JP2007069739A - 車両の姿勢制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 各車輪2に付与する制動力を個別に制御して、車両の姿勢を制御するDSC制御を行う車両の姿勢制御装置1において、車輪2(タイヤ)の空気圧が適正範囲にない状態でDSC制御が行われた結果として、車両の姿勢がドライバーの予測と正反対の向きに急変することを防止して、ドライバーに強い違和感を覚えさせないようにする。
【解決手段】 車両の走行中にアンダー又はオーバーステア傾向が所定以上に強くなって、実ヨーレイトの制御目標値との偏差量が所定以上になれば(ステップS3)、DSC制御により所定車輪2に制動力を付与して、車両に所望の向きのヨーイングモーメントを発生させる(S6,S11)。DSC制御の介入に伴い車両姿勢のオーバーシュートが生じた後に制御対象となる車輪2(第1制御対象輪)の空気圧が適正範囲にないときには(S8,S12)、それ以外の別の車輪を第2制御対象輪として選択する(S9,S13)。
【選択図】 図5

Description

本発明は、車両の少なくともヨーイング方向の姿勢を制御する姿勢制御装置に関し、特に、車輪(タイヤ)の空気圧が所定範囲から逸脱しているときの補正制御の技術分野に属する。尚、車両の姿勢というのはヨーイング、ピッチング、ローリングのいずれの方向についても変位など静的なもののみではなく、速度や加速度などの動的なものも含めた概念とする。
従来より、この種の姿勢制御装置として、例えば特許文献1、2などに開示されるように、アンチロックブレーキシステム(以下、ABSという)の液圧制御回路を利用して、各車輪に付与する制動力を個別に制御し、主に車両の左右の制動力配分を変えることにより、その姿勢を制御して、ドリフトアウトやスピンなどを未然に防止するようにしたものが知られている。
具体的に、例えば車両の旋回路に対する進入速度が高過ぎるときには、ステアリングの操舵に対するコーナリングフォースの発生が遅れてアンダーステア傾向が強まり、さらには前車輪の横滑りが大きくなって走行ラインが膨らむことがある(ドリフトアウト)。また、そのような場合にドライバーが急檄なブレーキ操作やステアリング操舵を行うと、今度は後車輪の横滑りが大きくなって、走行ラインが内側に巻き込むように変化し(過大なオーバーステア)、スピンに至る虞れもある。尚、スピンは車両の緊急回避時などにも起こり得る。
このような車両姿勢の不安定化に対し、前記のような姿勢制御装置は、一般的に、旋回中の車両のアンダーステア傾向が強くなれば旋回内側車輪に制動力を付与し、これにより内向きのヨーイングモーメントを発生させて、ドリフトアウトを未然に防止する。また、車両のオーバーステア傾向が強くなれば旋回外側車輪に制動力を付与し、これにより外向きのヨーイングモーメントを発生させて、スピンを未然に防止するようにしている。
加えて、前記特許文献1、2に記載のものでは、車輪(タイヤ)の空気圧が所定の適正範囲(例えば1.7〜2.5kg/cm2)から逸脱していると、所期のグリップ力やコーナリングフォースが得られず、所望の姿勢制御が行えない虞れがあることに着目して、各車輪の空気圧を検出し、いずれかの車輪の空気圧が前記適正範囲から逸脱している場合には、制御対象輪の制御量や制御タイミングなどを変更するようにしている。
特開平11−5524号公報 特開2003−226235号公報
ところで、上述のように姿勢制御を開始するときには、車両の姿勢を直ちに修正するために、制御対象の車輪にはグリップ限界の範囲内で、できるだけ大きな制動力を付与することが望ましい。例えば上述したようにアンダーステア傾向が強くなったときには、車両の旋回内側車輪に大きな制動力を付与して内向きに大きなヨーイングモーメントを発生させるのだが、こうすると車両のステア特性はアンダーステア傾向から一転してオーバーステア傾向になり(以下、このようなステア特性の反転を車両姿勢のオーバーシュートともいう)、その制動力が大きいほど、オーバーステア傾向も強くなる。
そうしてステア特性が反転し、オーバーステア傾向が強くなれば、今度は車両の旋回外側車輪に制動力を付与して、外向きのヨーイングモーメントを発生させ、これにより車両のステア特性を再びアンダーステア傾向に変化させる。こうして、姿勢制御により車両のステア特性は瞬間的にアンダー、オーバー、アンダー、…と交互に変化しながら、徐々にニュートラルに近い所期のステア特性に収束するのである。
しかるに、そうして姿勢制御によって車両のステア特性が瞬間的にアンダー及びオーバーに変化するときに、タイヤの空気圧が適正範囲から逸脱していると、これに対して制御対象輪の制御量や制御タイミングなどを変更するだけの従来例の姿勢制御装置では、車両の姿勢がドライバーの予測とは異なる向きに急変してしまうことがあり、このことによってドライバーが強い違和感を覚える虞れがあった。
すなわち、まず、例えば前記のように最初に強いアンダーステア傾向に対して姿勢制御が介入する状況下では、ドライバーは経験的に車両の走行ラインが外側に膨らむことを予測しているから、このときに制御対象となる旋回内側車輪の空気圧が不足していて、この車輪への制動力付与によって十分なヨーイングモーメントが得られないとしても、車両の姿勢を直ちに修正できないだけであり、その姿勢変化はドライバーの予測の範囲内にあるから、大きな問題は生じない。
これに対し、姿勢制御によって車両の姿勢にオーバーシュートが生じ、そのステア特性が反転したとき、すなわち、姿勢制御によって車両のステア特性が強いオーバーステア傾向に変化したときに、次に制動力を付与する制御対象輪である旋回外側車輪の空気圧が不足していて、この車輪への制動力付与により十分に外向きのヨーイングモーメントを発生させることができないとすると、前記のようにドライバーが走行ラインの外側への膨らみを予測しているにも拘わらず、車両の姿勢は内側に巻き込むように急変してしまい、ドライバーは非常に強い違和感を覚えことになるのである。
