しかしながら、前記分離供給装置は、前記シート集積体からシート束を分離する工程とシート束をパレットに積載する工程とを連続して自動的に行うものではなく、シート束をパレットに積載する工程には、別に作業者が必要であった。
また、前記分離供給装置においては、分離部材をシート集積体に近接させる動作は人手で行っているから、前記シート集積体からシート束を分離する工程も完全には自動化されない。
更に、複数の梱包形態や製品形態が混在しているときは、前記分離供給装置を用いても対応が困難であった。
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、前記シート集積体からシート束を分離する工程とシート束をパレットに積載する工程とを連続して自動的に行うことができ、シート梱包の全自動化を達成できるだけでなく、多数の梱包形態や製品形態にも容易に対応できるシート自動包装システム、および前記シート自動包装システムにおいて好適に使用されるシート移載集積装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、シート束が凭せ掛けられる背凭れ部と、前記シート束の側面が当接する積載部とを備える縦置き型スキッドにシート束を積載するシート移載積載装置であって、前記縦置き型スキッドを、背凭れ部が略水平になるように仰臥した状態で支持するスキッド支持手段と、前記スキッド支持手段で支持された背凭れ部上に前記シート束を移載し、集積する移載集積手段と、移載集積手段でシート束が移載、集積された縦置き型スキッドを起立させるスキッド起立手段とを備えてなることを特徴とするシート移載集積装置に関する。
前記シート移載集積装置においては、前記スキッド支持手段で仰臥状態に支持された縦置き型スキッドの背凭れ部に移載集積手段によってシート束を平積みし、スキッド起立手段によって縦置き型スキッドを起立させている。
したがって、縦置き型スキッドにシート束を載置するにも係わらず、シート束を水平に保持した状態で載置できるから、シート束を起立させつつ載置する必要がない。したがって、シート束の移載、集積が極めて容易であり、しかも、載置時にシート束を起立させることに起因して生じる品質故障を効果的に防止できる。
また、シート束の移載、集積時において、前記スキッド支持手段によって前記背凭れ部が前記積載部に向かって水平面よりも下向きに傾斜するように支持することにより、背凭れ部に積載されたシート束は、積載部に向かって自動的に滑っていく。これによってシート束は、天地方向に自動的に揃えられる。
更に、移載集積手段でシート束を移載、集積した後、スキッド起立手段によって縦置き型スキッドを起立させているから、人手によって縦置き型スキッドを起立させる必要がない。したがって、人手作業が必要なのは、スキッド支持手段に縦置き型スキッドを装着する操作だけであり、前記装着操作を自動化すれば、基本的には人手作業は不要になる。
請求項2に記載の発明は、前記移載集積手段でシート束を集積する際に、前記シート束の一の側縁を突き当てて揃える揃いガイドを備えてなり、前記スキッド支持手段は、縦置き型スキッドが有する背凭れ部の側縁の一方が前記揃いガイドに沿って位置するとともに、前記揃いガイドに沿って位置する側の側縁が反対側の側縁よりも低くなるように前記縦置き型スキッドを支持する請求項1に記載のシート移載集積装置に関する。
前記シート移載集積装置においては、縦置き型スキッドがスキッド支持手段によって支持された状態においては、前記縦置き型スキッドの背凭れ部は、積載部に向かって下向きに傾斜するとともに、背凭れ部の揃いガイドに位置する側の側縁が反対側の側縁よりも低くなるように傾斜する。
したがって、背凭れ部に載置されたシート束は、積載部に突き当てられるとともに、揃いガイドに突き当てられるから、天地方向だけでなく左右方向にも揃った状態で集積される。
請求項3に記載の発明は、前記スキッド支持手段が、縦置き型スキッドを仰臥した状態で昇降させるスキッド昇降手段を備える請求項2に記載のシート移載集積装置に関する。
前記シート移載集積装置においては、シート束を縦置き型スキッドに1束載置する毎に前記スキッド昇降手段によって前記縦置き型スキッドをシート束一束分の高さだけ下降させることにより、移載集積手段においては、常に一定の高さでシート束を積載できるから、移載集積手段の構成を簡易化できる。
請求項4に記載の発明は、前記スキッド支持手段が、縦置き型スキッドの背凭れ部の水平面に対する角度を調節するスキッド角度調節手段を備える請求項2または3に記載のシート移載集積装置に関する。
前記シート移載集積装置においては、スキッド角度調節手段によって縦置き型スキッドの背凭れ部の角度を変更することにより、シート束のサイズや重量に応じて最も安定に積載できる条件でシート束の移載集積を行うことができる。また、背凭れ部の角度を、積載部に向かって下向きに傾斜するように調節することにより、シート束を積載部に突き当てて天地方向を揃えることができる。
請求項5に記載の発明は、前記スキッド支持手段に縦置き型スキッドを装着するスキッド装着手段を備える請求項2〜4のいずれか1項に記載のシート移載集積装置に関する。
前記シート移載集積装置においては、スキッド支持手段に縦置き型スキッドを装着する操作も自動化されるから、基本的には人手作業は不要である。
請求項6に記載の発明は、縦置き型スキッドが、起立した状態で前記スキッド支持手段に装着されるとともに、装着された縦置き型スキッドを起立した状態から仰臥させる請求項2〜5の何れか1項に記載のシート移載集積装置に関する。
前記シート移載集積装置においては、縦置き型スキッドは、起立した状態で前記スキッド支持手段に装着される。ここで、縦置き型スキッドは、通常、起立した状態で客先から返送され、保管されるから、縦置き型スキッドを横倒しにすることなく、そのまま前記スキッド支持手段に装着できる。
請求項7に記載の発明は、シート束を所定の包装形態に包装するシート自動包装システムであって、シート束の片面または両面に当てボールが積層されているときに、包装形態に応じて前記当てボールを分離する当てボール分離部と、前記当てボール分離部にシート束を供給するシート束供給部と、前記当てボール分離部を通過したシート束の側縁部を、包装形態に応じてテープで固定するテープ固定部と、前記テープ固定部を通過したシート束をスキッドに移載、集積する移載集積部とを備えてなることを特徴とするシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムにおいては、供給されたシート束を、必要に応じて当てボールを分離してからスキッドに載置するまでの全ての工程を、人手作業を介さずに行うことができるから、作業者毎の作業時間のばらつきを解消することができる。
また、一定時間内に常に一定の品質の梱包構造体を製造できる。
