JP2006518516A - ハイブリッドモデルを使用してプロセスシミュレーションを行うための装置および方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ハイブリッド・モデルを使用してプロセス・シミュレーションおよび構造解析を実行するための装置および方法を提供する。例えば、本発明の方法は、プラスチック部品または金型空洞の表現を、簡略化した解析を実行できる部位とより複雑な解析が必要とされる部位という2つの部位へと分割することによって、ハイブリッド・ソリューション・ドメインを自動的に定める。この方法は、部品または金型の表面を記述する任意の形式のCADデータを、入力として使用することができる。さらに本発明は、ハイブリッド・ソリューション・ドメインを自動的に生成し、このドメインを自動的に切り分け、さらにこのソリューション・ドメイン内のプロセス変数の分布を解くことによって、金型空洞内の流体の流れをシミュレートするための方法を提供する。
Description
(関連出願)
この出願は、2003年2月5日付の米国特許仮出願第60/445,182号の利益を主張しており、この米国特許仮出願は、その全体がここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。
この出願は、2003年2月5日付の米国特許仮出願第60/445,182号の利益を主張しており、この米国特許仮出願は、その全体がここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。
(技術分野)
本発明は、広くには、プロセスのシミュレーションおよび解析の方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、多次元モデルを使用する射出成型のシミュレーションに関する。
本発明は、広くには、プロセスのシミュレーションおよび解析の方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、多次元モデルを使用する射出成型のシミュレーションに関する。
製造業者らは、消費財、自動車用部品、電気機器、および医療用設備などを含む多種さまざまな製品の設計において、プロセス解析および構造解析を利用している。大抵の場合、特定の製品の開発を助けるため、製造プロセスをシミュレートし、あるいは何らかの方法でモデル化することが、好都合である。製造プロセスのコンピュータ・シミュレーションが、プロセス変数および/または製品構成の変更が製造にどのように影響するのかを、正確に予想できるようにするであろう。コンピュータによるモデル化が実験による試行錯誤の必要性を減らすため、プロセスのシミュレーションを実行することによって、設計者は、製品の開発に係る時間およびコストを大きく節約することができる。コンピュータ支援のプロセス・シミュレーションは、変更をより迅速かつ安価に実行できる設計の初期段階において、プロセス・パラメータおよび製品構成の最適化を可能にする。
さらに製造業者は、例えば製造後に製品が内部および外部の力に対してどのように反応するのかなど、製造された製品の構造的品質を予測するためにモデル化を使用することもできる。構造モデルを、例えば成型製品における残留応力がどのように製品に歪みをもたらしうるかについて予測するために、使用することができる。構造モデルは、設計の多数の試作版を実際に実施にうつすことなく試験できるため、製品設計の助けになる。実際の試作品の製作および試験に関する時間のかかる試行錯誤を、大幅に減らすことができる。
独自に設計された部品への需要が高まっている。これは、とくに独自に調節できる材料を射出成型、圧縮成型、熱成形、押し出し、および引き抜きなどのプロセスによって無数の構成へと成形できるプラスチック製造の分野において、真実である。これは、繊維充填材料、複合材料、および特定の用途に合わせて専用設計された他の特殊材料で製作される部品の製造においても真実である。
これらの分野におけるプロセスおよび構造の解析は、大きな挑戦を突きつけている。例えば、複雑な形状を有する製品への需要が高まっている。複雑な形状を有する製品の成型プロセスを適切にモデル化するために、金型が、モデルのソリューション・ドメイン(solution domain)によって適切に特徴付けられなければならない。複雑な形状の部品が関係するモデル化プロセスは、簡単な形状の部品が関係するモデル化プロセスにくらべ、はるかに多くの計算時間およびコンピュータ資源を必要とする。
さらに、射出成型されるプラスチックは粘性と弾性を併せ持ち、強い温度依存性およびせん断依存性を有するであろう。これらの困難性が、プラスチック部品が関係するプロセスおよび構造シミュレーションの計算を、さらに困難にしている。適切な一般性の支配方程式を、処理対象材料の特性の変化を考慮しつつ、複雑なドメインにわたって解かなければならない。複雑なドメインにわたってこれら方程式の解析解を得ることは、通常は不可能であり、したがって数値解を求めなければならない。
コンピュータ・モデルは、解析解を手に入れることができない複雑な形状について支配方程式の正確な解を近似するため、数値的な方法を使用する。射出成型プロセスのモデルは、例えば、ソリューション・ドメインについて適用可能な支配方程式の解を正確に数値的に近似できるように切り分け(discretize)された金型内部の形状のソリューション・ドメインを含みうる。
プロセス・モデルは、複雑な形状を有する金型を、簡略化された形状のソリューション・ドメインを使用することによってシミュレートし、必要とされる計算時間およびコンピュータ資源を節約することがしばしばある。例えば、或る射出成型プロセス・シミュレータは、実際の三次元(3D)の金型の形状を簡略化するため、二次元(2D)のソリューション・ドメインを使用し、計算の複雑さを大幅に少なくしている。これらのシミュレータの多くは、厚さ方向において圧力変化および流体流がゼロであると仮定するヘレ‐ショウ(Hele‐Shaw)ソリューション・アプローチを使用している。これら「2.5D」モデルは、一般に、比較的単純な形状を有する薄肉部品の射出成型のモデル化に有益である。しかしながら、厚肉部または複雑な形状を有する構成部品においては、注入された材料が3つの次元すべてに流れ、伝統的な薄肉壁の仮定に当てはまらず、2.5D解析を不適切なものにしている。
射出成型プロセスの現在の3Dモデルは、薄肉壁の仮定を行なわず、構成方程式を三次元のソリューション・ドメインについて解いている。これらのモデルは計算が複雑であり、より簡素な2.5Dのモデルと比べ、プロセス・シミュレーションのためにコンピュータ資源および計算時間をはるかに多く必要とすることが通常である。射出成型プロセスの三次元モデルは、通常は、金型の形状が3D要素のメッシュでシミュレートされる有限要素のスキームを使用する。所与のプロセスを正確にモデル化するために必要な要素の寸法、すなわち切り分けは、ソリューション・ドメインの形状およびプロセス条件によって決まる。3Dメッシュの生成は瑣末事ではなく、現在のところ、所与の用途にあわせて適切な3Dメッシュを自動生成する一貫した方法は存在しない。
2.5Dのための適切なメッシュの決定については、ヘレ‐ショウ・ベースのモデルも瑣末事ではない。例えば、薄肉部品の中央面を表わす表面を定め、次いで適切な厚さが与えられてなる三角形または四角形の要素でメッシュに切り分けることが、通常は必要である。このように、ソリューション・ドメインの形状を定めたのちに、中央面を定めるという追加のステップを実行しなければならない。
製造される部品の多くにおいては、少なくとも幾らかの部分が薄肉またはシェル状であり、2.5Dモデルを使用するシミュレーションに適している。しかしながら、それら部品の多くは、2.5Dの仮定が当てはまらない厚肉部または複雑な部位を1つ以上有しており、これによって解析の全体が不正確なものとなっている。厚肉部と薄肉部の両者を有する部品のプロセスをより包括的にシミュレートするため、3Dモデルを使用することが可能である。しかしながら、3Dモデルの計算の複雑さは、2.5Dモデルのそれよりもはるかに大であり、解析に必要とされる時間およびコンピュータ資源が多くなる。
さらに、3Dモデルを切り分けしなければならないというやり方が、薄肉部を有する部品のための3Dプロセス・モデルの効率を、さらに低下させている。例えば、成型による部品の典型的な薄肉部の厚さが約2mmであると考えられる一方で、この薄肉部の長さが数百ミリメートルにもなりうる。成型プロセスにおいて、通常は、おそらくはミリメートルあたり数百度にもなる大きな熱の勾配が、薄肉部の厚さを横断して存在する一方で、この部位の長さ(厚さに対して横方向)に沿った温度勾配は、きわめて小さいであろう。対照的に、一般に厚さ方向における圧力の勾配がきわめて小さい一方で、横方向における圧力勾配は、きわめて大きくなる。少なくとも2つの方向におけるこれら特性、すなわち厚さを横切る温度、および長さに沿った圧力の大きな変化が、正確なプロセス・シミュレーションのために多数の解法ノードを有する密なメッシュを必要とし、計算の複雑さを大きくしている。このように、精細な切り分けが必要とされるため、厚肉部および薄肉部の両者を含んでいる典型的な部品の正確な3Dシミュレーションに必要な時間は、1日またはそれ以上の長さにもなる可能性があり、かなりのコンピュータ資源を必要とするであろう。
ハイブリッド・シミュレーションは、所与の部品の比較的薄肉の領域について、簡略化した流れの方程式を解き、他の領域について、より複雑な流れの方程式を解く。ハイブリッド・シミュレーションは、完全な3Dモデルに関連する計算の複雑さを軽減しつつ、2.5Dモデルに関連するシミュレーションの正確さを向上させる。
ハイブリッド解法のスキームは、Yuらの「A Hybrid 3D/2D Finite Element Technique for Polymer Processing Operations」、Polymer Engineering and Science,第39巻、第1号、1999年に提案されている。ここで提案されている技法は、温度の変化を補償しておらず、したがって大部分の射出成型システムのように材料の特性が温度とともに変化する非等温の系については、正確な結果をもたらしていない。この技法の適用例には、前もって「2D」および「3D」の部位へと分割された比較的簡単なソリューション・ドメインが関連している。さらには、この技法を例示のものよりもさらに複雑な部品の解析にどのように適合させるのかについて、示唆は見受けられない。
Nakanoへと発行された米国特許第6,161,057号は、ソリューション・ドメインの厚肉部および薄肉部のプロセス変数を解く簡単なハイブリッド解法のスキームを提案している。この提案に係る技法は、ソリューション・ドメインの厚肉部および薄肉部の両者における圧力および流速を計算するため、簡略化の仮定を必要とする。例えば、この技法は、ソリューション・ドメインの厚肉部の流速を計算するため、下記の式(1)の使用を必要とし、
ここで、υx、υy、およびυzは、それぞれx、y、およびz方向における流速であり、Pは圧力であり、ξは流れのコンダクタンスであってNakanoの特許では流体の粘度の関数として定められる。式(1)の近似は、完全な3D解析よりもむしろ2.5Dのヘレ‐ショウ近似の同類であり、式(1)は、とくには厚肉部が部品のかなりの(重要な)部分を占めている場合に、厚肉部および/または複雑部を有する部品における流体流を適切に描写していない。
現在のモデル化方法は頑強でなく、関係する計算の複雑さに応じ、種々の用途における使用に合わせて調節されなければならない。モデル製作者は、モデル化すべきプロセスならびに製作および/または解析しようとする部品の形状にもとづいて、どのモデル化方法を使用するかを決定する。さらに、モデルの製作者は、シミュレート対象の特定の部品およびプロセスに応じて、ソリューション・ドメインをどのように要素へと分解するのかを決定しなければならない。これら所与の部品および/またはプロセスのためのモデルの選択および構築手順においてなされる決定が、モデルの出力の正確さを大きく左右する。モデルを種々の用途に合わせて調節する手順は、時間のかかるものであり、高度に熟練した専門家によるかなりのカスタム化を必要とすることが通常である。
製造プロセスのモデル化および製造される部品の構造解析の実行の方法であって、より正確であってより頑強であり、より高速であってよりコストが低い方法へのニーズが存在する。現在の方法は、熟練の専門家によるかなりの入力を必要としており、成型される部品および/またはプロセスにあわせてカスタム化されなければならない。
本発明は、CADシステムのデータを使用して、金型空洞および/または成型される部品についてハイブリッド・ソリューション・ドメインを自動的に定めるための装置および方法を提供する。さらに、本発明は、ハイブリッドの解析技法を使用して製造される部品の成型をシミュレートするための装置および方法を提供する。
本発明は、CADシステムの出力からソリューション・ドメインを決定するために熟練専門家の介在が必要であるという、現在のハイブリッド解析システムに固有の問題を克服する。本発明は、CADシステムの出力から熟練者の介在を必要とせずにハイブリッド・ソリューション・ドメインを定める自動かつ標準化された方法を提供する。さらに、本発明は、例えば温度の変化および/または複雑な流れの挙動を考慮することによって、従来の技法に対する改善をもたらすハイブリッド・プロセス解析技法を提供する。
本発明は、CADシステムの出力からソリューション・ドメインを決定するために熟練専門家の介在が必要であるという、現在のハイブリッド解析システムに固有の問題を克服する。本発明は、CADシステムの出力から熟練者の介在を必要とせずにハイブリッド・ソリューション・ドメインを定める自動かつ標準化された方法を提供する。さらに、本発明は、例えば温度の変化および/または複雑な流れの挙動を考慮することによって、従来の技法に対する改善をもたらすハイブリッド・プロセス解析技法を提供する。
