JP2004042488A - 蒸着フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸着加工性および酸素と水蒸気に関するガスバリア性に優れた蒸着フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエステルからなる基材フィルムA層の少なくとも片面に、95〜60重量%のエチレンテレフタレート成分と、5〜40重量%のブチレンテレフタレート成分を含むポリエステルB層が厚み0.01〜5μmで積層され、かつ、ポリエステルB層側の表面に蒸着による無機薄膜が形成されてなる蒸着フィルムであり、無機薄膜としては、アルミニウム薄膜または酸化アルミニウム薄膜が好ましく用いられる。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリエステルからなる基材フィルムA層の少なくとも片面に、95〜60重量%のエチレンテレフタレート成分と、5〜40重量%のブチレンテレフタレート成分を含むポリエステルB層が厚み0.01〜5μmで積層され、かつ、ポリエステルB層側の表面に蒸着による無機薄膜が形成されてなる蒸着フィルムであり、無機薄膜としては、アルミニウム薄膜または酸化アルミニウム薄膜が好ましく用いられる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素および水蒸気の遮断性に優れた蒸着フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品や薬品を長期保存するためには、腐敗や変質を促進する酸素や水蒸気の、外気からの浸入を遮断する効果を持った、いわゆるガスバリア性に優れた包装を行う必要があり、その包装には、従来より種々のガスバリアフィルムが使用されている。このガスバリア性のフィルム包装においては、近年特に内容物の状態を確認できる透明性が強く要求されるようになってきていて、種々の透明ガスバリアフィルムが使用されてきている。
【0003】
例えば、不透明で高度なガスバリア性を有する包装として、アルミニウム箔が積層されたフィルム包装が知られている。しかしながら、アルミニウム箔は高分子化合物からなるフィルムに比べ、屈曲性が劣り、加工などの折り曲げ等でピンホールを生じて、ガスバリア性が低下しやすい点から、アルミニウム箔並の高度なガスバリア性を有するフィルムへの代替が望まれている。
【0004】
また、透明なガスバリア性フィルムとして、ポリ塩化ビニリデン樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂との積層フィルムが知られている。さらに、金属化合物の膜を高分子化合物からなるフィルム表面に形成したものは、ガスバリア性と透明性が良好であることが知られている。
【0005】
しかしながら、これら従来の透明ガスバリア性フィルムは、以下のような問題点があった。
【0006】
ポリ塩化ビニリデン樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂との積層フィルムは、酸素や水蒸気のガスバリア性が十分ではなく、特に高温での殺菌処理において、その低下が著しい。さらにポリ塩化ビニリデンは焼却時に塩素ガスの発生があり、地球環境への悪影響が懸念されている。
【0007】
一方、蒸着により酸化珪素膜や酸化アルミニウム膜を形成した高分子化合物からなるフィルムは、良好なガスバリア性を有するが、近年、食生活が豊かになって様々な食品や菓子類が市場に登場し、品質の長期保存性がより一層重視されてきて、これに伴い、ガスバリア性などの特性の一層の向上が包装材に求められてきている。特にスナック菓子や食品等の包装においては、製造したての良好な品質をより長期間確保するため、包装内容物の酸化や湿りを長期間防止し得る高度なガスバリア性が要求され始めてきている。
【0008】
これらの要求に応えるため、例えば、特開平9−300589号公報記載のように基材フィルム上に低結晶性ポリエステルを積層させたガスバリアフィルムや、特開平8−231836号公報記載のように特定の共重合ポリエステル成分をブレンド含有させた透明ガスバリアフィルムが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−300589号公報や特開平8−231836号公報に記載された技術では、確かにガスバリア性は改良されるが、近年要求されている高度なガスバリア性の水準には至っていない。
【0010】
従って、本発明の目的とするところは、従来技術の問題点を解消し、蒸着フィルムの酸素および水蒸気に関するガスバリア性を格段に向上させることであり、そして、優れたガスバリア性を発現する蒸着フィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は下記の構成を有するものである。
すなわち、
(イ)ポリエステルからなる基材フィルムA層の少なくとも片面に、95〜60重量%のエチレンテレフタレート成分と、5〜40重量%のブチレンテレフタレート成分を含むポリエステルB層が厚み0.01〜5μmで積層され、かつ、該ポリエステルB層の表面に蒸着による無機薄膜が形成されてなることを特徴とする蒸着フィルム。
(ロ)基材フィルムA層がポリエステルフィルムであり、かつ、該フィルムを構成するポリエステルが、テレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とから重合されるポリエステルである上記(イ)に記載の蒸着フィルム。
(ハ)無機薄膜を形成する前の積層フィルムにおける無機薄膜形成側の表面の中心線平均表面粗さ(Ra)が0.005〜0.030μmの範囲である上記(イ)または(ロ)に記載の蒸着フィルム。
(ニ)無機薄膜を形成する前の積層フィルムの面配向係数(fn)が0.155〜0.180の範囲である上記(イ)〜(ハ)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(ホ)無機薄膜を形成する前の積層フィルムの150℃、30分の熱収縮率が、フィルムの長手方向で0.5〜2%、幅方向で−1.2〜0.5%の範囲である上記(イ)〜(ニ)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(ヘ)無機薄膜が、アルミニウム薄膜および/または金属酸化物薄膜である上記(イ)〜(ホ)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(ト)金属がアルミニウムであり、金属酸化物が酸化アルミニウムである上記(へ)記載の蒸着フィルム。
である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明における基材フィルムA層は、ポリエステルフィルムからなるものである。
【0014】
この基材フィルムA層のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、エステル結合により構成される高分子量体であって、エチレンテレフタレート単位および/またはエチレンナフタレート単位を主たる構成成分とするポリエステルであることが好ましい。エチレンナフタレート単位/エチレンテレフタレート単位の構成比率を増加させると、耐熱性、蒸着ガスバリア性を良好にし易いので好ましいが、加工性を悪化し易いので好ましくない。本発明では、好ましくは上記の両単位を含む組成のポリエステルを用いることで、耐熱性、蒸着ガスバリア性と加工性を両立させることができる。なおここで、主たる構成成分であるというのは、ポリエステル中のエチレンテレフタレート単位および/またはエチレンナフタレート単位の構成比率が60モル%以上であることを言う。
【0015】
ポリエステルの重合原料として用いられるジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を用いることができる。これらのうち、本発明におけるポリエステルでは、特にテレフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸が好ましく、それらの占める割合が、好ましくは70モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上であることが耐熱性、生産性、コスト、蒸着膜との接着性、優れたガスバリア性を得やすい点から好ましい。ナフタレンジカルボン酸/テレフタル酸の構成比率を増加させると、耐熱性、蒸着ガスバリア性を良好にし易いので好ましいが、加工性を悪化し易いので好ましくない。
【0016】
一方、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール等を用いることができる。このうち、エチレングリコールの占める割合が好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは85モル%以上であることが耐熱性、生産性、コスト、蒸着膜との接着性、優れたガスバリア性を得やすい点から好ましい。
【0017】
これらのジカルボン酸成分とグリコール成分は、それぞれ2種以上を併用してもよい。さらに、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、本発明で用いるポリエステルとして、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合したものを用いることもできる。
【0018】
本発明で用いる基材フィルムA層のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、1種のポリエステルであっても、2種以上のポリエステルのブレンドであってもよいが、加工性を向上させる点で、好ましくはポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートのブレンドである。両者を併用する場合、好ましい割合の範囲は、加工性の点で、ポリエチレンテレフタレート10〜100重量%、ポリエチレンナフタレート90〜0重量%である。特に好ましい割合の範囲は、ポリエチレンテレフタレート50〜100重量%、ポリエチレンナフタレート50〜0重量%である。
【0019】
本発明で用いる基材フィルムA層を構成するポリエステルは、接着性、製膜安定性をより向上させるために、ポリエステルの固有粘度が、好ましくは0.50dl/g以上、さらに好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは0.60dl/g以上である。固有粘度が0.50dl/g未満では、蒸着膜との接着性が低下する可能性がある。
【0020】
本発明で用いる基材フィルムA層を構成するポリエステルを製造する際の触媒は特に限定されないが、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用できる。中でもチタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。
【0021】
基材フィルムA層のポリエステルフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で他のポリエステルを配合することができる。他のポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘキサンテレフタレート(PHT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリヒドロキシベンゾエート(PHB)およびそれらの共重合樹脂などを挙げることができる。
【0022】
本発明の蒸着フィルムの基材フィルムA層には、耐衝撃性、耐ピンホール性の点から、ポリオキシアルキレングリコール成分を含有することが好ましい。ポリエステルフィルムの透明性の点から、ポリオキシアルキレングリコールの含有量は好適には0.1〜5重量%である。含有量が5重量%を超えると、ポリエステルフィルムの透明性が悪化するので好ましくない。ポリオキシアルキレングリコールの含有量は、特に好ましくは0.1〜3重量%である。
【0023】
ここで、ポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリオクタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、ポリ1−メチルジメチレングリコール、ポリ2−メチルトリメチレングリコールなどが挙げられる。この中でも、ポリジメチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。耐ピンホール性の観点からは、ポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。さらに、ポリオキシメチレングリコールのポリエステル中の分散性、フィルムのヘイズを低く抑えるという観点から、ポリオキシメチレングリコールの分子量が500〜4,000であることが好ましい、ポリエステルとの重合を考慮すると600〜2,500であるとより好ましく、分子量が800〜1,500であると特に好ましい。
【0024】
ポリオキシアルキレングリコールのポリエステル中での存在形態としては、ポリオキシアルキレングリコールとテレフタル酸などのジカルボン酸成分からなるポリエステルとポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であるポリエーテルエステルとして存在することが、耐ピンホール性、耐衝撃性が特に向上するので好ましい。特にポリエーテルエステルのガラス転移点が−120〜0℃であると耐ピンホール性を良好とする効果が著しく向上するので好ましく、ガラス転移点が−120〜−30℃であるとより一層好ましい。
