JP2001316587A - 筐体材料 - Google Patents

筐体材料

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JP2001316587A
JP2001316587A JP2001187385A JP2001187385A JP2001316587A JP 2001316587 A JP2001316587 A JP 2001316587A JP 2001187385 A JP2001187385 A JP 2001187385A JP 2001187385 A JP2001187385 A JP 2001187385A JP 2001316587 A JP2001316587 A JP 2001316587A
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inorganic filler
olefin
resin
housing
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English (en)
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Hidetoshi Sakai
秀敏 坂井
Shigeru Okita
茂 沖田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薄肉成形品を得るための射出成形時の流動性、
得られる成形品の表面外観、低反り性に優れ、さらに薄
肉の筐体でも高い剛性と強度を有することで、寸法精
度、表面外観、落下衝撃性のいずれにも優れる筐体材料
を得ることを課題とする。 【解決手段】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂10
0重量部に対し、(B)無機充填材20〜300重量部
および、(C)オレフィン系樹脂2.5〜40重量部を
配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物から
なる筐体材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉成形性、筐体
としたときの表面外観、低反り性に優れた剛性と強度の
高い筐体材料で、特に各種電気電子機器類や携帯端末等
の筐体に適した材料および成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、各種電気電子機器類や携帯電話、
モバイルパソコン等の携帯端末の筐体には、成形品の表
面外観や低反り性に優れるABSやポリカーボネート等
の非晶性の熱可塑性樹脂が多く使用されているが、近年
の機器の小型化やディスプレイの大型化に伴い、筐体材
料に高い剛性と薄肉成形性が求められるようになってき
た。そこで、ABSやポリカーボネート等の非晶性の熱
可塑性樹脂に、タルクや炭素繊維等の無機充填材を配合
した材料が筐体として使用されてきている。
【0003】しかしながら、ABSやポリカーボネート
等の非晶性の熱可塑性樹脂は流動性が悪いため、無機充
填材を配合した場合にはさらに流動性が悪化し射出成形
で薄肉成形体を得ることは困難であり、十分な剛性も得
られない。
【0004】また、筐体に難燃性を求められる場合、必
要な難燃性レベル(例えば、UL規格でいうV−0レベ
ル)を達成しようとすると、材料中に臭素系化合物、リ
ン系化合物、アンチモン化合物、水酸化物等の難燃剤を
多量に配合する必要があり、射出成形時の流動性をさら
に悪化させるばかりか、材料の強度を低下させたり表面
外観等に悪影響を及ぼすため筐体を得るのは容易でな
い。
【0005】一方、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以
下PPS樹脂と略す。)は優れた耐熱性、剛性、寸法安
定性、および難燃性などエンジニアプラスチックとして
は好適な性質を有していることから、射出成形用を中心
として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品
などに広く使用されている。そして、特開平8−244
054号公報には、PPSをマトリックス樹脂に使用し
炭素繊維をランダムな方向に配向した複合体からなる筐
体が記載されている。また、特開平8−325385号
公報には、長さ2〜20mmの炭素繊維を含有するPP
S樹脂ペレットを射出成形し、重量平均繊維長が0.3
mm以上の炭素繊維を含む筐体として有用な成形品を得
る方法が記載されている。
【0006】しかしながら、これら上記公報に記載され
た態様でPPS樹脂に炭素繊維を配合するのみでは、筐
体としたときに異方性が十分ではなく、反りの点でなお
改良が望まれるものであった。
【0007】さらに、特開平7−60777号公報に
は、PPS樹脂やPPS樹脂とポリアミド樹脂とのアロ
イを含む熱可塑性樹脂に炭素繊維、ガラス繊維、有機フ
ィラー、無機フィラー等の強化材料を充填した複合材料
からなる肉厚0.1cm以下の電子機器用薄肉筐体が記
載されている。しかしながら、PPS樹脂やPPS樹脂
とポリアミド樹脂とのアロイ等の熱可塑性樹脂に単に強
化材料を配合しても該筐体では剛性と衝撃強度を両立さ
せるためには不十分であり、成形品の反りも大きくなる
ため、筐体として満足するレベルにないばかりか、塗装
性などを考慮したものとは言い難い。
【0008】すなわち、上記公報に記載されたいずれの
筐体においても剛性と衝撃強度、成形品の反り、表面外
観の全てに優れたものは得られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の筐体
の上述した問題点を解決し、薄肉成形品を得るための射
出成形時の流動性、得られる成形品の表面外観、低反り
性に優れ、さらに薄肉の筐体でも高い剛性と強度を有す
ることで、寸法精度、表面外観、落下衝撃性のいずれに
も優れ、しかも難燃性にも優れた筐体材料および筐体を
提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、(1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂10
0重量部に対し、(B)無機充填材20〜300重量部
および(C)オレフィン系樹脂2.5〜40重量部を配
合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からな
る、筐体材料、(2)(A)ポリフェニレンスルフィド
樹脂100重量部に対し、(B)無機充填材20〜30
0重量部を配合してなり、(B)成分が(B1)非繊維
状無機充填材および(B2)繊維状無機充填材であっ
て、(B1)成分および(B2)成分の合計に対する
(B1)成分の割合が10〜70重量%、(B2)成分