加えて、前記当てボール分離部においては、シート束の両面に当てボールが積層されているときに、両面の当てボールを分離するか、片面のみ当てボールを分離するか、当てボールを分離しないか、片面のみ当てボールを分離するときは何れの側の当てボールを分離するかなどを設定できる。また、前記テープ固定部においては、シート束の側縁部をテープで固定するか否か、テープで固定する場合は、シート束のどの位置にテープを貼着するかなどを設定できる。
したがって、両面に当てボールを積層したシート束を積層した形態、片面に当てボールを積層したシート束を積層した形態、当てボールの無いシート束を積層した形態、シート束の側縁部をテープ止めした形態など、種々の包装形態の梱包構造体を1つのシート自動包装システムで作製できる。
請求項8に記載の発明は、前記シート束供給部が、シート材またはシート束を厚さ方向に積層したシート集積体から1束のシート束を分離するシート束分離装置を備える請求項7に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムにおいては、シート集積体から1束のシート束を分離してからスキッドに載置するまでの全ての工程を、人手作業を介さずに行うことができるから、作業者毎の作業時間のばらつきを更に効果的に解消することができる。また、一定時間内に製造される梱包構造体の個数および品質は更に安定する。
請求項9に記載の発明は、前記シート束分離装置が、シート束を前記シート集積体から分離するシート束分離位置を非接触で特定する分離位置特定手段と、前記分離位置特定手段で特定したシート束分離位置で前記シート束を分離するシート束分離手段とを有してなる請求項7または8に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムにおいては、シート束分離装置は、分離位置特定手段とシート束分離装置とを有する。そして、分離位置特定手段によってシート束分離位置が非接触で特定され、シート束分離装置によって前記シート束分離位置でシート束が自動的に分離される。
したがって、接触子などの先端をシート集積体の側面に接触させて上から下、または下から上に移動させてシート束分離位置を機械的に求める機械的手段とは異なり、シート束を分離する際にシート集積体を傷めることがない。
請求項10に記載の発明は、前記シート束分離手段が、シート集積体におけるシート束分離位置よりも上の層を水平方向に押動して前記シート集積体におけるシート束分離位置よりも下の層に対して水平方向に突出させるプッシャと、シート集積体におけるシート束分離位置よりも下の層をプッシャによる押動によってずれないように保持するストッパと、前記シート集積体におけるプッシャで押動されて突出した層をシート束として取り出すシート束取出し手段とを備える請求項9に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムが備えるシート束分離装置においては、両面に当てボールを積層したシート束を積層した形態のシート集積体からシート束を分離する場合には、分離しようとする一のシート束の下面の当てボールと、残りのシート集積体の上面の当てボールとの間で前記一のシート束が分離されるように、前記プッシャとストッパとでシート集積体を押動することにより、シート束を構成するシート材を傷つけることなく、シート束の分離を行うことができる。
請求項11に記載の発明は、前記シート束分離手段が、シート束分離位置でシート集積体に挿入されるナイフエッジと、シート束分離位置でシート集積体に挿入されたナイフエッジを上昇させて前記シート集積体からシート束を分離するナイフエッジ上昇手段と、前記ナイフエッジ上昇手段でナイフエッジを上昇させて分離したシート束を取り出すシート束取出し手段とを備えてなる請求項9に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムの備えるシート束分離装置においては、前記ナイフエッジ進退手段は、シート束分離位置においてナイフエッジをシート集積体に向って進め、シート集積体に挿入させる。なお、シート束分離位置に保護部材を挿入したシート集積体の場合には、ナイフエッジをシート集積体に挿入する代りに、シート束の下側の保護部材に突き刺してもよい。
ナイフエッジがシート集積体に挿入されたら、ナイフエッジ上昇手段はナイフエッジを上昇させてシート集積体からシート束を分離する。そしてシート束取出し手段で前記分離されたシート束を取り出す。
したがって、シート束分離手段の構成が簡易である。
請求項12に記載の発明は、前記シート束供給部は、シート束を前記当てボール分離部に搬送、供給するシート供給コンベアを備えてなる請求項7〜11の何れか1項に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムにおいては、シート材を積層してシート束とするシート束製造ラインをシート供給コンベアの上流側に接続することにより、シート材を積層してシート束を製造してからスキッドに載置するまでの全ての工程を、人手作業を介さずに行うことができる。
請求項13に記載の発明は、前記当てボール分離部が、シート束を両側から挟持しつつ転動し、前記シート束の両面に積層された当てボールを吸着して前記シート束から分離する一対の吸着ローラと、前記吸着ローラによって分離された当てボールを、前記シート束から分離された当てボールを収容する当てボール収容部に向かって案内する当てボール案内手段とを備えてなる請求項7〜12の何れか1項に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムが備える当てボール分離部においては、前記シート束の当てボールを吸着除去するのに、吸着ローラの吸着力を用いている。ここで吸着ローラは、表面に多数設けた細孔を通して内部を真空吸引することにより、当てボールを吸着除去しているから、当てボールを吸着後、所定の角度だけ回転した時点で真空吸引が切れるように前記吸着ローラを構成することにより、当てボールを、表面を損傷させること無く、吸着ローラから分離できる。
したがって、当てボール収容部に収容された当てボールは再利用が容易であるから、コストダウンが図れる。また、当てボールは廃棄物として廃棄しないで済むから、廃棄物の量を大幅に削減できる。
当てボール分離部においては、前記一対の吸着ローラの両方において吸引を行うことにより、シート束の両面の当てボールを除去できる。そして、前記吸着ローラの一方のみにおいて吸引を行うことにより、シート束の一方の面のみ当てボールを除去できる。シート束から当てボールを除去しないとき、およびシート束が当てボールを有しないときは、前記吸着ローラにおいて吸引を行わず、転動のみさせればよい。
請求項14に記載の発明は、前記当てボール分離部が、前記シート束を所定の方向に沿って搬送するシート束搬送手段を備え、前記当てボール分離部における吸着ローラが、前記シート束搬送手段で搬送されるシート束を挟持しつつ回転する請求項13に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムの備える当てボール分離部においては、吸着ローラは一定の位置で回転させるだけでよいから、吸着ローラを、シート束に対して移動させる機構が不要である。