【0025】
本発明の蒸着フィルムの基材フィルムA層の厚みは、蒸着時の耐熱性、寸法安定性の点から5μm〜50μmの範囲が好ましい。またポリエステルA層に平均粒子径0.01〜2μmの公知の内部粒子、無機粒子および/または有機粒子を添加することが好ましい。積層フィルムの積層形態を、例えば、基材フィルム層(A層)/ポリエステル層(B層)を、それぞれ、A、Bで表した場合、B/A/Bの積層形態では、基材フィルムA層に上記粒子を添加する必要はないが、A/Bの積層形態では取り扱い性、加工性を向上するために、基材フィルムA層に0.02〜0.6重量%含有することが好ましい。内部粒子の析出方法としては公知の技術を用いることができるが、例えば、特開昭48−61556号公報、特開昭51−12860号公報、特開昭53−41355号公報および特開昭54−90397号公報などに記載の技術を採用することができる。さらに、特公昭55−20496号公報や特開昭59−204617号公報などに記載の他の粒子を併用することもできる。
【0026】
また、無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなど、有機粒子としてはスチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を用いることができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を用いることが好ましい。さらに、これらの内部粒子、無機粒子および有機粒子は二種以上を併用してもよい。これらの中でも特に無機粒子を好ましく用いることができ、中でも乾式または湿式シリカが好ましく用いられる。
【0027】
本発明の蒸着フィルムにおいて、基材フィルムA層の少なくとも片面にポリエステルB層が積層され、基材フィルムA層とポリエステルB層とからなる積層フィルムが形成される。
【0028】
このポリエステルB層は、蒸着膜密着性、蒸着ガスバリア性の点から、90〜60重量%のエチレンテレフタレート成分と5〜40重量%のブチレンテレフタレート成分からなるポリエステルであることが必要である。透明性と寸法安定性の点から、ブチレンテレフタレート成分はより好ましくは10〜30重量%(エチレンテレフタレート成分:90〜70重量%)、特に好ましくは10〜25重量%(エチレンテレフタレート成分:90〜75重量%)である。
【0029】
また、本発明のポリエステルB層の積層厚みは0.01〜5μmであることが必要である。積層厚みが0.01μm未満であると優れた蒸着膜との密着性、蒸着バリア性が得られ難い。逆に積層厚みが5μmを超えると、生産性の点で好ましくない。積層厚みはより好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。
【0030】
また、ポリエステルB層のエチレンテレフタレート成分とブチレンテレフタレート成分の混合の方法は、重合段階でグリコール成分としてエチレングリコールと1,4−ブタンジオールの共存下でテレフタル酸とエステル化もしくはエステル交換反応により重縮合して共重合ポリエステルとする方法、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートを別々に重合、ペレット化し、製膜時に所定の混合比となるようにブレンド、乾燥し、溶融押出を行うことで混合する方法などが挙げられるが、後者の別々に重合したポリエステルを混合する方法が好ましく用いられる。また、溶融押出の際にエステル交換反応を抑制するために、ポリエステル樹脂中の重合触媒を失活させる目的で、固体もしくは液体のリン化合物を添加しても良い。
【0031】
また、本発明において、ポリエステルB層のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレート成分およびブチレンテレフタレート成分以外の成分を共重合しても良く、成形性を付与するためにイソフタル酸やダイマー酸、1,3−ドデカジオン酸などが好ましい共重合成分として使用できる。勿論、ポリエステル樹脂にポリオキシアルキレングリコール成分を予め共重合しておいて製膜する、もしくは別途ポリエーテルエステルとして準備し、ポリエステル樹脂とブレンドして使用しても良い。
【0032】
本発明で用いられるポリエステルB層のポリエステルフィルムは、耐熱性、蒸着性、寸法安定性の観点から、示差走査熱量計で測定される融点が一つだけ存在するものであることが好ましい。融点は245〜260℃の間であることが特に好ましい。通常ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートをブレンドすると、融点が各々のポリエステルに起因して2つの融点が測定されるが、溶融押出の際にポリエステルをナノメートルオーダーでアロイ化することで融点を一つにすることができ、かつエステル交換反応を抑制することで優れた蒸着密着性を達成することができ、その結果優れたガスバリア性を達成することができる。
【0033】
本発明において、ポリエステルB層を構成するポリエステルを重合するに際しては、従来公知の反応触媒、着色防止剤を用いることができ、反応触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物などを、着色防止剤としてはリン化合物などを用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。内容物取出性の観点からはアルカリ金属化合物および/もしくはアルカリ土類金属化合物を反応触媒に用いることが好ましい。
【0034】
重合触媒の添加に関しては、ポリエステルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物および/またはチタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては、例えば、ゲルマニウム化合物を例にすると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭54−22234号公報に記載されているように、ポリエステルの出発原料であるグリコール成分中にゲルマニウム化合物を溶解させて添加する方法などを用いることができる。
【0035】
ここで、ゲルマニウム化合物としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム水和物あるいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキシドなどのゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウムなどのリン酸含有ゲルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウムなどを用いることができる。なかでも二酸化ゲルマニウムが好ましく用いられ、非晶質の二酸化ゲルマニウムが特に好ましく用いられる。
【0036】
また、アンチモン化合物としては特に限定されないが、例えば、三酸化アンチモンなどの酸化物、酢酸アンチモンなどが使用される。
【0037】
また、チタン化合物としては特に限定されないが、モノブチルチタネートやジブチルチタネートなどやチタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタンテトラアルコキシドが好ましく用いられる。
【0038】
例えば、ポリエチレンテレフタレートを製造するに際して、触媒として二酸化ゲルマニウムを添加する場合には、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分をエステル交換またはエステル化反応させ、次に二酸化ゲルマニウム、リン化合物を添加し、引き続き高温、減圧下で一定のジエチレングリコール含有量になるまで重縮合させ、ゲルマニウム元素含有重合体を得る方法が好ましく用いられる。
【0039】
本発明で用いられるポリエステルB層のポリエステルは、取り扱い性、加工性を向上させるために、平均粒子径0.01〜2μmの公知の内部粒子、無機粒子および/または有機粒子を0.01〜0.1重量%含有することが好ましい。内部粒子の析出方法としては基材フィルムA層と同様に公知の技術を用いることができる。また、内部粒子、無機粒子および有機粒子は基材フィルムA層と同様に同じ粒子を用いることができる。これらの粒子を二種以上併用してもよい。これらの中でも特に無機粒子を好ましく用いることができ、中でも乾式または湿式シリカが好ましく用いられる。なお、2μmを超える平均粒子径を有する粒子を用いると、得られたフィルムに蒸着を行った際に蒸着層に欠陥が生じることがあるので注意を要する。また、粒子の添加量は、ガスバリア性の点で0.01〜0.1重量%であるとより好ましい。粒子の添加量は、さらに好ましくは0.01〜0.05重量%である。粒子の添加量が0.1重量%より多い場合は、蒸着を施した場合に蒸着層にピンホールが生成し易く、ガスバリア性が低下する場合がある。
【0040】
本発明の蒸着フィルムにおいては、無機薄膜を形成する前の積層フィルムにおける無機薄膜形成側の表面(蒸着膜形成面という)の中心線平均表面粗さ(Ra)が、0.005〜0.030μmの範囲であることが好ましい。中心線平均表面粗さ(Ra)は、より好ましくは0.008〜0.025μmであり、さらに好ましくは0.01〜0.02μmである。蒸着膜形成面のRaを上記範囲内とすることにより、良好なフィルムのハンドリング性(滑り性)、さらには優れた加工性を得ることができる。即ち、Raが0.005μm未満であると、フィルムのハンドリング性が悪化し易いので好ましくない。また、Raが0.03μmを超えると、耐傷性が悪化すると共に蒸着時にピンホールが生じやすくなるので好ましくない。Raを上記の範囲とする方法は特に限定されないが、基材フィルム層(A層)中に粒子を含有させる方法が好ましく、梨地模様の金属ドラムに接触させてフィルム表面にドラム表面の凹凸を転写させる方法であっても構わない。
【0041】
また、蒸着膜形成面とは反対側のフィルム表面(非蒸着面という)の中心線平均表面粗さ(Ra)は0.008〜0.05μmが好ましく、さらには0.01〜0.03μmが好ましい。非蒸着面のRaが0.05μmを超えると滑り性が高すぎてかえってハンドリング性が低下するなどの蒸着特性、加工性が悪化するので好ましくない。この非蒸着面のRaと蒸着膜形成面のRaとの差(ΔRa)は0.003〜0.045μmが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.045μmである。
【0042】
本発明の蒸着フィルムにおいて、無機薄膜を形成する前の積層フィルムの面配向係数(fn)は、0.155〜0.180の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1625〜0.175の範囲である。fnが0.155未満であると、フィルムの配向性が低下するため強度低下や外力に対して伸びやすくなり、加工適性が低下しやすいため好ましくない。逆にfnが0.180を超えると、フィルムの幅方向の物性ムラや白化等が生じやすいので好ましくない。
【0043】
また、本発明の蒸着フィルムにおいて、無機薄膜を形成する前の積層フィルムの、150℃、30分の熱収縮率は、フィルムの長手方向で0.5〜2%、幅方向で−1.2〜0.5%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくはフィルムの長手方向で1〜2%、幅方向で−1〜0%である。熱収縮率がフィルム長手方向で2%、幅方向で0.5%を越える場合や幅方向で−1.2%未満であると蒸着時やラミネート、印刷工程等の外力が負荷される加工時に寸法変化が大きくなりやすいので好ましくない。長手方向の150℃、30分の熱収縮率はできるだけ小さい方が好ましいが、0.5%程度を有することから、長手方向の熱収縮率の下限は実質的に0.5%である。ここで熱収縮率のマイナス(−)の値は伸びを示すものである。
【0044】
さらに本発明において、積層フィルムの厚み(無機薄膜を形成する前の積層フィルムで測定)は、好ましくは1〜300μmであり、より好ましくは5〜100μmである。
【0045】
本発明の蒸着フィルムを作成するためには、前記した積層フィルムの、基材フィルム層(A層)の他の積層側(蒸着膜形成面)の表面に、蒸着による無機薄膜を形成することが必要である。この際、蒸着を施す表面に予めコロナ放電処理を施し、表面の濡れ張力を35mN/m以上に上げることは、蒸着無機薄膜の密着性を向上させるため好ましく採用できる。このときのコロナ放電処理時の雰囲気ガスとしては、空気、炭酸ガス、または窒素/炭酸ガスの混合系のいずれでもよく、特に炭酸ガスまたは窒素/炭酸ガスの混合ガス(体積比=95/5〜50/50)中でコロナ処理すると、フィルム表面の濡れ張力が35mN/m以上に上がるので好ましい。
【0046】
このコロナ放電処理をした表面に無機薄膜を蒸着によって形成する。この無機薄膜を構成する材質としては、アルミニウム等の金属またはアルミニウム、珪素、亜鉛、マグネシウムなどの金属酸化物が好ましい。金属としてはアルミニウムが好ましく、また、金属酸化物の中では、酸化アルミニウムがガスバリア性能とコストの面からより好ましい。金属酸化物はこれらのものの単独でもよく、複数が混合したものでもよく、金属成分が一部残存したものでもよい。無機薄膜を構成する材質は、2種以上の成分からなる合金またはその酸化物であってもよい。