の割合が30〜90重量%であるポリフェニレンスルフ
ィド樹脂組成物からなる筐体材料、(3)ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂組成物が(A)ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂100重量部に対し、さらに(C)オレフィン
系樹脂2.5〜40重量部を配合してなるものである上
記(2)記載の筐体材料、(4)筐体材料がASTM
D696に従って測定される線膨張係数の流れ方向(M
D)と垂直方向(TD)の比(TD/MD)が1.5以
下、成形品としたときの表面外観がJIS B0601
に従って測定される中心線平均粗さ(Ra)で2μm以
下の特性を有する上記(1)〜(3)のいずれか記載の
筐体材料、(5)(B1)非繊維状無機充填材がガラス
フレークである上記(2)〜(4)いずれか記載の筐体
材料、(6)(C)オレフィン系樹脂の少なくとも1種
が、(C1)エポキシ基、酸無水物基、アイオノマーか
ら選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィ
ン系重合体である上記(1)、(3)〜(5)いずれか
記載の筐体材料、(7)(C)オレフィン系樹脂が(C
1)エポキシ基、酸無水物基、アイオノマーから選ばれ
る少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系重合
体および(C2)エポキシ基、酸無水物基、アイオノマ
ーの官能基を含有しないオレフィン系重合体である上記
(1)、(3)〜(6)いずれか記載の筐体材料、
(8)上記(1)〜(6)いずれか記載の筐体材料を用
いて射出成形された筐体、および(9)その表面に塗装
を施してなる上記(8)記載の筐体、(10)塗装が、
ベーキング温度120℃以上の焼き付け塗装である上記
(9)記載の筐体。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳述する。
【0012】本発明で用いるポリフェニレンスルフィド
樹脂(以下PPS樹脂と略す。)とは、下記構造式
(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
【0013】
【化1】
【0014】耐熱性の点から、好ましくは上記構造式で
示される繰り返し単位を70モル%以上含む重合体、よ
り好ましくは90モル%以上含む重合体である。またP
PSはその繰り返し単位の30モル%以下程度が、下記
の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよ
い。
【0015】
【化2】
【0016】本発明で用いられるPPSの溶融粘度は、
溶融混練が可能であれば特に制限はないが、320℃、せ
ん断速度1000sec-1の条件下の測定値として5〜2000Pa・
s、さらに好ましくは10〜2000Pa・sであるのがよい。
【0017】かかる特性を満たすPPSは、特公昭45
−3368号公報で代表される製造方法により得られる
比較的分子量の小さな重合体を得る方法、或いは特公昭
52−12240号公報や特開昭61−7332号公報
に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法な
どの公知の方法によって製造できる。
【0018】上記により得られたPPS樹脂は、そのま
ま使用してもよく、また空気中加熱による架橋/高分子
量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下或は減圧下での熱
処理、また、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄
を施した上で使用することも可能であるが、材料の強度
面からは、未架橋の比較的分子量の大きなPPSを使用
することが好ましい。
【0019】有機溶媒で洗浄する場合、用いる有機溶媒
としてはPPSを分解する作用を有しないものであれば
特に制限はなく、例えば、N−メチルピロリドン、ジメ
チルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、1,3
−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラス
アミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチ
ルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどの
スルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチ
ルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケト
ン系溶媒、ジメチルエ−テル、ジプロピルエ−テル、ジ
オキサン、テトラヒドロフランなどのエ−テル系溶媒、
クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2
塩化エチレン、パ−クロルエチレン、モノクロルエタ
ン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パ−クロル
エタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノ
−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ペンタ
ノ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、
フェノ−ル、クレゾ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポ
リプロピレングリコ−ルなどのアルコ−ル・フェノ−ル
系溶媒、及びベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香
族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
【0020】洗浄温度についても特に制限はなく、通
常、常温〜300℃程度が選択される。酸水溶液で洗浄
する場合、用いる酸としてはPPSを分解する作用を有
しないものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、塩
酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸及びプロピル酸などが挙
げられる。また、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネ
−ト基などの官能基含有化合物による活性化などの種々
