JP2006065091A - ヘッドアップディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】 運転者の視点の高さが変わった場合に、コンバイナの角度を変えることなく、運転者が表示像を視認できるように、調整することができるヘッドアップディスプレイ(HUD)を提供する。
【解決手段】 ケース1の内部に配置された映像を投影する表示器2と、虚像を表示するコンバイナ3とを有するいわゆるポップアップ式のHUDにおいて、表示器2から投射された光をコンバイナ3に向けて反射する折り返しミラー4と、折り返しミラー4で反射した表示器2の光が、コンバイナ3の中心点3cに入射するように、折り返しミラー4を表示器2に向かって前後方向に移動させる可動機構部とを有する構成とする。この可動機構部より、コンバイナ3で入反射する光の角度を変え、運転者の視点の高さが変わっても、運転者が表示像を視認できるようにすることができる。
【選択図】 図5
【解決手段】 ケース1の内部に配置された映像を投影する表示器2と、虚像を表示するコンバイナ3とを有するいわゆるポップアップ式のHUDにおいて、表示器2から投射された光をコンバイナ3に向けて反射する折り返しミラー4と、折り返しミラー4で反射した表示器2の光が、コンバイナ3の中心点3cに入射するように、折り返しミラー4を表示器2に向かって前後方向に移動させる可動機構部とを有する構成とする。この可動機構部より、コンバイナ3で入反射する光の角度を変え、運転者の視点の高さが変わっても、運転者が表示像を視認できるようにすることができる。
【選択図】 図5
Description
本発明は、コンバイナを用いて運転者に情報を表示するヘッドアップディスプレイ(以下では、HUDと呼ぶ)に関するものである。
従来、HUDの1つとして、フロントガラスとは別のコンバイナと、表示器とを有する構成のものがある。これは、ハーフミラー等により構成されたコンバイナをインストルメントパネル(ダッシュボード)の上面に配置し、フロントガラスよりも運転者側に配置されたこのコンバイナに対して、液晶表示器等の表示器から投射された光を入射させることで、コンバイナに虚像を表示するものである(例えば、特許文献1、2参照)。
さらに、このようなHUDとしては、非使用時ではコンバイナを倒し、使用時ではコンバイナに像が表示されるように、コンバイナを起きあがらせる、いわゆるポップアップタイプのものや、コンバイナが常に起きあがった状態のタイプのものがある。
また、このようなHUDでは、運転者の体格やシートの形状等によって、運転者の視点の高さが異なるので、運転者の視点の位置が変わっても、運転者が表示像を視認できるように調整する機構部を有している。具体的には、コンバイナの下端を中心にして車両の前後方向にコンバイナを回転させる回転動作機構により、コンバイナの車両前後方向における角度(起き上がり角度)を微調整することで、運転者の視域を調整するようになっている。
特開平11−85052号公報
特開平11−91403号公報
しかし、HUDを搭載する車種によっては、上記したコンバイナの角度を微調整するという方法を採用できない問題があった。
例えば、コンバイナの角度を変えた場合、コンバイナの位置が変わってしまうことで(特にコンバイナが高くなることで)、車両前方における運転者の下方視界を妨げてしまう場合があった。また、コンバイナの角度によっては、フロントガラスにコンバイナが当たってしまうため、コンバイナの角度を変更することができない場合があった。
本発明は、上記点に鑑み、運転者の視点の高さが変わった場合に、コンバイナの角度を変えることなく、運転者が表示像を視認できるように、調整することができるHUDを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、表示器(2)から投射された光を反射させて、コンバイナ(3)に入射させる反射鏡(4)と、コンバイナ(3)の外形に対する表示像の位置を変えないで、反射鏡(4)と表示器(2)との距離を変える方向に、反射鏡(4)を平行移動させる移動手段(61、62、63、64、65、66)とを備えることを特徴としている。
この移動手段により、反射鏡をこのように移動させることで、反射鏡からコンバイナに入射する光の入射角およびコンバイナで反射する光の反射角を変えることができる。
これにより、運転者の視点の高さが変わった場合に、コンバイナの角度を変えることなく、運転者が表示像を視認できるように、調整することができる。