【0047】
蒸着によりこれら無機薄膜を形成する方法としては、通常の真空蒸着法を用いることができるが、イオンプレーティングやスパッタリング、プラズマで蒸発物を活性化する方法などを用いることができる。金属酸化物の膜を形成する方法としては、金属酸化物を直接蒸発により堆積する方法でもよいが、酸化雰囲気下での反応性蒸着による方法が生産性の上からより好ましい。また、化学気相蒸着法(いわゆるCVD法)も広い意味での蒸着法として用いることができる。酸化雰囲気とするためには、酸素ガス単独または酸素ガスを不活性ガスで希釈した気体を真空蒸着機中に必要量導入すればよい。不活性ガスとは、アルゴンやヘリウムなどの希ガスや窒素ガスおよびこれらの混合ガスを指す。反応性蒸着は、このような酸化雰囲気下で金属または金属酸化物を蒸発源から蒸発させ、基材フィルム(積層フィルム)近傍で酸化反応を起こさせ、基材フィルム(積層フィルム)上に無機薄膜を形成する手法により行われる。これらのための蒸発源としては、抵抗加熱方式のボード形式や、輻射または高周波加熱によるルツボ形式や、電子ビーム加熱による方式などがあるが、特に限定されない。
【0048】
無機薄膜が金属酸化物からなる場合は、完全酸化物であることが最も好ましい。しかしながら、一般に完全酸化物を形成しようとすると、過剰に酸化された部分が形成される確率が高く、過剰酸化部分のガスバリア性能が劣り、全体として高いガスバリア性能を得ることは難しい。このため、多少金属成分が残った不完全酸化膜であってもよい。
【0049】
蒸着フィルムの光線透過率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上であることが、包装袋として用いた場合に内容物を品質確認する上で好ましい。その光線透過率の上限は、基材フィルムA層の光線透過率による制限を受け、一般的なポリエステルフィルムの光線透過率の上限値(92%)が、実質的な光線透過率の上限値となる。
【0050】
無機薄膜の厚みは、アルミニウム薄膜の場合、20〜50nmの厚みが好ましく、光学濃度(光線透過率の逆数の対数)が1.5〜3.0程度のものが蒸着される。また金属酸化物の場合は、ガスバリア性能および可撓性などの点で、厚みは、好ましくは5〜100nmであり、より好ましくは8〜50nmの厚みが用いられる。膜厚が5nm未満では、ガスバリア性能が十分でなく、また、膜厚が100nmを超えると蒸着時に金属酸化物の凝集潜熱により、積層フィルムの極表面が溶融して白化する熱負けの発生や、蒸着膜の可撓性が悪くなり、さらにフィルムの折り曲げなどにより、蒸着薄膜の割れや、剥離が生じやすくなるので好ましくない。
【0051】
本発明の蒸着フィルムにおいては、無機薄膜の蒸着面の上に、更に他の樹脂を積層することもできる。積層される他の樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが好ましく、2軸延伸フィルムの積層でも無延伸フィルムの積層でも構わない。ヒートシール層として積層する場合は、ポリオレフィン系樹脂からなる無延伸フィルムが好ましく、これらのフィルムを押出ラミネート法または接着剤などで積層することが好ましい。この場合の蒸着フィルムは、ヒートシール層同士を重ね合わせてシールされて包装袋として使用される。
【0052】
本発明の蒸着フィルムを構成する各フィルム層(基材フィルムAとポリエステルB層)中には、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤またはポリシロキサン等の消泡剤を配合することもできる。
【0053】
また、本発明の蒸着フィルムにおいて、無機薄膜を形成する前の積層フィルムは、種類の異なるポリマーを用いて、例えば、特開平9−24588号公報に示されるような積層構造とすることができる。かかる積層フィルムの積層形態は、特に限定されないが、例えば、基材フィルム層(A層)/ポリエステル層(B層)/を、それぞれ、A、Bで表した場合、A/B、B/A/Bなどの積層形態を挙げることができる。積層厚み比も任意に設定して構わない。さらに、これら以外の層を積層してもよく、例えば、帯電防止層、マット層、ハードコート層、易滑コート層、易接着層、粘着層などを必要に応じて積層してもよい。
【0054】
本発明において、無機薄膜を形成する前の積層フィルムは、従来公知の任意の方法を用いて製造することができる。基材フィルムA層、ポリエステルB層のそれぞれを構成する樹脂として、ポリエステルA、ポリエステルBを用い、2軸延伸フィルムとする場合を例にとって、以下説明する。
【0055】
ポリエステルA、ポリエステルBをそれぞれ、通常のホッパドライヤー、パドルドライヤー、真空乾燥機等を用いて乾燥した後、別々の押出機にそれぞれ供給して、200〜320℃で溶融し、スリット状の2層口金に導き、2層積層されたシート状にして押出し、急冷してポリエステルA/ポリエステルBの積層未延伸フィルムを得る。Tダイ法を用いた場合、急冷時にいわゆる静電印加密着法を用いることにより、厚みの均一なフィルムを得ることができるので好ましい。
【0056】
次いで、このようにして得られた未延伸フィルムを、同時または逐次に2軸延伸する。逐次2軸延伸の場合、その延伸順序はフィルムを長手方向および幅方向の順とすればよいが、この逆の順としてもよい。さらに、逐次2軸延伸においては、長手方向または幅方向の延伸をそれぞれ2回以上行うことも可能である。延伸方法については特に制限はなく、ロール延伸、テンター延伸等の方法が適用され、形状面においてはフラット状、チューブ状等どのようなものであってもよい。フィルムの長手方向および幅方向の延伸倍率は、目的とする蒸着適性、配向性などに応じて任意に設定することができるが、好ましくは1.5〜6.0倍である。また、延伸温度は、ポリエステルのガラス転移温度以上、結晶化温度以下の範囲であれば任意の温度とすることができるが、通常は30〜150℃の温度が好ましい。
【0057】
さらに、2軸延伸の後にフィルムの熱処理を行うことができる。熱処理温度は、ポリエステルAの融点以下の任意の温度とすればよいが、好ましくは200〜240℃である。熱処理は、フィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。
【0058】
このようにして得られた積層フィルムは、次に、蒸着処理されるが、この蒸着処理の前に、蒸着を施す表面を公知の接着促進処理、例えば、空気中やその他の雰囲気下でのコロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理等を施してもよい。コロナ放電処理の場合、雰囲気ガスとしては、空気、炭酸ガス、または窒素/炭酸ガスの混合系のいずれでもよく、特に炭酸ガスまたは窒素/炭酸ガスの混合ガス(体積比=95/5〜50/50)中でコロナ処理すると、フィルム表面の濡れ張力が35mN/m以上に上がるので好ましい。
【0059】
次に、接着促進処理された積層フィルムを、フィルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、冷却金属ドラムを介して走行させる。このとき、アルミニウム金属を加熱蒸発させながら、蒸発した金属蒸気によって蒸着を行う。または、金属蒸気の存在する箇所に酸素ガスを供給し、アルミニウムを酸化させながら走行フィルム面に凝集堆積させ、酸化アルミニウム蒸着層を形成し、巻き取る。このときのアルミニウムの蒸発量と供給酸素ガス量の比率を変更することで、酸化アルミニウム蒸着フィルムの光線透過率を変更することができる。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して巻き取った蒸着フィルムをスリットする。この後、30℃以上の温度で1日以上放置してエージングするとガスバリア性が安定化するので好ましい。
【0060】
本発明の蒸着フィルムは、蒸着密着性、ハンドリング性に優れることから各種包装材、コンデンサー等に好ましく用いられる。また特にガスバリア性に優れることから各種包装材などに用いられ、包装材としては、例えば、非蒸着面に印刷層、蒸着面にシーラント層を接着剤を介して、あるいはシーラント樹脂が押出ラミネートなどで積層されて食品包装用途などに好ましく用いることができる。食品包装用途としては、乾物食品用と水物食品用のいずれにも適用できる。
【0061】
【実施例】
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、特性値の測定方法および評価方法を以下に示す。
【0062】
[特性値の測定方法・評価方法]
本発明で用いられる特性値は、次の測定法により測定される。
【0063】
(1)ガラス転移温度(Tg)
Seiko Instrument(株)製の熱分析装置DSCII型を用い、サンプル5mgを300℃で5分間保持し、液体窒素で急冷した後、昇温速度20℃/分で昇温した際の転移点の中心温度を測定し、ガラス転移温度(Tg)とした。
【0064】
(2)融点(Tm)
Seiko Instrument(株)製の熱分析装置DSCII型を用い、サンプル5mgを室温より20℃/分の昇温速度で昇温していった際の吸熱融解曲線のピーク温度を測定し、融点(Tm)とした。
【0065】
(3)固有粘度(IV)
ポリエステルをASTM D1601に従い、オルソクロロフェノールに溶解し、25℃において測定した。
【0066】
(4)メルトフローインデックス(MI)
JIS K−6758のポリプロピレン試験方法(230℃、21.2N)で測定した値を示した。
【0067】
(5)面配向係数(fn)
アタゴ(株)製アッベ屈折計を用い、光源をナトリウムランプとして、フィルムの屈折率の測定を行った。フィルム面内の長手方向の屈折率nγ、それに直行する横方向の屈折率nβおよび厚み方向の屈折率nαを求め、下記式
fn=(nγ+nβ)/nα
により面配向係数fnを求めた。
【0068】
(6)平均粒子径
フィルム中に含まれる粒子の粒径を求める際には、次の方法を用いることができる。フィルムから樹脂をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は樹脂が灰化するするが、粒子がダメージを受けない条件を選択する。これを走査型顕微鏡で粒子数5,000〜10,000個を観察し、粒子画像を画像処理装置により円相当径から平均粒子径を求めた。また、粒子が内部粒子の場合、ポリマー断面を切断し厚さ0.1〜1μm程度の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡を用いて倍率5,000〜20,000程度で写真を撮影(10枚:25cm×25cm)し、内部粒子の平均分散径を円相当径より計算した。
【0069】
(7)中心線平均粗さ(Ra)
小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用いて表面粗さを測定した。条件は次のとおりであり、20回の測定の平均値を中心線平均粗さ(Ra)とした。
・触針先端半径:0.5μm
・触針荷重 :5mg
・測定長 :1mm
・カットオフ :0.08mm
なお、Raの定義は、例えば、奈良次郎著「表面粗さの測定・評価法」(総合センター、1983)に示されているものである。
【0070】
(8)熱収縮率
フィルムサンプルの表面に、標線間距離200mmで表線を描き、フィルム幅10mmで切断した。このサンプルを長さ方向に吊し、1gの荷重を長さ方向に加えて、190℃の熱風を用い30分間加熱した後、標線間の長さを測定し、フィルムの収縮量を原寸法に対する割合(百分率(%))で求めた。なお、フィルムが伸長した場合はマイナス(−)値で表示した。
【0071】
(9)光学濃度(OD)
蒸着フィルムをJIS−K−7605に従い、マクベス社製の透過濃度計TR927を用いて、フィルターをVisualとしたときの透過濃度を測定し、光学濃度とした。
【0072】
(10)光線透過率
蒸着フィルムを日立製作所社製分光々度計324型を用いて、波長550nmでの透過率を求めた。
【0073】
(11)ガスバリア性
A.水蒸気透過率(防湿性)
モダンコントロール社製の水蒸気透過率計“PERMATRAN”W3/31を用いて、温度37.8℃、相対湿度100%の条件下で測定した値を、g/m2・日の単位で示した。
【0074】
B.酸素透過率
モダンコントロール社製の酸素透過率計“OXTRAN”−100を用いて、温度23℃、相対湿度80%の条件下で測定した値を、ml/m2・日・MPaの単位で示した。
【0075】
(12)フィルムの厚み構成および無機薄膜層の厚み
フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて下記の条件で写真撮影し、フィルムの厚み構成および無機薄膜層の厚みを測定した。
(13)蒸着膜密着性
蒸着フィルムの蒸着面上に、ポリウレタン系接着剤を用いて無延伸プロピレンフィルム(CPP)(東レ合成フィルム(株)製T3931、60μm)を貼り合わせ、40℃で48時間エージング後15mm幅に切断して、“テンシロン”を用いてCPPと蒸着無機薄膜の180゜剥離を剥離速度100mm/分で行った。ドライ(25℃、50%RH雰囲気下)での剥離強力を測定した。剥離強力が2N/cm以上のものを○、1N/cm未満のものを×、その中間のものを△として蒸着膜密着性を評価した。
【0076】
(14)ハンドリング性
