JP2004197231A - ポリエステル混繊糸 - Google Patents

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Abstract

【課題】高級梳毛感があり、高いストレッチ性を有し、しかもノングリッター効果に優れた布帛を得ることができるポリエステル混繊糸を提供する。
【解決手段】いずれも少なくとも1種類のポリエステルからなり、互いに熱収縮率の異なる2種類の繊維を混繊交絡してなる混繊糸で、低収縮繊維を、沸水収縮率が0.5〜8.0%である潜在捲縮性繊維とし、高収縮繊維を、沸水収縮率が10%以上、沸水処理後の捲縮率が1.5%以上である潜在捲縮性繊維とし、該低収縮繊維、該高収縮繊維、該混繊糸のいずれも仮撚加工されていないポリエステル混繊糸とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱収縮率の異なるポリエステル繊維からなる混繊糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高級梳毛調布帛のような繊細で上品な手触り感、ふくらみ感が得られるポリエステル繊維として、例えば、特許文献1〜3などには、混繊仮撚加工法を用いた仮撚2層構造糸が提案されている。しかしながら、これらの仮撚2層構造糸からなる布帛には、仮撚加工糸独特のテカリ、いわゆるグリッターが発現するため、染色後の深色感に欠けるといった問題がある。
【0003】
一方、かかる高級梳毛調布帛をさらに活動しやすい衣料、例えば、カジュアルウェアー、スポーティーウェアーなどにも展開できるよう優れたストレッチ性を付与したいといった市場の要求がある。しかしながら、上記の仮撚2層構造糸からなる布帛では十分なストレッチが得られないため、用途展開で限界がある。
【0004】
【特許文献1】
特公昭61−19733号公報
【0005】
【特許文献2】
特公昭61−20662号公報
【0006】
【特許文献3】
特開平2−139440号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、高級梳毛感があり、高いストレッチ性を有し、しかもノングリッター効果に優れた布帛を得ることができるポリエステル混繊糸を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、収縮率の異なる2種類の潜在捲縮繊維同士を巧みに組合せたとき、従来技術にあるような仮撚加工法を用いなくても、極めて高級梳毛感やストレッチ性に優れた混繊糸が得られることを見出した。
【0009】
かくして、本発明によれば、いずれも少なくとも1種類のポリエステルからなり、互いに熱収縮率の異なる2種類の繊維を混繊交絡してなる混繊糸であって、低収縮繊維が、熱水収縮率が0.5〜8.0%である潜在捲縮性繊維であり、高収縮繊維が、沸水収縮率が10%以上、沸水処理後の捲縮率が1.5%以上である潜在捲縮性繊維であり、該低収縮繊維、該高収縮繊維、該混繊糸のいずれも仮撚加工されていないことを特徴とするポリエステル混繊糸が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル混繊糸は、いずれも少なくとも1種類のポリエステルからなり、互いに熱収縮率の異なる2種類の繊維からなる混繊糸である。
上記2種類の繊維、つまり、低収縮繊維および高収縮繊維を構成するポリエステルとしては、例えば、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、主たる繰返し単位がトリメチレンテレフタレートであるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル、又は主たる繰返し単位がブチレンテレフタレートであるポリブチレンテレフタレート系ポリエステルなどが挙げられるが、特に主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート系ポリエステルが好ましい。
【0011】
なお、上記のポリエチレンテレフタレート系、ポリトリメチレンテレフタレート系、またはポリブチレンテレフタレート系ポリエステルは、必要に応じて少量(通常、全酸成分に対して20モル%未満)の共重合成分を有していてもよく、例えば共重合可能な酸成分としては、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などを挙げることができ、また、ジオール成分としては上記の繰り返し単位を形成しているグリコール成分以外のエチレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、さらには、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができる。
