JP2007160432A - 加工品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークを加工する際、ワークの欠けやチッピング、そしてワークの変形を防止する。
【解決手段】温度に応じて融解または凝固するワーク固定剤20を加熱して溶融し、ワーク10のうち空洞となっている孔11および外壁に溶融したワーク固定剤20を行き渡らせる。続いて、ワーク固定剤20を冷やして凝固することで、ワーク10をワーク固定剤20で固定する(図2(a))。そして、ワーク固定剤20と共にワーク10を加工する(図2(b))。加工後、ワーク10を加熱してワーク固定剤20を溶融することで、ワーク10からワーク固定剤20を除去する。
【選択図】図2

Description

本発明は、被加工物(以下、ワークという)として、脆いもの、軟らかいもの、壊れやすいもの、複雑な形状のものを確実に固定して加工することができる加工品の製造方法に関する。
従来より、ワークを加工する際、ワークを固定治具に固定し、固定したワークに対して例えば切削、研削、切断等の加工を行っていた。
しかしながら、上記従来の技術では、ワークを固定治具に固定することはできるが、ワークの内部が壊れやすいものや、脆いものであると、加工の際にワークに割れや欠けが発生し、ワークを精度良く加工できない可能性がある。また、ワークが軟らかいものである場合や、固定しにくい形状の場合、ワークを固定すること自体が困難である。このようなワークを固定できたとしても、ワークを精度良く加工できない可能性がある。さらに、外部から力が加わるとその外形が変形してしまうようなワークでは、固定そのものが困難であると共に、加工することも困難である。
本発明は、上記点に鑑み、ワークの割れ、欠け、チッピング、そしてワークの変形を防止しつつワークを加工することができる加工品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴では、温度に応じて融解と凝固とを繰り返すワーク固定剤(20)を加熱して溶融し、ワークのうち外部と繋がった空洞(11、12)部分および外壁に溶融したワーク固定剤を行き渡らせる。続いて、ワーク固定剤を冷やして凝固することで、ワークにワーク固定剤を一体とする。そして、ワーク固定剤と一体となったワークをワーク固定剤と共に一体的に加工する。加工後、加工したワークを加熱してワーク固定剤を溶融することで、ワークからワーク固定剤を除去する。
このようにすれば、ワークに対してワーク固定剤を一体化させることができ、ワークに設けられた空洞部分や外壁をワーク固定剤で確実に固定することができるので、ワークを加工する際、ワークそのものをたわませたりひずませたりせずにワークを加工することができる。すなわち、脆いもの、軟らかいもの、壊れやすいもの、複雑な形状のもの、変形しやすいものなどのワークの空洞部分にまでワーク固定剤を行き渡らせて固定しているため、ワークの形状を維持しつつ、かつ、ワークを破壊することなく加工することができる。したがって、ワークの割れ、欠け、チッピングやワークの変形を防止したワークの加工を行うことができる。
この場合、溶融したワーク固定剤を行き渡らせる際には、ワークの空洞に進入させるワーク固定剤の粘度を、ワークの外壁に行き渡らせるワーク固定剤の粘度よりも小さくすると好ましい。
これにより、空洞が複雑な形状であったり、微少な空間であったとしても、それら空洞や空間に溶融したワーク固定剤を容易に進入させることができる。
また、本発明の第2の特徴では、ワーク固定剤を加熱して溶融し、用意した容器内の壁面とワークの外壁との間に溶融したワーク固定剤を行き渡らせる。そして、ワーク固定剤を冷やして凝固し、ワークにワーク固定剤を一体とする。この後、ワーク固定剤と一体となったワークをワーク固定剤と共に一体的に加工し、加工したワークを加熱してワーク固定剤を溶融することで、ワークからワーク固定剤を除去する。
このようにすれば、容器の壁面とワークの外壁との間にワーク固定剤を充填することができ、ワークに対してワーク固定剤を一体とした塊を形成することができる。これにより、ワークをワーク固定剤で確実に固定することができ、ワークとして脆いもの、軟らかいもの、壊れやすいもの、複雑な形状のもの、そして変形しやすいものに対して割れや欠け、チッピングやワークの変形を防止しつつ、ワークを加工することができる。
このような場合、溶融したワーク固定剤を行き渡らせる工程では、ワークに設けられると共に外部と繋がった空間に進入させるワーク固定剤の粘度を、ワークの外側に行き渡らせるワーク固定剤の粘度よりも小さくすることができる。
このようにすれば、ワークの中心部側の空間が微細な構造であったとしても、溶融したワーク固定剤を容易に進入させることができる。
このようなワーク固定剤として、パラフィンもしくはポリエチレングリコールを主成分としたものを用いることが好ましい。
パラフィンとしては、以下(1)〜(5)に示すノルマルパラフィンと非ノルマルパラフィンとを組み合わせたパラフィンも使用できる。なお、組成割合の%はすべて重量%である。以下では、パラフィンの融解開始温度と融解終了温度との温度差が例えば1℃のような場合について示す。
(1)ノルマルパラフィンの成分合計88.99%、残部非ノルマルパラフィンからなるパラフィン
『ノルマルパラフィンの組成』
炭素数18のノルマルパラフィン:0.08%
炭素数19のノルマルパラフィン:0.41%
炭素数20のノルマルパラフィン:1.76%
炭素数21のノルマルパラフィン:5.61%
炭素数22のノルマルパラフィン:10.66%
炭素数23のノルマルパラフィン:14.76%