蒸着および加工時のフィルムの取扱性(滑り性など)について、取扱性が優れるものを○、取扱性が劣るが実用性問題ないものを△、取扱性が劣るものを×として評価した。
【0077】
次に、本発明の蒸着フィルムの製造方法について、フィルム/表面処理/無機薄膜の順に積層した一例を挙げて説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0078】
(実施例)
実施例には、以下のポリエステルおよびポリエーテルエステルを使用した。
[ポリエチレンテレフタレートA(PET−A)]
テレフタル酸ジメチル100重量%、エチレングリコール60重量%の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量%、三酸化アンチモン0.03重量%を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量%を添加した後、重縮合反応槽に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、融点256℃、固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
[粒子マスター]
PET−Aの重合時に平均二次粒子径1.2μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加して、凝集シリカ粒子を2重量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
[ポリエチレンナフタレートA(PEN−A)]
ポリエステルAは、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてポリエチレンナフタレート樹脂(融点270℃、固有粘度0.69dl/g)を得た。
[ポリブチレンテレフタレートA(PBT−A)]
東レ製登録商標“トレコン”1200Sのポリブチレンテレフタレート(融点228℃、固有粘度1.26dl/g)を用いた。
[ポリブチレンテレフタレートB(PBT−B)]
東レ製登録商標“トレコン”1100Sのポリブチレンテレフタレート(融点228℃、固有粘度0.89dl/g)を用いた。
[ポリエーテルエステルA(PEE−A]
東レ・デュポン製登録商標“ハイトレル”3078のポリエーテルエステル(融点170℃、メルトフローインデックス(MI)5.0g/分)を用いた。
[ポリエーテルエステルB(PEE−B)]
東レ・デュポン製登録商標“ハイトレル”7277のポリエーテルエステル(融点219℃、メルトフローインデックス(MI)1.5g/分)を用いた。
【0079】
(実施例1)
基材フィルムA層の原料として、PET−A97.5重量%に、粒子マスター2.5重量%を混合させた混合ペレットを用い、また、ポリエステルB層の原料として、PET−A/PBT−A=重量比80/20の割合で混合した混合樹脂98.5重量%に粒子マスター1.5重量%を混合ペレットを用いた。基材フィルムA層の混合ペレットは、180℃×4時間、ポリエステルB層の混合ペレットは150℃×4時間、それぞれ十分に真空乾燥した後、別々の押出機に供給して280℃で溶融させ、それぞれの濾過フィルターで濾過した後、スリット状の2層口金に導き、基材フィルムA層/ポリエステルB層の順に積層した状態で押出し、これを表面温度25℃の冷却ドラムに巻き付けて冷却固化した。この間のシートと冷却ドラム表面との密着性を向上させるために、シート側にワイヤー電極を配して6kVの直流電圧を印加した。このようにして得られた未延伸フィルムを105℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸し、1軸延伸フィルムとした。該1軸延伸フィルムをクリップで把持して100℃に加熱されたテンター内に導き、連続的に110℃に加熱された領域で幅方向に3.5倍延伸し、さらに235℃の雰囲気下で5秒間の熱処理を施し、フィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA/ポリエステルB層の積層厚み=10μm/2μmからなる積層フィルム)を得た。
【0080】
次に、得られた原反フィルムを50℃に加熱したゴムロールを介して、ポリエステルB層の表面を、窒素/炭酸ガスの混合ガス(窒素/炭酸ガス=85/15)の雰囲気中で、40W・min/m2の処理条件でコロナ放電処理を施し、原反フィルムの濡れ張力を45mN/m以上にしてロール状に巻き取った。そのときの原反フィルムの温度は30℃であり、10時間放置した後に小幅にスリットした。次に、小幅にスリットした原反フィルムをフイルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、1.00×10−2Paの高真空にした後に、−20℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。このとき、アルミニウム金属を加熱蒸発させながら、走行フィルムのコロナ放電処理面に凝集堆積させ、アルミニウムの蒸着薄膜層を形成して巻取った。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返し、40℃の温度で2日間エージングして、本発明の蒸着フィルムを得た。この蒸着フィルムの無機薄膜の厚みは45nmであった。
【0081】
(実施例2)
基材フィルムA層の原料として、PEN−A96重量%に粒子マスター4重量%を混合させた混合ペレットを用い、また、ポリエステルB層の原料として、実施例1で用いたPET/PBT=重量比70/30の割合の混合樹脂98重量%に粒子マスター2重量%を混合した混合ペレットを用いた。それぞれのペレットを実施例1と同様に十分に真空乾燥した後、別々の押出機に供給して290℃で溶融させ、それぞれの濾過フィルターで濾過した後、スリット状の2層口金に導き、基材フィルムA層/ポリエステルB層の順に積層した状態で押出し、これを表面温度25℃の冷却ドラムに巻き付けて冷却固化した。この間のシートと冷却ドラム表面との密着性を向上させるために、シート側にワイヤー電極を配して6kVの直流電圧を印加した。このようにして得られた未延伸フィルムを135℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸し、1軸延伸フィルムとした。該1軸延伸フィルムをクリップで把持して100℃に加熱されたテンター内に導き、連続的に140℃に加熱された領域で幅方向に3.5倍延伸し、さらに240℃の雰囲気下で5秒間の熱処理を施し、フィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA層/ポリエステルB層の積層厚み=11μm/1μmからなる積層フィルム)を得た。該原反フィルムを用い、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの本発明の蒸着フィルムを得た。
【0082】
(実施例3)
本発明のフィルムの基材フィルムA層の原料として、PET−A/PBT−B/PEE=重量比80/19/1の割合の混合樹脂98重量%に粒子マスター2重量%を混合された混合ペレットを用い、ポリエステルB層の原料として、実施例1で用いたPET/PBT=重量比85/15の割合の混合樹脂99重量%に粒子マスター1重量%を混合された混合物を用いた。基材フィルムA層の混合ペレットは、PETは180℃×4時間、PBTは150℃×4時間、PEEは70℃×24時間、十分真空乾燥を行い、PETおよびPBTは70℃まで冷却した後、PEEを混合して用いたこと以外は、実施例1と同様な手法でフィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA層/ポリエステルB層の積層厚み=7μm/5μmからなる積層フィルム)を得た。該原反フィルムを用い、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの本発明の蒸着フィルムを得た。
【0083】
(実施例4)
本発明のフィルムの基材フィルムA層の原料として、PET−A/PBT−B/PEE−B=重量比75/20/5の割合の混合樹脂95重量%に、粒子マスター5重量%を混合されたペレットを用い、ポリエステルB層の原料として、PET−A/PBT−B=重量比95/5の割合の混合樹脂99重量%に粒子マスター1重量%を混合ペレットを用いた。基材フィルムA層の原料混合は実施例3と同様な手法で混合し、実施例1と同様な手法でフィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA層/ポリエステルB層の積層厚み=11.9μm/0.1μmからなる積層フィルム)を得た。また、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの本発明の蒸着フィルムを得た。
【0084】
(比較例1)
基材フィルムA層の原料として、実施例1に用いたPET−A95.0重量%に粒子マスター5.0重量%を混合したペレットを用い、ポリエステルB層の原料として、実施例1に用いたPET−A98.5重量%に粒子マスター1.5重量%を混合したペレットを用いたこと以外は、実施例1と同じ手法で、フィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA/ポリエステルB層の積層厚み=10μm/2μmからなる積層フィルム)を得た。また、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの蒸着フィルムを得た。
【0085】
(比較例2)
基材フィルムA層の原料として、実施例1に用いたPET−A97.5重量%に粒子マスター2.5重量%を混合したペレットを用い、ポリエステルB層の原料として、実施例1に用いたPBT−Aのみを用いたこと以外は、実施例1と同じ手法で、フィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA層/ポリエステルB層の積層厚み=11μm/1μmからなる積層フィルム)を得た。また、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの蒸着フィルムを得た。
【0086】
(比較例3)
基材フィルムA層の原料として、実施例1に用いたPET−A96重量%に粒子マスター4重量%を混合したペレットを用い、ポリエステルB層の原料として、実施例1に用いたPET−A/PBT−A=重量比50/50の割合で混合樹脂96重量%に粒子マスター4重量%を混合したペレットを用いたこと以外は、実施例1と同じ手法で、フィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA層/ポリエステルB層の積層厚み=2μm/10μmからなる積層フィルム)を得た。また、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの蒸着フィルムを得た。
【0087】
(実施例5)
実施例1で得られた原反フィルム(積層フィルム)を実施例1と同様にしてコロナ放電処理を施し、原反フィルムを小幅にスリットした。その原反フィルムをフイルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、1.00×10−2Paの高真空にした後に、−20℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。このとき、アルミニウム金属を加熱蒸発させながら、蒸気箇所に酸素ガスを供給し、アルミニウム金属を酸化させながら走行フィルムのコロナ放電処理面に凝集堆積させ、酸化アルミニウムの蒸着薄膜層を形成して巻取った。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返し、40℃の温度で2日間エージングして、本発明の酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。この酸化アルミニウム蒸着フィルムは、無機薄膜の厚みが45nm、光線透過率が78%で透明なフィルムであった。
【0088】
以上の蒸着フィルムの品質評価結果を表1にまとめた。表1の結果からわかるように、実施例1〜4で得られた蒸着フィルムはガスバリア性、ハンドリング性、及び蒸着密着性に優れたものであった。
【0089】
また、実施例5で得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着面に、直鎖状ポリエチレン(LLD−PE)を押出ラミネートし、15cm×30cmに切り出し、LLD−PE面同士を重ね合わせ、富士インパルス社製インパルスシーラーで三方シールし、包装体を作製したところ、透明性に優れるとともに、酸素、水蒸気などのガスバリア性に優れた包装体であった。
【0090】
一方、比較例1〜3で得られた蒸着フィルムは、ガスバリア性が劣るフィルムで、いずれの蒸着フィルムも包装用フィルムとして好ましくなかった。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、蒸着加工性および酸素と水蒸気に関するガスバリア性がともに優れた蒸着フィルムを得ることができる。この蒸着フィルムは、酸素や水蒸気の遮断性が要求される包装材料として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素および水蒸気の遮断性に優れた蒸着フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品や薬品を長期保存するためには、腐敗や変質を促進する酸素や水蒸気の、外気からの浸入を遮断する効果を持った、いわゆるガスバリア性に優れた包装を行う必要があり、その包装には、従来より種々のガスバリアフィルムが使用されている。このガスバリア性のフィルム包装においては、近年特に内容物の状態を確認できる透明性が強く要求されるようになってきていて、種々の透明ガスバリアフィルムが使用されてきている。