反射鏡(4)と表示器(2)との距離を変える方向としては、請求項2に示すように、例えば、表示器(2)から反射鏡(4)へ入射する光の光軸方向とすることができる。
また、請求項3に示すように、例えば、HUDに、コンバイナ(3)を起こした状態や、コンバイナ(3)を倒した状態とするように、コンバイナ(3)を回動させる回動手段(12、13、14、15、16、17)を備えさせることもできる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
図1〜5に、本発明の第1実施形態におけるHUDの構成を示す。図1は、非使用時におけるHUDの側面図であり、図5は、使用時におけるHUDの側面図であり、図2〜4は、非使用時から使用時に至るまでの各段階におけるHUDの側面図である。
図1〜5に、本発明の第1実施形態におけるHUDの構成を示す。図1は、非使用時におけるHUDの側面図であり、図5は、使用時におけるHUDの側面図であり、図2〜4は、非使用時から使用時に至るまでの各段階におけるHUDの側面図である。
本実施形態のHUDは、いわゆるポップアップ式のHUDであり、例えば、インストルメントパネルの上面に設けられた凹部に埋め込むように設置される。なお、各図の右側が運転者側であり、左側が車両の前方側である。
HUDは、各図に示すように、ケース1と、シャッター1a、1bと、表示器2と、コンバイナ3と、反射鏡としての折り返しミラー4と、防塵カバー5とを備えている。
ケース1は、直方体の箱であり、図1に示すように、HUDの非使用時に、表示器2、コンバイナ3、折り返しミラー4、防塵カバー5を収納するものである。ケース1は、例えば、ケース1の上面と、インストルメントパネルの上面とが一致するように、配置される。
シャッター1a、1bは、ケース1の上面に設けられており、図1に示すように、非使用時では、ケース1の蓋をし、図5に示すように、使用時では、図示しない可動機構部によって、開くようになっている。シャッター1a、1bは、遮光性のものである。
表示器2は表示像を映し出すものであり、例えば、液晶表示器が用いられる。表示器2は、図1に示すように、ケース1の底面に設置されており、取り付けピン2a等により固定されている。取り付けピン2aは、ケース1に設けられた穴1cに差し込むようになっており、ケース1の複数の位置に穴1cが設けられている。これにより、表示器2の固定位置が変えられるようになっている。なお、この固定位置の可変方向は、表示器2から投射される光(後述する図5中の光6a)の光軸と平行な方向である。
コンバイナ3は、フロントガラスよりも運転者側に位置し、表示器2から投射された光が入射されることで、虚像を表示するものである。コンバイナ3は、像を表示する表示部3aと、表示部3aを支持する支持部3bとを有している。表示部3aは、ハーフミラー(凹面鏡)となっている。表示部3aおよび支持部3bは、透明な樹脂により一体的に形成されている。なお、表示部3aおよび支持部3bは、一体成形でなくても良い。
また、図1に示すように、コンバイナ3は、非使用時では、倒れた状態でケース1に収納される。このとき、表示部3aの表示面は略水平となっている。また、コンバイナ3は、図5に示すように、使用時では、後述する図示しない可動機構部によって、倒れた状態から起き上がるようになっている。
折り返しミラー4は、光路を折り返すためのものであり、ケース1の底面に設置されている。本実施形態では、図5に示すように、表示器2から水平方向(図中左右方向)に投射された光(映像)を、折り返しミラー4が、上方向に反射させて、反射させた光をコンバイナ3に入射させるように配置されている。また、折り返しミラー4は、後述する図示しない可動機構部によって、前後(図中左右方向)に移動可能となっている。
防塵カバー5は、図5に示すように、コンバイナ3が起きあがった状態のときに、ケース1内に埃やゴミなどが入るのを防ぐものである。防塵カバー5は、非使用時では、図1に示すように、ケース1の内部に収納され、使用時では、図5に示すように、後述する図示しない可動機構部によってケース1の上面上に位置する。
また、防塵カバー5は、図5に示すように、表示器2からの光が透過する面5aと、透過しない面5bと、三角形状の側面5cとを有している。表示器2からの光が透過する面5aは透明であり、透過しない面5bは不透明となっている。これらの面5a、5bは、例えば、アクリルなどのあらかじめ透明な材料で一体に成型され、表示器2からの光が透過しない面5bが黒色に塗装されることで形成される。透過しない面5bが不透明なのは、外光が折り返しミラー4で反射して、運転者の目に入ることを防ぐためである。
