材料である。
>炭素比率が90%以上の層を最上層に有するサーマルヘッドを用いて前記<1>乃至前記<>のいずれかに記載の感熱記録材料に熱エネルギーを印加することを特徴とする感熱記録方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の感熱記録材料について詳細に説明する。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、感熱記録層及び保護層を有し、更に必要に応じて、その他の層を有する構造をとることができる。
【0011】
[保護層]
前記保護層は、前記感熱記録層上に、又は、前記その他の層として中間層を前記感熱記録層上に設ける場合には、前記中間層上に形成することができる。
前記保護層は、保護層用塗布液を塗布してなり、該保護層用塗布液は、ヘッドマッチング性を向上させるために、熱可融性物質を有することが好ましい。更に、該保護層用塗布液は、その他の成分を含むことができる。
【0012】
(熱可融性物質)
本発明の熱可融性物質は、12−ヒドロキシステアリン酸と多価アルコールとのエステル化物であることを特徴とする。
【0015】
12−ヒドロキシステアリン酸と多価アルコールとのエステル化物とは、12−ヒドロキシステアリン酸と、2価以上のアルコールとのエステル化物である。該エステル化物は、12−ヒドロキシステアリン酸と、2価以上のアルコールとを定法によりエステル化反応させる等の方法により得られる。この反応で用いることのできる2価以上のアルコールの例として、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等を挙げることができ、この中でもグリセリン、エチレングリコールが好ましい。
【0016】
12−ヒドロキシステアリン酸とグリセリンとのエステル化物として、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアラート、グリセリンジ12−ヒドロキシステアラート及びグリセリントリ12−ヒドロキシステアラートがあげられるが、この中でもグリセリントリ12−ヒドロキシステアラートが好ましい。グリセリントリ12−ヒドロキシステアラートはグリセリントリシノラートを主成分とするヒマシ油に還元ニッケル触媒等の共存下、反応温度150〜160℃、反応圧力10〜20kg/cm2で水素添加することによっても得ることができる。
【0017】
前記熱可融性物質の融点は、40℃〜160℃が好ましく、50℃〜150℃が特に好ましい。
【0018】
前記熱可融性物質は、1)ポリビニルアルコール等の水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下、ホモジナイザー、ディゾルバー、サンドミル等の既知の分散機で分散した水分散物の形で用いられるか、2)溶剤に溶かした後、水溶性高分子や各種界面活性剤等の分散剤の共存下、ホモジナイザー、ディゾルバー、コロイドミル等の既知の乳化装置で乳化した乳化物の形で用いられる。
前記分散物、乳化物の好ましい平均粒子径は0.1〜5.0μmで、0.1〜2.0μmが更に好ましい。ここでいう平均粒子径は、ホリバ製作所 レーザー回折粒度分布測定装置 LA700で透過率75%±1%で測定した50%平均粒子径をさす。
【0019】
前記熱可融性物質が保護層の全乾燥塗布量に占める割合は、0.5〜10質量%の範囲であり、この範囲内であると、十分なヘッドマッチング性が得られ、ヘッド汚れや表面のベタツキ等の問題が生じない。より好ましい範囲は、1〜5質量%である。本発明の感熱記録材料の保護層には、既知の滑剤(パラフィンワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸アミド、シリコーン化合物、含フッ素化合物等)及び/又は、前記熱可融性物質以外のその他の熱可融性物質を併用してもよい。
【0020】
前記その他の熱可融性物質の例としては、モンタンワックス、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、ポリオキシエチレンリン酸エステル等を挙げることができる。
【0021】
(顔料)
本発明の感熱記録材料の保護層には、前記熱可融性物質以外に顔料が含まれていてもよい。顔料は、通常、サーマルヘッドによる記録を好適なものとする、即ち、スティッキングや異音等の発生を抑える目的で用いられるが、有機及び/又は無機の顔料が用いられることが好ましい。
【0022】
前記保護層に用いることのできる顔料としては、その平均粒径、詳しくは、レーザー回折法で測定した50%体積平均粒径(レーザー回折粒度分布測定装置LA700((株)ホリバ製作所製)により測定した、顔料中の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径。以下、単に、「平均粒径」ということがある。)が、0.10〜5.0μmであるものが好ましく、特に、サーマルヘッドにより記録する際のヘッドと感熱記録材料との間におけるスティッキングや異音等の発生を防止する観点から、上記50%体積平均粒径が0.20〜0.50μmの範囲にあることがより好ましい。
この50%体積平均粒径が0.10〜5.0μmの範囲にあると、サーマルヘッドに対する摩耗の低減効果が大きく、サーマルヘッドと保護層中のバインダーとの間の溶着を防止する効果が大きく、その結果、印画時にサーマルヘッドと感熱記録材料の保護層とが接着する、いわゆるスティッキングを効果的に防止すことができる。
【0023】
前記保護層中に含有される顔料としては、特に限定されるものではなく、公知の有機、無機の顔料を挙げることができるが、特に、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ、酸化亜鉛等の無機顔料、尿素ホルマリン樹脂、エポキシ樹脂等の有機顔料が好ましい。中でも、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカがより好ましい。これらの顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
また、これらの中でも、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、及び高級アルコールからなる群より選択される少なくとも一種により表面被覆されていてもよい。前記高級脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
【0024】
これらの顔料は、例えば、ヘキサメタリン酸ソーダ、部分ケン化又は完全ケン化変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、各種界面活性剤等の分散助剤、好ましくは、部分ケン化又は完全ケン化変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体アンモニウム塩の共存下で、ディゾルバー、サンドミル、ボールミル等の既知の分散機で、上述した平均粒径にまで分散して使用されることが好ましい。即ち、顔料の50%体積平均粒径が0.10〜5.00μmの範囲の粒径になるまで分散してから使用されることが好ましい。
【0025】
(バインダー)
前記保護層には透明性を良好なものとする観点から、前記バインダーとして、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、シリカ変性ポリビニルアルコール等が好ましい。
【0026】
(その他の成分)
前記保護層には、公知の硬膜剤等が含有されていてもよい。
また、前記感熱記録層上、又は前記中間層上に均一に保護層を形成させるために、保護層形成用塗布液に界面活性剤を添加することが好ましい。該界面活性剤としては、スルホ琥珀酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等があり、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホ琥珀酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホ琥珀酸等のナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。
【0027】
更に、前記保護層中には感熱記録材料の帯電防止の目的で界面活性剤、金属酸化物微粒子、無機電解質、高分子電解質等を添加してもよい。
【0028】
前記保護層は、単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。前記保護層の乾燥塗布量は0.2〜7g/m2 が好ましく、1〜4g/m2 がより好ましい。
【0029】
[感熱記録層]
前記感熱記録層は、少なくとも発色成分を含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
【0030】
(発色成分)
前記感熱記録層は、未処理時には優れた透明性を有し、加熱により呈色する性質を有するものであれば、いかなる組成のものでも使用することができる。
このような感熱記録層としては、実質的に無色の発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の発色成分Bとを含有する、いわゆる二成分型感熱記録層が挙げられるが、発色成分A又は発色成分Bは、マイクロカプセルに内包されることが好ましい。この二成分型感熱記録層を構成する二成分の組合せとしては、下記(a)〜(m)のようなものが挙げられる。
