JP2021161550A - ポリエステル複合仮撚糸 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のポリエステル複合仮撚糸では得られなかった紡毛ウールのような杢感、適度なコシと膨らみのある風合い・表面タッチを有する織編物とすることができ、フカツキを抑えて突出部の風合いを感じることができ、起毛性にも優れた複合仮撚糸及び織編物の提供。【解決手段】芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条Aと鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条Bがそれぞれ太細斑を有し、糸長差が4%以上15%以下、未解撚部21が5個/m以上120個/m以下、嵩高部23の長さが0.5mm以上150mm以下、嵩高部23の長さの変動係数がCV値0.5以上であり、嵩高部23に突出部22を有するポリエステル複合仮撚糸および織編物。【選択図】図2
Description
本発明は、ポリエステル複合仮撚糸及びそれを用いた織編物に関するものである。
従来から、糸長手方向に嵩高部と未解撚部を付与し、織編物に用いることで変化に富んだ表面感とソフト感とコシの強い清涼感を合わせた風合いを得ることができ、別の切り口として、熱処理を施した糸と仮撚糸を混繊することで捲縮差や収縮差により複合加工糸の表面に微細なループを付与し、織編物に用いることで膨らみ感とヌメリ感のある風合いが得られるため広く検討がなされている。
例えば、熱可塑性繊維に延伸斑を施した後に高温度のヒーターで熱セットして仮撚することで長手方向に未解撚部と嵩高部を有し、且つ未解撚部の融着状態を制御し、嵩高部の繊度が未解撚部に比べ高くなるため布帛にした際、凹凸感に優れ嵩高でソフトな中にもシャリ感のある風合いを有する仮撚加工糸が提案されている(特許文献1参照)。
また、ポリエステルマルチフィラメント糸を弛緩熱処理して糸軸長手方向に微細な糸長差と太細斑をランダムに形成した糸とポリエステルマルチフィラメント糸を仮撚した糸を混繊することで糸軸表面に微細なループを付与し、布帛にした際、天然ウール様のふくらみ感、ソフト感、ヌメリ感のある風合いおよび自然な杢調を有する嵩高複合加工糸が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、上記の特許文献1の提案では、嵩高部と未解撚部を交互に有するため適度なコシと凹凸ある表面感は得られるが嵩高部は一般的な仮撚糸と同じ形態を有するため布帛にした際、未解撚部の粗硬感が強くソフト感に欠け、膨らみ感やウール調の表面タッチに乏しいものであった。
また、特許文献2の提案では、糸表面に微細ループを有するためヌメリ感が得られるが、糸中に未解撚部を有さないため、布帛にした際、フカツキ感があり、微細ループの安定性に欠けるため、微細ループの風合いを十分に感じることのできないものであった。
本発明は、前記の課題を解決しようとするものであって、糸中に嵩高部と未解撚部が混在し、且つ嵩高部の長さがランダムで、嵩高部に突出部を有することで、織編物にした際、紡毛調、具体的には紡毛ウールのような杢感、適度なコシと膨らみのある風合い・表面タッチを付与し、フカツキを抑えて突出部の風合いを感じることができる、起毛性にも優れたポリエステル複合仮撚糸及びそれを用いた織編物を提供することにある。
そこで本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
本発明のポリエステル複合仮撚糸は、芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条Aと鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条Bがそれぞれ太細斑を有し、糸長差が4%以上15%以下、未解撚部が5個/m以上120個/m以下、嵩高部の長さの変動係数がCV値0.5以上であり、嵩高部に突出部を有するポリエステル複合仮撚糸である。
本発明の好ましい態様によれば、前記のポリエステル複合仮撚糸は、前記ポリエステルマルチフィラメント糸条Bがカチオン可染ポリエステルマルチフィラメントである。
本発明の好ましい態様によれば、前記のポリエステル複合仮撚糸は、前記ポリエステルマルチフィラメント糸条Aの単繊維繊度が1.2dtex以上、前記ポリエステルマルチフィラメント糸条Bの単繊維繊度が1.8dtex以上である。
本発明の好ましい態様によれば、前記のポリエステル複合仮撚糸は、嵩高部10cm中に糸軸表面から突出する幅0.1mm以上5mm以下、高さ0.01mm以上0.5mm以下の突出部を50個以上200個以下有し、突出部が実質的にループを持たない。
本発明の織編物は、前記ポリエステル複合仮撚糸を30質量%以上含む織編物である。
本発明の好ましい態様によれば、前記の織編物は、前記織編物に起毛加工が施されている。
本発明の好ましい態様によれば、前記の織編物は、前記織編物に起毛加工が施されている。
本発明のポリエステル複合仮撚糸は、糸長手方向に嵩高部と未解撚部が混在し、かつ嵩高部の長さがランダムで、嵩高部に突出部を形成させることで、従来のポリエステル織編物にはなかった紡毛調、具体的にはウールのような杢感、適度なコシと膨らみのある風合い・表面タッチを有する織編物を与えることができる。また、本発明の織編物は、従来のポリエステル織編物にはなかった紡毛ウールのような杢感、適度なコシと膨らみのある風合い・表面タッチがあり、起毛性にも優れる。また、フカツキを抑えて突出部の風合いを感じることができる、
本発明のポリエステル複合仮撚糸は、芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条Aと鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条Bがそれぞれ太細斑を有し、糸長差が4%以上15%以下、未解撚部が5個/m以上120個/m以下、嵩高部の長さがランダムであり、嵩高部に突出部を有する。
ポリエステルマルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bがそれぞれ太細斑を有するとは、両糸に太細斑を付与するシック&シン加工が施さていることを示し、配向が進んでおらず濃色に染まるシック部(太部)と配向が進み淡色に染まるシン部(細部)が混在するため染色時に濃淡差により杢感が得られる。
上記両糸条の糸長差が4%以上15%以下となることで織編物に適度なコシのある風合いを与えることができる。糸長差が4%未満になると仮撚時の撚数が低下するため未解撚部の収束が弱くなり織編物のコシを低下させる。糸長差が15%を超えると撚数が増加するため嵩高部の捲縮が向上し織編物に膨らみ感を与えるが、未解撚部の収束が強くなり風合いを硬化させる。好ましい糸長差の範囲は6%以上12%以下である。