また、防塵カバー5は、図5に示すように、透明な面5aと、不透明な面5bとにより、山型形状となっている。すなわち、表示器2からの光が透過する面5aは、水平方向に対して斜めになっている。これは、外光が防塵カバー5に反射して、運転者の目に入ることを防ぐためである。
また、HUDは、図示しないが、上記した各可動機構部を制御するための制御部を有している。HUDは、この制御部により、各可動機構部が制御されることで、以下のように作動する。
まず、図2に示すように、シャッター1a、1bが開く。これにより、ケース1の上面に、コンバイナ3と防塵カバー5とをせり上げるための開口部が形成される。このとき、シャッター1aは起き上がった状態で保持される。HUDの使用時において、外光が防塵カバー5に反射して、運転者の目に入るのを防ぐためである。
その後、図3に示すように、開口部からコンバイナ3が起き上がり、所望の角度になる。この所望の角度とは、コンバイナ3に表示される虚像を運転者が視認できる角度である。
続いて、図4に示すように、コンバイナ3が上昇する。この上昇方向は、HUDの使用時において、コンバイナ3に入射する光(後述する折り返しミラー4で反射された表示器2からの光6b)の光軸上、すなわち、光軸方向と平行な方向である。また、上昇する高さは、表示部3aの位置が、表示像の視認性の良い位置となるように、車種毎にあらかじめ設定されている。なお、図示しないが、上昇する高さに応じて、表示器2の固定位置が設定されている。
その後、図5に示すように、防塵カバー5が開口部からせり上げられる。このようにして、HUDが使用状態となる。
HUDの使用時では、表示器2から、車両の前方(図中左方向)に向かって、光(映像)6aが投射される。そして、その光6aは、折り返しミラー4で上方向に反射されて、その反射光6bがコンバイナ3の表示部3aに入射する。表示部3aで反射した反射光6cが運転者の目に入るようになっている。
これにより、運転者は、コンバイナ3の表示部3aで、反射光6cの進む方向の延長線上に、前方の景色と重ねて、表示器2から投影された種々の情報の表示を視認することができる。
なお、上記した光6a、6b、6cの進む方向(光軸)は、アイレンジ7の中心7aと、表示器2の表示中心と、コンバイナ3、折り返しミラー4とによって、決定されるものである。アイレンジ7は、一般的な運転者の目が位置する範囲のことであり、アイレンジの中心7aは標準的な運転者の目の高さに相当する。アイレンジは、車両のシートの高さで定まるものである。
また、後述するように、運転者の目の高さが標準よりも低かったり、高かったりする場合では、運転者の視域を満足させるために、運転者の目の高さに応じて、図5中の破線で示すように、折り返しミラー4が平行移動する。
次に、上記した作動を可能とする各可動機構部の構造について説明する。図6にコンバイナ3の可動機構部の側面図を示す。上記したように、コンバイナ3の動作としては、「コンバイナ3が起き上がり、所望の角度になる第1の動作」と、「所望の角度に起き上がっているコンバイナ3が上昇する第2の動作」とがある。
そこで、まず、第1の動作を実現するための第1の機構部について説明する。この第1の機構部が本発明の回動手段に相当する。図に示すように、第1の機構部は、ハウジング11と、モータ12と、減速ギヤ13と、回転中心軸14と、コンバイナ側ギヤ15とを有している。
ハウジング11は、その内側に、モータ12と、減速ギヤ13と、回転中心軸14とがマウントされている。モータ12はコンバイナ3を回動させるためのものである。ハウジング11は樹脂や金属等により構成される。
減速ギヤ13はモータ12の回転を減速させるためのものである。なお、本実施形態では、減速ギヤ13を2つ用いているが、減速ギヤ13の数を他の数とすることもできる。
回転中心軸14は、コンバイナ3の支持部3bに設けられており、コンバイナ3を回動させるときに中心となる軸である。コンバイナ側ギヤ15は減速ギヤ13からの動力をコンバイナ3に伝えるものであり、コンバイナ3の支持部3bと一体となっている。なお、コンバイナ側ギヤ15と支持部3bは一体でなくても良く、これらを貼り合わせることもできる。
また、ハウジング11内には、コンバイナ3が起き上がったときに、コンバイナ3の回動を停止させる停止部16とリミットスイッチ17とが設けられている。
