JP2009040843A - ポリカーボネート系樹脂組成物及びそれからなる光学成形品 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂組成物及びそれからなる光学成形品 Download PDF

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康弘 石川
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慶彦 堀尾
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Abstract

【課題】高温下で成形した際に黄変が低減され、結果として良好な光学成形品を与えるポリカーボネート(PC)系樹脂組成物の提供。
【解決手段】(A)二価のフェノール、フェノール変性ジオール及びホスゲン等のカーボネート前駆体から合成される、粘度数が30〜71であるPC共重合体を含むPC系樹脂100質量部及び(B)スピロ構造を有するホスファイト及び/又は2つのフェニル基を有するホスファイト化合物0.001〜1質量部からなるPC系樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート系樹脂組成物に関し、詳しくは、特定の繰返し構成単位を有するポリカーボネート共重合体を含むポリカーボネート系樹脂と特定のホスファイト化合物を含むポリカーボネート系樹脂組成物及びそれを成形してなる光学成形品に関する。
ポリカーボネート(以下、PCと略記することがある。)樹脂は主にビスフェノールAを原料として製造され、透明性、耐熱性、機械特性などに優れることから幅広い用途で使用されている。しかし、このPC樹脂をレンズ、導光板、光ディスク等の光学部品に用いた場合、流動性が低いため満足な成形品が得られないといった問題があり、流動性の一層の向上が望まれ、種々の改良されたPC樹脂が提案されている。
一方、特許文献1にはポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)を共重合したPC共重合体が開示されている。このPC共重合体は成形時の流動性が著しく改良されている上に、熱安定性に優れるため、成形原料として幅広い成形条件に対応でき、結果として良好な光学成形品を得ることが可能なことが知られている。
上記ポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)を共重合したPC共重合体を連続的に製造した場合、高温下での成形で黄変が生じるという問題が発生した。
特開2005−247947号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高温下で成形した際に黄変が低減され、結果として良好な光学成形品を与えるポリカーボネート系樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の繰り返し単位を特定量有し、かつ粘度数が特定の範囲にあるPC共重合体を含むPC系樹脂と特定のホスファイト化合物を特定量含むPC系樹脂組成物により上記目的が達成されることを見出した。すなわち、このPC系樹脂組成物を光学成形品の材料として用いると、高温下で成形する際に発生する黄変が低減することを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、以下のポリカーボネート系樹脂組成物及びそれからなる光学成形品を提供するものである。
1. (A)一般式(I)で表される繰り返し単位と一般式(II)で表される繰り返し単位を有し、一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が1〜30質量%であり、粘度数が30〜71であるポリカーボネート共重合体を含むポリカーボネート系樹脂100質量部及び(B)一般式(III)で表されるホスファイト化合物及び/又は一般式(IV)で表されるホスファイト化合物0.001〜1質量部を含むことを特徴とするポリカーボネート系樹脂組成物。
Figure 2009040843
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。Xは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−CO−又は下記式(V−1)もしくは下記式(V−2)で表される結合を示す。
Figure 2009040843
3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Yは炭素数2〜15の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。a〜dは、それぞれ0〜4の整数であり、nは2〜200の整数である。R5〜R7は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基及び炭素数3〜12のシクロアルキル基から選ばれる基を示す。R8及びR9は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。R10〜R13は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基及び炭素数7〜30のアラルキル基から選ばれる基を示す。]
2. 一般式(II)において、Yが、−CH2−CH2−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−CH(CH3)−及び−CH2−CH2−CH2−から選ばれる一種以上である上記1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
