JP2004193181A - コンデンサ用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】生産時の低コストを維持しながら、電気的欠陥を低くすることのできる、コンデンサ用のベースフィルムとして極めて有用な薄膜ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】重合時に添加された少なくとも1種の酸化防止剤を含有するポリエステル層を少なくとも1層有することを特徴とするコンデンサ用ポリエステルフィルムであり、用いる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好適であり、ポリエステルフィルム層中の金属化合物含有量が少ないことが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム中のポリマーの熱劣化物が少なく、コンデンサ用として使用とした際に絶縁欠陥の少ないポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
二軸配向ポリエステルフィルムは、機械的性質、耐熱性、電気的特性、耐薬品性等、各種の特性を高度にバランス良く有し、コストパフォーマンスの点で優れるため、磁気テープ用、包装用、製版用等の産業用資材として広く用いられている。これらの用途に限らず、電気機器、情報機材関連の小型化に伴い、これまでよりもさらに薄膜化されたポリエステルフィルムの要求が急増している。特にフィルムコンデンサ用としては、この傾向は顕著である。
【0003】
しかしながら、従来の処方では、電圧を印可した際、フィルム中に含まれるポリマーの劣化物が引き金となり、コンデンサの絶縁破壊が起こり、この傾向はフィルム厚みが薄くなるに従い、益々悪影響を与える結果となる。
すなわち、ポリマーの劣化物を減少させるためには、従来の処方として、▲1▼ポリマー溶融の時間を減少させる、▲2▼ポリマー溶融の温度を低くする等の方法があるが、▲1▼の処方は、薄膜化による単位時間当たりのポリマーの押出量が低くなる場合には、溶融時間が長くなるため、これと逆行し適用しにくく、▲2▼の処方は、ポリマーの溶融粘度が高くなり、押出そのものが困難となり、十分な効果が発揮できない。
このように、フィルムを薄膜化するとポリマーの劣化物が増加し絶縁欠陥が増加するという二律背反性を持ち、両者を同時に満足する方法は、極めて困難である。
【0004】
【特許文献1】特開2001−189230号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、生産時の低コストを維持しながら、電気的欠陥を低くすることのできる、薄膜ポリエステルフィルムを提供することを解決課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、酸化防止剤を有することにより、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、重合時に添加された少なくとも1種の酸化防止剤を含有するポリエステル層を少なくとも1層有することを特徴とするコンデンサ用ポリエステルフィルムに存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、繰り返し単位の80%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステルを指す。
かかるポリエステルは、通常(1)芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとを主な出発原料としてエステル交換反応を経由して、重縮合反応を行う、あるいは(2)芳香族ジカルボン酸とグリコールとを主な出発原料として、エステル化反応を経由して、重縮合反応を行うことにより得られる。これらの反応を行うため、通常、触媒として金属化合物を添加する方法が用いられる。例えば、エステル交換反応触媒として、Ca、Mg、Mn、Li等の化合物、重縮合反応触媒としてSb、Ti、Ge、Sn、Co等の化合物が一般的に用いられている。しかしながら、かかる金属化合物の含有量が多いと、フィルムをコンデンサの誘電体として使用した場合、電気特性が低下してしまう。
【0009】
この事実に鑑み、本発明においては、金属化合物含有量を少なくすることができる、上記(2)のエステル化反応方法を採用することが好ましい。しかも、ポリエステル中に存在する金属成分が、金属元素換算で、粒子を除いて、アンチモンを10〜300ppmの範囲、さらには10〜200ppmの範囲、特に10〜150ppmの範囲で含有する以外は実質的に金属成分を含有しないことが好ましい。ここで実質的に含有しないとは、粒子およびアンチモン以外の金属成分量が、合計100ppm以下、好ましくは50ppm以下であることを意味する。金属成分量が100ppmを超えたり、アンチモンの含有量が300ppmを超えたりすると、耐電圧特性が不十分となる傾向がある。一方、アンチモンの含有量が10ppm未満では、ポリエステル製造時の生産性が低下する。アンチモン以外の金属をポリエステル製造時の触媒として使用する方法もあるが、その場合は、ポリエステルの熱安定性が低下する傾向があるため、特に再生原料として使用した場合、耐電圧特性を低下させる問題が発生することがある。
【0010】
なお、本発明においては、必要に応じポリエステル中にリン(P)化合物を含有させてもよい。リン化合物は一般に金属化合物を不活性化させ、ポリエステルの熱安定性を向上させ、かつ電気的特性をも良好とする効果を有するので、例えばP元素として5〜200ppm程度存在させると好都合な場合がある。また、上記の範囲を逸脱しない条件下であれば、本発明のポリエステルは他の第三成分を含有していてもよい。
【0011】
本発明のポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等を用いることができる。グリコール成分としては、エチレングリコール以外に、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を用いることができる。
