JP2007002082A - 環状オレフィン系付加重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明の環状オレフィン系付加重合体の製造方法では、特定のニッケル系触媒またはコバルト系触媒と分子量調節剤とを用いることにより、重量平均分子量が制御され、炭化水素溶媒での溶液流延法によるフィルムまたはシートへの成形加工が容易で、耐熱性に優れ、光学特性にも優れた環状オレフィン系付加重合体を高収率で容易に製造することができる。
【選択図】なし
Description
一般に、環状オレフィン系付加重合体は透明性、耐熱性が優れる材料として知られている。しかしながら、環状オレフィン系付加重合体のガラス転移温度は高く、分解開始温度が300℃付近にあるため、通常の透明樹脂で用いられる射出成形、押し出し成形など樹脂を溶融して成形する方法は採用することが困難である。
溶液流延法による成形を行うためには、重合体溶液の粘度が特定の範囲に制御されなければならない。溶液粘度に関わる要因としては、重合体の分子量、ゲル分、溶液の濃度、溶媒の種類が挙げられ、環状オレフィン系付加重合体の分子量は特定の範囲に制御されることが求められる。また、溶液流延法による成形では、ゲル分がないこと、製造するフィルムまたはシートの膜厚にもよるが、溶液の濃度が10〜30重量%の範囲であること、付加重合体を完全に溶解でき、フィルムまたはシートの乾燥時には除去できる溶媒を用いることが必要である。
1)分子量調節剤として水素を用いる方法
特許文献2および3には、Ni系などの触媒を用いて環状オレフィンの付加重合を行うことが記載されており、実施例で具体的に使用した例はないものの、分子量調節剤として水素を用いることが記載されている。しかしながら、分子量調節剤として水素を用いる方法では、重合中に単量体の水素かも並列して起こるという問題がある。
2)分子量調節剤としてα−オレフィンを用いる方法
特許文献4には、Ni、Pdなど後周期の遷移金属化合物の触媒系で、α−オレフィン化合物を分子量調節剤(連鎖移動剤)として用いる方法で、重合体末端に直鎖状の炭素・炭素不飽和結合を有する環状オレフィン付加重合体が得られることが記載されている。しかし、生成付加重合体の光学透明性、とくにヘイズに関する記載はない。
3)分子量調節剤としてシクロペンテンを用いる方法
特許文献5には、重合体の収率が低く、分子量低下効果が不十分であるという問題があるものの、実施例92、93、94において、シクロペンテンをパラジウム触媒系での分子量調節剤として用いる例示がある。また、特許文献4実施例23ではシクロペンテンはノルボルネンとのパラジウム触媒による共重合体の単量体として例示がある。しかしながら、ニッケル系触媒またはコバルト化合物触媒を用いた場合の分子量調節剤として、シクロペンテンを用いる例は知られていない。
て、流延法によるフィルムまたはシートへの製膜加工性がよく、かつ生成付加重合体が高耐熱で透明性がさらに改良された環状オレフィン付加重合体の製造方法を提供することを課題としている。
(a)ニッケル化合物またはコバルト化合物、並びに
(b)ルイス酸性のホウ素化合物、ルイス酸性のアルミニウム化合物、イオン性のホウ素化合物およびイオン性のアルミニウム化合物よりなる群から選ばれた1種以上の化合物を含む触媒と、
シクロペンテン、アルキル置換シクロペンテン、シクロアルキル置換シクロペンテンおよびアリール置換シクロペンテンよりなる群から選ばれたシクロペンテン環を有する化合物との存在下に
少なくとも1種の下記式(1)で表される環状オレフィン系化合物からなる単量体を付加重合することを特徴としている。
本発明の環状オレフィン系付加重合体の製造方法では、
触媒成分(a)が、ニッケルの有機カルボン酸塩、超強酸で変性されたニッケルの有機カルボン酸塩、および、ニッケルのベータジケトン化合物よりなる群から選ばれた化合物であることが好ましい。
本発明の環状オレフィン系付加重合体の製造方法では、シクロペンテン環を有する化合物が、シクロペンテン、アルキル基の炭素数が1〜3である3−アルキルシクロペンテンおよび4−アルキルシクロペンテンよりなる群から選ばれた化合物であることが好ましい。
びendo−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエンよりなる群から選ばれ
た1種以上の化合物を含むことが好ましい。
本発明の環状オレフィン系付加重合体の製造方法では、環状オレフィン系化合物の付加重合を、ニッケル化合物またはコバルト化合物を含む特定の触媒を用い、分子量調節剤として特定のシクロペンテン環を有する化合物を用いて行う。
<触媒>
本発明で用いる触媒は、
(a)ニッケル化合物またはコバルト化合物、
(b)ルイス酸性のホウ素化合物、ルイス酸性のアルミニウム化合物、イオン性のホウ素化合物およびイオン性のアルミニウム化合物よりなる群から選ばれた1種以上の化合物、および、必要に応じて用いられる
(c)有機アルミニウム化合物
から調製される。
(a)ニッケル化合物またはコバルト化合物
本発明の触媒成分(a)として用いることのできるニッケル化合物およびコバルト化合物としては、以下の1)〜4)の化合物が挙げられる。本発明の触媒成分(a)としては、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
1)ニッケルまたはコバルトの、有機酸塩またはベータジケトン化合物。ニッケルまたはコバルトの有機酸塩としては、カルボン酸塩、リン酸ジエステル塩、スルフォン酸塩などが挙げられる。より具体的には、ニッケルまたはコバルトの、有機酸塩またはベータジケトン化合物として、以下の1−1)〜1−4)が好ましく挙げられる。
1−1)ニッケルまたはコバルトの、炭素数が1〜20のカルボン酸塩;たとえば、ニッケルのエタン酸塩、ニッケルのトリフルオロエタン酸塩、ニッケルの2−エチルヘキサン酸塩、ニッケルのn−オクタン酸塩、ニッケルのデカン酸塩、ニッケルのオクタデカ−9−エン酸塩、ニッケルのナフテン酸塩、ニッケルのオクタデカン酸塩、ニッケルのシクロヘキサンカルボン酸塩、ニッケルのベンゼンカルボン酸塩、ニッケルの2−メチルベンゼンカルボン酸塩、ニッケルの4-メチルベンゼンカルボン酸塩、ニッケルのナフタレンカルボン酸塩、コバルトの2−エチルヘキサン酸塩、コバルトのドデカン酸塩、コバルトのナ
