JP2005533688A5 - - Google Patents

Description

多孔性材料中のフランポリマーの濃度を制御する方法は、開始フルフリルアルコール用の液体キャリア（キャリヤ）を使用することである。キャリアとフルフリルアルコールは一緒に多孔性材料中に含浸される。含浸後、多孔性材料中の所定位置に開始フルフリルアルコールを残してキャリアは多孔性材料から除去される。不活性キャリアの抽出前、抽出期間中または抽出後に、開始フルフリルアルコールを重合させることができる。木材または木製材料は本発明の主要な目的であるが、レンガ、ポートランドセメントのコンクリート、石材のような他の多孔性材料に対しても同様に含浸させることができる。

水は環境的に優しく、安価な化合物である。フルフリルアルコールは水に溶けるので、水を、希釈された非開始フルフリルアルコール（uninitiated furfuryl alcohol）用のキャリアとして使用することができるが、これは有効に重合しない。

有機酸開始剤をフルフリルアルコールと混合するとエステルが形成される。このエステルは水中で制限された溶解性をもっている。２相混合物が生じる。撹拌時にエマルジョンが形成される。この混合物を使用した初期の研究では、エマルジョンは木材に充分に浸透しないと想定されており、そのためその混合物を単相にする方法を調査する試み（実験）が実施されていた。これらの試みにより、ある種の化学薬品を添加することにより、ＷＯ ０２／３０６３８の基剤である触媒化された（触媒作用が及ぼされた：catalyzed）フルフリルアルコールと水との安定化された単相混合物を生成することが判った。発見された最初の有効な化学薬品安定剤は、ホウ砂（borax）およびリグノスルホン酸のナトリウム塩である。

前述の安定剤を使用せずに安定した溶液を生成する他の形態（方法）は、安定化補助溶剤（stabilizing co-solvent）を使用することである。このような補助溶剤はメタノール、エタノールおよびアセトンである。これらの補助溶剤は、フルフリルアルコールの良好な溶剤であり、また木材に対する良好な膨張剤でもある。これらの補助溶剤は保存期間中および含浸期間中ｐＨ値を維持し続け、それによって、処理溶液の有効寿命（使用寿命）を延ばし、これらが硬化する前に含浸木材から除かれるときに、補助溶剤が木材から蒸発するにしたがってｐＨ値は低下する。有効な補助溶剤除去工程（ステップ）を処理プロセスに追加しなければならない。この除去工程（ステップ）は、補助溶剤を再使用することができるような補助溶剤の回収用システムを備えた真空乾燥プロセスであることが好ましい。安定化補助溶剤（stabilizing co-solvent）を使用することによって、他の安定剤や開始剤を使用する必要はなくなる。ＦＡ（フルフリルアルコール）比を低下させることができる。それによって、生成された木材製品中のしみ出す物質（leachable substance）の量を減少させることができる。
安定化補助溶剤は、木材に含浸した後まで有効処理混合物のｐＨを維持した。また、ｐＨが減少し（より酸性になり）、硬化を促進させた。
本発明の１つの目的は、ＷＯ ０２／３０６３８に開示された化学モノマーと同じ化学モノマーを使用するが、化学薬品の使用量をより少なくして、木材の細胞壁（cell wall）を変えることによって、フランポリマー含浸木材を提供することである。

本発明の一実施形態では、少なくとも水と、フルフリルアルコール（furfuryl alcohol）と、アセトン（acetone）か、またはメタノール（methanol）、エタノール（ethanol）、イソプロパノール（isopropanol）およびその組み合わせのような低温沸騰アルコール（low-temperature boiling alcohol）から選ばれた安定化補助溶剤（stabilizing co-solvent）と、無水マレイン酸（maleic anhydride）、無水フタル酸（phthalic anhydride）、マレイン酸（maleic acid）、リンゴ酸（malic acid）、フタル酸（phthalic acid）、安息香酸（benzoic acid）、クエン酸（malonic acid）、塩化亜鉛（zinc chloride）、塩化アルミニウム（aluminum chloride）、その他の環式有機無水物（cyclic organic anhydride）および酸、およびこれらの組み合わせ、から選択された開始剤（initiator）と、を含む重合性フルフリルアルコールモノマー混合物（polymerizable furfuryl alcohol monomer mixture）が含浸された木材を特徴とする、フランポリマー含浸木材が提供される。

