JP2007154068A - 黒色レーザーマーキング用樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

黒色レーザーマーキング用樹脂組成物及びその成形品 Download PDF

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誠 小林
Naoya Iwamura
尚哉 岩村
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Abstract

【課題】
鮮明な黒色レーザーマーキングが可能であり、かつ靭性、剛性に優れる黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
(A)ポリアミド樹脂40〜90重量%、(B)ポリフェニレンサルファイド樹脂10〜60重量%からなる樹脂組成物であって、前記(A)、(B)の合計100重量部に対して、(C)水和物を持たないホウ酸亜鉛0.3〜9.0重量部を含有することを特徴とする黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、黒色レーザーマーキングにより鮮明な印字が実現できる樹脂組成物、ならびに、その成形品に関する。
従来、ポリアミド樹脂は、引張、曲げなどの強度、弾性率などの機械的性質に優れ、しかも耐熱性、耐薬品性、難燃性が良好であることから、電気電子部品、自動車用部品、建材部品、機械部品等に広く利用されている。しかし、ポリアミド樹脂は、元来レーザーによる局所加熱に対して発泡しやすいため、白色レーザーマーキングは可能であったが、鮮明な黒色レーザーマーキングを得ることが困難であった。一方、黒色レーザーマーキングが可能な樹脂材料としては、ABS樹脂、ポリエステルなどの樹脂が使用されてきた。しかし、ABS樹脂は無機強化剤による高剛性化に不適であり、耐熱性が低く、また易燃焼性であるため、その使用範囲に制限があった。また、同じく黒色レーザーマーキングが可能なポリエステルは靭性が低く、その使用範囲に制約があった。そのため、黒色レーザーマーキングが可能であり、靭性、剛性といった機械特性に優れる熱可塑性樹脂組成物が求められていた。
例えば特許文献1には、樹脂にアルミナ水和物を配合するレーザーマーキング用樹脂組成物が提案されているが、レーザーによる局所過熱により、アルミナ水和物が水を放出、樹脂を発泡させるため、鮮明な黒色レーザーマーキングが得られない欠点があった。特許文献2には、熱可塑性樹脂にホウ酸亜鉛水和物を配合するレーザーマーキング用樹脂組成物が提案されているが、同じくホウ酸亜鉛水和物が水を放出し、鮮明な黒色レーザーマーキングが得られない欠点があった。
特開2005−162913号公報(請求項1) 特開平6−136273号公報(請求項1)
本発明は鮮明な黒色レーザーマーキングが可能であり、かつ靭性、剛性に優れる黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂に、ポリフェニレンサルファイド樹脂、水和物を持たないホウ酸亜鉛を配合した結果、前記目的を達成し得ることを見いだし本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)(A)ポリアミド樹脂40〜90重量%、(B)ポリフェニレンサルファイド樹脂10〜60重量%からなる樹脂組成物であって、前記(A)、(B)の合計100重量部に対して、(C)水和物を持たないホウ酸亜鉛0.3〜9.0重量部を含有することを特徴とする黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物、
(2)(A)ポリアミド樹脂、(B)ポリフェニレンサルファイド樹脂の合計100重量部に対して、(D)無機充填剤を10〜140重量部含有することを特徴とする(1)記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物、
(3)(A)ポリアミド樹脂が、脂肪族ポリアミド樹脂であることを特徴とする(1)または(2)記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物、
(4)脂肪族ポリアミド樹脂が、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66およびこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種類以上であることを特徴とする(3)記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物、
(5)(A)ポリアミド樹脂が、半芳香族ポリアミド樹脂であることを特徴とする(1)または(2)記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物、
(6)半芳香族ポリアミド樹脂が、ナイロン6I/66、ナイロン6T/66、ナイロン66/6I/6、ナイロン6T/6Iおよびこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種類以上であることを特徴とする(5)記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物、
(7)(D)無機充填剤がガラス繊維であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか記載の樹脂組成物、
(8)(1)〜(7)のいずれか記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物からなる成形品、
(9)(8)記載の成形品を用いた黒色レーザーマーキング方法、
により構成される。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂に、ポリフェニレンサルファイド樹脂、水和水を持たないホウ酸亜鉛を特定比率で配合することで非常に優れた黒色レーザーマーキング性を発現し、かつ良好な剛性、靭性を同時に実現する。
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
本発明で用いられる(A)ポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクをロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において、特に有用なポリアミド樹脂は、150℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れたポリアミド樹脂であり、具体的な例としてはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)等の脂肪族ポリアミド樹脂、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリノメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)等の半芳香族ポリアミド樹脂、およびこれらの混合物などが挙げられる。