したがって、当てボール分離部の構成が簡略化される。
請求項15に記載の発明は、 前記テープ固定部が、前記当てボール分離部から搬送されてきたシート束を所定の位置に保持するシート束保持手段と、前記シート束の搬送経路を挟むように1対または2対以上設けられ、前記シート束保持手段で保持されたシート束の前記搬送経路に対して平行な一対の側縁にテープを貼着するテープ貼着部とを備え、前記テープ貼着部が、前記シート束保持手段で保持されたシート束に向かってテープを所定の長さだけ送り出すテープ送出ローラと、前記テープ送出ローラでテープが所定の長さだけ送り出されたら前記テープを切断するカッタと、前記カッタで切断されたテープを、前記シート束の側縁部を包み込むように前記シート束に貼着するテープ貼着手段とを備えてなる請求項7〜14の何れか1項に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムにおいては、シート束保持手段でシート束が所定位置に保持されると、前記テープ貼着部の備えるテープ送出ローラによってテープが所定の長さだけ送り出されて前記カッタで切断される。そして、テープ貼着手段によって前記テープがシート束の前記搬送経路に対して平行な一対の側縁およびその近傍を包み込むように貼着される。これにより、シート束の側縁部がテープで固定されてシート束が一体化される。
請求項16に記載の発明は、前記テープ貼着部が、前記シート束に対し、前記シート束の搬送方向に沿って相対的に移動可能である請求項15に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムにおいては、前記テープ貼着部を移動させることにより、前記シート束にテープを貼着する位置を任意に設定できる。
請求項17に記載の発明は、前記テープ貼着部が、前記シート束の搬送方向に対して直交する方向に沿って移動可能な請求項15または16に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムにおいては、前記テープ貼着部を、前記シート束の搬送方向に対して直交する方向に沿って移動させることにより、前記搬送方向に対して直交する方向の寸法が異なるシート束にも自動的に対応できる。
請求項18に記載の発明は、前記シート束保持手段が、第1の位置、およびシート束の搬送方向に沿って前記第1の位置よりも下流側の第2の位置の何れかの位置においてシート束を保持する請求項15に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムが備えるテープ固定部においては、前記シート束保持手段において前記第1の位置と前記第2の位置との何れにおいてシート束を保持するかを選択することにより、テープを貼着する位置を選択できる。
請求項19に記載の発明は、前記移載集積部においてシート束が移載、集積されるスキッドが、シート束が凭せ掛けられる背凭れ部と、前記シート束の側面が当接する積載部とを備え、前記シート束が実質的に縦方向に載置される縦置き型スキッドであり、前記移載集積部は、請求項1〜6の何れか1項に記載のシート移載集積装置を備える請求項7〜18の何れか1項に記載のシート自動包装システムに関する。
前記シート自動包装システムは、シート束を縦置き型スキッドに載置する場合に好適に使用される。
以上説明したように、本発明によれば、シート梱包の全自動化を達成できるだけでなく、多数の梱包形態や製品形態にも容易に対応できるシート自動包装システムが提供される。
1.実施形態1
本発明のシート自動包装システムの一例である平版印刷版用の自動包装システムについて以下に説明する。
図1に示すように、実施形態1に係る自動包装システム1000においては、本発明のシート束の一例である平版印刷版束202の流れる方向aに沿って上流側から下流側に向かって順に、製品供給部102、当てボール分離部104、テープ固定部106、およびスキッド集積部108がこの順に配設されている。製品供給部102およびスキッド集積部108は、夫々本発明におけるシート束供給部および移載集積部に相当する。自動包装システム1000には、更に、平版印刷版束202を搬送方向aに沿って当てボール分離部104からテープ固定部106に移送し、次いでスキッド集積部108に移送するベルトコンベア112が設けられている。製品供給部102、当てボール分離部104、テープ固定部106、スキッド集積部108、およびベルトコンベア112は、中央制御コンピュータ120によって制御されている。
製品供給部102は、当てボール分離部104に平版印刷版束202を供給する機能を有する。本発明のシート集積体に相当する平版印刷版集積体200から平版印刷版束202を分離する平版印刷版束分離装置100と、上流に位置する平版印刷版製造ライン110で作製された平版印刷版束202を当てボール分離部104に供給する直結コンベア150とを備える。直結コンベア150は、本発明におけるシート供給コンベアに相当する。
当てボール分離部104は、製品供給部102から供給された平版印刷版束202から、予め設定された包装形態に応じて上当てボール206および下当てボール208の何れかまたは両方を分離する機能を有する。なお、平版印刷版束202から上当てボール206および下当てボール208を分離しない場合、および平版印刷版束202から上当てボール206および下当てボール208を有しない場合は、当てボール分離部104において上当てボール206および下当てボール208の分離操作を行うことなく、平版印刷版束202を通過させる。
テープ固定部106は、当てボール分離部104を通過した平版印刷版束202の四隅を、予め設定された包装形態に応じてテープで固定する機能を有する。なお、平版印刷版束202をテープで固定しない場合は、テープ固定操作を行うことなく、そのまま通過させる。
スキッド集積部108は、テープ固定部106を通過した平版印刷版束202を縦置き型スキッド500に積載する機能を有する。
スキッド集積部108で平版印刷版束202が所定の個数だけ集積された縦置き型スキッド500は、包装工程において外装材で包装され、出荷される。スキッド集積部108においては、縦置き型スキッド500以外に平積み型スキッドも使用される。
自動包装システム1000で自動包装される平版印刷版束202は、図18および図19に示すように、所定の枚数の平版印刷版204を厚さ方向に積層したものの両面を保護用のボール紙である上当てボール206と下当てボール208とで挟んだサンドイッチ構造を有する。上当てボール206および下当てボール208は、本発明における当てボールに相当する。平版印刷版束202を上当てボール206が上に、下当てボール208が下になるように積層することにより、本発明のシート集積体に相当する平版印刷版集積体200が形成される。なお、平版印刷版束202は、上当てボール206と下当てボール208を有せず、平版印刷版204を厚さ方向に積層しただけのものであってもよい。
