JP4906301B2 - 導電性ペースト - Google Patents

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Description

本発明は、導電性ペーストに関し、さらに詳しくは、金属超微粒子を用いた導電性ペーストに関するものである。
従来、μmサイズ(以下、「ミクロンサイズ」ということがある。)の金属微粒子を用いた導電性ペーストは、例えば、プリント基板における電極、配線などの回路形成、層間接合などに使用する導電材料として広く用いられている。
近年、プリント基板が組み込まれる電子機器は、高機能化、小型化されてきており、それに伴って配線回路は狭ピッチ化されてきている。そのため、ミクロンサイズの金属微粒子を用いた汎用の導電性ペーストでは、狭ピッチ化に十分に対応することができない状況になってきている。
そこで、最近では、nmサイズ(以下、「ナノサイズ」ということがある。)の金属超微粒子を用いた導電性ペーストが各種提案されている。ナノサイズの金属超微粒子は、一般に、金属本来の融点より低い温度で焼結するなど、バルクとは異なる性質を有している。そのため、この種の導電性ペーストは、例えば、低温焼成により、焼結体中に含まれる有機成分を少なくし、良好な導電性能を発現させることなどが期待されている。
例えば、特許文献1には、ガス中蒸発法により合成した銀超微粒子を有機溶媒中に分散させた導電性ペーストが開示されている。また、特許文献2には、銀ナノ粒子原料として、ガス中蒸発法により合成され、アミン化合物によりその表面が被覆された銀超微粒子の分散液を用いたナノ粒子ペーストが開示されている。
特開平3−34211号公報(第4実施例) 特開2004−273205号公報(実施例1)
しかしながら、従来知られる導電性ペーストは、200℃程度の温度で十分に焼結せず、焼結体の低抵抗化を図り難いといった問題があった。
そのため、例えば、低抵抗な微細回路を形成しようとした場合、200℃を大きく上回る温度で焼成せねばならず、ポリイミドに比較して安価であり、耐熱性の低いポリアミドイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂を基板材料として用いることができなかった。
また、従来の導電性ペーストを200℃程度の温度で焼結した場合、金属超微粒子の一部を構成する保護剤成分が残留しやすい。したがって、従来の導電性ペーストを例えば、ビアホールの導電材料に使用すると、ハンダ接合によるリフロー時(約260℃)や乾燥(約60〜100℃)などの熱処理工程時などにアウトガスが発生しやすいといった問題があった。
これらの問題は、主として、金属超微粒子の一部を構成する保護剤成分が、200℃程度の温度で十分に分解しないためであると考えられる。
さらに上記以外にも、本発明者らの研究によれば、金属超微粒子を有機溶媒中に分散させた導電性ペーストは、用いる有機溶媒の種類によっては金属超微粒子が凝集し、その分散安定性が低下して、次のような問題を生じる場合があることが判明した。
すなわち、金属超微粒子の分散安定性に劣った導電性ペーストを用いて、例えば、焼成膜などを形成した場合、膜の表面平滑性が悪化して表面抵抗が高くなり、特に、交流特性が悪化するといった問題が発生することが判明した。近年、プリント基板に流れる信号は、ますます高周波化されてきていることから、この種の問題についても改善を図る必要がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来より低温、特に200℃程度の温度で焼結し、低抵抗化を図ることができ、さらに、含まれる金属超微粒子の分散安定性に優れた導電性ペーストを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る導電性ペーストは、有機溶媒にナノサイズの金属超微粒子が分散されてなる導電性ペーストであって、前記金属超微粒子は、下記の化1で表される金属塩に由来する金属成分から構成された金属コアと、前記金属塩に由来し、前記金属コアの周囲を覆う有機成分とを有し、前記有機溶媒は、その誘電率が1.5以上13未満の範囲内にある1種または2種以上の有機溶媒よりなることを要旨とする。
(化1)
(R−A)−M
(但し、Rは炭素数が10または11の炭化水素基、AはCOO、OSO、またはOPO、Mは銀、金または白金、nはMの価数である。)
ここで、上記Rは、炭素数が10または11の炭化水素基であると良い。とりわけ、上記(R−A) −Mは、C 10 21 COOAgまたはC 11 23 COOAgであると良い。
また、上記金属コアは、その平均粒径が2〜30nmの範囲内にあると良い。
また、上記金属超微粒子中に占める有機成分の含有量は、4〜30質量%の範囲内にあると良い。
また、上記金属超微粒子は、上記金属塩を合成用有機溶媒に溶解または分散してなる溶液を加熱することにより合成されたものであると良い。
また、上記溶液の加熱は、外部熱源またはマイクロ波照射によると良い。
本発明に係る導電性ペーストは、特定の有機溶媒に特定の金属超微粒子が分散されている。そのため、従来の導電性ペーストに比較して、低い温度、特に200℃程度の温度で十分に焼結する。
また、200℃程度の温度による焼成で、金属超微粒子中の有機成分がほとんど分解する。そのため、焼結体中に含まれる有機成分の残留量を少なくすることができ、従来よりも低温焼成で低抵抗化を図ることができる。
