JP4792460B2 - シミュレーション装置,シミュレーション方法,シミュレーション用プログラムおよび同プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体 - Google Patents
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Description
しかしながら、上述した従来の形状シミュレーション手法では、ハードディスク装置におけるMRヘッドの多層膜等のように、数Å(オングストローム)の薄膜を積層して形成された多層膜構造を表現するためには、セルサイズを薄膜の厚さ程度に小さくする必要があり、それによりメモリ領域を大量に消費し、かつ計算時間の増大が避けられないという課題がある。
さらに、該レベル値情報格納部が、一の該格子点に対して、複数の該加工処理にかかる複数の該レベル値を対応付けて格納してもよい。
さらに、該レベル値情報格納ステップにおいて、一の該格子点に対して、複数の該加工処理にかかる複数の該レベル値を対応付けて格納してもよい。
さらに、該格納ステップを該コンピュータに実行させる際に、一の該格子点に対して、複数の該加工処理にかかる複数の該レベル値を対応付けて格納するように、該コンピュータに実行させてもよい。
本発明によれば、メッシュ要素サイズよりも小さな寸法を持つ複数の素材形状の表現が可能であり、メッシュ要素サイズを大きくすることができ、メモリ消費量や計算実行速度を向上できる。
図1は本発明の一実施形態としてのシミュレーション装置の構成を模式的に示す図、図2は本シミュレーション装置により構造をシミュレートされる多層膜の構造を模式的に示す部分側面図である。なお、図2においては、多層膜3の側断面を部分的に破断して示している。
このシミュレーション装置1は、OS(Operating System)や各種アプリケーションをCPU(Central Processing Unit)10によって実行することにより、種々の機能を実現可能なパーソナルコンピュータとして構成され、図1に示すように、CPU10,ハードディスク20,入出力インターフェース21,ROM22,RAM23,ディスプレイ26,キーボード24,マウス25およびバス27をそなえたコンピュータシステムとして構成されている。
そして、本シミュレーション装置1においては、多層膜3の構造をシミュレーションすることにより、多層膜3における任意の位置での素材(加工処理に係る情報)を知る(素材判定)ことができる。
キーボード24はオペレータが種々の情報をキー入力するものであり、マウス25はオペレータがディスプレイ26に表示されたポインタ(図示省略)を操作して種々の選択・入力操作を行なうものである。
なお、本実施形態においては、入力機器としてキーボード24およびマウス25がそなえられているが、これに限定されるものではなく、例えば、フレキシブルディスクやCD(CD−ROM,CD−R,CD−RW等),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RW等)等の種々の媒体からデータを取り込み可能な機器(フレキシブルディスクドライブ,CD−ROMドライブ,DVDドライブ等)やLAN(Local Area Network)等を入力手段として用いてもよく、入出力インターフェース21が、これらの入力手段の制御を行なってもよい。
また、ハードディスク20は、後述の如く、界面とその界面を形成する加工処理に係る情報とを対応付けて加工処理情報29として格納する加工処理情報格納部としても機能するようになっている。
バス27は、CPU10,入出力インターフェース21,ROM22,RAM23およびハードディスク20を相互に通信可能に接続するものである。
セル100は、図3に示すように、複数の格子点(ノード)101(101a,101b,101c,101d,101e,101f,101g,101h)とこれらの格子点101を相互に連結する格子線102とにより六面体(ヘキサ)要素として形成され、メッシュ分割部11は、多層膜3を含む解析対象領域を、このような複数のセル100に分割するようになっている。
加工条件設定部12は、多層膜3に対する加工処理(プロセス)に関するシミュレーション計算条件(計算条件)の設定を行なうものであり、例えば、多層膜3の製造過程において、その表面に対して行なわれる堆積(膜堆積)やエッチング,切削等の各加工処理のシミュレーション計算条件の設定を行なうようになっている。
界面演算部13は、加工条件設定部12により設定された計算条件に基づいて加工処理に関する界面形状変化の演算を行なうものであって、加工条件設定部12によって設定された計算条件に基づいて、各加工処理後の表面形状(界面形状)を算出するようになっている。
