JP2006008844A - 印刷インキ組成物、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の印刷装置を用いて重ね刷りした際の印刷物の光沢を低下させることなく、耐ブロッキング性を飛躍的に向上しうる印刷インキ組成物を提供すること。
【解決手段】 印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)、インキ用石油系溶剤(c)、酸化重合触媒(e)および一般式[1]:CH2=C(R1)COOR2(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数14以上のアルキル基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)を含有する印刷インキ組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル(d)を2〜30重量%含有することを特徴とする光重合性開始剤を含有しない印刷インキ組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)、インキ用石油系溶剤(c)、酸化重合触媒(e)および一般式[1]:CH2=C(R1)COOR2(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数14以上のアルキル基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)を含有する印刷インキ組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル(d)を2〜30重量%含有することを特徴とする光重合性開始剤を含有しない印刷インキ組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は印刷インキ組成物およびその製造方法に関する。
近年印刷技術の進歩に伴い、美しい印刷物が提供されるようになってきている。これらの印刷物は種々の印刷方法で印刷されるものであるが、その経済性や品質面から、オフセット印刷法が広く用いられている。通常のオフセット印刷法は、黄、紅、藍、墨インキの4色によるカラー印刷であり、これらのインキが重なり合うことにより微妙な色彩を表現している。
ところで、近年の環境に対する関心の高まりから、インキ業界においては、インキに用いられるインキ用石油系溶剤を減らし植物油類へ置換する動きが強まっている。しかし、単に石油系溶剤を植物油に置換した場合には、植物油が紙に浸透しにくく、植物油は石油系溶剤に比べ揮発性が低いため、空気中への揮発量が少なくなることによりベタツキが生じ、当該インキを用いて紙に印刷するとブロッキングが発生するといった問題が生じている。そのため、インキ用樹脂を改良することによりこれらの問題を解決しようとする検討が行なわれたが、ブロッキングを改良するためには、インキ用樹脂の溶剤への溶解性を低下させねばならず、そうすると、インキの光沢が低下するという問題が生じていた。
このような問題を解決する手段として、印刷インキ用樹脂ワニスに溶解度パラメーターが19(MPa)1/2より小さくかつ溶剤成分に相溶するオレフィン系ポリマー、ジエン系ポリマーまたは流動パラフィンを使用する方法が提案されている。(例えば、特許文献1〜5参照)
また、前記問題を、紫外線硬化技術を導入することにより解決しようとする方法も提案されている(例えば、特許文献6〜8参照)。当該方法は、インキの内部乾燥は油の酸化重合、表面乾燥はUV硬化で行なう油性/UV融合型のハイブリッドインキを用いるものであり、得られる印刷物のブロッキングを改善できるものである。しかし、特許文献1〜8の方法ではブロッキングを改善できるものの、インキを数回重ねて印刷した場合、光沢が著しく低下するといった問題が生じている。また紫外線硬化を利用する油性/UV融合型のハイブリッドインキの場合には、新たに紫外線照射装置を設置しなければならず、経済性に問題があった。
本発明は、従来の印刷装置を用いて重ね刷りした際の印刷物の光沢を低下させることなく、耐ブロッキング性を飛躍的に向上しうる印刷インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、酸化重合触媒存在下、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含有させることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
現在、耐ブロッキング性が発現する機構は必ずしも明らかではないが、植物油類を含有する印刷インキ用ワニスに、酸化重合触媒存在下、特定の(メタ)アクリル酸エステルを作用させることで、ヒドロキシパーオキシド化した植物油類が(メタ)アクリル酸エステルと架橋し、植物油類どうしで重合するより硬い皮膜が形成されると考えられ、耐ブロッキング性が向上するだけでなく、インキの耐摩擦性も向上する。また、重ね刷り時の光沢は印刷インキ用樹脂ワニスの溶解性が低下すれば悪化する傾向にあり、通常公知の紫外線硬化型インキに用いられているアクリル系モノマーは樹脂ワニスへの溶解性が低いため、光沢が低下するのに対し、本発明の(メタ)アクリル酸エステルを使用した場合は印刷インキ用樹脂ワニスの溶解性の低下を招くことがないため、重ね刷り時の光沢が低下しないと考えられる。本発明はかかる知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)、インキ用石油系溶剤(c)、酸化重合触媒(e)および一般式[1]:CH2=C(R1)COOR2(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数14以上のアルキル基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)を含有する印刷インキ組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル(d)を2〜30重量%含有することを特徴とする光重合性開始剤を含有しない印刷インキ組成物;印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)、酸化重合触媒(e)および前記一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)を含有する