金型空洞内の流体の流れのシミュレーションは、通常は、金型空洞または成型される部品の表現を必要とする。一態様において、本発明は、流体の流れをシミュレートするための方法であって、部品および/または金型空洞の表現を、少なくとも2つの部位‐‐簡略化された解析を実行できる部位と、より複雑な解析が要求される部位‐‐に自動的に分割する方法を提供する。したがって、この方法は、ハイブリッド解析の実行を含んでおり、すなわちより簡単な部位について簡略化された支配方程式の組を解き、複雑な部位についてより複雑な支配方程式の組を解く。これにより、金型または部品の形状が入り組んでいる場所についてのみ複雑な方程式の組を解けばよいため、シミュレーションの実行に必要とされる時間およびメモリの量を、精度を損なうことなく少なくすることができる。簡略化された解析は、2.5Dヘレ‐ショウ解析(Hele‐Shaw Analysis)、2D解析、1D解析、あるいは1つ以上の次元および/または他の変数について簡略化の仮定を行なうことができる他の任意の種類の解析であってよい。
一実施の形態において、本発明は、製造される部品または金型の形状の表現を、少なくとも2つの部位‐‐2.5D解析のための部位および3D解析のための部位‐‐に自動的に区分けする。例えば、本発明は、ハイブリッド解析のためのソリューション・ドメインを定めるため、製造される部品または金型の表面表現を使用でき、ドメインが1つ以上の2.5D解析部位および1つ以上の3D解析部位へと自動的に分割される。ドメインの2.5D解析部位が、それぞれ事実上不変または徐々に変化する厚さを有する一方で、3D解析部位は、一般により複雑な形状を有している。例えば、この方法では、製造される部品の薄肉部を2.5D解析の対象として特定し、それらを3D解析が実行されるより複雑な部位‐‐角、リブの基部、および表面の交点など‐‐から分離することができる。一実施の形態においては、さらにこの方法が、ソリューション・ドメインの2.5D解析部位および3D解析部位を自動的に切り分け、プロセス変数‐‐圧力、速度、および温度など‐‐の分布を時間の関数として解く。
本発明は、現在のハイブリッド・スキームよりも高い精度を有するシミュレーションを提供する。例えば、本発明の一実施の形態は、解析にエネルギー保存の式を取り入れることによって、温度を考慮する。さらに、本発明は、式(1)のように簡略化の仮定を必要とすることなく、解析スキームにおける質量および運動量の保存の式の正確な形式の解を可能にする。
本発明の方法は、必要な場所についてのみ完全な3D解析が行われるため、従来からの3D解法よりも高速であってコストが低いシミュレーションを提供する。例えば、一実施の形態においては、本発明は、例えばドメインのうちの薄くて平坦な部位など、ドメインの可能な限り多くをより簡潔な2.5Dのスキームで解析するが、精度への影響は無視できる。
本発明の方法は、従来からのシミュレーション技法と比べてより頑強であり、必要とする熟練技術者による入力も少ない。例えば、一実施の形態において、本発明は、単純なCADシステムの出力を使用してモデル化対象の部品または金型のサーフェイス・メッシュを決定し、次いでこのメッシュをサブサーフェイス・マッチング技法によって2.5D解析部位と3D解析部位とに自動的に分割し、これら2つの部位を自動的に切り分けてハイブリッド解析が実行されるソリューション・ドメインを形成する。この実施の形態が分割を自動的に実行するため、技術者は、ソリューション・ドメインをどのように2.5Dおよび3D解析部位に分割するかを決定する必要がない。CADシステムの出力に加え、本発明は、モデル化しようとする部品または金型の表面の表現を伝達する他のあらゆる種類のデータ・ファイルを使用できる。ドメインが部品または金型表面の実際の形状に結び付けられているため、本発明は、結果を部品の3D形状へと直接表示することができ、例えば中央面メッシュの生成を必要とするスキームに比べ、結果の解釈をユーザにとってより直感的にすることができる。
いくつかの場合には、自動的に分解されたソリューション・ドメインに対してユーザが制御を加えることができると有用である。例えば、所与の表面ドメインのハイブリッド・ソリューション・ドメインへの自動分解が、より簡単な解析(すなわち、2.5D解析)の実行が妥当であるかもしれないが、複雑な部位(すなわち、3D解析部位)の一部に分類される領域をもたらすかもしれない。例えば、ユーザが、設計の初期段階において、より正確な解析は後に実行することにして、解析速度を高めるために或る程度の精度の低下を許容してもよいと考えるかもしれない。他の例では、ユーザが、必要となる計算器時間と引き換えに、シミュレーションの精度を高めたいと望むかもしれない。したがって、本発明の一実施の形態は、ソリューション・ドメインの第1の部位または第2の部位に属するとして自動的に特徴付けられた所与の領域を、ユーザが手動で特徴付けなおすことができるようにする。
この方法は、追加または代案として、ユーザが、解析対象の体積の一部について、自動的な分解に先立ってソリューション・ドメインの第1の部位または第2の部位のいずれに属するかを手動で特徴付けることができる。これは、ユーザが、自身が体積の所与の領域について特定の種類の解析(2.5D、3D、など)を望むことを知っている場合に有用かもしれない。
本発明の特定の実施の形態についての説明が、ソリューション・ドメインの第1および第2の部位への分解を含んでいるが、ソリューション・ドメインを別の種類の解析が実行される第3、第4、第5、またはさらなる部位へとさらに分解することも、本発明の技術的範囲に含まれる。
このように、一態様において、本発明は、ユーザのもたらすCAD出力から表面の表現を定め、この表面の表現をサブサーフェイスを分析およびマッチングさせることによって2つ以上の部位へと分割し、これら2つ以上の部位を切り分け、さらに圧力、速度、および温度などの1つ以上のプロセス変数の分布を時間の関数として求める。モデル化されるプロセスは、例えば射出成型プロセスの注入段階(fillig phase)および/または充填段階(packing phase)であってよい。2つ以上の部位には、1つ以上の2.5D解析部位および1つ以上の3D解析部位が含まれうる。ソリューション・ドメインの2.5D解析部位は、くさび要素で切り分けることができ、ソリューション・ドメインの3D解析部位は、四面体要素で切り分けることができる。その開示の全体がここでの言及によって本明細書に組み込まれるYuらの米国特許第6,096,088号に説明されている種類の二重ドメイン要素を、2.5D解析部位においてくさび要素の代わりに使用することができる。3D解析部位においては、四面体要素の代わりに六面体要素を使用することができる。以上述べたものの代わりに、あるいは以上述べたものに加えて、他の種類の要素も使用可能である。さらに、2.5D解析および3D解析のいずれかまたは両者を、境界要素法(BEM)、自然要素法(NEM)、平滑粒子流体力学(smooth particle hydrodynamics)(SPH)、または他のメッシュ無しのスキームなど、有限要素法以外の技法を使用して実行することができる。
境界要素が、ソリューション・ドメインの簡略化解析部位と複雑解析部位との間の接続を提供する。一実施の形態においては、保存の式および連続の条件が、境界要素を使用して2.5D解析領域と3D解析領域との間の境界で行使される。境界要素は、ソリューション・ドメインの2種類の部位の間の境界におけるノードまたは表面の共直線の組である。一実施の形態においては、境界要素が線要素である。構造解析の場合において、本発明の実施の形態は、ソリューション・ドメインの2つの部位の間の界面において連続の条件を満足させ、かつ/または自由度をマッチさせるために境界要素を使用する。
本発明は、金型空洞内の流体の流れをシミュレートするための方法であって、金型空洞または成型される部品の表面表現を用意するステップと、この表面表現を少なくとも第1の部位および第2の部位へと自動的に区分けするステップと、前記第1および第2の部位に対応するソリューション・ドメインを定めるステップと、ソリューション・ドメインの両方の部位について1つ異常のプロセス変数を解いて求めるステップと、を有する方法を提供する。
一実施の形態においては、この方法の1つ以上のステップが、それらが熟練技術者からの入力をほとんどまたはまったく必要とせずにコンピュータによって実行されるという意味で、自動的に実行される。例えば、一実施の形態では、切り分け済みのハイブリッド・ソリューション・ドメインが、部品または金型空洞の表面についてのユーザによって用意された記述から、ユーザからの追加の入力を必要とすることなく自動的に生成される。他の例では、切り分け済みのハイブリッド・ソリューション・ドメインが、部品または金型空洞の表面についてのユーザによって用意された記述から生成されるが、ここでは、さらにユーザが、要素のアスペクト比、指定のエッジ長さ(SEL)、境界条件および/または初期条件などのプロセス・モデル入力に関する情報、ならびに/あるいはソリューション・ドメインがどのように使用されるのかについての他の情報を提供する(または、提供するよう促される)。たとえユーザが或る詳細指定をもたらすにせよ、ドメインの各部位への区分けおよびソリューション・ドメインの切り分けが、コンピュータによって実行される方法によって課される内部制約の対象であるため、ソリューション・ドメインの生成は依然として自動であるといえる。或るいくつかの実施の形態は、ユーザが入力するように促される1つ以上のモデル化の仕様について初期値を提供する。これらの初期値は、モデル化される特定の部品および/またはプロセスにもとづいても、もとづかなくてもよい。或るいくつかの実施の形態は、ユーザに、モデル化の仕様をユーザ自身で提供するか、モデル化の仕様について前もって定められた初期値を受け入れるか、さらに/またはモデル化の仕様についてモデル化対象の部品および/またはプロセスに関する情報にもとづいてコンピュータによって定められる値を使用するか、の選択肢を提示する。
他の態様において、本発明は、ハイブリッド・ソリューション・ドメインを自動的に定めるための方法であって、金型空洞または成型される部品の表面の表現をサブサーフェイスへと分割するステップと、サブサーフェイスの組を所与の組の2つのサブサーフェイスが事実上一定または徐々に変化する厚さで分離されている(ただし、或る1つの組を分離している厚さが、他の組の分離厚さと異なっていてもよい)ようにマッチさせるステップと、前記マッチしたサブサーフェイスによって少なくとも部分的に境界付けられる第1の部位、および1つ以上の前記マッチしなかったサブサーフェイスによって少なくとも部分的に境界付けられる第2の部位を有するハイブリッド・ソリューション・ドメインを定めるステップと、を含んでいる方法を提供する。一実施の形態においては、前記第1の部位が2.5D解析に適する一方で、前記第2の部位が正確な解のために3D解析を必要とする。この方法は、このハイブリッド・ソリューション・ドメインを使用して、射出成型などの成型プロセスをモデル化すること、または成型プラスチック部品の歪みなどの成型される物体の構造特性を割り出すこと、をさらに含むことができる。
さらに本発明は、金型空洞内の流体の流れをシミュレートするための装置、ならびにハイブリッド・ソリューション・ドメインを定めるための装置を提供する。それぞれの装置は、命令一式を定めるコードを保存するメモリ、および前記命令を実行して前記本発明の1つ以上の方法を実行するプロセッサを備えている。
表1は、本明細書にて使用される種々の記号を列挙しているが、これは読者の便利のために提供されるものである。表1の記入事項は、本明細書に記載する実施の形態の理解を制限するためのものではない。
本発明は、広くには、ハイブリッド・モデルを使用してプロセス・シミュレーションおよび構造解析を実行するための装置および方法に関する。ハイブリッド・モデルは、2.5D解析および3D解析の両者を、ソリューション・ドメインのそれぞれの部位において実行する。成型される部品の完全な三次元解析は、コンピュータのメモリおよびCPU時間の制約ゆえに不可能であることが多い。例えば、プラスチック製の部品または金型の空洞を完全な3D解析のためにメッシュに切り分けるため、32ビットのウィンドウズ(登録商標)・オペレーティング・システムを備えるパーソナル・コンピュータにて利用できるアドレス可能なメモリの上限を超える必要があることもしばしばである。コンピュータのメモリおよびCPU時間に対する要求は、繊維が充填される構成要素(部品)の解析、射出成型の解析、および高温にさらされたのちの射出成型部品の歪みの解析において、大きくなる。
したがって、一態様において、本発明は、部品または金型空洞の表現をサブサーフェイス・マッチング法によって2.5D解析部分と3D解析部分とに自動的に分割し、これら2つの部分をハイブリッド解析が実行されるソリューション・ドメインを形成すべく自動的に切り分ける装置および方法を提供する。多くの成型部品は、2.5D解析が適当である薄肉領域を含んでいるため、実行時間およびメモリの要件が、多くの用途において大幅に緩和される。
図1〜5は、射出成型プロセスのシミュレーションについて、本発明の実施の形態の適用によってもたらされる簡略化を説明する紹介用の実証を提供している。図1は、プラスチック部品または金型空洞の射出成型をシミュレートするためのソリューション・ドメイン100を描いており、従来の技法を使用して決定されている。図1のソリューション・ドメイン100は、完全な3D解析のために四面体要素を使用して切り分けされている。ドメインの全体が、シミュレーションが正確であるように充分小さな寸法とされた三次元の四面体要素で作られるため、全体の切り分けが複雑である。例えば、温度、圧力、および流体の粘度などのプロセス変数の値は、ドメインのうち形状が複雑な部位においてより大きく変化し、これらの領域において正確なシミュレーションのためにより細かい切り分けが必要とされる。密な切り分けに加え、図1のソリューション・ドメイン100を使用してプロセス変数の分布を求めるため、ドメイン全体にわたって完全な3D支配方程式を解かなければならない。