レベル値設定部14は、界面演算部13によって算出された界面形状に基づいて、格子点101毎に、その格子点101と界面との距離に関するレベル値φを設定するものである。レベル値φは、格子点101から多層膜3を構成する各素材a,b,c,dの表面(界面)までの距離を表わす値であり、界面からの距離を絶対値として有するものである。
また、レベル値φにおいては、格子点101が構造物(多層膜3)の内側に位置する場合(例えば、図2の格子点101b,101c)には、−(マイナス)の符号を、又、格子点101が構造物(多層膜3)の外側に位置する場合(例えば、図2の格子点101a,101d)には、+(プラス)の符号を、それぞれ付すようになっている。
図2に示す例においては、格子点101cについて、素材aの表面(素材aと素材bとの界面)に対してレベル値φ[1]=−0.3を、素材bの表面(素材bと素材cとの界面)に対してレベル値φ[2]=−0.4を、素材cの表面(素材cと素材dとの界面)に対してレベル値φ[3]=−0.5を、それぞれ設定することにより、多層膜3の構造が表現されている。
そして、上述の如く設定された各素材a,b,c,dの界面のレベル値φは、その界面に対応付けて、格子点101毎に、ハードディスク20にレベル値情報28として格納されるようになっている。具体的には、本実施形態においては、レベル値φは、その界面を表面としてそなえる層(素材)を特定するための番号NL(NLは自然数)および格子点101を特定するためのコード等と対応付けて、レベル値情報28としてハードディスク20に格納されている。
位置取得部15は、多層膜3の構造を検証する検証位置を取得するものであり、オペレータによりキーボード24やマウス25等を介して入力されたり、他のアプリケーションから通知される素材判定位置座標(検証位置)を、入出力インターフェース21を介して取得するようになっている。
補間計算部16は、位置取得部15によって取得された検証位置座標(SX,SY,SZ)に基づいて、以下に示す補間関数式(1)を用いてレベル値の補間計算を行なうものである。
φ(X,Y,Z)=
φ(−,−,−)*(1−SX)*(1−SY)*(1−SZ)/8
+φ(−,−,+)*(1−SX)*(1−SY)*(1+SZ)/8
+φ(−,+,−)*(1−SX)*(1+SY)*(1−SZ)/8
+φ(−,+,+)*(1−SX)*(1+SY)*(1+SZ)/8
+φ(+,−,−)*(1+SX)*(1−SY)*(1−SZ)/8
+φ(+,−,+)*(1+SX)*(1−SY)*(1+SZ)/8
+φ(+,+,−)*(1+SX)*(1+SY)*(1−SZ)/8
+φ(+,+,+)*(1+SX)*(1+SY)*(1+SZ)/8 ・・・(1)
なお、上記補間関数式(1)中のφ(+,−,+),φ(+,−,−),φ(+,+,−),φ(+,+,+),φ(−,−,+),φ(−,−,−),φ(−,+,−),φ(−,+,+)は、それぞれ図3に示すセル100を構成する格子点101a,101b,101c,101d,101e,101f,101g,101hに設定されたレベル値である。
補間計算部16は、位置取得部15によって特定されたセル100について、その各格子点101対してそれぞれ設定された各レベル値φを取得し、上述した補間関数式(1)に対して、これらのレベル値φを用いて計算することにより、各レベル値φの補間計算を行なうようになっている。
この素材選択条件は、具体的には、(1)レベル値φ[NL]が0よりも小さく、且つ、レベル値φ[NL−1]が0以上であること、および(2)NLが0であること、の3つの条件のいずれか1つに該当することである。NLが−1となる場合はそこには素材が存在しないことを示す。
そして、この情報取得部18によって取得された素材情報は、素材判定位置について素材情報としてディスプレイ26に表示(出力)され、オペレータに通知されるようになっている。
そして、このシミュレーションを行なうに際して、解析対象領域内のセル100を構成する全ての格子点101について、多層膜3を形成する各層の界面に対するレベル値がそれぞれ設定される。
先ず、レベル値設定部14は、初期のレベル値、すなわち、素材aの表面のレベル値φを、レベル値φnowおよびφ[1]に設定するとともに、変数NL=1と設定することにより、初期化を行なう(ステップA10;レベル値設定ステップ)。又、多層膜3の製造において、その表面に対して最初に行なわれる加工処理(プロセス)が選択される。
次に、レベル値設定部14は、ステップA20において設定された計算条件に基づいて、そのプロセスにおいて、「A:界面が内向き(内側)にのみ移動する(例えば、エッチングや現像)」,「B:界面が外向き(外側)にのみ移動する(例えば製膜)」および「C:界面が内向きと外向きの両方に移動しうる」のいずれに該当するかを判断する(ステップA40)。