印刷インキ組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル(d)を2〜30重量%含有することを特徴とする光重合性開始剤を含有しない印刷インキ組成物;印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)、インキ用石油系溶剤(c)および前記一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(A)を調製した後に、酸化重合触媒(e)を添加することを特徴とする前記印刷インキ組成物の製造方法;印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)およびインキ用石油系溶剤(c)を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(B)を調製した後に、前記一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)および酸化重合触媒(e)添加することを特徴とする前記印刷インキ組成物の製造方法;印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)および前記一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(A´)を調製した後に、酸化重合触媒(e)を添加することを特徴とする前記印刷インキ組成物の製造方法;印刷インキ用樹脂(a)および植物油類(b)を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(B´)を調製した後に、前記一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)および酸化重合触媒(e)添加することを特徴とする前記印刷インキ組成物の製造方法に関する。
本発明によれば、特に、従来の印刷装置(特に油性オフセット印刷装置)を用いて重ね刷りした際の印刷物の光沢を低下させることなく、耐ブロッキング性を飛躍的に向上しうる印刷インキ組成物を提供することができる。また、本発明に係る印刷インキ組成物は、特にオフセット枚葉インキ(枚葉インキ)、オフセット輪転インキ(オフ輪インキ)、水なしオフセットインキ等のオフセット印刷インキとして賞用されるほか、新聞インキ、凸版印刷インキ、グラビア印刷インキにも好適に使用される。なお、インキ用溶剤として沸点が200℃以上で芳香族炭化水素の含有率が1重量%以下である石油系溶剤を用いた本発明に係る印刷インキは、環境側面や作業衛生面において好適であり、またインキ溶剤を使用せず、植物油類単独で設計した印刷インキは更に好ましい。
本発明に用いられる印刷インキ用樹脂(a)(以下、(a)成分という)としては各種公知のものを特に限定なく使用できる。具体的には、例えば、ロジン類、レゾール型フェノール樹脂、ポリオール類を主成分としたロジン変性フェノール樹脂;脂肪酸類、多塩基酸類、ポリオール類を成分としたアルキド樹脂;オイルフリーアルキド樹脂;特開2001−139670号公報、特開2001−233949号公報、特開2001−233947号公報、特開2001−310934号公報、特開2002−97232号公報、特開2003−96172号公報、特開2003−105071号公報、特開2004−18619号公報等に記載されているポリエステル樹脂や変性石油樹脂;C5留分からなるC5石油樹脂、C9留分からなるC9石油樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)からなるDCPD石油樹脂など従来公知の印刷インキ用樹脂が挙げられる。インキの乳化特性や粘弾性特性を実用範囲にするため、これら印刷インキ用樹脂の物性としては、カルボキシル基を有するものでは、酸価5〜50mgKOH/g程度、分子量10,000〜400,000程度、樹脂設計としてはアルコール性水酸基の当量数OHとカルボキシル基の当量数COOHの割合を、通常OH/COOH=0.5〜1.5程度となるよう調整することが好ましい。本発明では、前記各種のうち1種を単独で使用しても、2種以上を適宜に併用してもよい。特にインキ性能のバランスが良好な点からロジン変性フェノール樹脂や、特開2001−139670号公報、特開2001−233949号公報、特開2001−233947号公報、特開2001−310934号公報、特開2002−97232号公報、特開2003−96172号公報、特開2003−105071号公報、特開2004−18619号公報等に記載されているポリエステル樹脂や変性石油樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いられる植物油類(b)(以下、(b)成分という)としては、各種公知のものを特に限定なく使用できる。具体的には、例えば、アマニ油、桐油、サフラワー油、脱水ヒマシ油、大豆油等の植物油の他、アマニ油脂肪酸メチル、大豆油脂肪酸メチル、アマニ油脂肪酸エチル、大豆油脂肪酸エチル、アマニ油脂肪酸プロピル、大豆油脂肪酸プロピル、アマニ油脂肪酸ブチル、大豆油脂肪酸ブチルなどといった前記植物油のモノエステルなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を適宜に併用しても良い。これらの中では、印刷物の乾燥性の点から分子中に不飽和結合を有する植物油が好ましく、環境に対する負荷が小さい点から大豆油が特に好ましい。
本発明に用いられるインキ用石油系溶剤(c)(以下、(c)成分という)としては、従来公知のインキ溶剤を特に限定なく使用することができる。具体的には、例えば、新日本石油(株)製の各種石油系溶剤である0号ソルベント、4号ソルベント、5号ソルベント、6号ソルベント、7号ソルベント、AF4号ソルベント、AF5号ソルベント、AF6号ソルベント、AF7号ソルベントなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を適宜に併用しても良い。特に環境対策面から沸点が200℃以上で芳香族炭化水素の含有率が1重量%以下であるAFソルベントを使用することが好ましい。また(c)成分を用いることにより、セット性や耐ブロッキング性を向上させることができるが、環境負荷を低減した印刷インキが必要な場合には、(c)成分を用いず(b)成分のみを用いればよい。
