JP2007095527A - 導電性ペーストおよびその製造方法 - Google Patents

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明生 佐藤
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由美 神戸
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Abstract

【課題】低抵抗化を図りつつ、従来に比較して厚膜化による亀裂の発生を抑制可能な導電性ペーストおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】有機溶媒に金属超微粒子が分散されてなる導電性ペーストにおいて、金属塩に由来する金属成分から構成された金属コアと、金属塩に由来し、金属コアの周囲を覆う有機成分とを有する金属超微粒子を用い、有機溶媒中に、金属塩に由来し、金属超微粒子の合成後に残存する有機成分を含有させる。かかるペーストは、金属塩を合成用有機溶媒に溶解または分散してなる溶液を加熱し、金属塩を還元して金属超微粒子を生成させた後、この合成液を濃縮し、この濃縮した合成液と有機溶媒とを混合し、金属超微粒子を分散させることにより好適に得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性ペーストおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、金属超微粒子を用いた導電性ペーストおよびその製造方法に関するものである。
従来、μmサイズ(以下、「ミクロンサイズ」ということがある。)の金属微粒子を用いた導電性ペーストは、例えば、プリント基板における電極、配線などの回路形成、層間接合などに使用する導電材料として広く知られている。
近年、プリント基板が組み込まれる電子機器は、高機能化、小型化されてきており、それに伴って配線回路は狭ピッチ化されてきている。そのため、ミクロンサイズの金属微粒子を用いた汎用の導電性ペーストでは、狭ピッチ化に十分に対応することができない状況になってきている。
そこで、最近では、nmサイズ(以下、「ナノサイズ」ということがある。)の金属超微粒子を用いた導電性ペーストが各種提案されている。ナノサイズの金属超微粒子は、一般に、金属本来の融点より低い温度で焼結するなど、バルクとは異なる性質を有している。そのため、この種の導電性ペーストは、例えば、低温焼成により、焼結体中に含まれる有機成分を少なくし、良好な導電性能を発現させることなどが期待されている。
例えば、特許文献1には、保護剤によりその表面が被覆され、その平均粒径が1〜100nmの金属超微粒子と、その平均粒径が0.5〜20μmの金属フィラーと、バインダー樹脂と、加熱時に保護剤の官能基と反応する化合物とを有機溶媒中に分散させた導電性ペーストが開示されている。
一方、特許文献2には、金属超微粒子を用いた導電ペーストではないが、有機溶媒にバインダー樹脂が溶解された有機ビヒクルと、金属微粒子と、脂肪酸もしくはその塩とを含有する導電性ペーストが記載されている。また、この導電性ペーストは、調製した有機ビヒクルと、金属微粒子とを混練した後、この混練物に脂肪酸もしくはその塩を後添加し、さらに混練してペースト状にすることにより製造する点記載されている。
WO2002/035554 特開2001−135136号公報
しかしながら、金属超微粒子を有機溶媒中に分散した導電性ペーストは、一般に、次のような問題があった。すなわち、従来の導電性ペーストを用いて、例えば、数ミクロン以上の膜厚を形成すると、膜の乾燥・焼成時に、有機溶媒の揮発に起因して体積収縮が激しくなり、膜面方向に生じる応力などによって焼成膜に亀裂が発生しやすくなるといった問題があった。
このような問題に対して、特許文献1の導電性ペーストは、ナノサイズの金属超微粒子と、ミクロンサイズの金属フィラーとを併用し、さらに、バインダー樹脂を添加することなどにより、厚膜化による亀裂の発生を抑制することにしている。
ところが、この導電性ペーストは、バインダー樹脂を必須成分として含んでいる。そのため、焼結膜の体積抵抗が大きくなりやすいといった問題があった。したがって、この導電性ペーストでは、低温焼成で低抵抗化を図ることができるといった金属超微粒子の利点を十分に活かし難い。
一方、特許文献2の技術は、1300℃もの高温で焼成することを前提としている。そのため、ペースト中にバインダー樹脂を含んでいても問題とはならない。しかしながら、特許文献2の技術を応用し、金属微粒子に代えて金属超微粒子を用いた導電性ペーストとした場合、バインダー樹脂を含んでいると、上記と同様の問題が生じる。
さらに、もし仮に、バインダー樹脂を添加しないこととした場合、特許文献2の技術を適用した導電性ペーストによって、厚膜化による亀裂の発生を効果的に抑制することができるか否かは特許文献2には何ら言及されていない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、低抵抗化を図りつつ、従来に比較して厚膜化による亀裂の発生を抑制可能な導電性ペーストおよびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る導電性ペーストは、有機溶媒に金属超微粒子が分散されてなるものであって、金属超微粒子は、金属塩に由来する金属成分から構成された金属コアと、金属塩に由来し、金属コアの周囲を覆う有機成分とを有しており、有機溶媒中には、金属塩に由来し、金属超微粒子の合成後に残存する有機成分が含まれていることを要旨とする。