斯かる問題点に鑑みて、本発明の目的とするところは、制動力の制御対象である車輪(タイヤ)の空気圧が適正範囲にない状態で姿勢制御が行われた結果として、車両の姿勢にドライバーの予測と異なる向きの急激な変化が生じることを防止して、このドライバーに強い違和感を与えないようにすることにある。
前記の目的を達成するために、本発明では、姿勢制御によって車両の姿勢にオーバーシュートが生じた後に、制御対象となる車輪(第1制御対象輪)の空気圧が適正範囲にないときには、それ以外の別の車輪を制御対象として選択するようにした。
具体的に、請求項1の発明は、車両の各車輪に付与する制動力を個別に制御して、少なくともヨーイング方向の姿勢を制御する姿勢制御手段を備えた車両の姿勢制御装置であって、前記各車輪の空気圧をそれぞれ検出する検出手段と、この検出手段により検出された空気圧が所定範囲から逸脱しているか否かを判定する空気圧判定手段と、前記姿勢制御手段による制御によって車両姿勢のオーバーシュートが生じているか否かを判定するオーバーシュート判定手段と、を備え、そして、前記姿勢制御手段が、前記オーバーシュート判定手段によって車両の姿勢にオーバーシュートが生じていると判定され、且つ前記空気圧判定手段によって制動力の制御対象車輪である第1制御対象輪の空気圧が所定範囲から逸脱していると判定されたとき、その第1制御対象輪以外の別の車輪を第2制御対象輪とするように構成されている。
前記の構成により、まず、車両の走行中に前後いずれかの車輪の横滑りが大きくなって、アンダー又はオーバーステア傾向が所定以上に強くなると、これに応じて姿勢制御手段による車輪の制動力制御が開始される。すなわち、アンダーステア傾向が強いときには車両の少なくとも旋回内側車輪に制動力が付与されて、内向きのヨーイングモーメントが発生する。また、オーバーステア傾向が強いときには車両の少なくとも旋回外側車輪に制動力が付与されて、外向きのヨーイングモーメントが発生する。
そうして生したヨーイングモーメントによって車両の姿勢がオーバーシュートし、そのステア特性が反転すると、今度は、それまでとは逆向きのヨーイングモーメントが発生するように選択された車輪(第1制御対象輪)に制動力が付与されることになるが、この際、オーバーシュート判定手段によってオーバーシュートが生じていると判定され、さらに、前記第1制御対象輪の空気圧が適正範囲にないことが前記空気圧判定手段によって判定されると、前記姿勢制御手段は、前記第1制御対象輪以外の別の車輪を第2制御対象輪として選択する。
すなわち、空気圧が適正範囲にない第1制御対象輪以外の別の車輪を、第2制御対象輪として選択し、この第2制御対象輪に制動力を付与して、車両にヨーイングモーメントを発生させることにより、前記第1制御対象輪への制動力の付与によっては十分なヨーイングモーメントが得られないときでも、車両の姿勢及びステア特性を所望の傾向に変化させることができる。よって、ドライバーの予測とは正反対の向きに車両姿勢が急変することはなくなり、ドライバーが強い違和感を覚えないようにすることができる。
そのように第1制御対象輪とは別の第2制御対象輪を用いる場合に、好ましいのは、その第2制御対象輪の制動力制御の度合いを第1制御対象輪よりも大きくすることである(請求項2の発明)。ここで、制動力制御の度合いを大きくするというのは、例えば制御量(制動力、ブレーキ液圧など)自体を大きくしてもよいし、制御の介入しきい値を変更して制御開始のタイミングを早めたり、或いは制御の解除しきい値を変更して制御終了のタイミングを遅らせたりしてもよい。さらに、前記第2制御対象輪のみを制動力制御の対象とすることもできる(請求項3の発明)。
そうして第2制御対象輪の制動力制御を優先するのは、空気圧が適正範囲から逸脱していて、実際にはどの程度のグリップ力を発揮するのか分からない第1制御対象輪の制御による影響を低減するためであり、こうすることで正確な姿勢制御が可能になって、前記発明の作用効果がより確実なものとなる。
前記第1、第2制御対象輪としてより具体的に、車両のアンダーステア傾向を抑制する場合の第1制御対象輪としては旋回内側の後輪を選択するのがよく、この場合に第2制御対象輪としては旋回内側の前輪を選択するのがよい(請求項6の発明)。また、第2制御対象輪として、さらに旋回外側の後輪を選択することもできる(請求項7の発明)。
すなわち、車両のアンダーステア傾向が強いときには、前車輪はそのグリップ限界まであまり余裕がないことが多いので、旋回内側の後輪を有効利用してアンダーステア傾向を抑制するのが好ましい。そして、この第1制御対象輪の空気圧が適正範囲にないのであれば、第2制御対象輪として旋回内側の前輪にそのグリップ限界の範囲内で制動力を付与することにより、アンダーステア傾向を抑制するのである。
また、さらに旋回外側の後輪に制動力を付与する場合には、これにより外向きのヨーイングモーメントが発生することになるから、その制動力は前記旋回内側の前輪に付与するものよりも小さくするのがよい。そして、それらの車輪への制動力の付与によって車両が減速すれば、そのことによってアンダーステア傾向を弱めることができる。
一方、車両のオーバーステア傾向を抑制する場合の第1制御対象輪としては旋回外側の前輪を選択するのがよく、この場合に第2制御対象輪としては旋回外側の後輪を選択するのがよい(請求項8の発明)。これは、車両のオーバーステア傾向が強いときには、後車輪の方がグリップ限界まであまり余裕のないことが多いので、旋回外側の前輪を有効利用してオーバーステア傾向を抑制するものであり、その第1制御対象輪の空気圧が適正範囲にないのであれば、旋回外側の後輪に制動力を付与することによって、オーバーステア傾向を抑制するのである。