本発明に用いられる一般式[1]:CH2=C(R1)COOR2(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数14以上のアルキル基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)(以下、(d)成分という)としては、R2の炭素数が14以上のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルであれば特に制限されず公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸ヘキサコシル、(メタ)アクリル酸オクタコシルなどが挙げられる。なお、これらの化合物の一部に不飽和結合が存在してもよく、分岐構造や環状構造が存在しても良い。また、一部が水酸基やハロゲン原子等で置換されていても良い。これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。なお、(d)成分に用いられるアルキルアルコールの炭素数が14より少ない場合には、本発明に係る印刷インキの耐ブロッキング性が発現しないため好ましくない。これら(d)成分の中でも、炭素数14以上のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルが、耐ブロッキング性向上効果が高いため好ましく、入手の容易さ等の点も考慮すると特に炭素数14〜18のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。
本発明に用いられる酸化重合触媒(e)(以下、(e)成分という)としては公知のものを限定なく使用することができる。具体的には、例えば、オクチル酸、ステアリン酸、ナフテン酸、大豆油脂肪酸などのカルボン酸類とコバルト、マンガン、鉄、亜鉛、カルシウムなどの金属類との金属塩などがあげられる。これらは単独で用いても2種以上を適宜に併用しても良い。これらのなかでは、カルボン酸類のコバルト塩やマンガン塩が、乾燥性が良好となる点から好ましい。
なお、前記(a)〜(e)成分として、(a)成分にロジン変性フェノール樹脂や特開2001−139670号公報、特開2001−233949号公報、特開2001−233947号公報、特開2001−310934号公報、特開2002−97232号公報、特開2003−96172号公報、特開2003−105071号公報、特開2004−18619号公報等に記載されているポリエステル樹脂や変性石油樹脂を使用し、(b)成分として大豆油および/または大豆油モノエステルを用い、(c)成分を使用せず、(d)成分として(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチルおよび(メタ)アクリル酸ステアリルからなる群より選ばれる少なくとも一種を用い、(e)成分としてカルボン酸類のコバルト塩やマンガン塩を使用した場合には、インキ性能に優れ、環境衛生面にも配慮したインキが製造できるため好ましい。
本発明で用いられる(a)〜(e)成分の使用量は、(d)成分が、印刷インキ組成物に対して、2〜30重量%程度含まれている限り、他の成分は特に限定されず、用途に応じてそれぞれ適宜に決定すればよいが、一般的には、印刷インキ中の(a)成分の使用量は10〜40重量%程度、(b)成分の使用量は10〜70程度、(c)成分を用いる場合の使用量は、1〜60重量%程度、(d)成分の使用量は、2〜30重量%程度、(e)成分の使用量は、0.5〜5重量%程度とすればよい。なお、(d)成分は、印刷インキ組成物に対して、2〜20重量%使用することが特に好ましい。(d)成分の使用量が、2重量%より少ない場合には、本発明に係る印刷インキの耐ブロッキング性が発現せず、また30重量%より多く使用した場合、樹脂ワニスや印刷インキの貯蔵安定性が悪化するため好ましくない。
本発明の光重合性開始剤を含有しない印刷インキ組成物は、前記(a)〜(e)成分を含有するものであるが、必要に応じて各種公知の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、ゲル化剤、顔料(黄色、紅色、藍色または黒色など)、前記同様の植物油類および/または石油系溶剤のほか、インキ流動性やインキ表面皮膜を改善するための界面活性剤、ワックスなどがあげられる
前記ゲル化剤としては、例えば、オクチル酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテート、アルミニウムジブトキシドモノアセチルアセテート、アルミニウムトリアセチルアセテートなど各種公知のものを特に限定無く使用できる。
本発明の印刷インキ組成物は、以下の方法により製造することができる。本発明の印刷インキ組成物を調製するための方法としては、前記(a)〜(d)成分を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(A)(以下、(A)成分という)、または(a)、(b)および(d)成分を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(A´)(以下、(A´)成分という)を調製した後に、(e)成分を添加する方法(第1方法)と、前記(a)〜(c)成分を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(B)(以下、(B)成分という)、または(a)および(b)成分を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(B´)(以下、(B´)成分という)を調製した後に、(d)成分および(e)成分を添加する方法(第2方法)があげられる。
第1方法は、あらかじめ(A)成分または(A´)成分を調製した後、(e)成分を添加することを特徴とする。当該(A)成分を調製する場合には(a)〜(d)成分に、当該(A´)成分を調製する場合には(a)、(b)および(d)成分に、必要に応じてゲル化剤や、(b)および(c)成分以外のインキ用溶剤などを配合し、これを100〜240℃程度に加熱し、溶解させて得られるものである。なお、(b)成分、(c)成分、ゲル化剤ならびに、(b)および(c)成分以外のインキ用溶剤は、いずれも当該印刷インキ用樹脂組成物を製造する際にその反応を阻害しないものであれば、これらの成分を(a)成分の製造時に用い、(a)成分中に残存させておけば、印刷インキ用樹脂ワニスの製造工程を簡略化することができる。なお、成分(d)を加えた後は、220℃以下で加熱することが好ましい。220℃より高い温度に加熱すると、ブロッキング性の改善効果が現れなくなる場合がある。このようにして得られた(A)成分または(A´)成分に(e)成分および必要に応じて前記した添加剤を添加し、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミルといった公知のインキ製造装置を用いて適切なインキ恒数となるよう、練肉・調製することにより、本発明の印刷インキ組成物が得られる。