図1のソリューション・ドメイン100の或る部分は、それぞれに比較的一様な厚さを有している。これらの部位においては、完全な3D解析を行なう必要はない。例えば、本発明の方法は、部品または金型空洞の表面の表現をそれぞれの厚さが比較的一様である部分を有する部位へと自動的に分割でき、この部位を2.5D解析手法を使用してモデル化できる。図2は、図1の部品/金型空洞のソリューション・ドメインについて、2.5D解析手法を使用してモデル化できる部位200を示している。この2.5D解析部位200は、比較的一様な厚さをそれぞれ有する部分202、204、206、208、および210を含んでいる(或る部分の厚さが他の部分の厚さと異なっていてもよい)。2.5D解析部位は、6ノードのくさび形を使用して自動的に切り分けされる。あるいは、くさびの代わりにデュアル・ドメイン要素(dual domain element)を使用することができる。
部品/金型空洞についてのソリューション・ドメインの残りの部位は、3D解析に適した四面体要素などの3D要素を使用して自動的に切り分けされる。図3は、図1の部品/金型空洞のソリューション・ドメインについて、3D要素を使用して切り分けされる部位300を示している。この3D解析部位300は、部分302、304、306、308、310、および312を含んでいる。これらの部分は、部品/金型空洞のうち2つ以上の表面の交点にある部位、角にある部位、および厚さが急激に変化する他の位置にある部位を代表している。
図4は、図1の部品/金型空洞の射出成型をシミュレートするために使用されるハイブリッド・メッシュのソリューション・ドメイン400を描いている。ソリューション・ドメイン400は、図2に示した厚さが比較的一様な部分、ならびに図3に示した残りの部分を含んでいる。ハイブリッド・ソリューションのスキームは、ソリューション・ドメイン400の全体にわたり、圧力、速度、および温度などの1つ以上のプロセス変数の分布を、時間の関数として解く。このスキームは、くさび要素についての2.5D解析手法の使用、および四面体要素についての3D解析手法の使用を含んでいる。境界要素が、くさび要素と四面体要素との間の境界に位置し、そこでは保存の式および連続条件が適用される。
図5は、図1に例示の部品/金型空洞の射出成型について、或る特定の時刻における圧力分布を描いており、本発明の一実施の形態に従ってハイブリッド・ソリューション・ドメインを決定し、2.5D/3Dの組み合わせによる流れ解析を行なったものである。この場合において、図示の圧力分布500に対応する時刻は、射出成型の注入段階(filling phase)から充填段階(packing phase)への切り替わりである。ハイブリッド・ソリューション・ドメインを自動的に決定する方法、および2.5D/3Dの組み合わせによる流れ解析を実行するための方法を、以下でさらに詳しく説明する。
図6は、プロセス変数の分布を時間の関数として解くために使用されるハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメインを自動的に定めるためのシステムの構成要素を示した概略のフロー図600である。さらに、本発明の実施の形態は、必ずしもソリューション・ドメインをプロセス変数を解くために使用することなく、ハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメインを自動的に定めるシステムを含んでいる。このシステムは、全体のサーフェイス・メッシュを提供すべくCADシステムの出力を前処理するためのコンポーネント604、サーフェイス・メッシュの表面要素を分析するためのコンポーネント608、サーフェイス・メッシュの特徴エッジの位置を決定するためのコンポーネント612、サーフェイス・メッシュのサブサーフェイスを分類するためのコンポーネント616、サーフェイス・メッシュを再度メッシュに切り分けるためのコンポーネント620、サーフェイス・メッシュのサブサーフェイスをマッチングさせ、ソリューション・ドメインのうちで2.5D解析を実行できる部位を特定するためのコンポーネント624、ソリューション・ドメインの前記2.5D解析部位を切り分けるためのコンポーネント628、境界要素の位置を決定するためのコンポーネント632、ソリューション・ドメインの3D解析部位を切り分けるためのコンポーネント636、ならびにソリューション・ドメイン全体にわたり時間の関数としてプロセス変数についての解を得るため、初期条件、境界条件、およびプロセス入力を前提として支配方程式を解くためのコンポーネント642を含んでいる。
図6の前処理コンポーネント604は、例えばCADの出力602など、製造しようとする部品の形状の記述を入力として使用し、三次元の部品/金型空洞の表面についての表現606に変換する。入力は、任意の都合のよい形式での形状の記述であってよい。例えば、前処理コンポーネント604は、Initial Graphics Exchange Specification(IGES)形式(例えば、IGESのバージョン5.3、ならびにより最新およびより以前のバージョン)のCADシステム出力を使用することができる。他の例では、コンポーネント606が、Parasolids(登録商標)やACIS(登録商標)などの共通のジオメトリ・カーネルに関連付けられたCADシステム出力ファイルを使用する。さらに、コンポーネント604が、マサチューセッツ州NeedhamのParametric Technology Corporation社のPro‐Engineer(登録商標)やオハイオ州MilfordのStructural Dynamics Research Corporation社のI‐DEAS(登録商標)など、各社独自のジオメトリ・カーネルに関連付けられたCADシステム出力ファイルを使用してもよい。他に使用できるCADシステム出力の手段には、3D試作品の生成に使用されるステレオリソグラフィ(STL)形式のファイルが含まれる。この形式は、有限要素という意味では接続を有さない平坦な三角形で構成される。三次元の中実領域の外表面を覆うメッシュを記述する任意のファイル形式を、入力として使用することができる。再メッシュ器(以下で説明するが、図6のコンポーネント620を参照)が、後の処理のためにメッシュの質を高めるために使用される。
図6の前処理器604は、三次元の部品/構成要素/金型空洞の外表面を、例えば三角形の表面要素などのサーフェイス・メッシュでメッシュに分割する。このようなメッシュは、ジオメトリ・カーネルを使用してCADシステムから入手できることも多い。ステレオリソグラフィ形式のCAD出力については、一般に、妥当なアスペクト比を有する三角形の組を生み出すため、部品/構成要素/金型空洞の表面の表現を再度メッシュ化する必要がある。再メッシュの方法は図6のコンポーネント620に描かれており、以下でさらに詳しく説明する。代案として、前処理コンポーネント604によってもたらされる表面表現が、四角形の要素で構成されてもよい。他の二次元の要素も可能である。
ひとたび図6の前処理器604が三角形の表面要素からなるサーフェイス・メッシュを生成すると、表面要素分析器608が表面要素の特性を割り出し、後の使用のために保存する。表面要素の特性は、サーフェイス・メッシュをサブサーフェイスに分割するために使用され、次いでサブサーフェイスが、簡略化された解析(すなわち、2.5D解析)で充分であるソリューション・ドメインの第1の部位を判断するため、分類およびマッチングされる。図6の表面要素分析器608が、要素の特性、および表面要素のそれぞれに関連するノードの特性610を割り出す。例えば、表面要素分析器608は、表面要素のそれぞれについて、以下の要素特性を計算して保存する。
・面積
・要素の重心における法線
・要素のエッジの長さ
・要素の頂点における内角
・隣の要素(隣接する要素)
・隣接要素間の曲げ角度(隣接要素の法線間の角度)
・隣接要素間の曲げ曲率(隣接要素の曲げエッジおよびノードが位置する円柱表面の曲率)
図7Aおよび7Bは、図6の表面要素分析器608によって割り出される隣接要素間の曲げ角度の計算を示している。ここでは、図7Aの要素E1およびE2が、2つのサブサーフェイス704、706を区分している特徴エッジ708に沿って位置している。図7Bは、要素E1およびE2について、図7Aの矢印702の方向から見た断面図を示している。図7Bにおいて、隣接する要素E1およびE2の間の曲げ角度が、要素E1およびE2の法線の間の角度として示されている。
・面積
・要素の重心における法線
・要素のエッジの長さ
・要素の頂点における内角
・隣の要素(隣接する要素)
・隣接要素間の曲げ角度(隣接要素の法線間の角度)
・隣接要素間の曲げ曲率(隣接要素の曲げエッジおよびノードが位置する円柱表面の曲率)
図7Aおよび7Bは、図6の表面要素分析器608によって割り出される隣接要素間の曲げ角度の計算を示している。ここでは、図7Aの要素E1およびE2が、2つのサブサーフェイス704、706を区分している特徴エッジ708に沿って位置している。図7Bは、要素E1およびE2について、図7Aの矢印702の方向から見た断面図を示している。図7Bにおいて、隣接する要素E1およびE2の間の曲げ角度が、要素E1およびE2の法線の間の角度として示されている。
図8Aおよび8Bは、図6の表面要素分析器608によって割り出される隣接要素間の曲げ曲率(または、「要素曲率」)の計算を示している。図8Bは、要素E1およびE2について、図8Aの矢印702の方向から見た断面図を示している。図8Bの図800に示すとおり、要素E1に関する曲げ(要素)曲率は、エッジE1およびE2において1/R1に等しく、要素E2に関する曲げ(要素)曲率は、エッジE1およびE2において1/R2に等しい。曲げ曲率は、隣接要素の曲げエッジおよびノードが位置できる円柱表面の曲率である。
要素の特性に加え、図6の表面要素分析器608は、さらにサーフェイス・メッシュの各表面要素606に関するノード特性610を割り出す。一実施の形態においては、各表面要素について、以下のノード特性が計算されて保存される。
・当該ノードにおける最小曲率の寸法
・接続要素(当該ノードに接続されている要素の組)
・当該ノードに接続されているエッジの数
所与のノードにおける最小曲率は、当該所与のノードに付着するすべての要素のうちの最小の曲げ曲率である。
・当該ノードにおける最小曲率の寸法
・接続要素(当該ノードに接続されている要素の組)
・当該ノードに接続されているエッジの数
所与のノードにおける最小曲率は、当該所与のノードに付着するすべての要素のうちの最小の曲げ曲率である。
次いで、図6の特徴エッジ位置決め器612が、モデル化しようとしている3D部品/金型の特徴エッジの位置を割り出すため、上記のとおり計算された特性を使用する。特徴エッジは、部品/金型を眺める者が視覚的に確認できるエッジである。特徴エッジ位置決め器612は、サーフェイス・メッシュの特徴エッジに隣接する要素を特定する。一実施の形態においては、特徴エッジ位置決め器が、まずサーフェイス・メッシュの各要素を平面要素または「曲面」要素として分類することによって、特徴エッジを特定する。例えば、平面(三角形)要素は、(1)その3つの曲げ角度がゼロに等しいか、または所与の特徴エッジしきい値よりも大きく、あるいは(2)当該要素との間の曲げ角度がゼロであるような少なくとも1つの隣接する平面要素を有している。これ以外のすべての要素は、「曲面」要素に分類される(たとえ個々にはそれらが実際には平面であっても)。一実施の形態においては、図6の特徴エッジ位置決め器612が、以下の位置に特徴エッジを特定する。すなわち、(1)隣接する2つの要素間の曲げ角度が所与の特徴エッジしきい値(例えば、約40°〜約45°)よりも大きい場所、(2)平面要素と曲面要素との間のエッジの位置、および(3)例えば図8Bの図800に示されているように、曲げ(要素)曲率の方向に大きな変化が存在する位置、である。
ひとたび特徴エッジ位置決め器が特徴エッジの位置を特定すると、サーフェイス・メッシュのすべてのサブサーフェイスを区分けしている残りのエッジを特定するため、サブサーフェイスのさらなる組織化が行なわれる。図6のサブサーフェイス分類器616が、曲げ角度および曲げ曲率に従って要素をサブサーフェイスへとグループ化して、類似する曲げ曲率を有する隣接要素を一緒にグループ化するため、要素ごとのやり方で擬似繰り返しプロセスを実行する。曲率が大きいサブサーフェイスが、一般にソリューション・ドメインの3D解析部分の領域を境界付ける一方で、平面または曲率の小さいサブサーフェイスは、一般にソリューション・ドメインの2.5D解析部分の領域を境界付ける。サブサーフェイス分類器616によって実行される擬似繰り返しプロセスは、サーフェイス・メッシュの大きくて平坦なサブサーフェイス(シート)の位置を割り出すことによって出発する。一実施の形態においては、大きくて平坦なシートは、その要素の1つが、メッシュの幾何学的寸法、平均の関連厚さ、および要素の数にもとづくしきい値よりも大きな面積を有している平坦なシートである。ここで、要素の寸法は、妥当なアスペクト比にもとづく。大きくて平坦なシートを最初に特定することによって、サブサーフェイス分類器616は、大きな要素を曲面サブサーフェイスへとグループ化することがないようにする。大きくて平坦なシートが特定されたのち、隣接する平坦な要素が、平坦サーフェイス(シート)制約条件が満足される限りにおいて、この大きくて平坦なシートに加えられる。一実施の形態においては、平坦シート制約条件は以下のとおりである。
(1)シート内のエッジ曲げ角度(すなわち、図7Aおよび7Bに示すエッジに沿った要素体要素の曲げ角度の最大値)が、例えば約5°〜約15°に設定される許容値よりも小さく、かつ
(2)シートの各ノードが、平均の関連厚さ(以下を参照)の約0.05倍〜約0.1倍に設定される許容値を下回るオフ距離を有している。
(1)シート内のエッジ曲げ角度(すなわち、図7Aおよび7Bに示すエッジに沿った要素体要素の曲げ角度の最大値)が、例えば約5°〜約15°に設定される許容値よりも小さく、かつ
(2)シートの各ノードが、平均の関連厚さ(以下を参照)の約0.05倍〜約0.1倍に設定される許容値を下回るオフ距離を有している。
ここで、「オフ距離」は、ノードから「サブサーフェイスの平面」までの直交距離であり、サブサーフェイスの平面とは、サブサーフェイスの最大の要素によって定められる平面である。