未解撚部は5個/m以上120個/m以下になることで織編物のフカツキ感を防止し、こなれた杢感を与えることができる。未解撚部が5個/m未満では、織編物にフカツキを与え、微細な突出部のタッチを十分に感じることができず杢感も粗くなり、ウール調の杢感から遠ざかる。未解撚部が120個/mを超えるとフカツキ感はなくなるが、糸が収束する箇所が増えるため織編物にシャリ感のある風合いを与え、表面感が虫食い状になり、杢感も細かくウール調の杢感から遠ざかる。好ましい未解撚部の範囲は30個/m以上100個/m以下である。嵩高部表面に微細に形成される突出部のタッチを感じるためには、糸長手方向に部分的に収束形態を付与して凹凸を設け、単繊維の自由度を制限することが重要になる。
嵩高部の長さは0.5mmから150mm、嵩高部の長さの変動係数がCV値0.5以上とランダムになる。好ましい嵩高部の長さは1.0mmから100mm、好ましい嵩高部の長さの変動係数CV値は0.7以上である。変動係数CV値が0.5未満では嵩高部の長さの変動が小さく自然な表面感が得られにくい。変動係数CV値の値が高いほど嵩高部の長さはランダムになるが値が高すぎても自然な表面感に乏しくなるため上限としてはCV値1.8であることが好ましい。
本発明において未解撚部とは、仮撚時に糸を撚る方向と同一方向の撚りを有し糸が収束した部分を指し、嵩高部とは未解撚部以外の収束していない部分であり、突出部は嵩高部中に単繊維が突出して実質的にループを持たない部分を指す。
図2は本発明のポリエステル複合仮撚糸の糸形態を説明するための図である。ポリエステル複合仮撚糸は、嵩高部23と未解撚部21で構成され嵩高部23中には、実質的にループを持たない突出部22を有する。
芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条Aとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)マルチフィラメントであることが好ましい。
鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条Bとしては、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント、ポリエチレンテレフタレートに5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを共重合した共重合ポリエステル等のカチオン可染ポリエステル等が好ましく挙げられる。なかでも本発明のポリエステル複合仮撚糸において、ポリエステルマルチフィラメント糸条Bがカチオン可染ポリエステルマルチフィラメントであることが好ましい。通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸条は通常分散染料で染色されるが、カチオン可染ポリエステルマルチフィラメントとすることでポリエステルマルチフィラメント糸条Aとの染め分けや染色時の色差を発現させることが可能となり、カチオン可染ポリエステルマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメント糸条Aがそれぞれ太細斑を有することで濃淡差も発現し、よりウールに近づく杢感を得ることができる。
本発明のポリエステル複合仮撚糸は、ポリエステルマルチフィラメント糸条Aの単繊維繊度が1.2dtex以上、ポリエステルマルチフィラメント糸条Bの単繊維繊度が1.8dtex以上であることが好ましい。
織編物に対し適度なコシを付与するのに影響する未解撚部と、ふくらみに影響する突出部は、使用する糸条の単繊維繊度に起因して硬さや反発感が変化する。柔らかい風合いであるだけでなく、適度なコシと、突出部に触れた際の膨らみ感や反発感が感じられる織編物が得られる点でポリエステルマルチフィラメント糸条Aの単繊維繊度が1.2dtex以上、ポリエステルマルチフィラメント糸条Bの単繊維繊度が1.8dtex以上であることが好ましい。より好ましい単繊維繊度の範囲は、ポリエステルマルチフィラメント糸条Aが2.2dtex以上である。上限としては風合い硬化の点から8.3dtex以下であることが好ましく、5.6dtex以下であることがより好ましい。ポリエステルマルチフィラメント糸条Bの単繊維繊度は反発感向上の点から2.5dtex以上であることがより好ましい。上限としては、風合硬化の点から9.6dtex以下であることが好ましく、4.8dtex以下であることがより好ましい。
本発明のポリエステル複合仮撚糸は、紡毛ウールを用いた婦人紳士衣料に適応するためポリエステルマルチフィラメント糸条Aの総繊度を50〜350dtexとすることが好ましく、70〜300dtexとすることがより好ましい。また、ポリエステルマルチフィラメント糸条Bの総繊度を100〜450dtexとすることが好ましい。
本発明のポリエステル複合仮撚糸は、紡毛ウールを用いた婦人紳士衣料に適応するためポリエステルマルチフィラメント糸条Aの総繊度を50〜350dtexとすることが好ましく、70〜300dtexとすることがより好ましい。また、ポリエステルマルチフィラメント糸条Bの総繊度を100〜450dtexとすることが好ましい。
本発明のポリエステル複合仮撚糸は、嵩高部10cm中に糸軸表面から突出する幅0.1mm以上5mm以下、高さ0.01mm以上0.5mm以下の微細突出部を50個以上200個以下有し、突出部が実質的にループを持たないことが好ましい。
嵩高部中の突出部の幅が0.1mm以上、高さ0.01mm以上であるとき、適度な突出部を有し、触れた際に突出部の自由度があり、適度に動くためかさつきのない、優れた風合いとなる。幅5mm以下、高さ0.5mm以下であるときは突出部が大きすぎず、触れた際に突出部の自由度を十分有し、大きく動くためふくらみや反発感に優れる風合いとなる。より好ましい突出部の幅と高さは、幅0.2mm以上3mm以下、高さ0.02mm以上0.3mm以下の微細突出部を75個以上175個以下であり、さらに好ましい突出部の幅と高さと個数は、幅0.4mm以上1.5mm以下、高さ0.04mm以上0.2mm以下の微細突出部で100個以上150個以下である。