【0012】
また、上記ポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤などが配合されていてもよい。
【0013】
本発明において、低収縮繊維および高収縮繊維は、いずれも潜在捲縮性繊維であり、例えば、1種類のポリエステルを紡糸する際、口金下で溶融吐出した糸条に異方冷却を施した繊維であってもよいし、2種類のポリエステルをサイドバイサイド型、偏心芯鞘型に複合化した複合繊維であってもよい。
【0014】
前者の異方冷却を施した繊維の場合、これを構成するポリエステルは、前述したポリエステルの中から選ぶことができる。また、後者の複合繊維の場合、これを構成するポリエステルの組合せとしては、前述のポリエステルのうち異なるポリエステルの組合せであってもよいし、同じポリエステルであっても固有粘度が互いに異なるポリエステルの組合せであってもよい。
【0015】
本発明において、低収縮繊維としては、2種類のポリエステルをサイドバイサイド型、偏心芯鞘型に複合化した複合繊維であることが好ましく、中でも、イソフタル酸を全酸成分を基準として8〜15モル%共重合したポリエチレンテレフタレートと、実質的に共重合成分を含まないポリエステルとを上記のように複合化した複合繊維であることが好ましい。かかる複合繊維からは、より柔らかく繊細な感触の布帛が得られる。
【0016】
また、上記複合繊維を構成するポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノール溶媒を使用し、温度30℃で測定)としては、製糸安定性や潜在捲縮の発現のしやすさなどから、低収縮成分が0.50〜1.0の範囲、高収縮成分が0.35〜0.55の範囲、その差が0.15以上であることが好ましい。
【0017】
さらに、後で低収縮繊維の製造方法については詳述するが、低収縮繊維が上記のような複合繊維の場合、該複合繊維は、溶融紡糸において引取速度2000〜4000m/minで引取り、これに弛緩熱処理を施した複合繊維であることが好ましい。かかる複合繊維を用いたとき、より柔らかく繊細な感触を有する高級梳毛感に優れた布帛が得られる。
【0018】
本発明においては、低収縮繊維の沸水収縮率が0.5〜8.0%、好ましくは2.0〜6.0%である必要がある。沸水収縮率が0.5%未満の場合は、本発明の目的とする高級梳毛感が得られない。一方、沸水収縮率が8.0%を越える場合は、後述する高収縮繊維との収縮差が小さくなり、優れた高級梳毛感やストレッチ性が得られない。
【0019】
一方、高収縮繊維としては、2種類のポリエステルをサイドバイサイド型、偏心芯鞘型に複合化した複合繊維であることが好ましく、中でも固有粘度の異なるポリエチレンテレフタレートを上記のように複合化した複合繊維が好ましい。
【0020】
本発明において、高収縮繊維は、沸水収縮率が10%以上、好ましくは10〜50%、より好ましくは10〜40%である必要がある。上記沸水収縮率が10%未満では、高いストレッチ性が得られない。また、低収縮繊維の収縮率との差が十分なものとならず、優れた高級梳毛感も得られない。
【0021】
また、本発明においては、高収縮繊維の沸水処理後の捲縮率を1.5%以上とする必要がある。捲縮率が1.5%未満では、十分なストレッチ性や高級梳毛感が得られない。
【0022】
本発明においては、上記の低収縮繊維と高収縮繊維とを混繊交絡して混繊糸とし、これを熱処理して、高収縮繊維が主に芯部に、低伸度繊維が主に鞘部に配された構造とすることができる。しかも、芯部と鞘部では、低収縮繊維と高収縮繊維の収縮率の違いからそれぞれクリンプの向きや周期の異なった捲縮となって現れ、しかもそれらの異なった捲縮が混繊糸の芯部と鞘部でそれぞれ発現するため、2段の捲縮構造が形成される。この2段捲縮構造が、高級梳毛感を布帛にもたらし、同時に十分なストレッチ性が発現する。また、前述した低収縮繊維が鞘部に配されることによって、従来にない極めて優れた高級梳毛感が得られることがわかった。
【0023】
本発明においては、低収縮繊維の単繊維繊度が0.05〜3.5dtex、高収縮繊維の単糸繊度が0.55〜15.0dtexであることが好ましい。また、低収縮繊維の単糸繊度が、高収縮繊維の単繊維繊度より低いことが好ましく、その差が、0.5dtex以上であることが好ましく、より好ましくは1.0dtex以上である。かかる繊度の差とすることにより、芯部と鞘部とでクリンプの大きさの異なる捲縮が発現して明瞭な2段捲縮構造が形成され、また、より繊細な感触となり高級梳毛感に優れた布帛が得られる。
【0024】