【0031】
(a)電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物との組合せ。
(b)光分解性ジアゾ化合物と、カプラーとの組合せ。
(c)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(d)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪族塩と、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(e)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀等との塩等の有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は、前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(f)硫化銀、硫化鉛、硫化水銀、硫化ナトリウム等の(重)金属硫酸塩と、Na−テトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(g)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ジヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(h)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機貴金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(i)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(j)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(k)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪酸重金属塩と、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(l)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成する物。
(m)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
【0032】
これらの中でも、本発明の感熱記録材料においては、(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せ、又は(c)有機金属塩と還元剤との組合せを用いることが好ましく、特に上記(a)又は(b)の組合せであることがより好ましい。
【0033】
また、本発明の感熱記録材料は、(拡散透過率/全光透過率)×100(%)から算出されるヘイズ値を下げるように感熱記録層を構成することにより、透明性に優れた画像を得ることができる。このヘイズ値は材料の透明性を表す指数で、一般には、ヘイズメーターを使用して全光透過量、拡散透過光量、平行透過光量から算出される。
本発明において、上記ヘイズ値を下げる方法としては、例えば、感熱記録層に含まれる前記発色成分A、Bの両成分の50%体積平均粒径を1.0μm以下、好ましくは、0.6μm以下とし、かつバインダーを感熱記録層の全固形分の30〜60質量%の範囲で含有させる方法、前記発色成分A、Bのいずれか一方をマイクロカプセル化し、他方を塗布乾燥後に実質的に連続層を構成するような、例えば、乳化物のようなものとして使用する方法等が挙げられる。
また、感熱記録層に使用する成分の屈折率をなるべく一定の値に近づける方法も有効である。
【0034】
次に、前記感熱記録層に好ましく使用される、前記組成の組合せ(a、b、c)について、以下に詳細に説明する。
まず、(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せについて説明する。
本発明において好ましく使用される電子供与性染料前駆体は、実質的に無色のものであれば特に限定されるものではないが、エレクトロンを供与して、或いは、酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであり、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有しており、電子受容性化合物と接触した場合に、これらの部分骨格が開環若しくは開裂する無色の化合物であることが好ましい。
【0035】
前記電子供与性染料前駆体としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物等が挙げられる。
【0036】
前記フタリド類の具体例としては、米国再発行特許明細書第23,024号、米国特許明細書第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号、同第3,509,174号等に記載された化合物が挙げられる。
前記フルオラン類の具体例としては、米国特許明細書第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3,959,571号等に記載された化合物が挙げられる。
前記スピロピラン類の具体例としては、米国特許明細書第3,971,808号等に記載された化合物が挙げられる。
前記ピリジン系及びピラジン系化合物類としては、米国特許明細書第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号等に記載された化合物が挙げられる。
前記フルオレン系化合物の具体例としては、特願昭61−240989号公報等に記載された化合物が挙げられる。
これらの中でも、特に、黒発色の2−アリールアミノ−3−〔H、ハロゲン、アルキル又はアルコキシ−6−置換アミノフルオラン〕が好ましく挙げられる。
【0037】
具体的には、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジオクチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−ドデシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−エチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−p−ブチルアニリノフルオラン、2−アニリノ−3−ペンタデシル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−エチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−トルイジノ−3−メチル−6−ジイソプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−イソブチル−N−エチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−プロポキシプロピルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0038】
前記電子供与性染料前駆体と作用する電子受容性化合物としては、フェノール化合物、有機酸若しくはその金属塩、オキシ安息香酸エステル等の酸性物質が挙げられ、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されている化合物が挙げられる。
具体的には、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,4−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、1,3−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール類;
【0039】
3,5−ジ−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−(t−ブチル)サリチル酸、3−α−α−ジメチルベンジルサリチル酸、4−(β−p−メトキシフェノキシエトキシ)サリチル酸等のサリチル酸誘導体、または、その多価金属塩(特に亜鉛、アルミニウムが好ましい)。
【0040】
p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、β−レゾルシン酸−2−フェノキシエタン等のオキシ安息香酸エステル類、p−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、クミルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルフォン 、4−ヒドロキシ−4’−フェノキシ−ジフェニルスルフォン等のフェノール類が挙げられる。
中でも、良好な発色特性を得る観点からビスフェノール類およびサリチル酸誘導体亜鉛塩が特に好ましい。
