JP2006082751A - スタビライザシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】実用性の高いスタビライザシステムを得る。
【解決手段】車両に1対のスタビライザ装置10を備えたスタビライザシステムを配備する。スタビライザ装置10は、トーション部50とアーム部52とを有するスタビライザバー40を備えており、そのスタビライザバー40を回転させることによって車体21と車輪20とを接近・離間させる制御力を発生させる。そのスタビライザバー40の動作は、アクチュエータを備えない従来型の1本のスタビライザバーと同様であるため、当該装置10を車両へ導入することが容易である。また、旋回内輪側のスタビライザ装置10の制御力を、外輪側の制御力より大きくすることにより、ロール制御時に車両の重心を低くして、車両の安定性を向上させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車体の姿勢を制御するための動力源を有する1対のスタビライザ装置を備えたスタビライザシステムに関する。
一般的な車両には、車体のロールを抑制するためにスタビライザ装置が設けられている。通常、スタビライザ装置はスタビライザバーを備えており、例えば、従来型のスタビライザバーは、車体に回転可能に支持されるとともに両端部が左右の車輪と連結されており、車体のロール量に応じて捻られて(ねじられて)弾性力を発生し、車体のロール方向の姿勢を安定させる。近年、スタビライザ装置にモータ等の動力源を備えたアクチュエータを設け、車体の姿勢を制御する力を積極的に付与することが検討されている。アクチュエータを備えたスタビライザ装置に関して、例えば、下記特許文献1〜3に記載されたような装置が存在する。中でも、下記特許文献1には、左右に分割されてそれぞれが独立に作動する1対のスタビライザ装置を備えたスタビライザシステムが記載されている。それら1対のスタビライザ装置の各々は、一端部がばね上部材に固定されたスタビライザバーの他端部が、アクチュエータ(ねじりトルク入力機構)を介してばね下部材に連結されて構成されている。そのスタビライザ装置は、アクチュエータによってバーの他端部とばね下部材とを上下方向に相対移動させてスタビライザバーを捻る(ねじる)ことにより、ばね上部材とばね下部材とを接近・離間させる力を発生させ、車体にロール方向の力を付与するのである。
特開2001−63338号公報 特表2002−518245号公報 実開平5−26525号公報
上記特許文献1に記載されたスタビライザ装置は、ばね下部材、詳しくはショックアブソーバの車輪側の部分にアクチュエータが配設されているが、ショックアブソーバ付近には他の部品等(例えば、車輪,スプリング等)が存在しており、アクチュエータを配置する場所の制約が大きいという問題がある。特に前輪側での制約が大きく、例えば、前輪の切れ角を確保することや、スタビライザバーの他端部とショックアブソーバとの相対移動量を大きくすること等が困難である。また、アクチュエータを配置する場所の制約により、アクチュエータを備えない従来型のスタビライザバーを備えた従来の車両に、アクチュエータを備えたスタビライザ装置を導入することが困難になる場合がある。そのような問題は、アクチュエータを備えたスタビライザ装置の問題の一例であり、そのスタビライザ装置を備えたスタビライザシステムには種々の観点からの改良の余地がある。すなわち、アクチュエータを備えたスタビライザ装置に種々の改良を施すことによって、スタビライザシステムの実用性を向上させることができる。本発明は、そういった実情を鑑みてなされたものであり、より実用的なスタビライザシステムを得ることを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明のスタビライザシステムは、左右の車輪の各々に対応して設けられてそれぞれが前記左右の車輪の各々と車体とを接近・離間させる力を発生させる1対のスタビライザ装置を備え、それら1対のスタビライザ装置の各々が、(a)車幅方向に配設された回転軸部と、その回転軸部と連続してその回転軸と交差する方向に延びて端部が前記左右の車輪のうちの対応する車輪を保持する部材に連結されたアーム部とを備えたスタビライザバーと、(b)車体に固定して設けられるとともに、前記スタビライザバーの前記回転軸部と接続されて、前記スタビライザバーを前記回転軸部の軸線回りに回転させるアクチュエータとを含んで構成されたことを特徴とする。
本発明のスタビライザシステムは、スタビライザ装置のアクチュエータが車体に固定して設けられており、アーム部の端部と車輪を保持する部材との間にアクチュエータを設けなくともよいため、配設場所の制約が比較的少なく、車両に導入することが容易である。なお、本発明のスタビライザシステムの各種態様およびそれらの作用および効果については、以下の、〔発明の態様〕の項において詳しく説明する。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に、(2)項と(3)項とを合わせたものが請求項2に、(4)項と(5)項とを合わせたものが請求項3に、(6)項が請求項4に、それぞれ相当する。
(1)左右の車輪の各々に対応して設けられ、それぞれが前記左右の車輪の各々と車体とを接近・離間させる力を発生させる1対のスタビライザ装置を備えたスタビライザシステムであって、
前記1対のスタビライザ装置の各々が、