この際、上記金属塩は、下記の化1で表される金属塩であると良い。
(化1)
(R−A)−M
(但し、Rは炭化水素基、AはCOO、OSO、SOまたはOPO、Mは金属、nはMの価数である。)
また、上記有機溶媒は、沸点の異なる有機溶媒を2種以上含んでいると良い。
一方、本発明に係る導電性ペーストの製造方法は、金属塩を合成用有機溶媒に溶解または分散してなる溶液を加熱し、金属塩を還元して金属超微粒子を生成させた後、この合成液を濃縮し、この濃縮した合成液と有機溶媒とを混合し、金属超微粒子を分散させることを要旨とする。
この際、上記加熱は、外部熱源またはマイクロ波照射によると良い。
また、上記金属塩には、下記の化2で表される金属塩を用いると良い。
(化2)
(R−A)−M
(但し、Rは炭化水素基、AはCOO、OSO、SOまたはOPO、Mは金属、nはMの価数である。)
また、上記有機溶媒は、沸点の異なる有機溶媒を2種以上含んでいると良い。
本発明に係る導電性ペーストは、有機溶媒中に、金属塩に由来する金属成分より構成された金属コアの周囲が金属塩に由来する有機成分により覆われた金属超微粒子と、金属塩に由来し、金属超微粒子の合成後に残存する有機成分とを含んでいる。
そのため、バインダー樹脂を含んでいないので、従来の導電性ペーストに比較して、低温焼成による低抵抗化を図りやすい。
また、膜厚を厚く形成した場合であっても、膜の乾燥・焼成時に生じる有機溶媒の揮発に起因する体積収縮を抑制することができ、これにより従来に比較して亀裂の発生を抑制することができる。
このように亀裂の発生を抑制できるのは、金属超微粒子の表面を覆う有機成分と、その金属超微粒子の合成後に残存する有機成分とが絡み合うことなどによって、膜の乾燥・焼成時に生じる有機溶媒の揮発に起因する体積収縮が抑制され、体積収縮時の応力が緩和されるためと推測される。
また、上記導電性ペーストによれば、比較的膜厚の厚い焼成膜を得る場合に、薄い膜を何度も積層する必要性がない。そのため、上記導電性ペーストは、微細回路の形成性などにも優れる。
この際、上記金属塩が、上記化1で表される特定の金属塩である場合には、低温焼成での分解性に優れることから、より低温での低抵抗化を図りやすい。
また、上記有機溶媒が沸点の異なる有機溶媒を2種以上含んでいる場合には、膜の焼成時に、徐々に有機溶媒が揮発するので、急激な膜の体積収縮が生じ難くなり、亀裂の発生をより抑制しやすくなる。
一方、本発明に係る導電性ペーストの製造方法は、金属塩を合成用有機溶媒に溶解または分散してなる溶液を加熱し、金属塩を還元して金属超微粒子を生成させた後、この合成液を濃縮し、この濃縮した合成液と有機溶媒とを混合し、金属超微粒子を分散させる方法である。
この製法によれば、得られた導電性ペーストの有機溶媒中には、金属超微粒子以外に、金属塩に由来し、金属超微粒子の合成後に未反応物として残存していた有機成分が含まれる。
そのため、得られた導電性ペーストにより膜厚を厚く形成した場合であっても、膜の乾燥・焼成時に生じる有機溶媒の揮発に起因する体積収縮を抑制することができ、これにより従来に比較して亀裂の発生を抑制することが可能な導電性ペーストが得られる。
この際、上記溶液の加熱を、とりわけ、マイクロ波照射によって行った場合には、溶液を均一に加熱できるので、比較的短時間で金属超微粒子を合成でき、導電性ペーストの生産性に優れる。
また、上記金属塩が、上記化2で表される特定の金属塩である場合には、低温焼成での分解性に優れることから、より低抵抗化を図りやすい導電性ペーストが得られる。
また、上記有機溶媒が沸点の異なる有機溶媒を2種以上含んでいる場合には、亀裂の発生をより抑制しやすい導電性ペーストが得られる。
以下、本実施形態に係る導電性ペースト(以下、「本ペースト」という。)、本実施形態に係る導電性ペーストの製造方法(以下、「本製法」ということがある。)について詳細に説明する。
1.本ペースト
本ペーストは、少なくとも、金属超微粒子と、金属超微粒子の合成後に残存する有機成分(以下、「残存有機成分」ということがある。)とが、有機溶媒中に分散されてなる。以下、本ペーストの各構成について順に説明する。
1.1 金属超微粒子
本ペーストにおいて、金属超微粒子は、基本的には、金属塩に由来する金属成分から主として構成された金属コアと、金属塩に由来し、金属コアの周囲を覆う有機成分(以下、「被覆有機成分」ということがある。)とを有している。
上記金属コアは、1種または2種以上の金属塩に由来する1種または2種以上の金属成分から構成されていて良い。また、上記被覆有機成分は、1種または2種以上の金属塩に由来する1種または2種以上の有機成分からなっていて良い。
ここで、上記金属塩としては、具体的には、例えば、一般式(R−A)−M(但し、Rは炭化水素基、AはCOO、OSO、SOまたはOPO、Mは金属、nは金属Mがとりうる価数と同一であり、1以上の整数である。)で表されるもの、金属アルコキシド(金属イソプロポキシド、金属エトキシドなど)、金属のアセチルアセトン錯塩(金属アセチルアセトネートなど)などの有機金属化合物を例示することができる。
上記金属塩のうち、とりわけ、一般式(R−A)−Mで表されるものを好適に用いることができる。この金属塩は比較的安価であるので、コスト的に有利な導電性ペーストが得られる利点がある。また、この金属塩に由来する被覆有機成分は、比較的低温で分解しやすいので、低温焼成による低抵抗化を図りやすい利点がある。なお、この金属塩を用いた場合、上記被覆有機成分は、主としてR−A−基であると推測される。
