JP2002219739A - 射出成形品の変形量予測方法 - Google Patents

射出成形品の変形量予測方法

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JP2002219739A
JP2002219739A JP2001019258A JP2001019258A JP2002219739A JP 2002219739 A JP2002219739 A JP 2002219739A JP 2001019258 A JP2001019258 A JP 2001019258A JP 2001019258 A JP2001019258 A JP 2001019258A JP 2002219739 A JP2002219739 A JP 2002219739A
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Yuji Terakura
祐二 寺倉
Mikio Sasaki
幹夫 佐々木
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    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/76Measuring, controlling or regulating
    • B29C45/7693Measuring, controlling or regulating using rheological models of the material in the mould, e.g. finite elements method

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シェルモデルを用いたシミュレーションによ
り、結晶性樹脂からなる射出成形品の変形量を高い精度
で予測する。 【解決手段】 射出成形品のシェルモデルの各シェル要
素を厚さ方向に複数の層に分割したモデルを作成し、こ
の複数の層に分割した各シェル要素の各層ごとに樹脂の
挙動を予測して、射出成形品の離型時における樹脂の流
動方向と、流動方向と直交する方向の線膨張係数を求
め、これら樹脂の流動方向と、流動方向と直交する方向
の線膨張係数を用いて射出成形品の離型後の変形量を予
測する射出成形品の変形量予測方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶性樹脂からな
る射出成形品の離型後の変形量をシミュレーションによ
り予測する方法、特にシェルモデルを用いて変形量を予
測する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチック等の結晶性樹脂の射出成形
においては、射出成形時の樹脂の充填挙動の解析、離型
後のそり変形量の解析を行うために、コンピュータを利
用したシミュレーションが広く利用されている。この射
出成形過程のシミュレーションには、金型内における溶
融樹脂の充填、保圧、冷却の各過程の挙動を予測する充
填保圧冷却解析プログラム、金型から成形品を取り出し
た後のそり変形量を予測するそり変形解析プログラム等
が利用されている。通常、これらの解析を行うときは、
シェルモデルを用いた二次元の解析が行われている。こ
の理由は、シェルモデルによる解析は肉厚を省略した面
の集合としてモデル化できるため、メッシュ分割した解
析モデルが簡単にできること、及びソリッドモデルによ
る三次元解析と比較して解析結果を短時間で得ることが
できることによる。
【0003】従来からプラスチック成形品の変形量をシ
ミュレーションにより予測する方法は、図8に示す手順
で行われている。この手順を説明すると次のようにな
る。
【0004】(手順t1)解析の対象となる射出成形品
にランナ・ゲートを付けた形状モデル、すなわち、メッ
シュ分割した形状モデルを作成する。二次元の解析を行
う場合は、肉厚を省略した多数のシェル要素にメッシュ
分割したシェルモデルを作成する。この形状モデルの作
成は、充填保圧冷却解析プログラム等の解析プログラム
に備えられているモデル作成プログラム、又は市販され
