JP2005290588A - ポリアミド混繊糸及び織編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 織物の経糸として使用可能であり、ソフト感、軽量感、ガサツキのない優れたスパン調風合いによる高質感を有するとともに、染着色差による織編物の表面効果を兼ね備えた織編物となるポリアミド混繊糸とその織編物を提供する。
【解決手段】 アルカリ処理により中空部形成能を有するポリアミドマルチフィラメント糸Aと、ポリアミドマルチフィラメント非捲縮糸Bとが混繊されてなる混繊糸であり、前記ポリアミドマルチフィラメント糸Aは単糸繊度が3.5dtex以上であり、かつ中空率が30%以上となる中空部形成能を有している。ポリアミドマルチフィラメント糸Aは、仮撚捲縮を有していることが、また、溶出後の質量減少率が40%以上でことが、さらに、アルカリ処理後の断面変形度が1.5以上であることが好ましい。また、ポリアミドマルチフィラメント非捲縮糸Bは、単糸繊度が1.5dtex以下であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ソフト感、軽量感、ハリのある優れたスパンタッチ、さらには染着色差による表面効果を兼ね備えた高質感の織編物を提供し得るポリアミド混繊糸及び織編物に関するものである。
従来、ポリアミド加工糸を用いた織編物は、そのしなやかな風合いから衣料用素材に幅広く用いられており、消費者のニーズに応えるべく種々の加工糸が開発されてきた。しかしながら、ナイロンの特性であるしなやかさ、ぬめり感が災いして、スパン調で高質感を表現し得る織編物は未だ見られず、この分野の消費者ニーズに応えられないのが現状である。
スパン調風合いを付与するための一つの手法として、いわゆるタスラン加工が挙げられる。このタスラン加工を施して得られる糸条は、ループ毛羽によりスパン調風合いは表現できるものの、顕在ループによるパサツキ感や、伸縮性の欠如による硬さが高質感表現の妨げとなるとともに、前記ループが解舒性、製織性等の低下を引き起こす原因となるため、織物の経糸として使用するのは困難であった。
この問題を解決し、高質感の織編物を表現し得る加工糸が種々提案されている。例えば特許文献1には、ナイロン非捲縮糸と、単糸繊度が0.7デシテックス以上で、断面変形度が1.5以下のナイロン捲縮糸からなる実質的にループ、たるみのない複合混繊糸であって、前記複合混繊糸は熱処理により、主として非捲縮糸が芯部に、捲縮糸が鞘部に位置するようになるナイロン複合混繊糸が提案されている。
このナイロン複合混繊糸を用いた織編物は、ガサツキのないスパン調風合いとボリューム感、落ち着きのあるマイルドな表面感を呈するが、捲縮糸を構成する単フィラメントの断面変形度が1.5以下であるため、外力に対するフィラメントの剛性が高く、単糸繊度(フィラメント径)を大きくすると風合いが粗硬になりやすく、高質感表現の妨げとなる場合があった。また、外力に対するフィラメントの剛性を下げるために単糸繊度を小さくすると、目的とするスパン調風合いが得られ難いという問題があった。さらに、断面変形度を1.5以下とするために仮撚数を大きくすることができず、結果的に捲縮に乏しくなりやすいという問題もあった。
次に、特許文献2には、ナイロンマルチフィラメント仮撚捲縮糸とナイロンマルチフィラメント非捲縮糸からなる実質的にループ、たるみのない混繊糸であって、前記非捲縮糸と仮撚捲縮糸との染色L値の差が1.0以下であり、かつ、前記混繊糸は熱処理することにより、主として非捲縮糸が芯部に、仮撚捲縮糸が鞘部に位置するようになるナイロン複合混繊糸が提案されている。
このナイロン複合混繊糸を用いた織編物は、表面にイラツキがなく、マイルドで、高質感のある織編物を得ることができるが、ナイロン複合混繊糸を構成する2本の糸条に染着差がないため、織編物の表面効果に乏しくなる場合があり、また、染着差を抑えるために使用可能な原糸が限定されてしまい、希望する風合いを表現し難いという問題があった。
また、特許文献3には、中空率が30%以上の繊維であって、繊維表面に微細孔群を有し、微細孔群の少なくとも一部は中空部から繊維表面へ連通している微細孔中空ポリアミド繊維が提案されている。