本発明において「実質的にループを持たない」とは、クルノーダル状(涙滴形状)ループを実質的に持たないことを指す。ここで「実質的に」とは、意図的ではなく、偶発的にループを形成する場合があり得るが、総じてループを持たないことを意味する。このように実質的にループを持たないことにより、嵩高部の中の突出部が自由度を持って動く複合仮撚糸となり得る。このような実質的にループを持たないポリエステル複合仮撚糸は、通常インターレースノズルを用いた交絡混繊方法によって混繊し仮撚することで得ることができる。乱流ノズルを用いたタスラン混繊方法によって混繊された芯鞘型混繊糸では、通常クルノーダル状(涙滴形状)ループを形成する。図3に示すようなクルノーダル状(涙滴形状)ループを持たず、鞘糸が自由度を持って動く複合仮撚糸を指す。図3は、タスラン混繊糸で形成されるクルノーダル状ループの一例を示す概念図である。タスラン混繊により鞘部を構成する糸条はクルノーダル状ループ31を形成する。タスラン混繊方法では乱流ノズルの出口で糸条の進行方向を急遽変更し、この推進流体から取り出す時に過供給され弛んだ糸条の側面を流体がすり抜ける際に、個々の糸条に任意の旋回力が与えられ、生じたトルクにより、それぞれ近傍の糸条に絡みつき交絡するためクルノーダル状のループを多数有する混繊糸となる。クルノーダル状のループがカサツキのあるスパン調の風合いを発現させる。インターレースノズルを用いた混繊交絡によって混繊されるような、実質的にループを持たないポリエステル複合仮撚糸は、嵩高部の中の突出部が自由度を持って動くため、柔らかな表面タッチとふくらみ、反発感のある風合いを発現させる。
本発明のポリエステル複合仮撚糸の嵩高部中に形成される突出部は、ポリエステルマルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bを引き揃えてシック&シン加工した後に仮撚することでシック部(太部)とシン部(細部)の部分的な伸度差が生まれ、配向が進んでいないシック部(太部)が微細な突出部として形成される。更に引き揃えてシック&シン加工を行う前にインターレースノズルを用いて両糸条を混繊させることで単繊維が絡み合い、シック&シン加工時の延伸で単繊維ごとに応力差が生じるためマルチフィラメントの同位相内に伸度の異なる単繊維が混在することになり、仮撚時に形成される突出部が嵩高部中に分散して存在することになる。突出部は低配向であるため、一般的な織編物に比較して、起毛加工を容易に行うことができ、突出部が分散して存在することにより、起毛後の表面品位にも優れる。
本発明のポリエステル複合仮撚糸に用いるポリエステルマルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bは、高配向未延伸糸を用いて加工を行い、その複屈折率Δnが0.015〜0.080の範囲のものであることが好ましい。その製造方法としては紡糸速度が2000〜3300m/minで紡糸することが好ましい。微細な突出部を形成させる為には、より高配向な糸条であることが好ましく、そのための好ましい紡糸速度は2000〜3000m/minである。ポリエステルマルチフィラメント糸条Bがカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント糸条の場合、ポリエステルに5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを共重合して得られたカチオン可染ポリエステルを製糸して糸条を製造する。
ポリエステルマルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bの好ましい伸度はそれぞれ120%以上250%以下であり、より好ましい伸度は140%以上180%以下である。
本発明のポリエステル複合仮撚糸はポリエステルマルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bを引き揃えてシック&シン加工を行った後に仮撚加工を行うため、ポリエステル複合仮撚糸中の芯糸と鞘糸は用いるフィラメント糸条の伸度により決まる。すなわち、伸度がより小さい方が芯糸に、大きい方が鞘糸になる。本発明においては、ポリエステルマルチフィラメント糸条Aが芯糸となるよう、該糸条Aの伸度に比してポリエステルマルチフィラメント糸条Bの伸度を大きくするようにする。
ポリエステル複合仮撚糸に用いられるポリエステルマルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bはそれぞれ引っ張り強度が1.3cN/dtex以上であることが好ましい。引っ張り強度を1.3cN/dtex以上とすることにより、婦人紳士やカジュアル用途に適応することが可能となる。より好ましくは1.4cN/dtex以上である。
また、ポリエステル複合仮撚糸の伸度は17%以上であることが好ましい。伸度が17%未満になると製織および製編等の高次加工工程における工程通過性に問題が起こりやすくなる。より好ましくは18%以上50%以下である。伸度が50%を超えるようになると、高次加工工程で加わる加工張力によりポリエステル複合仮撚糸中の糸条が延伸されて、未解撚部や突出部が破壊され得られる織編物で目的の杢感や風合いが得にくくなる。
ポリエステル複合仮撚糸の総繊度は、紡毛ウールを用いた婦人紳士衣料に適応するため150dtex以上であることが好ましく、200dtex以上であることがより好ましい。上限としては特に制限はないが、一般衣料用加工糸の観点から800dtex以下であることが好ましく、500dtex以下であることがより好ましい。
ポリエステル複合仮撚糸に用いられるポリエステルマルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bの断面形状は、特には限定しないが、用途等に応じて任意の形状とすることができ、円形、三角、扁平、Y型、星形、楔形、多葉型、サイドバイサイド型が好ましい。
上記ポリエステル複合仮撚糸は、糸中に嵩高部と未解撚部が混在し、且つ嵩高部の長さがランダムで、嵩高部に突出部を有することで、織編物にした際、紡毛調、具体的には紡毛ウールのような杢感、適度なコシと膨らみのある風合い・表面タッチを有する織編物とすることができる。
なかでも織編物の30質量%以上に上記ポリエステル複合仮撚糸を含む織編物とすることが好ましい。本発明においては前記ポリエステル複合仮撚糸を30%以上織編物に用いることで紡毛ウールの杢感と適度なコシとふくらみのある風合いがより一層顕著に発揮することができる。好ましい織編物への複合糸の混率は50質量%以上である。上限としては特に制限はないが、100質量%とすることで、嵩高部中の微細な突出部の表面タッチをより一層顕著に感じることができ、起毛加工を施すことで紡毛ウールに近似した風合・表面タッチを有する織編物ができる。
上記織編物に用い得るその他の繊維としては、ポリエステル、ウール、綿、アクリル、レーヨン等が好ましく挙げられる。
本発明の織編物を構成する組織については特に限定しない。織物の場合、その組織は使用される用途によって平組織、綾組織、朱子組織やそれらの変化組織などいずれであっても構わない。編物の場合、その組織は使用される用途によって丸編地の天竺組織、インターロック組織、スムース組織、経編み地のハーフ組織、サテン組織、ジャカード組織やそれらの変化組織などいずれであっても構わない。
本発明の織編物を構成する組織については特に限定しない。織物の場合、その組織は使用される用途によって平組織、綾組織、朱子組織やそれらの変化組織などいずれであっても構わない。編物の場合、その組織は使用される用途によって丸編地の天竺組織、インターロック組織、スムース組織、経編み地のハーフ組織、サテン組織、ジャカード組織やそれらの変化組織などいずれであっても構わない。