ているプリポストプログラムを利用することができる。
【0005】(手順t2)充填保圧冷却解析プログラム
に、上記形状モデルのデータ、及び成形条件、プラスチ
ック樹脂の熱流動特性等のデータを入力して、充填保圧
冷却解析を行う。この解析では、金型内に充填され、溶
融状態になったこのプラスチック樹脂の挙動を解析し
て、メッシュ分割した各シェル要素の充填過程での樹脂
の流動方向、温度履歴、圧力履歴、体積収縮率等の予測
データが得られる。
【0006】(手順t3)上記手順t2の充填保圧冷却
解析で得たデータ及び、上記形状モデルのデータ、機械
的特性データ(当該プラスチック樹脂のヤング率、ホア
ソン比、線膨張係数等)を変形解析プログラムに入力し
て、射出成形品が離型されて常温に低下するまでの変形
量の解析、例えばそり変形量の予測を行う。このとき、
そり変形量を予測するための離型時の線膨張係数は、形
状モデルの各要素に一定の値を割り当てる。このそり変
形解析では、充填保圧冷却解析で得た各シェル要素の体
積収縮率を初期歪みとして、成形品が離型時の温度から
常温になるまでの各シェル要素の熱ひずみを予測する。
【0007】(手順t4)上記手順t3で予測した各シ
ェル要素ごとの熱ひずみから、常温における最終的な成
形品のそり変形量を予測する。
【0008】一般的に、プラスチック材料は分子が鎖状
につながった高分子構造をとっている。プラスチック材
料に熱収縮が生じる場合、この分子鎖の軸方向と、軸方
向と直交する方向とでは収縮量が異なる。プラスチック
材料が溶融状態で、かつ負荷がかかっていない状態で
は、分子鎖の軸方向はランダムな方向を向いており、冷
却時には等方向に収縮する。しかし、樹脂の流動時にせ
ん断変形が生じたり、伸長されるような状態になった場
合、分子鎖の軸はある方向に向きをそろえられる状態に
なる。この状態は、一般に分子配向といわれている。溶
融状態の樹脂が固化して分子配向が残留した状態になっ
ていると、分子配向とこの分子配向と直交する方向とで
は、温度変化に対する熱膨張率が異なり、異方性収縮が
生じる。すなわち、プラスチック樹脂においては、冷却
するときには異方性収縮が生じるのである。
【0009】また、プラスチック材料は、結晶性樹脂と
非結晶性樹脂とに分類することができる。結晶性樹脂が
固化するときに、必ずしも完全に固化するわけでなく、
結晶化した部分と非結晶の部分が混ざり合った状態にな
る。このプラスチック材料全体に対する結晶部分の割合
を結晶化度といわれている。溶融状態のプラスチック材
料はその冷却速度が変わると、結晶化度も変化すること
が知られている。当然、結晶部分と非結晶部分とでは温
度変化に対する熱膨張率が異なるから、結晶化度が変化
することにより収縮率、すなわち線膨張係数も変化す
る。
【0010】実際のプラスチックの射出成形では、金型
内におけるプラスチック樹脂の流れ(流動)や冷却状態
は極めて複雑になり、成形品の部位によって分子配向や
結晶化度が変化すると考えられる。このため、プラスチ
ック成形品の部位ごとに収縮の方向性や熱膨張率が変化
し、その結果、成形品全体では収縮率が不均一になり、
最終的に成形品にそり変形が生じる。従って、射出成形
品の変形量をコンピュータシミュレーションにより予測
する場合には、射出成形品の部位ごとに収縮の方向性や
熱膨張率を考慮した解析を実施しないと、予測精度は向
上しないと考えられる。
【0011】従来のガラス繊維を含有していない非強化
樹脂製射出成形品の変形量を予測するシミュレーショ
ン、特にシェルモデルを用いた二次元の解析において
は、射出成形品の各部位ごとの成形条件、及びプラスチ
ック樹脂の流動方向、及びこの流動方向と直交する方向
の線膨張係数は一定として変形量の解析を行っていた。
しかし、前記の通り、分子配向等の影響により、樹脂の
流動方向や、この流動方向と直交する方向の線膨張係数
は成形品の部位ごとに変化するものと考えられる。この
ため、従来のシェルモデルを用いた射出成形品のそり変
形量の予測は、予測精度が低いという問題点があった。
【0012】射出成形品のそり変形量の予測精度を向上
させる解析方法としては、次の対策案が提案されてい
る。特開平8−230008号公報には、プラスチック
