JP2006057161A - 抗菌部材、抗菌革材及びそれらの製造方法 - Google Patents

抗菌部材、抗菌革材及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 雑菌の繁殖を抑制し、また臭いの発生も抑制することができる抗菌部材を提供すること。
【解決手段】 非導電性の母材の表面の少なくとも一部にカーボン材を混在させ、カーボン材の表面に銀38を析出させた抗菌部材。抗菌部材にはカーボン材が混在されているので、非導電性の母材を導電性にして電解処理を行うことが可能となり、電解処理によって電解液中の銀38を析出させて、この銀38の殺菌作用によって抗菌作用を持たせることができる。また、カーボン材は、臭いの吸着作用を有し、不快な臭いの発生を抑制することができる。更に、抗菌部材には、カーボン材に加えて粉末状シリカゲルを混在させることができる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、雑菌の繁殖、臭いの発生を抑制することができる抗菌部材、抗菌革材及びこれらを製造するための製造方法に関する。
金属部材に抗菌作用を持たせるために、例えば、アルミニウム又はその合金から形成された母材を、硫酸浴、シュウ酸浴又はこれらの混合浴中に金属の硝酸塩として硝酸銀又は硝酸銅、或いは硫酸塩として硫酸銀又は硫酸銅を添加した電解液中にて電解処理し、これによって母材の表面に陽極酸化被膜を形成すると同時に、添加した硝酸塩又は硫酸塩の金属をこの陽極酸化被膜に析出させる表面処理方法がある(例えば、特許文献1)。この表面処理方法で処理することによって、アルミニウム又はアルミニウム合金に形成した陽極酸化被膜に金属(例えば、銀)を析出させることができ、この析出した銀により母材に抗菌作用を持たせることができる。
特開2002−47596号公報
しかしながら、この表面処理方法では母材が導電性を有するものである必要があり、例えば、母材が布部材などの非導電性の部材である場合、布部材などに直接この表面処理方法を使用しても布部材自体に銀などの金属を析出させることができず、布部材に抗菌性を持たせることはできない。
本発明の目的は、非導電性の母材においても銀を析出させ、銀による抗菌性を有する抗菌部材を提供することである。
また、本発明の他の目的は、表面処理によって銀による抗菌性を有する抗菌部材の製造方法を提供することである。
本発明の請求項1に記載の抗菌部材は、非導電性の母材の表面の少なくとも一部にカーボン材を混在させ、前記カーボン材の表面に銀を析出させたことを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の抗菌部材では、非導電性の母材の表面の少なくとも一部にアルミニウム材を混在させ、前記アルミニウム材の表面に形成された陽極酸化被膜に銀を析出させたことを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の抗菌部材では、前記母材が、布製部材、革製部材又は発泡性樹脂製部材であることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の抗菌部材では、前記母材の表面の少なくとも一部には、更に、シリカゲルが混在されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に記載の抗菌革材では、革製部材の表面にアルミニウム材を含むなめし剤を用いたなめし処理を行うことによってアルミニウム材を混在させ、前記アルミニウム材の表面に形成した陽極酸化被膜に銀を析出させたことを特徴とする。
また、本発明の請求項6に記載の抗菌革材では、革製部材の表面にカーボン材を含むなめし剤を用いたなめし処理を行うことによってカーボン材を混在させ、前記カーボン材の表面に銀を析出させたことを特徴とする。
また、本発明の請求項7に記載の抗菌革材では、前記革製部材の表面には、更に、シリカゲルが混在されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項8に記載の抗菌部材の製造方法では、カーボン材が混在された非導電性の母材を、硫酸浴又はシュウ酸浴或いはこれらの混合浴中に硝酸銀又は硫酸銀或いは硝酸銀及び硫酸銀の混合物を添加した電解液中にて、交直重畳電流、交流電流、マイナス波を流すPR電流又はマイナス波を流すパルス波のいずれかを加えて電解処理し、これによって、添加した硝酸銀又は硫酸銀の銀を前記カーボン材の表面に析出させたことを特徴とする。
また、本発明の請求項9に記載の抗菌部材の製造方法では、アルミニウム材が混在された非導電性の母材を、硫酸浴又はシュウ酸浴或いはこれらの混合浴中に硝酸銀又は硫酸銀或いは硝酸銀及び硫酸銀の混合物を添加した電解液中にて、交直重畳電流、交流電流、マイナス波を流すPR電流又はマイナス波を流すパルス波のいずれかを加えて電解処理し、これによって、前記アルミニウム材の表面に陽極酸化被膜を形成すると同時に、添加した硝酸銀又は硫酸銀の銀を前記陽極酸化被膜に析出させたことを特徴とする。
