JP7292891B2 - 活性エネルギー線硬化型インキ組成物、及びそれを用いた印刷物の製造方法 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型インキ組成物、及びそれを用いた印刷物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型インキ組成物、及びそれを用いた印刷物の製造方法に関する。
インキ組成物を用いて印刷を行う場合、印刷対象である被印刷物の材質や形状等に併せて各種の印刷方式が適切に選択され、インキ組成物もその印刷方式に合わせて適切な性状を有するものが選択される。例えば、平らな印刷用紙に対しては、平版を用いたオフセット印刷方式が選択され、植物油や鉱物油を含み粘度の高いオフセット印刷用インキ組成物が用いられ、段ボール用紙への印刷においては、ゴム凸版を用いたフレキソ印刷方式が選択され、流動性の極めて高い水性のフレキソ印刷用インキ組成物が用いられること等が挙げられる。この他、グラビア印刷、スクリーン印刷、活版印刷、インクジェット印刷等、様々な印刷方式が適宜選択されて印刷が行われていることは周知の通りである。これらの印刷方式のうち、シールラベルや曲面への印刷では樹脂凸版を用いた印刷が好ましく選択される。樹脂凸版を用いた印刷用として、感光性樹脂組成物を用いた簡便な印刷版の製造方法も提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
ところで、印刷において、印刷対象へインキ組成物を付着させて画像を形成させることと併せて重要な要素の一つとして挙げられるのが、印刷後のインキ組成物の乾燥である。印刷された直後のインキ組成物は、被印刷体の表面で十分に固定されておらず、指などで触った際に指へインキ組成物が付着する、擦られた際に画像が乱れて汚れてしまう等の問題を生じる。このため、印刷後の被印刷体を後加工へ回す場合、被印刷体の表面でインキ組成物が十分に固定(すなわち乾燥)された状態であることが必要である。印刷後のインキ組成物の固定(すなわち乾燥)過程は、用いたインキ組成物の種類に応じて様々であり、例えば、被印刷体への溶剤の浸透、被印刷物からの溶剤の蒸発、インキ組成物に含まれる成分の酸化による高分子量化等が挙げられる。いずれの場合であっても、乾燥過程はそれなりの時間を要するものであり、技術の進歩によって印刷速度が向上している昨今では、乾燥過程に要する時間というのも無視できないものになっている。
このような状況において、近年では活性エネルギー線硬化型のインキ組成物を用いた印刷も行われている。活性エネルギー線硬化型のインキ組成物は、紫外線や電子線の照射によりインキ組成物に含まれる成分が高分子量化し、乾燥を実現する。この乾燥に要する時間は極めて短く、このインキ組成物を用いた印刷は、印刷物を速やかに後加工へ回したい等といった要望に応えるものになっている。このような乾燥方式に対応したインキ組成物の一例として、オフセット印刷方式用のものが例えば特許文献2等で提案され、樹脂凸版印刷方式用のものが例えば特許文献3等で提案されている。
ところで近年、様々な業界や業種で環境負荷低減活動が展開されているが、最終的な目標は地球環境保全で共通している。印刷インキ業界においてもこれまで各種の観点から環境負荷低減を促す活動が行われ、そのような活動の趣旨に適合した製品には各種の認証マークが付されることになっている。このような認証マークとしては、NL規制マーク、ベジタブルマーク、GPマーク、クリオネマーク等が存在する。このような中にあって、最近、印刷インキ工業連合会によって新たにインキグリーンマーク(以下、IGマークと呼ぶ。)制度が制定された。IGマークは、主にインキ組成物を構成する各成分のうちのバイオマスに由来する成分の比率を指標とし、その程度に応じてインキ組成物の環境対応レベルを3段階にランク付けする制度である。つまりこの制度は、環境負荷の低減を目的として、化石資源由来の原材料をバイオマス由来の原材料に代替することを促すことを特徴とするものといえる。
上述の活性エネルギー線硬化型のインキ組成物においても、より少ない紫外線の照射で乾燥できる製品や、消費電力の少ない発光ダイオード(LED)の光で乾燥できる省エネ対応の製品が販売されており、環境負荷低減を目指した動きが広がっているのは他のインキ組成物と同様である。しかしながら、活性エネルギー線硬化型のインキ組成物では、その成分としてモノマーやオリゴマーを多量に用いなければならないことからバイオマスを由来とする成分を多用することが困難であるとされ、それ故上記IGマークの認定基準には、バイオマス由来の成分比率が含まれておらず、これに代えてリサイクル適性や省エネ対応といった環境対応特性が指標として用いられているのが現状である。
特開2010-72130号公報 特許第5477995号公報 特開2004-161812号公報
以上のような背景において、活性エネルギー線硬化型のインキ組成物においてもバイオマス由来の成分比率を高めることは社会的に有用であり、その意義は極めて大きいといえる。しかしながら、活性エネルギー線硬化型のインキ組成物で用いられるモノマーやオリゴマーは、一般のインキ組成物で用いられるバイオマス由来の材料との相溶性が必ずしも良くなく、そのような材料を適用するのが難しいのが現状である。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、バイオマス由来の原料比率を高めながらも、相溶性等といったインキ組成物の基本的な適性を維持できる活性エネルギー線硬化型インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、エチレン性不飽和結合を備えた化合物及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型インキ組成物において、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールと、の縮重合体であり、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2であり酸価が1~50mgKOH/gであるロジン変性アルキッド樹脂を用いることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以上の知見をもとに完成されたものであり、以下のようなものを提供する。
本発明は、顔料、エチレン性不飽和結合を備えた化合物、及びロジン変性アルキッド樹脂を含む活性エネルギー線硬化型インキ組成物であって、上記ロジン変性アルキッド樹脂が、樹脂酸であるロジンヤシ油又は大豆油の脂肪酸及びイソフタル酸、フマル酸又は1,2-シクロヘキセンジカルボン酸である多塩基酸を含む酸成分と、ペンタエリスリトールと、の縮重合体であり、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.4~10.0(cal/cm1/2であって酸価が1~50mgKOH/gである活性エネルギー線硬化型インキ組成物を用いて樹脂凸版印刷により合成樹脂基材へ印刷を行うことを特徴とする印刷物の製造方法である。
上記ロジン変性アルキッド樹脂全体の質量に対する脂肪酸部分の質量の割合(質量%)である油長は、30~85であることが好ましい。
上記ロジン変性アルキッド樹脂の重量平均分子量は、1000~70000であることが好ましい。
上記活性エネルギー線硬化型インキ組成物は、さらに光重合開始剤を含むことが好ましい。
本発明によれば、バイオマス由来の原料比率を高めながらも、相溶性等といったインキ組成物の基本的な適性を維持できる活性エネルギー線硬化型インキ組成物が提供される。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型インキ組成物の一実施形態、及び本発明の印刷物の製造方法の一実施態様について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態及び実施態様に限定されるものでなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