車幅方向に配設された回転軸部と、その回転軸部と連続してその回転軸と交差する方向に延びて端部が前記左右の車輪のうちの対応する車輪を保持する部材に連結されたアーム部とを備えたスタビライザバーと、
車体に固定して設けられるとともに、前記スタビライザバーの前記回転軸部と接続されて、前記スタビライザバーを前記回転軸部の軸線回りに回転させるアクチュエータと
を含んで構成されたことを特徴とするスタビライザシステム。
本項に記載のスタビライザシステムは、例えば、アクチュエータによって駆動されない従来型の左右輪を連結する1本のスタビライザバー(以後、「従来型のスタビライザバー」と称する場合がある)を中央で分割して1対のスタビライザバーを形成し、それら1対のスタビライザバーの各々を1対のアクチュエータの各々によって回転させるようにしたもの、と大雑把に捉えることができる。本項に記載のスタビライザ装置は、アクチュエータが車体に固定して設けられており、アーム部の端部と車輪を保持する部材との間にアクチュエータを設けなくともよいため、配設場所の制約が比較的少なく、車両に導入することが容易である。また、本項に記載のスタビライザ装置は、スタビライザバーの配置を、従来型のスタビライザバーと同様な配置にすることができ、その場合にも車両に導入することが容易になる。例えば、本項のスタビライザ装置を、配置場所の制約が多い前輪側に設けた場合であっても、従来と同様な車輪の切れ角を容易に確保することができるのである。
なお、本項に記載のスタビライザシステムでは、左右1対のスタビライザ装置の各々が、車両の前輪側,あるいは後輪側の左右の車輪の各々に対応して設けられる。また、本項のスタビライザシステムを前輪側および後輪側の両方に設けることが可能である。さらに、本項のスタビライザシステムを前輪側および後輪側の2対のスタビライザ装置を備えるシステムとすることもできる。
本項に記載のスタビライザバーは、一部材で構成されていてもよく、複数の部材が組み付けられる等して構成されていてもよい。また、回転軸部,アーム部の各々についても、一部材で構成されていてもよく、複数の部材が組み付けられる等して構成されていてもよい。本項のスタビライザバーを構成する部材の材質は、例えば、ばね材とすることができ、その場合には、スタビライザバーの弾性変形によって、アクチュエータの出力が車輪を保持する部材に比較的ソフトに伝達される。また、スタビライザバーを構成する部材の材質は、例えば、比較的剛性の大きな材質とすることができ、その場合には、アクチュエータの出力が車輪を保持する部材に比較的迅速に伝達される。さらに、ばね材によって構成された部材と、剛性の大きな材質の部材とが組み付けられていてもよい。例えば、回転軸部を剛性の大きな部材で構成し、その回転軸部にばね材で構成されたアーム部を取り付けてスタビライザバーを構成すること等ができる。なお、スタビライザバーの形状は、特に限定されないが、例えば、従来の1本のスタビライザバーを中央で分割して形成された概して「L」字状をなす形状とすることができる。
(2)前記アクチュエータが、モータと、そのモータの駆動力を減速して前記回転軸部に伝達する減速機とを備え、それらモータおよび減速機が前記車幅方向に並べられて配設されたものである(1)項に記載のスタビライザシステム。
モータと減速機とを車幅方向に並べることにより、アクチュエータの径(車幅方向と直交する方向の寸法)を小さくすることができ、スタビライザ装置の配置場所の制約を少なくすることができる。モータは、例えば、電動モータとされることが望ましい。その電動モータは、その態様は特に限定されず、例えば、ブラシを備えてコイルを有するロータが回転するモータ,あるいは永久磁石によって構成されたロータをコイルを含んで構成されたステータの磁界によって回転させるモータ(ブラシレスモータ)等のモータとすることができる。減速機は、その態様は特に限定されないが、減速比の大きなものが望ましく、例えば、ハーモニックドライブ(登録商標)機構,遊星歯車機構等を採用した減速機とすることができる。
(3)前記モータが、中空状の駆動軸を有し、その駆動軸が前記車幅方向に延びる状態で配設され、
前記1対のスタビライザ装置の各々が、前記回転軸部の前記アーム部が連続する側とは反対側の端部が、前記アクチュエータ内にその一端部から挿入され、前記モータの前記駆動軸を貫通して前記減速機に接続されて構成されたものである(2)項に記載のスタビライザシステム。
本項に記載の態様は、回転軸部がアクチュエータのモータが配設された側の端部から挿入され、モータを貫通して減速機に接続されており、例えば、減速機が配設された側の端部から回転軸部が挿入されたスタビライザ装置の態様(バーが短い態様)と比較して、回転軸部を長くすることができる。そのため、例えば、回転軸部が捻りばね(トーションバー)として機能している場合には、回転軸部を長くすることによってスタビライザバーの捻り方向のばね定数を小さくすることができる。また、回転軸部を長くすることによって、スタビライザバーの最大捻れ量を大きくすることができる。
(4)当該スタビライザシステムが、
車体のロール状態を推定可能な物理量であるロール推定物理量に基づいて、前記1対のスタビライザ装置の各々が発生する力である制御力を変化させることによって車体のロールを制御する制御装置を備えた(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のスタビライザシステム。