本発明の請求項1に記載の抗菌部材によれば、非導電性の母材の表面の少なくとも一部にカーボン材を混在させている。カーボンは導電性を有するので、カーボン材を母材に混在させることによって、母材に導電性を持たせることができる。そして、このような母材に所定の電解処理を施すことによって、母材に混在したカーボン材上に銀を析出させることができる。このように析出した銀は抗菌作用を有し、特に抗菌部材が湿度の高い環境中にあると、析出した銀がイオン化されて周囲に放出され、放出された銀イオンは更に強い抗菌作用を発揮し、所望の抗菌効果を得ることができる。従って、このように銀イオンが放出されると、その強い抗菌作用によって、汗、脂分などの分泌物により蒸れやすくて雑菌が繁殖し易い皮膚表面においても、雑菌の繁殖が著しく抑えられて減少し、これによって、皮膚表面のかぶれ、痒みなどの発生を抑えることができる。また、雑菌が減少するので、その繁殖による臭いもほとんど発生することがなく、臭いの発生も抑制することができる。
この銀の析出はカーボン材の表面の少なくとも一部又は全部でよい。更に、カーボンは臭いを吸着する性質を有するので、雑菌による不快な臭いの発生をも抑制することができる。尚、この抗菌部材は、皮膚表面のかぶれなどが発生し易い部分にこの抗菌部材を接触乃至密着させるように使用される。
また、本発明の請求項2に記載の抗菌部材によれば、非導電性の母材の表面の少なくとも一部にアルミニウム材を混在させている。アルミニウムは導電性を有するので、アルミニウム材を混在させることによって、母材に導電性を持たせることができる。そして、このような母材に所定の電解処理を施すことによって、母材に混在したアルミニウム材の表面に陽極酸化被膜を設けることができ、この陽極酸化被膜に銀を析出させることができる。この銀の抗菌作用によって、雑菌の繁殖が抑制でき、皮膚表面のかぶれ、痒み、不快な臭いなどの発生を抑えることができる。
この銀の析出はアルミニウム材の陽極酸化被膜の少なくとも一部又は全部でよい。尚、この抗菌部材も、皮膚表面のかぶれなどが発生し易い部分にこの抗菌部材を接触乃至密着させるように使用される。
また、本発明の請求項3に記載の抗菌部材によれば、母材が布製部材、革製部材又は発泡性樹脂製部材であるため肌触りが良く、直接皮膚に触れても不快感を生じることなく使用することができる。母材が布製部材である場合は、繊維と繊維との隙間にカーボン材又はアルミニウム材が入り込み、これによって布製部材にカーボン材又はアルミニウム材を混在させることができる。更に、布製部材は裁断して加工することができるので、使用目的に応じた形状の抗菌部材を製造することができる。また、母材が革製部材である場合は、革の表皮の繊維と繊維の隙間や表皮の凹状部分にカーボン材又はアルミニウム材が入り込み、これによって革製部材にカーボン材又はアルミニウム材を混在させることができる。革製部材も裁断して加工することができるので、使用目的に応じた形状の抗菌部材を製造することができる。また、母材が発泡性樹脂製部材である場合は、発泡性樹脂製部材が多孔質で表面に多数の孔が存在し、これらの孔にカーボン材又はアルミニウム材が入り込み、これによって発泡性樹脂製部材にカーボン材又はアルミニウム材を混在させることができる。また発泡性樹脂製部材は成型によって使用目的に応じた形状にすることができるので、皮膚が接触又は密着するような部分に抗菌部材として好都合に適用することができる。
また、本発明の請求項4に記載の抗菌部材によれば、母材の表面の少なくとも一部に、カーボン材又はアルミニウム材に加えて、シリカゲルが混在されている。シリカゲルは吸水性を有するので、雑菌の繁殖の栄養源となる汗や尿などの水分を皮膚表面から除去し、皮膚のかぶれを防止することがきるとともに、雑菌の繁殖を抑制することができ、母材の装着感を向上させることができる。また、雑菌が減少するので、その繁殖による臭いもほとんど発生することがなく、臭いの発生も抑制することができる。
また、本発明の請求項5に記載の抗菌革材によれば、革製部材にアルミニウム材を含むなめし剤を用いたなめし処理を行うことによって非導電性の革製部材の表皮の繊維と繊維の隙間にアルミニウム材を混在させている。アルミニウム材は導電性を有するので、アルミニウム材を革製部材に混在させることによって、革製部材に導電性を持たせることができる。そして、このような革製部材に所定の電解処理を施すことによって、革製部材に混在したアルミニウム材の表面の少なくとも一部に陽極酸化被膜を設けることができ、この陽極酸化被膜に銀を析出させることができる。この銀の抗菌作用によって雑菌の繁殖が抑制され、皮膚表面のかぶれ、痒み、不快な臭いなどの発生を抑えることができる。また銀の抗菌作用によって革製部材の表面にカビなどの雑菌が繁殖することを防止することができる。尚、この銀の析出は陽極酸化被膜の少なくとも一部又は全部でよい。
また、本発明の請求項6に記載の抗菌革材によれば、革製部材にカーボン材を含むなめし剤を用いたなめし処理を行うことによって非導電性の革製部材の表皮の繊維と繊維の隙間にカーボン材を混在させている。カーボン材は導電性を有するので、カーボン材を革製部材に混在させることによって、革製部材に導電性を持たせることができる。そして、このような革製部材に所定の電解処理を施すことによって、革製部材に混在したカーボン材の表面から銀を析出させることができる。この銀の抗菌作用によって雑菌の繁殖が抑制され、皮膚表面のかぶれなどの発生を抑え、また革製部材の表面にカビなどの雑菌が繁殖することを防止することができる。