3. (A)成分のポリカーボネート系樹脂に含まれるポリカーボネート共重合体の粘度数が37〜62である上記1又は2に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
4. (A)成分のポリカーボネート系樹脂に含まれるポリカーボネート共重合体の280℃における流れ値(Q値)が30×10-2mL/s以上である上記1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
5. (A)成分のポリカーボネート系樹脂が、ポリカーボネート共重合体とビスフェノールAを単独モノマーとするポリカーボネートとからなる上記1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
6. (A)成分のポリカーボネート系樹脂100質量部に対して、(C)分子量200〜10万のアクリル系樹脂0.01〜1質量部を含む上記1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
7. 上記1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物からなる光学成形品。
特定のPC共重合体を含むPC系樹脂と、酸化防止剤である特定のホスファイト化合物を含む本発明のPC系樹脂組成物は、該樹脂組成物を高温下で成形した際に黄変が低減されるので、該樹脂組成物を成形してなる成形品は、光学成形品として好適である。
本発明のPC系樹脂組成物において、(A)成分のPC系樹脂に含まれるPC共重合体は、フェノール変性ジオール共重合ポリカーボネートであり、界面重合法と呼ばれる慣用の製造方法により製造することができる。すなわち、二価フェノール、フェノール変性ジオール及びホスゲン等のカーボネート前駆体を反応させる方法により製造することができる。具体的には、例えば、塩化メチレンなどの不活性溶媒中において、公知の酸受容体や分子量調節剤の存在下、さらに必要により触媒や分岐剤を添加し、二価フェノール、フェノール変性ジオール及びホスゲン等のカーボネート前駆体を反応させる。
(A)成分のPC系樹脂に含まれるPC共重合体は、後述する二価フェノールとフェノール変性ジオールとを界面重合法によって共重合させることにより得ることができ、下記一般式(I)及び(II)
Figure 2009040843
(式中、R1〜R4、X、Y、a〜d及びnについては後述する。)
で表される繰り返し単位を有する。二価フェノールとしては、下記一般式(Ia)
Figure 2009040843
で表される化合物を挙げることができる。一般式(Ia)において、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示し、アルキル基は直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチルル基、イソペンチルル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基などを挙げることができる。a及びbは、それぞれR1及びR2の置換数を示し、0〜4の整数である。なお、R1が複数ある場合、複数のR1は互いに同一でも異なっていてもよく、R2が複数ある場合、複数のR2は互いに同一でも異なっていてもよい。
Xは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチリレン基、ヘキシレン基など)、炭素数2〜8のアルキリデン基(例えばエチリデン基、イソプロピリデン基など)、炭素数5〜15のシクロアルキレン基(例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基(例えばシクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基など)、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−CO−結合又は下記式(V−1)もしくは下記式(V−2)
Figure 2009040843
で表される結合を示す。
上記一般式(Ia)で表される二価フェノールとしては、様々なものがあるが、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[通称:ビスフェノールA]が好適である。ビスフェノールA以外のビスフェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラメチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラクロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン;2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルネン;等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類、4,4’−ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどのジヒドロキシジアリールフルオレン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン;1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタンなどのジヒドロキシジアリールアダマンタン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタエン、α,ω−ビスヒドロキシフェニルポリジメチルシロキサン化合物などが挙げられる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