この微細孔中空ポリアミド繊維は、30%以上の高い中空率と、繊維表面から中空部へと連通する微細孔群により、優れた吸放湿性を有するが、単独で使用されるため表面感に乏しくなりやすく、また、実際の織編物では微細空間が形成され難いことにより、軽量感やソフト感に欠けやすく、高質感の織編物は得られ難かった。
さらに、特許文献4には、単糸繊度が1.2デニール以上で、沸水収縮率が11〜19%のナイロンマルチフィラメント糸と、単糸繊度が2デニール以上で、沸水収縮率が4〜10%、中空率が5〜30%、異形度が1.5〜3.5の井型横断面形状のナイロン中空マルチフィラメント糸とを混繊・交絡することにより、糸表面に構成単繊維よりなる0.5mm以上のループが5個/m以下の平滑な糸表面を有する糸条を形成し、この糸条を用いて織物を製織し、しかる後に熱水処理を行うナイロン軽量織物の製造方法が記載されている。
この製造方法により得られる糸条は、ふくらみ感とともに井型中空糸の井型横断面形状によるドライ感、シャリ感に優れた風合いを得ることができるが、井型断面にすることで中空率を30%以上にすることがやや困難であり、軽量性に関してまだ十分とはいえず、また、井型の突起部がフィブリル化しやすく、織編物の耐摩耗性が悪くなりやすいという問題もあった。
特開2002−309457号公報 特開2002−363830号公報 特開特開平9−279476号公報 特開平9−67736号公報
本発明は、上記の欠点を解消し、織物の経糸として使用可能であり、ソフト感、軽量感、ガサツキのない優れたスパン調風合いによる高質感を有するとともに、染着色差による織編物の表面効果を兼ね備えた織編物となるポリアミド混繊糸及び織編物を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、次の構成を有するものである。
(1)アルカリ処理により中空部形成能を有するポリアミドマルチフィラメント糸Aと、ポリアミドマルチフィラメント非捲縮糸Bとが混繊されてなる混繊糸であって、前記ポリアミドマルチフィラメント糸Aは単糸繊度が3.5dtex以上であり、かつ中空率が30%以上となる中空部形成能を有することを特徴とするポリアミド混繊糸。
(2)ポリアミドマルチフィラメント糸Aが仮撚捲縮を有している上記(1)記載のポリアミド混繊糸。
(3)ポリアミドマルチフィラメント非捲縮糸Bの単糸繊度が1.5dtex以下である上記(1)又は(2)記載のポリアミド混繊糸。
(4)ポリアミドマルチフィラメント糸Aの溶出後の質量減少率が40%以上である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド混繊糸。
(5)ポリアミドマルチフィラメント糸Aのアルカリ処理後の断面変形度が1.5以上である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド混繊糸。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリアミド混繊糸を50質量%以上用いた織編物であって、前記織編物を構成するポリアミドマルチフィラメント糸Aが、アルカリ処理により中空部を形成していることを特徴とするポリアミド織編物。
本発明のポリアミド混繊糸を製編織し、染色やアルカリ処理を施せば、軽量感、ハリのあるスパン調風合い、ソフト感とともに、繊細で自然な杢調の表面感が表現され、高質感の織編物を得ることが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアミド混繊糸は、ポリアミドマルチフィラメント糸A(以下、「糸条A」と略称することがある。)と、ポリアミドマルチフィラメント非捲縮糸B(以下、「糸条B」と略称することがある。)とが混繊された糸条である。まず、ポリアミドマルチフィラメント糸Aは、アルカリ処理により中空率が30%以上、好ましくは35%以上となる中空部形成能を有し、かつ単糸繊度が3.5dtex以上、好ましくは4.0dtex以上の糸条である。加えて、糸条Aは、仮撚捲縮を有することが好ましい。なお、アルカリ処理により中空部形成能を有するとは、後述するアルカリによる溶出処理により糸条Aの単フィラメント内に中空部が形成されることをいう。