本発明の混繊糸は、高収縮繊維と低収縮繊維とが混繊交絡してなる混繊糸であるが、交絡数があまり低いと高収縮繊維と低収縮繊維との絡みが不十分となって布帛表面が粗野な外観となりやすく、逆に高くなり過ぎると繊維間空隙が減少し、布帛のふくらみが不十分なり、高級梳毛感が得られにくくなる。このため、交絡数は10〜90個/mの範囲が好ましく、より好ましくは15〜50個/mの範囲である。
【0025】
本発明の混繊糸は、上述した高収縮繊維及び低収縮繊維を混繊交絡してなるものであり、従来のような仮撚加工の工程を経ずに製造できるものである。このため、本発明の混繊糸からは、仮撚加工時に繊維断面が変形することにより生じるグリッターやテカリのない、いわゆる、ノングリッター効果に優れた布帛を得ることができる。
【0026】
本発明において、低収縮繊維および高収縮繊維の単繊維断面形状は特に制限されないが、ノングリッター効果を得るためには、仮撚加工糸のように潰れて変形した断面は好ましくない。
【0027】
以上に説明した本発明のポリエステル混繊糸は、例えば以下の方法でより製造することができる。
【0028】
低収縮繊維は、ペレット状となした2種類のポリエステルを常法で乾燥し、スクリュウ押出機を備えた通常の溶融紡糸設備で溶融し、サイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型に複合紡糸し、冷却し、適切な油剤を付与し、延伸することなく引取速度2000〜4000m/minで引取って潜在捲縮性複合繊維とする。引取速度を4000m/minを越える場合は、後述する弛緩熱処理を施して複合繊維の沸水収縮率を0.5〜8.0%に調節するのが難しくなり、高級梳毛感を有する布帛が得られ難くなる傾向にある。一方、引取速度が2000m/min未満の場合には、得られる複合繊維が脆弱となり易く、混繊糸とする際の取扱い性が悪くなる。
【0029】
このような収縮率差を内在する潜在捲縮性複合繊維においては、上記範囲の紡糸速度で引取った複合繊維を、熱処理条件を調整して弛緩熱処理することにより、沸水収縮率を0.5〜8.0%の低収縮糸を得ることができる。例えば、引取られた複合繊維を一旦巻き取った後、少なくとも2個の回転ローラー間にヒーターを設置した熱処理装置に通し、弛緩熱処理を施し、沸水収縮率0.5〜8.0%の低収縮繊維とする。上記ヒーターは非接触タイプが工程通過性の面で好ましい。この際、弛緩率は、前述の紡糸速度などによっても異なるが、1〜45%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜10%の範囲である。弛緩率が1%未満の場合は、収縮率が8%よりも高くなりやすい。一方、弛緩率が45%を超える場合には、弛緩熱処理中に走行糸条がローラーに巻きつくことが多くなる。
【0030】
この際、ヒーター温度は180〜280℃が好ましく、より好ましくは200〜260℃の範囲である。ヒーター温度が180℃未満の場合には、沸水収縮率が10%を越えやすくなる。一方、ヒーター温度が280℃を超える場合には、ヒーター付近で断糸が発生しやすくなる。
【0031】
一方、高収繊維は、前述したように、異方冷却を施した繊維でも、サイドバイサイド型、偏心芯鞘型繊維のような複合繊維でもかまわない。
【0032】
前者の異方冷却を施した繊維の場合は、ポリエステルペレットを公知の紡糸口金から溶融吐出し、500〜2000m/分で引取り、必要に応じて延伸を行うことに得ることができる。その際、紡糸口金直下で、吐出糸条に対して垂直に5〜30℃の冷却風を吹き当てることによって製造することができる。なお、延伸は、一旦未延伸繊維を巻き取った後、別に行ってもよいし、未延伸繊維を紡糸引取り後、連続して行ってもよい。
【0033】
後者の複合繊維の場合は、次の方法により高収縮糸を得ることができる。2種類の異なるポリエステルペレットを公知の複合紡糸口金から溶融紡出し、1000〜4000m/minで巻き取った後、得られた未延伸糸を延伸する。この際、未延伸糸をこのように一旦巻き取らず、紡糸後直接延伸を行ってもよい。
【0034】
延伸・熱セットは、延伸温度を30〜100℃の範囲、熱セット温度を140〜280℃の範囲で行うのが好ましい。予熱温度が30℃未満の場合は、不均一な延伸となり、品質斑の多い繊維となりやすい。一方、予熱温度が100℃を超える場合は、ローラー上での糸揺れが大きくなり糸斑が大きいなど、紡糸性が不安定となる傾向にある。また、延伸セット温度が140℃未満の場合は、延伸が安定して行えず、延伸斑が発生し、毛羽や染色斑が発生しやすくなる。一方、延伸セット温度が280℃を超える場合は、熱セット中に断糸が発生しやすくなる。
【0035】
延伸倍率は紡糸速度によって異なるが、延伸後の高収縮繊維の伸度が25〜65%となるように設定するのが好ましい。伸度が25%未満となるような延伸倍率に設定すると、延伸での断糸、毛羽が多くなる。逆に伸度が65%を超えるような延伸倍率に設定すると、得られる高収縮繊維にマルチフィラメントに未延伸が見られることが多く好ましくない。