車体のロール状態、例えば、ロールモーメント,ロール加速度,ロール速度,ロール量等の車体のロール方向の運動に関する状態量であるロール状態量を推定できれば、そのロール状態に応じてロールを制御することができる。具体的には、例えば、車体のロールモーメントが推定できれば、例えば、そのロールモーメントを打ち消すように,あるいは減少させるように、1対のスタビライザ装置の各々によって逆向きの制御力を発生させて、ロールを抑制することができる。また、例えば、車体のロール加速度が推定できれば、ロール加速度から車体のロールモーメントを算出することができ、上述と同様にロールを抑制することができる。さらにまた、例えば、車体のロール速度が推定できれば、例えば、そのロール速度を減少させるように制御力を発生させて、ロールを抑制することができる。さらにまた、ロール量が推定できれば、例えば、そのロール量を減少させるように制御力を発生させて、ロールを抑制することができる。なお、上記ロール状態を表すモーメント,加速度,速度,量等のうち複数の状態量に基づいてロールを制御することができる。
上記ロール状態量は、種々の方法で推定することができる。例えば、車体の横加速度(車幅方向,左右方向の加速度)を加速度センサ等により測定すれば、その横加速度に基づいてロール加速度を算出することができる。また、例えば、操舵角および車速度に基づいて、旋回半径を推定すれば、車体に加わる遠心力、つまり、車体に加わる横方向(車幅方向,左右方向)の力を算出することができ、ロールモーメント,ロール加速度を算出することができる。その操舵角および車速度は、車両の旋回状態(旋回半径,旋回時の速度等)を示す量である旋回状態量であると捉えることができる。さらにまた、ロール加速度,ロール変位量を直接推定することもできる。具体的には、例えば、車体の右側部分および左側部分の上下方向の加速度差からロール加速度、変位量の差からロール量を推定することができる。その変位量の差は、加速度差を2回積分することによって算出することや、車体と車輪との間隔の変位量(ストローク量)から推定することができる。以上の例のように、横加速度,操舵角(操舵角および車速度),車体の左右の上下方向の加速度,左右のストローク量等の物理量のうちの少なくとも1つをロール推定物理量とすることができる。そして、制御方法に応じて、上記各種の物理量のうちの少なくとも1つの物理量、すなわちロール推定物理量に基づいて、スタビライザ装置が発生する制御力が変化させられるのである。なお、ロール推定物理量と制御力との関係を予め設定しておけば、ロール状態量を推定しなくとも、ロール推定物理量から直接スタビライザ装置に発生させるべき制御力を取得することができ、ロール推定物理量に基づいてロールを制御することができる。
(5)前記制御装置が、
前記1対のスタビライザ装置の各々によって、互いに逆向き、かつ、互いに大きさが異なる前記制御力を発生させて車体のロールを制御する制御力差発生ロール制御部を備えた(4)項に記載のスタビライザシステム。
アクチュエータを備えない従来型の1本のスタビライザバー、あるいは1つのアクチュエータによって1対のスタビライザバーを捻るスタビライザ装置では、左右の制御力の大きさを異ならせることができなかった。また、1対のスタビライザ装置を備えていても、左右の制御力の大きさを異ならせてロール制御を行うことは何ら検討されておらず、左右の制御力を等しくしてロール制御を行うようにされていた。本項に記載のスタビライザシステムの制御装置は、制御力差発生ロール制御部を備えており、1対のスタビライザ装置が発生する左右の制御力の大きさを異ならせることができる。左右の制御力の大きさを異ならせることにより、ロール時の車体中心の高さを変化させることができる。例えば、懸架装置の種類によってはロール時に車体中心が上昇するジャッキアップ現象,あるいは車体中心が下降するジャッキダウン現象が生じることがあるが、それらを抑制するように左右の制御力を異ならせることができるのである。具体的には、例えば、ジャッキアップ現象を抑制するには、旋回外輪側(車体と車輪とが接近する側)の制御力よりも旋回内輪側(車体と車輪とが離間する側)の制御力を大きくすればよい。
本項に記載の態様では、例えば、1対のスタビライザ装置の各々が発生する互いに大きさの異なる2つの制御力の比、具体的には、上記2つの制御力のうちの大きい方の制御力である第1制御力を、小さい方の制御力である第2制御力で除した値である制御力比を一定の値にして車体のロールを制御することができる。また、制御力比を、例えば、ロール推定物理量の大きさ,あるいはロール推定物理量から推定されるロール状態に応じて変化させることもできる。具体的には、例えば、ローリングモーメントが小さい状態では、制御力比を比較的大きくして1対のスタビライザ装置の制御力によって積極的に車体中心を上昇・下降させ、ローリングモーメントが大きい状態では、制御力比を比較的小さくして車体中心が過剰に上昇・下降しないように制御することができる。また、その逆になるように制御力比を変化させることもできる。また、本項に記載の態様では、例えば、第1制御力と、小さい方の制御力である第2制御力との差である制御力差を一定の値にして車体のロールを制御することができる。また、制御力差を、例えば、ロール推定物理量の大きさ,あるいはロール推定物理量から推定されるロール状態に応じて変化させることもできる。
(6)前記制御力差発生ロール制御部が、
車体のロールによって車体と車輪とが離間する側の前記スタビライザ装置に、接近する側の前記スタビライザ装置の制御力よりも大きな制御力を発生させてロール制御を行うものである(5)項に記載のスタビライザシステム。