したがって、これを例えば、ビアホールの導電材料などに用いた場合には、リフロー時(約260℃)や乾燥(約60〜100℃)などの熱処理工程時などにおけるアウトガスの発生量を少なくすることができる。また、ポリイミドに比較して安価で耐熱性の低いポリアミドイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂よりなる基板上に、低抵抗な微細回路、層間接合などを形成することが可能となる。
また、ペーストを構成する特定の有機溶媒として、その誘電率が1.5以上13未満の範囲内にある1種または2種以上の有機溶媒を用いている。そのため、含まれる金属超微粒子が凝集し難く、分散安定性に優れる。
したがって、上記導電性ペーストにより焼成膜を形成した場合には、表面平滑性に優れた焼成膜を得ることができる。そのため、焼成膜の表面抵抗が低くなり、これにより交流特性などを向上させることができる。
上記導電性ペーストにおいて、金属超微粒子の金属コアの平均粒径が2〜30nmの範囲内にある場合、金属超微粒子中に占める有機成分の含有量が4〜30量%の範囲内にある場合には、上記作用効果に優れる。
以下、本実施形態に係る導電性ペースト(以下、「本ペースト」という。)について詳細に説明する。
1.本ペースト
本ペーストは、特定の金属超微粒子が特定の有機溶媒中に分散されてなる。以下、本ペーストの各構成について順に説明する。
1.1 金属超微粒子
本ペーストにおいて、ナノサイズの金属超微粒子は、特定の金属塩に由来する金属成分から主として構成された金属コアと、上記特定の金属塩に由来し、金属コアの周囲を覆う有機成分とを有している。
上記金属コアは、1種または2種以上の特定の金属塩に由来する1種または2種以上の金属成分から構成されていて良い。また、上記有機成分は、1種または2種以上の特定の金属塩に由来する1種または2種以上の有機成分からなっていて良い。
ここで、上記特定の金属塩とは、具体的には、一般式(R−A)−M(但し、Rは炭素数が10または11の炭化水素基、AはCOO、OSO、またはOPO、Mは銀、金または白金族、nは金属Mの価数と同一であり、1以上の整数である。)で表されるものをいう。
この金属塩に由来する有機成分は、200℃程度の低温で比較的分解しやすいので、低温焼成による低抵抗化を図りやすい。また、この金属塩は比較的安価であるので、コスト的にも有利である。なお、この金属塩に由来する有機成分は、主としてR−A−基であると推測される。
上記一般式(R−A)−Mにおいて、炭化水素基Rは、アルキル基などの飽和炭化水素基であっても良いし、アルケニル基などの不飽和炭化水素基であっても良い。また、その分子構造は、直鎖状であっても良いし、分岐状であっても良い。また、炭化水素基中の一部の水素は、導電性ペーストの性質などに悪影響を与えない範囲内であれば、ハロゲン元素などの他の置換基に置換されていても良い。
但し、上記炭化水素基Rの炭素数は10以上である。その炭素数の上限値は、特に限定されるものではない。もっとも、炭素数が比較的大きくなると、導電性ペーストの低温焼結性が低下するなどの傾向が見られる。したがって、上記炭化水素基Rの炭素数の好ましい上限値としては、具体的には、例えば、40、35、30、25、20、18などを例示することができる。
また、上記一般式(R−A)−Mにおいて、Aには、とりわけ、COOを好適に用いることができる。
また、上記一般式(R−A)−Mにおいて、Mには、銀、金、白金を用いる。何れの金属種を用いるかについては、導電性ペーストの用途などを考慮して適宜選択すれば良い。
このような金属塩のうち、具体的には、例えば、脂肪酸金属塩、アルキルスルホン酸金属塩などを好適なものとして例示することができる。
より具体的には、例えば、ウンデカン酸金属塩、ラウリン酸金属塩、ミリスチン酸金属塩、パルミチン酸金属塩、ステアリン酸金属塩などの飽和脂肪酸金属塩、オレイン酸金属塩、リノール酸金属塩、リノレン酸金属塩などの不飽和脂肪酸金属塩、ネオデカン酸金属塩などの分岐状脂肪酸金属塩、アビエチン酸金属塩などの環状脂肪酸金属塩などをより好適なものとして例示することができる。
上記金属超微粒子のうち、金属コアの種類については、例えば、X線回折法などにより確認することができる。また、有機成分の種類については、例えば、NMR(核磁気共鳴法)、GC/MS(ガスクロマトグラフィ/質量分析法)などにより確認することができる。
また、上記金属コアの平均粒径は、導電性ペーストの用途などに応じて適宜調節すれば良い。具体的には、例えば、その好ましい上限値として、30nmなどを例示することができる。一方、この好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、具体的には、例えば、2nmなどを例示することができる。
なお、上記平均粒径とは、金属超微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真から、金属超微粒子(もっとも、TEMでは金属コアしか観察できない)を任意に100個抽出して粒子径を測定し、その直径の小さい方から順に数えた場合に、粒子数が50%となるときの粒径(D50)の値をいう。
また、上記金属超微粒子の粒度分布は、特に限定されるものではないが、比較的シャープであると良い。粒度分布のシャープさε=(D90−D10)/D50としては、具体的には、例えば、その好ましい上限値として、2、1.5、1.3などを例示することができる。一方、εの下限値については、εが0に近くなるほど好ましいため、特に例示はしない。
なお、D90、D10とは、上記D50と同様に算出される値であり、それぞれ粒子数が90%となる粒径、粒子数が10%となる粒径の値である。