の処理を施した上で使用することも可能である。
【0021】本発明で用いる(B)無機充填材として
は、後述する(C)オレフィン系樹脂を併用する場合、
目的を達成できるものであれば特に制限は無く、粒状充
填材、板状充填材等の非繊維状充填材、繊維状充填材等
いずれも使用でき、繊維状充填材の使用が好ましいが、
筐体の異方性を低減し、良好な表面外観を得る面では、
(B1)非繊維状無機充填材および(B2)繊維状無機
充填材を併用することがより好ましい。
【0022】また、(C)オレフィン系樹脂を配合しな
い場合、(B)無機充填材としては(B1)非繊維状無
機充填材および(B2)繊維状無機充填材を併用するこ
とが筐体の異方性を低減する点で必要である。
【0023】(B)無機充填材における(B1)非繊維
状無機充填材としては、粒状、板状、不定形状いずれも
使用できるが、なかでも板状充填材が好ましい。板状無
機充填材としては、タルク、マイカ、カオリン、クレ
ー、ガラスフレークなどが挙げられ、中でも低反り性と
強度面でガラスフレークが好ましく使用される。ガラス
フレークとしては、SiO2を45〜75重量%含有し
ている無アルカリガラス(Eガラス)、含アルガリガラ
ス(Cガラス)のものを好ましく使用することができ
る。
【0024】本発明の筐体材料もしくはそれを射出成形
して得られた筐体中の上記(B1)の数平均粒径は、5
〜1000μmであることが、低ソリ性を得る上で好ま
しい。かかる筐体材料もしくはそれを射出成形して得ら
れた筐体中の(B1)の数平均粒径は、筐体材料もしく
はそれを射出成形して得られた筐体から得られる試料5
gを700℃で2時間焼成した後、得られる残存粉体を
電子顕微鏡にて観察し、任意の1000個について最も
長い部位を測定し数平均したものである。
【0025】かかる(B1)非繊維状無機充填材をイソ
シアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネ
ート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物な
どのカップリング剤で予備処理して使用することは耐熱
性、機械強度、冷熱性を高める上でより好ましい。
【0026】本発明で用いる(B)無機充填材における
(B2)繊維状無機充填材としては、表面外観の点から
繊維径が13μm以下であることが好ましく、特に11
μm以下であることが好ましい。下限については特に制
限はないが、1μm以上であることが射出成形時に良好
な流動性を得る点で好ましい。
【0027】そして、本発明の筐体材料もしくはそれを
射出成形して得られた筐体中の重量平均繊維長(Lw)
と繊維径(d)の比(Lw)/(d)が60以下となる
ようにすることが、特に50以下となるようにすること
がより優れた筐体の表面外観を得る点で好ましい。下限
については特に制限はないが、10以上であることが高
い機械的強度を得る点で好ましい。
【0028】繊維状無機充填材の重量平均繊維長(L
w)は、筐体材料もしくはそれからなる筐体から得られ
る試料5gを500℃×5時間アルゴンガス雰囲気下に
おいて燃焼させて残った灰分から、500本の繊維状無
機充填材について顕微鏡観察により測定し、一般式
(1)によって算出される。 重量平均繊維長(Lw)=Σ(ρπr2Li×Li)/
Σ(ρπr2Li) ただし、ρ:繊維状無機充填材の密度 r:繊維状無機充填材の半径 Li:i番目の繊維状無機充填材の長さ (B2)繊維状無機充填材の具体例としては、ガラス繊
維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、ワラステナイ
ト繊維、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウム
ウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、硼酸アルミニウムウ
ィスカー、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊
維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などが挙げ
られ、これらは中空であってもよく、さらにこれら充填
材を2種以上併用することも可能である。
【0029】かかる(B2)繊維状無機充填材をイソシ
アネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネー
ト系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物など
のカップリング剤で予備処理して使用することも可能で
ある。
【0030】特に、ガラス繊維、炭素繊維を用いること
は、高い強度、低ガス性、耐熱性、低ソリ性のバランス
を得る上で好ましい。
【0031】上記(B)無機充填材の配合量は(A)P
PS樹脂100重量部に対して、20〜300重量部、
好ましくは30〜200重量部、より好ましくは40〜
150重量部である。配合量が少な過ぎると機械的強度
が不十分となり、配合量が多過ぎると薄肉成形性(流動
性)が劣る傾向にある。
【0032】上記(B)無機充填材として、(B1)非
繊維状無機充填材および(B2)繊維状無機充填材を併
用する場合、その割合は、通常、(B1)成分および
(B2)成分の合計に対する(B1)成分の割合10〜
70重量%、(B2)成分の割合が30〜90重量%で
あり、強度、耐熱性、低ソリ性のバランスを得る上で
(B1)成分が15〜65重量%、(B2)成分が35
〜85重量%であることが好ましく、(B1)成分が2
0〜60重量%、(B2)成分が40〜80重量%であ
ることがより好ましい。(B)無機充填材における(B
1)非繊維状無機充填材の割合が多すぎると強度が低く
なる傾向を示し、少なすぎると異方性が不十分となる傾
向にあり好ましくない。
【0033】本発明で用いる(C)オレフィン系樹脂と
は、オレフィンを(共)重合した(共)重合体であり、
具体的には、オレフィン系(共)重合体、およびそれら
にエポキシ基、酸無水物基、アイオノマーなどの官能基
を有する単量体成分(以下、官能基含有成分と略す。)
を導入して得られるオレフィン系(共)重合体(変性オ
レフィン系(共)重合体)などが挙げられる。
【0034】本発明においてオレフィン系樹脂は1種ま
たは2種以上で使用することも可能である。
【0035】オレフィン系(共)重合体としては、エチ
レン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メ
チルペンテン−1、イソブチレンなどのα−オレフィン
単独または2種以上を重合して得られる重合体、α−オ
レフィンとアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルな
どのα,β−不飽和酸およびそのアルキルエステルとの
共重合体などが挙げられる。
【0036】オレフィン系重合体の好適な具体例として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピ
レン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレ
ン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸
エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合
体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン
/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル
酸ブチル共重合体などが挙げられる。
【0037】変性オレフィン系(共)重合体にエポキシ
基、酸無水物基、アイオノマーなどの官能基を有する単
量体成分を導入するための官能基含有成分の例として
は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン
酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−
2,3−ジカルボン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)
−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの酸
無水物基を含有する単量体、アクリル酸グリシジル、メ
タクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタ
コン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどのエポ
キシ基を含有する単量体、カルボン酸金属錯体などのア
イオノマーを含有する単量体が挙げられる。
【0038】これら官能基含有成分を導入する方法は特
に制限なく、共重合せしめたり、オレフィン重合体にラ
ジカル開始剤を用いてグラフト導入するなどの方法を用
いることができる。官能基含有成分の導入量は変性オレ
フィン重合体を構成する単量体残基全体に対して0.0
01〜40モル%、好ましくは0.01〜35モル%の
範囲内であるのが適当である。
【0039】本発明で特に有用なオレフィン重合体にエ
ポキシ基、酸無水物基、アイオノマーなどの官能基を有
する単量体成分を導入して得られるオレフィン(共)重
合体の具体例としては、エチレン/プロピレン−g−メ
タクリル酸グリシジル共重合体(”g”はグラフト重合
を表す、以下同じ)、エチレン/ブテン−1−g−メタ
クリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸グ
リシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル
共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸
グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/
メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレ
ン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−
1−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル
酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ア
クリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレ
ン/メタクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合
体、エチレン/メタクリル酸エチル−g−無水マレイン
酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体の亜鉛錯
体、エチレン/メタクリル酸共重合体のマグネシウム錯
体、エチレン/メタクリル酸共重合体のナトリウム錯体
などを挙げることができる。
【0040】好ましいものとしては、エチレン/メタク
リル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチ
ル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタ
クリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エ
チレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エ
チレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合
体などが挙げられる。
【0041】とりわけ好ましいものとしては、エチレン
/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリ
ル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレ
ン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重
合体などが挙げられる。
【0042】本発明においては、上記したエポキシ基、
酸無水物基、アイオノマーから選ばれる少なくとも1種
の官能基を含有するオレフィン系重合体(C1)および
エポキシ基、酸無水物基、アイオノマーの官能基を含有
しないオレフィン系重合体(C2)を併用することが良
好な表面外観や成形時の良流動性を得る点から好まし
い。
【0043】かかる(C1)成分と(C2)成分の併用
割合は、特に制限はないが、(C1)と(C2)の合計
に対し、(C1)が10〜90重量%、(C2)が90
〜10重量%であることが好ましく、特に(C1)20
〜80重量%、(C2)80〜20重量%であることが
好ましい。
【0044】上記(C)オレフィン系樹脂を配合する場
合の配合量は(A)PPS樹脂100重量部に対して、
通常、2.5〜40重量部、好ましくは4〜30重量
部、より好ましくは5〜20重量部である。配合量が少
な過ぎると衝撃強度や異方性が不十分の傾向にあり、配
合量が多過ぎると流動性、低ガス性、連続成形時の金型
デポジットが不十分となる傾向にある。
【0045】本発明における筐体材料は、(A)ポリフ
ェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)無
機充填材20〜300重量部および、(C)オレフィン
系樹脂2.5〜40重量部を配合してなるPPS樹脂組
成物または(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100
重量部に対し、(B)無機充填材20〜300重量部を
配合してなり、(B)成分が(B1)非繊維状無機充填
材および(B2)繊維状無機充填材であって、(B1)
成分および(B2)成分の合計に対する(B1)成分の
割合が10〜70重量%、(B2)成分の割合が30〜
90重量%であるPPS樹脂組成物からなるものであ
る。なかでも(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂10
0重量部に対し、(B)無機充填材20〜300重量
部、(C)オレフィン系樹脂2.5〜40重量部を配合
してなり、(B)成分が(B1)非繊維状無機充填材お
よび(B2)繊維状無機充填材であって、(B1)成分
および(B2)成分の合計に対する(B1)成分の割合
が10〜70重量%、(B2)成分の割合が30〜90
重量%であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物から
なる筐体材料であることが好ましい。
【0046】さらに、本発明のPPS樹脂組成物には本
発明の効果を損なわない範囲において、ポリスチレン樹
脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテ
レフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェ
ニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリル
サルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド
樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテ
ルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオ
エーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化
ポリエチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリア
ミドエラストマ、ポリエステルエラストマ等の熱可塑性
樹脂、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、
有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキ
シ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサ
イドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステ
ル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、有機リン
化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、
モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステア
リン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステア
リン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物など
の離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、酸化防止
剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、
発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。
【0047】本発明で用いるPPS組成物の調製方法は
特に制限はないが、原料の混合物を単軸あるいは2軸の
押出機、バンバリ−ミキサ−、ニ−ダ−、ミキシングロ
−ルなど通常公知の溶融混合機に供給して280〜38
0℃の温度で混練する方法などを例として挙げることが
できる。また、原料の混合順序にも特に制限はなく、全
ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方
法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練
し、さらに残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あ
るいは一部の原材料を配合後単軸あるいは二軸の押出機
により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原
材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよ
い。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記
の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加し
て成形に供することももちろん可能である。
【0048】本発明で用いるPPS樹脂組成物は、通
常、灰分20〜65重量%となるように調整されるのが
好ましい。なかでも灰分は25〜60重量%であること
がより好ましく、30〜50重量%であることがさらに
好ましい。
【0049】なお、灰分は樹脂組成物のペレット10g
をルツボに入れ、ガスバーナーで燃焼後、700℃の電
気炉で2時間灰化後、灰化後の重量をガスバーナー処理
前のペレットの重量で徐してパーセント表示したのが灰
分である。
【0050】本発明の筐体材料は、ASTM D696
に従って測定される線膨張係数の流れ方向(MD)と垂
直方向(TD)の比(TD/MD)が1.5以下であ
り、成形品としたときの表面外観がJIS B0601
に従って測定される中心線平均粗さ(Ra)で2μm以
下であることが、筐体の異方性を低減させて筐体として
必要な組み付け時の寸法精度を得、かつ良好な表面外観
を得る点、さらには塗装を施した際に良好な塗装面を得
る点で好ましい。
【0051】なお、本発明で言う線膨張係数の流れ方向
(MD)と垂直方向(TD)の比(TD/MD)は、筐
体材料を射出成形して得られる厚み1/8インチ(3.12
4mm)のASTM D638の1号ダンベル中心部から、
射出成形時の溶融樹脂の流れ方向(MD)と垂直方向
(TD)に切り出したサンプルについて、ASTM D