上記一般式(R−A)−Mにおいて、炭化水素基Rは、アルキル基などの飽和炭化水素基であっても良いし、アルケニル基などの不飽和炭化水素基であっても良い。また、その分子構造は、直鎖状であっても良いし、分岐状であっても良い。また、炭化水素基中の一部の水素は、導電性ペーストの性質などに悪影響を与えない範囲内であれば、ハロゲン元素などの他の置換基に置換されていても良い。
また、上記炭化水素基の炭素数は、特に限定されるものではない。もっとも、炭素数が比較的大きくなると、導電性ペーストの低温焼結性が低下するなどの傾向が見られる。一方、炭素数が比較的小さくなると、分散安定性が低下するなどの傾向が見られる。したがって、上記炭化水素基の炭素数は、これらに留意して適宜選択すると良い。
一般的には、上記炭化水素基の炭素数の好ましい上限値としては、具体的には、例えば、40、35、30、25、20、18などを例示することができる。一方、これら上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、具体的には、例えば、1、2、3、4などを例示することができる。
また、上記一般式(R−A)−Mにおいて、Aには、とりわけ、COOを好適に用いることができる。
また、上記一般式(R−A)−Mにおいて、Mは、基本的には、何れの種類の金属であっても良く、導電性ペーストの用途などに応じて適宜選択することができる。金属Mとしては、具体的には、例えば、銀、金、白金属(白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム)、銅、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、インジウム、コバルト、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、鉄、クロム、マンガン、イットリウムなど、これらの2種以上の組み合わせなどを例示することができる。
これらのうち、金属Mとしては、低抵抗、安全性、還元性などの観点から、とりわけ銀、金、白金属、銅、ニッケル、これらの2種以上の組み合わせなどを好適なものとして例示することができる。
このような金属塩としては、具体的には、脂肪酸金属塩、アルキルスルホン酸金属塩などを好適なものとして例示することができる。
上記金属超微粒子のうち、金属コアの種類については、例えば、X線回折法などにより確認することができる。また、被覆有機成分の種類については、例えば、NMR(核磁気共鳴法)、GC/MS(ガスクロマトグラフィ/質量分析法)などにより確認することができる。
また、上記金属コアの平均粒径は、導電性ペーストの用途などに応じて適宜調節すれば良い。具体的には、例えば、その好ましい上限値として、500nm、400nm、300nm、200nm、100nm、50nmなどを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、具体的には、例えば、1nm、2nm、3nmなどを例示することができる。
なお、上記平均粒径とは、金属超微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真から、金属超微粒子(もっとも、TEMでは金属コアしか観察できない)を任意に100個抽出して粒子径を測定し、その直径の小さい方から順に数えた場合に、粒子数が50%となるときの粒径(D50)の値をいう。
また、上記金属超微粒子の粒度分布は、特に限定されるものではないが、比較的シャープであると良い。粒度分布のシャープさε=(D90−D10)/D50としては、具体的には、例えば、その好ましい上限値として、2、1.5、1.3などを例示することができる。一方、εの下限値については、εが0に近くなるほど好ましいため、特に例示はしない。
なお、D90、D10とは、上記D50と同様に算出される値であり、それぞれ粒子数が90%となる粒径、粒子数が10%となる粒径の値である。
また、上記金属超微粒子中に占める被覆有機成分の含有量は、特に限定されるものではない。一般的には、被覆有機成分の含有量が過度に多くなると、低温焼結性が低下するなどの傾向が見られる。一方、被覆有機成分の含有量が過度に少なくなると、凝集しやすくなり、導電性ペースト中での分散安定性が低下するなどの傾向が見られる。したがって、被覆有機成分の含有量の選択には、これらに留意すると良い。
被覆有機成分の含有量としては、具体的には、例えば、その好ましい上限値として、50、40、35、30重量%などを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値として、0.5、1重量%などを例示することができる。
なお、上記被覆有機成分の含有量は、乾燥した金属超微粒子について、JIS K0129「熱分析通則」、JIS K7120「プラスチックの熱重量測定方法」に準拠して熱重量分析を行い、室温〜600℃までの減量率からその被覆有機成分の含有量を算出すれば良い。
また、本ペースト中に占める金属成分の含有量は、特に限定されることなく、用途などを考慮して適宜調整することができる。一般的には、例えば、好ましい上限値として、90重量%、85重量%、80重量%などを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値として、1重量%、2重量%、5重量%などを例示することができる。