以下、自動包装システム1000の各部分について説明する。
1−1 製品供給部
製品供給部102は、平版印刷版集積体200から平版印刷版束202を分離する平版印刷版束分離装置100と、上流に位置する平版印刷版製造ライン110で製造された平版印刷版束202を当てボール分離部104に供給する直結コンベア150とを備える。直結コンベア150は、本発明におけるシート供給コンベアに相当する。
平版印刷版束分離装置100は、図2に示すように、ベルトコンベア114で搬入された平版印刷版集積体200が載置される昇降テーブル2と、昇降テーブル2の近傍に設けられ、分離しようとする平版印刷版束202を水平方向に押動して平版印刷版集積体200から突出させるプッシャ6と、昇降テーブル2を挟んでプッシャ6に相対するように設けられ、プッシャ6で押動する平版印刷版束202の直下に位置する平版印刷版束202を、プッシャ6による押動でずれないように保持するストッパ4と、ストッパ4を昇降させるストッパ昇降装置8と、プッシャ6を昇降させるプッシャ昇降装置10と、ストッパ4の直上に設けられ、分離された平版印刷版束202が載置されるガイドテーブル12と、ストッパ4の近傍に位置し、平版印刷版集積体200の上から2番目の平版印刷版束202の上当てボール206の高さを検出するCCDカメラ14と、平版印刷版集積体200の最上段に位置する平版印刷版束202の下当てボール208の高さを検出するCCDカメラ16と、CCDカメラ14における検出結果に基づいてストッパ昇降装置8を駆動してストッパ4の高さを制御するストッパ昇降制御部18と、CCDカメラ16における検出結果に基づいてプッシャ昇降装置10を駆動してプッシャ6の高さを制御するプッシャ昇降制御部20と、プッシャ6で押動して突出させた平版印刷版束202を掴んでガイドテーブル12上に載置する束チャック22とを備える。CCDカメラ14と、CCDカメラ16と、ストッパ昇降制御部18と、プッシャ昇降制御部20とは、本発明で使用されるシート束分離装置の備える分離位置特定手段に相当する。ストッパ4と、プッシャ6と、束チャック22と、ガイドテーブル12とは、前記シート束分離装置の備えるシート束分離手段に相当する。昇降テーブル2の平版印刷版集積体200が載置される面には、プッシャ6によって押動した平版印刷版束202の平版印刷版集積体200から突出した一端を持ち上げる分離束支持装置24が設けられている。
ストッパ4は、昇降テーブル2に載置された平版印刷版集積体200の側面に当接するヘッド部4Aと、ヘッド部4Aを平版印刷版集積体200に向って進退させるアクチュエータ4Bと、アクチュエータ4Bが載置される台座部4Cとから構成されている。
同様に、プッシャ6は、分離しようとする平版印刷版束202を押圧するヘッド部6Aと、ヘッド部6Aを平版印刷版集積体200に向って進退させるアクチュエータ6Bと、アクチュエータ6Bが載置される台座部6Cとから構成されている。
ストッパ昇降装置8は、ストッパ4の台座部4Cに螺合して台座部4Cを昇降させるボール螺子8Aとボール螺子8Aを回転させるステッピングモータ8Bとからなる。同様に、プッシャ昇降装置10は、プッシャ6の台座部6Cに螺合して台座部6Cを昇降させるボール螺子10Aとボール螺子10Aを回転させるステッピングモータ10Bとからなる。
平版印刷版束分離装置100においては、以下のように平版印刷版集積体200から平版印刷版束202を分離する。
図1に示すように、ベルトコンベア114によって平版印刷版束分離装置100に新たな平版印刷版集積体200が搬入されると、図3において(A)に示すようにCCDカメラ14で平版印刷版集積体200の側面を撮像する。CCDカメラ14が、上から2段目の平版印刷版束202における平版印刷版204と上当てボール206との境界線を検出すると、ストッパ昇降制御部18は、ストッパ昇降装置8のステッピングモータ8Bにパルスを入力し、ストッパ4のヘッド部4Aの上端が上から2段目の平版印刷版束202の上当てボール206の中心と略同一の高さになるようにする。
同様に、プッシャ6においても、CCDカメラ16で平版印刷版集積体200の側面を撮像する。そして、最上段の平版印刷版束202における平版印刷版204と下当てボール208との境界線を検出すると、プッシャ昇降制御部20は、パルスを出力してプッシャ昇降装置10のステッピングモータ10Bを正または負の方向に回転させてプッシャ6の台座部6Cを上下させ、プッシャ6のヘッド部6Aの上端が最上段の平版印刷版束202の下当てボール208の中心と略同一の高さになるようにする。
次に、図3において(B)に示すように、ストッパ4においてアクチュエータ4Bによってヘッド部4Aを平版印刷版集積体200に向って進出させ、上から2段目の平版印刷版束202の側面に密着させる。
ストッパ4のヘッド部4Aが上から2段目の平版印刷版束202の側面に密着したら、図3において(C)に示すように、プッシャ6においてアクチュエータ6Bによってヘッド部6Aを平版印刷版集積体200に向って進出させて最上段の平版印刷版束202をストッパ4に向って押動し、平版印刷版集積体200の側面から突出させ、言いかえればストッパ4に向う方行、即ち図2における右方向にずらす。
次に、図4において(A)に示すように分離束支持装置24によって最上段の平版印刷版束202の突出した側の端部を持ち上げて2段目の平版印刷版束202との間に隙間を形成し、同図において(B)に示すようにガイドテーブル12を平版印刷版集積体200に向って進出させ、ガイドテーブル12の先端部を前記隙間に挿入する。
そして、図5において(A)に示すように平版印刷版束202の分離束支持装置24によって持ち上げられた端部を束チャック22で掴み、同図において(B)に示すように束チャック22を右方向に移動させ、最上段の平版印刷版束202をガイドテーブル12上に載置するとともに、ガイドテーブル12を平版印刷版集積体200から退避させて最上段の平版印刷版束202を平版印刷版集積体200から分離して取り出す。
束チャック22は、このようにして分離された平版印刷版束202をベルトコンベア112に載置する。ベルトコンベア112に載置された平版印刷版束202は、搬送方向aに沿って当てボール分離部104に向かって搬送される。
最上段の平版印刷版束202を平版印刷版集積体200から分離したら、昇降テーブル2を上昇させて上述の手順を繰り返し、2段目の平版印刷版束202を分離する。
1−2 当てボール分離部
当てボール分離部104は、図6に示すように、ベルトコンベア112で搬送される平版印刷版束202から上当てボール206を分離する吸着ローラ40Aと、下宛ボール208を分離する吸着ローラ40Bと、吸着ローラ40Aで分離された上当てボール206を収容する当てボール収容部48Aと、吸着ローラ40Bで分離された下当てボール208を収容する当てボール収容部48Bとを有する。