炭素数24のノルマルパラフィン:14.50%
炭素数25のノルマルパラフィン:12.42%
炭素数26のノルマルパラフィン:9.08%
炭素数27のノルマルパラフィン:6.58%
炭素数28のノルマルパラフィン:4.04%
炭素数29のノルマルパラフィン:2.88%
炭素数30のノルマルパラフィン:2.09%
炭素数31のノルマルパラフィン:1.50%
炭素数32のノルマルパラフィン:1.02%
炭素数33のノルマルパラフィン:0.72%
炭素数34のノルマルパラフィン:0.37%
炭素数35のノルマルパラフィン:0.24%
炭素数36のノルマルパラフィン:0.14%
炭素数37のノルマルパラフィン:0.08%
炭素数38のノルマルパラフィン:0.05%
以上ノルマルパラフィンの成分合計は88.99%であり、残部が非ノルマルパラフィンである。
このような組成(1)からなるパラフィンの平均炭素数は24.74であり、分子量分布の標準偏差は2.86であり、この標準偏差が小さいほどシャープな分子量分布を示す。また、この組成(1)のパラフィンの最大分子量は534、最小分子量は254である。したがって、分子量分布幅は280となる。
このような組成(1)のパラフィンの融解開始温度:50.4℃、融解終了温度:51.7℃である。したがって、融解開始温度と融解終了温度の温度差は1.3℃と僅少値に設定できる。
(2)ノルマルパラフィンの成分合計88.64%、残部非ノルマルパラフィンからなるパラフィン
『ノルマルパラフィンの組成』
炭素数18のノルマルパラフィン:0.07%
炭素数19のノルマルパラフィン:0.28%
炭素数20のノルマルパラフィン:1.10%
炭素数21のノルマルパラフィン:3.38%
炭素数22のノルマルパラフィン:6.92%
炭素数23のノルマルパラフィン:10.86%
炭素数24のノルマルパラフィン:12.67%
炭素数25のノルマルパラフィン:12.74%
炭素数26のノルマルパラフィン:11.17%
炭素数27のノルマルパラフィン:9.18%
炭素数28のノルマルパラフィン:6.43%
炭素数29のノルマルパラフィン:4.73%
炭素数30のノルマルパラフィン:3.01%
炭素数31のノルマルパラフィン:2.16%
炭素数32のノルマルパラフィン:1.42%
炭素数33のノルマルパラフィン:0.98%
炭素数34のノルマルパラフィン:0.55%
炭素数35のノルマルパラフィン:0.36%
炭素数36のノルマルパラフィン:0.22%
炭素数37のノルマルパラフィン:0.15%
炭素数38のノルマルパラフィン:0.11%
炭素数39のノルマルパラフィン:0.09%
炭素数40のノルマルパラフィン:0.06%
以上ノルマルパラフィン成分合計は88.64%、残部が非ノルマルパラフィンである。
このような組成(2)からなるパラフィンの平均炭素数は25.61、分子量分布の標準偏差は3.05、最大分子量は562、最小分子量は254である。したがって、分子量分布幅366となる。この組成(2)のパラフィンの融解開始温度:52.5℃、融解終了温度:53.7℃である。したがって、融解開始温度と融解終了温度の温度差は1.2℃と僅少値に設定できる。
(3)ノルマルパラフィンの成分合計89.57%、残部非ノルマルパラフィンからなるパラフィン
『ノルマルパラフィンの組成』
炭素数19のノルマルパラフィン:0.09%
炭素数20のノルマルパラフィン:0.34%
炭素数21のノルマルパラフィン:1.31%
炭素数22のノルマルパラフィン:3.50%
炭素数23のノルマルパラフィン:7.09%
炭素数24のノルマルパラフィン:10.36%
炭素数25のノルマルパラフィン:12.57%
炭素数26のノルマルパラフィン:12.68%
炭素数27のノルマルパラフィン:11.75%
炭素数28のノルマルパラフィン:8.80%
炭素数29のノルマルパラフィン:6.99%
炭素数30のノルマルパラフィン:4.74%
炭素数31のノルマルパラフィン:3.41%
炭素数32のノルマルパラフィン:2.42%
炭素数33のノルマルパラフィン:1.70%
炭素数34のノルマルパラフィン:0.93%
炭素数35のノルマルパラフィン:0.54%
炭素数36のノルマルパラフィン:0.25%
炭素数37のノルマルパラフィン:0.10%
以上ノルマルパラフィンの成分合計は89.57%、残部が非ノルマルパラフィンである。
このような組成(3)からなるパラフィンの平均炭素数は26.56、分子量分布の標準偏差は2.94、最大分子量は520、最小分子量は268である。したがって、分子量分布幅は252となる。この組成(3)のパラフィンの融解開始温度:54.6℃、融解終了温度:55.6 ℃である。したがって、融解開始温度と融解終了温度の温度差は1.0℃と僅少値に設定できる。
(4)ノルマルパラフィンの成分合計71.11%、残部非ノルマルパラフィンからなるパラフィン
『ノルマルパラフィンの組成』
炭素数23のノルマルパラフィン:0.08%
炭素数24のノルマルパラフィン:0.16%
炭素数25のノルマルパラフィン:0.39%
炭素数26のノルマルパラフィン:0.87%
炭素数27のノルマルパラフィン:1.52%
炭素数28のノルマルパラフィン:1.99%
炭素数29のノルマルパラフィン:2.68%
炭素数30のノルマルパラフィン:3.14%
炭素数31のノルマルパラフィン:3.71%
炭素数32のノルマルパラフィン:3.94%
炭素数33のノルマルパラフィン:4.07%
炭素数34のノルマルパラフィン:4.37%
炭素数35のノルマルパラフィン:4.94%
炭素数36のノルマルパラフィン:5.49%