アルカリ処理により中空率が30%以上と非常に大きい中空部が形成されるので、織編物に軽量感はもちろんのこと、単糸繊度(フィラメント径)の大きさによるハリのあるスパン感を表現しながら、中空糸を構成する皮の部分が非常に薄くなるため、曲げの外力に対するフィラメントの剛性が低くなり、ソフトで高質感表現を妨げることがない。加えて、高い中空率により、単糸繊度が大きいにもかかわらず染色した際に淡色化し、後述の糸条Bと混繊した際に自然な杢調を呈するようになり、表面感においても高級感の表現が可能となる。
また、糸条Aが仮撚捲縮を有している場合は、仮撚による断面変形も相俟って、曲げの外力に対するフィラメントの剛性がさらに低くなり、ソフトで高質感表現を強調することができる。この場合、高い中空率と延伸仮撚による配向の進行、及び断面変形の相乗効果により、前記淡色化が進行するため、表面効果がさらに強調される。本発明では、糸条Aと糸条Bとの色差は特に限定されるものではないが、グレースケールで1.0級差以上が好ましく、1.5級差以上がより好ましく、2.0級差以上がさらに好ましい。
さらに、断面変形度が1.5以上である場合は、前記の理由で剛性がさらに低くなるとともに、糸条Aが仮撚捲縮を有する場合は、捲縮の高い仮撚糸によるボリューム感を付与することができる。
なお、前記中空率が過大になると、紡糸操業性が低下したり、織編物において中空部の潰れが大きくなりやすいため、上限は70%程度が好ましい。また、単糸繊度が過大になると、風合いが粗硬になりやすいため、10dtexを上限とすることが好ましい。さらに、断面変形度が過大になると、中空部の潰れが大きくなりやすいため、4.0以下とすることが好ましい。
上記した糸条Aとしては、芯部にアルカリに対して溶出可能な易溶成分、例えばアルカリ易溶性ポリエステルを配し、鞘部に前記易溶成分とポリアミド成分をブレンドした芯鞘構造繊維を用いることが好ましい。このとき、芯部の中空率が30%以上、溶出後の質量減少率が40%以上となるように芯部と鞘部の易溶成分の比率を調整すればよく、鞘部の易溶成分の比率が高い場合には芯部の易溶成分が溶出しやすいが、織編物での摩擦に弱くなるため、鞘部の易溶成分の比率は5〜30%が好ましい。このような形態を呈することにより、溶出後の繊維表面に中空部へ通ずる微細孔が形成されるため、吸水拡散性に優れたものとなる。質量減少率が80%を超えると、溶出後における糸条Aが強度低下を引き起こしやすいため、質量減少率は80%以下にすることがより好ましい。
アルカリ易溶性ポリエステル成分としては、例えば、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸、ポリアルキレングリコール、スルホイソフタル酸アルカリ金属塩等を共重合させた共重合ポリエステルを挙げることができる。
糸条Aとともに本発明の軽量感を有するポリアミド混繊糸を形成するポリアミドマルチフィラメント非捲縮糸B(糸条B)は、捲縮のないいわゆるフラットヤーンであることが必要があり、また単糸繊度は1.5dtex以下であることが好ましく、1.2dtex以下がさらに好ましい。このような構成にすることで、ソフト感を効果的に発現させることが可能になるが、糸条Aが仮撚捲縮を有する場合は、断面形状の差による微妙な表面感の差が表現されるとともに、微細な空間が形成されることにより溶出後の糸条Aの軽量感と相俟って、繊細かつ軽量感、ソフト感に富む高質感の織編物を得ることができる。また、単糸繊度が小さい場合は、糸条Aの単糸繊度が大きくても混繊しやすく、前述の自然な杢調表現が可能となり、織編物に高質感を付与することができる。単糸繊度が1.5dtexを超える場合には、織編物のソフト感が表現できず高質感が阻害されるとともに、糸条Aとの混繊状態も低下することから交絡不良が起こり、織編物に筋状の欠点が発生しやすいため好ましくない。ただし、単糸繊度が小さ過ぎる場合は、織編物にコシが不足してしまうため、その下限は0.1dtex程度が好ましい。
本発明において、糸条Aや糸条Bを形成するポリアミド成分としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12等のホモポリマー及びこれらを主体とする共重合体もしくは混合物が好ましいが、これらに限定されるものではない。また、本発明の効果を損なわない範囲で、艶消し剤、帯電防止剤、抗菌剤、消臭剤、顔料、防炎剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤等の添加剤を含有したものでもよい。
