JP2005290320A - ポリカーボネート系樹脂成形体の製造方法および成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一般式(I)で表される繰り返し単位(a)、及び(II)で表される繰り返し単位(b)を有し、一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量{〔b/(a+b)〕×100}が1〜30質量%、粘度数が30〜71であり、280℃での流れ値(Q値)が30×10-2mL/s以上であるポリカーボネート共重合体、又は該ポリカーボネート共重合体と他のポリカーボネート樹脂との混合物を含むポリカーボネート系樹脂組成物を、超音波振動を付与しながら成形するポリカーボネート系樹脂成形体の製造方法及び該製造方法で得られた成形体である。
【化1】
【選択図】 なし
Description
一方、ポリカーボネートの射出圧縮成形において、金型の全体又は一部に超音波を付与することで、得られる成形品の複屈折を低減し、型転写性を向上させることも知られている(例えば、特許文献2〜5参照)。しかし、この方法でも、ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)が高いこともあって、高精度が求められるレンズ等の肉厚光学製品を前記の超音波を付与した射出圧縮成形だけで製造することは困難である。
また、成形材料にシクロオレフィンポリマーを用いると、複屈折の低減には効果があるが、耐衝撃性が低く脆いため、複雑な形状を持つ成形品には適さないなどの課題がある。
すなわち、本発明は、以下のポリカーボネート系樹脂成形体の製造方法およびポリカーボネート系樹脂成形体を提供するものである。
(1). (A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位(a)、及び(II)で表される繰り返し単位(b)を有し、一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量{〔b/(a+b)〕×100}が1〜30質量%、粘度数が30〜71であり、280℃での流れ値(Q値)が30×10-2mL/s以上であるポリカーボネート共重合体、又は該ポリカーボネート共重合体と他のポリカーボネート樹脂との混合物を含むポリカーボネート系樹脂組成物を、超音波振動を付与しながら成形を行うことを特徴とするポリカーボネート系樹脂成形体の製造方法。
(2). 上記ポリカーボネート系樹脂組成物が、(A)上記ポリカーボネート共重合体、又は上記ポリカーボネート共重合体と他のポリカーボネート樹脂との混合物100質量部と、(B)分子量が200〜100,000のアクリル系樹脂0.01〜1.0質量部とを含む(1)のポリカーボネート系樹脂成形体の製造方法。
(3). ポリカーボネート系樹脂組成物が、さらに、(C)脂環式エポキシ化合物0.01〜1.0質量部及び/又は(D)アルコキシ基、ビニル基及びフェニル基から選ばれる一種以上を有するポリシロキサン化合物0.01〜1.0質量部を含む(2)のポリカーボネート系樹脂成形体の製造方法。
(4).(1)〜(3)のいずれかの製造方法で得られたポリカーボネート系樹脂成形体。
(5). 最大肉厚と最小肉厚の厚み比が1.1以上である(4)のポリカーボネート系樹脂成形体。
この(A)成分のPC共重合体は、二価フェノールとフェノール変性ジオールとを界面重合法によって共重合させることにより得られ、下記一般式(I)及び(II)で表される繰り返し単位を有するものである。
Xは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチリレン基、ヘキシレン基など)、炭素数2〜8のアルキリデン基(例えばエチリデン基、イソプロピリデン基など)、炭素数5〜15のシクロアルキレン基(例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基(例えばシクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基など)、−S−、−SO−、−SO2 −、−O−、−CO−結合又は下記式(III−1)もしくは下記式(III−2)で表される結合を示す。
PC共重合体を製造する際に上記の二価フェノールと共重合させるフェノール変性ジオールは、下記一般式(IIa)で表される化合物である。