上述の如き構成の姿勢制御装置において、従来例(例えば特許文献2)のものと同様に、車両のいずれかの車輪の空気圧が所定範囲にないときには、姿勢制御手段の制御特性を変更することが好ましい(請求項4の発明)。具体的には例えば制御対象車輪へ付与する制動力(制御量)を減少するようにすればよく(請求項5の発明)、こうして車両の車輪に付与する制動力を減少させれば、自ずと車両姿勢のオーバーシュートは生じ難くなり、これに伴う弊害の起きることを抑制できる。
以上、説明したように、本発明に係る車両の姿勢制御装置によれば、姿勢制御によって車両の姿勢にオーバーシュートが生じた後、最初に制御対象となる第1制御対象輪の空気圧が適正範囲にないときには、それ以外の別の車輪を第2制御対象輪として、これに制動力を付与するようにしたので、例えば強いアンダーステア傾向に陥った車両が姿勢制御の結果として強いオーバーステア傾向になって急激に内側に巻き込んだり、反対に強いオーバーステア傾向に陥った車両が姿勢制御の結果として強いアンダーステア傾向になり、走行ラインが急に膨らむというように、ドライバーの予測とは反対の向きに車両の姿勢が急変することはなくなる。よって、ドライバーが強い違和感を覚えることを防止できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(姿勢制御装置の構成)
まず、本発明の実施形態の姿勢制御装置1の構成を説明する。図1は、姿勢制御装置1が搭載された車両の概略的な構成を示すブロック図である。本実施形態の姿勢制御装置1は、車輪(タイヤ)2,2,…の空気圧を検出し、この検出値が適正範囲から逸脱したときに、その空気圧の変化に応じて車両の姿勢の制御特性を補正するようにしている。
図示の如く、姿勢制御装置1は、車両の各車輪2毎に設けられた検出装置4(検出手段)と、車体側に配置された処理装置6とを備えている。本実施形態の車両は、アンチロックブレーキシステム(ABS)及びトラクションコントロールシステム(TRC)を備えており、これらのシステムのために車両のブレーキ油圧回路に配設されたアクチュエータを利用して、各車輪2に対する制動力を独立して(個別に)制御し、これにより車両のヨーイング方向の姿勢を制御する車両安定性制御(Dynamic Stability Control:以下、DSC制御ともいう)を行うDSC装置を備えている。
前記検出装置4は、例えば各車輪2のホイールのエアバルブ付近に取付けられたセンサ等からなり、各車輪内(タイヤ内)の空気の圧力、温度等を検出し、検出結果等を空気圧信号として、車体側の処理装置6に送信するように構成されている。
より詳しくは図2に一例を示すように、検出装置4は、各車輪(タイヤ)内の空気圧を検出する圧力センサ8と、車輪(タイヤ)内の空気の温度を検出する温度センサ10と、車輪2に加わる加速度を検出する加速度センサ12と、タイヤ識別IDを記憶しているメモリ14とを備えている。検出装置4には、さらに、各センサ8、10、12の検出値及びタイヤ識別IDを含む空気圧信号を生成し、これを処理装置6側に送信させる送信CPU16と、送信を行う送信機18とが設けられている。検出装置4は、図示しない内蔵バッテリ(電池など)によって作動するように構成されている。
尚、空気圧信号は、例えば、タイヤ識別ID、車輪内空気圧信号、車輪内空気温度信号、加速度信号、異常低下コード、バッテリ電圧信号及び故障コードが順に並べられたデータフォーマットで、検出装置4から処理装置6側に送信するようにすればよい。
前記の空気圧信号に含まれるタイヤ識別IDは、空気圧信号が自車両に取付けられている車輪からの信号であることを識別するために用いられる符号であり、検出装置4毎に異なる。このタイヤ識別IDは、検出装置4からの送信後、処理装置6側で登録されているタイヤ識別IDと照合される。また、加速度信号は、車輪の回転による円周方向の加速度に車輪の上下動による加速度等が加わった加速度を示す。異常低下コードとは、車輪内の空気圧が急速に低下したことを報知するコードである。さらに、バッテリ電圧信号及び故障コードは、それぞれ、検出装置4の内蔵バッテリの電圧及び検出装置4の作動状態を処理装置6に報知するために用いられる。
本実施形態では、検出装置4が空気圧信号を所定の時間間隔で処理装置6に送信し、この時間間隔が車両の走行状況等に応じて変化するようになっている。例えば、車両の停車中は、車輪の空気圧が変化する可能性が少ない等の理由から、空気圧信号の送信間隔は極めて長く設定される。尚、車両の停車は、加速度センサ12の出力が零であるか否かで判断される。また、走行中は、空気圧が適正範囲であれば、停車時の間隔よりは短いが比較的長い第1の間隔で送信され、空気圧が適正範囲から逸脱しているときには、第1の間隔より短い第2の間隔で送信される。さらに、空気圧が急変しているときには、第2の間隔より短い第3の間隔で、空気圧信号が送信される。
図1に示されているように、各車輪2の近傍の位置には、各検出装置4から送信された空気圧信号を受信するための専用アンテナ19が、それぞれ配置されている。各アンテナ19が受信した空気圧信号は処理装置6に伝えられる。この処理装置6は、空気圧警報CPU20と、DSC制御用CPU22(ABSやTRCの制御も行う)と、総合制御CPU24と、記憶手段26とを備えており、それぞれ以下のような制御を行う。
まず、空気圧警報CPU20は、いずれかの検出装置4から送信されてきた空気圧信号に基づいて算出された車輪2の空気圧が適正範囲から逸脱しているかどうか判定し、逸脱しているときにインスツルメントパネル内に配置された空気圧警告灯を点灯させて、乗員にいずれかの車輪2の空気圧が異常である旨の報知を行う。空気圧の適正範囲は、車輪2内の空気温度と関連するので、適正範囲であるか否かの判定には、空気圧信号に含まれる車輪内空気温度が勘案される。
