JP4331050B2 - ポリカーボネート共重合体の成形方法 - Google Patents
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Description
しかし、これらのポリカーボネート系樹脂は流動性が低いため転写不足や、薄肉成形が出来にくいという問題がある。そこで、同出願人は、流動性の改良された新規なポリカーボネート共重合体を提案した(特願2004−058462号明細書)。
しかしながら、該ポリカーボネート共重合体は、製品の薄肉化等は可能であるが、従来の成形方法では、上市されているポリカーボネート系樹脂材料と同様に、ウエルド、しぼなどの外観が改良されないという問題がある。
外観改良のために、従来のポリカーボネート系樹脂を用いて、金型温度を樹脂のガラス転移温度(Tg)付近に挙げて射出し、その後急速に冷却する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜8参照)。しかし、従来のポリカーボネート系樹脂はガラス転移温度が150℃付近と高いために、金型を加熱冷却するのに時間を要し、成形サイクルが長くなるという問題があった。
すなわち、本発明は、
(1).式(I)及び(II)
(2).一般式(II)において、Yが、−CH2−CH2−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−CH(CH3)−及び−CH2−CH2−CH2−から選ばれる一種以上である上記(1)のポリカーボネート共重合体の成形方法、及び
(3).上記(1)又は(2)の成形方法で得られた成形品、
を提供するものである。
〔ポリカーボネート共重合体(A)〕
本発明の成形方法に成形材料として用いられるポリカーボネート共重合体(A)は、フェノール変性ジオール共重合ポリカーボネートであり、界面重合法と呼ばれる慣用の製造方法により製造することができる。すなわち、二価フェノール、フェノール変性ジオール及びホスゲン等のカーボネート前駆体を反応させる方法により製造することができる。具体的には、例えば、塩化メチレンなどの不活性溶媒中において、公知の酸受容体や分子量調節剤の存在下、更に必要により触媒や分岐剤を添加し、二価フェノール、フェノール変性ジオール及びホスゲン等のカーボネート前駆体を反応させる。
当該ポリカーボネート共重合体(A)は(以下PC共重合体ということがある)、後述する二価フェノールとフェノール変性ジオールとを界面重合法によって共重合させることにより得らることができ、下記一般式(I)及び(II)
Xは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチリレン基、ヘキシレン基など)、炭素数2〜8のアルキリデン基(例えばエチリデン基、イソプロピリデン基など)、炭素数5〜15のシクロアルキレン基(例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基(例えばシクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基など)、−S−、−SO−、−SO2 −、−O−、−CO−結合又は下記式(III−1)もしくは下記式(III−2)
上記一般式(Ia)で表される二価フェノールとしては、様々なものがあるが、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[通称:ビスフェノールA]が好適である。ビスフェノールA以外のビスフェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラメチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラクロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン;2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルネン;等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類、4,4’−ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどのジヒドロキシジアリールフルオレン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン;1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタンなどのジヒドロキシジアリールアダマンタン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタエン、α,ω−ビスヒドロキシフェニルポリジメチルシロキサン化合物などが挙げられる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明において用いるフェノール変性ジオールは、下記一般式(IIa)