また、上記金属超微粒子中に占める有機成分の含有量は、特に限定されるものではない。一般的には、有機成分の含有量が過度に多くなると、低温焼結性が低下するなどの傾向が見られる。一方、有機成分の含有量が過度に少なくなると、凝集しやすくなり、導電性ペースト中での分散安定性が低下するなどの傾向が見られる。したがって、有機成分の含有量の選択には、これらに留意すると良い。
有機成分の含有量としては、具体的には、例えば、その好ましい上限値として、30量%などを例示することができる。一方、この好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値として、4量%などを例示することができる。
上記有機成分の含有量は、乾燥した金属超微粒子について、JIS K0129「熱分析通則」、JIS K7120「プラスチックの熱重量測定方法」に準拠して熱重量分析を行い、室温〜600℃までの減量率からその有機成分の含有量を算出すれば良い。
また、本ペースト中に占める金属成分の含有量は、特に限定されることなく、用途などを考慮して適宜調整することができる。一般的には、例えば、好ましい上限値として、90量%、85量%、80量%などを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値として、1量%、2量%、5量%などを例示することができる。
なお、上記金属超微粒子は、例えば、上記特定の金属塩を合成用有機溶媒に溶解または分散してなる溶液を加熱することにより、上記特定の金属塩を還元して合成することができる。上記金属超微粒子の好適な合成法については、本ペーストの好適な製造方法の項にて後述する。
1.2 有機溶媒
本ペーストでは、ペーストを構成する有機溶媒として、その誘電率が特定の範囲内にある1種または2種以上の有機溶媒を用いる。特定の範囲としては、具体的には、その上限値として、13未満、12以下、11以下などを例示することができる。一方、これらと組み合わせ可能な下限値としては、具体的には、1.5以上、2以上などを例示することができる。
誘電率が上記範囲内にあれば、ペースト状態としたときに上記金属超微粒子が凝集し難く、分散安定性に優れるからである。この理由については、詳細は不明であるが、以下の理由によるものと推測される。
すなわち、上記金属超微粒子では、非極性の炭化水素基Rを外側にした状態で、有機成分であるR−A−基が金属コアの表面を覆っていると考えられる。しかしながら、実際には、極性の高い金属コアの表面が、部分的に露出していると考えられる。そのため、ペーストを構成する有機溶媒として、誘電率が相対的に大きな有機溶媒(極性が比較的高い)を用いた場合には、金属超微粒子の凝集が生じやすくなるものと考えられる。
これに対し、誘電率が上記特定の範囲内にある有機溶媒(極性が比較的低い)を用いた場合には、有機溶媒中における金属超微粒子の分散安定性が向上し、金属微粒子の凝集が生じ難くなるものと考えられる。
上記誘電率が1.5以上13未満の範囲内にある有機溶媒としては、具体的には、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン、オクタン、デカン、ウンデカン、テトラデカン、テルピネオール、デカノール、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチルなどを例示することができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いても良い。
また、上記誘電率は、有機溶媒に交流電圧(周波数10kHz)を印加し、電流を測定する方法により算出することができる。
なお、本ペースト中には、金属超微粒子の分散安定性、焼成膜の表面平滑性などに悪影響を及ぼさない範囲内であれば、上記特定の有機溶媒以外にも、その誘電率が13以上の有機溶媒を含んでいても良い。
また、本ペースト中には、後述する金属超微粒子の合成時に用いた合成用有機溶媒が1種または2種以上含まれていても良い。
1.3 その他
本ペーストには、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内であれば、例えば、金属超微粒子の分散安定性を向上させる分散剤などの各種添加剤が1種または2種以上添加されていても良い。また、金属超微粒子の合成時に利用した還元剤、不可避的不純物などが含まれていても良い。
以上説明した本ペーストを製造するには、具体的には、例えば、上記特定の金属塩を合成用有機溶媒に溶解または分散してなる溶液を加熱することにより金属超微粒子を生成させ、得られた金属超微粒子を上記特定の有機溶媒中に分散させてペースト状態にする方法などを例示することができる。以下、これを「本製法」と称し、その内容について詳細に説明する。
2.本製法
2.1 溶液
本製法では、上記特定の金属塩を合成用有機溶媒に溶解または分散してなる溶液を用いる。
上記特定の金属塩については、上記1.1 金属超微粒子の項にて既に例示しているので、詳細な説明は省略する。
上記合成用有機溶媒としては、上記金属塩を溶解または分散させうるものであれば、何れの種類の有機溶媒であっても用いることができる。具体的には、例えば、ジオール類、グリコール類、ポリオール類などのアルコール類、アミン類、炭化水素類、ケトン類、エーテル類、エステル類などを例示することができ、これらは1種または2種以上混合されていても良い。