とりわけ好ましい(A)ポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂ではナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66およびこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種類以上であり、半芳香族ポリアミド樹脂ではナイロン6I/66、ナイロン6T/66、ナイロン66/6I/6、ナイロン6T/6Iおよびこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種類以上を挙げることができる。更に(A)ポリアミド樹脂を成形加工性、相溶性などの必要特性に応じて脂肪族ポリアミド樹脂と半芳香族ポリアミド樹脂の混合物として用いることも実用上好適である。
これらポリアミド樹脂の重合度には特に制限がないが、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度としては、1.5〜7.0の範囲のものが好ましく、より好ましくは1.5〜4.0、特に好ましくは1.8〜3.2範囲である。
本発明で用いられる(B)ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下PPS樹脂と略す。)とは、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
Figure 2007154068
耐熱性の点から、好ましくは上記構造式で示される繰り返し単位含む重合体を70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む重合体である。またPPSはその繰り返し単位の30モル%以下程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 2007154068
本発明で用いられるPPS樹脂の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、316℃、荷重5000gの条件下で測定するメルトフローレートの測定値として10〜20,000g/10minであることが好ましく、さらには20〜10,000g/10minであることが好ましい。
かかる特性を満たすPPSは、特公昭45−3368号公報で代表される製造方法により得られる比較的分子量の小さな重合体を得る方法、或いは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などの公知の方法によって製造できる。
上記により得られたPPS樹脂は、そのまま使用してもよく、また空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下或は減圧下での熱処理、また、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄を施した上で使用することも可能である。
有機溶媒で洗浄する場合、用いる有機溶媒としてはPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエ−テル、ジプロピルエ−テル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエ−テル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パ−クロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パ−クロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ペンタノ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、フェノ−ル、クレゾ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ルなどのアルコ−ル・フェノ−ル系溶媒、及びベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
洗浄温度についても特に制限はなく、通常、常温〜300℃程度が選択される。酸水溶液で洗浄する場合、用いる酸としてはPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸及びプロピル酸などが挙げられる。また、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネ−ト基などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも可能である。本発明のペレットの製造方法においては、上記PPS樹脂をそのままもしくは、それと他の成分とを配合したPPS樹脂組成物が溶融押出しに供される。
上記PPS樹脂との配合に供する他の成分としては特に制限はないが、本発明の効果を損なわない範囲で、シラン化合物、離型剤、結晶核剤などの通常の添加剤および少量の変性オレフィン系樹脂、あるいはその他ポリマーを添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物が(C)水和物を持たないホウ酸亜鉛を含有することは、黒色レーザーマーキング性を持つために必要である。本発明で用いられる(C)水和物を持たないホウ酸亜鉛とは、2ZnO・3Bであり、水和物を持つホウ酸亜鉛を焼成して水和物を除去することで得られる。水和物を持つホウ酸亜鉛としては、4ZnO・B・H2O、2ZnO・3B・3.5HOなどが挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂および(B)ポリフェニレンサルファイド樹脂の合計100重量部中、(A)ポリアミド樹脂は40〜90重量%であることが必要である。40重量%以下では成形品の靭性が損なわれ、90重量%以上では黒色レーザーマーキング性が損なわれる。好ましくは50〜85重量%の範囲である。また、(B)ポリフェニレンサルファイド樹脂は10〜60重量%である必要がある。60重量%以上では成形品の靭性が損なわれ、10重量%以下では黒色レーザーマーキング性が損なわれる。好ましくは15〜50重量%の範囲である。
本発明において(C)水和物を持たないホウ酸亜鉛は、(A)(B)合計100重量部に対して、0.3〜9.0重量部であることが必要である。0.3重量部以下では黒色レーザーマーキング性が損なわれ、9.0重量部以上では黒色レーザーマーキング性には優れるものの、成形品の機械特性が損なわれる。好ましくは0.4〜8.0重量部の範囲である。
本発明においてはポリアミド樹脂組成物の強度を上げるために、さらに(D)無機充填材を含有することが好ましい。本発明に用いる(D)無機充填剤としては、特に限定されるものではないが、繊維状無機充填剤を用いることが、強化剤としての特性上好ましく、具体的には、ガラス繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、ワラステナイトなどの繊維状、ウィスカー状充填材が挙げられる。上記充填材中、ガラス繊維、ワラステナイトが好ましく使用され、より好ましくはガラス繊維である。
ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記の充填材は2種以上を併用して使用することもできる。なお、本発明に使用する上記の充填材はその表面をシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤などのカップリング剤その他の表面処理剤および膨潤性の層状珪酸塩では有機化オニウムイオンで予備処理することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被膜あるいは集束されていてもよい。