上記一般式(IIa)で表されるフェノール変性ジオールは、ヒドロキシ安息香酸又はそのアルキルエステル、酸塩化物とポリエーテルジオールから誘導される化合物である。フェノール変性ジオールは、特開昭62−79222号公報、特開昭60−79072号公報、特開2002−173465号公報等で提案されている方法により合成がすることができるが、これらの方法により得られるフェノール変性ジオールに対し適宜精製を加えることが望ましい。精製方法としては、例えば、反応後段で系内を減圧にし、過剰の原料(例えばパラヒドロキシ安息香酸)を留去する方法、フェノール変性ジオールを水又はアルカリ水溶液(例えば炭酸水素ナトリウム水溶液)等で洗浄する方法などが望ましい。
酸塩化物の代表例としてはヒドロキシ安息香酸とホスゲンから得られるものが代表例である。より具体的には特許2652707号公報等に記載の方法により得ることができる。ヒドロキシ安息香酸又はそのアルキルエステル又は酸塩化物はパラ体、メタ体、オルト体のいずれでも良いが、共重合反応の面からはパラ体が好ましい。オルト体は水酸基に対する立体障害のため共重合の反応性に劣るおそれがある。
PC共重合体において、フェノール変性ジオールの共重合量を増やせば流動性は改善されるが耐熱性が低下する。従って、フェノール変性ジオールの共重合量は所望の流動性と耐熱性のバランスにより選択することが好ましい。フェノール変性ジオール共重合量が40質量%を超えると特開昭62−79222号公報に示されるように、エラストマー状となり、一般のPC樹脂と同様の用途への適用ができなくなるおそれがある。100℃以上の耐熱性を保持するにはPC共重合体中に含まれるフェノール変性ジオール残基の量は、当該PC共重合体(A)においては1〜30質量%であることを要し、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
PC共重合体(A)のガラス転移温度を上記範囲に設定することによって、金型温度を低く設定することができ、それに伴い大幅な成形サイクル時間の短縮が可能となる。なお、ガラス転移温度は、ISO 11357に準拠して測定した値である。
PC共重合体(A)に配合する他のPC樹脂としては、市販されているPC樹脂を用いることができる。他のPC樹脂の配合量は、本発明の効果を損なわない点から、PC共重合体100質量部に対し300質量部以下が好ましく、10〜200質量部がより好ましい。
(B)成分のアクリル系樹脂は、分子量が200〜10万程度であることをが好ましく、より好ましくは2万〜6万である。分子量が200〜10万であると、成形時に、PC共重合体及び他のPC樹脂と、アクリル系樹脂間の相分離が速くなりすぎることがないので、成形品において十分な透明性が得られる。ポリメタクリル酸メチル(PMMA)としては公知のものを使用することができるが、通常、過酸化物、アゾ系の重合開始剤の存在下、メタクリル酸メチルモノマ−を塊状重合して製造されたものが好ましい。
アクリル系樹脂の配合量は、PC共重合体(A)、又は当該PC共重合体(A)と他のPC樹脂との混合物100質量部に対し、通常0.01〜1質量部程度であり、好ましくは0.05〜0.5質量部、より好ましくは0.1〜0.3質量部である。アクリル系樹脂の配合量が0.01質量部以上であると、成形品の透明性が向上し、1質量部以下であると、他の所望物性を損なうことなく透明性を保持することができる。
充填剤としては、タルク、マイカ、カオリン、珪藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムなどが、さらなる剛性及び難燃性向上のために添加される。
本発明のポリカーボネート共重合体の成形方法は、ポリカーボネート共重合体(A)又は該ポリカーボネート共重合体を含有する樹脂組成物をからなる成形材料を金型内に充填し成形する方法において、金型温度が100〜140℃に設定された金型内に該成形材料を充填し、型締め圧力で保持した後100℃未満に冷却して成形品を取り出すことを特徴とする。
射出成形法は、一般に樹脂組成物からなる成形材料を加熱溶融して射出し、金型内で冷却固化し成形品を得る方法であって、射出成形の順序は型締め、射出、保圧、冷却、型開き、成形品取り出しの順で行なわれ、冷却の間に次のショットの可塑化がおこなわれる。 この成形サイクルが連続的に繰り返され、複雑な形状のものでも大量生産が可能であり、熱可塑性樹脂が主流である。
(a)の場合は前もってわずかに開けた金型キャビティ内に成形材料を射出するか、又は低い圧力で金型を閉じておき充填圧力によって金型キャビティをわずかに開かせた後、高圧によって型締めを完了する。この成形法は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を問わす適用でき、内部応力、配向、歪の少ない成形品を得ることができる。
(b)の場合は射出充填した後、突き出しピン兼用又はプランジャーをキャビティ内部に圧入し、成形材料の固化に伴う収縮を補う。この成形法は、肉厚品で寸法精度の要求される熱可塑性樹脂に適用され、キャビティ内で自然に固化させると収縮のため気泡、ひけなどの欠陥を生じやすいもの、また寸法精度を要するものに好ましく適用できる。