吸着ローラ40Aおよび40Bは、夫々ベルトコンベア112で搬送される平版印刷版束202を上下から挟持する位置に設けられている。
吸着ローラ40Aで分離された上当てボール206は、一群のローラ対からなる上当てボール案内ローラ46Aによって当てボール収容部48Aに案内される。同様に、吸着ローラ40Bで分離された下当てボール208は、一群のローラ対からなる下当てボール案内ローラ46Bによって当てボール収容部48Bに案内される。上当てボール案内ローラ46Aおよび下当てボール案内ローラ46Bは、本発明における当てボール案内手段に相当する。
吸着ローラ40Aおよび吸着ローラ40Bは、図6および図7に示すように、軸線の周りに回転する外筒42と、外筒42の内側に固定された吸引部材44とを備える。
図7において(A)に示すように、外筒42は、小孔41が全面に形成された円筒体であるが、多孔質の円筒体も使用できる。外筒42は、平版印刷版束202の搬送方向aに対して同方向に平版印刷版束202の搬送速度vと同一の周速で回転する。
一方、吸引部材44は、図7において(B)に示すように、扇型乃至半円状の断面を有し、外筒42に接する側の面は、外筒42の内周面に一致する円柱状に形成されている。そして、前記面の全面に円周方向に沿ってスリット状に開口する吸引孔43が形成されている。なお、前記面は、多孔質の焼結体等で形成されていてもよい。吸引部材44の中心部近傍には、吸引部材44内部の空気を吸引する吸引管路45が設けられている。
吸着ローラ40Aおよび吸着ローラ40Bは、吸引部材44の吸引孔43が形成された側の面が相対するように配設されている。そして、外筒42は、前述のように平版印刷版束202の表面に当接しつつ転動するとともに、吸引部材44が当接する部分において、小孔41が吸引孔43と連通することにより、吸引力が発生する。
平版印刷版束202がベルトコンベア112によって搬送方向aに沿って搬送され、吸着ローラ40Aと吸着ローラ40Bとの間に挿入されると、上当てボール206が吸着ローラ40Aに、下当てボール208が吸着ローラ40Bに吸着される。ここで、吸着ローラ40Aも吸着ローラ40Bも搬送方向aに対して同方向に回転しているから、上当てボール206は、吸着ローラ40Aによって平版印刷版束202から除去されるとともに、先端部が持ち上げられて上当てボール案内ローラ46Aに誘導される。同様に、下当てボール208は、吸着ローラ40Bによって平版印刷版束202から除去されるとともに、先端部が下になるように誘導され、下当てボール案内ローラ46Bに誘導される。そして、上当てボール206および下当てボール208は、夫々当てボール収容部48Aおよび当てボール収容部48Bに案内される。
ここで、吸着ローラ40Aのみ吸引を行うと、平版印刷版202は、上当てボール206のみが吸引除去され、下当てボール208は除去されないまま下流に向かって移動し、テープ固定部106に向かって送られる。一方、吸着ローラ40Bのみ吸引を行うと、平版印刷版202は、下当てボール208のみが吸引除去され、上当てボール206は除去されないまま下流に向かって移動し、テープ固定部106に向かって送られる。そして、吸着ローラ40Aおよび吸着ローラ40Bのいずれにおいても吸引を行わないときは、平版印刷版202は、上当てボール206および下当てボール208の何れも除去されることなく、テープ固定部106に向かって送られる。
このように、当てボール分離部104においては、吸着ローラ40Aおよび吸着ローラ40Bの両方で吸引を行うか、一方のみで吸引を行うか、何れにおいても吸引を行わないかを設定することにより、平版印刷版202から上当てボール206および下当てボール208の何れも除去するか、上当てボール206および下当てボール208の一方を除去するか、上当てボール206および下当てボール208の何れも除去しないかを設定できる。
また、上当てボール206および下当てボール208は、吸着ローラ40Aおよび吸着ローラ40Bにおいて真空吸引されて除去されるから、表面が破損したり荒れたりすることがない。したがって、当てボール収容部48Aに収容された上当てボール206および当てボール収容部48Bに収容された下当てボール208は再利用が容易であるから、廃棄物として廃棄される上当てボール206および下当てボール208の枚数を大幅に減らせる。
1−3 テープ固定部
テープ固定部106は、図8において(A)に示すように、ベルトコンベア112を挟むように設けられた2対のテープ貼着ユニット51、52、53、54と、ベルトコンベア112を構成する2本のコンベアベルトの間に設けられた隠顕可能なストッパ60とを備える。テープ貼着ユニット51、52、53、54は、本発明におけるテープ貼着部に、ストッパ60は、シート束保持手段に相当する。
テープ貼着ユニット51は、自動包装システム1000に対して基準位置に固定されている。
ベルトコンベア112に対してテープ貼着ユニット51と同じ側に位置するテープ貼着ユニット52は、送り装置55によって矢印bに示すように、搬送方向aに対して平行な方向に沿って移動可能に設けられている。
一方、ベルトコンベア112を挟んでテープ貼着ユニット51とは反対側に位置するテープ貼着ユニット53およびテープ貼着ユニット54は、夫々送り装置57および送り装置58を介してテーブル59に載置されている。送り装置57および送り装置58は、テープ貼着ユニット53およびテープ貼着ユニット54を搬送方向aに対して平行な方向に移動させる。テーブル59は、送り装置56によって、矢印cに示すように搬送方向aに対して直交する方向に移動する。これにより、テープ貼着ユニット53およびテープ貼着ユニット54もまた、搬送方向aに対して平行な方向だけでなく直交する方向にも移動する。
ストッパ60は、図8において(B)に示すように、矢印dに示すように送り装置61によって上昇、下降するとともに、矢印eに示すように送り装置62によって搬送方向aに対して平行な方向に移動する。
ここで、送り装置55〜58、および送り装置61、62は、何れもボール螺子を用いた送り装置である。
テープ貼着ユニット51〜テープ貼着ユニット54は、図9に示すように、粘着テープが巻回されたリール75から粘着テープを送り出すテープ送出ローラ70と、テープ送出ローラ70によって送り出された粘着テープを、ベルトコンベア112に載置された平版印刷版束202に向かって送り出すテープ送り駆動ローラ71と、テープ送出ローラ70およびテープ送り駆動ローラ71の間に設けられたカッタ72と、カッタ72で切断された粘着テープを、平版印刷版束202の側縁部に貼着する貼着ローラ73および貼着ローラ74とを備える。貼着ローラ73および貼着ローラ74は、本発明のテープ貼着手段に相当する。また、テープ送り駆動ローラ71によって送り出される粘着テープを下方から支持するテープ支持ガイド76が、テープ送り駆動ローラ71を粘着テープの送出方向に沿って前後から挟むように設けられている。