696に従って流れ方向(MD)の線膨張係数と、垂直
方向(TD)の線膨張係数を測定して求めた、流れ方向
(MD)と垂直方向(TD)の値の比(TD/MD)で
ある。本発明においてはかかる流れ方向(MD)と垂直
方向(TD)の値の比(TD/MD)が1.5以下であ
り、さらに好ましくは1.3以下であることが筐体の異
方性を低減させる点で推奨される。
【0052】筐体材料の線膨張係数のMDとTDの比
(TD/MD)を1.5以下にすることは、無機充填材
(B)にオレフィン系重合体(C)を好ましい態様で併
用することや、無機充填材(B)として非繊維状充填材
(B1)および繊維状充填材(B2)を好ましい態様で
併用することにより達成でき、(B1)非繊維状充填材
として板状充填材を使用することや、(B1)、(B
2)および(C)成分の全てを好ましい態様で併用する
ことによりさらにTD/MDを低減させることができ
る。
【0053】また、成形品としたときの表面外観は、キ
ャビティ内の表面の中心線平均粗さ(Ra)が23℃の
条件で0.1〜0.5μmの金型を用いて成形された、
ASTM1号ダンベル試験片を用い、JIS B060
1に従って測定される中心線平均粗さ(Ra)で2μm
以下、さらに好ましくは1.5μm以下であり、さらに
好ましくは1μm以下であることが、良好な成形体の表
面外観を得る点で好ましい。かかる中心線平均粗さは、
無機充填材の選択や配合量により影響を受けるが、本発
明からなる筐体材料で射出成形された筐体の中心線平均
粗さを2μm以下にすることは、配合割合を本発明で好
ましい範囲内とする他、繊維状充填材(B2)を用いる
場合に組成物中のL/Dを前述の好ましい範囲とするこ
とににより達成できる。
【0054】本発明におけるPPS樹脂組成物からなる
筐体材料は、強度と剛性のいずれにも優れるため、好ま
しい態様において多くの場合、試験片厚み1/8インチ
(3.124mm)の試験片を用いてASTM D790に従っ
て測定された曲げ弾性率が9GPa以上、試験片厚み1
/8インチ(3.124mm)の試験片を用いてASTM D2
56に従って測定されたアイゾット衝撃強度が75J/
m以上の性能を有する。
【0055】本発明でいう筐体材料の曲げ弾性率および
アイゾット衝撃強度は、試験環境が気温23℃湿度50
%の雰囲気下で測定された値である。
【0056】本発明の好ましい態様においては上述の如
くかかる曲げ弾性率が9GPa以上のものが得られ、特
に好ましい態様においては10GPa以上と高い剛性を
有しており、筐体のより薄肉化という点で優位な性能を
有する。なお、曲げ弾性率が30GPaと必要以上に高
くなると、材料特性として流動性や成形体の表面外観を
悪化させる傾向にある。
【0057】また、アイゾット衝撃強度は、上述の如く
本発明の好ましい態様においては75J/m以上とする
ことが可能であり、特に好ましい態様では90J/m以
上、さらに好ましい態様においては105J/m以上の
ものを得ることが可能であり、これにより、筐体を落下
させた場合の強度面で優位な性能を有する。なお、必要
以上にアイゾット衝撃強度が高すぎると、材料特性とし
て流動性が劣るため好ましくない。
【0058】本発明により得られたPPS樹脂組成物か
らなる筐体材料は、射出成形、押出成形、圧縮成形、吹
込成形、射出圧縮成形など各種公知の成形法により筐体
に成形することが可能であり、なかでも射出成形により
成形することが好ましい。
【0059】本発明の筐体材料を用いて射出成形された
筐体は、意匠や表面の改質を目的として塗装や蒸着、メ
ッキなどの処理を施すことが推奨される。塗装方法とし
ては、一般的に使用されるハケ塗り、ローラー塗り、吹
付塗装、浸漬塗装の他に、PPSの耐熱性が高い特徴を
生かしたベーキング温度が120℃以上、好ましくは1
40℃以上の焼き付け塗装や、炭素繊維等の導電性材料
を含有させて静電塗装、静電粉体塗装等を活用すること
もできる。特に、120℃以上で塗料の硬化反応が進む
焼き付け塗装は、PPS樹脂組成物への密着性や塗装表
面の硬度に優れる点で最も好ましい塗装であり、プライ
マーの役割を果たす下塗り塗料と上塗り塗料を併用する
2コートタイプでも、上塗り塗料だけの1コートタイプ
でも実施することは可能である。また、下塗り塗料を併
用する場合には、筐体材料の生地色の隠蔽性や上塗り塗
料の仕上がりを向上させる目的から、下塗り塗料に白や
上塗り塗料と同系色の色を付けることが推奨される。塗
料の膜厚としては5μm以上が好ましく、さらに好まし
くは10μm以上であることが推奨される。さらに、2
コートタイプの場合には、トータルの塗料の膜厚が15
μm以上、さらに好ましくは20μm以上になるように
塗装することが推奨される。塗料の膜厚の上限としては
特に制限はないが、膜厚が50μm以上になると筐体材
料を射出成形して得た成形品のエッジ部に塗料が溜まっ
たり、金型を転写した良好な表面外観を損なう等の問題
が発生しやすくなる傾向にある。なお、焼き付け塗装時
のベーキング温度は通常、120℃以上、特に140℃
以上の範囲で好ましく行われる。上限については塗装し
た筐体としての実用性を損なわない限り、特に制限はな
いが、通常220℃以下で行われる。焼き付け時間にお
いても塗装した筐体としての実用性を損なわない限り特
に制限はないが、通常15〜60分で好ましく行われ
る。
【0060】また、塗料としてはPPS樹脂に十分な密
着性を有するものであれば特に限定するものでなく、ア
クリル系、アミノ系、アルキド系、エポキシ系、シリコ
ン系、フッ素系、アクリルウレタン系、アクリルシリコ
ン系、アクリルメラミン系、不飽和ポリエステル系、フ
ェノール系、酢ビエマルジョン系、アクリルエマルジョ
ン系等を使用することが可能で、中でもアクリルウレタ
ン系、アクリルシリコン系、アクリルメラミン系、エポ
キシ系が好適に使用することができる。必要に応じて塗
料の密着性を改善するために使用する下塗り塗料(プラ
イマー)も、同様の塗料から選択され、特にエポキシ系
が好ましい下塗り塗料として選択される。
【0061】本発明により得られる筐体材料は、薄肉成
形性(流動性)、成形品としたときの表面外観、異方性
に優れ、剛性の高い材料であり、かかる特性を生かして
各種電気電子機器や携帯端末の筐体用途に好適であり、
具体的には、テレビ、エアコン、DVDプレーヤー、C
Dプレーヤ、ラジカセ、カーオーディオ、カーナビ、掃
除機等の家電製品類、液晶プロジェクター、複写機、電
話、ファクシミリ等の事務機器類、携帯電話、携帯情報
端末(PDA)、ノートパソコン、デジタルカメラ、ビ
デオカメラ、電卓等の携帯端末類の筐体用途に有用でき
る。
【0062】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0063】実施例および比較例の中で述べられる曲げ
弾性率、アイゾット衝撃強度は、肉厚1/8インチ(3.