サブサーフェイス分類器616における次のステップは、「他の」(大きくない)平坦なシートの特定である。一実施の形態においては、まだ大きくて平坦なシートの一部になっていないすべての平坦な(非「曲面」の)接続要素が、これら「他の」平坦なシートの1つを構成する。
サブサーフェイス分類器616における次のステップは、曲率の小さいサブサーフェイスの要素体要素による擬似的な繰り返しの分類であり、曲率の大きいサブサーフェイスへと続く。類似の曲率を有する隣接する「曲面」要素(上述のとおり定められる)が、個々の曲面シート(サブサーフェイス)へとグループ化される。隣接する「曲面」要素が現在の曲面サブサーフェイスに属するか否かを判断するため、擬似的な繰り返しのプロセスが、条件を適用することによって進められる。一実施の形態においては、隣り合う(隣接)要素が現在の曲面サブサーフェイスに属するか否かを判断するために使用される4つの条件が存在する。
(1)隣接の(候補)要素と現在のサブサーフェイスとの間の曲げ角度が約1°よりも小さい。
(2)隣接の要素の曲率が、しきい値よりも小さい(曲率の小さいサブサーフェイスに適用される)。例えば、曲率の小さいサブサーフェイスは、約(0.06/厚さ)以下の最大曲率を有さなければならず、ここで「厚さ」は、サブサーフェイスに関する平均厚さである(以下を参照)。
(3)現在のサブサーフェイスおよび隣接の要素の曲率が、約(0.5/厚さ)よりも大きく、ここで「厚さ」は、現在のサブサーフェイスに関する平均厚さである(曲率の大きいサブサーフェイスに適用される)。
(4)隣接の要素と現在のサブサーフェイスとの間の曲げ角度が、しきい値エッジ曲げ角度(例えば、約30°〜約45°の間から設定される)よりも小さく、隣接の要素の曲率が、現在のサブサーフェイスの最小曲率の約4倍よりも小さく、ここでサブサーフェイスの最小曲率とは、サブサーフェイスに属するすべての要素について最も小さい要素体要素の曲げ角度である。
(1)隣接の(候補)要素と現在のサブサーフェイスとの間の曲げ角度が約1°よりも小さい。
(2)隣接の要素の曲率が、しきい値よりも小さい(曲率の小さいサブサーフェイスに適用される)。例えば、曲率の小さいサブサーフェイスは、約(0.06/厚さ)以下の最大曲率を有さなければならず、ここで「厚さ」は、サブサーフェイスに関する平均厚さである(以下を参照)。
(3)現在のサブサーフェイスおよび隣接の要素の曲率が、約(0.5/厚さ)よりも大きく、ここで「厚さ」は、現在のサブサーフェイスに関する平均厚さである(曲率の大きいサブサーフェイスに適用される)。
(4)隣接の要素と現在のサブサーフェイスとの間の曲げ角度が、しきい値エッジ曲げ角度(例えば、約30°〜約45°の間から設定される)よりも小さく、隣接の要素の曲率が、現在のサブサーフェイスの最小曲率の約4倍よりも小さく、ここでサブサーフェイスの最小曲率とは、サブサーフェイスに属するすべての要素について最も小さい要素体要素の曲げ角度である。
サブサーフェイス分類器616における次のステップは、残りのすべての要素を平坦なサブサーフェイスにグループ化することである。次いで、サブサーフェイス分類器616は、サブサーフェイスを区分けしている最終的なエッジを特定し、各エッジについて以下の特性を計算して保存する。
・長さ
・曲げ角度
・曲げの方向(内または外)
・隣接する要素
次に、サブサーフェイス分類器616は、サーフェイス・ループを特定する。サーフェイス・ループは、サブサーフェイスの方向付けられたエッジである。例えば、穴が切り込まれてなる矩形の表面は、関係する2つのループを有し、一方が矩形の外縁エッジであって、一方が内部の穴を記述している。サブサーフェイス分類器616は、以下のループ特性を計算して保存する。
・長さ
・ループへと接続されたエッジ
最後に、サブサーフェイス分類器616は、各サブサーフェイスについて以下の特性を計算して保存する。
・周囲の長さ
・面積
・サブサーフェイス内のノード
・サブサーフェイス内の要素
・エッジ
・ループ
・サブサーフェイスに関する曲率の最小指標
ここで説明するとおり、サブサーフェイスの曲率は、サブサーフェイスの曲率がサブサーフェイスに属する要素エッジ曲率の最小、最大、平均、および/または範囲によって特徴付けられる点で、要素の曲率と異なっている。
・長さ
・曲げ角度
・曲げの方向(内または外)
・隣接する要素
次に、サブサーフェイス分類器616は、サーフェイス・ループを特定する。サーフェイス・ループは、サブサーフェイスの方向付けられたエッジである。例えば、穴が切り込まれてなる矩形の表面は、関係する2つのループを有し、一方が矩形の外縁エッジであって、一方が内部の穴を記述している。サブサーフェイス分類器616は、以下のループ特性を計算して保存する。
・長さ
・ループへと接続されたエッジ
最後に、サブサーフェイス分類器616は、各サブサーフェイスについて以下の特性を計算して保存する。
・周囲の長さ
・面積
・サブサーフェイス内のノード
・サブサーフェイス内の要素
・エッジ
・ループ
・サブサーフェイスに関する曲率の最小指標
ここで説明するとおり、サブサーフェイスの曲率は、サブサーフェイスの曲率がサブサーフェイスに属する要素エッジ曲率の最小、最大、平均、および/または範囲によって特徴付けられる点で、要素の曲率と異なっている。
ひとたびサブサーフェイスが分類されると、各サブサーフェイスに関するメッシュが、数値解析の目的のためにメッシュの質および効率を最適化するため、所与の条件に従って精緻化され、あるいは粗くされる。例えば、図6の再メッシュ器620が、指定エッジ長さ(SEL)のユーザ定義の値に従って、所与のサブサーフェイスのメッシュを粗くし、あるいは精緻化する。SELの値が大きくなると、再メッシュによるメッシュが粗くなり、反対にSELの値が小さくなると、再メッシュによるメッシュは精緻になる。一実施の形態においては、SELの初期値が、モデルの複雑さにもとづいて計算される。ユーザは、内部制約を前提とし、精度と解析速度とのトレードオフにおいてSELの値を増減させることができる。一実施の形態においては、再メッシュされたノードについて、それらの元のメッシュにおける位置までの最大オフ距離が所与のしきい値(例えば、SELの約1%〜約5%)を下回り、最大曲げ角度が所与のしきい値(例えば、約15°〜約30°の値)を下回るよう、許されるSELの値に内部制約が課される。
一実施の形態においては、図6の再メッシュ器620が、以下の手順を実行する。
(1)サーフェイス・メッシュのすべてのサブサーフェイスがサブサーフェイス分類器616によって分類されたのち、サブサーフェイスの境界(エッジ)が再メッシュされる。ここで、各シートのループは、ループを定めているエッジの現在の組についてノードを挿入および/または合併させることによって、長さ(SEL)へと分割される。
(2)SELについての内部制約に従って、エッジ・ノードの合併において制約が適用される。これらの制約は、ループが初期の形状から大きくずれることがないようにする。例えば、
(a)曲げ角度の制約が適用され、ループが指定の曲げ角度よりもさらに曲げられる場合、ループの当該部位は、エッジ長さ条件の対象ではなく(エッジ・ノードをSELに従って合併させるべきでない)、
(b)コード高さの制約が適用され、短いエッジ・ノード(SELよりも短いエッジ状のノード)の隣接ノードに対するコード高さが指定の長さよりも大きい場合、エッジ長さ条件の対象ではなく(エッジ・ノードをSELに従って合併させるべきでない)。
(3)再メッシュしようとするサブサーフェイスのメッシュに、SELが適用される。例えば、反復の「二分および合併アルゴリズム」が以下のとおり実行される。
(a)サブサーフェイス内の最長の要素から出発し、要素の最長のエッジがSELよりも大幅に大きい場合(例えば、エッジがSELの約1.5倍よりも大きい場合)に、当該要素を二分することによってノードを挿入する。
(b)SELよりも大幅に短い要素エッジ(例えば、SELの約0.5倍よりも小さいエッジ)を探し、これらのノードを一体に合併させる。
(c)すべての要素エッジ長さがSELの付近の範囲に位置するまで繰り返す。
(1)サーフェイス・メッシュのすべてのサブサーフェイスがサブサーフェイス分類器616によって分類されたのち、サブサーフェイスの境界(エッジ)が再メッシュされる。ここで、各シートのループは、ループを定めているエッジの現在の組についてノードを挿入および/または合併させることによって、長さ(SEL)へと分割される。
(2)SELについての内部制約に従って、エッジ・ノードの合併において制約が適用される。これらの制約は、ループが初期の形状から大きくずれることがないようにする。例えば、
(a)曲げ角度の制約が適用され、ループが指定の曲げ角度よりもさらに曲げられる場合、ループの当該部位は、エッジ長さ条件の対象ではなく(エッジ・ノードをSELに従って合併させるべきでない)、
(b)コード高さの制約が適用され、短いエッジ・ノード(SELよりも短いエッジ状のノード)の隣接ノードに対するコード高さが指定の長さよりも大きい場合、エッジ長さ条件の対象ではなく(エッジ・ノードをSELに従って合併させるべきでない)。
(3)再メッシュしようとするサブサーフェイスのメッシュに、SELが適用される。例えば、反復の「二分および合併アルゴリズム」が以下のとおり実行される。
(a)サブサーフェイス内の最長の要素から出発し、要素の最長のエッジがSELよりも大幅に大きい場合(例えば、エッジがSELの約1.5倍よりも大きい場合)に、当該要素を二分することによってノードを挿入する。
(b)SELよりも大幅に短い要素エッジ(例えば、SELの約0.5倍よりも小さいエッジ)を探し、これらのノードを一体に合併させる。
(c)すべての要素エッジ長さがSELの付近の範囲に位置するまで繰り返す。
図9は、上記項目(2)における「曲げ角度制約」および「コード高さ」制約の適用を示している。新しい要素906を形成すべくループ上の元のノード902を合併することによってメッシュを粗くする際にSELを適用するため、コード高さ908は、所与のしきい値よりも小さくなければならず、曲げ角度は、所与のしきい値よりも小さくなければならない。図9には、元々の7つの要素904が示されており、これらが曲げ角度の制約およびコード高さの制約を前提とし、SELの値に従った合併を受けて、新しい2つの要素906によって置き換えられている。
メッシュの変更操作のすべてにおいて、プロセスの任意の時点においてノードの周囲のアスペクト比を最適化するため、要素ノードのつながりを変更できる点に注意すべきである。これは局所最適化操作であり、ノードの周囲をメッシュ化するための1つ以上の「ルール」として定めることができる。これは、図6に示したシステムの或るコンポーネントを反復性および/または循環的にする、
図10は、上記項目(3)の「二分および合併」アルゴリズム、または局所最適化操作など、再メッシュ手順の一連の段階におけるサブサーフェイス1002への追加の要素の形成を示した概略1000である。この場合には、サブサーフェイスのメッシュが、サブサーフェイス上の要素の最長の辺を二分して追加の要素を生じさせることによって、さらに精緻化される。例えば、メッシュ1002が初期のメッシュである。このメッシュが、要素の最長の辺の中点にノードを定め、この中点に未だ接続されていない1つ以上の頂点へと線を延ばし、これによって1つ以上の追加の三角形を生じさせることによって精緻化される。これが、図10において、連続するメッシュ1004、1006、1008、1010、および1012によって示されている。メッシュ1004、1006、1008、1010、および1012において、最長の辺の中点(「o」で示されている)およびこの点から延びる破線が、新しい要素を定めている。再メッシュは、各要素が寸法についての1つ以上の条件(すなわち、SELによって与えられる)を満足するまで続けられる。例えば、図11は、再メッシュの手順に使用される初期のステレオリソグラフィ表面表現1100を示している。図12は、上述の二分アルゴリズムを使用して再メッシュ化(1200)したのちの図11の表面表現を示している。
図10は、上記項目(3)の「二分および合併」アルゴリズム、または局所最適化操作など、再メッシュ手順の一連の段階におけるサブサーフェイス1002への追加の要素の形成を示した概略1000である。この場合には、サブサーフェイスのメッシュが、サブサーフェイス上の要素の最長の辺を二分して追加の要素を生じさせることによって、さらに精緻化される。例えば、メッシュ1002が初期のメッシュである。このメッシュが、要素の最長の辺の中点にノードを定め、この中点に未だ接続されていない1つ以上の頂点へと線を延ばし、これによって1つ以上の追加の三角形を生じさせることによって精緻化される。これが、図10において、連続するメッシュ1004、1006、1008、1010、および1012によって示されている。メッシュ1004、1006、1008、1010、および1012において、最長の辺の中点(「o」で示されている)およびこの点から延びる破線が、新しい要素を定めている。再メッシュは、各要素が寸法についての1つ以上の条件(すなわち、SELによって与えられる)を満足するまで続けられる。例えば、図11は、再メッシュの手順に使用される初期のステレオリソグラフィ表面表現1100を示している。図12は、上述の二分アルゴリズムを使用して再メッシュ化(1200)したのちの図11の表面表現を示している。
サブサーフェイスを再メッシュ化したのち、図6のサブサーフェイス・マッチング器624が、どのサブサーフェイスが「マッチしたサブサーフェイス」であるかを判断し、残りのサブサーフェイスはそれぞれ、「マッチしないサブサーフェイス」または「エッジ・サブサーフェイス」に分類される。マッチしたサブサーフェイスは、後にくさび要素で接続され、ソリューション・ドメインの第1の部位、すなわち2.5D解析を正確に実行できる部位を形成する。