DSC制御用CPU22は、ステアリング28の操舵角を検出する舵角センサ30、ヨーレートセンサ32、横加速度センサ34などからの出力信号を入力し(図の例では総合制御CPU24を介して入力しているが、これには限らない)、さらにスロットル開度センサや車輪速センサ(図示せず)などからの信号を入力して、それらの信号から得られる情報に基づいてDSC装置の制御、即ち、各車輪2への制動力やエンジン出力の制御を行う。
また、総合制御CPU24は、車輪2の空気圧変化に起因する車両の走行特性の変化、すなわち例えばグリップ力及びコーナリングフォースの変化を補正するために必要な制御特性の変更量を算出する。すなわち、例えば左右いずれか一方の前輪2の空気圧が或る量、低下しているとき、この空気圧低下に起因するDSC制御の変化を補正し、又は抑制して、車両の走安性を確保するためには、DSC装置による制御特性をどのように変化させれば良いかを総合制御CPU24が演算する。こうして演算された制御特性の変更量はDSC制御用CPU22に送られ、これに基づいてDSC装置の制御特性が変更される。
記憶手段26には、自車両に装着されているタイヤのタイヤ識別ID、装着されているタイヤの適正空気圧等の空気圧警報を行うときに必要となるデータ等が記憶されている。さらに、記憶手段26には、空気圧変化に伴う走行特性の変化を補正する制御特性の変更量を算出するために必要なデータが記憶されている。
上述の如き構成の姿勢制御装置1において、まず、車両完成時やタイヤ交換時等には、各車輪2に取付けられている検出装置4のタイヤ識別IDを処理装置6の記憶手段26に記憶させる。本実施形態では、車輪2毎に専用のアンテナ19が配置されているので、各検出装置4から空気圧信号を各アンテナ19に受信させることにより、どの位置の車輪2がどのタイヤ識別IDを有しているかを登録することができる。
また、車両の使用中には、上述したように状況に応じた時間間隔で、検出装置4から処理装置6に空気圧信号が送られる。この空気圧信号に基づいて空気圧警報CPU20は、各車輪2の空気圧が、記憶手段26に記憶されている適正範囲内にあるか否か判定し、適正範囲から逸脱しているときには空気圧警告灯を点灯させる。車両にナビゲーション装置などの表示画面36を備えた装置が搭載されている場合には、その画面上に所定の警告表示を表示させ、どの車輪2の空気圧がどの程度不足(又は過剰)であるかなどを知らせるように構成してもよい。
(DSC制御)
次に、DSC制御について説明すると、まず、総合制御CPU24は、車輪2,2,…の空気圧が適正範囲から逸脱したことに起因する走行特性の変化を補正するために必要なDSC制御特性の変更量を演算し、この変更量をDSC制御用CPU22に送って、その制御特性を変更させる。この実施形態では、DSC制御用CPU22によって、車両のドリフトアウトを回避・抑制するためのアンダーステア制御と、スピン等を回避・抑制するためのオーバーステア制御とが行われる。
具体的には、前記アンダーステア制御は、ステアリング28の操舵角や車速などから決定した制御目標ヨーレートとヨーレイトセンサ32により検出された実際のヨーレートとの偏差を求め、この偏差が介入しきい値よりも大きいときに(アンダーステア傾向が強いときに)、エンジン出力を低下させ、さらに、アンダーステア傾向が改善されないときには、図3に模式的に白矢印で示すように、車両の旋回内側の後輪(後内輪)2に制動力を付与するものである。
すなわち、車両のアンダーステア傾向が強いときに(US時)、前車輪2,2はそのグリップ限界まであまり余裕がないことが多いので、グリップに余裕のある旋回内側の後輪2に制動力を付与する。これにより図に白矢印で示すように車体に旋回内側向きのヨーイングモーメントを発生させて、ドリフトアウトを未然に防止することができる。
一方、制御目標ヨーレートと実際のヨーレートとの偏差が介入しきい値よりも小さいとき(偏差の符号がマイナスでその絶対値である偏差量はしきい値よりも大きいとき)には、オーバーステア傾向が所定以上に強いと判定する(OS時)。このときには前記と反対に後車輪2,2の方がグリップ限界に近いと考えられるので、図に模式的に黒矢印で示すように、旋回外側の前輪(前外輪)2に制動力を付与して、これにより車体に旋回外側向きのヨーイングモーメントを発生させることで、スピンなどを回避・抑制することができる。
(空気圧に応じた制御特性の補正)
ところで、上述のような基本的なDSC制御は、制御対象(制動力の付与対象)となる車輪2の空気圧が適正範囲にあることを前提に、制御量(制動力)が決められるので、制御対象となる車輪2の空気圧が適正範囲から逸脱しているときには、所望の効果が得られない。例えば、オーバーステア制御で前外輪2に制動力を付与するときに、この前外輪2の空気圧が適正範囲よりも低いと、空気圧が適正範囲にあることを前提に設定された制御量に基づいて制動力を付与しても、十分なグリップ力を発揮できない旋回外前輪2は路面に対して所定の制動力を発揮できず、その結果、所望のオーバーステア制御が行われないことになる。
また、制御対象以外の車輪2,2,…の空気圧が適正範囲より低いときであっても、空気圧が適正範囲にあるときと同じ内容の制御を行ったのでは、所望の効果が得られないことがある。そのため、この実施形態では、いずれかの車輪2の空気圧が適正範囲より低いときであっても所望の姿勢制御が実行されるように、どの車輪2,2,…の空気圧が低下しているかに基づいて、以下の如くDSC制御の特性を変更するようにしている。
ここで、変更の対象となる制御特性は、例えば制御量(制動力、ブレーキ液圧など)自体であってもよいし、制御の介入しきい値を変更して制御開始のタイミングを早めたり、或いは制御の解除しきい値を変更して制御終了のタイミングを遅らせたりしてもよい。