炭素数37のノルマルパラフィン:6.00%
炭素数38のノルマルパラフィン:5.44%
炭素数39のノルマルパラフィン:4.50%
炭素数40のノルマルパラフィン:3.71%
炭素数41のノルマルパラフィン:3.01%
炭素数42のノルマルパラフィン:2.53%
炭素数43のノルマルパラフィン:1.94%
炭素数44のノルマルパラフィン:1.55%
炭素数45のノルマルパラフィン:1.06%
炭素数46のノルマルパラフィン:0.84%
炭素数47のノルマルパラフィン:0.58%
炭素数48のノルマルパラフィン:0.45%
炭素数49のノルマルパラフィン:0.33%
炭素数50のノルマルパラフィン:0.32%
炭素数51のノルマルパラフィン:0.26%
炭素数52のノルマルパラフィン:0.21%
炭素数53のノルマルパラフィン:0.19%
炭素数54のノルマルパラフィン:0.17%
炭素数55のノルマルパラフィン:0.15%
炭素数56のノルマルパラフィン:0.13%
炭素数57のノルマルパラフィン:0.11%
炭素数58のノルマルパラフィン:0.09%
炭素数59のノルマルパラフィン:0.08%
炭素数60のノルマルパラフィン:0.06%
炭素数61のノルマルパラフィン:0.05%
以上ノルマルパラフィンの成分合計は71.11%であり、残部が非ノルマルパラフィンである。
このような組成(4)からなるパラフィンの平均炭素数は36.34、分子量分布の標準偏差は5.70、最大分子量は856、最小分子量は324である。したがって、分子量分布幅は532となる。この組成(4)のパラフィンの融解開始温度:72.1℃、融解終了温度:73.4℃である。したがって、融解開始温度と融解終了温度の温度差は1.3℃と僅少値に設定できる。
(5)ノルマルパラフィンの成分合計75.78%、残部非ノルマルパラフィンからなるパラフィン
『ノルマルパラフィンの組成』
炭素数29のノルマルパラフィン:0.08%
炭素数30のノルマルパラフィン:0.23%
炭素数31のノルマルパラフィン:0.69%
炭素数32のノルマルパラフィン:1.36%
炭素数33のノルマルパラフィン:1.77%
炭素数34のノルマルパラフィン:2.02%
炭素数35のノルマルパラフィン:2.21%
炭素数36のノルマルパラフィン:2.41%
炭素数37のノルマルパラフィン:3.02%
炭素数38のノルマルパラフィン:3.58%
炭素数39のノルマルパラフィン:3.52%
炭素数40のノルマルパラフィン:3.94%
炭素数41のノルマルパラフィン:4.13%
炭素数42のノルマルパラフィン:5.15%
炭素数43のノルマルパラフィン:4.95%
炭素数44のノルマルパラフィン:5.54%
炭素数45のノルマルパラフィン:4.55%
炭素数46のノルマルパラフィン:4.71%
炭素数47のノルマルパラフィン:3.53%
炭素数48のノルマルパラフィン:3.08%
炭素数49のノルマルパラフィン:2.38%
炭素数50のノルマルパラフィン:2.16%
炭素数51のノルマルパラフィン:1.68%
炭素数52のノルマルパラフィン:1.35%
炭素数53のノルマルパラフィン:1.21%
炭素数54のノルマルパラフィン:1.00%
炭素数55のノルマルパラフィン:0.85%
炭素数56のノルマルパラフィン:0.80%
炭素数57のノルマルパラフィン:0.63%
炭素数58のノルマルパラフィン:0.59%
炭素数59のノルマルパラフィン:0.49%
炭素数60のノルマルパラフィン:0.41%
炭素数61のノルマルパラフィン:0.34%
炭素数62のノルマルパラフィン:0.38%
炭素数63のノルマルパラフィン:0.36%
炭素数64のノルマルパラフィン:0.30%
炭素数65のノルマルパラフィン:0.23%
炭素数66のノルマルパラフィン:0.15%
以上ノルマルパラフィンの成分合計は75.78%であり、残部が非ノルマルパラフィンである。
このような組成(5)からなるパラフィンの平均炭素数は43.69、分子量分布の標準偏差は6.81、最大分子量は926、最小分子量は408である。したがって、分子量分布幅は518となる。この組成(5)のパラフィンの融解開始温度:86.2℃、 融解終了温度:87.9℃である。したがって、融解開始温度と融解終了温度の温度差は1.7℃と僅少値に設定できる。
また、ポリエチレングリコールとしては次のようなものを使用できる。例えば、平均分子量:1540のポリエチレングリコールは、融解開始温度:46℃、融解終了温度:47.2℃である。したがって、この融解開始温度と融解終了温度の温度差は1.2℃という僅少値に設定できる。
また、平均分子量4000のポリエチレングリコールは、その分子量の最大値は5464、最小値は1689、数平均分子量Mn:2866、重量平均分子量Mw:2935、Z平均分子量Mz:3004、分子量分布分散度(1に近いほどシャープな分布を示す)Mw/Mn:1.0238、Mz/Mw:1.0237である。この平均分子量4000のポリエチレングリコールの融解開始温度:55.1℃、融解終了温度:56.4℃である。したがって、融解開始温度と融解終了温度の温度差は1.3℃という僅少値に設定できる。
また、ワーク固定剤の融解開始温度と融解終了温度を、18℃〜100℃の範囲内にすることができる。
このような温度範囲を設けることにより、加工したいワークの材質等に合わせてワークを固定することができる。このような融解開始温度または融解終了温度の範囲を実現するため、パラフィンもしくはポリエチレングリコールに、例えばアルミナ、カーボン、鉄、SUS、SiC、Si、窒化珪素などの粉末材料を混入することが好ましい。