(D)無機充填剤の配合量は(A)、(B)の合計100重量部に対して、10〜140重量部であることが好ましい。10重量部以下では機械特性の向上が見られず、140重量部を超えると成形時の流動性が損なわれるばかりか機械物性の改良も認められない。成形時の流動性と機械特性のバランスから15〜130重量部がより好ましい。
また、本発明のポリアミド樹脂には、さらに本発明の目的を損なわない範囲で銅系熱安定剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、および染料・顔料を含む着色剤などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物製造方法は特に制限はなく、例えばポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、水和物を持たないホウ酸亜鉛、無機充填剤を単軸または2軸の押出機やニーダー等の混練機を用いて220〜330℃の温度で溶融混練する方法等が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形など通常の方法で容易に成形することができ、得られた成形品は、黒色レーザーマーキング性に優れ、かつ剛性、靭性といった機械特性に優れる。
本発明の樹脂組成物からなる成形品には、任意の方法で黒色レーザーマーキングを行うことが出来る。例としては、YAGレーザー、炭酸ガスレーザーを使用することが出来るが、これらに限定されるものではない。
本発明のポリアミド樹脂組成物は黒色レーザーマーキング性に優れるので、携帯電話、PHS、液晶テレビ、プラズマディスプレー、PDA、小型テレビ、ラジオ、ブレーカーカバー、ブレーカーベース、電磁開閉器カバー、ノートパソコン、パソコン、マウス、プリンター、スキャナー、メモリ機器、パソコン周辺機器、ビデオデッキ、DVDデッキ、CDデッキ、MDデッキ、DATデッキ、アンプ、カセットデッキ、ポータブルCDプレーヤー、ポータブルMDプレーヤー、カメラ、デジタルカメラ、双眼鏡、顕微鏡、望遠鏡、時計、家庭用電話、オフィス用電話、玩具、医療機器、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、ファクシミリ部品、コピー機部品、建材関係部品、家具部品などの用途、ならびにそれらの銘板部分に使用できる。
以下、実施例を挙げてさらに本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。実施例および比較例に用いた測定方法を以下に示す。
(1)材料強度
以下の標準方法に従って測定した。
引張強度:ISO 527−1、−2
靱性(Charpy衝撃強度):ISO 179
(2)黒色レーザーマーキング性の評価
80×80×3(mm)の鏡面磨き角板(フィルムゲート)を射出成形し、得られた角板の表面に参考例4に示す方法で、“東レ樹脂”という文字を1文字当たり約5mm×5mmの大きさにレーザーマーキングで印字し、印字面をセイコーエプソン(株)製スキャナーGT−7700Uでスキャンし、エー・アイ・ソフト(株)製文字認識ソフト 読んde!!ココ(Version9.00)を用いて、5回中何回正しく認識されるかどうかを観察した。評価基準は下記の通り。
◎:5回中5回認識
○:5回中4回認識
△:5回中3回認識
×:5回中2回以下認識
参考例1 ポリフェニレンサルファイド樹脂の製造
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.205kg(2.5モル)およびNMP5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.719kg(25.3モル)ならびにNMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。冷却後、反応生成物を温水で5回洗浄し、次に100℃に加熱されNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に投入し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾過のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥して、MFR600(g/10min)のポリフェニレンサルファイド樹脂を得た。尚、MFRは316℃、荷重5000gの方法で測定した。
参考例2 共重合ポリアミドの製造
66共重合比率が80重量%の66/6I共重合ポリアミドは次の重合法により製造した。ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の当モル塩ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の当モル塩をそれぞれ表1に示す比で投入し、投入した全原料と同量の純水を加え、重合缶内を充分N2で置換した後、攪拌しながら開始し、缶内圧力を最大20kg/cm2に調整しながら最終到達温度を270℃とした。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。
参考例3 成形品の作成
実施例、ならびに比較例で使用した引張強度、Charpy衝撃強度の試験用成形品は次の方法で作成した。ISO1874−2に従い、日精樹脂工業(株)製の射出成形機PS60により、シリンダ温度300℃、金型表面温度80℃、スクリュー回転数150rpm、平行部流速200mm/秒、射出/冷却=20/10秒の条件でISO Type−A、Type−B規格の試験片を成形した。また、レーザーマーキング性評価用の試験片は、同条件、射出/冷却=10/10秒の条件で、80×80×3(mm)の鏡面磨き角板(フィルムゲート)を射出成形した。
参考例4 レーザーマーキング方法
実施例、ならびに比較例で使用した評価用試験片へのレーザーマーキングは下記方法で実施した。ロフィン・バーゼルジャパン(株)製RSM30D Nd;YAGレーザー装置を用い、0.1mmのレーザーマーキング距離、30kW出力、電流値32A、周波数6000Hz、400mm/秒のマーキングスピードで実施した。
実施例1
(A)ポリアミド樹脂として、ナイロン6樹脂[東レ(株)製:商品名CM1017]、参考例1に示した重合方法で製造された(B)ポリフェニレンサルファイド樹脂、(C)水和物を持たないホウ酸亜鉛(化学式 2ZnO・3B)[ボラックス社製:FireBreak500]を表1に示す比率で、2軸押出機(東芝機械社製:TEM58)を用いてシリンダ設定温度300℃、スクリュー回転数200rpmの条件下で(A)、(B)、(C)をトップフィード(基込めフィード)し、溶融混錬した後、ストランド状のガットを成形、冷却バスで冷却後、カッターで造粒しペレットを得た。得られたペレットを参考例3に示した方法により成形し、前記の測定方法によって諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例2、3
(A)、(B)、(C)が表1に示す重量部である以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例4