本項に記載の制御装置は、車体と車輪とが離間する側(例えば、旋回内輪側)の制御力が大きくなるようにしてロールを抑制するものである。そのため、左右の制御力を等しくしてロールを抑制した場合と比較して、車体中心を下降させて車両の重心位置を低くすることができ、車両の安定性を向上させることができる。そのため、横風等によるロールを抑制する場合や、車両にジャッキアップ現象が生じやすい懸架装置が設けられている場合等に特に効果的である。なお、本項に記載のロール制御による車体の挙動は、ジャッキダウン現象による車体の挙動と異なるものである。それは、ジャッキダウン現象は、車体の旋回外輪側が過剰に沈み込むことによって生じるのに対して、本項に記載のロール制御は、車体の旋回外輪側の沈み込みを抑制しつつ、旋回内輪側の上昇を抑制する制御力、つまり、旋回内輪側を下降させる向きの制御力を大きくすることにより車体中心を下降させているからである。
(7)前記スタビライザ装置が、
車体と車輪との間に、サスペンションスプリング機構とショックアブソーバ機構とが並列に配設された車両に設けられるものである(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のスタビライザシステム。
本項に記載のスタビライザ装置は、サスペンションスプリング機構およびショックアブソーバ機構とともに作動して、車体のロールを制御すること等により車体姿勢を安定化させるものである。なお、本項に記載のスタビライザ装置は、ロールの制御に加えて、ピッチングの制御,バウンスの制御等の他の制御のために作動させることもできる。
(10)1の車輪に対応して設けられ、車幅方向に配設される回転軸部と、その回転軸部と連続してその回転軸と交差する方向に延びて端部が車輪を保持する部材に連結されるアーム部とを有するスタビライザバーと、
車体に固定して設けられるとともに、前記スタビライザバーの前記回転軸部と接続されて、前記スタビライザバーを前記回転軸部の軸線回りに回転させるアクチュエータと
を含んで構成されることを特徴とするスタビライザ装置。
本項に記載のスタビライザ装置は、上記(1)項に記載のスタビライザシステムが備えるスタビライザ装置と同様である。また、本項に記載のスタビライザ装置には、上記(2)項,(3)項または(7)項に記載された態様の技術的特徴を適用することも可能である。
(11)左右の車輪の各々に対応して設けられ、それら左右の車輪の各々と車体とをそれぞれ接近・離間させる力を発生させる1対のスタビライザ装置と、
車体のロール状態を推定可能な物理量であるロール推定物理量に基づいて、前記1対のスタビライザ装置の各々が発生する力である制御力を変化させることによって車体のロールを制御する制御装置と
を備えたスタビライザシステムであって、
前記制御装置が、前記1対のスタビライザ装置の各々によって、互いに逆向き、かつ、互いに大きさが異なる前記制御力を発生させて車体のロールを制御する制御力差発生ロール制御部を備えたものであることを特徴とするスタビライザシステム。
本項に記載の制御装置は、上記(5)項に記載のスタビライザシステムが備える制御装置と同様である。本項に記載のスタビライザシステムには、上記(6)項または(7)項に記載された態様の技術的特徴を適用することが可能である。なお、本項に記載のスタビライザ装置の態様は特に限定されず、種々の態様を採用することができる。本項に記載のスタビライザ装置を、例えば、アクチュエータと、車輪を保持する部材にアクチュエータの駆動力を伝達する伝達部材とを含むものとすることができる。
以下、本発明の一実施例およびその変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、決して下記の実施例に限定されるものではなく、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
1. 第1実施例.
図1に、請求可能発明の実施例であるスタビライザ装置およびそれを備えたスタビライザシステムが配備された車両懸架システムの前輪を懸架する部分を概略的に示す。なお、図示を省略する後輪側の部分にもスタビライザシステムが配備されているが、前輪側と構成が同様であるため、前輪側のスタビライザシステムを代表的に説明する。本車両懸架システムは、1対のスタビライザ装置10を備えたスタビライザシステム12およびサスペンション装置16を含んで構成されている。サスペンション装置16は、概ね上下方向において、車輪20を車体21に接近離間可能に保持し、路面の凹凸,あるいは車両の操舵に起因する車体21の揺れや姿勢の変化を抑制する装置である。そのサスペンション装置16は、本実施例において、一端部が車体21に回動可能に連結され、他端部が車輪20に連結されたアッパアーム22およびロアアーム24を備えている。それら、アッパアーム22およびロアアーム24は、車輪20が車体21に接近離間するに伴い上記一端部(車体側)を中心に回動させられ、上記他端部(車輪側)が車体21に対して上下させられる。また、サスペンション装置16は、ショックアブソーバ機構30と、スプリング機構32とを備えている。ショックアブソーバ機構30は、その上端部において車体21と連結され、下端部においてロアアーム24と連結されている。そして、スプリング機構32の弾性力によって車体21を弾性的に支えるとともに、ショックアブソーバ機構30によってロアアーム24の回動に対して減衰力を発生させて車体21の揺れを減衰するようにサスペンション装置16が構成されているのである。
2. スタビライザ装置.