本発明の織編物は、織編物に起毛加工を施すことも可能であり、好ましい態様である。起毛加工の種類は問わず、一般的な織編物の起毛加工として挙げられる、針布起毛加工やバフ起毛加工を施すことができる。
本発明のポリエステル複合仮撚糸を用いた織編物は起毛加工などの物理加工の他に減量加工等の風合い調整を目的とした加工や撥水加工や吸水加工、帯電防止加工、消臭加工、撥油加工などの機能加工を施すことができる。
[糸条の繊度]
複合仮撚糸を検尺機(円周1.125m)で80回巻取り輪状にし、重量Wを測定する。下記の式より糸条の繊度を算出する。
糸条の繊度(dtex)=W×100×1.111
[糸条の単繊維繊度]
複合仮撚糸10cmを採取し、鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維1本と芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維1本を抜き取る。芯糸鞘糸それぞれの単繊維を長手方向に1cm間隔でカットして5本ずつ用意し、断面を走査型電子顕微鏡S−3400N((株)日立製作所製)で観察して、繊維直径を5点測定し、その5点の平均繊維直径をμとする。繊維比重をρ とし、次の式より単繊維繊度を算出する。繊維比重はポリエステルの比重1.38を使用する。
単繊維繊度(dtex)=ρμ2/141.6
総繊度(dtex)=単繊維繊度(dtex)×H
[糸条の引っ張り強度、伸度]
JIS L1013化学繊維フィラメント糸試験方法(2010)に準じて測定した。
複合仮撚糸を検尺機(円周1.125m)で80回巻取り輪状にし、重量Wを測定する。下記の式より糸条の繊度を算出する。
糸条の繊度(dtex)=W×100×1.111
[糸条の単繊維繊度]
複合仮撚糸10cmを採取し、鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維1本と芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維1本を抜き取る。芯糸鞘糸それぞれの単繊維を長手方向に1cm間隔でカットして5本ずつ用意し、断面を走査型電子顕微鏡S−3400N((株)日立製作所製)で観察して、繊維直径を5点測定し、その5点の平均繊維直径をμとする。繊維比重をρ とし、次の式より単繊維繊度を算出する。繊維比重はポリエステルの比重1.38を使用する。
単繊維繊度(dtex)=ρμ2/141.6
総繊度(dtex)=単繊維繊度(dtex)×H
[糸条の引っ張り強度、伸度]
JIS L1013化学繊維フィラメント糸試験方法(2010)に準じて測定した。
つかみ間隔は200mm、引っ張り速度は200mm/分として、引っ張り試験機((株)島津製作所製)で荷重−伸長曲線を求め、破断時の荷重値を初期繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り、伸度とした。
[織編物を構成するポリエステル複合仮撚糸の糸長差]
染色、仕上げ加工を経た織編物を5cm四方に切り取り、経方向または緯方向からポリエステル複合仮撚糸を1本採取する。採取した複合仮撚糸を分解し、鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維5本と芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維5本を抜き取る。起毛処理した織り編み物の場合、可能な場合は起毛前の織編物で評価する。起毛前の織編物で評価出来ない場合は、起毛処理等により単繊維切れを伴う織編物から試料を採取する。その場合は、評価可能(芯糸、鞘糸それぞれから糸切れをしていない単繊維5本の抜き取りが可能)なポリエステル複合仮撚糸が見いだされるまでポリステル複合仮撚糸を採取し、それを用いる。評価可能なポリエステル複合仮撚糸を見いだせない場合は、染色・仕上げ加工を経た織編物を3cm四方に切り取り、同様に評価可能なポリエステル複合仮撚糸が見いだされるまでポリエステル複合仮撚糸を採取し、それを用いる。抜き取った単繊維をガラス板にのせ、グリセリンを微量滴下し、織編構造から形成されるクリンプを伸ばして単繊維繊度(d)の1/30g初期荷重を付与し糸長を測定する。鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維5本の平均糸長をL1、芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維5本の平均糸長をL2とし、次の式より糸長差を算出する。
糸長差( % )=〔( L1 − L2 ) / L 2 〕×1 0 0
[織編物を構成する複合仮撚糸の単繊維繊度、総繊度]
染色、仕上げ加工を経た織編物の経方向または緯方向から一定間隔(織編物ベースで5cm採取)のポリエステル複合仮撚糸を1本採取する。採取したポリエステル複合仮撚糸を分解し、鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維1本と芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維1本を抜き取る。芯糸鞘糸それぞれの単繊維を長手方向に1cm間隔でカットして5本ずつ用意し、断面を走査型電子顕微鏡S−3400N((株)日立製作所製)で観察して、繊維直径を5点測定し、その5点の平均繊維直径をμとする。繊維比重をρ とし、次の式より単繊維繊度を算出する。次に織編物よりポリエステル複合仮撚糸1本を抜き出し、鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条と芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維本数Hを数え、次の式より総繊度を算出する。繊維比重はポリエステルの比重1.38を使用する。
単繊維繊度(dtex)=ρμ2/141.6
総繊度(dtex)=単繊維繊度(dtex)×H
[織編物を構成する複合仮撚糸中の未解撚部の数]
染色、仕上げ加工を経た織編物の経方向または緯方向からポリエステル複合仮撚糸30cmを5本採取しデジタルマイクロスコープVHX−500((株)キーエンス製)を用いて、本発明のポリエステル複合仮撚糸に総繊度(D)の1/30gの荷重をかけて、ポリエステル複合仮撚糸1本毎に30cmあたりの未解撚部の数を測定し、その5本の平均個数をAとし、次の式より算出する。