124mm)の試験片を射出成形し、各々ASTM D79
0、ASTM D256に従って測定した。線膨張係数
は肉厚1/8インチ(3.124mm)のASTM1号ダンベ
ル試験片の中央部から流れ方向と垂直方向のサンプルを
切り出し、ASTM D696に従って測定した。
【0064】成形体表面の中心線平均粗さ(Ra)は、
表面粗さ計サーフテスト500ミツトヨ(株)製を用い
て、キャビティ内の表面の中心線平均粗さ(Ra)が2
3℃の条件で0.3μmの金型を用い、シリンダー温度
320℃、金型温度60℃の条件で成形したASTM1
号ダンベル試験片の表面をJIS B0601に従って
測定した。
【0065】成形体の表面外観は、中心線平均粗さ(R
a)を測定したサンプルの表面に塗装を施し、表面外観
を目視にて優劣を判断する(優:無機充填材の浮き出し
が認められない、劣:無機充填材の浮き出しが認められ
る)とともに、塗装前のサンプル表面について、スガ試
験機(株)製デジタル変角光沢計UGV5Dを用いて光
の反射角60度の条件で測定した光沢度を測定した。光
沢度は数値が高いほど表面外観に優れる。
【0066】また、塗装については2種類の方法で施し
密着性等の評価を実施した。タイプAの塗料としては、
塗料にプラネットPH−4パールシルバーIRX−T
0−013079、硬化剤にポリハードP−2、シンナ
ーにプラネットシンナー#742(いずれもオリジン電
気(株)製)を使用し、配合量比が塗料:硬化剤:シン
ナー=4:1:2に混合したものを、膜厚15〜20μ
mに吹きつけ塗装し、その後75℃×30分の乾燥を行
った。タイプBの塗料としては、2コート2ベーク、セ
ッティング5分、160℃×20分の焼き付け塗装を、
下塗りにマグナムプライマーHB8651SH(ホワイ
ト)とマグナムプライマー29956(シンナー)を、
塗料:シンナー=10:4(重量比)の配合量としたも
のを使用し、上塗りにアーマトップメタリックブルーA
T20とアーマトップシンナー2253を、塗料:シン
ナー=10:5(重量比)の配合量としたものを使用
し、膜厚が各々下塗り15〜20μm、上塗り13〜1
5μmとなるように吹き付け塗装した。
【0067】塗装の密着性としては、塗装完了後24時
間常温放置したもの(初期密着性)と、塗装完了後24
時間常温放置後45℃×95%×120時間の条件で高
温高湿放置したものと、塗装完了後24時間常温放置後
ヒートサイクルとして−40℃×1時間と85℃×1時
間を6サイクル処理したもの(ヒートショック)を、J
IS K5400に準ずる方法で碁盤目試験を実施し
た。評価点数が10であるものが優れ、数か小さくなる
ほど密着性に劣る。また、表面硬度試験としてJIS
K5400に準ずる鉛筆引っかき値を手かき法で実施し
た。鉛筆硬度9Hが最も硬く、6Bが最も軟らかい。
【0068】また、筐体成形品として必要な反りについ
て、シリンダー温度320℃、金型温度60℃の条件で
70×140×10mm、肉厚1.25mmの箱型形状
の試験片を作成し、ミツトヨ(株)製3次元寸法測定機
で内反り量を測定した。数値が低いほど低反り性が優れ
る。
【0069】さらに、落下衝撃性試験として、低反り性
を測定した成形品を、高さ150cmから100回コン
クリートの床に角から落下させ、破損の有無を調べた。
【0070】射出成形時の流動性の目安として、型締め
力20tの射出成形機を用い、シリンダー温度320
℃、金型温度60℃、射出圧力50MPaの条件で、肉
厚1mm幅10mmの棒流動試験片を射出成形し、得ら
れた成形品の棒流動長を測定した。値が大きいほど流動
性に優れる。
【0071】筐体中の繊維状無機充填材の重量平均繊維
長(Lw)は、反りを測定するために射出成形した箱型
形状の試験片の底部から試料5g切り出し、500℃×
5時間アルゴンガス雰囲気下において燃焼させて残った
灰分から、500本の繊維状無機充填材について顕微鏡
観察により測定し、算出した。
【0072】[参考例1(PPSの製造)]攪拌機付き
オートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.005kg
(25モル)、酢酸ナトリウム0.205kg(2.5
モル)およびNMP5kgを仕込み、窒素を通じながら
徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出し
た。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロ
ロベンゼン3.719kg(25.3モル)ならびにN
MP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃ま
で昇温後、270℃で2.5時間反応した。冷却後、反
応生成物を温水で5回洗浄し、次に100℃に加熱され
NMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続けたの
ち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを90℃
に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に投入
し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾過のpHが
7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃
で24時間減圧乾燥して、MFR600(g/10mi
n)のPPS−1を得た。
【0073】[実施例および比較例で用いた配合材] (A)PPS樹脂:参考例1で製造したPPS (B)無機充填材 (B1)非繊維状無機充填材(板状無機充填材):厚さ
5μm、数平均粒径600μmのガラスフレーク(日本
板硝子(株)製 REFG−111)。
【0074】(B2)繊維状無機充填材: ガラス繊維:繊維径10μmのチョップドストランドタ
イプのガラス繊維(日本電気硝子(株)製 T−747
GH)。
【0075】炭素繊維:繊維径6μmのチョップドスト
ランドタイプの炭素繊維(東レ(株)製 T−30
0)。
【0076】(C)オレフィン系樹脂 (C1)オレフィン−1:エチレン/グリシジルメタク
リレート=88/12(重量%)共重合体(住友化学工
業製:BF−E)。 (C2)オレフィン−2:エチレン/ブテン−1=82