テープ貼着ユニット51〜テープ貼着ユニット54においては、テープ送出ローラ70およびテープ送り駆動ローラ71によってリール75から粘着テープが所定の長さだけ送り出されると、前記粘着テープは、カッタ72によって切断される。切断された粘着テープは、テープ送り駆動ローラ71によって平版印刷版束202に向かって送り出される。
粘着テープの先端部は、貼着ローラ73が矢印fに示すように上当てボール206上を平版印刷版束202の中央部に向かって転動することにより、上当てボール206に貼着される。そして、貼着ローラ74が矢印gに示すように、平版印刷版束202の側面に沿って転動しつつ下降し、次いで下当てボール208上を平版印刷版束202の中央部に向かって転動することにより、粘着テープの残りの部分もまた、平版印刷版束202に貼着される。
図8に示すテープ固定部106においては、テープ貼着ユニット52とテープ貼着ユニット54とを、送り装置55および送り装置58で矢印bの方向に移動することにより、平版印刷版束202の搬送方向a即ち長手方向のサイズLにあわせて位置決めする。
次に、送り装置56によって矢印cの方向にテーブル59を移動させることによってテープ貼着ユニット53とテープ貼着ユニット54とを、平版印刷版束202の搬送方向aに直交する方向即ち幅方向のサイズWにあわせて位置決めする。
テープ貼着ユニット53とテープ貼着ユニット54との位置決めが終了したら、送り装置57によってテープ貼着ユニット53を、送り装置58によってテープ貼着ユニット54を矢印bの方向に移動させ、テープ貼着ユニット51およびテープ貼着ユニット52に位置を合わせる。
テープ貼着ユニット51〜テープ貼着ユニット54の位置決めが終了したら、送り装置61によってストッパ60を上昇させ、ベルトコンベア112を搬送されてくる平版印刷版束202を所定位置で停止させ、テープ貼着ユニット51〜テープ貼着ユニット54によって四隅に粘着テープを貼着して平版印刷版束202を一体化する。
平版印刷版束202の四隅にテープが貼着されたら、ストッパ60を下降させて平版印刷版束202をスキッド集積部108に向かって流す。
なお、平版印刷版束202において粘着テープを貼着する位置を変更するには、送り装置62によってストッパ60を矢印eの方向に移動し、平版印刷版束202の停止位置を変更すればよい。
テープ固定部106は、図8に示す形態のほか、図10に示す形態も包含する。
前記形態のテープ固定部106は、図10において(A)に示すように、テープ貼着ユニット51およびテープ貼着ユニット52がベルトコンベア112を挟むように設けられている。
テープ貼着ユニット51は基準位置に固定されている。一方、テープ貼着ユニット52は、矢印bに示すように送り装置56Bによって搬送方向aに対して平行な方向に沿って移動するとともに、矢印cに示すように送り装置56Aによって搬送方向aに対して直交する方向に沿って移動する。これにより、テープ貼着ユニット52は、搬送方向aに対して平行な方向および直交する方向の位置を調節できる。
図10において(B)に示すように、テープ貼着ユニット51およびテープ貼着ユニット52よりも搬送方向aに沿って下流側には、ストッパ60が設けられ、更にその下流側にはストッパ63が設けられている。ストッパ60およびストッパ63の何れも、ベルトコンベア112を構成する2本のコンベアベルトの間に設けられた隠顕可能なストッパであり、本発明におけるシート束保持手段に相当する。ストッパ60は、矢印dに示すように送り装置61によって上昇、下降するとともに、矢印eに示すように送り装置62によって搬送方向aに対して平行な方向に移動する。同様に、ストッパ63は、矢印dに示すように送り装置64によって上昇、下降するとともに、矢印eに示すように送り装置65によって搬送方向aに対して平行な方向に移動する。したがって、ストッパ60およびストッパ63の何れも、送り装置62および送り装置65で位置を調節することにより、平版印刷版束202の搬送方向aに沿った粘着テープ貼着位置を設定できる。
図10に示す形態のテープ固定部106においては、先ずストッパ60を上昇させてストッパ63を下降させ、ベルトコンベア112で搬送されてきた平版印刷版束202を二点鎖線の位置で停止させる。そして、テープ貼着ユニット51およびテープ貼着ユニット52により、平版印刷版束202の搬送方向aに沿って下流側の二隅に粘着テープを貼着する。
粘着テープを貼着したらストッパ60を下降させると同時にストッパ63を上昇させ、実線で示す位置に平版印刷版束202を停止させる。そして、テープ貼着ユニット51およびテープ貼着ユニット52により、平版印刷版束202の搬送方向aに沿って上流側の二隅に粘着テープを貼着する。
これにより、平版印刷版束202の四隅に粘着テープが貼着され、平版印刷版束202が一体化される。
図10のテープ固定部106は、テープ貼着ユニットが2個で済むという特長がある。
1−4 スキッド集積部
スキッド集積部108は、図1に示すように、縦置き型スキッド500を仰臥した状態に支持するスキッド支持装置80と、テープ固定部106を通過した平版印刷版束202をベルトコンベア112の終端部で拾い上げ、スキッド支持装置80に仰臥状態で支持された縦置き型スキッド500に移載するピックアップ機構90とを備える。スキッド支持装置80およびピックアップ機構90は、夫々本発明におけるするスキッド支持手段および移載集積手段に相当する。
スキッド支持装置80は、図11および図12に示すように、縦置き型スキッド500が載置されるスキッド載置台82と、スキッド載置台82を、水平方向に延在する回転軸85の周りに回動可能に支持する昇降可能な基台である昇降テーブル84と、昇降テーブル84を下方から昇降可能に支持する基台86と、スキッド載置台82の側縁に沿って垂直に設けられた1対の板状の揃いガイド81とを備える。
スキッド載置台82と昇降テーブル84との間には、スキッド載置台82を仰臥させ、または起立させる油圧シリンダ83が挿入され、昇降テーブル84は、基台86との間に設けられた4本の油圧シリンダ87によって基台86上に昇降可能に支持されている。油圧シリンダ83および油圧シリンダ87は、夫々本発明のシート移載集積装置が備えるスキッド起立手段およびスキッド昇降手段に相当する。
スキッド支持装置80には、更に、スキッド載置台82に載置された縦置き型スキッド500の背凭れ部504に移載された平版印刷版束202を積載部502に向かって押圧して揃える位置決めプッシャ88が設けられている。
ピックアップ機構90は、図1および図13に示すように、ベルトコンベア112およびスキッド集積部108の上方に水平に設けられた水平走行装置98と、水平走行装置98に沿って走行するとともに昇降する昇降装置91と、平版印刷版束202を把持する1対の把持部92と、昇降装置91の下端に固定され、1対の把持部92を互いに平行に保持すると共に、把持部92の間隔を設定するアクチュエータ94とを備える。