<活性エネルギー線硬化型インキ組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化型インキ組成物(以下、単に「インキ組成物」又は「本発明のインキ組成物」等とも呼ぶ。)は、活性エネルギー線の照射を受けて硬化する能力を備え、印刷後にこれらの照射を受けることで直ちに乾燥する。本発明のインキ組成物が適用される版式は、特に限定されないが、樹脂凸版印刷が好ましく挙げられる。樹脂凸版印刷は、樹脂製の凸版印刷版の凸部にインキ組成物を付着させ、その付着したインキ組成物を被印刷体に転写させる印刷方式である。その印刷対象としては、シールやラベル等の軽印刷物や、曲面体等が挙げられる。より具体的には、シールやラベルの例として合成紙や紙等で構成されたシール、サーマルシール等が挙げられ、曲面体である印刷物として合成樹脂や紙等で構成された飲料用カップ、アイスクリームカップ、ヨーグルト容器、カップ麺容器等といった容器類等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。なお、これらを構成する合成樹脂としては、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A-PET)、ポリスチレン、発泡ポリスチレン、ポリプロピレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。樹脂凸版印刷で用いる印刷版は樹脂製で被印刷体の形状に応じて変形できるので、上記のような曲面体にも印刷が可能となる。
本発明のインキ組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、電子線や紫外線等が例示される。これらの中でも、装置のコストや扱いやすさという観点からは、活性エネルギー線として紫外線が好ましく例示され、その場合、本発明のインキ組成物は、光照射に伴ってラジカルを生成させる光重合開始剤を含有することになる。そして、その紫外線の波長としては、用いる光重合開始剤の吸収波長に合わせて適宜決定されればよいが、400nm以下を挙げることができる。このような紫外線を発生させる紫外線照射装置としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、希ガスを封入したエキシマランプ、紫外線発光ダイオード(LED)等を挙げることができる。なお、活性エネルギー線として電子線が選択される場合、電子線の照射に伴ってインキ組成中の成分に含まれる化学結合が解離してラジカルが生成し、このラジカルがインキ組成物中のモノマー等の成分を重合させるので、光重合開始剤は不要となる。
本発明のインキ組成物は、顔料及びエチレン性不飽和結合を備えた化合物を含み、さらに、特定のロジン変性アルキッド樹脂を含む。この特定のロジン変性アルキッド樹脂を含むことが本発明のポイントとなる。ロジン変性アルキッド樹脂としては、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールと、の縮重合体であり、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2であり、酸価が1~50mgKOH/gであるものが用いられる。アルキッド樹脂は、活性硬化線硬化型でない通常のオフセット印刷用インキ組成物にて成分の一つとして用いられ、脂肪酸を原料とするため組成物中のバイオマスカウント(バイオマス成分含有量)を獲得するのに有用である。しかしながら、活性エネルギー線硬化型のインキ組成物では相溶性の関係で用いるのが難しい。この点、本発明では、特定のsp値を備え、かつロジン変性のアルキッド樹脂を用いることで相溶性の問題を解決する。
なお、本発明のインキ組成物は、上記のように光重合開始剤を含んでもよい。本発明のインキ組成物は、光重合開始剤を含まなくとも電子線に対して硬化性を示すが、光重合開始剤を含むことにより紫外線等の光に対して硬化性を示すようになる。以下、各成分について説明する。
[顔料]
顔料としては、インキ組成物に着色力を付与するための着色顔料と、インキ組成物に主として粘弾性等といった特性を付与するための無色顔料とが挙げられる。なお、本発明では、インキ組成物を白色とするための白色顔料や、金色や銀色等の金属色を付与するための金属粉顔料や、パール調の色彩を付与するための無機顔料等も着色顔料として扱う。
着色顔料は、インキ組成物に着色力を付与するための成分である。着色顔料としては、従来から印刷インキ組成物に使用される有機及び/又は無機顔料を特に制限無く挙げることができる。
このような着色顔料としては、ジスアゾイエロー(ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー1)、ハンザイエロー等のイエロー顔料、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウオッチングレッド等のマゼンタ顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー等のシアン顔料、カーボンブラック等の黒色顔料、蛍光顔料、酸化チタン等の白色顔料、金粉、ブロンズパウダー、アルミニウムパウダーをペースト状に加工したアルミニウムペースト、雲母パウダー等を挙げることができる。
着色顔料の添加量としては、インキ組成物全体に対して10~70質量%程度が例示されるが、特に限定されない。なお、イエロー顔料を使用してイエローインキ組成物を、マゼンタ顔料を使用してマゼンタインキ組成物を、シアン顔料を使用してシアンインキ組成物を、黒色顔料を使用してブラックインキ組成物をそれぞれ調製する場合には、補色として、他の色の顔料を併用したり、他の色のインキ組成物を添加したりすることも可能である。
無色顔料は、体質顔料とも呼ばれ、インキ組成物における粘弾性等といった特性を調節するために好ましく使用される。無色顔料としては、クレー、タルク、カオリナイト(カオリン)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、ベントナイト、酸化チタン等が例示される。無色顔料の添加量としては、インキ組成物全体に対して0~33質量%程度が例示されるが、特に限定されない。
[エチレン性不飽和結合を備えた化合物]
エチレン性不飽和結合を備えた化合物は、後述する光重合開始剤より生じたラジカルによって重合して高分子量化する成分であり、モノマーやオリゴマー等と呼ばれる成分である。また、オリゴマーよりもさらに高分子量であるポリマーについてもエチレン性不飽和結合を備えたものが各種市販されている。このようなポリマーも上記モノマーやオリゴマーによって、又は当該ポリマー同士によって架橋されて高分子量化することができる。そこで、こうしたポリマーを、上記モノマーやオリゴマーとともにエチレン性不飽和結合を備えた化合物として用いてもよい。
モノマーは、エチレン性不飽和結合を有し、上記のように重合して高分子量化する成分であるが、重合する前の状態では比較的低分子量の液体成分であることが多く、樹脂成分を溶解させてワニスとする際の溶媒とされたり、インキ組成物の粘度を調節したりする目的にも用いられる。モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を1つ備える単官能モノマーや、分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上備える2官能以上のモノマーが挙げられる。2官能以上のモノマーは、インキ組成物が硬化するのに際して分子と分子とを架橋することができるので、硬化速度を速めたり、強固な皮膜を形成させたりするのに寄与する。単官能のモノマーは、上記のような架橋能力を持たない反面、架橋に伴う硬化収縮を低減させるのに寄与する。これらのモノマーは、必要に応じて各種のものを組み合わせて用いることができる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等のアルキルアクリレート、(メタ)アクリル酸、エチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、アクリオロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等を挙げることができる。これらの単官能モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