また、本発明の請求項7に記載の抗菌革材によれば、革製部材の表面にアルミニウム材又はカーボン材に加えて、シリカゲルが混在されている。シリカゲルは吸水性を有するので、雑菌の繁殖の栄養源となる汗などの水分を皮膚表面から除去し、皮膚のかぶれを防止することができるとともに、雑菌の繁殖を抑制することができ、革製部材の装着感を向上させることができる。また、雑菌が減少するので、その繁殖による臭いもほとんど発生することがなく、臭いの発生も抑制することができる。更に、革製部材に付着した汗や雨などの水分をシリカゲルが吸収するので、革製部材の表面にカビなどの雑菌が繁殖することを防止することができる。
また、本発明の請求項8に記載の抗菌部材の製造方法によれば、電解液として硫酸浴又はシュウ酸浴或いはこれらの混合浴が用いられ、この電解浴中に硝酸銀又は硫酸銀或いは硝酸銀及び硫酸銀の混合物が添加される。そして、電解液中に交直重畳電流、交流電流、マイナス波を流すPR電流又はマイナス波を流すパルス波のいずれかを加えて電解処理が行われるので、非導電性の母材に混在されたカーボン材の表面に銀の析出を行うことができる。このように製造した抗菌部材では、析出した銀によって抗菌性を持たせることができ、特に湿度の高い環境中においては析出した銀がイオン化されて周囲に放出され、強い抗菌作用を発揮し、それ故に、雑菌の繁殖を抑制し、また雑菌による臭いの発生を抑制する抗菌部材として用いることができる。
また、本発明の請求項9に記載の抗菌部材の製造方法によれば、電解液として硫酸浴又はシュウ酸浴或いはこれらの混合浴が用いられ、この電解浴中に硝酸銀又は硫酸銀或いは硝酸銀及び硫酸銀の混合物が添加される。そして、電解液中に交直重畳電流、交流電流、マイナス波を流すPR電流又はマイナス波を流すパルス波のいずれかを加えて電解処理が行われる。この電解処理によって、非導電性の母材に混在されたアルミニウム材の表面に陽極酸化被膜が形成されると同時に、この陽極酸化被膜に銀の析出を行うことができる。このように製造した抗菌部材では、析出した銀によって抗菌性を持たせることができ、上述したのと同様の抗菌作用を発揮することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に従う抗菌部材、革製部材及びそれらの製造方法について説明する。
まず、図1〜図3を参照して、本発明に従う抗菌部材となる被表面処理部材について説明する。図1は、本発明に従う抗菌部材の母材としての布製部材にカーボン材又はアルミニウム材を混在させたもの(被表面処理部材)を簡略的に示す斜視図であり、図2は、本発明に従う抗菌部材の母材としての発泡性樹脂製部材にカーボン材又はアルミニウム材を混在させたもの(被表面処理部材)を簡略的に示す斜視図であり、図3は、本発明に従う抗菌部材の母材としての革製部材にカーボン材又はアルミニウム材を混在させたもの(被表面処理部材)を簡略的に示す斜視図である。
図1において、抗菌部材の母材4としての布製部材6は非導電性であり、この布製部材6にカーボン材として、例えば粉末状カーボン8を混在させ、又はアルミニウム材として、例えば粉末状アルミニウム9を混在させて被表面処理部材10が形成される。粉末状カーボン8又は粉末状アルミニウム9は布製部材6の繊維間の隙間に入り込んだ状態に介在され、このように粉末状カーボン8又は粉末状アルミニウム9を混在させることによって、布製部材6に導電性を持たせることができる。
また、図2において、抗菌部材の母材4Aとしての発泡性樹脂製部材12は非導電性であり、この発泡性樹脂製部材12にカーボン材としての粉末状カーボン8を混在させ、又はアルミニウム材としての粉末状アルミニウム9を混在させて被表面処理部材14が形成される。発泡性樹脂製部材12は多孔質状であり、粉末状カーボン8又は粉末状アルミニウム9はこれら孔内の空隙に入り込んだ状態となり、このように粉末状カーボン8又は粉末状アルミニウム9を混在させることによって、発泡性樹脂製部材12に導電性を持たせることができる。
また、図3において、抗菌部材の母材4Bとしての革製部材16は非導電性であり、この革製部材16にカーボン材としての粉末状カーボン8を混在させ、又はアルミニウム材としての粉末状アルミニウム9を混在させて被表面処理部材18が形成される。粉末状カーボン8又は粉末状アルミニウム9は革製部材16の表皮のタンパク質コラーゲンに入り込んだ状態に介在され、このように粉末状カーボン8又は粉末状アルミニウム9を混在させることによって、革製部材16に導電性を持たせることができる。
布製部材6の布は、不織布又は織布であり、発泡性樹脂製部材12の発泡性樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂又はポリスチレン樹脂などである。布製部材6の形状は、裁断加工前の生地形状などでよく、発泡性樹脂製部材12の形状は、使用目的に応じて様々な形状でよく、例えば、薄い板状、フィルム状、ブロック状、容器形状などに形成される。また、革製部材16の革は、牛や豚などの革であり、その形状はシート状などに形成される。