また、上記の電子受容性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
次に、(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せについて説明する。前記光分解性ジアゾ化合物とは、後述するカップリング成分であるカプラーとカップリング反応して所望の色相に発色するものであり、反応前に特定波長域の光を受けると分解し、もはやカップリング成分が存在しても発色能力を持たなくなる光分解性のジアゾ化合物である。
この発色系における色相は、ジアゾ化合物とカプラーとが反応して生成するジアゾ色素により決定される。従って、ジアゾ化合物、或いは、カプラーの化学構造を変えることにより、容易に発色色相を変えることができ、その組み合わせ次第で、任意の発色色相を得ることができる。
【0042】
本発明において好ましく使用される光分解性ジアゾ化合物としては、芳香族系ジアゾ化合物が挙げられ、具体的には、芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルフォネート化合物、ジアゾアミノ化合物等が挙げられる。
前記芳香族ジアゾニウム塩としては、以下の一般式で表される化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、前記芳香族ジアゾニウム塩は、光定着性に優れ、定着後の着色ステインの発生の少なく、発色部の安定なものが好ましく用いられる。
Ar−N2 + -
上記式中、Arは置換基を有する、或いは無置換の芳香族炭化水素環基を表し、N2 + はジアゾニウム基を、X- は酸アニオンを表す。
【0043】
前記ジアゾスルフォネート化合物としては、近年多数のものが知られており、各々のジアゾニウム塩を亜硫酸塩で処理することにより得られ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
【0044】
前記ジアゾアミノ化合物としては、ジアゾ基を、ジシアンジアミド、サルコシン、メチルタウリン、N−エチルアントラニックアシッド−5−スルフォニックアシッド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、グアニジン等でカップリングさせることにより得ることができ、本発明の感熱記録材料に好適に用いることができる。
これらのジアゾ化合物の詳細については、例えば、特開平2−136286号公報等に詳細に記載されている。
【0045】
一方、上述のジアゾ化合物とカップリング反応するカプラーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリドの他、レゾルシンをはじめ、特開昭62−146678号公報等に記載されているものが挙げられる。
【0046】
前記感熱記録層において、ジアゾ化合物とカプラーとの組合せによるものを用いる場合、これらのカップリング反応は塩基性雰囲気下で行うことによりその反応をより促進させることができる観点から、増感剤として、塩基性物質を添加してもよい。
前記塩基性物質としては、水不溶性又は難溶性の塩基性物質や加熱によりアルカリを発生する物質が挙げられ、例えば、無機又は有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチオ尿素又はそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルフォリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォリムアジン類又はピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
これらの具体例としては、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されたものが挙げられる。
【0047】
次に、(c)有機金属塩と還元剤との組合せについて説明する。
前記有機金属塩としては、具体的には、ラウリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、ステアリン酸銀、アラキン酸銀又はベヘン酸銀等の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩;ベンゾトリアゾール銀塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾール銀塩又はフタラジノン銀塩等のイミノ基を有する有機化合物の銀塩;s−アルキルチオグリコレート等の硫黄含有化合物の銀塩;安息香酸銀、フタル酸銀等の芳香族カルボン酸の銀塩;エタンスルホン酸銀等のスルホン酸の銀塩;o−トルエンスルフィン酸銀等のスルフィン酸の銀塩;フェニルリン酸銀等のリン酸の銀塩;バルビツール酸銀、サッカリン酸銀、サリチルアスドキシムの銀塩又はこれらの任意の混合物が挙げられる。
これらの内、長鎖脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく、中でもベヘン酸銀がより好ましい。また、ベヘン酸をベヘン酸銀と共に使用してもよい。
【0048】
前記還元剤としては、特開昭53−1020号公報第227頁左下欄第14行目〜第229頁右上欄第11行目の記載に基づいて適宜使用することができる。中でも、モノ、ビス、トリス又はテトラキスフェノール類、モノ又はビスナフトール類、ジ又はポリヒドロキシナフタレン類、ジ又はポリヒドロキシベンゼン類、ヒドロキシモノエーテル類、アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾリン類、ピラゾロン類、還元性糖類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、レダクトン類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、アミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等を使用することが好ましい。
上記のうち、ポリフェノール類、スルホンアミドフェノール類又はナフトール類等の芳香族有機還元剤が特に好ましい。
【0049】
感熱記録材料の充分な透明性を確保するためには、前記感熱記録層に(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、又は(b)光分解性ジアゾ化合物とカプラーとの組合せを用いることが好ましい。また、本発明では、前記発色成分Aと発色成分Bのいずれか一方を、マイクロカプセル化して使用することが好ましく、前記電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化して使用することがより好ましい。
【0050】
(マイクロカプセル)
以下に、マイクロカプセルの製造方法について詳述する。
マイクロカプセルの製造には、界面重合法、内部重合法、外部重合法等があり、いずれの方法も採用することができる。
上記の通り、本発明の感熱記録材料は、電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物をマイクロカプセル化することが好ましく、特に、カプセルの芯となる電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相中に混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
【0051】
前記高分子物質を形成するリアクタントは、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアが特に好ましい。
【0052】
例えば、ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアナート,トリイソシアナート,テトライソシアナート,ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン,トリアミン,テトラアミン等のポリアミン、2以上のアミノ基を有するプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリオール等と、を上記水相中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
【0053】
また、例えば、ポリウレアとポリアミドからなる複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁は、例えば、ポリイソシアナート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、酸クロライド若しくはポリアミン、ポリオール)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温することにより調製することができる。このポリウレアとポリアミドからなる複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58−66948号公報に記載されている。
【0054】
前記ポリイソシアナート化合物としては、3官能以上のイソシアナート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアナート化合物を併用してもよい。