R3 およびR4 で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。R3 が複数ある場合、複数のR3 は互いに同一でも異なっていてもよく、R4 が複数ある場合、複数のR4 は互いに同一でも異なっていてもよい。Yで示される炭素数2〜15の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基及びイソペンチレン基などのアルキレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基及びイソペンチリデン基などのアルキリデン残基が挙げられる。nは2〜200であることが好ましく、より好ましくは6〜70である。
また、酸塩化物の代表例としてはヒドロキシ安息香酸とホスゲンから得られるものが代表例である。より具体的には特許2652707号公報等に記載の方法により得ることができる。ヒドロキシ安息香酸又はそのアルキルエステルはパラ体、メタ体、オルト体のいずれでも良いが、共重合反応の面からはパラ体が好ましい。オルト体は水酸基に対する立体障害のため共重合の反応性に劣るおそれがある。
PC共重合体において、フェノール変性ジオールの共重合量を増やせば流動性は改善されるが耐熱性が低下する。従って、フェノール変性ジオールの共重合量は所望の流動性と耐熱性のバランスにより選択することが好ましい。フェノール変性ジオール共重合量が40質量%を超えると特開昭62−79222号公報に示されるように、エラストマー状となり、一般のPC樹脂と同様の用途への適用ができなくなるおそれがある。100℃以上の耐熱性を保持するにはPC共重合体中に含まれるフェノール変性ジオール残基の量は、本発明においては1〜30質量%であることを要し、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
(A)成分のPC共重合体は、280℃における流れ値(Q値)が30×10-2mL/s以上であり、40×10-2mL/s以上であることが好ましい。流れ値(Q値)とは、JIS K7210に準拠し、高架式フローテスターで測定した溶融粘度であり、流れ値(Q値)が30×10-2mL/s以上であると、PC共重合体の溶融粘度が高くなりすぎることがない。後述するPC混合物、PC系樹脂組成物においても同様の流れ値(Q値)であることが好ましい。
上記のPC共重合体に混合する他のPC樹脂としては、市販されているPC樹脂を用いることができる。他のPC樹脂の配合量は、本発明の効果を損なわない点から、PC共重合体100質量部に対し300質量部以下が好ましく、10〜200質量部がより好ましい。
(B)成分のアクリル系樹脂の分子量は200〜100,000であり、好ましくは20,000〜60,000である。分子量が200〜100,000であると、成形時に、PC共重合体及び他のPC樹脂と、アクリル系樹脂間の相分離が速くなりすぎることがないので、成形品において十分な透明性が得られる。ポリメタクリル酸メチル(PMMA)としては公知のものを使用することができるが、通常、過酸化物、アゾ系の重合開始剤の存在下、メタクリル酸メチルモノマ−を塊状重合して製造されたものが好ましい。
アクリル系樹脂の配合量は、(A)成分のPC共重合体、又は該PC共重合体に他のPC樹脂を混合したPC混合物100質量部に対し、0.01〜1.0質量部であり、好ましくは0.05〜0.5質量部、より好ましくは0.1〜0.3質量部である。アクリル系樹脂の配合量が0.01質量部以上であると成形品の透明性が向上し、1.0質量部以下であると、他の所望物性を損なうことなく透明性を保持することができる。
成形法は、射出成形、射出圧縮成形、押出成形などの金型やダイスを用いて行う成形法の全てに適用できる。
射出成形する場合、シリンダー温度を230〜320℃、金型温度を50〜120℃にして行うのが好ましい。高い透明性を得るにはポリカーボネートとアクリル系樹脂の相分離の発生防止の点から、急冷することが好ましく、金型温度を低めに設定するのが好ましい。プリズム転写を行う場合は、成形温度を300℃、金型温度を100〜120℃にするのがさらに好ましい。
成形装置としては、例えば光学用レンズを製造する場合には、図1および図2に示す構造の超音波射出成形装置が用いられる。この射出成形装置では、図1(立面図)に示すように、金型はレンズ製品2個取りキャビティで構成されており、図2(側面図)に示すように、キャビティに振動子より超音波が印加できるような構造となっている。また、射出圧縮仕様になっており、キャビティ部のみ圧縮される構造となっている。キャビティ形状に特に制限はないが、眼鏡レンズなどの肉厚のレンズ形状などが好ましい。
なお、本発明の製造方法は、光学用レンズ以外の用途に適用しても構わないが、成形体の最大肉厚と最小肉厚の厚みの比が1.1倍以上、好ましくは2倍以上、特に好ましくは5〜20倍となる成形体の製造に適用することが好ましい。前記肉厚比が大きいと、冷却歪が大きくなりやすいため、本発明の優位性が、従来技術より顕著に発現しやすい。