スタビライザ装置10は、スタビライザバー40,そのスタビライザバー40を回転させるアクチュエータ42とを含んで構成されている。スタビライザバー40は、アクチュエータ42に接続された回転軸部としてのトーション部50と、そのトーション部50から車輪20側で車両後方側に延びるアーム部52とを有している。車体21には車幅方向に離間して支持具54が配設されており、その支持具54によってトーション部50が軸線回りに回転可能に支持されている。また、ロアアーム24にはアーム連結部材56が固定されており、そのアーム連結部材56にアーム部52の端部60が連結されている。すなわち、ロアアーム24の回動に伴い、アーム部52の端部60が車体21に対して上下させられ、スタビライザバー40がトーション部50の軸線回りに回転させられるようにされているのである。
1対のアクチュエータ42は、同じ構造のものが互いに逆向きに配設されているため、代表的に、図2に、左側に配設されたアクチュエータ42の構造を概略的に示す。アクチュエータ42は、ハウジング70,電動モータ72(以後、単に「モータ」と略記する場合がある),およびモータ72の駆動力を減速する減速機74を含んで構成されている。ハウジング70は、概して円筒状をなしており、その外周部に取付部76が設けられている。その取付部76が車体21に固定されることにより、アクチュエータ42が車体に固定されている。モータ72は、本実施例において、ハウジング70の車輪側(図において左側)の内部に設けられており、そのハウジング70に軸方向に移動不能かつ回転不能に保持されたステータ82と、ハウジング70に回転可能に保持されたロータ84とを含むものである。ハウジング70内には、軸支持壁86,88が設けられており、それら軸支持壁86,88の各々に設けられた支持穴において、中空円筒状の駆動軸80が回転可能に保持され、その駆動軸80の外周側にロータ84が固定されている。
減速機74は、本実施例において、ハーモニックドライブ(登録商標)等と称される波動歯車機構とされており、ハウジング70の車両右側の内部に設けられている。波動歯車機構は、波動発生器90,フレキシブルギヤ92およびリングギヤ94を備えている。波動歯車機構は公知のものであるため、詳細な図示は省略する。波動発生器90は、楕円状カムの外周にボール・ベアリングが嵌められたものであり、入力軸たる駆動軸80の外周部に固定されている。フレキシブルギヤ92は、容器状(例えば、桶状,カップ状)をなす弾性体であり、容器状の開口部外周に複数の歯が形成されている。リングギヤ94は、概してリング状をなし、その内周に複数(フレキシブルギヤ92よりやや多い(例えば2つ多い)数の歯が形成されており、ハウジング70に固定されている。フレキシブルギヤ92は波動発生器90によって楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸の部分では、リングギヤ94と歯が噛み合い、短軸の部分では、歯が完全に離れた状態となる。波動発生器90が1回転(360度)すると、フレキシブルギヤ92は、波動発生器90の回転方向と反対の方向に、リングギヤ94との歯数の差分だけ回転させられる。すなわち、本実施例において、波動歯車機構は、駆動軸80の回転を減速してフレキシブルギヤ92から出力するようにされており、言い換えれば、モータ72の駆動力によってフレキシブルギヤ92をハウジング70に対して相対回転させるようにされているのである。なお、本実施例において、波動発生器90が、モータ72の駆動力が伝達される入力部として機能し、フレキシブルギヤ92が、モータ72の駆動力を減速して出力する出力部として機能している。
ハウジング70のモータ72が配設されている側の端部であるモータ側端部112には、支持穴114が設けられており、その支持穴114からスタビライザバー40が挿入されている。そのスタビライザバー40は、モータ72(詳しくは、駆動軸80の中空部)を貫通して減速機74のフレキシブルギヤ92に相対回転不能に固定され、さらに、フレキシブルギヤ92を貫通している。ハウジング70内には、スタビライザバー40を支持するためのバー支持壁120が設けられており、そのバー支持壁120の支持穴において、スタビライザバー40の端部が回転可能に支持されている。なお、駆動軸80の内周面と、スタビライザバー40のトーション部50の外周面との間には一定のクリアランスが確保されている。
すなわち、スタビライザ装置10は、モータ72の駆動力によってフレキシブルギヤ92を回転させることにより、スタビライザバー40のトーション部50を回転させる。そして、トーション部50が回転することにより、アーム部52が回動して、ロアアーム24を車体21に対して押し下げるあるいは持ち上げる力、言い換えれば、車体21のサスペンション装置16が配設された箇所を上昇あるいは下降させる力として作用する。すなわち、本実施例のスタビライザ装置10は、アクチュエータ42を作動させてスタビライザバー40の回転量を変化させることによって、車体の姿勢を変化させるのである。
なお、ハウジング70内には、軸支持壁86のモータ72側の部分に、回転位置検出装置たる回転位置センサ170が設けられている。その回転位置センサ170は、駆動軸80の外周に固定されたコード板172の回転位置に基づいて、ハウジング70に対するロータ84の回転位置を検出するものであり、この回転位置から、モータ72の回転速度,回転量等が取得される。
本実施例において、車両懸架システムは、スタビライザ装置10(詳しくは、アクチュエータ42)を制御する制御装置176(図1)を備えている。その制御装置176は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されており、その制御装置176には、上記回転位置センサ170と共に、操舵角検出装置としての操舵角センサ180,車速検出装置としての車速センサ182,および横加速度検出装置としての横加速度センサ184が接続されている。また、制御装置176には、駆動回路186を介してアクチュエータ42のモータ72が接続されている。制御装置176のコンピュータのROMには、スタビライザ装置制御プログラム等、種々のプログラムおよびデータ等が記憶されている。
3. ロールの制御.