【0012】
本発明で用いるポリエステルの極限粘度は、通常0.45以上、好ましくは0.50〜1.0、さらに好ましくは0.52〜0.80の範囲である。極限粘度が0.45未満では、フィルム製造時の生産性が低下したり、フィルムの機械的強度が低下したりするという問題が生ずることがある。一方、ポリマーの溶融押出安定性の点から、極限粘度は1.0を超えないことが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する方法により測定したトータルの重量法厚みが、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは1〜5μmである。フィルム厚みが10μmを超えると、種々の用途における最終製品の大きさが大きくなり、特にコンデンサ用途の場合は静電容量がフィルム厚みに反比例する関係上、好ましくない場合がある。
【0013】
本発明の最大の特徴は、ポリマーの溶融時に生じる劣化物を低減させるため、少なくとも1種の酸化防止剤を含有することにある。
本発明で用いる酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤でもフェノール系酸化防止剤でもよいが、フェノール系酸化防止剤が好適に使用される。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、以下に例示する酸化防止剤が挙げられる。
【0014】
【化1】
Figure 2004193181
【0015】
【化2】
Figure 2004193181
【0016】
【化3】
Figure 2004193181
【0017】
【化4】
Figure 2004193181
【0018】
【化5】
Figure 2004193181
【0019】
【化6】
Figure 2004193181
【0020】
【化7】
Figure 2004193181
【0021】
【化8】
Figure 2004193181
【0022】
【化9】
Figure 2004193181
【0023】
かかる酸化防止剤の添加は、原料ポリエステルの重合時に酸化防止剤を添加する方法で行われる。コンデンサ用フィルムの場合は、高温下での絶縁性を維持するため,単離した状態での酸化防止剤を発生させない観点から,原料ポリエステルの重合時に添加して共重合させる方法が必須であり、例えば、ポリエステルの製膜時の段階で、押出機に添加口を設けておき、溶融または部分的に溶融状態のポリエステルに酸化防止剤を添加する方法では不適当である。
【0024】
酸化防止剤の添加量は、当該酸化防止剤含有層を構成するポリエステルに対し、通常10〜3000ppm、好ましくは50〜1500ppm、さらに好ましくは100〜1000ppmの範囲である。添加量が10ppm以下では、酸化防止の効果が十分に発揮されない場合があり、添加量3000ppm以上では、未反応の酸化防止剤がフィルム中に残存し、フィルムの品質が低下するおそれがある。
また、本発明において、酸化防止剤を複数種、添加させることはむろん可能である。
【0025】
本発明において、ポリエステルフィルムは、本発明の要旨を越えない限りにおいて、積層構造を採用することが可能である。ここで言う積層構造とは、すべての層が押出機の口金から共溶融押し出しされる、いわゆる共押出法により押し出された未延伸フィルムを、延伸および熱処理したものである。
【0026】
本発明において、コンデンサ用フィルムとして適した表面性を得るために用いられる粒子の例としては、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、およびポリエステル重合時に生成させる析出粒子を挙げることができ、好ましくは、炭酸カルシウム、シリカ並びにカルシウムおよびリンを含有する析出粒子である。
【0027】
炭酸カルシウムについては、粒径分布をシャープ化し、粗大粒子(平均粒径より著しく大きい粒子)をカットしやすいこと、フィルム化後、滑り性、耐摩耗性が得やすいこと等が好ましい理由である。また、シリカについては、他の粒子より比較的安価に入手できること等が好ましい理由である。また、カルシウムおよびリンを含有する析出粒子については、あらためて粒子を添加する必要がなく、安価であること、フィルム化時の延伸時の粒子の変形が小さく、突起高さを維持でき、良好な巻き特性を発揮する等が好ましい理由である。
また、本発明の効果を発現させるために、上記で代表される粒子を複数種、採用させることはむろん可能である。
【0028】
添加粒子を含むポリエステルの製造に際して、粒子はポリエステルの合成反応中に添加してもポリエステルに直接添加してもよい。合成反応中に添加する場合は、粒子をエチレングリコール等に分散させたスラリーとして、ポリエステル合成の任意の段階で添加する方法が好ましい。一方、ポリエステルに直接添加する場合は、乾燥した粒子として、または、水あるいは沸点が200℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーとして、2軸混練押出機を用いてポリエステルに添加混合する方法が好ましい。なお、添加する粒子は、必要に応じ、事前に解砕、分散、分級、濾過等の処理を施しておいてもよい。
【0029】
粒子の含有量を調節する方法としては、上記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を作っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しない原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効である。
また、上記の突起形成剤以外の添加剤として、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、着色剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを、コンデンサ特性を悪化させない範囲内で含有していてもよい。