このような構成の第1の機構部では、モータ12が回転するとその動力が減速ギヤ13とコンバイナ側ギヤ15とを介してコンバイナ3に伝達する。これにより、回転中心軸14を中心にして、コンバイナ3を回動させ、コンバイナ3を倒れている状態から所望の角度にまで起き上がらせることができる。
次に、第2の動作を実現するための第2の機構部について説明する。第2の機構部は、ハウジング11と、モータ21と、減速ギヤ22と、送りねじ23と、案内ガイド24と、案内用ピン25とを有している。
モータ21はハウジング11全体を上昇させるための動力源である。減速ギヤ22はモータ21の回転を減速させるためのものである。送りねじ23は、直接、ハウジング11全体を上昇させるものである。
案内ガイド24は、ハウジング11の上昇方向を定めるものであり、ケース1の内側に設けられている。案内ガイド24は、直線状であり、HUDの使用時において、コンバイナ3に入射する光6bの光軸と平行な方向に延びている。案内用ピン25はハウジング11に設けられており、案内ガイド24に沿ってハウジング11が移動するためのピンである。
このような構成の第2の機構部では、モータ21が回転するとその動力が減速ギヤ22を伝達し、送りねじ23が回転する。この結果、送りねじ23の動作に連動して、ハウジング11全体が、案内ガイド24に沿って、移動し、図示しないリミットスイッチにより、所望の位置で停止する。
これにより、ハウジング11にマウントされているコンバイナ3を、コンバイナ3に入射する光6bの光軸と平行な方向に移動させることができる。
図7にシャッター1a、1bの可動機構部と防塵カバー5の可動機構部の側面図を示す。まず、シャッター1aの可動機構部について説明する。この可動機構部は、シャッター1aの可動動力源としてのモータ31と、減速ギヤ32と、シャッター1a側のギヤ33と、シャッター1aを回転させる際の軸となる回転軸34とを有している。
モータ31、減速ギヤ32、回転軸34は、ケース1の内部にマウントされている。シャッター1a側のギヤ33は、シャッター1aの支持部35のシャッター1aから離れた側の端部に位置し、シャッター1aと一体である。回転軸34は、支持部35に設けられている。
このような構成のシャッター1aの可動機構部では、モータ31が回転すると、その動力が減速ギヤ32、シャッター1a側のギヤ33を伝達する。これにより、シャッター1aが回転軸34を中心として、反時計回りに回転することで、シャッター1aが開く。このとき、シャッター1aが所定の位置に達したときに、リミットスイッチ36により、シャッター1aの可動が停止する。
次に、シャッター1bの可動機構部について説明する。この可動機構部は、シャッター1bの可動動力源としてのモータ41と、減速ギヤ42と、シャッター1b側のギヤ43と、シャッター1bを回転させる際の軸となる回転軸44とを有している。
モータ41、減速ギヤ42、回転軸44は、ケース1の内部にマウントされている。シャッター1b側のギヤ43は、シャッター1bの端部に位置し、シャッター1bと一体である。回転軸44は、シャッター1bの端部近傍に設けられている。
このような構成により、シャッター1bは、回転軸44を中心として、時計回りに回転することで、開くようになっており、図示しないリミットスイッチや回転のカウンターを制御することで、所定の位置で止まるようになっている。
次に、防塵カバー5の可動機構部について説明する。この可動機構部は、防塵カバー5の可動動力源としてのモータ51と、減速ギヤ52と、防塵カバー5側のギヤ53と、防塵カバー5を回転させる際の軸となる回転軸54とを有している。
モータ51、減速ギヤ52、回転軸54は、ケース1の内部にマウントされている。防塵カバー5側のギヤ53は、防塵カバー5の透明な面5aの端部に位置し、防塵カバー5と一体である。回転軸54も、透明な面5aの端部に設けられている。
このような構成により、モータ51が回転すると、動力が減速ギヤ52、防塵カバー5側のギヤ53を伝達して、防塵カバー5が回転軸54を中心に回転し、リミットスイッチ55が所定の位置に達すると回転が停止する。これにより、非使用時には、ケース1内に収納されていた防塵カバー5が、使用時では、所望の位置までせり上がるようになっている。
図8に、折り返しミラー4の可動機構部の側面図を示す。折り返しミラー4の可動機構部は、ハウジング61と、送りねじ62と、折り返しミラー4を稼働させるためのモータ63と、減速ギヤ64と、案内ガイド65と、ガイド用ピン66とを有している。この可動機構部が本発明の移動手段に相当する。