また、パラフィンに(1)セラミック材料(アルミナ、SiC、Si、窒化珪素、ガラス材料などのほとんどのセラミック材料を添加できる)、(2)カーボン、(3)天然材料(紙、羊毛、繊維、絹、竹、松、杉など天然に存在する材料などのほとんどの材料を添加できる)、(4)樹脂材料(PET、フッ素樹脂、塩化ビニル、エポキシ樹脂などのほとんどの樹脂材料を添加できる)、(5)金属材料(鉄、アルミニウム、銅、SUS、黄銅などのほとんどの金属材料を添加できる)の粉末を混入することにより、ワーク固定剤の融点を例えば18〜100℃の間で設定することができる。このようにパラフィンに添加する材料は、固定したいワークの材質に応じて設定することができる。すなわち、パラフィンに添加する材料に応じて、粘度や硬度、融点等を自由に設計することができる。これにより、加工に最適なワーク固定剤を用意することができるのである。また、添加する量は、固定したいワークの材質に応じて設定することができる。例えば、硬度が要求される場合は、パラフィン1重量%〜100重量%、金属材料0重量%〜99重量%を添加することができる。ただし、添加量が多くなると粘性が大きくなり、細かい穴に染み込ませるとは辛くなるので、目的に応じた粘度調整(または硬度調整)が必要になる。同様に、(1)セラミック材料、(2)カーボン材料、(3)天然材料、(4)樹脂材料を用いることができる。
さらに、ワーク固定剤として、融解開始温度と融解終了温度との温度差が5℃以下であるものを用いることができる。小さい温度差で塗布剤を融解・凝固させることが好ましく、温度差は2℃であることが好ましい。また、上記のようにさらに小さい温度幅(例えば1℃)であるとさらに好ましい。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明に係る製造方法によって加工されたワークの概略図である。図1(a)はワーク10の斜視図、図1(b)は(a)のA−A断面図、図1(c)は(a)のB−B断面図である。
本実施形態では、ワーク10としてモノリスを用意し、このモノリスの加工について説明する。図1(a)に示されるように、ワーク10は円柱形状を有しており、例えばセラミックスの焼結品として構成されるものである。このワーク10の内部は蜂の巣のようになっている。具体的に、図1(b)に示されるように、円柱の断面に空洞としての多数の孔11が形成されている。また、図1(c)に示されるように、図1(b)の各孔11はワーク10の軸方向に貫通して多数形成されている。
次に、図1に示されるワーク10を加工する方法について、図を参照して説明する。図2は、ワーク10を加工する工程を示した図であり、ワーク10のうち図1(c)のB−B断面に相当する部分を示している。以下、図2の各工程に従って、ワーク10を切断加工する方法について説明する。
図2(a)に示す工程では、ワーク10を固定する。具体的に、ワーク10を固定するものとして、本実施形態ではワーク固定剤20を用いる。ワーク固定剤20は、パラフィンを主成分とするもので構成されている。なお、パラフィンを主成分とするものとは、パラフィンのみで構成されるものも含んでいる。
本実施形態では、ワーク固定剤20の融解開始温度(融点)は53℃であり、融解終了温度は55℃〜58℃である。すなわち、ワーク固定剤20が溶融して凝固する温度幅(温度差)がわずか2℃〜5℃になっている。このため、ワーク固定剤20を加熱する温度をわずか2〜5℃変化させるだけでワーク固定剤20を容易に融解・凝固させることができる。なお、わずかな温度差でワーク固定剤20を融解・凝固するようにするため、溶融開始温度と溶融終了温度との温度差は2℃であることが好ましい。
上記ワーク固定剤20を構成するパラフィン材料はCnHmの分子式(n、mは任意の整数)で記述され、nが小さくなると融解温度が低くなり、nが大きくなると融解温度が高くなる。したがって、nが大きいものや小さいものが混ざると、融解温度に幅ができてしまう。そこで、上記のように融解温度の温度幅が2℃〜5℃になるようにするため、パラフィンの純度を上げれば良い。
具体的に、パラフィンの純度は、パラフィンの分子量分布幅が狭いほど高くなる。例えば室温付近で2℃の温度差で融解・凝固させたい場合、分子量分布幅が約50〜3000のものを用いる。また、50℃付近で2℃の温度差で融解・凝固するパラフィン材料においては、分子量分布幅が100〜10000のものを用いる。さらに、90℃付近で2℃の温度差で融解・凝固するパラフィン材料においては、分子量分布幅が500〜100000の幅のものが好ましい。
分子量分布幅は、パラフィン材料の精製を精度良く行うことで狭くすることができる。そして、分子量分布幅が狭いと純度が高くなると共に、融解温度の温度幅が小さくなり、ワーク固定剤20を狭い温度範囲で融解・凝固させることができる。
また、本実施形態では、ワーク固定剤20の粘度は水と同程度であり、例えば1mPa・s(ミリパスカル秒)〜3mPa・sである。これにより、ワーク固定剤20は、溶融した状態になると、図1に示されるポーラス状の場所(孔11内部)に容易に進入することができる。
なお、下記に示す如く、種々な材料組成のものを用いることができる。例えば、(1)パラフィンだけで低粘性なもの、(2)低粘性で少し硬度がある材料組成(具体的には、パラフィンに硬度が高い金属材料、セラミック材料などを添加する)、(3)粘度はやや高いが硬度の高い材料組成を用いること、(4)やや粘度は高いが、強度を高める材料組成など、目的に応じた材料を使い分けることが可能である。