【0030】
本発明のフィルムは、種々の最終用途に応じ、フィルムを接する層との接着性を高めるため、接着性を付与する層を設けることができる。この接着性を付与するために、特に水性ポリエステル系ポリマーおよび水性アクリル系ポリマーから成る群から選ばれた少なくとも1種からなるポリマー(バインダーポリマー)が有用である。
また、塗布層の耐固着性(耐ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤性、機械的強度の改良のために架橋性ポリマーとしてメチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系等の化合物、エポキシ系化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネート、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコーアルミネート系カップリング剤、過酸化物、熱および光反応性のビニル化合物や感光性樹脂などを含有してもよい。
【0031】
また、固着性や滑り性改良のために、塗布層中に無機系微粒子として、シリカ、シリカゾル、アルミナ、アルミナゾル、ジルコニウムゾル、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモンゾルなどを、有機系微粒子として、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などを含有していてもよい。さらに必要に応じて、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
【0032】
上述の塗布液をポリエステルフィルムに塗布する方法としては原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターあるいはこれら以外の塗布装置を用いることができる。塗布層は、フィルム製造工程内で設けてもよいし、フィルム製造後に塗布してもよい。特に塗布厚みの均一性や、生産効率の点で、フィルム製造工程内で塗布する方法が好ましい。
【0033】
フィルム製造工程内で塗布する方法としては、ポリエステル未延伸フィルムに塗布液を塗布し、逐次あるいは、同時に二軸延伸する方法、一軸延伸されたポリエステルフィルムに塗布し、さらに先の一軸延伸方向と直角の方向に延伸する方法、あるいは二軸延伸ポリエステルフィルムに塗布し、さらに横および/または縦方向に延伸する方法などがある。
塗布層の厚さは、通常0.005〜1.0μmの範囲であり、好ましくは0.01〜0.5μmの範囲である。塗布層厚みが1.0μmを超えると、電気的特性を悪化させることがある。一方、塗布層の厚みが0.005μm未満の場合には、塗布ムラや塗布ヌケが生じやすくなる傾向がある。
【0034】
次に、本発明のフィルムの製造法を具体的に説明する。
まず、あらかじめ重合時に酸化防止剤を添加し、ポリエステルと共重合させることによって得られたポリエステル原料を、押出装置に供給し、ポリエステルの融点以上の温度で溶融押し出しして、スリット状のダイから溶融シートとして押し出す。
また前述したような積層構造を採用する場合は、それぞれの層を構成するポリエステル原料を、共押出積層用押出装置に供給する。すなわち、マルチマニホールドまたはフィードブロックを用いて積層化する。
【0035】
次に、溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0036】
本発明においては、このようにして得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。二軸延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートをまず第一軸方向に延伸する。延伸温度範囲は通常70〜150℃、延伸倍率は通常2.5〜6倍の範囲とし、延伸は一段階または二段階以上で行うことができる。次に第二軸方向、すなわち第一軸方向と直交する方向に一軸配向フィルムを一旦ガラス転移点以下に冷却するか、または冷却することなく、例えば80〜150℃の温度範囲に予熱して、さらにほぼ同温度の下で2.5〜5倍、好ましくは3.0〜4.5倍に延伸を行い、二軸に配向したフィルムを得る。
【0037】
なお、第一軸方向の延伸を2段階以上で行うことは、良好な厚さ均一性を達成できるので好ましい。また、横延伸した後、さらに長手方向に再延伸する方法も可能であるが、いずれにしても長手方向の総合延伸倍率を3.5倍以上とすることが好適である。
かくして得られたフィルムを、30%以内の伸長、制限収縮、または定長下で1秒〜5分間熱処理する。この際、熱処理工程内または熱処理後に長手方向または横方向、あるいは両方向に再延伸を行ってもよい。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の評価方法は下記のとおりである。実施例および比較例中、「部」とあるのは「重量部」を示し、「%」とあるのは「重量%」を示し、「ppm」とあるのは「重量ppm」を示す。
【0039】
(1)ポリマーの極限粘度 [η] (dl/g)
ポリマー1gをフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解し、30℃で測定した。
【0040】
(2)添加粒子の平均粒径(d50)(μm)
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)で測定した等価球形分布において大粒子側から積算した積算体積分率50%の粒径を平均粒径(d50)とした。
【0041】
(3)トータルの重量法厚み(総重量法厚み)(μm)