マッチしたサブサーフェイスとは、互いの間の厚さの概念を賢明に定めることができるように他方の表面と関連するサブサーフェイスである。マッチしたサブサーフェイス間の厚さは、事実上不変であるか、あるいは徐々に変化する。例えば、図13は、T字の物体(フィレット付きリブ)の断面1300を描いており、全体表面の表示のマッチする個々のサブサーフェイスを示している。断面1300において、線セグメントab、cd、およびghは、エッジ・サブサーフェイスにある。線セグメントajおよびedは、bcにマッチしている。線セグメントfgは、hiにマッチしている。屈曲セクションijおよびefは、マッチしていない。マッチしていないサブサーフェイスijおよびefの厚さを賢明に定めることはできない。
図14は、サブサーフェイスのマッチングの考え方をさらに説明している。図14は、フィレット付きリブの断面1400を示している。ここで、線セグメントab、cd、およびghは、エッジ・サブサーフェイス上にある。線セグメントajおよびedは、bcとマッチしている。線セグメントfgおよびhiは、マッチしている。屈曲セクションijおよびefは、マッチしていない。線セグメントfgおよびhiが、先細りにもかかわらず、依然としてマッチしていると考えられることに注意すべきである。しかしながら、先細りが極端な場合には、先細りのリブを形成している表面はマッチしないであろう。
マッチしたサブサーフェイスは、マッチした要素を含んでいるサブサーフェイスである。マッチングは、マッチする可能性があるすべての要素が検討されるまで、要素対要素およびサブサーフェイス対サブサーフェイスで実行される。一実施の形態においては、図6のサブサーフェイス・マッチング器624が、2つの三角形要素がマッチするか否かを判断するため、条件を適用する。一実施の形態においては、これらの2つの条件が、(1)「三角マッチ角度(Triangle Match Angle)」(TMA)が所与の値(例えば、約30°〜約45°)よりも小さいか否か、および(2)「三角マッチ距離(Triangle Match Distance)」(TMD)が、メッシュ平均厚さ、マッチング・サブサーフェイスの平均幅、およびマッチング・サブサーフェイスの境界の特徴にもとづく所与の値よりも小さいか否か、である。サブサーフェイスの境界の特徴は、全エッジ長さに対する消費エッジ長さ(expending edge length)の比である。TMAおよびTMDの決定が、図15の図1500に示されている。TMAを決定するため、まずマッチされる三角形(図15の三角形A)の重心を見つける。次いで、この重心をこの重心の法線に沿って投影し、モデル(表面表現)の反対側のサブサーフェイス上の三角形との交点を見つける。ここでは、これが図15の三角形B上の「投影点」である。次いで、TMAが図15に示すとおり計算される。三角マッチ距離TMDは、図15に示すとおり、TMAの計算において使用された投影の直交距離である。
図6のサブサーフェイス・マッチング器624は、マッチしていないサブサーフェイスのうちのどれがエッジ・サブサーフェイスであるかを特定し、以下のサブサーフェイス特性を割り当てるため、「押し潰し(collapse)」手順を使用する。サブサーフェイス特性は、(1)どのように押し潰されたかを示すシート(サブサーフェイス)の種類(プライマリ/セカンダリまたはエッジ)、(2)各ノードの「移動距離」、および(3)各ノードの「移動ベクトル」、である。
図16A〜16Cは、一例としての押し潰し手順における各ステップを示している。図16Aおよび16Bの図1600に示すように、マッチしたサブサーフェイス1602および1604が、最終的な押し潰し状態1608へと一体に「押し潰し」される。押し潰し方向は、先のメッシュ・ステップからのマッチング情報、ならびに面積、固有寸法、および境界の特徴を含むサブサーフェイス特性を使用して確立される。「プライマリ・シート」は、最初に動かされるべく選択されるサブサーフェイスである。プライマリ・シート上のノードの移動距離が、シートの平均マッチング距離をもたらす。セカンダリ・シート上のノードの移動距離は、当該ノードから対向するプライマリ・シートまでの距離から、プライマリ・シート移動距離を減算したものである。押し潰し後、図16Aにおけるプライマリ・シート1602およびセカンダリ・シート1604の両者のノードは、中央面1608へと移動している。マッチしていないシート(サブサーフェイス)(図16Cの1642、1644)は、押し潰しプロセスにおいて移動しない。マッチングしていないシートであって、その面積がプライマリおよびセカンダリ・シートが中央面へと押し潰されたのちに当初の大きさの約20%以下へと縮むシートが、「エッジ・サーフェイス」であると考えられる。図16のサブサーフェイス1642および1644は、それらの面積が図16に示した例においてゼロ(または、ほぼゼロ)へと縮むため、エッジ・サブサーフェイスである。押し潰し手順が、エッジ・サーフェイスを特定し、サブサーフェイス特性を割り当てるために使用されていることに注意すべきである。押しつぶし手順は、メッシュを中央面表現へと集約するために使用されているのではない。メッシュは、図16Cの図1640に示すように、元々のノード位置へと「再び膨張」させられる。
サブサーフェイスをカテゴリー分けしたのち、図6のサブサーフェイス・マッチング器624は、サブサーフェイスに厚さを割り当てる。これらの厚さは、例えば、ソリューション・ドメインの第1の部位についての2.5D流れ解析の実行(すなわち、ヘレ‐ショウ近似の使用)において使用される。サブサーフェイス・マッチング器624は、マッチしたサブサーフェイス上の要素に、サブサーフェイス間の平均距離に等しい厚さを割り当てる。エッジ・サブサーフェイス上の要素には、それらが接続されているマッチしたサブサーフェイスの厚さが割り当てられる。マッチしていないサブサーフェイス上の要素には、マッチしたサブサーフェイス上の周囲の要素の平均厚さが割り当てられる。いくつかの実施の形態においては、或る用途において流れ解析の実行に厚さが不要であるため、エッジ・サブサーフェイスおよび/またはマッチしていないサブサーフェイスに厚さが割り当てられない。
サブサーフェイス・マッチング器624は、モデルのサブサーフェイスのそれぞれを、マッチしたサブサーフェイス、マッチしていないサブサーフェイス、およびエッジ・サブサーフェイスにカテゴリー分けし、マッチしたサブサーフェイス間に、ソリューション・ドメインの2.5D解析可能部位を定める対にされた要素の組を割り出す(2.5D解析部位は、1つ以上の非隣接の領域であってよい)。2.5D可能領域が特定されたのち、ソリューション・ドメインの2.5D解析部位を構成する最終の2.5D領域が、(1)エッジ曲げ角度が所与の値(例えば、約30°)よりも大きいサーフェイス・エッジへとつながっており、(2)エッジ・サーフェイスに属さないマッチしていない要素へとつながっており、さらに/または(3)2.5D領域の小さなパッチを形成しているすべての対の要素を取り除くことによって決定される。残りの対の要素は、ソリューション・ドメインの2.5D解析部位(第1の部位)を定めて(境界付けて)おり、残りの要素は、ソリューション・ドメインの3D解析部位(第2の部位)を定めて(境界付けて)いる。
ソリューション・ドメインが2.5D解析部位と3D解析部位とに分割されたのち、これらの部位が、マッチしたサブサーフェイス要素、マッチしていないサブサーフェイス要素、およびエッジ・サブサーフェイス要素を使用して区分けされる。一実施の形態においては、2.5D解析部位の要素の対が、6ノードのくさび要素へと変換され、残るサブサーフェイス要素が、四面体要素でメッシュ化される3D解析領域を形成するため、三角形要素で密集させられる。
図6のソリューション・ドメイン第1部位切り分け器628が、2.5D解析部位(第1の部位)を定めているマッチした要素の対を、6ノードのくさび要素に変換する(くさび要素のそれぞれが、自身の6つの角のそれぞれにノードを1つ有する)。計算が、格子点のそれぞれにおいて実行される。くさび要素を定めている6つのノードは、すべて異なる圧力を有してもよく、くさびの厚さを通るソリューション格子点が、精度の向上をもたらすことができる。しかしながら、流れが二次元の流れに近付く薄肉の領域においては、くさびの上側の3つのノードの圧力が、それぞれ対応するくさびの下側の3つのノードの圧力とほぼ同じであり、例えば格子点は必要なく、あるいはただ1つ、2つ、または3つの格子点が必要とされる。一例では、要素の厚さに沿って使用される格子点の数が、約3〜約40の範囲にある。他の実施の形態においては、要素の厚さに沿って使用される格子点の数が、約8〜約20の範囲にある。格子点の数が少ないと、より高速な解析がもたらされ、これは製品開発の初期における設計の繰り返しにより適しているかもしれない。それぞれのくさび要素について、モデルに所望される制度に応じ、要素の厚さを通って任意の数の格子点が存在できる。いくつかの実施の形態においては、要素ノード間にソリューション格子点が存在せず、各要素の6つのノードにおいてのみ解が得られる。格子点の追加によって、各くさびは、不連続に積層された要素である。他の実施の形態においては、各くさびが、連続的に積層された要素である。
図6の境界要素位置決め器632が、ソリューション・ドメインの第1の部位(うなわち、2.5D解析部位)と第2の部位(すなわち、3D解析部位)との間の境界に沿って境界要素を定義する。境界要素位置決め器632は、例えば結び付けられる第1の部位および第2の部位の要素の種類に応じて、以下の種類の境界要素の1つ以上を使用する。
・1D解析要素の端部の中央ノードと、1D解析要素の端部に接する3D解析領域要素に属する周囲の複数のノードとを有するディスク状の要素
・2.5D解析要素(すなわち、くさび)と3D解析要素(すなわち、四面体)とを接続する線状の要素
・2.5D解析要素(3D解析要素につながっていても、つながっていなくてもよい)に属する4つの角ノードと、当該2.5D解析要素上かつ内側に位置する任意の数の3D解析要素ノードとを有する矩形の要素
・2.5D解析要素(3D解析要素につながっていても、つながっていなくてもよい)に属する3つの角ノードと、当該2.5D解析要素上かつ内側に位置する任意の数の3D解析要素ノードとを有する三角形の要素
代案として、境界要素位置決め器632が、上記に列挙したものと異なる種類の要素を使用してもよい。
・1D解析要素の端部の中央ノードと、1D解析要素の端部に接する3D解析領域要素に属する周囲の複数のノードとを有するディスク状の要素
・2.5D解析要素(すなわち、くさび)と3D解析要素(すなわち、四面体)とを接続する線状の要素
・2.5D解析要素(3D解析要素につながっていても、つながっていなくてもよい)に属する4つの角ノードと、当該2.5D解析要素上かつ内側に位置する任意の数の3D解析要素ノードとを有する矩形の要素
・2.5D解析要素(3D解析要素につながっていても、つながっていなくてもよい)に属する3つの角ノードと、当該2.5D解析要素上かつ内側に位置する任意の数の3D解析要素ノードとを有する三角形の要素
代案として、境界要素位置決め器632が、上記に列挙したものと異なる種類の要素を使用してもよい。
ソリューション・ドメインの第1の部位がくさび要素からなる実施の形態においては、2.5D解析部位が、各くさびの角のノードおよび中間の1つ以上の格子点ノードを使用することによってくさび要素でメッシュ化された後で、線要素の組が、2.5D解析部位と3D解析部位との境界に沿って生成される。使用される格子点の数は、約3〜約40であってよい。一般には、格子点の数は、約8〜約20の範囲にある。あるいは、これらの範囲によって示されるよりも少ない(0、1、または2)あるいは多くの(40を超える)格子点が使用される。
境界要素位置決め器632は、ソリューション・ドメインの3D解析部位(第2の部位)を閉じるための三角形の要素を作るため、境界要素のすべてのノードを使用する。2.5D解析部位(第1の部位)の開いたエッジにおいて、格子点およびくさびを構成しているノードが、第1および第2の部位が確実に接続されるよう、サーフェイス・メッシュで区分けされる。例えば、前記分類および区分けの手順を平坦で薄い正方形のプレートに適用するとき、2.5D解析くさびでメッシュ化される領域(ソリューション・ドメインの第1の部位)が、プレートのすべてのエッジの内側に定められる。次いで、くさびとプレートの外縁エッジとの間の領域が、3D解析四面体要素でメッシュ化される。このメッシュが、プレートのエッジにおける熱損失の正確な計算を可能にする。しかしながら、薄肉の領域については、熱損失が最小であって無視しうる。したがって、一例において本発明は、必要とされる四面体要素の数を少なくするため、モデルの自由エッジにくさび要素を自動的に配置する。
境界要素が位置決めされ、前記閉じるステップが実行されたのち、図6のソリューション・ドメイン第2部位切り分け器636が、3D解析部位を三次元の要素で切り分ける。三次元の要素は、四面体要素、六面体要素、またはこの2つの何らかの組み合わせであってよい。しかしながら、任意の種類の多面体要素または多面体要素の任意の組み合わせを、使用することも可能である。
他の実施の形態においては、ソリューション・ドメインの第1の部位を切り分けるステップ、および第2の部位を切り分けるステップ、ならびに境界要素を生成するステップが、上記のものと異なる順序にされる。例えば、図6のシステムのコンポーネント628、632、および636が、図6に示すのと異なる順序で動作できる。例えば、図6のシステムのこれら3つのコンポーネントの相対的な並びは、(1)628、632、636、(2)628、636、632、(3)632、628、636、(4)632、636、638、(5)636、628、632、および(6)636、632、628のいずれかであってよい。
図17は、本発明の一実施の形態によってCAD出力から自動的に生成され、2.5D解析部位と3D解析部位とを境界要素で区分けして有しているハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメイン1700の一例を描いている。2.5D解析部位は、くさび要素で切り分けされた領域1702、1704、1706(明るい色で示されている)で構成されている。くさび要素は、モデルのマッチしたサブサーフェイスを接続している。3D解析部位1708(暗い色で示されている)は、四面体要素で切り分けされている。直線境界要素が、2.5D解析部位および3D解析部位の境界に沿って位置しており、1710および1712におけるものなど、太い線セグメントとして示されている。図18は、図17のハイブリッド・ソリューション・ドメインの境界要素(例えば、1710、1712、1802、1804、1806、1808、1810)および四面体要素(1708)の拡大図1800を描いている。