分子量調節剤としては通常、PC樹脂の重合に用いられるものなら、各種のものを用いることができる。具体的には、一価フェノールとして、例えば、フェノール,o−n−ブチルフェノール,m−n−ブチルフェノール,p−n−ブチルフェノール,o−イソブチルフェノール,m−イソブチルフェノール,p−イソブチルフェノール,o−t−ブチルフェノール,m−t−ブチルフェノール,p−t−ブチルフェノール,o−n−ペンチルフェノール,m−n−ペンチルフェノール,p−n−ペンチルフェノール,o−n−ヘキシルフェノール,m−n−ヘキシルフェノール,p−n−ヘキシルフェノール,p−t−オクチルフェノール,o−シクロヘキシルフェノール,m−シクロヘキシルフェノール,p−シクロヘキシルフェノール,o−フェニルフェノール,m−フェニルフェノール,p−フェニルフェノール,o−n−ノニルフェノール,m−ノニルフェノール,p−n−ノニルフェノール,o−クミルフェノール,m−クミルフェノール,p−クミルフェノール,o−ナフチルフェノール,m−ナフチルフェノール,p−ナフチルフェノール;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミルフェノール;p−クレゾール,ブロモフェノール,トリブロモフェノール、平均炭素数12〜35の直鎖状又は分岐状のアルキル基をオルト位、メタ位又はパラ位に有するモノアルキルフェノール;9−(4−ヒドロキシフェニル)−9−(4−メトキシフェニル)フルオレン;9−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−9−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン;4−(1−アダマンチル)フェノールなどが挙げられる。これらの一価フェノールのなかでは、p−t−ブチルフェノール,p−クミルフェノール,p−フェニルフェノールなどが好ましく用いられる。
触媒としては、相間移動触媒、例えば三級アミン又はその塩、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩などを好ましく用いることができる。三級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルアニリンなどが挙げられ、また三級アミン塩としては、例えばこれらの三級アミンの塩酸塩、臭素酸塩などが挙げられる。四級アンモニウム塩としては、例えばトリメチルベンジルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、トリブチルベンジルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどが、四級ホスホニウム塩としては、例えばテトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミドなどが挙げられる。これらの触媒は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記触媒の中では、三級アミンが好ましく、特にトリエチルアミンが好適である。
不活性有機溶剤としては、各種のものがある。例えば、ジクロロメタン(塩化メチレン);トリクロロメタン;四塩化炭素;1,1−ジクロロエタン;1,2−ジクロロエタン;1,1,1−トリクロロエタン;1,1,2−トリクロロエタン;1,1,1,2−テトラクロロエタン;1,1,2,2−テトラクロロエタン;ペンタクロロエタン;クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素や、トルエン、アセトフェノンなどが挙げられる。これらの有機溶剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中では、特に塩化メチレンが好適である。
分岐剤として、例えば、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール;α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;1−[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン;フロログルシン,トリメリト酸,イサチンビス(o−クレゾール)等の官能基を3つ以上有する化合物を用いることもできる。
本発明において用いるフェノール変性ジオールは、下記一般式(IIa)
Figure 2009040843
[式中、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Yは炭素数2〜15の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。c及びdは0〜4の整数であり、nは2〜200の整数である。]
で表される化合物である。R3及びR4で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。R3が複数ある場合、複数のR3は互いに同一でも異なっていてもよく、R4が複数ある場合、複数のR4は互いに同一でも異なっていてもよい。Yで示される炭素数2〜15の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基及びイソペンチレン基などのアルキレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基及びイソペンチリデン基などのアルキリデン残基が挙げられる。Yとしては、−CH2−CH2−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−CH(CH3)−及び−CH2−CH2−CH2−から選ばれる一種以上であることが好ましい。nは2〜200であることが好ましく、より好ましくは6〜70である。