なお、糸条Aと糸条Bとの混繊は、インターレースタイプ、タスランタイプ等いずれでもよいが、ループ、たるみが大きく発現しないように加工条件を適宜選択することが工程通過性の点で好ましい。また、インターレースタイプを採用する場合、交絡数は特に限定されるものではないが、杢感を細かくしたい場合には個数を多くし、粗くしたい場合には個数を少なくすればよい。製織性の面からは30個/m以上、150個/m以下が好ましく、50個/m以上、120個/m以下がより好ましい。
次に、本発明のポリアミド混繊糸の製法例について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明のポリアミド混繊糸の一製法例を示す概略工程図である。図1において供給糸1は、スプール2から引き出され、ガイド3を通り、フィードローラ4から流体処理ノズル8に糸条Aとして供給される。
一方、供給糸11は、スプール12から引き出され、ガイド13を通り、フィードローラ14から流体処理ノズル8に非捲縮糸の糸条Bとして供給される。その後、糸条Aと糸条Bは、ローラ9との間で流体処理ノズル8により混繊されて本発明のナイロン複合混繊糸となり、パッケージ10に巻き取られる。なお、このとき、糸条Aと糸条Bを同一のローラから給糸してもよい。
次に、図2は、本発明のポリアミド混繊糸の他の製法例を示す概略工程図である。図2において供給糸1は、スプール2から引き出され、ガイド3を通り、フィードローラ4、デリベリローラ7の間でヒータ5、施撚装置6により延伸仮撚加工が施され、仮撚捲縮を有する糸条Aとなる。
一方、供給糸11は、スプール12から引き出され、ガイド13を通り、フィードローラ14から流体処理ノズル8に非捲縮糸の糸条Bとして供給される。その後、糸条Aと糸条Bは、ローラ9の間で流体処理ノズル8により混繊されて本発明のナイロン複合混繊糸となり、パッケージ10に巻き取られる。
なお、流体処理ノズルとしてインターレースタイプ、タスランタイプ等いずれを用いてもよく、工程通過性の点から、ループ、たるみが大きく発現しないように加工条件を適宜選択することが好ましい。
本発明のポリアミド混繊糸は、糸条Aがアルカリ処理で高い中空率の中空部を形成できるので、織編物に軽量感はもちろんのこと、単糸繊度(フィラメント径)の大きさによるハリのあるスパン感を表現しながら、中空糸を構成する皮の部分が非常に薄くなるため、曲げの外力に対するフィラメントの剛性が低くなり、ソフトで高質感表現を妨げることがない。
さらに、糸条Aが仮撚捲縮糸である場合には、仮撚による断面変形も相俟って、上記剛性がさらに低くなり、ソフトで高質感をさらに強調することができる。また、断面変形度が1.5以上である場合は、剛性がさらに低くなるとともに、高捲縮糸によるボリューム感を付与することができる。
さらに、糸条Bが非捲縮糸で、好ましくは単糸繊度が1.5dtex以下であるため、ソフト感を効果的に発現させることができるとともに、糸条Aが仮撚捲縮を有する場合は、断面形状の差による微妙な表面感の差が表現されるとともに、微細な空間が形成されることにより、溶出後の糸条Aの軽量感と相俟って、繊細かつ軽量感、ソフト感に富む高質感の織編物を得ることができる。
また、糸条Aが高い中空率を有することにより、単糸繊度が大きいにもかかわらず染色した際に淡色化し、糸条Bと混繊した際に自然な杢調を呈するようになり、表面感においても高級感の表現が可能となる。また、糸条Aが仮撚捲縮を有している場合は、上記高い中空率に加え、延伸仮撚による配向の進行及び断面変形の相乗効果により、前記淡色化が進行するため、表面効果がさらに強調される。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
なお、各物性値の評価は、次のようにして行った。
<染色処方>
・精 練
精 練 剤:サンモールFL(日華化学社製) 1g/リットル
温度×時間:80℃×20分
・溶 出
苛性ソーダ:40g/リットル
温度×時間:98℃×30分
浴 比:1:50
・染 色
分散染料 :kayanol blue N2G(日本化薬社製) 2%o.m.f.