なお、上記金属超微粒子は、例えば、溶液還元法などを用いて合成することができる。上記金属超微粒子の好適な合成法については、本ペーストの製造方法の項にて後述する。
1.2 残存有機成分
本ペーストは、上記金属塩に由来し、上記金属超微粒子の合成後に残存する残存有機成分を含んでいる。
上記残存有機成分は、上述した金属塩から上記金属超微粒子を合成したときに、被覆有機成分を構成するに至らずに残存した未反応の金属塩に由来する有機成分である。
通常、この残存有機成分は、金属超微粒子の合成後、金属超微粒子が有する被覆有機成分の隙間などにくまなく入り込んでいる。本ペーストが、焼成膜の亀裂の発生を抑制することができるのは、この残存有機成分と被覆有機成分との間に絡み合いなどの相互作用が生じ、膜厚を厚く形成した場合であっても、膜の乾燥・焼成時に生じる有機溶媒の揮発に起因する体積収縮時の応力が緩和されるためと推測される。
また、合成後に残存有機成分が除去された金属超微粒子を含み、除去した残存有機成分と同種の有機成分が同程度量だけ後添加された導電性ペーストでは、亀裂が生じやすいことが分かっている(実施例参照)。このことから、焼成膜の亀裂の発生を抑制するのに上記残存有機成分が極めて有効であるといえる。
上記本ペースト中に占める残存有機成分の含有量は、本ペーストの焼成温度などを考慮して適宜調節すれば良い。本ペーストでは、一般に、残存有機成分の含有量が過度に多くなると、低温焼成による低抵抗化を図り難くなるなどの傾向が見られる。一方、残存有機成分の含有量が過度に少なくなると、亀裂の抑制効果が少なくなるなどの傾向が見られる。したがって、残存有機成分の含有量の選択には、これらに留意すると良い。
上記残存有機成分の含有量としては、具体的には、例えば、好ましい上限値として、60重量%、55重量%、50重量%などを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、1重量%、2重量%、3重量%などを例示することができる。
また、上記残存有機成分の含有量は、例えば、次のように測定すれば良い。すなわち、本ペーストの有機溶媒を揮発させ、乾燥させたサンプルについて上記熱重量分析を行い、得られた減量率から被覆有機成分と残存有機成分との合計の含有量を求める。
一方、その合成後に残存有機成分を除去し、ドライ回収した金属超微粒子を用いて同様の熱重量分析を行い、被覆有機成分単独の含有量を求める。そうすれば、両含有量の差から、残存有機成分の含有量を求めることができる。
なお、本ペースト中には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内であれば、残存有機成分以外に、後添加された有機成分が含まれていても良い。
ここで、一般に、導電性ペースト中に含まれている有機成分が、上述した残存有機成分であるのか、後添加による有機成分であるのかを、分析により判別するのは難い。しかしながら、それぞれの有機成分を用いた導電性ペーストは、膜厚を厚く形成した場合に、亀裂の発生を抑制できるか否かにつき明確な差異がある。したがって、ペースト中に含まれる有機成分が、残存有機成分であるのか、後添加による有機成分であるのかを判別する方法として、例えば、次のような方法を好適なものとして例示することができる。
すなわち、先ず、検査対象となるペースト(含まれる有機成分が、上記残存有機成分であるのか、後添加による有機成分であるのか不明であり、この点以外は、実質的に同一であるもの)に含まれる有機成分の含有量を上記熱重量分析により求める。また、含まれる有機成分の種類(脂肪酸など)をNMR、GC/MSなどにより判別する。また、有機溶媒中に含まれる残存有機成分の含有量が、検査対象となるペースト中に含まれる有機成分の含有量と実質的に同等量となるように、本ペーストを調製する。
次いで、両ペーストを用いて、従来、亀裂が生じやすいとされる厚さ(20〜50μm程度)の塗工膜を形成する。次いで、これら塗工膜を乾燥・焼成(例えば、200℃程度)する。その結果、両焼成膜とも亀裂が発生しなかった場合には、検査対象のペースト中に含まれていた有機成分は、残存有機成分であったと推定できる。一方、本ペーストによる焼成膜では亀裂が発生しなかったが、検査対象となるペーストによる焼成膜では亀裂が発生した場合、検査対象のペースト中に含まれていた有機成分は、後添加による有機成分であったと推定できる。
なお、両焼成膜ともに亀裂が生じなかった場合、形成する膜厚が薄すぎたことが原因の一つとして考えられる。そのため、このような場合も考慮して膜厚を変えた試験を何点か行うことが好ましい。一方、両膜とも亀裂が生じた場合には、形成する膜厚が過度に厚過ぎ、亀裂の発生を抑制できる限界を超えていたことが原因の一つとして考えられる。そのため、この場合には、膜厚を少し薄くして再度同じ試験を行えば良い。
1.3 有機溶媒
上記有機溶媒としては、具体的には、例えば、テルピネオール、デカノール、ヘキサノール、メタノール、エタノール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジオール類、グリコール類、ポリオール類などのアルコール類、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミン類、ヘキサン、トルエン、キシレン、オクタン、デカン、ウンデカン、テトラデカンなどの炭化水素類、メチルエチルケトン(MEK)、アセトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどのエステル類などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