また、パラフィンに(1)セラミック材料(アルミナ、SiC、Si、窒化珪素、ガラス材料などのほとんどのセラミック材料を添加できる)、(2)カーボン、(3)天然材料(紙、羊毛、繊維、絹、竹、松、杉など天然に存在する材料などのほとんどの材料を添加できる)、(4)樹脂材料(PET、フッ素樹脂、塩化ビニル、エポキシ樹脂、などのほとんどの樹脂材料を添加できる)、(5)金属材料(鉄、アルミニウム、銅、SUS、黄銅などのほとんどの金属材料を添加できる)の粉末材料を混入することにより、ワーク固定剤20の融点を例えば18〜100℃の間で設定することができる。このようにパラフィンに添加する材料は、固定したいワーク10の材質に応じて設定することができる。すなわち、パラフィンに添加する材料に応じて、粘度や硬度、融点等を自由に設計することができる。これにより、加工に最適なワーク固定剤20を用意することができるのである。例えば、硬度が要求される場合は、パラフィン1重量%〜100重量%、金属材料0重量%〜99重量%を添加することができる。ただし、添加量が多くなると粘性が大きくなり、細かい穴に染み込ませるとは辛くなるので、目的に応じた粘度調整(または硬度調整)が必要になる。同様に、(1)セラミック材料、(2)カーボン材料、(3)天然材料、(4)樹脂材料を用いることができる。
上記ワーク固定剤20として、カタメルチャック(商品名、登録商標、Thermofix、米国登録商標)を採用することができる。
上記のような特性を有するワーク固定剤20でワーク10を固定する。具体的に、固化したワーク固定剤20を図示しない容器の中に入れ、容器およびワーク固定剤20をワーク固定剤20の融点以上に加熱する。これにより、容器内のワーク固定剤20は溶融した状態になっている。なお、容器としては、例えば円柱形状になっており、この後の工程でワーク10と一体となったワーク固定剤20の外形が円柱形状になる。
そして、溶融したワーク固定剤20の中にワーク10を入れ、容器の壁面とワーク10の外壁との間に溶融したワーク固定剤20を行き渡らせる。このとき、ワーク10をワーク固定剤20の融点よりも高い温度に加熱しておくと、溶融したワーク固定剤20がワーク10の温度で凝固してしまうことを防止でき、ワーク固定剤20を凝固させずに各孔11内に進入させることができる。また、ワーク固定剤20の粘度は水のように低いので、各孔11内で詰まることなく孔11の内部に滑らかに進入していく。
なお、容器を用意してあらかじめ容器の中にワーク10を設置しておき、その後に容器の中に溶融したワーク固定剤20を注ぐようにしても構わない。
この後、容器およびワーク固定剤20の温度を融点以下に下げることで、容器内でワーク固定剤20を凝固させ、容器から固化したワーク固定剤20を取り出す。こうして、ワーク固定剤20でワーク10を構成する部分を覆い、ワーク固定剤20を固化させることで、ワーク固定剤20でワーク10全体を均一に固定することができる。すなわち、ワーク10に対してワーク固定剤20を一体化させることができ、ワーク10の孔11内にワーク固定剤20を進入させた塊を得ることができる。つまり、ワーク10の孔11内にワーク固定剤20が進入したことで、ワーク10が密の状態になっていると言える。
図2(b)に示す工程では、ワーク10を切断加工する。すなわち、図2(a)に示される点線部分でワーク10を切断する。すなわち、例えば図示しない回転する砥石を押し当ててワーク10を切断する。このとき、ワーク10のうち切断される部分およびその周辺はワーク固定剤20で補強されているため、ワーク10のうち砥石が当たった部分にワーク10をたわませる力やゆがませる力が印加されない。これにより、ワーク10に欠けやチッピングを生じさせず、かつ、ワーク10を変形させることなくワーク10を切断加工することができる。
この後、ワーク固定剤20にお湯を注ぎ、ワーク10からワーク固定剤20を剥離する。具体的には、上述のように、ワーク固定剤20は温度によって融解・凝固するので、ワーク固定剤20の溶融終了温度(55℃〜58℃)よりも高い温度のお湯をワーク10に注ぐことにより、ワーク10に密着したワーク固定剤20を剥離する。
なお、お湯の中にワーク10を浸漬させても良い。この場合、お湯の中にパラフィン材料を完全に溶解した状態にする添加剤(湯水中でパラフィンを溶かし、温度が低くなっても、液中に溶解させた状態に保つことができるもの)を入れておくと、ワーク固定剤20が凝固して水の上に浮き、水面に膜を張るという現状を避けることができる。このようにしてワーク固定剤20を剥離する際、ワーク固定剤20の比重は水よりも小さい(例えば0.8〜0.9)ため、ワーク固定剤20は水(お湯)に浮く。このため、ワーク10を容易に洗浄することができる。より洗浄効果を促進する方法として、超音波洗浄や超微細気泡洗浄の他、上記のように洗浄剤を導入する方法等がある。
こうして、図1に示されるワーク10が完成する。
以上説明したように、本実施形態では、ワーク10のうち空洞としての孔11となった部分およびワーク10の外壁に溶融したワーク固定剤20を行き渡らせ、ワーク10に対してワーク固定剤20を一体化させることを特徴としている。
これにより、ワーク10を内側から、そして外側からワーク固定剤20で確実に固定することができる。すなわち、ワーク10を加工する際、ワーク10そのものをたわませたりひずませたりせずにワーク10を加工することができるので、ワーク10の形状を維持しつつ、かつ、ワーク10を破壊することなく加工することができる。