これら合成用有機溶媒のうち、好ましくは、上記金属塩に対して還元性を示す還元性有機溶媒を用いると良い。また、還元性有機溶媒は、水に対する溶解性が比較的低いものが良い。
このような還元性有機溶媒としては、具体的には、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールなどの炭素数3以上の一価アルコールなどを例示することができる。とりわけ、炭素数3〜30、好ましくは炭素数3〜20、より好ましくは炭素数3〜10、最も好ましくは炭素数4〜8の一価アルコールを好適なものとして例示することができる。
炭素数が上記範囲内にある場合には、上記金属塩が急激に還元されにくく、適度の還元力で金属塩を還元させやすいからである。
なお、上記金属塩が合成用有機溶媒中に溶解するか分散するかについては、選択した金属塩および合成用有機溶媒の組み合わせ、合成用有機溶媒に対する金属塩の量などによる。また、上記金属塩の量は、導電性ペースト中に含有させる金属超微粒子の量などを考慮して適宜調整すれば良い。
また、上記溶液中には、金属超微粒子の生成などに悪影響を及ぼさない範囲内で、例えば、触媒や還元剤などの添加剤が1種または2種以上適宜添加されていても良い。
2.2 溶液の加熱
本製法では、上記溶液を加熱する。ここで、加熱手法は、基本的には、溶液中の金属塩を還元させられる熱を与えられれば、特に限定されるものではない。加熱手法としては、具体的には、例えば、ヒーターなどによる電熱、熱せられたオイル、水などの熱媒体、バーナ火炎、熱風などの外部熱源により溶液を熱伝導などで加熱する方法、マイクロ波などの電磁波、高周波、レーザー光、電子線などを照射することにより溶液を加熱する方法などを例示することができる。なお、これら加熱手法は、単独で用いても良いし、2以上の手法を組み合わせて用いても良い。
この際、溶液の加熱温度は、用いた金属塩の種類などにより異なる。また、上記加熱は、生成した金属超微粒子を酸化させないため、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気に溶液を存在させた状態で行うと良い。
上記加熱手法のうち、好ましくは、外部熱源により溶液を加熱する方法、マイクロ波を照射することにより溶液を加熱する方法を用いると良い。より好ましくは、後者を用いると良い。溶液を均一に加熱することができ、短時間で金属超微粒子を合成できるなどの利点があるからである。
これらにより溶液の加熱を行うには、具体的には、例えば、以下のようにすれば良い。
前者の場合、溶液中の金属塩を還元させることが可能な温度に加熱された液体(例えば、オイル、水など)などの熱媒体に、溶液を入れた反応容器を接触させるもしくは近接させる、ヒーターやバーナ火炎などにより反応容器を加熱するなどすれば良い。
一方、後者の場合、用いるマイクロ波は、特に限定されるものでない。具体的には、例えば、通常、日本国内で多用されている、周波数2.45GHzのマイクロ波を利用すれば良い。以下、マイクロ波の照射条件については、この周波数2.45GHzのマイクロ波を選択した場合を前提としたものであるが、他のマイクロ波を選択した場合には、これに準じて適宜照射条件を変更すれば良い。
マイクロ波の照射強度は、一般に、溶液中の金属塩、合成用有機溶媒の種類などにより異なる。マイクロ波の照射強度が過度に小さくなると、加熱時間が長くなるなど傾向が見られる。一方、マイクロ波の照射強度が過度に大きくなると、加熱時間が極端に短くなり、生成する金属超微粒子の粒径分布を制御しにくくなるなどの傾向が見られる。したがって、マイクロ波の照射強度の選択には、これらに留意すると良い。
通常、マイクロ波の照射強度としては、具体的には、例えば、その好ましい上限値として、24W/cm、18W/cm、12W/cmなどを例示することができる。
一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、具体的には、例えば、1W/cm、2W/cm、3W/cm、4W/cmなどを例示することができる。なお、これらマイクロ波の照射強度は、マイクロ波出力(W)/反応溶液の体積(cm)で表される値である。
また、上述した何れの加熱手法とも、加熱時間は、一般に、溶液中の金属塩、合成用有機溶媒の種類、反応温度などにより異なる。加熱時間が過度に短くなると、十分に金属超微粒子が生成しないなどの傾向が見られる。一方、加熱時間が過度に長くなると、生産性が低下したり、副反応物の生成によって金属超微粒子の純度が低下したりするなどの傾向が見られる。したがって、加熱時間の選択には、これらに留意すると良い。
通常、加熱時間としては、具体的には、例えば、その好ましい上限値として、2時間以下、1.5時間以下、1時間以下などを例示することができる。
一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、具体的には、例えば、1分以上、2分以上、3分以上、5分以上などを例示することができる。但し、マイクロ波加熱の場合には、反応温度までの昇温時間を、外部加熱に比較して短時間で行うことができる。
また、上述した何れの加熱手法とも、反応時の溶液の温度(反応温度)は、ほぼ一定となるように制御されていると良い。反応温度としては、使用する合成用有機溶媒の沸点近傍の温度に設定すると良い。
反応温度としては、具体的には、例えば、その好ましい上限値として、300℃、275℃、250℃などを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、具体的には、例えば、80℃、100℃、120℃などを例示することができる。