また、上記有機溶媒は、沸点の異なる有機溶媒を2種以上組み合わせた混合有機溶媒からなると良い。膜の乾燥時には、相対的に沸点の低い有機溶媒が先に揮発するが、相対的に沸点の高い有機溶媒が残るため、有機溶媒の揮発に起因する急激な体積収縮が起こっても、体積収縮時の応力が緩和される一方、膜の焼成時には、相対的に沸点の高い有機溶媒が揮発するが、一度に有機溶媒が揮発する場合に比較して揮発量が少なくなるため、有機溶媒の揮発に起因する急激な体積収縮が小さくなり、発生する応力も小さくなる。そのため、亀裂の発生をより抑制しやすくなるからである。
1.4 その他
本ペーストには、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内であれば、上記以外にも、例えば、金属超微粒子の分散安定性を向上させる分散剤などの各種添加剤が1種または2種以上添加されていても良い。また、金属超微粒子の合成時に利用した還元剤、不可避的不純物などが含まれていても良い。
2.本製法
本製法は、基本的には、溶液還元法を用いて金属塩から金属超微粒子を生成させ、生成した金属超微粒子を含む合成液を濃縮し、この濃縮した合成液と有機溶媒とを混合し、金属超微粒子を分散させて導電性ペーストを製造する方法である。以下、本製法の内容について順に説明する。
2.1 溶液
本製法では、金属塩を合成用有機溶媒に溶解または分散してなる溶液を使用する。
上記金属塩については、上記1.1 金属超微粒子の項にて既に例示しているので、詳細な説明は省略する。
上記合成用有機溶媒としては、上記金属塩を溶解または分散させうるものであれば、何れの種類の有機溶媒であっても用いることができる。具体的には、例えば、上記1.3の項にて例示したものなどを例示することができ、適宜選択して用いれば良い。
これら合成用有機溶媒のうち、好ましくは、上記金属塩に対して還元性を示す還元性有機溶媒を用いると良い。また、還元性有機溶媒は、水に対する溶解性が比較的低いものが良い。
このような還元性有機溶媒としては、具体的には、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールなどの炭素数3以上の一価アルコールなどを例示することができる。とりわけ、炭素数3〜30、好ましくは炭素数3〜20、より好ましくは炭素数3〜10、最も好ましくは炭素数4〜8の一価アルコールなどを好適なものとして例示することができる。
炭素数が上記範囲内にある場合には、上記金属塩が急激に還元されにくく、適度の還元力で金属塩を還元させやすいからである。
なお、上記金属塩が合成用有機溶媒中に溶解するか分散するかについては、選択した金属塩および合成用有機溶媒の組み合わせ、合成用有機溶媒に対する金属塩の量などによる。また、金属塩の量は、導電性ペースト中に含有させる金属超微粒子の量などを考慮して適宜調整すれば良い。
また、上記溶液中には、金属超微粒子の生成などに悪影響を及ぼさない範囲内で、例えば、触媒や還元剤などの添加剤が1種または2種以上適宜添加されていても良い。
2.2 溶液の加熱
本製法では、上記溶液を加熱することにより金属塩を還元する。ここで、加熱手法は、基本的には、溶液中の金属塩を還元させられる熱を与えられれば、特に限定されるものではない。加熱手法としては、具体的には、例えば、ヒーターなどによる電熱、熱せられたオイル、水などの熱媒体、バーナ火炎、熱風などの外部熱源により溶液を熱伝導などで加熱する方法、マイクロ波などの電磁波、高周波、レーザー光、電子線などを照射することにより溶液を加熱する方法などを例示することができる。なお、これら加熱手法は、単独で用いても良いし、2以上の手法を組み合わせて用いても良い。
この際、溶液の加熱温度は、用いた金属塩の種類などにより異なる。また、上記加熱は、生成した金属超微粒子を酸化させないため、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気に溶液を存在させた状態で行うと良い。
上記加熱手法のうち、好ましくは、外部熱源により溶液を加熱する方法、マイクロ波を照射することにより溶液を加熱する方法を用いると良い。より好ましくは、後者を用いると良い。溶液を均一に加熱することができ、短時間で金属超微粒子を合成できるなどの利点があるからである。
これらにより溶液の加熱を行うには、具体的には、例えば、以下のようにすれば良い。
前者の場合、溶液中の金属塩を還元させることが可能な温度に加熱された液体(例えば、オイル、水など)などの熱媒体に、溶液を入れた反応容器を接触させるもしくは近接させる、ヒーターやバーナ火炎などにより反応容器を加熱するなどすれば良い。
一方、後者の場合、用いるマイクロ波は、特に限定されるものでない。具体的には、例えば、通常、日本国内で多用されている、周波数2.45GHzのマイクロ波を利用すれば良い。以下、マイクロ波の照射条件については、この周波数2.45GHzのマイクロ波を選択した場合を前提としたものであるが、他のマイクロ波を選択した場合には、これに準じて適宜照射条件を変更すれば良い。
マイクロ波の照射強度は、一般に、溶液中の金属塩、合成用有機溶媒の種類などにより異なる。マイクロ波の照射強度が過度に小さくなると、加熱時間が長くなるなどの傾向が見られる。一方、マイクロ波の照射強度が過度に大きくなると、加熱時間が極端に短くなり、生成する金属超微粒子の粒径分布を制御しにくくなるなどの傾向が見られる。したがって、マイクロ波の照射強度の選択には、これらに留意すると良い。