第2方法は、あらかじめ(B)成分または(B´)成分を調製した後、(d)成分および(e)成分を添加することを特徴とする。当該(B)成分を調製する場合には(a)〜(c)成分に、当該(B´)成分を調製する場合には(a)および(b)成分に、ゲル化剤や、(b)および(c)成分以外のインキ用溶剤などを配合し、これを100〜240℃程度に加熱し、溶解させて得られるものである。なお、(b)成分、(c)成分、ゲル化剤ならびに、(b)および(c)成分以外のインキ用溶剤は、いずれも当該印刷インキ用樹脂組成物を製造する際にその反応を阻害しないものであれば、これらの成分を(a)成分の製造時に用い、(a)成分中に残存させておけば、印刷インキ用樹脂ワニスの製造工程を簡略化することができる。このようにして得られた(B)成分または(B´)成分に(d)成分、(e)成分および必要に応じて前記した添加剤を添加し、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミルといった公知のインキ製造装置を用いて適切なインキ恒数となるよう、練肉・調製することにより、本発明の印刷インキ組成物が得られる。
以下、製造例、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。なお、以下「部」とは重量部を示す。
製造例1:(70%レゾール型ノニルフェノールキシレン溶液の製造)
攪拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、ノニルフェノール1,000部、パラホルムアルデヒド270部および水1,000部を仕込み、攪拌下に50℃まで昇温した。そして50℃において水酸化ナトリウム100部を仕込み、冷却しながら90℃まで徐々に昇温した後、2.5時間保温し、硫酸を滴下してpHを6付近に調整した。その後、キシレン150部を加え、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、内容物を冷却してレゾール型ノニルフェノールの70%キシレン溶液を得た。
攪拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、ノニルフェノール1,000部、パラホルムアルデヒド270部および水1,000部を仕込み、攪拌下に50℃まで昇温した。そして50℃において水酸化ナトリウム100部を仕込み、冷却しながら90℃まで徐々に昇温した後、2.5時間保温し、硫酸を滴下してpHを6付近に調整した。その後、キシレン150部を加え、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、内容物を冷却してレゾール型ノニルフェノールの70%キシレン溶液を得た。
製造例2:(不飽和酸変性ロジンの製造)
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融した。ついで、フマル酸267部を仕込み、攪拌下に230℃まで昇温して1時間保温した後、冷却して不飽和酸変性ロジンの固形樹脂を得た。樹脂酸価は342.0(JIS K5601に準ずる。以下、酸価は同様の方法で測定した値である)であった。
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融した。ついで、フマル酸267部を仕込み、攪拌下に230℃まで昇温して1時間保温した後、冷却して不飽和酸変性ロジンの固形樹脂を得た。樹脂酸価は342.0(JIS K5601に準ずる。以下、酸価は同様の方法で測定した値である)であった。
製造例3:(極性基含有石油樹脂の製造)
製造例1と同様の反応容器に、DCPD系石油樹脂(商品名 クイントン1325、日本ゼオン(株)製)1,000部、キシレン100部を仕込み、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら150℃まで昇温して溶融した。ついで、無水マレイン酸70部を仕込み、ジ−t−ブチルパーオキサイド(商品名 パーブチルD、日本油脂(株)製)6部を30分間かけて連続的に添加し、150〜160℃で2.5時間保温し反応させた。保温後、キシレンを除去するため反応系を200℃まで昇温し、0.02MPaで10分間減圧した後、冷却して、理論酸価が75.0、重量平均分子量が5,000の固形樹脂を得た。なお、当該理論酸価は使用原料のカルボキシル基当量数から算出したものである。なお、当該重量平均分子量の測定には、東ソー(株)製ゲルパーミションクロマトグラフィー(商品名 HLC−8020)および東ソー(株)製カラム(商品名 TSK−GEL)を用いた(以下、重量平均分子量は同様の方法で測定した値である)。
製造例1と同様の反応容器に、DCPD系石油樹脂(商品名 クイントン1325、日本ゼオン(株)製)1,000部、キシレン100部を仕込み、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら150℃まで昇温して溶融した。ついで、無水マレイン酸70部を仕込み、ジ−t−ブチルパーオキサイド(商品名 パーブチルD、日本油脂(株)製)6部を30分間かけて連続的に添加し、150〜160℃で2.5時間保温し反応させた。保温後、キシレンを除去するため反応系を200℃まで昇温し、0.02MPaで10分間減圧した後、冷却して、理論酸価が75.0、重量平均分子量が5,000の固形樹脂を得た。なお、当該理論酸価は使用原料のカルボキシル基当量数から算出したものである。なお、当該重量平均分子量の測定には、東ソー(株)製ゲルパーミションクロマトグラフィー(商品名 HLC−8020)および東ソー(株)製カラム(商品名 TSK−GEL)を用いた(以下、重量平均分子量は同様の方法で測定した値である)。
製造例4:(印刷インキ用樹脂a−1の合成)