また、「C:面が内向きと外向きの両方に移動しうる」場合には(ステップA40のCルート参照)、ハードディスク20のレベル値情報28におけるφ[NL+1]にφminの値を格納するとともに、レベル値情報28におけるφ[NL+2]にφmaxの値を格納し(レベル値情報格納ステップ)、更に、NLの値を2増加(NL=NL+2)する(ステップA60)。
そして、レベル値設定部14は、多層膜3の製造において、その表面に対して行なわれる全ての加工処理(プロセス)について処理が完了したか否かを判断し(ステップA70)、全てプロセスについて処理を完了していない場合には(ステップA70のNOルート参照)、次のプロセスに移動して(ステップA80)、ステップA20に移行する。
次に、本発明の一実施形態としてのシミュレーション装置10における多層膜3の任意位置での素材の判定手法を、図6に示すフローチャート(ステップB10〜B80)に従って説明する。
本実施形態においては、多層膜3について、その外側(表面に最後に形成された層)から順番に検証を行なうことにより、製造プロセスにおいて一旦形成された層が切削(削除)された場合においても、支障なく検証を行なうことができるようになっている。
レベル値φ[NL]が0よりも小さい場合には(ステップB40のNOルート参照)、補間計算部16は、次に、そのレベル値φ[NL]が0よりも小さく、且つ、レベル値φ[NL−1]が0以上であるか、もしくは、NLが0であるか否かを判断する(ステップB60;界面特定ステップ)。
ここで、レベル値φ[NL]が0よりも小さく、且つ、レベル値φ[NL−1]が0以上である、もしくは、NLが0である場合には(ステップB60のYESルート参照)、その変数NLを取得(出力)し、情報取得部18が、ハードディスク20に格納されたレベル値情報28を参照して、多層膜3の製造工程におけるNL番目に対応する工程で形成される素材を、素材判定位置での素材として取得し(情報取得ステップ)、処理を終了する(ステップB80)。そして、この取得された素材の情報がディスプレイ26等に表示・出力され(出力ステップ)、オペレータに提示される。
一方、φ[NL]が0以上である場合には(ステップB40のYESルート参照)、NLの値に−1を代入して(ステップB50)、ステップB80に移行する。
例えば、上述した実施形態では、メッシュ分割部11が、解析対象領域を立方体として形成されたセル100を用いてメッシュ分割しているが、これに限定されるものではなく、例えば、四面体(テトラ)要素として形成されたセルや、直交格子や八分木メッシュ等、種々の形状をそなえたセルを用いてメッシュ分割してもよい。
すなわち、本発明は、複数の素材を堆積して形成される構成をそなえた構造物や、複数の加工処理をその表面に順次行なうことにより形成される構造物の形状シミュレーションに適用できる。
また、上述した実施形態においては、レベル値情報28と加工処理情報29と別々にそなえているが、これに限定されるものではなく、これらのレベル値情報28と加工処理情報29とを一つのデータベースとしてまとめて構成してもよい。
Claims (8)
- 構造物の構造をシミュレーションするシミュレーション装置であって、
該構造物を含む解析対象領域を、複数の格子点と該格子点を相互に連結する格子線とにより形成された複数のメッシュ要素に分割するメッシュ分割部と、
該構造物に対する加工処理に関する計算条件を設定する加工条件設定部と、
該加工条件設定部により設定された該計算条件に基づいて前記加工処理に関する界面形状変化の演算を行なう界面演算部と、
該界面演算部によって算出された該界面形状に基づいて、該格子点毎に、当該格子点と該界面との距離に関するレベル値を設定するレベル値設定部と、
該格子点毎に、該レベル値設定部によって設定された該レベル値を当該界面に対応付けてレベル値情報として格納するレベル値情報格納部とをそなえ、
前記構造物は多層膜であり、前記多層膜を構成する各層の厚さは前記メッシュ要素のサイズより小さい寸法を有することを特徴とする、シミュレーション装置。 - 構造物の構造をシミュレーションするシミュレーション方法であって、
該構造物を含む解析対象領域を、複数の格子点と該格子点を相互に連結する格子線とにより形成された複数のメッシュ要素に分割するメッシュ分割ステップと、
該構造物に対する加工処理に関する計算条件を設定する加工条件設定ステップと、
該加工条件設定ステップにおいて設定された該計算条件に基づいて前記加工処理に関する界面形状変化の演算を行なう界面演算ステップと、
該界面演算ステップにおいて算出された該界面形状に基づいて、該格子点毎に、当該格子点と該界面との距離に関するレベル値を設定するレベル値設定ステップと、
該格子点毎に、該レベル値設定ステップにおいて設定された該レベル値を当該界面に対応付けてレベル値情報として格納するレベル値情報格納ステップとをそなえ、