成形品の収縮の異方性を考慮してそり変形の予測を行う
方法が提案されている。同公報には、板厚方向の収縮率
をεz、面内方向の収縮率をεp、体積収縮率をev、
収縮係数をA、及びBとすると、 εz=A+B・ev εp=(ev−εz)/2 また、繊維入りの材料の場合は、面内流れ方向の収縮率
をεL、面内流れと直角方向の収縮率をεT、流れ方向
の熱膨張係数をαL、流れと直角方向の熱膨張係数をα
Tとすると、 εL=(ev−εz)・αL/(αL+αT) εT=(ev−εz)・αT/(αL+αT) の関係式(収縮異方性の式)を計算に導入して、面内の
収縮率を求め、そり変形の予測を行う射出成形品のそり
変形の予測方法が開示されている。
【0013】特開平9−262887号公報には、結晶
化度を考慮して成形収縮量を予測するシミュレーション
技術が提案されている。同公報には、成形過程の樹脂温
度、圧力、結晶化度のデータと任意の結晶化度における
樹脂のPVT特性を求める方法を用いて、成形時の結晶
化挙動に従った樹脂のPVT曲線と樹脂の比容積を計算
し、さらに収縮率を予測する結晶性樹脂成形品における
成形収縮シミュレーション方法が開示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平8−230
008号公報には、プラスチック成形品の収縮の異方性
を考慮して、板厚方向及び面内方向の収縮率を求め、こ
れらの収縮率からそり変形量を予測する方法が開示され
ているが、解析モデルの各要素ごとに、流動方向、この
流動方向と直交する方向等、収縮の方向性を考慮した解
析方法については開示されていない。また、特開平9−
262887号公報には、結晶化度から成形品の収縮率
を予測する方法が開示されているが、解析モデルの各要
素ごとに結晶化度を予測し、この結晶化度から各要素の
収縮の方向性を考慮した線膨張係数を予測する方法につ
いては開示されていない。
【0015】本発明の目的は、上記従来のシェルモデル
を用いた射出成形品の変形量の予測方法を改善し、変形
量の予測精度が極めて高い射出成形品の変形量の予測方
法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、シェルモデル
を用いて結晶性樹脂からなる射出成形品の充填、保圧、
冷却過程における前記樹脂の挙動を予測して、前記射出
成形品の離型後の変形量を予測する方法において、前記
シェルモデルの各シェル要素を厚さ方向に複数の層に分
割したモデルを作成し、前記複数の層に分割した各シェ
ル要素の各層ごとに樹脂の挙動を予測して、前記射出成
形品の離型時における前記樹脂の流動方向と、前記流動
方向と直交する方向の前記樹脂の線膨張係数を求め、前
記樹脂の流動方向と、前記流動方向と直交する方向の前
記線膨張係数を用いて前記射出成形品の離型後の変形量
を予測する射出成形品の変形量予測方法である。
【0017】さらに本発明においては、複数の層に分割
した各シェル要素の各層ごとに樹脂の結晶化度を予測
し、前記結晶化度から前記各シェル要素の各層ごとに前
記樹脂の流動方向と、前記流動方向と直交する方向の前
記樹脂の線膨張係数を求める射出成形品の変形量予測方
法である。
【0018】なお、本発明においてシェルモデルの各シ
ェル要素を厚さ方向に複数の層に分割する理由は次の通
りである。図6(a)に示すよにMD−TD平面を有し
材質がポリエチレンからなる平板を射出成形により製作
し、この成形品の線膨張係数を測定してみた。線膨張係
数を測定した個所は、図6(b)に示すように表面に近
い個所(表面層)、断面の中央部近傍(コア層)、この
表面層とコア層の中間部(中間層)の各数点である。ま
た、線膨張係数は、図6(a)に示すように、樹脂の流
動方向(MD)、この流動方向と直行する方向(T
D)、板厚方向(ND)の3方向について測定した。
【0019】この測定結果を図7に示す。図7から明ら
かなように、厚さ方向の位置を示す表面層、中間層、コ
ア層ごとにMD方向、TD方向、ND方向の線膨張係数
は異なることが判明した。さらに、表面層からコア層に
向かうにつれて各方向の線膨張係数は大きくなることが
分かった。このように、厚さ方向の位置により線膨張係