水平走行装置98は、水平方向に延在し、内部に長手方向に沿ってボール螺子98Cが設けられた案内部98Aと、ボール螺子98Cに螺合して案内部98Aに沿って移動する送り部98Bとを備える。送り部98Bは、昇降装置91の送り部も兼用している。
昇降装置91は、垂直方向に延在し、内部に長手方向に沿ってボール螺子(図示せず。)が設けられた案内部91Aを有する。水平走行装置98の送り部98Bは、昇降装置91の案内部91Aの有するボール螺子にも螺合している。前記ボール螺子が回転することにより、案内部91Aが上方または下方に移動するから、把持部92およびアクチュエータ94も昇降する。
把持部92は、図14に示すように、アクチュエータ94に固定されるフレーム95と、フレーム95に固定された固定爪93Aと、固定爪93Aの上方に設けられ、エアシリンダ96によって昇降する可動爪93Bとを備える。エアシリンダ96は、ブラケット97によってフレーム95に固定されている。
アクチュエータ94は、図13に示すように、昇降装置91の下端に、水平走行装置98の案内部98Bに対して直交する方向に固定された案内部94Aと、把持部92のフレーム95が固定されているとともに、案内部94Aに沿って走行する送り部94Bとを備える。案内部94Aの内側にはボール螺子(図示せず。)が設けられている。送り部94Bは前記ボール螺子に螺合し、前記ボール螺子が回転すると、互いに近接または離間する方向に移動する。これにより、把持部92が互いに近接または離間する。
スキッド集積部108においては、最初は、油圧シリンダ83は伸長した状態であり、図11において二点鎖線で示すようにスキッド載置台82は起立した状態に保持される。縦置き型スキッド500は、背凭れ部504が直立した状態でスキッド載置台82に載置される。縦置き型スキッド500は、軽量なものであれば人手で載置してもよいが、通常は自動的に載置される。
縦置き型スキッド500が載置されたら、油圧シリンダ83が収縮し、図11において実線で示すようにスキッド載置台82は仰臥する。そして、昇降テーブル84を支持する4本の油圧シリンダ87のうち、一方の揃いガイド81、たとえば揃いガイド81Aに沿った2本が収縮する。これにより、縦置き型スキッド500の背凭れ部504は、積載部502に向かって下方に傾斜するとともに、揃いガイド81Aに向かっても下方に傾斜する。
テープ固定部106において、平版印刷版束202への粘着テープの貼着が終了すると、ピックアップ機構90が水平走行装置98によってベルトコンベア112に向かって移動する。そして、昇降装置91によって把持部92が昇降し、固定爪93Aの上面がベルトコンベア112の搬送面と同一の高さか若干低くなるように把持部92の高さが調節される。
そして、アクチュエータ94によって平版印刷版束202の両側縁部が固定爪93Aと可動爪93Bとの間に位置するように把持部92同士の間隔が調整される。
把持部92の間隔が調整されたら、エアシリンダ96によって可動爪93Bが下降し、平版印刷版束202は固定爪93Aと可動爪93Bとの間に把持される。
平版印刷版束202が固定爪93Aと可動爪93Bとの間に把持されたら、昇降装置91が水平走行装置98に沿ってスキッド支持装置80に向かって移動する。把持部92が縦置き型スキッド500の背凭れ部504の上方に位置したら、可動爪93Bが上昇して固定爪93Aと可動爪93Bとによる把持が解放される。そして、アクチュエータ94によって把持部92同士が離間する。これにより、平版印刷版束202はピックアップ機構90から解放されて背凭れ部504上に落下する。
平版印刷版束202は、背凭れ部504上に落下すると、位置決めプッシャ88によって積載部502に押圧されるとともに、揃いガイド81Aに向かって押圧される。これによって平版印刷版束202は、縦横両方向の位置がそろう。
平版印刷版束202が背凭れ部504に載置されると、4本の油圧シリンダ87は、何れも同等の量だけ収縮し、昇降テーブル84が平版印刷版束202の厚さ分だけ下降する。したがって、スキッド載置台82および背凭れ部504も同じだけ下降する。
スキッド載置台82および背凭れ部504が下降したら、ピックアップ機構90は、ベルトコンベア112に向かって移動し、2番目の平版印刷版束202を把持して最初に載置した平版印刷版束202に重ねる。
このようにして所定個数の平版印刷版束202を載置したら、油圧シリンダ83を伸張させてスキッド載置台82を起立させ、これによって縦置き型スキッド500を起立させる。
縦置き型スキッド500が起立したら、最後の包装工程に向かって移送する。
1−5 作用
自動包装システム1000において可能な包装形態としては、平版印刷版束202から上当てボール206および下当てボール208を除くことなく、縦置き型スキッド500に積層、載置した図20の(A)に示す形態、平版印刷版束202のうち、最下層のものは下当てボール208を、最上層のものは上当てボール206を残し、中間には、平版印刷版束202から上当てボール206も下当てボール208も除去したものを積層した図20の(B)に示す形態、および平版印刷版束202において上当てボール206および下当てボール208をそのまま残し、四隅を粘着テープで固定した図20の(C)に示す形態などが可能である。図20の(C)に示す形態においては、粘着テープを貼着する位置を平版印刷版束202毎に変更し、粘着テープ同士が重ならないようにしている。
自動包装システム1000においては、平版印刷版束202をどのような包装形態でスキッドに積載するかを、キーボードやライトペンなどを通して中央制御コンピュータ120に入力する。中央制御コンピュータ120には、平積み型スキッドと縦置き型スキッドとの何れのスキッドを使用するかについても入力され、また、平版印刷版製造ライン110で製造された平版印刷版束202を直接包装するのか、それとも平版印刷版集積体200から平版印刷版束202を分離して包装するのかについても入力される。
中央制御コンピュータ120は、入力された包装形態に応じて製品供給部102、当てボール分離部104、テープ固定部106、スキッド集積部108、およびベルトコンベア112を制御する。
たとえば、平版印刷版製造ライン110で製造された平版印刷版束202を直接包装する旨入力したときには、中央制御コンピュータ120は、直結コンベア150によって平版印刷版束202を当てボール分離部104に供給するように製品供給部102を制御する。
一方、平版印刷版集積体200から平版印刷版束202を分離して包装する旨、入力したときは、中央制御コンピュータ120は、平版印刷版束分離装置100において平版印刷版集積体200から平版印刷版束202を分離して当てボール分離部104に供給するように製品供給部102を制御する。