これら母材4,4A,4B(布製部材6、発泡性樹脂製部材12、革製部材16)に粉末状カーボン8を混在させる方法としては、布製部材6、発泡性樹脂製部材12又は革製部材16の表面の所定部位(即ち、粉末状カーボン8を混在させたい部分)に、接着剤として例えば無機系接着剤20に粉末状カーボン8を直接混入して、粉末状カーボン8が混入した無機系接着剤20を塗り込むように塗布して行う。布製部材6の場合、無機系接着剤20は布製部材6の繊維と繊維との隙間に入り込み、粉末状カーボン8が繊維の周りに接着するようにして混在される。また、発泡性樹脂製部材12の場合、発泡性樹脂製部材12の多孔内の空隙に無機系接着剤20が入り込み、その空隙内の接着剤20に粉末状カーボン8が混在される。また、革製部材16の場合、革の表皮の繊維と繊維の隙間や表皮の凹状部分に無機系接着剤20が入り込み、その空隙内や凹状部分の接着剤20に粉末状カーボン8が混在される。このようにして、布製部材6、発泡性樹脂製部材12又は革製部材16の表面の所望の部分に粉末状カーボン8を混在させることができる。無機系接着剤20は、皮膚などに対する有害性が少ないので、直接皮膚などに接触又は密着する布製部材6、発泡性樹脂製部材12又は革製部材16に好都合に適用することができる。また、無機系接着剤は後述する粉末状カーボン8に銀を析出させるための電解処理を行う際にも接着力の低下が少ない。
また、母材4,4A,4Bに粉末状カーボン8を混在させる別の方法としては、無機系接着剤20を布製部材6、発泡性樹脂製部材12又は革製部材16の所望の部分に塗り込むようにして塗布し、その後無機系接着剤20に粉末状カーボン8を散布などして接着剤20中に押し込むようにして行ってもよく、このようにしても、上述したと同様に、布製部材6、発泡性樹脂製部材12又は革製部材16の表面に粉末状カーボン8を混在させることができる。
尚、粉末状カーボン8を多量に使用すると、粉末状カーボン8が布製部材6の繊維間の隙間、発泡性樹脂製部材12の孔の空隙内、又は革製部材16の繊維間の隙間や表皮の凹状部分に入りきれなくなり、布製部材6、発泡性樹脂製部材12及び革製部材16の表面に露出して肌触りなどが悪くなるおそれがある。このようなことから、粉末状カーボン8は微粉末状であるのが望ましい。
更に、母材4Aとしての発泡性樹脂製部材12に粉末状カーボン8を混在させる別の方法としては、成型を行う前の樹脂に粉末状カーボン8を混入し、粉末状カーボン8が混入した状態で樹脂の成型を行うようにしてもよく、このようにすることによって、発泡性樹脂製部材12の全体に均一に粉末状カーボン8を混在させることができる。
次に、母材4,4A,4Bに粉末状アルミニウム9を混在させる方法としては、上述した粉末状カーボン8を混在させる方法において、粉末状カーボン8の代わりに粉末状アルミニウム9を用いることによって行うことができる。即ち、無機系接着剤20に粉末状アルミニウム9を直接混入して、粉末状アルミニウム9が混入した無機系接着剤20を布製部材6、発泡性樹脂製部材12又は革製部材16の所望の部分に塗り込むようにして粉末状アルミニウム9を混在させることができる。また、布製部材6、発泡性樹脂製部材12又は革製部材16の所望の部分に無機系接着剤20を塗り込むようにして塗布し、その後無機系接着剤20に粉末状アルミニウム9を接着剤20に押し込むようにしても粉末状アルミニウム9を混在させることができる。更に、発泡性樹脂製部材12の場合は、成型を行う前の樹脂に粉末状アルミニウム9を混入し、粉末状アルミニウム9が混入した状態で樹脂の成型を行うようにしてもよい。
尚、上述した母材4,4A,4Bにアルミニウム材を混在させる方法においては、粉末状カーボン8の代わりに粉末状アルミニウム9を用いているが、粉末状カーボン8とともに粉末状アルミニウム9を用いることによって、母材4,4A,4Bに粉末状カーボン8及び粉末状アルミニウム9を混在させることができる。
次に、図4を参照して、抗菌部材の母材4Cとしての革製部材17になめし剤によってアルミニウム材を混在させる方法について説明する。図4は、本発明に従う抗菌部材としての革製部材になめし剤によってアルミニウム材を混在させたもの(被表面処理部材)を簡略的に示す斜視図である。図4において、革製部材17にアルミニウム材として、例えば粉末状アルミニウム9を混在させて被表面処理部材19が形成される。粉末状アルミニウム9は革製部材17に粉末状アルミニウム9を含むなめし剤を用いてなめし処理を施し、これによって粉末状アルミニウム9を混在させ、革製部材17に導電性を持たせることができる。なめし処理とは、なめし剤によって牛や豚などの生皮のタンパク質コラーゲンに化学的処理を施し、これによって革に柔軟性、通気性などを与える製革工程の一つである。このなめし剤として粉末状アルミニウム9を含むなめし剤を用いて革製部材17になめし処理を施すことによって、革製部材17の革の表皮のタンパク質コラーゲンに粉末状アルミニウム9が入り込み、革製部材17に粉末状アルミニウム9を混在させることができる。
また、革製部材17にカーボン材を混在させる方法としては、上述したなめし処理において粉末状アルミニウム9の代わりにカーボン材を用いることによって行うことができる。即ち、カーボン材として、例えば粉末状カーボン8を含んだなめし剤を用いて革製部材17になめし処理を施すことによって、革製部材17の革の表皮のタンパク質コラーゲンに粉末状カーボン8が入り込み、これによって革製部材17に粉末状カーボン8を混在させることができる。