上記一般式(IIa)で表されるフェノール変性ジオールは、ヒドロキシ安息香酸又はそのアルキルエステル、酸塩化物とポリエーテルジオールから誘導される化合物である。フェノール変性ジオールは、特開昭62−79222号公報、特開昭60−79072号公報、特開2002−173465号公報等で提案されている方法により合成がすることができるが、これらの方法により得られるフェノール変性ジオールに対し適宜精製を加えることが望ましい。精製方法としては、例えば、反応後段で系内を減圧にし、過剰の原料(例えばパラヒドロキシ安息香酸)を留去する方法、フェノール変性ジオールを水又はアルカリ水溶液(例えば炭酸水素ナトリウム水溶液)等で洗浄する方法などが望ましい。
ヒドロキシ安息香酸アルキルエステルとしては、ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、ヒドロキシ安息香酸エチルエステルなどが代表例である。ポリエーテルジオールは、HO−(Y−O)n−Hで表され、炭素数2〜15の直鎖状又は分岐状のアルキルエーテルの繰返しからなるものである。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。入手性及び疎水性の観点からポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。ポリエーテルジオールのエーテル部の繰返し数nは2〜200、好ましくは6〜70である。nが2以上であると、フェノール変性ジオールを共重合する際の効率が良く、nが70以下であると、PC共重合体の耐熱性の低下が小さいという利点がある。
酸塩化物の代表例としてはヒドロキシ安息香酸とホスゲンから得られるものを挙げることができる。より具体的には特許2652707号公報等に記載の方法により得ることができる。ヒドロキシ安息香酸又はそのアルキルエステルはパラ体、メタ体、オルト体のいずれでも良いが、共重合反応の面からはパラ体が好ましい。オルト体は水酸基に対する立体障害のため共重合の反応性に劣るおそれがある。
PC共重合体の製造工程において、フェノール変性ジオールは、その変質等を防ぐため、可能な限り塩化メチレン溶液として用いるのが好ましい。塩化メチレン溶液として用いることができない場合、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液として用いることができる。
PC共重合体において、フェノール変性ジオールの共重合量を増やせば流動性は改善されるが耐熱性が低下する。従って、フェノール変性ジオールの共重合量は所望の流動性と耐熱性のバランスにより選択することが好ましい。フェノール変性ジオール共重合量が40質量%を超えると特開昭62−79222号公報に示されるように、エラストマー状となり、一般のPC樹脂と同様の用途への適用ができなくなるおそれがある。100℃以上の耐熱性を保持するには、PC共重合体中に含まれる一般式(II)で表される繰り返し単位の量は、本発明においては1〜30質量%であることを要し、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
(A)成分に含まれるPC共重合体は、粘度数が30〜71(Mv(粘度平均分子量)=10,000〜28,100に相当)であることを要し、好ましくは37〜62(Mv=13,100〜24,100に相当)である。粘度数が30以上であると機械物性が良好であり、粘度数が71以下であると、コモノマーの共重合効果が良好に発揮される。また、高流動性を発現させようとすると多量のコモノマーが必要となるが、粘度数が71以下であると、コモノマーの使用に対して耐熱性が大きく低下することがない。なお、粘度数は、ISO 1628−4(1999)に準拠して測定した値である。
上記PC共重合体は、280℃における流れ値(Q値)が30×10-2mL/s以上であることが好ましく、40×10-2mL/s以上がより好ましい。流れ値(Q値)とは、JIS K7210に準拠し、高架式フローテスターで測定した溶融粘度であり、流れ値(Q値)が30×10-2mL/s以上であると、PC共重合体の溶融粘度が高くなりすぎることがない。本発明のPC系樹脂組成物においても同様である。
本発明のPC系樹脂組成物において、(B)成分のホスファイト化合物は、下記一般式(III)で表されるホスファイト化合物及び/又は一般式(IV)で表されるホスファイト化合物である。
Figure 2009040843
[式中、R5〜R7は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基及び炭素数3〜12のシクロアルキル基から選ばれる基を示す。R8及びR9は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。R10〜R13は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基及び炭素数7〜30のアラルキル基から選ばれる基を示す。]
5〜R7又はR10〜R13で示される炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチルル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基及び各種オクタデシル基などが挙げられる。R5〜R7又はR10〜R13で示される炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基などが挙げられる。R8及びR9で示される炭素数1〜8のアルキル基としては、上記炭素数1〜20のアルキル基のうちの炭素数1〜8のものが挙げられる。R10〜R13で示される炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル基、トリル基及びキシリルなど等が挙げられる。R10〜R13で示される炭素数7〜30のアラルキル基としては、ベンジル基及びフェネチル基などが挙げられる。