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン552部を仕込み、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら230℃まで昇温して溶融した。ついで、ペンタエリスリトール52部および酸化亜鉛2部を添加し、攪拌下に260℃まで昇温し、酸価が20以下となるまで反応した。さらに230℃まで冷却した後、保温状態において製造例1で得たレゾール型ノニルフェノールの70%キシレン溶液394部(固形分276部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が8.0Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧後、内容物を冷却して印刷インキ用樹脂a−1を得た。なお、当該樹脂組成物の芳香族炭化水素系溶剤(商品名 0号ソルベントH、新日本石油(株)製)溶液のトレランスは1.4g/g、酸価は16.8、軟化点は168℃、重量平均分子量は92,000であった。ここに、33%アマニ油粘度とは、樹脂とアマニ油を1対2重量比で加熱混合したものを日本レオロジー機器(株)製コーン&プレート型粘度計を用いて25℃で測定した粘度をいう(以下、33%アマニ油粘度は同様の方法で測定した値である)。また、トレランス(溶解性の指標)とは、樹脂と0号ソルベントHを1対1の重量比で加熱混合したものに25℃でさらに0号ソルベントHを加えて白濁するまでに要した総溶剤重量に対する樹脂重量から算出した値である(以下、トレランスは同様の方法で測定した値である)。また、軟化点とは、JIS K5601に準拠する(以下、軟化点は同様の方法で測定した値である)。
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン552部を仕込み、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら230℃まで昇温して溶融した。ついで、ペンタエリスリトール52部および酸化亜鉛2部を添加し、攪拌下に260℃まで昇温し、酸価が20以下となるまで反応した。さらに230℃まで冷却した後、保温状態において製造例1で得たレゾール型ノニルフェノールの70%キシレン溶液394部(固形分276部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が8.0Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧後、内容物を冷却して印刷インキ用樹脂a−1を得た。なお、当該樹脂組成物の芳香族炭化水素系溶剤(商品名 0号ソルベントH、新日本石油(株)製)溶液のトレランスは1.4g/g、酸価は16.8、軟化点は168℃、重量平均分子量は92,000であった。ここに、33%アマニ油粘度とは、樹脂とアマニ油を1対2重量比で加熱混合したものを日本レオロジー機器(株)製コーン&プレート型粘度計を用いて25℃で測定した粘度をいう(以下、33%アマニ油粘度は同様の方法で測定した値である)。また、トレランス(溶解性の指標)とは、樹脂と0号ソルベントHを1対1の重量比で加熱混合したものに25℃でさらに0号ソルベントHを加えて白濁するまでに要した総溶剤重量に対する樹脂重量から算出した値である(以下、トレランスは同様の方法で測定した値である)。また、軟化点とは、JIS K5601に準拠する(以下、軟化点は同様の方法で測定した値である)。
製造例5:(印刷インキ用樹脂a−2の合成)
製造例1と同様の反応容器に製造例3で得た極性基含有石油樹脂420部を仕込み、これを窒素雰囲気下で攪拌しながら200℃まで昇温し、溶融した。ついで、オクタデシルアミン58部を添加し、200℃で2時間保温した後、重合ロジン(商品名 シルバタック140、シルバケム社製、酸価140)348部および製造例2で得た不飽和酸変性ロジン124部を仕込み、溶融した。その後、ペンタエリスリトール25部およびグリセリン25部を添加してエステル化反応を開始し、攪拌下に260℃まで昇温した。その後、樹脂の酸価が30以下となったらパラトルエンスルホン酸1部を仕込み、酸価が20以下となるまでエステル化反応を続行した。反応終了後、反応系を33重量%アマニ油粘度が8.0Pa・sとなるように調整し、0.02MPaにおいて10分間減圧後、内容物を冷却して印刷インキ用樹脂a−2を得た。こうして得られた印刷インキ用樹脂組成物の脂肪族炭化水素系溶剤(商品名 0号ソルベントH、日石三菱(株)製)溶液のトレランスは1.2g/g、酸価は14.3、軟化点は172℃、重量平均分子量は140,000であった。
製造例1と同様の反応容器に製造例3で得た極性基含有石油樹脂420部を仕込み、これを窒素雰囲気下で攪拌しながら200℃まで昇温し、溶融した。ついで、オクタデシルアミン58部を添加し、200℃で2時間保温した後、重合ロジン(商品名 シルバタック140、シルバケム社製、酸価140)348部および製造例2で得た不飽和酸変性ロジン124部を仕込み、溶融した。その後、ペンタエリスリトール25部およびグリセリン25部を添加してエステル化反応を開始し、攪拌下に260℃まで昇温した。その後、樹脂の酸価が30以下となったらパラトルエンスルホン酸1部を仕込み、酸価が20以下となるまでエステル化反応を続行した。反応終了後、反応系を33重量%アマニ油粘度が8.0Pa・sとなるように調整し、0.02MPaにおいて10分間減圧後、内容物を冷却して印刷インキ用樹脂a−2を得た。こうして得られた印刷インキ用樹脂組成物の脂肪族炭化水素系溶剤(商品名 0号ソルベントH、日石三菱(株)製)溶液のトレランスは1.2g/g、酸価は14.3、軟化点は172℃、重量平均分子量は140,000であった。
実施例1:(印刷インキ用樹脂ワニス組成物A−1と印刷インキ組成物の調製)
製造例4で得られた成分(a)である印刷インキ用樹脂a−1を43部、成分(b)である大豆油30部、成分(c)である脂環族炭化水素系溶剤(商品名 AFソルベント6号、新日本石油(株)製)24部および成分(d)であるアクリル酸ステアリル3部を180℃にて1時間混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却した後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)0.5〜1.5部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニス組成物A−1を得た。ついで前記方法で得られた印刷インキ用樹脂ワニス組成物を用い、表1に示した配合割合で三本ロールミルを使用して練肉、タック値が9.0±0.5、フロー値19.0±1.0となるよう適宜調整し、本発明に係る印刷インキ組成物を得た。なお、当該印刷インキ中のアクリル酸ステアリルの含有量は2.0重量%である。