フテン酸塩など。
1−2)ニッケルまたはコバルトの炭素数が1〜20の有機スルフォン酸塩;たとえば、ニッケルのメタンスルフォン酸塩、ニッケルのトリフルオロメタンスルフォン酸塩、ニッケルのp−トルエンスルフォン酸塩、ニッケルのベンゼンスルフォン酸塩、ニッケルのナフタレンスルフォン酸塩、ニッケルのドデシルベンゼンスルフォン酸塩コバルトのドデシルベンゼンスルフォン酸塩など。
1―3)ニッケルまたはコバルトの炭素数が4〜26のリン酸ジエステル塩;たとえば、ニッケルのリン酸ジエチル塩、ニッケルのリン酸ジブチル塩、ニッケルのリン酸ジオクチル塩、コバルトのリン酸ジオクチル塩などのニッケルまたはコバルトのリン酸ジエステル塩など。
1−4)ニッケルまたはコバルトの炭素数が8〜30ベータジケトン化合物;たとえば、ニッケルビス(2,4−ペンタジオナート)、
ニッケルビス(1−エトキシ−1,3−ブタジオナート)、
ニッケルビス(1,1,1−トリフルオロ−5,5,5,−トリフルオロ−2,4−ペンタジオナート)、
コバルトビス(2,4−ペンタジオナート)
コバルトトリス(2,4−ペンタジオナート)など。
2)上記のニッケルまたはコバルトの有機カルボン酸塩を、六フッ化アンチモン酸、四フッ化ホウ酸、六フッ化ホスフィン酸、トリフロロエタン酸、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、などの超強酸で、モル比1:1で反応させた変性化合物。
3)N、P、Oなどの原子が1〜3座で配位した配位子を有するニッケル錯体またはコバルト錯体;たとえば、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロライド、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジブロマイド、
ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトジクロライド、
ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトジブロマイド、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケルジクロライド、
ビス〔トリ(2−メチルフェニル)ホスフィン〕ニッケルジブロマイド、
ビス〔トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン〕ニッケルジブロマイド、
1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルジクロライド、
1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンコバルトジクロライド、
1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンニッケルジクロライドなど;
〔Ph2PC6H4C(O)NPh〕Ni(η3−CH2C6H5)(PMe3)、
〔Ph2PC6H4C(O)Nt-Bu〕Ni(η3−CH2C6H5)(PMe3)
などで表される2-ジフェニルホスファニルベンズアミド−ニッケル錯体;
(PPh2CH=C(O)Ph)Ni(Ph)(CH2=PPh3)、
(PPh2CH=C(O)Ph)Ni(Ph)(NC5H5)、
(PPh2CH=C(O)Ph)Ni(Ph)(PPh3)、
などで表されるP−Oでキレートしたニッケル錯体;
〔1,1’-bis(1-butylbenzimidazole-2yl)pentane〕NiCl2、
2,2’-bis〔2-(1-ethylbenzimidazol-2yl)biphenyl〕NiCl2
などのベンズイミダゾールニッケル錯体;
Bis〔3,5-dinitro-N(2,6-diisopropylphenyl)salicylaldiminate〕Ni、
Bis〔3,5-dinitro-N(phenyl)salicylaldiminate〕Ni
などのサリチルアルドイミンニッケル錯体、
などが挙げられる。
4)ジエン、トリエン、シクロペンタジエニルおよびその置換体から選ばれた化合物が配位した錯体、およびη3-アリル結合を有するニッケル錯体;たとえば、
(1,5-シクロオクタジエン)ニッケルジクロライド、
〔(η3-クロチル)(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル〕ヘキサフルオロホスフェート、
〔(η3-クロチル)(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル〕テトラフルオロボレート、
〔(η3-アリル)(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル〕{テトラキス〔3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ボレート}、
〔(η3-クロチル)(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル〕〔テトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)ボレート〕、
(シクロペンタジエニル)(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル、
(1,5,9-シクロドデカトリエン)ニッケル、
ビス(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン)ニッケル、
ビス(η3-アリルニッケルクロライド)など。
(b)ルイス酸性のホウ素化合物、ルイス酸性のアルミニウム化合物、イオン性のホウ素化合物およびイオン性のアルミニウム化合物
本発明に係る触媒には、触媒成分(b)として、1)ルイス酸性のホウ素化合物、2)ルイス酸性のアルミニウム化合物、3)イオン性のホウ素化合物および4)イオン性のアルミニウム化合物よりなる群から選ばれた1種以上の化合物が含まれる。
1)ルイス酸性のホウ素化合物