助 剤 :酢 酸 0.2ml/リットル
温度×時間:100℃×30分
浴 比 :1:50
<糸条Aの断面変形度>
アルカリによる溶出後の織編物から解舒した混繊糸の断面写真を撮影して、糸条Aの単フィラメントにおける外接円の直径R0と内接円の直径R1を測定し、次式により断面変形度Rを算出する。測定はランダムに選択した10箇所にて行い、その平均値を表示した。
R=R0/R1
<糸条Aの中空率(%)>
アルカリによる溶出後の織編物から解舒した混繊糸の断面写真を撮影して、画像処理により、糸条Aの単糸の断面積に対して芯部の中空部分の断面積が占める割合を次式により算出した。測定はランダムに選択した10箇所にて行い、その平均値を表示した。
Hr(%)=Sa/Sf×100
Hr:中空率(%)
Sf:中空部分を含む単フィラメントの全断面積(cm2
Sa:芯部の中空部分の断面積(cm2
<糸条Aの質量減少率(%)>
混繊糸を筒編し、溶出処理前の質量Fb(g)と溶出処理後の質量Fa(g)を測定し、混繊糸における糸条Aの質量比Waから、次の計算式にて質量減少率Wr(%)を算出する。
Wr(%)=(Fb−Fa)×100/(Fb×Wa)
<糸条Aと糸条Bの色差>
染色後の織編物の表面を肉眼で観察し、糸条Aと糸条Bとの色差を、グレースケールにて判定した。
(実施例1)
芯部用のアルカリ易溶性ポリエステルとして、5−ナトリウムスルホイソフタル酸2.5モル%、分子量6000のエチレングリコール13.3質量%を共重合したポリエチレンテレフタレートを、鞘部用のポリアミドとして、相対粘度2.6のナイロン6を用い、芯鞘複合質量比率を45/55、鞘部におけるアルカリ易溶性ポリエステルとポリアミドの混合質量比率を15/85とし、90dtex16f(単糸繊度5.63dtex)の芯鞘複合繊維(糸条A)を得た。
一方、糸条Bとして、上記と同じナイロン6を紡糸した100dtex96f(単糸繊度1.04dtex)を得た。
これらの繊維を用いて、図1に示す工程に従い、表1に示す条件にて糸加工を行って、198dtex112fのポリアミド混繊糸を得た。このとき、糸条Aの単糸繊度は5.63dtexであった。
この混繊糸を用いて、ウォータージェットルームで経糸密度94本/2.54cm、緯糸密度65本/2.54cmでタッサー組織にて織物を製織し、染色加工及び仕上げ加工を行ったところ、染色後の織物は、ソフト感、軽量感、ボリューム感、ハリのある優れたスパン調風合いに加え、自然で繊細な杢感を兼ね備えた高質感の織物であった。
表1に、混繊糸の加工条件と、溶出処理後の糸条Aの物性を併せて示す。
Figure 2005290588
(実施例2)
実施例1の原糸を使用し、図2に示す工程に従い、表1に示す条件にて糸加工を行って、170dtex112fのポリアミド混繊糸を得た。このとき、糸条Aの単糸繊度は4.08dtexであった。
この混繊糸を用いて、ウォータージェットルームで経糸密度101本/2.54cm、緯糸密度70本/2.54cmでタッサー組織にて織物を製織し、染色加工及び仕上げ加工を行ったところ、染色後の織物は、ソフト感、軽量感、ボリューム感、ハリのある優れたスパン調風合いに加え、自然で繊細な杢感を兼ね備えた高質感の織物であった。
(実施例3)
実施例2と同様にして芯鞘複合質量比率を50/50、鞘部におけるアルカリ易溶性ポリエステルとポリアミドの混合質量比率を15/85とし、90dtex16f(単糸繊度5.63dtex)の芯鞘複合繊維を得た。一方、糸条Bとして、上記と同じナイロン6を紡糸した78dtex68f(単糸繊度1.15dtex)を得た。
これらの繊維を用いて、図2に示す工程に従い、表1に示す条件にて糸加工を行って、149dtex84fのポリアミド混繊糸を得た。このとき、糸条Aの単糸繊度は4.08dtexであった。