2官能以上のモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートトリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノーAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー;トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘプタ(メタ)アクリレート等の4官能以上のモノマー;等を挙げることができる。これらの2官能以上のモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、モノマーの一種として、エポキシ化植物油をアクリル変性することにより得られるエポキシ化植物油アクリレートがある。これは、不飽和植物油の二重結合に過酢酸、過安息香酸等の酸化剤でエポキシ化したエポキシ化植物油のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸を開環付加重合させた化合物である。不飽和植物油とは、少なくとも1つの脂肪酸が炭素-炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するトリグリセリドのことであり、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油等が例示される。この種のモノマーは、植物油を由来とするものなので、インキ組成物におけるバイオマス成分量を増加させるのに役立つ。エポキシ化植物油アクリレートは、各種のものが市販されているのでそれを用いてもよい。
オリゴマーは、上記のように重合して高分子量化する成分であるが、もともとが比較的高分子量の成分であるので、インキ組成物に適度な粘性や弾性を付与する目的にも用いられる。オリゴマーとしては、エポキシ樹脂等といったエポキシ化合物に含まれるエポキシ基を酸や塩基で開環させた後に生じる水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるエポキシ変性(メタ)アクリレート、植物油に含まれる不飽和結合をエポキシ化してこれを酸や塩基で開環させた後に生じる水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示される植物油変性多官能(メタ)アクリレート、ロジン変性エポキシアクリレート、二塩基酸とジオールとの縮重合物の末端水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるポリエステル変性(メタ)アクリレート、ポリエーテル化合物の末端水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるポリエーテル変性(メタ)アクリレート、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との縮合物における末端水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるウレタン変性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。このようなオリゴマーは市販されており、例えば、ダイセル・サイテック株式会社製のエベクリルシリーズ、サートマー社製のCN、SRシリーズ、東亜合成株式会社製のアロニックスM-6000シリーズ、7000シリーズ、8000シリーズ、アロニックスM-1100、アロニックスM-1200、アロニックスM-1600、新中村化学工業株式会社製のNKオリゴ等の商品名で入手することができる。これらのオリゴマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
エチレン性不飽和結合を備えたポリマーは、上述のモノマーやオリゴマーとともに高分子量化する成分であり、活性エネルギー線が照射される前から大きな分子量を備えているので、インキ組成物の粘弾性の向上に役立つ成分である。このようなポリマーは、例えば、低粘度の液体であるモノマー中に溶解又は分散された状態で用いられる。エチレン性不飽和結合を備えたポリマーとしては、ポリジアリルフタレート、未反応の不飽和基を備えたアクリル樹脂、アクリル変性フェノール樹脂等を挙げることができる。
インキ組成物中における、エチレン性不飽和結合を備えた化合物の含有量は、30~70質量%が好ましく、40~60質量%がより好ましい。エチレン性不飽和結合を備えた化合物の含有量が上記の範囲であることにより、良好な硬化性と良好な印刷適性とを両立できる。また、エチレン性不飽和結合を備えたポリマーの含有量としては、0~50質量%が好ましく、0~30質量%がより好ましく、0~20質量%がさらに好ましい。ポリマーの含有量が上記の範囲であることにより、インキ組成物に適度な粘弾性を付与してミスチング等の発生を抑制できるとともに、インキ組成物の良好な硬化性を確保することができるので好ましい。
[ロジン変性アルキッド樹脂]
ロジン変性アルキッド樹脂は、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールと、の縮重合体であり、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2であり、酸価が1~50mgKOH/gである。このようなロジン変性アルキッド樹脂を用いることにより、インキ組成物における良好な相溶性を得ながら、インキ組成物におけるバイオマス由来成分の含有量を高めることができる。また、ロジン変性アルキッド樹脂は、そのポリマー鎖又は側鎖に樹脂酸骨格を含むので顔料に対する親和性に優れ、良好な顔料分散性をもたらすほか、印刷されたインキ組成物の良好な光沢をもたらす。さらに、被印刷体がフィルムのような非浸透性材質である場合、インキ組成物により形成された皮膜(すなわち印刷画像)と被印刷体との密着性を向上させるために、塩素化ポリエステル等のような塩素系材料が従来用いられてきたが、こうした材料は焼却時にダイオキシンを発生させる等の点で環境上好ましくはない。本発明のインキ組成物で用いられるロジン変性アルキッド樹脂は、フィルム等への良好な密着性を示すので、これを含む本発明のインキ組成物は、塩素系材料を含むことなくフィルム等への良好な接着性を示す。
本発明のインキ組成物には、上記の通りモノマーやオリゴマーが成分として含まれ、これらの成分は比較的高いsp値を有する。そのため、本発明のインキ組成物で用いるロジン変性アルキッド樹脂は、9.0~11.0(cal/cm1/2という、この種の材料としては高いsp値を有するものを用いる。これにより、本発明のインキ組成物は、良好な相溶性を備えるものとなる。ロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法による溶解性パラメータsp値の下限は、9.2(cal/cm1/2がより好ましく、9.4(cal/cm1/2がさらに好ましい。また、ロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法による溶解性パラメータsp値の上限は、10.5(cal/cm1/2がより好ましく、10.0(cal/cm1/2がさらに好ましい。
濁点滴定法による溶解性パラメータsp値の算出について説明する。これは、簡便な実測法である濁点滴定により測定することができ、下記のK.W.SUH,J.M.CORBETTの式に従い算出される値である。なお、この方法によるsp値の算出については、J.Appl.Polym.Sci.1968,12,2359を参考にすることができる。
式 sp値=(Vml 1/2・δH+Vmh 1/2・δD)/(Vml 1/2+Vmh 1/2
濁点滴定では、試料0.5gを良溶媒であるトルエン10mL又はトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)10mLに溶解させた中に低sp値貧溶媒であるn-ヘキサンを加えていき、濁点での滴定量H(mL)を読み、同様にトルエン溶液中に高sp値貧溶媒であるエタノールを加えたときの濁点における滴定量D(mL)を読み、これらを下記式に適用し、Vml、Vmh、δH、及びδDを算出し、上記式へ代入すればよい。
なお、上記の濁点滴定で用いた各溶剤の分子容やsp値は次の通りである。
良溶媒の分子容 φ0 トルエン:106.28mL/mol
TMPTA:279.55mL/mol
低sp値貧溶媒の分子容 φl n-ヘキサン:131.61mL/mol
高sp値貧溶媒の分子容 φh エタノール:58.39mL/mol
各溶剤のsp値 トルエン:9.14、TMPTA:9.88