したがって、脆いもの、軟らかいもの、壊れやすいもの、複雑な形状のものなどのワーク10の割れ、欠け、チッピングやワーク10の変形を防止しつつワーク10を加工することができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、ワーク10としてカーボン素材で構成されるものを用意し、このような脆くて壊れやすいワーク10をドリルで加工する場合について説明する。
例えば数百〜数万回転のドリルでワーク10を加工する際、ワークの端面からドリルが離れる際に欠けやチッピング等が発生しやすい。しかしながら、本実施形態では、ドリルを用いてワーク10を加工したとしても、ワーク10に欠けやチッピング等を発生させずにワーク10を切断することができることが特徴である。
図3は、本発明に係る製造方法によって加工されたワーク10の概略図である。図3(a)はワーク10の外観図、図3(b)は(a)のC−C断面図である。上述のように、本実施形態では、ワーク10は直方体のカーボン素材で形成されているので、図3(b)の断面図に示されるように空洞として多数の微細な気泡12が存在している。また、図3(a)に示されるように、ワーク10の端面の外縁部10aに欠け、割れ、チッピングなどは無く、ワークの端面が精度良く加工されている。
次に、図3に示されるワーク10を加工する方法について、図を参照して説明する。図4は、第2実施形態においてワーク10を加工する工程を示した図であり、ワーク10の長軸方向の断面図を表してある。なお、図4では、ワーク10の断面を斜線で示している。以下、図4の各工程に従って、ワーク10を切断加工する方法について説明する。
図4(a)に示す工程では、ワーク10を固定する。すなわち、図2(a)に示す工程と同様の工程を行い、カーボン素材のワーク10をワーク固定剤20で固定する。このとき、溶融したワーク固定剤20が気泡12に進入するため、多数の微細な気泡12によって脆くなっているワーク10の内部を確実に固定することができる。同様に、ワーク10の外壁もワーク固定剤20で固定できる。
図4(b)に示す工程では、ワーク10を加工する。すなわち、図4(a)に示される点線部分でワーク10を切削加工する。具体的に、数百〜数万回転のドリル30を用いてワーク10を加工する。すなわち、図4(b)に示されるように、ドリル30の回転軸とワーク10の長軸とが平行になるように両者を配置させ、ワーク10をワーク固定剤20と共に固定治具にて固定する。そして、回転させたドリル30をドリル30の回転軸に対して垂直方向に移動させ、ワーク10をワーク固定剤20と共に削る。加工後、第1実施形態と同様にワーク10からワーク固定剤20を除去する。
以上のように、カーボン素材で構成されるワーク10のように、内部に多数の気泡12を有することで外部からの力で脆く壊れてしまうものであっても、そのワーク10を構成する内部にまでワーク固定剤20を進入させて凝固することにより、ワークを内側から固定することができる。同様に、ワーク10の外側に対しても溶融したワーク固定剤20を塗布することにより確実に固定することができる。
これにより、脆いワーク10を均一に固定することができるので、加工の際にワーク10に印加するドリル30の力によってワーク10がたわんだり、ゆがんだりすることを防止できる。こうして、ワーク10に欠けや割れ、チッピング等を発生させずにワーク10を加工することができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、ワーク10として発泡金属で構成されるものを用意し、このような変形しやすいワーク10を加工する場合について説明する。発泡金属とは、金属材料で構成されると共に、内部に泡のような空隙を多数有した多孔質材料をいう。すなわち、外部からの衝撃によって容易に変形しやすいものである。本実施形態では、このような発泡金属であって、内部に多くの空洞を有するワーク10を、その外形を保持した状態で加工できることが特徴である。
図5は、第3実施形態においてワーク10を加工する工程を示した図であり、発泡金属で構成されるワーク10の断面図を表してある。図5に示す工程では、ワーク固定剤20にてワーク10を固定する。すなわち、図2(a)、図4(a)に示す工程と同様に、溶融したワーク固定剤20にワーク10を浸漬させる。上述のように、溶融したワーク固定剤20の粘度は水と同程度であるので、多孔質材料の内部の隅々に溶融したワーク固定剤20を行き渡らせることができる。
続いて、ワーク固定剤20の温度を下げることでワーク固定剤20を凝固させる。例えば、容器として図示しない箱を用意し、ワーク固定剤20をブロック状に凝固させても良い。こうして、図5に示されるように、発泡金属であるワーク10を、その形状を保持したまま固定することができる。
そして、例えば図2(b)に示す工程と同様に、図示しない砥石でワーク10をワーク固定剤20と共に切断加工する。このとき、ワーク10は凝固したワーク固定剤20で固定されているため、ワーク10に当たった砥石の力によってワーク10が変形したり破壊されたりすることはない。この後、ワーク固定剤20を溶融させて、ワーク10からワーク固定剤20を除去することにより、加工は終了する。
以上のように、発泡金属のような変形しやすいワーク10であっても、その形状を保ちつつ、加工を行うことができる。
(第4実施形態)
本実施形態では、上記第1〜第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、ワーク10として、複雑な形状を有する樹脂材料を用意し、このようなワーク10を加工する場合について説明する。このような複雑な形状を有する樹脂材料では、全体として大きな形状となっている場合であっても、その中心部分に空洞が設けられている場合もある。本実施形態では、ワーク10の中心部分に外部と連結してはいる空洞が設けられたワーク10を加工する場合に好適である。