超音波振動の最大振幅は、金型を構成する材料の疲労強度で決定される、例えばSUS系の材料で金型を構成している場合には、最大振幅20μm程度、ジュラルミンでは40μm程度、チタン合金では100μm程度である。
超音波振動の振動モードは、材料に所定の振動(振幅及び振動数)を付与することができるものであれば良く、縦振動、横振動、径振動、ねじれ振動のいずれか、又はこれらの振動からなる複合振動でもよい。
超音波発信器としては、例えば特開平11−262938号公報などに記載のものを用いることができる。
さらに、大きな超音波振動を振動体に付与するために、公知の超音波出力合成器を用いることもできる。例えば、振動特性を損なわないように多角形(八角形以上)に形成した振動板の各辺に超音波振動子を接合し、これら超音波振動子を同一位相で振動させ、その出力を中央部に集めて、中央部に設けた共振棒から振動体に振動を付与するようにすると良い。
本発明はまた、この本発明の製造方法によって得られたポリカーボネート系樹脂成形体をも製造する。本発明の成形体は、光学成形体として、特に眼鏡レンズなどに好適に用いられる。
なお、実施例におけるPC系樹脂組成物の物性測定およびレンズの歪の判定は以下のように行った。
(1)粘度数(VN)の測定
ISO 1628−4(1999)に準拠して測定した。
(フェノール変性ジオールカーボネート部の共重合量の測定)
共重合体の 1H−NMRを測定し、各プロトン(下線部)を以下のように帰属した。
δ1.4−1.9:BPAのCH 3 、−O−CH2 −CH 2 −CH 2 −CH2 −
δ3.3−3.5:−O−CH 2 −CH2 −CH2 −CH 2 −
δ4.3−4.4:−CO−O−CH 2 −CH2 −CH2 −CH2 −
それぞれの積分値から、上記一般式(II)で表されるフェノール変性ジオールカーボネート部と、上記一般式(I)で表されるBPAカーボネート部とのモル比を算出した後、質量換算し、算出した。その算出例を以下に示す。
<算出例>
δ1.4−1.9の積分値が858.6、δ3.3−3.5の積分値が118.7、δ4.3−4.4の積分値が10.21のとき、
繰返し数n=118.7÷10.21+1=12.6
BPA=[(858.6−118.7−10.21)/6]=121.6
フェノール変性ジオール=(10.21/4)=2.55
BPAカーボネート部のモル比は下記の計算により、97.9mol%である。
{[(858.6−118.7−10.21)/6]/〔(10.21/4 )+[(858.6−118.7−10.21)/6]〕}×100=97.9mol%
フェノール変性ジオールカーボネート部のモル比は下記の計算により、2.05mol%である。
{(10.21/4)/〔(10.21/4)+[(858.6−118.7−10.21)/6]〕}×100=2.05mol%
従って、フェノール変性ジオールカーボネート部の共重合量[質量%]は次式により8.9質量%となる。
{2.05×(136+120+12.6×72+12+16)÷(2.05×(136+120+12.6×72+12+16)+97.9×254)}×100=8.9質量%
ISO 11357に準拠して測定した。
(4)流れ値(Q値)の測定
高架式フローテスターを用い、JIS K7210により、280℃、15.7MPaの圧力下に、直径1mm、長さ10mmのノズルより流出する溶融樹脂量(mL/sec)を測定した。溶融粘度の低下とともに流れ値(Q値)は増加する。
(5)レンズの歪の判定
レンズの歪は、ヘイドン(HEIDON)社の歪計(Strain detector)を使用し、直交ニコル法により、目視で判定した。
判定基準は、歪計の透明窓での目視により、レンズの中心部半径35mm以内の領域において、次のように判定した。
×:全体にわたり著しく、濃く着色のあるもの。
Δ:着色は見られるが、着色程度が軽微なもの。
○:光学的に着色が見られないもの。
[ポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の合成]
窒素雰囲気下、ポリテトラメチレングリコール〔PTMG、Mn(数平均分子量)=1000〕100質量部とメチルp−ヒドロキシ安息香酸33.4質量部をジブチル錫オキシド0.5質量部の存在下で220℃で加熱し、メタノールを留去した。