数が異なる理由は、金型への樹脂の充填、保圧、冷却時
において、樹脂の厚さ方向の位置により冷却速度が変化
するため、この位置ごとに結晶化度が異なり、その結
果、線膨張係数が異なってくると考えられる。従って、
本発明は、シェルモデルの各シェル要素を厚さ方向に複
数の層に分割してこの層ごとに結晶化度の予測を行い、
この結晶化度を利用して線膨張係数を算出し、この算出
した線膨張係数を使用して離型後の変形量を予測すれ
ば、変形量の予測精度を向上させることが可能となる、
という技術思想に基づいてなされたものである。なお、
本発明において、シェルモデルの各シェル要素を厚さ方
向に複数の層に分割する分割数は、解析対象品の肉厚の
大きさにもよるが、5〜30層、好ましくは5〜20層
とするのがよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1は本発明を実施するためのシミュレー
ションシステムの構成を示すもので、ワークステーショ
ンあるいはパーソナルコンピュータ等のコンピュータか
ら構成される。図1において、1はコンピュータ本体で
あり、CPU2及び内部記憶装置3等から構成されてい
る。4はキーボード、マウス等の入力装置、5はCR
T、プリンタ等の出力装置である。6は本発明を実施す
るための各種のプログラムやデータ等が記憶された外部
記憶装置、例えばハードディスク装置である。この各種
のプログラムとしては、形状モデル作成プログラム7
a、充填保圧冷却解析プログラム7b、結晶化度予測プ
ログラム7c、体積膨張係数予測プログラム7d、線膨
張係数予測プログラム7e、そり変形量予測プログラム
7fが記憶されている。上記の各プログラムを実行する
ときには、各プログラムは内部記憶装置3に読み込まれ
る。
【0021】外部記憶装置6には、上記の各プログラム
を実行して得られた解析データを記憶する解析データ記
憶部8、及び各プログラムを実行するときに必要とする
各種のデータを予め登録している材料データベース9の
記憶領域が確保されている。材料データベース9には、
射出成形品の樹脂の材質ごとに、流動特性を表わす粘
度、熱伝導率、比熱、PVT特性値、機械的特性を表わ
すヤング率、ポアソン比、さらに解析に必要な計算式の
定数、及び成形条件のデータ等が記憶されている。
【0022】続いて、本発明を実施するための手順を図
2に基づいて説明する。図2は本発明を実施するための
手順を示すフロチャートである。
【0023】(ステップS1)このステップでは、解析
対象となる射出成形品の形状モデル、すなわち、図3
(a)に示すような二次元のシェルモデルを作成する。
図3(a)は平板状の射出成形品のシェルモデル11を
示し、ランナ・ゲート12もつけた状態で、X−Y平面
を多数のシェル要素13に分割したモデルである。な
お、このシェルモデル11の作成は、図1に示す形状モ
デル作成プログラム7aを使用して作成する。なお、通
常の場合、この形状モデル作成プログラム7aは市販さ
れている射出成形品の充填保圧冷却解析プログラムに組
み込まれているので、このプログラムを利用することが
できる。
【0024】(ステップS2)このステップでは、ステ
ップS1で作成したシェルモデル11について、各シェ
ル要素13を板の厚さ方向(図3(a)に示すZ軸方
向)に複数の層、13a、13b、13c、…、に分割
する操作を行う。この操作により、図3(b)に示すよ
うに、射出成形品のシェルモデル11を板厚方向に複数
の層に分割された、あたかも三次元モデル的なシェルモ
デルにすることができる。このシェルモデル11の各シ
ェル要素13を板厚方向に複数の層に分割する機能は、
市販されている充填保圧冷却解析プログラムのモデル作
成プログラムにも備えられているので、この機能を利用
することができる。なお、この複数の層に分割する数
は、前記の通り、5〜30層、好ましくは5〜20層と
するのがよい。また、複数の層に分割した各層の厚さは
同一、又は任意の厚さにすることも可能である。
【0025】(ステップS3)このステップでは、ステ
ップS2で作成したシェルモデルについて、金型内にお
ける樹脂の挙動を予測する。このステップでは、材料デ