【0036】
このようにして得られた、低収縮繊維と高収縮繊維とを引き揃え、1〜5%のオーバーフィードを掛けつつ、公知のインターレースノズルを用いて、交絡度が15〜90個/mとなるようにノズル圧空圧を調整し、混繊交絡して、本発明のポリエステル混繊糸を得ることができる。
【0037】
得られたポリエステル混繊糸は、製織または製編され、一般的に行われる、精練、染色、仕上げ加工処理を経て、潜在捲縮が発現し、高級梳毛感、ストレッチ性、ノングリッター効果に優れた織編物とすることができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
【0039】
(1)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
【0040】
(2)沸水収縮率(%)
JIS L1013 8.18.1 B法に準じて測定した。
【0041】
(3)捲縮率
1225/2500mN×9×表示テックス(50mg×表示デニール)の張力をかけてカセ枠に巻取り、約3300dtex(3000de)のカセを作る。カセ作製後、カセの一端に49/2500mN×9×表示テックス+49/25mN×9×表示テックス(2mg×表示デニール+200mg×表示デニール)の荷重を付加し1分間経過後の長さL0(cm)を測定する。次いで、49/25mN×9×表示テックス(200mg×表示デニール)の荷重を除去した状態で、100℃の沸騰水中にて20分間処理する。沸水処理後49/2500mN×9×表示テックス(2mg×表示デニール)の荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥する。自然乾燥した試料に再び49/2500mN×9×表示テックス+49/25mN×9×表示テックス(2mg×表示デニール+200mg×表示デニール)の荷重を付加し、1分間経過後の長さL1(cm)を測定する。次いで、49/25mN×9×表示テックス(200mg×表示デニール)の荷重を除去し、1分間経過後の長さL2を測定し、次の全捲縮率を算出した。なお、測定は10回行い、その平均値を求めた。
捲縮率(%)=[(L1−L2)/L0]×100
【0042】
(4)交絡度(ケ/m)
JIS L1013 8.15 に準じて測定した。
【0043】
(5)ストレッチ率
5cm×20cmの試験片を、自動記録装置付き引張試験機を用いて初荷重20gをかけてつかみ間隔が10cmになるように試験片をつかみ、引張速度30cm/minで1.5kg定荷重まで伸ばした後、直ちに同速度でもとの位置に戻し、荷重―伸長曲線を描く。ストレッチ率は、上記の1.5kg定荷重まで伸ばした後、直ちに同速度でもとの位置に戻す寸前の、伸長距離をLcm(0.01cmまで)とするとき、次式で表わされる。
ST=[L/10]×100(%)
【0044】
(6)高級梳毛感、ノングリッター効果
混繊糸を経192本/3.79cm、緯144本/3.79cmの綾織物に製織し、青色に染色し、熟練者5名により、高級梳毛感(柔らかく繊細な感触、膨らみ感)、ノングリッター効果を評価した。その結果を、良好、不良で示した。
【0045】
[実施例1]
イソフタル酸が全酸成分を基準として10モル%共重合された固有粘度が0.63のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルと、固有粘度が0.43のポリエチレンテレフタレートとを、複合重量比50/50でサイドバイサイド型に複合溶融紡糸(溶融紡糸温度:280℃、溶融粘度差:70Pa・sec)し、捲取速度3000m/分で巻き取った後、延伸倍率1.6倍、延伸速度600m/分、延伸温度90℃、熱セット温度230℃として延伸、熱セットし、110デシテックス24フィラメントの高収縮繊維を得た。
【0046】
一方、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートと、固有粘度0.43のポリエチレンテレフタレートとを、複合重量比50/50でサイドバイサイド型に複合溶融紡糸(溶融紡糸温度:285℃、溶融粘度差:70Pa・sec)し、捲取速度3000m/分で巻き取った後、70デシテックス24フィラメントの複合繊維を得た。得られた複合繊維を、230℃(弛緩熱処理温度)に設定した非接触型スリットヒーターに通し、弛緩率3.5%、通過速度400m/分にて弛緩熱処理を施し低収縮繊維とし、前記の高収縮繊維と合わせてインターレースノズルの圧空圧0.2MPaにて混繊交絡処理を施し捲き取った。得られた混繊糸は183デシテックス48フィラメント、交絡度は35ヶ/mであった。
【0047】