製造例4で得られた成分(a)である印刷インキ用樹脂a−1を43部、成分(b)である大豆油30部、成分(c)である脂環族炭化水素系溶剤(商品名 AFソルベント6号、新日本石油(株)製)24部および成分(d)であるアクリル酸ステアリル3部を180℃にて1時間混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却した後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)0.5〜1.5部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニス組成物A−1を得た。ついで前記方法で得られた印刷インキ用樹脂ワニス組成物を用い、表1に示した配合割合で三本ロールミルを使用して練肉、タック値が9.0±0.5、フロー値19.0±1.0となるよう適宜調整し、本発明に係る印刷インキ組成物を得た。なお、当該印刷インキ中のアクリル酸ステアリルの含有量は2.0重量%である。
実施例2:(印刷インキ用樹脂ワニス組成物A−2と印刷インキ組成物の調製)
製造例5で得られた成分(a)である印刷インキ用樹脂a−2を43部、成分(b)である大豆油30部、成分(c)である脂環族炭化水素系溶剤(商品名 AFソルベント6号、新日本石油(株)製)17部および成分(d)であるメタクリル酸ミリスチル10部を180℃にて1時間混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却した後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)0.5〜1.5部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニス組成物A−2を得た。ついで前記方法で得られた印刷インキ用樹脂ワニス組成物を用い、表1に示した配合割合で三本ロールミルを使用して練肉、タック値が9.0±0.5、フロー値19.0±1.0となるよう適宜調整し、本発明に係る印刷インキ組成物を得た。なお、当該印刷インキ中のメタクリル酸ミリスチルの含有量は7.2重量%である。
製造例5で得られた成分(a)である印刷インキ用樹脂a−2を43部、成分(b)である大豆油30部、成分(c)である脂環族炭化水素系溶剤(商品名 AFソルベント6号、新日本石油(株)製)17部および成分(d)であるメタクリル酸ミリスチル10部を180℃にて1時間混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却した後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)0.5〜1.5部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニス組成物A−2を得た。ついで前記方法で得られた印刷インキ用樹脂ワニス組成物を用い、表1に示した配合割合で三本ロールミルを使用して練肉、タック値が9.0±0.5、フロー値19.0±1.0となるよう適宜調整し、本発明に係る印刷インキ組成物を得た。なお、当該印刷インキ中のメタクリル酸ミリスチルの含有量は7.2重量%である。
実施例3:(印刷インキ用樹脂ワニス組成物B−1と印刷インキ組成物の調製)
製造例4で得られた成分(a)である印刷インキ用樹脂a−1を43部、成分(b)である大豆油30部、成分(c)である脂環族炭化水素系溶剤(商品名 AFソルベント6号、新日本石油(株)製)27部を180℃にて1時間混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却した後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)0.5〜1.5部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、印刷インキ用樹脂ワニス組成物B−1を得た。ついで前記方法で得られた印刷インキ用樹脂ワニス組成物および成分(d)であるアクリル酸セチル5部を用い、表1に示した配合割合で三本ロールミルを使用して練肉、タック値が9.0±0.5、フロー値19.0±1.0となるよう適宜調整し、本発明に係る印刷インキ組成物を得た。なお、当該印刷インキ中のアクリル酸セチルの含有量は5.0重量%である。
製造例4で得られた成分(a)である印刷インキ用樹脂a−1を43部、成分(b)である大豆油30部、成分(c)である脂環族炭化水素系溶剤(商品名 AFソルベント6号、新日本石油(株)製)27部を180℃にて1時間混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却した後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)0.5〜1.5部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、印刷インキ用樹脂ワニス組成物B−1を得た。ついで前記方法で得られた印刷インキ用樹脂ワニス組成物および成分(d)であるアクリル酸セチル5部を用い、表1に示した配合割合で三本ロールミルを使用して練肉、タック値が9.0±0.5、フロー値19.0±1.0となるよう適宜調整し、本発明に係る印刷インキ組成物を得た。なお、当該印刷インキ中のアクリル酸セチルの含有量は5.0重量%である。
実施例4:(印刷インキ用樹脂ワニス組成物B´−1と印刷インキ組成物の調製)
製造例4で得られた成分(a)である印刷インキ用樹脂a−1を40部、成分(b)である大豆油60部を180℃にて1時間混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却した後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)0.5〜1.5部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、印刷インキ用樹脂ワニス組成物B´−1を得た。ついで前記方法で得られた印刷インキ用樹脂ワニス組成物および成分(d)であるメタクリル酸ステアリル5部を用い、表1に示した配合割合で三本ロールミルを使用して練肉、タック値が9.0±0.5、フロー値19.0±1.0となるよう適宜調整し、本発明に係る印刷インキ組成物を得た。なお、当該印刷インキ中のメタクリル酸ステアリルの含有量は5.0重量%である。