図6は、第4実施形態においてワーク10を加工する工程を示した図であり、樹脂材料で構成されるワーク10の断面図を表してある。図6に示す工程では、ワーク固定剤20にてワーク10を固定する。
具体的に、本実施形態では、ワーク10の中心部分に低粘度のワーク固定剤21を進入させ、ワーク10の外壁部分を高粘度のワーク固定剤22で固定する。すなわち、図6に示されるように、ワーク10の中心部分に設けられた隙間に溶融したワーク固定剤20を進入させるため、ワーク10の中心部分を固定するためのワーク固定剤21の粘度を小さくして進入しやすくする。
上記のような低粘度のワーク固定剤21は、ワーク固定剤20におけるパラフィンの含有量を大きくすることで得ることができ、粘度は水と同程度である例えば1mPa・s(ミリパスカル秒)〜3mPa・sである。このように、水と同程度の粘度であることから、図6に示されるようなワーク10の隙間に容易に進入することができる。
また、高粘度のワーク固定剤22は、アルミナの含有量を40重量%とすることで約500mPa・s〜1000mPa・sの粘度を得ることができる。なお、さらに高粘度を要求する場合、アルミナの含有量を70重量%とすることで約2000mPa・s〜3000mPa・sの粘度を得ることができ、かつ、高硬度も得ることができる。
そして、まず、溶融させた低粘度のワーク固定剤21をワーク10の中心部分の隙間に進入させ、ワーク固定剤21を冷やして凝固する。なお、例えばスポイトを用いて溶融した低粘度のワーク固定剤21をワーク10の空間部分に塗布するようにしても良い。続いて、溶融させた高粘度(または、高硬度、高強度材料、それらの複合材料などを用いることもできる)のワーク固定剤22をワーク10の外周に盛りつけて凝固する。このように、複雑な3次元形状のワーク10を固定する場合、粘度の異なるワーク固定剤21、22を用意すると共に、低粘度のワーク固定剤21を用いることでワーク10の中心部分に容易にワーク固定剤21を入り込ませることができる。また、高粘度のワーク固定剤22でワーク10の外周を固定することにより、ワーク10の全表面をワーク10の内側から、そして外側から均等に保持することができる。
こうして、ワーク10を固定した後、例えば図2(b)に示す工程と同様に、図示しない砥石でワーク10をワーク固定剤21、22と共に切断加工し、ワーク10からワーク固定剤21、22を除去する。
以上のように、複雑な形状を有するワーク10に対して、粘度の異なるワーク固定剤21、22を用いるようにしても良い。このように粘度の異なるワーク固定剤21、22を用いることで、非常に複雑な樹脂表面を変形させることなく安定して固定することができる。
(第5実施形態)
本実施形態では、上記第1〜第4実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、ワーク10として、(1)繊維状複合体(金属ファイバー、ガラスファイバー、繊維、紙等)、または(2)薄い金属箔(薄い銅箔、アルミ箔、ステンレス箔など)、(3)薄い樹脂箔、シート等を用意し、このような軟らかいワーク10を加工する場合について説明する。このように、本実施形態では、ファイバー間に多くの隙間、空間を有するワーク10を加工する場合に好適である。
図7は、第5実施形態においてワーク10を加工する工程を示した図であり、ファイバー材料で構成されるワーク10の断面図を表してある。図7に示す工程では、図2(a)、図4(a)と同様に、ワーク固定剤20にてワーク10を固定する。
本実施形態では、溶融した高粘度のワーク固定剤22の中にワーク10を入れる。このとき、ファイバー間にも溶融した高粘度のワーク固定剤22が浸透してゆく。そして、ワーク固定剤22を凝固させることでワーク10を固定する。このような高粘度のワーク固定剤22は高硬度でもあるので、繊維状のファイバーを確実に固定することができる。
この後、上述のようにワーク10をワーク固定剤22と共に切断加工し、ワーク10からワーク固定剤22を溶融して除去する。
以上のように、ファイバー状の軟らかいもので構成されるワーク10を加工する場合、ワーク固定剤22で確実に固定することにより、ワーク10をきれいに切断することができる。
(第6実施形態)
本実施形態では、第5実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、高粘度のワーク固定剤22を構成するパラフィン材料に導電性が良いカーボンを添加したものを用いてワーク10を固定すると共に、特に金属ファイバーで構成されるワーク10を放電加工することが特徴である。
本実施形態では、上述のように、パラフィンに導電性カーボンが添加されたワーク固定剤22を用いる。具体的に、本実施形態におけるワーク固定剤22の融解開始温度は例えば75℃、融解終了温度は例えば77℃〜78℃であり、導電性カーボンが例えば50重量%添加されている。このようなワーク固定剤22の抵抗率は例えば1Ωcm〜50Ωcmである。
上記のようなワーク固定剤22で図7に示されるようにワーク10を固定した後、図示しないワイヤを用意し、このワイヤに電流を流す。そして、このワイヤをワーク固定剤22(すなわちワーク10)に押し当て、ワイヤとワーク固定剤22との間に放電を起こさせてワーク10を放電加工する。これにより、ワーク10を目的の形状に加工することができる。
以上のように、ワーク固定剤22に導電性のカーボンを添加し、上記のように電流を流したワイヤで放電加工することもできる。
(他の実施形態)