触媒成分(b)として用いられる1)ルイス酸性のホウ素化合物としては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
(式(2)中、Bはホウ素原子、R1はフッ素原子置換、またはフッ素化アルキル置換の
フェニル基またはフッ素原子、Dは炭素数1〜10のジアルキルエーテル、トリアルキルアミン、フェノールおよびアルコールから選ばれた電子供与性の化合物を表す。)
このようなルイス酸性のホウ素化合物の具体例としては、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、
トリス(3,5−フルオロフェニル)ホウ素、
トリス〔3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ホウ素、
三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体、
三フッ化ホウ素・ジブチルエーテル錯体、
三フッ化ホウ素・トリエチルアミン錯体などが挙げられる。
2)ルイス酸性のアルミニウム化合物
触媒成分(b)として用いられる2)ルイス酸性のアルミニウム化合物としては、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
(式(3)中、Alはアルミニウム原子、R2はフッ素原子置換、またはフッ素化アルキ
ル置換のフェニル基または炭素数1〜10のアルキル基、またはアリール基、Xはフッ素、塩素、臭素から選ばれたハロゲン原子、kは0〜3の整数を示す。)
このようなルイス酸性のアルミニウム化合物の具体例としては、
トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、
トリス(3,5−フルオロフェニル)アルミニウム、
トリス〔3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕アルミニウム、
三フッ化アルミニウム、ジエチルエーテル錯体、
エチルアルミニウムジフロライド、
エチルアルミニウムジクロライド、
ブチルアルミニウムジブロマイド、
ジエチルアルミニウムフロライド、
3,5−ジメチルフェニルアルミニウムジフロライドなどの化合物が挙げられる。
3)イオン性のホウ素化合物
触媒成分(b)として用いられる3)イオン性のホウ素化合物としては、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
(式(4)中、R3はカルボニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン、アンモニウムカ
チオン、アニリニウムカチオンから選ばれた炭素数1〜30の有機カチオン、R4はフッ
素原子置換またはフッ化アルキル置換のフェニル基、Bはホウ素原子を示す。)
このようなイオン性のホウ素化合物の具体例としては、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(p-トリル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニル(メチル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ビス(ジフェニル)メチルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、
トリフェニルホスフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルホスフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジフェニルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
リチウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートなどが挙げられる。
4)イオン性のアルミニウム化合物
触媒成分(b)として用いられる4)イオン性のアルミニウム化合物としては、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
(式(5)中、R3、R4は式(4)と同様である。)
このようなイオン性のアルミニウム化合物の具体例としては、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミナート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アルミナート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)アルミナート、
トリフェニルカルベニウムテトラフェニルアルミナートなどが挙げられる。
本発明に係る触媒において、(c)有機アルミニウム化合物は、必要に応じて、上記触媒成分(a)、(b)とともに用いられる成分である。触媒成分(a)のニッケル化合物がアルキル基やη3-アリル基を有する場合は、触媒成分(c)は必ずしも必要としないが、触媒成分(c)には、重合系に存在した場合に重合を阻害するアミン類、硫黄化合物を除去する作用がある。
も1つのアルミニウム−アルキル結合を有するアルミニウム化合物が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。具体的には、たとえば、
メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサンなどのアルキルアルモキサン化合物;
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム化合物;
ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルキルアルミニウムヒドリド化合物
などが好ましく用いられ、その他、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムクロライドなどのハロゲン原子を有するアルキルアルミニウム化合物も用いることができる。
触媒の調製
本発明に係る触媒の調製においては、上述した各触媒成分は、通常、以下の範囲の使用量で用いられる。