図6のシステム600の方程式ソルバー642が、ソリューション・ドメインの第1および第2の部位における1つ以上のプロセス変数(圧力、温度、流速、応力、粘度、および流体の流頭)の分布を、時間の関数として解く。支配方程式は、質量、運動量、およびエネルギーの平衡を含んでおり、モデル化されたプロセス、初期条件、および境界条件を記述するプロセス入力640を前提条件にして、ソリューション・ドメインのそれぞれの部位について同時に解かれる。方程式ソルバー642によって実行される解法の手順の例を、ソリューション・ドメインの2.5D解析部位、ソリューション・ドメインの3D解析部位、および境界要素について、以下に示す。
ソリューション・ドメインの2.5D解析部位は、くさび要素を使用して切り分けることができ、くさび要素は、それらの厚さに沿って格子点を有しており、あるいは有していない。レイノルズ数の小さい流体流が、ソリューション・ドメインの2.5D解析部位(第1の部位)を構成している領域など、狭い領域への流体の注入においては典型的である。一実施の形態においては、2.5D解析部位における小さいレイノルズ数の流れのプロセス・シミュレーションのため、一般的なヘレ‐ショウ近似が使用される。支配方程式は、運動量、エネルギー、および質量(連続)の保存の方程式を含んでおり、ソリューション・ドメインの2.5D解析部位において適用される。2.5D解析部位のための支配方程式を、以下のとおり式(2)〜(4)に示し、
ここで、式(2)はデカルト座標(zは厚さ方向である)における運動量保存の方程式を表わしており、式(3)はエネルギー保存の方程式を表わしており、式(4)は連続(質量保存)の式を表わしている。一実施の形態においては、式(2)〜(4)が、以下の式(5)および(6)に示す境界条件を前提にして、2.5D解析部位の各領域において解かれ、
ここで、TWは金型の壁の温度であり、金型の壁はz=hおよびz=−hに位置しており、hは2.5D解析部位の所与の領域に係る壁の半分の厚さである。xおよびy方向における熱の伝導は無視でき、スラブの形成を温度プロファイルおよび粘度プロファイル(粘度は、温度に強く相関しうる)の計算を容易にするために使用することができる。他の実施の形態においては、この簡略化が行なわれない。有限差分法を、対流が上流(up‐winding)スキームにもとづいている2.5D解析部位のエネルギー平衡の解のために使用できる。上流スキームの例は、本件出願と所有者が同じである2003年11月19日発行の欧州特許第1218163号、および米国特許出願第09/404,932号に記載されており、これらの開示は、その全体がここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。
式(2)(運動量の平衡)と式(4)(連続の式)を組み合わせることによって、図6の方程式ソルバー642は、ガレルキン重み付き残差法(Galerkin weighted residual approach)を使用して、ソリューション・ドメインの2.5D解析部位の圧力流体のための有限要素方程式を導出する。式の右辺に集中質量を表現することによって、式(7)が得られ、
ここで、Seは要素の流れコンダクタンスであって、式(8)で定められ、
ここで、Ae Tは要素の上面の面積であって、Ae Bは要素の下面の面積である。一般に、非対称な温度プロファイルが、非対称な粘度プロファイルをもたらす。この場合、スラブ・チャネルにおける流れコンダクタンスは、式(9)で表わすことができ、
ここで、z=−hからz=hまで積分が評価される。
このようにして、例えば温度、圧力、流速、流体の流頭位置、内部エネルギー、密度、流動度、粘度、およびこれらの勾配などの任意のプロセス変数について、2.5D解析部位の全体にわたる分布を、時間の関数として得ることができる。
他の実施の形態においては、プロセス変数のソリューション・ドメインの2.5D解析部位の全体にわたる分布を、ここでの言及によってその全体が本明細書に組み込まれたものとするYuらの米国特許第6,096,088号の方法を使用し、マッチするサブサーフェイスに沿った流頭が同期されるようにして割り出される。ソリューション・ドメインの2.5D解析部位にこの解法を使用する実施の形態においては、境界要素の形状が平坦であって、2.5D解析部位と3D解析部位との間に位置している。
ソリューション・ドメインの3D解析部位は、三次元の四面体要素で切り分けされるが、他の形状も使用可能である。3D解析は、ナビエ‐ストークスの式、または慣性および重力が無視された簡略化したストークスの式の解法を含むことができる。慣性および重力などの体積力は、通常は、粘度が高くレイノルズ数が小さい射出成型においては無視することができるが、この簡略化が必ずしも必要というわけではない。
3D解析部位について解かれる支配方程式は、運動量、エネルギー、および質量(連続)の保存の方程式を含んでいる。一実施の形態においては、一般化した運動量の方程式が式(10)のとおり表現される。
体積力が無視できると仮定すると、この運動量の式は、ストークスの式(11)によって表現される。
デカルト座標において、このストークスの式は、式(12)のように表現される。
3D解析部位についての連続(質量保存)の式は、式(13)のとおり表現される。
射出成型プロセスのモデル化においては、式(14)に示す以下の境界条件が適用でき、
ここで、∂Ωは金型/プラスチックの界面である。ソリューション・ドメインの3D解析部位の線形四面体について、方程式ソルバー642は、重み付け関数として要素の補間関数を使用する。次いで、バブノフ‐ガレルキン法(Bubnov‐Galerkin法)を適用し、残差方程式(15)〜(22)が得られる。
四面体要素において速度および圧力の両者を近似するために線形補間関数を使用し、式(23)の要素剛性マトリクスがもたらされる。
修正無しの場合、この系は“inf‐sup”条件すなわちバブスカ‐ブレッツィの安定条件(Babuska‐Brezzi stability condition)を満足せず、不良設定かもしれない。メッシュの大きさにかかわらず、偽の圧力モードが圧力の解に深刻な変動を生じさせ、速度の解がロックするかもしれない。したがって、方程式ソルバーは、系を安定させるために「ミニ(Mini)」要素の形成を使用する。ミニ要素の形成においては、速度試行関数の濃縮空間が、線形試行空間および気泡関数の空間から式(24)に示すように構成され、
ここで、
は要素の通常の線形補間であり、
は要素内の気泡速度である。気泡速度は、気泡形状関数
に関して式(25)のように表現できる。
量
は、
が要素内で一様な方向を有するが気泡形状関数
によって定められる大きさの変化を有するような要素ベクトルである。式(26)に示されるように、三次元において実際には四次である立方気泡形状関数が、1つの選択肢である。
式(27)のように、よりよい安定のために平方気泡形状関数を使用してもよい。
線形サブ空間と気泡サブ空間が直交するため、式(28)が当てはまり、
ここで、Veは要素の体積である。式(24)〜(28)を式(23)に代入すると、式(29)に示す構造を有する方程式の線形系が生み出され、
ここで、平方気泡関数について、式(30)および(31)が当てはまり、
立方気泡関数については、以下の式が当てはまる。
この実施の形態においては、気泡速度が検討中の要素の内部にのみ定められるため、式(29)の系は、気泡速度の静的な検討によって還元されて式(34)を生む。
速度の線形部分
を解くことで、式(24)から実際の速度
が得られる。立方気泡については、
のノード値が実際に所望の解であるよう、気泡速度はノードにおいてゼロである。平方気泡については、要素内の各ノードにおける気泡速度は、式(27)によれば、
である。一実施の形態においては、この項が無視できると考えられる。
あるいは、図6の方程式ソルバー642は、ソリューション・ドメインの3D解析部位についてのプロセス変数の分布を、境界要素法(BEM)を使用して解く。ここで、境界要素法は、外部メッシュのみを必要とし、ソリューションの3D解析部位の内部をメッシュ化する必要はない。境界要素法は、簡単な流体および/または線形構造解析に適用される。方程式ソルバー642は、3D解析部位内に点を挿入することによって、拡張BEMまたはメッシュ無し技法で非線形問題を解くことができる。
図6の方程式ソルバー642は、ソリューション・ドメインの3D解析部位における温度場を解くことができる。3D解析部位について解かれる一般化したエネルギー保存の式が、式(35)に示されている。
式(35)は、対流、圧縮性の加熱、粘性の消費、金型との熱伝導、ならびに/または反応熱および/または他の熱源効果などの熱源による金型内の温度の変化を、位置および時間の関数として説明している。エネルギー保存の式は、通常は、質量および運動量の保存の式と同時に解かれる。式(35)は、1つ以上の有限要素法、有限差分法、または有限差分法と有限要素法との組み合わせを使用して解くことができる。
一例においては、方程式ソルバー642が、ソリューション・ドメインの3D解析部位について式(35)のエネルギーの平衡を、有限要素法を使用して解く。せん断加熱および圧縮加熱を、先立つ時間ステップの結果にもとづいて明示的に計算できる。対流は、上流法および温度の内挿にもとづいて計算できる。熱容量は、集中であっても分布であってもよい。上流法および温度内挿法の例は、本件出願と所有者が同じである2003年11月19日発行の欧州特許第1218163号、および米国特許出願第09/404,932号に記載されており、これらの開示は、その全体がここでの言及によって本明細書に組み込まれたものとする。
このようにして、例えば温度、圧力、流速、流体の流頭位置、内部エネルギー、密度、流動度、粘度、およびこれらの勾配などの任意のプロセス変数について、3D解析部位の全体にわたる分布を、時間の関数として得ることができる。
エネルギーの平衡は、通常は境界要素については解かれないが、2.5D解析領域と3D解析領域との間で熱が対流によって伝えられる場合には、それらの接続情報を熱の対流計算のために使用することができる。
境界要素は、ソリューション・ドメインの領域間の境界における形状および/または自由度の不連続を埋めることができる。例えば、図6の方程式ソルバー642は、境界要素を一般的な有限要素として扱うことができ、境界要素についての要素マトリクスが、式(36)のとおり記述され、
ここで、P*は「ペナルティ数」である。一例においては、方程式ソルバー642がペナルティ法を使用し、連続性を実行するための要素マトリクスを形成する。ここで、式(36)のP*は大数であり、f(ni e,nj e)は、所与の要素のノードiおよびノードjの関数である。圧力流体についての境界要素の要素マトリクスは、式(37)のように表現することができ、
ここで、NTは境界要素の上側のノードを表わし、NBは境界要素の下側のノードを表わしており、hは境界要素の半分の高さである。
図19〜23は、一例の金型空洞内の流体の流れのシミュレーションを示している。このシミュレーションは、CAD出力を使用して金型空洞のハイブリッド・ソリューション・ドメインを自動生成すること、ドメインを自動的に切り分けること、およびソリューション・ドメイン内のプロセス変数の分布を解くこと、を含んでいる。
図19は、自動車のダッシュボード用の射出成型プラスチック部品1900を描いている。このプラスチック部品1900を製造するため、射出成型時の金型内の流れのシミュレーションを実行すべく、この部品のモデルを生成することが望まれる。プロセス・シミュレーションは、例えばプロセス条件の調節、注入点の配置、工程においてトラブルを生じうる点の特定、および/または部品設計の調節を、実験的試行錯誤の必要なく(あるいは最小限で)、設計および/または製造プロセスの任意の段階において可能にする。
図20は、図19のプラスチック部品1900の設計において生み出されたSTL形式のCAD出力の図式的表示2000である。図20におけるメッシュ2000は、未だ有限要素解析における使用にあわせて調節されてはいない。図6のシステム600が、CAD出力602を使用して、2.5D解析部位と3D解析部位とからなるハイブリッド・ソリューション・ドメインを自動的に生成し、これが有限要素解析に使用される。それらのステップは、すでに詳しく説明されている。
図21は、図6のシステム600を使用して自動的に決定された部品1900についてのハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメイン2100を示している。このハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメイン2100は、2つの部位を有しており、明るい色の部位2104が、6ノードのくさび要素を使用して切り分けられ、暗い色の部位2102は、四面体要素を使用して切り分けられている。明るい色の部位2104について2.5D流れ解析が実行され、暗い色の部位2102について3D流れ解析が同時に実行される。
流れ解析は、例えば図6のシステムの方程式ソルバー・コンポーネント642によって、すでに詳しく説明したように実行される。ソルバー642が、ソリューション・ドメイン全体にわたるプロセス変数の分布を割り出す。例えば、図22は、2つの注入点2202および2204の位置が与えられた場合に、流頭が図19の部品1900の金型内の各点に到達する時間のマップ2200を示している。2つの注入点2202および2204の位置は、図6のシステム600の方程式ソルバー642が使用するプロセス入力640のうちの2つである。図22に示した例では、部品1900の金型を完全に満たすために必要とされる時間は、2.771秒である。参照番号2206の指標によれば、赤色の部位が金型において最後に満たされる部位である。