この混繊糸を用いて、ウォータージェットルームで経糸密度94本/2.54cm、緯糸密度65本/2.54cmでタッサー組織にて織物を製織し、染色加工及び仕上げ加工を行ったところ、染色後の織物は、実施例1よりも軽量感に優れ、ソフト感、ボリューム感、ハリのある優れたスパン調風合いに加え、自然で繊細な杢感を兼ね備えた高質感の織物であった。
(比較例1)
芯鞘複合質量比率を30/70、鞘部におけるアルカリ易溶性ポリエステルとポリアミドの混合質量比率を15/85とし、90dtex16f(単糸繊度5.63dtex)の芯鞘複合繊維を得る以外は実施例2と同様に糸加工を行って、170dtex112fのポリアミド混繊糸を得た。このとき、糸条Aの単糸繊度は4.08dtexであった。
この混繊糸を用いて、実施例2と同様に織物を製織し、染色加工及び仕上げ加工を行ったが、糸条Aの中空率が30%未満であったため、染色後の織物は、軽量感にやや欠けるとともに、糸条Aの皮の部分が厚く剛性が高いことにより、ソフト感に欠けるものであった。
(比較例2)
芯鞘複合繊維として90dtex32f(単糸繊度2.81dtex)の芯鞘複合繊維を得る以外は実施例2と同様に糸加工を行って、171dtex128fのポリアミド混繊糸を得た。このとき、糸条Aの単糸繊度は2.08dtexであった。
この混繊糸を用いて、実施例2と同様にして織物を製織し、染色加工及び仕上げ加工を行ったが、染色後の織物は、軽量感にやや欠けるとともに、糸条Aの単糸繊度が小さいのでハリに欠け、スパン調風合いが乏しいものであった。
(比較例3)
実施例2で使用した2種の原糸を引き揃えて、表1に示す条件にて仮撚加工を行って、150dtex112fのポリアミド混繊糸を得た。このとき、糸条Aの単糸繊度は4.29dtexであった。
この混繊糸を用いて、実施例3と同様に織物を製織、染色加工及び仕上げ加工を行ったが、染色後の織物は、捲縮糸のみによるふかつき感が強調され、高質感に欠けるとともに形態保持性に乏しいものであった。
本発明のポリアミド混繊糸の製法例を示す概略工程図である。 本発明のポリアミド混繊糸の他の製法例を示す概略工程図である。
符号の説明
1、11 供給糸
2、12 スプール
3、13 ガイド
4、14 フィードローラ
5 ヒータ
6 施撚装置
7 デリベリローラ
8 流体処理ノズル
9 ローラ
10 パッケージ

Claims (6)

  1. アルカリ処理により中空部形成能を有するポリアミドマルチフィラメント糸Aと、ポリアミドマルチフィラメント非捲縮糸Bとが混繊されてなる混繊糸であって、前記ポリアミドマルチフィラメント糸Aは単糸繊度が3.5dtex以上であり、かつ中空率が30%以上となる中空部形成能を有することを特徴とするポリアミド混繊糸。
  2. ポリアミドマルチフィラメント糸Aが仮撚捲縮を有している請求項1記載のポリアミド混繊糸。
  3. ポリアミドマルチフィラメント非捲縮糸Bの単糸繊度が1.5dtex以下である請求項1又は2記載のポリアミド混繊糸。
  4. ポリアミドマルチフィラメント糸Aの溶出後の質量減少率が40%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド混繊糸。
  5. ポリアミドマルチフィラメント糸Aのアルカリ処理後の断面変形度が1.5以上である請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド混繊糸。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド混繊糸を50質量%以上用いた織編物であって、前記織編物を構成するポリアミドマルチフィラメント糸Aが、アルカリ処理により中空部を形成していることを特徴とするポリアミド織編物。
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