触媒成分(b)のルイス酸性のホウ素化合物、ルイス酸性のアルミニウム化合物、イオン性のホウ素化合物またはイオン性のアルミニウム化合物から選ばれた化合物は、触媒成分(a)のニッケル化合物またはコバルト化合物の総量1モル当たり、0.1〜20モル、好ましくは0.5〜10、さらに好ましくは1.0〜5.0モルである。
1)単量体、分子量調節剤および重合溶媒の混合物に、触媒成分(a)、触媒成分(b)の順に、または、触媒成分(a)、触媒成分(b)および触媒成分(c)の順に添加する方法、
2)単量体、分子量調節剤、重合溶媒の混合物に、触媒成分(c)、触媒成分(a)、触媒成分(b)の順に添加する方法、
3)予め触媒成分(a)、(b)および(c)を混合接触したものを単量体、分子量調節剤および重合溶媒の混合物に添加する方法
などの方法が通常用いられる。
<単量体>
本発明では、下記一般式(1)で表される環状オレフィン系化合物からなる単量体を用いて付加重合を行う。
本発明で単量体として用いられる、上記一般式(1)で表される環状オレフィン系化合物としては、極性または官能性の置換基を有さない環状オレフィン系化合物(A)、および、極性または官能性の置換基を有する環状オレフィン系化合物(B)が挙げられる。以下にこれらの単量体の具体例を挙げるが、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(1−ブテニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ペンチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘプチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ドデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−クロロビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリエチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリプロピルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
4−トリメチルシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン、
5,6−ベンゾビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
3,4−ベンゾトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン
などが挙げられる。
てもよい。さらに、A1とA2またはA1とA3とそれぞれが結合する炭素原子とでカルボンイミド基または酸無水物基を形成してなる化合物も挙げることができる。
置換基として加水分解性のアルコキシシリル基を有する単量体の例:
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
9−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−トリエトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−エチルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−シクロヘキシルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−フェニルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ジメチルメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−トリクロロシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ジクロロメチルシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−クロロジメチルシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−クロロジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ジクロロメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−クロロメチルメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなど。
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−3’,4’−ジメチル−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−3’−メチル−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−フェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−4’,4’−ジメチル−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
9−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなど。
エタン酸〔ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジメチル〕、
プロパン酸〔ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジメチル〕、
エタン酸〔ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル〕、
エタン酸〔ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イルメチル〕、