n-ヘキサン:7.28、エタノール:12.58
ml=(φ0・φl)/{(1-VH)・φl+VH・φ0}
mh=(φ0・φh)/{(1-VD)・φh+VD・φ0}
VH=H/(M+H)
VD=D/(M+D)
δH=(δ0・M)/(M+H)+(δl・H)/(M+H)
δD=(δ0・M)/(M+D)+(δl・D)/(M+D)

δ0:良溶媒のsp値
δl:低sp値貧溶媒のsp値
δh:高sp値貧溶媒のsp値
H:低sp値貧溶媒の滴定量(mL)
D:高sp値貧溶媒の滴定量(mL)
M:良溶媒の量(mL)
VH:低sp値貧溶媒滴定量の体積分率(%)
VD:高sp値貧溶媒滴定量の体積分率(%)
ロジン変性アルキッド樹脂の酸価は、1~50mgKOH/gである。酸価が50mgKOH以下であることにより、このロジン変性アルキッド樹脂を適用したオフセット印刷用インキ組成物における異常乳化等のトラブルの発生を抑制することができる。この酸価は、1~25mgKOHであることが好ましく、1~10mgKOHであることがより好ましい。
ロジン変性アルキッド樹脂の重量平均分子量は、1000~70000であることが好ましい。重量平均分子量が1000以上であることにより、顔料の分散性に優れ、インキ組成物に良好な粘弾性を付与することができるので好ましく、重量平均分子量が70000以下であることにより、溶解性が良好でハンドリングに優れるので好ましい。
上記のようにロジン変性アルキッド樹脂は、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールと、の縮重合体である。次に、これらの成分について説明する。
樹脂酸は、ロジン類に含まれるアビエチン酸及びその異性体、並びにそれらの誘導体を指す。ロジン類は、松科の植物から採集される松脂の不揮発性の成分であり、アビエチン酸及びその異性体を主成分とする。アビエチン酸及びその異性体としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等が挙げられ、これらはいずれもカルボキシル基を有し、後述する多価アルコールとエステルを形成することができる。ロジン変性アルキッド樹脂にこうした樹脂酸が導入されることにより、顔料に対する親和性を向上させることができるとともに、得られるロジン変性アルキッド樹脂におけるバイオマス由来の成分比率を高めることができる。
上記のアビエチン酸及びその異性体にはカルボキシル基が一つしか含まれないが、これを変性することにより複数のカルボキシル基を導入することができる。例えば、アビエチン酸はtrans-ジエン化合物であるが、これを加熱するとcis-ジエン化合物へ異性化させることができる。こうして得られたcis-ジエン化合物と、マレイン酸や1,2-シクロヘキセンジカルボン酸等のような複数のカルボキシル基を有するジエノフィル化合物とをディールスアルダー反応させることによって、アビエチン酸骨格に複数のカルボキシル基を導入することができる。また、複数分子のアビエチン酸又はその異性体を重合させることにより重合ロジンが合成されるが、こうした化合物も複数のカルボキシル基を有するものである。上記アビエチン酸及びその異性体の誘導体とはこうした化合物を指すものである。
ロジン類は樹脂酸を主成分とするものであるので、上記樹脂酸に代えてロジン類そのものを用いてもよい。ロジン類は、製造方法やその後の化学処理等の違いから複数の種類が知られているが、いずれのロジン類を用いてもよい。このようなロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トールロジン、不均化ロジン、水添ロジン、重合ロジン等が挙げられる。また、ロジン類に対して、上記のようなディールスアルダー反応により変性を行ってもよい。なお、保存安定性の観点からは、共役二重結合を化学的に有さないか少ないロジン類を用いることが好ましい。このようなロジン類としては不均化ロジン、水添ロジンを挙げることができる。もっとも、共役二重結合を有するロジン類も合成された樹脂の保存安定性の面でやや劣るものの、問題無く使用することが可能である。
脂肪酸は、植物油や動物油のような天然油脂を加水分解することにより得られるものであり、1個のカルボキシル基を有するので、後述する多価アルコールとエステルを形成することができる。ロジン変性アルキッド樹脂にこうした脂肪酸が導入されることにより、得られるロジン変性アルキッド樹脂におけるバイオマス由来の成分比率を高めることができる。このような観点から、樹脂全体の質量に対する脂肪酸部分の質量の割合(質量%)である油長が30~85程度になるような量の脂肪酸を用いることが好ましく、50~85程度になるような量の脂肪酸を用いることがより好ましい。
既に述べたように、本発明のロジン変性アルキッド樹脂の製造方法では、調製されるロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法によるsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2になるように脂肪酸を選択することを特徴の一つとする。この数値はこの種の樹脂としては比較的高いものであり、調製されるロジン変性アルキッド樹脂がこうした高いsp値を備えることにより、同じく高いsp値を備えるモノマーやオリゴマー類と良好な相溶性を備えることができる。
脂肪酸としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸等を挙げることができる。ところで、脂肪酸はカルボキシル基を有し、比較的sp値の高い化合物ということができる。それら脂肪酸の中でも炭素数が少ないほどsp値が高くなる傾向があり、そのような観点から本発明では、炭素数が8~16である脂肪酸を好ましく用いることができ、炭素数が8~14である脂肪酸をより好ましく用いることができる。このような高いsp値を持つ脂肪酸を一種又は2種以上を組み合わせて用いることにより、調製されるロジン変性アルキッド樹脂のsp値も高くすることができる。このような観点からは、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸が好ましく例示される。これらの脂肪酸は、いずれもFeders sp値が9.18以上である。もっとも、これよりも低いsp値を有する脂肪酸が使えないということではなく、低いsp値の脂肪酸であっても、高いsp値の脂肪酸と組み合わせれば問題無く用いることができる。いずれにしても、調製されたロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2になるようにこれらを適宜組み合わせればよい。また、脂肪酸は、不飽和脂肪酸であっても飽和脂肪酸であってもよいが、変質による着色等を避ける観点からは、分子内に含まれる不飽和結合の数が1以下のものが好ましく用いられる。なお、オレイン酸、リノール酸、エレオステアリンサン酸等のような不飽和結合の数が2以上の脂肪酸については、酸化処理により二重結合部分がエポキシ化されて消去されたものを使用することが望ましい。このような変性脂肪酸も本発明における脂肪酸として用いることができる。これら脂肪酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のように炭素数の少ない脂肪酸であるほど好ましく、そのような観点からは、ヤシ油又はパーム核油の脂肪酸を用いることが好ましい。これらの脂肪酸は、炭素数12~14の脂肪酸が豊富に含まれるので、ロジン変性アルキッド樹脂のsp値が高くなるように調節するのに好ましく用いられる。もっとも、最終的にロジン変性アルキッド樹脂のsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2になればよいので、そのような範囲を実現することのできる範囲で他の油脂を由来とする脂肪酸を用いてもよい。
多塩基酸は、複数のカルボキシル基を有する化合物であり、後述する多価アルコールと縮重合して高分子量化させるための成分である。複数のカルボキシル基を有する化合物としては、アルキッド樹脂の合成に用いられてきたものを制限なく用いることができ、2又は3以上のカルボキシル基を備え、又はこれらの酸無水物であってもよい。