(A)ポリアミド樹脂が、ナイロン66樹脂[東レ(株)製:商品名CM3007]を用いた以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例5、6
(A)、(B)、(C)が表1に示す重量部である以外は実施例4と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例7、8、9
(A)、(B)、(C)が表2に示す重量部である以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表2に示す。
実施例10、11、12
(A)、(B)、(C)が表2に示す重量部である以外は実施例4と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表2に示す。
実施例13、14、15、16、17、18
(A)、(B)、(C)を2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM58)を用いてシリンダ設定温度300℃、スクリュー回転数200rpmの条件下でトップフィード(基込めフィード)、(D)無機強化材として、ガラス繊維[日本板硝子(株)製:商品名TP−67]をサイドフィードとし、表3に示す比率で溶融混錬した後、ストランド状のガットを成形し、冷却バスで冷却後、カッターで造粒しペレットを得た。得られたペレットを参考例3に示した方法により成形し、前記の測定方法によって諸特性を調べた。その結果を表3に示す。
実施例19
(A)ポリアミド樹脂に、参考例2の重合方法で製造した共重合ポリアミド樹脂を用いたい外は、実施例14と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表3に示す。
実施例20、21、22、23、24、25、26、27
(A)、(B)、(C)、(D)が表4に示す重量部である以外は実施例13と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表4に示す。
比較例1、2、5、6、7
(A)、(B)、(C)が表5、6に示す重量部である以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表5、6に示す。
比較例3、4、8、9、10
(A)、(B)、(C)が表5、6に示す重量部である以外は実施例4と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表5、6に示す。
比較例11、12、15、16、17、21、22
(A)、(B)、(C)、(D)が表7、8、9に示す重量部である以外は実施例13と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表7、8、9に示す。
比較例13、14、18、19、20
(A)、(B)、(C)、(D)が表7、8、9に示す重量部である以外は実施例16と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表7、8、9に示す。
比較例23
(D)水和物を持たないホウ酸亜鉛を、水和物を持つホウ酸亜鉛(化学式 4ZnO・B・HO)[ボラックス社製:商品名FireBreak415]とした以外は実施例14と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表9に示す。
比較例24
(D)水和物を持たないホウ酸亜鉛を、水和物を持つホウ酸亜鉛(化学式 2ZnO・3B・3.5HO)[ボラックス社製:商品名FirebreakZB]とした以外は実施例14と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表9に示す。
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実施例1〜27および比較例1〜24よりポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、水和水を持たないホウ酸亜鉛を特定比率で配合することで、非常に鮮明な黒色レーザーマーキング性を発現し、かつ良好な剛性、靭性を同時に実現できることが確認された。

Claims (9)

  1. (A)ポリアミド樹脂40〜90重量%、(B)ポリフェニレンサルファイド樹脂10〜60重量%からなる樹脂組成物であって、前記(A)、(B)の合計100重量部に対して、(C)水和物を持たないホウ酸亜鉛0.3〜9.0重量部を含有することを特徴とする黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物。
  2. (A)ポリアミド樹脂、(B)ポリフェニレンサルファイド樹脂の合計100重量部に対して、(D)無機充填剤を10〜140重量部含有することを特徴とする請求項1記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物。
  3. (A)ポリアミド樹脂が、脂肪族ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物。
  4. 脂肪族ポリアミド樹脂が、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66およびこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項3記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物。
  5. (A)ポリアミド樹脂が、半芳香族ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物。
  6. 半芳香族ポリアミド樹脂が、ナイロン6I/66、ナイロン6T/66、ナイロン66/6I/6、ナイロン6T/6Iおよびこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項5記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物。
  7. (D)無機充填剤がガラス繊維であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか記載の黒色レーザーマーキング用ポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
  9. 請求項8記載の成形品を用いた黒色レーザーマーキング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102008005862A1 (de) * 2008-01-15 2009-07-16 IKT Institut für Kunststofftechnik Lasermarkierbarer Polymerwerkstoff und Verfahren zu seiner Herstellung
CN109735101A (zh) * 2018-12-29 2019-05-10 上海普利特复合材料股份有限公司 一种低吸水率、激光打标聚酰胺复合材料及其制备方法

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