得られた混繊糸のうち、低収縮繊維の沸水収縮率、高収縮繊維の沸水収縮率と捲縮率は表1のとおりであった。
【0048】
上記混繊糸を製織し、風合いを評価した結果、ストレッチ性、ノングリッター効果に優れ、繊細な感触および適度なふくらみがあり高級梳毛感に優れていた。
【0049】
[実施例2]
高収縮繊維を製造する際の熱セット温度を230℃から250℃に、低収縮繊維を製造する際の弛緩率を3.5%から6%に変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価結果を表1に示す。
【0050】
[実施例3]
高収縮繊維を製造する際の熱セット温度を230℃から150℃に、低収縮繊維を製造する際の弛緩率を3.5%から8%に変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価結果を表1に示す。
【0051】
[比較例1]
低収縮繊維を製造する際の弛緩率を3.5%から12%に変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価結果を表1に示す。
【0052】
[比較例2]
低収縮繊維を製造する際の弛緩率を3.5%から0%に変更した以外は、実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価結果を表1に示す。
【0053】
[比較例3]
低収縮繊維として、複合繊維ではなく、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸温度280℃、紡糸速度3200m/分で捲き取った繊維を用いた以外は実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価の結果、混繊糸の鞘の部に捲縮の発現が見られず、高級梳毛感に欠ける結果となった。
【0054】
[比較例4]
高収縮繊維を構成するポリエステルのうち、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを、固有粘度を0.55のポリエチレンテレフタレートに変更した以外は実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価の結果、芯糸である高収縮繊維の捲縮率が不十分であるのため混繊糸が2段捲縮構造を構成せず、高級梳毛感、ストレッチ性ともに低いものであった。
【0055】
[比較例5]
低収縮繊維を製造する際、該繊維に仮撚加工を施すこと以外は実施例1と同様にして混繊糸を得た。評価の結果、仮撚加工糸独特のテカリが布帛に見られ、ノングリッター効果に欠ける結果となった。
【0056】
【表1】
Figure 2004197231
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、高級梳毛調の繊細で上品な手触り感、ふくらみ感を発現でき、ストレッチ性が高く、しかもノングリッター効果に優れた布帛が得られる混繊糸を提供することができる。

Claims (5)

  1. いずれも少なくとも1種類のポリエステルからなり、互いに熱収縮率の異なる2種類の繊維を混繊交絡してなる混繊糸であって、低収縮繊維が、沸水収縮率が0.5〜8.0%である潜在捲縮性繊維であり、高収縮繊維が、沸水収縮率が10%以上、沸水処理後の捲縮率が1.5%以上である潜在捲縮性繊維であり、該低収縮繊維、該高収縮繊維、該混繊糸のいずれも仮撚加工されていないことを特徴とするポリエステル混繊糸。
  2. 低収縮繊維が、2種類のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合化された潜在捲縮性複合繊維である請求項1記載のポリエステル混繊糸。
  3. 低収縮繊維が、溶融紡糸において引取速度2000〜4000m/minで引取り、これに弛緩熱処理を施した潜在捲縮性複合繊維である請求項2記載のポリエステル混繊糸。
  4. 高収縮繊維が、2種類のポリエステルがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合化された潜在捲縮性複合繊維である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル混繊糸。
  5. 低収縮繊維よりも高収縮繊維の繊度が大きく、低収縮繊維、高収縮繊維の単繊維繊度がそれぞれ0.05〜3.5dtex、0.55〜15.0dtexであり、その繊度差が0.5dtex以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル混繊糸。
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