具体的には、キシレンジイソシアナート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート及びその水添物、イソホロンジイソシアナート等のジイソシアナートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアナート等の2官能イソシアナートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアナートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0055】
前記ポリイソシアナートは、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、カプセル壁の厚みが0.01〜0.3μmとなるように添加されることが好ましい。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。
【0056】
ポリイソシアナートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして水相中及び/又は油相中に添加するポリオール又は/及びポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。上記反応において、反応温度を高く保ち、あるいは適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
ポリイソシアナート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0057】
また、前記マイクロカプセル壁には、必要に応じて金属含有染料、ニグロシン等の荷電調節剤、或いは、その他任意の添加物質を加えることができる。これらの添加剤は壁形成時又は任意の時点でカプセルの壁に含有させることができる。また、必要に応じてカプセル壁表面の帯電性を調節するために、ビニルモノマー等のモノマーをグラフト重合させてもよい。
【0058】
更に、マイクロカプセル壁をより低温な状況下でも物質透過性に優れ、発色性に富む壁質とするため、壁材として用いるポリマーに適合した可塑剤を用いることが好ましい。該可塑剤は、その融点が50℃以上のものが好ましく、更に該融点が120℃以下のものがより好ましい。このうち、常温下で固体状のものを好適に選択して用いることができる。
例えば、壁材がポリウレア、ポリウレタンからなる場合、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
【0059】
前記の油相の調製に際し、電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を溶解し、マイクロカプセルの芯を形成するときに用いられる疎水性有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましい。
具体的には、エステル類の他、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ジメチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル、1−メチル−1−ジメチルフェニル−2−フェニルメタン、1−エチル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、1−プロピル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、トリアリルメタン(例えば、トリトルイルメタン、トルイルジフェニルメタン)、ターフェニル化合物(例えば、ターフェニル)、アルキル化合物、アルキル化ジフェニルエーテル(例えば、プロピルジフェニルエーテル)、水添ターフェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル)、ジフェニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エステル類を使用することが乳化分散物の乳化安定性の観点から特に好ましい。
【0060】
前記エステル類としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ブチル、リン酸オクチル、リン酸クレジルフェニル等のリン酸エステル類;フタル酸ジブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル;テトラヒドロフタル酸ジオクチル;安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ベンジル等の安息香酸エステル;アビエチン酸エチル、アビエチン酸ベンジル等のアビエチン酸エステル;アジピン酸ジオクチル;コハク酸イソデシル;アゼライン酸ジオクチル;シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル等のシュウ酸エステル;マロン酸ジエチル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;クエン酸トリブチル;ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチル等のソルビン酸エステル;セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル;ギ酸モノエステル及びジエステル、酪酸モノエステル及びジエステル、ラウリン酸モノエステル及びジエステル、パルミチン酸モノエステル及びジエステル、ステアリン酸モノエステル及びジエステル、オレイン酸モノエステル及びジエステル等のエチレングリコールエステル類;トリアセチン;炭酸ジエチル;炭酸ジフェニル;炭酸エチレン;炭酸プロピレン;ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチル等のホウ酸エステル等が挙げられる。
【0061】
これらの中でも、特にリン酸トリクレジルを単独又は混合して用いた場合、乳化物の安定性が最も良好となり好ましい。上記のオイル同士又は他のオイルとの併用による使用も可能である。
【0062】
カプセル化しようとする電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物の前記疎水性有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。このような低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が好ましく挙げられる。
【0063】
前記電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を感熱記録材料の感熱記録層に用いる場合、該電子供与性染料前駆体の含有量は、0.1〜5.0g/m2 が好ましく、1.0〜4.0g/m2 がより好ましい。
また、光分解性ジアゾ化合物の含有量は、0.02〜5.0g/m2 が好ましく、発色濃度の点から0.10〜4.0g/m2 がより好ましい。
【0064】
前記電子供与性染料前駆体の含有量が0.1〜5.0g/m2 の範囲にあると、充分な発色濃度が得られ、かつ感熱記録層の透明性を保持することができる。
【0065】
一方、用いる水相には保護コロイドとして水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、前記水溶性高分子は、分散を均一に、かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。前記界面活性剤としては、周知の乳化用界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の添加量は、油相の質量に対して0.1〜5%が好ましく、0.5〜2%がより好ましい。
【0066】
水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを好適に選択して使用することができる。
好ましい界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
【0067】
乳化は、上記成分を含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水相とを、高速撹拌、超音波分散等の通常の微粒子乳化に用いられる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等、公知の乳化装置を用いて容易に行うことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温することが好ましい。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行うことが好ましい。
【0068】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のマイクロカプセルを得ることができる。
【0069】
(乳化分散物)