この実施形態では、前記のように総合制御CPU24が、空気圧警報に用いる車輪の空気圧に基づいて各車輪2の空気圧を検知し、どの車輪2,2,…の空気圧が低下しているかによって、例えば図4に示すように制御特性を変更する演算を行う。そして、この演算結果をDSC制御用CPU22に送り、変更された内容のDSC制御を実行させる。
図示の如く、DSC制御の特性は例えば以下のように変更される。スピン防止のオーバーステア制御において後外輪2の空気圧が低下しているときには、制御量を増大し、且つ制御解除のタイミングを早める。この状態では介入タイミングは変更しない。しかし、オーバーステア傾向のときには後輪側のグリップ力が相対的に低くなっているので、結果的に早いタイミングでオーバーステア制御が開始される。また、スピンし始めると後輪2のグリップが急激に失われるので、制御対象輪である前外輪2に通常より大きな制動量をかけて、スピンを防止する。
また、この状態では後輪2のグリップ力、コーナリングフォース等が小さいため、後輪2での横力発生が遅れ、後述するが、オーバーステア制御によって車両の姿勢が大きく戻り過ぎる傾向がある(オーバーシュート)。このため、制動の解除のタイミングを通常より早める。尚、この状態で後輪荷重が大きいときには介入タイミングを早める。このような荷重は、車高センサ等の公知の手段で検出するのが好ましい。
オーバーステア制御において、後内輪2の空気圧が低下しているときには、DSC制御の解除のタイミングを少し早める。早める大きさは、後外輪2の空気圧が低下しているときより小さくするのが好ましい。オーバーステア制御によってスピン状態から復帰してくると、内輪側のグリップ力等も回復し、車両の姿勢が大きく戻り過ぎる傾向がある(後述のオーバーシュート)。このオーバーシュートを防止するために、制動の解除のタイミングを通常より早めている。
オーバーステア制御において、前外輪2の空気圧が低下しているときには、DSC制御の介入タイミングを早め、且つ制御解除のタイミングも早める。早める大きさは、後外輪2の空気圧が低下しているときよりも小さくするのが好ましい。この状態では、オーバーステア制御の制御対象である前外輪2の空気圧が低下しているので、早いタイミングで制御(制動)を行い、空気圧低下によるタイヤの応答性低下を補うのである。また、制動解除も早めて、タイヤの応答性低下による戻りすぎを防止する。尚、前輪2,2の垂直荷重が大きいときには、介入強さ(制動力)を通常より小さくするの好ましい。これは、タイヤの横力が発生しにくくなるためである。
オーバーステア制御において、前内輪2の空気圧が低下しているときには、DSC装置の制御特性の変更は行わない。
次に、後内輪2に制動力を付与するアンダーステア制御において、後外輪2の空気圧が低下しているときには、制御開始タイミングを遅らせ、且つ制御解除のタイミングを早める。早める大きさは、後外輪2の空気圧が低下しているオーバーステア制御時よりも小さくするのが好ましい。制御開始タイミングは、目標ヨーレイトを小さく設定することにより遅らさせることができる。
また、この状態では、後輪2,2側のグリップ力等が相対的に低くてオーバーステア傾向の強くなりやすい状態であるから、アンダーステア制御で後内輪2に制動力をかけると後輪2,2がグリップ限界を超えやすい。従って、制御開始タイミングを遅らせて後輪2,2がグリップ限界を超えることを未然に防止する。同様の理由で、さらに制御量を低下させてもよい。また、アンダーステア制御によって、車体の横滑り角が増大して後外輪2のグリップ力が飽和してしまい、スピンが生じることを防止するために、制御の解除は早めにする。
アンダーステア制御において外内輪2の空気圧が低下しているときには、制御開始タイミングを遅らせ、且つ、制御量を低下させる。制御開始タイミングは、目標ヨーレイトを小さく設定することにより、遅らせることができる。この状態でも前記と同様にオーバーステア傾向が強くなりやすいから、制御開始タイミングを遅らせて後輪2,2がグリップ限界を超えることを未然に防止している。
また、制御対象である後内輪2の空気圧が低い状態であるから、通常のDSC装置の制御で制動力を与えると、後内輪2の横力が急激に低下し、スピンに陥るおそれがある。このため、ゲインを低下させることにより、制動の強さを弱めている。また、同時に制御の解除を早めてもよい。
さらに、アンダーステア制御において、旋回外側又は内側の前輪2,2の空気圧が低下しているときには、制御の制御特性の変更は行わない。
尚、上述した制御特性の変更は、複数の車輪2,2,…の空気圧が適正範囲から逸脱している場合にも、これらに起因する車両の特性変化を補正するように行えばよい。
(オーバーシュート後の制御対象輪の変更)
ところで、上述の如くDSC制御によって、車両のステア特性に応じて例えばオーバーステアであれば車両の前外輪2に、またアンダーステアであれば後内輪2に制動力を付与し、これにより車体にヨーイングモーメントを発生させるようにすると、これにより車両のステア特性がオーバーステア傾向からアンダーステア傾向へ、或いはアンダーステア傾向からオーバーステア傾向へと反転し(車両姿勢のオーバーシュート)、車両の姿勢が大きく戻り過ぎることがある。
すなわち、車両のステア特性は、前記のようにDSC制御によって制御対象輪に付与する制動力が大きいほど、大きく変化し、瞬時に強いオーバーステア傾向から強いアンダーステア傾向へ、或いは強いアンダーステア傾向から強いオーバーステア傾向へと反転することがある。そうして反転したステア特性に対応して、DSC制御用CPU22は、前記と同様に後内輪2又は前外輪2に制動力を付与して、前記とは逆向きのヨーイングモーメントを発生させようとする。