送りねじ62と、折り返しミラー4を稼働させるためのモータ63と、減速ギヤ64と、案内ガイド65とは、ケース1の内部にマウントされている。
ハウジング61は折り返しミラー4を保持するためのものである。送りねじ62および案内ガイド65は、折り返しミラー4とハウジング61とを直線動作させるためのものである。送りねじ62および案内ガイド65は、アイレンジ7の中心7aに向かって、表示器2から、折り返しミラー4とコンバイナ3とを介して、光が進む場合における光軸6a、6b、6cのうち、表示器2と折り返しミラー4との間における光軸6aと平行である。
ガイド用ピン66は、ハウジング61に設けられており、ハウジング61が案内ガイド65に沿って移動するためのピンである。
このような構成により、モータ63が回転すると、減速ギヤ64を伝達して、送りねじ62が回転する。これにより、折り返しミラー4がハウジング61ごと、図中左右方向に平行移動するようになっている。また、折り返しミラー4は、図示しない周知の停止手段により、所定の位置で停止するようになっている。
次に、運転者の目の高さが標準よりも低かったり、高かったりする場合に、折り返しミラー4の位置を移動させることで、運転者が表示像を視認できるように調整する方法について説明する。
例えば、運転者の身長が平均程度で、運転者の目の高さがアイレンジ7の中心7aに位置する場合では、折り返しミラー4は、標準(初期設定)の位置4aに位置する。
また、例えば、運転者の身長が高く、運転者の目の位置7bがアイレンジ7の中心7aよりも高い場合では、折り返しミラー4を、標準の位置4aから車両前方側の位置4bまで平行移動させる。
このとき、コンバイナ3の外形に対する表示像の位置が変わらないようになっている。すなわち、コンバイナ3の所定の位置3cに、折り返しミラー4で反射された表示器2の光が入射するようになっている。
具体的には、表示器2から投射される光(映像)は、通常、末広がるようになっており、そのような末広がる光6、8、9のどれかが、折り返しミラー4で反射して、コンバイナ3の中心点3cに入射する位置4bに、折り返しミラー4が保持されるようになっている。
したがって、折り返しミラー4が車両前方側の位置4bに位置する場合、図5に示すように、表示器2から投射された光8aが、折り返しミラー4で反射し、その反射光8bがコンバイナ3の中心点3cに入射する。
そして、このときのコンバイナ3に入射する光8bの入射角α8およびコンバイナ3で反射する光8cの反射角β8は、ともに、折り返しミラー4が標準の位置4aに位置する場合における入射角α6および反射角β6と比較して、大きい。このため、表示器2から投射された光の届く位置が、アイレンジ7の中心7aよりも上側の位置7bとなる。
反対に、例えば、運転者の身長が低く、運転者の目の位置7cがアイレンジ7の中心7aよりも低い場合では、折り返しミラー4を、標準の位置4aから車両後方側の位置4cまで平行移動させる。
このときも、折り返しミラー4の位置を、表示器から投射された光9aが折り返しミラー4で反射して、コンバイナ3の中心点3cに入射する位置4cとする。
これにより、コンバイナ3に入射する光9bの入射角α9およびコンバイナ3で反射する光9cの反射角β9を、ともに、折り返しミラー4が標準の位置4aに位置する場合における入射角α6および反射角β6と比較して、小さくすることができる。このため、表示器2から投射された光の届く位置を、アイレンジ7の中心7aよりも下側の位置7cとすることができる。
以上説明したように、本実施形態では、HUDは、ハウジング61と、送りねじ62と、折り返しミラー4を稼働させるためのモータ63と、減速ギヤ64と、案内ガイド65と、ガイド用ピン66とからなる折り返しミラー4の可動機構部と、折り返しミラー4とを備えている。
そして、この可動機構部は、折り返しミラー4で反射した表示器2の光が、コンバイナ3の中心点3cに入射するように、折り返しミラー4を表示器2に向かって前後方向に移動させるようになっている。これにより、コンバイナ3で入反射する光の角度α、βを変えることができる。
したがって、本実施形態によれば、運転者の視点の高さが変わった場合、折り返しミラー4の可動機構部により、折り返しミラー4を平行移動させることで、コンバイナの角度を変えることなく、運転者が表示像を視認できるように、調整することができる。
この結果、コンバイナの角度を変えることによる運転者の下方視界の妨げや、フロントガラスにコンバイナが当たるという問題を解消することができる。