電子供与性染料前駆体、又は光分解性ジアゾ化合物を芯物質としてカプセル化した場合には、用いる電子受容性化合物、又はカプラーは、例えば、水溶性高分子及び有機塩基、その他の発色助剤等と共に、サンドミル等の手段により固体分散して用いることもできるが、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることがより好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。
更に、カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することもできる。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
【0070】
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
中でもエステル類を使用することが、乳化分散液の乳化安定性の観点がら好ましく、中でも、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0071】
上記の保護コロイドとして含有される水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコールまたはその変成物、ポリアクリル酸アミドまたはその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体が特に好ましい。
【0072】
また、油相の水相に対する混合比(油相質量/水相質量)は、0.02〜0.6が好ましく、0.1〜0.4がより好ましい。該混合比が0.02〜0.6の範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性に優れ、塗布液安定性に優れる。
【0073】
本発明の感熱記録材料において電子受容性化合物を用いる場合、該電子受容性化合物は、前記電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1.0〜10質量部がより好ましい。
また、本発明の感熱記録材料においてカプラーを用いる場合、該カプラーは、前記ジアゾ化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0074】
(感熱記録層用塗布液)
感熱記録層用塗布液は、例えば、上記のように調製したマイクロカプセル液と乳化分散物とを混合することにより、調製することができる。ここで、前記マイクロカプセル液の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子、並びに前記乳化分散物の調製の際に保護コロイドとして用いた水溶性高分子は、前記感熱記録層におけるバインダーとして機能する。また、これら保護コロイドとは別にバインダーを添加、混合して、感熱記録層用塗布液を調製してもよい。
前記添加されるバインダーとしては、水溶性のものが一般的であり、ポリビニルアルコ−ル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。
また、これらのバインダーに耐水性を付与する目的で耐水化剤を加えたり、疎水性ポリマーのエマルジョン、具体的には、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等を添加することもできる。
【0075】
前記感熱記録層用塗布液を支持体上に塗布する際、水系又は有機溶剤系の塗布液に用いる公知の塗布手段が用いられるが、この場合、感熱記録層用塗布液を安全かつ均一に塗布するとともに、塗膜の強度を保持するため、本発明の感熱記録材料においては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリスチレン又はその共重合体、ポリエステル又はその共重合体、ポリエチレン又はその共重合体、エポキシ樹脂、アクリレート系樹脂又はその共重合体、メタアクリレート系樹脂又はその共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を使用することができる。
【0076】
(その他の成分)
以下に、感熱記録層に用いることのできるその他の成分について述べる。
前記その他の成分としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の熱可融性物質、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。また、保護層を有しない感熱記録層の場合、本発明に係る熱可融性物質(12−ヒドロキシステアリン酸と多価アルコールとのエステル化物)を添加することができる。
【0077】
前記熱可融性物質は、熱応答性の向上を図る目的で感熱記録層に含有させることができる。
前記熱可融性物質としては、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、脂肪族アミド、ウレイド等が挙げられる。
これらの例は、特開昭58−57989号、同58−87094号、同61−58789号、同62−109681号、同62−132674号、同63−151478号、同63−235961号、特開平2−184489号、同2−215585号の各公報等に記載されている。
【0078】
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号の各公報、米国特許2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号の各明細書等に記載されている。
【0079】
前記酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アニリン系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤等が好適に挙げられる。これらの例は、特開昭59−155090号、同60−107383号、同60−107384号、同61−137770号、同61−139481号、同61−160287号の各公報等に記載されている。
【0080】
前記その他の成分の塗布量としては、0.05〜2.0g/m2 程度が好ましく、0.1〜1.0g/m2 がより好ましい。なお、前記その他の成分は、前記マイクロカプセル内に添加してもよいし、前記マイクロカプセル外に添加してもよい。
【0081】
前記感熱記録層は、サーマルヘッドの僅かな熱伝導の差異等から生ずる濃度ムラ等を抑え高画質な画像を得るため、飽和透過濃度(DT-max )を得るのに必要なエネルギー量幅、即ち、ダイナミックレンジが広い感熱記録層であることが好ましい。本発明の感熱記録材料は上記のような感熱記録層を有し、90〜150mJ/mm2 の範囲の熱エネルギー量で、透過濃度DT 3.0を得ることができる特性を有する感熱記録層であることが好ましい。
【0082】
前記感熱記録層は、塗布、乾燥後の乾燥塗布量が1〜25g/m2 になるように塗布されること、及び該層の厚みが1〜25μmになるように塗布されることが好ましい。感熱記録層は、2層以上積層して用いることも可能である。この場合、全感熱記録層の塗布、乾燥後の乾燥塗布量は1〜25g/m2が好ましい。
【0083】
[支持体]
支持体は、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療用途の場合、透明支持体は青色染料(例えば特開平8−240877号公報、実施例記載の染料)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体にはゼラチンや水溶性ポリエステルなどの下塗りを施すことが好ましい。下塗り層に関しては例えば、特開昭51−11420号公報、同51−123139号公報、同52−65422号公報に記載のものが利用できる。
【0084】
[その他の層]
本発明の感熱記録材料は、前記支持体上に、その他の層として、中間層、下塗り層、紫外線フィルター層、バック層等を設けることができる。
【0085】
(中間層)
前記中間層は、前記感熱記録層上に形成されることが好ましい。
前記中間層は、層の混合防止や画像保存性に対して有害なガス(酸素等)の遮断のために設けられる。使用するバインダーは特に制限はなく、系に応じて、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体等を用いることができる。なかでもゼラチンは、高温では水溶液が流動性を有しているが、低温(例えば35℃以下)にすると流動性を失いゲル化する性質(セット性)に優れるため、支持体上に複数の層を形成するための塗布液を塗布、乾燥して前記層を設ける場合、複数の層を順次塗布乾燥する方法でも、また押し出しダイ方式等で一度に重層塗布、乾燥する方法においても、隣接する2つの層が相互に混合することが有効に防止され、得られる感熱記録材料の面状が良好になり、高品位な画像形成が可能な感熱記録材料を得ることができるため、細部まで明瞭な画像を形成する必要のある医療診断用記録材料に好適である。さらに高い風速で乾燥しても面状が悪化しないので、製造効率が向上する。このようなゼラチンとしては、無修飾(未処理)ゼラチンあるいは修飾(処理)ゼラチンがいずれも支障なく用いられる。修飾ゼラチンとしては石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、フタル化処理ゼラチン、脱イオン処理ゼラチン、酵素処理低分子量ゼラチン等が挙げられる。また塗布性付与のため、種々の界面活性剤を添加してもよい。またガスバリアー性をより高めるために雲母等の無機微粒子を前記バインダーに対し2〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%添加してもよい。中間層用塗布液のバインダー濃度は3〜25質量%、好ましくは5〜15質量%程度が適切である。また中間層の乾燥塗布量は0.5〜6.0g/m2、好ましくは1.0〜4.0g/m2が適切である。