PC共重合体(A)は、前述のように、ガラス転移温度が、110〜130℃と低くい上一般のポリカーボネートと同等の強度を有し、かつ流動性に優れている。
該PC共重合体を成形材料として用いることで、金型温度を100〜140℃に、好ましくは、110〜130℃に、さらに好ましくは、ガラス転移温度より0〜10℃程度高く設定する。
なお、金型に成形材料を射出する前に、あらかじめ、金型以外の部分で可塑化ないしは溶融するが、その温度は、成形材料の溶融温度に応じて適宜設定される。
金型温度を上記温度範囲に設定し、急速過熱、冷却することによって成形サイクル時間を大幅に短縮することができ、強度を維持し、かつ外観に優れる成形品を得ることができる。
金型の加熱、冷却速度については、金型の大きさ、成形材料などによって、任意に設定することができ、特に制限はないが、通常、2℃/秒以上の速度で加熱、冷却することが好ましい。
〔金型について〕
図1は、本発明の一実施態様の一部を示す金型の縦断面図である。1は温調配管、2は断熱板、3は温度センサー、4はスプリング、5はストッパープレート、6はパッキン、7はキャビティ、8は固定金型、9は可動金型を示す。
金型は、急速加熱冷却用に対応するために断熱構造とし、断熱板2などで加熱冷却部を覆うようにする。また、金型温度で成形サイクルを管理する方式ため、可動側9、固定側金型8の少なくとも一方に温度センサー3を取付ける必要がある。金型材質は、通常のスチールが使用されるが、熱伝導性の高いアルミニウム、ベリリウム銅のような熱特性を持つものも使用することができる。温調配管1は、通常用いられる円管状のものを多く配置したり、ジャケット式(空間)にすることが好ましい。温調配管1とキャビティ7面の距離は、成形圧力で変形しない距離とし、ジャケット式の場合は、空間部にリブ等を配置して強度を持たせても良い。100℃以上の高温で使用する場合は、金型材質の熱膨張を考慮して、金型がかじらないように設計するのが好ましい。
図2は、本発明の一実施体様を含む金型の冷却システムのフローを示す概略図である。8は固定金型、9は可動金型、10温調機、11はチラー、12は高温バイパス電磁弁、13は低温バイパス電磁弁、14は高温戻り電磁弁、15は高温行き電磁弁、16は低温戻り電磁弁、17は低温行き電磁弁を示す。
加熱冷却システムは、可動金型9、固定金型8を個別に温調するため、2台の温調機7を使用し、また、冷却は、1台のチラー11で行い、高温水と低温水を切りかえるエクスチェンジユニットで構成されている。動作の一例として例えは、金型温度を50℃から110℃の間で加熱冷却する場合、温調機10の温度設定を140℃として、固定金型8及び可動金型8へ140℃の加圧水を流す。金型の温度センサー3が110℃になった時点で射出を開始する。射出を開始した時点で、140℃の加圧水は、エクスチェンジユニットにより、金型へ流さないようにする(型温が上昇するため)。この時、140℃の加圧水は、温調機10とエクスチェンジユニット間を循環させて温度を保つようにしている(140℃の加圧水を金型へ流している間は、逆にチラー11からの10℃水をチラーとエクスチェンジユニット間で循環させておく)。樹脂充填終了し、型締め圧力で保持した後、エクスチェンジユニットにより、チラー11からの10℃の水を固定金型8及び可動金型9へ供給する。両金型の温度が50℃となったら、金型を開いて成形品を取り出し後、型締めされた段階で、再び140℃の加圧水が両金型へ流れ始める。成形品を取り出すために金型が開き始めたと同時に140℃の加圧水を金型へ流し込むこともできる。この場合、成形サイクルが短縮される。
上記システム動作をさせるために、射出成形機とエクスチェンジユニット間で信号の出し入れが必要となる。まず、射出成形機からの型締め信号をエクスチェンジユニットが受けて、高温の加圧水を金型へ流す。この時、射出成形機は、射出待機状態とする。金型温度センサー3により型温が設定値に達したと同時に、エクスチェンジユニットから射出成形機へ射出開始の信号を出す。この信号を射出成形機が受け取り、射出を開始する。樹脂充填後、エクスチェンジユニットにより、冷水を金型へ流し、金型温度が下限の設定値に達した段階で、エクスチェンジユニットから射出成形機へ型を開くように信号を送る。製品取出し後、型締めが開始され、型締め信号をエクスチェンジユニットが受けて、再び高温の加圧水を金型へ流して金型を昇温する。この時、型開きと同時に高温の加圧水を流し始めることも可能で、この場合成形サイクルが短縮できる。
製造例1[ポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の合成]
窒素雰囲気下、ポリテトラメチレングリコール(PTMG、Mn(数平均分子量)=1000)100質量部とメチルp−ヒドロキシ安息香酸33.4質量部をジブチル錫オキシド0.5質量部の存在下で220℃で加熱し、メタノールを留去した。