なお、マイクロ波加熱を行う場合、反応温度の制御は、例えば、上記溶液中に温度センサーを漬け、溶液の温度が一定になるように、マイクロ波の照射のオン/オフを繰り返すことなどにより行うことができる。また、マイクロ波の照射は、公知のマイクロ波照射装置を用いて行えば良い。
また、合成される金属超微粒子の特性などに悪影響を与えない範囲内であれば、マイクロ波照射による加熱手法以外にも、例えば、ヒーターなどによる電熱、熱せられたオイル、水などの熱媒体、バーナ火炎、熱風などの外部熱源により溶液を熱伝導などで加熱する方法などを併用しても良い。
2.3 金属微粒子の回収
本製法では、金属超微粒子を合成した後、生成した金属超微粒子を合成液から回収する。回収方法としては、一般的な手法を用いれば良い。具体的には、例えば、遠心分離、濾過、溶媒抽出などの手法を例示することができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いても良い。また、これらは1回または複数回行っても良い。
より具体的な回収方法としては、例えば、合成液の上澄み液を除去し、これに、洗浄性があり、かつ、金属超微粒子に対して貧溶媒の溶媒(例えば、メタノールなど)を投入し、洗浄・遠心分離による沈澱処理を繰り返し行った後、得られた沈澱物を減圧乾燥することにより、金属超微粒子を回収する方法などを例示することができる。
2.4 ペースト化
本製法では、得られた金属超微粒子を特定の有機溶媒中に分散させ、これにより導電性ペーストを得る。
上記特定の有機溶媒については、上記1.2の項にて既に例示しているので、詳細な説明は省略する。
また、本製法では、金属超微粒子と有機溶媒とを一緒に混合した後に、金属超微粒子の分散処理をしても良いし、金属超微粒子と有機溶媒との混合中に金属超微粒子の分散処理をしても良い。
つまり、最終的に、有機溶媒中に含まれる金属超微粒子が均一に分散されてペースト状になった状態が得られれば、その混合、分散処理の順序は特に限定されるものではない。
また、上記混合手段は、特に限定されるものではない。混合手段としては、具体的には、例えば、プロペラ型、乳鉢などのすり潰し式、回転型(自転・公転による回転)、振動型などの撹拌器、3本ロール、ビーズミルなどを例示することができる。
一方、分散手段としては、金属超微粒子を均一に分散させることができれば、何れの種類の分散手段を用いても良い。分散手段としては、具体的には、例えば、超音波処理、ビーズミル、超臨界状態による分散処理などを例示することができる。
また、得られた導電性ペースト中に占める金属成分の含有量は、特に限定されることなく、用途などを考慮して適宜調節することができる。一般的には、例えば、その好ましい上限値として、90量%、85量%、80量%などを例示することができる。一方、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値として、1量%、2量%、5量%などを例示することができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
参考例1に係る導電性ペースト)
ラウリン酸銀塩(C1123COOAg)5mmolを、合成用有機溶媒としての1−ヘキサノール25ml中に混合し、その後、超音波処理を行い、分散溶液を作製した。
次に、マイクロ波照射装置(マイクロ電子(株)製、2,450MHzマイクロ波加熱装置「MMG−213VP」)を用いて、窒素雰囲気下中、6W/cmの照射強度でマイクロ波(周波数2.45GHz)を分散溶液に照射し、溶液の温度を157℃(反応温度)に制御しながら、11分間加熱した。なお、反応温度の制御は、溶液中に温度センサーを漬け、溶液の温度が一定になるように、マイクロ波照射のオン/オフを繰り返すことにより行った。
次に、これら操作後の合成液をヘキサンに分散し、それをカーボンメッシュに滴下・乾燥して得た試料を、透過型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、「日立透過電子顕微鏡H−9000」)で観察した。その結果、ナノサイズの超微粒子が生成していることが確認された。
次に、上記操作後の合成液にメタノールを投入し、遠心分離により超微粒子を沈澱させ、上澄み液を除去した。次いで、再度メタノールを投入し、超微粒子の沈澱、上澄み液の除去を繰り返し実施した。次いで、回収した沈澱物を真空乾燥することにより、超微粒子をドライ回収した。
次いで、回収した超微粒子を用いてX線回折を行った。その結果によれば、銀のみが生成していることが確認された。したがって、上記超微粒子のコアを構成する金属の種類は、銀であることが確認された。
次いで、回収した銀超微粒子について、GC/MS(ガスクロマトグラフィ/質量分析)分析を実施した。その結果、ラウリン酸が検出された。したがって、銀コアの周囲を覆う有機成分の種類は、ラウリン酸基であることが確認された。
次いで、回収した銀超微粒子につき、JIS K0129「熱分析通則」、JIS K7120「プラスチックの熱重量測定方法」に準拠して熱重量分析を行い、室温〜600℃までの減量率から、銀超微粒子中に含まれる有機成分の含有量を求めた。その結果、有機成分の含有量は14量%であった。
次いで、上記透過型電子顕微鏡(TEM)写真から、銀超微粒子を任意に100個抽出し、銀コアの平均粒径(D50)、粒径分布のシャープさεを解析した。その結果、銀コアの平均粒径は5.0nmであった。また、粒径分布のシャープさεは0.33であり、狭い粒度分布を有していることが確認された。