前記構造物は多層膜であり、前記多層膜を構成する各層の厚さは前記メッシュ要素のサイズより小さい寸法を有することを特徴とする、シミュレーション方法。 - 構造物の構造をシミュレーションするシミュレーション機能をコンピュータに実行させるためのシミュレーション用プログラムであって、
該構造物を含む解析対象領域を、複数の格子点と該格子点を相互に連結する格子線とにより形成された複数のメッシュ要素に分割するメッシュ分割ステップと、
該構造物に対する加工処理に関する計算条件を設定する加工条件設定ステップと、
該加工条件設定ステップにおいて設定された該計算条件に基づいて前記加工処理に関する界面形状変化の演算を行なう界面演算ステップと、
該界面演算ステップにおいて算出された該界面形状に基づいて、該格子点毎に、当該格子点と該界面との距離に関するレベル値を設定するレベル値設定ステップと、
該格子点毎に、該レベル値設定ステップにおいて設定された該レベル値を当該界面に対応付けてレベル値情報として格納するレベル値情報格納ステップとを、該コンピュータに実行させ、
前記構造物は多層膜であり、前記多層膜を構成する各層の厚さは前記メッシュ要素のサイズより小さい寸法を有することを特徴とする、シミュレーション用プログラム。 - 該界面と当該界面を形成する該加工処理に係る情報とを対応付けて加工処理情報として格納する加工処理情報格納ステップと、
前記構造物の構造を検証する検証位置を取得する位置取得ステップと、
該位置取得ステップにおいて取得された該検証位置に基づいて、該レベル値の補間計算を行なう補間計算ステップと、
該補間計算ステップにおいて算出された該レベル値に基づいて、該レベル値情報格納ステップにおいて格納された、該レベル値情報を参照することにより、予め設定された界面選択条件を満たす該レベル値に対応する該界面を特定する界面特定ステップと、
該界面特定ステップにおいて認識された該界面に基づいて、該加工処理情報格納ステップにおいて格納された該加工処理情報を参照して、当該界面に対応する前記加工処理に係る情報を取得する情報取得ステップと、
該情報取得ステップにおいて取得された前記加工処理に係る情報を、該検証位置についての前記加工処理に係る情報として出力する出力ステップとを、該コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項3記載のシミュレーション用プログラム。 - 前記格子点と界面との距離が最大となる場合における該レベル値を最大レベル値として格納する最大レベル値格納ステップを、該コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項3又は4記載のシミュレーション用プログラム。
- 前記格子点と界面との距離が最小となる場合における該レベル値を最小レベル値として格納する最小レベル値格納ステップを、該コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載のシミュレーション用プログラム。
- 該格納ステップを該コンピュータに実行させる際に、一の該格子点に対して、複数の該加工処理にかかる複数の該レベル値を対応付けて格納するように、該コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載のシミュレーション用プログラム。
- 構造物の構造をシミュレーションするシミュレーション機能をコンピュータに実行させるためのシミュレーション用プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
該シミュレーション用プログラムが、
該構造物を含む解析対象領域を、複数の格子点と該格子点を相互に連結する格子線とにより形成された複数のメッシュ要素に分割するメッシュ分割ステップと、
該構造物に対する加工処理に関する計算条件を設定する加工条件設定ステップと、
該加工条件設定ステップにおいて設定された該計算条件に基づいて前記加工処理に関する界面形状変化の演算を行なう界面演算ステップと、
該界面演算ステップにおいて算出された該界面形状に基づいて、該格子点毎に、当該格子点と該界面との距離に関するレベル値を設定するレベル値設定ステップと、
該格子点毎に、該レベル値設定ステップにおいて設定された該レベル値を当該界面に対応付けてレベル値情報として格納するレベル値情報格納ステップとを該コンピュータに実行させ、
前記構造物は多層膜であり、前記多層膜を構成する各層の厚さは前記メッシュ要素のサイズより小さい寸法を有することを特徴とする、シミュレーション用プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
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