製造例4で得られた成分(a)である印刷インキ用樹脂a−1を40部、成分(b)である大豆油60部を180℃にて1時間混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却した後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)0.5〜1.5部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、印刷インキ用樹脂ワニス組成物B´−1を得た。ついで前記方法で得られた印刷インキ用樹脂ワニス組成物および成分(d)であるメタクリル酸ステアリル5部を用い、表1に示した配合割合で三本ロールミルを使用して練肉、タック値が9.0±0.5、フロー値19.0±1.0となるよう適宜調整し、本発明に係る印刷インキ組成物を得た。なお、当該印刷インキ中のメタクリル酸ステアリルの含有量は5.0重量%である。
実施例5:(印刷インキ用樹脂ワニス組成物A´−1と印刷インキ組成物の調製)
製造例5で得られた成分(a)である印刷インキ用樹脂a−2を40部、成分(b)である大豆油18部および成分(d)であるアクリル酸ステアリル42部を180℃にて1時間混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却した後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)0.5〜1.5部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニス組成物A´−1を得た。ついで前記方法で得られた印刷インキ用樹脂ワニス組成物を用い、表1に示した配合割合で三本ロールミルを使用して練肉、タック値が9.0±0.5、フロー値19.0±1.0となるよう適宜調整し、本発明に係る印刷インキ組成物を得た。なお、当該印刷インキ中のアクリル酸ステアリルの含有量は30重量%である。
製造例5で得られた成分(a)である印刷インキ用樹脂a−2を40部、成分(b)である大豆油18部および成分(d)であるアクリル酸ステアリル42部を180℃にて1時間混合溶解しワニスを得た。このワニスを60℃まで冷却した後、アルミキレート(商品名 ALCH、川研ファインケミカル(株)製)0.5〜1.5部を加え、190℃まで昇温、1時間保温し、本発明に係る印刷インキ用樹脂ワニス組成物A´−1を得た。ついで前記方法で得られた印刷インキ用樹脂ワニス組成物を用い、表1に示した配合割合で三本ロールミルを使用して練肉、タック値が9.0±0.5、フロー値19.0±1.0となるよう適宜調整し、本発明に係る印刷インキ組成物を得た。なお、当該印刷インキ中のアクリル酸ステアリルの含有量は30重量%である。
比較例1:(印刷インキ用樹脂ワニス組成物と印刷インキ組成物の調製)
実施例5において成分(b)である大豆油を60部使用し、成分(d)を使用しない以外は同様にして、印刷インキ組成物を調製した。
実施例5において成分(b)である大豆油を60部使用し、成分(d)を使用しない以外は同様にして、印刷インキ組成物を調製した。
比較例2:(印刷インキ用樹脂ワニス組成物と印刷インキ組成物の調製)
実施例5において成分(b)である大豆油を58部および成分(d)であるアクリル酸ステアリル2部を用いた以外は同様の手段に従い、印刷インキ組成物を調製した。なお、当該印刷インキ中のアクリル酸ステアリルの含有量は1.8重量%である。
実施例5において成分(b)である大豆油を58部および成分(d)であるアクリル酸ステアリル2部を用いた以外は同様の手段に従い、印刷インキ組成物を調製した。なお、当該印刷インキ中のアクリル酸ステアリルの含有量は1.8重量%である。
比較例3:(印刷インキ用樹脂ワニス組成物と印刷インキ組成物の調製)
実施例5において成分(b)である大豆油を14部および成分(d)であるアクリル酸ステアリル46部を用いた以外は同様の手段に従い、印刷インキ用樹脂ワニスを調製したところ、樹脂ワニスが白濁したためインキ性能試験は中止した。参考までに印刷インキ組成物を調製すると、当該印刷インキ中のアクリル酸ステアリルの含有量は32重量%であった。
実施例5において成分(b)である大豆油を14部および成分(d)であるアクリル酸ステアリル46部を用いた以外は同様の手段に従い、印刷インキ用樹脂ワニスを調製したところ、樹脂ワニスが白濁したためインキ性能試験は中止した。参考までに印刷インキ組成物を調製すると、当該印刷インキ中のアクリル酸ステアリルの含有量は32重量%であった。
比較例4:(印刷インキ用樹脂ワニス組成物と印刷インキ組成物の調製)
実施例2において成分(d)であるメタクリル酸ミリスチル(炭素数14のアルキルアルコールのメタクリル酸エステル)をメタクリル酸ラウリル(炭素数12のアルキルアルコールのメタクリル酸エステル)に変更した以外は同様の手段に従い、印刷インキ組成物を調製した。なお、当該印刷インキ中のメタクリル酸ラウリルの含有量は7.2重量%である。
実施例2において成分(d)であるメタクリル酸ミリスチル(炭素数14のアルキルアルコールのメタクリル酸エステル)をメタクリル酸ラウリル(炭素数12のアルキルアルコールのメタクリル酸エステル)に変更した以外は同様の手段に従い、印刷インキ組成物を調製した。なお、当該印刷インキ中のメタクリル酸ラウリルの含有量は7.2重量%である。
比較例5:(印刷インキ用樹脂ワニス組成物と印刷インキ組成物の調製)
実施例5において成分(b)である大豆油57部およびトリメチロールプロパントリアクリレート3部を用いた以外は同様の手段に従い、印刷インキ組成物を調製した。
実施例5において成分(b)である大豆油57部およびトリメチロールプロパントリアクリレート3部を用いた以外は同様の手段に従い、印刷インキ組成物を調製した。
比較例6:(印刷インキ用樹脂ワニス組成物と印刷インキ組成物の調製)
実施例5において大豆油57部およびポリブタジエン(商品名 ポリブタジエンB2000、新日本石油(株)製)3部を用いた以外は同様の手段に従い、印刷インキ組成物を調製した。
実施例5において大豆油57部およびポリブタジエン(商品名 ポリブタジエンB2000、新日本石油(株)製)3部を用いた以外は同様の手段に従い、印刷インキ組成物を調製した。
(インキの性能試験)