プロペン酸ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イルメチル、
2−メチルプロペン酸ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イルメチルなど。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸t-ブチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−メチルカルボン酸メチル−2−カルボン
酸メチル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸エチル、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、
4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸エチルなど。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸トリエチルシリル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸ジエチルブチル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸トリエチルシリルなど。
5−[(3−エチル−3−オキタセニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[(3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチルなど。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−シクロヘキシル−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−フェニル−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−(2’,6’−ジメチルフェニル)−
2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−N−シクロヘキシル−スクシンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−N−(2’,4’−ジメトキシフェニル)スクシンイミドなど。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−無水カルボン酸、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−3’−exo−無水スクシン酸、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−無水カルボン酸など。
本発明では、上述の触媒を用いて、上述した環状オレフィン系化合物からなる単量体を付加(共)重合する。
分子量調節剤
本発明の環状オレフィン系付加重合体の製造方法では、製造する環状オレフィン系付加重合体の分子量の調節を、分子量調節剤として重合系内にシクロペンテン環を有する化合物を添加して、その存在下に環状オレフィン系化合物を付加(共)重合することにより行う。当該シクロペンテン環を有する化合物は、得られる重合体の末端に結合してもよい。シクロペンテン環を有する化合物としては、シクロペンテン、アルキル置換シクロペンテン、シクロアルキル置換シクロペンテンおよびアリール置換シクロペンテンよりなる群から選ばれるシクロペンテン環を有する化合物が挙げられ、好ましくは炭素数5〜20の化合物が挙げられる。
シクロペンテン、
3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、
3−エチルシクロペンテン、4−エチルシクロペンテン、
3−プロピルシクロペンテン、4−プロピルシクロペンテン、
3−イソプロピルシクロペンテン、4−イソプロピルシクロペンテン、
3−ブチルシクロペンテン、3−ヘキシルシクロペンテン、
3−オクチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンタン、
3,4−ジエチルシクロペンタン、3−シクロヘキシルシクロペンテン、
4−シクロペンチルシクロペンテン、4−フェニルシクロペンテン
などから選ばれた1種以上の化合物が用いられる。このうち、シクロペンテン、アルキル
基の炭素数が1〜3のアルキル置換のシクロペンテンから選ばれた化合物が好ましく、シクロペンテンがさらに好ましい。
重合溶媒
本発明において、付加重合に用いることができる溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられるが、非ハロゲン系の溶媒を用いることが安全衛生上や環境対策上好ましい。
なお、本発明においては、これら溶媒を2種以上使用した混合溶媒も用いることができる。
重合
本発明の環状オレフィン系付加重合体の製造方法では、上述の分子量調節剤、重合溶媒の存在下、ニッケル化合物またはコバルト化合物を含む触媒を用いて単量体の付加(共)重合を行う。
本発明の重合系の雰囲気は、窒素下、アルゴン下、および空気下などが好ましい。
<水素化>
本発明では、置換基にオレフィン性不飽和結合を有する単量体を用いて生成する環状オレフィン付加重合体や、本発明のような分子量調節の重合機構から生じる環状オレフィン付加重合体の末端に環状の内部オレフィンの不飽和結合が存在する場合など、熱や光による着色やゲル化等の劣化が問題になるようであれば必要に応じて、付加(共)重合で生成した環状オレフィン付加重合体にさらに水素化を行うことができる。その水素化率は高い程好ましいが、通常、90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上である。
<脱触媒>
本発明においては、重合を停止して得られた重合体溶液もしくはその水素化体の溶液を、乳酸、グリコール酸、オキシプロピオン酸、オキシ酪酸などのオキシカルボン酸やトリエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、エチレンジアミンテトラ酢酸塩などの水溶液を用いて処理するか、珪藻土、シリカ、アルミナ、活性炭などの吸着剤を用いて処理することにより脱触媒を行うことができる。