通常、マイクロ波の照射強度としては、具体的には、例えば、その好ましい上限値として、24W/cm、18W/cm、12W/cmなどを例示することができる。
一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、具体的には、例えば、1W/cm、2W/cm、3W/cm、4W/cmなどを例示することができる。なお、これらマイクロ波の照射強度は、マイクロ波出力(W)/反応溶液の体積(cm)で表される値である。
また、上述した何れの加熱手法とも、加熱時間は、一般に、溶液中の金属塩、合成用有機溶媒の種類、反応温度などにより異なる。加熱時間が過度に短くなると、十分に金属超微粒子が生成しないなどの傾向が見られる。一方、加熱時間が過度に長くなると、生産性が低下したり、副反応物の生成によって金属超微粒子の純度が低下したりするなどの傾向が見られる。したがって、加熱時間の選択には、これらに留意すると良い。
通常、加熱時間としては、具体的には、例えば、その好ましい上限値として、2時間以下、1.5時間以下、1時間以下などを例示することができる。
一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、具体的には、例えば、1分以上、2分以上、3分以上、5分以上などを例示することができる。但し、マイクロ波加熱の場合には、反応温度までの昇温時間を、外部加熱に比較して短時間で行うことができる。
また、上述した何れの加熱手法とも、反応時の溶液の温度(反応温度)は、ほぼ一定となるように制御されていると良い。反応温度としては、使用する合成用有機溶媒の沸点近傍の温度に設定すると良い。
反応温度としては、具体的には、例えば、その好ましい上限値として、300℃、275℃、250℃などを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、具体的には、例えば、80℃、100℃、120℃などを例示することができる。
なお、マイクロ波加熱を行う場合、反応温度の制御は、例えば、上記溶液中に温度センサーを漬け、溶液の温度が一定になるように、マイクロ波の照射のオン/オフを繰り返すことなどにより行うことができる。また、マイクロ波の照射は、公知のマイクロ波照射装置を用いて行えば良い。
2.3 合成液の濃縮
本製法では、金属超微粒子を合成後、生成した金属超微粒子を合成液からドライ回収することなく、合成液を濃縮し、この濃縮した合成液を導電性ペーストの原料として用いる。
そのため、これにより、本製法で得られる導電性ペースト中には、上記金属塩に由来し、金属超微粒子の合成後に残存する有機成分、すなわち、残存有機成分が含まれることになる。
上記合成液の濃縮手法は、特に限定されるものではなく、合成液中に含まれる、生成した金属超微粒子の濃度を当初の合成液より上昇させることができる方法であれば、あらゆる濃縮方法を採用することができる。合成液の濃縮方法としては、具体的には、例えば、合成液を遠心分離器などを用いて沈澱処理し、含まれる合成用有機溶媒をデカンテーションなどにより分離する、揮発させるなどして上澄み液を除去する方法などを例示することができる。
また、濃縮した合成液中に占める金属成分の含有量は、特に限定されるものではなく、ペースト中に占める金属成分の含有量などを考慮して適宜設定すれば良い。
濃縮した合成液中に占める金属成分の含有量としては、具体的には、例えば、その好ましい上限値として、95、90、85重量%などを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、2、4、10重量%などを例示することができる。
2.4 ペースト化
本製法では、上記濃縮した合成液と、有機溶媒とを混合し、金属超微粒子を分散させ、これにより導電性ペーストを得る。
上記有機溶媒については、具体的には、例えば、上記1.3の項にて例示したものなどを例示することができ、適宜選択して用いれば良い。
また、本製法では、濃縮した合成液と有機溶媒とを一緒に混合した後に、金属超微粒子の分散処理をしても良いし、濃縮した合成液と有機溶媒との混合中に金属超微粒子の分散処理をしても良い。
つまり、最終的に、濃縮した合成液と有機溶媒とが十分に混合されており、この混合物中に含まれる金属超微粒子が分散されてペースト状になった状態が得られれば、その混合、分散処理の順序は特に限定されるものではない。
また、上記混合手段は、特に限定されるものではない。混合手段としては、具体的には、例えば、プロペラ型、乳鉢などのすり潰し式、回転型(自転・公転による回転)、振動型などの撹拌機、3本ロール、ビーズミルなどを例示することができる。
一方、分散手段としては、金属超微粒子を均一に分散させることができれば、何れの種類の分散手段を用いても良い。分散手段としては、具体的には、例えば、超音波処理、ビーズミル、超臨界状態による分散処理などを例示することができる。
また、得られた導電性ペースト中に占める金属成分の含有量は、特に限定されることなく、用途などを考慮して適宜調節することができる。一般的には、例えば、その好ましい上限値として、90重量%、85重量%、80重量%などを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値として、1重量%、2重量%、5重量%などを例示することができる。