【0003】
例えば、不透明で高度なガスバリア性を有する包装として、アルミニウム箔が積層されたフィルム包装が知られている。しかしながら、アルミニウム箔は高分子化合物からなるフィルムに比べ、屈曲性が劣り、加工などの折り曲げ等でピンホールを生じて、ガスバリア性が低下しやすい点から、アルミニウム箔並の高度なガスバリア性を有するフィルムへの代替が望まれている。
【0004】
また、透明なガスバリア性フィルムとして、ポリ塩化ビニリデン樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂との積層フィルムが知られている。さらに、金属化合物の膜を高分子化合物からなるフィルム表面に形成したものは、ガスバリア性と透明性が良好であることが知られている。
【0005】
しかしながら、これら従来の透明ガスバリア性フィルムは、以下のような問題点があった。
【0006】
ポリ塩化ビニリデン樹脂とエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂との積層フィルムは、酸素や水蒸気のガスバリア性が十分ではなく、特に高温での殺菌処理において、その低下が著しい。さらにポリ塩化ビニリデンは焼却時に塩素ガスの発生があり、地球環境への悪影響が懸念されている。
【0007】
一方、蒸着により酸化珪素膜や酸化アルミニウム膜を形成した高分子化合物からなるフィルムは、良好なガスバリア性を有するが、近年、食生活が豊かになって様々な食品や菓子類が市場に登場し、品質の長期保存性がより一層重視されてきて、これに伴い、ガスバリア性などの特性の一層の向上が包装材に求められてきている。特にスナック菓子や食品等の包装においては、製造したての良好な品質をより長期間確保するため、包装内容物の酸化や湿りを長期間防止し得る高度なガスバリア性が要求され始めてきている。
【0008】
これらの要求に応えるため、例えば、特開平9−300589号公報記載のように基材フィルム上に低結晶性ポリエステルを積層させたガスバリアフィルムや、特開平8−231836号公報記載のように特定の共重合ポリエステル成分をブレンド含有させた透明ガスバリアフィルムが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−300589号公報や特開平8−231836号公報に記載された技術では、確かにガスバリア性は改良されるが、近年要求されている高度なガスバリア性の水準には至っていない。
【0010】
従って、本発明の目的とするところは、従来技術の問題点を解消し、蒸着フィルムの酸素および水蒸気に関するガスバリア性を格段に向上させることであり、そして、優れたガスバリア性を発現する蒸着フィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は下記の構成を有するものである。
すなわち、
(イ)ポリエステルからなる基材フィルムA層の少なくとも片面に、95〜60重量%のエチレンテレフタレート成分と、5〜40重量%のブチレンテレフタレート成分を含むポリエステルB層が厚み0.01〜5μmで積層され、かつ、該ポリエステルB層の表面に蒸着による無機薄膜が形成されてなることを特徴とする蒸着フィルム。
(ロ)基材フィルムA層がポリエステルフィルムであり、かつ、該フィルムを構成するポリエステルが、テレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とから重合されるポリエステルである上記(イ)に記載の蒸着フィルム。
(ハ)無機薄膜を形成する前の積層フィルムにおける無機薄膜形成側の表面の中心線平均表面粗さ(Ra)が0.005〜0.030μmの範囲である上記(イ)または(ロ)に記載の蒸着フィルム。
(ニ)無機薄膜を形成する前の積層フィルムの面配向係数(fn)が0.155〜0.180の範囲である上記(イ)〜(ハ)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(ホ)無機薄膜を形成する前の積層フィルムの150℃、30分の熱収縮率が、フィルムの長手方向で0.5〜2%、幅方向で−1.2〜0.5%の範囲である上記(イ)〜(ニ)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(ヘ)無機薄膜が、アルミニウム薄膜および/または金属酸化物薄膜である上記(イ)〜(ホ)のいずれかに記載の蒸着フィルム。
(ト)金属がアルミニウムであり、金属酸化物が酸化アルミニウムである上記(へ)記載の蒸着フィルム。
である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明における基材フィルムA層は、ポリエステルフィルムからなるものである。
【0014】
この基材フィルムA層のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、エステル結合により構成される高分子量体であって、エチレンテレフタレート単位および/またはエチレンナフタレート単位を主たる構成成分とするポリエステルであることが好ましい。エチレンナフタレート単位/エチレンテレフタレート単位の構成比率を増加させると、耐熱性、蒸着ガスバリア性を良好にし易いので好ましいが、加工性を悪化し易いので好ましくない。本発明では、好ましくは上記の両単位を含む組成のポリエステルを用いることで、耐熱性、蒸着ガスバリア性と加工性を両立させることができる。なおここで、主たる構成成分であるというのは、ポリエステル中のエチレンテレフタレート単位および/またはエチレンナフタレート単位の構成比率が60モル%以上であることを言う。
【0015】
ポリエステルの重合原料として用いられるジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を用いることができる。これらのうち、本発明におけるポリエステルでは、特にテレフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸が好ましく、それらの占める割合が、好ましくは70モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上であることが耐熱性、生産性、コスト、蒸着膜との接着性、優れたガスバリア性を得やすい点から好ましい。ナフタレンジカルボン酸/テレフタル酸の構成比率を増加させると、耐熱性、蒸着ガスバリア性を良好にし易いので好ましいが、加工性を悪化し易いので好ましくない。
【0016】
一方、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール等を用いることができる。このうち、エチレングリコールの占める割合が好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは85モル%以上であることが耐熱性、生産性、コスト、蒸着膜との接着性、優れたガスバリア性を得やすい点から好ましい。
【0017】
これらのジカルボン酸成分とグリコール成分は、それぞれ2種以上を併用してもよい。さらに、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、本発明で用いるポリエステルとして、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合したものを用いることもできる。
【0018】
本発明で用いる基材フィルムA層のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、1種のポリエステルであっても、2種以上のポリエステルのブレンドであってもよいが、加工性を向上させる点で、好ましくはポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートのブレンドである。両者を併用する場合、好ましい割合の範囲は、加工性の点で、ポリエチレンテレフタレート10〜100重量%、ポリエチレンナフタレート90〜0重量%である。特に好ましい割合の範囲は、ポリエチレンテレフタレート50〜100重量%、ポリエチレンナフタレート50〜0重量%である。
【0019】
本発明で用いる基材フィルムA層を構成するポリエステルは、接着性、製膜安定性をより向上させるために、ポリエステルの固有粘度が、好ましくは0.50dl/g以上、さらに好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは0.60dl/g以上である。固有粘度が0.50dl/g未満では、蒸着膜との接着性が低下する可能性がある。
【0020】
本発明で用いる基材フィルムA層を構成するポリエステルを製造する際の触媒は特に限定されないが、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用できる。中でもチタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。
【0021】
基材フィルムA層のポリエステルフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で他のポリエステルを配合することができる。他のポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘキサンテレフタレート(PHT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリヒドロキシベンゾエート(PHB)およびそれらの共重合樹脂などを挙げることができる。
【0022】
本発明の蒸着フィルムの基材フィルムA層には、耐衝撃性、耐ピンホール性の点から、ポリオキシアルキレングリコール成分を含有することが好ましい。ポリエステルフィルムの透明性の点から、ポリオキシアルキレングリコールの含有量は好適には0.1〜5重量%である。含有量が5重量%を超えると、ポリエステルフィルムの透明性が悪化するので好ましくない。ポリオキシアルキレングリコールの含有量は、特に好ましくは0.1〜3重量%である。
【0023】
ここで、ポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリオクタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、ポリ1−メチルジメチレングリコール、ポリ2−メチルトリメチレングリコールなどが挙げられる。この中でも、ポリジメチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。耐ピンホール性の観点からは、ポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。さらに、ポリオキシメチレングリコールのポリエステル中の分散性、フィルムのヘイズを低く抑えるという観点から、ポリオキシメチレングリコールの分子量が500〜4,000であることが好ましい、ポリエステルとの重合を考慮すると600〜2,500であるとより好ましく、分子量が800〜1,500であると特に好ましい。
【0024】
ポリオキシアルキレングリコールのポリエステル中での存在形態としては、ポリオキシアルキレングリコールとテレフタル酸などのジカルボン酸成分からなるポリエステルとポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートとのブロック共重合体であるポリエーテルエステルとして存在することが、耐ピンホール性、耐衝撃性が特に向上するので好ましい。特にポリエーテルエステルのガラス転移点が−120〜0℃であると耐ピンホール性を良好とする効果が著しく向上するので好ましく、ガラス転移点が−120〜−30℃であるとより一層好ましい。
【0025】
本発明の蒸着フィルムの基材フィルムA層の厚みは、蒸着時の耐熱性、寸法安定性の点から5μm〜50μmの範囲が好ましい。またポリエステルA層に平均粒子径0.01〜2μmの公知の内部粒子、無機粒子および/または有機粒子を添加することが好ましい。積層フィルムの積層形態を、例えば、基材フィルム層(A層)/ポリエステル層(B層)を、それぞれ、A、Bで表した場合、B/A/Bの積層形態では、基材フィルムA層に上記粒子を添加する必要はないが、A/Bの積層形態では取り扱い性、加工性を向上するために、基材フィルムA層に0.02〜0.6重量%含有することが好ましい。内部粒子の析出方法としては公知の技術を用いることができるが、例えば、特開昭48−61556号公報、特開昭51−12860号公報、特開昭53−41355号公報および特開昭54−90397号公報などに記載の技術を採用することができる。さらに、特公昭55−20496号公報や特開昭59−204617号公報などに記載の他の粒子を併用することもできる。
【0026】