しかし、このときに制動力の付与される車輪2,即ち、DSC制御によって車両の姿勢にオーバーシュートが生じた後に、最初に制御対象となる車輪2(第1制御対象輪)の空気圧が適正範囲にないときには、この車輪2に制動力を付与しても十分なグリップ力が発揮されず、狙い通りにヨーイングモーメントを発生させることができない。
その結果、DSC制御の介入に伴い前記のようにステア特性が反転した車両において、例えばアンダーステア傾向から反転して強いオーバーステア傾向になった車両の姿勢がそのまま内側に巻き込むように急変したり、オーバーステア傾向から反転して強いアンダーステア傾向になった車両の走行ラインが急激に外側に膨らむ、ということが起きてしまう。
これに対し、車両を運転するドライバーは、走行中の車両のアンダーステア傾向が強くなったときには、経験的にその走行ラインが外側に膨らむことを予測し、また、オーバーステア傾向が強くなったときには車両の姿勢が内側に巻き込むことを予測して、それぞれの予測に基づいて適切な運転操作を行おうとする。そのため、上述のようにDSC制御の介入に伴いステア特性が反転し、車両の姿勢が予測とは異なる向きに急変すると、ドライバーは非常に強い違和感を覚えることになるのである。
そこで、この実施形態の姿勢制御装置1では、DSC制御によって車両の姿勢にオーバーシュートが生じた後、最初に制御対象となる第1制御対象輪2の空気圧が適正範囲にないときには、この第1制御対象輪2には制動力を付与せず、それ以外の別の車輪2を第2制御対象輪として選択するようにしている。
以下、前記のような制御対象車輪2の選択を中心に、DSC制御用CPU22及び総合制御CPU24によって行われる具体的な制御手順を図5のフローチャート図に基づいて説明する。
まず、スタート後のステップS1では、少なくとも、舵角センサ30、ヨーレートセンサ32、横加速度センサ34、スロットル開度センサ、車輪速センサ等からの信号を入力し、また、検出装置4から送信されてきた空気圧信号を入力するとともに、記憶手段26やその他のメモリに記憶されているデータを読み込む。
続いてステップS2において、ステアリング操舵角や車速などに基づいて算出した制御目標ヨーレートとヨーレイトセンサ32により検出された実際のヨーレートとの偏差を求める。すなわち、例えば目標ヨーレイトから実ヨーレイトを減算して求めたヨーレイト偏差は、その値が正値であればアンダーステア傾向を表し、負値であればオーバーステア傾向を表す。そして、いずれの場合も偏差の絶対値が所定の介入しきい値よりも大きければ、ステア特性の偏りが過度に大きくて、DSC制御の介入が必要であると判断する。
従って、ステップS3において前記ヨーレイト偏差の絶対値(ヨーレイト偏差量)を介入しきい値と比較し、偏差量が介入しきい値よりも小さいときには(NO)、アンダーステア傾向もオーバーステア傾向もあまり強くなっていないので、DSC制御を開始せず、リターンする。一方、ヨーレイト偏差量が介入しきい値よりも大きければ(YES)、アンダー又はオーバーのいずれかのステア傾向が所定以上に強くなっていると判断して、ステップS4に進む。
このステップS4では現在の車両のステア特性がオーバーステア傾向かアンダーステア傾向か判別し(オーバーステア?)、この判定がNOでアンダーステア傾向であれば後述のステップS10に進む一方、判定がYESでオーバーステア傾向であれば、ステップS5に進む。そして、車両のステア特性がアンダーステア傾向から反転してオーバーステア傾向になったのか否か判別する。これは、上述したようにDSC制御の介入によってステア特性が反転するときに制御フラグを切り替えるようにしておき、このフラグの状態からステア特性の反転があったかどうか判別する。
そして、ステア特性が反転しておらず、車両の走行中にオーバーステア傾向が強くなって、未だDSC制御が介入する前の状態であれば(ステップS5でNO)、ステップS6に進んで、上述したように旋回外側の前輪(前外輪)2を制御対象車輪として選択し、この前外輪2に制動力を付与するように、続くステップS7においてブレーキ油圧回路のアクチュエータを駆動して、しかる後にリターンする。
つまり、走行中の車両のオーバーステア傾向が所定以上に強くなれば、これに応じてDSC制御を開始し、制御対象である前内輪2に制動力を付与して、車両に内向きのヨーイングモーメントを作用させ、これによりオーバーステア傾向を打ち消すようにする。この際、いずれかの車輪2,2,…空気圧が低下していれば、上述したように制御特性を変更して(図4参照)、DSC制御を行う。
一方、DSC制御の介入に伴い車両のステア特性が反転して、オーバーステア傾向が強くなったのであれば(ステップS5でYES)、ステップS8に進んで、制御対象となる前外輪2の空気圧が適正範囲から逸脱しているか否か判定する(前外輪空気圧低下?)。この判定がNOで空気圧が適正範囲にあれば、前記ステップS6、S7に進んで、前外輪2を対象とするDSC制御を行う一方、判定がYESで空気圧が適正範囲から逸脱していれば、ステップS9に進み、旋回外方の後輪2(後外輪)2を第2制御対象輪として選択する。そして、前記ステップS7に進んで、第2制御対象輪2に制動力を付与するようにアクチュエータを駆動し、しかる後にリターンする。
つまり、DSC制御の介入に伴いステア特性が反転、即ち、車両の姿勢がオーバーシュートした後、最初に制御対象となる第1制御対象輪2の空気圧が適正範囲にないときには、この第1制御対象輪2に制動力を付与しても、どの程度のグリップ力が得られるのか分からず、姿勢制御の実効を得られない虞れがあるから、別の車輪(第2制御対象輪2)に制動力を付与するようにしたものである。