次に、ドライ回収した銀超微粒子58gと、ペースト化用有機溶媒としてのトルエン(誘電率=2、BIC(株)製、誘電率測定装置「BI−870」により測定)108gとを配合し、乳鉢上で磨り潰しながら混合し、これをガラス管に入れた状態で、超音波洗浄器により銀超微粒子を15分間超音波分散させた。これにより、参考例1に係る導電性ペーストを得た。
次に、参考例1に係る導電性ペーストを、ガラス基板上にスピンコート法により塗工(塗布寸法26mm×38mm)し、100℃で60分間乾燥してトルエンを揮発させた後、大気雰囲気中にて200℃で30分間焼成し、焼成膜とした。
次に、低抵抗測定器(4端子4探針法、(株)ダイアインスツルメンツ製、「ロレスタGP MCP−T610型」)を用い、上記焼成膜の表面抵抗率を測定した後、触針式表面形状測定器((株)アルバック製、「Dektak」)で膜厚段差を測定し、膜厚を求めた。そして得られた表面抵抗率と膜厚とから体積抵抗率を算出した。その結果、焼成膜の体積抵抗率は、4.2×10−6Ω・cmであった。
なお、この表面抵抗率の測定、体積抵抗率の算出は、JIS K7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠して行った。但し、面積は、26mm×38mmで、測定装置は、(X,Y)=(10mm,15mm)、(30mm,15mm)、(20mm,10mm)、(10mm,5mm)、(30mm,5mm)の5点で補正係数を算出した上で、表面抵抗率を測定し、体積抵抗率を算出した。
次に、削り取った焼成膜について上記と同様に熱重量分析を行い、室温〜600℃までの減量率から、焼成膜中に含まれる残留有機成分の含有量を求めた。その結果、残留有機成分の含有量は、0.19量%であった。
次に、作製した導電性ペーストの分散安定性を確認した。すなわち、上記導電性ペーストを、用いたペースト化用有機溶媒で0.1量%の銀濃度に希釈し、これを50mLのスクリュー管に30mL入れ、3日間静置した後、沈澱の有無を目視にて確認した。その結果、沈澱は確認されなかった。
次に、上記作製した焼成膜の表面粗さを求めた。すなわち、JIS B0651に規定された触針式表面粗さ測定機を用いて、JIS B0633 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−表面性状評価の方式および手順に基づき、焼成膜表面の算術平均粗さRa(定義:JIS B0601)を測定した。その結果、算術平均粗さRaは、0.12μmであった。
参考例2に係る導電性ペースト)
上記参考例1に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてキシレン(誘電率=2)を用いた以外は同様にして、参考例2に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例1と同様の試験を行った結果、参考例1とほぼ同等の結果が得られた。
参考例3に係る導電性ペースト)
上記参考例1に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてウンデカン(誘電率=2)を用いた以外は同様にして、参考例3に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例1と同様の試験を行った結果、参考例1とほぼ同等の結果が得られた。
(実施例4に係る導電性ペースト)
上記参考例1に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてテルピネオール(誘電率=4)を用いた以外は同様にして、実施例4に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例1と同様の試験を行った結果、参考例1とほぼ同等の結果が得られた。
(実施例5に係る導電性ペースト)
上記参考例1に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてテトラヒドロフラン(誘電率=7)を用いた以外は同様にして、実施例5に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例1と同様の試験を行った結果、参考例1とほぼ同等の結果が得られた。
(実施例6に係る導電性ペースト)
上記参考例1に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてデカノール(誘電率=10)を用いた以外は同様にして、実施例に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例1と同様の試験を行った結果、参考例1とほぼ同等の結果が得られた。
参考例7に係る導電性ペースト)
上記参考例1に係る導電性ペーストの作製において、ラウリン酸銀塩(C1123COOAg)に代えてステアリン酸銀塩(C1735COOAg)を用いた点、加熱時間を11分間から20分間に変えた以外は同様にして、参考例7に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例1と同様の試験を行った結果、X線回折では、銀のみが生成していることが確認された。また、GC/MS(ガスクロマトグラフィ/質量分析)分析では、ステアリン酸が検出された。また、有機成分の含有量は28量%であった。また、銀コアの平均粒径は5.3nmであった。また、粒径分布のシャープさεは0.625であった。その他については、参考例1とほぼ同等の結果が得られた。