5〜R7としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくはオクチル基である。R8及びR9としては、水素原子が好ましい。R10〜R13としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、より好ましくはt−ブチル基である。
上記一般式(III)又は(IV)で表されるホスファイト化合物は、PC系樹脂組成物を高温下で成形する際に発生する黄変を低減させる効果を有する。
上記一般式(III)で表されるホスファイト化合物の具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(アデカスタブPEP−8、(株)ADEKA製)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト及びジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。この中で、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト及びビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
一般式(IV)で表されるホスファイト化合物としては、例えば2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−エチルヘキシル)ホスファイト(アデカスタブHP−10、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
(B)成分のホスファイト化合物の配合量は、(A)成分のPC系樹脂100質量部に対し、0.01〜1質量部であり、好ましくは0.02〜0.5質量部、より好ましくは0.03〜0.3質量部である。(B)成分の配合量が1質量部を超えると耐湿熱性が低下するので好ましくなく、また、0.01質量部より少ないと高温下で成形した際に黄変が発生しやすくなり好ましくない。
本発明のPC系樹脂組成物を導光板や光学レンズなどに用いるときは、光線透過率を上げる目的で、(C)分子量が200〜10万のアクリル系樹脂を配合することが好ましく、この(C)成分に加えて、(D)脂環式エポキシ化合物又は(E)アルコキシ基、ビニル基及びフェニル基から選ばれる一種以上を有するポリシロキサン化合物を配合したPC系樹脂組成物とすることがより好ましい。
上記(C)成分のアクリル系樹脂とは、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル及びその誘導体のモノマー単位から選ばれる少なくとも一種を繰り返し単位とするポリマーをいい、単独重合体又はスチレン、ブタジエン、α−オレフィン、塩化ビニル等との共重合体をいう。具体的にはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリロニトリル、アクリル酸エチル−アクリル酸−塩化ビニル共重合体、アクリル酸−n−ブテン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、特に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を好適に用いることができる。
(C)成分のアクリル系樹脂は、分子量が200〜10万であるものが好ましく、より好ましくは2万〜6万である。分子量が200〜10万であると、成形時に、PC共重合体及び他のPC樹脂と、アクリル系樹脂間の相分離が速くなりすぎることがないので、成形品において十分な透明性が得られる。ポリメタクリル酸メチル(PMMA)としては公知のものを使用することができるが、通常、過酸化物、アゾ系の重合開始剤の存在下、メタクリル酸メチルモノマ−を塊状重合して製造されたものが好ましい。
アクリル系樹脂の配合量は、(A)成分のPC系樹脂100質量部に対し、通常0.01〜1質量部程度であり、好ましくは0.05〜0.5質量部、より好ましくは0.1〜0.3質量部である。アクリル系樹脂の配合量が0.01質量部以上であると、成形品の透明性が向上し、1質量部以下であると、他の所望物性を損なうことなく透明性を保持することができる。
上記(D)成分の脂環式エポキシ化合物とは、脂環式エポキシ基、すなわち脂肪族環内のエチレン結合に酸素1原子が付加したエポキシ基を持つ環状脂肪族化合物をいい、具体的には特開平11−158364号公報に示された下記式(1)〜(10)で表されるものが好適に用いられる。
Figure 2009040843
Figure 2009040843
(R:H又はCH3
Figure 2009040843
(R:H又はCH3
Figure 2009040843
Figure 2009040843
(a+b=1又は2)
Figure 2009040843
(a+b+c+d=1〜3)
Figure 2009040843
(a+b+c=n(整数),R:炭化水素基)
Figure 2009040843
(n:整数)
Figure 2009040843
(R:炭化水素基)
Figure 2009040843
(n:整数,R:炭化水素基)
上記脂環式エポキシ化合物の中でも、式(1)、式(7)又は式(10)で表される化合物が、PC系樹脂への相溶性に優れ、透明性を損なうことがない点でより好ましく用いられる。本発明のPC系樹脂組成物に脂環式エポキシ化合物を配合することにより、より透明性を向上させることが可能になり、さらに耐加水分解性も向上させることが可能となる。(D)成分の脂環式エポキシ化合物の配合量は、(A)成分のPC系樹脂100質量部に対し、通常0.01〜1質量部程度であり、好ましくは0.02〜0.2質量部である。この配合量を0.01質量部以上とすることにより添加効果が得られ、1質量部以下とすることにより、相分離が助長されることがなく、透明性が得られる。