本実施例のスタビライザシステム12において、制御装置176は、スタビライザ装置制御プログラムの一種である旋回時ロール制御プログラムをコンピュータによって短時間毎に繰り返し実行して、スタビライザ装置10を適切に作動させることにより車両旋回時のロールを制御する。図3に、旋回時ロール制御プログラムのフローチャートを示し、そのフローチャートに沿って車両旋回時のロール制御について説明する。
ステップ1(以後、ステップ1を「S1」と略記し、他の符号についても同様とする)において、車速度が設定速度V1を超えているか否かが判定される。S2において、操舵角が設定角度を超えると旋回状態であると判定される。本実施例において、ある程度のコーナリングフォースが発生する速度域でロール制御を行うようにされており、車速度が設定速度V1を超え、かつ、ステアリング操作角度が設定角度を超えると旋回状態であると判定され、ロール制御が行なわれるようにされているのである(S1,S2)。
ロール制御が行われない場合には、S3において、1対のスタビライザ装置10のいずれもがフリーにされ、詳しくは、モータ72への配線回路が開かれてモータ72が容易に空回りするようにされる。そのため、車体21と車輪20との間隔が接近・離間するのに伴いスタビライザバー40が比較的小さな抵抗で回転する。すなわち、本実施例において、直進状態等の旋回状態以外の状態では、スタビライザバー40が自由に回転できるようにされるため、例えば、片方の車輪20が***に乗り上げた場合等には、その片方の車輪20が比較的スムーズに車体21に接近することができ、車体21の揺れを低減することができるのである。
ロール制御が行なわれる場合には、S4において、横加速度センサ184の出力信号に基づいて横加速度Gyが取得され、S5において、横加速度Gyの向きから左右の車輪20のいずれか一方が旋回内輪とされ、他方が旋回外輪とされる。具体的には、例えば、車体21が右側に加速されている場合には、左側の車輪20が旋回外輪で、右側の車輪20が旋回内輪であると判定される。
S6において、ロール推定物理量の一種としての横加速度Gyに基づいて、左右の車輪20の各々に対応して設けられたスタビライザ装置10に発生させるべき制御力が取得される。制御装置176のROMには、横加速度Gyの値に対する標準的な制御力である標準制御力Fsの値が記録されている。その標準制御力Fsは、両側のスタビライザ装置に同じ大きさの制御力を発生させてロールを制御する場合の制御力の大きさであり、その標準制御力Fsに基づいて旋回内輪側の制御力Fiと旋回外輪側の制御力Foとが演算される。図4に、横加速度Gyと制御力の大きさとの関係をグラフ化して概略的に示す。この図において、標準制御力Fsを1点鎖線で、旋回内輪側の制御力Fiを実線で、旋回外輪側の制御力Foを波線で示す。この図から分かるように、旋回内輪側の制御力Fiが、旋回外輪側の制御力Foより大きくなるようにされている。なお、制御力は、旋回内輪側において車体を下降させる向きに、旋回外輪側において車体を上昇させる向きに発生させられる。
ここで、旋回内輪側の制御力Fiと旋回外輪側の制御力Foとは、それぞれ式1,2によって求められる。
[式1] 旋回内輪側の制御力 Fi=(1+C)Fs
[式2] 旋回外輪側の制御力 Fo=(1−C)Fs
なお、Cは、横加速度Gyの値に対する制御力Fiと制御力Foとの比である制御力比を決定するための値である制御力比決定値であり、横加速度Gyの値に応じた制御力比決定値Cの値が制御装置176のROMに記録されている。また、その制御力比決定値Cは、0<C≦1の範囲内の値にされている。なお、本実施例において、制御力が大きくされる旋回内輪側の制御力Fiと、旋回外輪側の制御力Foとの比である制御力比Fi/Foは「(1+C)/(1−C)」となる。
制御力比決定値Cの値は、横加速度Gyが、設定された値G1以下の状態では、一定の値とされており、制御力比が一定になるようにされている。一方、横加速度Gyが、設定された値G1を超えると、Gyの増加に伴ってCの値が減少させられて、制御力比が小さくなるようにされる。それは、ロールモーメントMが大きくなった場合(すなわち、Gy>G1)に、旋回内輪側のアクチュエータ42の負荷が大きくなりすぎないようにしたものである。なお、スプリング機構32のばね定数が小さい場合等には、ロールモーメントMが大きくなった際に車体21の旋回外輪側の沈み込みが大きくなる虞があるが、上述のように、横加速度Gy>G1の状態において、旋回内輪側と旋回外輪側との制御力の差を小さくすることにより、ロールモーメントMが大きい状態での旋回外輪側の沈み込みを効果的に抑制することができる。
なお、式1,2から分かるように、旋回内輪側の制御力Fiの大きさと旋回外輪側の制御力Foの大きさとの和が、標準制御力Fsの2倍の大きさになるようにされている。そして、旋回内輪側および旋回外輪側の各々のスタビライザ装置10が標準制御力Fsを発生させた場合に、車体21に作用するロールモーメントである標準制御モーメントの大きさと、旋回内輪側の制御力Fiと旋回外輪側の制御力Foとによって車体21に作用するロールモーメントである実制御モーメントの大きさとが等しくなるようにされている。