また、無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなど、有機粒子としてはスチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を用いることができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を用いることが好ましい。さらに、これらの内部粒子、無機粒子および有機粒子は二種以上を併用してもよい。これらの中でも特に無機粒子を好ましく用いることができ、中でも乾式または湿式シリカが好ましく用いられる。
【0027】
本発明の蒸着フィルムにおいて、基材フィルムA層の少なくとも片面にポリエステルB層が積層され、基材フィルムA層とポリエステルB層とからなる積層フィルムが形成される。
【0028】
このポリエステルB層は、蒸着膜密着性、蒸着ガスバリア性の点から、90〜60重量%のエチレンテレフタレート成分と5〜40重量%のブチレンテレフタレート成分からなるポリエステルであることが必要である。透明性と寸法安定性の点から、ブチレンテレフタレート成分はより好ましくは10〜30重量%(エチレンテレフタレート成分:90〜70重量%)、特に好ましくは10〜25重量%(エチレンテレフタレート成分:90〜75重量%)である。
【0029】
また、本発明のポリエステルB層の積層厚みは0.01〜5μmであることが必要である。積層厚みが0.01μm未満であると優れた蒸着膜との密着性、蒸着バリア性が得られ難い。逆に積層厚みが5μmを超えると、生産性の点で好ましくない。積層厚みはより好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。
【0030】
また、ポリエステルB層のエチレンテレフタレート成分とブチレンテレフタレート成分の混合の方法は、重合段階でグリコール成分としてエチレングリコールと1,4−ブタンジオールの共存下でテレフタル酸とエステル化もしくはエステル交換反応により重縮合して共重合ポリエステルとする方法、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートを別々に重合、ペレット化し、製膜時に所定の混合比となるようにブレンド、乾燥し、溶融押出を行うことで混合する方法などが挙げられるが、後者の別々に重合したポリエステルを混合する方法が好ましく用いられる。また、溶融押出の際にエステル交換反応を抑制するために、ポリエステル樹脂中の重合触媒を失活させる目的で、固体もしくは液体のリン化合物を添加しても良い。
【0031】
また、本発明において、ポリエステルB層のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレート成分およびブチレンテレフタレート成分以外の成分を共重合しても良く、成形性を付与するためにイソフタル酸やダイマー酸、1,3−ドデカジオン酸などが好ましい共重合成分として使用できる。勿論、ポリエステル樹脂にポリオキシアルキレングリコール成分を予め共重合しておいて製膜する、もしくは別途ポリエーテルエステルとして準備し、ポリエステル樹脂とブレンドして使用しても良い。
【0032】
本発明で用いられるポリエステルB層のポリエステルフィルムは、耐熱性、蒸着性、寸法安定性の観点から、示差走査熱量計で測定される融点が一つだけ存在するものであることが好ましい。融点は245〜260℃の間であることが特に好ましい。通常ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートをブレンドすると、融点が各々のポリエステルに起因して2つの融点が測定されるが、溶融押出の際にポリエステルをナノメートルオーダーでアロイ化することで融点を一つにすることができ、かつエステル交換反応を抑制することで優れた蒸着密着性を達成することができ、その結果優れたガスバリア性を達成することができる。
【0033】
本発明において、ポリエステルB層を構成するポリエステルを重合するに際しては、従来公知の反応触媒、着色防止剤を用いることができ、反応触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物などを、着色防止剤としてはリン化合物などを用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。内容物取出性の観点からはアルカリ金属化合物および/もしくはアルカリ土類金属化合物を反応触媒に用いることが好ましい。
【0034】
重合触媒の添加に関しては、ポリエステルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物および/またはチタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては、例えば、ゲルマニウム化合物を例にすると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭54−22234号公報に記載されているように、ポリエステルの出発原料であるグリコール成分中にゲルマニウム化合物を溶解させて添加する方法などを用いることができる。
【0035】
ここで、ゲルマニウム化合物としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム水和物あるいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキシドなどのゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウムなどのリン酸含有ゲルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウムなどを用いることができる。なかでも二酸化ゲルマニウムが好ましく用いられ、非晶質の二酸化ゲルマニウムが特に好ましく用いられる。
【0036】
また、アンチモン化合物としては特に限定されないが、例えば、三酸化アンチモンなどの酸化物、酢酸アンチモンなどが使用される。
【0037】
また、チタン化合物としては特に限定されないが、モノブチルチタネートやジブチルチタネートなどやチタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシドなどのチタンテトラアルコキシドが好ましく用いられる。
【0038】
例えば、ポリエチレンテレフタレートを製造するに際して、触媒として二酸化ゲルマニウムを添加する場合には、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分をエステル交換またはエステル化反応させ、次に二酸化ゲルマニウム、リン化合物を添加し、引き続き高温、減圧下で一定のジエチレングリコール含有量になるまで重縮合させ、ゲルマニウム元素含有重合体を得る方法が好ましく用いられる。
【0039】
本発明で用いられるポリエステルB層のポリエステルは、取り扱い性、加工性を向上させるために、平均粒子径0.01〜2μmの公知の内部粒子、無機粒子および/または有機粒子を0.01〜0.1重量%含有することが好ましい。内部粒子の析出方法としては基材フィルムA層と同様に公知の技術を用いることができる。また、内部粒子、無機粒子および有機粒子は基材フィルムA層と同様に同じ粒子を用いることができる。これらの粒子を二種以上併用してもよい。これらの中でも特に無機粒子を好ましく用いることができ、中でも乾式または湿式シリカが好ましく用いられる。なお、2μmを超える平均粒子径を有する粒子を用いると、得られたフィルムに蒸着を行った際に蒸着層に欠陥が生じることがあるので注意を要する。また、粒子の添加量は、ガスバリア性の点で0.01〜0.1重量%であるとより好ましい。粒子の添加量は、さらに好ましくは0.01〜0.05重量%である。粒子の添加量が0.1重量%より多い場合は、蒸着を施した場合に蒸着層にピンホールが生成し易く、ガスバリア性が低下する場合がある。
【0040】
本発明の蒸着フィルムにおいては、無機薄膜を形成する前の積層フィルムにおける無機薄膜形成側の表面(蒸着膜形成面という)の中心線平均表面粗さ(Ra)が、0.005〜0.030μmの範囲であることが好ましい。中心線平均表面粗さ(Ra)は、より好ましくは0.008〜0.025μmであり、さらに好ましくは0.01〜0.02μmである。蒸着膜形成面のRaを上記範囲内とすることにより、良好なフィルムのハンドリング性(滑り性)、さらには優れた加工性を得ることができる。即ち、Raが0.005μm未満であると、フィルムのハンドリング性が悪化し易いので好ましくない。また、Raが0.03μmを超えると、耐傷性が悪化すると共に蒸着時にピンホールが生じやすくなるので好ましくない。Raを上記の範囲とする方法は特に限定されないが、基材フィルム層(A層)中に粒子を含有させる方法が好ましく、梨地模様の金属ドラムに接触させてフィルム表面にドラム表面の凹凸を転写させる方法であっても構わない。
【0041】
また、蒸着膜形成面とは反対側のフィルム表面(非蒸着面という)の中心線平均表面粗さ(Ra)は0.008〜0.05μmが好ましく、さらには0.01〜0.03μmが好ましい。非蒸着面のRaが0.05μmを超えると滑り性が高すぎてかえってハンドリング性が低下するなどの蒸着特性、加工性が悪化するので好ましくない。この非蒸着面のRaと蒸着膜形成面のRaとの差(ΔRa)は0.003〜0.045μmが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.045μmである。
【0042】
本発明の蒸着フィルムにおいて、無機薄膜を形成する前の積層フィルムの面配向係数(fn)は、0.155〜0.180の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1625〜0.175の範囲である。fnが0.155未満であると、フィルムの配向性が低下するため強度低下や外力に対して伸びやすくなり、加工適性が低下しやすいため好ましくない。逆にfnが0.180を超えると、フィルムの幅方向の物性ムラや白化等が生じやすいので好ましくない。
【0043】
また、本発明の蒸着フィルムにおいて、無機薄膜を形成する前の積層フィルムの、150℃、30分の熱収縮率は、フィルムの長手方向で0.5〜2%、幅方向で−1.2〜0.5%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくはフィルムの長手方向で1〜2%、幅方向で−1〜0%である。熱収縮率がフィルム長手方向で2%、幅方向で0.5%を越える場合や幅方向で−1.2%未満であると蒸着時やラミネート、印刷工程等の外力が負荷される加工時に寸法変化が大きくなりやすいので好ましくない。長手方向の150℃、30分の熱収縮率はできるだけ小さい方が好ましいが、0.5%程度を有することから、長手方向の熱収縮率の下限は実質的に0.5%である。ここで熱収縮率のマイナス(−)の値は伸びを示すものである。
【0044】
さらに本発明において、積層フィルムの厚み(無機薄膜を形成する前の積層フィルムで測定)は、好ましくは1〜300μmであり、より好ましくは5〜100μmである。
【0045】
本発明の蒸着フィルムを作成するためには、前記した積層フィルムの、基材フィルム層(A層)の他の積層側(蒸着膜形成面)の表面に、蒸着による無機薄膜を形成することが必要である。この際、蒸着を施す表面に予めコロナ放電処理を施し、表面の濡れ張力を35mN/m以上に上げることは、蒸着無機薄膜の密着性を向上させるため好ましく採用できる。このときのコロナ放電処理時の雰囲気ガスとしては、空気、炭酸ガス、または窒素/炭酸ガスの混合系のいずれでもよく、特に炭酸ガスまたは窒素/炭酸ガスの混合ガス(体積比=95/5〜50/50)中でコロナ処理すると、フィルム表面の濡れ張力が35mN/m以上に上がるので好ましい。
【0046】
このコロナ放電処理をした表面に無機薄膜を蒸着によって形成する。この無機薄膜を構成する材質としては、アルミニウム等の金属またはアルミニウム、珪素、亜鉛、マグネシウムなどの金属酸化物が好ましい。金属としてはアルミニウムが好ましく、また、金属酸化物の中では、酸化アルミニウムがガスバリア性能とコストの面からより好ましい。金属酸化物はこれらのものの単独でもよく、複数が混合したものでもよく、金属成分が一部残存したものでもよい。無機薄膜を構成する材質は、2種以上の成分からなる合金またはその酸化物であってもよい。
【0047】
蒸着によりこれら無機薄膜を形成する方法としては、通常の真空蒸着法を用いることができるが、イオンプレーティングやスパッタリング、プラズマで蒸発物を活性化する方法などを用いることができる。金属酸化物の膜を形成する方法としては、金属酸化物を直接蒸発により堆積する方法でもよいが、酸化雰囲気下での反応性蒸着による方法が生産性の上からより好ましい。また、化学気相蒸着法(いわゆるCVD法)も広い意味での蒸着法として用いることができる。酸化雰囲気とするためには、酸素ガス単独または酸素ガスを不活性ガスで希釈した気体を真空蒸着機中に必要量導入すればよい。不活性ガスとは、アルゴンやヘリウムなどの希ガスや窒素ガスおよびこれらの混合ガスを指す。反応性蒸着は、このような酸化雰囲気下で金属または金属酸化物を蒸発源から蒸発させ、基材フィルム(積層フィルム)近傍で酸化反応を起こさせ、基材フィルム(積層フィルム)上に無機薄膜を形成する手法により行われる。これらのための蒸発源としては、抵抗加熱方式のボード形式や、輻射または高周波加熱によるルツボ形式や、電子ビーム加熱による方式などがあるが、特に限定されない。
【0048】