なお、上記混合時などにおいて、金属超微粒子の分散安定性を向上させる分散剤などの各種添加剤を1種または2種以上添加しても良い。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
(実施例1に係る導電性ペーストおよびその製造方法)
ラウリン酸銀塩(C1123COOAg)5mmolを、合成用有機溶媒としての1−ヘキサノール25ml中に混合し、その後、超音波処理を行い、分散溶液を作製した。
次に、マイクロ波照射装置(マイクロ電子(株)製、2,450MHzマイクロ波加熱装置「MMG−213VP」)を用いて、窒素雰囲気下中、6W/cmの照射強度でマイクロ波(周波数2.45GHz)を分散溶液に照射し、溶液の温度を157℃(反応温度)に制御しながら、11分間加熱した。なお、反応温度の制御は、溶液中に温度センサーを漬け、溶液の温度が一定になるように、マイクロ波照射のオン/オフを繰り返すことにより行った。
次に、これら操作後の合成液をヘキサンに分散し、それをカーボンメッシュに滴下・乾燥して得た試料を、透過型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、「日立透過電子顕微鏡H−9000」)で観察した。その結果、ナノサイズの超微粒子が生成していることが確認された。
次に、超微粒子の金属コア、被覆有機成分を調べるため、上記合成液を遠心分離器にかけ、分離物をヘキサンで洗浄し、回収した超微粒子を用いてX線回折を行った。その結果によれば、銀のみが生成していることが確認された。したがって、上記超微粒子のコアを構成する金属の種類は、銀であることが確認された。
次いで、回収した銀超微粒子について、GC/MS(ガスクロマトグラフィ/質量分析)分析を実施した。その結果、ラウリン酸が検出された。したがって、銀コアの周囲を覆う被覆有機成分の種類は、ラウリン酸基であることが確認された。
次いで、銀コアの平均粒径(D50)、粒径分布のシャープさεを、上記透過型電子顕微鏡(TEM)写真から、銀超微粒子を任意に100個抽出して解析した。その結果、銀コアの平均粒径は5nmであった。また、粒径分布のシャープさεは0.33であり、狭い粒度分布を有していることが確認された。
次に、上記合成液中に含まれる銀超微粒子を遠心分離により沈澱させた後、上澄み液を除去し、銀の含有量が15重量%となるように合成液を濃縮した。
次に、濃縮した合成液333g(内、銀は50g)と、ペースト化用有機溶媒としてのテルピネオール167gとを乳鉢上で磨り潰しながら混合し、これをガラス管に入れた状態で、超音波洗浄器により銀超微粒子を15分間超音波分散させた。これにより、実施例1に係る導電性ペーストを得た。
次に、得られた実施例1に係る導電性ペースト中に含まれる、ラウリン酸銀塩に由来し、かつ、銀超微粒子の合成後に残存する有機成分(残存有機成分)の含有量を以下の手順により求めた。
すなわち、実施例1に係る導電性ペースト100mgを100℃で180分間乾燥し、有機溶媒(合成用有機溶媒+ペースト化用有機溶媒)を完全に揮発させたサンプルについて、熱重量分析(室温〜600℃の温度範囲)を行い、得られた減量率から、ペースト中に含まれる被覆有機成分と残存有機成分との合計重量を求めた。その結果、合計重量は、3.2mgであった。
次いで、上記操作後の合成液(濃縮した合成液)66.6mg(導電性ペーストは100mg)から残存有機成分を除去し、ドライ回収した銀超微粒子10mgを用いて同様の熱重量分析を行い、得られた減量率から、被覆有機成分単独の重量を求めた。その結果、被覆有機成分の重量は、1.6mgであった。よって、実施例1に係る導電性ペースト100mg中に含まれる残存有機成分の重量は、3.2mg−1.6mg=1.6mgであったと言える。そうすると、この導電性ペースト500g中に含まれる残存有機成分の重量は、500g×1.6mg/100mg=8g、被覆有機成分の重量は、500g×1.6mg/100mg=8gであったと言える。したがって、実施例1に係る導電性ペースト中に含まれる残存有機成分の含有量は、8g/500g×100=1.6重量%と求めることができる。
次に、実施例1に係る導電性ペーストを、ガラス基板上にバーコート法により塗布(塗布厚25μm、塗布寸法76mm×20mm)し、100℃で60分間乾燥してテルピネオール(ペースト化用有機溶媒)を揮発させた後、大気雰囲気中にて200℃で30分間焼成し、焼成膜とした。
次に、光学顕微鏡(倍率450倍)を用い、得られた焼成膜の表面を観察し、亀裂の有無を確認した。その結果、焼成膜には、全く亀裂が発生していなかった。
次に、低抵抗測定器(4端子4探針法、(株)ダイアインスツルメンツ製、「ロレスタGP MCP−T610型」)を用い、上記焼成膜の表面抵抗率を測定した後、触針式表面形状測定器((株)アルバック製、「Dektak」)で膜厚段差を測定し、膜厚を求めた。そして得られた表面抵抗率と膜厚とから体積抵抗率を算出した。その結果、焼成膜の体積抵抗率は、4.9×10−6Ω・cmであった。
なお、この表面抵抗率の測定、体積抵抗率の算出は、JIS K7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠して行った。但し、面積は、20mm×76mmで、測定装置は、(X,Y)=(15mm,5mm)、(15mm,15mm)、(38mm,10mm)、(60mm,5mm)、(60mm,15mm)の5点で補正係数を算出した上で、表面抵抗率を測定し、体積抵抗率を算出した。