このような化合物としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキセンジカルボン酸、1,4-シクロヘキセンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5-ソディオスルホイソフタル酸、フマル酸、安息香酸、tert-ブチル安息香酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、フマル酸、セバシン酸、アゼライン酸、テトラブロム無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラクロロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多価アルコールは、既に説明した、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分とエステルを形成させ、これらの成分を高分子量化するものである。多価アルコールとしては、これまでアルキッド樹脂の合成に用いられてきたものを制限なく用いることができ、2又は3以上の水酸基を備える化合物が挙げられる。
このような化合物としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、ジオキサングリコール、アダマンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、メチルオクタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチルプロパンジオール1,3、3-メチルペンタンジオール1,5、ヘキサメチレングリコール、オクチレングリコール、9-ノナンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、ビスフェノールAのごとき二官能フェノールのエチレンオキサイド変性化合物、ビスフェノールAのごとき二官能フェノールのプロピレンオキサイド変性化合物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド共重合変性化合物、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合系ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、アダマンタンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ロジン変性アルキッド樹脂の分子量を調節するために、脂肪酸以外の一塩基酸を酸成分として加えてもよい。このような一塩基酸としては、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられる。
次に、これらを用いてロジン変性アルキッド樹脂を調製する方法について説明する。ロジン変性アルキッド樹脂は、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールとを反応させることで調製される。反応手順としては、これらの原料を仕込んだ反応釜に、窒素ガス等不活性ガスを流入させた状態でキシレン等の溶剤を少量加えて加熱を行い、縮合水と共沸させて水を除きながら縮重合させる方法を挙げることができる。反応温度としては170~250℃程度を挙げることができ、反応時間としては5~25時間程度を挙げることができるが特に限定されない。反応終了の判断は、反応時間の経過に応じて反応混合物の酸価をモニターすることで行うことができる。すなわち、縮重合に伴う反応混合物の酸価の低下が止まった時点で反応終了とすればよい。縮重合反応は、縮重合によって生じた水を系外に留出させるか反応触媒を用いることで、より短時間で行うことができる。反応触媒としては、テトラブチルジルコネート、モノブチルチンオキサイド(モノブチルすずオキサイド)、ジルコニウムナフテート、テトラブチルチタネート等を挙げることができる。
既に述べたように、ロジン変性アルキッド樹脂の重量平均分子量は、1000~70000程度であることが好ましい。ロジン変性アルキッド樹脂の重量平均分子量は、酸成分と多価アルコールとのバランスによって決定されるものなので、初回の合成は小スケールで行い、反応条件や原材料の種類などを決定してから大スケールの合成へ移行することが望ましい。
縮重合反応によって得られたロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0~11.0(cal/cm1/2となるように原料となる脂肪酸の種類や量を選択することが必要である。そのため、先に述べた重量平均分子量の場合と同様に、初回の合成は小スケールで行い、反応条件や原材料の種類などを決定してから大スケールの合成へ移行することが望ましい。既に述べたように、ロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法による溶解性パラメータsp値は、9.3~10.0(cal/cm1/2がより好ましく、9.5~10.0(cal/cm1/2がさらに好ましい。
これも既に述べたように、縮重合反応によって得られたロジン変性アルキッド樹脂の酸価は、1~50mgKOHである。酸価が50mgKOH以下であることにより、このロジン変性アルキッド樹脂を適用したオフセット印刷用インキ組成物における異常乳化等のトラブルの発生を抑制することができる。この酸価は、1~25mgKOHであることが好ましく、1~10mgKOHであることがより好ましい。なお、反応終了時点でのロジン変性アルキッド樹脂の酸価は、酸成分と多価アルコールとの量のバランスによって決定されるものなので、先に述べた重量平均分子量の場合と同様に、初回の合成は小スケールで行い、反応条件や原材料の種類などを決定してから大スケールの合成へ移行することが望ましい。
なお、上記の製造方法は、樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールとを反応させるものだが、これ以外の方法でロジン変性アルキッド樹脂が調製されてもよい。このような方法としては、植物油及び/又はその脂肪酸エステルと多価アルコールとをエステル交換反応させて反応中間体を調製し、次いで、この反応中間体を下記(1)~(3)のいずれかの存在下で縮重合させる方法や、植物油及び/又はその脂肪酸エステルと下記(1)~(3)のいずれかとをエステル交換反応させて反応中間体を調製し、次いで、この反応中間体を多価アルコールの存在下で縮重合させる方法を挙げることができる。
(1)樹脂酸及び多塩基酸
(2)複数のカルボキシル基を備えた樹脂酸誘導体
(3)複数のカルボキシル基を備えた樹脂酸誘導体、及び多塩基酸
インキ組成物全体に対するロジン変性アルキッド樹脂の添加量としては、1~25質量%程度が挙げられる。
[光重合開始剤]
光重合開始剤は、紫外線の照射を受けてラジカルを発生させる成分であり、生じたラジカルが上記エチレン性不飽和結合を備えた化合物を重合させ、インキ組成物を硬化させる。光重合開始剤としては、活性エネルギー線が照射された際にラジカルを生じさせるものであれば特に限定されない。なお、上記のように、電子線を活性エネルギー線として用いて本発明のインキ組成物を硬化させる場合には、本発明のインキ組成物に光重合開始剤を添加しなくともよい。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス-2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメチル-2-ヒドロキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,4,6-トリメチルベンジル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン等が挙げられる。このような光重合開始剤は市販されており、例えばBASF社からイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア184、イルガキュア379、イルガキュア819、TPO等の商品名で、Lamberti社からDETX等の商品名で入手することができる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
インキ組成物中における光重合開始剤の含有量としては、3~30質量%が好ましく挙げられ、2~15質量%がより好ましく挙げられ、2~13質量%がさらに好ましく挙げられる。インキ組成物中における光重合開始剤の含有量が上記の範囲であることにより、インキ組成物の十分な硬化性と、良好な内部硬化性やコストとを両立できるので好ましい。