無機薄膜が金属酸化物からなる場合は、完全酸化物であることが最も好ましい。しかしながら、一般に完全酸化物を形成しようとすると、過剰に酸化された部分が形成される確率が高く、過剰酸化部分のガスバリア性能が劣り、全体として高いガスバリア性能を得ることは難しい。このため、多少金属成分が残った不完全酸化膜であってもよい。
【0049】
蒸着フィルムの光線透過率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上であることが、包装袋として用いた場合に内容物を品質確認する上で好ましい。その光線透過率の上限は、基材フィルムA層の光線透過率による制限を受け、一般的なポリエステルフィルムの光線透過率の上限値(92%)が、実質的な光線透過率の上限値となる。
【0050】
無機薄膜の厚みは、アルミニウム薄膜の場合、20〜50nmの厚みが好ましく、光学濃度(光線透過率の逆数の対数)が1.5〜3.0程度のものが蒸着される。また金属酸化物の場合は、ガスバリア性能および可撓性などの点で、厚みは、好ましくは5〜100nmであり、より好ましくは8〜50nmの厚みが用いられる。膜厚が5nm未満では、ガスバリア性能が十分でなく、また、膜厚が100nmを超えると蒸着時に金属酸化物の凝集潜熱により、積層フィルムの極表面が溶融して白化する熱負けの発生や、蒸着膜の可撓性が悪くなり、さらにフィルムの折り曲げなどにより、蒸着薄膜の割れや、剥離が生じやすくなるので好ましくない。
【0051】
本発明の蒸着フィルムにおいては、無機薄膜の蒸着面の上に、更に他の樹脂を積層することもできる。積層される他の樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが好ましく、2軸延伸フィルムの積層でも無延伸フィルムの積層でも構わない。ヒートシール層として積層する場合は、ポリオレフィン系樹脂からなる無延伸フィルムが好ましく、これらのフィルムを押出ラミネート法または接着剤などで積層することが好ましい。この場合の蒸着フィルムは、ヒートシール層同士を重ね合わせてシールされて包装袋として使用される。
【0052】
本発明の蒸着フィルムを構成する各フィルム層(基材フィルムAとポリエステルB層)中には、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤またはポリシロキサン等の消泡剤を配合することもできる。
【0053】
また、本発明の蒸着フィルムにおいて、無機薄膜を形成する前の積層フィルムは、種類の異なるポリマーを用いて、例えば、特開平9−24588号公報に示されるような積層構造とすることができる。かかる積層フィルムの積層形態は、特に限定されないが、例えば、基材フィルム層(A層)/ポリエステル層(B層)/を、それぞれ、A、Bで表した場合、A/B、B/A/Bなどの積層形態を挙げることができる。積層厚み比も任意に設定して構わない。さらに、これら以外の層を積層してもよく、例えば、帯電防止層、マット層、ハードコート層、易滑コート層、易接着層、粘着層などを必要に応じて積層してもよい。
【0054】
本発明において、無機薄膜を形成する前の積層フィルムは、従来公知の任意の方法を用いて製造することができる。基材フィルムA層、ポリエステルB層のそれぞれを構成する樹脂として、ポリエステルA、ポリエステルBを用い、2軸延伸フィルムとする場合を例にとって、以下説明する。
【0055】
ポリエステルA、ポリエステルBをそれぞれ、通常のホッパドライヤー、パドルドライヤー、真空乾燥機等を用いて乾燥した後、別々の押出機にそれぞれ供給して、200〜320℃で溶融し、スリット状の2層口金に導き、2層積層されたシート状にして押出し、急冷してポリエステルA/ポリエステルBの積層未延伸フィルムを得る。Tダイ法を用いた場合、急冷時にいわゆる静電印加密着法を用いることにより、厚みの均一なフィルムを得ることができるので好ましい。
【0056】
次いで、このようにして得られた未延伸フィルムを、同時または逐次に2軸延伸する。逐次2軸延伸の場合、その延伸順序はフィルムを長手方向および幅方向の順とすればよいが、この逆の順としてもよい。さらに、逐次2軸延伸においては、長手方向または幅方向の延伸をそれぞれ2回以上行うことも可能である。延伸方法については特に制限はなく、ロール延伸、テンター延伸等の方法が適用され、形状面においてはフラット状、チューブ状等どのようなものであってもよい。フィルムの長手方向および幅方向の延伸倍率は、目的とする蒸着適性、配向性などに応じて任意に設定することができるが、好ましくは1.5〜6.0倍である。また、延伸温度は、ポリエステルのガラス転移温度以上、結晶化温度以下の範囲であれば任意の温度とすることができるが、通常は30〜150℃の温度が好ましい。
【0057】
さらに、2軸延伸の後にフィルムの熱処理を行うことができる。熱処理温度は、ポリエステルAの融点以下の任意の温度とすればよいが、好ましくは200〜240℃である。熱処理は、フィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。
【0058】
このようにして得られた積層フィルムは、次に、蒸着処理されるが、この蒸着処理の前に、蒸着を施す表面を公知の接着促進処理、例えば、空気中やその他の雰囲気下でのコロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理等を施してもよい。コロナ放電処理の場合、雰囲気ガスとしては、空気、炭酸ガス、または窒素/炭酸ガスの混合系のいずれでもよく、特に炭酸ガスまたは窒素/炭酸ガスの混合ガス(体積比=95/5〜50/50)中でコロナ処理すると、フィルム表面の濡れ張力が35mN/m以上に上がるので好ましい。
【0059】
次に、接着促進処理された積層フィルムを、フィルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、冷却金属ドラムを介して走行させる。このとき、アルミニウム金属を加熱蒸発させながら、蒸発した金属蒸気によって蒸着を行う。または、金属蒸気の存在する箇所に酸素ガスを供給し、アルミニウムを酸化させながら走行フィルム面に凝集堆積させ、酸化アルミニウム蒸着層を形成し、巻き取る。このときのアルミニウムの蒸発量と供給酸素ガス量の比率を変更することで、酸化アルミニウム蒸着フィルムの光線透過率を変更することができる。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して巻き取った蒸着フィルムをスリットする。この後、30℃以上の温度で1日以上放置してエージングするとガスバリア性が安定化するので好ましい。
【0060】
本発明の蒸着フィルムは、蒸着密着性、ハンドリング性に優れることから各種包装材、コンデンサー等に好ましく用いられる。また特にガスバリア性に優れることから各種包装材などに用いられ、包装材としては、例えば、非蒸着面に印刷層、蒸着面にシーラント層を接着剤を介して、あるいはシーラント樹脂が押出ラミネートなどで積層されて食品包装用途などに好ましく用いることができる。食品包装用途としては、乾物食品用と水物食品用のいずれにも適用できる。
【0061】
【実施例】
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、特性値の測定方法および評価方法を以下に示す。
【0062】
[特性値の測定方法・評価方法]
本発明で用いられる特性値は、次の測定法により測定される。
【0063】
(1)ガラス転移温度(Tg)
Seiko Instrument(株)製の熱分析装置DSCII型を用い、サンプル5mgを300℃で5分間保持し、液体窒素で急冷した後、昇温速度20℃/分で昇温した際の転移点の中心温度を測定し、ガラス転移温度(Tg)とした。
【0064】
(2)融点(Tm)
Seiko Instrument(株)製の熱分析装置DSCII型を用い、サンプル5mgを室温より20℃/分の昇温速度で昇温していった際の吸熱融解曲線のピーク温度を測定し、融点(Tm)とした。
【0065】
(3)固有粘度(IV)
ポリエステルをASTM D1601に従い、オルソクロロフェノールに溶解し、25℃において測定した。
【0066】
(4)メルトフローインデックス(MI)
JIS K−6758のポリプロピレン試験方法(230℃、21.2N)で測定した値を示した。
【0067】
(5)面配向係数(fn)
アタゴ(株)製アッベ屈折計を用い、光源をナトリウムランプとして、フィルムの屈折率の測定を行った。フィルム面内の長手方向の屈折率nγ、それに直行する横方向の屈折率nβおよび厚み方向の屈折率nαを求め、下記式
fn=(nγ+nβ)/nα
により面配向係数fnを求めた。
【0068】
(6)平均粒子径
フィルム中に含まれる粒子の粒径を求める際には、次の方法を用いることができる。フィルムから樹脂をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は樹脂が灰化するするが、粒子がダメージを受けない条件を選択する。これを走査型顕微鏡で粒子数5,000〜10,000個を観察し、粒子画像を画像処理装置により円相当径から平均粒子径を求めた。また、粒子が内部粒子の場合、ポリマー断面を切断し厚さ0.1〜1μm程度の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡を用いて倍率5,000〜20,000程度で写真を撮影(10枚:25cm×25cm)し、内部粒子の平均分散径を円相当径より計算した。
【0069】
(7)中心線平均粗さ(Ra)
小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用いて表面粗さを測定した。条件は次のとおりであり、20回の測定の平均値を中心線平均粗さ(Ra)とした。
・触針先端半径:0.5μm
・触針荷重 :5mg
・測定長 :1mm
・カットオフ :0.08mm
なお、Raの定義は、例えば、奈良次郎著「表面粗さの測定・評価法」(総合センター、1983)に示されているものである。
【0070】
(8)熱収縮率
フィルムサンプルの表面に、標線間距離200mmで表線を描き、フィルム幅10mmで切断した。このサンプルを長さ方向に吊し、1gの荷重を長さ方向に加えて、190℃の熱風を用い30分間加熱した後、標線間の長さを測定し、フィルムの収縮量を原寸法に対する割合(百分率(%))で求めた。なお、フィルムが伸長した場合はマイナス(−)値で表示した。
【0071】
(9)光学濃度(OD)
蒸着フィルムをJIS−K−7605に従い、マクベス社製の透過濃度計TR927を用いて、フィルターをVisualとしたときの透過濃度を測定し、光学濃度とした。
【0072】
(10)光線透過率
蒸着フィルムを日立製作所社製分光々度計324型を用いて、波長550nmでの透過率を求めた。
【0073】
(11)ガスバリア性
A.水蒸気透過率(防湿性)
モダンコントロール社製の水蒸気透過率計“PERMATRAN”W3/31を用いて、温度37.8℃、相対湿度100%の条件下で測定した値を、g/m2・日の単位で示した。
【0074】
B.酸素透過率
モダンコントロール社製の酸素透過率計“OXTRAN”−100を用いて、温度23℃、相対湿度80%の条件下で測定した値を、ml/m2・日・MPaの単位で示した。
【0075】
(12)フィルムの厚み構成および無機薄膜層の厚み
フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて下記の条件で写真撮影し、フィルムの厚み構成および無機薄膜層の厚みを測定した。
(13)蒸着膜密着性
蒸着フィルムの蒸着面上に、ポリウレタン系接着剤を用いて無延伸プロピレンフィルム(CPP)(東レ合成フィルム(株)製T3931、60μm)を貼り合わせ、40℃で48時間エージング後15mm幅に切断して、“テンシロン”を用いてCPPと蒸着無機薄膜の180゜剥離を剥離速度100mm/分で行った。ドライ(25℃、50%RH雰囲気下)での剥離強力を測定した。剥離強力が2N/cm以上のものを○、1N/cm未満のものを×、その中間のものを△として蒸着膜密着性を評価した。
【0076】
(14)ハンドリング性
蒸着および加工時のフィルムの取扱性(滑り性など)について、取扱性が優れるものを○、取扱性が劣るが実用性問題ないものを△、取扱性が劣るものを×として評価した。
【0077】
次に、本発明の蒸着フィルムの製造方法について、フィルム/表面処理/無機薄膜の順に積層した一例を挙げて説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0078】
(実施例)
実施例には、以下のポリエステルおよびポリエーテルエステルを使用した。
[ポリエチレンテレフタレートA(PET−A)]
テレフタル酸ジメチル100重量%、エチレングリコール60重量%の混合物に、テレフタル酸ジメチル量に対して酢酸マグネシウム0.09重量%、三酸化アンチモン0.03重量%を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、テレフタル酸ジメチル量に対して、リン酸85%水溶液0.020重量%を添加した後、重縮合反応槽に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、融点256℃、固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
[粒子マスター]
PET−Aの重合時に平均二次粒子径1.2μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加して、凝集シリカ粒子を2重量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