反応系内を減圧にし、過剰のp−ヒドロキシ安息香酸メチルエステルを留去した。反応生成物5.0質量部を塩化メチレン30容量部に溶解した。この塩化メチレン溶液に8質量%炭酸水素ナトリウム水溶液10容量部を加え、20分間激しく混合した後、遠心分離により塩化メチレン相を採取した。塩化メチレン相を減圧下で濃縮し、フェノール変性ジオールであるポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)を得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により、ポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)中のp−ヒドロキシ安息香酸及びp−ヒドロキシ安息香酸メチルを、下記の方法により定量した結果、p−ヒドロキシ安息香酸は10質量ppm未満、p−ヒドロキシ安息香酸メチルは0.2質量%であった。
下記の条件のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により、標準品により作成した検量線に基づいて定量した。
カラム:GLサイエンス社製ODS−3
カラム温度:40℃で、
溶媒:0.5質量%リン酸水溶液とアセトニトリルの容量比1:2混合液
流速:1.0mL/分
(1)PCオリゴマー合成工程
濃度5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後に溶解するビスフェノールA(BPA)に対して2000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、ここにBPA濃度が13.5質量%になるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。内径6mm、管長30mの管型反応器に、上記BPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr及び塩化メチレンを15L/hrの流量で連続的に通すと共に、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器から送出された反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hrの流量で供給し、29〜32℃で反応を行った。槽型反応器から反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液は、オリゴマー濃度329g/L、クロロホーメート基濃度0.74mol/Lであった。
邪魔板、パドル型攪拌翼を備えた内容積50Lの槽型反応器に上記オリゴマー溶液7.5L、塩化メチレン4.7L、製造例1で得たポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)191g(PTMG鎖のMn=1000)、トリエチルアミン4.4mLを仕込み、ここに6.4質量%水酸化ナトリウム水溶液1389gを攪拌下で添加し、10分間PCオリゴマーとポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の反応を行った。次いで、p−tert−ブチルフェノール(PTBP)の塩化メチレン溶液(PTBP95.6gを塩化メチレン0.3Lに溶解したもの)、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH266gと亜二チオン酸ナトリウム0.9gを水3.9Lに溶解した水溶液に、BPA443gを溶解したもの)を添加し、30分間重合反応を行った。希釈のため塩化メチレン30Lを加え10分間攪拌した後、PC共重合体を含む有機相と過剰のBPA及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。
このようにして得られたPC共重合体の塩化メチレン溶液を、その溶液に対して15容量%の量の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.2mol/L塩酸で順次洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.01μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたPC共重合体の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下100℃で乾燥した。NMRにより求めたポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)残基の量は6.4質量%であった。
得られたPC共重合体について、以下の方法により、粘度数、共重合量、ガラス転移温度Tg及び流れ値(Q値)を測定した。
ISO 1628−4(1999)に準拠して測定した結果38.9であった。
(2)共重合量(含有量)の測定
共重合体の 1H−NMRを測定し、各プロトン(下線部)を以下のように帰属した。
δ1.4−1.9:BPAのCH 3 、−O−CH2−CH 2 −CH 2 −CH2−
δ3.3−3.5:−O−CH 2 −CH2−CH2 −CH 2 −