[油成分]
本発明のインキ組成物は、上記の各成分に加えて、油成分を含んでもよい。油成分としては動植物由来の油脂又はその変性物が挙げられる。本発明のインキ組成物は、これらの油成分を含むことにより、さらにバイオマスカウントを高めることができる。動植物油由来の油脂としては、アマニ油、キリ油、大豆油、サフラワー油、トール油、カシューナッツシェルリキッド等が挙げられる。また、動植物由来の油脂の変性物としては、または、上記動植物由来の油脂の熱重合油若しくは酸化重合油、アマニ油脂肪酸メチル、大豆油脂肪酸メチル、アマニ油脂肪酸エチル、大豆油脂肪酸エチル、アマニ油脂肪酸プロピル、大豆油脂肪酸プロピル、アマニ油脂肪酸ブチル、大豆油脂肪酸ブチル、アマニ油脂肪酸イソブチル、大豆油脂肪酸イソブチル等といった植物油類のモノエステル、脱水ヒマシ油、硬化ヒマシ油、重合ヒマシ油、不飽和動植物油又はそれらの脂肪酸のエポキシ化物、カシューナッツシェルリキッドの重合物、カシューナッツシェルリキッド変性誘導体等が挙げられる。
[その他の成分]
本発明のインキ組成物には、上記の各成分に加えて、必要に応じて他の成分を添加することができる。そのような成分としては、樹脂成分、重合禁止剤、分散剤、リン酸塩等の塩類、ポリエチレン系ワックス・オレフィン系ワックス・フィッシャートロプシュワックス等のワックス類、アルコール類等が挙げられる。
樹脂成分は、インキ組成物に適度な印刷適性や粘弾性等の特性を付与するのに寄与する成分である。このような樹脂成分としては、従来からインキ組成物用途に用いられてきた各種の樹脂を挙げることができるが、上記モノマーやオリゴマーとの相溶性を有するものであることが好ましく、スチレン-アクリル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、植物油変性アルキド樹脂、石油樹脂等を挙げることができる。なお、ここでいう樹脂成分とは、上記のロジン変性アルキッド樹脂とは異なるものを指す。
インキ組成物中に樹脂成分を添加する場合、インキ組成物中におけるその含有量は、1~30質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましく、1~15質量%がさらに好ましい。樹脂成分の含有量が上記の範囲であることにより、インキ組成物に適度な粘弾性を付与してミスチング等の発生を抑制できるとともに、インキ組成物の良好な硬化性を確保することができるので好ましい。
重合禁止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン等のフェノール化合物や、酢酸トコフェロール、ニトロソアミン、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン等を好ましく例示することができ、中でもブチルヒドロキシトルエンをより好ましく例示することができる。インキ組成物にこのような重合禁止剤が添加されることにより、保存時に重合反応が進行してインキ組成物が増粘するのを抑制できる。インキ組成物中の重合禁止剤の含有量としては、0.01~1質量%程度を例示することができる。
分散剤は、インキ組成物中に含まれる着色成分や体質顔料を良好な状態に分散させるために用いられる。このような分散剤は、各種のものが市販されており、例えばビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYK(商品名)シリーズ等を挙げることができる。
上記の各成分を用いて本発明のインキ組成物を製造するには、従来公知の方法を適用できる。このような方法としては、上記の各成分を混合した後にビーズミルや三本ロールミル等で練肉して顔料(すなわち着色成分及び体質顔料)を分散させた後、必要に応じて添加剤(重合禁止剤、アルコール類、ワックス類等)を加え、さらに上記モノマー成分や油成分の添加により粘度調整することが例示される。インキ組成物における粘度としては、ラレー粘度計による25℃での値が10~70Pa・sであることを例示できるが、特に限定されない。
<印刷物の製造方法>
上記本発明の活性エネルギー線硬化型インキ組成物を用いて印刷を行うことを特徴とする印刷物の製造方法も本発明の一つである。本発明の印刷物の製造方法は、本発明のインキ組成物を用いることを除いて、通常の印刷技術を用いて実施されるものである。このような印刷技術としては、樹脂凸版印刷を好ましく挙げることができる。なお、樹脂凸版印刷を用いる場合の印刷対象の例としては、既に述べた通りである。
印刷により作製された未乾燥状態の印刷物に対して活性エネルギー線の照射を行うことにより、未乾燥状態の印刷物は瞬時に乾燥状態となる。これは、印刷用紙の表面に存在するインキ組成物が、活性エネルギー線の照射により硬化することで実現される。活性エネルギー線としては、電子線や紫外線等公知のものを採用することができる。
以下、実施例を示すことにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載では、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は質量部を意味する。また、sp値の単位は、(cal/cm1/2である。
[合成例1]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、イソフタル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例1の樹脂を得た。合成例1の樹脂の酸価は13mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.7万だった。
[合成例2]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、デヒドロアビエチン酸160部、イソフタル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例2の樹脂を得た。合成例2の樹脂の酸価は13mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.70であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.7万だった。
[合成例3]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール50部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、重合ロジン160部、イソフタル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例3の樹脂を得た。合成例3の樹脂の酸価は12mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.73であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は1.4万だった。
[合成例4]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール20部、グリセリン16部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、イソフタル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例4の樹脂を得た。合成例4の樹脂の酸価は12mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.9万だった。