【0086】
(下塗り層)
本発明の感熱記録材料においては、支持体から感熱記録層が剥がれることを防止する目的で、マイクロカプセル等を含有する感熱記録層や光反射防止層等を塗布する前に、支持体上に下塗り層を設けることができる。
前記下塗り層としては、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、SBR、水性ポリエステル等を用いることができ、層の厚みは0.05〜0.5μmが好ましい。
【0087】
前記下塗り層上に感熱記録層を塗布する際、感熱記録層用塗布液に含まれる水分により下塗り層が膨潤して、感熱記録層に記録された画像が悪化することがあるので、下塗り層にはグルタルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びホウ酸等の硬膜剤を用いて硬膜させることが好ましい。これらの硬膜剤の添加量は、下塗り素材の質量に応じて0.2〜3.0質量%の範囲で、所望の硬化度に合わせて適宜、添加することができる。
【0088】
(紫外線フィルター層)
本発明の感熱記録材料においては、画像の光による褪色および地肌かぶり防止のために紫外線フィルター層を設けてもよい。紫外線フィルター層は結合剤中に紫外線吸収剤を均一に分散させたものであり、この均一に分散した紫外線吸収剤が有効に紫外光を吸収することにより、紫外光によって地肌が変色したり、画像部が変色または褪色することを防止する。紫外線フィルター層の作成方法及び用いる化合物等については、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤のほか、特開平4−197778号公報に記載されているものが利用できる。
【0089】
(バック層)
本発明における感熱記録材料は支持体の一面にマイクロカプセルを含む感熱記録層を有し、他方の面にバック層を有する片面感材であることが好ましい。バック層には搬送性付与および光反射防止の目的でマット剤を添加することが好ましい。マット剤の添加により、入射光角20°で測定した光沢度を50%以下にすることが好ましく、30%以下にすることがより好ましい。マット剤としては、大麦、小麦、コーン、米、豆類等より得られる澱粉等の微粒子の他、セルロースファイバー、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂、塩化ビニルまたは酢酸ビニル等の共重合体樹脂、ポリオレフィン等の合成高分子の微粒子、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、スメクタイト粘土、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛等の無機物の微粒子等が挙げられる。マット剤の平均粒径は0.5〜20μm、好ましくは0.5〜10μmの範囲が好ましい。上記マット材は1種単独でも、2種以上併用してもよい。また感熱記録材料の透明性を良好なものとする観点から、屈折率が1.4〜1.8の範囲にあることが好ましい。バック層には、色相改良の観点から、各種染料(例えば、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。またバック層には硬膜材を用いても良い。硬膜材の例としては、T.H.James著 "THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCES 4th EDITION"77頁〜87頁に記載のある各方法があり、ビニルスルフォン系化合物が好ましい。
【0090】
[感熱記録材料の製造方法]
以下、本発明の感熱記録材料の製造方法について説明する。
本発明の感熱記録材料の製造方法は、支持体上に、感熱記録層形成用塗布液を塗布して感熱記録層を形成し、該感熱記録層上に、保護層形成用塗布液を塗布して保護層を形成し、更に必要に応じて、その他の層を形成してなる。
ここで、前記感熱記録層及び保護層を同時に形成してもよく、その場合、前記感熱記録層形成用塗布液と前記保護層形成用塗布液とを前記支持体上に同時に重層塗布することにより、前記感熱記録層及びその上に前記保護層を同時に形成することができる。
【0091】
ここで使用される支持体は、本発明の感熱記録材料に使用される既に説明した支持体を用いることができる。また、前記感熱記録層形成用塗布液としては、前述した感熱記録層用塗布液を用いることができ、前記保護層形成用塗布液も前述した顔料及びバインダーを含有する保護層用塗布液を使用することができる。また前記その他の層としては、前述した下塗り層、中間層、紫外線フィルター層、バック層等のその他の層が挙げられる。
本発明の感熱記録材料はいかなる方法で塗布されてもよい。具体的にはエクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、ナイフコーティング、浸漬コーティング、フローコーティングまたは米国特許第2681294号に記載の種類のホッパーを用いる押し出しコーティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F.Kistler、Petert M.Schwaizer著"LIQUID FILM COATING"(CHAPMAN&HALL社刊 1997)399頁〜536頁に記載のエクストルージョンコーティングまたは、スライドコーティングが好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1にある。また所望により同書399頁〜536頁に記載の方法、米国特許第2761791号及び英国特許第837095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。乾燥としては乾球温度20〜65℃、好ましくは25〜55℃、湿球温度10〜30℃、好ましくは15〜25℃の乾燥風で乾燥される。本発明の記録材料の製造方法によれば、前述した本発明の感熱記録材料を製造することができる。
【0092】
本発明の感熱記録材料は、必ずしも保護層を設ける必要は無く、本発明に係る熱可融性物質が前記保護層以外に含まれていてもよい。前記保護層を含まない感熱記録材料として、例えば、支持体上に感熱記録層のみを設けた構成のファクシミリやPOSラベル等に用いられる感熱記録紙を挙げることができる。この場合、本発明に係る熱可融性物質は、感熱記録層中に含まれていればよい。また感熱記録層が異なる色相に発色する複数の層で構成されている場合、本発明に係る熱可融性物質は感熱記録層を構成する最上層に含まれていればよい。前記保護層の設けられていない感熱記録材料も、前記の製造方法を用いることにより形成することができる。
【0093】
[サーマルヘッド]
本発明の感熱記録方式に用いられるサーマルヘッドは、感熱記録材料に接触する最上層の炭素比率が90%以上となるように既知の製膜装置を用いてグレーズ層上に発熱抵抗体と電極を具備する加熱素子に保護層を設けたものである。ヘッド保護層は、2層以上でもよいが、少なくとも最上層は炭素比率が90%以上であることが必要である。
【0094】
本発明の感熱記録材料は、保護層中に、特定の熱可融性物質を含有してもよい。該保護層中に特定の熱可融性物質が含まれている場合、スティックや印加時の騒音が発生しにくく、かつ、耐摩耗性に優れた、炭素比率が90%以上の最上層を有するサーマルヘッドに対しても十分なヘッドマッチング性を有するため、特に、医療用記録媒体等の高画質が要求される分野に好適に用いられる。
【0095】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、%は質量%を意味する。
【0096】
(実施例1)
[保護層用塗布液の調製]
(保護層用顔料分散液の調製)
水110gに、顔料としてステアリン酸処理水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH42S,昭和電工(株)製)30gを加え3時間撹拌した後、これに分散助剤(商品名:ポイズ532A,花王(株)製)0.8g、9.4質量%ポリビニルアルコール(以下PVA)水溶液(商品名:PVA105,(株)クラレ製)30g、2質量%に調整した下記構造式[100]で表される化合物の水溶液10gを加えサンドミルで分散し、平均粒径0.30μmの保護層用顔料分散液を得た。
尚、「平均粒径」は、用いる顔料を分散助剤共存下で分散し、その分散直後の顔料分散物に水を加えて0.5質量%に希釈した被検液を、40℃の温水中に投入し光透過率が75±1.0%になるように調整した後、30秒間超音波処理しレーザー回折粒度分布測定装置(商品名:LA700,(株)ホリバ製作所製)により測定した、全顔料の50%体積に相当する顔料粒子の平均粒径を使用し、以下に記載の「平均粒径」は全て同様の方法により測定した平均粒径を表す。
【0097】
【化1】
Figure 0003776810
【0098】
(保護層用塗布液の調製)