ワーク10として、上記各実施形態で示したセラミックモノリス(空間を多く持つ材料)、カーボン焼結品、発泡メタル(ウレタンホームの表面に金属をめっきした材料)、繊維状のもので構成される材料等の他に、気泡が沢山入った材料、金属の焼結品(例えばSmCo、フェライト磁石、SMC(軟磁性を有する磁性材料の焼結品))、セラミック焼結品、ポーラスな材料などの比較的脆い材料、リード線の切断(銅の線材、アルミ線を使ったリード線の切断)、半導体基板(凹凸があり、固定しにくいもの、部品が実装された状態での切断)、各種製品(どんな製品でも可能、断面カット時)を加工するようにしても構わない。
上記各実施形態では、加工として切断加工について説明したが、切断の他に、研削、研磨、穴加工、ナイフ加工等を行うようにしても構わない。
上記各実施形態では、大気圧中でワーク10をワーク固定剤20で固定していたが、真空中でワーク10をワーク固定剤20で固定するようにしても構わない。
上記ワーク固定剤20は、パラフィンを主成分とするもので構成されているが、ポリエチレングリコールを主成分とするもので構成されていても構わない。
第1〜第3、第5、第6実施形態では、ワーク10の内部、すなわち孔11の内部に進入させるワーク固定剤20の粘度と、ワーク10の外部に塗布するワーク固定剤20の粘度と、がそれぞれ同じであった。しかしながら、第4実施形態のように、ワーク10の孔11の内部に進入させるワーク固定剤20の粘度を、ワーク10の外部に塗布するワーク固定剤20の粘度よりも小さくしても良い。これにより、ワーク固定剤20を確実に孔11の隅々まで行き渡らせることができる。
上記第2実施形態では、ワーク10をドリル30で加工する例について説明したが、第1実施形態と同様に砥石でワーク10を切断加工しても構わない。
第1実施形態におけるワークの概略図であり、(a)はワークの斜視図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。 第1実施形態において、ワークを加工する工程を示した図である。 第2実施形態におけるワークの概略図であり、(a)はワークの外観図、(b)は(a)のC−C断面図である。 第2実施形態において、ワークを加工する工程を示した図である。 第3実施形態において、ワークを加工する工程を示した図である。 第4実施形態において、ワークを加工する工程を示した図である。 第5実施形態において、ワークを加工する工程を示した図である。
符号の説明
10…ワーク、11…孔、12…気泡、20…ワーク固定剤。

Claims (7)

  1. 温度に応じて融解または凝固するワーク固定剤(20)を用いて、外部と繋がっている空洞(11、12)を有するワーク(10)を固定すると共に、前記ワークを加工する加工品の製造方法であって、
    前記ワーク固定剤を加熱し、前記ワーク固定剤を溶融する工程と、
    前記ワークの前記空洞および前記ワークの外壁に前記溶融したワーク固定剤を行き渡らせる工程と、
    前記ワーク固定剤を冷やして凝固し、前記ワークに前記ワーク固定剤を一体とする工程と、
    前記ワーク固定剤と一体となったワークを前記ワーク固定剤と共に一体的に加工する工程と、
    前記加工したワークを加熱して前記ワーク固定剤を溶融し、前記ワークから前記ワーク固定剤を除去する工程と、を含んでいることを特徴とする加工品の製造方法。
  2. 前記溶融したワーク固定剤を行き渡らせる工程では、前記ワークの空洞に進入させるワーク固定剤の粘度を、ワークの外壁に行き渡らせるワーク固定剤の粘度よりも小さくすることを特徴とする請求項1に記載の加工品の製造方法。
  3. 温度に応じて融解または凝固するワーク固定剤(20)を用いてワーク(10)を固定すると共に、前記ワークを加工する加工品の製造方法であって、
    前記ワーク固定剤を加熱し、前記ワーク固定剤を溶融する工程と、
    容器を用意すると共に、前記容器内の壁面と前記ワークの外壁との間に溶融したワーク固定剤を行き渡らせる工程と、
    前記ワーク固定剤を冷やして凝固し、前記ワークに前記ワーク固定剤を一体とする工程と、
    前記ワーク固定剤と一体となったワークを前記ワーク固定剤と共に一体的に加工する工程と、
    前記加工したワークを加熱して前記ワーク固定剤を溶融し、前記ワークから前記ワーク固定剤を除去する工程と、を含んでいることを特徴とする加工品の製造方法。
  4. 前記溶融したワーク固定剤を行き渡らせる工程では、前記ワークに設けられると共に外部と繋がった空間に進入させるワーク固定剤の粘度を、ワークの外側に行き渡らせるワーク固定剤の粘度よりも小さくすることを特徴とする請求項3に記載の加工品の製造方法。
  5. 前記ワーク固定剤として、パラフィンもしくはポリエチレングリコールを主成分としたものを用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の加工品の製造方法。
  6. 前記ワーク固定剤として、融解開始温度と融解終了温度が18℃〜100℃の範囲内にあるものを用いることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の加工品の製造方法。
  7. 前記ワーク固定剤として、前記融解開始温度と前記融解終了温度との温度差が5℃以下であるものを用いることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の加工品の製造方法。
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