/18(重量%)共重合体(三井化学製:タフマーA4
085)。
【0077】実施例1〜9 前述のようにして用意したPPS、非繊維状無機充填
材、繊維状無機充填材、オレフィン系樹脂を表1に示す
割合でドライブレンドした後、320℃の押出条件に設
定した2軸スクリュー式押出機により溶融混練後ペレタ
イズした。得られたペレットを乾燥後、射出成形機を用
いて、シリンダー温度320℃、金型温度60℃の条件
で射出成形することにより、所定の特性評価用試験片を
得た。得られた試験片から各種特性を測定した結果を表
1に示す。
【0078】ここで得られた筐体材料および成形体は、
曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、異方性(低反り
性)、中心線表面粗さや塗装密着性等の表面外観に優
れ、さらに流動性にも優れることから薄肉高剛性の筐体
材料として実用価値の高いものであり、実施例9はオレ
フィン系重合体の量が好適範囲よりも多いため、剛性、
流動性、表面外観等において、他の好ましい態様の実施
例よりも性能は劣るが、これらの特性が厳しく要求され
ない場合には使用可能なレベルであった。
【0079】比較例1〜5 実施例と同様にして、表2に示す割合でドライブレン
ド、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その
結果を表2に示す。
【0080】比較例の筐体材料は、剛性と強度のバラン
スが不十分で落下衝撃性試験で成形体が破損したり、成
形体表面の中心性平均粗さが大きく表面外観性にも劣
る。また、比較例2、3は、流動性にも劣るため、射出
成形にて薄肉の筐体成形品を得るのは困難である。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】上記の結果から、本発明の筐体材料は、成
形品としたときの表面外観、低反り性、射出成形時の流
動性に優れ、高い剛性と強度を有することから、寸法精
度、表面外観、落下衝撃強度のいずれにも優れた筐体が
得られることが明かである。
【0084】
【発明の効果】本発明の筐体材料は、成形品としたとき
の表面外観、低反り性、射出成形時の流動性に優れ、高
い剛性と強度を有することから、寸法精度、表面外観、
落下衝撃強度のいずれにも優れた筐体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 7/02 C08K 7/02 //(C08L 81/02 (C08L 81/02 23:00) 23:00) B29K 23:00 B29K 23:00 81:00 81:00 105:16 105:16 B29L 22:00 B29L 22:00 Fターム(参考) 4F071 AA14 AA15 AA20 AA62 AB03 AB20 AB21 AB26 AB28 AD01 AF27 AF54 BA01 BB05 4F206 AA03 AA34 AB11 AB16 AG07 AH56 JA07 JW06 JW50 4J002 BB032 BB052 BB072 BB122 BB152 BB202 BB212 CN011 DA01 DE18 DE23 DJ03 DJ04 DJ05 DL00 FA04 FB08 FB09 FD01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂10
    0重量部に対し、(B)無機充填材20〜300重量部
    および(C)オレフィン系樹脂2.5〜40重量部を配
    合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からな
    る、筐体材料。
  2. 【請求項2】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂10
    0重量部に対し、(B)無機充填材20〜300重量部
    を配合してなり、(B)成分が(B1)非繊維状無機充
    填材および(B2)繊維状無機充填材であって、(B
    1)成分および(B2)成分の合計に対する(B1)成
    分の割合が10〜70重量%、(B2)成分の割合が3
    0〜90重量%であるポリフェニレンスルフィド樹脂組
    成物からなる筐体材料。
  3. 【請求項3】ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が
    (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対
    し、さらに(C)オレフィン系樹脂2.5〜40重量部
    を配合してなるものである請求項2記載の筐体材料。
  4. 【請求項4】筐体材料がASTM D696に従って測
    定される線膨張係数の流れ方向(MD)と垂直方向(T
    D)の比(TD/MD)が1.5以下、成形品としたと
    きの表面外観がJIS B0601に従って測定される
    中心線平均粗さ(Ra)で2μm以下の特性を有する請
    求項1〜3のいずれか記載の筐体材料。
  5. 【請求項5】(B1)非繊維状無機充填材がガラスフレ
    ークである請求項2〜4いずれか記載の筐体材料。
  6. 【請求項6】(C)オレフィン系樹脂の少なくとも1種
    が、(C1)エポキシ基、酸無水物基、アイオノマーか
    ら選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィ
    ン系重合体である請求項1、3〜5いずれか記載の筐体
    材料。
  7. 【請求項7】(C)オレフィン系樹脂が(C1)エポキ
    シ基、酸無水物基、アイオノマーから選ばれる少なくと
    も1種の官能基を含有するオレフィン系重合体および
    (C2)エポキシ基、酸無水物基、アイオノマーの官能
    基を含有しないオレフィン系重合体である請求項1、3
    〜6いずれか記載の筐体材料。
  8. 【請求項8】請求項1〜6いずれか記載の筐体材料を用
    いて射出成形された筐体。
  9. 【請求項9】その表面に塗装を施してなる請求項8記載
    の筐体。
  10. 【請求項10】塗装が、ベーキング温度120℃以上の
    焼き付け塗装である請求項9記載の筐体。
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