本実施例において、横加速度Gy≦G1の場合には、制御力比を一定にしてロール制御を行う態様となる。一方、横加速度Gy>G1の場合には、Cの値が横加速度Gyに応じて連続的に変化させられており、横加速度Gy>G1の状態において、制御力比を横加速度Gyに応じて連続的に変化させてロール制御を行う態様となる。また、本実施例において、横加速度GyがG1より小さい場合(ロールモーメントMが小さい場合)に比較して、横加速度GyがG1より大きい場合(ロールモーメントMが大きい場合)の制御力比が小さくされる態様とされている。さらにまた、ロール推定物理量の一種である横加速度Gyの大きさ,あるいはロール状態の一種であるロールモーメントMの大きさに応じて、制御力比を変化させる態様とされている。
S6において、左右の車輪20の各々に対応するスタビライザ装置10が発生すべき制御力が式1,2によって求められると、S7において、制御装置176の指令によって駆動回路186から各アクチュエータ42に電力が供給される。具体的には、制御装置176が、旋回内輪側および旋回外輪側の駆動回路186の各々に、それぞれ制御力Fi、制御力Foを発生させるための電流値を含む信号である制御力発生指令を送信する。その指令を受けた駆動回路186は、旋回内輪側,旋回外輪側のアクチュエータ42のモータ72に供給する電流が上記電流値になるようにしてモータ72を作動させるのである。そして、1対のスタビライザバー40の各々が回転させられて旋回内輪側および旋回外輪側に制御力が発生し、その制御力によってロールが抑制される。
以上の処理が繰り返し行われ、旋回状態において、横加速度Gyに応じた制御力が1対のスタビライザ装置10によって発生させられてロールが抑制される。その際には、旋回内輪側のスタビライザ装置10が発生する制御力Fiが、標準制御力Fsよりも大きくされ、一方、旋回外輪側の制御力Foが標準制御力Fsよりも小さくされている。そのため、1対のスタビライザ装置10の各々に標準制御力Fsを発生させた場合と比べて、ロール角度(ロール量の一種である)は同様の大きさになるのに対し、車高は旋回内輪側および旋回外輪側のいずれにおいても低くなる。すなわち、本実施例のスタビライザシステム12は、旋回内輪側の制御力Fiが旋回外輪側の制御力Foよりも大きくなるようにされており、1対のスタビライザ装置10の各々に標準制御力Fsを発生させる場合と比べて、車体のロール時の車体中心の位置を低くすることにより車両の重心位置を低くすることができ、車両の安定性を向上させることができるのである。
なお、図1には、制御装置176の機能的な構成要素である制御力差発生ロール制御部200が図示されている。その制御力差発生ロール制御部200は、制御装置176の、制御力比決定値Cを記憶する部分と、ロール制御プログラムのS6の処理を実行して旋回内輪側および旋回外輪側との制御力を取得する部分とを含んで構成されている。なお、本実施例において、制御力差発生ロール制御部200は、旋回内輪側の制御力を大きくする旋回内輪側制御力増加型の制御力差発生ロール制御部とされている。
本実施例のスタビライザ装置10は、スタビライザバー40が、モータ72を貫通して減速機74に接続された態様とされている。そのため、例えば、スタビライザバー40がハウジング70の減速機側74の端部から挿入された態様と比較して、スタビライザバー40のトーション部50が長くされている。そのため、トーション部50が弾性的に捻れることによって、アクチュエータ42の出力部とロアアーム24との間に過大な力が作用することが防止されている。具体的には、例えば、旋回状態において、旋回外輪側のアクチュエータ42によってスタビライザバー40が回転させられて、ロアアーム24を押し下げる向きの力が作用している際に、その旋回外輪が路面の凸部を通過したような場合には、その路面からの逆入力によってロアアーム24が一時的に押し上げられてスタビライザバー40のアーム部52が逆向きに回動させられるが、トーション部50の弾性的な捻れによってその回動が吸収される。そのため、路面の凹凸による振動が車体21に伝わりにくくなる。また、スタビライザバー40,アクチュエータ42等が損傷しにくくなる。
また、本実施例のスタビライザ装置10において、スタビライザバー40が、モータ側端部112とバー支持壁120とにおいて、回転可能に支持されている。そのモータ側端部112とバー支持壁120とは、モータ72および減速機74を挟んで互いに離間して配設されているため、スタビライザバー40のトーション部50が充分に離間した2つの箇所において支持されている。そのため、アクチュエータ42は、トーション部50に作用する軸線と交差する方向の力をしっかり受け止めることができる。
4. 変形例.