縦置き型スキッドを使用する旨入力したときは、中央制御コンピュータ120は、スキッド載置台82に縦置き型スキッド500を載置するようにスキッド集積部108を制御する。
包装形態として図20の(A)に示すものを入力したときは、中央制御コンピュータ120は、当てボール分離部104においては、吸着ローラ40Aおよび吸着ローラ40Bの何れにおいても真空吸引を行わず、単に平版印刷版束202が搬送されるのに合わせて外筒42を転動させるように制御する。そして、テープ固定部106においては、テープ貼着ユニット51、52、53、54のいずれにおいてもテープ貼着を行わない。
これにより、平版印刷版束202は、当てボール分離部104においては、上当てボール206および下当てボール208の何れも分離されることなく、テープ固定部106に送られ、そのままスキッド集積部108に送られて縦置き型スキッド500に載置される。
包装形態として図20の(B)に示すものを入力したときは、最初の平版印刷版束202については、吸着ローラ40Aのみ真空吸引を行って上当てボール206のみを分離し、最後の平版印刷版束202においては、吸着ローラ40Bのみ真空吸引を行って下当てボール208のみを分離する。2番目以降最後から2番目迄の平版印刷版束202については、吸着ローラ40Aおよび吸着ローラ40Bの何れにおいても真空吸引を行って上当てボール206および下当てボール208を除去する。一方、テープ固定部106においては、テープ貼着ユニット51、52、53、54のいずれにおいてもテープ貼着を行わない。
これにより、平版印刷版束202は、最初と最後のものを除いては上当てボール206および下当てボール208の何れも除去されて縦置き型スキッド500上に積層される。
包装形態として図20の(C)に示すものを入力したときは、中央制御コンピュータ120からの指令のより、当てボール分離部104においては、吸着ローラ40Aおよび吸着ローラ40Bの何れにおいても真空吸引を行わず、外筒42のみを転動させる。一方、テープ固定部106においては、テープ貼着ユニット51、52、53、54において、平版印刷版束202の側縁部に、1束毎に長手方向に沿って貼着位置をずらして粘着テープを貼着する。
このように、実施形態1に係る自動包装システム1000においては、中央制御コンピュータ120に平版印刷版束202の包装形態や使用するスキッドの種類、平版印刷版束202を供給する経路などを入力すると、入力された情報に従って自動的に包装が行われる。
2.実施形態2
実施形態1に係る自動包装システム1000においては、製品供給部102を構成する平版印刷版束分離装置として、平版印刷版束分離装置100に代えて平版印刷版束分離装置101を使用することができる。
平版印刷版束分離装置101の構成は以下の通りである。
実施形態2に係る平版印刷版束分離装置101は、図15に示すように、昇降テーブル2に平版印刷版集積体200を載置したときに平版印刷版集積体200の側面に相対する位置に、実施形態1におけるプッシャ6およびストッパ4に代えてナイフエッジ30が設けられ、また、ナイフエッジ30を平版印刷版集積体200に突き刺すべき位置を光学的に検出するCCDカメラ34がナイフエッジ30に隣接して設けられている。
また、昇降テーブル2に載置された平版印刷版集積体200を上方から押圧する積層体押さえ38が昇降テーブル2の上方に設けられている。
ナイフエッジ30は、水平方向に設けられたアクチュエータ31の先端に固定され、アクチュエータ31が伸長すると平版印刷版集積体200に向って進出し、アクチュエータ31が収縮すると平版印刷版集積体200から退避する。なお、ナイフエッジ30が平版印刷版に対して進退するときは水平方向に沿って移動する。
アクチュエータ31は、ナイフエッジ昇降装置33によって上下可能な台座部32に固定されている。
ナイフエッジ昇降装置33は、台座部32に螺合したボール螺子33Aとボール螺子33Aを回転させるステッピングモータ33Bとから構成されている。ナイフエッジ昇降制御部36は、CCDカメラ34における検出結果に基づいてパルスを出力してステッピングモータ33Bを回転させてナイフエッジ30を上下させる。なお、ナイフエッジ昇降装置33は、本発明におけるナイフエッジ上昇手段に相当する。
積層体押さえ38は、平版印刷版集積体200に直接当接する積層体押さえヘッド38Aと、積層体押さえヘッド38Aを上下させるアクチュエータ38Bとから構成されている。
平版印刷版束分離装置101は、上述した要素以外の構成要素については実施形態1に係る平版印刷版束分離装置100と同様である。
以下、平版印刷版束分離装置101の作用について説明する。
先ず、図16において(A)に示すように、CCDカメラ34で、平版印刷版集積体200の最上段に位置する平版印刷版束202における平版印刷版204と下当てボール208との境界線を検出する。CCDカメラ34が前記境界線を検出したら、ナイフエッジ昇降制御部36は、ナイフエッジ昇降装置33のステッピングモータ33Bにパルスを入力して回転させて台座部32を上下させ、ナイフエッジ30の先端と、最上段の平版印刷版束202における下当てボール208の厚さ方向の中心とが高さが等しくなるようにする。
次に、図16において(B)に示すように、積層体押さえ38において積層体押さえヘッド38Aを降下させて平版印刷版集積体200を押圧し、ナイフエッジ30を刺したときの衝撃で平版印刷版集積体200がずれないようにしてから、ナイフエッジ30を平版印刷版集積体200に向って進出させ、最上段の平版印刷版束202の下当てボール208の端面に刺す。但し、ナイフエッジ30を下当てボール208の端面に刺す代りに、最上段の平版印刷版束202の下当てボール208と、上から2番目の平版印刷版束202の上当てボール206との間に挿入してもよい。
ナイフエッジ30が下当てボール208の端面に刺さったら、図16において(C)に示すように、ナイフエッジ昇降装置33でナイフエッジ30を上昇させて最上段の平版印刷版束202の右側の端部を持ち上げ、平版印刷版集積体200の残りの部分との間に隙間を形成する。
そして、図17において(A)に示すようにガイドテーブル12を平版印刷版集積体200に向って進出させ、前記隙間に挿入し、同図において(B)に示すようにガイドテーブルを上昇させて最上段の平版印刷版束202の右側の端部を更に持ち上げて束チャック22で把持する。束チャック22が前記平版印刷版束202の右側の端部を把持したら、積層体押さえ38において積層体押さえヘッド38Aを上昇させて前記平版印刷版束202から退避させ、束チャック22を右方に移動させて前記平版印刷版束202をガイドテーブル12に載置して取り出す。
最上段の平版印刷版束202を平版印刷版集積体200から分離したら、昇降テーブル2を上昇させて上述の手順を繰り返し、2段目の平版印刷版束202を分離する。
平版印刷版束分離装置101は、実施形態1で使用された平版印刷版束分離装置100に比較して、より構成が簡略である。