上記(E)成分のポリシロキサン化合物は、シリコーン系化合物に、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)、ビニル基及びフェニル基から選ばれる一種以上の官能基を導入した反応性シリコーン系化合物であり、オルガノポリシロキサンなどが挙げられる。この(E)成分は、PC系樹脂において安定剤として作用する化合物であり、(E)成分を配合すると、成形時の熱劣化による黄変、シルバー(銀条)等の外観不良、気泡混入を防止することができる。(E)成分の配合量は、(A)成分のPC系樹脂100質量部に対し、通常0.01〜3質量部程度、好ましくは0.05〜2質量部の範囲から適宜選ばれる。0.01質量部以上であると添加の効果が発現し、3質量部以下であると成形品に曇り等が生じることがない。
本発明のPC系樹脂組成物には、上記各成分の他に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤を配合してもよい。各種添加剤としては、例えば、アリールホスフィン系、他の亜リン酸エステル系、リン酸エステル系、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤、脂肪族カルボン酸エステル系化合物、パラフィン系化合物、シリコーンオイル、ポリエチレンワックスなどの内部潤滑剤、常用の難燃化剤、難燃助剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤などが挙げられる。
本発明は、上記PC系樹脂組成物からなる光学成形品をも提供する。本発明の光学成形品の製造方法に特に制限はなく、従来公知の各種成形方法、例えば射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法などを用いることができる。光学成形品としては、レンズ、導光板などが挙げられる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
製造例1[ポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の合成]
窒素雰囲気下、ポリテトラメチレングリコール(PTMG、Mn(数平均分子量)=1000)100質量部とp−ヒドロキシ安息香酸メチル33.4質量部をジブチル錫オキシド0.05質量部の存在下で220℃で加熱し、メタノールを留去した。
反応系内を減圧にし、過剰のp−ヒドロキシ安息香酸メチルを留去した。反応生成物5.0質量部を塩化メチレン30容量部に溶解した。この塩化メチレン溶液に8質量%炭酸水素ナトリウム水溶液10容量部を加え、20分間激しく混合した後、遠心分離により塩化メチレン相を採取した。塩化メチレン相を減圧下で濃縮し、フェノール変性ジオールであるポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)を得た。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により、ポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)中のp−ヒドロキシ安息香酸及びp−ヒドロキシ安息香酸メチルを、下記の方法により定量した結果、p−ヒドロキシ安息香酸は10質量ppm未満、p−ヒドロキシ安息香酸メチルは0.2質量%であった。
<p−ヒドロキシ安息香酸及びp−ヒドロキシ安息香酸メチルの定量>
下記の条件のHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により、標準品により作成した検量線に基づいて定量した。
カラム:GLサイエンス社製ODS−3
カラム温度:40℃
溶媒:0.5質量%リン酸水溶液とアセトニトリルの容量比1:2混合液
流速:1.0ml/分
製造例2(PC共重合体の製造)
(1)PCオリゴマー合成工程
濃度5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後に溶解するビスフェノールA(BPA)に対して2000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、ここにBPA濃度が13.5質量%になるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。内径6mm、管長30mの管型反応器に、上記BPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr及び塩化メチレンを15L/hrの流量で連続的に通すと共に、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器から送出された反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hrの流量で供給し、29〜32℃で反応を行った。槽型反応器から反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液は、オリゴマー濃度329g/L、クロロホーメート基濃度0.74mol/Lであった。
(2)PC共重合体の重合工程
上記合成工程で得られたPCオリゴマー20L/hr、塩化メチレン12L/hr、製造例1で得られたポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の40質量%塩化メチレン溶液868kg/hr、3質量%トリエチルアミン水溶液400ml/hr及び6.4質量%水酸化ナトリウム水溶液2.3kg/hrの流量で、T.Kパイプラインホモミクサー2SL型[プライミクス(株)製]に供給し、3000rpmの回転下で予備重合を行い、予備重合液を得た。