次に、削り取った焼成膜について上記と同様に熱重量分析を行い、室温〜600℃までの減量率から、焼成膜中に含まれる残留有機成分の含有量を求めた。その結果、残留有機成分の含有量は、0.25重量%であった。
(比較例1に係る導電性ペーストおよびその製造方法)
上記実施例1に係る導電性ペーストの製造方法において、合成液にメタノールを投入し、遠心分離により銀超微粒子を沈澱させ、上澄み液を除去する操作を繰り返し実施し、回収した沈澱物を真空乾燥することにより、銀超微粒子をドライ回収した点、このドライ回収した銀超微粒子58gと、ペースト化用有機溶媒としてのテルピネオール442gとを混合した以外は同様にして、比較例1に係る導電性ペーストを得た。
次に、得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の試験を行った結果、焼成膜には亀裂が発生した。また、焼成膜の体積抵抗率は、1.2×10Ω・cmを越える値であった。また、焼成膜中に含まれる残留有機成分の含有量は、0.17重量%であった。
(比較例2に係る導電性ペーストおよびその製造方法)
上記比較例1に係る導電性ペーストの製造方法において、ドライ回収した銀超微粒子58gと、ペースト化用有機溶媒としてのテルピネオール434gと、後添加による有機成分としてのラウリン酸8gとを混合した以外は同様にして、比較例2に係る導電性ペーストを得た。
次に、得られた導電性ペーストについて、実施例1と同様の試験を行った結果、焼成膜には亀裂が発生した。また、焼成膜の体積抵抗率は、8.0×10−4Ω・cmであった。また、焼成膜中に含まれる残留有機成分の含有量は、0.29重量%であった。
上記実施例、比較例についてまとめたものを表1に示す。
Figure 2007095527
以上の結果から、次のようなことが分かる。すなわち、比較例1では、合成液から銀超微粒子をドライ回収しており、このドライ回収した銀超微粒子と、ペースト化用有機溶媒とを混合して導電性ペーストとしている。そのため、得られたペースト中には、ラウリン酸銀塩に由来し、銀超微粒子の合成後に残存する残存有機成分が実質的に含まれていない。したがって、厚い焼成膜の作製時に、ペースト化用有機溶媒の揮発に起因する体積収縮による応力を緩和することができず、これにより亀裂が発生したと推察される。
また、比較例1では、焼成膜中の残留有機成分が比較的少なかったにもかかわらず、焼成膜の体積抵抗が極めて高くなった。これは、亀裂により焼成膜中の導電経路が遮断されているので、抵抗が著しく上昇したためと推察される。
さらに、比較例2では、実施例1と同種の有機成分であるラウリン酸を、実施例1と同程度量だけ後添加しているにもかかわらず、比較例1と同様の結果になった。したがって、この導電性ペーストでは、焼成膜の亀裂の発生を効果的に抑制することができないことが分かる。
これらに対し、実施例1では、濃縮した合成液と、ペースト化用有機溶媒とを混合して導電性ペーストとしている。そのため、得られたペースト中には、ラウリン酸銀塩に由来し、銀超微粒子の合成後に残存する残存有機成分が含まれる。したがって、厚い焼成膜の作製時に、有機溶媒の揮発に起因する体積収縮による応力を緩和することができ、これにより亀裂を有効に抑制できていることが分かる。また、焼成膜中の残留有機成分の含有量も低く、低温焼成による低抵抗化が図れていることが分かる。
以上、実施形態、実施例について説明したが、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (7)

  1. 有機溶媒に金属超微粒子が分散されてなる導電性ペーストであって、
    前記金属超微粒子は、金属塩に由来する金属成分から構成された金属コアと、前記金属塩に由来し、前記金属コアの周囲を覆う有機成分とを有しており、
    前記有機溶媒中には、前記金属塩に由来し、前記金属超微粒子の合成後に残存する有機成分が含まれていることを特徴とする導電性ペースト。
  2. 前記金属塩は、下記の化1で表されることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト。
    (化1)
    (R−A)−M
    (但し、Rは炭化水素基、AはCOO、OSO、SOまたはOPO、Mは金属、nはMの価数である。)
  3. 前記有機溶媒は、沸点の異なる有機溶媒を2種以上含むことを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ペースト。
  4. 金属塩を合成用有機溶媒に溶解または分散してなる溶液を加熱し、前記金属塩を還元して金属超微粒子を生成させた後、この合成液を濃縮し、この濃縮した合成液と有機溶媒とを混合し、前記金属超微粒子を分散させることを特徴とする導電性ペーストの製造方法。
  5. 前記加熱は、外部熱源またはマイクロ波照射によることを特徴とする請求項4に記載の導電性ペーストの製造方法。
  6. 前記金属塩は、下記の化2で表されることを特徴とする請求項4または5に記載の導電性ペーストの製造方法。
    (化2)
    (R−A)−M
    (但し、Rは炭化水素基、AはCOO、OSO、SOまたはOPO、Mは金属、nはMの価数である。)
  7. 前記有機溶媒は、沸点の異なる有機溶媒を2種以上含むことを特徴とする請求項4から6の何れかに記載の導電性ペーストの製造方法。
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