参考例8に係る導電性ペースト)
上記参考例7に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてキシレン(誘電率=2)を用いた以外は同様にして、参考例8に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例7と同様の試験を行った結果、参考例7とほぼ同等の結果が得られた。
参考例9に係る導電性ペースト)
上記参考例7に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてウンデカン(誘電率=2)を用いた以外は同様にして、参考例9に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例7と同様の試験を行った結果、参考例7とほぼ同等の結果が得られた。
(実施例10に係る導電性ペースト)
上記参考例7に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてテルピネオール(誘電率=4)を用いた以外は同様にして、実施例10に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例7と同様の試験を行った結果、参考例7とほぼ同等の結果が得られた。
(実施例11に係る導電性ペースト)
上記参考例7に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてテトラヒドロフラン(誘電率=7)を用いた以外は同様にして、実施例11に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例7と同様の試験を行った結果、参考例7とほぼ同等の結果が得られた。
(実施例12に係る導電性ペースト)
上記参考例7に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてデカノール(誘電率=10)を用いた以外は同様にして、実施例12に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例7と同様の試験を行った結果、参考例7とほぼ同等の結果が得られた。
参考例13に係る導電性ペースト)
上記参考例1に係る導電性ペーストの作製において、マイクロ波照射加熱に代えて、157℃に設定したオイルバス中に、分散溶液を入れたフラスコ(窒素ガスを封入)を入れ、60分間加熱した以外は同様にして、参考例13に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例1と同様の試験を行った結果、有機成分の含有量は12量%であった。また、銀コアの平均粒径は8.0nmであった。また、粒径分布のシャープさεは1.04であった。その他については、参考例1とほぼ同等の結果が得られた。
参考例14に係る導電性ペースト)
上記参考例7に係る導電性ペーストの作製において、マイクロ波照射加熱に代えて、157℃に設定したオイルバス中に、分散溶液を入れたフラスコ(窒素ガスを封入)を入れ、60分間加熱した以外は同様にして、参考例14に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例7と同様の試験を行った結果、有機成分の含有量は26量%であった。また、銀コアの平均粒径は15.3nmであった。また、粒径分布のシャープさεは1.52であった。その他については、参考例7とほぼ同等の結果が得られた。
(比較例1に係る導電性ペースト)
上記参考例1に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてヘキサノール(誘電率=13)を用いた以外は同様にして、比較例1に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例1と同様の試験を行った結果、焼成膜の体積抵抗率は4.8×10−6Ω・cmであった。また、残留有機成分の含有量は、0.15量%であった。また、分散安定性評価では、沈澱が確認された。また、表面粗さRaは、0.26μmであった。
(比較例2に係る導電性ペースト)
上記参考例7に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてヘキサノール(誘電率=13)を用いた以外は同様にして、比較例2に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例7と同様の試験を行った結果、焼成膜の体積抵抗率は5.9×10−6Ω・cmであった。また、残留有機成分の含有量は、0.30量%であった。また、分散安定性評価では、沈澱が確認された。また、表面粗さRaは、0.25μmであった。
(比較例3に係る導電性ペースト)
上記参考例13に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてヘキサノール(誘電率=13)を用いた以外は同様にして、比較例3に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例13と同様の試験を行った結果、焼成膜の体積抵抗率は6.5×10−6Ω・cmであった。また、残留有機成分の含有量は、0.23量%であった。また、分散安定性評価では、沈澱が確認された。また、表面粗さRaは、0.27μmであった。
(比較例4に係る導電性ペースト)