ところで、HUDとしては、フロントガラスに虚像を表示させるタイプのものもある。このタイプのHUDでは、フロントガラスはある程度広いため、フロントガラスのどこかに光が当たれば、像を表示させることができる。したがって、単に、折り返しミラー4を平行移動させることで、フロントガラスに表示される像を上下方向に移動させることができる。
しかし、コンバイナ3は、フロントガラスよりも表示面が狭いため、表示像を上下方向に移動させると、コンバイナ3に光が当たらず、像が表示されない場合が生じる。
これに対して、本実施形態では、折り返しミラー4の移動後でも、折り返しミラー4で反射した表示器2の光が、コンバイナ3の中心点3cに入射するようにしているので、常に、コンバイナ3に像を表示することができる。また、表示像を上下方向に移動させていないので、コンバイナ3の表示部3aの大きさを必要最小限に抑えることができる。
また、本実施形態では、折り返しミラー4の可動機構部は、折り返しミラー4を平行移動させるものである。折り返しミラー4を平行に移動させる機構の方が、上記背景技術の欄で説明したようなコンバイナを回転させる回転動作機構よりも、構造が簡単である。
したがって、本実施形態によれば、可動機構部の構造を回転動作機構よりも簡略化することができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、HUDが防塵カバー5を有する場合を例として説明したが、防塵カバー5を有しない構造とすることもできる。図9、10、11に、本実施形態におけるHUDの断面図を示す。図9〜11に示すHUDは、図1〜5に示すHUDに対して、防塵カバー5を省略したものであり、他の構成は図1〜5に示すHUDと同じである。
第1実施形態では、HUDが防塵カバー5を有する場合を例として説明したが、防塵カバー5を有しない構造とすることもできる。図9、10、11に、本実施形態におけるHUDの断面図を示す。図9〜11に示すHUDは、図1〜5に示すHUDに対して、防塵カバー5を省略したものであり、他の構成は図1〜5に示すHUDと同じである。
非使用時では、図9に示すように、ケース1の内部に、第1実施形態と同様に、コンバイナ3が収納されている。
そして、使用時では、まず、図10に示すように、第1実施形態と同様に、シャッター1a、1bが開いた後、コンバイナ3が起き上がり、図11に示すように、コンバイナ3が上昇する。
本実施形態では、コンバイナ3が上昇した後、図11に示すように、シャッター1bが開いた状態から、少し、戻って、所定の位置で停止するようになっている。
これにより、第1実施形態での防塵カバー5の不透明な面5bの代わりに、外光が折り返しミラー4に反射して、運転者の目に入るのを防ぐことができる。
(他の実施形態)
(1)上記した各実施形態では、折り返しミラー4で反射した表示器2の光6b、8b、9bがコンバイナ3の中心点3cに入射する場合を例として説明したが、コンバイナ3に像が表示される位置であれば、必ずしも、光6b、8b、9bの入射する位置は、コンバイナ3の中心点3cでなくても良い。
(1)上記した各実施形態では、折り返しミラー4で反射した表示器2の光6b、8b、9bがコンバイナ3の中心点3cに入射する場合を例として説明したが、コンバイナ3に像が表示される位置であれば、必ずしも、光6b、8b、9bの入射する位置は、コンバイナ3の中心点3cでなくても良い。
(2)上記した各実施形態では、送りねじ62および案内ガイド65を、アイレンジ7の中心7aに向かって、表示器2から、折り返しミラー4とコンバイナ3とを介して、光が進む場合における光軸6a、6b、6cのうち、表示器2と折り返しミラー4との間における光軸6aと平行とする場合を例として説明した。
しかし、コンバイナ3で入反射する光の角度α、βを変えることができれば、送りねじ62および案内ガイド65を、光軸6aと平行に近い略平行としたり、折り返しミラー4と表示器2との距離を短くしたり長くしたりする方向、すなわち、距離を変える方向(折り返しミラー4から表示器2に向かう方向)と平行としたりすることもできる。
(3)上記した各実施形態では、折り返しミラー4の可動機構部において、送りねじ62を用いる場合を例として説明したが、送りねじ62の代わりに、ラックピニオン等の他の平行移動機構を用いることもできる。
(4)上記した各実施形態では、各構成部をケース1の内部に保持する場合を例として説明したが、ケース1の代わりに、天井板に各構成部を保持させることもできる。