一回刷り光沢:インキ0.27mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、25℃、50%R.H.にて24時間調湿し、60°−60°の反射率を光沢計により測定した。光沢は数値が大きいほど良好であることを示し、結果を表2に示した。
二回刷り光沢:インキ0.27mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色、展色面上に更にインキ0.27mlを展色した後、25℃、50%R.H.にて24時間調湿し、60° −60°の反射率を光沢計により測定した。光沢は数値が大きいほど良好であることを示し、結果を表2に示した。
耐ブロッキング性:二回刷り光沢測定後の展色物の展色面を重ね合わせてブロッキングテスターで荷重をかけ、25℃、50%R.H.にて24時間放置した後のブロッキング度合いを目視で判定し、評価結果を表2に示した。
5:ブロッキングが全くしていない、4:展色面が若干剥がれる、3:2と4の中間、2:展色面が広範囲で点在して剥がれる、1:展色面が広範囲にわたって剥がれる
一回刷り光沢:インキ0.27mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、25℃、50%R.H.にて24時間調湿し、60°−60°の反射率を光沢計により測定した。光沢は数値が大きいほど良好であることを示し、結果を表2に示した。
二回刷り光沢:インキ0.27mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色、展色面上に更にインキ0.27mlを展色した後、25℃、50%R.H.にて24時間調湿し、60° −60°の反射率を光沢計により測定した。光沢は数値が大きいほど良好であることを示し、結果を表2に示した。
耐ブロッキング性:二回刷り光沢測定後の展色物の展色面を重ね合わせてブロッキングテスターで荷重をかけ、25℃、50%R.H.にて24時間放置した後のブロッキング度合いを目視で判定し、評価結果を表2に示した。
5:ブロッキングが全くしていない、4:展色面が若干剥がれる、3:2と4の中間、2:展色面が広範囲で点在して剥がれる、1:展色面が広範囲にわたって剥がれる
本発明に係る印刷インキ組成物(実施例1〜5)の二回刷り光沢は一回刷り光沢と同等以上であり、更に成分(d)を使用しない系(比較例1)と比較して耐ブロッキング性を飛躍的に向上させることができる。これに対し、成分(d)の含有量が少ない系(比較例2)や(d)成分が炭素数14未満のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを用いる系(比較例4)では耐ブロッキング性は発現せず、成分(d)の含有量が多い系(比較例3)では印刷インキ用樹脂ワニス組成物が白濁した。また、トリメチロールプロパントリアクリレートを用いた系(比較例5)や溶解度パラメーターが19(MPa)1/2より小さいポリブタジエンを用いた系(比較例6)では耐ブロッキング性は向上するものの、二回刷り光沢が著しく悪化していることがわかる。
Claims (6)
- 印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)、インキ用石油系溶剤(c)、酸化重合触媒(e)および一般式[1]:CH2=C(R1)COOR2(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数14以上のアルキル基を表す。)で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)を含有する印刷インキ組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル(d)を2〜30重量%含有することを特徴とする光重合性開始剤を含有しない印刷インキ組成物。
- 印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)、酸化重合触媒(e)および前記一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)を含有する印刷インキ組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル(d)を2〜30重量%含有することを特徴とする光重合性開始剤を含有しない印刷インキ組成物。
- 印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)、インキ用石油系溶剤(c)、および前記一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(A)を調製した後に、酸化重合触媒(e)を添加することを特徴とする請求項1に記載の印刷インキ組成物の製造方法。
- 印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)およびインキ用石油系溶剤(c)を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(B)を調製した後に、前記一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)および酸化重合触媒(e)を添加することを特徴とする請求項1に記載の印刷インキ組成物の製造方法。
- 印刷インキ用樹脂(a)、植物油類(b)および前記一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(A´)を調製した後に、酸化重合触媒(e)を添加することを特徴とする請求項2に記載の印刷インキ組成物の製造方法。
- 印刷インキ用樹脂(a)および植物油類(b)を含有する印刷インキ用樹脂ワニス組成物(B´)を調製した後に、前記一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸エステル(d)および酸化重合触媒(e)添加することを特徴とする請求項2に記載の印刷インキ組成物の製造方法。
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- 2004-06-25 JP JP2004187824A patent/JP2006008844A/ja active Pending
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