尚、なめし剤に粉末状アルミニウム9とともに粉末状カーボン8を混入させて革製部材17になめし処理を施すことによって、革製部材17に粉末状アルミニウム9及び粉末状カーボン8を混在させることもできる。
次に、図5を参照して、上述したようにして形成した被表面処理部材10(14,18,19)を用いての表面処理、即ち抗菌部材2の製造方法について説明する。図5は、本発明に従う製造方法を実施するために用いる表面処理装置の一例を簡略的に示す簡略図である。
図5において、図示の表面処理装置は、直方体状の電解槽22を備え、この電解槽22内の両側部に電極24,26が配設されている。この形態では、電極24,26は、電解槽22の長手方向、図5において左右方向に間隔をおいて配設された4個のプレート状電極28,30から構成され、これらプレート状電極28,30がカーボンから形成されている。電極24,26は電気的に並列に配置され、一方の電極24の4個のプレート状電極28は電気的に直列に接続され、他方の電極26の4個のプレート状電極30は電気的に直列に接続されている。
一対の電極24,26の間に表面処理すべき被表面処理部材10,10(14,14)(18,18)(19,19)(以下、「被表面処理部材10,10等」という)が配設される。一方の被表面処理部材10(14,18,19)(以下、「被表面処理部材10等」という)は電極24に対向してその内側に配設され、他方の被表面処理部材10等は電極26に対向してその内側に配設される。この表面処理装置は、布製部材6、発泡性樹脂製部材12又は革製部材16,17から形成された被表面処理部材10,10等に後述する如くして表面処理を行う。
この電解槽22内には、表面処理するための電解液が充填され、処理すべき被表面処理部材10,10等はこの電解液中に浸漬される。電解液としては、硫酸浴又はシュウ酸浴或いはこれらの混合浴が用いられる。そして、このような電解浴に金属の硝酸塩として硝酸銀、又は金属の硫酸塩として硫酸銀、或いは硝酸銀と硫酸銀との混合物が添加される。硫酸浴を用いる場合、硫酸が例えば100〜300g/リットルの割合で溶解され、シュウ酸浴を用いる場合、シュウ酸が例えば20〜40g/リットルの割合で溶解される。
また、このような電解浴に添加される硝酸銀又は硫酸銀は、例えば2g/リットル以上の割合で加えられる。硝酸銀又は硫酸銀が2g/リットルより少なくなると、表面処理を行ったときの銀の析出量が少なくなる。
被表面処理部材10,10等に表面処理を施す際、被表面処理部材10,10等に交直重畳の電流、即ち交流電流と直流電流のプラス側電流とを重畳させた電流が加えられ、このような電流を加えて被表面処理部材10,10等に電解処理を施す。この形態では、直流電源32のプラス側がリアクタ34に電気的に接続され、またこの直流電源34のマイナス側が電極24,26(プレート状電極28,30)に電気的に接続される。更に、交流電源36がリアクタ34に電気的に接続され、リアクタ34は直流電源32のプラス側の電流を交流電源36からの交流電流に重畳し、重畳した重畳電流を処理すべき被表面処理部材10,10等に送給する。
表面処理時には、電流密度が例えば1〜10A/dmの範囲になるように選定され、この電流密度が所定設定時間継続して通電される。電流密度が10A/dmを超えると、被表面処理部材10,10等とこれを保持する治具との接触部に放電による損傷が発生し易くなる。一方、電流密度が1A/dmより小さくなると、電解液中を流れる電流が小さく、表面処理の処理効率が悪くなる。
この表面処理時、電解浴の温度は例えば−10〜25℃の範囲になるように選定される。電解浴の温度が25℃を超えると、被表面処理部材10,10等に混在する粉末状カーボン8の表面に均一に銀を析出させることが難しくなる。一方、電解浴の温度が−10℃より低くなると、表面処理の処理効率が悪くなり、表面処理コストが増大する。
上述した表面処理装置でもって被表面処理部材10等に表面処理を施すと、被表面処理部材10等に混在された粉末状カーボン8の表面に銀が析出する。また被表面処理部材10等に混在されている粉末状アルミニウム9においては、粉末状アルミニウム9の表面に陽極酸化被膜が形成され、この陽極酸化被膜が形成されると同時に、陽極酸化被膜を形成する多孔質層に多数存在する孔内に硝酸銀(又は硫酸銀)の銀が析出する。このようにして被表面処理部材10等に析出した銀によって抗菌性が付与される。被表面処理部材10が布製部材6である場合、生成される抗菌部材2は図6に示す通りになり、被表面処理部材14が発泡性樹脂製部材12である場合、生成される抗菌部材2Aは図7に示す通りになり、また被表面処理部材19が革製部材17である場合、生成される抗菌部材2Bは図8に示す通りになる。図6は、布製部材に混在させた粉末状カーボン(粉末状アルミニウム)の表面に銀を析出させた状態を簡略的に示す拡大断面図であり、図7は、発泡性樹脂製部材に混在させた粉末状カーボン(粉末状アルミニウム)の表面に銀を析出させた状態を簡略的に示す拡大断面図であり、図8は、なめし処理によって革製部材に混在させた粉末状カーボン(粉末状アルミニウム)の表面に銀を析出させた状態を簡略的に示す拡大断面図である。
図6において、母材4が布製部材6である場合、布製部材6の繊維39間の隙間に粉末状カーボン8(粉末状アルミニウム9)が混入された接着剤20が塗り込まれ、繊維39の周りに粉末状カーボン8(粉末状アルミニウム9)が接着するように混在しており、かく混在する粉末状カーボン8(粉末状アルミニウム9に形成された陽極酸化被膜)の表面(電解液に接触する表面)に、硝酸銀(又は硫酸銀)の銀38が析出する。