にすることができる。
<環状オレフィン系付加重合体>
本発明で得られる環状オレフィン系付加(共)重合体のガラス転移温度(Tg)は、主に重合に用いる単量体の種類や量により決定される。このため、本発明では、使用される用途に応じて適宜設計したガラス転移温度(Tg)を有する環状オレフィン系付加(共)重合体を製造することができるが、通常、150〜450℃、好ましくは200〜400℃である。該重合体のガラス転移温度が150℃未満の場合は耐熱性に問題が生じることがあり、一方、450℃を超えると重合体が剛直になり靱性が低下して割れやすくなることがある。
2,2’-メチレンビス(4−エチル−6−t-ブチルフェノール)、
2,5−ジ-t-ブチルヒドロキノン、
ペンタエリスリチルテトキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)など;
リン系酸化防止剤としては、例えば、
トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
<成形>
本発明に係る環状オレフィン系付加(共)重合体もしくは該重合体を含む組成物は、特に限定されることなく任意の方法で成形することができるが、熱履歴による重合体の劣化を抑制できる点で、本発明の重合体もしくは該重合体を含む組成物を溶媒に溶解させて支持体に塗工し、しかる後、溶媒を乾燥させる溶液流延法(キャスト法)により成形するのが好ましく、これによりフィルム、シートおよび薄膜が好適に得られる。
<用途>
本発明の製造方法により得られた環状オレフィン系付加重合体は、光学材料部品をはじめ、電子・電気部品、医療用器材、電気絶縁材料あるいは包装材料などに使用することができる。
、洗浄容器、パイプ、チューブなどに用いることができる。医療用器材としては、薬品容器、アンプル、シリンジ、輸液用バック、サンプル容器、試験管、採血管、滅菌容器、パイプ、チューブなどに用いることができる。
包装材料としては、食品や医薬品等のパッケージフィルムなどに用いることができる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限を受けるものではない。
ウォーターズ(WATERS)社製150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置で東ソー(株)製Hタイプカラムを用い,o−ジクロロベンゼンを溶媒として120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)ガラス転移温度
ガラス転移温度は動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比Tanδ=E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。動的粘弾性の測定はレオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いてTanδのピーク温度を測定した。
(3)共重合体中の組成解析
重合後の重合体溶液の一部を採取し、標準物質としてテトラリンを添加し、過剰のイソプロパノールで重合体を凝固した。その上澄み溶液をガスクロマトグラム(島津製作所製GC−14B)装置、キャピラリーカラム(膜厚1μm、内径0.25mm、長さ60m、カラム温度200℃)を使用することにより、検量線から残留単量体量を分析した。残留単量体量と仕込み単量体量から生成した共重合体の組成を求めた。
(4)透明性(光線透過率、ヘイズ)
重合体を溶液流延法により、膜厚が約100μmのフィルムに成形してサンプルとし、光線透過率は、可視UVスペクトロメーターHITATI U−2010 Spectrophotometer
を用いて、550nmの光線透過率をASTM−D1003に従い測定した。また、ヘイズは、ビックケミージャパン製「Haze−gard plus BKY Gardner」を用いて、JI
S規格K7105−1981に準じて求めた。
(5)フィルムまたはシートの破断強度、破断伸び
JIS規格K7113に準じて、試験片を引っ張り速度3mm/min.で測定した。
l、単量体の5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを30mmol、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを60mmol、および、分子量調節剤のシクロペンテンを0.5mmol仕込み、耐圧ビンの口を穴あき王冠付きゴムキャップで封止した。
[実施例2、3]
実施例1において、分子量調節剤のシクロペンテンの量を、表1に示す量としたことのほかは、実施例1と同様にして付加重合を行った。重合結果を表1に示す。実施例2,3で生成した付加共重合体の5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンに由来する構造単位の割合は、いずれもほぼ30モル%であった。
次いで、得られた共重合体から実施例1と同様にフィルムを製造し、透明性(光線透過率、ヘイズ)を測定した。結果を表1に示す。実施例2で得られた付加共重合体のフィルムの破断強度は37MPa、破断伸びは4.7%であった。
外、実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
触媒成分(a)として、2−エチルヘキサン酸ニッケルをニッケル原子1グラム原子当たり、六フッ化アンチモン酸1モルで変性した2−エチルヘキサン酸ニッケル0.025mmolを用い、
触媒成分(b)として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート〔Ph3C・B(C6F6)4〕の代わりに、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン〔B(C6F)3〕0.05mmolを用いたこと以外、実施例2と同様に行った。付加重合体中の9−トリエトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン由来の構造単位の割合は4.8モル%であった。