本発明の重要な点（キー）は、開始モノマーを水溶性にし、保存期間中安定した状態に保つことができる触媒化（catalyzed：触媒作用が及ぼされた、触媒添加）フルフリルアルコールモノマー用の安定剤および希釈剤としての補助溶剤（co-solvent）の使用である。

容易に含浸可能な木材について、深い浸透を必要としないときは、真空引きのみを使用してもよい。深くて均一な浸透を行う場合には、ａ）加圧のみ（１乃至１０バール）、ｂ）真空引きの後に加圧（全セル処理：full cell process）、ｃ）大気圧すなわち低圧（１バール）の加圧に続いて加圧し、次いで最終真空引き（空セル処理：empty-cell process）、の３つの選択肢がある。

木材中の水分の含有量は処理されるべき領域における繊維飽和点（約３０％ＭＣ）より低くなければならない。水分の含有量が低くなればなるほど、含浸できる化学物質の量は多くなる。特定の目標値量の化学物質を必要とする場合には、木材の水分の含有量および含浸される混合物の量を考慮する必要があり、それに応じて処理化学薬品の濃度を調整する必要がある。

表５に示すようなＴＭＣ（陸生マイクロコズム（微小生態系）：terrestrial microcosms）における腐食による重量減少値は微生物腐食に対して高い耐性のあることをより明確に示している。さらに、ＴＭＣ試験は、ＥＮ１１３試験よりも現実的である。

溶液をベース（基剤）として約９％乃至９０％の濃度のフルフリルアルコールの混合物は、木材に湿気および腐食防止作用を与え、濃度が高くなればなるほどより良い性能が得られることが判った。しかし、低濃度でも特性を改善し、非処理木材の特性が低下する場合でも使用するのに低濃度は魅力的である。この低濃度は、低コストで色彩が明るいので、特に重要である。しかし、実用的で且つ有効であることが期待できる全濃度範囲（full concentration range）を保護するために、次の表６に示す水をベース（基剤）とする混合物の割合（％）（溶液をベース（基剤）とする）の限界（制限）が示唆される。

処理プロセス
混合作業は、通常、マレイン酸またはクエン酸の添加を容易にする約４０℃に水を加熱することによって開始される。これらの固体添加剤が水に充分に溶解すると、その溶液は２０℃乃至２５℃に冷却される。第２に、撹拌しながらフルフリルアルコール中に無水マレイン酸および無水フタル酸を溶解させ（ＦＡの初期設定（initialization：開始状態の設定、反応開始化））、またこのＦＡにその冷却された弱酸を加え、その溶液を補助溶剤（メタノールおよび／またはエタノール）で希釈し、１５℃乃至２０℃の温度で保存する。代替構成として、他のすべての混合成分を撹拌しながら補助溶剤に直接加えることもできる。しかし、この方法は、混合物中で重合が生じる可能性があるので、実際には高温で実行することはできない。

室温で真空乾燥工程（ステップ）が実行され、乾燥の最終段階の期間において温度を約４０℃に上昇させる。真空オーブン中の加熱媒体は加熱水（暖かい水）の配管（warm water tubing）である。真空オーブンには補助溶剤を回収するための総合コンデンサー（total condensor、濃縮機）を設ける必要がある。

処理混合物は長さ方向には非常に速く移動するが、木目を横切る方向（木の軸方向に対して直交する方向）には非常にゆっくりと移動するので、木製材料の長さは処理時間および含浸の均一性の点で重要である。ブナ材（beech）およびカバ材（birch）のような浸透性のある木材を用いた場合、処理の均一性は、処理混合物が長さに沿って移動し、小孔（pore）から繊維に向かって移動するにしたがって、その処理混合物がいかに良好に（適正に）均一な状態で残留するかによって決まる。浸透性のある木材の含浸が完全であると、この方法によって形成された木製材料は、その全体にわたって均一な特性をもっている。色彩、機械的特性、耐湿性、風化および腐食または劣化は全体的に一貫性がある。異なる種類の木材および同じ種類の異なる板材でさえも、浸透性の違いにより含浸状態に違いが生じ得る。これは木材の性質固有のものである。低浸透度の木材を使用すると、板目（grain）に沿う含浸は遅く、板目を横切る方向が含浸の主たる通路である。この場合、処理混合物および得られた特性は混合物が浸透する深さで均一な状態に留まっている。