染色、仕上げ加工を経た織編物を5cm四方に切り取り、経方向または緯方向からポリエステル複合仮撚糸を1本採取する。採取した複合仮撚糸を分解し、鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維5本と芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維5本を抜き取る。起毛処理した織り編み物の場合、可能な場合は起毛前の織編物で評価する。起毛前の織編物で評価出来ない場合は、起毛処理等により単繊維切れを伴う織編物から試料を採取する。その場合は、評価可能(芯糸、鞘糸それぞれから糸切れをしていない単繊維5本の抜き取りが可能)なポリエステル複合仮撚糸が見いだされるまでポリステル複合仮撚糸を採取し、それを用いる。評価可能なポリエステル複合仮撚糸を見いだせない場合は、染色・仕上げ加工を経た織編物を3cm四方に切り取り、同様に評価可能なポリエステル複合仮撚糸が見いだされるまでポリエステル複合仮撚糸を採取し、それを用いる。抜き取った単繊維をガラス板にのせ、グリセリンを微量滴下し、織編構造から形成されるクリンプを伸ばして単繊維繊度(d)の1/30g初期荷重を付与し糸長を測定する。鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維5本の平均糸長をL1、芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維5本の平均糸長をL2とし、次の式より糸長差を算出する。
糸長差( % )=〔( L1 − L2 ) / L 2 〕×1 0 0
[織編物を構成する複合仮撚糸の単繊維繊度、総繊度]
染色、仕上げ加工を経た織編物の経方向または緯方向から一定間隔(織編物ベースで5cm採取)のポリエステル複合仮撚糸を1本採取する。採取したポリエステル複合仮撚糸を分解し、鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維1本と芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維1本を抜き取る。芯糸鞘糸それぞれの単繊維を長手方向に1cm間隔でカットして5本ずつ用意し、断面を走査型電子顕微鏡S−3400N((株)日立製作所製)で観察して、繊維直径を5点測定し、その5点の平均繊維直径をμとする。繊維比重をρ とし、次の式より単繊維繊度を算出する。次に織編物よりポリエステル複合仮撚糸1本を抜き出し、鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条と芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の単繊維本数Hを数え、次の式より総繊度を算出する。繊維比重はポリエステルの比重1.38を使用する。
単繊維繊度(dtex)=ρμ2/141.6
総繊度(dtex)=単繊維繊度(dtex)×H
[織編物を構成する複合仮撚糸中の未解撚部の数]
染色、仕上げ加工を経た織編物の経方向または緯方向からポリエステル複合仮撚糸30cmを5本採取しデジタルマイクロスコープVHX−500((株)キーエンス製)を用いて、本発明のポリエステル複合仮撚糸に総繊度(D)の1/30gの荷重をかけて、ポリエステル複合仮撚糸1本毎に30cmあたりの未解撚部の数を測定し、その5本の平均個数をAとし、次の式より算出する。
なお、未解撚部と嵩高部の境は、以下のとおりに決定し、測定した。図4は未解撚部と嵩高部の境界を説明刷る図面代用写真である。すなわち、未解撚部から嵩高部に変化する箇所では、撚の解撚が始まるので、解撚が始まる矢印41で示される箇所を未解撚部と嵩高部の境とする。
未解撚部の数(個/m)=A/0.3
[織編物を構成する複合仮撚糸中の嵩高部の長さ、嵩高部の長さの変動係数CV値]
染色、仕上げ加工を経た織編物の経方向または緯方向からポリエステル複合仮撚糸30cmを20本採取しデジタルマイクロスコープVHX−500((株)キーエンス製)を用いて、本発明のポリエステル複合仮撚糸に総繊度(D)の1/30gの荷重をかけて、嵩高部の長さを30箇所測定し、30個の平均値を算出する。嵩高部は、複合仮撚糸中の未解撚部以外の箇所を指し、その長さを嵩高部の長さとする。嵩高部の長さを測定した30箇所の長さの標準偏差σ、平均値Xより変動係数CVを次の式より算出する。
未解撚部の数(個/m)=A/0.3
[織編物を構成する複合仮撚糸中の嵩高部の長さ、嵩高部の長さの変動係数CV値]
染色、仕上げ加工を経た織編物の経方向または緯方向からポリエステル複合仮撚糸30cmを20本採取しデジタルマイクロスコープVHX−500((株)キーエンス製)を用いて、本発明のポリエステル複合仮撚糸に総繊度(D)の1/30gの荷重をかけて、嵩高部の長さを30箇所測定し、30個の平均値を算出する。嵩高部は、複合仮撚糸中の未解撚部以外の箇所を指し、その長さを嵩高部の長さとする。嵩高部の長さを測定した30箇所の長さの標準偏差σ、平均値Xより変動係数CVを次の式より算出する。
変動係数CV=σ/X
[織編物を構成する複合仮撚糸中の突出部の高さ・幅]
染色、仕上げ加工を経た織編物の経方向または緯方向から複合糸30cmを1本採取しデジタルマイクロスコープVHX−500((株)キーエンス製)を用いて、本発明のポリエステル複合仮撚糸に総繊度(D)の1/30gの荷重をかけて、ポリエステル複合仮撚糸長手方向側面から観察する。任意の嵩高部10cm間に糸軸表面から突出する実質的にループを持たない突出部の高さと幅を測定し、個数を集計する。嵩高部が10cmに満たない場合は、嵩高部の長さを合計して10cm間に糸軸表面から突出する実質的にループを持たない突出部の高さと幅を測定する。マルチフィラメント糸条中の嵩高部中のマルチフィラメント糸が収束した箇所を糸軸表面とし、糸軸表面から突出する突出部の頂点までの直線を突出部の高さと定義する。糸軸表面から突出する突出部の両端間の直線を突出部の幅と定義する。突出部は複合仮撚糸中に3次元で形成されるが、記載の測定方法では複合仮撚糸を側面から観察するため2次元として考える。
図5は、突出部を説明する図面代用写真である。突出部22は、マルチフィラメント糸条中の嵩高部が収束した糸軸表面線51から突出した部分をいい、各突出部において、糸軸表面線51を引き、その幅と高さを測定する。
[織編物を構成する複合仮撚糸中の突出部の高さ・幅]
染色、仕上げ加工を経た織編物の経方向または緯方向から複合糸30cmを1本採取しデジタルマイクロスコープVHX−500((株)キーエンス製)を用いて、本発明のポリエステル複合仮撚糸に総繊度(D)の1/30gの荷重をかけて、ポリエステル複合仮撚糸長手方向側面から観察する。任意の嵩高部10cm間に糸軸表面から突出する実質的にループを持たない突出部の高さと幅を測定し、個数を集計する。嵩高部が10cmに満たない場合は、嵩高部の長さを合計して10cm間に糸軸表面から突出する実質的にループを持たない突出部の高さと幅を測定する。マルチフィラメント糸条中の嵩高部中のマルチフィラメント糸が収束した箇所を糸軸表面とし、糸軸表面から突出する突出部の頂点までの直線を突出部の高さと定義する。糸軸表面から突出する突出部の両端間の直線を突出部の幅と定義する。突出部は複合仮撚糸中に3次元で形成されるが、記載の測定方法では複合仮撚糸を側面から観察するため2次元として考える。