まず、フィルム試験片の密度(ρ;(g/cm))をJIS K7112に規定するD法(密度勾配管法)により測定し、次に、100±0.5cmに切り取った試験片を天秤に乗せ、フィルム質量(m;(g))を0.0001gまで正しく測定した後、以下の式により算出した。かかる測定を5回繰り返し、得られたtの値の中央値を総重量法厚み d(μm)とした。
t=100m/ρ
【0042】
(4)蒸着フィルムおよびコンデンサの評価
(蒸着フィルムの製造)
抵抗加熱型金属蒸着装置を用い、真空室の圧力を10−4Torr以下として、フィルム表面にアルミニウムを450Åの厚みに蒸着し、再びロール状に巻き取った。その際、ポリエステルフィルムの長手方向にマージン部を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8mm、マージン部の幅1mmの繰り返し)。なお、蒸着する前のロール状フィルムを製造した後、蒸着工程にかけるまでの間は、ロール状フィルムに外部から水分が侵入しないように防湿包装を施しておいた。
【0043】
(コンデンサの製造)
上記により得られた蒸着フィルムを左または右に幅0.5mmのマージン部を有する4.5mm幅のテープ状にスリットした。得られた、左マージンおよび右マージンの蒸着ポリエステルフィルム各1枚ずつを併せて巻回し、巻回体を得た。このとき、幅方向に蒸着部分が、0.5mmずつはみ出すように2枚のフィルムをずらして巻回した。この巻回体を温度140℃、圧力50kg/cmで5分間プレスした。プレス後の巻回体の両側面にメタリコンを溶射後リード線を付し、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂による含浸層、および粉末状エポキシ樹脂を加熱溶融することによる最低厚さ0.5mmの外装を形成して、フィルムコンデンサとした。
・コンデンサライフの評価
85℃の恒温槽内において、上記の方法で作成したコンデンサに400Vの直流電圧を印可した状態で、コンデンサが絶縁破壊するまでの時間を計測した。測定個数はn=20とし、その平均値(時間)をコンデンサライフとした。
【0044】
実施例1
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸カルシウム1水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去してエステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、市販のシリカ粒子を入手後、粉砕することによって得られた平均粒径1.80μmのシリカ粒子0.5部および平均粒径0.35μmの架橋高分子粒子1.0部をエチレングリコールスラリーとして添加した。スラリー添加後、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加した。さらにリン酸0.06部、三酸化アンチモン0.04部を加え、徐々に反応系を減圧とし、温度を高めて重縮合反応を4時間行い、極限粘度0.66のポリエステル(a)を得た。粒子を添加しないことと酸化防止剤を添加しないこと以外は(a)と同様にして、極限粘度0.67の希釈用ポリエステル(b)を得た。ポリエステル(a)とポリエステル(b)を混合し、ポリエステル(c)を得た。このポリエステル(c)には、ポリマーに対し、シリカ粒子0.10重量%、架橋高分子粒子0.20重量%が含有され、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]がポリマーに対し、500重量ppm、共重合の形で含有されていた。
【0045】
ポリエステル(c)を常法により乾燥して押出機に供給し、290℃で溶融してシート状に押出し、静電印加密着法を用いて冷却ロール上で急冷し、無定形シートとした。得られたシートを、ロール延伸法を用いて縦方向に84℃で2.9倍延伸した後、さらに70℃で1.3倍延伸した。得られた一軸延伸フィルムをテンターに導いて、横方向に110℃で4.0倍延伸し、230℃で熱処理を行い、フィルムの重量法厚み2.50μmの単層の二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。このマスターロールから500mm幅にトリミングしながら、内径6インチの巻き芯にトータル長35000m、ロール状に巻き取り、ロール状フィルムとした。次に、このロール状フィルムを巻きだして蒸着し、再び内径6インチの巻き芯にトータル長35000m、ロール状に巻き取り、ロール状フィルムとした。このロール状の蒸着フィルムについて、表層から30000mを使用して次のコンデンサ製造工程に回し、最終コンデンサを得た。
【0046】
比較例1
実施例1のポリエステル(a)において、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加しない以外は、まったく同様の方法で極限粘度0.66のポリエステル(d)を得た。ポリエステル(d)とポリエステル(b)を混合し、ポリエステル(e)を得た。このポリエステル(e)には、ポリマーに対し、シリカ粒子0.10重量%、架橋高分子粒子0.20重量%が含有されていた。以下、実施例1とまったく同様の方法で、フィルムの重量法厚み2.50μmの単層の二軸延伸ポリエステルフィルムを得、引き続き、実施例1と同様にして、蒸着、コンデンサ製造を行った。
以上、実施例1および比較例1について得られた結果をまとめて表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 2004193181
【0048】
【発明の効果】
本発明のフィルムは、熱劣化物の極めて少ないフィルムであるため、薄膜であるにも関わらず、絶縁欠陥の少ないコンデンサ用フィルムを与えることができ、その工業的価値は高い。

Claims (1)

  1. 重合時に添加された少なくとも1種の酸化防止剤を含有するポリエステル層を少なくとも1層有することを特徴とするコンデンサ用ポリエステルフィルム。
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