図7において、母材4Aが発泡性樹脂製部材12である場合、発泡性樹脂部材12の表面の孔41内に粉末状カーボン8(粉末状アルミニウム9)が混入された接着剤20が塗り込まれ、かく混在する粉末状カーボン8(粉末状アルミニウム9に形成された陽極酸化被膜)の表面(電解液に接触する面)に硝酸銀(又は硫酸銀)の銀38が析出する。
図8において、母材4Cが革製部材17である場合、なめし処理によって革製部材17の表皮のタンパク質コラーゲンの繊維42の隙間及び繊維42の表面の凹状部分46になめし剤44とともに粉末状カーボン8が入り込み、このタンパク質コラーゲンの繊維42間の隙間及び凹状部分46に粉末状カーボン8が混在され、かく混在する粉末状カーボン8の表面(電解液に接触する面)に硝酸銀(又は硫酸銀)の銀38が析出する。
革製部材17を粉末状アルミニウム9を含むなめし剤でなめし処理をした場合は、粉末状アルミニウム9がタンパク質コラーゲンの繊維42間の隙間及び凹状部分46に入り込み、粉末状アルミニウム9が混在される。そして、かく混在する粉末状アルミニウム9の表面(電解液に接触する面)には、上述した表面処理によって、バリヤ層とこのバリヤ層の表面に形成される多孔質層とから構成される陽極酸化被膜が形成され、この多孔質層に多数存在する孔に硝酸銀(又は硫酸銀)の銀38が析出する。
母材4(4A,4B,4C)に析出した銀38は抗菌作用を有し、この抗菌作用によって、被表面処理部材10,14,18,19が抗菌部材2,2A,2B,2Cとして好都合に用いることができ、この抗菌部材2,2A,2B,2Cを使用することによって、雑菌の繁殖を抑え、清潔な状態に保つことができる。特に、上述した処理方法によって析出した銀38は、水分の多い環境では(例えば、水に浸けたり、多湿の環境下に置くと)、銀がイオン化して周囲に放出され、イオン化した銀が強い抗菌作用を発揮し、強い抗菌作用を得ることができる。
上述した実施形態では、表面処理する際に交直重畳の電流を加えて電解処理しているが、交直重畳電流に代えて、交流電流、マイナス波を流すPR電流又はマイナス波を流すパルスを加えるようにしても、上述したと同様に、所定の表面処理を行うことができ、被表面処理部材10等の表面に銀38を析出させることができる。例えば、交流電流を加えて表面処理を行う表面処理装置は、直方体状の電解漕を備え、この電解漕内の両側部に上述したのと同様の一対の電極が配設され、この一対の電極の間に被表面処理部材が配設される。電解層には上述した交直重畳電流を加えて電解処理する場合と同様の電解液が充填され、この一対の電極及び被表面処理部材に交流電源が接続され、上述したのと同様の電流密度及び電解浴の温度において被表面処理部材に交流電流が流され、被表面処理部材に所定の表面処理が施される。
また、上述した実施形態では、一回の電解処理でもって母材4(4A,4B,4C)に混在された粉末状アルミニウム9の表面に陽極酸化被膜を形成すると同時に、この陽極酸化被膜に銀38を析出させているが、陽極酸化被膜の形成と、銀38の析出とを別の工程で行うようにしてもよい。この場合、母材4(4A,4B,4C)を硫酸浴又はシュウ酸浴或いはこれらの混合浴に浸漬して陽極酸化処理を施し、その後、硝酸銀又は硫酸銀を添加した電解液でもって電解処理すればよく、このようにしても同様に、陽極酸化被膜の形成と、この陽極酸化被膜への銀の析出を行うことができる。尚、この場合には、電解処理の電流としては種々の電流、例えば交直重畳電流、交流電流、マイナス波を流すPR電流又はマイナス波を流すパルス電流等の電流を加えることによって所定の電解処理を行うことができる。
また、上述した実施形態では、母材4(4A,4B,4C)に粉末状カーボン8又は粉末状アルミニウム9を混在させているが、粉末状カーボン8又は粉末状アルミニウム9に加えて、粉末状のシリカゲルを混在させてもよい。粉末状のシリカゲルを母材4(4A,4B,4C)に混在させる方法は、粉末状カーボン8又は粉末状アルミニウム9を混在させる方法と同様の方法で行うことができる。即ち、母材4(4A,4B)においては、粉末状カーボン8及び粉末状シリカゲルが混入された無機系接着剤20を塗り込むように塗布して布製部材6の繊維39間の隙間に、又は発泡性樹脂製部材12の表面の多数の孔41内に粉末状カーボン8及び粉末状シリカゲルが混入された接着剤20を塗り込み、粉末状シリカゲルを混在させるようにすることができる。また、発泡性樹脂製部材12においては、成型前の発泡性樹脂に粉末状カーボン8及び粉末状のシリカゲルを混在させて成型するようにしてもよい。また、母材4Cにおいては、粉末状のシリカゲルをなめし剤に混入し、このなめし剤を用いて革製部材17をなめし処理することによって、粉末状カーボン8又は粉末状アルミニウム9と同様に、革製部材17に粉末状シリカゲルを混在させるようにすることができる。
母材4(4A,4B,4C)に粉末状シリカゲルを混在した抗菌部材2(2A,2B,2C)においては、粉末状カーボン8又は粉末状アルミニウム9上に析出した銀38の殺菌作用に加えて、母材4(4A,4B,4C)に混在するシリカゲルの吸水作用及び脱臭作用が得られ、臭いを吸着することができるとともに、汗や尿などの水分を吸水することができ、これによって、皮膚のかぶれを防止することができるとともに、水分を除去して雑菌の繁殖をより抑制することができ、さらに臭いの発生も抑制することができる。