反応系内を減圧にし、過剰のp−ヒドロキシ安息香酸メチルエステルを留去した。反応生成物5.0質量部を塩化メチレン30容量部に溶解した。この塩化メチレン溶液に8質量%炭酸水素ナトリウム水溶液10容量部を加え、20分間激しく混合した後、遠心分離により塩化メチレン相を採取した。塩化メチレン相を減圧下で濃縮し、フェノール変性ジオールであるポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)を得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により、ポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)中のp−ヒドロキシ安息香酸及びp−ヒドロキシ安息香酸メチルを、下記の方法により定量した結果、p−ヒドロキシ安息香酸は10質量ppm未満、p−ヒドロキシ安息香酸メチルは0.2質量%であった。
下記の条件のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により、標準品により作成した検量線に基づいて定量した。
カラム:GLサイエンス社製ODS−3
カラム温度:40℃で、
溶媒:0.5質量%リン酸水溶液とアセトニトリルの容量比1:2混合液
流速:1.0mL/分
(1)PCオリゴマー合成工程
濃度5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後に溶解するビスフェノールA(BPAと記す。)に対して2000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、ここにBPA濃度が13.5質量%になるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。内径6mm、管長30mの管型反応器に、上記BPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr及び塩化メチレンを15L/hrの流量で連続的に通すと共に、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器から送出された反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここに更にBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hrの流量で供給し、29〜32℃で反応を行った。槽型反応器から反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液は、オリゴマー濃度329g/L、クロロホーメート基濃度0.74mol/Lであった。
邪魔板、パドル型攪拌翼を備えた内容積50Lの槽型反応器に上記オリゴマー溶液7.5L、塩化メチレン4.7L、製造例1で得たポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)273g(PTMG鎖の数平均分子量(Mn)=1000)、トリエチルアミン4.4mLを仕込み、ここに6.4質量%水酸化ナトリウム水溶液1389gを攪拌下で添加し、10分間PCオリゴマーとポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の反応を行った。次いで、p−tert−ブチルフェノール(PTBP)の塩化メチレン溶液(PTBP92.9gを塩化メチレン0.3Lに溶解したもの)、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH266gと亜二チオン酸ナトリウム0.9gを水3.9Lに溶解した水溶液に、BPA443gを溶解したもの)を添加し、30分間重合反応を行った。希釈のため塩化メチレン30Lを加え10分間攪拌した後、PC共重合体を含む有機相と過剰のBPA及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。
このようにして得られたPC共重合体の塩化メチレン溶液を、その溶液に対して15容量%の量の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.2mol/L塩酸で順次洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.01μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたPC共重合体の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下100℃で乾燥した。NMRにより求めたポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)残基の量は4.5質量%であった。