[ポリエチレンナフタレートA(PEN−A)]
ポリエステルAは、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてポリエチレンナフタレート樹脂(融点270℃、固有粘度0.69dl/g)を得た。
[ポリブチレンテレフタレートA(PBT−A)]
東レ製登録商標“トレコン”1200Sのポリブチレンテレフタレート(融点228℃、固有粘度1.26dl/g)を用いた。
[ポリブチレンテレフタレートB(PBT−B)]
東レ製登録商標“トレコン”1100Sのポリブチレンテレフタレート(融点228℃、固有粘度0.89dl/g)を用いた。
[ポリエーテルエステルA(PEE−A]
東レ・デュポン製登録商標“ハイトレル”3078のポリエーテルエステル(融点170℃、メルトフローインデックス(MI)5.0g/分)を用いた。
[ポリエーテルエステルB(PEE−B)]
東レ・デュポン製登録商標“ハイトレル”7277のポリエーテルエステル(融点219℃、メルトフローインデックス(MI)1.5g/分)を用いた。
【0079】
(実施例1)
基材フィルムA層の原料として、PET−A97.5重量%に、粒子マスター2.5重量%を混合させた混合ペレットを用い、また、ポリエステルB層の原料として、PET−A/PBT−A=重量比80/20の割合で混合した混合樹脂98.5重量%に粒子マスター1.5重量%を混合ペレットを用いた。基材フィルムA層の混合ペレットは、180℃×4時間、ポリエステルB層の混合ペレットは150℃×4時間、それぞれ十分に真空乾燥した後、別々の押出機に供給して280℃で溶融させ、それぞれの濾過フィルターで濾過した後、スリット状の2層口金に導き、基材フィルムA層/ポリエステルB層の順に積層した状態で押出し、これを表面温度25℃の冷却ドラムに巻き付けて冷却固化した。この間のシートと冷却ドラム表面との密着性を向上させるために、シート側にワイヤー電極を配して6kVの直流電圧を印加した。このようにして得られた未延伸フィルムを105℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸し、1軸延伸フィルムとした。該1軸延伸フィルムをクリップで把持して100℃に加熱されたテンター内に導き、連続的に110℃に加熱された領域で幅方向に3.5倍延伸し、さらに235℃の雰囲気下で5秒間の熱処理を施し、フィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA/ポリエステルB層の積層厚み=10μm/2μmからなる積層フィルム)を得た。
【0080】
次に、得られた原反フィルムを50℃に加熱したゴムロールを介して、ポリエステルB層の表面を、窒素/炭酸ガスの混合ガス(窒素/炭酸ガス=85/15)の雰囲気中で、40W・min/m2の処理条件でコロナ放電処理を施し、原反フィルムの濡れ張力を45mN/m以上にしてロール状に巻き取った。そのときの原反フィルムの温度は30℃であり、10時間放置した後に小幅にスリットした。次に、小幅にスリットした原反フィルムをフイルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、1.00×10−2Paの高真空にした後に、−20℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。このとき、アルミニウム金属を加熱蒸発させながら、走行フィルムのコロナ放電処理面に凝集堆積させ、アルミニウムの蒸着薄膜層を形成して巻取った。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返し、40℃の温度で2日間エージングして、本発明の蒸着フィルムを得た。この蒸着フィルムの無機薄膜の厚みは45nmであった。
【0081】
(実施例2)
基材フィルムA層の原料として、PEN−A96重量%に粒子マスター4重量%を混合させた混合ペレットを用い、また、ポリエステルB層の原料として、実施例1で用いたPET/PBT=重量比70/30の割合の混合樹脂98重量%に粒子マスター2重量%を混合した混合ペレットを用いた。それぞれのペレットを実施例1と同様に十分に真空乾燥した後、別々の押出機に供給して290℃で溶融させ、それぞれの濾過フィルターで濾過した後、スリット状の2層口金に導き、基材フィルムA層/ポリエステルB層の順に積層した状態で押出し、これを表面温度25℃の冷却ドラムに巻き付けて冷却固化した。この間のシートと冷却ドラム表面との密着性を向上させるために、シート側にワイヤー電極を配して6kVの直流電圧を印加した。このようにして得られた未延伸フィルムを135℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸し、1軸延伸フィルムとした。該1軸延伸フィルムをクリップで把持して100℃に加熱されたテンター内に導き、連続的に140℃に加熱された領域で幅方向に3.5倍延伸し、さらに240℃の雰囲気下で5秒間の熱処理を施し、フィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA層/ポリエステルB層の積層厚み=11μm/1μmからなる積層フィルム)を得た。該原反フィルムを用い、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの本発明の蒸着フィルムを得た。
【0082】
(実施例3)
本発明のフィルムの基材フィルムA層の原料として、PET−A/PBT−B/PEE=重量比80/19/1の割合の混合樹脂98重量%に粒子マスター2重量%を混合された混合ペレットを用い、ポリエステルB層の原料として、実施例1で用いたPET/PBT=重量比85/15の割合の混合樹脂99重量%に粒子マスター1重量%を混合された混合物を用いた。基材フィルムA層の混合ペレットは、PETは180℃×4時間、PBTは150℃×4時間、PEEは70℃×24時間、十分真空乾燥を行い、PETおよびPBTは70℃まで冷却した後、PEEを混合して用いたこと以外は、実施例1と同様な手法でフィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA層/ポリエステルB層の積層厚み=7μm/5μmからなる積層フィルム)を得た。該原反フィルムを用い、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの本発明の蒸着フィルムを得た。
【0083】
(実施例4)
本発明のフィルムの基材フィルムA層の原料として、PET−A/PBT−B/PEE−B=重量比75/20/5の割合の混合樹脂95重量%に、粒子マスター5重量%を混合されたペレットを用い、ポリエステルB層の原料として、PET−A/PBT−B=重量比95/5の割合の混合樹脂99重量%に粒子マスター1重量%を混合ペレットを用いた。基材フィルムA層の原料混合は実施例3と同様な手法で混合し、実施例1と同様な手法でフィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA層/ポリエステルB層の積層厚み=11.9μm/0.1μmからなる積層フィルム)を得た。また、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの本発明の蒸着フィルムを得た。
【0084】
(比較例1)
基材フィルムA層の原料として、実施例1に用いたPET−A95.0重量%に粒子マスター5.0重量%を混合したペレットを用い、ポリエステルB層の原料として、実施例1に用いたPET−A98.5重量%に粒子マスター1.5重量%を混合したペレットを用いたこと以外は、実施例1と同じ手法で、フィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA/ポリエステルB層の積層厚み=10μm/2μmからなる積層フィルム)を得た。また、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの蒸着フィルムを得た。
【0085】
(比較例2)
基材フィルムA層の原料として、実施例1に用いたPET−A97.5重量%に粒子マスター2.5重量%を混合したペレットを用い、ポリエステルB層の原料として、実施例1に用いたPBT−Aのみを用いたこと以外は、実施例1と同じ手法で、フィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA層/ポリエステルB層の積層厚み=11μm/1μmからなる積層フィルム)を得た。また、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの蒸着フィルムを得た。
【0086】
(比較例3)
基材フィルムA層の原料として、実施例1に用いたPET−A96重量%に粒子マスター4重量%を混合したペレットを用い、ポリエステルB層の原料として、実施例1に用いたPET−A/PBT−A=重量比50/50の割合で混合樹脂96重量%に粒子マスター4重量%を混合したペレットを用いたこと以外は、実施例1と同じ手法で、フィルム厚み12μmの原反フィルム(基材フィルムA層/ポリエステルB層の積層厚み=2μm/10μmからなる積層フィルム)を得た。また、実施例1と同じ手法で無機薄膜の厚み45nmの蒸着フィルムを得た。
【0087】
(実施例5)
実施例1で得られた原反フィルム(積層フィルム)を実施例1と同様にしてコロナ放電処理を施し、原反フィルムを小幅にスリットした。その原反フィルムをフイルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、1.00×10−2Paの高真空にした後に、−20℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。このとき、アルミニウム金属を加熱蒸発させながら、蒸気箇所に酸素ガスを供給し、アルミニウム金属を酸化させながら走行フィルムのコロナ放電処理面に凝集堆積させ、酸化アルミニウムの蒸着薄膜層を形成して巻取った。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返し、40℃の温度で2日間エージングして、本発明の酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。この酸化アルミニウム蒸着フィルムは、無機薄膜の厚みが45nm、光線透過率が78%で透明なフィルムであった。
【0088】
以上の蒸着フィルムの品質評価結果を表1にまとめた。表1の結果からわかるように、実施例1〜4で得られた蒸着フィルムはガスバリア性、ハンドリング性、及び蒸着密着性に優れたものであった。
【0089】
また、実施例5で得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着面に、直鎖状ポリエチレン(LLD−PE)を押出ラミネートし、15cm×30cmに切り出し、LLD−PE面同士を重ね合わせ、富士インパルス社製インパルスシーラーで三方シールし、包装体を作製したところ、透明性に優れるとともに、酸素、水蒸気などのガスバリア性に優れた包装体であった。
【0090】
一方、比較例1〜3で得られた蒸着フィルムは、ガスバリア性が劣るフィルムで、いずれの蒸着フィルムも包装用フィルムとして好ましくなかった。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、蒸着加工性および酸素と水蒸気に関するガスバリア性がともに優れた蒸着フィルムを得ることができる。この蒸着フィルムは、酸素や水蒸気の遮断性が要求される包装材料として有用である。
Claims (8)
- ポリエステルからなる基材フィルムA層の少なくとも片面に、95〜60重量%のエチレンテレフタレート成分と、5〜40重量%のブチレンテレフタレート成分を含むポリエステルB層が厚み0.01〜5μmで積層され、かつ、該ポリエステルB層側の表面に蒸着による無機薄膜が形成されてなることを特徴とする蒸着フィルム。
- 基材フィルムA層を構成するポリエステルが、テレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とから重合されるポリエステルである請求項1記載の蒸着フィルム。
- 無機薄膜を形成する前の積層フィルムにおける無機薄膜形成側の表面の中心線平均表面粗さ(Ra)が、0.005〜0.030μmの範囲である請求項1または2記載の蒸着フィルム。
- 無機薄膜を形成する前の積層フィルムの面配向係数(fn)が0.155〜0.180の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の蒸着フィルム。
- 無機薄膜を形成する前の積層フィルムの150℃、30分の熱収縮率が、フィルムの長手方向で0.5〜2%、幅方向で−1.2〜0.5%の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の蒸着フィルム。
- 無機薄膜が、金属薄膜および/または金属酸化物薄膜である請求項1〜5のいずれかに記載の蒸着フィルム。
- 金属がアルミニウムであり、金属酸化物が酸化アルミニウムである請求項6記載の蒸着フィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の蒸着フィルムからなる包装材料。
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