(5)上記した各実施形態では、コンバイナ3が倒れた状態から起き上がる、いわゆるポップアップタイプのHUDを例として説明したが、コンバイナ3が常に起き上がった状態に固定されているタイプのHUDに対しても、本発明を適用することができる。
1…ケース、2…表示器、
3…コンバイナ、3a…表示部、3b…支持部、3c…中心点、
4…折り返しミラー、5…防塵カバー、
6、6a、6b、6c…視点がアイレンジの中心に位置する場合の光軸、
7…アイレンジ、7a…中心、
8…視点がアイレンジの中心よりも高い場合の光軸、
9…視点がアイレンジの中心よりも低い場合の光軸、
11、61…ハウジング、
12、21、31、41、51、63…モータ、
13、22、32、42、52、64…減速ギヤ、
14、34、44、54…回転中心軸、
15…コンバイナ側ギヤ、
23、62…送りねじ、
24、65…案内ガイド、
25、66…案内用ピン、
33…シャッター1a側のギヤ、
43…シャッター1b側のギヤ、
53…防塵カバー5側のギヤ。
3…コンバイナ、3a…表示部、3b…支持部、3c…中心点、
4…折り返しミラー、5…防塵カバー、
6、6a、6b、6c…視点がアイレンジの中心に位置する場合の光軸、
7…アイレンジ、7a…中心、
8…視点がアイレンジの中心よりも高い場合の光軸、
9…視点がアイレンジの中心よりも低い場合の光軸、
11、61…ハウジング、
12、21、31、41、51、63…モータ、
13、22、32、42、52、64…減速ギヤ、
14、34、44、54…回転中心軸、
15…コンバイナ側ギヤ、
23、62…送りねじ、
24、65…案内ガイド、
25、66…案内用ピン、
33…シャッター1a側のギヤ、
43…シャッター1b側のギヤ、
53…防塵カバー5側のギヤ。
Claims (3)
- 光を投射する表示器(2)と、
車両のフロントガラスよりも運転者側に配置され、前記光が入射されることで、虚像を表示するコンバイナ(3)とを備えるヘッドアップディスプレイにおいて、
前記表示器(2)から投射された前記光を反射させて、前記コンバイナ(3)に入射させる反射鏡(4)と、
前記コンバイナ(3)の外形に対する表示像の位置を変えないで、前記反射鏡(4)と前記表示器(2)との距離を変える方向に、前記反射鏡(4)を平行移動させる移動手段(61、62、63、64、65、66)とを備えることを特徴とするヘッドアップディスプレイ。 - 前記移動手段(61、62、63、64、65、66)は、前記表示器(2)から前記反射鏡(4)へ入射する光の光軸方向に、前記反射鏡(4)を平行移動させるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
- 前記コンバイナ(3)を起こした状態や、前記コンバイナ(3)を倒した状態とするように、前記コンバイナ(3)を回動させる回動手段(12、13、14、15、16、17)を有することを特徴とする請求項1または2に記載のヘッドアップディスプレイ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004248823A JP2006065091A (ja) | 2004-08-27 | 2004-08-27 | ヘッドアップディスプレイ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004248823A JP2006065091A (ja) | 2004-08-27 | 2004-08-27 | ヘッドアップディスプレイ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006065091A true JP2006065091A (ja) | 2006-03-09 |
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ID=36111631
Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2006065091A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2004
- 2004-08-27 JP JP2004248823A patent/JP2006065091A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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