ータベース9に予め登録している成形条件データ、樹脂
の熱流動特性値等を入力データとして、各シェル要素1
3の各層ごとに、充填過程における樹脂の流動方向、温
度履歴、圧力履歴のデータ等を予測する。これらの予測
データは、解析データ記憶部8に一時記憶する。このス
テップS3の処理は充填保圧冷却プログラム7bの制御
に従って実行される。
【0026】(ステップS4)このステップでは、各シ
ェル要素の各層ごとに、上記ステップS3で予測した温
度履歴データと、材料データベース9に登録している樹
脂の結晶化特性データ等から、結晶化度を予測する。こ
の結晶化度の予測は、下記のAvramiの式(1)を用いて
予測することができる。
【0027】
【数1】 X:結晶化度、X:最大結晶化度、t:時間、K、
n:定数 このステップS4の処理は、結晶化度予測プログラム7
cの制御に従って実行される。
【0028】(ステップS5)このステップでは、ステ
ップS4で予測した結晶化度Xを基にして、各シェル要
素13の各層ごとの体積膨張係数βを算出する。この体
積膨張係数βは、下記の式を用いて算出することができ
る。そして、射出成形品を金型から離型する時点におけ
る結晶化度を算出する。 β=aX+b………………………………(2) ただし、a、bは定数であり、予め材料データベース9
に登録しておいた値を採用する。なお、定数aおよびb
は実際の成形品について、結晶化度と体積膨張率との関
係を測定することにより求めることができる。このステ
ップの処理は、体積膨張係数算出プログラム7dの制御
に従って実行される。
【0029】(ステップS6)このステップでは、射出
成形品を金型から離型する時点における樹脂の流動方向
(MD)の線膨張係数αMD、樹脂の流動方向と直交する
方向(TD)の線膨張係数αTDを算出する。この算出方
法は、ステップS5で求めた体積膨張率βを樹脂の流動
方向(MD)と、この流動方向(MD)と直交する方向
(TD)とに分配する分配係数λMD、λTDを用いて、下
記計算式(3)、(4)から求めることができる。 αMD=λMD・β………………………(3) αTD=λTD・β………………………(4) ただし、λMDは流動方向(MD)の分配係数、λTDは流
動方向と直交する方向(TD)の分配係数であり、λMD
+λTD=1である。なお、分配係数λMD 、λTDは、予
め材料データベース9に登録しておいた経験値を採用す
るか、ステップS3の充填保圧冷却解析で予測した樹脂
の流動状態から算出することも可能である。分配係数λ
MD、λTDについて経験値を求める方法は、数サンプルに
ついて体積膨張係数β、流動方向の線膨張係数αMD、流
動方向と直交する方向の線膨張係数αTDを測定すること
により、各サンプルの分配係数λMD、λTDを算出するこ
とができる。また、分配係数λMD、λTDを充填保圧冷却
解析の結果から予測する方法は、充填保圧冷却解析から
得られる各方向の速度成分から内部歪み分布を算出し、
材料データベース9に予め登録している歪み分布と分配
係数の関係から、分配係数λMD、λTDを求めることがで
きる。このステップの処理は、線膨張係数算出プログラ
ム7eの制御に従って実行される。
【0030】(ステップS7)このステップでは、射出
成形品を金型から離型した後、常温に温度が低下するま
でのそり変形量を予測する。このステップの処理は、上
記ステップS6で予測した各シェル要素の各層ごとの線
膨張係数αMD、αTD、データベース9に登録している機
械的特性データ、及びステップS2で作成したシェルモ
デル11のデータを入力データとして、各シェル要素の
各層ごとの変形量を予測する。続いて、この変形量から
射出成形品のそり変形量を予測する。このステップの実
行により、金型から取り出した後の射出成形品の変形量
や応力分布を予測することができる。解析結果は出力装
置5に出力する。なお、このステップの処理はそり変形
予測プログラム7fの制御に従って実行される。
【0031】
【実施例】(実施例1)本発明の実施例について説明す
る。図4(a)に示すポリエチレン製平板の射出成形品
14について変形量の予測を行った。なお、射出成形品
14の寸法は、横300mm、縦130mm、厚さ8.