図5は、突出部を説明する図面代用写真である。突出部22は、マルチフィラメント糸条中の嵩高部が収束した糸軸表面線51から突出した部分をいい、各突出部において、糸軸表面線51を引き、その幅と高さを測定する。
[布帛の表面感]
布帛の表面感については、目視によって熟練者10名により、次の2段階判定法で評価した。○ を合格とした。
○ : 濃淡差の杢感があり、紡毛ウール調の表面感を有する。
× : 濃淡差のない杢感、化繊調の表面感を有する。
布帛の表面感については、目視によって熟練者10名により、次の2段階判定法で評価した。○ を合格とした。
○ : 濃淡差の杢感があり、紡毛ウール調の表面感を有する。
× : 濃淡差のない杢感、化繊調の表面感を有する。
[起毛加工を施した布帛の表面感]
起毛加工を施した布帛の表面感については、目視によって熟練者10名により、次の2段階判定法で評価した。○を合格とした。
○ : 均一に起毛がかかり、毛先の流れが確認できる。
× : 不均一に起毛がかかり、毛先の流れが確認できない。
起毛加工を施した布帛の表面感については、目視によって熟練者10名により、次の2段階判定法で評価した。○を合格とした。
○ : 均一に起毛がかかり、毛先の流れが確認できる。
× : 不均一に起毛がかかり、毛先の流れが確認できない。
[風合い評価]
ふくらみ、反発感、コシおよび紡毛タッチのそれぞれの評価について、熟練者10名により、次の4段階判定法で評価した。◎と○を合格とした。
ふくらみ、反発感、コシおよび紡毛タッチのそれぞれの評価について、熟練者10名により、次の4段階判定法で評価した。◎と○を合格とした。
ふくらみ、反発感、コシ
◎ : 軽さを感じ、圧縮時にコシと反発を感じる。
○ : 織編物の厚みに対して軽さを感じ、圧縮時に適度なコシと反発を感じる。
△ : 織編物の厚みに対する重量を感じ、圧縮時にやや硬さと戻りの悪さ感じる。
× : 重量を感じ、圧縮時に硬さと戻りの悪さを感じる。
◎ : 軽さを感じ、圧縮時にコシと反発を感じる。
○ : 織編物の厚みに対して軽さを感じ、圧縮時に適度なコシと反発を感じる。
△ : 織編物の厚みに対する重量を感じ、圧縮時にやや硬さと戻りの悪さ感じる。
× : 重量を感じ、圧縮時に硬さと戻りの悪さを感じる。
紡毛タッチ
◎ : 毛羽のようなヌメリの強さを感じる。
○ : 毛羽のようなヌメリがあると感じる。
△ : 毛羽のようなヌメリがあるように感じる。
× : 毛羽のようなヌメリが感じられない。かさつく。
◎ : 毛羽のようなヌメリの強さを感じる。
○ : 毛羽のようなヌメリがあると感じる。
△ : 毛羽のようなヌメリがあるように感じる。
× : 毛羽のようなヌメリが感じられない。かさつく。
[実施例1]
紡糸速度2500m/minで製造した90dtex24fのポリエステル(PET)マルチフィラメント高配向未延伸糸条A(引っ張り強度2.44cN/dtex、伸度165.7%、複屈折率Δn0.035)と紡糸速度2300m/minで製造した265dtex48fのポリエステル(PET)マルチフィラメント高配向未延伸糸条B(引っ張り強度2.47cN/dtex、伸度200.2%、複屈折率Δn0.039)を図1の製造工程に従い、表1の条件で仮撚加工を行い、総繊度230dtex72fの複合仮撚糸を得た。
紡糸速度2500m/minで製造した90dtex24fのポリエステル(PET)マルチフィラメント高配向未延伸糸条A(引っ張り強度2.44cN/dtex、伸度165.7%、複屈折率Δn0.035)と紡糸速度2300m/minで製造した265dtex48fのポリエステル(PET)マルチフィラメント高配向未延伸糸条B(引っ張り強度2.47cN/dtex、伸度200.2%、複屈折率Δn0.039)を図1の製造工程に従い、表1の条件で仮撚加工を行い、総繊度230dtex72fの複合仮撚糸を得た。
図1は本発明の複合仮撚糸の好ましい製造方法の一例を示す概念図である。また、実施例1では表1に記載の延伸・仮撚条件で製造した。まず、糸条A1のポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸と糸条B2のポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸を引き揃えてガイド3を通り、第一フィードローラー4で送り出され、インターレースノズル5を介して第二フィードローラー6との間で混繊交絡処理を施した後、熱ピン7を介して第三フィードローラー8との間でシック&シン加工を施し太細斑を形成させて、ヒーター9とツイスター10を介して第四フィードローラー11との間で仮撚加工を行い、ポリエステル複合仮撚糸12として送り出され、巻取りローラー13で巻き取られる。熱ピン7の温度は75℃、第一フィードローラー4と第二フィードローラー6間のノズルフィード率は1.02%、インターレースノズル5のエアー圧力は0.3MPa、第二フィードローラー6と第四フィードローラー11間の延伸倍率は1.57倍、ヒーター9の温度は215℃、ツイスター10の種類はベルトタイプの条件で製造した。得られたポリエステル複合仮撚糸を経糸および緯糸に用いて、経密度が90本/2.54cm、緯密度が67本/2.54cm、カバーファクターを2259として2/2ツイル織物を作製した。次いで、得られた織物に、常法に従い液流リラックス処理を施し、続いて乾燥し中間セットを施した。中間セット条件は、温度170℃で実施した。その後、得られた織物を分散染料Navy Blue SGLを用いて、130℃の温度で30分間染色し、常法に従い仕上げセットを施した。仕上げセット条件は、温度160 ℃で実施した。得られた織物から分解した複合仮撚糸の糸長差は8.5%であり、未解撚部が97個/m、嵩高部の長さが12.1mm、嵩高部の長さ変動係数CV値が1.06、嵩高部に突出部を有し、嵩高部10cm中に糸軸表面から突出する幅0.1mm以上5mm以下、高さ0.01mm以上0.5mm以下の微細な突出部を122個、幅0.2mm以上3mm以下、高さ0.02mm以上0.3mm以下の微細な突出部を115個、幅0.4mm以上1.5mm以下、高さ0.04mm以上0.2mm以下の微細な突出部を91個有し、突出部が実質的にループを持たず、糸条Aの単繊維繊度は2.38dtex、糸条Bの単繊維繊度は3.52dtexであった。得られた織物は濃淡差の杢感があり、紡毛ウール調の表面感を有し、表面には微細な突出部が形成されて、ふくらみ、反発感とコシがあり、毛羽のようなヌメリがあると感じる風合いが得られた。
[実施例2]