続いて、この予備重合液とPTBP(p−tert−ブチルフェノール)の20質量%塩化メチレン溶液960g/hr、6.4質量%水酸化ナトリウム水溶液にBPAを溶解して8.8質量%の濃度にした水溶液14.1kg/hrを、T.Kパイプラインホモミクサー2SL型[プライミクス(株)製]に供給し、3000rpmの回転下で乳化させ、乳化液を得た。続いて、この乳化液を第二反応器である直径0.8mmの穴3個を有するオリフィスプレート2枚を19.05mm(3/4インチ)の配管に挿入したジャケット付きオリフィスミキサーに導入し、さらに第三反応器としてジャケット付きの50Lパドル翼三段の塔型攪拌槽に供給し、重合を行った。ジャケットには15℃の冷却水を流し、重合液の出口温度を30℃とした。
パドル型攪拌翼を備えた50L希釈槽に、上記塔型反応器から溢れ出る重合液、及び希釈のための塩化メチレンを11L/hrで連続供給した。続いて、希釈槽から得られるエマルジョンをK.C.C遠心抽出機[商品名、川崎重工(株)製、内容積4L、ローター径430mm]に導入して回転数3000rpmで遠心抽出を行い、水層と有機層とを分離した。
(3)アルカリ洗浄工程
上記遠心抽出機から得られた有機層及び0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液7.8L/hrをT.Kパイプラインホモミクサー2SL型[プライミクス(株)製]に供給し、3000rpmで攪拌混合を行った。ホモミクサー出口からの混合液を遠心抽出機に導入して回転数3000rpmで遠心抽出を行い、水層と有機層とを分離した。
続いて、希釈槽から得られるエマルジョンをK.C.C遠心抽出機[商品名、川崎重工(株)製、内容積4L、ローター径430mm]に導入して回転数3000rpmで遠心抽出を行い、水層と有機層とを分離し、有機層は続く酸洗浄工程へ供給した。
(4)酸洗浄工程
アルカリ洗浄工程の遠心抽出機から得られた有機層及び0.2mol/Lの塩酸水溶液7.8L/hrをT.Kパイプラインホモミクサー2SL型[プライミクス(株)製]に供給し、3000rpmで攪拌混合を行った。ホモミクサー出口からの混合液は静置分離槽に導入し、水層と有機層とを分離し、有機層は続く第一水洗工程へ供給した。
(5)第一水洗浄工程
遠心抽出機から得られる有機層及び純水7.8L/hrをT.Kパイプラインホモミクサー2SL型[プライミクス(株)製]に供給し、3000rpmで攪拌混合を行った。ホモミクサー出口からの混合液を遠心抽出機に導入して回転数3000rpmで遠心抽出を行い、水層と有機層を分離し、有機層は続く第二水洗工程へ供給した。
(6)第二水洗浄工程
遠心抽出機から得られる有機層及び純水7.8L/hrをT.Kパイプラインホモミクサー2SL型[プライミクス(株)製]に供給し3000rpmで攪拌混合を行った。ホモミクサー出口からの混合液を遠心抽出機に導入して回転数3000rpmで遠心抽出を行い、水層と有機層とを分離し、精製ポリカーボネート塩化メチレン溶液(有機層)を得た。
(7)濃縮、乾燥工程
精製ポリカーボネート塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下105℃で乾燥させた。得られたポリカーボネートフレークの性状は下記の通りであった。
NMRにより求めたポリテトラメチレングリコール−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)残基の量は、4.0質量%であった。
ISO1628−4(1999)に準拠して測定した粘度数は36.9(Mv=13000)であった。下記の方法で測定した流れ値(Q値)は96×10-2mL/sであった。また、BPA含有量は130ppm、塩化メチレン含有量は1300ppm、塩素イオン含有量は0.3ppm未満、ナトリウム含有量は0.1ppm未満であった。
<流れ値(Q値)>
高架式フローテスターを用い、JIS K7210により、280℃、15.7MPaの圧力下に、直径1mm、長さ10mmのノズルより流出する溶融樹脂量(mL/sec)を測定した。溶融粘度の低下とともに流れ値(Q値)は増加する。
実施例1
製造例2で得られたPC共重合体100質量部、ホスファイト化合物を表1に記載の質量部で配合し、ベント付き40mmφの押出機によって樹脂温度260℃で造粒し、ペレットを得た。
得られたペレットを用い、35mm×25mm×2mmの平板を、下記の成形条件で射出成形した。
<成形条件>
成形機:東芝機械(株)製、EC40N(商品名)
成形機シリンダー温度:340℃又は350℃
シリンダー内滞留時間:8分
13ショット目以降の成形品を5枚採取し、それぞれを用いてYI(イエローインデックス)を測定し、その平均値を求めた。また、Tt(全光線透過率)についても5枚の平均値を求めた。結果を表1に示す。なお、YI及びTtは下記の方法により測定した。表1において、340、350の数値は、成形品を作成した際の成形機のシリンダー温度を示す。
(1)YI
射出成形により2.0mm厚の成形品を作製し、日本電色工業(株)製の分光測色計Σ90で測定面積30φ、C2光源の透過法で測定した。
(2)Tt
射出成形により2.0mm厚の成形品を作製し、スガ試験機(株)製の直読ヘーズメーターHGM−20DP D65光源で測定した。
実施例2〜6
製造例2で得られたPC共重合体75質量部、タフロンFN1500(商品名、出光興産(株)製、Bis−Aポリカーボネート、粘度数=39.5)25質量部、ホスファイト化合物を表1に記載の質量部で配合し、ベント付き40mmφの押出機によって樹脂温度260℃で造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを用い、実施例1と同様にYI及びTtを測定した。結果を表1に示す。なお、表1において、HP−10は、アデカスタブHP−10(商品名、(株)ADEKA製、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−エチルヘキシル)ホスファイト)を、PEP−8は、アデカスタブPEP−8(商品名、(株)ADEKA製、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)を指す。