5mmとし、サイドゲート15を設けた。そして、この
形状の射出成形品14についてシェル要素数を約300
0(節点数約1600)にメッシュ分割したシェルモデ
ルを作成し、さらに各シェル要素を厚さ方向に20層の
均等な厚さを有するように分割した解析用シェルモデル
を作成した。続いて、図2に示すステップS2〜S6の
処理を行った。そして、このシェルモデルについて、射
出成形して離型後、常温に冷却されたときの射出成形品
14の各部位、すなわち側部L1、L3、La、Lc及
び中央部の長さL2,Lbの変形量をステップS7に示
す手順で予測し、その収縮率を求めてみた。このときの
成形条件は表1に示すように2種の条件(成形条件1、
2)について解析した。また、比較のために、従来の解
析方法(シェル要素を層に分割しない解析方法)による
解析を行って収縮率も求めてみた。さらに、表1に示す
成形条件で実際に射出成形品14を成形し、同様に離型
後の収縮率を実測してみた。図5(a)はこの収縮率の
比較結果を示すグラフである。なお、収縮率とは、下記
の式で表わされる値である。
【0032】
【数2】
【0033】
【表1】 (注)冷却時間は、保持時間が経過後、金型内で自然冷
却した時間を示す。
【0034】図5(a)から明らかなように、本発明を
用いた変形量の予測では、実測値と比較した予測誤差
は、従来の解析方法と比較して極めて小さくなることが
判明した。すなわち、各測定箇所の収縮率の予測精度を
平均すると、本発明は従来方法と比較して成形条件1で
は約7%、成形条件2では約33%ほど向上していた。
【0035】(実施例2)実施例1と同様な手順によ
り、図4(b)に示すポリエチレン製の管継手エルボ1
6(内径200mm)について変形量の予測を行った。
なお、管継手エルボ16の解析用モデルは、一様な肉厚
20mmを有し、シェル要素数が約5200(節点数約
2700)にメッシュ分割し、さらに各シェル要素を厚
さ方向に20層に均等に分割したシェルモデルを作成し
た。続いて、本発明により、管継手エルボ16の端部の
直径方向の長さDx、このDxと直交する方向Dy、お
よび胴部Lについて、離型後、常温に冷却されたときの
変形量を予測し、その収縮率を求めた。このときの成形
条件は表2に示す通りである。また、比較のため、従来
の解析方法(シェル要素を層に分割しない解析方法)に
よる解析も行って収縮率を求め、実際の射出成形品(成
形条件は表2に示す条件と同一)の収縮率の実測値と比
較してみた。図5(b)はこの収縮率の比較結果を示す
グラフである。
【0036】
【表2】 (注)冷却時間は、保持時間が経過後、金型内で自然冷
却した時間を示す。
【0037】図5(b)から明らかなように、本発明を
用いた管継手エルボの変形量の予測では、実際に成形し
た成形品に生じた変形量とほぼ同一の予測結果が得られ
た。
【0038】以上の本発明の実施例において、変形量の
予測精度が向する理由は下記によるものと考えられる。 1)本発明は二次元のシェルモデルを用いた解析を行っ
ているが、成形品の肉厚方向を複数の層に分割し、この
分割した各要素ごとに線膨張係数を求めている。そし
て、この線膨張係数を基にして離型後の各層に分割した
要素ごとの変形量を予測しているので予測精度が向上す
るのである。すなわち、充填、保圧、冷却過程において
は、肉厚方向の部位ごとに結晶性樹脂の流動方向、冷却
速度が異なり、従って、結晶化度も異なってくる。本発
明においては、シェルモデルを肉厚方向に複数の層に分
割した各要素ごとに結晶化度を予測し、この結晶化度か
らこの分割した各要素ごとの線膨張係数を予測している
ので、変形量の予測精度を向上させることができるので
ある。
【0039】2)射出成形品の各部位の線膨張係数は、
樹脂の流動方向、この流動方向と直交する方向とでは異
なる。本発明においては、肉厚方向を複数の層に分割し
た要素ごとに樹脂の流動方向、この流動方向と直交する
方向の線膨張係数を予測し、これら線膨張係数を基にし
て射出成形品の変形量を予測するので、予測精度を向上
させることができる。
【0040】以上に説明した発明の実施の形態の説明で
は、二次元のシェルモデルを用いて変形量を予測する方