、シクロヘキサン30ml、単量体として、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン65mmol、および、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−8−エン−4−カルボン酸t−ブチル 10mmolを用い、分子量調節剤としてシクロペンテン0
.7mmol、触媒成分(a)として2−エチルヘキサン酸ニッケル0.025mmolおよび触媒成分(b)としてトリフェニルホスフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミナート、〔Ph3C・Al(C6F5)4〕0.05mmolを仕込み、さらに触媒成分(c)としてメチルアルモキサンを1.25mmolを添加して王冠付きゴムキャップで封止した。
。また、付加共重合体の数平均分子量は48,000、重量平均分子量は154,000であった。
比較例1
実施例1において、分子量調節剤であるシクロペンテンを用いなかったこと以外、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。得られた付加共重合体は重量平均分子量が高く、平坦なフィルムを得ることが困難であった。
実施例2において、分子量調節剤としてシクロペンテン1mmolの代わりに、ヘキサ−1−エン1mmolを用いたこと以外、実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。得られたフィルムは、全光線透過率の低下は少ないが、ヘイズ値がやや劣るものであった。
実施例3において、分子量調節剤としてシクロペンテン10mmolの代わりに、シクロペンタン10mmolを用いたこと以外、実施例3と同様に行った。結果を表1に示す。シクロペンタンには分子量調節剤としての効果が見られず、得られた付加共重合体は重量平均分子量が高く、平坦なフィルムを得ることが困難であった。
実施例3において、分子量調節剤としてシクロペンテン10mmolの代わりに、シクロヘキセン10mmolを用いたこと以外、実施例3と同様に行った。結果を表1に示す。シクロヘキセンには分子量調節剤としての効果が見られず、得られた付加共重合体は重量平均分子量が高く、平坦なフィルムを得ることが困難であった。
実施例8において、分子量調節剤であるシクロペンテンを用いなかったこと以外、実施例8と同様に行った。結果を表1に示す。得られた付加共重合体は重量平均分子量が高く、平坦なフィルムを得ることが困難であった。
光学材料としては、例えば、TFT基板材料、導光板、保護フィルム、偏向フィルム、位相差フィルム、タッチパネル、透明電極基板、近赤外フィルム、CD、MD、DVDなどの光学記録基板などや光学レンズ類、封止材などに用いられる。
医療用器材としては、例えば、薬品容器、アンプル、シリンジ、輸液用バック、サンプル容器、試験管、採血管、滅菌容器、パイプ、チューブなどに用いられる。
Claims (7)
- (a)ニッケル化合物またはコバルト化合物、並びに
(b)ルイス酸性のホウ素化合物、ルイス酸性のアルミニウム化合物、イオン性のホウ素化合物およびイオン性のアルミニウム化合物よりなる群から選ばれた1種以上の化合物を含む触媒と、
シクロペンテン、アルキル置換シクロペンテン、シクロアルキル置換シクロペンテンおよびアリール置換シクロペンテンよりなる群から選ばれたシクロペンテン環を有する化合物との存在下に
少なくとも1種の下記式(1)で表される環状オレフィン系化合物からなる単量体を付加重合する
ことを特徴とする環状オレフィン系付加重合体の製造方法;
- 触媒成分(a)が、ニッケルの有機カルボン酸塩、超強酸で変性されたニッケルの有機カルボン酸塩、および、ニッケルのベータジケトン化合物よりなる群から選ばれた化合物であることを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
- 触媒成分(b)が、カルベニウムカチオンまたはホスホニウムカチオンを有するイオン性ホウ素化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
- 触媒成分としてさらに、(c)有機アルミニウム化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
- シクロペンテン環を有する化合物が、シクロペンテン、アルキル基の炭素数が1〜3である3−アルキルシクロペンテンおよび4−アルキルシクロペンテンよりなる群から選ばれた化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
- 単量体が、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、アルキル基の炭素数が3〜10の5−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、endo−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンおよびendo−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8
−ジエンよりなる群から選ばれた1種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の環状オレフィン系付加重合体の製造方法。 - 単量体が、加水分解性のシリル基、オキセタニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、トリアルキルシロキシカルボニル基、酸無水物基、およびカルボンイミド基よりなる群から選ばれた極性基を有する式(1)で表される環状オレフィン系化合物を、全単量体中0.5〜20モル%含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の環状オレフィン系付加重合体の製造方法。
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