上記参考例14に係る導電性ペーストの作製において、ペースト化用有機溶媒として、トルエン(誘電率=2)に代えてヘキサノール(誘電率=13)を用いた以外は同様にして、比較例4に係る導電性ペーストを得た。
次いで、得られた導電性ペーストについて、参考例14と同様の試験を行った結果、焼成膜の体積抵抗率は6.9×10−6Ω・cmであった。また、残留有機成分の含有量は、0.31量%であった。また、分散安定性評価では、沈澱が確認された。また、表面粗さRaは、0.28μmであった。
(比較例5に係る導電性ペースト)
ガス中蒸発法で製造された銀超微粒子を含む市販の導電性ペースト(真空治金(株)製、「ナノメタルインクAgIT」)を比較例として使用した。
ここで、比較例に係る導電性ペーストをガラス基板上に塗工し、形成した塗工膜を電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)((株)日立ハイテクノロジーズ製、「日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800」)で観察した結果、含まれる銀超微粒子は、粒子径2〜10nmの分布を持っていることが確認された。
また、参考例1と同様にして試験を行ったところ、焼成膜の体積抵抗率は、8.0×10−6Ω・cmであった。また、焼成膜中に占める残留有機成分の含有量は、1.10量%であった。また、分散安定性評価では、沈澱は確認されなかった。また、表面粗さRaは、0.11μmであった。
上記実施例、比較例についてまとめたものを表1〜3に示す。
なお、表では、各焼成膜の体積抵抗率については、7.5×10−6Ω・cm以下であった場合を合格と判定し、丸印で示している。一方、7.5×10−6Ω・cmを越えた場合を不合格と判定し、バツ印で示している。
また、焼成膜中に占める残留有機成分の含有量については、1.0量%以下であった場合を合格と判定し、丸印で示している。一方、1.0量%を越えた場合を不合格と判定し、バツ印で示している。
また、分散安定性評価については、沈澱がなかった場合を合格と判定し、丸印で示している。一方、沈澱があった場合を不合格と判定し、バツ印で示している。
また、表面粗さRaについては、0.20μm以下であった場合を合格と判定し、丸印で示している。一方、0.20μmを越えた場合を不合格と判定し、バツ印で示している。
Figure 0004906301
Figure 0004906301
Figure 0004906301
以上の結果から、次のようなことが分かる。すなわち、ペースト化用有機溶媒が特定の誘電率の範囲内にない比較例1〜4に係る導電性ペーストは、含まれる金属超微粒子の分散安定性が悪いことが分かる。また、これに起因して、焼成膜の表面粗さも、他のペーストを用いた場合に比べて劣っていることが分かる。
また、特定の金属超微粒子を用いていない比較例5に係る導電性ペーストは、200℃程度の低温焼成では、焼結膜の体積抵抗率が比較的高く、十分に焼結されていないことが分かる。これは、銀コアを覆う保護剤成分の分解性が悪いことなどが主な原因であると考えられる。また、焼結が十分でないため、焼成膜中に残留有機成分が多く残存していることも分かる。
これらに対して、実施例に係る導電性ペーストでは、特定の有機溶媒中に特定の銀超微粒子を分散しているので、200℃程度の低温焼成で十分に焼結し、従来に比較して低抵抗化を図れていることが確認できた。そのため、これを例えば、ビアホールの導電材料などに用いた場合には、リフロー時や乾燥などの熱処理工程などにおけるアウトガスの発生量を少なくすることができる。
また、含まれる金属超微粒子が凝集し難く、分散安定性に優れていることが分かる。そのため、これに起因して、焼成膜の表面粗さが小さく、膜の表面平滑性に優れていることが分かる。
以上、実施形態、実施例について説明したが、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (6)

  1. 有機溶媒にナノサイズの金属超微粒子が分散されてなる導電性ペーストであって、
    前記金属超微粒子は、下記の化1で表される金属塩に由来する金属成分から構成された金属コアと、前記金属塩に由来し、前記金属コアの周囲を覆う有機成分とを有し、
    前記有機溶媒は、その誘電率が1.5以上13未満の範囲内にある1種または2種以上の有機溶媒よりなることを特徴とする導電性ペースト。
    (化1)
    (R−A)−M
    (但し、Rは炭素数が10または11の炭化水素基、AはCOO、OSO、またはOPO、Mは銀、金または白金、nはMの価数である。)
  2. 前記(R−A)−Mは、C1021COOAgまたはC1123COOAgであることを特徴とする請求項に記載の導電性ペースト。
  3. 前記金属コアは、その平均粒径が2〜30nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記金属超微粒子中に占める前記有機成分の含有量は、4〜30質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  5. 前記金属超微粒子は、前記金属塩を合成用有機溶媒に溶解または分散してなる溶液を加熱することにより合成されたものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  6. 前記溶液の加熱は、外部熱源またはマイクロ波照射によることを特徴とする請求項に記載の導電性ペースト。
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