紡糸速度2500m/minで製造した265dtex48fのポリエステル(PET)マルチフィラメント高配向未延伸糸条A(引っ張り強度2.47cN/dtex、伸度154.2%)と紡糸速度2300m/minで製造した310dtex48fのカチオン可染ポリエステル(5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル共重合PET)マルチフィラメント高配向未延伸糸条B(引っ張り強度1.28cN/dtex、伸度238.5%、複屈折率Δn0.017)を図1の製造工程に従い、表1の条件で仮撚加工を行い、総繊度380dtex96fの複合仮撚糸を得た。得られたポリエステル複合仮撚糸を経密度が70本/2.54cm、緯密度が47本/2.54cm、カバーファクターを2164として2/2ツイル織物を作製し、染料としてカチオン染料Cathilon Blue GRLH 200%を用いて100℃の温度で30分染色した以外は実施例1と同様の条件で加工工程を通し、実施例1と同様の方法で物性を評価した。得られた織物から分解した複合仮撚糸の糸長差は7.6%であり、未解撚部が71個/m、嵩高部の長さが23.7mm、嵩高部の長さ変動係数CV値が0.83、嵩高部に突出部を有し、嵩高部10cm中に糸軸表面から突出する幅0.1mm以上5mm以下、高さ0.01mm以上0.5mm以下の微細突出部を162個、幅0.2mm以上3mm以下、高さ0.02mm以上0.3mm以下の微細突出部を157個、幅0.4mm以上1.5mm以下、高さ0.04mm以上0.2mm以下の微細突出部を141個有し、突出部が実質的にループを持たず、糸条Aの単繊維繊度は3.52dtex、糸条Bの単繊維繊度は4.11dtexであった。得られた織物は濃淡差の杢感があり、紡毛ウール調の表面感を有し、表面には微細な突出部が形成されて、ふくらみ、反発感とコシがあり、毛羽のようなヌメリがあると感じる風合いが得られた。
紡糸速度2500m/minで製造した265dtex48fのポリエステル(PET)マルチフィラメント高配向未延伸糸条A(引っ張り強度2.47cN/dtex、伸度154.2%)と紡糸速度2300m/minで製造した310dtex48fのカチオン可染ポリエステル(5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル共重合PET)マルチフィラメント高配向未延伸糸条B(引っ張り強度1.28cN/dtex、伸度238.5%、複屈折率Δn0.017)を図1の製造工程に従い、表1の条件で仮撚加工を行い、総繊度380dtex96fの複合仮撚糸を得た。得られたポリエステル複合仮撚糸を経密度が70本/2.54cm、緯密度が47本/2.54cm、カバーファクターを2164として2/2ツイル織物を作製し、染料としてカチオン染料Cathilon Blue GRLH 200%を用いて100℃の温度で30分染色した以外は実施例1と同様の条件で加工工程を通し、実施例1と同様の方法で物性を評価した。得られた織物から分解した複合仮撚糸の糸長差は7.6%であり、未解撚部が71個/m、嵩高部の長さが23.7mm、嵩高部の長さ変動係数CV値が0.83、嵩高部に突出部を有し、嵩高部10cm中に糸軸表面から突出する幅0.1mm以上5mm以下、高さ0.01mm以上0.5mm以下の微細突出部を162個、幅0.2mm以上3mm以下、高さ0.02mm以上0.3mm以下の微細突出部を157個、幅0.4mm以上1.5mm以下、高さ0.04mm以上0.2mm以下の微細突出部を141個有し、突出部が実質的にループを持たず、糸条Aの単繊維繊度は3.52dtex、糸条Bの単繊維繊度は4.11dtexであった。得られた織物は濃淡差の杢感があり、紡毛ウール調の表面感を有し、表面には微細な突出部が形成されて、ふくらみ、反発感とコシがあり、毛羽のようなヌメリがあると感じる風合いが得られた。
[比較例1]
紡糸速度800m/minで紡糸した未延伸糸を延伸して製造した110dtex24fのポリエステル(PET)マルチフィラメント延伸糸条A(引っ張り強度4.26cN/dtex、伸度37.6%)と紡糸速度3500m/minで製造した265dtex48fのポリエステル(PET)マルチフィラメント高配向未延伸糸条B(引っ張り強度2.77cN/dtex、伸度125.5%)を図1の製造工程に従い、表1の条件で仮撚加工を行い、総繊度357dtex72fの複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸を経密度が75本/2.54cm、緯密度が53本/2.54cm、カバーファクターを2293として2/2ツイル織物を作製し実施例1と、同様の条件で加工工程を通し、実施例1と同様の方法で物性を評価した。得られた織物から分解した複合仮撚糸の糸長差は21%、未解撚部が4個/m、嵩高部の長さが220mm、嵩高部の長さ変動係数CV値が0.35、嵩高部に突出部を有し、嵩高部10cm中に糸軸表面から突出する幅0.1mm以上5mm以下、高さ0.01mm以上0.5mm以下の微細突出部を32個、幅0.2mm以上3mm以下、高さ0.02mm以上0.3mm以下の微細突出部を29個、幅0.4mm以上1.5mm以下、高さ0.04mm以上0.2mm以下の微細突出部を27個有し、突出部が実質的にループを持たず、糸条Aの単繊維繊度は4.37dtex、糸条Bの単繊維繊度は5.26dtexであった。得られた織物は濃淡差の弱い杢感となり、化繊調の表面感を有し、表面の微細な突出部が少なく、硬くかさつきを感じる風合いとなった。
紡糸速度800m/minで紡糸した未延伸糸を延伸して製造した110dtex24fのポリエステル(PET)マルチフィラメント延伸糸条A(引っ張り強度4.26cN/dtex、伸度37.6%)と紡糸速度3500m/minで製造した265dtex48fのポリエステル(PET)マルチフィラメント高配向未延伸糸条B(引っ張り強度2.77cN/dtex、伸度125.5%)を図1の製造工程に従い、表1の条件で仮撚加工を行い、総繊度357dtex72fの複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸を経密度が75本/2.54cm、緯密度が53本/2.54cm、カバーファクターを2293として2/2ツイル織物を作製し実施例1と、同様の条件で加工工程を通し、実施例1と同様の方法で物性を評価した。得られた織物から分解した複合仮撚糸の糸長差は21%、未解撚部が4個/m、嵩高部の長さが220mm、嵩高部の長さ変動係数CV値が0.35、嵩高部に突出部を有し、嵩高部10cm中に糸軸表面から突出する幅0.1mm以上5mm以下、高さ0.01mm以上0.5mm以下の微細突出部を32個、幅0.2mm以上3mm以下、高さ0.02mm以上0.3mm以下の微細突出部を29個、幅0.4mm以上1.5mm以下、高さ0.04mm以上0.2mm以下の微細突出部を27個有し、突出部が実質的にループを持たず、糸条Aの単繊維繊度は4.37dtex、糸条Bの単繊維繊度は5.26dtexであった。得られた織物は濃淡差の弱い杢感となり、化繊調の表面感を有し、表面の微細な突出部が少なく、硬くかさつきを感じる風合いとなった。