上記実施例において、横加速度GyがG1を超えると、制御力比が小さくされていた。しかしながら、アクチュエータ42の負荷を考慮しなくてもよい場合には、ロールモーメントMが大きくなっても(すなわち、Gy>G1)、旋回内輪側と旋回外輪側との制御力の各々を、Cの値を一定にしたまま、それぞれ式1,2によって求めることもできる。また、上記実施例において、制御力比が一定にされていたが、制御力差を一定にしてロール制御を行うこともできる。例えば、横加速度GyがG1以下の場合には制御力比を一定にし、G1を超えた場合には制御力差を一定にしてロール制御を行うこともできる。
上記実施例において、旋回内輪側の制御力Fiが、旋回外輪側の制御力Foよりも大きくなるように制御されていた。しかしながら、車両が、ストラット式サスペンション等のようにジャッキダウン傾向のある懸架機構を備えていた場合には、旋回外輪側の制御力Foを、旋回内輪側の制御力Fiよりも大きくし、ジャッキダウン現象を抑制するように制御することができる。その場合には、制御装置が旋回外輪側制御力増加型の制御力付与部を備えていればよい。前輪側にジャッキダウン傾向のある懸架機構(ストラット式サスペンション)、後輪側にジャッキアップ傾向の懸架機構(例えば、セミトレーリング・アーム式サスペンション)が設けられていた場合等には、前輪側において、旋回外輪側の制御力Foを大きくし、後輪側において旋回内輪側の制御力Fiを大きくするといった制御を行うことも可能である。
上記実施例において、制御装置176のROMには、横加速度Gyに対する標準制御力Fsおよび制御力比決定値Cが予め記録されていたが、制御力Fi,Foを記録しておくこともできる。また、横加速度Gyではなく、操舵角および車速度に対する制御力等を予め設定しておくこともできる。操舵角および車速度に基づいて制御力等を取得することにより、例えば、横加速度センサによって横加速度Gyが検出されるよりも前にロールの発生を予測できるため、迅速なロール制御が可能となる。
上記実施例では、S2において、操舵角に基づいて旋回状態か否かが判定されていた。その旋回状態の判定を、ヨーレイトγ、あるいは車体横滑り角β等に基づいて行うこともできる。具体的には、例えば、車体に設けられたヨーレイトセンサの測定値、あるいは次の式で求められた車体横滑り角βが、設定された値を超えた時に旋回状態であると判定するようにすることができる。
[式3] 車体横滑り角β=∫{(Gy/V)−γ}dt (V:車速度)
さらに、例えば、操舵角と車体横滑り角βとに基づいて旋回状態か否かを判定することもできる。具体的には、例えば、操舵角が設定角度を超えた時、または、車体横滑り角βが設定された値を超えた時に旋回状態であると判定するようにすることができる。
請求可能発明の実施例であるスタビライザ装置,およびそれを備えたスタビライザシステムが配備された車両懸架システムの概略を示す図である。 上記スタビライザ装置の構成要素であるアクチュエータを概念的に示す正面断面図である。 上記スタビライザ装置を制御するロール制御プログラムのフローチャートである。 横加速度と、標準制御力,旋回内輪側および旋回外輪側の各々の制御力との関係を示す図である。
符号の説明
10:スタビライザ装置 12:スタビライザシステム 16:サスペンション装置 20:(左側,右側)車輪 21:車体 40:スタビライザバー 42:アクチュエータ 50:トーション部 52:アーム部 70:ハウジング 72:電動モータ 74:減速機 80:駆動軸 82:ステータ 84:ロータ 90:波動発生器 92:フレキシブルギヤ 94:リングギヤ 170:回転位置センサ 180:操舵角センサ 182:車速センサ 184:横加速度センサ 200:制御力差発生ロール制御部

Claims (4)

  1. 左右の車輪の各々に対応して設けられ、それぞれが前記左右の車輪の各々と車体とを接近・離間させる力を発生させる1対のスタビライザ装置を備えたスタビライザシステムであって、
    前記1対のスタビライザ装置の各々が、
    車幅方向に配設された回転軸部と、その回転軸部と連続してその回転軸と交差する方向に延びて端部が前記左右の車輪のうちの対応する車輪を保持する部材に連結されたアーム部とを備えたスタビライザバーと、
    車体に固定して設けられるとともに、前記スタビライザバーの前記回転軸部と接続されて、前記スタビライザバーを前記回転軸部の軸線回りに回転させるアクチュエータと
    を含んで構成されたことを特徴とするスタビライザシステム。
  2. 前記アクチュエータが、中空状の駆動軸を有してその駆動軸が前記車幅方向に延びる状態で配設されたモータと、そのモータと前記車幅方向に並べられて配設されて前記モータの駆動力を減速して前記回転軸部に伝達する減速機とを備え、
    前記1対のスタビライザ装置の各々が、前記回転軸部の前記アーム部が連続する側とは反対側の端部が、前記アクチュエータ内にその一端部から挿入され、前記モータの前記駆動軸を貫通して前記減速機に接続されて構成されたものである請求項1に記載のスタビライザシステム。
  3. 当該スタビライザシステムが、
    車体のロール状態を推定可能な物理量であるロール推定物理量に基づいて、前記1対のスタビライザ装置の各々が発生する力である制御力を変化させ、互いに逆向き、かつ、互いに大きさが異なる前記制御力を発生させて車体のロールを制御する制御力差発生ロール制御部を有する制御装置を備えた請求項1または2に記載のスタビライザシステム。
  4. 前記制御力差発生ロール制御部が、
    車体のロールによって車体と車輪とが離間する側の前記スタビライザ装置に、接近する側の前記スタビライザ装置の制御力よりも大きな制御力を発生させてロール制御を行うものである請求項3に記載のスタビライザシステム。
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