水65gに、
8質量%PVA水溶液
(商品名:PVA124C,(株)クラレ製) 90g
後述の分散液A 12.9g
4質量%硼酸水溶液 10g
前記保護層用顔料分散液 61.6g
35質量%シリコンオイル水分散液
(商品名:BY22−840,東レダウコーニング製) 5.0g
10質量%ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液 6.5g
ジ−2−エチルヘキシルスルフォコハク酸のアンモニウム塩
(商品名:ニッサンエレクトールSAL1日本油脂(株)製)
の75質量%液 3.28g
6質量%スチレンマレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液
(商品名:ポリマロン385,荒川化学(株)製) 17.5g
20質量%コロイダルシリカ
(商品名:スノーテックス,日産化学(株)製) 14g
10質量%サーフロンS131S水溶液
(旭ガラス(株)製) 16g
プライサーフA217E(第一工業製薬(株)製) 1.1g
2質量%酢酸 8g
を混合して保護層用塗布液を得た。
【0099】
(分散液Aの調製)
水61gに、
9.4質量%PVA水溶液(製品名:PVA105,(株)クラレ製) 20g
2質量%ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液 10g
グリセリントリ12−ヒドロキシステアラート 20g
を混合し、サンドミルで平均粒径2μmに分散して分散液を得た。
【0100】
[感熱記録層用塗布液の調製]
以下のように、電子供与性染料前駆体を芯物質とするマイクロカプセル塗布液、電子受容性化合物乳化分散液の各液を調製した。
(マイクロカプセルA液の調製)
電子供与性染料前駆体として、
下記構造式[201]で表される化合物 11.7g
下記構造式[202]で表される化合物 1.5g
下記構造式[203]で表される化合物 2.2g
下記構造式[204]で表される化合物 5.65g
下記構造式[205]で表される化合物 1.2g
下記構造式[206]で表される化合物 1.1g
下記構造式[207]で表される化合物 0.57g
【0101】
【化2】
Figure 0003776810
【0102】
【化3】
Figure 0003776810
【0103】
【化4】
Figure 0003776810
【0104】
を酢酸エチル24.3gに添加して70℃に加熱、溶解した後、45℃まで冷却した。これに、カプセル壁材(商品名:タケネートD140N、武田薬品工業(株)製)15.4gを加え、混合した。
【0105】
この溶液を、水16gに8質量%のPVA水溶液(商品名:MP−103、(株)クラレ製)48gを混合した水相中に加えた後、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い回転数15000rpmで5分間乳化を行った。得られた乳化液に、更に水110g及びテトラエチレンペンタミン1.0gを添加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行い、平均粒径0.8μmのマイクロカプセルA液を調製した。
【0106】
(マイクロカプセルB液の調整)
電子供与性染料前駆体として、
構造式[201]で表される化合物 12.2g
構造式[202]で表される化合物 1.6g
構造式[203]で表される化合物 2.4g
構造式[204]で表される化合物 3.3g
構造式[205]が表される化合物 1.5g
構造式[206]で表される化合物 0.2g
構造式[207]が表される化合物 0.5g
を酢酸エチル21gに添加し、70℃に加熱、溶解した後、45℃に冷却した。これにカプセル壁剤(商品名:タケネートD127N、武田薬品工業(株)製)16.6gを加え混合した。
【0107】
この溶液を水16gに8質量%のPVA水溶液(商品名:MP−103、(株)クラレ製)48gを混合した水相中に加え、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用い、15000rpmで5分間乳化を行なった。得られた乳化液に更に水110g及びテトラエチレンペンタミン1.0gを添加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行ない、平均粒径0.3μmのマイクロカプセルB液を調製した。
【0108】
(電子受容性化合物乳化分散液の調製)
電子受容性化合物として
下記構造式[301]で表される化合物 22.0g
下記構造式[302]で表される化合物 8.0g
下記構造式[303]で表される化合物 2.6g
下記構造式[304]で表される化合物 2.6g
下記構造式[305]で表される化合物 0.5g
紫外線吸収剤として
下記構造式[306]で表される化合物 4.0g
【0109】
【化5】
Figure 0003776810
【0110】
【化6】
Figure 0003776810
【0111】
をトリクレジルフォスフェート1.0g、マレイン酸ジエチル0.5gと共に、酢酸エチル16.5gに添加し、70℃に加熱して溶解した。
この溶液を、水67g、8質量%PVA水溶液(PVA217C、(株)クラレ製)55g、15質量%PVA水溶液(商品名:PVA205C,(株)クラレ製)19.5g、下記構造式[401]で挙げられる化合物の2質量%水溶液11g及び下記構造式[402]で表される化合物の2質量%水溶液11gを混合した水相中に加えた後、
【0112】
【化7】
Figure 0003776810
【0113】
エースホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000rpmで平均粒径0.7μmになるように乳化し、電子受容性化合物乳化分散液を得た。
【0114】
[感熱記録層用塗布液Aの調製]
前記マイクロカプセルA液(固形分濃度23質量%)24g、マイクロカプセルB液(固形分濃度24質量%)55g、前記電子受容性化合物乳化分散液(固形分濃度22質量%)100g及び下記構造式[403]で表される化合物の50質量%水溶液1.3gおよびコロイダルシリカ(商品名:スノーテックス 日産化学(株)製)3.6g、水6.7gを混合して、感熱記録層用塗布液Aを調製した。
【0115】
【化8】
Figure 0003776810
【0116】
[感熱記録層用塗布液Bの調製]
前記マイクロカプセルA液
(固形分濃度23質量%) 12.5g
前記マイクロカプセルB液
(固形分濃度24質量%) 14.5g
前記電子受容性化合物乳化分散液
(固形分濃度22質量%) 100g
構造式[403]で表される化合物の50質量%水溶液 1.2g
コロイダルシリカ
(商品名:スノーテックス、日産科学(株)製) 4.5g
水 14.5g
を混合し、感熱記録層用塗布液Bを調製した。
【0117】
[中間層塗布液の調整]
石灰処理ゼラチン1kgに水7848gを加え、溶解したのち、ジ−2−エチルヘキシルスルフォコハク酸ナトリウム(商品名:ニッサンラピゾールB90、日本油脂(株))の5質量%溶解液(水/メタノール=1/1体積混合溶媒)を137g加え、中間層用塗布液を調整した。
【0118】
[バック層用塗布液Aの調製]
石灰処理ゼラチンを1kg、平均粒子径5.7μmの球形PMMA粒子12質量%を含むゼラチン分散物を757g、構造式[501]〜[505]で表わされる化合物を以下の含有率で含む紫外線吸収剤の乳化物を3761g(乳化物1kg当たりの紫外線吸収剤含有量は、
構造式[501]で表される化合物 9.8g
構造式[502]で表される化合物 8.4g
構造式[503]で表される化合物 9.8g
構造式[504]で表される化合物 13.98g
構造式[505]で表される化合物 29.3g
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 1.75g
ポリ(p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
(分子量約40万) 64.2g
構造式[506]で表わされる化合物 15.0g
ポリエチルアクリレートの20質量%ラテックス液 3,180mL
N,N−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)75.0g
1,3−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)プロパン25.0g
以上に水を加えて全量を57.1リットルとなるよう調製した。
【0119】
【化9】
Figure 0003776810
【0120】
[バック層用塗布液Bの調製]
石灰処理ゼラチンを1kg、平均粒子径0.70μmの球形PMMA粒子12質量%を含むゼラチン分散物を2000g、メタノールを1268ml、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンを1.75g、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量約10万)を64.4g、ポリ(p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム)(分子量約40万)を54.0g、p−t−オクチルフェノキシポリオキシエチレン−エチルスルホン酸ナトリウムを25.2g、N−プロピル−N−ポリオキシエチレン−パーフルオロオクタンスルホン酸アミドブチルスルホン酸ナトリウムを5.3g、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウムを7.1g、苛性ソーダでpH=7.0に調製した後水を加えて全量を66.79リットルとなるよう調製した。