上述した表面処理によって製造される抗菌部材2(2A,2B,2C)は、雑菌の繁殖、臭いの発生、皮膚のかぶれなどを抑制するための種々の製品に使用することができる。母材が布製部材6である場合は、裁断加工を行うことができるので、使用目的に応じた種々の布製品に加工することができ、例えばベッドや布団のシーツなどに使用した場合は、特に床ずれの防止を行うことができ、またカーテンや脱臭装置などのフィルターなどに使用した場合は、臭い吸着作用によって部屋の不快な臭いを吸着することができる。また、被服や下着類、オムツ、靴の中敷きやギブスの内装用部材などに使用した場合は、特に汗、脂分などの分泌物による皮膚のかぶれ、痒みなどの発生を抑制することができる。
また、母材が発泡性樹脂部材12の場合は、発泡性樹脂がポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂又はポリスチレン樹脂などであるため、日常生活において、人が触れる部材に抗菌作用を持たせることができる。例えば、ポリウレタン樹脂はいすの肘掛け部などに、ポリプロピレン樹脂は洗面器などに、ポリエチレン樹脂は包装用フィルムなどに、ポリスチレン樹脂は食品容器用梱包材などに使用されており、このようなものに抗菌作用を持たせることができる。
また、母材が革製部材16,17の場合は、裁断加工を行うことができるので、使用目的に応じた種々の革製品に加工することができ、例えば革靴や革ズボンなどに使用した場合は、汗などの分泌物による不快な臭いの発生を抑制することができる。また銀の抗菌作用によって革製品自体にカビなどの雑菌が繁殖することを抑制することができる。
[実施例及び比較例]
実施例1
析出した銀の抗菌効果を確認するために、不織布の母材に次のとおりの条件にて表面処理を行った。
実施例1として、図5に示す表面処理装置を用い、硫酸100g/リットルの硫酸浴に硫酸銀5g/リットルを添加した電解液を用いて電解処理を行った。母材として不織布(縦50mmX横50mmX厚さ0.5mm)を用い、この不織布に無機系接着剤を塗り込むように塗布した後、粉末状カーボンを埋設するように散布して無機系接着剤中に押し込むようにして不織布に粉末状カーボンを混在させた。この不織布を陽極(プラス)側とし、カーボン電極を陰極(マイナス)側として電解処理を行った。電解処理中の電解液の温度は15℃であり、電解処理中、交流と直流の電流比を1:1とした交直重畳の電流を加えた。この電解電流の電流密度は1.0A/dm であり、上記の条件で電解処理を10分行い、不織布に混在させた粉末状カーボンに銀を析出させた。
実施例2
実施例2として実施例1と同様の表面処理装置を用い、また母材として織布(縦50mmX横50mmX厚さ0.5mm)を用い、実施例1と同様にしてこの織布に粉末状カーボンを混在させ、粉末状カーボンを混在させた織布を、硫酸200g/リットルの硫酸浴に硝酸銀10g/リットルを添加した電解液を用いて電解処理を行った。電解処理の条件は実施例1と同様であり、この電解処理を施して織布に混在させた粉末状カーボンに銀を析出させた。
比較例
比較例として、母材としての不織布を表面処理を施すことなく用いた。
脚及び指の骨折部の痒み、かぶれなどの抑制確認試験
実施例1及び2並びに比較例のものを用いて脚及び指の骨折部にギブスなどを装着したときの装着部位における痒み、かぶれなどの抑制確認試験を行った。脚の骨折部においては、6人の患者の2人ずつにそれぞれギブスが装着される前に治療すべき部位に実施例1及び2並びに比較例のものを巻いて装着し、装着した上からギブスを装着し、このように取り付けた後の時間の経過に伴う皮膚の痒みの発生状況を調べた。また、指の骨折部においても、別の6人の患者の2人ずつにそれぞれアルミニウムの固定金具を実施例1及び2並びに比較例のもので包装し、包装した固定金具を骨折部に装着しその周りを包袋で巻いて指を固定し、このように取り付けた後の時間の経過に伴う皮膚の痒みの発生状況を調べた。この確認試験の結果は、表1に示す通りであった。
Figure 2006057161
表1の結果から理解されるように、脚の骨折部において、実施例1及び2を用いた抗菌部材では、いずれもギブスを装着していた21日間、2人の患者のいずれにおいても脚の骨折部の皮膚の痒みは発生しなかった。また21日目にギブスを外して皮膚の状態を確認したところ、実施例1及び2ともにかぶれは発生しておらず、またギブスの内側部に不快な臭いも発生していなかった。
これに対して、比較例では2人の患者のいずれにおいても、3日目から痒みが発生し、7日目には痒みがひどくなった。21日目にギブスを外して皮膚の状態を確認したところ、かぶれもひどく、またギブスの内側には悪臭が発生していた。
また、指の骨折部においては、実施例1及び2を用いた抗菌部材では、いずれも固定金具及び包袋を装着していた7日間、2人の患者のいずれにおいても指の骨折部の皮膚の痒みは発生しなかった。また7日目にギブスを外して皮膚の状態を確認したところ、実施例1及び2ともにかぶれは発生しておらず、また固定金具の内側部に不快な臭いも発生していなかった。