こうすることで、走行中に強いアンダーステア傾向に陥った車両においてDSC制御が介入し、その結果として強いオーバーステア傾向になったときに、本来の制御対象である前外輪2(第1制御対象輪)の空気圧が不足していても、そのときには後外輪2(第2制御対象輪)に制動力を付与することによって車両に外向きのヨーイングモーメントを発生させることができ、車両の姿勢が内側に巻き込むように急変することはなくなる。
次に、前記ステップS4において現在、車両がアンダーステア傾向であると判定した場合には、ステップS10において前記ステップS5と同様に車両のステア特性が反転したか否か判別し、ステア特性が反転していなければステップS11に進んで、アンダーステア傾向を弱めるために旋回内側の後輪(後内輪)2を制御対象車輪として選択する。そして、前記ステップS7に進んで、後内輪2に制動力を付与するようにアクチュエータを駆動して、しかる後にリターンする。
一方、ステア特性が反転してアンダーステア傾向が強くなったのであれば(ステップ10でYES)、ステップS12に進んで、第1制御対象輪である後内輪2の空気圧が適正範囲から逸脱しているか否か判定し(後内輪空気圧低下?)、空気圧が適正範囲にあれば前記ステップS11、S7に進む一方、空気圧が適正範囲から逸脱していればステップS13,S7に進んで、第2制御対象輪である旋回内方の前輪2(前内輪)2に制動力を付与するようにアクチュエータを駆動して、しかる後にリターンする。
つまり、車両の走行中に強いアンダーステア傾向になった場合も、上記オーバーステア傾向の場合と同様にDSC制御の介入によって車両にヨーイングモーメントを発生させ、これによりアンダーステア傾向を打ち消すことができるとともに、DSC制御の介入に伴いステア特性が反転して(オーバーシュート)強いアンダーステア傾向になった場合には、第1制御対象輪2の空気圧が適正範囲になければ、これとは別の第2制御対象輪2に制動力を付与することにより、車両に内向きのヨーイングモーメントを発生させて、その走行ラインの膨らみを阻止することができる。
前記図5のフローの各ステップは、処理装置6のDSC制御用CPU22と総合制御CPU24によって行われるものであり、特にステップS5,S10により、DSC制御によって車両姿勢のオーバーシュートが生じているか否かを判定するオーバーシュート判定手段24aが構成され、ステップS8,S12によって、各車輪2毎の検出装置4により検出された空気圧が適正範囲から逸脱しているか否かを判定する空気圧判定手段24bが構成されている。
また、ステップS6,S7,S9,S11,S13により、各車輪2に付与する制動力を個別に制御して、車両のヨーイング方向の姿勢を制御する姿勢制御手段24cが構成されている。この姿勢制御手段24cは、前記オーバーシュート判定手段24aによってオーバーシュートが生じていると判定され、且つ前記空気圧判定手段24bによって第1制御対象輪2の空気圧が適正範囲から逸脱していると判定されれば、その第1制御対象輪2への制動力の付与を行わず、第2制御対象輪2のみへ制動力を付与するように構成されている。
さらに、前記姿勢制御手段24cは、図4を参照して上述したように、前記空気圧判定手段24bによっていずれかの車輪2の空気圧が適正範囲から逸脱していると判定されたときに、車両姿勢のオーバーシュートが生じ難くなるように、例えば車輪2に付与する制動力を減少するなど,DSC制御の特性を変更するように構成されている。
したがって、この実施形態の車両の姿勢制御装置1によると、車両の走行中にアンダー又はオーバステア傾向が所定以上に強くなれば、これに応じてDSC制御が介入し、制御対象の車輪2に制動力を付与することによって、車両のヨーイング方向の姿勢を制御し、ドリフトアウトやスピンを抑制することができる。この際、いずれかの車輪2,2,…の空気圧が適正範囲にないときには、主に制御量や制御タイミングなどを変更することにより、できるだけ所望の姿勢変化が生じるようにしている。
その介入時の最初の制御においては、仮に制御対象輪2のタイヤの空気圧が不足していて、十分に大きなヨーイングモーメントが発生せず、車両の走行ラインが外側に膨らんだり、或いは車両の姿勢が内側に巻き込んだりしても、そのような姿勢の変化はドライバーの予測に沿うものであり、ドライバーに強い違和感を与えることはない。
しかも、大きなヨーイングモーメントが発生しなくなれば、オーバーシュートを生じ難くなるので、その後の制御によって車両の姿勢をより確実に安定方向に制御することができる。
一方、DSC制御の介入に伴い車両のステア特性が反転して、その姿勢にオーバーシュートが生じた後に、最初に制御対象となる車輪2(第1制御対象輪)の空気圧が適正範囲にないときには、それ以外の別の車輪2を第2制御対象輪として、これに制動力を付与するようにする。これにより、第1制御対象輪2への制動力の付与によっては十分なヨーイングモーメントが得られないときでも、車両の姿勢及びステア特性を所望の傾向に変化させることができる。
このことで、例えば最初のアンダーステア傾向から反転して強いオーバーステア傾向になった車両の姿勢がそのまま内側に巻き込むように急変したり、その反対にオーバーステア傾向から反転して強いアンダーステア傾向になった車両の走行ラインが急激に外側に膨らんだりすることが、つまり、車両の姿勢がドライバーの予測とは異なる向きに急変することがなくなるので、ドライバーに強い違和感を覚えさせないようにすることができる。
しかも、この実施形態では、空気圧が適正範囲から逸脱していて、実際にはどの程度のグリップ力を発揮するのか分からない第1制御対象輪2への制動力の付与を行わず、第2制御対象輪2にのみ制動力を付与するようにしているので、正確なDSC制御が可能になって、前記の効果がより確実なものとなる。
加えて、この実施形態では、そもそもいずれかの車輪2,2,…の空気圧が適正範囲にないときには、DSC制御の特性を変更するようにしており、これにより車両姿勢のオーバーシュートが生じ難くなれば、このことによっても、前記のようにオーバーシュートを契機として車両の姿勢が急変することを防止できる。