また、得られたPC共重合体の粘度平均分子量は15000であった。
製造例2で得たPC共重合体69.8質量部とタフロンFN1500(商品名,出光石油化学(株)製 Bis−Aポリカーボネート,VN=39.5)を29.9質量部、ダイヤナールBR83(商品名,三菱レイヨン(株)製,アクリル系樹脂,分子量40,000)0.1質量部、KR511(商品名,信越シリコーン(株)製,メトキシ基及びビニル基を有するオルガノポリシロキサン)0.1質量部、セロキサイド2021P(商品名,ダイセル化学工業(株)製,脂環式エポキシ化合物)0.05質量部、アデカスタブPEP36(商品名,旭電化工業(株)製,リン系酸化防止剤)0.05質量部を配合し、ベント付き40mmφの押出機によって樹脂温度260℃で造粒し、ペレットを得た。得られたペレット(PC系樹脂組成物)の物性測定結果は以下の通りであった。
(1)粘度数(VN):39.6
(2)一般式(II)で表される繰返し単位の含有量:6.3質量%
(3)ガラス転移温度Tg:120℃
(4)流れ値(Q値):90×10-2mL/s
製造例3で得られたPC系樹脂組成物を材料として、図1および図2で示される金型を用いて射出圧縮成形法によりマイナスレンズを製造した。成形温度250℃、金型温度100℃の条件でレンズ径77mmφ、最大厚さ7mm、最小厚さ1.4mmのマイナスレンズを成形した。超音波発振器には精電舎電子工業(株)製SONOPET12000を使用し、周波数を19kHz,振幅を5μmとした。
得られたマイナスレンズの歪の判定結果は○であった。
実施例1において、材料としてポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製、タフロンA1500)を用いた他は、実施例1と同じ条件で成形を行った。タフロンA1500の分子量は、製造例3で得られたPC系樹脂組成物におけるPC共重合体の分子量とほぼ同じである。得られたマイナスレンズの歪の判定結果は×であった。
実施例1において、材料としてシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン(株)製、ゼノア1430R1)を用い、成形温度280℃、金型温度120℃とし、超音波印加を無とした他は、実施例1と同じ条件で成形を行った。得られたマイナスレンズの歪の判定結果は△であった。
以上から、本発明により、特定の繰り返し単位を特定量有し、かつ粘度数が特定の範囲にあるPC共重合体を含むポリカーボネート系樹脂組成物に超音波を付与しながら成形することによって、光学材料として現在多く使用されているシクロオレフィンポリマー(COP)以上の品質が得られることが分かる。
従って、本発明のポリカーボネート系樹脂成形体の製造方法は、薄肉で且つ高い転写性が求められる導光板の成形にも用いられるが、特に高精度が求められるレンズ等の肉厚光学製品の製造に好適に用いられる。
Claims (5)
- (A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位(a)、及び(II)で表される繰り返し単位(b)を有し、一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量{〔b/(a+b)〕×100}が1〜30質量%、粘度数が30〜71であり、280℃での流れ値(Q値)が30×10-2mL/s以上であるポリカーボネート共重合体、又は上記ポリカーボネート共重合体と他のポリカーボネート樹脂との混合物を含むポリカーボネート系樹脂組成物を、超音波振動を付与しながら成形を行うことを特徴とするポリカーボネート系樹脂成形体の製造方法。
- 上記ポリカーボネート系樹脂組成物が、(A)上記ポリカーボネート共重合体、又は上記ポリカーボネート共重合体と他のポリカーボネート樹脂との混合物100質量部と、(B)分子量が200〜100,000のアクリル系樹脂0.01〜1.0質量部とを含む請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂成形体の製造方法。
- 上記ポリカーボネート系樹脂組成物が、さらに、(C)脂環式エポキシ化合物0.01〜1.0質量部及び/又は(D)アルコキシ基、ビニル基及びフェニル基から選ばれる一種以上を有するポリシロキサン化合物0.01〜1.0質量部を含む請求項2に記載のポリカーボネート系樹脂成形体の製造方法。
- 請求項2又は3に記載の製造方法で得られたポリカーボネート系樹脂成形体。
- 最大肉厚と最小肉厚の厚み比が1.1以上である請求項4に記載のポリカーボネート系樹脂成形体。
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