[比較例2]
紡糸速度3500m/minで製造した265dtex48fのポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸条A(引っ張り強度2.77cN/dtex、伸度125.5%)と紡糸速度3500m/minで製造した310dtex48fのカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸条B(引っ張り強度2.49cN/dtex、伸度140.1%)を図1の製造工程に従い、表1の条件で仮撚加工を行い、総繊度380dtex96fの複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸を実施例1と同様の設計で織物を作製し、実施例2と同様の条件で加工工程を通し、実施例1と同様の方法で物性を評価した。得られた織物から分解した複合仮撚糸の糸長差は3.3%であり、未解撚部が3個/m、嵩高部の長さが293mm、嵩高部の長さ変動係数CV値が0.17、嵩高部に突出部を有し、嵩高部10cm中に糸軸表面から突出する幅0.1mm以上5mm以下、高さ0.01mm以上0.5mm以下の微細突出部を41個、幅0.2mm以上3mm以下、高さ0.02mm以上0.3mm以下の微細突出部を38個、幅0.4mm以上1.5mm以下、高さ0.04mm以上0.2mm以下の微細突出部を33個有し、突出部が実質的にループを持たず、糸条Aの単繊維繊度は3.52dtex、糸条Bの単繊維繊度は4.11dtexであった。得られた織物は濃淡差の弱い杢感となり、化繊調の表面感を有し、表面の微細な突出部が少なく、硬くかさつきを感じる風合いとなった。
紡糸速度3500m/minで製造した265dtex48fのポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸条A(引っ張り強度2.77cN/dtex、伸度125.5%)と紡糸速度3500m/minで製造した310dtex48fのカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸条B(引っ張り強度2.49cN/dtex、伸度140.1%)を図1の製造工程に従い、表1の条件で仮撚加工を行い、総繊度380dtex96fの複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸を実施例1と同様の設計で織物を作製し、実施例2と同様の条件で加工工程を通し、実施例1と同様の方法で物性を評価した。得られた織物から分解した複合仮撚糸の糸長差は3.3%であり、未解撚部が3個/m、嵩高部の長さが293mm、嵩高部の長さ変動係数CV値が0.17、嵩高部に突出部を有し、嵩高部10cm中に糸軸表面から突出する幅0.1mm以上5mm以下、高さ0.01mm以上0.5mm以下の微細突出部を41個、幅0.2mm以上3mm以下、高さ0.02mm以上0.3mm以下の微細突出部を38個、幅0.4mm以上1.5mm以下、高さ0.04mm以上0.2mm以下の微細突出部を33個有し、突出部が実質的にループを持たず、糸条Aの単繊維繊度は3.52dtex、糸条Bの単繊維繊度は4.11dtexであった。得られた織物は濃淡差の弱い杢感となり、化繊調の表面感を有し、表面の微細な突出部が少なく、硬くかさつきを感じる風合いとなった。
[実施例3、4]
実施例1、2で得られた織編物を針布起毛加工により起毛処理した。得られた織物は均一に起毛がかかり、毛先の流れが確認できる布帛表面感を有し、毛羽のようなヌメリの強さを感じる風合いが得られた。
実施例1、2で得られた織編物を針布起毛加工により起毛処理した。得られた織物は均一に起毛がかかり、毛先の流れが確認できる布帛表面感を有し、毛羽のようなヌメリの強さを感じる風合いが得られた。
[比較例7、8]
実施例3,4で得られた織編物を針布起毛加工により起毛処理した。得られた織物は不均一に起毛がかかり、毛先の流れが確認できない布帛表面感を有し、毛羽のようなヌメリがあるように感じる風合いが得られた。
実施例3,4で得られた織編物を針布起毛加工により起毛処理した。得られた織物は不均一に起毛がかかり、毛先の流れが確認できない布帛表面感を有し、毛羽のようなヌメリがあるように感じる風合いが得られた。
1:糸条A
2:糸条B
3:ガイド
4:第一フィードローラー
5:インターレースノズル
6:第二フィードローラー
7:熱ピン
8:第三フィードローラー
9:ヒーター
10:ツイスター
11:第四フィードローラー
12:ポリエステル複合仮撚糸
13:巻取りローラー
21:未解撚部
22:突出部
23:嵩高部
31:クルノーダル状ループ
41:矢印
51: 糸軸表面線
2:糸条B
3:ガイド
4:第一フィードローラー
5:インターレースノズル
6:第二フィードローラー
7:熱ピン
8:第三フィードローラー
9:ヒーター
10:ツイスター
11:第四フィードローラー
12:ポリエステル複合仮撚糸
13:巻取りローラー
21:未解撚部
22:突出部
23:嵩高部
31:クルノーダル状ループ
41:矢印
51: 糸軸表面線
Claims (6)
- 芯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条Aと鞘糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条Bがそれぞれ太細斑を有し、糸長差が4%以上15%以下、未解撚部が5個/m以上120個/m以下、嵩高部の長さが0.5mm以上150mm以下、嵩高部の長さの変動係数がCV値0.5以上であり、嵩高部に突出部を有するポリエステル複合仮撚糸。
- 前記ポリエステルマルチフィラメント糸条Bがカチオン可染ポリエステルである請求項1に記載のポリエステル複合仮撚糸。
- 前記ポリエステルマルチフィラメント糸条Aの単繊維繊度が1.2dtex以上、前記ポリエステルマルチフィラメント糸条Bの単繊維繊度が1.8dtex以上である請求項1または請求項2に記載のポリエステル複合仮撚糸。
- 嵩高部10cm中に糸軸表面から突出する幅0.1mm以上5mm以下、高さ0.01mm以上0.5mm以下の突出部を50個以上200個以下有し、突出部が実質的にループを持たない請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル複合仮撚糸。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル複合仮撚糸を30質量%以上含む織編物。
- 織編物に起毛加工が施されている請求項5に記載の織編物。
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