これに対して、比較例では2人の患者のいずれにおいても、3日目から痒みが発生し、7日目には痒みがひどくなった。7日目に固定金具及び包袋を外して皮膚の状態を確認したところ、かぶれが発生しており、また固定金具の内側には悪臭が少し発生していた。
このように、実施例1及び2を用いたものは、脚及び指の骨折部における痒み、かぶれなどが発生しておらず、本発明による抗菌作用が確認できた。
[銀イオン析出確認試験]
実施例1の条件において、1枚の不織布の全面に、粉末状カーボンを混入した接着剤を塗布して不織布に粉末状カーボンを混在させ、この不織布を用いて電解処理を行い、この不織布に混在された粉末状カーボンに銀イオンが析出しているか否かを確認した。測定には、ハンナ インスツルメンツ社製(HANNA INSTRUMENTS)(イタリア)の銀イオンメータを使用した。具体的には、まずこの不織布の一端部(電源が接続されている端部から遠い方の端部)を5cmX5cmの大きさに切り取り、500mlの水に10分間浸した。その後、この水から50mlを抽出し、この50mlの水に専用試薬を添加し、この専用試薬と水中の銀イオンとの反応によって銀イオンを発光させ、吸光光度法で銀イオンの濃度を測定した。測定は、専用試薬を添加したときを基準として32分後の銀イオン濃度を測定した。その結果、測定された銀イオン濃度は0.023ppmであり、実施例1を用いた不織布が銀イオンを析出していることが確認できた。
本発明に従う抗菌部材の母材としての布製部材にカーボン材又はアルミニウム材を混在させたものを簡略的に示す斜視図である。 本発明に従う抗菌部材の母材としての発泡性樹脂製部材にカーボン材又はアルミニウム材を混在させたものを簡略的に示す斜視図である。 本発明に従う抗菌部材の母材としての革製部材にカーボン材又はアルミニウム材を混在させたものを簡略的に示す斜視図である。 本発明に従う抗菌部材としての革製部材になめし剤によってアルミニウム材を混在させたものを簡略的に示す斜視図である。 本発明に従う製造方法を実施するために用いる表面処理装置の一例を簡略的に示す簡略図である。 母材としての布製部材に混在させた粉末状カーボン又は粉末状アルミニウムに銀を析出させた状態を簡略的に示す拡大断面図である。 母材としての発泡性樹脂製部材に混在させた粉末状カーボン又は粉末状アルミニウムに銀を析出させた状態を簡略的に示す拡大断面図である。 なめし処理によって革製部材に混在させた粉末状カーボン又は粉末状アルミニウムの表面に銀を析出させた状態を簡略的に示す拡大断面図である。
符号の説明
2,2A,2B,2C 抗菌部材
4,4A,4B,4C 母材
6 布製部材
8 粉末状カーボン
10,14,18,19 被表面処理部材
12 発泡性樹脂製部材
16,17 革製部材
20 無機系接着剤
22 電解槽
24,26 電極
32 直流電源
36 交流電源
38 銀

Claims (9)

  1. 非導電性の母材の表面の少なくとも一部にカーボン材を混在させ、前記カーボン材の表面に銀を析出させたことを特徴とする抗菌部材。
  2. 非導電性の母材の表面の少なくとも一部にアルミニウム材を混在させ、前記アルミニウム材の表面に形成された陽極酸化被膜に銀を析出させたことを特徴とする抗菌部材。
  3. 前記母材が、布製部材、革製部材又は発泡性樹脂製部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌部材。
  4. 前記母材の表面の少なくとも一部には、更に、シリカゲルが混在されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌部材。
  5. 革製部材の表面にアルミニウム材を含むなめし剤を用いたなめし処理を行うことによってアルミニウム材を混在させ、前記アルミニウム材の表面に形成した陽極酸化被膜に銀を析出させたことを特徴とする抗菌革材。
  6. 革製部材の表面にカーボン材を含むなめし剤を用いたなめし処理を行うことによってカーボン材を混在させ、前記カーボン材の表面に銀を析出させたことを特徴とする抗菌革材。
  7. 前記革製部材の表面には、更に、シリカゲルが混在されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の抗菌革材。
  8. カーボン材が混在された非導電性の母材を、硫酸浴又はシュウ酸浴或いはこれらの混合浴中に硝酸銀又は硫酸銀或いは硝酸銀及び硫酸銀の混合物を添加した電解液中にて、交直重畳電流、交流電流、マイナス波を流すPR電流又はマイナス波を流すパルス波のいずれかを加えて電解処理し、これによって、添加した硝酸銀又は硫酸銀の銀を前記カーボン材の表面に析出させたことを特徴とする抗菌部材の製造方法。
  9. アルミニウム材が混在された非導電性の母材を、硫酸浴又はシュウ酸浴或いはこれらの混合浴中に硝酸銀又は硫酸銀或いは硝酸銀及び硫酸銀の混合物を添加した電解液中にて、交直重畳電流、交流電流、マイナス波を流すPR電流又はマイナス波を流すパルス波のいずれかを加えて電解処理し、これによって、前記アルミニウム材の表面に陽極酸化被膜を形成すると同時に、添加した硝酸銀又は硫酸銀の銀を前記陽極酸化被膜に析出させたことを特徴とする抗菌部材の製造方法。
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