[合成例5]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、フマル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例5の樹脂を得た。合成例5の樹脂の酸価は10mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.73であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例6]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例6の樹脂を得た。合成例6の樹脂の酸価は11mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例7]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なってから、安息香酸10部を加えて250℃で1時間縮重合反応を行った。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例7の樹脂を得た。合成例7の樹脂の酸価は11mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.73であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.6万だった。
[合成例8]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なってから、安息香酸10部を加えて250℃で1時間縮重合反応を行った。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例8の樹脂を得た。合成例8の樹脂の酸価は11mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.63であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例9]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、イソフタル酸50部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸10部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例9の樹脂を得た。合成例9の樹脂の酸価は6mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.73であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は1.9万だった。
[合成例10]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、フマル酸50部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸10部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例10の樹脂を得た。合成例10の樹脂の酸価は5mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は2.1万だった。
[合成例11]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部を配合し、150℃に昇温後、ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例11の樹脂を得た。合成例11の樹脂の酸価は12mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.9万だった。
[合成例12]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、大豆油800部を配合し、150℃に昇温後、ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで実施例12の樹脂を得た。合成例12の樹脂の酸価は10mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.45であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例13]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部を配合し、150℃に昇温後、不均化ロジン160部、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例13の樹脂を得た。合成例13の樹脂の酸価は12mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.76であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例14]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部を配合し、150℃に昇温後、ロジン160部、フマル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例14の樹脂を得た。合成例14の樹脂の酸価は10mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.9万だった。
[合成例15]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部を配合し、150℃に昇温後、ロジン160部、フマル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なってから、安息香酸10部を加えて250℃で1時間縮重合反応を行った。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例15の樹脂を得た。合成例15の樹脂の酸価は11mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.73であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[合成例16]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、大豆油800部を配合し、150℃に昇温後、ロジン160部、フマル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なってから、安息香酸10部を加えて250℃で1時間縮重合反応を行った。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで合成例16の樹脂を得た。合成例16の樹脂の酸価は11mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.62であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.7万だった。
[比較合成例1]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで比較合成例1の樹脂を得た。比較合成例1の樹脂の酸価は21mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は8.84であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.5万だった。
[比較合成例2]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、大豆油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで比較合成例2の樹脂を得た。比較合成例2の樹脂の酸価は18mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は8.89であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.7万だった。
[比較合成例3]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ロジン160部、ペンタエリスリトール36部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで比較合成例3の樹脂を得た。比較合成例3の樹脂の酸価は17mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は8.91であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[比較合成例4]