比較例1
実施例1において、ホスファイト化合物を配合しない以外は実施例1と同様にして造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを用い、実施例1と同様にYI及びTtを測定した。結果を表2に示す。
比較例2〜4
製造例2で得られたPC共重合体75質量部、タフロンFN1500(商品名、出光興産(株)製、Bis−Aポリカーボネート、粘度数=39.5)25質量部、ホスファイト化合物を表2に記載の質量部で配合し、ベント付き40mmφの押出機によって樹脂温度260℃で造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを用い、実施例1と同様にYI及びTtを測定した。結果を表2に示す。なお、表2において、PEP−36は、アデカスタブPEP−36(商品名、(株)ADEKA製、環状ネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト)を、Irg168は、イルガフォス168(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)を指す。
実施例7
製造例2で得られたPC共重合体75質量部、タフロンFN1500(商品名、出光興産(株)製、Bis−Aポリカーボネート,VN=39.5)25質量部、ダイヤナールBR83(商品名、三菱レイヨン(株)製、アクリル系樹脂、分子量40000)0.1質量部、KR511(商品名、信越シリコーン(株)製、メトキシ基及びビニル基を有するオルガノシロキサン)0.1質量部、セロキサイド2021P(商品名、ダイセル化学工業(株)製)0.05質量部、アデカスタブHP−10(商品名、(株)ADEKA製)0.085質量部を配合し、ベント付き40mmφの押出機によって樹脂温度260℃で造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを用い、実施例1と同様にYI及びTtを測定した。結果を表2に示す。
Figure 2009040843
Figure 2009040843
本発明のPC系樹脂組成物によれば、黄変が低減した光学成形品を得ることができる。

Claims (7)

  1. (A)一般式(I)で表される繰り返し単位と一般式(II)で表される繰り返し単位を有し、一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量が1〜30質量%であり、粘度数が30〜71であるポリカーボネート共重合体を含むポリカーボネート系樹脂100質量部及び(B)一般式(III)で表されるホスファイト化合物及び/又は一般式(IV)で表されるホスファイト化合物0.001〜1質量部を含むことを特徴とするポリカーボネート系樹脂組成物。
    Figure 2009040843
    [式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。Xは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−CO−又は下記式(V−1)もしくは下記式(V−2)で表される結合を示す。
    Figure 2009040843
    3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Yは炭素数2〜15の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。a〜dは、それぞれ0〜4の整数であり、nは2〜200の整数である。R5〜R7は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基及び炭素数3〜12のシクロアルキル基から選ばれる基を示す。R8及びR9は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。R10〜R13は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基及び炭素数7〜30のアラルキル基から選ばれる基を示す。]
  2. 一般式(II)において、Yが、−CH2−CH2−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−CH(CH3)−及び−CH2−CH2−CH2−から選ばれる一種以上である請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  3. (A)成分のポリカーボネート系樹脂に含まれるポリカーボネート共重合体の粘度数が37〜62である請求項1又は2に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  4. (A)成分のポリカーボネート系樹脂に含まれるポリカーボネート共重合体の280℃における流れ値(Q値)が30×10-2mL/s以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  5. (A)成分のポリカーボネート系樹脂が、ポリカーボネート共重合体とビスフェノールAを単独モノマーとするポリカーボネートとからなる請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  6. (A)成分のポリカーボネート系樹脂100質量部に対して、(C)分子量200〜10万のアクリル系樹脂0.01〜1質量部を含む請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物からなる光学成形品。
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