図23は、図19の部品1900の射出成型の注入/充填切り替え点における圧力分布を示している。圧力分布は、図21のハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメイン2100および本明細書に記載の2.5D/3D組み合わせ流れ解析法を使用して割り出されるもう1つのプロセス変数である。同様に割り出される他のプロセス変数には、例えば温度分布、流速、粘度、流体の流頭位置、内部エネルギー、密度、流動度、およびこれらの勾配が含まれ、すべて時間の関数として表現できる。
図24は、本明細書にて説明した任意の方法の実行に使用するために適したコンピュータ・ハードウェア装置2400を示している。装置2400は、ポータブル・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、メインフレーム、または本明細書にて述べた機能をサポートするために必要な計算速度および精度を有する他の適切なコンピュータであってよい。コンピュータ2400は、典型的には、本明細書に記載の方法の1つ以上を取り入れるソフトウェア・コードに含まれる命令を実行するための1つ以上の中央処理ユニット2402を含んでいる。ランダム・アクセス・メモリおよび/またはリード・オンリー・メモリなどの記憶装置2404が、コードならびにコンピュータ2400が必要とする他のオペレーティング・ソフトウェアを、一時的または恒久的に保持するために設けられている。ハードディスクなど恒久的な不揮発性の読み/書きメモリが、通常は、使用時および休止時の両者においてコードを保存し、ソフトウェアによって生成されたデータを保存するために使用される。ソフトウェアは、1つ以上のモジュールを、例えば磁気ディスク、磁気テープ、CD‐ROM、および半導体メモリなどの機械で読み出し可能な媒体上に記録して含むことができる。好ましくは、機械で読み出し可能な媒体がコンピュータ2400内に常駐している。他の実施の形態においては、機械で読み出し可能な媒体を、通信リンクによってコンピュータ2400に接続できる。例えば、ソフトウェアのユーザが、インターネットを介して入力をもたらすことができ、これがコンピュータ2400によって遠方で処理され、シミュレーションの出力がユーザへと送信される。他の実施の形態においては、ソフトウェアを物理的配線によるロジックの形式のコンピュータ命令で置き替えることができ、あるいはソフトウェアをファームウェア(すなわち、PROM、EPROM、EEPROMなどの装置に記録されたコンピュータ命令)で置き替えることができる。本明細書において使用されるとき、機械で読み出し可能な命令という用語は、ソフトウェア、ハードウェア・ロジック、ファームウェア、オブジェクト・コード、などを包含することを意図している。
コンピュータ2400は、好ましくは汎用のコンピュータである。コンピュータ2400は、例えば組み込みのコンピュータであってよく、あるいはラップトップやデスクトップ・コンピュータなどのパーソナル・コンピュータ、サーバ、またはソフトウェアを動作させ、適切な制御指令を発し、情報を記録できる他の種類のコンピュータであってよい。コンピュータ2400は、データまたはユーザからの指令などの入力を受け取るため、キーボードおよびディスク読み取り器などの1つ以上の入力装置2406を有しており、さらにシミュレーション結果を図式的または他の形式で提供するため、モニタまたはプリンタなどの1つ以上の出力装置2408を有している。さらに、すべてのコンポーネントを一体に接続し、所望に応じて他のコンピュータおよびコンピュータ・ネットワークとの通信を可能にするため、通信バスおよびI/Oポートを設けることができる。
以上、本発明を特定の好ましい実施の形態を参照しつつ詳しく示して説明したが、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の技術的思想および技術的範囲から離れることなく、形態および細部においてさまざまな変更が可能であることを、当業者であれば理解できるであろう。
本発明の目的および特徴は、以下の図面および特許請求の範囲を参照してよりよく理解できるであろう。図面は必ずしも比例尺ではなく、一般に、本発明の原理を示すために強調がおかれている。図面においては、種々の図の全体を通じて、同じ数字は同様の部分を指して使用されている。本件特許または特許出願のファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図を含んでいる。カラーの図を含む本件特許または特許出願公開の写しは、請求を行ない必要な手数料を支払えば、米国特許商標局によって提供される。
図1は、部品の射出成型をシミュレートするために使用されるソリューション・ドメインを示しており、本発明の例証となる実施の形態に従って、ドメインが完全な3D解析のための四面体要素を使用して切り分けられている。
図2は、図1の部品の射出成型をシミュレートするために使用されるソリューション・ドメインの一部分を示しており、本発明の例証となる実施の形態に従って、ドメインのこの一部分が2.5D解析または二重ドメイン法の適用のためのくさびを使用して切り分けられている。
図3は、図1の部品の射出成型をシミュレートするために使用されるソリューション・ドメインの一部分を示しており、本発明の例証となる実施の形態に従って、ドメインのこの一部分が3D解析のための四面体要素を使用して切り分けられている。
図4は、図1の部品の射出成型をシミュレートするために使用されるハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメインを示しており、本発明の例証となる実施の形態に従って、ドメインの一部分が2.5D解析のためのくさびを使用して切り分けられ、ドメインの他の部分が3D解析のための四面体要素を使用して切り分けられている。
図5は、注入/充填の切り替わり点における圧力分布を示しており、本発明の例証となる実施の形態に従って、図4のハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメインおよび2.5D/3D組み合わせ法を使用して得られたものである。
図6は、ハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメインを自動的に定めるためのシステムのコンポーネントを描いた概略のフロー図であり、本発明の例証となる実施の形態に従って、プロセス変数の分布を時間の関数として解くために使用される。
図7Aは、本発明の例証となる実施の形態によるハイブリッド・メッシュを定めるためのシステムにて解析された2つの異なるサブサーフェイス上の2つの隣接する要素を示している。
図7Bは、本発明の例証となる実施の形態による図7Aの2つの隣接要素間の曲げ角度の決定を示している。
図8Aは、本発明の例証となる実施の形態によるハイブリッド・メッシュを定めるためのシステムにて解析された2つの異なるサブサーフェイス上の2つの隣接する要素を示している。
図8Bは、本発明の例証となる実施の形態による図8Aの2つの隣接要素に関連する曲率の決定を示している。
図9は、本発明の例証となる実施の形態によるハイブリッド・メッシュを定めるためのシステムについて、サブサーフェイスの再メッシュを制限するための条件の適用を示している。
図10は、本発明の例証となる実施の形態による再メッシュ手順について、一連の段階におけるサブサーフェイスの切り分けを示している。
図11は、本発明の例証となる実施の形態による再メッシュ手順に使用される初期のステレオリソグラフィ表面表現を示している。
図12は、図11の表面表現を、本発明の例証となる実施の形態による再メッシュ後について示している。
図13は、三次元T字物体の断面を示しており、サブサーフェイスを、マッチしたサブサーフェイス、マッチしていないサブサーフェイス、またはエッジ・サブサーフェイスに分類するため、本発明の例証となる実施の形態による物体の表面表現の個々のサブサーフェイスのマッチングを示している。
図14は、先細りT字物体の断面を示しており、サブサーフェイスを、マッチしたサブサーフェイス、マッチしていないサブサーフェイス、またはエッジ・サブサーフェイスに分類するため、本発明の例証となる実施の形態による物体の表面表現の個々のサブサーフェイスのマッチングを示している。
図15は、本発明の例証となる実施の形態によるハイブリッド・メッシュを定めるためのシステムについて、サブサーフェイスのマッチングに使用される条件を示している。
図16A、16B、および16Cは、本発明の例証となる実施の形態に従ってサブサーフェイスをマッチしたサブサーフェイス、マッチしていないサブサーフェイス、またはエッジ・サブサーフェイスに分類するための押し潰し手順における各ステップを示している。
図17は、2つの部位を境界要素で隔てて有するハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメインを示しており、本発明の例証となる実施の形態に従って金型空洞内の流体の流れのシミュレートに使用される。
図18は、図17のハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメインについて四面体要素および境界要素からなる一部分を示しており、本発明の例証となる実施の形態に従って金型空洞内の流体の流れのシミュレートに使用される。
図19は、自動車用ダッシュボードのプラスチック部品を示しており、この部品について、本発明の例証となる実施の形態に従ってハイブリッド・ソリューション・ドメインが自動的に決定され、射出成型流れ解析が実行される。
図20は、本発明の例証となる実施の形態による図19のプラスチック部品の設計の際に生成されるSTL形式のCAD出力の図式的表示である。
図21は、図19の部品の射出成型をシミュレートするために使用される本発明の例証となる実施の形態によるハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメインを示しており、ドメインの一部分が2.5D解析または二重ドメイン解析のためのくさび要素を使用して切り分けられ、ドメインの他の部分が3D解析のための四面体要素を使用して切り分けられている。
図22は、流頭が図19の部品の金型内の各点に達する時間のマップを示しており、本発明の例証となる実施の形態に従い、図21のハイブリッド・ソリューション・ドメインおよび2.5D/3Dの組み合わせの流れ解析法を使用して得られたものである。
図23は、注入/充填の切り替わり点における圧力分布を示しており、本発明の例証となる実施の形態に従い、図21のハイブリッド・メッシュ・ソリューション・ドメインおよび2.5D/3Dの組み合わせの流れ解析法を使用して得られたものである。
図24は、本明細書に記載の方法の実行における使用に適した本発明の例証となる実施の形態によるコンピュータ・ハードウェア装置を示している。
Claims (84)
- 金型空洞内の流体の流れをシミュレートするための方法であって、
(a)金型空洞に関する三次元体積の表面表現を用意するステップ、
(b)前記表面表現を少なくとも第1の部位と第2の部位とに区分けするステップであって、該表面表現の第1の部位が、(i)事実上変化しない厚さ、および(ii)長さに沿って徐々に変化する厚さの少なくとも一方を有している前記体積の少なくとも1つの部分に関連付けられているステップ、
(c)前記表面表現の第1の部位によってソリューション・ドメインの外面上に境界付けられたソリューション・ドメインの第1の部位を切り分けるステップ、
(d)前記表面表現の第2の部位によって前記ソリューション・ドメインの外面上に境界付けられたソリューション・ドメインの第2の部位を切り分けるステップ、
(e)前記ソリューション・ドメインについて、前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位の少なくとも一部を前記ソリューション・ドメインの前記第2の部位の少なくとも一部に接続している複数の境界要素を割り出すステップ、
(f)支配方程式の第1の組を使用して前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位について、少なくとも1つのプロセス変数の値を得るステップ、
(g)支配方程式の第2の組を使用して前記ソリューション・ドメインの前記第2の部位について、少なくとも1つのプロセス変数の値を得るステップ
を含んでいる方法。 - ステップ(b)が自動的に実行される請求項1に記載の方法。
- ステップ(c)、ステップ(d)、およびステップ(e)の少なくとも1つが自動的に実行される請求項2に記載の方法。
- ステップ(c)、ステップ(d)、およびステップ(e)の少なくとも2つが自動的に実行される請求項2に記載の方法。
- 前記表面表現が、サーフェイス・メッシュである請求項1に記載の方法。
- 前記体積が、成型される物体を表わしている請求項1に記載の方法。
- 前記体積が、金型空洞を表わしている請求項1に記載の方法。
- ステップ(f)における前記支配方程式の第1の組、ステップ(g)における前記支配方程式の第2の組、および境界要素方程式の組が、初期条件および境界条件を前提にして同時に解かれる請求項1に記載の方法。
- 前記境界要素方程式が、前記ソリューション・ドメインのうちの前記支配方程式によって2つの空間次元で記述された部位を、前記ソリューション・ドメインのうちの前記支配方程式によって3つの空間次元で記述された部位へ結び付けている請求項8に記載の方法。
- 前記少なくとも1つのプロセス変数が、温度、圧力、流速、応力、および流体の流頭位置で構成されるグループから選択される請求項1に記載の方法。
- 温度、圧力、流速、応力、および流体の流頭位置で構成されるグループから選択された少なくとも2つのプロセス変数が存在する請求項1に記載の方法。
- 温度、圧力、および流速を含む少なくとも3つのプロセス変数が存在する請求項1に記載の方法。
- 前記三次元体積への流体の注入をシミュレートする請求項1に記載の方法。
- 少なくとも1つの注入点の位置を決定することをさらに含んでいる請求項13に記載の方法。