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、大豆油800部、ロジン160部、ペンタエリスリトール36部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、12時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで比較合成合成合成例4の樹脂を得た。比較合成例4の樹脂の酸価は18mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は8.85であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.8万だった。
[ワニス1~16の調製]
合成例1~16の樹脂のそれぞれについて、樹脂80部、HDDA(1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)40部、及びメチルヒドロキノン1部を冷却管付き反応釜に仕込み、100℃で1時間加熱及び撹拌することによりワニス1~16をそれぞれ調製した。いずれのワニスも透明であり、相溶性は良好だった。なお、比較合成例1~4の樹脂については、相溶性が悪く、ワニスを調製することはできなかった。
[ワニス17の調製]
ポリジアリルフタレート(株式会社大阪ソーダ製、A-DAP)80部、HDDA40部、及びメチルヒドロキノン1部の混合物を100℃で60分間加熱することで溶解させ、ワニス17を調製した。
[ワニス18の調製]
市販のポリエステルアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製、EBECRYL524;ポリエステル70%、HDDA30%の混合物)をそのままワニス18とした。
[インキ組成物1~16の調製]
上記の手順で調製したワニス1~16のそれぞれを用いて、インキ組成物1~16をそれぞれ調製した。これらインキ番号の数字部分(1~16の数字)は、インキ組成物の調製に用いたワニスの番号に対応する。調製の手順は、HDDA5.5部、ワニス45部、フタロシアニンブルー25部、イルガキュア907(BASF社製)10部、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)5部、メチルヒドロキノン0.2部を混合し、ロール温度40℃の3本ロールミルを用いて粒度が5.0μm以下になるまで練肉し、ポリエチレンワックス3部を添加してインキ組成物とした。これらの手順で調製されたインキ組成物1~16は、いずれも本発明の実施例に相当する。
[インキ組成物17の調製]
上記の手順で調製したワニス17を用いて、インキ組成物17を調製した。調製の手順は、HDDA5.5部、ワニス17を45部、フタロシアニンブルー25部、イルガキュア907(BASF社製)10部、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)5部、メチルヒドロキノン0.2部を混合し、ロール温度40℃の3本ロールミルを用いて粒度が5.0μm以下になるまで練肉し、ポリエチレンワックス3部を添加してインキ組成物17とした。この手順で調製されたインキ組成物17は、ポリジアリルフタレート樹脂を用いた比較例に相当する。
[インキ組成物18の調製]
上記の手順で調製したワニス18を用いて、インキ組成物18を調製した。調製の手順は、HDDA5.5部、ワニス18を45部、フタロシアニンブルー25部、イルガキュア907(BASF社製)10部、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB)5部、メチルヒドロキノン0.2部を混合し、ロール温度40℃の3本ロールミルを用いて粒度が5.0μm以下になるまで練肉し、ポリエチレンワックス3部を添加してインキ組成物18とした。インキ組成物18は、塩素化ポリエステルアクリレートを用いた参考例に相当する。
[バイオマスカウント]
インキ組成物1~18のそれぞれについて、バイオマス由来の成分量(単位:質量%)を算出した。その結果を表1及び2の「バイオマス」欄に記載した。
[硬化性の評価]
インキ組成物1~18のそれぞれについて、RI-2型展色機2分割ロール(明製作所製)により、印刷インキ組成物量0.1mL/204cmをアート紙(三菱特アート110K)に展色したものを試験片とし、その後、160W/cmのメタルハライドランプ(焦点距離13cm、集光型、1灯;ヘレウス社製)を使用して試験片に紫外線を照射した。その際、指触によりタックフリーになる硬化速度で評価した。評価基準は下記の3段階とし、その結果を表1及び2の「硬化性」欄に記載した。
(評価基準)
○ :硬化速度が100m/min以上である
△ :硬化速度が60m/min以上、100m/min未満である
× :硬化速度が60m/min未満である
[密着性の評価]
インキ組成物1~18のそれぞれについて、RI-2型展色機2分割ロール(明製作所製)により、印刷インキ組成物量0.1mL/204cmを二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム、東洋紡株式会社製、P2161、厚さ20μm)に展色したものを試験片とし、その後、160W/cmのメタルハライドランプ(焦点距離13cm、集光型、1灯;ヘレウス社製)を使用して、指触によりタックフリーとなるまで試験片に紫外線を照射した。得られた試験片の表面に存在する硬化したインキ組成物の皮膜を爪で擦り、皮膜の剥がれ具合を評価した。なお、OPPフィルムは、合成樹脂に対する密着性評価用として用いたものである。OPPフィルムへの密着性が良好なものは皮膜の剥がれがなく、密着性が不良なものは剥がれが生じることになる。評価基準は下記の3段階とし、その結果を表1及び2の「密着性」欄に記載した。
(評価基準)
○ :剥がれは全く無く、密着性は良好
△ :若干の剥がれは認められるが、実用の範囲内
× :剥がれが著しく、密着性は不良
[流動性の評価]
インキ組成物1~18のそれぞれについて、スプレッドメーターを用いてスロープ値を求めた。スロープ値は、インキ組成物の流動性の指標となる数値である。その測定値を表1及び2の「流動性」欄に記載した。
Figure 0007292891000001
Figure 0007292891000002
表1及び2に示すように本発明のインキ組成物1~16は、バイオマスカウントが10質量%以上あるにも関わらず、良好な硬化性、密着性及び流動性を示し、かつ密着補助剤として用いられるポリエステルを含むインキ組成物18(参考例)と同等の密着性を示した。このことから、本発明のインキ組成物が、活性エネルギー線硬化型インキ組成物としては高いバイオマスカウントを持ちながら、十分な性能を備えることが理解できる。その一方で、所定のsp値よりも低いロジン変性アルキッド樹脂(比較合成例1~4)を用いた場合には、相溶性の不足により成分が分離する等の問題を生じ、インキ組成物として用いることができなかった。

Claims (4)

  1. 顔料、エチレン性不飽和結合を備えた化合物、及びロジン変性アルキッド樹脂を含む活性エネルギー線硬化型インキ組成物であって、
    前記ロジン変性アルキッド樹脂が、樹脂酸であるロジンヤシ油又は大豆油の脂肪酸及びイソフタル酸、フマル酸又は1,2-シクロヘキセンジカルボン酸である多塩基酸を含む酸成分と、ペンタエリスリトールと、の縮重合体であり、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.4~10.0(cal/cm1/2であって酸価が1~50mgKOH/gである活性エネルギー線硬化型インキ組成物を用いて樹脂凸版印刷により合成樹脂基材へ印刷を行うことを特徴とする印刷物の製造方法
  2. 前記ロジン変性アルキッド樹脂全体の質量に対する脂肪酸部分の質量の割合(質量%)である油長が、30~85である請求項1記載の方法
  3. 前記ロジン変性アルキッド樹脂の重量平均分子量が、1000~70000である請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記活性エネルギー線硬化型インキ組成物が、さらに光重合開始剤を含む請求項1~のいずれか1項記載の方法
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