尚、本発明の構成は、前記の実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。すなわち、前記実施形態では、第1制御対象輪2の空気圧が適正範囲にないときに、第2制御対象輪2にのみ制動力を付与するようにしているが、これに限らず、例えば第2制御対象輪2の制動力制御の度合いを第1制御対象輪よりも大きくしながら、両輪2,2に制動力を付与するようにしてもよい。
その場合に制動力制御の度合いを大きくするというのは、例えば制御量(制動力、ブレーキ液圧など)自体を大きくしてもよいし、制御の介入しきい値を変更して制御開始のタイミングを早めたり、或いは制御の解除しきい値を変更して制御終了のタイミングを遅らせたりすることもできる。
また、第1及び第2制御対象輪2,2は、前記実施形態のものに限定されない。すなわち、例えばアンダーステア制御の場合の第2制御対象輪2として、前記実施形態のように前内輪2に制動力を付与するだけでなく、さらに後外輪2にも制動力を付与するようにしてもよい。こうすると、旋回外側の車輪2への制動力付与によって車両には外向きのヨーイングモーメントが発生することになるから、後外輪2への制動力は前内輪2に比べて小さくするのがよい。そして、それら前内輪2及び後外輪2への制動力の付与によって車両が減速すれば、そのことによってアンダーステア傾向を弱めることができる。
さらに、前記実施形態では処理装置6の一例として、DSC制御用CPU22と総合制御CPU24とを別々にし、両者を協調させてDSC制御を行うようにしているが、これに限るものではなく、単一のCPUによってDSC制御を行うようにしてもよい。
また、前記実施形態では、各検出装置4毎に専用アンテナが配置された構成であるが、1本のアンテナが各検出装置4からの空気圧信号を受信するように構成してもよい。この場合、登録時に、車輪の位置と、タイヤ識別IDとが処理装置側に登録される。
さらにまた、前記実施形態では、各検出装置4が、所定時間間隔で空気圧信号を発信する構成であるが、処理装置6側からの命令に応じて、検出装置4が空気圧信号を処理装置6側に送信する構成でもよい。
以上説明したように、本発明の車両の姿勢制御装置は、車輪(タイヤ)の空気圧が適正範囲から逸脱していても、走行中の車両の姿勢を安定化できるものなので、非常に有用である。
本発明の実施形態の車両制御装置が搭載された車両の概略的な構成を示すブロック図である。 検出装置の構成を示すブロック図である。 基本的なDSC制御の説明図である。 DSC制御の特性の変更内容を示す表である。 DSC制御の手順を示すフローチャート図である。
符号の説明
1 姿勢制御装置
2 車輪
4 検出装置(検出手段)
6 処理装置
22 DSC制御用CPU(姿勢制御手段)
24 総合制御CPU(姿勢制御手段)
24a オーバーシュート判定手段
24b 空気圧判定手段
24c 姿勢制御手段

Claims (8)

  1. 車両の各車輪に付与する制動力を個別に制御して、少なくともヨーイング方向の姿勢を制御する姿勢制御手段を備えた車両の姿勢制御装置であって、
    前記各車輪の空気圧をそれぞれ検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された空気圧が所定範囲から逸脱しているか否かを判定する空気圧判定手段と、
    前記姿勢制御手段による制御によって車両姿勢のオーバーシュートが生じているか否かを判定するオーバーシュート判定手段と、を備え、
    前記姿勢制御手段は、前記オーバーシュート判定手段によってオーバーシュートが生じていると判定され、且つ前記空気圧判定手段によって、制動力の制御対象車輪である第1制御対象輪の空気圧が所定範囲から逸脱していると判定されれば、その第1制御対象輪以外の別の車輪を第2制御対象輪とするように構成されている
    ことを特徴とする車両の姿勢制御装置。
  2. 前記姿勢制御手段は、前記第2制御対象輪の制動力制御の度合いを第1制御対象輪よりも大きくすることを特徴とする請求項1の姿勢制御装置。
  3. 前記姿勢制御手段は、前記第2制御対象輪のみを制動力制御の対象とすることを特徴とする請求項2の姿勢制御装置。
  4. 前記姿勢制御手段は、前記空気圧判定手段によって、車両のいずれかの車輪の空気圧が所定範囲から逸脱していると判定されたときに、車両姿勢のオーバーシュートが生じ難くなるように制御特性を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの姿勢制御装置。
  5. 前記姿勢制御手段は、制御対象車輪の制動力制御量が減少するように制御特性を変更することを特徴とする請求項4の姿勢制御装置。
  6. 前記姿勢制御手段は、車両のアンダーステア傾向を抑制するときに、第1制御対象輪として旋回内側の後輪を選択するとともに、第2制御対象輪として旋回内側の前輪を選択することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの姿勢制御装置。
  7. 前記姿勢制御手段は、第2制御対象輪として旋回外側の後輪も選択することを特徴とする請求項6の姿勢制御装置。
  8. 前記姿勢制御手段は、車両のオーバーステア傾向を抑制するときに、第1制御対象輪として旋回外側の前輪を選択するとともに、第2制御対象輪として旋回外側の後輪を選択することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの姿勢制御装置。
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