【0121】
[感熱記録材料の作成]
(バック層の作成)
JIS−Z8701記載の方法により規定された色度座標でX=0.2850、Y=0.2995に青色着色した厚み180μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の片面に、支持体に近い側から、バック層塗布液A、バック層塗布液Bの順でそれぞれ塗布量が40mL/m2、18.5mL/m2になるようにスライドビード法により同時重層塗布、乾燥した。塗布乾燥条件は以下の通りである。塗布スピードは160m/分とし、コーティングダイ先端と支持体との間隔を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対し200〜1000Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。引き続くチリングゾーンにおいて、乾球温度0〜20℃の風で塗布液を冷却したのち、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
【0122】
(感熱記録層の作成)
上記のバック層を塗布した支持体のバック層と反対の面に、支持体に近い側から、感熱記録層用塗布液A、感熱記録層用塗布液B、中間層用塗布液、保護層用塗布液の順でそれぞれ塗布量が50mL/m2、20mL/m2、18.2mL/m2、26.2mL/m2になるようにスライドビード法により同時重層塗布、乾燥し支持体から感熱記録層A、感熱記録層B、中間層及び保護層を有する本発明の透明な感熱記録材料を得た。各層の塗布液は33℃〜37℃の範囲に温度調整した。乾燥条件は以下の通りである。塗布スピードは160m/分とし、コーティングダイ先端と支持体との間隔を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対し200〜1000Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。引き続く初期乾燥ゾーンにおいて、45℃〜55℃、露点0〜5℃の風にて乾燥後、無接触で搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置により、乾球温度30〜45℃、湿球温度17〜23℃の乾燥風で乾燥させ、乾燥後25℃で湿度40〜60%にて調湿した。
【0123】
<白化の評価>
得られた感熱記録材料を、サーマルヘッド(商品名:KGT、260−12MPH8、京セラ(株)製)により、ヘッド圧10kg/cm2、記録エネルギー110mJ/mm2で記録し、記録1時間後の感熱記録材料の表面を指で擦り、白化の程度を目視により評価した。擦った跡が見えなかったものを○、擦った跡は見えるが許容レベルのものを△、擦った跡が明瞭に観察されて品位の劣るものを×、と評価した。評価結果を表1に示す。
【0124】
<スティックの評価>
得られた感熱記録材料を、サーマルヘッド(商品名:KGT、260−12MPH8、京セラ(株)製)により、ヘッド圧10kg/cm2、記録エネルギー110mJ/mm2で記録し、感熱記録材料の表面を目視及びルーペで評価した。スティックの発生の無かったものを○、ルーペによりスティックの発生が認められ、問題になる懸念のあるものを△、目視で明らかにスティックが認められ、実用上問題となるものを×と評価した。評価結果を表1に示す。
【0125】
参考例1
実施例1において保護層用塗液の調整の際に使用した分散液Aのかわりに、
水61gに、
9.4質量%PVA水溶液(製品名:PVA105,(株)クラレ製) 20g
2質量%ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液 10g
12−ヒドロキシステアリン酸アミド 20g
を混合し、サンドミルで平均粒径2μmに分散して得られた分散液12.9gを用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録材料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0126】
参考例2
実施例1において保護層用塗液の調整の際に使用した分散液Aのかわりに、
水61gに、
9.4質量%PVA水溶液(製品名:PVA105,(株)クラレ製) 20g
2質量%ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液 10g
12−ヒドロキシステアリン酸 20g
を混合し、サンドミルで平均粒径2μmに分散して得られた分散液12.9gを用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録材料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0127】
(比較例1)
実施例1において保護層用塗液の調整の際に使用した分散液Aのかわりに、
水61gに、
9.4質量%PVA水溶液(製品名:PVA105,(株)クラレ製) 20g
2質量%ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液 10g
ステアリン酸アミド 20g
を混合し、サンドミルで平均粒径2μmに分散して得られた分散液12.9gを用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録材料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0128】
(比較例2)
実施例1において保護層用塗液の調整の際に使用した分散液Aのかわりに、
水61gに、
9.4質量%PVA水溶液(製品名:PVA105,(株)クラレ製) 20g
2質量%ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液 10g
ステアリン酸亜鉛 20g
を混合し、サンドミルで平均粒径2μmに分散して得られた分散液12.9gを用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録材料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0129】
(比較例3)
実施例1において保護層用塗液の調整の際に使用した分散液Aのかわりに、
水61gに、
9.4質量%PVA水溶液(製品名:PVA105,(株)クラレ製) 20g
2質量%ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液 10g
ステアリン酸 20g
を混合し、サンドミルで平均粒径2μmに分散して得られた分散液12.9gを用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録材料を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0130】
【表1】
Figure 0003776810
【0131】
<白化>
○ : 擦った跡が見えない。
△: 擦った跡は見えるが、許容レベル。
× : 擦った跡が明瞭に観察され、品位が落ちる。
<スティック>
○: 発生なし。
△: ルーペで発生が認められ、問題になる懸念あり。
× : 目視で明らかにスティックが認められ、実用上問題。
【0132】
表1の結果から、実施例では白化及びスティックの発生しない感熱記録材料が得られたが、比較例では白化及びスティックを同時に満たすことができなかった。
【0133】
【発明の効果】
本発明によれば、第一に、ヘッドマッチング性に優れた感熱記録材料を提供することができる。第二に、表面に炭素を主成分とする層を有し、摩耗に対する耐性に優れたサーマルヘッドに対し、十分なヘッドマッチング性を有する感熱記録材料を提供することができる。第三に、記録後の表面白化がなく、高品位の画像が得られる感熱記録材料を提供することができる。

Claims (4)

  1. 熱可融性物質として、12−ヒドロキシステアリン酸と多価アルコールとのエステル化物を含有する層が最上層として設けられていることを特徴とする感熱記録材料。
  2. 支持体上に感熱記録層及び顔料と、熱可融性物質として12−ヒドロキシステアリン酸と多価アルコールとのエステル化物と、を含む保護層を有し、前記感熱記録層上に最上層として前記保護層が形成されていることを特徴とする感熱記録材料。
  3. 前記12−ヒドロキシステアリン酸と、多価アルコールと、のエステル化物がグリセリン12−ヒドロキシステアラートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
  4. 炭素比率が90%以上の層を最上層に有するサーマルヘッドを用いて請求項1乃至のいずれかに記載の感熱記録材料に熱エネルギーを印加することを特徴とする感熱記録方法。
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