- ステップ(a)が、CADシステムの出力から前記表面表現を用意することを含んでいる請求項1に記載の方法。
- 前記CADシステムの出力が、ステレオリソグラフィ形式またはIGES形式である請求項15に記載の方法。
- 前記CADシステムの出力が、多角形の要素からなるサーフェイス・メッシュを定めている請求項15に記載の方法。
- 前記多角形の要素が、三角形要素または四角形要素である請求項17に記載の方法。
- 前記CADシステムの出力が、三次元メッシュを定めている請求項15に記載の方法。
- 前記表面表現が、前記三次元メッシュを境界付ける多角形の格子からもたらされる請求項19に記載の方法。
- ステップ(a)が、前記CADシステムの出力を予備的メッシュとして使用し、該予備的メッシュを再度メッシュして前記表面表現を用意することを含んでいる請求項15に記載の方法。
- ステップ(a)が、多角形の表面要素のメッシュからなる表面表現を用意することを含んでいる請求項1に記載の方法。
- ステップ(b)が、それぞれが前記表面要素を少なくとも1つ含んでいる2つ以上のサブサーフェイスを定めることを含んでいる請求項22に記載の方法。
- ステップ(b)が、前記表面要素のそれぞれについて要素特性およびノード特性を決定することを含んでいる請求項23に記載の方法。
- ステップ(b)が、前記要素特性およびノード特性の少なくとも部分集合を使用し、前記2つ以上のサブサーフェイスのそれぞれを曲率に従って分類することを含んでいる請求項24に記載の方法。
- ステップ(b)が、それぞれが前記表面表現のエッジの接続された部分集合を含んでいる少なくとも1つの表面ループを定めることを含んでいる請求項23に記載の方法。
- ステップ(b)が、前記2つ以上のサブサーフェイスの少なくとも部分集合を、二分アルゴリズムを使用して再メッシュすることを含んでいる請求項23に記載の方法。
- ステップ(b)が、前記2つ以上のサブサーフェイスのうちのどれがマッチしたサブサーフェイスであるかを判断することを含んでいる請求項23に記載の方法。
- マッチしたサブサーフェイスの各組が、定義可能な厚さで区分けされている請求項28に記載の方法。
- 前記表面表現の前記第1の部位が、少なくとも前記マッチしたサブサーフェイスの部分集合を含んでいる請求項28に記載の方法。
- ステップ(b)が、前記2つ以上のサブサーフェイスのうちのどれがマッチしないサブサーフェイスであるかを判断することを含んでいる請求項23に記載の方法。
- 前記表面表現の前記第2の部位が、少なくとも前記マッチしないサブサーフェイスの部分集合を含んでいる請求項31に記載の方法。
- ステップ(b)が、前記2つ以上のサブサーフェイスのうちのどれがエッジ・サブサーフェイスであるかを判断することを含んでいる請求項23に記載の方法。
- ステップ(c)が、前記表面要素の少なくとも1つを、1つのサブサーフェイスから、事実上直交する方向に、該サブサーフェイスにマッチしたサブサーフェイスへと投影し、これによって対になる表面要素を定めることを含んでいる請求項28に記載の方法。
- ステップ(c)が、前記対になる表面要素をくさび要素に変換することを含んでいる請求項34に記載の方法。
- ステップ(c)が、前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位を自動的に切り分けることを含んでいる請求項1に記載の方法。
- ステップ(c)における切り分けが、前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位を定めるために前記表面表現の前記第1の部位を使用することを含んでいる請求項1に記載の方法。
- ステップ(c)が、前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位をくさび要素を使用して切り分けることを含んでいる請求項1に記載の方法。
- 前記くさび要素の少なくとも1つが、厚さに沿って少なくとも1つの解格子点を有している請求項38に記載の方法。
- 前記くさび要素の少なくとも1つが、不連続に積層された要素または連続的に積層された要素である請求項38に記載の方法。
- ステップ(d)が、前記ソリューション・ドメインの前記第2の部位を自動的に切り分けることを含んでいる請求項1に記載の方法。
- ステップ(c)が、前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位を六面体要素を使用して切り分けることを含んでいる請求項1に記載の方法。
- ステップ(c)が、前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位をシェル要素を使用して切り分けることを含んでいる請求項1に記載の方法。
- ステップ(d)が、前記ソリューション・ドメインの前記第2の部位を多面体要素を使用して切り分けることを含んでいる請求項1に記載の方法。
- 前記多面体要素が、四面体要素または六面体要素である請求項44に記載の方法。
- ステップ(e)が、線境界要素の組を定めることを含んでいる請求項1に記載の方法。
- 前記線境界要素のそれぞれが、前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位と前記ソリューション・ドメインの前記第2の部位との境界に沿って位置している請求項46に記載の方法。
- 前記線境界要素のそれぞれが、前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位のくさび要素の少なくとも2つのノードを含んでいる請求項46に記載の方法。
- 前記線境界要素のそれぞれが、前記少なくとも2つのノードのうちの2つの間の少なくとも1つの解格子点をさらに含んでいる請求項48に記載の方法。
- ステップ(e)が、平面境界要素の組を定めることを含んでいる請求項1に記載の方法。
- ステップ(c)がステップ(e)の前に開始される請求項1に記載の方法。
- ステップ(e)がステップ(d)の前に開始される請求項1に記載の方法。
- 前記支配方程式の第1の組が、2つの空間次元内の流体の流れを記述している請求項1に記載の方法。
- 前記支配方程式の第1の組が、2つの空間次元および時間における流体の流れを記述している請求項1に記載の方法。
- 前記支配方程式の第1の組が、1つの空間次元および時間における流体の流れを記述している請求項1に記載の方法。
- ステップ(f)が、ヘレ‐ショウ近似を使用することを含んでいる請求項1に記載の方法。
- ステップ(g)が、ナビエ‐ストークスの式を解くことを含んでいる請求項1に記載の方法。
- ステップ(g)が、簡略化したストークスの式を解くことを含んでいる請求項1に記載の方法。
- 前記支配方程式の第2の組が、質量の保存、運動量の保存、およびエネルギーの保存の式を含んでいる請求項1に記載の方法。
- ステップ(f)およびステップ(g)の少なくとも一方が、メッシュ無しスキームを使用することを含んでいる請求項1に記載の方法。
- 前記メッシュ無しスキームが、境界要素法、自然要素法、または円滑粒子流体力学法(smooth particel hydrodynamics method)である請求項60に記載の方法。
- さらに、
(h)前記少なくとも1つのプロセス変数の値を、前記体積の3D表現上に直接表示するステップ
を含んでいる請求項1に記載の方法。 - ステップ(g)が、ミニ要素の形成を使用することを含んでいる請求項1に記載の方法。
- 金型空洞内の流体の流れをシミュレートするための方法であって、
(a)金型空洞に関する三次元体積の表面表現を用意するステップ、
(b)前記表面表現を少なくとも第1の部位と第2の部位とに自動的に区分けするステップ、
(c)前記表面表現の前記第1の部位に対応する第1の部分と前記表面表現の前記第2の部位に対応する第2の部分とを含んでいるソリューション・ドメインを、前記三次元体積について定めるステップ、
(d)前記ソリューション・ドメインの前記第1の部分のプロセス変数を解いて求めるステップ、および
(e)前記ソリューション・ドメインの前記第2の部分のプロセス変数を解いて求めるステップ
を含んでいる方法。 - ステップ(b)のおける前記表面表現の前記第1の部位が、前記体積のうちの(i)事実上変化しない厚さ、および(ii)長さに沿って徐々に変化する厚さの少なくとも一方を有している少なくとも1つの部分に関連付けられている請求項64に記載の方法。
- ステップ(c)が、前記ソリューション・ドメインの前記第1の部分および前記第2の部分を自動的に切り分けることを含んでいる請求項64に記載の方法。
- 前記ソリューション・ドメインの前記第1の部分を前記ソリューション・ドメインの前記第2の部分に接続する複数の境界要素を定めるステップ
をさらに含んでいる請求項64に記載の方法。 - ステップ(d)が、支配方程式の第1の組を使用することを含んでおり、ステップ(e)が、支配方程式の第2の組を使用することを含んでいる請求項64に記載の方法。
- 前記支配方程式の第1の組が、2.5Dの流れを記述しており、前記支配方程式の第2の組が、3Dの流れを記述している請求項68に記載の方法。
- ハイブリッド・ソリューション・ドメインを自動的に定めるための方法であって、
(a)金型空洞に関連付けられた体積について、該体積の表面の表現を使用して複数のサブサーフェイスを特定するステップ、
(b)前記複数のサブサーフェイスの1つ以上の対をマッチさせ、1つ以上のマッチしたサブサーフェイスの組、および1つ以上のマッチしなかったサブサーフェイスを特定するステップ、
(c)(i)1つ以上の前記マッチしたサブサーフェイスの組によって少なくとも部分的に境界付けられるハイブリッド・ソリューション・ドメインの第1の部位、および(ii)1つ以上の前記マッチしなかったサブサーフェイスによって少なくとも部分的に境界付けられるハイブリッド・ソリューション・ドメインの第2の部位、を定めるステップ
を含んでいる方法。 - 前記体積が、金型空洞を表わしている請求項70に記載の方法。
- 成型プロセスをモデル化するために前記ハイブリッド・ソリューション・ドメインを使用することをさらに含んでいる請求項71に記載の方法。
- 前記体積の前記表面の前記表現が、CADシステムの出力を含んでいる請求項70に記載の方法。
- 前記ハイブリッド・ソリューション・ドメインの前記第1の部位が、2.5D流れ解析に適しており、前記ハイブリッド・ソリューション・ドメインの前記第2の部位が、3D流れ解析に適している請求項70に記載の方法。
- ステップ(b)が、前記複数のサブサーフェイスのそれぞれを曲率に従って分類することを含んでいる請求項70に記載の方法。
- 前記マッチしたサブサーフェイスの組のそれぞれが、事実上一定の厚さで隔てられた2つのサブサーフェイスを含んでいる請求項70に記載の方法。
- 前記体積が、成型される物体を表わしている請求項70に記載の方法。
- 前記ハイブリッド・ソリューション・ドメインを、前記成型される物体の構造特性の割り出しに使用することをさらに含んでいる請求項77に記載の方法。
- 前記構造特性が歪みである請求項78に記載の方法。
- 金型空洞内の流体の流れをシミュレートするための装置であって、
(a)命令一式を定めるコードを保存するメモリ、および
(b)前記命令を実行することによって、
(i)金型空洞に関する三次元体積の表面表現を、前記体積のうちで(i)事実上変化しない厚さ、および(ii)長さに沿って徐々に変化する厚さの少なくとも一方を有している部分に関連付けられている第1の部位と、第2の部位とに区分けし、
(ii)前記表面表現の第1の部位によってソリューション・ドメインの外面上に境界付けられたソリューション・ドメインの第1の部位を切り分け、
(iii)前記表面表現の第2の部位によって前記ソリューション・ドメインの外面上に境界付けられたソリューション・ドメインの第2の部位を切り分け、
(iv)前記ソリューション・ドメインについて、前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位の少なくとも一部を前記ソリューション・ドメインの前記第2の部位の少なくとも一部に接続している複数の境界要素を定め、
(v)支配方程式の第1の組を使用して、前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位について少なくとも1つのプロセス変数の値を得、さらに
(vi)支配方程式の第2の組を使用して、前記ソリューション・ドメインの前記第2の部位について少なくとも1つのプロセス変数の値を得る
プロセッサ
を含んでいる装置。 - ハイブリッド・ソリューション・ドメインを定めるための装置であって、
(a)命令一式を定めるコードを保存するメモリ、および
(b)前記命令を実行することによって、
(i)金型空洞に関連付けられた体積について、該体積の表面の表現を使用して複数のサブサーフェイスを特定し、
(ii)前記複数のサブサーフェイスの1つ以上の対をマッチさせ、1つ以上のマッチしたサブサーフェイスの組、および1つ以上のマッチしなかったサブサーフェイスを特定し、さらに
(iii)定義(A)1つ以上の前記マッチしたサブサーフェイスの組によって少なくとも部分的に境界付けられるハイブリッド・ソリューション・ドメインの第1の部位、および(ii)1つ以上の前記マッチしなかったサブサーフェイスによって少なくとも部分的に境界付けられるハイブリッド・ソリューション・ドメインの第2の部位、を定める
プロセッサ
を含んでいる装置。 - 前記ソリューション・ドメインの前記第2の部位の部分集合を、ユーザ入力に従って前記第1の部位に属しているとして特徴付けなおすステップ
をさらに含んでいる請求項2に記載の方法。 - 前記ソリューション・ドメインの前記第1の部位の部分集合を、ユーザ入力に従って前記第2の部位に属しているとして特徴付けなおすステップ
をさらに含んでいる請求項2に記載の方法。 - ステップ(b)が、前記表面表現を、第1の部位、第2の部位、および少なくとも1つの追加の部位に区分けすることを含んでいる請求項1に記載の方法。
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