法について説明したが、三次元解析プログラムを利用し
てソリッドモデルを作成して変形量を予測することも可
能である。この場合は、射出成形品の厚さ方向を複数の
メッシュに分割した形状モデルを用いて解析すればよ
い。
【0041】
【発明の効果】以上に説明した本発明は、次の効果を有
している。 1)射出成形品の変形量を二次元のシェルモデルを用い
て予測しても、その予精度を著しく向上させることがで
きので、予測結果をそり変形が発生しない金型設計に的
確にフィードバックすることができる。 2)本発明は、市販されている2次元の充填保圧冷却解
析プログラムに、本発明を構成する結晶化予測プログラ
ム、線膨張係数予測プログラム等を追加するのみで実施
することができるため、3次元の充填保圧冷却解析プロ
グラムと比較して解析コストを低下させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するためのシミュレーションシス
テムの構成を示す図である。
【図2】本発明を実施するために手順の概要を示すフロ
チャートである。
【図3】本発明に用いる形状モデルの一例を示す図であ
り、(a)シェルモデルの作成したときのシェル要素の
形状を示す図、(b)はシェル要素を厚さ方向に複数の
層に分割したときの分割状態の一例を示す説明図であ
る。
【図4】本発明によりそり変形量を予測したときの射出
成形品の形状を示す説明図であり、(a)は平板状射出
成形品の形状を示す図、(b)は管継手エルボの形状を
示す図である。
【図5】図4に示す射出成形品について、本発明および
従来の方法によりそり変形量の予測を行ったときの予測
精度を示すグラフであり、(a)は平板状射出成形品、
(b)は管継手エルボの予測精度を示す。
【図6】本発明においてシェルモデルの板厚方向を複数
の層に分割する必要性を示す説明図であり、(a)は樹
脂の流動方向を示す図、(b)はシェルモデルの各シェ
ル要素を板厚方向に複数の層に分割する必要性を示す図
である。
【図7】図6に示す射出成形品について、板厚方向の各
層について線膨張係数を測定した結果を示すグラフであ
る。
【図8】射出成形品の変形量を予測するときに、従来の
シミュレーションの手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:コンピュータ本体 2:CPU 3:内部記憶装置 4:入力装置 5:出力装置 6:外部記憶装置 7a:形状モデル作成プログラム 7b:充填保圧冷却解析プログラム 7c:結晶化度予測プログラム 7d:体積膨張係数予測プログラム 7e:線膨張係数予測プログラム 7f:そり変形予測プログラム 8:解析データ記憶部 9:材料データベース 11:シェルモデル 12:ランナ・ゲート 13:シェル要素 14:射出成形品 15:サイドゲート 16:管継手エルボ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シェルモデルを用いて結晶性樹脂からな
    る射出成形品の充填、保圧、冷却過程における前記樹脂
    の挙動を予測して、前記射出成形品の離型後の変形量を
    予測する方法において、前記シェルモデルの各シェル要
    素を厚さ方向に複数の層に分割したモデルを作成し、前
    記複数の層に分割した各シェル要素の各層ごとに樹脂の
    挙動を予測して、前記射出成形品の離型時における前記
    樹脂の流動方向と、前記流動方向と直交する方向の前記
    樹脂の線膨張係数を求め、前記樹脂の流動方向と、前記
    流動方向と直交する方向の前記線膨張係数を用いて前記
    射出成形品の離型後の変形量を予測することを特徴とす
    る射出成形品の変形量予測方法。
  2. 【請求項2】 複数の層に分割した各シェル要素の各層
    ごとに樹脂の結晶化度を予測し、前記結晶化度から前記
    各シェル要素の各層ごとに前記樹脂の流動方向と、前記
    流動方向と直交する方向の前記樹脂の線膨張係数を求め
    ることを特徴とする請求項1に記載の射出成形品の変形
    量予測方法。
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