δ4.3−4.4:−CO−O−CH 2 −CH2−CH2−CH2−
それぞれの積分値から、上記一般式(II)で表されるフェノール変性ジオールカーボネート部と、上記一般式(I)で表されるBPAカーボネート部とのモル比を算出した後、質量換算し、算出した。その算出例を以下に示す。
<算出例>
δ1.4−1.9の積分値がa、δ3.3−3.5の積分値がb、δ4.3−4.4の積分値がcのとき、
繰返し数n=b÷c+1=d
BPA=[(a−b−c)/6]=e
フェノール変性ジオール=(c/4)=f
BPAカーボネート部のモル比gmol%は下記の計算により求まる。
[(a−b−c)/6]/{(c/4)+[(a−b−c)/6]}×100=gmol%
フェノール変性ジオールカーボネート部のモル比hmol%は下記の計算により求まる。
(c/4)/{(c/4)+[(a−b−c)/6]}×100=hmol%
従って、フェノール変性ジオールカーボネート部の共重合量[質量%]は次式により6.4質量%となる。
h×(136+120+12.6×72+12+16)÷(h×(136+120+12.6×72+12+16)+g×254)×100=j質量%
(3)ガラス転移温度Tgの測定
ISO 11357に準拠して測定した結果、116℃であった。
(4)流れ値(Q値)
高架式フローテスターを用い、JIS K7210により、280℃、15.7MPaの圧力下に、直径1mm、長さ10mmのノズルより流出する溶融樹脂量(mL/sec)を測定した結果、101×10−2mL/secであった。
このようにして得られたPC共重合体(A)にアデカスタブPEP36(商品名、旭電化工業(株)社製、リン系酸化防止剤)を0.5質量部配合し、ベント付40mmφ押し出し機によって樹脂温度250℃で造粒し、ペレットを得た。
重合例1で製造したポリカーボネートを射出成形機内で樹脂温度250℃にて可塑化させ、120℃に保持されている図3に示された1470kNの締め付け力で閉じている金型内(寸法形状:520mm×360mm×400mm)に充填した。
充填終了後、金型を2℃/秒の冷却速度にて60℃まで冷却し、金型を開いて成形品を取り出した。このときの成形サイクルは60秒であった。成形品のウエルド外観及びしぼ外観は良好(肉眼で見えず)であった。
材料:上述した重合例1のポリカーボネート共重合体
製品形状:箱形状(200mm×150mm×25mm、厚み1mm)
実施例1において、金型温度(材料充填前)を130℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。 このときの成形サイクルは70秒であった。成形品のウエルド外観及びしぼ外観は良好であった。
材料を市販のビスフェノールAを原料としたポリカーボネートとしてタフロンA1500(出光石油化学製:粘度平均分子量15000)とした以外、実施例1と同じ条件で成形を行った。このときの成形サイクルは60秒であった。成形品のウエルド外観及びしぼ外観は不良(肉眼で見える)であった。
実施例1において、金型温度(材料充填前)を150℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。このときの成形サイクルは90秒であった。成形品にはヒケが発生し、外観評価ができなかった。
実施例1において、金型温度(材料充填前)を90℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。 このときの成形サイクルは30秒であった。成形品のウエルド外観及びしぼ外観は不良であった。
実施例1において、金型の冷却温度を110℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。
このときの成形サイクルは35秒であった。成形品は軟化状態で外観評価ができなかった。
2. 断熱板 11.チラー
3. 温度センサー 12.高温バイパス電磁弁
4. スプリング 13.低温バイパス電磁弁
5. ストッパープレート 14.高温戻り電磁弁
6. パッキン 15.高温行き電磁弁
7. キャビィティ 16.低温戻り電磁弁
8. 固定金型 17.低温行き電磁弁
9. 可動金型 18.ゲートダイレクト
Claims (3)
- 下記一般式(I)及び(II)
- 一般式(II)において、Yが、−CH2−CH2−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−CH(CH3)−及び−CH2−CH2−CH2−から選ばれる一種以上である請求項1に記載のポリカーボネート共重合体の成形方法。
- 請求項1又は2記載の成形方法で得られた成形品。
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JP2004143893A JP4331050B2 (ja) | 2004-05-13 | 2004-05-13 | ポリカーボネート共重合体の成形方法 |
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